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特許7546040針付シリンジ用外筒、シリンジおよび薬液投与具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】針付シリンジ用外筒、シリンジおよび薬液投与具
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/32 20060101AFI20240829BHJP
   A61M 5/42 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
A61M5/32 500
A61M5/42 520
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022509349
(86)(22)【出願日】2021-02-03
(86)【国際出願番号】 JP2021003900
(87)【国際公開番号】W WO2021192639
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-09-13
(31)【優先権主張番号】P 2020054806
(32)【優先日】2020-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003111
【氏名又は名称】あいそう弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】松本 二三也
(72)【発明者】
【氏名】竹本 昌史
【審査官】黒田 暁子
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102004025651(DE,A1)
【文献】特表2018-502670(JP,A)
【文献】米国特許第05250031(US,A)
【文献】国際公開第2019/077008(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0130340(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/32
A61M 5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外筒本体部と、前記外筒本体部の先端部に設けられた針固定部とを備える外筒と、先端に穿刺用針先を有し、前記外筒の前記針固定部に基端部が固定された注射針とを有する針付シリンジ用外筒であって、
前記針付シリンジ用外筒は、前記注射針の前記穿刺用針先を被包する針先端部被包部材を備え、前記針先端部被包部材は、先端に皮膚当接用突起を備えており、
前記針先端部被包部材は、前記注射針の先端部を収納する内腔部と、前記内腔部の内面に設けられ、内方に突出する弾性リブを備え、前記弾性リブは、前記収納された前記注射針の先端部の外面と密着していることを特徴とする針付シリンジ用外筒。
【請求項2】
前記針先端部被包部材は、軟質材料製である請求項1に記載の針付シリンジ用外筒。
【請求項3】
前記針先端部被包部材は、前記穿刺用針先が通過可能である請求項1または2に記載の針付シリンジ用外筒。
【請求項4】
前記針先端部被包部材は、先端が閉塞しており、かつ前記穿刺用針先が刺通可能である請求項1または2に記載の針付シリンジ用外筒。
【請求項5】
前記針先端部被包部材は、前記穿刺用針先を含む注射針の先端部を収納した貫通路を有している請求項1ないし3のいずれかに記載の針付シリンジ用外筒。
【請求項6】
前記針先端部被包部材は、前記注射針の先端部に取り付けられている請求項1ないし5のいずれかに記載の針付シリンジ用外筒。
【請求項7】
前記針付シリンジ用外筒は、前記針固定部の先端部と前記針先端部被包部材の基端部間に配置され、前記針先端部被包部材を先端方向に付勢可能な付勢部材を備える請求項1ないしのいずれかに記載の針付シリンジ用外筒。
【請求項8】
前記針先端部被包部材は、前記穿刺用針先を含む注射針の先端部を収納した貫通路を有し、前記針付シリンジ用外筒は、前記針固定部の先端部と前記針先端部被包部材の基端部間に配置され、前記針先端部被包部材を先端方向に付勢する付勢部材を備え、前記付勢部材の先端部は、前記針先端部被包部材の基端部に固定されている請求項1ないし3のいずれかに記載の針付シリンジ用外筒。
【請求項9】
前記針付シリンジ用外筒は、前記針固定部の先端部と前記針先端部被包部材の基端部間に配置され、前記注射針が貫通し、かつ、前記注射針の軸方向に弾性変形可能な針カバーを備える請求項1ないしのいずれかに記載の針付シリンジ用外筒。
【請求項10】
請求項1ないしのいずれかに記載の針付シリンジ用外筒と、前記外筒内に収納され、かつ前記外筒内を液密状態にて摺動可能なガスケットと、前記ガスケットを押圧するためのプランジャーとからなるシリンジ。
【請求項11】
請求項1ないしのいずれかに記載の針付シリンジ用外筒と、前記外筒内に収納され、かつ前記外筒内を液密状態にて摺動可能なガスケットと、前記ガスケットを押圧するためのプランジャーと、前記外筒内に充填された医療用液体とを備える薬液投与具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、針付シリンジ用外筒、それを備えるシリンジおよび薬液投与具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液状の薬剤(薬液)を定量分与するために、注射器が用いられている。この種の注射器としては、例えば、糖尿病の治療のための液状薬剤であるインスリンの注入用のインスリン注入器がある。
糖尿病患者の中には、毎日繰り返し、一日数回、注射器を自ら操作してインスリンの投与を行う必要がある者がおり、この薬液投与(自己注射)時の注射針の穿刺による痛みが大きな問題となっている。
【0003】
これに対し、針の穿刺時に患者が受ける痛みを軽減するために、種々の技術が開示されている。例えば、針の形態について、医療関係者が使用する注射針よりも細い針を使用することが知られており、特許文献1(特開2002-159576)や特許文献2(特開2002-291884)には、外径が先端で細く先端から基端に向かって太くされ、内径もそれに応じて変化させた針も開示されている。また、特許文献3(特開2005-087519)には、痛みを軽減しつつ薬液の注入量を確保するために比較的細い針を複数設けた薬液注入装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-159576号公報(US2002-052580A1、US2005-096603A1)
【文献】特開2002-291884号公報(US2004-078008A1)
【文献】特開2005-087519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、自己注射を行う患者の中には、注射針の穿刺による痛みを少しでも軽減するために、予め穿刺部位(腕部や腹部、臀部等)の複数箇所に注射針を浅く穿刺し、比較的痛みの少ない箇所を探る患者がいることが判明した。しかし、このような「試し刺し」により、針先端に血液や組織液が付着する可能性があり、衛生上の問題が生じる恐れがある。
【0006】
そこで、本発明は、注射針を直接穿刺することなく、比較的痛みの少ない穿刺箇所(低痛覚部位)を探ること(所謂「試し刺し」)が可能で、かつ、その箇所の近傍に確実に注射針を穿刺することができる針付シリンジ用外筒ならびにシリンジおよび薬液投与具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するものは、以下のものである。
外筒本体部と、前記外筒本体部の先端部に設けられた針固定部とを備える外筒と、先端に穿刺用針先を有し、前記外筒の前記針固定部に基端部が固定された注射針とを有する針付シリンジ用外筒であって、
前記針付シリンジ用外筒は、前記注射針の前記穿刺用針先を被包する針先端部被包部材を備え、前記針先端部被包部材は、先端に皮膚当接用突起を備えており、
前記針先端部被包部材は、前記注射針の先端部を収納する内腔部と、前記内腔部の内面に設けられ、内方に突出する弾性リブを備え、前記弾性リブは、前記収納された前記注射針の先端部の外面と密着している針付シリンジ用外筒。
【0008】
また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
上記の針付シリンジ用外筒と、前記外筒内に収納され、かつ前記外筒内を液密状態にて摺動可能なガスケットと、前記ガスケットを押圧するためのプランジャーとからなるシリンジ。
【0009】
また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
上記の針付シリンジ用外筒と、前記外筒内に収納され、かつ前記外筒内を液密状態にて摺動可能なガスケットと、前記ガスケットを押圧するためのプランジャーと、前記外筒内に充填された医療用液体とを備える薬液投与具。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の薬液投与具の実施例を示す正面図である。
図2図2は、図1に示す薬液投与具の正面断面図である。
図3図3は、図2におけるA部拡大断面説明図である。
図4図4は、図1に示す薬液投与具において用いられる針先端部被包部材を説明するための断面説明図である。
図5図5は、図1に示す薬液投与具の使用方法を説明するための説明図である。
図6図6は、図1に示す薬液投与具の使用方法を説明するための断面説明図である。
図7図7は、図1に示す薬液投与具の使用方法を説明するための断面説明図である。
図8図8は、本発明の針付シリンジ用外筒の他の実施例を示す断面説明図である。
図9図9は、本発明の針付シリンジ用外筒において用いられる針先端部被包部材の他の実施例を示す断面説明図である。
図10図10は、本発明の薬液投与具の他の実施例を示す正面部分断面図である。
図11図11は、本発明の薬液投与具の他の実施例を示す正面断面図である。
図12図12は、図11に示す薬液投与具において用いられる針先端部被包部材を説明するための断面説明図である。
図13図13は、図11に示す薬液投与具の使用方法を説明するための断面説明図である。
図14図14は、図11に示す薬液投与具の使用方法を説明するための断面説明図である。
図15図15は、図11に示す薬液投与具の使用方法を説明するための断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の針付シリンジ用外筒、ならびにそれを備えるシリンジ、および薬液投与具を図面に示した実施例を用いて説明する。なお、本実施例においては、図1における上側(上方向)を先端側(先端方向)とし、図1における下側(下方向)を基端側(基端方向)とし、図1における上下方向を軸方向として説明する。
本発明の針付シリンジ用外筒3は、外筒本体部33と、外筒本体部33の先端部に設けられた針固定部34とを備える外筒31と、先端に穿刺用針先35を有し、外筒31の針固定部34に基端部が固定された注射針32とを有する。針付シリンジ用外筒3は、注射針32の穿刺用針先35を被包する針先端部被包部材40(以下、単に被包部材40とも言う)を備え、被包部材40は、先端に皮膚当接用突起41を備えている。
【0012】
本発明の薬液投与具1は、上記の針付シリンジ用外筒3と、外筒31内に収納され、かつ外筒31内を液密状態にて摺動可能なガスケット21と、ガスケット21を押圧するためのプランジャー22と、外筒31内に充填された医療用液体11とを備える。
【0013】
また、本発明のシリンジ2は、上記の針付シリンジ用外筒3と、外筒31内に収納され、かつ外筒31内を液密状態にて摺動可能なガスケット21と、ガスケット21を押圧するためのプランジャー22とからなる。
【0014】
図1および図2に示されるように、針付シリンジ用外筒3の外筒31は、外筒本体部33と、外筒本体部33の先端部に設けられた針固定部34と、外筒本体部33の基端に設けられた外方(軸方向に直交する方向)に突出するフランジ36とを備える。
【0015】
外筒本体部33は、透明もしくは半透明の略筒状の部分である。また、針固定部34は、外筒本体部33の先端部(この実施例では、外筒本体部33の先端に形成された先端方向に向かって縮径する肩部)から、先端方向に突出するとともに、外筒本体部33よりも小径の中空筒状となっている。また、針固定部34は、図2および図3に示されるように、先端に設けられた環状頭部37と、環状頭部37の基端に設けられ、基端方向に向かって縮径する短いテーパー状縮径部38と、テーパー状縮径部38の基端部と外筒本体部33の先端部とを連結する連結部39とを有する。テーパー状縮径部38により、環状頭部37と連結部39との間に環状凹部が形成されている。
【0016】
環状頭部37には、先端面から基端側に向かって窪んだ凹所と、凹所内に位置し、先端側に頂点を有する中空の円錐状部とが形成されている。なお、環状頭部37は、凹所および円錐状部を省略した中空の円柱形状(円筒形状)でもよい。
環状凹部(縮径部)は、テーパー状でなく、環状頭部37の基端と連結部39との間に段差が形成されるように、単に縮径した形状であってもよい。
連結部39の外面には、外筒31の軸方向に延びる複数の溝が形成されている。連結部39は注射針32の固定強度を高める機能も有しているが、連結部39を省略しても固定強度が得られる場合は、環状凹部(テーパー状縮径部38)の基端部と外筒本体部33の先端部とが直接連結されていてもよい。
【0017】
外筒31の形成材料としては、ガラスやプラスチックを用いることができるが、プラスチックを用いることが好ましく、プラスチックとしては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ-(4-メチルペンテン-1)、アクリル樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、環状オレフィンポリマー、環状オレフィンコポリマーのような各種樹脂が挙げられるが、その中でも成形が容易で透明性に優れ、薬剤に対する影響がなく、耐熱性があることから、ポリプロピレン、環状オレフィンポリマー、環状オレフィンコポリマーのような樹脂が好ましい。
【0018】
注射針32は、先端に穿刺用針先35を有する中空状のものが用いられる。注射針32の基端部は、針固定部34の中空部内に挿入されかつ固定されるとともに、注射針32の内部は、外筒31(外筒本体部33)の内部空間と連通している。注射針32の形成材料としては、金属が一般的である。金属としては、ステンレス鋼が好適である。
【0019】
この実施例の針付シリンジ用外筒3では、外筒31に注射針32が離脱不能に固定されている。外筒31に注射針32を離脱不能に固定する方法としては、例えば、注射針32を、予め成形した外筒31の針固定部34の中空部内に挿入し、接着剤、熱溶着等により針固定部34に固定してもよい。また、外筒31に注射針32を直接インサート成形することで固定してもよい。インサート成形の場合、外筒31を成形することで、針固定部34は、注射針32が挿入された筒状(中空状)となり、注射針32は、その基端部が針固定部34の中空部内に挿入されかつ固定されたものとなる。
【0020】
さらには、外筒31に、注射針32を熱可塑性樹脂製筒状部材を用いて、融着(例えば、熱融着、超音波融着、レーザ融着、誘導加熱融着)することにより固定したものであってもよい。この場合、外筒31としては、熱可塑性樹脂製筒状部材を収納可能な内腔部を有する中空状先端部を有するものが用いられる。熱可塑性樹脂製筒状部材としては、注射針の基端部を収納可能な連通孔を有するものが用いられる。そして、注射針の基端部が挿入された熱可塑性樹脂製筒状部材を、外筒の中空状先端部に挿入し、熱可塑性樹脂製筒状部材を直接もしくは間接的に加熱溶融させることにより、注射針は、熱可塑性樹脂製筒状部材を介して、外筒に固定される。
【0021】
本実施例の注射針32は、先端から基端まで略同一の外径および内径にて延びる肉薄のストレート注射針である。しかし、このようなものに限定されるものではなく、例えば、穿刺抵抗を低くするため(穿刺時に患者に与える苦痛を少なくするため)、穿刺用針先35を含む先端側部分(穿刺時に刺入される部)の外径が、基端側部分の外径よりも小さいテーパー部保有注射針を用いてもよい。また、注射針の剛性を高め、穿刺時の曲がり等を抑制するため、基端側部分の外形が、穿刺用針先35を含む先端側部分の外径よりも大きいテーパー部保有注射針を用いてもよい。そのようなテーパー部保有注射針としては、注射針の先端から基端までの間の一部がテーパー部となっているものでもよく、先端から基端まで全長に亘ってテーパー部となっているものでもよい。
【0022】
注射針32の穿刺用針先35は被包部材によって被包されている。ここでは、被包部材40は、注射針32の先端部に取り付けられており、外筒31(外筒本体部33)の内部空間と連通された注射針32の先端(穿刺用針先)が、被包部材40により封止されている。
【0023】
被包部材40は、軟質材料により形成されている。軟質材料としては、ゴムまたはエラストマーが好ましい。被包部材40の形成材料としては、天然ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム等の合成ゴム、オレフィン系エラストマーやスチレン系エラストマー等の熱可塑性エラストマー等の弾性材料が好ましい。本実施例においては、穿刺用針先35を含む注射針32の先端部が、被包部材40に刺入されることによって被包されているため、被包部材40は、注射針32(穿刺用針先35)が刺入可能な弾性材料により形成されていることが必要である。さらに、本実施例においては、被包部材40は、穿刺用針先35が通過可能である。
【0024】
被包部材40は、具体的には、図4(被包部材40の形状を明確に示すために注射針32は破線で示す)に示されるように、先端側から順に、皮膚当接用突起41と、皮膚当接用突起41と滑らかに連結する先端側大径部42と、先端側大径部42よりも小径の中間小径部43と、中間小径部43よりも大径の基端側大径部44とを備える。さらに、被包部材40には、基端側面において開口する案内凹部45が形成されている。
【0025】
案内凹部45は、皮膚当接用突起41と略同軸的、に形成されていることが好ましい。言い換えれば、皮膚当接用突起41は、案内凹部45の中心軸の延長線上に位置していることが好ましい。注射針32(穿刺用針先35)は、案内凹部45から被包部材40の内部に刺入される。案内凹部45は、被包部材40を軸方向に貫通しておらず、したがって、被包部材40は、先端が閉塞しており、かつ穿刺用針先35が刺通可能なものとなっている。
【0026】
皮膚当接用突起41は、先端方向に向かって凸となるように突出する円錐形状とされている。なお、皮膚当接用突起41の形状としては円錐に限られず、例えば、三角錐や四角錐等の多角錐形状や、針形状とされていてもよい。ここでは、皮膚当接用突起41は、その先端が、注射針32(穿刺用針先35)と略同軸穿刺用針先35の前方)となるように形成されている。皮膚当接用突起41は、患者の皮膚に当接することにより、所定の刺激(痛み)を生じるものとされていることが望ましい。
【0027】
針付シリンジ用外筒3の先端には、キャップ12が取り付けられている。キャップ12は、内側キャップ13と外側カバー14とを備えており、基端部において一体的に固定されている(図3参照)。
内側キャップ13は、上述した被包部材40と同様に、弾性材料によって形成されている。内側キャップ13の形成材料としては、上述した被包部材40の形成材料が、好適に使用できる。
【0028】
内側キャップ13は、針付シリンジ用外筒3への装着状態において、内側キャップ13の先端側内部に被包部材40が収納されている。また、内側キャップ13の基端開口の内面は、針固定部34(環状頭部37、テーパー状縮径部38、連結部39)の外面と密着した状態となっており、内側キャップ13を含むキャップ12の軸方向への意図しない移動が抑制されている。これにより、針付シリンジ用外筒3からのキャップ12の不本意な離脱が阻止されるとともに、内側キャップ13の内周面との接触によって、被包部材40がずれたりすることが阻止される。外側カバー14は、硬質樹脂材料からなり、内側キャップ13の先端面および側面を覆って、内容物を保護するものである。
【0029】
内側キャップ13は、外筒からの離脱時に、被包部材40を一緒に注射針より離脱させないものとなっている。具体的には、内側キャップ13は、被包部材40を実質的に保持しない、言い換えれば、内側キャップ13は、被包部材40との係合部を持たないものなっている。なお。内側キャップ13は、被包部材40との当接可能を備え、先端側への移動を阻止している。
【0030】
薬液投与具1(シリンジ2)において、針付シリンジ用外筒3内に収納されたガスケット21は、弾性を有するゴムや合成樹脂からなる。ガスケット21は、図2に示されるように、ほぼ同一外径にて延びる略筒状の本体部と、本体部の外面に設けられた複数の環状リブとを備え、環状リブの外側面が、針付シリンジ用外筒3(外筒本体部33)の内面に液密に接触し、液密状態にて摺動可能である。
【0031】
ガスケット21の形成材料としては、弾性を有するゴム(例えば、ブチルゴム、ラテックスゴム、シリコーンゴムなど)、合成樹脂(例えば、SBSエラストマー、SEBSエラストマー等のスチレン系エラストマー、エチレン-αオレフィン共重合体エラストマー等のオレフィン系エラストマーなど)等を使用することが好ましい。
【0032】
ガスケット21を押圧するためのプランジャー22は、硬質もしくは半硬質樹脂からなる。この実施例では、図2に示されるように、プランジャー22は、先端に設けられた小円板状のガスケット押圧部と、基端に設けられた円板状の押圧操作部と、断面十字状でガスケット押圧部と押圧操作部の間を針付シリンジ用外筒3の軸方向に延びる軸部とを備えている。なお、軸部は、柱状シャフトであってもよい。柱状シャフトとしては、棒状、円柱状、多角柱状、円筒状、多角筒状などであってもよい。プランジャー22は、先端部(ガスケット押圧部)において、ガスケット21と連結されている。
【0033】
プランジャー22の構成材料としては、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート等の硬質もしくは半硬質樹脂を用いることが好ましい。
【0034】
薬液投与具1においては、図2に示されるように、針付シリンジ用外筒3内(被包部材40とガスケット21間に形成された空間内)に医療用液体11が収納(充填)されている。
【0035】
針付シリンジ用外筒3に充填される医療用液体11(液状の薬剤)としては、種々のものが用いられ得るが、例えば、蛋白製剤、抗体製剤、ヒアルロン酸、インスリン等の、少量、かつ自己注射が必要な医療用液体が、好適に用いられる。また、そのような医療用液体を備える薬液投与具の例としては、糖尿病患者用のインスリンペン、食品及び虫刺されアレルギー患者用のエピネフリン、及び戦場で化学的及び/又は生物学的毒素に曝される恐れがある兵士用の解毒剤が挙げられる。
【0036】
このような薬液投与具1の使用方法(使用時の態様)について、図5ないし図7を用いて、説明する。
先ず、図5に示されるように、薬液投与具1からキャップ12を取り外す。キャップ12を取り外した状態においては、被包部材40は、注射針32に取り付けられた状態を維持し、穿刺用針先35を含む先端部は被包部材40によって被包され、外部に露出しない。
【0037】
次いで、使用者は、図6に示されるように、被包部材40の先端に形成された皮膚当接用突起41を用いて穿刺箇所を決定する。キャップ12が取り外された薬液投与具1(針付シリンジ用外筒3)においては、被包部材40の先端に形成された皮膚当接用突起41が、注射針32の穿刺用針先35よりも先端側に位置し、かつ、先端方向に向かって突出している。そのため、使用者は、皮膚当接用突起41を穿刺部位(腕部や腹部、臀部等)100の複数箇所に押し当てることにより、比較的痛みの少ない部位(低痛覚部位)を探ること(所謂「試し刺し」)ができる。なお、試し刺しを行う際は、注射針32(穿刺用針先35)が被包部材40の先端部分(閉塞部分)を通過しない程度の力で行う必要がある。
【0038】
本実施例においては、皮膚当接用突起41が、注射針32(穿刺用針先35)と略同軸となるように形成されている。そのため、所望の低痛覚部位を精度よく探ることができる。また、予め、穿刺箇所またはその近傍に、皮膚当接用突起41の当接による刺激を与えておくことで、実際の穿刺の際の痛みを軽減(痛みを感じ難く)する効果もある。
【0039】
次いで、図7に示されるように、針付シリンジ用外筒3(注射針32)を先端方向に(穿刺箇所に向かって)移動し、所望の穿刺箇所(見つけた低痛覚部位)に注射針32(穿刺用針先35)を穿刺する。具体的には、穿刺箇所に皮膚当接用突起41を押し当てた状態で、針付シリンジ用外筒3を先端方向に移動させることにより、注射針32の穿刺用針先35が、被包部材40の先端閉塞部(皮膚当接用突起41)を通過し、穿刺部位(皮膚)100に到達する。さらに針付シリンジ用外筒3を先端方向へ押し込むことで、注射針32が被包部材40から先端方向に突出し、穿刺部位に穿刺される。その後、プランジャー22を操作して、医療用液体11を体内に投与(注射)する。
【0040】
本実施例の針付シリンジ用外筒3、ならびにそれを備えるシリンジ2、および薬液投与具1においては、外筒本体部33と、外筒本体部33の先端部に設けられた針固定部34とを備える外筒31と、先端に穿刺用針先35を有し、外筒31の針固定部34に基端部が固定された注射針32とを有し、注射針32の穿刺用針先35を被包する針先端部被包部材40を備え、被包部材40は、先端に皮膚当接用突起41を備えている。そのため、皮膚当接用突起41によって、注射針32を直接穿刺することなく、比較的痛みの少ない低痛覚部位を探ること(所謂「試し刺し」)ができるため、衛生的である。また、皮膚当接用突起41が注射針32の穿刺用針先35を被包する針先端部被包部材40の先端に形成されているため、試し刺しによって特定した箇所の近傍に確実に注射針を穿刺することができる。
【0041】
次に、図8に示す本発明の実施例の針付シリンジ用外筒3aについて説明する。
図8に示す針付シリンジ用外筒3aは、針固定部34の先端部と針先端部被包部材40aの基端部間に配置され、注射針32が貫通し、かつ、注射針32の軸方向に弾性変形可能な針カバー46を備えている。針付シリンジ用外筒3aにおいて、針カバー46は、被包部材40aの基端側大径部44aに固定されている。針カバー46は、軟質樹脂材料からなる薄肉の筒状形状とされている。
【0042】
針カバー46は、穿刺時、注射針32の被包部材40aからの突出に伴い、言い換えれば、注射針32に沿って被包部材40aが基端側へ移動するのに伴い、折り畳まれるように軸方向に弾性変形可能とされている。針カバー46としては、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム等の合成ゴム、SBSエラストマー、SEBSエラストマーなどのスチレン系エラストマー、エチレン-αオレフィン共重合体等のポリオレフィン系エラストマー等の熱可塑性エラストマー等を使用することが好ましい。
【0043】
なお、本発明における被包部材の形態としては、上述のものに限られず、例えば、図9に示される被包部材40bのようなものであってもい。この実施例における被包部材40bは、注射針32の先端部を収納する内腔部47と、内腔部47の内面に設けられ、内方に突出する弾性リブ48とを備えており、弾性リブ48は、収納された注射針32の先端部の外面と密着している。そして、注射針32(穿刺用針先35)は、被包部材40bの内部に刺入されず、内腔部47内において被包部材40bに被包された状態となっている。
上述の被包部材40a,40bは、上述した被包部材40にて説明した軟質材料により形成されていることが好ましい。
【0044】
また、図10に示される薬液投与具1c(シリンジ2c)のように、針付シリンジ用外筒3cの先端部に円筒状の保護部材50を装着してもよい。保護部材50は、針付シリンジ用外筒3cの穿刺用針先35を含む先端側部分を突出可能に被包する。保護部材50には、穿刺時に注射針32が突出(外部に露出)可能な先端開口51が形成されており、弾性材料により形成されたシールキャップ52が装着されている。シールキャップ52は、穿刺時に取り外し可能である。
【0045】
この実施例の薬液投与具1c(シリンジ2c)では、針付シリンジ用外筒3cの先端(針固定部34)に、軸方向移動不可にカラー部材53が取り付けられている。カラー部材53と保護部材50との間に、保護部材50を針付シリンジ用外筒3cに対して相対的に先端方向に向かって付勢する付勢部材としてのコイルばね54が配置されている。このような保護部材50は、穿刺時に基端方向に移動して注射針32を露出可能であり、穿刺後は、コイルばね54の付勢力により先端方向に移動し、再び、針付シリンジ用外筒3cの穿刺用針先35を含む先端側部分を被包するため、薬液投与具1cの安全性をより高めることができる。
【0046】
次に、図11ないし図15に示す本発明の他の実施例の針付シリンジ用外筒について説明する。なお、薬液投与具10(シリンジ20)においては、特に記載のない限り、上述した薬液投与具1(シリンジ2)と略同様の構成については、同一の名称および/または符号を用いることにより、詳細な説明を省略する。
【0047】
本実施例の被包部材60は、図12(被包部材60の形状を明確に示すために注射針32は破線で示す)に示されるように、先端側から順に、皮膚当接用突起61と、皮膚当接用突起61と滑らかに連結する先端側大径部62と、先端側大径部62よりも小径の中間小径部63と、中間小径部63よりも大径の基端側大径部64とを備える。さらに、被包部材60は、穿刺用針先35を含む注射針32の先端部を収納する貫通路65を有している。貫通路65は、被包部材60を軸方向に貫通している。
【0048】
被包部材60の貫通路65の内面中央部には、内方に突出する弾性リブ68が形成されている。弾性リブ68の内形(内径)は、注射針32の外形(外径)よりも小さくされている。これにより、被包部材60は、注射針32の先端部を収納する内腔部(貫通路65)と、内腔部(貫通路65)の内面に設けられ、内方に突出する弾性リブ68を備え、弾性リブ68は、収納された注射針32の先端部の外面と密着する。なお、本実施例においては、弾性リブ68が、貫通路65(内腔部)の内面全周に連続して設けられて略円環状のリブとされているが、これに限られず、例えば、複数の突起を間隔を開けて設けてもよい。被包部材60は、上述した被包部材40にて説明した軟質材料により形成されていることが好ましい。
【0049】
皮膚当接用突起61は、先端方向に向かって凸となるように突出する、円筒を斜めに切ったような形状とされている。なお、皮膚当接用突起61の形状としてはこれに限られず、例えば、円錐形状、三角錐や四角錐等の多角錐形状、または針形状とされていてもよい。ここでは、皮膚当接用突起61は、その先端が、注射針32(穿刺用針先35)と略同軸となるように形成されている。皮膚当接用突起61は、患者の皮膚に当接することにより、所定の刺激(痛み)を生じるものとされていることが望ましい。
【0050】
さらに、この実施例の針付シリンジ用外筒30(薬液投与具10、シリンジ20)は、針固定部34の先端部と被包部材60の基端部間に配置され、被包部材60を先端方向に付勢可能な付勢部材70を備える。より具体的には、被包部材60は、穿刺用針先35を含む注射針32の先端部を収納した貫通路65を有し、針付シリンジ用外筒30は、針固定部34の先端部と被包部材60の基端部間に配置され、被包部材60を先端方向に付勢する付勢部材70を備え、付勢部材70の先端部は、被包部材60の基端部に固定されている。本実施例においては、付勢部材70として、コイルばねが用いられている。
【0051】
付勢部材70の先端部は、被包部材60の基端部(基端側大径部64)に固定されている。付勢部材70の基端部は、針固定部34の先端部上(針固定部34の先端部に形成された凹所内)に配置されている。なお、付勢部材70の基端部は、針固定部34の先端部(例えば、上記凹所内に位置し、先端側に頂点を有する中空の円錐状部)に固定されていてもよい。
【0052】
図11に示されるように、本実施例においては、針付シリンジ用外筒30の先端にキャップ12が取り付けられた状態において、注射針32の先端が内側キャップ13に刺入されている。より具体的には、針付シリンジ用外筒30にキャップ12が装着される際に、内側キャップ13によって被包部材60が注射針32に沿って基端方向に移動させられるとともに、被包部材60(貫通路65)から突出した注射針32(穿刺用針先35)が内側キャップ13に刺入する。薬液投与具10においては、キャップ12の取付状態において、外筒31(外筒本体部33)の内部空間と連通された注射針32の先端が、内側キャップ13により封止されている。
【0053】
このような薬液投与具10の使用方法(使用時の態様)について、以下に説明する。なお、上述した薬液投与具1と同様の態様については、その説明を省略する。
先ず、図13に示されるように、薬液投与具10からキャップ12を取り外す。ここで、被包部材60は、付勢部材70の付勢力により先端方向に移動し、貫通路65内において、穿刺用針先35を含む注射針32の先端部を収納する。そのため、キャップ12を取り外した状態において、注射針32の穿刺用針先35を含む先端部は被包部材60によって被包され、外部に露出しない。また、これにより、被包部材60の先端に形成された皮膚当接用突起61が、注射針32の穿刺用針先35よりも先端側に位置し、かつ、先端方向に向かって突出することとなる。
【0054】
この実施例の針付シリンジ用外筒30では、付勢部材70の初期付勢力(キャップ離脱時付勢力)が、弾性リブ68による被包部材60と注射針32との密着力(摩擦抵抗)より強く、かつ、被包部材60が移動し、貫通路65内に穿刺用針先35を含む注射針32の先端部を収納したところで、付勢部材70の付勢力と被包部材60と注射針32との密着力(摩擦抵抗)が、釣り合うように設定されている。また、付勢部材70の先端部が、被包部材60の基端部(基端側大径部64)に固定されているため、被包部材60が注射針32から離脱することが阻止される。
【0055】
次いで、使用者は、図14に示されるように、被包部材60の先端に形成された皮膚当接用突起61を用いて穿刺箇所(低痛覚部位)を決定する(所謂「試し刺し」)。なお、試し刺しを行う際は、注射針32(穿刺用針先35)が被包部材60の先端から露出しない程度の力(被包部材60と注射針32との密着力および付勢部材70の付勢力を合わせた力よりも小さい力)で行う必要がある。
【0056】
本実施例においては、皮膚当接用突起61が、注射針32(穿刺用針先35)と略同軸となるように形成されている。そのため、所望の低痛覚部位を精度よく探ることができる。また、予め、穿刺箇所またはその近傍に、皮膚当接用突起61の当接による刺激を与えておくことで、実際の穿刺の際の痛みを軽減(痛みを感じ難く)する効果もある。
【0057】
次いで、図15に示されるように、針付シリンジ用外筒30(注射針32)を先端方向に(穿刺箇所に向かって)移動し、所望の穿刺箇所(見つけた低痛覚部位)に注射針32(穿刺用針先35)を穿刺する。具体的には、穿刺箇所に皮膚当接用突起61を押し当てた状態で、針付シリンジ用外筒30を先端方向に移動させることにより、注射針32の穿刺用針先35が、被包部材60の貫通路65から突出し、穿刺部位(皮膚)100に到達する。さらに針付シリンジ用外筒30を先端方向へ押し込むことで、注射針32が被包部材60から先端方向に突出し、穿刺部位に穿刺される。
【0058】
本実施例の針付シリンジ用外筒30、ならびにそれを備えるシリンジ20、および薬液投与具10においては、外筒本体部33と、外筒本体部33の先端部に設けられた針固定部34とを備える外筒31と、先端に穿刺用針先35を有し、外筒31の針固定部34に基端部が固定された注射針32とを有し、注射針32の穿刺用針先35を被包する針先端部被包部材60を備え、被包部材60は、先端に皮膚当接用突起61を備えている。そのため、皮膚当接用突起61によって、注射針32を直接穿刺することなく、比較的痛みの少ない低痛覚部位を探ること(所謂「試し刺し」)ができるため、衛生的である。また、皮膚当接用突起61が注射針32の穿刺用針先35を被包する針先端部被包部材60の先端に形成されているため、試し刺しによって特定した箇所の近傍に確実に注射針を穿刺することができる。
【0059】
なお、針付シリンジ用外筒30において、上述した、針固定部34の先端部と被包部材60の基端部間に配置され、注射針32が貫通し、かつ、注射針32の軸方向に弾性変形可能な針カバー46を設けてもよい。
その他、本発明の針付シリンジ用外筒、ならびにそれを備えるシリンジ、および薬液投与具においては、複数の実施例において例示した種々の態様を、適宜組み合わせて用いることができる。例えば、上述した針付シリンジ用外筒3において、針固定部34の先端部と被包部材40の基端部間に配置され、被包部材40を先端方向に付勢可能な付勢部材70を設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の針付シリンジ用外筒は、以下のものである。
(1) 外筒本体部と、前記外筒本体部の先端部に設けられた針固定部とを備える外筒と、先端に穿刺用針先を有し、前記外筒の前記針固定部に基端部が固定された注射針とを有する針付シリンジ用外筒であって、
前記針付シリンジ用外筒は、前記注射針の前記穿刺用針先を被包する針先端部被包部材を備え、前記針先端部被包部材は、先端に皮膚当接用突起を備えている針付シリンジ用外筒。
【0061】
本発明の針付シリンジ用外筒は、外筒本体部と外筒本体部の先端部に設けられた針固定部とを備える外筒と、先端に穿刺用針先を有し、外筒の針固定部に基端部が固定された注射針とを有し、注射針の穿刺用針先を被包する針先端部被包部材を備え、針先端部被包部材は、先端に皮膚当接用突起を備えている。
そのため、皮膚当接用突起によって、注射針を直接穿刺することなく、比較的痛みの少ない穿刺箇所(低痛覚部位)を探ること(所謂「試し刺し」)ができるため、衛生的である。
また、皮膚当接用突起が注射針の穿刺用針先を被包する針先端部被包部材の先端に形成されているため、試し刺しによって特定した箇所もしくはその近傍に確実に注射針を穿刺することができる。
【0062】
また、上記の実施態様は、以下のものであってもよい。
(2) 前記針先端部被包部材は、軟質材料製である上記(1)に記載の針付シリンジ用外筒。
(3) 前記針先端部被包部材は、前記穿刺用針先が通過可能である上記(1)または(2)に記載の針付シリンジ用外筒。
(4) 前記針先端部被包部材は、先端が閉塞しており、かつ前記穿刺用針先が刺通可能である上記(1)または(2)に記載の針付シリンジ用外筒。
(5) 前記針先端部被包部材は、前記穿刺用針先を含む注射針の先端部を収納した貫通路を有している上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の針付シリンジ用外筒。
(6) 前記針先端部被包部材は、前記注射針の先端部に取り付けられている上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の針付シリンジ用外筒。
(7) 前記針先端部被包部材は、前記注射針の先端部を収納する内腔部と、前記内腔部の内面に設けられ、内方に突出する弾性リブを備え、前記弾性リブは、前記収納された前記注射針の先端部の外面と密着している上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の針付シリンジ用外筒。
(8) 前記針付シリンジ用外筒は、前記針固定部の先端部と前記針先端部被包部材の基端部間に配置され、前記針先端部被包部材を先端方向に付勢可能な付勢部材を備える上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の針付シリンジ用外筒。
(9) 前記針先端部被包部材は、前記穿刺用針先を含む注射針の先端部を収納した貫通路を有し、前記針付シリンジ用外筒は、前記針固定部の先端部と前記針先端部被包部材の基端部間に配置され、前記針先端部被包部材を先端方向に付勢する付勢部材を備え、前記付勢部材の先端部は、前記針先端部被包部材の基端部に固定されている上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の針付シリンジ用外筒。
(10) 前記針付シリンジ用外筒は、前記針固定部の先端部と前記針先端部被包部材の基端部間に配置され、前記注射針が貫通し、かつ、前記注射針の軸方向に弾性変形可能な針カバーを備える上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の針付シリンジ用外筒。
【0063】
本発明のシリンジは、以下のものである。
(11) 上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の針付シリンジ用外筒と、前記外筒内に収納され、かつ前記外筒内を液密状態にて摺動可能なガスケットと、前記ガスケットを押圧するためのプランジャーとからなるシリンジ。
【0064】
本発明のシリンジは、外筒本体部と外筒本体部の先端部に設けられた針固定部とを備える外筒と、先端に穿刺用針先を有し、外筒の針固定部に基端部が固定された注射針とを有し、注射針の穿刺用針先を被包する針先端部被包部材を備え、針先端部被包部材は、先端に皮膚当接用突起を備えている。
そのため、皮膚当接用突起によって、注射針を直接穿刺することなく、比較的痛みの少ない穿刺箇所(低痛覚部位)を探ること(所謂「試し刺し」)ができるため、衛生的である。
また、皮膚当接用突起が注射針の穿刺用針先を被包する針先端部被包部材の先端に形成されているため、試し刺しによって特定した箇所もしくはその近傍に確実に注射針を穿刺することができる。
【0065】
本発明の薬液投与具は、以下のものである。
(12) 上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の針付シリンジ用外筒と、前記外筒内に収納され、かつ前記外筒内を液密状態にて摺動可能なガスケットと、前記ガスケットを押圧するためのプランジャーと、前記外筒内に充填された医療用液体とを備える薬液投与具。
【0066】
本発明の薬液投与具は、外筒本体部と外筒本体部の先端部に設けられた針固定部とを備える外筒と、先端に穿刺用針先を有し、外筒の針固定部に基端部が固定された注射針とを有し、注射針の穿刺用針先を被包する針先端部被包部材を備え、針先端部被包部材は、先端に皮膚当接用突起を備えている。
そのため、皮膚当接用突起によって、注射針を直接穿刺することなく、比較的痛みの少ない穿刺箇所(低痛覚部位)を探ること(所謂「試し刺し」)ができるため、衛生的である。
また、皮膚当接用突起が注射針の穿刺用針先を被包する針先端部被包部材の先端に形成されているため、試し刺しによって特定した箇所もしくはその近傍に確実に注射針を穿刺することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15