(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】空気浄化装置
(51)【国際特許分類】
F24F 1/0071 20190101AFI20240829BHJP
A61L 9/00 20060101ALI20240829BHJP
A61L 9/20 20060101ALI20240829BHJP
F24F 8/22 20210101ALI20240829BHJP
【FI】
F24F1/0071
A61L9/00 C
A61L9/20
F24F8/22
(21)【出願番号】P 2022053662
(22)【出願日】2022-03-29
【審査請求日】2022-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浦 健太
【審査官】塩田 匠
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-105156(JP,A)
【文献】特開2003-070888(JP,A)
【文献】国際公開第2022/044586(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2022-0026183(KR,A)
【文献】中国実用新案第211781518(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/0071
A61L 9/00
A61L 9/20
F24F 8/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に空気を導入する導入口及び前記内部の空気を排出する排出口が形成されているとともに、前記導入口と前記排出口との間の空気流路を区画する筐体と、
前記空気流路中に配されたフィルタと、
前記フィルタに紫外光を照射する発光装置と、を備え、
前記排出口が空気調和機の吸込口に向かうよう取り付けられ、
前記導入口及び前記排出口は、前記フィルタと前記発光装置との並び方向から見たとき、前記発光装置とは異なる位置
のみに形成されている、
空気浄化装置。
【請求項2】
前記フィルタは、金属製又は合金製である、
請求項1に記載の空気浄化装置。
【請求項3】
前記発光装置及び前記フィルタの双方に対して前記空気流路の上流側に配された追加フィルタをさらに備える、
請求項1又は2に記載の空気浄化装置。
【請求項4】
前記発光装置及び前記フィルタの両側に配されるとともに、前記発光装置が発する紫外光が前記導入口及び前記排出口から漏れ出ることを抑制する複数の遮光部をさらに備える、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の空気浄化装置。
【請求項5】
前記空気流路内に、空気の通過を許容し、紫外光の通過を制限する遮光構造体をさらに備える、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の空気浄化装置。
【請求項6】
前記発光装置は、中心波長が290nm以下の深紫外光を発する発光ダイオード素子を有する、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の空気浄化装置。
【請求項7】
前記フィルタには、光触媒が担持されている、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の空気浄化装置。
【請求項8】
前記空気流路内の空気の流れを検出可能な検出部と、
前記検出部にて検出された前記空気流路内の空気の流れに基づいて前記発光装置の発光動作を制御する制御部と、をさらに備える、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の空気浄化装置。
【請求項9】
前記空気調和機は、上部に前記吸込口を備え、
前記空気浄化装置は、前記空気調和機の上側に設置され、
前記筐体は、前記導入口が形成された天壁部と、前記排出口が形成された底壁部とを備える、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の空気浄化装置。
【請求項10】
外部の電源に差し込み可能なプラグを一端に備え、前記発光装置へ電源を供給するための電源コードと、
前記電源コードに電気的に接続されたコンセントと、を更に有する、
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の空気浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、空気調和機としての家庭用エアコンの吸込口を覆う後付けフィルタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の後付けフィルタにおいては、ウイルス、細菌等の捕集や除菌性能が十分ではない場合が想定され、空気調和機にウイルス、細菌等が吸い込まれて空気調和機から拡散されるおそれがある。
【0005】
本発明は、前述の事情に鑑みてなされたものであり、空気調和機に吸い込まれる空気を浄化することができる空気浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記の目的を達成するため、内部に空気を導入する導入口及び前記内部の空気を排出する排出口が形成されているとともに、前記導入口と前記排出口との間の空気流路を区画する筐体と、前記空気流路中に配されたフィルタと、前記フィルタに紫外光を照射する発光装置と、を備え、前記排出口が空気調和機の吸込口に向かうよう取り付けられ、前記導入口及び前記排出口は、前記フィルタと前記発光装置との並び方向から見たとき、前記発光装置とは異なる位置のみに形成されている、空気浄化装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、空気調和機に吸い込まれる空気を浄化することができる空気浄化装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施の形態における、空気浄化装置の使用状態を示す斜視図である。
【
図2】第1の実施の形態における、空気浄化装置の模式断面図である。
【
図3】第1の実施の形態における、空気浄化装置の各層の構成を模式的に示す分解斜視図である。
【
図4】第2の実施の形態における、空気浄化装置の模式断面図である。
【
図5】第3の実施の形態における、空気浄化装置の模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態について、
図1乃至
図3を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する上での好適な具体例として示すものであり、技術的に好ましい種々の技術的事項を具体的に例示している部分もあるが、本発明の技術的範囲は、この具体的態様に限定されるものではない。
【0010】
図1は、本形態における空気浄化装置1の使用状態を示す斜視図である。空気浄化装置1は、これとは別体の空気調和機10の近傍に設置され、浄化した空気を空気調和機10の吸込口101に向けて排出する。本形態において、空気調和機10は、上部に吸込口101を備えた壁掛け型の家庭用エアコンである。そして、空気浄化装置1は、例えば家屋に設置済みの空気調和機10の上側に後付けされ、吸込口101に向けて浄化した空気を排出する。これにより、空気調和機10内には浄化された空気が取り込まれ、空気調和機10から空気調和機10が設置された空間(例えば部屋)にウイルス、細菌等が拡散されることが抑制される。空気浄化装置1は、空気調和機10の上側に設置された状態において、水平方向に扁平に構成されており、これによって空気調和機10としての家庭用エアコンの上側の限られたスペースに配置可能となっている。
【0011】
以後、空気浄化装置1の厚み方向を「上下方向」という。上下方向は、空気浄化装置1が空気調和機10の上側に設置された状態における鉛直方向となる方向であり、後述の
図2の上下方向である。また、空気浄化装置1が空気調和機10の上側に設置された状態において、鉛直方向の上側となる側(例えば
図2の上側)を単に「上側」といい、その反対側(例えば
図2の下側)を「下側」という。また、上下方向に直交する方向であって、空気浄化装置1の長手方向となる方向(例えば
図2の左右方向)を「左右方向」という。また、上下方向及び左右方向の双方に直交する方向(例えば
図2の紙面に直交する方向)を「前後方向」という。
【0012】
図2は、上下方向及び左右方向の双方に平行な空気浄化装置1の模式断面図である。なお、
図2においては、便宜上、各部の厚み及び各部同士の間隔等を誇張して表している。
図3は、空気浄化装置1の各層の構成を模式的に示す分解斜視図である。
図3においては、便宜上、各層の各部の厚みの図示を省略している。
【0013】
図2に示すごとく、空気浄化装置1は、筐体2と、フィルタ31が配されたフィルタ層3と、発光装置41が配された発光装置層4と、検出部5と、制御部6とを備える。
【0014】
筐体2は、扁平で中空の矩形箱状を呈している。筐体2は、内部に空気を導入する導入口211及び内部の空気を排出する排出口221が形成されているとともに、導入口211と排出口221との間の空気流路20を区画している。
図2においては、導入口211から筐体2内に導入され、空気流路20を通り、排出口221から排出される空気の流れの一例を矢印Fにて表している。筐体2は、発光装置41が発する紫外光を遮光可能な素材からなる。例えば、筐体2は、紫外光を通し難く紫外光にて劣化し難い樹脂(例えばフッ素樹脂)、セラミック等から構成されていてもよいし、紫外光を反射する金属等から構成されていてもよい。
【0015】
図2及び
図3に示すごとく、筐体2の天壁部21には、2つの導入口211が形成されている。2つの導入口211は、それぞれ矩形状に形成されており、長手方向における天壁部21の両端部に形成されている。また、詳細は後述するが、天壁部21の2つの導入口211の間の部位は、発光装置41から発された紫外光が導入口211から漏れ出ることを抑制する第1の遮光部212である。なお、導入口211は、フィルタ31及び発光装置41に対して空気流路20の上流側に位置していればよく、例えば筐体2の前壁部23(
図1参照)、側壁部24等に形成されていてもよい。
【0016】
筐体2の底壁部22には、2つの排出口221が形成されている。2つの排出口221は、それぞれ矩形状に形成されており、長手方向における底壁部22の両端部に形成されている。詳細は後述するが、底壁部22の2つの排出口221の間の部位は、発光装置41から発された紫外光が排出口221から漏れ出ることを抑制する第2の遮光部222である。
【0017】
図1及び
図2に示すごとく、筐体2は、後端部に、左右方向の両側に突出する2つのフランジ部25を有する。フランジ部25には、ボルトBを挿通するためのボルト挿通孔251が形成されている。そして、筐体2は、ボルトBをボルト挿通孔251に挿通するとともに、空気調和機10が取り付けられた設置壁100(例えば家屋の壁)に螺合することで、設置壁100に固定される。なお、筐体2の設置方法は、ボルト締結に限られず、種々の方法を採用可能である。例えば、空気調和機10を左右方向から挟み込む構造を空気浄化装置1に追加することも可能である。この場合、空気調和機10としての家庭用エアコン幅は、特定の幅に定まっていることが多いため、この特定の幅を考慮して空気調和機10を左右方向から挟み込む構造が設計され得る。また、空気調和機10に係止可能な構造を空気浄化装置1に追加したり、空気調和機10に吸着する吸盤等を空気浄化装置1に追加したりしてもよい。そして、筐体2の内側には、フィルタ層3及び発光装置層4が配されている。
【0018】
図2及び
図3に示すごとく、フィルタ層3は、フィルタ31と、フィルタ31を取り付けるフィルタ取付板32とを備える。フィルタ31は、筐体2内の空気流路20中に配されている。本形態において、フィルタ31は、金属製又は合金製である。フィルタ31は、発光装置41によって紫外光の照射を受けるため、紫外光の照射を受けても劣化し難い金属製又は合金製であることが好ましい。なお、フィルタ31としては、不織布等を採用することも可能である。筐体2は、フィルタ31の交換が可能となるよう構成されてもよい。特に、フィルタ31が紫外光によって劣化する材質の不織布等で構成されている場合、フィルタ31の交換が必要になる。また、筐体2がフィルタ31を交換できないよう構成されている場合は、フィルタ31を清掃しやすいよう筐体2の構造を工夫することが好ましい。例えば、フィルタ層3を筐体2から引き出せるよう構成することで、ユーザがフィルタ31を清掃しやすくなるようにしてもよい。
【0019】
フィルタ31は、例えばメッシュ状、スポンジ状、多孔質状等のものを用いることができる。また、フィルタ31は、ウイルス、細菌等を捕集できるよう目の細かいものが用いられる。また、本形態において、フィルタ31には、光触媒が担持されている。光触媒は、発光装置41が照射する紫外光によって活性化する触媒であり、例えばアパタイト、酸化チタン等からなるものを用いることができる。なお、フィルタ31に触媒が担持されていなくてもよい。
【0020】
フィルタ31は、上下方向から見たとき、筐体2の天壁部21における2つの導入口211の間の部位にて構成される第1の遮光部212の形成領域に収まる位置に配されている。換言すると、フィルタ31は、上下方向から見たとき、第1の遮光部212の形成領域からはみ出ていない。第1の遮光部212は、筐体2の一部であり、発光装置41が発する紫外光を吸収可能な素材からなる。そして、第1の遮光部212は、発光装置41から発されて金属製又は合金製のフィルタ31に反射される光が、導入口211から筐体2の外部に漏れることを抑制する。紫外光が導入口211から漏れた場合、例えば家屋の壁紙が劣化して変色等するおそれがあるところ、第1の遮光部212はこれを抑制する。なお、
図2においては、発光装置41から発されて、フィルタ31にて反射される光の一例を矢印L1にて表している。第1の遮光部212は、例えば筐体2とは別体の部材を筐体2に組み付けることで構成してもよい。
【0021】
また、フィルタ31は、上下方向から見たとき、筐体2の底壁部22における2つの排出口221の間の部位にて構成される第2の遮光部222の形成領域に収まる位置に配されている。換言すると、フィルタ31は、上下方向から見たとき、第2の遮光部222の形成領域からはみ出ていない。第2の遮光部222は、筐体2の一部であり、発光装置41が発する紫外光を反射可能な素材からなる。そして、第2の遮光部222は、発光装置41から発されてフィルタ31を通過する光が、排出口221から筐体2の外部に漏れることを抑制する。紫外光が排出口221から漏れた場合、例えば空気調和機10の上部が劣化して変色等するおそれがあるところ、第2の遮光部222はこれを抑制する。なお、
図2においては、発光装置41から発されて、フィルタ31を透過する光の一例を矢印L2にて表している。第2の遮光部222にて反射された紫外光の一部は、フィルタ31に照射され、フィルタ31に捕集されたウイルス、細菌等の除菌に供される。第2の遮光部222にて反射された紫外光が排出口221から漏れないようにすべく、例えば、フィルタ取付板32は、紫外光を吸収可能な素材にて構成され得る。また、フィルタ取付板32が紫外光を反射する素材にて構成されている場合、第2の遮光部222は、その中央部が紫外光を反射可能な素材にて構成され、その両端部が紫外光を吸収可能な素材にて構成されていてもよい。この場合、発光装置41から発されて第2の遮光部222にて反射された紫外光が、フィルタ取付板32へ向かうことが抑制される結果、フィルタ取付板32にて紫外光が反射して排出口221から紫外光が漏れ出ることが抑制される。この場合において、例えば、第2の遮光部222の中央部(すなわち紫外光を反射可能な素材にて構成された部位)の左右方向の幅は、例えば後述の基板411に実装された後述の3つの発光素子412の左右方向の一端から他端までの長さ以下とすることができる。これにより、第2の遮光部222の中央部にて反射された紫外光がフィルタ取付板32へ向かうことが一層抑制される結果、フィルタ取付板32にて紫外光が反射して排出口221から紫外光が漏れ出ることが一層抑制される。第2の遮光部222は、例えば筐体2とは別体の部材を筐体2に組み付けることで構成してもよい。
【0022】
第2の遮光部222の左右方向の幅は、第1の遮光部212の左右方向の幅よりも大きい。本形態においては、発光装置41が下側に位置するフィルタ31に向けて紫外光を発するため、フィルタ31の下側において紫外光が広がりやすいところ、発光装置41が紫外光を発する側(下側)に位置する第2の遮光部222の幅を広くすることで、筐体2から漏れ出る紫外光を低減することができる。以上のように、本形態の筐体2は、紫外光を遮光可能な素材からなるとともに、筐体2に設けられた開口である2つの導入口211及び2つの排出口221から紫外光が漏れない工夫がなされている。
【0023】
フィルタ取付板32は、フィルタ31を取り付けた取付開口321を有し、板状に形成されている。フィルタ取付板32は、筐体2と同様、発光装置41が発する紫外光を遮光可能な材料からなる。
【0024】
発光装置層4は、フィルタ層3の上側に配されている。発光装置層4は、3つの発光装置41と、3つの発光装置41を取り付ける装置取付板42とを有する。発光装置41は、フィルタ31に紫外光を照射することで、フィルタ31を除菌するためのものである。発光装置41は、左右方向に長尺な基板411と、基板411の下面において左右方向に並ぶよう実装された複数の発光素子412とを有する。3つの基板411は、並列に配置されている。発光素子412は、紫外光を発することができる発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)素子である。以後、発光素子412を発光ダイオード素子412という。発光ダイオード素子412は、例えばAlGaN系の窒化物半導体からなる層の積層体を備える素子である。本形態において、発光ダイオード素子412は、中心波長が200nm以上350nm以下の紫外光を発し、特に本形態においては、中心波長が290nm以下となる深紫外光を発する。深紫外光は、紫外光の中でもウイルス、細菌等の除菌性能が高い。なお、フィルタ31に紫外光を照射することができれば、発光装置41の構成は前述のものに限られない。
【0025】
3つの発光装置41のそれぞれは、フィルタ31と上下方向に対向している。そして、発光装置41の各発光ダイオード素子412は、下側(すなわちフィルタ31側)に向かう指向性を有する紫外光を発する。各発光ダイオード素子412が発する紫外光の照射角度は、例えば30°以上180°以下とすることができる。3つの発光装置41とフィルタ31との位置関係は、各発光ダイオード素子412が発する紫外光の照射角度、フィルタ31の大きさ等に応じて、十分にフィルタ31に紫外光が照射されるような位置関係に設計され得る。
【0026】
装置取付板42は、中央に開口部421が設けられた板状に形成されている。また、装置取付板42は、開口部421の前後方向の両端部をつなぐ2つの細板状の連結板422を有する。そして、2つの連結板422に、3つの発光装置41が固定されている。なお、連結板422を設けず、発光装置41を装置取付板42に固定する構成を採用してもよい。装置取付板42は、筐体2と同様、発光装置41が発する紫外光を遮光可能な材料からなる。また、
図2に示すごとく、装置取付板42には、検出部5及び制御部6が固定されている。なお、
図3においては、検出部及び制御部の図示を省略している。
【0027】
検出部5は、筐体2の空気流路20内の空気の流れを検出可能なものであり、例えば圧力センサ(具体的には気圧センサ)、流量センサ等にて構成することができる。本形態において、検出部5は、装置取付板42の上面に取り付けられた例を示すが、筐体2内の空気流路20に臨む位置に配されているとともに空気流路20の流れを測定可能であれば設置位置は任意に設定可能である。検出部5による空気流路20の流れの検出結果は、制御部6へ出力される。
【0028】
制御部6は、検出部5にて検出された空気流路20内の流れに基づき発光装置41の発光動作を制御する。具体的には、制御部6は、筐体2内の空気流路20に空気の流れが生じているとき(すなわち空気調和機10の動作時)に発光装置41を発光させ、筐体2内の空気流路20に空気の流れが生じていないとき(すなわち空気調和機10の停止時)に発光装置41を非発光とするよう、発光装置41の発光動作を制御する。例えば、制御部6は、検出部5が気圧センサの場合、検出部5にて得られた空気流路20の気圧が、大気圧を含む所定範囲となったときに発光装置41を非発光とし、検出部5にて得られた空気流路20の気圧が、前記所定範囲から外れたときに発光装置41を発光させる。この所定範囲は、例えば筐体2の形状、大きさ、導入口211及び排出口221の開口面積等の各要素を基に適宜設定され得る。制御部6は、プロセッサ、プロセッサ動作時の演算領域となるRAM、プロセッサが実行するプログラムを記憶したROMとを備える。なお、これに限られず、制御部6は、論理回路等のハードウェアにより構成してもよいし、ハードウェア及びソフトウェアとの組合せとして構成してもよい。
【0029】
図1に示すごとく、本形態の空気浄化装置1は、外部の電源に差し込み可能なプラグ111を一端に備えた電源コード11を有する。電源コード11は、プラグ111を図示しない家庭用コンセントに接続することで、商用電源の電力を発光装置41及び制御部6へ供給する。また、筐体2の側壁部24には、電源コード11に電気的に接続されたコンセント12が設けられている。特に空気調和機10が家庭用エアコンであるような場合、空気調和機10の近傍にある家庭用コンセントは、空気調和機10の図示しないプラグを差し込められることができれば事足りることから、1つしか設けられていないことが多い。本形態によれば、空気浄化装置1の電源コード11のプラグ111を家庭用コンセントに差し込み、空気調和機10の図示しないプラグを空気浄化装置1のコンセント12に差し込むことで、1つの家庭用コンセントからの電力の供給で、空気調和機10及び空気浄化装置1の双方を使用可能となる。なお、本形態においては、コンセント12が、筐体2の側壁部24に設けられた例を示したが、例えば筐体2の天壁部21等に設けることも可能である。ただし、天壁部21にコンセント12を設けた場合、空気浄化装置1の上側に、家庭用エアコンのプラグ111を差し込むためのスペースを設ける必要があり、空気浄化装置1に一層の薄型化が余儀なくされることから、コンセント12は側壁部24等に設けることが好ましい。
【0030】
(第1の実施の形態の作用及び効果)
本形態の空気浄化装置1は、筐体2内の空気流路20中に配されたフィルタ31と、フィルタ31に紫外光を照射する発光装置41とを備え、筐体2の排出口221が空気調和機10の吸込口101に向かうよう取り付けられる。それゆえ、空気調和機10に吸い込まれる空気を浄化することができる。これにより、空気調和機10が配された部屋等の空間の空気が浄化される。
【0031】
また、フィルタ31は、金属製又は合金製である。それゆえ、フィルタ31が紫外光を受けても劣化することを抑制できる。
【0032】
また、本形態の空気浄化装置1は、発光装置41及びフィルタ31の両側に配されるとともに、発光装置41が発する紫外光が導入口211及び排出口221から漏れ出ることを抑制する第1の遮光部212及び第2の遮光部222を備える。それゆえ、発光装置41が発する紫外光が導入口211及び排出口221から漏れ出ることに起因して、空気調和機10が劣化又は変色したり、空気調和機10が設置された部屋の天井面が劣化又は変色したりすることを抑制することができる。
【0033】
また、発光装置41は、中心波長が290nm以下の深紫外光を発する発光ダイオード素子412を有する。ウイルス、細菌等の除菌性能が高い深紫外光をフィルタ31に照射することで、空気調和機10に吸い込まれる空気を一層浄化することができる。さらに、発光装置41が発光ダイオード素子412を有するものとすることにより、空気浄化装置1の全体を小型化及び軽量化することができる。また、発光ダイオード素子412が発する紫外光は、例えば水銀ランプなどが発する紫外光と比べて高い指向性を有するため、フィルタ31に向けて集中的に紫外光を発することができるとともに、紫外光を照射したくない部位への紫外光の照射を抑制できる。
【0034】
また、フィルタ31には、光触媒が担持されている。それゆえ、フィルタ31に捕集されたウイルス、細菌等は、光触媒によって酸化が促進され、短時間にて不活性化される。また、光触媒によって、フィルタ31に捕集された異臭の原因物質の分解が促進され、異臭の発生を抑制することができる。また、光触媒による効果だけでなく、紫外光が、空気中のウイルス、細菌等に直接作用して不活化することも可能である。
【0035】
また、空気浄化装置1は、空気流路20内の空気の流れを検出可能な検出部5と、検出部5にて検出された空気流路20内の空気の流れに基づいて発光装置41の発光動作を制御する制御部6とを備える。それゆえ、空気流路20内における空気の流れの状況に基づき、必要なときにのみ発光装置41を発光させ、消費電力量を低減することができる。
【0036】
以上のごとく、本形態によれば、空気調和機に吸い込まれる空気を浄化することができる空気浄化装置を提供することができる。
【0037】
[第2の実施の形態]
図4は、上下方向及び左右方向の双方に平行な本形態における空気浄化装置1の模式断面図である。
【0038】
本形態は、基本構成を第1の実施の形態と同様としつつ、追加フィルタ71をさらに設けた形態である。
【0039】
筐体2の内部における発光装置層4の上側には、追加フィルタ71が配された追加フィルタ層7が配されている。追加フィルタ層7は、追加フィルタ71と、追加フィルタ71を取り付ける追加フィルタ取付板72とを備える。追加フィルタ71は、例えば塵埃等の捕集を目的とした不織布フィルタ等である。追加フィルタ71は、発光装置41及びフィルタ31の双方に対する空気流路20の上流側に配されている。追加フィルタ71は、発光装置41から発されてフィルタ31にて反射される光が当たり難いよう、上下方向から見たとき、発光装置41に重ならない位置に配されている。本形態において、追加フィルタ71は、左右方向における追加フィルタ層7の両端にそれぞれ配されている。また、一方の追加フィルタ71は、一方の導入口211と上下方向に重なる位置に配されており、他方の追加フィルタ71は他方の導入口211と上下方向に重なる位置に配されている。
【0040】
追加フィルタ取付板72は、2つの追加フィルタ71の間に位置しており、板状に形成されている。追加フィルタ取付板72は、筐体2と同様、発光装置41が発する紫外光を遮光可能な材料からなる。追加フィルタ取付板72は、例えばスライド等により、追加フィルタ71を筐体2の外部に引出可能に構成されてもよい。
【0041】
その他は、第1の実施の形態と同様である。
なお、第2の実施の形態以降において用いた符号のうち、既出の形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
【0042】
(第2の実施の形態の作用及び効果)
本形態においては、発光装置41及びフィルタ31の双方に対する空気流路20の上流側に配された追加フィルタ71を備える。それゆえ、発光装置41及びフィルタ31に塵埃等が付着することを抑制することができる。
その他、第1の実施の形態と同様の作用及び効果を有する。
【0043】
[第3の実施の形態]
図5は、上下方向及び左右方向の双方に平行な本形態における空気浄化装置1の模式断面図である。
【0044】
本形態は、基本構成を第1の実施の形態と同様としつつ、筐体2内の空気流路20内に、空気の通過を許容し、紫外光の通過を制限する遮光構造体8をさらに設けた形態である。
【0045】
遮光構造体8は、発光装置41及びフィルタ31の上下方向の両側にそれぞれ配されている。本形態において、遮光構造体8は、上下方向及び左右方向に傾斜した複数のスラット81を左右方向に並べたブラインド状の構造体である。遮光構造体8は、発光装置41が発する紫外光を遮光可能な素材からなり、例えば紫外光を反射可能又は吸収可能な材料にて構成することができる。また、遮光構造体8の変形例としては、例えば多数の孔を有する複数のパンチングメタルを、孔の位置をずらし、間隔をあけて重ねた構造を採用したり、空気は通して光は通さないラビリンス通路を形成する構造体を採用したりすることが可能である。そして、本形態において、筐体2は、上部全体が導入口211となっており、下部全体が排出口221となっている。本形態においては、発光装置41が発する紫外光が筐体2から上下に漏れることが上下の遮光構造体8にて抑制されているため、導入口211及び排出口221を広くすることができ、筐体2内を通過する空気を増やしやすい。また、本形態においては、前述のごとく紫外光の漏れが抑制されているため、フィルタ31及び発光装置41のサイズを大きくしやすい。
その他は、第1の実施の形態と同様である。
【0046】
(第3の実施の形態の作用及び効果)
本形態においては、空気流路20内に、空気の通過を許容し、紫外光の通過を制限する遮光構造体8をさらに備える。それゆえ、発光装置41が発する紫外光が筐体2の外部に漏れることを抑制することができる。
その他は、第1の実施の形態と同様の作用及び効果を有する。
【0047】
(その他の変形例)
前記各実施の形態においては、空気調和機10として家庭用エアコンを想定したが、これに限られず、例えば業務用の天井埋込型のエアコンであってもよい。天井埋込型のエアコンの場合は、吸込口が下側を向いているため、空気浄化装置は、排出口が上側に開口するような姿勢で天井埋込型のエアコンに取り付けられる。
【0048】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0049】
[1]本発明の第1の実施態様は、内部に空気を導入する導入口(211)及び前記内部の空気を排出する排出口(221)が形成されているとともに、前記導入口(211)と前記排出口(221)との間の空気流路(20)を区画する筐体(2)と、前記空気流路(20)中に配されたフィルタ(31)と、前記フィルタ(31)に紫外光を照射する発光装置(41)と、を備え、前記排出口(221)が空気調和機(10)の吸込口(101)に向かうよう取り付けられる、空気浄化装置(1)である。
これにより、空気調和機に吸い込まれる空気を浄化することができる。
【0050】
[2]本発明の第2の実施態様は、第1の実施態様において、前記フィルタ(31)が、金属製又は合金製であることである。
これにより、フィルタが紫外光を受けて劣化することを抑制できる。
【0051】
[3]本発明の第3の実施態様は、第1又は第2の実施態様において、前記発光装置(41)及び前記フィルタ(31)の双方に対して前記空気流路(20)の上流側に配された追加フィルタ(71)をさらに備えることである。
これにより、発光装置及びフィルタに塵埃等が付着することを抑制することができる。
【0052】
[4]本発明の第4の実施態様は、第1乃至第3のいずれか1つの実施態様において、前記発光装置(41)及び前記フィルタ(31)の両側に配されるとともに、前記発光装置(41)が発する紫外光が前記導入口(211)及び前記排出口(221)から漏れ出ることを抑制する複数の遮光部(212,222)をさらに備えることである。
これにより、空気調和機が劣化又は変色したり、空気調和機が取り付けられた壁が劣化又は変色したりすることを抑制することができる。
【0053】
[5]本発明の第5の実施態様は、第1乃至第4のいずれか1つの実施態様において、前記空気流路(20)内に、空気の通過を許容し、紫外光の通過を制限する遮光構造体(8)をさらに備えることである。
これにより、発光装置が発する紫外光が筐体の外部に漏れることを抑制することができる。
【0054】
[6]本発明の第6の実施態様は、第1乃至第5のいずれか1つの実施態様において、前記発光装置(41)が、中心波長が290nm以下の深紫外光を発する発光ダイオード素子(412)を有することである。
これにより、空気調和機に吸い込まれる空気を一層浄化することができる。
【0055】
[7]本発明の第7の実施態様は、第1乃至第6のいずれか1つの実施態様において、前記フィルタ(31)に、光触媒が担持されていることである。
これにより、異臭の発生を抑制することができる。
【0056】
[8]本発明の第8の実施態様は、第1乃至第7のいずれか1つの実施態様において、前記空気流路(20)内の空気の流れを検出可能な検出部(5)と、前記検出部(5)にて検出された前記空気流路(20)内の空気の流れに基づいて前記発光装置(41)の発光動作を制御する制御部(6)と、をさらに備えることである。
これにより、空気流路内における空気の流れの状況に基づき、必要なときにのみ発光装置を発光させ、消費電力量を低減することができる。
【0057】
(付記)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、前述した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0058】
1…空気浄化装置
10…空気調和機
101…吸込口
2…筐体
20…空気流路
211…導入口
212…遮光部
221…排出口
222…遮光部
31…フィルタ
41…発光装置
412…発光ダイオード素子
5…検出部
6…制御部
8…遮光構造体
71…追加フィルタ