(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】痛風外用ナノ塗布剤及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
A61K 9/113 20060101AFI20240829BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20240829BHJP
A61K 31/7034 20060101ALI20240829BHJP
A61K 31/426 20060101ALI20240829BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20240829BHJP
A61K 31/343 20060101ALI20240829BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20240829BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20240829BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240829BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240829BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240829BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20240829BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240829BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20240829BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240829BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20240829BHJP
A61P 19/06 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
A61K9/113
A61K9/06
A61K31/7034
A61K31/426
A61K31/519
A61K31/343
A61K47/14
A61K47/44
A61K47/10
A61K47/38
A61K47/26
A61K47/22
A61K47/36
A61K47/34
A61K47/12
A61K47/18
A61P19/06
(21)【出願番号】P 2022574729
(86)(22)【出願日】2021-09-22
(86)【国際出願番号】 CN2021119582
(87)【国際公開番号】W WO2023044603
(87)【国際公開日】2023-03-30
【審査請求日】2022-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】324000117
【氏名又は名称】杭州美依生物科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】張 伯科
【審査官】新熊 忠信
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0120794(US,A1)
【文献】Current Drug Therapy,2020年,Vol.15, No.4,pp.404-419
【文献】YAKUGAKU ZASSHI,2010年,Vol.130, No.3,pp.397-407
【文献】Recent Patents on Nanotechnology,2021年04月15日,Vol.16,pp.250-258
【文献】Current Drug Metabolism,2017年,Vol.18,pp.577-593
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61K 45/00-45/08
A61K 31/00-33/44
A61P 19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通風治療、通風結晶石除去、尿酸降下、及び/又は、高尿酸含有量に起因する疾患に対する治療のため
の外用ナノ塗布剤であって、
前記外用ナノ塗布剤は、クリーム相と前記クリーム相に分散されるナノ粒子とを含み、
前記ナノ粒子は、内から外へ順に、水相、油相、水相で被覆される構造を呈し、
前記ナノ粒子の水相及び/又は油相に痛風を治療するための活性成分が包埋又は分散されており、
前記ナノ粒子の前記油相は、PEG-40硬化ヒマシ油、カプリル酸カプリン酸トリグリセリド、及びオレイン酸ソルビタンを含み、
前記ナノ粒子の前記水相は、フェノキシエタノール、ヒドロキシエチルセルロース、及びカルボマーを含み、且つ、4~9のpHを有し、
前記活性成分は、4-ヒドロキシメチルフェニル-β-D-グルコピラノシド、フェブキソスタット、アロプリノール、及びベンズブロマロンのうち少なくとも1つを含み、
前記クリーム相は、クリーム相水相とクリーム相油相を含み、
前記クリーム相水相は、水80~85部、グリチルリチン酸ジカリウム0.1~0.5部、アラントイン0.05~0.15部、カルボマー0.1~0.3部、ニコチンアミド0.5~1.5部、ヒアルロン酸ナトリウム0.01~0.05部、ヒドロキシ安息香酸メチル0.05~0.15部、グリセリン2~4部、プロピレングリコール2~4部、ブタンジオール2~4部の重量部の成分を含み、
前記クリーム相油相は、セテアリルアルコール1~3部、PEG-100ステアリン酸エステル0.3~0.7部、グリセリンステアリン酸エステル0.3~0.7部、ポリジメチルシロキサン0.3~0.7部、カプリル酸カプリン酸トリグリセリド2~4部、ステアリン酸0.1~0.3部、鉱油0.6~1.0部、安息香酸プロピル水酸基0.3~0.5部、シアバター0.3~0.7部、ホホバ油0.3~0.7部、月見草油0.3~0.7部の重量部の成分を含み、
前記ナノ粒子の粒度分布は1~200nmであることを特徴とする、外用ナノ塗布剤。
【請求項2】
単一の前記活性成分はナノ塗布剤の総重量の0.01~10%を占めることを特徴とする、請求項1に記載の外用ナノ塗布剤。
【請求項3】
前記ナノ粒子の粒度分布は1~100nmであることを特徴とする、請求項1に記載の外用ナノ塗布剤。
【請求項4】
前記ナノ粒子の粒度分布は1~50nmであることを特徴とする、請求項3に記載の外用ナノ塗布剤。
【請求項5】
活性成分を水相及び/又は油相に溶解するステップ1)と、
一部の水相を撹拌された油相に加え、水和油相ナノ粒子を得るステップ2)と、
上記水和油相ナノ粒子を撹拌された一部の水相に加えてナノ粒子を得るステップ3)と、
その後にクリーム相を撹拌された上記ナノ粒子に加えてナノ塗布剤を得るステップ4)とを含むことを特徴とする、
請求項1に記載の外用ナノ塗布剤の調製方法。
【請求項6】
ステップ1)において、
水に溶けやすい活性成分に対して、それを水相に溶解し、
脂溶性の活性成分に対して、それを水相に添加し、溶液pHを4~9に調節して若しくは0.1~15wt%のエタノールを加えて可溶化する、又は、それを油相に添加して加熱溶解を促進させることを特徴とする、
請求項5に記載の調製方法。
【請求項7】
ステップ1)~4)において、前記撹拌の撹拌速度は、10~5000rpmであり、撹拌温度は、5~95℃であることを特徴とする、請求項5に記載の調製方法。
【請求項8】
ステップ2)において、前記水和油相のうちの水相の重量占有率は、1:1000~1:10であり、油相は、重量比が10:1~1:10の油と界面活性剤とを含むことを特徴とする、請求項5に記載の調製方法。
【請求項9】
ステップ2)において、前記油は、カプリル酸カプリン酸トリグリセリド及び/又は中鎖トリグリセリドであり、前記界面活性剤は、PEG-40硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリソルベート-20、及びポリソルベート-80のうちの1つ又は複数から選択されることを特徴とする、請求項8に記載の調製方法。
【請求項10】
ステップ3)において、前記ナノ粒子における水和油相ナノ粒子の重量占有率は、1:1000~1:10であることを特徴とする、請求項8に記載の調製方法。
【請求項11】
ステップ4)において、前記クリーム相のナノ塗布剤における重量占有率は、1:1000~3:10であることを特徴とする、請求項5又は8に記載の調製方法。
【請求項12】
前記クリーム相の調製方法は、
クリーム相水相を水に加えて撹拌溶解し、70~90℃に加熱するステップと、
クリーム相油相を70~90℃に加熱して溶解するステップと、
1000~2000rpmの撹拌回転数で、クリーム相油相をクリーム相水相にゆっくりと加え、1500~2000rpmで5~15分間高速撹拌した後、回転数を400~800rpmに下げて35~45℃に降温し、さらに添加相を加えた後、室温に下げて撹拌を停止するステップとを含むことを特徴とする、
請求項11に記載の調製方法。
【請求項13】
前記クリーム相水相は、水80~85部、グリチルリチン酸ジカリウム0.1~0.5部、アラントイン0.05~0.15部、カルボマー0.1~0.3部、ニコチンアミド0.5~1.5部、ヒアルロン酸ナトリウム0.01~0.05部、ヒドロキシ安息香酸メチル0.05~0.15部、グリセリン2~4部、プロピレングリコール2~4部、ブタンジオール2~4部の重量部の成分を含み、
前記クリーム相油相は、セテアリルアルコール1~3部、PEG-100ステアリン酸エステル0.3~0.7部、グリセリンステアリン酸エステル0.3~0.7部、ポリジメチルシロキサン0.3~0.7部、カプリル酸カプリン酸トリグリセリド2~4部、ステアリン酸0.1~0.3部、鉱油0.6~1.0部、安息香酸プロピル水酸基0.3~0.5部、シアバター0.3~0.7部、ホホバ油0.3~0.7部、月見草油0.3~0.7部の重量部の成分を含み、
前記添加相は、トリエタノールアミン0.1~0.3部、フェノキシエタノール0.4~0.8部、フレーバー0.05~0.15部の重量部の成分を含むことを特徴とする、
請求項12に記載の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物医薬分野に関し、特に痛風外用ナノ塗布剤及びその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
痛風は、人のプリン代謝障害によって尿酸塩が関節に沈着し、関節が赤くなったり、腫れたり、熱くなったり、痛くなったりすることで起こる疾患である。痛風は、糖尿病に次いで2番目に多い代謝性疾患である。痛風患者は、「死ねないがん」と揶揄する。痛風は、すでに人類の健康を危害するよく見られる多発病になり、それが人に与える主な危害は、全身の股関節、特に足部、手部の関節に腫物(俗に痛風石或いは痛風結晶石と呼ばれる)が現れ、患者の痛みは耐えられるものではなく、人々を「死ぬことができず、うまく生きることができない」ようにし、ひどい場合には、関節変形、奇形、麻痺、痛風性腎臓結石、腎不全、尿毒症などを招き得る。痛風は、また肥満症、高血圧症、糖尿病、脂質代謝異常などの多くの代謝性疾患を併発し得る。
【0003】
痛風は、全世界で発病し、男性の発病率は、女性の20倍で、沿海地区は、内陸よりはるかに高く、世界の痛風発病率は0.5%である。最新の疫学統計資料によると、痛風の発病は、若年化を呈し、70%の患者は青年で、多発年齢は、20~40歳に集中し、最も若い患者は、14歳であり、そして、痛風の発病率は、年々増加する傾向を有する。
【0004】
痛風の病因と発病メカニズムは、まだ完全に明確ではないが、高尿酸血症は、痛風の最も重要な生物化学的基礎である。一般的には、体内で尿酸が過剰になり、尿酸ナトリウムの結晶が関節や体液、組織に蓄積して痛風になる。尿酸は、プリンから変換(酸化)されるものであり、尿酸分子の化学構造骨格は、次のようにプリン分子の化学構造骨格と同じである。
【化1】
【0005】
プリン代謝の一連の酵素類(特にキサンチン変換酵素XOR)の活性が異常に変化することにより、過剰な尿酸の生成を招き、局部関節部の尿酸代謝が悪くなり、局部血液中の尿酸濃度が上昇し、局部尿酸ナトリウム塩結晶の沈殿により関節の痛み、腫脹、結晶(すなわち痛風結晶石)などの症状を引き起こす。
【0006】
現在では、痛風の治療に最もよく使われているのは、経口剤である非ステロイド性抗炎症薬、消炎薬、鎮痛薬、プリン酸化酵素の活性を阻害する薬である。例えば、インドメタシン、イブプロフェン、メロキシカム、セレコキシブなどの鎮痛消炎類とグルココルチコイド類薬物であり、これらの経口薬は、抗炎症、鎮痛作用しか達成できず、最大の欠点は、根本的な治療ができないことである。
【0007】
経口剤のフェブキソスタット、アロプリノール、ベンズブロマロン、及びコルヒチンなどの薬物は、キサンチン変換酵素(XOR)の活性を阻害することによって尿酸の生産を阻害するか、又は尿酸の代謝を高めることができるが、これらの薬物の現在の製剤形態は、すべて全身投与の経口剤剤形であり、用量が大きいため、人体の臓器に対する副作用が大きいほか、心脳血管疾患患者の死亡を招きやすい。例えば、アメリカ食品医薬品局(US FDA)のウェブサイトは、それぞれ2017年11月15日と2019年1月11日に公開した薬物審査評定顧問委員会の会議で、上記小分子痛風薬品経口製剤に対する医師の警告(Warning Box)を出し、その中で統計された平均期間1年以内にフェブキソスタット(febuxostat)薬の経口投与による心脳血管性及び全因性死亡率が4.1%であり、アロプリノール(allopurinol)の経口投与による死亡率が3.3%であることを警告した。他の経口類痛風薬品は、肝臓と腎臓などの内臓にも大きな損傷を与え、危害が非常に大きい。そのため、経口類の痛風薬物が患者、特に老人、心脳血管疾患患者と慢性疾患患者にもたらす危害は、すでに絶えず増加しており、これらの経口剤形の薬物の利益は、絶えず低下している。しかし、フェブキソスタット、アロプリノール、ベンズブロマロン、及びコルヒチンなどの薬物分子は、キサンチン変換酵素の活性を特異的に阻害することができるか、又は生体の迅速な尿酸代謝を助けることができるため、これらの経口剤形の医薬品は、大きな健康被害があるにもかかわらず、現在でも痛風疾患治療の医薬品市場のほとんどを占めており(表1)、それ以外に有効な医薬品はほとんど存在していない。
【0008】
【0009】
現在、如何にこれらの薬物の毒副性を下げ、薬品使用の安全性と患者の薬品使用のコンプライアンスを高めるとともに、患者の治療効果を高めることは、1つの現実的かつ切実な需要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、痛風患者の未だ満たされていない臨床的ニーズを提供し、従来技術における経口型痛風薬の有効性と安全性との矛盾を解決するために、従来の痛風経口剤の剤形を局所塗布のナノ塗布剤の剤形に変更する痛風外用ナノ塗布剤及びその調製方法を提供する。従来の経口剤形と比べて、1)局所投与量が少なく、経口投与の欠点を回避し、身体臓器への薬物の影響及び心脳血管疾患患者の健康への影響を実質的に排除し、2)十分な局所投与ができ、臨床効果が速く、血中尿酸を低下させ、痛風結晶石を除去し、痛風症状を根本的に解消することができ、3)使いやすく、患者のコンプライアンス率が向上するという優位性を有する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の具体的な技術案は、以下の通りである。
【0012】
第1の態様によれば、本発明は、クリーム相と前記クリーム相に分散されるナノ粒子とを含み、前記ナノ粒子は、内から外へ順に、水相、油相、水相で被覆される構造を呈し、前記ナノ粒子の水相及び/又は油相に痛風を治療するための活性成分が包埋又は分散されており、前記ナノ粒子の粒度分布は1~200nmである痛風外用ナノ塗布剤を提供する。
【0013】
本発明は、従来技術の痛風治療用の経口製剤と比べて、経口投与を必要としないという利点を有する塗布剤形制剤である。一般的な外用制剤と比べて、本発明は、ナノ塗布剤であり(例えば、ナノ粒子の粒度分布が1~200nmの範囲にある)、活性成分の経皮吸収効率を大幅に高め、さらに薬物効果を高めることができ、かつ、薬物成分の用量がより少なく、副作用がより少ないため、該ナノ塗布剤は、痛風部位に直接局所的に手で塗布することができ、ナノが経皮的に吸収され、人体内臓に副作用がなく、効果が高く、効果が速く、より安全であるという利点を有し、痛風症状を治療し、血中尿酸レベルを大幅に低下させ、痛風結晶石を溶解し、さらに完全に除去することができる。痛風患者、特に各種の他の合併症、例えば心脳血管疾患、老人群と慢性患者群にとって重大な利益であり、患者の薬物使用のコンプライアンスを高めることができる。
【0014】
具体的には、本発明の痛風外用ナノ塗布剤において、ナノ粒子の水相及び/又は油相に治療効果を有する活性成分が包み込まれるか又は分散され、かつ、ナノ粒子は、人体の皮膚構造と人体の細胞構造の多層(すなわち水相、油相の重ね)を模擬した水相-油相-水相が交互に包含された構造を呈することにより、内皮細胞への活性成分の輸送と送達を促進することができる。例えば、ナノ粒子が皮膚又は細胞構造の水相層にある場合、ナノ粒子の水相における水溶性物質が溶解し、活性成分が定点放出されるとともに、皮膚又は細胞構造の水相層で機能し、該水相を除去した残りのナノ粒子が皮膚又は細胞構造の油相層に浸透し続け、このとき、ナノ粒子の油相における油溶性物質が溶解し、活性成分が定点放出されるとともに、皮膚又は細胞構造の油相層で機能し、このように層ごとに浸透し、皮膚又は細胞の深層に達することができ、活性成分の経皮伝達が難しいという技術的難題を解決する。
【0015】
以上をまとめると、本発明は、経口薬をナノ塗布剤の剤形(製剤)薬に調製し、局所塗布投与により局所で迅速に吸収し、薬物分子を人体の局所部位から全身の血液循環システムに輸送し、薬物を全身的に投与する臨床効果を果たすことができ、局所投与による全身薬物送達を達成できるこの新型投与方式(ルート)は、現在で採用される全身投与による局所疾患の治療の多くの弊害、特に全身経口投与と注射による全身投与による人体の内臓器官への巨大な損傷を変えることができ、それは、局所疾患と慢性疾患の治療の予防により有利であり、庶民の健康と長期的な投薬安全にとって重大な利益であり、この新型投与方式は、普及と促進に力を入れる価値がある。
【0016】
好ましくは、前記活性成分は、4-ヒドロキシメチルフェニル-β-D-グルコピラノシド、フェブキソスタット、アロプリノール、ベンズブロマロン、コルヒチン、トピロキソスタット、レシヌラド、エトリコキシブ、メロキシカム、ジクロフェナクカリウム、ジクロフェナクナトリウム、プロベネシド、インドメタシン、イブプロフェン、ロキソプロフェン、ピロキシカム、セレコキシブ、デクスケトプロフェントロメタンオール、アセトヘキサミド、カンフル、ボルネオール、及びミントのうちの少なくとも1つを含む。
【0017】
好ましくは、単一の前記活性成分はナノ塗布剤の総重量の0.01~10%を占める。
【0018】
好ましくは、前記活性成分が単一である場合、含有量は、ナノ塗布剤の総重量の0.1~10%を占める。前記活性成分が複数である場合、異なる活性成分の和は、ナノ塗布剤の総重量の0.4~10%を占める。
【0019】
活性成分の上記含有量の範囲は、本発明の実施例のデータを纏めて得られるものである。
【0020】
好ましくは、前記ナノ粒子の粒度分布は、1~100nmであり、さらに好ましくは1~50nmである。
【0021】
第2の態様によれば、本発明は、痛風外用ナノ塗布剤の調製における4-ヒドロキシメチルフェニル-β-D-グルコピラノシドの応用を提供する。
【0022】
本発明は、また、4-ヒドロキシメチルフェニル-β-D-グルコピラノシドが痛風に対して優れた治療作用を有することを初めて見出し、それは、優れた鎮痛作用を有するだけでなく、経絡を緩和し、血液の微小循環を増加させ、血中尿酸レベルを低下させ、痛風結晶石を溶解し、腫物を除去するという優れた治療作用を有する。
【0023】
第3の態様によれば、本発明は、
活性成分を水相及び/又は油相に溶解するステップ1)と、
一部の水相を撹拌された油相に加え、水和油相ナノ粒子を得るステップ2)と、
上記水和油相ナノ粒子を撹拌された一部の水相に加えてナノ粒子を得るステップ3)と、
その後にクリーム相を撹拌された上記ナノ粒子に加えてナノ塗布剤を得るステップ4)とを含む、上記痛風外用ナノ塗布剤の調製方法を提供する。
【0024】
上記方法により、前記構造を有する痛風外用ナノ塗布剤を調製することができ、その中のナノ粒子の粒径は、ナノメートルオーダーであり、浸透効果が高く、効果が速い。
【0025】
好ましくは、ステップ1)において、水に溶けやすい活性成分に対して、それを水相に溶解し、脂溶性の活性成分に対して、それを水相に添加し、溶液pHを4~9に調節して若しくはエタノール(0.1~15wt%)を加えて可溶化する、又は、それを油相に添加して加熱溶解を促進させる。
【0026】
好ましくは、ステップ1)~4)において、前記撹拌の撹拌速度は、10~5000rpmであり、撹拌温度は、5~95℃である。
【0027】
好ましくは、ステップ2)において、前記水和油相のうちの水相の重量占有率は、1:1000~1:10であり、油相は、重量比が10:1~1:10の油と界面活性剤とを含む。
【0028】
好ましくは、ステップ2)において、前記油は、カプリル酸カプリン酸トリグリセリド及び/又は中鎖トリグリセリド(例えばLabrafac Lipophile WL 1349等)であり、前記界面活性剤は、PEG-40硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリソルベート-20、及びポリソルベート-80のうちの1つ又は複数から選択される。
【0029】
好ましくは、ステップ3)において、前記ナノ粒子における水和油相ナノ粒子の重量占有率は、1:1000~1:10である。
【0030】
好ましくは、ステップ4)において、前記クリーム相のナノ塗布剤における重量占有率は、1:1000~3:10である。
【0031】
好ましくは、ステップ4)において、前記クリーム相は、自作のクリーム相又はPemulen TR1、Pemulen TR2等の他のクリーム相(剤)クリームである。
【0032】
本発明のチームは、製剤の研究開発過程では、油相には、ポリオキシエチレンヒマシ油(EL35)、ポリソルベート-20、ポリソルベート-80、及び中鎖トリグリセリド(例えばLabrafac Lipophile WL 1349)等の界面活性剤及び脂質(油)も使用され、また、各種の重量比率の実験が行われ、クリーム相も自作のクリーム相及びPemulen TR1、Pemulen TR2などの他のクリームをテストし、結果は、本発明の体系を用いて調製したナノ塗布剤は、粒度が小さく、粒度分布が均一で対称であり、実際の使用条件で安定的で、安全で、確実であり、これらのナノ塗布剤は、痛風結晶石を除去することができ、全身の血中尿酸レベルを大幅に低下させることができ、痛風の症状に対して有効な治療作用を果たすことができることを示す。
【0033】
好ましくは、前記自作のクリーム相の調製方法は、
クリーム相水相を水に加えて撹拌溶解し、70~90℃に加熱するステップと、
クリーム相油相を70~90℃に加熱して溶解するステップと、
1000~2000rpmの撹拌回転数で、クリーム相油相をクリーム相水相にゆっくりと加え、1500~2000rpmで5~15分間高速撹拌した後、回転数を400~800rpmに下げて35~45℃に降温し、さらに添加相を加えた後、室温に下げて撹拌を停止するステップとを含む。
【0034】
好ましくは、前記クリーム相水相は、水80~85部、グリチルリチン酸ジカリウム0.1~0.5部、アラントイン0.05~0.15部、カルボマー0.1~0.3部、ニコチンアミド0.5~1.5部、ヒアルロン酸ナトリウム0.01~0.05部、ヒドロキシ安息香酸メチル0.05~0.15部、グリセリン2~4部、プロピレングリコール2~4部、ブタンジオール2~4部の重量部の成分を含む。
【0035】
好ましくは、前記クリーム相油相は、セテアリルアルコール1~3部、PEG-100ステアリン酸エステル0.3~0.7部、グリセリンステアリン酸エステル0.3~0.7部、ポリジメチルシロキサン0.3~0.7部、カプリル酸カプリン酸トリグリセリド2~4部、ステアリン酸0.1~0.3部、鉱油0.6~1.0部、安息香酸プロピル水酸基0.3~0.5部、シアバター0.3~0.7部、ホホバ油0.3~0.7部、月見草油0.3~0.7部の重量部の成分を含む。
【0036】
好ましくは、前記添加相は、トリエタノールアミン0.1~0.3部、フェノキシエタノール0.4~0.8部、フレーバー0.05~0.15部の重量部の成分を含む。
【0037】
上記方法で調製されたクリーム相は、市販の同類のクリーム相(剤)製品より、1)ナノ粒子に対してより高い保護と長期安定作用があり、2)ナノ塗布剤自体の迅速な経皮吸収を助けて、活性成分の経皮吸収率を高めることができ、3)クリーム相自体が皮膚に対して優れた潤い補修効能などがあるという優位性を有する。
【発明の効果】
【0038】
従来の技術と比べて、本発明の有益な効果は、以下の通りである。
【0039】
(1)本発明は、従来の痛風経口剤の剤形を局所塗布のナノ塗布剤の剤形に変更し、従来の経口剤形と比べて、〔1〕局所投与量が少なく、経口投与の欠点を回避し、身体臓器への薬物の影響及び心脳血管疾患患者の健康への影響を実質的に排除し、〔2〕十分な局所投与ができ、臨床効果が速く、血中尿酸を低下させ、痛風結晶石を除去し、痛風症状を根本的に解消することができ、〔3〕使いやすく、患者のコンプライアンス率が向上するという優位性を有する。
【0040】
(2)本発明は、ナノ経皮投与技術と新規な調製方法を採用して、痛風薬物分子をナノ塗布剤に調製し、痛風患者に局所塗布試用を行う。結果は、該経皮型痛風ナノ塗布剤製剤は、安定的で、安全で、確実であり、異なる薬物濃度と用量で数日から数週間試用した後、痛風治療の効果が非常に明らかで、さらに痛風結晶石が完全に除去されることができ、痛風の症状を著しく改善して治療することができ、尿酸レベルが大幅に低下し、そのため、塗布式の痛風薬を大規模に広く応用して普及させることができることを示す。
【0041】
(3)本発明は、4-ヒドロキシメチルフェニル-β-D-グルコピラノシドが痛風に対して優れた治療作用を有することを初めて見出し、それは、優れた鎮痛作用を有するだけでなく、経絡を緩和し、血液の微小循環を増加させ、血中尿酸レベルを低下させ、痛風結晶石を溶解し、腫物を除去するという優れた治療作用を有する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】フェブキソスタットナノ塗布剤のサンプル粒度及びその分布図(低濃度)である。
【
図2】フェブキソスタットナノ塗布剤のサンプル粒度及びその分布図(中濃度)である。
【
図3】フェブキソスタットナノ塗布剤のサンプル粒度及びその分布図(高濃度)である。
【
図4】4-ヒドロキシメチルフェニル-β-D-グルコピラノシドナノ塗布剤のサンプル粒度及びその分布図(低濃度)である。
【
図5】4-ヒドロキシメチルフェニル-β-D-グルコピラノシドナノ塗布剤のサンプル粒度及びその分布図(中濃度)である。
【
図6】4-ヒドロキシメチルフェニル-β-D-グルコピラノシドナノ塗布剤のサンプル粒度及びその分布図(高濃度)である。
【
図7】アロプリノールナノ塗布剤のサンプル粒度及びその分布図(低濃度)である。
【
図8】アロプリノールナノ塗布剤のサンプル粒度及びその分布図(高濃度)である。
【
図9】ベンズブロマロンナノ塗布剤のサンプル粒度及びその分布図(低濃度)である。
【
図10】ベンズブロマロンナノ塗布剤のサンプル粒度及びその分布図(高濃度)である。
【
図11】ベンズブロマロン、アロプリノールナノ塗布剤のサンプル粒度及びその分布図(低濃度)である。
【
図12】ベンズブロマロン、アロプリノールナノ塗布剤のサンプル粒度及びその分布図(高濃度)である。
【
図13】フェブキソスタット、アロプリノール、4-ヒドロキシメチルフェニル-β-D-グルコピラノシドナノ塗布剤のサンプル粒度及びその分布図(低濃度)である。
【
図14】フェブキソスタット、アロプリノール、4-ヒドロキシメチルフェニル-β-D-グルコピラノシドナノ塗布剤のサンプル粒度及びその分布図(高濃度)である。
【
図16】ケース1の痛風患者が薬を使用した前後の異なる時期の比較写真である。
【
図18】ケース2の痛風患者が薬を使用した前後の異なる時期の比較写真である。
【
図20】ケース3の痛風患者が薬を使用した前後の異なる時期の比較写真である。
【
図22】ケース4の痛風患者が薬を使用した前後の異なる時期の比較写真である。
【
図24】ケース5の痛風患者が薬を使用した前後の異なる時期の比較写真である。
【
図26】ケース6の痛風患者が薬を使用した前後の異なる時期の比較写真である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下では、実施例を参照しながら、本発明についてさらに説明する。
【0044】
(総実施例)
痛風外用ナノ塗布剤は、クリーム相と前記クリーム相に分散されるナノ粒子とを含み、前記ナノ粒子は、内から外へ順に、水相、油相、水相で被覆される構造を呈し、前記ナノ粒子の水相及び/又は油相に痛風を治療するための活性成分が包埋又は分散されており、前記ナノ粒子の粒度分布は、1~200nmであり、好ましくは1~100nmであり、さらに好ましくは1~50nmである。
【0045】
好ましくは、前記活性成分は、4-ヒドロキシメチルフェニル-β-D-グルコピラノシド、フェブキソスタット、アロプリノール、ベンズブロマロン、コルヒチン、トピロキソスタット、レシヌラド、エトリコキシブ、メロキシカム、ジクロフェナクカリウム、ジクロフェナクナトリウム、プロベネシド、インドメタシン、イブプロフェン、ロキソプロフェン、ピロキシカム、セレコキシブ、デクスケトプロフェントロメタンオール、アセトヘキサミド、カンフル、ボルネオール、及びミントのうちの少なくとも1つを含む。
【0046】
好ましくは、単一の前記活性成分はナノ塗布剤の総重量の0.01~10%を占める。好ましくは、前記活性成分が単一である場合、含有量はナノ塗布剤の総重量の0.1~10%を占める。前記活性成分が複数である場合、異なる活性成分の和はナノ塗布剤の総重量の0.4~10%を占める。
【0047】
上記痛風外用ナノ塗布剤の調製方法であって、それは、以下のステップを含む。
【0048】
1)活性成分を水相及び/又は油相に溶解する。ここで、水に溶けやすい活性成分に対して、それを水相に溶解し、脂溶性の活性成分に対して、それを水相に添加し、溶液pHを4~9に調節して若しくはエタノール(0.1~15wt%)を加えて可溶化する、又は、それを油相に添加して加熱溶解を促進させる。
【0049】
2)一部の水相を撹拌された(10~5000rpm、5~95℃)油相に加え、水和油相ナノ粒子を得る。水和油相のうちの水相の重量占有率は、1:1000~1:10であり、油相は、重量比が10:1~1:10の油と界面活性剤とを含む。前記油は、カプリル酸カプリン酸トリグリセリド及び/又は中鎖トリグリセリド(例えばLabrafac Lipophile WL 1349等)であり、前記界面活性剤は、PEG-40硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油(EL35)、ポリソルベート-20とポリソルベート-80のうちの1つ又は複数から選択される。
【0050】
3)上記水和油相ナノ粒子を撹拌された(10~5000rpm、5~95℃)一部の水相に加えてナノ粒子を得る。ナノ粒子における水和油相ナノ粒子の重量占有率は、1:1000~1:10である。
【0051】
4)その後にクリーム相を撹拌された(10~5000rpm、5~95℃)上記ナノ粒子に加えてナノ塗布剤を得る。クリーム相のナノ塗布剤における重量占有率は、1:1000~3:10である。クリーム相は、自作のクリーム相又はPemulen TR1、Pemulen TR2等の他のクリーム相(剤)クリームであり、
【0052】
好ましくは、前記自作のクリーム相の調製方法は、以下のステップを含む。
【0053】
クリーム相水相を水に加えて撹拌溶解し、70~90℃に加熱し、ここで、クリーム相水相は、水80~85部、グリチルリチン酸ジカリウム0.1~0.5部、アラントイン0.05~0.15部、カルボマー0.1~0.3部、ニコチンアミド0.5~1.5部、ヒアルロン酸ナトリウム0.01~0.05部、ヒドロキシ安息香酸メチル0.05~0.15部、グリセリン2~4部、プロピレングリコール2~4部、ブタンジオール2~4部の重量部の成分を含み、
クリーム相油相を70~90℃に加熱して溶解し、ここで、クリーム相油相は、セテアリルアルコール1~3部、PEG-100ステアリン酸エステル0.3~0.7部、グリセリンステアリン酸エステル0.3~0.7部、ポリジメチルシロキサン0.3~0.7部、カプリル酸カプリン酸トリグリセリド2~4部、ステアリン酸0.1~0.3部、鉱油0.6~1.0部、安息香酸プロピル水酸基0.3~0.5部、シアバター0.3~0.7部、ホホバ油0.3~0.7部、月見草油0.3~0.7部の重量部の成分を含む。
【0054】
1000~2000rpmの撹拌回転数で、クリーム相油相をクリーム相水相にゆっくりと加え、1500~2000rpmで5~15分間高速撹拌した後、回転数を400~800rpmに下げて35~45℃に降温し、さらに添加相を加えた後、室温に下げて撹拌を停止する。添加相は、トリエタノールアミン0.1~0.3部、フェノキシエタノール0.4~0.8部、フレーバー0.05~0.15部の重量部の成分を含む。
【0055】
(具体的な実施例)
私たちは、すでに多くの実験と検証を行ってきたが、以下では、いくつかの典型的な実験例のみを説明として列挙する。
【0056】
マルバーンレーザ粒度分析計ZS90(Malvern Light Scattering Particle Sizer)を用いて粒度(nm)及びその分布を測定した。シノケア(Sinocare)EA-11型血中尿酸測定器(シノケアバイオセンシング株式会社)を用いて血中尿酸濃度(尿酸値の単位はμmol/L)を測定した。
【0057】
調製されたナノ塗布剤は、一部の痛風患者に対して初歩的な試用を行い、痛風の治療効果が非常に明らかで、局部塗布の用量が同種の経口薬の用量よりはるかに低く、全体の使用量が安全である。
【0058】
使用方法:痛風の部位(ほとんどは足関節部位で、一部は手関節部位やその他の部位)に、毎日2回(朝、晩各1回)を塗布し、毎回1mlの相応のナノ塗布剤を塗布し、塗布前と塗布後に異なる時点で痛風(結晶石)の部位の写真を撮り、結晶溶解と腫物除去が非常に明らかな一部の患者に対して、同時に患者の血中の尿酸濃度(即ち尿酸値、空腹)も参考として測定する。
【0059】
(実施例1A:フェブキソスタットナノ塗布剤の調製及び使用効果(低濃度0.1%))
容器A(A相)において、PEG-40硬化ヒマシ油(5グラム)、カプリル酸カプリン酸トリグリセリド(2グラム)及びオレイン酸ソルビタン(1グラム)を50℃で均一に混合し、フェブキソスタット(0.05グラム)を加えて75℃に加熱し、容器B(B相)において、室温で水(90グラム)とトリエタノールアミン(約1グラム)を加えて撹拌し(pHを7に調整し)、さらにフェノキシエタノール(1グラム)、フェブキソスタット(0.05グラム)、ヒドロキシエチルセルロース(0.2グラム)、カルボマー(0.2グラム)を加え、撹拌しながら徐々に75℃加熱し、完全に溶解するまで加熱する。容器Bにおける溶液(0.16グラム)を撹拌中の容器Aに加え、撹拌速度を1500rpmに調整し、10分間後に容器Aの液体を撹拌しながら容器Bに加え、撹拌速度を1500rpmに調整して75℃に加熱し、10分間後に降温(50℃)し撹拌速度(700rpm)を下げ始め、その後に既に調製されたナノクリーム(剤)C相(3グラム)を加えて均一に撹拌すればよい。平均粒度が31.33nmで(強度Z平均粒径による)、体積分布粒度が21.60nm(D10)~50.50nm(D90)の白色フェブキソスタットナノ塗布剤の完成品を得る。フェブキソスタットナノ塗布剤のサンプル粒度及び分布(低濃度)は、
図1に示すとおりである。
【0060】
(実施例1B:フェブキソスタットナノ塗布剤の調製及び使用効果(中濃度1%))
フェブキソスタット中濃度ナノ塗布剤の調製ステップは、上記実施例1Aとほぼ一致し、ここでフェブキソスタットの総濃度は、1%である(A相で0.2%、B相で0.8%、B相のpHを7.5に調整する)。最後に、平均粒度が32.18nmで(強度Z平均粒径による)、体積分布粒度が22.60nm(D10)~50.30nm(D90)の白色フェブキソスタットナノ塗布剤の完成品を得る。フェブキソスタットナノ塗布剤のサンプル粒度及び分布(中濃度)は、
図2に示すとおりである。
【0061】
(実施例1C:フェブキソスタットナノ塗布剤の調製及び使用効果(高濃度3%))
フェブキソスタット高濃度ナノ塗布剤の調製ステップは、上記実施例1Aとほぼ一致し、ここでフェブキソスタットの総濃度は、3%である(A相で0.5%、B相で2.5%、B相のpHを8に調整する)。最後に、平均粒度が31.41nmで(強度Z平均粒径による)、体積分布粒度が22.20nm(D10)~49.00nm(D90)の白色フェブキソスタットナノ塗布剤の完成品を得る。フェブキソスタットナノ塗布剤のサンプル粒度及び分布(高濃度)は、
図3に示すとおりである。
【0062】
(製剤の初期人体試用結果(n=5))
低用量(低濃度)フェブキソスタット制剤は、痛風結晶石の溶解に対する効果が明らかでなく、中用量(中濃度)と高用量(高濃度)のフェブキソスタット制剤は、痛風結晶石の溶解に対する効果が非常に明らかであり、1週間から6週間の試験サイクル内に、試験対象の全ての患者の結晶石が軟らかくなり、小さくなり、さらに一部が完全に除去された。中用量と高用量は、結晶石の除去に対する効果に大きな差がなく、典型的な結晶溶解効果の変化写真のセットは、ケース1(
図16、高用量)に示すとおりである。患者の血中尿酸値(空腹)を測定したところ、尿酸値の変化が非常に大きくて明らかであり、血中尿酸レベルが大幅に低下し、投与時間とともに尿酸レベルは低下傾向にあることが発見された(
図15に示すとおり)。
【0063】
(実施例2A:4-ヒドロキシメチルフェニル-β-D-グルコピラノシドナノ塗布剤の調製及び使用効果(低濃度0.1%))
容器A(A相)において、PEG-40硬化ヒマシ油(8グラム)、カプリル酸カプリン酸トリグリセリド(2グラム)及びオレイン酸ソルビタン(1グラム)を50℃で均一に混合し、4-ヒドロキシメチルフェニル-β-D-グルコピラノシド(0.05グラム)を加えて50℃に加熱し、容器B(B相)において、室温で水(90グラム)と0.1%のクエン酸水溶液を加え、撹拌し(pHを5に調整する)、さらにフェノキシエタノール(1グラム)、4-ヒドロキシメチルフェニル-β-D-グルコピラノシド(0.05グラム)、ヒドロキシエチルセルロース(0.2グラム)、カルボマー(0.2グラム)を加え、撹拌しながら徐々に50℃に加熱し、完全に溶解するまで加熱する。容器Bにおける溶液(0.22グラム)を撹拌中の容器Aに加え、撹拌速度を1500rpmに調整し、10分間後に容器Aの液体を撹拌しながら容器Bに加え、撹拌速度を2000rpmに調整して50℃に加熱し、10分間後に降温(40℃)し撹拌速度(500rpm)を下げ始め、その後に既に調製されたナノクリーム(剤)C相(5グラム)を加えて均一に撹拌すればよい。平均粒度が31.11nm(強度Z平均粒径による)、体積分布粒度が21.20nm(D10)~50.70nm(D90)の4-ヒドロキシメチルフェニル-β-D-グルコピラノシドナノ塗布剤の完成品を得る。4-ヒドロキシメチルフェニル-β-D-グルコピラノシドナノ塗布剤のサンプル粒度及び分布(低濃度)は、
図4に示すとおりである。
【0064】
(実施例2B:4-ヒドロキシメチルフェニル-β-D-グルコピラノシドナノ塗布剤の調製及び使用効果(中濃度1%))
4-ヒドロキシメチルフェニル-β-D-グルコピラノシド中濃度ナノ塗布剤の調製ステップは、上記実施例2Aとほぼ一致し、ここで4-ヒドロキシメチルフェニル-β-D-グルコピラノシドの総濃度は、1%である(A相で0.1%、B相で0.9%、B相のpHを6に調整する)。最後に、平均粒度が31.11nmで(強度Z平均粒径による)、体積分布粒度が21.40nm(D10)~50.30nm(D90)の白色ナノ塗布剤の完成品を得る。4-ヒドロキシメチルフェニル-β-D-グルコピラノシドナノ塗布剤のサンプル粒度及び分布(中濃度)は、
図5に示すとおりである。
【0065】
(実施例2C:4-ヒドロキシメチルフェニル-β-D-グルコピラノシドナノ塗布剤の調製及び使用効果(高濃度5%))
4-ヒドロキシメチルフェニル-β-D-グルコピラノシド高濃度ナノ塗布剤の調製ステップは、上記実施例2Aとほぼ一致し、ここで4-ヒドロキシメチルフェニル-β-D-グルコピラノシドの総濃度は、5%である(A相で0.1%、B相で4.9%、B相のpHを7に調整する)。最後に、平均粒度が31.59nmで(強度Z平均粒径による)、体積分布粒度が22.00nm(D10)~49.80nmの白色ナノ塗布剤の完成品を得る。4-ヒドロキシメチルフェニル-β-D-グルコピラノシドナノ塗布剤のサンプル粒度及び分布(高濃度)は、
図6に示すとおりである。
【0066】
(製剤の初期人体試用結果(n=5))
低用量(低濃度)と中用量の4-ヒドロキシメチルフェニル-β-D-グルコピラノシドは、痛風結晶石の溶解に対する効果が明らかでなく、高用量(高濃度)の4-ヒドロキシメチルフェニル-β-D-グルコピラノシドは、痛風結晶石の溶解に対する効果が非常に明らかであり、1週間から6週間の試験サイクル内に、試験対象の全ての患者の結晶石が軟らかくなり、小さくなり、さらに一部が完全に除去された。高用量の典型的な結晶溶解効果の変化写真のセットは、ケース2(
図18、高用量)に示すとおりである。患者の血中尿酸値(空腹)を測定したところ、血中尿酸レベルの変化が大きく、尿酸レベルが大幅に低下し、投与時間とともに尿酸レベルは低下傾向にあることが発見された(
図17に示すとおり)。
【0067】
(実施例3A:アロプリノールナノ塗布剤の調製及び使用効果(低濃度0.1%))
容器A(A相)において、PEG-40硬化ヒマシ油(5グラム)、カプリル酸カプリン酸トリグリセリド(2グラム)及びオレイン酸ソルビタン(1グラム)を50℃で均一に混合し、アロプリノール(0.05グラム)を加えて75℃に加熱し、容器B(B相)において、室温で水(90グラム)とトリエタノールアミン(約1グラム)を加えて撹拌し(pHは7)、さらにフェノキシエタノール(1グラム)、アロプリノール(0.05グラム)、ヒドロキシエチルセルロース(0.2グラム)、カルボマー(0.2グラム)を加え、撹拌しながら徐々に75℃に加熱し、完全に溶解するまで加熱する。容器Bにおける溶液(0.16グラム)を撹拌中の容器Aに加え、撹拌速度を2000rpmに調整し、10分間後に容器Aの液体を撹拌しながら容器Bに加え、撹拌速度を2000rpmに調整して75℃に加熱し、10分間後に降温(50℃)し撹拌速度(800rpm)を下げ始め、その後に既に調製されたナノクリームC相(2グラム)を加えて均一に撹拌すればよい。平均粒度が31.07nmで(強度Z平均粒径による)、体積分布粒度が20.20nm(D10)~54.90nm(D90)の白色ナノ塗布剤の完成品を得る。アロプリノールナノ塗布剤のサンプル粒度及び分布(低濃度)は、
図7に示すとおりである。
【0068】
(実施例3B:アロプリノールナノ塗布剤の調製及び使用効果(高濃度1%))
アロプリノール高濃度ナノ塗布剤の調製ステップは、上記実施例3Aとほぼ一致し、ここでアロプリノールの総濃度は、1%である(A相で0.1%、B相で0.9%、B相のpHを8に調整する)。最後に、平均粒度が31.11nmで(強度Z平均粒径による)、体積分布粒度が21.30nm(D10)~50.90nm(D90)の白色ナノ塗布剤の完成品を得る。アロプリノールナノ塗布剤のサンプル粒度及び分布(高濃度)は、
図8に示すとおりである。
【0069】
(製剤の初期人体試用結果(n=5))
低用量(低濃度)のアロプリノールは、痛風結晶石の溶解に対する効果が明らかでなく、高用量(高濃度)のアロプリノールは、痛風結晶石の溶解に対する効果が明らかであり、1週間から6週間の試験サイクル内に、試験対象の全ての患者の結晶石が軟らかくなり、小さくなり、さらに一部が完全に除去された。高用量の典型的な結晶溶解効果の変化写真のセットは、ケース3(
図20、高用量)に示すとおりである。患者の血中尿酸値(空腹)を測定したところ、血中尿酸レベルが明らかに低下し、投与時間とともに尿酸レベルは低下傾向にあることが発見された(
図19に示すとおり)。
【0070】
(実施例4A:ベンズブロマロンナノ塗布剤の調製及び使用効果(低濃度0.1%))
容器A(A相)において、PEG-40硬化ヒマシ油(6グラム)、カプリル酸カプリン酸トリグリセリド(2グラム)及びオレイン酸ソルビタン(1グラム)を50℃で均一に混合し、ベンズブロマロン(0.05グラム)を加えて70℃に加熱し、容器B(B相)において、室温で水(90グラム)とトリエタノールアミン(約1グラム)を加えて撹拌し(pHは7.5)、さらにフェノキシエタノール(1グラム)、ベンズブロマロン(0.05グラム)、ヒドロキシエチルセルロース(0.2グラム)、カルボマー(0.2グラム)を加え、撹拌しながら70℃に徐々に加熱し、完全に溶解するまで加熱する。容器Bにおける溶液(0.18グラム)を撹拌中の容器Aに加え、撹拌速度を1600rpmに調整し、10分間後に容器Aの液体を撹拌しながら容器Bに加え、撹拌速度を1600rpmに調整して70℃に加熱し、10分間後に降温(50℃)し撹拌速度(800rpm)を下げ始め、その後に既に調製されたナノクリームC相(3グラム)を加えて均一に撹拌すればよい。平均粒度が33.16nmで(強度Z平均粒径による)、体積分布粒度が21.20nm(D10)~63.70nm(D90)の白色ナノ塗布剤の完成品を得る。ベンズブロマロンナノ塗布剤のサンプル粒度及び分布(低濃度)は、
図9に示すとおりである。
【0071】
(実施例4B:ベンズブロマロンナノ塗布剤の調製及び使用効果(高濃度0.8%))
ベンズブロマロン高濃度ナノ塗布剤の調製ステップは、上記実施例4Aとほぼ一致し、ここでベンズブロマロンの総濃度は、1%である(A相で0.1%、B相で0.7%、B相のpHを8に調整する)。最後に、平均粒度が32.93nmで(強度Z平均粒径による)、体積分布粒度が21.30nm(D10)~58.60nm(D90)の白色ナノ塗布剤の完成品を得る。ベンズブロマロンナノ塗布剤のサンプル粒度及び分布(高濃度)は、
図10に示すとおりである。
【0072】
(製剤の初期人体試用結果(n=5))
低用量(低濃度)のベンズブロマロンは、痛風結晶石の溶解に対する効果が明らかでなく、高用量(高濃度)のベンズブロマロンは、痛風結晶石の溶解に対する効果が明らかであり、1週間から6週間の試験サイクル内に、試験対象の全ての患者の結晶石が軟らかくなり、小さくなり、さらに一部が完全に除去された。高用量の典型的な結晶溶解効果の変化写真のセットは、ケース4(
図22、高用量)に示すとおりである。患者の血中尿酸値(空腹)を測定したところ、血中尿酸レベルが明らかに低下し、投与時間とともに尿酸レベルは低下傾向にあることが発見された(
図21に示すとおり)。
【0073】
(実施例5A:ベンズブロマロン、アロプリノールナノ塗布剤の調製及び使用効果(低濃度0.2%、0.2%))
容器A(A相)において、PEG-40硬化ヒマシ油(6グラム)、カプリル酸カプリン酸トリグリセリド(2グラム)及びオレイン酸ソルビタン(1グラム)を50℃で均一に混合し、ベンズブロマロン(0.1グラム)、アロプリノール(0.1グラム)を加えて70℃に加熱し、容器B(B相)において、室温で水(90グラム)とトリエタノールアミン(約1グラム)を加えて撹拌し(pHは、7.5)、さらにフェノキシエタノール(1グラム)、エタノール(2グラム)、ベンズブロマロン(0.1グラム)、アロプリノール(0.1グラム)、ヒドロキシエチルセルロース(0.2グラム)、カルボマー(0.2グラム)を加え、撹拌しながら70℃に徐々に加熱し、完全に溶解するまで加熱する。容器Bにおける溶液(0.18グラム)を撹拌中の容器Aに加え、撹拌速度を1600rpmに調整し、10分間後に容器Aの液体を撹拌しながら容器Bに加え、撹拌速度を1600rpmに調整して70℃に加熱し、10分間後に降温(50℃)し撹拌速度(800rpm)を下げ始め、その後に既に調製されたナノクリームC相(3グラム)を加えて均一に撹拌すればよい。平均粒度が29.38nmで(強度Z平均粒径による)、体積分布粒度が20.00nm(D10)~48.20nm(D90)の白色ナノ塗布剤の完成品を得るベンズブロマロン、アロプリノールナノ塗布剤のサンプル粒度及び分布(低濃度)は、
図11に示すとおりである。
【0074】
(実施例5B:ベンズブロマロン、アロプリノールナノ塗布剤の調製及び使用効果(高濃度0.5%、0.5%))
ベンズブロマロン、アロプリノール高濃度ナノ塗布剤の調製ステップは、上記実施例5Aとほぼ一致し、ここでベンズブロマロンの総濃度は、0.5%で(A相で0.4%、B相で0.1%)、アロプリノールの総濃度は、0.5%で(A相で0.1%、B相で0.4%)、B相のpHを8に調整し、エタノール(5グラム)を加える。最後に、平均粒度が29.52nmで(強度Z平均粒径による)、体積分布粒度が20.20nm(D10)~48.00nm(D90)の白色ナノ塗布剤の完成品を得る。ベンズブロマロン、アロプリノールナノ塗布剤のサンプル粒度及び分布(高濃度)は、
図12に示すとおりである。
【0075】
(製剤の初期人体試用結果(n=5))
低用量(低濃度)のベンズブロマロンとアロプリノールは、痛風結晶石の溶解に対する効果が明らかでなく、高用量(高濃度)のベンズブロマロンとアロプリノールは、痛風結晶石の溶解に対する効果が明らかであり、1週間から6週間の試験サイクル内に、試験対象の全ての患者の結晶石が軟らかくなり、小さくなり、さらに一部が完全に除去された。高用量の典型的な結晶溶解効果の変化写真のセットは、ケース5(
図24、高用量)に示すとおりである。一部の患者の血中尿酸値(空腹)を測定したところ、血中尿酸レベルが明らかに低下し、投与時間とともに尿酸レベルは低下傾向にあることが発見された(
図23に示すとおり)。
【0076】
(実施例6A:フェブキソスタット、アロプリノール、4-ヒドロキシメチルフェニル-β-D-グルコピラノシドナノ塗布剤の調製及び使用効果(低濃度0.2%、0.2%、0.2%))
容器A(A相)において、PEG-40硬化ヒマシ油(5グラム)、カプリル酸カプリン酸トリグリセリド(2グラム)及びオレイン酸ソルビタン(1グラム)を60℃で均一に混合し、フェブキソスタット(0.1グラム)、アロプリノール(0.1グラム)、4-ヒドロキシメチルフェニル-β-D-グルコピラノシド(0.1グラム)を加えて70℃に加熱し、容器B(B相)において、室温で水(90グラム)とトリエタノールアミン(約1グラム)を加えて撹拌し(pHは7.5)、さらにフェノキシエタノール(1グラム)、エタノール(2グラム)、フェブキソスタット(0.1グラム)、アロプリノール(0.1グラム)、4-ヒドロキシメチルフェニル-β-D-グルコピラノシド(0.1グラム)ヒドロキシエチルセルロース(0.2グラム)、カルボマー(0.2グラム)を加え、撹拌しながら70℃に徐々に加熱し、完全に溶解するまで加熱する。容器Bにおける溶液(0.16グラム)を撹拌中の容器Aに加え、撹拌速度を1600rpmに調整し、10分間後に容器Aの液体を撹拌しながら容器Bに加え、撹拌速度を1600rpmに調整して70℃に加熱し、10分間後に降温(50℃)し撹拌速度(700rpm)を下げ始め、その後に既に調製されたナノクリームC相(3グラム)を加えて均一に撹拌すればよい。平均粒度が27.91nmで(強度Z平均粒径による)、体積分布粒度が19.10nm(D10)~45.70nm(D90)の白色ナノ塗布剤の完成品を得る。フェブキソスタット、アロプリノール、4-ヒドロキシメチルフェニル-β-D-グルコピラノシドナノ塗布剤のサンプル粒度及び分布(低濃度)は、
図13に示すとおりである。
【0077】
(実施例6B:フェブキソスタット、アロプリノール、4-ヒドロキシメチルフェニル-β-D-グルコピラノシドナノ塗布剤の調製及び使用効果(高濃度0.5%、0.5%、0.5%))
フェブキソスタット、アロプリノール、4-ヒドロキシメチルフェニル-β-D-グルコピラノシドナノ塗布剤高濃度ナノ塗布剤の調製ステップは、上記実施例6Aとほぼ一致し、ここでフェブキソスタットの総濃度は、0.5%(A相で0.1%、B相で0.4%)で、アロプリノールの総濃度は、0.5%(A相で0.1%、B相で0.4%)で、4-ヒドロキシメチルフェニル-β-D-グルコピラノシドの総濃度は、0.5%(A相で0.1%、B相で0.4%)で、B相のpHを8に調整し、エタノール(5グラム)を加える。最後に、平均粒度が27.94nmで(強度Z平均粒径による)、体積分布粒度が19.10nm(D10)~45.80nm(D90)の白色ナノ塗布剤の完成品を得る。フェブキソスタット、アロプリノール、4-ヒドロキシメチルフェニル-β-D-グルコピラノシドナノ塗布剤のサンプル粒度及び分布(高濃度)は、
図14に示すとおりである。
【0078】
(製剤の初期人体試用結果(n=5))
低用量(低濃度)のフェブキソスタット、アロプリノールと4-ヒドロキシメチルフェニル-β-D-グルコピラノシドは、痛風結晶石の溶解に対する効果が比較的に明らかであり、高用量(高濃度)のフェブキソスタット、アロプリノールと4-ヒドロキシメチルフェニル-β-D-グルコピラノシドは、痛風結晶石の溶解に対する効果が非常に明らかであり、1週間から6週間の試験サイクル内に、試験対象の全ての患者の結晶石が軟らかくなり、小さくなり、さらに一部が完全に除去された。高用量の典型的な結晶溶解効果の変化写真のセットは、ケース6(
図26、高用量)に示すとおりである。患者の血中尿酸値(空腹)を測定したところ、血中尿酸レベルが大幅に低下し、投与時間とともに尿酸レベルは低下傾向にあることが発見された(
図25に示すとおり)。
【0079】
以上の実施例では、クリーム相(剤)C相は、以下のステップで調製される。
【0080】
クリーム相水相(グラム):水(89)、グリチルリチン酸ジカリウム(0.3)、アラントイン(0.1)、カルボマー(0.2)、ニコチンアミド(1)、ヒアルロン酸ナトリウム(0.03)、ヒドロキシ安息香酸メチル(0.1)、グリセリン(3)、プロピレングリコール(3)、ブタンジオール(3)。
【0081】
クリーム相油相(グラム):セテアリルアルコール(2)、PEG-100ステアリン酸エステル(0.5)、グリセリンステアリン酸エステル(0.5)、ポリジメチルシロキサン(0.5)、カプリル酸カプリン酸トリグリセリド(3)、ステアリン酸(0.2)、鉱油(0.8)、安息香酸プロピル水酸基(0.4)、シアバター(0.5)、ホホバ油(0.5)、月見草油(0.5)。
【0082】
添加相(グラム):トリエタノールアミン(0.2)、フェノキシエタノール(0.6)、フレーバー(0.1)。
【0083】
調製ステップ:クリーム相水相を精製水に加えて撹拌溶解し、80℃に加熱し、クリーム相油相を80℃に加熱溶解し、回転数を1500rpmに調整し、クリーム相油相を水相にゆっくりと加え、高速で10分間撹拌した後、回転数を下げて40℃に降温し、さらにフェノキシエタノール、フレーバー、トリエタノールアミンを加えた後、撹拌を停止する。
【0084】
(制剤の安定性)
上記ナノ剤について、以下の3つの一般的な条件での安定性をそれぞれテストする。
【0085】
1)室温(25℃、T=0、1カ月、3カ月、6カ月)、
2)高温(40℃、T=0、1カ月)、
3)冷凍-溶解サイクル(3サイクル、3x24時間)。得られた結果は以下の通りであり、各時点で測定されたデータは粒度、粘度、外観特徴(層化の有無、色の変化の有無)などの指標を含み、実験条件下で、これらのナノ製剤が安定的で確実で、ほとんど変化や改変がないことが示された。具体的なデータは、表2-7に示すとおりである。
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
【0092】
(結果分析及び結論)
製剤の研究開発過程では、油相(A相)には、ポリオキシエチレンヒマシ油(EL35)、ポリソルベート-20、ポリソルベート-80と中鎖トリグリセリド(例えばLabrafac Lipophile WL 1349)等の界面活性剤と脂質(油)も使用され、また、各種の重量比率の実験が行われ、クリーム相(剤)もPemulen TR1、Pemulen TR2などの他のクリームをテストし、結果は、本発明の体系を用いて調製したナノ塗布剤は、粒度が小さく、粒度分布が均一で対称であり、実際の使用条件で安定的で、安全で、確実であり、これらのナノ塗布剤は、痛風結晶石を除去することができ、全身の血中尿酸レベルを大幅に低下させることができ、痛風の症状に対して有効な治療作用を果たすことができ、ナノ塗布剤は、経口投与を必要としないので、内臓、特に胃、腸、肝臓、腎臓などの器官に損傷を与えることがないことを示す。これらの試験結果は、経口剤薬品の全身投与方式も、ナノ経皮型塗布(又はスプレー、パッチなど)方式を局所的に使用することによって達成でき、同様に更により高く、より速く、より安全な臨床効果を発揮することを証明した。
【0093】
本研究作業は、経口薬をナノ経皮型製剤により製剤の型替えを行い、ナノ塗布剤の剤形(製剤)に調製して薬物を局所的に塗布投与して局所部位から迅速に吸収し、薬物分子を人体の局所部位から吸収した後に、全身の血液循環システムに輸送し、薬物を全身的に投与する臨床効果を果たすことができ、局所投与と吸収による全身薬物送達を達成できるこの新型投与方式は、現在で採用される全身投与による局所疾患の治療の多くの弊害、特に全身経口投与と注射による全身投与による人体の内臓器官への巨大な損傷を変えることができ、この新型投与方式は、普及と普及に力を入れる価値があり、局所疾患と慢性疾患の治療により有利であり、庶民の健康と安全にとって重大な利益であることを発見した。
【0094】
本研究作業は、また、4-ヒドロキシメチルフェニル-β-D-グルコピラノシドが痛風に対して優れた治療作用を有することを初めて見出し、それは、優れた鎮痛作用を有するだけでなく、経絡を緩和し、血液の微小循環を増加させ、血中尿酸レベルを低下させ、痛風結晶石を溶解し、腫物を除去するという優れた治療作用を有する。
【0095】
ケース1(フェブキソスタット、高用量)
性別:男、年齢:53歳、使用前の痛風石の直径が3.7cmであり、6週間使用した後、尿酸の低下が著しく(
図15に示すとおり)、痛風石が完全に除去された(
図16に示すとおり)。
【0096】
ケース2(4-ヒドロキシメチルフェニル-β-D-グルコピラノシド、高用量)
性別:男、年齢:48歳、使用前の痛風石の直径が2cmであり、6週間使用した後、尿酸の低下が著しく(
図17に示すとおり)、痛風石が完全に除去された(
図18に示すとおり)。
【0097】
ケース3(アロプリノール、高用量)
性別:男、年齢:36歳、使用前の痛風石の直径が3cmであり、6週間使用した後、尿酸の低下が著しく(
図19に示すとおり)、痛風石が完全に除去された(
図20に示すとおり)。
【0098】
ケース4(ベンズブロマロン、高用量)
性別:男、年齢:49歳、使用前の痛風石の直径が3cmであり、6週間使用した後、尿酸の低下が著しく(
図21に示すとおり)、痛風石が完全に除去された(
図22に示すとおり)。
【0099】
ケース5(ベンズブロマロン、アロプリノール、高用量)
性別:男、年齢:30歳、使用前の痛風石の直径が2.8cmであり、6週間使用した後、尿酸の低下が著しく(
図23に示すとおり)、痛風石が完全に除去された(
図24に示すとおり)。
【0100】
ケース6(フェブキソスタット、アロプリノール、4-ヒドロキシメチルフェニル-β-D-グルコピラノシド、高用量)
性別:男、年齢:41歳、使用前の痛風石の直径が3.2cmであり、6週間使用した後、尿酸の低下が著しく(
図25に示すとおり)、痛風石が完全に除去された(
図26に示すとおり)。
【0101】
本発明において使用される原材料、機器は、特段の説明がない場合は、いずれも当該分野でよく使用される原材料、機器である。本発明において使用される方法は、特段の説明がなければ、いずれも当業者の通常の方法である。
【0102】
以上に述べたのは、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を何ら制限するものではなく、本発明の技術の要旨に基づいて以上の実施例に対して行われたあらゆる単純な修正、変更、および等価な変換は、いずれも本発明の技術案の保護範囲に属する。
【0103】
[付記]
[付記1]
クリーム相と前記クリーム相に分散されるナノ粒子とを含み、前記ナノ粒子は、内から外へ順に、水相、油相、水相で被覆される構造を呈し、前記ナノ粒子の水相及び/又は油相に痛風を治療するための活性成分が包埋又は分散されており、前記ナノ粒子の粒度分布は1~200nmであることを特徴とする、痛風外用ナノ塗布剤。
【0104】
[付記2]
前記活性成分は、4-ヒドロキシメチルフェニル-β-D-グルコピラノシド、フェブキソスタット、アロプリノール、ベンズブロマロン、コルヒチン、トピロキソスタット、レシヌラド、エトリコキシブ、メロキシカム、ジクロフェナクカリウム、ジクロフェナクナトリウム、プロベネシド、インドメタシン、イブプロフェン、ロキソプロフェン、ピロキシカム、セレコキシブ、デクスケトプロフェントロメタンオール、アセトヘキサミド、カンフル、ボルネオール、及びミントのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする、付記1に記載の痛風外用ナノ塗布剤。
【0105】
[付記3]
単一の前記活性成分はナノ塗布剤の総重量の0.01~10%を占めることを特徴とする、付記1又は2に記載の痛風外用ナノ塗布剤。
【0106】
[付記4]
前記ナノ粒子の粒度分布は1~100nmであることを特徴とする、付記1又は2に記載の痛風外用ナノ塗布剤。
【0107】
[付記5]
前記ナノ粒子の粒度分布は1~50nmであることを特徴とする、付記4に記載の痛風外用ナノ塗布剤。
【0108】
[付記6]
付記1~5のいずれか1つに記載の痛風外用ナノ塗布剤の調製における4-ヒドロキシメチルフェニル-β-D-グルコピラノシドの応用。
【0109】
[付記7]
活性成分を水相及び/又は油相に溶解するステップ1)と、
一部の水相を撹拌された油相に加え、水和油相ナノ粒子を得るステップ2)と、
上記水和油相ナノ粒子を撹拌された一部の水相に加えてナノ粒子を得るステップ3)と、
その後にクリーム相を撹拌された上記ナノ粒子に加えてナノ塗布剤を得るステップ4)とを含むことを特徴とする、
付記1~5のいずれか1つに記載の痛風外用ナノ塗布剤の調製方法。
【0110】
[付記8]
ステップ1)において、
水に溶けやすい活性成分に対して、それを水相に溶解し、
脂溶性の活性成分に対して、それを水相に添加し、溶液pHを4~9に調節して若しくは0.1~15wt%のエタノールを加えて可溶化する、又は、それを油相に添加して加熱溶解を促進させることを特徴とする、
付記7に記載の調製方法。
【0111】
[付記9]
ステップ1)~4)において、前記撹拌の撹拌速度は、10~5000rpmであり、撹拌温度は、5~95℃であることを特徴とする、付記7に記載の調製方法。
【0112】
[付記10]
ステップ2)において、前記水和油相のうちの水相の重量占有率は、1:1000~1:10であり、油相は、重量比が10:1~1:10の油と界面活性剤とを含むことを特徴とする、付記7に記載の調製方法。
【0113】
[付記11]
ステップ2)において、前記油は、カプリル酸カプリン酸トリグリセリド及び/又は中鎖トリグリセリドであり、前記界面活性剤は、PEG-40硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリソルベート-20、及びポリソルベート-80のうちの1つ又は複数から選択されることを特徴とする、付記10に記載の調製方法。
【0114】
[付記12]
ステップ3)において、前記ナノ粒子における水和油相ナノ粒子の重量占有率は、1:1000~1:10であることを特徴とする、付記10に記載の調製方法。
【0115】
[付記13]
ステップ4)において、前記クリーム相のナノ塗布剤における重量占有率は、1:1000~3:10であることを特徴とする、付記7又は10に記載の調製方法。
【0116】
[付記14]
ステップ4)において、前記クリーム相は、自作のクリーム相又はPemulen TR1、Pemulen TR2であることを特徴とする、付記13に記載の調製方法。
【0117】
[付記15]
前記自作のクリーム相の調製方法は、
クリーム相水相を水に加えて撹拌溶解し、70~90℃に加熱するステップと、
クリーム相油相を70~90℃に加熱して溶解するステップと、
1000~2000rpmの撹拌回転数で、クリーム相油相をクリーム相水相にゆっくりと加え、1500~2000rpmで5~15分間高速撹拌した後、回転数を400~800rpmに下げて35~45℃に降温し、さらに添加相を加えた後、室温に下げて撹拌を停止するステップとを含むことを特徴とする、
付記14に記載の調製方法。
【0118】
[付記16]
前記クリーム相水相は、水80~85部、グリチルリチン酸ジカリウム0.1~0.5部、アラントイン0.05~0.15部、カルボマー0.1~0.3部、ニコチンアミド0.5~1.5部、ヒアルロン酸ナトリウム0.01~0.05部、ヒドロキシ安息香酸メチル0.05~0.15部、グリセリン2~4部、プロピレングリコール2~4部、ブタンジオール2~4部の重量部の成分を含み、
前記クリーム相油相は、セテアリルアルコール1~3部、PEG-100ステアリン酸エステル0.3~0.7部、グリセリンステアリン酸エステル0.3~0.7部、ポリジメチルシロキサン0.3~0.7部、カプリル酸カプリン酸トリグリセリド2~4部、ステアリン酸0.1~0.3部、鉱油0.6~1.0部、安息香酸プロピル水酸基0.3~0.5部、シアバター0.3~0.7部、ホホバ油0.3~0.7部、月見草油0.3~0.7部の重量部の成分を含み、
前記添加相は、トリエタノールアミン0.1~0.3部、フェノキシエタノール0.4~0.8部、フレーバー0.05~0.15部の重量部の成分を含むことを特徴とする、
付記15に記載の調製方法。