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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】垂直型二次電池正極材焼成装置
(51)【国際特許分類】
   F27B 9/02 20060101AFI20240829BHJP
   F27B 9/26 20060101ALI20240829BHJP
   F27B 9/38 20060101ALI20240829BHJP
   F27B 9/39 20060101ALI20240829BHJP
   F27B 9/20 20060101ALI20240829BHJP
   F27B 9/12 20060101ALI20240829BHJP
   F27B 1/02 20060101ALI20240829BHJP
   F27D 7/02 20060101ALI20240829BHJP
   F27D 9/00 20060101ALI20240829BHJP
   F27D 13/00 20060101ALI20240829BHJP
   F27D 17/00 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
F27B9/02
F27B9/26
F27B9/38
F27B9/39
F27B9/20
F27B9/12
F27B1/02
F27D7/02 Z
F27D9/00
F27D13/00 B
F27D17/00 101G
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022538298
(86)(22)【出願日】2020-12-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-27
(86)【国際出願番号】 KR2020017411
(87)【国際公開番号】W WO2021125628
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-06-20
(31)【優先権主張番号】10-2019-0171874
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】592000691
【氏名又は名称】ポスコホールディングス インコーポレーティッド
(73)【特許権者】
【識別番号】592000705
【氏名又は名称】リサーチ インスティチュート オブ インダストリアル サイエンス アンド テクノロジー
(73)【特許権者】
【識別番号】511038879
【氏名又は名称】ポスコ ケミカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、 チュンモ
(72)【発明者】
【氏名】フワン、 スン チョル
(72)【発明者】
【氏名】パク、 ユンチョル
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、 キヤン
【審査官】村岡 一磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-099406(JP,A)
【文献】特開平10-170157(JP,A)
【文献】国際公開第2004/038074(WO,A1)
【文献】特開平10-238953(JP,A)
【文献】特開2010-121856(JP,A)
【文献】特開平01-121681(JP,A)
【文献】特公昭47-043438(JP,B1)
【文献】特開平04-193767(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27B 9/02
F27B 9/26
F27B 9/38
F27B 9/39
F27B 9/20
F27B 9/12
F27B 1/02
F27D 7/02
F27D 9/00
F27D 13/00
F27D 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池正極材を垂直方向に移動させて焼成する垂直型二次電池正極材焼成装置であって、
上部に位置し内部ガスが排気される排気部、下部に位置し外部ガスが供給される給気部、および前記排気部と前記給気部の間に位置し前記垂直方向に延長された焼成空間を含む垂直型焼成炉;および
前記垂直型焼成炉の前記焼成空間を加熱するヒーター
を含み、
前記二次電池正極材は、前記排気部に投入されて前記焼成空間を経て前記給気部に排出され、
前記焼成空間は、前記排気部と連通する昇温空間、前記給気部と連通する冷却空間、および前記昇温空間と前記冷却空間の間で前記昇温空間および前記冷却空間と連通する温度維持空間を含み、
前記温度維持空間の温度は、前記昇温空間の温度および前記冷却空間の温度に対比して高く、
前記垂直型焼成炉は、前記給気部、前記排気部、および前記焼成空間を形成する四角柱型断熱材をさらに含み、
前記ヒーターは、前記温度維持空間に対応して四角柱型断熱材内部に位置する、垂直型二次電池正極材焼成装置。
【請求項2】
前記ヒーターは、前記温度維持空間のみを加熱する、請求項1に記載の垂直型二次電池正極材焼成装置。
【請求項3】
前記二次電池正極材は、前記焼成空間で前記垂直方向に積層された複数のサヤ(sagger)に収納され、
前記排気部と隣接し、前記複数のサヤのうちの最上層に位置する第1サヤを前記排気部に投入する投入部;および
前記給気部と隣接し、前記複数のサヤのうちの最下層に位置する第2サヤを前記給気部から排出する排出部
をさらに含む、請求項1または2に記載の垂直型二次電池正極材焼成装置。
【請求項4】
前記投入部は、
前記排気部に前記第1サヤを移送する第1ローラー;および
前記第1ローラー上の前記第1サヤを前記排気部に押す第1プッシャー
を含み、
前記排出部は、
前記焼成空間で前記複数のサヤのうちの前記第2サヤ上に位置する第3サヤを支持するストッパー;
前記給気部から排出された前記第2サヤを支持するサポーター;
前記サポーターと隣接する第2ローラー;および
前記サポーター上の前記第2サヤを前記第2ローラー上に押す第2プッシャー
を含む、請求項3に記載の垂直型二次電池正極材焼成装置。
【請求項5】
前記二次電池正極材は、グラニュール(granule)形態またはブリケット(briquette)形態である、請求項1からのいずれか1項に記載の垂直型二次電池正極材焼成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は、垂直型二次電池正極材焼成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、二次電池正極材焼成装置は、正極材を収納したサヤ(sagger)を焼成炉で材料の特性によって400℃~1100℃の温度で焼成する装置である。
【0003】
二次電池正極材焼成装置を用いた焼成工程でサヤに収納された正極材から水蒸気および二酸化炭素ガスなどが発生し、このうちの二酸化炭素ガスの場合、焼成炉雰囲気調節のために使用される酸素や空気に比べて分子量が大きいためサヤ外部に放出されにくい。サヤ内部に残る二酸化炭素ガスは、正極材から焼成された正極活物質表面のリチウム酸化物と化学反応を起こして炭酸リチウムを生成させる問題点がある。
【0004】
従来の二次電池正極材焼成装置は、サヤに収納された正極材から発生した水蒸気および二酸化炭素ガスをサヤ外部に放出させるとともに焼成反応のために、一方向に移動するサヤが位置する焼成空間の下部、上部、および側面に酸素および空気などのガスを供給した。
【0005】
しかし、従来の二次電池正極材焼成装置は、サヤの外部からサヤの内部にガスが流入するサヤのウィンドウ(window)の断面積が、サヤが位置する焼成空間の断面積に対比して非常に小さくて、焼成空間の断面を通過するガスの全体流量中のうち非常に小さな量のみがサヤの内部に流入する問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一実施形態は、二次電池正極材に供給されるガスの流量を増加させて二次電池正極材から発生する二酸化炭素ガス排出を向上させるとともに二次電池正極材の焼成反応を向上させる垂直型二次電池正極材焼成装置を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一側面は、二次電池正極材を垂直方向に移動させて焼成する垂直型二次電池正極材焼成装置であって、上部に位置し内部ガスが排気される排気部、下部に位置し外部ガスが供給される給気部、および前記排気部と前記給気部の間に位置し前記垂直方向に延長された焼成空間を含む垂直型焼成炉、および前記垂直型焼成炉の前記焼成空間を加熱するヒーターを含み、前記二次電池正極材は前記排気部に投入されて前記焼成空間を経て前記給気部に排出され、前記焼成空間は前記排気部と連通する昇温空間、前記給気部と連通する冷却空間、および前記昇温空間と前記冷却空間の間で前記昇温空間および前記冷却空間と連通する温度維持空間を含み、前記温度維持空間の温度は前記昇温空間の温度および前記冷却空間の温度に対比して高い、垂直型二次電池正極材焼成装置を提供する。
【0008】
前記ヒーターは、前記温度維持空間のみを加熱することができる。
【0009】
前記垂直型焼成炉は前記給気部、前記排気部、および前記焼成空間を形成する四角柱型断熱材をさらに含み、前記ヒーターは前記温度維持空間に対応して四角柱型断熱材内部に配置できる。
【0010】
前記二次電池正極材は前記焼成空間で前記垂直方向に積層された複数のサヤ(sagger)に収納され、前記排気部と隣接し、前記複数のサヤのうちの最上層に位置する第1サヤを前記排気部に投入する投入部、および前記給気部と隣接し、前記複数のサヤのうちの最下層に位置する第2サヤを前記給気部から排出する排出部をさらに含むことができる。
【0011】
前記投入部は、前記排気部に前記第1サヤを移送する第1ローラー、および前記第1ローラー上の前記第1サヤを前記排気部に押す第1プッシャーを含み、前記排出部は、前記焼成空間で前記複数のサヤのうちの前記第2サヤ上に位置する第3サヤを支持するストッパー、前記給気部から排出された前記第2サヤを支持するサポーター、前記サポーターと隣接する第2ローラー、および前記サポーター上の前記第2サヤを前記第2ローラー上に押す第2プッシャーを含むことができる。
【0012】
前記垂直型焼成炉は、前記給気部、前記排気部、および前記焼成空間を形成する円柱型断熱材、および前記円柱型断熱材で前記焼成空間と対向する内壁をさらに含み、前記ヒーターは前記温度維持空間に対応して前記内壁の内部に配置できる。
【0013】
前記二次電池正極材は、前記焼成空間で前記内壁と接触してもよい。
【0014】
前記焼成空間の直径は、前記排気部の直径および前記給気部の直径に対比して大きくてもよい。
【0015】
前記二次電池正極材は、グラニュール(granule)形態またはブリケット(briquette)形態であってもよい。
【発明の効果】
【0016】
一実施形態によれば、二次電池正極材に供給されるガスの流量を増加させて二次電池正極材から発生する二酸化炭素ガス排出を向上させるとともに二次電池正極材の焼成反応を向上させる垂直型二次電池正極材焼成装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一実施形態による垂直型二次電池正極材焼成装置を示した図である。
図2図1に示された一実施形態による垂直型二次電池正極材焼成装置に二次電池正極材が収納されたサヤが投入および排出されることを示した図である。
図3】一実施形態による垂直型二次電池正極材焼成装置の効果を説明するための図およびグラフである。
図4】他の実施形態による垂直型二次電池正極材焼成装置を示した図である。
図5】他の実施形態による垂直型二次電池正極材焼成装置の効果を説明するための図およびグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施形態について本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳しく説明する。本発明は様々の異なる形態に実現でき、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0019】
本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一な参照符号を付けるようにする。
【0020】
また、明細書全体で、ある部分がある構成要素を“含む”という場合、これは特別に反対になる基材がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含むことができるのを意味する。
【0021】
以下、図1図3を参照して一実施形態による垂直型二次電池正極材焼成装置を説明する。
【0022】
図1は、一実施形態による垂直型二次電池正極材焼成装置を示した図である。
【0023】
図1を参照すれば、一実施形態による垂直型二次電池正極材焼成装置は、グラニュール(granule)またはブリケット(briquette)形態の二次電池正極材CMが収納された複数のサヤSAを垂直型焼成炉100の焼成空間130で垂直方向に移動させながら加熱して複数のサヤSAに収納された二次電池正極材CMを垂直方向に移動させて焼成する。複数のサヤSAの底には焼成空間130の下部から上部に移動するガスGAが通過する貫通型スリットSLが形成されている。
【0024】
一実施形態で、複数のサヤSAは垂直型焼成炉100の焼成空間130に垂直方向に多層積層されて移動しているが、これに限定されず、一サヤSAが垂直型焼成炉100の焼成空間130に垂直方向に単層で移動できる。
【0025】
垂直型二次電池正極材焼成装置は、昇温区間A1、温度維持区間A2、冷却区間A3を含む。
【0026】
昇温区間A1は、複数のサヤSAに収納された二次電池正極材CMの特性によって設定された温度(一例として、400℃~1100℃)に昇温される区間である。
【0027】
温度維持区間A2は、設定された温度を維持する区間である。
【0028】
冷却区間A3は、設定された温度から冷却される区間である。
【0029】
垂直型二次電池正極材焼成装置は、垂直型焼成炉100、ヒーター200、投入部300、排出部400を含む。
【0030】
垂直型焼成炉100は、排気部110、給気部120、焼成空間130、四角柱型断熱材140を含む。
【0031】
排気部110は垂直型焼成炉100の上部に位置し、排気部110を通じて垂直型焼成炉100内部の焼成空間130に位置する内部のガスGAが外部に排気される。排気部110を通じて複数のサヤSAに収納された二次電池正極材CMが焼成空間130に投入される。排気部110を通じて焼成空間130から排気される内部のガスGAは、給気部120を通じて焼成空間130に供給された空気および酸素ガスに加えて複数のサヤSAに収納された二次電池正極材CMから排出された二酸化炭素ガスおよび水蒸気をさらに含むことができるが、これに限定されない。
【0032】
給気部120は垂直型焼成炉100の下部に位置し、給気部120を通じて外部のガスGAが垂直型焼成炉100内部の焼成空間130に供給される。給気部120を通じて複数のサヤSAに収納された二次電池正極材CMが焼成空間130から排出される。二次電池正極材CMは、排気部110に投入されて焼成空間130を経て給気部120に排出される。外部のガスGAは給気部120に投入されて焼成空間130を経て排気部110に排出される。給気部120を通じて焼成空間130に供給される外部のガスGAは空気および酸素ガスを含むことができるが、これに限定されない。
【0033】
焼成空間130は、排気部110と給気部120の間で排気部110および給気部120と連通する。焼成空間130は、排気部110と給気部120の間で垂直方向に延長される。焼成空間130は二次電池正極材CMが収納された複数のサヤSAが垂直方向に移動する空間であり、垂直方向の上部から下部に順次に連通する昇温空間S1、温度維持空間S2、冷却空間S3を含む。
【0034】
昇温空間S1は、排気部110と隣接して排気部110と連通する。
【0035】
温度維持空間S2は、昇温空間S1と冷却空間S3の間で昇温空間S1および冷却空間S3と連通する。
【0036】
温度維持空間S2の温度は、昇温空間S1の温度および冷却空間S3の温度に対比して高い。
【0037】
冷却空間S3は、給気部120と隣接して給気部120と連通する。
【0038】
焼成空間130で二次電池正極材CMが収納された複数のサヤSAは垂直方向に積層されて垂直方向に移動する。焼成空間130で複数のサヤSAは焼成空間130の上部から下部に移動し、ガスは焼成空間130の下部から上部に移動する。即ち、複数のサヤSAに収納された二次電池正極材CMは焼成空間130で垂直方向に順次に昇温空間S1、温度維持空間S2、冷却空間S3に移動し、ガスGAは焼成空間130で垂直方向に順次に冷却空間S3、温度維持空間S2、昇温空間S1に移動する。
【0039】
四角柱型断熱材140は、給気部120、排気部110および焼成空間130を形成する。四角柱型断熱材140の上部には排気部110が形成され、四角柱型断熱材140の下部には給気部120が形成され、四角柱型断熱材140の内部には焼成空間130が形成される。四角柱型断熱材140は四角柱形態を有するが、これに限定されず、円柱、多角柱形態を有することができる。
【0040】
ヒーター200は、垂直型焼成炉100の焼成空間130を加熱する。ヒーター200は温度維持空間S2に対応して位置して温度維持空間S2のみを加熱することができるが、これに限定されない。ヒーター200は温度維持空間S2に対応して四角柱型断熱材140の内部に位置する。
【0041】
図2は、図1に示された一実施形態による垂直型二次電池正極材焼成装置に二次電池正極材が収納されたサヤが投入および排出されることを示した図である。
【0042】
図1および図2を参照すれば、投入部300は排気部110と隣接し、複数のサヤSAのうちの最上層に位置する第1サヤSA1を排気部110に投入する。
【0043】
投入部300は、第1ローラー310、第1プッシャー320を含む。
【0044】
第1ローラー310は排気部110と隣接し、排気部110に第1サヤSA1を移送する。
【0045】
第1プッシャー320は、第1ローラー310上に位置する第1サヤSA1を排気部110に押す。
【0046】
投入部300は前述の構造に限定されず、複数のサヤSAのうちの最上層に位置する第1サヤSA1を排気部110に投入する多様な構造を有することができる。
【0047】
排出部400は給気部120と隣接し、複数のサヤSAのうちの最下層に位置する第2サヤSA2を給気部120から排出する。
【0048】
排出部400は、ストッパー410、サポーター420、第2ローラー430、第2プッシャー440を含む。
【0049】
ストッパー410は、焼成空間130で複数のサヤSAのうちの第2サヤSA2上に位置する第3サヤSA3を支持する。ストッパー410は垂直型焼成炉100の焼成空間130に装着できるが、これに限定されない。
【0050】
サポーター420は、給気部120から排出された第2サヤSA2を支持する。
【0051】
第2ローラー430はサポーター420と隣接し、第2プッシャー440によって移送された第2サヤSA2を外部に移送する。
【0052】
第2プッシャー440は、サポーター420上の第2サヤSA2を第2ローラー430上に押す。
【0053】
排出部400は前述の構造に限定されず、複数のサヤSAのうちの最下層に位置する第2サヤSA2を給気部120から排出する多様な構造を有することができる。
【0054】
図3は、一実施形態による垂直型二次電池正極材焼成装置の効果を説明するための図およびグラフである。図3の(A)は、一実施形態による垂直型二次電池正極材焼成装置の垂直型焼成炉を示した図である。図3の(B)は垂直型焼成炉の焼成空間の垂直高さによる温度を示したグラフであり、x軸は温度を示し、y軸は垂直型焼成炉の焼成空間の垂直高さを示す。図3の(C)は垂直型焼成炉の焼成空間の垂直高さによる温度および二酸化炭素濃度を示したグラフであり、x軸は温度および二酸化炭素濃度を示し、y軸は垂直型焼成炉の焼成空間の垂直高さを示す。
【0055】
図3の(A)を参照すれば、垂直型焼成炉100内部の二次電池正極材CMは、焼成空間130に垂直方向に積層された複数のサヤSAにグラニュール形態に装入されて焼成空間130の上部から下部に移動する。垂直型焼成炉100の給気部120を通じて供給されたガスGAは、焼成空間130の下部から上部に移動して排気部110に排気される。焼成空間130の下部から上部に移動するガスGAは複数のサヤSAの底に形成された貫通スリットSLを通じてほとんど閉鎖された形態で移動するため、非常に少ないガス流量のみでも複数のサヤSAに収納された二次電池正極材CMの焼成工程が完了する。このようなガス供給量節約でガス費用だけでなくガス昇温のためのエネルギー費用も減少する。また、焼成空間130に供給された大部分のガスGAが二次電池正極材CM周囲を通過することによって、二次電池正極材CMから発生する二酸化炭素ガスなどがサヤSAから容易に排出されるため、焼成反応制御が有利であり、最終的には二次電池正極材CMの焼成品質が向上する。また、このような焼成反応に有利な環境によって、サヤSA内部に収納される二次電池正極材CMの装入量増加および焼成時間短縮などの効果が発生することによって、焼成生産量増加による焼成原価減縮の効果が発生する。
【0056】
図3の(A)および(B)を参照すれば、ヒーター200が温度維持空間S2に対応して焼成空間130の温度維持空間S2のみを加熱しても、焼成空間130の下部から上部に移動するガスGAによる焼成空間130内部の熱伝達によって温度維持空間S2に対比して昇温空間S1の温度がさらに上昇(内部熱伝達のみ考慮時温度分布)する可能性があるが、ガスGAの移動方向と逆方向である焼成空間130の上部から下部に移動する二次電池正極材CMによって焼成空間130で熱平衡(heat balance)が形成され設定温度と類似の温度プロファイル(正極材移送考慮時温度分布)が焼成空間130に形成される。
【0057】
図3の(A)、(B)、および(C)を参照すれば、焼成空間130に設定温度と類似の温度プロファイルが形成されることによって、焼成空間130の上部に位置する昇温空間S1で二次電池正極材CMから大部分の二酸化炭素ガスが発生し、この二酸化炭素ガスが焼成空間130の上部に容易に排出される。
【0058】
即ち、二次電池正極材に供給されるガスの流量を増加させて二次電池正極材から発生する二酸化炭素ガス排出を向上させるとともに二次電池正極材の焼成反応を向上させる垂直型二次電池正極材焼成装置が提供される。
【0059】
また、焼成品質が向上した二次電池正極材を焼成する垂直型二次電池正極材焼成装置が提供される。
【0060】
また、焼成空間で焼成される二次電池正極材の装入量増加および焼成時間短縮によって焼成生産量が増加し焼成原価が減縮された垂直型二次電池正極材焼成装置が提供される。
【0061】
以下、図4および図5を参照して他の実施形態による垂直型二次電池正極材焼成装置を説明する。以下では前述の一実施形態による垂直型二次電池正極材焼成装置と異なる部分について説明する。
【0062】
図4は、他の実施形態による垂直型二次電池正極材焼成装置を示した図である。
【0063】
図4を参照すれば、他の実施形態による垂直型二次電池正極材焼成装置は、グラニュール(granule)またはブリケット(briquette)形態の二次電池正極材CMを垂直型焼成炉100の焼成空間130で垂直方向に移動させて焼成する。二次電池正極材CMは、垂直型焼成炉100と接触する。
【0064】
垂直型二次電池正極材焼成装置は、昇温区間A1、温度維持区間A2、冷却区間A3を含む。
【0065】
昇温区間A1は、焼成空間130で垂直方向に移動する二次電池正極材CMの特性によって設定された温度(一例として、400℃~1100℃も)に昇温される区間である。
【0066】
温度維持区間A2は、設定された温度を維持する区間である。
【0067】
冷却区間A3は、設定された温度から冷却される区間である。
【0068】
垂直型二次電池正極材焼成装置は、垂直型焼成炉100、ヒーター200を含む。
【0069】
垂直型焼成炉100は、排気部110、給気部120、焼成空間130、円柱型断熱材160、内壁170を含む。
【0070】
排気部110は垂直型焼成炉100の上部に位置し、排気部110を通じて垂直型焼成炉100内部の焼成空間130に位置する内部のガスGAが外部に排気される。排気部110を通じて二次電池正極材CMが焼成空間130に投入される。排気部110を通じて焼成空間130から排気される内部のガスGAは給気部120を通じて焼成空間130に供給された空気および酸素ガスに加えて二次電池正極材CMから排出された二酸化炭素ガスおよび水蒸気をさらに含むことができるが、これに限定されない。
【0071】
給気部120は垂直型焼成炉100の下部に位置し、給気部120を通じて外部のガスGAが垂直型焼成炉100内部の焼成空間130に供給される。給気部120を通じて二次電池正極材CMが焼成空間130から排出される。二次電池正極材CMは排気部110に投入されて焼成空間130を経て給気部120に排出される。外部のガスGAは給気部120に投入されて焼成空間130を経て排気部110に排出される。給気部120を通じて焼成空間130に供給される外部のガスGAは空気および酸素ガスを含むことができるが、これに限定されない。
【0072】
焼成空間130は、排気部110と給気部120の間で排気部110および給気部120と連通する。焼成空間130は、排気部110と給気部120の間で垂直方向に延長される。焼成空間130は二次電池正極材CMが垂直方向に移動する空間であり、垂直方向である上部から下部に順次に連通する昇温空間S1、温度維持空間S2、冷却空間S3を含む。
【0073】
昇温空間S1は、排気部110と隣接して排気部110と連通する。
【0074】
温度維持空間S2は、昇温空間S1と冷却空間S3の間で昇温空間S1および冷却空間S3と連通する。
【0075】
温度維持空間S2の温度は、昇温空間S1の温度および冷却空間S3の温度に対比して高い。
【0076】
冷却空間S3は、給気部120と隣接して給気部120と連通する。
【0077】
焼成空間130で二次電池正極材CMは垂直方向に移動する。焼成空間130で二次電池正極材CMは、焼成空間130の上部から下部に移動し、ガスGAは焼成空間130の下部から上部に移動する。即ち、二次電池正極材CMは焼成空間130で垂直方向に順次に昇温空間S1、温度維持空間S2、冷却空間S3に移動し、ガスGAは焼成空間130で垂直方向に順次に冷却空間S3、温度維持空間S2、昇温空間S1に移動する。
【0078】
円柱型断熱材160は、給気部120、排気部110および焼成空間130を形成する。円柱型断熱材160の上部には排気部110が形成され、円柱型断熱材160の下部には給気部120が形成され、円柱型断熱材160の内部には焼成空間130が形成される。焼成空間130の直径は、排気部110の直径および給気部120の直径に対比して大きい。焼成空間130の直径が排気部110の直径および給気部120の直径に対比して大きいため、排気部110に投入された二次電池正極材CMが焼成空間130で広い面積に分散されて二次電池正極材CMから排出された二酸化炭素ガスが焼成空間130の下部から上部に移動するガスGAによって容易に排気部110に排出される。円柱型断熱材160は円柱形態を有するが、これに限定されず、多角柱形態を有することができる。
【0079】
内壁170は、円柱型断熱材160で焼成空間130と対向している。内壁170は焼成空間130に露出される。内壁170は二次電池正極材CMと接触し、二次電池正極材CMと接触する内壁170の表面はフッ素コーティングなどの表面処理層が形成できる。内壁170は円柱型断熱材160と焼成空間130の間に位置し、焼成空間130で円柱型断熱材160と二次電池正極材CM間の干渉による二次電池正極材CMの汚染を防止する。
【0080】
ヒーター200は、垂直型焼成炉100の焼成空間130を加熱する。ヒーター200は温度維持空間S2に対応して温度維持空間S2のみを加熱することができるが、これに限定されない。ヒーター200は、温度維持空間S2に対応して内壁170の内部に位置する。
【0081】
図5は、他の実施形態による垂直型二次電池正極材焼成装置の効果を説明するための図およびグラフである。図5の(A)は、他の実施形態による垂直型二次電池正極材焼成装置の垂直型焼成炉を示した図である。図5の(B)は垂直型焼成炉の焼成空間の垂直高さによる温度および二酸化炭素濃度を示したグラフであり、x軸は温度および二酸化炭素濃度を示し、y軸は垂直型焼成炉の焼成空間の垂直高さを示す。
【0082】
図5の(A)を参照すれば、垂直型焼成炉100内部の二次電池正極材CMは焼成空間130に垂直方向にグラニュールまたはブリケット形態に装入されて焼成空間130の上部から下部に移動する。垂直型焼成炉100の給気部120を通じて供給されたガスGAは、焼成空間130の下部から上部に移動して排気部110に排気される。焼成空間130の下部から上部に移動するガスGAは全ての流量が焼成空間130の上部から下部に移動する二次電池正極材CMと接触するため、非常に少ないガス流量のみでも二次電池正極材CMの焼成工程が完了する。このようなガス供給量節約でガス費用だけでなくガス昇温のためのエネルギー費用も減少する。また、焼成空間130に供給された全ての流量のガスGAが二次電池正極材CM周囲を通過することによって、二次電池正極材CMから発生する二酸化炭素ガスなどが容易に排気部110に排出されるため、焼成反応制御が有利であり、最終的には二次電池正極材CMの焼成品質が向上する。また、このような焼成反応に有利な環境によって、二次電池正極材CMの装入量増加および焼成時間短縮などの効果が発生することによって、焼成生産量増加による焼成原価減縮の効果が発生する。
【0083】
図5の(A)および(B)を参照すれば、ヒーターが温度維持空間S2に対応して焼成空間130の温度維持空間S2のみを加熱しても、焼成空間130の下部から上部に移動するガスGAによる焼成空間130内部の熱伝達によって温度維持空間S2に対比して昇温空間S1の温度がさらに上昇する可能性があるが、ガスGAの移動方向と逆方向である焼成空間130の上部から下部に移動する二次電池正極材CMによって焼成空間130で熱平衡(heat balance)が形成されて設定温度と類似の温度プロファイルが焼成空間130に形成される。焼成空間130に設定温度と類似の温度プロファイルが形成されることによって、焼成空間130の上部に位置する昇温空間S1で二次電池正極材CMから大部分の二酸化炭素ガスが発生し、この二酸化炭素ガスが焼成空間130の上部に容易に排出される。
【0084】
即ち、外部ガスの給気と内部ガスの排気を垂直方向に単純化し、外部の二次電池正極材の投入および内部の二次電池正極材の排出を垂直方向に単純化するとともに、二次電池正極材に供給されるガスの流量を増加させて二次電池正極材から発生する二酸化炭素ガス排出を向上させるとともに二次電池正極材の焼成反応を向上させる垂直型二次電池正極材焼成装置が提供される。
【0085】
また、焼成品質が向上した二次電池正極材を焼成する垂直型二次電池正極材焼成装置が提供される。
【0086】
また、焼成空間で焼成される二次電池正極材の装入量増加および焼成時間短縮によって焼成生産量が増加し焼成原価が減縮された垂直型二次電池正極材焼成装置が提供される。
【0087】
以上で本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるのではなく、次の請求範囲で定義している本発明の基本概念を用いた当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属するのである。
【符号の説明】
【0088】
110 排気部
120 給気部
130 焼成空間
100 垂直型焼成炉
200 ヒーター
S1 昇温空間
S3 冷却空間
S2 温度維持空間
図1
図2
図3
図4
図5