(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】非対面検体採取のための検体採取ロボットシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 10/02 20060101AFI20240829BHJP
B25J 11/00 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
A61B10/02 130
B25J11/00 C
(21)【出願番号】P 2023073227
(22)【出願日】2023-04-27
【審査請求日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】10-2022-0055142
(32)【優先日】2022-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】304039548
【氏名又は名称】コリア・インスティテュート・オブ・サイエンス・アンド・テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】キム,ケリ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョンユル
(72)【発明者】
【氏名】キム,サン キョン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,スフン
(72)【発明者】
【氏名】ムン,ヨンファン
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ブチョン
(72)【発明者】
【氏名】チョ,ホン ジュン
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-146488(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0369252(US,A1)
【文献】中国実用新案第215272920(CN,U)
【文献】特許第6989734(JP,B1)
【文献】特開2014-104530(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第113786220(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 9/00-10/06
B25J 1/00-21/02
G01N 35/00-37/00
G01N 1/00-1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スワブで被検者の検体採取を行い、検体採取したスワブを試薬チューブに入れる過程を含む検体採取プロセスを行うための検体採取ロボットシステムであって、
グリッパとロボットアームを備えるロボットを含み、
前記グリッパは、同じ把持部を用いて、直径が相異なる物体を把持可能に構成され、
前記ロボットは、前記グリッパの交換なしに、前記スワブと前記試薬チューブを選択的に把持して、前記検体採取プロセスを進行することを特徴とする検体採取ロボットシステム。
【請求項2】
前記グリッパは、
中空の第1ドラムと、
前記第1ドラムに連結される中空の第2ドラムと、
前記第1ドラムと前記第2ドラムの中空内で、それぞれ前記第1ドラム及び前記第2ドラムに跨るように固定された複数のバンドを含み、
前記第1ドラムと前記第2ドラムは互いに相対回転可能であり、
前記第1ドラムと前記第2ドラムとの相対回転により、前記複数のバンドが互いにねじれながら、前記中空内に進入した物体を締め付けて固定することを特徴とする請求項1に記載の検体採取ロボットシステム。
【請求項3】
前記グリッパは、
前記第1ドラムに対向する反対側で前記第2ドラムに連結される第3ドラムと、
前記第2ドラムと前記第3ドラムの中空内で、それぞれ前記第2ドラム及び前記第3ドラムに跨るように固定される複数のバンドを含み、
前記第2ドラムと前記第3ドラムは互いに相対回転可能であり、
前記第1ドラムと前記第2ドラムが相対回転し、前記第2ドラムと前記第3ドラムが相対回転して、前記第2ドラムを中心に2段のバンドのねじれ構造が形成されることを特徴とする請求項2に記載の検体採取ロボットシステム。
【請求項4】
前記複数のバンドはそれぞれ、前記第1ドラム、前記第2ドラム、及び前記第3ドラムの全てに跨るように形成され、
前記第2ドラムは固定された前記第1ドラム及び前記第3ドラムに対して回転することを特徴とする請求項3に記載の検体採取ロボットシステム。
【請求項5】
前記第3ドラムの一端部は閉鎖され、
閉鎖された前記第3ドラムの一端部には前記中空内に進入した物体の接触を検知するセンサが形成され、
前記物体の接触が前記センサにより検知されると、前記第1ドラムと前記第2ドラムが相対回転し、前記第2ドラムと前記第3ドラムが相対回転することを特徴とする請求項4に記載の検体採取ロボットシステム。
【請求項6】
前記第1ドラムと前記第2ドラムとの相対回転角、及び前記第2ドラムと前記第3ドラムとの相対回転角が、前記スワブ及び前記試薬チューブの直径によって予め決められていることを特徴とする請求項5に記載の検体採取ロボットシステム。
【請求項7】
前記複数のバンドは、厚さより大きい幅を有し、弾性材質からなることを特徴とする請求項6に記載の検体採取ロボットシステム。
【請求項8】
前記ロボットは、
前記ロボットアームに装着されて、前記グリッパの姿勢及び位置を変更するように構成されたエンドエフェクタを更に含むことを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の検体採取ロボットシステム。
【請求項9】
前記エンドエフェクタは、
前記グリッパの配向角度を調節する姿勢変更モジュールと、
前記グリッパを回転させる回転モジュールと、
前記グリッパを前後進移動させる挿入モジュールと、
前記グリッパを前記前後進方向に垂直な平面内で前後左右方向に移動させる並進モジュールを含むことを特徴とする請求項8に記載の検体採取ロボットシステム。
【請求項10】
前記姿勢変更モジュールは前記グリッパに連結され、
前記回転モジュールは前記姿勢変更モジュールに連結されて、前記姿勢変更モジュールを回転させ、
前記挿入モジュールは前記回転モジュールに連結されて、前記回転モジュールを前後進移動させ、
前記並進モジュールは前記挿入モジュールに連結されて、挿入モジュールを前記前後進方向に垂直な平面内で前後左右方向に移動させることを特徴とする請求項9に記載の検体採取ロボットシステム。
【請求項11】
前記ロボットアームは、
ベースと、
前記ベースに対して回動可能な第1リンクと、
前記第1リンクに対して回転可能であり、前記エンドエフェクタが装着される第2リンクを含むことを特徴とする請求項10に記載の検体採取ロボットシステム。
【請求項12】
前記ロボットが設けられる検査ブースを更に含み、
前記検査ブースは、棚と、前記棚の上方で第1方向に延びるビームを備え、
前記ロボットアームは、前記ビームに沿って直線移動するベースと、前記ベースに直列に連結される複数のリンクを含むことを特徴とする請求項1に記載の検体採取ロボットシステム。
【請求項13】
前記棚の上には、
前記スワブを取り付けるスワブ取付台と、
前記試薬チューブを取り付ける入力チューブ取付台と、
前記試薬チューブの蓋を開封するチューブ処理装置と、
検体採取に使用されたスワブを入れる試薬チューブを取り付ける出力チューブ取付台が配置され、
前記検体採取プロセスが進行する間、前記グリッパが前記入力チューブ取付台、前記チューブ処理装置、前記スワブ取付台、被検者、前記チューブ処理装置及び前記出力チューブ取付台を順に経るように、前記ロボットアームが動作することを特徴とする請求項12に記載の検体採取ロボットシステム。
【請求項14】
前記スワブ取付台、前記入力チューブ取付台及び前記出力チューブ取付台は、前記第1方向に直交する第2方向に前記ビームの後方に配置され、
前記チューブ処理装置は前記第2方向に前記ビームの前方に配置されて、
前記検体採取プロセスが進行する間、前記ロボットアームが前記ビームを中心にスイング動作することを特徴とする請求項13に記載の検体採取ロボットシステム。
【請求項15】
前記棚の上には、前記スワブ取付台で把持したスワブを紫外線消毒するための消毒装置が更に配置され、
前記グリッパの本体は、前記消毒装置の入口部を塞ぐ形状及び大きさに形成されることを特徴とする請求項13又は14に記載の検体採取ロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は検体採取ロボットシステムに関するもので、より詳細には、非対面の環境でウイルスや細菌の検体採取プロセスを自動的に実行又は補助することができるロボットシステムに関するものである。
[国家支援研究開発に関する説明]
本研究は、国家科学技術研究会の主管下で韓国科学技術情報通信部の実用化型融合研究団事業(非対面迅速選別診療システムの開発;課題固有番号:1711151313号)の支援によって行われたものである。
【背景技術】
【0002】
細菌やウイルス感染による呼吸器疾患を判定するためには、被検者の鼻腔や口腔にスワブ(swab)を挿入して検体を採取する検体採取方法が用いられている。
【0003】
このような検体採取方法は、医療スタッフにより直接行われている。一般に、医療スタッフは、片手でスワブを握って被検者の鼻腔などから検体を採取し、他の手で握った試薬が入れられたチューブ(「試薬チューブ」)に検体したスワブを折り畳んで入れた後、試薬チューブの蓋を閉じて所定の取付け位置に載置する方式で検体採取を行う。
【0004】
このように、医療スタッフが直接対面して検体採取を行う場合、検体を採取する過程で医療スタッフが感染する二次感染被害が発生する恐れがある。また、パンデミック状況などのように、多数の被検者の検査を要する場合は、医療スタッフの疲労が蓄積される。
【0005】
このような問題が認識されるにつれて、ロボットを用いたいくつかの非対面検体採取ロボットシステムが提案されている。
【0006】
例えば、特許文献1には、自動化された検体採取ロボットシステムが提案されている。
【0007】
特許文献1では、地面に取付けられ、関節の回転(rotation)を用いて動作する、所謂「RyRhRh方式」のロボットアーム(検体ロボットアーム)を用いて、スワブを把持して検体採取を行う。更に、地面に取付けられ、関節の回転を用いて動作するロボットアーム(試薬チューブ搬送用のロボットアーム)を別に備えて、試薬チューブの搬送などを行う。
【0008】
検体ロボットアームと試薬チューブ移送ロボットアームは両方とも地面(底)にベースを載置し、水平回転して動作する形態である。従って、特許文献1で検体採取ロボットシステムを構成するためには、非常に広い面積の作業空間が必要である。
【0009】
即ち、特許文献1では、2つのロボットアームを用いて検体採取プロセスを進行するため、2つのロボットアームを設置する空間や、2つのロボットアームの干渉を避けるための作業領域を確保するに必要とする空間が非常に広くなるようになる。
【0010】
また、特許文献1では、検体採取プロセスを進行するために、2つのロボットアームを用いることが必須であるため、システムの構造及び制御が複雑になり、必要なコストが増加する。なお、正確な検体経路を把握するには限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】中国実用新案登録第212553870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本開示は、前述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、単一のロボット(ロボットアーム)を用いて空間活用性を極大化できる検体採取ロボットシステムを提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示の一側面によれば、スワブで被検者の検体採取を行い、検体採取したスワブを試薬チューブに入れる過程を含む検体採取プロセスを行うための検体採取ロボットシステムであって、グリッパとロボットアームを備えるロボットを含み、前記グリッパは、同じ把持部を用いて、直径が相異なる物体を把持可能に構成され、前記ロボットは、前記グリッパの交換なしに、前記スワブと前記試薬チューブを選択的に把持して、前記検体採取プロセスを進行することを特徴とする検体採取ロボットシステムが提供される。
【0014】
一実施形態によれば、前記グリッパは、中空の第1ドラムと、前記第1ドラムに連結される中空の第2ドラムと、前記第1ドラムと前記第2ドラムの中空内で、それぞれ前記第1ドラム及び前記第2ドラムに跨るように固定された複数のバンドを含み、前記第1ドラムと前記第2ドラムは互いに相対回転可能であり、前記第1ドラムと前記第2ドラムとの相対回転により、前記複数のバンドが互いにねじれながら、前記中空内に進入した物体を締め付けて固定することが好ましい。
【0015】
一実施形態によれば、前記グリッパは、前記第1ドラムに対向する反対側で前記第2ドラムに連結される第3ドラムと、前記第2ドラムと前記第3ドラムの中空内で、それぞれ前記第2ドラム及び前記第3ドラムに跨るように固定される複数のバンドを含み、前記第2ドラムと前記第3ドラムは互いに相対回転可能であり、前記第1ドラムと前記第2ドラムが相対回転し、前記第2ドラムと前記第3ドラムが相対回転して、前記第2ドラムを中心に2段のバンドのねじれ構造が形成されることが好ましい。
【0016】
一実施形態によれば、前記複数のバンドはそれぞれ、前記第1ドラム、前記第2ドラム、及び前記第3ドラムの全てに跨るように形成され、前記第2ドラムは固定された前記第1ドラム及び前記第3ドラムに対して回転することが好ましい。
【0017】
一実施形態によれば、前記第3ドラムの一端部は閉鎖され、閉鎖された前記第3ドラムの一端部には前記中空内に進入した物体の接触を検知するセンサが形成され、前記物体の接触が前記センサにより検知されると、前記第1ドラムと前記第2ドラムが相対回転し、前記第2ドラムと前記第3ドラムが相対回転することが好ましい。
【0018】
一実施形態によれば、前記第1ドラムと前記第2ドラムとの相対回転角、及び前記第2ドラムと前記第3ドラムとの相対回転角が、前記スワブ及び前記試薬チューブの直径によって予め決められていることが好ましい。
【0019】
一実施形態によれば、前記複数のバンドは、厚さより大きい幅を有し、弾性材質からなることが好ましい。
【0020】
一実施形態によれば、前記ロボットは、前記ロボットアームに装着されて、前記グリッパの姿勢及び位置を変更するように構成されたエンドエフェクタを更に含むことが好ましい。
【0021】
一実施形態によれば、前記エンドエフェクタは、前記グリッパの配向角度を調節する姿勢変更モジュールと、前記グリッパを回転させる回転モジュールと、前記グリッパを前後進移動させる挿入モジュールと、前記グリッパを前記前後進方向に垂直な平面内で前後左右方向に移動させる並進モジュールを含むことが好ましい。
【0022】
一実施形態によれば、前記姿勢変更モジュールは前記グリッパに連結され、前記回転モジュールは前記姿勢変更モジュールに連結されて、前記姿勢変更モジュールを回転させ、前記挿入モジュールは前記回転モジュールに連結されて、前記回転モジュールを前後進移動させ、前記並進モジュールは前記挿入モジュールに連結されて、挿入モジュールを前記前後進方向に垂直な平面内で前後左右方向に移動させることが好ましい。
【0023】
一実施形態によれば、前記ロボットアームは、前記ベースに対して回動可能な第1リンクと、前記第1リンクに対して回転可能であり、前記エンドエフェクタが装着される第2リンクを含むことが好ましい。
【0024】
一実施形態によれば、前記ロボットが設けられる検査ブースを更に含み、前記検査ブースは、棚と、前記棚の上方で第1方向に延びるビームを備え、前記ロボットアームは、前記ビームに沿って直線移動するベースと、前記ベースに直列に連結される複数のリンクを含むことが好ましい。
【0025】
一実施形態によれば、前記棚の上には、前記スワブを取り付けるスワブ取付台と、前記試薬チューブを取り付ける入力チューブ取付台と、前記試薬チューブの蓋を開封するチューブ処理装置と、検体採取に使用されたスワブを入れる試薬チューブを取り付ける出力チューブ取付台が配置され、前記検体採取プロセスが進行する間、前記グリッパが前記入力チューブ取付台、前記チューブ処理装置、前記スワブ取付台、被検者、前記チューブ処理装置及び前記出力チューブ取付台を順に経るように、前記ロボットアームが動作することが好ましい。
【0026】
一実施形態によれば、前記スワブ取付台、前記入力チューブ取付台及び前記出力チューブ取付台は、前記第1方向に直交する第2方向に前記ビームの後方に配置され、前記チューブ処理装置は前記第2方向に前記ビームの前方に配置されて、前記検体採取プロセスが進行する間、前記ロボットアームが前記ビームを中心にスイング動作することが好ましい。
【0027】
一実施形態によれば、前記棚の上には、前記スワブ取付台で把持したスワブを紫外線消毒するための消毒装置が更に配置され、前記グリッパの本体は、前記消毒装置の入口部を塞ぐ形状及び大きさに形成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0028】
本開示の検体採取ロボットシステムによれば、グリッパとロボットアームを備える単一のロボットを用いて空間活用性を極大化できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本開示の一実施形態に係るロボットシステムの平面図である。
【
図3A】
図1のロボットシステムをなす構成の大きさ設定に関する一例を示す概略図である。
【
図3B】
図1のロボットシステムをなす構成の大きさ設定に関する他の例を示す概略図である。
【
図4】一実施形態に係るエンドエフェクタの初期状態を示す図である。
【
図5】
図4のエンドエフェクタの並進モジュールを示す図である。
【
図6】
図4のエンドエフェクタを用いてグリッパを前進移動させた状態を示す図である。
【
図7】
図4のエンドエフェクタを用いてグリッパの姿勢を変更した状態を示す図である。
【
図9A】
図8のグリッパの内部構造及び動作を説明するための概略図であり、グリッパが初期状態にある。
【
図9B】
図9Aと同様の概略図であり、グリッパが移動することを示す。
【
図9C】
図9Aと同様の概略図であり、グリッパが更に前進することを示す。
【
図9D】
図9Aと同様の概略図であり、バンドのねじれ構造が形成されることを示す。
【
図10】
図8のグリッパの内部構造を説明するための図である。
【
図11】
図8のグリッパでスワブを把持した様子を示す図である。
【
図12】
図8のグリッパで試薬チューブを把持した様子を示す図である。
【
図13】
図1のロボットシステムによる検体採取プロセスの進行手順を説明する図である。
【
図14】一実施形態に係る消毒装置の概略的な構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本開示の好ましい実施形態ついて添付した図面を参照して説明する。本開示は図面に示された実施形態を参照して説明するが、これは一実施形態として説明するものであり、これによって本開示の技術的思想とその核心構成及び作用が限定されるわけではない。
【0031】
図1は本開示の一実施形態に係る検体採取ロボットシステム(以下、単に「ロボットシステム」と称する場合がある)1の概略図である。
【0032】
本実施形態に係るロボットシステム1は検体採取プロセスを行う。本明細書において、「検体採取プロセス」は、初期位置に置かれた未使用のスワブと試薬チューブを把持して設定された検査位置に移して被検者の検体採取を行い、検体採取したスワブ(の全体又は一部)を試薬チューブに入れた後、スワブを入れた試薬チューブを最終位置に置き換えることまでの一連の過程をいう。初期位置にスワブと試薬チューブをセットし、最終位置で試薬チューブを疾病確認検査場所へ移送乃至搬出する過程は「検体採取プロセス」に含まれないと意図した。ここで、初期位置及び最終位置は検査ブース内の位置に限定されず、検査ブース内外の任意の場所になり得る。
【0033】
図1を参照すると、本実施形態に係るロボットシステム1は、1台のロボット20と、ロボット20が設けられる検査ブース10を含む。
【0034】
検査ブース10は底から所定の高さに形成される棚14(
図2参照)と、棚14の四隅に直立する柱フレーム12と、柱フレーム12の上端に設けられる四角形の上部フレーム11を含む。
【0035】
また、検査ブース10は棚14の上面で所定の高さに離間し、
図1においてX軸方向(第1方向)に延びるビーム13を備える。
【0036】
ビーム13は上部フレーム11でY軸方向に延びる2つの対向するフレームにわたって形成されてもよい。或いは、Y軸方向に延びる2つの対向するフレームよりも低い高さにY軸方向に延びる補助フレームを設け、当該補助フレームに跨るようにビーム13を設けてもよい。
【0037】
本明細書において、X軸方向(第1方向)、Y軸方向(第2方向)及びZ軸方向(第3方向)は互いに直交して空間を定義する方向にあるが、互いに直交する相対的な方向を意味するものであり、ある絶対座標系を定義する方向はない。
【0038】
本明細書においては、空間活用の極大化と迅速な動作の側面において、Y軸方向(第2方向)を被検者Pがロボットシステム1を見ている方向として規定している。
【0039】
本実施形態に係るロボット20は検査ブース10のビーム13に設けられて、棚14の上方に吊り下げられた構造を有する。
【0040】
図2は一実施形態に係るロボット20の設置様子を示す図である。
図2では図示の便宜上、ビーム13を除いた検査ブース10の全てのフレームは図示が省略されている。
【0041】
図2に示したように、ロボット20は、ビーム13に設けられるロボットアーム200と、ロボットアーム200の端部に設けられるエンドエフェクタ300と、エンドエフェクタ300に設けられるグリッパ400を含む。
【0042】
エンドエフェクタ300は、ロボットアーム200の端部に装着され、グリッパ400の姿勢及び位置を変更するように構成される。グリッパ400はスワブSと試薬チューブUを選択的に把持可能である。
【0043】
エンドエフェクタ300及びグリッパ400については後で更に詳細に説明し、ここではロボットアーム200についてまず説明する。
【0044】
図2を参照すると、ロボットアーム200はビーム13に装着されるベース210と、ベース210に直列に連結される複数のリンク220、230を備える。本実施形態において、第1リンク220がベース210に回動可能に連結され、第2リンク230が第1リンク220に回動可能に連結される。
【0045】
ベース210はビーム13に装着されて、ビーム13に沿ってX軸方向に直線移動可能である。ベース210は、ビーム13の上方でビーム13に乗せられる移動部211と、ビーム13の下方に配置されて第1リンク220を回動可能に固定する基端部212、及び移動部211と基端部212を連結固定する連結部213を含む。
【0046】
移動部は駆動装置(図示せず)によって駆動され、ビーム13が延びる方向にビーム13に沿って摺動可能に設けられる。従って、ベース210全体(即ち、ロボットアーム200)がビーム13に沿って直線移動可能である。
【0047】
基端部212には第1リンク220の一端部が連結される。第1リンク220は基端部212に対して第1軸S1を中心に回動可能に連結される。基端部212には第1リンク220を回動運動させるための駆動装置(例えば、サーボモータ)(図示せず)が連結されている。
【0048】
第1リンク220の他端部には第2リンク230の一端部が連結される。第2リンク230は第1リンク220に対して第2軸S2を中心に回転可能に連結される。第1リンク220と第2リンク230の連結部位には第1リンク220に対して第2リンク230を回動運動させるための駆動装置(例えば、サーボモータ)(図示せず)が連結されている。本実施形態において、第1軸S1と第2軸S2は互いに平行である。
【0049】
第2リンク230の他端部にはエンドエフェクタ300が接続可能な接続部231が形成され、接続部231にはエンドエフェクタ300の一端部が接続されて固定される。本実施形態によれば、エンドエフェクタ300は第2リンク230に対して相対的な運動を行わず、第2リンク230の動きに応じてエンドエフェクタ300全体の姿勢及び位置が変更されるようになっている。
【0050】
本実施形態に係るロボットアーム200は1つの並進運動(直線運動)と2つの回転運動を有する、所謂「RyRhTh方式」のマニピュレータ構造を有する。このような「RyRhTh方式」のロボットアームは、前述した従来の「RyRhRh方式」のロボットアームに比べ、作業半径に対して必要とする長さの補償が少ない。従って、作業ブース10の大きさを減らすことができ、ロボットアームをなすリンクの長さを短くすることができる。加えて、作業半径をより多様にデザインすることができる。
【0051】
図3A及び
図3Bはロボットアーム200に対するリンクの長さと、作業ブース10の大きさ選定について説明するための概略図である。
図3A及び
図3Bではロボットアーム200の構成を簡略化している。
【0052】
図3Aは被検者Pの身長が最大身長(約190cm)の場合を示し、
図3Bは被検者Pの身長が最小身長(約150cm)の場合を示す図である。本実施形態において、被検者Pは立っている姿勢で検査を受ける。
【0053】
第1リンク220及び第2リンク230の長さをそれぞれl
1及びl
2とする。
図3A(最大身長)において、第1リンク220が水平面となすジョイント角度をθ
11とし、第1リンク220と第2リンク230がなす角度をθ
12とする。
図3B(最小身長)において、第1リンク220が水平面となすジョイント角度をθ
21とし、第1リンク220と第2リンク230がなす角度をθ
22とする。
【0054】
このようなジオメトリ下で、下記式(1)~(4)を満たすl1、l2、θ11、θ21をMatlabを通じて環境変数H(ベースの線形駆動機)の高さ、D(採取位置までの距離)を調整しながら非線形連立方程式を解いた。
【0055】
【0056】
抽出したデータのうち作業ブース10の大きさが最も小さくなる長さとして、l1=320mm、l2=80mmを選定することができ、ロボットアーム200とエンドエフェクタ300の作業半径を考慮すると、作業ブース10の大きさ[mm]を1200×1460×1980に定めることができる。
【0057】
即ち、本実施形態に係るロボットアーム200の構造を用いると、単に1200mmの幅を有する作業ブース10で検体採取プロセスの進行が可能である。そのため、非常に小さな空間でもロボットシステム1を構成することができる。
【0058】
また、比較的短い長さのリンクを用いて被検者の平均的な身長範囲を全てカバーできるロボット20を構成することができる。
【0059】
なお、本実施形態によれば、作業ブース10上で上方に吊り下げられたロボットアーム200の構造を用いることで、被検者Pは椅子などに着座する必要なく、移動中に立っている姿勢で直ちに検採体臭を受けることができるので、最適化された検査経路の設定が可能である。
【0060】
また、このようなロボットアーム200の構造を用いると、空間の小型化に加えて、空間活用の最適化を達成することができる。
【0061】
再び
図1及び
図2を参照すると、ロボットアーム200がビーム13によって上方に吊り下げられた構造を有するので、棚14の上面である作業面110にはロボット20の設置空間が不要となる。従って、棚14の作業面110に検体採取プロセスに必要な各種機器や装置のみをコンパクト、且つ効率的に配置することができる。
【0062】
図1に示したように、棚14の作業面110には、検体採取に用いるスワブSを取り付けるスワブ取付台101と、検査に用いる試薬チューブUを取り付ける入力チューブ取付台102と、検体採取に用いたスワブSを入れた試薬チューブUを取り付ける出力チューブ取付台103が配置される。スワブ取付台101、入力チューブ取付台102、及び出力チューブ取付台103は全て、ビーム13を基準にロボット20の後方に配置されている。
【0063】
本実施形態によれば、スワブ取付台101、入力チューブ取付台102、及び出力チューブ取付台103は特別な装置や機械の構成がなく、単に複数のスワブS又は試薬チューブUを取り付けることができる取付台である。
【0064】
作業ブース10の後方には医療スタッフが作業ブース10内に接近できる開閉窓(図示せず)が形成されているので、これを通じて医療スタッフや補助作業員が手作業でスワブ取付台101及び入力チューブ取付台102にスワブS又は試薬チューブUを補充し、出力チューブ取付台103の試薬チューブUを引き出すことができる。
【0065】
しかし、これに限定されるものではなく、コンベア装置などを用いて、スワブS又は試薬チューブUを自動的に補充又は引き出すように構成してもよい。
【0066】
前述したように、本実施形態においては、スワブ取付台101、入力チューブ取付台102及び出力チューブ取付台103にスワブS又は試薬チューブUを補充するか、それから引き出す作業は検体採取プロセスに含まれない。
【0067】
一方、棚14の作業面110には、試薬チューブUの蓋を開封するなどの準備処理を行うチューブ処理装置105と、スワブSを紫外線殺菌/消毒するための消毒装置104と、軸状部を切断して残ったスワブSの取っ手部分を廃棄する廃棄ボックス106が更に配置される。チューブ処理装置105、消毒装置104及び廃棄ボックス106は全て、ビーム13を基準にロボット20の前方(被検者Pに近い側)に配置されている。
【0068】
本実施形態によれば、チューブ処理装置105は試薬チューブUを取付台に取り付けると、回転キャップ分離装置を用いて試薬チューブUの蓋を開放するか、逆回転させて蓋を閉じる機能を行う。また、チューブ処理装置105はロボット20が検体採取を完了したスワブSの軸状部をチューブ処理装置105上に置かれた試薬チューブUの内部に入れると、試薬チューブUの外側に延びたスワブSの取っ手部分を切断するカッターも備える。
【0069】
消毒装置104はLEDランプを用いてUV殺菌/消毒を行うことができる装置である(
図14参照)。廃棄ボックス106は切り出したスワブSの取っ手部分を集める部材であって、その構成は特に限定されない。
【0070】
このように、本実施形態によれば、ロボット20を空中に設ける構造によって、ロボット20の設置に必要なスペースを節約することができ、その代わりにプロセスの進行に必要な各種構成を隣接してコンパクトに配置することができる。従って、空間活用性を極大化することができ、ロボットの動線を最適化することができる。
【0071】
図4は一実施形態に係るエンドエフェクタ300の構成を示す図である。
【0072】
図4を参照すると、エンドエフェクタ300はグリッパ400が連結される姿勢変更モジュール330と、姿勢変更モジュール330に連結されて姿勢変更モジュール330を回転させる回転モジュール340と、回転モジュール340に連結されて回転モジュール340を前後進移動させる挿入モジュール320と、挿入モジュール320に連結されて挿入モジュール320を前記前後進方向に垂直な平面内で前後左右方向に移動させる並進モジュール310を含む。
【0073】
ここで、前後進方向において、前進方向はエンドエフェクタ300の長手方向における中心軸とスワブSの延在方向が略一致する初期状態で、スワブSのチップ部が向かう方向であり得、後進方向はその逆方向であり得る。
【0074】
なお、前記前後左右方向において、前方向は
図4の紙面に向かう方向であり得、後方向はその逆方向であり得る。左方向は
図4において左方向であり得、右方向はその逆方向であり得る。ただし、前後左右方向はこれに限定されず、前後進方向に垂直な平面(即ち、
図4の紙面に垂直な平面)内で互いに直交する任意の4方向を称することができる。
【0075】
図5はエンドエフェクタ300の並進モジュール310を示す図である。
図5及び他の図では並進モジュール310の基本的な構成のみを示したものであり、並進モジュール310は図示しないカバーにより内部が隠されることができる。
【0076】
図5に示したように、並進モジュール310は略「L」字状のレールフレーム311と、略「L」字状に形成されるガイドフレーム315を含む。レールフレーム311とガイドフレーム315は略四角形状のフレーム構造を形成する。
【0077】
四角形状のフレームには一辺のレールフレーム311と一辺のガイドフレーム315を連結する垂直ガイド313と、他辺のレールフレーム311と他辺のガイドフレーム315を連結する水平ガイド314が設けられる。垂直ガイド313と水平ガイド314は互いに高さの差を有して設けられる。
【0078】
垂直ガイド313の端部316はそれぞれ、それに連結されるレールフレーム311及びガイドフレーム315に沿って移動可能に設けられる。水平ガイド314の端部317もやはり、それぞれに連結されるレールフレーム311及びガイドフレーム315に沿って移動可能に設けられる。
【0079】
並進モジュール310は挿入モジュール320を固定するための円板状の接続部材312と、接続部材312の下端で水平ガイド314及び垂直ガイド313に結合される移動部材318を備える。
【0080】
垂直ガイド313全体がそれに連結されたフレームに沿って左右方向に移動することによって、移動部材318及び接続部材312が左右方向に移動する。これにより、接続部材312に連結された挿入モジュール320が左右方向に移動する。
【0081】
また、水平ガイド314全体がそれに連結されたフレームに沿って前後方向に移動することによって、移動部材318及び接続部材312が前後方向に移動する。これにより、接続部材312に連結された挿入モジュール320が前後方向に移動する。
【0082】
このような移動部材318の移動は図示しないモータや油圧アクチュエータなどの駆動装置によって行われる。
【0083】
再び
図4を参照すると、挿入モジュール320は並進モジュール310の接続部材312に連結される円板状の接続部材321と、接続部材321の中央から垂直に延びる軸部材322と、軸部材322に沿って直線移動可能な移動部材323を含む。移動部材323は図示しないモータや油圧アクチュエータなどの駆動装置によって動作して軸部材322に沿って移動する。
【0084】
移動部材323には回転モジュール340が固定される。移動部材323が軸部材322に沿って前後進移動することによって、回転モジュール340が共に軸部材322に沿って前後進移動する。
【0085】
図6は移動部材323が前進移動した様子を示す図である。
図6に示したように、移動部材323によって回転モジュール340が前後進移動すると、回転モジュール340の前方に結合された姿勢変更モジュール330も共に前後進移動する。これにより、姿勢変更モジュール330に結合されたグリッパ400とグリッパ400に把持されたスワブSなどの物体の前後進移動が可能である。
【0086】
再び
図4を参照すると、姿勢変更モジュール330はグリッパ400が装着される固定部380を3つの回転リンクにより支えている形態の球状並列機構(Spherical parallel mechanism)からなる。
【0087】
姿勢変更モジュール330の第1回転リンクは回転モジュール340を取り囲む環状の回転部370と、回転部370から前方に延びる第1リンク371と、固定部380から固定部380の半径方向外側に延びる第3リンク373と、第1リンク371及び第3リンク373のそれぞれに対して回転可能に連結される第2リンク372を含む。第2リンク372は円弧状に形成され、一端部は第1リンク371に対して第3軸S3を中心に回動し、他端部は第3リンク373に対して第4軸S4を中心に回動可能に設けられる。第3軸S3と第4軸S4は互いに所定の鋭角をなすように配置されている。
【0088】
回転モジュール340には第1ギア(図示せず)が回転可能に備えられ、回転部370の内面には第1ギアと噛み合うギアが形成されている。よって、第1ギアが回転すると、回転部370が回転モジュール340の中心軸を基準に回転する。
【0089】
姿勢変更モジュール330の第2回転リンクは環状の回転部360と、回転部360から前方に延びる第1リンク361と、固定部380から固定部380の径方向外側に延びる第3リンク363と、第1リンク361及び第3リンク363のそれぞれに対して回転可能に連結された第2リンク362を含む。姿勢変更モジュール330の第3回転リンクは環状の回転部350と、回転部350から前方に延びる第1リンク351と、固定部380から固定部380の径方向外側に延びる第3リンク353と、第1リンク351及び第3リンク353のそれぞれに対して回転可能に連結される第2リンク352を含む。
【0090】
回転モジュール340には第2ギア(図示せず)が回転可能に備えられ、第2回転リンクの回転部360の内面には第2ギアと噛み合うギアが形成されている。よって、第2ギアが回転すると、回転部360が回転モジュール340の中心軸を基準に回転する。また、回転モジュール340には第3ギア(図示せず)が回転可能に備えられ、第3回転リンクの回転部350の内面には第3ギアと噛み合うギアが形成されている。よって、第3ギアが回転すると、回転部350が回転モジュール340の中心軸を基準に回転する。
【0091】
回転モジュール340の第1乃至第3ギアは回転モジュール340の前方に順次形成されている。回転モジュール340は第1乃至第3ギアをそれぞれ独立的に(速度と方向をそれぞれ独立して)回転させることができる。即ち、回転モジュール340は姿勢変更モジュール330の第1回転リンク乃至第3回転リンクのそれぞれを独立的に回転させることができる。
【0092】
姿勢変更モジュール330の第1回転リンク乃至第3回転リンクは回転モジュール340の第1乃至第3ギアの位置に対応して、その回転部の位置が長手方向に異なる点を除いて、その他の構成は実質的に同一である。
【0093】
このような姿勢変更モジュール330及び回転モジュール340が形成する球状並列機構(Spherical parallel mechanism)のマニピュレータ構造は公知されているので、ここでは更に詳細な説明は省略する。
【0094】
姿勢変更モジュール330の第1回転リンク乃至第3回転リンクの3つのリンク構造をそれぞれ制御することで、グリッパ400の配向角度(姿勢)を変更することができる。
【0095】
図7はグリッパ400の姿勢が変更された様子を示す図である。回転モジュール340を用いて、例えば、第2回転リンクの回転部360と第3回転リンクの回転部370を互いに逆方向に回転させると、グリッパ400は一方向に斜めに操舵される。
【0096】
第1回転リンク乃至第3回転リンクを独立的に回転させて複合的な操舵を引き起こすことで、グリッパ400の移動方向を四方にすることができることが理解するべきである。
【0097】
一方、回転モジュール340を用いて姿勢変更モジュール330の第1回転リンク乃至第3回転リンクを同一の方向及び同一の速度で回転させると、グリッパ400は当該姿勢でグリッパ400の長手方向中心軸を中心に回転するようになる。
【0098】
即ち、回転モジュール340を用いて姿勢変更モジュール330を相対的な動きなしに回転させると、グリッパ400が回転するようになり、回転モジュール340を用いて姿勢変更モジュール330の相対的な動き(動作)を発生させると、グリッパ400の配向角度を変更することができる。
【0099】
本実施形態においては、並進モジュール310、挿入モジュール320、回転モジュール340、及び姿勢変更モジュール330が順に直列に連結され、各モジュールの動作がその前方に連結されたモジュールに影響を与えて、最終的には、グリッパ400の前後進、前後左右移動、姿勢変更及び回転を引き起こすようになる。このような構成によって、エンドエフェクタ300の構成をコンパクト化することができる。
【0100】
ただし、エンドエフェクタ300が、グリッパ400の配向角度を調節する姿勢変更モジュールと、グリッパ400を回転させる回転モジュールと、グリッパ400を前後進移動させる挿入モジュールと、グリッパ400を前後進方向に垂直な平面内で前後左右方向に移動させる並進モジュールを含む限り、その構成は本実施形態に限定されない。
【0101】
図8は一実施形態に係るグリッパ400を示す図である。
【0102】
図8に示したように、グリッパ400は第1ドラム410、第2ドラム420、及び第3ドラム430が直列に結合されて、全体的にドラム状の本体を備える。
【0103】
第1ドラム410は中空に形成され、両端部が全て開口されている。第2ドラム420は中空に形成され、両端部が全て開口されている。第3ドラム430は中空に形成され、第2ドラム420が連結される一端部は開口され、他端部は閉鎖されている。
【0104】
第1ドラム410は、その内部の中空が第2ドラム420に連通するように連結され、第1ドラム410と第2ドラム420は同心軸線上で互いに相対回転可能である。
【0105】
第3ドラム430は、第1ドラム410に対向する反対側で第2ドラム420に連結される。第3ドラム430は、その内部の中空が第2ドラム420に連通するように連結され、第2ドラム420と第3ドラム430は同心軸線上で互いに相対回転可能である。
【0106】
本実施形態によれば、第1ドラム410と第3ドラム430は固定され、第2ドラム420が回転することで、第1ドラム410と第2ドラム420との間の相対回転、及び第3ドラム430と第2ドラム420との間の相対回転が引き起こされる。
【0107】
図8に示したように、第2ドラム420の外面にはギア歯421が形成され、それと噛み合うギア441がモータ440により回転することで、第2ドラム420が回転するように構成されている。
【0108】
一方、本実施形態に係るグリッパ400はバンドを用いて把持部を形成する。以下、
図9A~
図10を参照して、これについて説明する。
【0109】
図9A~
図9Dはグリッパ400の内部構造及び動作を説明するための概略図であり、
図10はグリッパ400の内部構造を説明するための図である。
図9A~
図9Dでは、説明のためにグリッパ400の第1ドラム410乃至第3ドラム430を互いに離間した円板状に簡略化して示している。
【0110】
図9A~
図9Dに示したように、グリッパ400はそれぞれ、第1ドラム410、第2ドラム420、及び第3ドラム430の全てに跨るように、グリッパ400の長手方向に延びる複数のバンド451を備える。本実施形態においては、4つのバンド451が形成される。
【0111】
複数のバンド451のそれぞれは、その一端が第1ドラム410に固定され、第2ドラム420を貫通(第2ドラム420に形成された通孔を通過)し、他端は第3ドラム430に固定される。
【0112】
図9Aに示したように、グリッパ400の初期状態で、複数のバンド451はグリッパ400の長手方向中心軸の方向に延びて互いに略平行に維持される。複数のバンド451はグリッパ400の長手方向中心軸を中心に放射状に配置されている。
【0113】
一方、閉鎖された第3ドラム430の一端部には中空内に進入した物体の接触を検知するセンサ460が配置されている。
【0114】
図9Bに示したように、グリッパ400が移動して、第1ドラム410の入口部を通じてスワブSの取っ手部分が中空内に進入するようにする。
図9Cに示したように、グリッパ400が更に前進して、スワブSの取っ手の先端がセンサ460に接触する。
【0115】
スワブSなどの物体がセンサ460に接触すると、第2ドラム420が一方向に回転する。即ち、第1ドラム410と第2ドラム420が相対回転し、第2ドラム420と第3ドラム430が相対回転するようになる。
【0116】
複数のバンド451の両端は第1ドラム410と第3ドラム430にそれぞれ固定されているので、
図9Dに示したように、第1ドラム410と第2ドラム420が相対回転する場合、第2ドラム420におけるバンド451の固定位置が共に回転し、第1ドラム410におけるバンド451の固定位置はもとの所に位置している。従って、第1ドラム410と第2ドラム420との間に複数のバンド451が互いにねじれながら、ねじれ構造が形成される。同様に、第2ドラム420と第3ドラム430が相対回転する場合は、第2ドラム420と第3ドラム430との間に複数のバンド451が互いにねじれながら、ねじれ構造が形成される。即ち、第2ドラムを中心に2段のバンド451のねじれ構造が形成される。
【0117】
図10に示したように、複数のバンド451はグリッパ400の長手方向中心軸を中心に同一の距離に放射状に配置されているので、グリッパ400の中空内で長手方向中心軸を中心にねじれたバンド451に取り囲まれた把持部GAが形成される。
【0118】
第2ドラム420が回転することによって、把持部GAの面積が徐々に狭くなりながら、複数のバンド451がその間に位置したスワブSをグリッパ400の長手方向中心軸に追い込む。この時、スワブSの周りを複数のバンド451が完全に包み込んでいるので、例えば、3つのジョーを用いたグリッパのように中心に向かって締め付けられるグリッパは、把持物をジョーを用いて中央に追い込む途中、ジョーの間に把持物が挟まれたりすることが発生しない。
【0119】
図9Dに示したように、ねじれた複数のバンド451が全て中空内に進入した物体に接触すると、把持部GAが物体(スワブS)を締め付けて固定するようになる。本実施形態によれば、複数のバンド451はその厚さが幅より大きい平べったい形状に形成されて、バンド451が把持された物体に接触した際には接触力が向上する。
【0120】
前述したように、ねじれた複数のバンド451により形成された把持部GAはグリッパ400の中空内で長手方向中心軸に合わせて位置決めしようとする特性を有する。従って、本実施形態によれば、
図9Dに示したように、グリッパ400の長手方向中心軸と偏心して配置されたスワブSの位置がバンド451によりグリッパ400の長手方向中心軸に自動的にアライメントされる。
【0121】
前記とは逆方向に第2ドラム420を回転させると、ねじれたバンド451は
図9Aのような初期状態に緩みながら、把持が解除される。
【0122】
また、本実施形態に係るグリッパ400は2段のバンド451のねじれ構造を有し、各段のねじれ構造では全てその中央部に把持部GAが形成される。従って、把持部GAに把持されたスワブSはグリッパ400の長手方向に対して傾くことなく、グリッパ400の長手方向に整列される。
【0123】
このような構成によれば、グリッパ400を用いてスワブSを把持する際に、スワブSをグリッパ400に対して別々に整列させるための手間を避けることができる。
【0124】
本実施形態によれば、複数のバンド451は弾性材料(例えば、ゴムバンド)からなり、
図9Aに示した初期状態においては、膨張した状態で形成される。
【0125】
即ち、
図9Dのように、ねじれ構造が形成された状態では、複数のバンド451は長さが延びるように引かれた状態である。
【0126】
このような構成によれば、第2ドラム420の回転程度を調整して、把持部GAの大きさを調節することができる。第2ドラム420を他のドラムに対して多く回転させるほど、把持部GAの空間の大きさが小さくなる一方、相対的に少なく回転させると、把持部GAの空間の大きさは比較的大きくなる。
【0127】
従って、グリッパ400の中空内に入ることができる長い形状の物体であれば、その直径に関係なく、グリッパ400の第2ドラム420の回転角を適切に調整して把持することができる。
【0128】
このように、本実施形態に係るグリッパ400は、同じ把持部GAを用いて、直径が相異なる物体を把持可能に構成される。従って、本実施形態に係るロボット20は、グリッパ400を交換しなくても、直径が相異なる物体を把持することができる。ここで、グリッパの「交換」は、他のグリッパを備えたロボットアームに代えて又は続いて作業を行うようにすること、一方のロボットアームに装着されたグリッパを他のグリッパに交換すること、及び一方のグリッパで把持部を変形(transformation)することを含む。「変形」は、一つのグリッパ内で把持部を交換したり、その形態を変更したりすることである。本実施形態のように、同一の動作を行うが、その程度を異にして把持対象を変えることは、「変形」には該当しない。
【0129】
このようなグリッパ400を用いて、本実施形態に係るロボットシステム1はグリッパ400の交換なしに1つのグリッパ400で、スワブSと試薬チューブUを選択的に把持して、検体採取プロセスを進行する。
【0130】
図11はグリッパ400でスワブSを把持した様子を示す図であり、
図12はグリッパ400で試薬チューブUを把持した様子を示す図である。
【0131】
本実施形態によれば、第2ドラム420の回転角(即ち、第1ドラム410と第2ドラム420との相対回転角、及び第2ドラム420と第3ドラム430との相対回転角)が把持対象物であるスワブSと試薬チューブUの直径によって予め決められている。
【0132】
後述するように、本実施形態に係る検体採取プロセス中には、スワブSと試薬チューブUを略交互に把持するように進行するので、プロセスのうちどの時点でスワブS又は試薬チューブUを把持するかが分かる。
【0133】
従って、スワブSに対する第2ドラム420の回転角と、試薬チューブUに対する第2ドラム420の回転角を予め設定し、適当なタイミングで定められた回転角だけ第2ドラム420を回転させて、スワブS又は試薬チューブUを選択的に把持することができる。
【0134】
本実施形態によれば、第2ドラム420の回転角は、バンド451が把持する物体に接触した後も、もう少し第2ドラム420が回転するように設定されて、物体を確実に把持するようにする。
【0135】
本実施形態に係るエンドエフェクタ300では、第1ドラム410及び第3ドラム430が固定され、第2ドラム420が回転するようにしたが、これに限定されない。例えば、第2ドラム420が固定され、第1ドラム410及び第3ドラム430が回転するようにしてもよい。また、第1ドラム410、第2ドラム420及び第3ドラム430がそれぞれ独立して回転可能にしてもよい。
【0136】
また、本実施形態においては、一本のバンド451が第1ドラム410から第2ドラム420を経て第3ドラム430に固定されるように延びるが、これに限定されない。例えば、第1ドラム410及び第2ドラム420に跨るように複数の第1バンドを固定し、第2ドラム420及び第3ドラム430に跨るように複数の第2バンドを固定してもよい。
【0137】
ただし、本実施形態のように、一本のバンド451が第1ドラム410から第2ドラム420を経て第3ドラム430に固定されるように延び、第1ドラム410及び第3ドラム430は固定され、第2ドラム420が回転するようにすることで、モータの数を減らす共に、グリッパ400の動作を一律に制御することができる。
【0138】
なお、本実施形態においては、グリッパ400は第1ドラム410、第2ドラム420及び第3ドラム430の三重構造であって、二段のバンドのねじれ構造を形成するが、これに限定されない。必要に応じて四重構造で構成してもよいし、第1ドラム410及び第2ドラム420の二重構造で構成してもよい。後者の二重構造は、スワブSなどの把持対象物の端部を挿入又は固定することができる構成を備えてもよい。
【0139】
以下、
図13を参照して、ロボットシステム1による検体採取プロセスの進行について説明する。
【0140】
図13はロボットシステム1による検体採取プロセスの進行手順を説明する図である。
【0141】
まず、医療スタッフがスワブ取付台101及び入力チューブ取付台102にそれぞれ20個ずつのスワブSと試薬チューブUを装着しておく。
【0142】
ロボット20はロボットアーム200を駆動してグリッパ400を入力チューブ取付台102の上方に移動させる。ロボット20はグリッパ400を用いて入力チューブ取付台102に取付けられた試薬チューブUのうち一つを把持する。入力チューブ取付台102で把持する正確な位置にグリッパ400を移動させる動作は、ロボットアーム200及びエンドエフェクタ300を適切に動作させることによって行われる。その後のスワブS及び試薬チューブUの把持や移送過程においても同様である。
【0143】
次に、ロボット20はロボットアーム200を駆動してグリッパ400をチューブ処理装置105の上方に移動させ、把持した試薬チューブUをチューブ処理装置105の取付部に載置する。
【0144】
次に、ロボット20はロボットアーム200を駆動してグリッパ400をスワブ取付台101の上方に移動させる。ロボットアーム200が動いている間、チューブ処理装置105は、当該装置に取り付けられた試薬チューブUの蓋を開放する。スワブ取付台101に移動したロボット20はグリッパ400を用いてスワブ取付台101に取付けられたスワブSのうち一つを把持する。
【0145】
次に、ロボット20はロボットアーム200を駆動してグリッパ400を消毒装置104の上方に移動させ、把持を維持したまま把持しているスワブSを消毒装置104の内部に入れる。
【0146】
図14は一実施形態に係る消毒装置104の概略的な構成を示す図である。
【0147】
図1及び
図14に示したように、消毒装置104は内部空間602が形成された本体601と、本体601の上部を覆う上板603を含む。
【0148】
本体601の内部にはUV光を発生することができる複数のLEDランプアレイ605が配置されている。グリッパ400に把持されたスワブSは内部空間602において複数のLEDランプアレイ605のほぼ中央に配置される。UV光により、検体採取前にスワブSを消毒して、被検者の感染や検査エラーなどを防止することができる。
【0149】
上板603の中央にはスワブSが通過できる入口部604が形成されている。
図14に示したように、入口部604の形状と大きさは、スワブSを完全に押し込んだ際、グリッパ400の本体(第1ドラム410)がぴったり合う形状と大きさになっている。
【0150】
即ち、グリッパ400の本体は消毒が進行している間、消毒装置104の入口部を塞ぐ。これにより、スワブSに対する消毒効率を向上させることができ、UV光によりグリッパ400の中空内部のバンドなどの構成を消毒することも可能である。
【0151】
実際の使用時、ロボット20の外部はビニールカバーなどを被せて汚染を防止するが、スワブSなどを挿入しなければならないグリッパ400の中空内部は、このような処理を行うことが難しい。本実施形態によれば、消毒装置104を通じてこのような難しさを補うことができる。
【0152】
再び
図13を参照すると、ロボット20はロボットアーム200を駆動して消毒済のスワブを被検者Pの近傍に移動させて、検体採取を行う。
【0153】
具体的には、ロボットアーム200を用いてスワブSを被検者Pの顔の前方に移動させる。この時、ロボットアーム200は、3次元空間で最適経路計画アルゴリズムを通じて被検者Pの顔位置に経路移動され、DNN(Deep Neural Network)に基づいて被検者Pの鼻や口を認識した後、被検者Pの身長(
図3A及び
図3B参照)と目鼻立ちに応じて、スワブSの最適採取経路を自動的に調整するようになる。ロボットシステム1は所定の位置に設けられて被検者Pを撮影することができるビジョンカメラを備える。
【0154】
このような最適採取経路の自動調整が完了すると、その位置でロボットアーム200は動作せずに停止される。
【0155】
国家的次元でスワブSを生体内に挿入する行為を医療スタッフが行うように規定されている場合がある。従って、本実施形態によれば、エンドエフェクタ300を動作させ、スワブSを鼻腔又は口腔内に挿入して検体採取を行う作業は、医療スタッフにより行われるように構成する。
【0156】
より具体的には、医療スタッフにはエンドエフェクタ300をスレーブロボットとして動作させることができるマスター操作装置(図示せず)を提供し、ビジョンカメラを通じて被検者Pの鼻腔乃至口腔の中を目視で確認できるモニタ(図示せず)も提供する。
【0157】
マスタ操作装置は、前述したエンドエフェクタ300の全ての動作を直観的に行うことができるようにして、グリッパ400が前後進移動、前後左右移動及び回転駆動を行うようにする。
【0158】
医療スタッフはモニタを確認しながら、マスター操作装置を用いて、エンドエフェクタ300の並進モジュール310、姿勢変更モジュール330などを駆動してスワブSを被検者Pに挿入可能な姿勢とする。その後、挿入モジュール320を駆動してスワブSを前進駆動し、検体採取部位に接触するようにし、回転モジュール340を通じて姿勢変更モジュール330を回転させて、スワブSを所定回数回転させる。このようなスワブSの回転は360度回転の形態であってもよいし、所定の角度で時計回り方向と反時計回り方向の回転を繰り返す形態であってもよい。
【0159】
検体採取が完了すると、エンドエフェクタ300を用いてスワブSを後進移動させて、鼻腔乃至口腔から引き出す。
【0160】
本実施形態においては、ロボットアーム200により自動的に被検者Pの顔の前にスワブSを配置させ、その後は医療スタッフの遠隔操作によりエンドエフェクタ300を動作させて、検体採取を進行している。ただし、医療規定などの制限がなければ、エンドエフェクタ300を動作させて検体採取を進行する過程も、ビジョンカメラのデータなどを活用した制御アルゴリズムを通じて自動的に行うこともできる。
【0161】
再び
図13を参照すれば、検体採取が完了すると、ロボット20はロボットアーム200を駆動してスワブSをチューブ処理装置105に移動させる。その後、チューブ処理装置105に載置された蓋が開放された試薬チューブU内にスワブSの検体済の軸状部を入れる。
【0162】
所定深さにスワブSを入れた後には、チューブ処理装置105のカッターを用いてグリッパ400と試薬チューブUとの間のスワブSの取っ手を切り出す。
【0163】
次に、ロボット20はロボットアーム200を駆動してグリッパ400を廃棄ボックス106に移動させ、グリッパ400の把持を解除して、残った取っ手部位を廃棄ボックス106に捨てる。その間、チューブ処理装置105は試薬チューブUの蓋を閉じる。
【0164】
次に、ロボット20はロボットアーム200を駆動してグリッパ400を再びチューブ処理装置105に移動させる。グリッパ400はチューブ処理装置105上の試薬チューブUを把持する。前述したように、本実施形態に係るロボット20はグリッパ400の交換がなくても、直ぐに試薬チューブUも把持可能である。
【0165】
次に、ロボット20が把持した試薬チューブUを出力チューブ取付台103に置き換えると、検体採取プロセスが完了する。
【0166】
検体採取が完了した出力チューブ取付台103上の試薬チューブUは医療スタッフなどの人力によって搬出され、標識されて検査場所に移されるなどの過程が行われる。
【0167】
本実施形態によれば、スワブ取付台101、入力チューブ取付台102及び出力チューブ取付台103は、ビーム13が延びる方向である第1方向に直交する第2方向(Y軸方向)においてビーム13の後方(被検者Pから遠方側)に配置され、チューブ処理装置105は第2方向においてビーム13の前方に配置される。従って、検体採取プロセスが進行する間、ロボットアーム200がビーム13を中心に一種のスイング動作(ビーム13に沿ったロボット20の並進運動も並行する)を繰り返すと、検体採取プロセスが進行する。従って、検体採取プロセスのための検体経路が単純化されるので、1つのロボットアームのみを活用しても、検体採取プロセスを完了する時間を、従来に比べて更に短縮することもできる。
【0168】
従って、本実施形態に係るロボットシステム1によれば、迅速な検体採取が可能であり、空間及びコストが大幅に節減される共に、空間活用性や検体経路の最適化を達成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0169】
前述したように、本開示によれば、グリッパとロボットアームを備える単一のロボットを用いて空間活用性を極大化できる検体採取ロボットシステムを提供する。
【符号の説明】
【0170】
1 ロボットシステム
10 検査ブース
20 ロボット
200 ロボットアーム
300 エンドエフェクタ
400 グリッパ
451 バンド
S スワブ