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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】風力タービン用ナセル
(51)【国際特許分類】
   F03D 80/80 20160101AFI20240829BHJP
   F03D 80/50 20160101ALI20240829BHJP
   F03D 13/10 20160101ALI20240829BHJP
   F03D 13/40 20160101ALI20240829BHJP
【FI】
F03D80/80
F03D80/50
F03D13/10
F03D13/40
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022529688
(86)(22)【出願日】2020-11-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-01
(86)【国際出願番号】 DK2020050316
(87)【国際公開番号】W WO2021098927
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2023-09-26
(31)【優先権主張番号】PA201970712
(32)【優先日】2019-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】514130633
【氏名又は名称】ヴェスタス ウィンド システムズ エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【弁理士】
【氏名又は名称】川内 英主
(74)【代理人】
【識別番号】100202119
【弁理士】
【氏名又は名称】岩附 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】バウン,トーベン ラデガード
(72)【発明者】
【氏名】ノイバウアー,イェスパー リュッケガード
(72)【発明者】
【氏名】カトロガ,レナート
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0011272(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0146335(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 80/80
F03D 80/50
F03D 13/10
F03D 13/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力タービンタワー(3)に取り付けられ、ロータを支持するロータ支持アセンブリを収容するように構成された風力タービンナセル(2)であって、前記ナセルは電力変換アセンブリをさらに収容し、前記ナセルは、
前記風力タービンタワー(3)に接続されるように配置され、前記ロータ支持アセンブリを収容する主ユニット(20、72、101、121、192)及び、
前記電力変換アセンブリの一部を形成する動作構成要素(34、35、77、104)を収容する少なくとも一つの補助ユニット(21、22、61、62、71、102、122、191)を備え、
前記主ユニット(20、72、101、121、192)と前記補助ユニット(21、22、61、62、71、102、122、191)は、インターフェースにおいてユニット固定構造により接続されるように構成された別個のユニットであり
前記動作構成要素(34、35、77、104)は、前記主ユニット(20、72、101、121、192)に直接懸架されており、
前記ナセルは、前記ロータから前記風力タービンタワーへの荷重経路の一部を形成する、前記主ユニット(20、72、101、121、192)の主フレーム(106)に、前記少なくとも一つの補助ユニットに収容された前記動作構成要素(34、35、77、104)を直接懸架する第1の懸架構造を備えている、ナセル。
【請求項2】
前記補助ユニット(21、22、61、62、71、102、122、191)に前記動作構成要素(34、35、77、104)を懸架するための第2の懸架構造(78、91)を備える、請求項1に記載のナセル。
【請求項3】
前記ユニット固定構造は、前記主ユニットに対する前記補助ユニットの組付位置において前記補助ユニットを前記主ユニットに固定するように構成され、前記第1の懸架構造は、前記組付位置への前記補助ユニットの移動時に前記第2の懸架構造から前記動作構成要素の懸架を引き継ぐように構成される、請求項に記載のナセル。
【請求項4】
前記第1の懸架構造は、前記動作構成要素及び前記主フレーム(106)に接続された少なくとも一つのブラケットを含む、請求項からのいずれか一項に記載のナセル。
【請求項5】
前記ブラケットは、前記主ユニット及び前記補助ユニットの少なくとも一方の外壁の対応する壁開口を通って延在する、請求項に記載のナセル。
【請求項6】
前記壁開口は、前記対応するブラケットの断面寸法を超えるサイズを有し、前記壁開口の周囲の縁部と前記ブラケットとの間の間隙を画定する、請求項に記載のナセル。
【請求項7】
前記第1の懸架構造(78)は、前記主フレームへの前記動作構成要素(34、35、77、104)の解放可能な懸架として構成される、請求項からのいずれか一項に記載のナセル。
【請求項8】
前記第2の懸架構造(78、91)は、前記補助ユニット(21、22、61、62、71、102、122、191)上に前記動作構成要素(34、35、77、104)を解放可能に懸架するように構成される、請求項2又は3に記載のナセル。
【請求項9】
前記主ユニット(20、72、101、121、192)と前記補助ユニット(21、22、61、62、71、102、122、191)との間のインターフェースは、前記主ユニット(20、72、101、121、192)の表面と前記補助ユニット(21、22、61、62、71、102、122、191)の対向面との間を空気が通過することを可能にする間隙(167)を画定する、請求項1からのいずれかに記載のナセル。
【請求項10】
前記第1の懸架構造は、前記間隙を横切って延在する、請求項に記載のナセル。
【請求項11】
前記主ユニット(20、72、101、121、192)と前記補助ユニット(21、22、61、62、71、102、122、191)は、前記ロータ支持アセンブリによって画定される回転軸から離れる方向に並んで配置されている、請求項1から1のいずれか一項に記載のナセル。
【請求項12】
前記動作構成要素(34、35、77、104)は、電解セルスタック、変圧器、又は変換器である、請求項1から1のいずれか一項に記載のナセル。
【請求項13】
前記ロータが、前記ナセルの外側に配置された発電機を駆動する、請求項1から1のいずれか一項に記載のナセル。
【請求項14】
前記ナセルは、前記ロータによって駆動される発電機(33)をさらに収容する、請求項1から1のいずれか一項に記載のナセル。
【請求項15】
請求項1から1のいずれか一項に記載のナセルを有する風力タービンを組み立てる方法であって、
前記主ユニット(20、72、101、121、192)は、前記動作構成要素(34、35、77、104)を含む前記風力タービンの建設現場に受け入れられ、
前記補助ユニット(21、22、61、62、71、102、122、191)は、前記主ユニット(20、72、101、121、192)に取り付けられ、
前記主ユニットの前記主フレームは、前記ロータから前記風力タービンタワーへの荷重経路の一部を形成し
前記動作構成要素(34、35、77、104)は、前記補助ユニット(21、22、61、62、71、102、122、191)内に収容された状態で、前記主ユニット(20、72、101、121、192)の前記主フレームに直接取り付けられる、方法。
【請求項16】
前記動作構成要素(34、35、77、104)は、前記第1の懸架構造を介して前記主フレームによって支持され、かつ第2の懸架構造を介して前記補助ユニットによって支持されるように構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記ユニット固定構造により前記補助ユニットを前記主ユニットに接続する組付位置に向かって前記補助ユニットを移動させながら、前記第2の懸架構造から前記第1の懸架構造に荷重を移動させることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記主ユニットは風力タービンタワーに取り付けられ、前記補助ユニットは、前記主ユニットに取り付けられたクレーン構造の使用によって、前記主ユニットに吊り上げられ、又は前記主ユニットから降下される、請求項1から1のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記補助ユニットは、前記クレーン構造の使用によって垂直面内でのみ吊り上げられる、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
請求項1から1のいずれか一項に記載のナセルを有する風力タービンの保守方法であって、
前記動作構成要素(34、35、77、104)は、前記補助ユニット(21、22、61、62、71、102、122、191)に収容されている間に前記主ユニット(20、72、101、121、192)から取り外され、地上での保守又は交換のために前記補助ユニット(21、22、61、62、71、102、122、191)内で地上に降下される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[序説]
本開示は、風力タービン用のナセルに関する。ナセルは、主ユニットと、主ユニットの側部に取り付けられた少なくとも一つの補助ユニットとを含む。本開示のナセルは、特に大型風力タービンでの使用に適している。本開示はさらに、そのようなナセルを含む風力タービンを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
風力タービンは、風力タービンの個々の部品の物理的寸法に関してだけでなく、公称出力に関してもサイズが大きくなっている。したがって、必要な風力タービン部品を収容するために、ナセルのサイズも大きくしなければならない。風力タービンは、通常、個々の部品の1つ以上の製造場所から、風力タービンが道路、鉄道、船舶、又はこれらの組み合わせによって建設される作業現場まで輸送される。
【発明の概要】
【0003】
本開示の実施形態の目的は、さらなるモジュール性、設計及び製造の容易さを促進し、風力タービンの改善された保守を可能にすることである。本開示の実施形態のさらなる目的は、通常の輸送手段を用いて輸送可能なナセルを提供し、ナセルの可能なサイズを制限することなく、輸送及び取扱いコストを低減することである。
【0004】
これら及び他の目的によれば、本開示は、風力タービンタワーに取り付けられ、ロータ支持アセンブリを収容するように構成された風力タービンナセルを提供する。ロータ支持アセンブリは、発電機を駆動するロータを支持する。さらに、ナセルは電力変換アセンブリを収容する。
【0005】
ナセルは、
例えばヨーイング装置を介して風力タービンタワーに接続可能であり、前記ロータ支持アセンブリ及び任意に前記発電機を収容する主ユニット、及び、
前記電力変換アセンブリの一部を形成する動作構成要素を収容する少なくとも一つの補助ユニットとを含む。
【0006】
主ユニットと補助ユニットは、ユニット固定構造によりインターフェースにおいて組み立てられた別個のユニットであり、動作構成要素は主ユニットに直接懸架される。
【0007】
補助ユニットは、主ユニットに直接懸架された動作構成要素を収容し、主ユニットは風力タービンタワーに接続可能であるので、主ユニットは、風力タービンタワー内に動作構成要素のための荷重経路を形成する。
【0008】
必要に応じて、補助ユニットは、動作構成要素を解放することなく主ユニットから解放されてもよく、補助ユニットは、主ユニットと比較してより小さな荷重のために設計されてもよい。これは、例えば、タワーの動作構成要素の全荷重を担持するためではなく、動作構成要素の保管及び輸送のために寸法決め及び設計がなされてもよい。
【0009】
主ユニット及び/又は補助ユニットの例には、任意のサイズ及び形状で、組み立てられるように構成されたユニットを含む。
【0010】
補助ユニット及び/又は主ユニットは、貨物輸送コンテナのサイズ及び形状と同等又は等しいサイズ及び/又は外形で形成され得る。これにより、各ユニットは、取り扱い、輸送及び保管に関する貨物輸送コンテナの利点を継承する。貨物輸送コンテナは、例えば、船、列車、トラックなどで世界のどこでも取り扱うことができ、バルク輸送と比較して低コストである。
【0011】
主ユニット及び/又は補助ユニットが貨物輸送コンテナである場合、コスト削減はさらに顕著である。貨物輸送コンテナは、インターモーダルコンテナ、標準貨物コンテナ、ボックスコンテナ、海上貨物コンテナ、又はISOコンテナとも呼ばれ、一般的には、大陸間交通のためのグローバルコンテナ化インターモーダル貨物輸送システムにおいて、材料及び製品を保管及び移動するために使用されるコンテナを指す。貨物輸送コンテナは、シリーズ1貨物コンテナ用のISO668:2013のISO規格の寸法及び構造仕様に従うことができる。
【0012】
主ユニット及び補助ユニットは、回転軸の方向に交互に配置されるのではなく、ロータ支持アセンブリによって画定される回転軸から離れる方向に並んで配置されてもよい。
【0013】
一実施形態では、ナセルは、例えば主ユニットの両側に配置された2つの補助ユニットを含む。その実施形態では、2つの補助ユニットの各々は、シリーズ1貨物コンテナのためのISO668:2013のISO規格における寸法及び構造仕様に従って、1つの貨物輸送コンテナの半分のサイズを有してもよく、コンテナの2つの半分の部分が、輸送中に1つのコンテナを形成するように組み立てられ、例えば主ユニットの両側に配置されるように2つの補助ユニットに分割され得るように配置される。コンテナは、特に、コンテナの長手方向、すなわちコンテナの最長寸法方向に伸張するインターフェースで分割されてもよい。
【0014】
ナセルは、タワーによって直接的に、又は中間タワー構造を介してタワーによって間接的に担持されることができる。風力タービンが従来の水平軸タイプである場合、ナセルは、典型的には、タワー頂部とナセルとの間のヨーイング装置によって担持される。しかしながら、本開示は、例えば、タワーと横ビーム構造との間のヨーイング装置を介して、タワーによって再び担持される横ビーム構造によって複数のナセルが担持される種類のマルチロータ風力タービンに関するものであり得る。
【0015】
本開示は、風上型風力タービン又は風下型風力タービンに関するものであり得る。
【0016】
主ユニットは、ナセルとタワーとを直接的に又は中間タワー構造もしくは構造体を介して間接的に接続する部分である。主ユニットは、特にナセルの中央部分であってよく、ロータシャフトの少なくとも一部などの駆動系の部品を収容する。
【0017】
風力タービンは、典型的にはナセルの外側に配置された発電機を有する直接駆動風力タービンであってもよく、または風力タービンは、主ユニット内に配置された発電機を有してもよい。主ユニットは、ロータシャフトを介してロータを支持する。
【0018】
主ユニットは、風力タービンのタイプに応じて、例えば、ギアボックス、軸受システム及び異なる種類の周辺機器、並びに例えば、潤滑、冷却、及び制御目的といった、さらなる部品を含むことができる。主ユニットは、特に、ロータ支持アセンブリの一部を形成し、例えばヨーイング配置を介して、ロータからタワー構造又は中間タワー構造への荷重経路を形成する主フレームを含むことができる。主フレームは、特に鋳造部品であってもよい。
【0019】
主フレームに加えて、ロータ支持アセンブリは、例えば、風力タービン内でロータを支持する軸受構造及び他の構成要素を含むことができる。
【0020】
補助ユニットに収容される動作構成要素は、特に、主フレームに直接懸架されてもよく、すなわち、主フレームが動作構成要素からタワーへの荷重経路を形成するようにしてもよい。特に、動作構成要素は、第1の懸架構造を介して主フレームに懸架されてもよく、補助ユニットが動作構成要素からタワーへの荷重経路の一部を形成しないように懸架されてもよい。
【0021】
ナセルは、ヨーイング装置を介してタワーに対して回転可能であり得る。これは、ヨーイング装置を介してナセルをタワーに接続することによって容易にされてもよく、又はマルチロータ風力タービンにおいて、個々のナセル構造の少なくとも二つの主フレームを、ヨーイング装置を介してタワーに再び接合される中間タワー構造を介してタワーに接続することによって容易にされてもよい。
【0022】
ナセルは、補助ユニットの動作構成要素を懸架するように構成された第2の懸架構造を含むことができる。
【0023】
ユニット固定構造は、主ユニットに対する補助ユニットの組付位置において、補助ユニットを主ユニットに固定するように構成することができる。第1の懸架構造は、補助ユニットの組付位置への移動時に、第2の懸架構造から動作構成要素の懸架を引き継ぐように構成されてもよい。
【0024】
一実施例では、動作構成要素は、第2の懸架構造によって補助ユニットの、例えば床又は壁に担持され、補助ユニットが組付位置に降下すると、第1の懸架構造が動作構成要素を補助ユニットとの支持関係から持ち上げる。その瞬間から、動作構成要素は、第2の懸架構造を介して主フレームに懸架され、好ましくは補助ユニットの床から自由に持ち上げられる。
【0025】
別の実施例では、動作構成要素は、第2の懸架構造によって補助ユニットの、例えば床又は壁に担持され、補助ユニットが組付位置にあるとき、第1の懸架構造は、動作構成要素と主フレームとの間に取り付けられる。その時点で、第1の懸架構造及び第2の懸架構造は両方とも、動作構成要素を支持する。いくつかの実施形態では、懸架が専ら直接主フレームに第1の懸架構造によるように、第2の懸架構造が除去されてもよい。
【0026】
第1の懸架構造は、動作構成要素及び主フレームに接続された少なくとも一つのブラケットを含むことができ、各ブラケットは、主ユニット及び補助ユニットの少なくとも一つの外壁に対応する壁開口を通って延在することができる。
【0027】
各壁開口は、壁開口の周りの縁部とブラケットとの間に間隙を画定するために、対応するブラケットの断面寸法を超えるサイズを有していてもよい。これにより、主ユニットや補助ユニットの外壁に影響を与えることなく、ブラケットの荷重を主フレームで担持することができる。
【0028】
壁開口とブラケットとの間の間隙は、シール構造、例えば壁の縁部とブラケットとの間に延在するゴムガスケットによって封止され得る。
【0029】
一実施形態では、第1の懸架構造は、ユニット固定構造の一部を構成又は形成し得る。この実施形態では、第1の懸架構造は、補助ユニットを主ユニット上の所定位置に保持する。
【0030】
電力変換アセンブリは、発電機からの電力を所望のエネルギー形態に変換する。電力変換アセンブリは、例えばAC又はDCで電力を供給するように構成され得る。
【0031】
電気エネルギーの場合、電力変換アセンブリは、発電機を例えば外部電力網にリンクするように構成され得る。その場合、電力変換アセンブリは、例えば、変換器、及び/又は変圧器、及び/又はスイッチギアによって構成され得る。このような構成要素はいずれも、電力変換アセンブリに含まれ得る。
【0032】
したがって、動作構成要素は、変換器、及び/又は変圧器、及び/又はスイッチギア等で構成され得る。このような構成要素は、補助ユニットに適切に収容することができ、有利には、それらが比較的重い構成要素であるため、主ユニットによって直接担持することができる。したがって、そのような構成要素からタワーへの荷重経路は可能な限り短くすることができ、したがって、そのような構成要素を直接主ユニット上に懸架し、それによって、これらの構成要素の重量の少なくとも一部を、タワーに接続された主ユニットによって直接担持することが有利である。
【0033】
さらに、上記の構成要素は、風力タービンの駆動系及び他の部分に関与しない外部供給業者によって、風力タービンが建設される場所に供給されることが多い。従って、駆動系から離れた別個のユニットに封入することは利点であり、無許可の人員が意図せずにアクセスするリスクを低減することができる。
【0034】
さらに、変換器及び変圧器は、安全上の理由から、主ユニットから分離され得る高電圧構成要素である。
【0035】
加えて、これらの前述の構成要素は、高価で複雑な構成要素であり、その保守又は交換は、特別に訓練されたスタッフによって、例えば、補助ユニットに収容されたときに動作構成要素を地上に下ろすことにより、又は少なくとも回転している潜在的に危険な駆動系から隔離された作業区域で作業することにより、適切に実行され得る。
【0036】
発電機は、一例として、非同期又は同期発電機であってもよく、変換器電圧は、固定子電圧と呼ばれることもある発電機電圧と同じ範囲であってもよい。
【0037】
発電機は、別の例では、二重給電誘導発電機(DFIG)であってもよい。その場合、変換器の電圧は発電機の固定子電圧と異なり得る。変換器は、発電機ロータに接続され、通常は同じ電圧又はステータ電圧より低い電圧である。
【0038】
低電圧は、例えば、1000Vまでの電圧と考えることができる。中電圧は、1kV~約60kVの電圧と考えることができる。発電機電圧は、低電圧又は中電圧であり得る。
【0039】
主ユニットと補助ユニットは、ユニット固定構造によりインターフェースで組み付けられる。ユニット固定構造は、補助ユニットが組付位置にあるときに補助ユニットを主ユニットに固定することができ、それは後日、例えば保守又は交換のために、主ユニットがタワーに組み付けられた後に、補助ユニットを主ユニットから解放することを可能にするのに適し得る。その目的のために、ユニット固定構造は、主ユニット及び補助ユニットにおいて相互に連結する構造の機構を含んでもよい。そのような相互連結機構の例は、主及び補助ユニットの一方の突起と、他方の主ユニット及び補助ユニットの凹部又は穴であってもよく、ユニット固定構造は、主ユニット及び補助ユニットの解放可能な結合を可能にするボルト締めされたインターフェースを形成してもよく、または補助ユニットは、ケーブルによって主ユニットの適所に保持されてもよく、それによって、補助ユニットは、保守、構成要素の交換のために、または地上とナセルとの間の構成要素及び人員の輸送のために、地上まで降下され得る。一実施形態では、ユニット固定構造は、補助ユニットが主ユニットに近接して下げられたときに、補助ユニットが主ユニットによって受容されるように構成される。このようなユニット固定構造は、フックによって構成してもよいし、主ユニット及び補助ユニットにおける連結構造で構成してもよい。これは、特に、ユニット固定構造が補助ユニットを主ユニットに固定する位置への補助ユニットの移動時に、動作構成要素の荷重を受けるように構成された第1の懸架構造と組み合わせることができる。
【0040】
動作構成要素は補助ユニットに収容されるが、主ユニットに直接、例えば主ユニットの主フレームに直接懸架される。本明細書では、これは、動作構成要素の荷重の少なくとも一部が、補助ユニットやユニット固定構造に荷重をかけることなく、直接主ユニットに伝達されることを意味する。本明細書では、この荷重を直接荷重と呼ぶ。
【0041】
直接荷重は、補助ユニットに収容された動作構成要素に起因する荷重全体を必ずしも構成するものではなく、その大部分である。従って、直接荷重は、例えば、補助ユニットに収容され、主ユニットの懸架された方向の動作構成要素によって引き起こされる全荷重の50%から100%までのいずれかを構成することができる。特に、直接荷重は、全荷重の100%を構成することができ、これは、動作構成要素が主ユニットによって完全に担持されることを意味する。5MW風力タービンの動作構成要素の重量は、例えば25~30トン(変圧器及び/又は変換器)であり、そのような構成要素を収容するための補助ユニットの重量は5~15トンである。したがって、動作構成要素の荷重を少なくとも部分的に主ユニット、特に主フレームに渡すことが利点となり得る。
【0042】
直接荷重は、補助ユニットに伝達されるのではなく、補助ユニットを介して主ユニットに伝達されるのでもなく、むしろ主ユニットに直接、例えば主フレームに直接伝達される。
【0043】
主ユニットと補助ユニットとは、回転軸から離れる方向に並んで配置されていてもよい。これは、補助ユニットが、主ユニットに対して回転軸から離れて横方向に移動することを意味する。補助ユニットは、例えば、風力タービンロータの回転軸に垂直な方向にあってもよい。これは、主軸受システム及び駆動系システムの両方を主ユニットに組み付け、補助ユニットにおける他の構成要素を駆動系から横方向に移動させるような主風力タービン構成要素の有利な分布を有するナセルの有利なモジュール性を提供する。したがって、主ユニットと補助ユニットとのインターフェースは、特に回転軸方向に延在し得る。
【0044】
一実施形態では、いくつかの動作構成要素が補助ユニットに収容され、主ユニットに直接懸架される。動作構成要素は、変圧器及び変換器であってもよく、それらは、同一の補助ユニットに収容される。
【0045】
第1の懸架構造は、動作構成要素の解放可能な懸架のために構成されてもよく、それによって、主ユニットへの動作構成要素の直接懸架を容易にする。第1の懸架構造は、主ユニットからの動作構成要素の解放を可能にするために特に適している。その目的のために、第1の懸架構造は、主ユニット及び動作構成要素に、相互に連結する構造的機構を含んでもよい。そのような相互に連結する機構の例としては、主ユニットおよび動作構成要素の一方における突起、及び主ユニットおよび動作構成要素の他方における凹部又は穴であってもよく、第1の懸架構造は、動作構成要素の主ユニットへの解放可能な結合を可能にするボルトインターフェースを含んでもよく、又は動作構成要素は、ケーブルによって主ユニットの所定の位置に保持されてもよく、これによって動作構成要素は、保守又は交換のために地上に降下させることができる。第1の懸架構造はまた、補助ユニットを主ユニットに保持するインターフェースを構成してもよい。すなわち、補助ユニットは、第1の懸架構造を介して主ユニットにおいて所定位置に保持されてもよい。
【0046】
第2の懸架構造は、補助ユニットにおける動作構成要素の解放可能な懸架のために構成されてもよい。一実施形態では、第2の懸架構造は、補助ユニットの床に立つように構成された支持構造である。そのような支持構造は、例えば、補助ユニットの床と動作構成要素との間に配置された脚、梁、又は同様の構造を含んでもよい。
【0047】
第2の懸架構造は、補助ユニットからの動作構成要素の解放を可能にするために特に好適であり得る。その目的のために、第2の懸架構造は、補助ユニット及び動作構成要素において相互に連結する構造的機構を備えてもよい。そのような相互に連結する機構の例は、補助ユニット及び動作構成要素のうちの一方における突起、及び補助ユニット及び動作構成要素のうちの他方における凹部又は穴であってもよい。第2の懸架構造は、補助ユニットへの動作構成要素の解放可能な結合を可能にするボルトインターフェースを含んでもよく、又は動作構成要素は、ケーブルによって補助ユニット内の所定の位置に保持されてもよく、それによって動作構成要素は、保守又は交換のために地上に降下させることができる。第2の懸架構造は、特に、第2の懸架構造を介して輸送中に補助ユニットが動作構成要素を支えて運ぶことを可能にする。
【0048】
前述したように、第1の懸架構造及び第2の懸架構造は、補助ユニットが主ユニットに取り付けられたとき、すなわち、補助ユニットが組付位置に向かって移動されたときに、荷重が第2懸架構造から第1懸架構造に伝達されるように構成されてもよい。代替的に、又は追加的に、第1の懸架構造及び第2の懸架構造は、主ユニット及び補助ユニットの両方への動作構成要素の同時懸架のために構成されてもよく、それによって、動作構成要素が主ユニット及び補助ユニットの両方によって担持され、例えば、荷重のより大きな割合が主ユニットの主フレームによって担持され、50%未満又は10%未満の小さな割合が補助ユニットによって担持されるようにすることができる。また、第1の懸架構造及び第2の懸架構造は、主ユニットによる動作構成要素の担持と補助ユニットによる動作構成要素の担持との間で、またはその逆で自動的に切り替わるように構成することができる。
【0049】
以下に、3つの異なる組み立て手順を概説する。
【0050】
a)主ユニットと補助ユニットは、地上でユニット固定構造を介して結合されている。その後、それらは、1つの組み立てられたナセルとしてタワーに吊り上げられ、取り付けられる。一旦ナセルに取り付けられると、動作構成要素は、第1の懸架構造を介して主ユニットに直接取り付けられ、それによって、主ユニットに直接懸架される。動作構成要素が十分に遮蔽されていて主ユニットの外面に露出されている場合、補助ユニットは解放されて、他の構成要素のその後の輸送のために使用されてもよく、又は補助ユニットは、主ユニットに固定されたままで、動作構成要素の継続的な封入のためにナセルの一部を形成してもよい。
【0051】
b)主ユニットと補助ユニットは、地上でユニット固定構造を介して結合されている。その後、動作構成要素は、第1の懸架構造を介して主ユニットに直接取り付けられ、それによって主ユニットに直接懸架される。補助ユニットはここで解放され、他の構成要素のその後の輸送のために使用されてもよく、または補助ユニットは、主ユニットに固定されたままで、動作構成要素の継続的な封入のためにナセルの一部を形成してもよい。ナセルは、組み立てられた1つのナセルとしてタワーに吊り上げられ、取り付けられる。
【0052】
c)主ユニットを吊り上げてタワーに取り付ける。その後、補助ユニットを吊り上げて、ユニット固定構造により主ユニットに結合する。2つのユニットが組み付けられると、動作構成要素は、第1の懸架構造を介して主ユニットに直接取り付けられ、それによって主ユニットに直接懸架される。この時、動作構成要素は、第1の及び第2の懸架構造の両方を介して主ユニット及び補助ユニットに同時に取り付けられてもよい。補助ユニットはここで解放され、他の構成要素のその後の輸送のために使用されてもよく、または補助ユニットは、主ユニットに固定されたままで、動作構成要素の継続的な封入のためにナセルの一部を形成してもよい。
【0053】
3つのシナリオすべてにおいて、補助ユニットは、主ユニットに対する動作構成要素の正確な位置決めのためのガイドとして使用されてもよく、すなわち、補助ユニットがユニット固定構造体を介して取り付けられるとき、動作構成要素は、第1の懸架構造を介した主ユニットへの取り付けのために正確に位置決めされる。その後、動作構成要素は、第2の懸架構造を介して補助ユニットから解放することができ、これにより、補助ユニットは、天候保護のためのシールドとしてのみ、及び/又は動作構成要素の保守のための屋内作業プラットフォームを形成するためにのみ機能する。動作構成要素は、例えば、補助ユニットから解放されて、動作構成要素から主ユニットの主フレームへの荷重経路を直接確立することができる。
【0054】
3つのシナリオすべてにおいて、補助ユニットは、インターフェースを介して主ユニットに直接接続され得る。
【0055】
インターフェースは、空気、水、及び汚れの主ユニットへの侵入を防止する封止接続を提供することができる。
【0056】
補助ユニットは、ヨー構成と主ユニットとの間に挿入されたアダプタによって担持されてもよい。
【0057】
ナセルには少なくとも二つの補助ユニットを含めることができる。2つの補助ユニットは、主ユニットの両側に配置することができる。この実施形態では、2つの補助ユニットは、回転軸が延在する垂直面の両側にあってもよい。
【0058】
2つの補助ユニットは、主ユニットの片側又は主ユニットの両側に互いに上下に配置することができる。その場合、2つの補助ユニットは、例えば回転軸が延在する水平面の両側にあってもよい。そのような平面は、回転軸及び回転軸に水平に隣接する点によって決定される。
【0059】
2つの補助ユニットは、補助ユニットの列を形成するように次々に配置することがき、したがって、回転軸に対して垂直に延在する垂直面によって分離することができる。
【0060】
2つの補助ユニットが上下に、又は次々に配置される場合、ナセルは、補助ユニットのうちの一方を補助ユニットのうちの他方に解放可能に固定するための第3の固定構造を含むことができる。このようにして、補助ユニットのうちの1つは、他の補助ユニットのための主ユニットへの荷重経路を形成することができ、それによって風力タービンタワーへの荷重経路を形成することができる。
【0061】
第3の固定構造は、補助ユニットのうちの一方を補助ユニットのうちの他方から解放することを可能にし得る。その目的のために、第3の固定構造は、2つの補助ユニットに、例えば一方のユニットに突起を形成し、他方のユニットに凹部又は穴の形態で、相互に連結する構造的機構を有し得る。
【0062】
第3の固定構造は、互いに補助ユニットの解放可能な結合を可能にするボルトインターフェースを含むことができる。
【0063】
2つの補助ユニットが互いに上下に配置されている場合には、補助ユニットのうちの下側のものは、ケーブルによって補助ユニットのうちの上側のものの所定の位置に保持され、これによって補助ユニットのうちの下側のものを保守又は交換のために地上に降下させることができる。
【0064】
2つの補助ユニットは、主ユニットの一方の側に互いに上下に又は次々に配置されてもよく、2つの補助ユニットは、主ユニットの反対側に互いに上下に又は次々に配置されてもよい。
【0065】
動作構成要素は、発電機との電気的接続のために構成される電気コネクタを含むことができる。電気コネクタは、主ユニットと補助ユニットとの間のインターフェースを介して接続されてもよい。特に、このインターフェースは、主ユニット内の主スペースから操作することができ、それによって、補助ユニットに入ることなく接続又は接続の中断を可能にし得る。あるいは、このインターフェースは、補助ユニット内の補助スペースから操作することができ、それによって、主ユニットに入ることなく接続又は接続の中断を可能にし得る。
【0066】
主ユニットは、特に、動作構成要素から物理的に分離されたロータ支持アセンブリの隔離のために構成されてもよい。隔離は、例えば密閉、すなわち気密隔離、又は火災若しくは水の拡散を防止する防火又は防水隔離であってもよい。
【0067】
補助ユニットは、ロータ支持アセンブリからの変圧器及び変換器の隔離のために構成されてもよい。この場合も、気密隔離、防火隔離、または防水隔離とすることができる。
【0068】
一実施形態では、主ユニット及び補助ユニットは、例えば、ナセルの下からナセルの上へ、間隙を通って空気が通過することを可能にする間隙を形成するインターフェースで結合される。このような間隙は、熱対流を増加させ、したがって主ユニット及び補助ユニット内部の空間を冷却することができる。
【0069】
第1の懸架構造は、主ユニット及び補助ユニットの両方の壁の開口を通って間隙を横切って延在してもよく、開口と第1の懸架構造との間の空間は、例えば弾性ゴム又は他の可撓性材料のガスケットによって封止することができ、動作構成要素の荷重が主ユニット又は補助ユニットの壁に伝達されないことを確実にする。
【0070】
ガスケットは、例えばケーブル又はバスバーのためのドア又は通路などのアクセス通路が間隙を横切って延在する場所に配置されてもよい。ガスケットは、例えば前記ブローアウトパネル等の他の圧力解放構造が作用するブローアウト圧力を超える圧力に耐えるように設計されてもよい。
【0071】
一実施形態では、主ユニットと補助ユニットとの間に振動減衰材料が配置される。ゴム又は発泡材料、又は同様の弾性変形可能で振動減衰効果を有する材料が使用されてもよい。減衰材料は、特に、主ユニットと補助ユニットとの間で圧縮されてもよく、特に、主ユニットと補助ユニットとが釘、リベット、ボルト又は類似の機械的取り付けによって固定される場所に配置されてもよい。
【0072】
一実施形態では、主ユニットは補助ユニットよりも幅が広い。主ユニットが「幅が広い」とは、水平面における、回転軸に垂直なその寸法が、補助ユニットの同じ寸法よりも大きいことを意味する。主ユニットは、特に、シリーズ1貨物コンテナのためのISO規格ISO668:2013における寸法及び構造仕様に従う貨物輸送コンテナよりも幅広であってもよく、一方、補助ユニットは、ISO規格ISO668:2013のシリーズ1貨物コンテナのために規定されているサイズ又はそれよりも小さいものであってもよい。
【0073】
主ユニットに取り付けられ、またユニット固定構造が補助ユニットを主ユニットに接続することができる位置まで地面から垂直方向に吊り上げられるように構成されたクレーン構造を、ナセルは含むことができる。これは、クレーン構造が、補助ユニットを他の方向に移動させることなく、垂直に吊り上げるように構成されていることを意味する。この吊り上げ手順は、主ユニットと補助ユニットとの間の垂直方向以外の方向への相対的な移動を必要とせずに、取り付けを容易にする回転可能又は摺動可能なフックを含むユニット固定構造との組み合わせにおいて、特に好適である。
【0074】
クレーンは、例えば、懸架された構成と格納された構成との間で移動可能な片持ち梁構造を含むことができる。懸架構成では、片持ち梁構造は、補助ユニットを担持するように構成され、補助ユニットを主ユニットに向けて及び主ユニットから離れるように吊り上げるのに使用可能な少なくとも一つの及び任意選択的にいくつかの外側に突出する片持ち梁を形成する。特に、外側に突出する片持ち梁構造は、主ユニットの屋根部分に取り付けることができる。
【0075】
一実施形態では、電力変換アセンブリは、発電機からの電力を化学的に貯蔵された形態のエネルギー、例えば水素、アンモニア又はメタノールに変換するように構成される。したがって、動作構成要素は電解セルスタックや電池等で構成することができる。そのような構成要素は、補助ユニットに適切に収容することができ、有利には、比較的重量のある構成要素であるため、主ユニットに直接担持することができる。
【0076】
第2の態様において、本開示は、風力タービンを組み立てる方法を提供する。この方法によれば、主ユニットは、風力タービンが建設されている場所に輸送されてもよい。補助ユニットは、例えば、動作構成要素の供給者によって準備され、動作構成要素を含む風力タービンの建設現場に受け取られてもよく、動作構成要素は、補助ユニットに収容された状態で主ユニットに取り付けられる。
【0077】
特に、この方法は、ロータから風力タービンタワーへの荷重経路の一部を形成する主フレームに動作構成要素を直接取り付けることを含むことができる。
【0078】
組み立ての初期段階の間、動作構成要素は、補助ユニットによって担持され得る。設置時には、補助ユニットに担持された動作構成要素を、補助ユニットを主ユニットに装着可能な位置まで持ち上げる。ここでは、その位置を「組付位置」と呼ぶ。組付位置に到達すると、動作構成要素の荷重は補助ユニットから主ユニットへ、特に主ユニットにおける主フレームへ移動する。
【0079】
一実施形態では、ユニット固定構造が補助ユニットを主ユニットに接続する組付位置に向けて補助ユニットを移動させながら、第2の懸架構造から第1の懸架構造に荷重が伝達される。
【0080】
第3の態様において、本開示は、第1の態様による風力タービンを保守する方法を提供する。この方法によれば、動作構成要素は、補助ユニットに収容されている間に主ユニットから取り外され、地上での保守又は交換のために補助ユニット内で地上に降下される。
【0081】
主ユニットと補助ユニットは、火災、毒物流出、温度、又は電気に関する規制が異なる2つの安全カテゴリーに分類され得る。
【0082】
さらなる態様において、本開示は、風力タービンタワーに取り付けるように構成された風力タービンナセルを提供し、該ナセルは、
該風力タービンタワーに接続されるように配置され、及び前記ロータ支持アセンブリを収容する主ユニット及び、
少なくとも一つの補助ユニット、を含む。
【0083】
この態様では、主ユニットと補助ユニットは、インターフェースにおいてユニット固定構造により接続されるように構成された別個のユニットであり、主ユニットは、主ユニットに取り付けられ、ユニット固定構造が補助ユニットを主ユニットに接続することができる位置まで補助ユニットを地上から垂直方向に吊り上げるように構成されたクレーン構造を含む。特に、ユニット固定構造は、例えば本明細書に開示される枢動可能又は摺動可能なフックの形態の可動支持構造を含んでもよい。
【0084】
[番号が付けられた実施形態のリスト]
1.風力タービンタワー(3)に取り付けられ、及びロータ支持アセンブリ、発電機(33)、及び電力変換アセンブリを収容するように構成された風力タービンナセル(2)であって、該ナセルは、
前記風力タービンタワー(3)に接続されるように配置され、及び前記ロータ支持アセンブリを収容する主ユニット(20、72、101、121、192)及び、
前記電力変換アセンブリの一部を形成する動作構成要素(34、35、77、104)を収容する少なくとも一つの補助ユニット(21、22、61、62、71、102、122、191)、を備え、
前記主ユニット(20、72、101、121、192)と前記補助ユニット(21、22、61、62、71、102、122、191)は、インターフェースでユニット固定構造により接続されるように構成された別個のユニットであり、及び、
前記動作構成要素(34、35、77、104)は、前記主ユニット(20、72、101、121、192)に直接懸架される、ナセル。
2.前記主ユニット(20、72、101、121、192)は、前記発電機(33)を収容する、実施形態1に記載のナセル。
3.前記主ユニット(20、72、101、121、192)と前記補助ユニット(21、22、61、62、71、102、122、191)は、前記ロータ支持アセンブリによって画定される回転軸から離れる方向に並んで配置される、実施形態1又は2に記載のナセル。
4.前記動作構成要素(34、35、77、104)は、前記主ユニット(20、72、101、121、192)の主フレーム(106)に直接懸架されている前記先行する実施形態のいずれかに記載のナセル。
5.前記動作構成要素(34、35、77、104)は、電解セルスタック、変圧器、又は変換器である、前記先行する実施形態のいずれかに記載のナセル。
6.前記主ユニット(20、72、101、121、192)への前記動作構成要素(34、35、77、104)の解放可能な懸架のための第1の懸架構造(78)を備え、それによって、前記主ユニット(20、72、101、121、192)への前記動作構成要素(34、35、77、104)の直接の懸架を容易にする、前記先行する実施形態のいずれかに記載のナセル。
7.前記補助ユニット(21、22、61、62、71、102、122、191)への前記動作構成要素(34、35、77、104)の解放可能な懸架のための第2の懸架構造(78、91)を含む、前記先行する実施形態のいずれかに記載のナセル。
8.第1の懸架構造及び第2の懸架構造は、前記主ユニット(20、72、101、121、192)及び前記補助ユニット(21、22、61、62、71、102、122、191)の両方に前記動作構成要素(34、35、77、104)を同時に懸架するように構成される、前記実施形態6及び7に記載のナセル。
9.少なくとも二つの補助ユニット(21、22、61、62、71、102、122、191)を含む、前記先行する実施形態のいずれかに記載のナセル。
10.2つの補助ユニット(21、22、61、62、71、102、122、191)が、前記主ユニット(20、72、101、121、192)の両側に配置されている、前記実施形態9に記載のナセル。
11.2つの補助ユニット(21、22、61、62、71、102、122、191)が、水平面の両側にあり、下方及び上方補助ユニット(21、22、61、62、71、102、122、191)を形成する、前記実施形態10に記載のナセル。
12.2つの補助ユニット(21、22、61、62、71、102、122、191)が、前記主ユニット(20、72、101、121、192)の一方の側に互いに上下に配置され、及び、2つの補助ユニット(21、22、61、62、71、102、122、191)が、前記主ユニット(20、72、101、121、192)の反対側に互いに上下に配置されて前記主ユニット(20、72、101、121、192)の両側に下方及び上方補助ユニットを形成する、前記実施形態11に記載のナセル。
13.前記主ユニット(20、72、101、121、192)が、前記下方補助ユニット(62)を前記上方補助ユニット(61)に解放可能に固定するための第3の固定構造を含む、前記実施形態12に記載のナセル。
14.前記動作構成要素(34、35、77、104)は、前記主ユニット(20、72、101、121、192)内の前記発電機と電気的に接続するように構成された電気コネクタを含み、前記電気コネクタは、前記主ユニット(20、72、101、121、192)と前記補助ユニット(21、22、61、62、71、102、122、191)との間の前記インターフェースを介して接続される、前記先行する実施形態のいずれかに記載のナセル。
15.前記主ユニット(20、72、101、121、192)は、前記ロータ支持アセンブリを収容する閉鎖空間を形成し、それによって、変圧器及び変換器が主ユニットから物理的に分離される、実施形態5から14のいずれかに記載のナセル。
16.前記補助ユニット(21、22、61、62、71、102、122、191)は、前記ロータ支持アセンブリから前記動作構成要素(34、35、77、104)を分離するように構成される、前記先行する実施形態のいずれかに記載のナセル。
17.前記主ユニット(20、72、101、121、192)と前記補助ユニット(21、22、61、62、71、102、122、191)との間の前記インターフェースは、前記主ユニット(20、72、101、121、192)の表面と前記補助ユニット(21、22、61、62、71、102、122、191)の対向面との間を空気が通過することを可能にする間隙(167)を画定する、前記先行する実施形態のいずれかに記載のナセル。
18.前記主ユニットに取り付けられ、前記ユニット固定構造が前記補助ユニットを前記主ユニットに接続することができる位置まで前記補助ユニットを地上から吊り上げるように構成されたクレーン構造を含む、前記先行する実施形態のいずれかに記載のナセル。
19.前記クレーン構造は、前記補助ユニットを水平方向に移動させることなく垂直方向に吊り上げるように構成されている、実施形態18に記載のナセル。
20.実施形態1から19のいずれかに記載のナセルを有する風力タービンを組み立てる方法であって、
前記主ユニット(20、72、101、121、192)は、前記動作構成要素(34、35、77、104)を含む前記風力タービンの建設現場に受け入れられ、
前記補助ユニット(21、22、61、62、71、102、122、191)は、前記主ユニット(20、72、101、121、192)に取り付けられ、及び、
前記動作構成要素(34、35、77、104)は、前記補助ユニット(21、22、61、62、71、102、122、191)に収容された状態で、前記主ユニット(20、72、101、121、192)に直接取り付けられる、方法。
21.前記動作構成要素(34、35、77、104)は、前記主ユニット(20、72、101、121、192)の主フレームに直接取り付けられる、実施形態20に記載の方法。
22.前記主ユニットは風力タービンタワーに取り付けられ、及び前記補助ユニットは、前記主ユニットに取り付けられたクレーン構造を使用することによって、前記主ユニットに吊り上げられ、又は前記主ユニットから降下される、実施形態20又は21に記載の方法。
23.前記補助ユニットは、前記クレーン構造を用いて垂直面内でのみ吊り上げられる、実施形態22に記載の方法。
24.実施形態1から19のいずれかに記載のナセルを有する風力タービンを保守する方法であって、前記動作構成要素(34、35、77、104)は、前記補助ユニット(21、22、61、62、71、102、122、191)に収容されている間に、前記主ユニット(20、72、101、121、192)から取り外され、地上での保守又は交換のために、前記補助ユニット(21、22、61、62、71、102、122、191)内で地上に降下される方法。
【0085】
以下、本開示の実施形態を、以下の図面を参照してさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0086】
図1a】風力タービンを示す図。
図1b】風力タービンを示す図。
図2】風力タービンのナセルを示す図。
図3図2のナセルの斜視図。
図4図3のナセルを上方から見た図。
図5】左側及び右側の補助ユニットが同一の構成要素を含む実施形態を示す図。
図6】2つの補助ユニット61、62が上下に配置された実施形態を示す図。
図7】インターフェースの詳細の概略図。
図8】補助ユニットが主ユニットに取り付けられた後の、図7の主ユニット及び補助ユニットを示す図。
図9】第1の懸架構造がボルト形状の固定ピンによって構成される実施形態を示す図。
図10】第1の及び第2の懸架構造の別の実施形態をさらに詳細に示した図。
図11】第1の及び第2の懸架構造の別の実施形態をさらに詳細に示した図。
図12】主ユニットと補助ユニットとの間のインターフェースの4つの異なる実施形態を示す図。
図13】主ユニットと補助ユニットとの間のインターフェースの4つの異なる実施形態を示す図。
図14】主ユニットと補助ユニットとの間のインターフェースの4つの異なる実施形態を示す図。
図15】主ユニットと補助ユニットとの間のインターフェースの4つの異なる実施形態を示す図。
図16】主ユニット及び補助ユニットがヒンジ構造によって組み付けられる実施形態を示す図。
図17】主ユニット及び補助ユニットがヒンジ構造によって組み付けられる実施形態を示す図。
図18】主ユニット及び補助ユニットがヒンジ構造によって組み付けられる実施形態を示す図。
図19a】補助ユニットを主ユニットに取り付けるためのフックの更なる詳細を示す図。
図19b】補助ユニットを主ユニットに取り付けるためのフックの更なる詳細を示す図。
図19c】補助ユニットを主ユニットに取り付けるためのフックの更なる詳細を示す図。
図20】補助ユニットを主ユニットに取り付けるためのフックの更なる詳細を示す図。
図21】補助ユニットを自由に地上へ降下できる開位置のフックを示す図。
図22】補助ユニットを主ユニットに取り付けるための2つのボルト穴を有する断面を示す図。
図23】フックが摺動するように構成される実施形態を示す図。
図24】フックが摺動するように構成される実施形態を示す図。
図25a】フックが摺動するように構成される実施形態を示す図。
図25b】フックが摺動するように構成される実施形態を示す図。
図26】補助ユニットを吊り上げるための主ユニットのクレーンの実施形態を示す図。
図27】補助ユニットを吊り上げるための主ユニットのクレーンの実施形態を示す図。
図28】補助ユニットを吊り上げるための主ユニットのクレーンの実施形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0087】
詳細な説明及び具体例は、実施形態を示すが、本開示の趣旨及び範囲内の様々な変更及び修正がこの詳細な説明から当業者には明らかになるので、例示としてのみ与えられる。
【0088】
図1a及び図1bは、タワー3にナセル2を取り付けた風力タービン1を示す。3枚のロータブレード5を担持するハブ4は、ロータを形成し、ナセル2内のロータ支持アセンブリによって担持される。典型的には、ロータ支持アセンブリは、ギア配列と発電機とをハブに接続するロータシャフトを備える。しかし、ギアは、発電機がシャフトによって直接駆動され得るので、必ずしも必要ではない。図1bは、ナセルの外側に配置された発電機6を有する直接駆動(ダイレクトドライブ)風力タービンを示す。
【0089】
図2は、ナセルが主ユニット20と2つの補助ユニット21、22とを備えることを示す。ナセルの頂部には冷却領域23が配置されている。冷却領域は、主ユニット及び/又は補助ユニットの一部を形成し得る熱交換器によって形成される。主ユニット20は、ヨーイング装置(不図示)を介してタワー3に取り付けられ、ロータを風に向けるためにナセル2が回転することを可能にする。
【0090】
図3は、図2のナセル2の斜視図を示す。図3において、ナセル2の外壁は(説明のために)透明であり、それによってナセル2の内部部品及びそこに収容されている風力タービン構成要素を明らかにしている。主ユニット20は、ハブ4の回転軸によって画定される方向に沿ってハブ4の後方に順次配列された、主シャフトを回転可能に支持する主軸受ユニット31と、ギア構成32及び発電機33を収容している。主ユニット内の構成要素は、主に駆動系の一部を形成する。
【0091】
補助ユニット22は、変圧器ユニット34及び変換器ユニット35を収容しており、これらはここでは補助ユニットに収容されているが主ユニットによって担持されている2つの異なる動作構成要素を構成している。代替的な実施形態では、動作構成要素は、電解セルスタック又は電池であり得る。
【0092】
各補助ユニット21、22は、ユニット固定構造により主ユニット20の側部に沿って取り付けられている。開示された実施形態では、ハブ4から主ユニット20の後壁に向かうハブ4の回転軸に沿った方向に見て、一方の補助ユニット21が主ユニット20の右側に沿って取り付けられ、他方の補助ユニット22が主ユニット20の左側に沿って取り付けられるように、それらは取り付けられる。
【0093】
主ユニット及び補助ユニットは、1つの区画が補助ユニットによって形成されて補助空間を画定し、別の区画が主ユニットによって形成されて主空間を画定するように、囲繞され、任意選択で封止可能なユニットである。これにより、駆動系を変換器及び変圧器から隔離することができる。2つの区画は、人員及び機器が主ユニットの主空間から補助ユニットの補助空間に入ることができるように協働する開口36によって結合されてもよい。また、開口36は封止されてもよく、それによって、火災等が主ユニット及び補助ユニットの一方から主ユニット及び補助ユニットの他方へ広がることを防止することができる。
【0094】
図4は、ナセルを上から見た図である。
【0095】
図5は、左側及び右側の補助ユニットが、重量バランス及び二重機能を確立する少なくとも一つの同一の構成要素を含む実施形態を示す。二重機能とは、風力タービンが2つの同様に機能する構成要素を含み、1つが補助ユニットの各々に含まれることを意味する。該構成要素は、性質及び仕様が同一であってもよい。一方のユニットの構成要素が故障した場合、風力タービンは、他方の補助ユニットの動作構成要素が交換される間、低減された電力で動作を継続することができる。
【0096】
図4及び図5は、主ユニットから補助ユニット内に延在し、予備部品等の取り扱いを容易にするレール42を備える搬送システムを示す。
【0097】
図2図5において、補助ユニットは、シリーズ1貨物コンテナのためのISO規格、ISO668:2013によって規定されるような寸法及び構造仕様を有する40フィート貨物輸送コンテナのような、標準化貨物コンテナの形状及びサイズを概ね有する要素によって構成される。補助ユニットは、典型的には鋼で成形され、コンテナへの特に強いインターフェースを構成する、ISOコーナー昇降構造によって主ユニットに取り付けられる。
【0098】
図6は、2つの補助ユニット61、62が上下に配置された実施形態を示す。本実施形態では、上方補助ユニット61は、40フィートの貨物輸送コンテナの大きさ及び形状を有するユニットで構成され、下方補助ユニット62は、20フィートの貨物輸送コンテナの大きさ及び形状を有するユニットで構成される。両方のコンテナは、ISO規格、ISO668:2013によって規定されるような寸法及び構造仕様を有し、補助ユニットは、主に20フィートコンテナのコーナー昇降配置によって、及び部分的に40フィートコンテナのコーナー昇降配置によって互いに取り付けられる。あるいは、両方の補助ユニットは同じ長さを有する。
【0099】
図7にインターフェースの詳細を概略的に示す。インターフェースは、補助ユニット71と主ユニット72とを解放可能に結合し、設置場所への搬送後に補助ユニットを主ユニットに取り付けたり、または、例えば保守中に補助ユニットを交換することを可能にする。開示された実施形態では、補助ユニット71は、任意の他のユニットから独立して主ユニット72に取り付けられ、ユニット固定構造は、主ユニットの内向き溝又はトラック73によって構成される。トラック73は点線で示され、外面75への凹部を画定する。トラックは、水平断面においてC字形の輪郭を有し、すなわち、上から見たとき、補助ユニットに設けられた突起74を受け入れるように構成され、特に、補助ユニット71が主ユニット72の外面75に沿って降下される手順により突起74を受け入れることができる。これは矢印76によって示されている。この手順により、他の補助ユニット及びその中に収容された動作構成要素を取り外すことなく、補助ユニット及びその中に収容された動作構成要素を容易に交換することを可能にする。
【0100】
主ユニットは、補助ユニットに収容された動作構成要素から、例えば主フレームを介してタワーに至るまでの荷重経路を形成することができる。特に、この荷重経路は、補助ユニットからタワーへの荷重経路とは異なるものであってもよい。以下、これを様々な実施形態に関して説明する。
【0101】
補助ユニット71は、ボルト形状の固定ピン78によって構成される第2の懸架構造によって補助ユニットに固定される変換器77を収容する。
【0102】
主ユニットは、外壁に取り付けられ、補助ユニットが主ユニットに受け入れられて固定されたときに変換器77の重量を受けるように構成された補強ブラケット79を有する。
【0103】
図8は、図7の主ユニットと補助ユニットを、補助ユニットを主ユニットに取り付けた後の状態を示している。この状態で、ボルト形状の固定ピン78が左側方に延在し、それによって補強ブラケット機構79に係合する。ブラケットは、主ユニット内の剛性フレームに接続されてもよく、例えば、メインフレームに支持され、それによって動作構成要素からの荷重を主フレームを介してタワーに直接向けるようにしてもよい。
【0104】
ボルト形状の固定ピンは、変換器が主ユニットによって直接担持される第1の懸架構造を構成する。第1の懸架構造は、動作構成要素からタワー内への荷重経路の一部を形成し、主ユニットと補助ユニットとの間のインターフェースは、補助ユニットからタワー内への別の荷重経路の一部を形成する。
【0105】
図7及び図8に示す実施形態では、第1及び第2の懸架構造は両方とも、変換器から、補助ユニット又は主ユニットの一方又は両方に延在する同じセットのボルトによって構成される。
【0106】
図9は一実施形態を示し、第1の懸架構造はボルト形状の固定ピンで構成され、第2の懸架構造は変換器の底部と補助ユニットの底部との間の支持脚91で構成される。
【0107】
図10は、第1及び第2の懸架構造の別の実施形態をさらに詳細に示す。本実施形態では、主ユニット101と補助ユニット102とは、補助ユニット102を構成するコンテナのコーナー昇降点103によって構成されるユニット固定構造によって接合される。
【0108】
変圧器104は、ここでは補助ユニット102の底部に載置される支持フレーム105の形態である第1の懸架構造によって担持され、それは主ユニット101内の主フレーム106に直接懸架されている。これにより、主フレームは、タワー内への動作構成要素のための荷重経路の一部を形成する。
【0109】
これにより、変圧器104の重量の少なくとも50%が主ユニット101によって担持され、残りの重量が補助ユニットによって担持され、補助ユニット102は再び主ユニット101によって担持される。それにより、重量の残りの部分は、主ユニット101によって直接担持されない。
【0110】
図11は、図10の実施形態と同等の実施形態を示すが、懸架構造105は、主ユニット101内の主フレーム106に配置された下方ブラケット1101及び上方ブラケット1102を含むブラケット構造を介して懸架された支持フレーム105を備える。これにより、主フレームは、タワー内への動作構成要素のための荷重経路を形成する。
【0111】
図12図15は、主ユニットと補助ユニットとの間のインターフェースを形成するユニット固定構造の4つの異なる実施形態を示す。これらの4つの図の各々において、主ユニット121と補助ユニット122は、ユニット固定構造を形成し、以下にさらに詳細に説明される協働構造によって接続される。
【0112】
図12において、協働構造はブラケット123で構成され、それによって主ユニットと補助ユニットがボルトによって結合されている。
【0113】
図13において、協働構造は、図12で使用されたものと同様の下方ブラケット123によって構成される。上端において、主ユニットと補助ユニットは、ヒンジ点132で主ユニットに枢動可能に結合されたフック131によって組付けられる。フックは、矢印によって示されるように回転することができ、図示された位置にあるとき、補助ユニットのエッジブラケット133に係合することができる。下方ブラケット123を取り外し、フック131を主ユニット内に回転させると、補助ユニットを地上に降下させることができる。
【0114】
図14の実施形態は図13の実施形態と同等であるが、下方ブラケットが上方ブラケット141に置き換えられ、フックが下端に配置される。
【0115】
図15において下方ブラケットと上方ブラケットは、補助ユニットを主ユニットにボルト止めするために使用され、摺動可能な支持体151は、ボルトが取り付けられた状態で補助ユニットの下面を支持する。例えば、動作構成要素の交換又は保守のために補助ユニットを地上に降下することが望まれる場合、摺動可能な支持体を左に摺動させることができ、補助ユニットを、例えば、主ユニット内に組み込まれたクレーンを使用して降下することができる。
【0116】
図12図15に示す実施形態のいずれにおいても、ブラケット又はフックは、補助ユニットから主ユニットの剛性部分、例えば主ユニットの荷重担持柱、例えば隅柱に荷重を導く。様々な構造機構は、補助ユニットを担持するブラケット又はフックを主ユニット内の主フレームに直接接続し、それによってタワー内への荷重経路を確立することができる。
【0117】
図12図15に示すフック及びブラケット固定構造に加えて、第1の懸架構造(不図示)は、動作構成要素(不図示)を主ユニット内部の主フレームに直接接続する。
【0118】
図16図18は、ヒンジ要素を通って延在するヒンジピン166を受け入れるための穴を有するヒンジ要素163、164、165を含むヒンジ構造によって主ユニット及び補助ユニットが組み付けられるユニット固定構造の実施形態を示している。図16はさらに、インターフェースが間隙167を形成し、空気が例えばナセルの下からナセルの上へ間隙を通って通過することを可能にすることを示す。間隙は、距離要素168によって底部で開いた状態に保持され、この距離要素は、空気がユニット間を通過することを可能にする複数のピン又は開放構造によって構成され得る。
【0119】
このような間隙は、熱対流を増加させ、したがって主ユニット及び補助ユニット内の空間の冷却を増加させ得る。間隙は、ヒンジ構造を有する実施形態に限定されるものではなく、任意の他の組付方法と組み合わせることができる。第1の懸架構造は、間隙を横切って延在してもよい。
【0120】
図17及び図18は、ヒンジ要素163、164、165及びヒンジピン166を示す。図17において、ヒンジ要素は、ヒンジピンをヒンジ要素内に滑り込むことができるように、互いに対して正確に位置決めされる。図18において、ヒンジピンは、ヒンジ要素の穴を通して挿入される。
【0121】
図19a、図19b及び図19cは、補助ユニット191を主ユニット192に取り付けるためのフックの形態でのユニット固定構造のさらなる詳細を示す。フック193は、主ユニットにおけるヒンジ194で回転して懸架されている。フックは、補助ユニットにおける開口195を通って回転し、補助ユニットの凹部又は縁部196を捕捉することができる。
【0122】
フックはまた、補助ユニットに取り付けられ、主ユニットの凹部又は縁部を捕捉することができ、その場合、フックは逆に、すなわち図20に示すように取り付けられてもよい。フックの位置はアクチュエータによって制御することができる。
【0123】
図21は、補助ユニットが自由に地上に降下できる開位置にあるフックを示す。
【0124】
図22は、2つのボルト穴221が見える断面を示す。ボルト穴は、堅固な固定のためにボルトを使用して補助ユニットを主ユニットに取り付けることを容易にする。この実施形態では、フックは主に補助ユニットを主ユニットに対して適正な高さに位置決めするためのものであり、ボルトはユニットを結合するためのものである。
【0125】
図19図21及び図22では、フックは、好ましくは、例えば主ユニットの内面に沿って配置された支柱又は支持柱を介して、主ユニットの主フレームによって支持される。図19において、支柱197は、主ユニットの内面に沿って延在し、主ユニットの底部において主フレーム上のフックを支持する。
【0126】
図20において、フックが補助ユニットの一部を形成する場合、フックが係合する主ユニットの縁部は、好ましくは主ユニットの主フレームによって支持され得る。この場合も、これは主ユニットの内面に沿って配置された柱又は支柱を介して行うことができる。
【0127】
フックは、例えば油圧駆動アクチュエータを含む動力駆動手段によって、開位置(図21)と閉位置(図19、20、22)との間で移動させることができる。
【0128】
図23図24図25は、フックが回転して懸架されるのではなく、摺動して懸架される実施形態を示す。機能は、図19図22の実施形態と同様である。図23及び図24において、断面図は、補助ユニットを主ユニットに堅固にボルトで固定するために使用できるボルト穴231を示す。図23のフックは主ユニットに、図24のフックは補助ユニットに取り付けられている。
【0129】
図25aでは、フック251が左に摺動され、それによって補助ユニットの縁部の係合が解除され、補助ユニットを地上に降下させることができる。図25bでは、フック251が右側に摺動され、それによって補助ユニットの縁部を係合させ、2つのユニットを互いに固定して保持する。フックは、動力駆動手段によって、例えば油圧アクチュエータによって摺動されてもよい。
【0130】
上記の説明において、図19図25では、補助ユニットを主ユニットに固定するユニット固定構造の一部として説明した。同様の構造は、第1の懸架構造を構成することができ、それによって動作構成要素が主ユニットに解放可能に固定される。また、同様の構造は、動作構成要素が補助ユニットに解放可能に固定される第2の懸架構造を構成してもよく、同様の構造は、2つの補助ユニットが互いに固定される第3の固定構造を構成してもよい。
【0131】
図26は、保守又は交換中の補助ユニットの昇降を示す。補助ユニットは、主ユニットの一部を形成するクレーン261を用いて吊り上げられる。移動は、本質的に矢印263によって示される垂直面内のみであり、補助ユニットの主ユニットへの取り付けは、ヒンジ式又は摺動可能なフック等のような可動固定機構を含む、前述のようなユニット固定構造によって促進されてもよい。
【0132】
図27は、内部クレーン261を拡大図で示す。クレーンは、主ユニットの屋根部分に取り付けられ、その位置によって、前記ユニット固定構造が主ユニットと補助ユニットとの係合を形成できる位置まで補助ユニットを垂直方向に吊り上げることができる。この手順は、垂直方向以外の方向への移動を必要としないようにでき、したがって、外部クレーン補助の必要性を低減した簡単な組立手順を促進する。水平面における調整のために、クレーン261は、例えば矢印262によって示されるように水平方向に移動するオプションを有することができる。
【0133】
図28は、主ユニット282の屋根に二重片持ち梁281を有する別のクレーン構造を概略的に示す。片持ち梁281は、伸縮部283において横方向に伸張することができる。片持ち梁は、補助ユニット284の主ユニット282への持ち上げ及び接続を促進する。旋回可能又は摺動可能なフックを含む、本明細書に開示されたユニット固定構造は、概して、垂直方向にのみ吊り上げることによって補助ユニットの取り付けを容易にするが、出入りする動作は、主ユニットと補助ユニットとの間の水平距離の微調整を促進する。
【0134】
[用語の定義]
本明細書では、「ナセル」という用語は、風力タービンのための機械室、すなわちロータ及び駆動系を担持し、風力タービンタワーによって担持される部分を説明する一般的に受け入れられた用語を意味する。
【0135】
「主ユニット」及び「補助ユニット」という用語は、本明細書では、別々に輸送することができ、1つ以上の他のユニットと組み立ててナセルを形成することができるユニットを意味する。
【0136】
本明細書では、「ロータ支持アセンブリ」という用語は、ロータ、典型的には駆動系、主軸受及び主フレームを担持するナセルの部品を指す。駆動系は、風力タービンのタイプに応じて異なる構成要素、例えば、ロータシャフト、発電機、及び任意にロータシャフトと発電機との間のギアボックスを含むことができる。
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19a
図19b
図19c
図20
図21
図22
図23
図24
図25a
図25b
図26
図27
図28