(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】ジカウイルスイムノアッセイの方法および試薬
(51)【国際特許分類】
G01N 33/53 20060101AFI20240829BHJP
G01N 33/569 20060101ALI20240829BHJP
G01N 33/543 20060101ALI20240829BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20240829BHJP
C12M 1/24 20060101ALI20240829BHJP
C12M 1/22 20060101ALI20240829BHJP
C07K 16/42 20060101ALI20240829BHJP
C07K 1/13 20060101ALI20240829BHJP
C07K 14/18 20060101ALI20240829BHJP
C12Q 1/70 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
G01N33/53 N
G01N33/569 L
G01N33/543 575
G01N33/543 541B
G01N33/543 541A
G01N33/543 545A
C12M1/34 B
C12M1/34 F
C12M1/24
C12M1/22
C07K16/42
C07K1/13
C07K14/18
C12Q1/70
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022195283
(22)【出願日】2022-12-07
(62)【分割の表示】P 2021539492の分割
【原出願日】2019-09-18
【審査請求日】2022-12-07
(32)【優先日】2018-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508147326
【氏名又は名称】シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】サイ・パティバンドラ
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナ・シンフ
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第01304574(EP,A2)
【文献】特開平01-118769(JP,A)
【文献】特開平11-287801(JP,A)
【文献】特開平07-027764(JP,A)
【文献】特表2001-506749(JP,A)
【文献】国際公開第2017/211713(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/026845(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0238881(US,A1)
【文献】国際公開第2017/200008(WO,A1)
【文献】Zika Test,SIEMENS,2017年10月,pp.1-24,[online],[令和4年4月18日検索],インターネット<URL:https://www.fda.gov/media/107531/download>
【文献】Fact Sheet for Healthcare Providers Interpreting ADVIA Centaur Zika Test Results,Siemens Healthcare Diagnostics Inc.,2017年09月18日,pp.1-4,[online],[令和4年4月18日検索],インターネット<URL:https://www.fda.gov/media/107512/download>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48 - 33/98
C12M 1/22 - 1/34
C07K 1/13 - 16/42
C12Q 1/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト対象由来の生物学的サンプル中の抗ジカウイルスIgM抗体を検出する方法に使用するためのキットであって
、
該キットは、第1のイムノアッセイ用の試薬と第2のイムノアッセイ用の試薬とを含み、
該第1のイムノアッセイ用の試薬は、
固体支持体、
抗ヒトIgM抗体、
抗ヒトIgG Fc抗体、および
標識ジカウイルス抗原
を含み、
該第2のイムノアッセイ用の試薬は、
固体支持体、
抗ヒトIgM抗体、および
標識ジカウイルス抗原を含み、
抗ヒトIgG Fc抗体を含まず、
該第1のイムノアッセイ用の試薬は、(i)抗ジカウイルスIgG抗体、抗ジカウイルスIgM抗体、または抗ジカウイルスIgG抗体および抗ジカウイルスIgM抗体、(ii)標識ジカウイルス抗原、ならびに(iii)抗ヒトIgM抗体を含む固体支持体を含む複合体Iを検出するために使用され、
該第2のイムノアッセイ用の試薬は、(i)抗ヒトIgM抗体を含む固体支持体、(ii)抗ジカウイルスIgM抗体、および(iii)標識ジカウイルス抗原を含む複合体IIを検出するために使用され、
該複合体Iが検出された場合、該第2のイムノアッセイ用の試薬を用いた第2のイムノアッセイが実行される、前記キット。
【請求項2】
標識は、酵素コンジュゲート、蛍光プローブ、放射性同位元素、化学発光化合物、生物発光化合物、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のキット。
【請求項3】
標識は、アクリジニウムエステル(AE)またはその類似体である、請求項2に記載のキット。
【請求項4】
固体支持体は、カラムマトリックス材料、培養プレート、チューブ、皿、フラスコ、マイクロタイタープレート、ビーズ、微粒子、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のキット。
【請求項5】
固体支持体は、常磁性粒子(PMP)またはラテックス磁性粒子(LMP)である、請求項4に記載のキット。
【請求項6】
第1および第2のイムノアッセイの実行に関するインストラクションをさらに含むキットであって、インストラクションは、ヒト対象由来の生物学的サンプル中の抗ジカウイルス抗体の有無を判定するために第1のイムノアッセイを実行するようにユーザに指示し、インストラクションは、第1のイムノアッセイにおいて生物学的サンプルが抗ジカウイルス抗体陽性であると判定された場合にのみ、第2のイムノアッセイを実行するようにユーザにさらに指示する、請求項
1~5のいずれか1項に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、ヒト対象由来の生物学的サンプル中の抗ジカウイルスIgM抗体を検出する方法、および対象のジカウイルス感染症を診断する方法が開示される。
【背景技術】
【0002】
ジカウイルスは、フラビウイルス科(Flaviviridae)に属する一本鎖プラス鎖RNAウイルス(非特許文献1)である。フラビウイルス科には、近縁のデングウイルス、ウエストナイルウイルス、日本脳炎ウイルス、および黄熱病ウイルスが含まれる(非特許文献2)。ジカウイルスは、1947年にウガンダのジカ森のアカゲザルから初めて単離された(Mussoら、2016年)。ヒトのジカウイルス感染症は1954年にナイジェリアで初めて報告され、そのエピデミックは2007年に西太平洋のヤップ島で初めて報告され、その後にフランス領ポリネシアで2013年および2014年に報告された。アメリカ大陸におけるジカウイルスのアウトブレイクは2015年3月にブラジルで初めて発生し、2016年3月までには複数の国々および領土に広がった(非特許文献3)。
【0003】
ジカウイルス感染症は主に、感染した蚊(ネッタイシマカ(Aedes aegypti))に刺されることによって伝染する。しかしながら、妊娠中の母体から胎児への伝染、および感染したパートナーとの性的接触による伝染が報告されている(同上参照)。輸血による伝染の可能性も記録されている(Mussoら、2016年)。ジカウイルス感染者の大部分は軽度の症状を呈するか、または無症候性である(症状を現さない)(非特許文献4)。一般的な症状としては、発熱、発疹、関節痛、および目の充血が挙げられ、これらの症状は最長1週間にわたって観察される場合がある(Petersenら、2016年)。妊娠中の女性のジカウイルス感染症は、胎児の小頭症を引き起こす場合があり、公衆衛生上の大きな問題となっている。ジカウイルス感染症と、一過性の麻痺を引き起こし得る神経学的疾患であるギランバレー症候群との関連も報告されている(Mussoら、2016年;Petersenら、2016年)。
【0004】
ジカウイルス感染症においては、症状の発現後1週間にわたってウイルス血症が予想され、ジカウイルス特異的IgM抗体が症状の発現から最初の1週間で発生することが報告されており、最長12週間にわたって持続すると予想されている(Rabeら、2016年)。ジカウイルス特異的IgM抗体の検出は、ジカウイルス感染が疑われる患者の診断および適切な臨床的管理のために使用されている(同上参照)。
【0005】
2015年から2016年にアメリカ大陸でジカウイルス感染症のアウトブレイクが起こったことにより、ジカウイルスに最近感染した個体の適切な臨床的管理を行うために、これらの個体においてジカウイルス特異的IgM抗体を検出するための診断試験を早急に開発する必要が生じた。
【0006】
ヒト対象由来の生物学的サンプル中の抗ジカIgM抗体を検出するためのイムノアッセイが開発されてきたが、利用可能なイムノアッセイには、次のような様々な欠点がある:1)正常ドナーおよび妊娠中の女性の血清/血漿との非特異的反応性があり、そのため、ジカ非エンデミック集団(non-endemic population)における特異性が低いこと;2)ヒト対象由来のサンプル中のジカIgG抗体と交差反応性があり、その結果、ジカエンデミック集団における特異性が低いこと;3)同じアッセイで最大3つの異なる抗原を用いて単一サンプルを試験する必要があり、結果を得るまでの時間およびコストが増加すること;および/または4)各サンプルを少なくとも2つの異なるアッ
セイで試験する必要があり、やはり結果を得るまでの時間およびコストが増加すること。したがって、対象由来の生物学的サンプル中の抗ジカウイルスIgM抗体を確実かつ効率的に検出するためのイムノアッセイ法および試薬が依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】Musso D、Gubler DJ.Zika virus.Clin Microbiol Rev.2016年7月;29(3):487~524頁
【文献】Rabe IB、Staples JE、Villanueva Jら、Interim guidance for Interpretation of Zika virus antibody test results.MMWR.2016年;65(21):543~546頁
【文献】Petersen LR、Jamieson DJ、Powers AM、Honein MA.Zika virus.N Engl J Med.2016年;374(16):1552~1563頁
【文献】Zika:The basics of the virus and how to protect against it.CDC’s response to Zika.Centers for Disease Control and Preventionウェブサイト、https://www_cdc_gov/zika/pdfs/fs-zika-basics_pdf.、2017年6月27日公開、アクセス日:2016年8月12日
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書では、ヒト対象由来の生物学的サンプル中の抗ジカウイルスIgM抗体を検出する方法であって、該方法は、第1のイムノアッセイと、場合により第2のイムノアッセイとを含み、第1のイムノアッセイは:a)生物学的サンプルを、抗ヒトIgG Fc抗体、標識ジカウイルス抗原、および抗ヒトIgM抗体を含む固体支持体と共にインキュベートする工程であって、生物学的サンプル中、抗ジカウイルスIgG抗体、抗ジカウイルスIgM抗体、または抗ジカウイルスIgG抗体および抗ジカウイルスIgM抗体の存在下で、複合体Iが形成され、該複合体Iは、(i)抗ジカウイルスIgG抗体、抗ジカウイルスIgM抗体、または抗ジカウイルスIgG抗体および抗ジカウイルスIgM抗体、(ii)標識ジカウイルス抗原、ならびに(iii)抗ヒトIgM抗体を含む固体支持体を含む工程;ならびにb)複合体Iを検出する工程であって、複合体Iの存在は、生物学的サンプル中の抗ジカウイルスIgM抗体、抗ジカウイルスIgG抗体、または抗ジカウイルスIgG抗体および抗ジカウイルスIgM抗体の存在を示す工程を含み、複合体Iが検出された場合:c)生物学的サンプルを、抗ヒトIgM抗体を含む固体支持体、および標識ジカウイルス抗原と共にインキュベートする工程であって、生物学的サンプル中、抗ジカウイルスIgM抗体の存在下で、複合体IIが形成され、該複合体IIは、(i)抗ヒトIgM抗体を含む固体支持体、(ii)抗ジカウイルスIgM抗体、および(iii)標識ジカウイルス抗原を含む工程;ならびにd)複合体IIを検出する工程であって、複合体IIの存在は、生物学的サンプル中の抗ジカウイルスIgM抗体の存在を示す工程を含む、第2のイムノアッセイを実行する方法が開示される。
【0009】
また、対象におけるジカウイルスに対する抗体を検出する方法であって、該方法は:
a)対象由来の生物学的サンプルを:
抗ヒトIgM抗体を含む固体支持体、
抗ヒトIgG Fc抗体、および
標識ジカウイルス抗原と共にインキュベートする工程であって、
生物学的サンプル中、抗ジカウイルスIgG抗体、抗ジカウイルスIgM抗体、または
抗ジカウイルスIgG抗体および抗ジカウイルスIgM抗体の存在下で、複合体Iが形成され、該複合体Iは、(i)抗ヒトIgM抗体を含む固体支持体、(ii)抗ジカウイルスIgG抗体、抗ジカウイルスIgM抗体、または抗ジカウイルスIgG抗体および抗ジカウイルスIgM抗体、ならびに(iii)標識ジカウイルス抗原を含む工程;
b)複合体Iを検出する工程、ならびに
bi)複合体Iが検出されない場合、対象はジカウイルス抗体陰性であると判定する工程;または
bii)複合体Iが検出された場合、対象は抗ジカウイルス抗体陽性であると判定する工程
を含む、第1のイムノアッセイを実行する工程を含む方法も開示される。
【0010】
本開示の方法は:
c)生物学的サンプルを:
抗ヒトIgM抗体を含む固体支持体、および
標識ジカウイルス抗原と共にインキュベートする工程であって、
生物学的サンプル中、抗ジカウイルスIgM抗体の存在下で、複合体IIが形成され、該複合体IIは、(i)抗ヒトIgM抗体を含む固体支持体、(ii)抗ジカウイルスIgM抗体、および(iii)標識ジカウイルス抗原を含む工程;
d)複合体IIを検出する工程、ならびに
di)複合体IIが検出されない場合、ヒト対象は抗ジカウイルスIgM抗体陰性であると判定する工程
を含む、第2のイムノアッセイを実行する工程をさらに含み得る。
【0011】
本開示の方法は:
dii)複合体IIが検出された場合、工程c)およびd)を少なくとも二連で繰り返す工程、ならびに
e)複合体IIが3回中少なくとも2回の反復試験で同等に検出された場合、ヒト対象は抗ジカウイルスIgM抗体陽性であると判定する工程
をさらに含み得る。
【0012】
また、キットであって:固体支持体、抗ヒトIgM抗体、抗ヒトIgG Fc抗体、および標識ジカウイルス抗原を含むキットも開示される。キットは、第1のイムノアッセイ用の試薬と、第2のイムノアッセイ用の試薬とを含んでいてよく、第1のイムノアッセイ用の試薬は:固体支持体、抗ヒトIgM抗体、抗ヒトIgG Fc抗体、および標識ジカウイルス抗原を含み;第2のイムノアッセイ用の試薬は:固体支持体、抗ヒトIgM抗体、および標識ジカウイルス抗原を含む。キットは、第1および第2のイムノアッセイの実行に関するインストラクションをさらに含んでいてもよく、インストラクションは、ヒト対象由来の生物学的サンプル中の抗ジカウイルス抗体の有無を判定するために第1のイムノアッセイを実行するようにユーザに指示し、インストラクションは、第1のイムノアッセイにおいて生物学的サンプルが抗ジカウイルス抗体陽性であると判定された場合にのみ、第2のイムノアッセイを実行するようにユーザにさらに指示する。
【0013】
また本明細書では、本開示の方法を実行するためのアルゴリズム、ならびに本開示の方法およびアルゴリズムを使用して対象のジカウイルス感染症を診断する方法も開示される。
【0014】
発明の概要、および以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むと理解が深まる。本開示の方法およびキットを解説する目的で、これら方法およびキットの例示的な実施形態を図面に示す;しかしながら、これら方法およびキットは、開示される具体的な実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】対象由来の所与の生物学的サンプルについて、ジカウイルス抗体陰性(Negative for Antibodies to Zika Virus)または推定ジカ陽性(Presumptive Zika-Positive)の結果を判定する、「ジカ試験(Zika Test)」アルゴリズムの一実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示の方法およびキットは、以下の詳細な説明を、本開示の一部をなす添付の図面と関連付けて参照することによって、より容易に理解することができる。本開示の方法およびキットは、本明細書に記載されるおよび/または示される具体的な方法およびキットに限定されないこと、また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を例として説明することを目的とするものに過ぎず、特許請求される方法およびキットを限定する意図はないことを理解されたい。
【0017】
別段明記しない限り、考えられる機構または作用様式または改善理由に関する説明はいずれも、解説を意図するものに過ぎず、本開示の方法およびキットは、そのような提案されるいずれの機構または作用様式または改善理由の正確性にも不正確性にも制約されないものとする。
【0018】
本文書全体を通して、記載事項は、抗体を検出する方法およびジカウイルス感染症を診断する方法に関するものである。本開示が、抗体を検出する方法に関連する構成または実施形態を記載する、またはその特許権を請求する場合、そのような構成または実施形態は、ジカウイルス感染症を診断する方法にも等しく適用される。同様に、本開示が、ジカウイルス感染症を診断する方法に関連する構成または実施形態を記載する、またはその特許権を請求する場合、そのような構成または実施形態は、抗体を検出する方法にも等しく適用される。
【0019】
数値の範囲が本明細書において詳述または設定されている場合、この範囲には、その両端点ならびに範囲内の個々の整数および分数のすべてが含まれ、また、これらの端点ならびに範囲内の整数および分数の様々な組み合わせが形成し得る規定範囲内の大きな数値群の部分群のすべてにより形成される、規定範囲内のより狭い範囲の各々も、これらの狭い範囲の各々が明示的に詳述されているのと同じ程度に含まれる。数値の範囲が規定の値よりも大きいと本明細書に記載される場合、それでもこの範囲は有限であり、その上限は、本明細書に記載される発明の文脈において使用可能である値に限られる。数値の範囲が規定の値よりも小さいと本明細書に記載される場合、それでもこの範囲の下限は、ゼロ以外の値に限られる。本発明の範囲が、範囲を定義する際に詳述される具体的な値に限定されるという意図はない。すべての範囲は包括的であり、組み合わせることができる。
【0020】
値が「約」という先行詞の使用により近似値として表される場合、特定の値は別の実施形態を形成すると理解されるものとする。特定の数値への言及には、文脈上明らかに別異に解される場合を除き、少なくともその特定の値が含まれる。
【0021】
本開示の方法およびキットの特定の構成は、明確にするために別々の実施形態の文脈において本明細書に記載されるものであるが、単一の実施形態において組み合わせて提供される場合もあることを理解されたい。反対に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈において記載されている本開示の方法およびキットの様々な構成は、別々に、または任意の部分的組み合わせにおいて提供される場合もある。
【0022】
本明細書で使用される場合、「a」、「an」、および「the」という単数形は複数
形を含む。
【0023】
記載事項の諸態様に関する様々な用語が、本明細書および特許請求の範囲の随所で使用される。そのような用語には、別段の記載がない限り、それらの通常の意味が与えられる。他の具体的に定義された用語は、本明細書において提供される定義と一致するかたちで解釈されるものとする。
【0024】
「含む(comprising)」という用語は、「から本質的になる(consisting essentially of)」および「からなる(consisting
of)」という用語に包含される例を含むことが意図される;同様に、「から本質的になる」という用語は、「からなる」という用語に包含される例を含むことが意図される。
【0025】
本明細書では、ヒト対象由来の生物学的サンプル中の抗ジカウイルスIgM抗体を検出する、および/またはヒト対象のジカウイルス感染症を診断するためのイムノアッセイおよび方法が開示される。
【0026】
本明細書に開示される方法は、生物学的サンプルを、抗ヒトIgG Fc抗体、標識ジカウイルス抗原、および抗ヒトIgM抗体を含む固体支持体と共にインキュベートする工程を含み得る。生物学的サンプル中、抗ジカウイルスIgG抗体、抗ジカウイルスIgM抗体、または抗ジカウイルスIgG抗体および抗ジカウイルスIgM抗体の存在下で、複合体Iが形成され、該複合体Iは、(i)抗ジカウイルスIgG抗体、抗ジカウイルスIgM抗体、または抗ジカウイルスIgG抗体および抗ジカウイルスIgM抗体、(ii)標識ジカウイルス抗原、ならびに(iii)抗ヒトIgM抗体を含む固体支持体を含む。本方法は、複合体Iを検出する工程であって、複合体Iの存在は、生物学的サンプル中の抗ジカウイルスIgM抗体、抗ジカウイルスIgG抗体、または抗ジカウイルスIgG抗体および抗ジカウイルスIgM抗体の存在を示す工程をさらに含み得る。複合体Iが検出された場合、本方法は、生物学的サンプルを、抗ヒトIgM抗体を含む固体支持体、および標識ジカウイルス抗原と共にインキュベートする工程を含む、第2のイムノアッセイを実行する工程をさらに含み得る。生物学的サンプル中、抗ジカウイルスIgM抗体の存在下で、複合体IIが形成され、該複合体IIは、(i)抗ヒトIgM抗体を含む固体支持体、(ii)抗ジカウイルスIgM抗体、および(iii)標識ジカウイルス抗原を含む。本方法は、複合体IIを検出する工程であって、複合体IIの存在は、生物学的サンプル中の抗ジカウイルスIgM抗体の存在を示す工程をさらに含み得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、ジカウイルス抗原は、ジカウイルスNS1抗原、またはその免疫原性断片である。ジカウイルスNS1抗原またはその免疫原性断片は、組換え型であってもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、抗ヒトIgG Fc抗体は、ヒトIgG抗体のFc領域に免疫特異的に結合し得る。例えば、抗ヒトIgG Fc抗体は、ヒトIgG Fc抗原に対して産生されたモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体であり得る。いくつかの実施形態では、抗ヒトIgG Fc抗体は、ヤギ抗ヒトIgG Fc抗体である。すなわち、抗ヒトIgG Fc抗体は、ヒトIgG Fcに対するヤギ抗体であってもよい。
【0029】
理論に束縛されることを望むものではないが、抗ヒトIgG Fc抗体は、インキュベーション反応において固体支持体と結合する、または別様に連結することができると予測される。例えば、抗ヒトIgG Fcは、固体支持体に非共有結合することができる。したがって、いくつかの実施形態では、抗ヒトIgG Fc抗体は、固体支持体に間接的に結合している。いくつかの実施形態では、抗ヒトIgG Fc抗体は、複合体Iの成分である。
【0030】
抗ヒトIgM抗体は、固体支持体に直接的に結合していても間接的に結合していてもよい。いくつかの実施形態では、抗ヒトIgM抗体はビオチン化され、固体支持体はストレプトアビジンを含む。したがって、抗ヒトIgM抗体は、ビオチン-ストレプトアビジン相互作用によって固体支持体に間接的に結合していてもよい。いくつかの実施形態では、抗ヒトIgG Fc抗体は、固体支持体に間接的に結合している。さらに、抗ヒトIgG
Fc抗体はビオチン化され、それにより、ストレプトアビジンを含む固体支持体に間接的に結合していてもよい。
【0031】
生物学的サンプルは、血清または血漿であってもよく、例えばEDTAまたはヘパリンなどの抗凝固薬をさらに含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、生物学的サンプルは、ヒト由来である。生物学的サンプルは、ジカウイルス感染症の症状の発現またはジカウイルスへの曝露のリスクから少なくとも8日後のヒト対象から取得される。いくつかの実施形態では、生物学的サンプルは、生物学的サンプル中の抗ジカウイルスIgM抗体の正確な検出を確実にするために、ジカウイルス感染症の症状の発現またはジカウイルスへの曝露のリスクから少なくとも8日後のヒト対象から取得しなければならない。
【0032】
第1のイムノアッセイである「ジカAb」アッセイ(“Zika Ab”assay)では、抗ヒトIgM抗体および固体支持体が、トリシン、塩化ナトリウム、Tween 20、EDTA二ナトリウム、防腐剤、スルフヒドリル修飾ウシ血清アルブミン、および抗ヒトIgG Fc抗体を含む緩衝液中に存在し得る。第2のイムノアッセイである「ジカM」アッセイ(“Zika M”assay)では、IgM抗体および固体支持体が、トリシン、塩化ナトリウム、Tween 20、EDTA二ナトリウム、防腐剤、スルフヒドリル修飾ウシ血清アルブミンを含むが抗ヒトIgG Fc抗体を含まない緩衝液中に存在し得る。
【0033】
本明細書に開示される方法は、生物学的サンプル中の抗ジカウイルスIgG抗体、抗ジカウイルスIgM抗体、または抗ジカウイルスIgG抗体および抗ジカウイルスIgM抗体のレベルを判定する工程をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、生物学的サンプル中の抗ジカウイルスIgG抗体、抗ジカウイルスIgM抗体、または抗ジカウイルスIgG抗体および抗ジカウイルスIgM抗体のレベルは、検出される複合体Iまたは複合体IIのレベルに正比例する。シグナルを検出する工程は、本明細書で使用される場合、標識のシグナルを測定し、該シグナルを、抗ジカウイルス抗体陰性であることが分かっているヒト由来の生物学的サンプルの対照シグナルと比較することを含み得る。
【0034】
ジカMアッセイにおいて複合体IIが検出された場合、本方法は、ジカMアッセイの工程を少なくとも二連で繰り返す工程、および、複合体IIが3回中少なくとも2回の反復試験で同等に検出された場合、ヒト対象は抗ジカウイルスIgM抗体陽性であると判定する工程をさらに含み得る。
【0035】
また本明細書では、対象由来の生物学的サンプル中の抗ジカウイルスIgM抗体を検出する本開示の方法を含む、対象のジカウイルス感染症を診断する方法も開示される。
【0036】
さらに、生物学的サンプル中のジカウイルス特異的IgM抗体を検出するためのアルゴリズム(
図1)が開示される。本明細書に開示されるアルゴリズムは、本明細書に開示される方法の効率および信頼性が高まるように、対象におけるジカウイルスに対する抗体を検出する工程において、ユーザまたは自動システムを誘導することができる。例えば、アルゴリズムを使用すると、特定のサンプルが、例えば抗ジカウイルスIgM抗体陰性であると判定するために、このサンプルに必要とされるアッセイの数を低減させることができる。いくつかの実施形態では、アルゴリズムは、生物学的サンプル中のジカウイルスに対
する抗体を検出する方法においてユーザまたは自動システムを誘導するためのインストラクションセットを含む。アルゴリズムの一例は、対象におけるジカウイルスに対する抗体を検出する方法を実行するようにユーザまたはシステムに命令してもよく、この方法は:
a)対象由来の生物学的サンプルを:
抗ヒトIgM抗体を含む固体支持体、
抗ヒトIgG Fc抗体、および
標識ジカウイルス抗原と共にインキュベートする工程であって、
生物学的サンプル中、抗ジカウイルスIgG抗体、抗ジカウイルスIgM抗体、または抗ジカウイルスIgG抗体および抗ジカウイルスIgM抗体の存在下で、複合体Iが形成され、該複合体Iは、(i)抗ヒトIgM抗体を含む固体支持体、(ii)抗ジカウイルスIgG抗体、抗ジカウイルスIgM抗体、または抗ジカウイルスIgG抗体および抗ジカウイルスIgM抗体、ならびに(iii)標識ジカウイルス抗原を含む工程;
b)複合体Iを検出する工程、ならびに
b
i)複合体Iが検出されない場合、対象はジカウイルス抗体陰性であると判定する工程;または
b
ii)複合体Iが検出された場合、対象は抗ジカウイルス抗体陽性であると判定する工程
を含む、第1のイムノアッセイを実行する工程を含む。
【0037】
アルゴリズムは、工程biで複合体Iが検出されない場合にアッセイを終了するようにユーザまたはシステムにさらに命令し、それにより、生物学的サンプル中の抗ジカウイルス抗体を検出するのに必要なアッセイの数、試薬の量、および時間を低減させることができる。しかしながら、工程b)で多義的な(すなわち、「反応性」の)結果が得られた場合、アルゴリズムは:
c)生物学的サンプルを:
抗ヒトIgM抗体を含む固体支持体、および
標識ジカウイルス抗原と共にインキュベートする工程であって、
生物学的サンプル中、抗ジカウイルスIgM抗体の存在下で、複合体IIが形成され、該複合体IIは、(i)抗ヒトIgM抗体を含む固体支持体、(ii)抗ジカウイルスIgM抗体、および(iii)標識ジカウイルス抗原を含む工程;
d)複合体IIを検出する工程、ならびに
di)複合体IIが検出されない場合、ヒト対象は抗ジカウイルスIgM抗体陰性であると判定する工程
を含む、第2のイムノアッセイを実行するようにユーザまたはシステムに命令してもよい。
【0038】
アルゴリズムは、工程d)で複合体IIが検出されない場合にアッセイを終了するようにユーザまたはシステムに命令してもよい。そうでなければ、アルゴリズムは:
dii)複合体IIが検出された場合、工程c)およびd)を少なくとも二連で繰り返す工程、ならびに
e)複合体IIが3回中少なくとも2回の反復試験で同等に検出された場合、ヒト対象は抗ジカウイルスIgM抗体陽性であると判定する工程
を含む、さらなる方法工程に進むことができる。
【0039】
本明細書に開示される方法および該方法を実施するためのアルゴリズムのいくつかの実施形態では、抗ジカウイルス抗体を有することが分かっている、または有することが疑われる生物学的サンプルを、標識ジカウイルス抗原、および抗ヒトIgM抗体が結合している固体支持体と共にインキュベートする。抗ジカウイルス抗体が存在しなければ、標識ジカウイルス抗原が固体支持体と結合する、または別様に相互作用することはない。したがって、生物学的サンプル中に抗ジカウイルス抗体が存在しなければ、標識ジカウイルス抗
原は溶液中に残り、固体支持体の単離は、標識抗原の単離をもたらさない。一方、抗ジカウイルス抗体が生物学的サンプル中に存在する場合、抗ジカウイルス抗体は、固体支持体に結合した抗ヒトIgM抗体と、標識ジカウイルス抗原とに同時に結合し、それにより、標識抗原と固体支持体とが結合し、その結果、固体支持体/標識抗原複合体が形成される。インキュベーションを行う順序は、本明細書に記載するものと異なっていてもよいことを理解されたい。さらに、ここに記載するイムノアッセイの代替的な実施形態では、標識される反応成分と、固体支持体に結合する反応成分とを、再構成してもよい。例えば、抗ジカウイルス抗体を有することが分かっている、または有することが疑われる生物学的サンプルを、未標識のジカウイルス抗原が結合している固体支持体と共にインキュベートし、その後、標識された抗ヒトIgM抗体とのインキュベーションを行ってもよい。他の実施形態では、抗ジカウイルス抗体を有することが分かっている、または有することが疑われる生物学的サンプルを、未標識の抗ヒトIgM抗体が結合している固体支持体および標識ジカウイルス抗原と共に同時にインキュベートしてもよいし、あるいは、未標識のジカウイルス抗原が結合している固体支持体および抗ヒトIgM抗体と共に同時にインキュベートしてもよい。
【0040】
抗ジカウイルス抗体を有することが分かっている、または有することが疑われる生物学的サンプルは、反応混合物中で、反応が平衡に達することなく部分的反応を起こすのに十分な時間にわたって、例えば約1分、約2分、約3分、約4分、約5分、約6分、約7分、約8分、約9分、約10分、約11分、約12分、約13分、約14分、約15分、約16分、約17分、約18分、約19分、または約20分未満にわたってインキュベートすることができる。標識ジカウイルス抗原を加え、生物学的サンプルと共に、約1分、約2分、約3分、約4分、約5分、約6分、約7分、約8分、約9分、約10分、約11分、約12分、約13分、約14分、約15分、約16分、約17分、約18分、約19分、または約20分未満にわたってインキュベートしてもよい。抗ヒトIgM抗体が結合している固体支持体を、生物学的サンプルと標識ジカウイルス抗原の混合物に加え、反応が平衡に達することなく部分的反応を起こすのに十分な時間にわたって、例えば約1分、約2分、約3分、約4分、約5分、約6分、約7分、約8分、約9分、約10分、約11分、約12分、約13分、約14分、約15分、約16分、約17分、約18分、約19分、または約20分未満にわたってインキュベートしてもよい。いくつかの実施形態では、インキュベートする工程は、合計約10分~約20分、約20分~約30分、約30分~約40分、約40分~約50分、または約50分~約1時間にわたって実行される。その後の検出は、約5分未満、約10分未満、約15分未満、または約20分未満で実行することができる。アッセイまたはそのいずれかの工程もしくは複数の工程に必要な時間は、生物学的サンプル中の抗ジカウイルス抗体のレベル、および生物学的サンプル中の抗ジカウイルス抗体に対する抗ヒトIgM抗体の親和性といった、いくつかの要因に基づいて異なり得ることを理解されたい。いくつかの実施形態では、生物学的サンプルを反応混合物と共にインキュベートする工程は、反応が平衡に達するのに十分な時間、例えば約1時間またはそれ以上のオーダーで実行してもよい。したがって、本開示の方法は、任意の好適な時間にわたって実行することができる。
【0041】
抗ヒトIgM抗体は、固体支持体に直接的に結合していても間接的に結合していてもよい。抗ヒトIgM抗体を固体支持体に直接的に結合させるのに好適な技術としては、例えば、共有結合、吸着、非共有相互作用、またはこれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、抗ヒトIgM抗体を、N-ヒドロキシサクシニミド(NHS)化学により、または1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)NHS化学により、固体支持体に直接的に結合させることができる。抗ヒトIgM抗体を固体支持体に間接的に結合させるのに好適な技術としては、例えば、ペプチド、タンパク質、抗体、リンカー、またはこれらの組み合わせによる結合が挙げられる。いくつかの実施形態では、抗ヒトIgM抗体は、ストレプトアビジンおよびビオチンによって固体支
持体に間接的に結合していてもよい。例えば、抗ヒトIgM抗体はビオチン化することができ、固体支持体はストレプトアビジンを含むことができる。本開示のイムノアッセイの代替的な実施形態において、固体支持体に結合したいずれの反応成分にも、同じ化学を適用できることを理解されたい。
【0042】
例示的な固体支持体としては、カラムマトリックス材料、培養プレート、チューブ、皿、フラスコ、マイクロタイタープレート、ビーズ/粒子、熱で殺してホルマリン固定した(または他の化学的に固定した)原核細胞もしくは真核細胞、顕微鏡スライド、ACLAR(登録商標)フィルム、もしくは任意の他の光学的に透明なポリマー、またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。固体支持体は、全体的または部分的に、プラスチック、セルロース、セルロース誘導体、ニトロセルロース、ガラス、繊維ガラス、ラテックス、またはこれらの組み合わせから構成されたものであり得る。いくつかの実施形態では、固体支持体は、磁性ビーズ/粒子を含む。いくつかの実施形態では、磁性ビーズ/粒子は、常磁性粒子(PMP)である。いくつかの実施形態では、磁性ビーズ/粒子は、ラテックス磁性粒子(LMP)である。
【0043】
標識は、検出可能なシグナルを生み出すのに有用であることが当業者に公知である任意の好適な標識であってよい。好適な検出可能な標識としては、酵素コンジュゲート(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、およびβ-ガラクトシダーゼ)、蛍光プローブ、放射性同位元素、化学発光化合物、生物発光化合物、またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、標識は、アクリジニウムエステル(「AE」)またはその類似体である。好適なAE類似体としては:ジメチルアクリジニウムエステル(DMAE)、N-スルホプロピルジメチルアクリジニウムエステル(NSP-DMAE)、高量子収率アクリジニウムエステル(HQYAE、アクリジニウム、9-[[4-[[[6-[(2,5-ジオキソ-1-ピロリジニル)オキシ]-6-オキソヘキシル]アミノ]カルボニル]-2,6-ジメチルフェノキシ]カルボニル]-2,7-ビス(3,6,9,12,15,18-ヘキサオキサノナデカ-1-イルオキシ)-10-(3-スルホプロピル)-,内塩)、双性イオンアクリジニウムエステル(ZAE、アクリジニウム、9-[[4-[[[3-[[3-[[5-[(2,5-ジオキソ-1-ピロリジニル)オキシ]-1,5-ジオキソペンチル]アミノ]プロピル]メチル(3-スルホプロピル)アンモニオ]プロピル]アミノ]カルボニル]-2,6-ジメチルフェノキシ]カルボニル]-10-(3-スルホプロピル)-,ビス(内塩))、N-スルホプロピル-2-イソプロポキシジメチルアクリジニウムエステル(Iso-Di-ZAE)、トリスルホプロピルアクリジニウムエステル(TSP-AE)、またはヘキサ(エチレン)グリコールリンカーを有するN-スルホプロピルジメチルアクリジニウムエステル(HEG-GLU-AE)が挙げられる。いくつかの実施形態では、標識ジカウイルス抗原は、ジカNS1:NSP-DMAE-NHSを含む。
【0044】
抗ヒトIgM抗体は、IgA、IgD、IgG、IgE、もしくはIgMアイソタイプ、または単一ドメイン形式、例えばラクダ科動物由来の単一ドメイン抗体であってもよい。いくつかの実施形態では、抗ヒトIgM抗体は、IgGアイソタイプである。いくつかの実施形態では、抗ヒトIgM抗体は、市販の抗ヒトIgM抗体である。ヒトIgM抗体に特異的なアプタマーを使用することもできる。
【0045】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるイムノアッセイは、次の臨床的要件のうちの1つまたはそれ以上を満たす:
a.≧90%の陽性および陰性一致率;
b.併行精度0.80-2.00指数:≦12.0%および>2.00指数:≦8.0%;
c.同時再現性0.80-2.00指数:≦15.0%および>2.00指数:≦10.0%;
d.校正周期≧7日;
e.オンボード安定性≧14日;
f.一貫した標準化および性能を維持することができる制御システム。
g.干渉および室間再現精度
【0046】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるイムノアッセイは、上記臨床的要件a.~f.のすべてを満たす。
【0047】
いくつかの実施形態では、本開示のイムノアッセイは、Centers for Disease Control and Prevention(CDC)によるジカウイルスの臨床的基準(例えば、ジカウイルス感染症に関連する臨床徴候および症状の既往)および/またはCDCによるジカウイルスの疫学的基準(例えば、ジカ伝染が活発な地理的領域における居住歴、もしくは旅行時にジカ伝染が活発であった地理的領域への旅行歴、またはジカウイルス試験の対象となり得る他の疫学的基準)を満たす個体から収集された血清および血漿(各々同患者の血清検体と併せて収集された、EDTAカリウムまたはヘパリンリチウム)検体について、ジカウイルスに対するIgM抗体の推定的な定性的検出を行う、in vitroの診断的使用を目的とする。いくつかの実施形態では、症候性患者またはエンデミックな地域からの帰着者の検体は、それぞれ、症状の発現または曝露のリスクから8日が経過するまでは収集されない。
【0048】
本開示のイムノアッセイのいくつかの実施形態では、第1のイムノアッセイである「ジカAb」アッセイ、および任意選択の第2のイムノアッセイである「ジカM」アッセイは、2パス(2-pass)イムノアッセイ形式であってもよい。ジカAbアッセイは、2パス形式を使用した抗体捕捉イムノアッセイとすることができる。第1のパスでは、患者サンプルを、例えばキュベット内で、固体支持体に結合した抗ヒトIgM抗体と共にインキュベートすることができる。インキュベーション中、固体支持体に結合した抗ヒトIgM抗体は、患者サンプルからの抗体に結合する。捕捉された抗体は、洗浄および再懸濁される。第2のパスでは、固体支持体に捕捉された患者の抗ジカウイルス抗体を、任意の好適な化学発光試薬または他の標識試薬で標識されたジカウイルスNS1抗原と共にインキュベートすることができる。標識されたNS1抗原は、インキュベーション中、固体支持体の患者のジカウイルス抗体に結合する。NS1/固体支持体複合体は、洗浄し、例えば、化学発光による検出に供してもよい。
【0049】
ジカMアッセイは、2パス形式を使用したIgM捕捉イムノアッセイとすることができる。第1のパスでは、抗ヒトIgM抗体および患者サンプルでコーティングされた固体支持体をキュベット内でインキュベートして、患者サンプルからの抗ジカウイルスIgM抗体を固体支持体に結合させることができる。捕捉された抗ジカウイルスIgM抗体は、洗浄および再懸濁される。第2のパスでは、固体支持体に捕捉された抗ジカウイルスIgM抗体を、標識NS1と共にインキュベートして、固体支持体に捕捉され固定化された抗ジカウイルスIgM抗体に、NS1抗原を結合させることができる。NS1/固体支持体複合体は、洗浄し、例えば、化学発光による検出に供してもよい。
【0050】
本開示の方法は、手作業で実行してもよいし、自動化してもよい。例えば、本開示の方法は、ADVIA CENTAUR(登録商標)イムノアッセイシステムまたはATELLICA(商標)システムを使用して実行することができる。例えば、システムを自動化して、ジカAbアッセイとジカMアッセイの両方で次の動作を実行することができる:
1.サンプルをキュベットに分注する。
2.抗ヒトIgM抗体が結合している固体支持体を含む緩衝液を分注し、例えば18.
25分間37℃でインキュベートする。
3.固体支持体を分離/単離し、吸引し、キュベットを洗浄試薬で洗浄する。
4.化学発光標識NS1抗原を含む緩衝液を分注し、例えば18分間37℃でインキュベートする。
5.固体支持体を分離/単離し、吸引し、キュベットを洗浄試薬で洗浄する。
6.化学発光試薬を分注して、化学発光反応を開始する。
7.ユーザが選択したオプションに従って結果を報告する。
【0051】
特定の実施形態では、本開示のイムノアッセイを適用して、ADVIA CENTAUR(登録商標)イムノアッセイシステム(Siemens Healthcare、AG)で使用してもよく、かつ/または、ADVIA CENTAUR(登録商標)イムノアッセイシステムを自動化して、上記の動作を実行してもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、患者サンプル中に存在する抗ジカウイルス抗体(すなわち、抗ジカウイルスIgG抗体もしくは抗ジカウイルスIgM抗体)または抗ジカウイルスIgM抗体のレベルと、システムにより検出される相対発光量(RLU)との間に、直接的関係が存在する。
【0053】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるイムノアッセイでは、次の原材料をジカAbアッセイおよび/またはジカMアッセイに用いる:
【0054】
ジカウイルスNS1組換え抗原:本開示のイムノアッセイでは、ジカウイルスNS1組換え抗原、例えばMeridian Life Scienceによるものを使用することができる。ジカウイルスNS1組換え抗原は、昆虫細胞で発現させ、アフィニティークロマトグラフィーにより精製することができる。
【0055】
抗ヒトIgM抗体:抗ヒトIgM抗体は、ヒトIgMに対するモノクローナル抗体であり得る。いくつかの実施形態では、ビオチンコンジュゲートであってもよい。いくつかの実施形態では、抗ヒトIgMモノクローナル抗体をNHS-LC-LC-ビオチンで標識することにより、これを生成することができる。
【0056】
SERA-MAG磁性ストレプトアビジン微粒子(MG-SA):SERA-MAG磁性ストレプトアビジン微粒子(MG-SA)という微粒子(GE HealthCare
Bio-Sciences Corp.)を固体支持体として使用して、抗ヒトIgM抗体でコーティングされた固体支持体を含むウェットケーク(wetcake)を準備することができる。
【0057】
ヤギ抗ヒトIgG Fc特異的抗血清(Goat Antiserum to Human IgG,Fc Specific):ヤギ抗ヒトIgG Fc特異的抗血清(「ヤギ抗ヒトIgG、Fc」)、例えばNittoboまたはMeridian Life Sciencesによるものを、ジカAbアッセイに用いることができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるイムノアッセイは、次の試薬配合例を含む。
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
抗ジカウイルス抗体を検出するのに好適な生物学的サンプルとしては、抗ジカウイルス抗体を含むか、または含むことが疑われる、対象由来の任意の生物学的サンプルが挙げられ、限定されるものではないが、血清または血漿などである。
【0067】
本明細書に開示されるイムノアッセイは、ジカウイルス抗原を用いる。いくつかの実施形態では、ジカウイルス抗原は、ジカウイルスNS1抗原である。いくつかの実施形態では、ジカウイルス抗原は、組換えジカウイルスNS1抗原である。ジカウイルス抗原は、異種細胞、例えば昆虫細胞で発現させることができる。いくつかの実施形態では、ジカ抗原は、エピトープタグをさらに含む。エピトープタグは、ジカウイルス抗原のN末端にあってもC末端にあってもよい。エピトープタグは、限定されるものではないが、6-ヒスチジンタグ、ヘマグルチニンタグ、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、マルトース結合タンパク質、またはキチン結合タンパク質などの当業者に公知の任意の好適なタグであってよい。いくつかの実施形態では、ジカウイルス抗原は、C末端に6-ヒスチジンタグを含む。
【0068】
本明細書ではさらに、キットが開示される。キットは、固体支持体、抗ヒトIgM抗体、抗ヒトIgG Fc抗体、および標識ジカウイルス抗原を含み得る。いくつかの実施形態では、キットは、第1のイムノアッセイ用の試薬と、第2のイムノアッセイ用の試薬とを含んでいてよく、第1のイムノアッセイ用の試薬は:固体支持体、抗ヒトIgM抗体、抗ヒトIgG Fc抗体、および標識ジカウイルス抗原を含み;第2のイムノアッセイ用の試薬は:固体支持体、抗ヒトIgM抗体、および標識ジカウイルス抗原を含む。キットは、第1および第2のイムノアッセイの実行に関するインストラクションをさらに含んでいてもよい。インストラクションは、ヒト対象由来の生物学的サンプル中の抗ジカウイルス抗体の有無を判定するために第1のイムノアッセイを実行するようにユーザまたはシステムに指示し得る。インストラクションは、第1のイムノアッセイにおいて生物学的サンプルが抗ジカウイルス抗体陽性であると判定された場合にのみ、第2のイムノアッセイを実行するようにユーザまたはシステムにさらに指示し得る。
【0069】
本明細書に開示されるキットのいずれかに好適な固体支持体および標識としては、上記の方法について開示されている固体支持体および標識が挙げられる。
【実施例】
【0070】
以下の実施例は、本明細書に開示される実施形態のうちのいくつかをさらに説明するために提供される。実施例は、本開示の実施形態を解説することを目的としており、限定を目的とするものではない。
【0071】
高特異性かつ高効率の抗ジカIgM抗体イムノアッセイの開発
抗ヒトIgG Fc抗体が反応緩衝液中に存在する「ジカAb」アッセイを、抗ヒトIgG Fc抗体を用いない別の「ジカM」アッセイと併せて準備した。ジカAbアッセイとジカMアッセイの両方を使用し、ジカ試験アルゴリズムを開発した(
図1)。ジカ試験アルゴリズムによって、各生物学的サンプルが、まずジカAbアッセイ(抗ヒトIgG Fc抗体を含む)によって試験され、抗ジカIgM抗体もしくは抗ジカIgG抗体のいずれか、または抗ジカIgM抗体および抗ジカIgG抗体が検出される反応性サンプルのみが、その後ジカMアッセイで試験される。
【0072】
ジカAbアッセイでは非エンデミック集団において高い特異性が得られ、ジカ特異的なIgG抗体とIgM抗体の両方が検出できるので、このアッセイでは、ジカ特異的抗体を含む生物学的サンプル(すなわち、個体)が同定される。その後これらのサンプルを、抗ヒトIgG Fc抗体を用いずジカ特異的IgM抗体のみを検出するジカMアッセイで試験することで、抗ジカIgM抗体を含むサンプル(すなわち、個体)が同定される。これらの個体は、ジカウイルスに最近感染したものと推定される。
【0073】
ジカ試験アルゴリズムはジカAbアッセイによる試験を1回しか必要とせず、試験される集団の大半はジカ感染症陰性であると予想されるため、サンプルの大半は、ジカAbアッセイのみで試験されることになる。したがって、ジカ試験アルゴリズムは、個体の最近のジカ感染症をアッセイする際に高い特異性および感度を得るための単純な解決策を提供する。
【0074】
材料
ジカAbイムノアッセイ(表8)およびジカMアッセイ(表9)について、試薬の配合を最終決定した。
【0075】
【0076】
【0077】
結果
固体支持体緩衝液にヤギ抗ヒトIgG Fcを入れないことにより、IgG検出の問題が解決された。このことは、IgM遮断実験(表10)およびジカIgGヒト化モノクローナル抗体希釈試験(表11)によって示された。
【0078】
IgM遮断試験
ウェットケーク(抗ヒトIgM抗体でコーティングされたSERA-MAG磁性ストレプトアビジン微粒子(MG-SA)(GE HealthCare Bio-Sciences Corp.))を、非特異的ヒトIgM(I8260、Sigma)で前処理することにより、遮断実験(表10)を実行した。ジカ陽性採血パネル数個から得たサンプルを2種の配合で試験した。一方の配合はヤギ抗ヒトIgG Fcを含み(表8参照)、もう一方の配合はヤギ抗ヒトIgG Fcを含まないものであり(表9参照)、ウェットケークは、IgM遮断薬と共にインキュベートしたものか、そうでないものであった。反応性は相対発光量(RLU)を測定することによって分析し、抑制率は次のように計算した:
抑制%=[(IgM遮断なし-バックグラウンド)-(IgM遮断あり-バックグラウンド)]
(IgM遮断なし-バックグラウンド)
【0079】
ヤギ抗ヒトIgG Fcを含む配合を使用した場合は、非特異的ヒトIgMとのインキュベーションにより、39%の平均抑制率しか得られなかった。ヤギ抗ヒトIgG Fcを含まない配合を使用した場合は、非特異的ヒトIgMとのインキュベーションにより、103%の抑制がもたらされた。これにより、ジカIgGを有することが疑われるサンプルにおいて、ヤギ抗ヒトIgG Fcなしの配合(表10)では、ヒトIgMでの遮断により、反応性が完全に消失し得ることが示された。したがって、ヤギ抗ヒトIgG Fcなしのアッセイ配合物は、ヒト抗ジカIgGに結合しない。
【0080】
【0081】
ジカIgGヒト化モノクローナル抗体希釈試験
ジカAbアッセイ(ヤギ抗ヒトFcあり)およびジカMアッセイ(ヤギ抗ヒトFcなし)のジカ特異的IgGに対する交差反応性を、ジカNS1に特異的なモノクローナル抗体IgGを使用してさらに評価した。モノクローナル抗体(ZKA35)は、HUMABS
BioMedから取得した。ZKA35の段階希釈物(0.001μg/ml~1.0
μg/ml)を、ジカAbアッセイおよびジカMアッセイ、ならびにプロトタイプのジカ総合アッセイ(Zika Total assay)(抗ジカウイルスIgM抗体と抗ジカウイルスIgG抗体の両方を検出するように設計されたもの)で試験した。
【0082】
各ZKA35 IgG希釈物の、それぞれのジカウイルスアッセイでの反応性は、シグナル(RLU)/カットオフ(S/Co)として計算した。正常集団およびジカPCR陽性個体群から得たサンプルの反応性に基づいて、42500、70000、および35000のカットオフを、それぞれ、ジカMアッセイ、ジカAbアッセイ、およびジカ総合アッセイに使用した。≧1.0のS/Coを、ZKA35 IgGとの反応性ありとみなした。
【0083】
ジカIgG抗体とジカIgM抗体の両方を検出するジカ総合アッセイは、ZKA35 IgG 0.063μg/mL~1.0μg/mLを含む希釈物との反応性があった(表11)。ジカAbアッセイは、ZKA35 IgG 0.125μg/mL~1.0μg/mLを含む希釈物との反応性があり、最も高いZKA35 IgG濃度において、ジカ総合アッセイと比較しておよそ10倍低い反応性を示した。ジカMアッセイでは、試験したZKA35 IgG希釈物のいずれにも反応性がなかった(表11)。これらの結果は、ジカAbアッセイではいくらかのジカIgG交差反応性がみられるものの、ジカMアッセイは、1μg/mLの濃度までジカ特異的IgGと交差反応しないことを示す。
【0084】
【0085】
標準化
ジカAbアッセイおよびジカMアッセイのカットオフ指数は、米国本土の試験により推定されたジカウイルス陰性の正常ドナーサンプル(妊娠中の女性を含む)、ジカウイルスPCR陽性連続採血、およびデング/ウエストナイルウイルス陽性交差反応性サンプル(SeraCare Panel)に基づいて設定した。ジカAbおよびジカMのスタンダードの初期値は、初期開発中のカットオフに基づいて、上述の集団を小ロットのスタンダードで試験することによって決定した。次いで、第2のより大きなロットのスタンダードを作り、以前の小ロットから値を割り当てた。これらのより大きなロット(ジカAbスタ
ンダードロット番号16KL240およびジカMスタンダードロット番号17CL059)を、標準化のためのアンカースタンダード(Anchor Standards)とした。ゴールドスタンダードは、アンカースタンダードまでトレース可能である。ジカAbおよびジカMの両方にマスター曲線を割り当て、キャリブレータ値は、内部ゴールドスタンダードまでトレース可能であった。ジカAbおよびジカMのゴールドスタンダードを使用して、試薬性能の評価および確認、ならびに新しいロットのスタンダード、キャリブレータ、対照、および医療判断プール(medical decision pool)のプロセス内試験および値の割り当てを行った。
【0086】
ジカAbアッセイでは、脱線維素および透析を行ったヒト血漿と配合した6レベルのスタンダードを使用する。ジカMアッセイでも、脱線維素および透析を行ったヒト血漿と配合した6レベルのスタンダードを使用する。ジカAbおよびジカMのスタンダードは、ジカIgM抗体陽性プールを、それぞれジカAbおよびジカMの陰性血漿プールに添加することによって作った。ジカAbおよびジカMスタンダードレベルS02~S06には、ジカM陽性プールが添加されている。最も低いジカAbおよびジカMスタンダードレベルのS01は、非添加のジカAbおよびジカM陰性ヒト血漿プールである。
【0087】
ジカAbアッセイおよびジカMアッセイでは、脱線維素および透析を行ったヒト血漿と配合した2レベルのキャリブレータを使用する。ジカAbおよびジカMの高キャリブレータ(カットオフを超えるもの)は、ジカIgM抗体陽性プールを、それぞれジカAbおよびジカMの陰性血漿プールに添加することによって準備した。ジカAbおよびジカMの低キャリブレータ(カットオフ未満のもの)は、非添加のジカAbおよびジカM陰性ヒト血漿プールである。
【0088】
ジカ試験のジカAbアッセイおよびジカMアッセイでは、4PL重み付き曲線当てはめアルゴリズムに基づく2点校正曲線の当てはめを使用する。
【0089】
ジカAbアッセイおよびジカMアッセイはいずれも、脱線維素と透析を行ったヒト血漿と配合した2レベルの対照を使用する。ジカAbおよびジカMの陽性対照は、ジカIgM抗体陽性プールを、それぞれジカAbおよびジカgMの陰性血漿プールに添加することによって準備した。ジカAbとジカIgMの陰性対照はいずれも、非添加のジカAbおよびジカM陰性ヒト血漿プールである。
【0090】
ジカAbアッセイおよびジカMアッセイは各々、脱線維素および透析を行ったヒト血漿と配合した1レベルの医療判断プール(MDP)を有する。ジカAbおよびジカMの医療判断プールは、ジカM抗体陽性プールを、それぞれジカAbおよびジカMの陰性血漿プールに添加することによって準備した。
【0091】
当業者には、数多くの変更および改変が本発明の好ましい実施形態および例示された実施形態に行われること、また、かかる変更および改変が本発明の主旨から逸脱することなく行われることが理解されよう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の主旨および範囲に含まれる等価の変化形態のすべてを対象とすることが意図される。