(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】バンド取付構造
(51)【国際特許分類】
F16L 3/08 20060101AFI20240829BHJP
F16B 1/02 20060101ALI20240829BHJP
F16B 5/02 20060101ALI20240829BHJP
F16L 3/10 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
F16L3/08 C
F16B1/02 M
F16B5/02 V
F16B5/02 A
F16L3/10 Z
(21)【出願番号】P 2022161119
(22)【出願日】2022-10-05
【審査請求日】2022-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】391039302
【氏名又は名称】株式会社昭和コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】小林 慎治
(72)【発明者】
【氏名】堀越 信一
(72)【発明者】
【氏名】津久井 慎
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】実開昭47-026616(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2013/0126681(US,A1)
【文献】米国特許第05297890(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0043368(US,A1)
【文献】米国特許第01943766(US,A)
【文献】特開平10-160046(JP,A)
【文献】特開平10-220647(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107830255(CN,A)
【文献】米国特許第05090645(US,A)
【文献】特開2009-027823(JP,A)
【文献】特開2002-340234(JP,A)
【文献】特開2020-016276(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0313411(US,A1)
【文献】米国特許第02984442(US,A)
【文献】米国特許第05897082(US,A)
【文献】実開昭55-161977(JP,U)
【文献】特開2004-232856(JP,A)
【文献】中国実用新案第213039575(CN,U)
【文献】特開2019-100100(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107084280(CN,A)
【文献】特開2021-071162(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0846149(KR,B1)
【文献】特開2022-088024(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0108690(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 3/08
F16B 1/02
F16B 5/02
F16L 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管支持用のバンドを固定部材によって取付面に固定するバンド取付構造において、
前記固定部材に取付具を挿通する挿通孔が形成されており、前記固定部材に取付具との当接部を形成し、その当接部と取付面に取付具が傾きながら当接した状態で前記固定部材を取付面に固定可能な構造とし、
前記固定部材には、取付面の反対方向に湾曲した曲げ部と取付面に設置する平坦部とが形成されていて、
前記挿通孔は、曲げ部と平坦部に跨って形成されていることを特徴とするバンド取付構造。
【請求項2】
前記曲げ部は、平板を曲げ加工して形成されたことを特徴とする請求項
1に記載のバンド取付構造。
【請求項3】
配管支持用のバンドを固定部材によって取付面に固定するバンド取付構造において、
前記固定部材に取付具を挿通する挿通孔が形成されており、前記固定部材に取付具との当接部を形成し、その当接部と取付面に取付具が傾きながら当接した状態で前記固定部材を取付面に固定可能な構造とし
、
前記固定部材には、取付面の反対方向に湾曲した曲げ部と取付面に設置する平坦部とが形成されていて、
前記挿通孔は、曲げ部に形成されていて、
前記当接部は、前記挿通孔の内周面であることを特徴とするバンド取付構造。
【請求項4】
配管支持用のバンドを固定部材によって取付面に固定するバンド取付構造において、
前記固定部材に取付具を挿通する挿通孔が形成されており、前記固定部材に取付具との当接部を形成し、その当接部と取付面に取付具が当接した状態で前記固定部材を取付面に固定可能な構造とし、
前記固定部材には、取付面の反対方向に湾曲した曲げ部と取付面に設置する平坦部とが形成され、
前記挿通孔は、曲げ部に形成されていて、
前記当接部は、前記挿通孔の端面及び前記曲げ部の裏側であることを特徴とするバンド取付構造。
【請求項5】
配管支持用のバンドを固定部材によって取付面に固定するバンド取付構造において、
前記固定部材に取付具を挿通する挿通孔が形成されており、前記固定部材に取付具との当接部を形成し、その当接部と取付面に取付具が当接した状態で前記固定部材を取付面に固定可能な構造とし、
前記固定部材には、取付面の反対方向に湾曲した曲げ部と取付面に設置する平坦部とが形成され、
前記挿通孔は、曲げ部に形成されていて、
前記当接部は、前記曲げ部の裏側であることを特徴とするバンド取付構造。
【請求項6】
前記挿通孔は、複数あり、少なくとも2つの挿通孔が固定部材の幅方向にオフセットされて形成されていることを特徴とする請求項
1から5のうちのいずれか1項に記載のバンド取付構造。
【請求項7】
固定部材に着脱自在なガイド部材に取付具と当接する第二の当接部を形成し、
その第二の当接部と取付面に取付具が当接した状態で取付面に固定可能な構造としたことを特徴とする
請求項1から5のうちのいずれかに1項に記載のバンド取付構造。
【請求項8】
前記当接部は前記ガイド部材に形成された挿通孔の端面であることを特徴とする請求項
7に記載のバンド取付構造。
【請求項9】
配管支持用のバンドを固定部材によって取付面に固定するバンド取付構造において、
前記固定部材に取付具を挿通する挿通孔が形成されており、前記固定部材に取付具との当接部を形成し、その当接部と取付面に取付具が傾きながら当接した状態で前記固定部材を取付面に固定可能な構造とし、
固定部材に着脱自在なガイド部材に取付具と当接する第二の当接部を形成し、
その第二の当接部と取付面に取付具が当接した状態で取付面に固定可能な構造としたことを特徴とするバンド取付構造。
【請求項10】
前記固定部材に取付具との当接部を形成し、その当接部と取付面との間にクリアランスを設けて、前記当接部と取付面に取付具が当接した状態で前記固定部材を取付面に固定可能な構造としたことを特徴とする
請求項1から5のうちのいずれかに1項に記載のバンド取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管を支持するバンドを取付面に固定具(固定部材)によって取り付けるバンド取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配管の振れを防止するため、配管支持用の立バンドを固定具(固定部材)によって壁面等の取付面に固定するバンド取付け構造が各種提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2,特許文献3参照)。
【0003】
特許文献1~3に記載されるように、配管をバンド及び固定具で支持する際には、固定具を取付面にビス(取付具)で固定し、配管に取り付けた立バンドをボルト・ナット等によって固定具に取り付けて、配管を固定していた。また、施工の都合から立バンドを固定具に取り付けた後にビス止め固定することも行われていた。
【0004】
図20、
図21は、配管a1を支持する立バンドaを固定具bによって取付面cに固定する構造の従来例を示す。
【0005】
通常、固定具bは、平板状のベース板b1の長さ方向中央部に起立片b2が一体に立設されている。ベース板b1の取付孔(ビス孔)eにビスfを挿入し、電動ドライバー等の工具gを用いてそのビスfを取付面cにねじ込んで固定し、その後、配管a1に取り付けた立バンドaをボルト・ナットdによって、ビス固定後の固定具bの起立片b2に組み付けていた。
図20はビスを取付面cに垂直打ちした施工状態を示しており、
図21がビスを斜め打ちした施工状態を示している。
【0006】
配管a1に取り付けた立バンドaをボルト・ナットdによって、ビス固定後の固定具bの起立片b2に組み付け作業をする場合、配管と取付面との間の狭いスペースにおいてボルト・ナットの組み付け作業が発生し、施工性が悪い。
【0007】
施行性を良化する対策として、立バンドを固定具に仮組みした後にビス止め固定する施行が必要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開平10-160046号公報
【文献】特開平10-220647号公報
【文献】特開2003-269418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
仮に、配管と立バンドと固定具を仮組みした後に、固定具bを取付面cにビス止めするならば、配管と工具との干渉をさけるため、
図21に示すように、ビス(取付具)fは斜め打ちをしなければならなかった。
【0010】
しかしながら、ビスfを取り付ける際に、取付孔eにビスfを挿入しただけでは、ビスfに支えが無いのでビスが滑って取付面cに挿入しにくいので、特に、斜め打ち時には滑りやすく施工が難しいという課題があった。
【0011】
また、
図20に示すように、斜め打ちされていないビスfは、立バンドaと固定具bのベース板b1との間のクリアランス(間隔)が狭く、電動ドライバー等の工具gが狭いクリアランスに入りにくいことから、改修工事時にビスを回しにくく、固定具が取り外しにくいので斜め打ちが必要になるが、前記の課題を解決してビスの斜め打ちに適した固定具が従来未提案であった。
【0012】
本発明は、斯かる課題に鑑み、取付具の斜め打ちを容易かつ確実に行えるようにし施工性が高いバンド取付構造を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、配管支持用のバンドを固定部材によって取付面に固定するバンド取付構造において、前記固定部材に取付具を挿通する挿通孔が形成されており、前記固定部材に取付具との当接部を形成し、その当接部と取付面に取付具が当接した状態で前記固定部材を取付面に固定可能な構造としたことを特徴とするバンド取付構造である。
【0014】
本発明においては、前記固定部材には、取付面の反対方向に湾曲した曲げ部と取付面に設置する平坦部とが形成されていることが好適である。
【0015】
本発明においては、前記曲げ部は、平板を曲げ加工して形成されたことが好適である。
【0016】
本発明においては、前記挿通孔は、曲げ部と平坦部に跨って形成されていることが好適である。
【0017】
本発明においては、前記挿通孔は、曲げ部に形成されていることが好適である。
【0018】
本発明においては、前記当接部は、前記挿通孔の内周面であることが好適である。
【0019】
本発明においては、前記当接部は、前記挿通孔の端面及び前記曲げ部の裏側であることが好適である。
【0020】
本発明においては、前記当接部は、前記曲げ部の裏側であることが好適である。
【0021】
本発明においては、前記挿通孔は、複数あり、少なくとも2つの挿通孔が固定部材の幅方向にオフセットされて形成されていることが好適である。
【0022】
本発明は、バンドを固定部材によって取付面に固定するバンド取付構造において、前記固定部材に取付具を挿通する挿通孔が形成されており、固定部材に着脱自在なガイド部材に取付具との当接部を形成し、その当接部と取付面に取付具が当接した状態で取付面に固定可能な構造としたことを特徴とするバンド取付構造である。
【0023】
本発明においては、前記当接部は前記ガイド部材に形成された挿通孔の端面であることが好適である。
【0024】
本発明においては、バンドを固定部材によって取付面に固定するバンド取付構造において、前記固定部材に取付具を挿通する挿通孔が形成されており、前記固定部材に取付具との当接部を形成し、その当接部と取付面との間にクリアランスを設けて、前記当接部と取付面に取付具が当接した状態で前記固定部材を取付面に固定可能な構造としたことを特徴とするバンド取付構造である。
【発明の効果】
【0025】
本発明のバンド取付構造によれば、固定部材に取付具を挿通する挿通孔が形成されており、前記固定部材に取付具との当接部を形成し、その当接部と取付面に取付具が当接した状態で前記固定部材を取付面に固定可能な構造としたので、取付具の斜め打ちを容易かつ確実に行えるようにし施工性が高いという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】第1実施形態に係る固定具(「固定部材」に相当)を有するバンド取付け構造の説明図である。
【
図2】第1実施形態に係る固定具の斜視説明図である。
【
図3】第1実施形態に係る固定具のビス取付け方向の説明図である。
【
図5】変形例1に係る固定具のビス取付け状態の説明図である。
【
図6】第1実施形態及び変形例1に係る固定具のビス取付け時の応力の説明図である。
【
図7】第1実施形態及び変形例1に係る固定具の作用効果の説明図であって、(a)が正面視図、(b)が下面視図である。
【
図8】第2実施形態に係る固定具の斜視説明図である。
【
図9】第2実施形態に係る固定具の作用効果の説明図であって(a)が配管軸横断視図、(b)がビス取付け部(平坦部)の拡大視図である。
【
図10】第3実施形態に係る固定具の斜視説明図である。
【
図11】第3実施形態に係る固定具のビス取り付け状態の説明図である。
【
図12】変形例2に係る固定具の斜視説明図である。
【
図13】第4実施形態に係る固定具の下面側からの斜視説明図である。
【
図14】第4実施形態に係る固定具のビス取り付け状態の説明図である。
【
図15】第5実施形態に係る固定具の下面側からの斜視説明図である。
【
図16】第5実施形態に係る固定具のビス取り付け状態の説明図である。
【
図17】第6実施形態に係る固定具の側方からの斜視説明図である。
【
図18】第6実施形態に係る固定具のビス取り付け状態の説明図であって、(a)が平面視図、(b)が取付け説明図である。
【
図19】第7実施形態に係る固定具を有するバンド取付け構造の説明図である。
【
図20】従来の固定具を有するバンド取付け構造において、ビスを垂直打ちした説明図である。
【
図21】従来の固定具を有するバンド取付け構造において、ビスを斜め打ちした場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0028】
図1~3は、第1実施形態に係るバンド取付け構造の説明図である。
図1はバンド取付構造の全体構成、
図2は固定具、
図3はビス打ち状態の説明図である。
【0029】
〔第1実施形態〕
図1に示すように、第1実施形態に係るバンド取付け構造は、配管10支持用のバンド12を固定具14によって建造物の壁面等の取付面16に固定するバンド取付構造に関する。
【0030】
第1実施形態において、バンド12は立バンドと称される配管支持用のものであって、固定具(「固定部材」に相当)14を電動ドライバー等のねじ込み用の工具(図示省略)を用いて取付面16にビス(「取付具」に相当)18のねじ込みによって取り付け、固定するものである。なお、バンド12は、上部のヒンジ12aで開閉して配管10に取付け可能であり、配管10取付け状態で下部を固定具14に取付けて配管を支持する。
【0031】
第1実施形態に係る固定具14には、ビス18を挿通するビス孔(「挿通孔」に相当)20が貫通形成されており、固定具14にビス18との当接部22を形成し、その当接部22と取付面16にビスが当接した状態で固定具14を取付面に固定可能な構造としたものである。
【0032】
当接部22は、固定具14のベース板24の曲げ部14aに形成されたものである。
【0033】
曲げ部14aは、金属製平板のベース板24を配管方向から見て弧状に曲げ加工して形成したものである。
【0034】
当接部22は、ビス孔20の内周面である。
【0035】
第1実施形態では、詳しくは、固定具14は、
図2に示すように、概略矩形板片状のベース板24の長さ方向中央部に起立片26が立設されているものである。ベース板24は、その両端の平坦部14bと中央の平坦部14cを残して2箇所盛り上がるように弧状に曲げ形成された曲げ部14a、14aを連続して有し、曲げ部14a、14aに挟まれた平坦部14cからバンド12取付け用の起立片26が曲げ部14aの盛り上がり側、つまり、取付面16の反対側方向に立設している。
【0036】
起立片26には、長孔26aが形成され、
図1に示すように、バンド12は、バンド12下部の取り付け孔と長孔26aにボルト・ナット等の締結具28を挿通して締め付けて固定具14に固定するようになっている。
【0037】
固定具14のベース板24及び起立片26は、鋼板等の金属板材を一体又は別体にプレス加工等によって成形したものである。別体の場合には、起立片26をベース板24に溶接により一体化するものである。以下の実施形態、変形例でも同様である。
【0038】
ビス孔20は、ベース板24の平坦部14bから曲げ部14aが曲がり始める箇所、すなわち、平坦部14bと曲げ部14aとの両方に掛かるように形成されている。
【0039】
図1に示すように、バンド12を組み付けた後に、又は、
図3に示すように、バンド12を組み付ける前にビス18をビス孔20に当てて工具によってねじ込む。ビス孔20が平坦部14bと曲げ部14aとの両方に掛かることで、ビス18の側面がビス孔20内周面の当接部22に当たりやすいため、ビス18の挿入角度が決まりやすく作業性が向上する。
【0040】
また、ビス孔20はベース板24の曲げ部14aと平坦部14bの境(境界部14ab)の2箇所に形成されており、各ビス孔20、20は幅方向で異なる位置、すなわちオフセットされた位置に穿設されている。
【0041】
第1実施形態の変形例を
図4に示す。
図4に示すように、変形例1は、曲げ部14aが側面視で山型形状に形成してものである。他は第1実施形態と同様である同様部分に同一符号を付している。
【0042】
〔第1実施形態及び変形例1の作用効果〕
第1実施形態及び変形例1のビス孔20にビス18をねじ込む際の作用効果を、
図5、
図6に基づき変形例1を例に挙げて説明する。
図5、
図6においては、第1実施形態の曲げ部14aを二点鎖線で示しており、同様の作用効果を奏する。
【0043】
図5は、ビス18を工具30によってねじ込む状態、
図6はねじ込み時に、ビス孔20やベース板24への応力を説明する図である。
【0044】
図6に示すように、当接部22はビス孔20の内周面になり、ビス18の施工の際には、ビス18の先端が取付面16に当接して(当接箇所P1)反力F1が生じると共に、当接部22にビス18の側面が当接して(当接箇所P2)、反力F2が生じる。
【0045】
作業者がビス18をビス孔20に装着し、工具30をビス18にあてがって押し付けた際に当接箇所P1、P2からの2つの反力F1、F2でビス18が支えられるのでビス18が滑ること無く位置決めが確実にできる。
【0046】
具体的には、工具30によってビス18のねじ込み作業をする際に、工具30から斜めの力F0がビス18に加わると、力F0にはビス18をねじ込み方向への力Fsと横方向への力Fyがビス18の頭に加わる。横方向への力Fyに対して、前述のようにビス18の先端が取付面16に当接して反力F1が生じると共に、当接部22でビス18の側面が当接して、反力F2が生じるので、ビス18が2箇所でガイドを受けながら取付面16にねじ込まれることになり、ビス18を取付面16に容易かつ確実に狙った箇所からずれること無くねじ込むことができる。
【0047】
よって、固定具の取り付け作業において、ビスの斜め打ちを容易かつ確実に行うことが可能になる。
【0048】
第1実施形態及び変形例1には、いずれも、
図7(a)に示すように、曲げ部14aに傾斜面があるので、符号Dに示す位置のように、ビス18の斜め打ち時にビス頭18aが斜面に密着して収まりが良い。
【0049】
また、第1実施形態及び変形例1には、
図7(b)に示すように、ビス孔20は、ベース板24に対して複数が形成され、ビス孔20、20がベース板24の幅方向に間隔Eを置いてオフセットされた位置(20E)に形成されている。この構成のビス孔20、20に2つのビス18、18は、
図7(a)に示すように、斜めに対向させて打ち込むので、ビス18、18同士が長い場合、オーバーラップする可能性があるが、オフセットされた位置にビス孔20,20が形成することによって取付面16内において、ビス同士の干渉が生じることが無く、スムーズかつ確実にビスを打ち込むことができる。また、幅方向にオフセットされた位置であるので、ベース板のオフセットしない場合に比較して固定具14の倒れ防止力を発揮できる。
【0050】
なお、第1実施形態及び変形例1をさらに変形して、ビス孔20を曲げ部14aの斜面に形成することもできる。この場合は、平坦部14bに掛けずにビス孔20を形成することともしても良い。曲がっている境界部分にビス孔20を形成する必要が無く、ビス孔を開けやすく、プレス加工時にビス孔20を同時に成形できるなど加工性が向上する。
【0051】
〔第2実施形態〕
第2実施形態に係る取付け構造について説明する。
図8は第2実施形態に係る取付け構造に係る固定具14Bの斜視図、
図9(a)は、固定具14Bを取付面に取り付けた状態の説明図、(b)が取付け説明図である。
【0052】
図8、
図9に示すように、固定具14Bは、取付面状に設置した配管10を覆って支持する半円弧形状のバンド部32と、バンド部32の両端部に連続してベース部(「固定部材」に相当)34が一体に成形されたものであり、帯状金属板材のプレス成形で製造できる。
【0053】
固定具14Bは、全体的にサドルバンド状の配管支持用のものである。ベース部34の長さ方向(横方向)中央部に上方に向けて弧状に曲げ成形された曲げ部34aがあり、曲げ部34aを挟んで両側に平坦部34bが形成される。曲げ部34aと、バンド部32の反対側の平坦部34bとに跨って、つまり、曲げ部34aと平坦部34bと境界部分34abにビス孔20が形成される。ビス18を電動ドライバー等のねじ込み用の工具によってビス孔20にねじ込むことによって固定具14Bを取付面16に取り付け、固定するものである。
【0054】
第2実施形態に係る固定具14Bは、ビス18を挿通するビス孔20と当接部22周辺の構成は、第1実施形態2と同様である。すなわち、固定具14Bにおいて、ベース部34の曲げ部34aが円弧形状に曲がって平坦部34bに連続しており、曲げ部34aと平坦部34bとに跨るように境界部分34abにビス孔20を設けている。これにより、曲げ部34aの高さを抑えることできる。ビス孔20は平坦部14bには対して45度の角度に調整すると適切である。なお、第2実施形態に係る固定具14Bは、いわゆるサドル型バンドであり、第1実施形態等の立バンド型に比較して起立片26や締結具28が不要なため構成が簡略である。
【0055】
また、曲げ部を山形にすることもできるが、
図9に示すように、円弧形状にする方が高さを低くすることができる。
〔第3実施形態〕
【0056】
第3実施形態に係る取付け構造の固定具14Cについて説明する。
図10は第3実施形態に係る取付け構造に係る固定具14Cの斜視図、
図11は、固定具14Cを取付面16に取り付けた状態の説明図である。
図12は変形例2の説明図である。第1実施形態と同様部分に同一符号を付している。
【0057】
図10、
図11に示すように、固定具14Cは、第1実施形態と同様の配管支持用のバンド12(図示省略)を支持するものである。
【0058】
固定具14Cは、ビス18を挿通するビス孔20が貫通形成されており、固定具14Cにビス18との当接部22を形成し、その当接部22と取付面にビス18が当接した状態で固定具14Cを取付面に固定可能な構造としたものである。
【0059】
当接部22は、固定具14Cのベース板36の曲げ部36aのビス孔20内に形成されたものである。
【0060】
曲げ部36aは、金属製平板のベース板36に両端の平坦部36bを残して台状又はステップ状に曲げ加工して形成したものである。曲げ部36aの上面は平坦に形成されている。中央の平坦部36cから起立片26が立設される。その他は第1実施形態と同様である。
【0061】
図10に示すように、曲げ部36aの上面が平坦であるのでビス(図示省略)を垂直打ち適切であるがクリアランスが有るため斜め打ちでも、適用可能である。従来は、ビスの垂直打ちでもビスは取付面16に対して滑りやすかったが、第3実施形態の固定具14Cでは、当接部22がビス孔20の内周面にあり、
図11に示すように、当接部22にビス18が当接し、取付面16にビスが当接するため、ビス18がクリアランスのある2箇所でガイドを受けながら取付面16にねじ込まれることになり、ビス18を取付面16に容易かつ確実に狙った箇所からずれること無くねじ込むことができる。特に第3実施形態では、垂直打ちにも適用できるため、利便性が高い。なお、固定具14Cでは、
図10に示すように、ビス孔20、20は、オフセットされていないが、ビス孔20,20をオフセットしてもよい。ビスの斜め打ち時にはビス孔をオフセットした方がビス同士の干渉を避けられる等好適と考えられる。
【0062】
〔変形例2〕
第3実施形態を変形した変形例2を説明する。
【0063】
変形例2は、
図12に示すように、第3実施形態の固定具14Cを変形して、曲げ部36aの上面側でビス孔20の開口の周囲を筒状に覆うバーリング部36a1を一体的に形成したものである。バーリング部36a1は、ビス孔20の内周面に当接部22が延長するものであり、長くした当接部22にビス(図示省略)が当接し、垂直打ちの際に一層ビス打ちが簡易かつ確実になる。その他は第3実施形態と同様である。なお、バーリング部36a1は、固定具をプレス成形する際に素材から立ち上がる様に形成しても良く、あるいは、第3実施形態の固定具14Cに別体の筒状の部材をビス孔20に固定しても良い。
【0064】
〔第4実施形態〕
第4実施形態に係る取付け構造の固定具14Dについて説明する。
図13は第4実施形態に係る取付け構造に係る固定具14Dの斜視図、
図14は、固定具14Dを取付面16に取り付ける状態の説明図である。第1実施形態と同様部分に同一符号を付している。
【0065】
図13、
図14に示すように、固定具14Dは、第1実施形態と同様の配管支持用のバンド12(図示省略)を支持するものである。
【0066】
図13、
図14に示すように、固定具14Dにおいては、板片状のベース板24の両端部の平坦部14bと中央の平坦部14cを残して長さ方向に2箇所盛り上がるように山形に曲げ形成された曲げ部14a、14aを連続して有し、曲げ部14a、14aに挟まれた平坦部14cからバンド12取付け用の起立片26が曲げ部14aの盛り上がり側、つまり、取付面16の反対側方向に立設している点で第1実施形態と同様である。
【0067】
ただ、ビス孔20の形成箇所が、曲げ部14a、14aの頂点に隣接する平坦部14b側(起立片26の反対側)の斜面14a1に位置し、当接部22がハッチングで示すように、ビス孔20内と、平坦部14c側(起立片26側)の斜面14a2の裏面である構造の点で第1実施形態と異なる。
【0068】
図13、
図14に示すように、第4実施形態では、当接部22は曲げ部14a、14aの斜面14a2の裏面に位置し、ビス18の施工の際には、ビス18の先端が取付面16に当接して反力から支持されると共に、当接部22にビス18の側面に広い面積で当接して支持されてビス18の位置決めが確実にできるので、ビス18を取付面16に容易かつ確実に狙った箇所からずれること無くねじ込むことができる。
【0069】
〔第5実施形態〕
第5実施形態に係る取付け構造の固定具14Eについて説明する。
図15は第5実施形態に係る取付け構造に係る固定具14Eの斜視図、
図16は、固定具14Eを取付面16に取り付ける状態の説明図である。第1実施形態と同様部分に同一符号を付している。
【0070】
図15、
図16に示すように、固定具14Eは、第1実施形態と同様の配管支持用のバンド12(図示省略)を支持するものである。
【0071】
図15、
図16に示すように、固定具14Eにおいては、第4実施形態と同様に板片状のベース板24の両端部の平坦部14bと中央の平坦部14cを残して、山形に曲げ形成された曲げ部14a、14aを連続して有する点で同様である。
【0072】
ただ、ビス孔20の形成箇所が、曲げ部14aの両斜面14a1、14a2の頂点を跨いだ位置に形成される。当接部22がハッチングで示すように、平坦部14c側(起立片26側)の斜面14a2の裏面のみである構造の点で第4実施形態と異なる。斜め打ちの場合に、当接部22が裏面のみであるが、ビスを斜面14a2に対して垂直に通しやすく、作業性が高くなる。
【0073】
〔第6実施形態〕
第6実施形態に係る取付け構造の固定具14Fについて説明する。
図17は第6実施形態に係る取付け構造に係る固定具14Fの斜視図、
図18は、固定具14Fを取付面16に取り付ける状態の説明図である。第1実施形態と同様部分に同一符号を付している。
【0074】
図17、
図18に示すように、固定具14Fは、第1実施形態と同様の配管支持用のバンド12(図示省略)を支持するものである。
【0075】
固定具14Fは、ビス18を挿通するビス孔20が形成されている。固定具14Fに着脱自在なガイド部材38にビスとの当接部を形成している。
【0076】
詳しくは、固定具14Fは、平坦なベース板40に起立片26が立設固定されている。ベース板40にビス孔20が形成されている。ガイド部材38は、概略平坦な台状であって、長さ方向中央に起立片26を挿通させる細長い透孔38a(
図18参照)が形成され、長さ方向端部には庇状に斜面38bが形成されている。起立片26を通した状態でベース板40を上方から覆うように着脱可能に組み付けられている。斜面38bには、ビス孔42が貫通形成されており、ビス孔42内が当接部44になっている。その当接部44にビス18が当接した状態で取付面16に固定可能な構造としたものである。
【0077】
すなわち、当接部44はガイド部材38に形成されたビス孔42の端面である。
【0078】
図18(a)に示すガイド部材を、
図18(b)に示すように、固定具14Fに装着した状態でビス18を、ビス孔42を通してベース板40のビス孔20に装着して、工具をビス18の頭にあてがってねじ込もうと力を加えると、ビス18はビス孔42内の当接部44に当接するので、ビス18を位置決めでき、安定して、取付面16にビス18をねじ込んで固定することができる。
【0079】
〔第7実施形態〕
第7実施形態に係る取付け構造の固定具14Gについて説明する。
図19は第7実施形態に係る取付け構造に係る固定具14Gの斜視図である。第1実施形態と同様部分に同一符号を付している。
【0080】
図19に示すように、固定具14Gは、第1~6実施形態と異なる構造の配管支持用のバンド50を支持するものである。
【0081】
バンド50は上、下のバンド体50U、50Dによって配管10を挟持し、バンド50の長さ方向両端部に孔(又は切り欠き)52、52に支持ボルト54、54を通して、ナット54a、54aの上下位置調整によって、配管10の支持レベルを調整可能なレベルバンドタイプのバンドである。
【0082】
固定具14Gは、ベース板56の長さ方向で離隔した2箇所によって、支持ボルト54、54を立設させて固定するものである。
【0083】
固定具14Gは、ビス(図示省略)を挿通するビス孔20が形成されており、ビス孔20内にビスとの当接部22を形成している。
【0084】
固定具14Gにおいては、第1実施形態と同様に板片状のベース板56の両端部の平坦部14bと中央の平坦部14cを残して、弧状に曲げ形成された曲げ部14a、14aを連続して有する。ビス孔20は、ベース板56の平坦部14bから曲げ部14aが曲がり始める箇所、すなわち、境界部14abに形成され、平坦部14bと曲げ部14aとの両方に掛かるように形成されている。
したがって、第1実施形態と同様に、ビス孔20が、平坦部14bと曲げ部14aとの両方に掛かるように形成されている構成によって、ビス18をビス孔20に位置決めする際に、ビス孔20が平坦部14bと曲げ部14aとの両方に掛かることで、ビス18の側面がビス孔20内周面の当接部22に当たりやすいため、ビス18の挿入角度が決まりやすく作業性が向上する。
【0085】
また、ビス孔20はベース板56の曲げ部14aと平坦部14bの境(境界部14ab)の2箇所に形成されており、各ビス孔20、20は幅方向で異なる位置、すなわちオフセットされた位置に穿設されているので、幅方向の支持強度が高く、管軸方向への倒れを防止できる。
【0086】
なお、バンド50以外の作用効果は第1実施形態と同様である。
【0087】
以上説明した第1~3、7実施形態では、バンドを固定具によって取付面に固定するバンド取付構造において、固定具にビスを挿通するビス孔が形成されており、固定具にビスとの当接部を形成し、その当接部と取付面との間にクリアランスを設けて、当接部と取付面にビスが当接した状態で固定具を取付面に固定可能な構造としている。
また、第6実施形態では、バンドを固定具によって取付面に固定するバンド取付構造において、固定具とガイド部材にビスを挿通するビス孔が形成されており、ガイド部材にビスとの当接部を形成し、その当接部と取付面との間にクリアランスを設けて、当接部と取付面にビスが当接した状態で固定具を取付面に固定可能な構造としている。
したがって、第1~3、6、7実施形態では、クリアランスによって、離れた箇所でビスを支持することができ、安定してビスを支持しながらねじ込むことができる。
【0088】
第4,5実施形態では、当接部22は曲げ部14a、14aの斜面14a2の裏面に位置し、ビス18の施工の際には、当接部22にビス18の側面が広い面積で当接して支持されてビス18が位置決めされ確実に支持できるので、ビス18を取付面16に容易かつ確実に狙った箇所からずれること無くねじ込むことができる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明のバンド取付構造は、壁面や床面に設置する固定部材に利用することができる。
【符号の説明】
【0090】
10 配管
12 バンド
14 固定具
14B 固定具(第2実施形態)
14C 固定具(第3実施形態)
14D 固定具(第4実施形態)
14E 固定具(第5実施形態)
14F 固定具(第6実施形態)
14G 固定具(第7実施形態)
14a 曲げ部
14ab 境界部
14b 平坦部
14d 起立片
16 取付面
18 ビス
20 ビス孔
22 当接部
24 ベース板
26 起立片
28 締結具
30 工具
32 バンド部
34 ベース部
34ab 境界部分
34b 平坦部
36 ベース板
36a 曲げ部
36a1 バーリング部
36b 平坦部
36c 平坦部
38 ガイド部材
38a 透孔
38b 斜面
40 ベース板
42 ビス孔
44 当接部
50 バンド
56 ベース板