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特許7546082リッド構造を備える基板、それを備えるパッケージ基板及び半導体装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】リッド構造を備える基板、それを備えるパッケージ基板及び半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/02 20060101AFI20240829BHJP
   H01L 23/34 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
H01L23/02 J
H01L23/34 A
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022575289
(86)(22)【出願日】2022-07-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-07
(86)【国際出願番号】 US2022037995
(87)【国際公開番号】W WO2023004103
(87)【国際公開日】2023-01-26
【審査請求日】2023-02-21
(31)【優先権主張番号】17/870,177
(32)【優先日】2022-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/225,038
(32)【優先日】2021-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521560126
【氏名又は名称】アブソリックス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Absolics Inc.
【住所又は居所原語表記】3000 SKC Drive,Covington,GA 30014,USA
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】キム、ソンジン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジンチョル
【審査官】佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-025135(JP,A)
【文献】国際公開第2020/250795(WO,A1)
【文献】特開平07-086471(JP,A)
【文献】特開平09-219473(JP,A)
【文献】特開2001-196487(JP,A)
【文献】特開2003-068969(JP,A)
【文献】特開2015-023267(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/02
H01L 23/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基板及びリッド構造を備え、
前記リッド構造は、素子を収容する収容空間と、前記収容空間の少なくとも一部を囲むフレームとを備え、前記リッド構造は、前記ベース基板の一面に配置され、前記リッド構造は、内側領域及び外側領域に分割され、
前記内側領域は、前記ベース基板の一面に配置され、前記外側領域は、前記リッド構造から前記内側領域を除いた領域であり、前記外側領域は、前記ベース基板の端部外側の領域に配置され
前記ベース基板と前記収容空間との間に再分配層が配置され、前記ベース基板及び前記再分配層の重量の和は、前記フレームの重量よりも大きい、ことを特徴とする基板。
【請求項2】
前記リッド構造の対角線長は、前記ベース基板の対角線長よりも大きい、ことを特徴とする請求項1に記載の基板。
【請求項3】
前記リッド構造を備える基板の一端部において測定した前記リッド構造の長さは、前記ベース基板の同じ端部において測定した長さよりも1%~10%大きい、ことを特徴とする請求項1に記載の基板。
【請求項4】
前記リッド構造は、更に、前記ベース基板の側面を囲む側部閉塞部を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の基板。
【請求項5】
前記ベース基板及び前記リッド構造の25℃における熱膨張係数をそれぞれCs及びClにした時に、比率Cl/Csは、0.02~1.2である、ことを特徴とする請求項1に記載の基板。
【請求項6】
前記リッド構造は、50W/mK~425W/mKの熱伝導率を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の基板。
【請求項7】
前記リッド構造は、12MPa~670MPaの引張強度を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の基板。
【請求項8】
前記フレームは、更に、前記リッド構造の外側領域に配置される1つ以上の保持孔を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の基板。
【請求項9】
ベース基板及びリッド構造を備え、
前記リッド構造は、素子を収容する収容空間と、前記収容空間の少なくとも一部を囲むフレームとを備え、
前記リッド構造は、前記ベース基板の一面に配置され、
前記リッド構造を備える前記ベース基板の一端部において測定した前記リッド構造の長さは、前記ベース基板の同じ端部において測定した長さよりも0%~10%大きく、
前記ベース基板と前記収容空間との間に再分配層が配置され、前記ベース基板及び前記再分配層の重量の和は、前記フレームの重量よりも大きい、ことを特徴とする基板。
【請求項10】
請求項1に記載のリッド構造を備える基板と、素子とを備え、
前記素子は、内部収容空間に収容される、ことを特徴とするパッケージ基板。
【請求項11】
更に、前記素子の上面を閉塞する上面閉塞部を備える、ことを特徴とする請求項10に記載のパッケージ基板。
【請求項12】
前記リッド構造の高さは、前記素子の上面と同一、又は10μm以下の差を有する、ことを特徴とする請求項10に記載のパッケージ基板。
【請求項13】
請求項9に記載のリッド構造を備える基板と、素子とを備え、
前記素子は、内部収容空間に収容される、ことを特徴とするパッケージ基板。
【請求項14】
更に、前記素子の上面を閉塞する上面閉塞部を備える、ことを特徴とする請求項13に記載のパッケージ基板。
【請求項15】
請求項1に記載のリッド構造を備える基板と、収容空間に配置される少なくとも1つの素子と、前記リッド構造を備える基板に接続されるプリント回路基板と、を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項16】
請求項9に記載の前記リッド構造を備える基板と、収容空間に配置される少なくとも1つの素子と、前記リッド構造を備える基板に接続されるプリント回路基板と、を備えることを特徴とする半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)本出願は、2022年7月21日に出願された米国特許出願第17/870,177号、2021年7月23日に出願された米国仮特許出願63/225038の優先権を主張し、その開示内容全体は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
実施例は、リッド構造を含む基板、それを含むパッケージ基板及びそれを含む半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
パッケージ基板は、半導体装置を外部環境から保護し、プリント回路基板等の他の部品と電気的に良好に接続されるように構成されている。このようなパッケージ基板には、一般に、動作時に発生する熱を外部に放熱する放熱部材(リッド、ヒートスプレッダ、ヒートシンク)が設けられる。
【0004】
半導体装置の高機能化・高集積化に伴い、放熱特性の劣化による問題はより深刻化している。このような問題から、半導体装置から発生する全ての熱を効率よく外部に放熱するための新しいアプローチが求められている。
【0005】
また、ガラス基板をハイエンドパッケージ基板のベース基板として用いることは、半導体装置とプリント回路基板との間の配線が短くなり、優れた電気的特性を実現できる点で有利であるが、その後の加工時に破損する危険性が高くなるとともに、放熱性の低さに起因する上述の問題を引き起こす可能性がある。そのため、パッケージ基板の機械的特性をさらに改善する必要がある。
【0006】
上記の背景技術は、発明者が実施例を導出する前に保有していた技術情報、または発明者が実施例を導出するために取得した技術情報であり、必ずしも本発明の出願日以前に公知の技術として考慮されるものではない。
【0007】
これに関して、「気密封止用リッド、その製造方法及びそれを用いた電子部品収容パッケージ」という名称の韓国特許第10-1799645号及び「ヒートスプレッダー構造、これを用いた半導体パッケージ及びその製造方法」という名称の韓国特許登録第10-1242655号は、当技術分野で知られている。
【発明の概要】
【0008】
本概要は、発明の詳細な説明で後述する概念の一部を簡略化して紹介するために提供されるものである。本概要は、請求対象の重要な特徴又は必須の特徴を特定することを意図するものではなく、請求対象の範囲を決定する際の補助として使用することを意図するものでもない。
【0009】
実施例の1つの目的は、外部応力に弱いパッケージ基板の機械的特性を補強しつつ、パッケージ基板の放熱特性を向上させることである。
【0010】
実施例のさらなる目的は、電気的欠陥を引き起こす要因の発生を最小限に抑えながら、微細なクラックなどの損傷から半導体装置を保護することである。
【0011】
実施例の他の目的は、特別に設計されたリッド構造を用いて、パッケージ基板及びその関連システムの信頼性を向上させることである。
【0012】
実施例に係るベース基板及びリッド構造を備え、前記リッド構造は、素子を収容する収容空間と、前記収容空間の少なくとも一部を囲むフレームとを備え、前記リッド構造は、前記ベース基板の一面に配置され、前記リッド構造は、内側領域及び外側領域に分割され、前記内側領域は、前記ベース基板の一面に配置され、前記外側領域は、前記リッド構造から前記内側領域を除いた領域であり、前記外側領域は、前記ベース基板の端部外側の領域に配置される基板を提供する。
【0013】
実施例によると、前記リッド構造の対角線長は、前記ベース基板の対角線長よりも大きい。
【0014】
実施例によると、前記リッド構造を備える基板の一端部において測定した前記リッド構造の長さは、前記ベース基板の同じ端部において測定した長さよりも1%~10%大きい。
【0015】
実施例によると、前記ベース基板と前記収容空間との間に再分配層が配置され、前記ベース基板及び前記再分配層の重量の和は、前記フレームの重量よりも大きい。
【0016】
実施例によると、前記リッド構造は、更に、前記ベース基板の側面を囲む側部閉塞部を備える。
【0017】
実施例によると、前記ベース基板及び前記リッド構造の25℃における熱膨張係数をそれぞれCs及びClにした時に、比率Cl/Csは、0.02~1.2である。
【0018】
実施例によると、前記リッド構造は、50W/mK~425W/mKの熱伝導率を有する。
【0019】
実施例によると、前記リッド構造は、12MPa~670MPaの引張強度を有する。
【0020】
実施例によると、前記ベース基板に、電力伝送素子が埋め込まれる。
【0021】
実施例によると、前記フレームは、更に、前記リッド構造の外側領域に配置される1つ以上の保持孔を備える。
【0022】
他の実施例によると、ベース基板及びリッド構造を備え、前記リッド構造は、素子を収容する収容空間と、前記収容空間の少なくとも一部を囲むフレームとを備え、前記リッド構造は、前記ベース基板の一面に配置される基板を提供する。前記リッド構造の対角線長は、前記ベース基板の対角線長よりも大きくてもよい。前記ベース基板は、ガラス基板であってもよい。
【0023】
実施例によると、前記リッド構造を備える前記基板の一端部において測定した前記リッド構造の長さは、前記ベース基板の同じ端部において測定した長さよりも0%~10%大きくてもよい。
【0024】
実施例によると前記ベース基板及び前記リッド構造の25℃における熱膨張係数をそれぞれCs及びClにした時に、比率Cl/Csは、0.02~1.2であってもよい。
【0025】
実施例によると、前記リッド構造は、50W/mK~425W/mKの熱伝導率を有しもよい。
【0026】
実施例によると、前記リッド構造は、12MPa~670MPaの引張強度を有してもよい。
【0027】
実施例によると、前記ベース基板に、電力伝送素子が埋め込まれてもよい。
【0028】
実施例によると、前記フレームは、更に、前記リッド構造の外側領域に配置される1つ以上の保持孔を備えてもよい。
【0029】
実施例によると、前記リッド構造及び前記ベース基板は、更に、リッド構造体及びベース基板を貫通して配置される1つ以上の保持孔を有しもよい。
【0030】
実施例によるパッケージ基板は、リッド構造及び素子を備える基板を含み、前記素子は、内部収容空間に収容される。
【0031】
実施例によると、前記リッド構造は、更に、前記素子の上面を閉塞する上面閉塞部を備える。
【0032】
実施例によると、前記リッド構造の高さは、前記素子の上面と同一又は10μm以下の差を有してもよい。
【0033】
実施例によると、前記フレームと前記素子との間の隙間の最大幅は、10μm~50,000μmであってもよい。
【0034】
実施例に係る半導体装置は、前記リッド構造を備える基板と、収容空間に配置される少なくとも1つの素子と、前記リッド構造を備える基板に接続されるプリント回路基板と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1A】実施例に係るリッドフレームを含む基板の一例を示す斜視図である。
図1B】実施例に係るリッドフレームを含む基板の一例を示す斜視図である。
図2A】実施例に係るリッドフレームを含む基板の概念的な断面図である。
図2B】実施例に係るリッドフレームを含む基板の概念的な断面図である。
図3A】他の実施例に係るパッケージ基板の一例を示す斜視図である。
図3B】他の実施例に係るパッケージ基板の一例を示す斜視図である。
図4A】他の実施例に係るパッケージ基板の一例を示す斜視図である。
図4B】他の実施例に係るパッケージ基板の一例を示す斜視図である。
図5A】他の実施例に係るパッケージ基板の概念的な断面図である。
図5B】他の実施例に係るパッケージ基板の概念的な断面図である。
図6】他の実施例に係るパッケージ基板の断面斜視図である。
図7】他の実施例に係るパッケージ基板の概念的な断面図である。
図8】他の実施例に係るパッケージ基板の断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本開示の例示的な実施形態について、本発明が属する技術分野の当業者が容易に実施できるように、添付図面を参照しながら詳細に説明する。 しかしながら、例示的な実施形態は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載された実施形態に限定されると解釈されるものではない。本明細書において、同一の符号は、同一の要素を指す。
【0037】
本明細書において、ある要素が他の要素を「備える(または含む)」という用語は、特に明記しない限り、1つまたは複数の他の要素の存在または追加を示し、1つまたは複数の他の要素が存在又は追加される可能性を排除することを意図するものではない。
【0038】
本明細書において、ある要素が他の要素に「接続される」という用語は、他の要素に直接接続されるか、又は介在する要素が存在することを意味する。
【0039】
本明細書において、「A上にBが位置する」という用語は、A上に直接接触してBが位置するか、又はそれらの間に別の層が位置しながらA上にBが位置することを意味する。即ち、Aに直接接触してBが位置することに限定されて解釈されるべきではない。
【0040】
本明細書において、マーカッシュ形式の表現に含まれた「これらの組み合わせ」という用語は、マーカッシュ形式の表現に記載された各構成要素からなる群から選ばれる1つ以上の混合又は組み合わせを意味するものであって、前記各構成要素からなる群から選ばれる1つ以上を含むことを意味する。
【0041】
本明細書において、「A及び/又はB」の記載は、「A、B、又は、A及びB」を意味する。
【0042】
本明細書において、「第1」、「第2」又は「A」、「B」のような用語は、特に説明がない限り、同一の用語を互いに区別するために使用される。
【0043】
本明細書において、単数の表現は、文脈上、明らかに異なる意味を有さない限り、複数の表現を含む。
【0044】
本明細書において、リッド構造を含む基板とは、基板上にリッド構造が配置され、メイン素子が配置されていないパッケージ基板の集合体として解釈される。
【0045】
本明細書において、パッケージ基板とは、基板上に素子やリッド構造等が配置され、プリント回路基板やメインボード等の他の部品を接続可能な構造として解釈される。
【0046】
図面は正確な縮尺ではなく、明確にするために誇張されている場合があり、図面に示された要素が特定のサイズや比率に限定されると解釈されないことに留意されたい。
【0047】
図1A及び図1Bは、それぞれ実施例に係るリッドフレームを含む基板の一例を示す斜視図であり、図2A及び図2Bは、それぞれ実施例に係るリッドフレームを含む基板の概念的な断面図であり、図3A及び図3Bは、それぞれ他の実施例に係るパッケージ基板の一例を示す斜視図である。図4A及び図4Bは、それぞれ他の実施例に係るパッケージ基板の一例を示す斜視図であり、図5A及び図5Bは、それぞれ他の実施例に係るパッケージ基板の概念的な断面図であり、図6は、他の実施例に係るパッケージ基板の断面斜視図である。図7は、他の実施例に係るパッケージ基板の概念的な断面図である。図8は、他の実施例に係るパッケージ基板の断面斜視図である。以下、上記の図面を参照してリッド構造を含む基板、パッケージング基板等について説明する。
【0048】
リッド構造を含む基板110
【0049】
実施例に係るリッド構造を含む基板110は、ベース基板30とベース基板の一面に配置されるリッド構造10とを備え、前記リッド構造10は、素子20を収容する収容空間と、収容空間の少なくとも一部を囲むフレームとを備える(図1A図2A図1B及び図2B)。
【0050】
前記リッド構造は、内側領域13及び外側領域14に分割され、前記内側領域は、前記ベース基板の一面に位置し、前記外側領域は、前記リッド構造から前記内側領域を除いた領域であり、前記ベース基板の端部の外側に配置される。
【0051】
前記外側領域14は、前記ベース基板30の外縁よりも外側に延びる外縁を有する。図1A及び図2Aに示すように、外側に延びるリッド構造は、ガラス基板に対して段差Sを形成する。
【0052】
前記外側領域14の外縁は、前記基板110の上から見た時に、前記ベース基板の全ての端部よりも外側に延びている。あるいは、前記外側領域14の外縁は、図3Aに示すように、前記ベース基板の端部の一部のみよりも外側に延びていてもよい。外側領域において前記リッド構造と前記ベース基板30との間に形成される前記段差Sは、外側方向に実質的に同じ幅を有してもよい。各段差の幅は、10μm~1000μm、又は100μm~500μmであってもよい。
【0053】
前記リッド構造10の端部は、前記ベース基板30の端部と類似する形状を有してもよい。前記リッド構造10の端部は、前記ベース基板30の端部と実質的に同じ形状を有してもよく、前記リッド構造10の外縁は、前記ベース基板30の外縁よりも大きくてもよい。
【0054】
前記リッド構造10は、前記ベース基板30と同様に、断面が長方形の形状を有してもよい。 前記収容空間は、中空であり、前記リッド構造10を貫通するように形成されている。前記収容空間は、これに限らず、断面が長方形であり、後述する素子20が配置される位置に対応するようになってもよい。
【0055】
一端部において測定した前記リッド構造10の長さは、前記ベース基板30の同じ端部において測定した長さよりも1%~10%、又は2%~9%大きくてもよい。
【0056】
前記ベース基板30よりも大きい外縁を有する前記リッド構造10は、前記ベース基板の端部を覆う。前記リッド構造10の外縁は、前記ベース基板30の外縁よりも4%~40%又は8%~36%大きくてもよい。このような寸法にすることによって、基板を大型化することなく、リッド構造を備える基板の放熱特性を向上させることができ、その後の工程においてベース基板を安定的に保護することができる。前記リッド構造及び前記ベース基板のそれぞれの外縁は、その最外縁であってもよい。
【0057】
前記リッド構造10の対角線長は、前記ベース基板30の対角線長よりも大きくてもよい。
【0058】
前記ベース基板30は、プリプレグであってもよい。具体的に、ポリマー樹脂が組み込まれたガラス繊維が適用されてもよい。
【0059】
前記ベース基板30は、シリコン基板であってもよい。
【0060】
前記ベース基板30は、ガラス基板であってもよい。この場合、比較的容易に微細な導電線を作製することができる。更に、半導体特性を有するシリコン基板とは異なり、高周波電力の印加に有利となる場合がある。
【0061】
ベース基板としてガラス基板を適用する場合、前記リッド構造10は、実質的に同じサイズ又はそれより大きいサイズを有してもよい。
【0062】
他の実施例によると、リッド構造を備える基板110は、ベース基板30とリッド構造10とを備える。前記ベース基板の一面に配置される前記リッド構造10は、素子を収容する収容空間と、収容空間の少なくとも一部を囲むフレームを備える。前記リッド構造の対角線長は、前記ベース基板の対角線長よりも大きい。前記ベース基板は、ガラス基板であってもよい。
【0063】
前記リッド構造を含む基板の一端部において測定した前記リッド構造の長さは、同じ端部おいて測定した前記ベース基板の長さよりも0%~10%大きくてもよい。
【0064】
前記リッド構造10は、厚さ方向において貫通孔を備えてもよい(図1A図1B図2A図2B図3A及び図3B参照)。前記貫通孔は、1つ又は複数であってもよい。前記貫通孔は、他の素子が前記ベース基板30上に配置され、前記リッド構造に囲まれるように、十分な空間を有してもよい。前記貫通孔内に配置される前記素子は、例えば、メモリ素子又はコンデンサであってもよい。前記コンデンサは、アルミコンデンサ又は積層セラミックコンデンサ(MLCC)であってもよい。
【0065】
前記リッド構造10の外面、内部空間の内面、及び側部閉塞部11の各々は、その上に形成された放射線被覆層をさらに備えてもよい。前記放射線被覆層は、酸化鉄、アルミナ、酸化銅等の金属酸化物と、グラファイト等の炭素質材料を含んでもよい。
【0066】
図4A図5Bに示すように、前記リッド構造10は、ベース基板30の上面を覆ってもよい。上面閉塞部12は、ベース基板30及び/又は素子の上面を閉塞する部分であり、フレームと区別される。上面閉塞部は、素子が配置される空間を閉塞し、素子と接触して熱の伝達及び放出を促進することができる。
【0067】
前記上面閉塞部12は、前記リッド構造10とは異なる材料からなってもよい。
【0068】
前記上面閉塞部12は、前記リッド構造10と同じ材料からなってもよい。
【0069】
前記上面閉塞部12は、10μm~1000μm、又は100μm~500μmの厚さを有してもよい。
【0070】
前記上面閉塞部12が前記リッド構造10に形成される場合、前記素子20と前記リッド構造10との間の隙間に熱伝導性フィラーを充填してもよく、又は前記素子と前記リッドとの間の界面に半田付けを施してもよい。
【0071】
前記リッド構造10は、前記素子20との間所定の隙間Gを形成してもよい。前記隙間は、10μm~50,000μm又は10μm~10,000μmの最大幅を有してもよい。前記隙間には、熱伝導性フィラーが充填されていてもよい。
【0072】
上面閉塞部12なしで前記リッド構造10が開放している場合、その高さは、前記素子20の高さと同一、又は10μm以下の差を有してよい。このような寸法を有することによって、素子上に追加部材を配置した時に、隙間や段差の形成を最小限に抑えることができる。
【0073】
上面閉塞部を有するリッド構造を適用する場合、前記リッド構造内に素子が配置される。そのため、ベース基板及びリッド構造を組み立てる過程において、所定の位置に素子を配置してもよい。又は、後に素子を配置するように、リッド構造及びベース基板を着脱可能に組み立ててもよい。素子を配置する収容空間は、封止材で封止されていてもよい。
【0074】
リッド構造、上面閉塞部又はベース基板は、少なくとも1つの通気孔を備えてもよい。前記通気孔は、装置が駆動されている時に発生し得る熱をパッケージ基板の外部に排出する役割を果たしてもよい。
【0075】
図6及び図7に示すように、前記リッド構造10は、更に前記ベース基板30の側面を囲む側部閉塞部11を備えもよい。側部閉塞部は、基材が衝撃に弱い材料からなる場合、外部衝撃から基材を保護する役割を果たす。更に、前記側部閉塞部は、熱の伝達及び放出を促進する。
【0076】
前記側部閉塞部11は、リッド構造10に接続されて一体的に形成されてもよい。側部閉塞部とリッド構造が一体的に形成される場合、ベース基板の側面に対向するように位置する部分が側部閉塞部として扱われる。
【0077】
前記側部閉塞部11は、リッド構造10とは別に形成された後、それに結合されてもよい。前記側部閉塞部及び前記リッド構造を備える組立体には、限定なく接着構造又は締結構造を適用することができる。
【0078】
前記側部閉塞部11は、前記リッド構造10とは異なる材料からなってもよい。
【0079】
前記側部閉塞部11は、前記リッド構造10と同じ材料からなってもよい。
【0080】
前記側部閉塞部11は、前記ベース基板30の中心から外側方向に10μm~1000μm、又は100μm~500μmの厚さ(又は幅)を有してもよい。
【0081】
側部閉塞部間に実質的な高低差がないため、側部閉塞部11の一面は、前記ベース基板に対して段差がなくてもよい。
【0082】
前記側部閉塞部11の他面は、素子20が配置される前記ベース基板30の表面に隣接して配置されてもよい。キャビティ構造を有する場合、ベース基板の高さは、均等でなくてもよい。側部閉塞部11の一上側と側部閉塞部11に隣接するベース基板の一上側は、一直線上にあってもよく、実質的に段差を有さなくてもよい。
【0083】
前記リッド構造10は、更に素子20から発生する熱放出のためのヒートシンク及びヒートシンクに設けられる冷却器を備えてもよい。この場合、前記ヒートシンクは、サーマルグリース等の熱伝導性の媒体を介して素子を接触していてもよい。
【0084】
前記リッド構造10は、前記ベース基板30と接する面から反対面に向かう方向において、50μm~3000μm、又は100μm~1500μmの厚さを有してもよい。前記リッド構造は、2mm~10mm又は3mm~9mmの幅を有してもよい。これらの寸法にすることによって、前記リッド構造の熱伝達特性を十分に確保し、前記ベース基板を外部衝撃から効果的に保護することができる。特に、ベース基板としてガラス基板を適用する場合、前記リッド構造は、外部からの衝撃に耐えることができ、ガラス基板の破損を防止する効果をもたらすことができる。
【0085】
前記リッド構造10は、50W/mK~425W/mK、又は80W/mK~425W/mKの熱伝導率を有してもよい。
【0086】
前記リッド構造10は、12MPa~670MPa、又は50MPa~500MPaの引張強度を有してもよい。
【0087】
前記リッド構造10のフレームは、図8に示すように、更に対向する両端部に1つ以上の保持孔を備えてもよい。前記保持孔は、前記リッド構造の外側領域に配置されてもよい。前記保持孔は、前記リッド構造の最外縁から内側に凹んでいてもよい。前記保持孔は、リッド構造体110を備える基板の輸送中や加工中に衝撃を受けたときに、前記ベース基板30への破損を最小限に抑える役割を果たす。特に、前記ベース基板としてガラス基板を適用する場合、前記フレームは、外部からの衝撃を耐える役割を果たすことができる。そして、意図しないガラス基板の破損の程度を低減し、製造時の作業性を向上させることができる。
【0088】
前記ベース基板30をハイエンドパッケージ基板に用いると、素子20とプリント回路基板(図示せず)との間の配線が短くなり、優れた電気的特性を得ることができる点で有利である。
【0089】
前記ベース基板30の材料は、例えば、強化ガラス、ホウケイ酸ガラス、および無アルカリガラスである。ベース基板に実質的に有機化合物が存在しなくてもよい。
【0090】
前記ベース基板30と前記リッド構造10とは、シリコン系材料及び/又はエポキシ系材料で互いに結合されてもよい。
【0091】
前記ベース基板30及び前記リッド構造10の熱膨張係数をそれぞれCs及びClとした場合、Cl/Csは、0.02~1.2、又は0.1~1であってもよい。この範囲にすることによって、素子20の安定性を向上させ、前記ベース基板が良好な機械的特性を有することができる。
【0092】
前記ベース基板30は、2000μm以下、100μm~1500μm、又は100μm~1000μmの厚さを有してもよい。この寸法にすることによって、前記ベース基板は、前記リッド構造10が配置された状態で、適切な機械的特性を維持しつつ、電気信号をより効率的に伝達することができる。
【0093】
前記ベース基板30は、厚さ方向に貫通する複数のコアビアを備えてもよい。
【0094】
前記ベース基板30は、更に複数のビアを備え、一部のビアは、厚さ方向に経路を形成し、他のビアは、厚さ方向とは実質的に直交する方向に経路を形成する。
【0095】
前記ベース基板30は、コアビア及びビアを介してその一面と他面とを電気的に接続する、その少なくとも一部に形成された導電層を備えてもよい。
【0096】
前記ベース基板30は、その一面及び/又は他面に形成される回路パターンを備えてもよい。前記ベース基板30の前記素子20が配置される面とは反対側の面は、リードフレームや半田ボール等の電気接続手段を介してプリント回路基板に電気的に接続されてもよい。
【0097】
必要に応じて、前記ベース基板30と前記リッド構造10の収容空間との間に、再分配層が配置されてもよい。前記ベース基板及び前記再分配層の重量の和は、前記リッド構造のフレームの重量よりも大きくてもよい。プリプレグを用いた従来のインターポーザでは、再分配層の形成時や素子の実装時に、基板に歪みが生じることがある。この歪みは、インターポーザの一面に配置されたリッドを用いることで回避することができる。このとき、リッドには重い材料を使用し、基板の歪みを抑制する。実施例に係るベース基板としてのガラス基板は、ガラス繊維にポリマーが含浸されたプリプレグとは異なり、歪みが少ない。そのため、従来のリッドを使用する場合とは異なり、歪みを抑制する目的で重い材料を使用する必要がない。むしろ、重い材料を使用することは、実施例の別の目的であるパッケージの軽量化に反する。従って、前述したように、前記リッド構造は、ガラス基板及び再分配層を備えるパッケージ基板の重量の和よりも軽いことが好ましい。
【0098】
前記ベース基板30の内部又は前記ベース基板に形成されるキャビティに電力伝送素子が配置されてもよい。
【0099】
前記リッド構造110を備える基板は、ハウジング、ケース、又はソケット本体等の前記ベース基板30の外部を保護する別部材を含まなくてもよい。
【0100】
前記素子20は、例えば、中央処理装置(CPU)又はグラフィック処理装置(GPU)の演算要素であってもよい。あるいは、素子20は、メモリチップのメモリ素子であってもよい。ただし、ベース基板に通常装着可能な素子であれば、特に限定されない。
【0101】
実施例に係る基板110に、素子20を装着した前記ベース基板30に特別に設計されたリッド構造を有することによって、熱伝導や熱放出等の放熱特性の向上に繋がり、素子の信頼性を悪化させる事態の発生を最小限に抑えるために十分な機械特性を確保することができる。
【0102】
パッケージ基板100
【0103】
実施例に係るパッケージ基板100は、リッド構造及び収容空間内に収容される素子20を備える。
【0104】
リッド構造を備える前記基板100は、前述したものと同様であるため、その説明を省略する。
【0105】
図4A図7に示すように、前記パッケージ基板100は、更に素子20の上面を閉塞する上面閉塞部12を備えてもよい。前記上面閉塞部は、素子が配置される空間を閉塞してもよく、 素子と接触して素子からの熱の伝達及び放出を促進することができる。
【0106】
前記上面閉塞部12は、前記リッド構造10と同じ材料からなってもよい。
【0107】
前記上面閉塞部12は、前記リッド構造10とは異なる材料からなってもよい。
【0108】
前記上面閉塞部12は、10μm~1000μm、又は100μm~500μmの厚さを有してもよい。
【0109】
前記リッド構造10に上面閉塞部12が形成される場合、前記素子20と前記リッド構造10との間の隙間に熱伝導性フィラーを充填してもよく、素子とリッドとの界面に半田付けを施してもよい。前記リッド構造10は、素子20との間に所定の隙間Gを形成してもよい。前記隙間は、10μm~50,000μm、又は10μm~10,000μmの幅を有してもよい。この隙間には、熱伝導性のフィラーが充填されてもよい。
【0110】
前記上面閉塞部12なしで前記リッド構造10が開放している場合、その高さは、前記素子20の高さと同一、又は10μm以下の差を有してよい。このような寸法を有することによって、素子上に追加部材を配置した時に、隙間や段差の形成を最小限に抑えることができる。
【0111】
半導体装置
実施例に係る半導体装置は、基板100と、収容空間に配置される少なくとも1つの素子20と、リッド構造を含む前記基板に接続されるプリント回路基板とを備える。
【0112】
前記プリント回路基板は、前記リッド構造及び前記素子20を備える前記基板に電気的接続されてもよい。前記プリント回路基板は、メインボードであってもよい。
【0113】
前記リッド構造及び前記素子20を備える前記基板100は、前述したものと同様であるため、その説明を省略する。
【0114】
リッド構造を備える基板及びパッケージ基板の製造方法
【0115】
実施例に係るリッド構造を備える基板及びパッケージ基板の製造方法は、ベース基板30に素子20を配置する配置ステップと、前記配置ステップの前又は後に、ベース基板にリッド構造10を形成する形成ステップとを含む。
【0116】
前記リッド構造と上面閉塞部12とが一体的に形成されている場合、前記リッド構造は、素子が実装された後に形成されてもよい。
【0117】
前記形成ステップは、前記素子20を前記ベース基板30の一面に封止用化合物で結合することを含んでもよい。前記封止用化合物は、エポキシ系材料を含んでもよい。
【0118】
リッド構造10を形成するステップは、予め設定された形状を有するリッド構造を準備することと、前記リッド構造を前記ベース基板30に結合することとを含んでもよい。前記リッド構造は、エポキシ系材料及び/又はシリコン系材料を介して基板に結合されてもよい。前記リッド構造は、その材料に応じて、例えば、ダイキャスト、焼結又は機械的処理などの異なる工程によって形成されてもよい。
【0119】
リッド構造を備えるパッケージ基板の製造方法は、更に前記ベース基板30の一面と他面とを接続するコアビアと、前記ベース基板の内部に経路を形成するビアとを形成するステップを含んでもよい。コアビアとビアを形成するステップは、ベース基板の予め設定された部分を除去したり、プレーナ基板を物理的又は化学的にエッチングしたりすることによって行われてもよい。他の例として、ベース基板としてのガラス基板の表面にレーザーで欠陥や凹部を形成し、その後、化学エッチングやレーザーエッチングを行うことにより、コアビアやビアを形成してもよい。あるいは、複数の基板を積層することにより、コアビア及びビアを形成してもよい。
【0120】
本発明の方法によって製造されるリッド構造を含む基板及びパッケージ基板は、前述したものと同じであるため、その説明を省略する。
【0121】
実施例に係る前記リッド構造を備える基板及びパッケージ基板は、改善された放熱特性を有し、欠陥を引き起こす要因の発生を最小化するのに十分な満足できる良好な機械的特性を有することができる。
【0122】
以上、好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるべきではなく、当業者が以下の特許請求の範囲によって定義される基本概念を用いて行った様々な修正および改良も本発明の範囲に属すると解釈されるべきである。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8