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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】運転支援システム及び運転支援方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/01 20060101AFI20240829BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20240829BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20240829BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALI20240829BHJP
【FI】
G08G1/01 E
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/10
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023079121
(22)【出願日】2023-05-12
(65)【公開番号】P2023174557
(43)【公開日】2023-12-07
【審査請求日】2023-08-23
(31)【優先権主張番号】111119618
(32)【優先日】2022-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】513247101
【氏名又は名称】和碩聯合科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲曽▼羽鴻
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼秉堯
(72)【発明者】
【氏名】陳嘉偉
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/187882(WO,A1)
【文献】特開2020-016509(JP,A)
【文献】特開2015-207211(JP,A)
【文献】特開2012-022504(JP,A)
【文献】特開2016-145886(JP,A)
【文献】特開2019-061407(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/01
G16Y 10/40
G16Y 20/20
G16Y 40/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両をナビゲートするための運転支援システムであって、
目標車線の複数の道路区間の複数の領域画像を撮像するよう構成された、複数の撮像装置と、
前記複数の撮像装置から前記複数の領域画像を受信し、前記複数の領域画像に基づき前記道路区間に対応する複数の渋滞レベルをそれぞれ算出するよう構成された、渋滞算出モジュールと、
前記渋滞算出モジュールから前記複数の渋滞レベルを受信し、前記複数の渋滞レベルに基づき前記車両に車線変更メッセージを提供するよう構成された、判定モジュールと
を含
前記渋滞算出モジュールは、前記複数の撮像装置のそれぞれに結合された複数の計算機を含み、
各前記計算機は、前記複数の領域画像のうちの対応する領域画像に基づいて対応するオプティカルフロー情報を生成し、前記対応する領域画像と前記対応するオプティカルフロー情報とに基づいて対応する渋滞レベルを算出し、
各前記計算機は、前記対応する領域画像のテクスチャに基づいて前記目標車線の対応する道路区間上の車両数を判定し、前記対応するオプティカルフロー情報に基づいて前記目標車線の前記対応する道路区間の交通速度を判定し、前記テクスチャの複雑さと前記対応するオプティカルフロー情報の光束とに基づいて前記対応する渋滞レベルの渋滞値を算出する、
運転支援システム。
【請求項2】
前記複数の撮像装置は、複数の道路脇施設に設けられる、
請求項1に記載の運転支援システム。
【請求項3】
前記渋滞算出モジュールは、前記複数の領域画像に対応する複数のオプティカルフロー情報をそれぞれ生成し、前記領域画像と前記オプティカルフロー情報とに基づき前記渋滞レベルを算出する、
請求項1に記載の運転支援システム。
【請求項4】
前記テクスチャの前記複雑さは、前記目標車線の前記対応する道路区間の前記車両数に正の相関があり、
前記光束は、前記目標車線の前記対応する道路区間の前記交通速度に正の相関がある、
請求項に記載の運転支援システム。
【請求項5】
前記テクスチャの前記複雑さが高く前記光束が低いほど、前記渋滞値は高くなる、
請求項に記載の運転支援システム。
【請求項6】
前記計算機によって算出された渋滞値のうちの閾値よりも低い少なくとも1つの渋滞値に基づき、前記判定モジュールは、前記車両に前記少なくとも1つの渋滞値に対応する前記道路区間上の前記目標車線に変更するよう通知するため、前記車線変更メッセージを提供する、
請求項1に記載の運転支援システム。
【請求項7】
車両をナビゲートするため運転支援方法であって、
複数の撮像装置により、目標車線の複数の道路区間の複数の領域画像を撮像することと、
前記複数の領域画像に基づいて前記複数の道路区間に対応する複数の渋滞レベルをそれぞれ算出することと、
前記複数の渋滞レベルに基づいて前記車両に車線変更メッセージを提供することと
を含
渋滞算出モジュールは複数の計算機を含み、各前記計算機は前記複数の撮像装置のうちの対応する撮像装置に結合され、
前記領域画像に基づいて前記道路区間に対応する前記渋滞レベルを算出するステップは、
各前記計算機により、前記複数の領域画像のうちの対応する領域画像に基づいて対応するオプティカルフロー情報を生成し、
前記対応する領域画像のテクスチャに基づいて前記目標車線の対応する道路区間上の車両数を判定することと、
前記対応するオプティカルフロー情報に基づいて前記目標車線の前記対応する道路区間の交通速度を判定することと、
前記テクスチャの複雑さと前記対応するオプティカルフロー情報の光束とに基づいて前記対応する渋滞レベルの渋滞値を算出することと
を含む、
運転支援方法。
【請求項8】
前記領域画像に基づいて前記道路区間に対応する前記渋滞レベルを算出するステップは、
前記複数の領域画像に基づいて前記複数の領域画像に対応する複数のオプティカルフロー情報をそれぞれ生成することと、
前記領域画像と前記オプティカルフロー情報とに基づいて前記渋滞レベルを算出することと
を含む、
請求項に記載の運転支援方法。
【請求項9】
前記テクスチャの前記複雑さは、前記目標車線の前記対応する道路区間の前記車両数に正の相関があり、
前記光束は、前記目標車線の前記対応する道路区間の前記交通速度に正の相関がある、
請求項に記載の運転支援方法。
【請求項10】
前記テクスチャの前記複雑さ高く前記光束が低いほど、前記渋滞値は高くなる、
請求項に記載の運転支援方法。
【請求項11】
前記渋滞レベルに基づいて前記車両に車線変更メッセージを提供するステップは、
前記計算機によって算出された渋滞値のうちの閾値よりも低い少なくとも1つの渋滞値に基づき、前記車両に前記少なくとも1つの渋滞値に対応する前記道路区間上の前記目標車線に変更するよう通知するため、前記車線変更メッセージを提供すること
を含む、
請求項に記載の運転支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援システム及び運転支援方法に関するものであり、特に、実際の道路状況に応じて車両をナビゲートするための運転支援システム及び運転支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の車両用の運転支援システムは、半自動運転システム(例えば、レベル2、レベル3運転システム)と全自動運転システム(例えば、レベル4運転システム)に分けることができる。半自動運転システムでは、車両が目標車線を変更するときに、車両を現在の車線から目標車線に変更するか否かを決定するため、運転者は依然として目標車線の渋滞状況を目視する必要がある。
【0003】
全自動運転システムは、それ自体により、現在の車線から目標車線へと運転するように自動運転車両を制御することができる。しかし、全自動運転システムは、目標車線が過度に渋滞しているため、円滑に車線変更するように自動運転車両を制御することができない可能性があり、よって元々予定されていた短距離の経路をとることができず、より長距離の経路を再計画することとなる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
運転支援システムの種類に関わらず、目標車線の渋滞状況は車両の車線変更結果に影響すると考えることができる。よって、如何にして目標車線の渋滞状況に応じて可能な限り早く、現在の車線から目標車線に変更するように車両に指示するメッセージを提供するか、が当業者にとっての研究対象のうちの1つである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、目標車線の渋滞状況に応じて車両をナビゲートするための運転支援システム及び運転支援方法を対象とする。
【0006】
本発明は、車両をナビゲートするための運転支援システムを提供する。運転支援システムは、複数の撮像装置と、渋滞算出モジュールと、判定モジュールとを含む。撮像装置は、目標車線の複数の道路区間の複数の領域画像を撮像する。渋滞算出モジュールは、撮像装置から領域画像を受信し、領域画像に基づき道路区間に対応する複数の渋滞レベルを算出する。判定モジュールは、渋滞算出モジュールから渋滞レベルを受信し、渋滞レベルに基づき車両に車線変更メッセージを提供する。
【0007】
本発明は、車両をナビゲートするための運転支援方法を提供する。運転支援方法は、複数の撮像装置により目標車線の複数の道路区間の複数の領域画像を撮像することと、領域画像に基づき道路区間に対応する複数の渋滞レベルを算出することと、渋滞レベルに基づき車両に車線変更メッセージを提供することとを含む。
【発明の効果】
【0008】
上記に基づき、本発明の運転支援システム及び運転支援方法は、領域画像に基づき道路区間に対応する複数の渋滞レベルを算出し、渋滞レベルに基づき車両に車線変更メッセージを提供する。このようにして、車線変更メッセージに基づいて、車両は比較的渋滞が深刻でない道路区間で、現在の車線から目標車線へと移動することができる。
【0009】
上記をより理解し易くするため、いくつかの実施形態を添付図面と併せて以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の1つの実施形態による運転支援システムの動作シナリオの概略図である。
図2】本発明の1つの実施形態による運転支援方法のフロー図である。
図3】本発明の1つの実施形態による運転支援システムの概略図である。
図4】本発明の1つの実施形態による計算機の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1を参照し、図1は本発明の1つの実施形態による運転支援システムの動作シナリオの概略図である。本実施形態において、運転支援システム100は、車両VHをナビゲートするために用いられる。運転支援システム100は、撮像装置110_1~110_4と、渋滞算出モジュール120と、判定モジュール130とを含む。撮像装置110_1~110_4は、目標車線TLの道路区間RG1~RG4の領域画像RM1~RM4を撮像する。例えば、目標車線TLは高速自動車専用道路又は高速道路の出口である。撮像装置110_1は、様々な道路脇の位置に取り付けられる。道路脇の位置間の距離は、数十メートルから数百メートルである。例えば、撮像装置110_1は道路区間RG1の領域画像RM1を撮像し、撮像装置110_2は道路区間RG2の領域画像RM2を撮像し、撮像装置110_3は道路区間RG3の領域画像RM3を撮像し、撮像装置110_4は道路区間RG4の領域画像RM4を撮像する。
【0012】
本実施形態において、渋滞算出モジュール120は、撮像装置110_1~110_4から領域画像RM1~RM4を受信するため、撮像装置110_1~110_4と通信する。渋滞算出モジュール120は、領域画像RM1~RM4に基づき道路区間RG1~RG4に対応する渋滞レベルMG1~MG4を算出する。判定モジュール130は、渋滞算出モジュール120から渋滞レベルMG1~MG4を受信するため、渋滞算出モジュール120と通信する。判定モジュール130は、渋滞レベルMG1~MG4に基づき、車線変更メッセージCMGを車両VHに提供する。
【0013】
運転支援システム100は、目標車線TLの道路区間RG1~RG4の領域画像RM1~RM4を受信することに注意されたい。運転支援システム100は、領域画像RM1~RM4に基づき道路区間RG1~RG4に対応する渋滞レベルMG1~MG4を算出し、渋滞レベルMG1~MG4に基づき車線変更メッセージCMGを車両VHに提供する。つまり、車両VHにより受信される車線変更メッセージCMGは、目標車線TLの道路区間RG1~RG4の実際の渋滞状況に関係する。運転支援システム100は、目標車線TLの渋滞状況に応じて車線変更メッセージCMGを車両VHに提供することができ、車両VHは可能な限り早く現在の車線CLから目標車線TLへと運転することができる。このようにして、車線変更メッセージCMGに基づき、車両VHは比較的渋滞が深刻でない道路区間で、現在の車線CLから目標車線TLへと移動することができ、これにより運転の安全性を向上させる。
【0014】
本実施形態を例とし、渋滞算出モジュール120は、領域画像RM1に基づき道路区間RG1に対応する渋滞レベルMG1を算出する。渋滞算出モジュール120は、領域画像RM2に基づき道路区間RG2に対応する渋滞レベルMG2を算出する。渋滞算出モジュール120は、領域画像RM3に基づき道路区間RG3に対応する渋滞レベルMG3を算出する。また、渋滞算出モジュール120は、領域画像RM4に基づき道路区間RG4に対応する渋滞レベルMG4を算出する。本発明の本実施形態において、道路区間RG1とRG2は交通渋滞しており、道路区間RG3とRG4は交通渋滞していない。判定モジュール130は、渋滞レベルMG1~MG4に基づき車線変更メッセージCMGを車両VHに提供する。よって、車両VHは、車線変更メッセージCMGに基づき、現在の車線CLから道路区間RG3とRG4のうちの1つの目標車線TLへと可能な限り早く移動することができる。
【0015】
本実施形態において、撮像装置110_1~110_4は、それぞれの道路脇施設(RSU)RSU1~RSU4に取り付けられてよい。例えば、撮像装置110_1は道路脇施設RSU1に取り付けられ、撮像装置100_2は道路脇施設RSU2に取り付けられる等である。道路脇施設RSU1~RSU4は、例えば道路脇に取り付けられた街灯、信号、任意の道路標識、及び交通表示板である。撮像装置100_1~100_4は、例えばカメラ又はビデオカメラにより実装される。
【0016】
本実施形態において、運転支援システム100は、4つの撮像装置100_1~100_4により例示されている。しかし、本発明の撮像装置の数は本実施形態に限定されない。本発明の撮像装置の数は、実際の要件に応じて設計されてよい。
【0017】
本実施形態において、渋滞算出モジュール120は、道路脇設備及び判定モジュール130の外に配置されてよい。渋滞算出モジュール120と判定モジュール130は、例えば、コンピュータプログラムをロードして実行する、少なくとも1つの中央処理装置(CPU)、又は少なくとも1つのプログラマブル汎用又は特定用途向けマイクロプロセッサ、少なくとも1つのデジタルシグナルプロセッサ(DSP)、少なくとも1つのプログラマブルコントローラ、少なくとも1つの特定用途向け集積回路(ASIC)、少なくとも1つのプログラマブルロジックデバイス(PLD)、又は他の類似のデバイス、又はこれらデバイスの組合せを含む。
【0018】
いくつかの実施形態において、渋滞算出モジュール120は、第1サーバ又は第1ホストであってよい。判定モジュール130は、第2サーバ又は第2ホストであってよい。
【0019】
いくつかの実施形態において、渋滞算出モジュール120は、道路脇施設RSU1~RSU4のうちの少なくとも1つの内部に設けられてよい。
【0020】
図1図2を同時に参照し、図2は本発明の1つの実施形態による運転支援方法のフロー図である。本実施形態において、運転支援方法S100は、車両VHをナビゲートするために用いられる。運転支援方法S100は、運転支援システム100に適用される。運転支援方法S100は、ステップS110~S130を含む。ステップS110にて、撮像装置110_1~110_4は目標車線TLの道路区間RG1~RG4の領域画像RM1~RM4を撮像する。ステップS120にて、道路区間RG1~RG4に対応する渋滞レベルMG1~MG4が領域画像RM1~RM4に基づき算出される。ステップS130にて、渋滞レベルMG1~MG4に基づき車線変更メッセージCMGが車両VHに提供される。本実施形態において、ステップS110~S130の実装に詳細については、図1の実施形態から十分な教示が得られ、このためその詳細は繰り返し述べない。
【0021】
図1図3を同時に参照し、図3は本発明の1つの実施形態による運転支援システムの概略図である。本実施形態において、運転支援システム200は、撮像装置210_1~210_4と、渋滞算出モジュール220と、判定モジュール230とを含む。撮像装置210_1~210_4は、目標車線TLの道路区間RG1~RG4の領域画像RM1~RM4を撮像する。撮像装置210_1~210_4の構成方法及び実施の詳細は、図1の撮像装置110_1~110_4の構成方法及び実施の詳細に類似し、その詳細は繰り返し述べない。
【0022】
本実施形態において、渋滞算出モジュール220は、領域画像RM1~RM4に基づきオプティカルフロー情報OFM1~OFM4を生成する。オプティカルフロー情報OFM1は領域画像RM1に対応し、オプティカルフロー情報OFM2は領域画像RM2に対応し、オプティカルフロー情報OFM3は領域画像RM3に対応し、オプティカルフロー情報OFM4は領域画像RM4に対応する。渋滞算出モジュール220は、領域画像RM1~RM4とオプティカルフロー情報OFM1~OFM4に基づき渋滞レベルMG1~MG4を算出する。
【0023】
本実施形態において、渋滞算出モジュール220は計算機221_1~221_4を含む。計算機221_1~221_4は、それぞれ撮像装置210_1~210_4と結合される。本実施形態を例とし、計算機221_2は撮像装置210_2に結合される等である。計算機221_1は領域画像RM1を受け取り、領域画像RM1に基づきオプティカルフロー情報OFM1を生成し、領域画像RM1とオプティカルフロー情報OFM1に基づき渋滞レベルMG1を算出する。計算機221_2は領域画像RM2を受け取り、領域画像RM2に基づきオプティカルフロー情報OFM2を生成し、領域画像RM2とオプティカルフロー情報OFM2に基づき渋滞レベルMG2を算出する。他も同様である。
【0024】
計算機221_1は、領域画像RM1のテクスチャに基づき目標車線TLの道路区間RG1上の車両数を判定し、オプティカルフロー情報OFM1に基づき目標車線TLの道路区間RG1上の交通速度を判定する。計算機221_1はまた、領域画像RM1のテクスチャの複雑さとオプティカルフロー情報OFM1の光束に基づき渋滞レベルMG1の値を算出する。計算機221_2は、領域画像RM2のテクスチャに基づき目標車線TLの道路区間RG2上の車両数を判定し、オプティカルフロー情報OFM2に基づき目標車線TLの道路区間RG2上の交通速度を判定する。計算機221_2はまた、領域画像RM2のテクスチャの複雑さとオプティカルフロー情報OFM2の光束に基づき渋滞レベルMG2の値を算出する。他も同様である。
【0025】
領域画像RM1~RM4のテクスチャの複雑さは、目標車線TLの対応する道路区間上の車両数に正の相関がある。光束は、目標車線TLの対応する道路区間上の交通速度に正の相関がある。よって、テクスチャの複雑さが高く光束が低いほど、対応する渋滞レベルは高くなる。逆に、テクスチャの複雑さが低く光束が高いほど、対応する渋滞レベルは低くなる。
【0026】
更に説明すると、図3図4を同時に参照し、図4は本発明の1つの実施形態による計算機の概略図である。本実施形態において、計算機221_1は、オプティカルフロー情報生成モジュール2211と、渋滞レベル生成モジュール2212とを含む。オプティカルフロー情報生成モジュール2211は、領域画像RM1を受け取り、領域画像RM1に基づきオプティカルフロー情報OFM1を算出する。
【0027】
例えば、オプティカルフロー情報生成モジュール2211は、領域画像RM1の複数の最新フレーム(例えば、領域画像RM1における直近90フレームであるが、本発明はこれに限定されない)を取り込む。オプティカルフロー情報生成モジュール2211は複数フレームを用いて、複数フレームに対応するオプティカルフロー情報OFM1を算出する。オプティカルフロー情報生成モジュールは、領域画像RM1をオプティカルフロー情報OFM1に変換するための変換回路又はソフトウェアであってよい。
【0028】
渋滞レベル生成モジュール2212は、オプティカルフロー情報生成モジュール2211と連結される。渋滞レベル生成モジュール2212は、領域画像RM1とオプティカルフロー情報OFM1を受け取る。渋滞レベル生成モジュール2212は、例えば、深層学習モジュール又はニューラルネットワークを含む。深層学習モジュールは、例えば、分類モデル(例えば、AlextNet、Googlenet、Resnet、Mobilenet等)又は物体検出モデル(例えば、Mask RCNN、SSD、Yolo4、Yolo5等)である。
【0029】
渋滞レベル生成モジュール2212は、目標車線TLの道路区間RG1上の車両数を特定するため、領域画像RM1のテクスチャを取り込む。領域画像RM1のテクスチャは、道路区間RG1上の車両の輪郭と色に関連付く。よって、領域画像RM1のテクスチャが単純であるほど、渋滞レベル生成モジュール2212により道路区間RG1上に特定される車両が少なくなる。領域画像RM1のテクスチャが複雑であるほど、渋滞レベル生成モジュール2212により道路区間RG1上に特定される車両が多くなる。
【0030】
オプティカルフロー情報OFM1の光束は、道路区間RG1上の車両の移動速度に関連付く。よって、オプティカルフロー情報OFM1の光束が小さいほど、道路区間RG1上のより遅い交通速度が渋滞レベル生成モジュール2212により判定される。オプティカルフロー情報OFM1の光束が大きいほど、道路区間RG1上のより速い交通速度が渋滞レベル生成モジュール2212により判定される。詳細には、渋滞レベル生成モジュール2212は、オプティカルフロー情報OFM1のテクスチャの複雑さ及び光束に基づき道路区間RG1の渋滞レベルMG1に関連付く値を算出する。渋滞レベルは、例えば百分率値である(0%~100%)。渋滞レベルが大きいほど、道路区間RG1の渋滞レベルは深刻である。
【0031】
1つの実施形態において、渋滞レベル生成モジュール2212は、畳み込みネットワークを介して領域画像RM1及びオプティカルフロー情報OFM1の複数の特徴を抽出し、該複数の特徴を分類のための全結合層(Fully Connected Layer)に与え、渋滞レベルを取得するため損失関数(Loss Function)演算を実行してよい。
【0032】
図1図3に示した実施形態を参照し、計算機221_1を例とし、計算機221_1と撮像装置210_1は道路脇施設RSU1に設置されてよい。いくつかの実施形態において、計算機221_1は撮像装置210_1に設けられてよい。
【0033】
本実施形態において、判定モジュール230は渋滞レベルMG1~MG4を受け取る。判定モジュール230は、渋滞レベルMG1~MG4の複数の渋滞値に基づき車線変更メッセージCMGを提供する。判定モジュール230は、渋滞レベルMG1~MG4の渋滞値に基づき道路区間RG1~RG4の現在の渋滞レベルを特定し、それに基づき車線変更メッセージCMGを提供してよい。判定モジュール230は、閾値に基づき渋滞レベルMG1~MG4の渋滞値を判定する。例えば、閾値は40%に設定される。渋滞レベルMG1の渋滞値は90%である。渋滞レベルMG2の渋滞値は85%である。渋滞レベルMG3の渋滞値は10%である。渋滞レベルMG4の渋滞値は90%である。渋滞レベルMG1とMG2の渋滞値は、両方とも閾値よりも高い。渋滞レベルMG3とMG4の渋滞値は、両方とも閾値よりも低い。このため、判定モジュール230により提供される車線変更メッセージCMGは、車両VHに道路区間RG3とRG4の目標車線TLに変更するよう通知する。
【0034】
いくつかの実施形態において、判定モジュール230は、渋滞レベルMG1~MG4に基づき車両VHのための渋滞道路区間に最も近い特定非渋滞道路区間を判定し、車両VHに特定非渋滞道路区間で目標車線TLに変更するよう通知してもよい。例えば、渋滞レベルMG1とMG2の渋滞値は、両方とも閾値よりも高い。渋滞レベルMG3とMG4の渋滞値は、両方とも閾値よりも低い。このため、判定モジュール230は、道路区間RG1とRG2は渋滞道路区間であり、道路区間RG3とRG4は非渋滞道路区間であると判定する。判定モジュール230は、道路区間RG3を非渋滞道路区間として特定し、車両VHに道路区間RG3で目標車線TLに変更するよう通知する。
【0035】
判定モジュール230は、例えば深層学習モデル又はニューラルネットワークを含む。深層学習モデルは、例えば分類モデル(例えば、AlextNet、Googlenet、Resnet、Mobilenet等)又は物体検出モデル(例えば、Mask RCNN、SSD、Yolo4、Yolo5等)である。
【0036】
運転支援システム100と200は、車線変更判断支援運転ナビゲーションソフトウェア、レベル2運転支援システム、レベル3半自動運転システム、及び自動運転システムに適用可能であることに注意されたい。運転支援システム100と200は、目標車線TLの道路区間RG1~RG4での実際の渋滞状況に基づき、車線変更メッセージCMGを通じて非渋滞道路区間で目標車線TLに変更するよう通知する。このようにして、車両VHは本来の運転経路を逃すことはない。
【0037】
まとめると、本発明の運転支援システム及び運転支援方法は、領域画像に基づき道路区間に対応する複数の渋滞レベルを算出し、渋滞レベルに基づき車両に車線変更メッセージを提供する。車線変更メッセージに基づいて、車両は比較的渋滞が深刻でない道路区間で、現在の車線から目標車線へと移動することができる。このようにして、車両VHは道路区間の渋滞のために本来の運転経路を逃すことはない。
【0038】
当業者にとって、本発明の範囲又は精神から逸脱することなく開示した実施形態に改変や変更を行うことができることは明らかであろう。上記を鑑み、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物の範囲内にある限り、本発明はそのような改変や変更をカバーすることを意図している。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の運転支援システム及び運転支援方法は、車両に応用することができる。
【符号の説明】
【0040】
100、200:運転支援システム
110_1~110_4、210_1~210_4:撮像装置
120、220:渋滞算出モジュール
130、230:判定モジュール
221_1~221_4:計算機
2211:オプティカルフロー情報生成モジュール
2212:渋滞レベル生成モジュール
CL:現在の車線
CMG:車線変更メッセージ
MG1~MG4:渋滞レベル
OFM1~OFM4:オプティカルフロー情報
RG1~RG4:道路区間
RM1~RM4:領域画像
RSU1~RSU4:道路脇施設
S100:運転支援方法
S110~S130:ステップ
TL:目標車線
VH:車両
図1
図2
図3
図4