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特許7546121監視装置、監視対象システム、監視方法及びコンピュータプログラム製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】監視装置、監視対象システム、監視方法及びコンピュータプログラム製品
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/34 20060101AFI20240829BHJP
   G06F 11/07 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
G06F11/34 152
G06F11/07 151
G06F11/07 140A
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2023126216
(22)【出願日】2023-08-02
(65)【公開番号】P2024046601
(43)【公開日】2024-04-03
【審査請求日】2023-08-02
(31)【優先権主張番号】22197076.7
(32)【優先日】2022-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】加藤 哲司
(72)【発明者】
【氏名】山下 智彬
(72)【発明者】
【氏名】ポール キルスビー
【審査官】円子 英紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-201871(JP,A)
【文献】特開2020-008997(JP,A)
【文献】再公表特許第2018/211721(JP,A1)
【文献】特開2020-091661(JP,A)
【文献】特開2019-179395(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/34
G06F 11/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムの動作コンポーネントを監視するための監視装置であって、
確率データ装置と、
受信装置と、
診断装置と、
出力装置と、
を備え、
前記確率データ装置は、システムの少なくとも1つの前記動作コンポーネントの確率データであって、前記動作コンポーネントの監視変数に依存して、前記動作コンポーネントのエラーなし動作の確率分布を記述する前記確率データを決定するように構成され、
前記確率データ装置は、前記動作コンポーネントの訓練データから前記確率データを計算し、計算された前記確率データがゼロに等しい分散値を有する場合に補正ステップをさらに実行するように構成され、決定された前記確率データがゼロより大きい分散値を有するように、計算された前記確率データに補正係数が適用され、
前記受信装置は、前記動作コンポーネントに接続された測定装置から、前記動作コンポーネントの監視変数の値を受信するように構成され、
前記診断装置は、前記監視変数の受信値および決定された前記確率データに依存して、前記動作コンポーネントの状態パラメータを決定するように構成され、
出力装置は、決定された前記状態パラメータに対応する出力信号を出力するように構成された、
監視装置。
【請求項2】
請求項1に記載の監視装置において、
前記確率データは、少なくとも分散値及び平均値から構成され、確率分布を記述する、
監視装置。
【請求項3】
請求項2に記載の監視装置において、
前記診断装置は、決定された確率分布の分散値、決定された前記確率分布の平均値、及び、前記監視変数の受信値に基づいて前記状態パラメータを決定するように構成される、
監視装置。
【請求項4】
請求項2に記載の監視装置において、
前記確率データ装置は、決定された前記確率データの平均値が計算された前記確率データの平均値と等しくなるように前記補正係数を適用するように構成される、
監視装置。
【請求項5】
請求項1に記載の監視装置において、
前記確率データ装置は、算出された前記確率データの分散値に前記補正係数を加算することにより、前記補正係数を適用するように構成される、
監視装置。
【請求項6】
請求項1に記載の監視装置において、
分散は、分散、標準偏差又は四分位範囲として指定される、
監視装置。
【請求項7】
請求項1に記載の監視装置において、
出力装置は、決定された前記状態パラメータに基づいて、少なくとも第1および第2の優先値を割り当てることができる優先パラメータを決定するように構成された評価ユニットを備え、
前記評価ユニットは、決定された前記状態パラメータが所定の優先閾値よりも低い場合に、前記優先パラメータに第1の優先値を割り当てるように構成され、
前記評価ユニットは、決定された前記状態パラメータが前記所定の優先閾値以上である場合に、前記優先パラメータに前記第2の優先値を割り当てるように構成された、
監視装置。
【請求項8】
請求項1に記載の監視装置において、
前記出力装置は、決定された前記状態パラメータを表示するように構成された表示装置を備える、
監視装置。
【請求項9】
請求項1に記載の監視装置において、
前記受信装置は、前記測定装置から前記動作コンポーネントの前記訓練データを受信し、
前記訓練データを、前記確率データ装置に提供すること、前記監視装置の記憶装置に記憶すること、及び、前記確率データ装置の記憶装置に記憶することの少なくとも何れかを行うようにさらに構成される、
監視装置。
【請求項10】
請求項1に記載の監視装置において、
前記システムは、N≧1であるN個のさらなる前記動作コンポーネントを含み、
前記確率データ装置は、N個のさらなる前記動作コンポーネントの各々について、それぞれの前記動作コンポーネントの訓練データに基づいて、それぞれの前記動作コンポーネントのエラーなし動作の確率分布をそれぞれの前記監視変数に依存して記述する前記確率データを計算するように構成され、
前記確率データ装置はさらに、N個のさらなる前記動作コンポーネントについて計算された前記確率データから前記補正係数を決定するように構成される、
監視装置。
【請求項11】
請求項10に記載の監視装置において、
前記確率データ装置は、前記補正係数を決定するために、N個のさらなる前記動作コンポーネントについて計算された前記確率データのうち最小の非ゼロ分散値を決定し、決定された最小の非ゼロ分散値を前記補正係数に割り当てるように構成される、
監視装置。
【請求項12】
請求項10に記載の監視装置であって、
前記システムは、前記動作コンポーネントが管理される複数の動作カテゴリを備え、N個のさらなる前記動作コンポーネントは同じ動作カテゴリに属する、
監視装置。
【請求項13】
請求項10に記載の監視装置であって、
前記確率データ装置は、それぞれの前記動作コンポーネントの計算された前記確率データがゼロに等しい分散値を有する場合に、N個のさらなる前記動作コンポーネントの各々に対して補正ステップを実行するように構成され、前記補正係数は、前記確率データがゼロより大きい分散値を有するように決定されるように、計算された前記確率データに適用され、
前記受信装置は、N個のさらなる前記動作コンポーネントの各々について、それぞれの前記動作コンポーネントに接続された測定装置からそれぞれの前記監視変数の値を受信するように構成され、
前記診断装置は、N個のさらなる前記動作コンポーネントの各々について、それぞれの前記監視変数の受信された値およびそれぞれの決定された前記確率データに依存して前記状態パラメータを決定するように構成される、
監視装置。
【請求項14】
請求項13に記載の監視装置において、
前記出力装置は、N個のさらなる前記動作コンポーネントの各々について、それぞれの前記動作コンポーネントの決定された前記状態パラメータに対応する出力信号を出力するように構成される。
監視装置。
【請求項15】
少なくとも1つの動作コンポーネントと、
少なくとも1つの測定装置であって、前記動作コンポーネントに接続され、前記動作コンポーネントの監視変数を測定するように構成されている、測定装置と、
前記動作コンポーネントを監視するための、請求項1に記載の監視装置であって、前記監視装置の受信装置が前記測定装置に接続されている、監視装置と、
を備える、
監視対象システム。
【請求項16】
システムの動作コンポーネントを監視する方法であって、
前記動作コンポーネントの訓練データに基づいて、前記システムの少なくとも1つの動作コンポーネントの確率データであって、前記動作コンポーネントの監視変数に依存して、前記動作コンポーネントのエラーなし動作の確率分布を記述する前記確率データを決定することと、
前記動作コンポーネントの訓練データから前記確率データを計算するステップと、
計算された前記確率データの分散値がゼロに等しい場合、決定された前記確率データがゼロより大きい分散値を有するように、計算された前記確率データに補正係数を適用することによって、計算された前記確率データを補正することと、
前記動作コンポーネントに接続された測定装置から、前記動作コンポーネントの監視変数の値を受信することと、
監視変数の受信された値と決定された前記確率データとに依存して、前記動作コンポーネントの状態パラメータを決定することと、
決定された状態パラメータに対応する出力信号を出力することと、
を含む、
システムの動作コンポーネントを監視する方法。
【請求項17】
請求項1に記載の監視装置において使用するためのコンピュータプログラム製品であって、コンピュータプログラム製品が実行されると、監視装置に請求項16に記載の方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システムの動作コンポーネントを監視するための監視装置、監視対象システム、システムの動作コンポーネントを監視するための方法、及び、監視装置で使用するためのコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
産業用途では、システムの動作コンポーネントの監視は、システムの意図された動作を保証し、望ましくない動作状態や機能の完全な喪失を回避するために不可欠である。
【0003】
システムの動作コンポーネントの監視によって、システムのコンポーネントの異常状態を早期に予測及び/又は特定し、システムの意図した動作が不可能になる前に、保守という意味での適切な対策を講じることができる。
【0004】
動作コンポーネントの監視/モニタリングは、通常、機械学習の概念を利用して、選択された監視変数に依存してコンポーネントのエラーのない動作の確率を記述する第1のステップの訓練データからコンポーネントの確率モデルを確率的に決定する。第2のステップでは、確率モデルを使用して、コンポーネントの監視変数の現在値に基づいて特定の確率を計算し、現在の動作状態、すなわちコンポーネントのエラーを予期するかどうかについて、確率に基づいたステートメントを可能にする。
【0005】
従って、このステートメントの妥当性は、確率モデルの品質に依存するが、確率モデルは利用可能な訓練データに大きく依存する。利用可能な訓練データがより良く、より広範であればあるほど、それに基づく確率モデルの品質は高くなる。
【0006】
しかし、通常、故障が非常にまれであるシステムのコンポーネントがあり、そのようなコンポーネントでは、利用可能な訓練データがないか、または非常に限定された量および/または局所的な量しかないので、有効で信頼性の高い確率モデルを設定することができない。
【0007】
不十分な確率モデルは、モニタリングに利用された場合、膨大な量の偽陽性監視結果を引き起こし、実際にはそうでないにもかかわらず、コンポーネントのメンテナンスが必要であることを示し、その結果、メンテナンス効率が非常に低くなる。
【0008】
この問題に対処するため、先行技術では確率モデルを後処理して確率的モニタリングへの応用に適したものにする方法が提案されている。
【0009】
このように、特許文献1(特開2016-099863号公報)は、訓練データに付加的な次元を組み込むこと、すなわち、付加的な時間軸を組み込むことを提案しており、これを介して、付加的な時間軸に関する訓練データの人為的な広がりが組み込まれ、それに基づくそれぞれの確率モデルがわずかに改善される。しかし、このようなアプローチは、問題に時間という付加的な次元を組み込むことになり、一方では確率モデルの複雑さを増大させ、他方では、得られた確率モデルを、このような付加的な次元を必要としないコンポーネントの確率モデルと比較することを困難にし、あるいは不可能にさえする。
【0010】
その結果、監視中にシステムの前述のコンポーネントを比較する可能性は一般に失われ、複数の監視される動作コンポーネントの保守優先順位を設定するような特定の監視動作を実行することが不可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2016-099863号公報
【発明の概要】
【0012】
従って、本発明が解決しようとする技術的課題は、確率的に監視されるシステムの保守効率を向上させることである。
【0013】
この課題は、請求項1に記載の監視装置、請求項15に記載の監視対象システム、請求項16に記載の監視方法、および請求項17に記載のコンピュータプログラム製品によって有利に解決される。
【0014】
本明細書における各従属請求項は、好ましい実施形態に言及しており、これらの各実施形態は、個々に提供されてもよいし、互いに組み合わせて提供されてもよい。
【0015】
本発明の第1の態様によれば、システムの動作コンポーネントを監視するための監視装置が提供され、この監視装置は、確率データ装置、受信装置、診断装置、及び/又は、出力装置を備え、確率データ装置は、システムの少なくとも1つの動作コンポーネントの確率データを決定するように構成され、この確率データは、前記コンポーネントの監視変数に依存して、前記コンポーネントのエラーなし動作の確率分布を記述し、この確率データ装置は、前記コンポーネントの訓練データから確率データを計算するように構成され、さらに、計算された確率データがゼロに等しい分散値を有する場合に補正ステップを実行するように構成され、補正ステップでは、決定された確率データがゼロより大きい分散値を有するように、補正係数が計算された確率データに適用される。受信装置は、前記コンポーネントに接続された測定装置から前記コンポーネントの監視変数の値を受信するように構成され、診断装置は、受信された監視変数の値および決定された確率データに依存して、前記コンポーネントの状態パラメータを決定するように構成され、出力装置は、決定された状態パラメータに対応する出力信号を出力するように構成される。
【0016】
システムは、監視装置によって監視される少なくとも1つの動作コンポーネントから構成されるが、任意の数のさらなるコンポーネントから構成される可能性がある。
【0017】
これにより、システムは、機械的システム、電気的システム、電気機械的システム、熱力学的システム、化学的システムなど、あるいは前述の組み合わせであってもよい、あらゆる種類の物理的に実施可能なシステムとして理解されるものとする。
【0018】
前記システムの動作コンポーネントは、例えば、部品が保守を必要とするかどうか、すなわち異常な動作をするかどうか、あるいは故障したかどうかを判断するために、監視が有益となるシステムの単一部品またはアセンブリであってもよい。
【0019】
「動作コンポーネント」という用語は、これにより、監視される可能性があり、その機能も保証されなければならないセンサーなどの測定装置も包含することができる。
【0020】
このようなシステムの例として、ドライブトレインシステムを挙げることができる。ドライブトレインシステムでは、燃焼エンジン、クラッチ、エンジンギアボックス、ディファレンシャルギアボックス、ブレーキなどが動作コンポーネントとなる。
【0021】
さらなる例として、鉄道システムを挙げるが、このシステムでは、鉄道の電気エンジン、ブレーキシステムなどが動作コンポーネントとなる。
【0022】
確率分布は、監視変数に依存して、コンポーネントのエラーのない動作が期待されるかどうかの確率を記述し、この場合、確率分布の確率変数を表す。
【0023】
確率分布は、それにより、確率変数の各値にエラーのない動作の特定の確率値を割り当てることであり、これは、関数(いわゆる確率密度関数)またはグラフを介して連続的に提供され得る、または確率表等を介して離散的に提供され得る。
【0024】
エラーのない動作とは、例えば、当該コンポーネントの保守、交換又は修理の必要性がなく、当該コンポーネントが意図したとおりに動作する、コンポーネントの望ましい「正常な」動作状態として理解されるものとする。しかし、この状況は、疲労、機械的/電気的/熱的負荷、振動挙動など、運転中に発生する様々な影響により変化する可能性がある。エラーのない動作は、コンポーネントの物理量によって定量化することができる。例えば、電気コンポーネントの場合は出力電圧、電流または電力によって、機械コンポーネントの場合は応力、ひずみ、振動、出力またはトルクによって、熱力学コンポーネントの場合は圧力または温度による。
【0025】
確率データ装置によって決定された確率データは、前述の確率分布を少なくとも部分的に記述するものであり、確率データは通常、分散値や平均値などの確率分布の1つまたは複数の特性値のみから構成される。
【0026】
前記確率データは、確率データ装置に提供された訓練データから計算され、この訓練データは、経時的に記録されたデータとして理解され得る。したがって、訓練データは、複数のデータポイントから構成されることがあり、1つのデータポイントは、ある期間、すなわち、1週間、1日、1時間に関連し、その時点で、監視変数のそれぞれの値(複数可)に対して、動作コンポーネントが正常に動作していたか(エラーがないか)否かを記述することができる。
【0027】
訓練データは、内部ソース、すなわち訓練データが保存されている監視システムの記憶装置からだけでなく、外部ソースからも確率データ装置に提供される可能性がある。
【0028】
確率データの計算は、好ましくは確率論から知られる標準的な手順に従って行われる。この方法では、確率データの分散値は、事象データの平均値からの2次偏差の平均値(分散に相当)として計算されることがある。訓練データの形式によっては、これは離散値の和として、または連続関数の積分として実行されることがある。
【0029】
確率分布のための確率変数として機能し得る監視変数は、力、電圧、電流、電力、振動振幅など、またはそれらの組み合わせのような、動作コンポーネントの測定可能な物理量に関連する。
【0030】
特に、乏しい量の訓練データしか利用できない動作コンポーネントの場合、それぞれの確率分布が分散を含まない(分散値がゼロに等しい)おそれがあり、これによって特定の確率論的評価を実行することが不可能になる。
【0031】
このような場合、確率データ装置は、その分散値がゼロより大きくなるように確率データを補正する有利な可能性を提供する。これにより、分散値による除算など、いくつかの後処理を実行することが可能になり、そうでなければ、処理が困難な無限大の値になり、その結果、モニタリング中に誤検出を引き起こすことになる。
【0032】
コンポーネントの決定された状態パラメータは、監視変数の受信値と決定された確率データに依存して、コンポーネントの動作による、または外部影響による潜在的な変化にさらされている監視対象コンポーネントの状態を記述することができる。
【0033】
最も単純なケースでは、状態パラメータは、監視変数の受信値と決定された確率データとから計算されるエラーなし動作の確率値に対応するが、これに限定されるべきではない。
【0034】
このように、状態パラメータは、異常/望ましくない動作状態の深刻度を示すこともあり、したがって、メンテナンスの必要性がどの程度緊急であるかを示すこともある。実際、状態パラメータは、前記コンポーネントの異常のレベル、誤動作のレベル、またはメンテナンスの必要性のレベルを示す。
【0035】
前述の監視装置によって、特に確率的監視の場合、非常に限られた量の訓練データしか利用できないか、または乏しい量の訓練データしか利用できないコンポーネントの監視も取り扱うことが可能になる。従来技術では、このようなコンポーネントを確実に監視することができなかったのに対し、本発明の監視装置は、多くの訓練データが利用可能なコンポーネントだけでなく、そうでないコンポーネントの監視にも使用することができる。
【0036】
このようにして、偽陽性エラー検出(誤検出)のリスクを最小限に抑えながら、様々な種類のコンポーネントを監視し、また互いに比較することができ、システムの保守効率を高めることができる。
【0037】
本発明の監視装置はさらに、「機械学習」の分野での当該装置の適用を可能にし、当然ながら、あらゆる可能性のあるシナリオの数値的処理を必要とし、その結果、訓練データが不十分のケースも満足に処理することができる。
【0038】
以下に、確率分布と確率変数としての監視変数の例をいくつか示す。
【0039】
好ましくは、訓練データは、予め定義された事象に関連し、訓練データは、複数の予め定義された期間の各々について、前記事象の発生の総数と、それぞれの期間中にそれぞれのコンポーネントについて正常である前記事象の発生の数とを含む。監視変数(確率変数)は、期間ごとの前記事象の発生総数として選択される。
【0040】
この場合、「正常」とは、異常な状態を表さないように、この態様における前記事象の発生回数が依然として許容可能である、すなわち「エラーなし」であるように理解されるものとする。前記期間は、好ましくは1日に設定されるが、数日、1週間などに設定することもできる。
【0041】
第1の例として、事象は、コンポーネントに接続された測定装置のエラー信号の発生として定義される場合があり、訓練データは、時間期間ごとのエラー信号の総数と時間期間ごとの偽陽性エラー信号の数を含む。監視変数(確率変数)は、前記エラー信号の総数として選択される。
【0042】
第2の例として、事象は、コンポーネントに接続された測定装置の測定値の閾値クロス(測定値が閾値を跨ぐこと)として定義される場合があり、訓練データは、時間期間ごとの閾値クロスの総数と、コンポーネントの正常でエラーのない動作を表す1日あたりの閾値クロスの数を含む。監視変数(確率変数)は、前記閾値クロスの総数として選択される。
【0043】
この方法の具体例として、事象は、機械コンポーネントの振動振幅が振幅閾値を横切ることとして定義することができ、正常であるとみなされる1日あたりの閾値横切りの回数は2回に等しい、すなわち、朝の機械コンポーネントのランアップ中と夕方のシャットダウン中とすることができる。
【0044】
判定または計算ステップを実行する監視装置のコンポーネント-とりわけ確率データ装置および診断装置-は、プロセッサユニット、マイクロコントローラなどのような、これらのステップを実行するための適切な計算手段を備えることを理解されたい。
【0045】
これにより、確率データ装置及び診断装置は、共通の計算手段を共有することができ、あるいは、それぞれ別個の計算手段を備えることができる。
【0046】
好ましい実施形態では、確率データは、確率分布を記述するために、少なくとも分散値と平均値からなる。
【0047】
このようにして、確率分布の非常に単純で十分な記述を、たった2つの値によって提供することができ、これによって計算量を大幅に減らすことができる。
【0048】
好ましい実施形態では、診断装置は、決定された確率分布の分散値、決定された確率分布の平均値、および監視変数の受信値に基づいて状態パラメータを決定するように構成される。
【0049】
このようにして、状態パラメータは基礎となる確率分布のいくつかの特性を考慮に入れる。実際、平均値と分散値により、平均値のみが使用される場合と比較して、コンポーネントの状態に関するより信頼性の高いステートメントが可能になる。
【0050】
好ましくは、状態パラメータは、所望のエラーのない動作状態からのコンポーネントの逸脱がどの程度深刻であるかを示す重大度パラメータを表す。
【0051】
好ましくは、状態パラメータは、式(1)に従って定義される重大度パラメータSであり、ここで、Xは監視変数の値を表し、μは平均値を表し、σは分散値を表す。
【0052】
S=|μ-X|/σ [式(1)]
【0053】
重大度パラメータSが高いほど、コンポーネントの所望のエラーのない動作状態からの逸脱がより深刻である。監視変数Xの値の平均値μからの特定の偏差は、分散値σがむしろ低い場合、より深刻であると考えられる。
【0054】
前述の重大度パラメータにより、当該コンポーネントの異なる瞬間の代表的な比較、および他のコンポーネントの重大度パラメータとの代表的な比較が可能である。
【0055】
式(1)から分かるように、分散値σは、重大度パラメータを実用的でない結果に導く。分子の値によっては、重大度パラメータSは定義されないか、または無限大になる傾向があり、どちらの場合もさらに評価することは現実的ではない。
【0056】
本発明の監視装置によって、計算された分散値がゼロに等しい場合、ゼロに等しくない分散値を得るために、説明した補正ステップをさらに行うので、このような事態を有利に回避することができる。
【0057】
状態パラメータは、式(1)による前述の項に限定されるものではなく、例えば、右辺を因子、和などとして含む任意の数式であり得ることに留意されたい。
【0058】
好ましい実施形態では、確率データ装置は、計算された確率データの分散値に補正係数を加算することにより、補正係数を適用するように構成される。
【0059】
このようにして、臨界分散値を扱うより複雑でない方法が、加算を単独で行うことによって提供される。ここで、補正係数は、確率データの分散値がゼロである場合に加算される所定の最小分散値を表す。前記所定の最小分散値は、手動で、すなわちシステムオペレータによって指定されるか、またはシステムデータから決定される。
【0060】
好ましい実施形態では、分散は分散(variance)として、標準偏差として、または四分位範囲として指定され、これらは確率分布の分散を記述する確立された方法を表す。好ましくは、分散は分散(variance)として指定される。
【0061】
好ましい実施形態では、出力装置は、決定された状態パラメータに基づいて、少なくとも第1および第2の優先値を割り当てることができる優先パラメータを決定するように構成された評価ユニットを備え、評価ユニットは、決定された状態パラメータが所定の優先閾値よりも低い場合に、第1の優先値を優先パラメータに割り当てるように構成され、評価ユニットは、決定された状態パラメータが所定の優先閾値以上である場合に、第2の優先値を優先パラメータに割り当てるように構成される。
【0062】
このようにして、監視装置には優先順位付け機能が提供される。これは、複数のコンポーネントを監視する場合に特に有効で、最も優先順位の高いコンポーネント、つまりメンテナンス対象のコンポーネントを直接特定することができる。
【0063】
好ましくは、状態パラメータは重大度パラメータとして定義され、優先閾値は事前に定義された重大度閾値である。
【0064】
それによって、優先パラメータは、前記2つの値に限定されるものではなく、異なる優先レベルを示す3つ、4つ、あるいは5つの異なる値をとることも例示的に可能である。
【0065】
好ましくは、優先順位パラメータは3つの値をとることができ、第1は「メンテナンス不要」の場合を表し、第2は「メンテナンスが必要」の場合を表し、第3は「メンテナンスが直ちに必要」の場合を表す。
【0066】
好ましい実施形態では、出力装置は、決定された状態パラメータを表示するように構成された表示装置を備える。
【0067】
このように、監視装置は、システムオペレータや保守作業者などに監視結果を簡単に表示する方法を提供する。
【0068】
好ましくは、表示装置は、コンポーネントの決定された状態パラメータを表示するとともに、関連する決定された優先パラメータを表示するように構成される。
【0069】
このようにして、作業者またはシステムオペレータは、動作コンポネートの現在の状態を知らされるだけでなく、現在の状態が即座にメンテナンス(高優先度)を必要とするかどうかの情報も同時に受け取る。
【0070】
好ましくは、表示装置は、優先パラメータを色分けして表示するように構成される。
【0071】
このようにして、優先パラメータは、視覚的にキャッチーな方法で表示され、作業者またはシステムオペレータにとって素早く把握できる。
【0072】
好ましい実施形態では、受信装置は、さらに測定装置から前記コンポーネントの訓練データを受信し、確率データ装置に提供し、および/または、監視装置の記憶装置に記憶し、および/または、確率データ装置の記憶装置に記憶するように構成される。
【0073】
好ましい実施形態において、システムは、N≧1のN個のさらなる動作コンポーネントを含み、確率データ装置は、N個のさらなるコンポーネントの各々について、それぞれの監視変数に依存してそれぞれのコンポーネントのエラーなし動作の確率分布を記述する、それぞれのコンポーネントの訓練データからの確率データを計算するように構成され、確率データ装置は、N個のさらなるコンポーネントについての計算された確率データから補正係数を決定するようにさらに構成される。
【0074】
このようにして、監視装置はさらに多数の他のコンポーネントに関連し、これらのコンポーネントは不十分な訓練データに基づいて確率データを補正するために必要な補正係数を決定するためのデータベースとして有利に機能する。
【0075】
他のコンポーネントからの確率データを使用することにより、システムとの一定の一貫性が維持され、補正ステップを実行した後に潜在的に代表的でない分散値が生じるのを防ぐことができる。
【0076】
好ましい実施形態では、確率データ装置は、N個のさらなるコンポーネントについて計算された確率データのうち最小の非ゼロ分散値を決定し、決定された最小の非ゼロ分散値を補正係数に割り当てるように構成される。
【0077】
このようにして、補正係数の代表的な訓練ケースが作られる。
【0078】
好ましい実施形態では、システムは、動作コンポーネントが管理される複数の動作カテゴリを備え、N個のさらなるコンポーネントが同じ動作カテゴリに属する。
【0079】
このようにして、複数のコンポーネントの確率データから得られる補正係数は、コンポーネントが同じカテゴリに属する場合にはより大きな一貫性があるため、さらに代表的なものとなる。
【0080】
前記カテゴリの例としては、「機械コンポーネント」や「電気コンポーネント」などがある。
【0081】
好ましい実施形態では、確率データ装置は、それぞれのコンポーネントの計算された確率データがゼロに等しい分散値を有する場合に、N個のさらなるコンポーネントの各々について補正ステップを実行するように構成され、補正係数は、確率データがゼロより大きい分散値を有するように決定されるように、計算された確率データに適用され、受信装置が、N個のさらなるコンポーネントの各々について、それぞれのコンポーネントに接続された測定装置からそれぞれの監視変数の値を受信するように構成され、診断装置が、N個のさらなるコンポーネントの各々について、それぞれの監視変数の受信された値とそれぞれの決定された確率データとに応じて状態パラメータを決定するように構成される。
【0082】
このようにして、システムの監視は、多数のさらなる動作コンポーネントに拡張され、1つの監視装置による同時監視を可能にし、有利な補正ステップは、N個のさらなるコンポーネントの各々に対して実行することができ、複数のコンポーネントの信頼できる有効な確率的監視を可能にする。
【0083】
好ましくは、監視装置は、前記コンポーネントに関して、さらにN個のさらなる動作コンポーネントに対してあらゆるアクションおよび/または動作を実行するように構成され、特に、計算された確率データの分散値がゼロである場合に補正ステップを実行すること、重大度パラメータを決定すること、優先パラメータの決定することなどを含む。
【0084】
好ましい実施形態では、出力装置は、N個のさらなるコンポーネントの各々に対して、それぞれのコンポーネントの決定された状態パラメータに対応する出力信号を出力するように構成される。
【0085】
好ましくは、出力装置の表示装置は、N個のさらなるコンポーネントの決定された状態パラメータを表示するように構成され、さらに好ましくは、決定された場合には、関連する優先パラメータを同時に表示するように構成される。
【0086】
好ましくは、表示装置は、決定された状態パラメータを、降順または昇順で、以下のように表示するように構成される。
【0087】
このようにして、優先順位付けのための代替アプローチが提供される。
【0088】
本発明の第2の態様によれば、少なくとも1つの動作コンポーネントと、前記コンポーネントに接続され、前記コンポーネントの監視変数を測定するように構成された少なくとも1つの測定装置と、前記コンポーネントを監視するための第1の態様による監視装置とを備える監視対象システムが提供され、監視装置の受信装置は、前記測定装置に接続される。
【0089】
前記システムは、監視対象のシステム内に第1の態様による監視装置の有利な機能を提供し、その結果、利用可能な訓練データの数が非常に限られた量または不十分な量しか存在しない場合でも前記コンポーネントを十分に監視できるため、メンテナンス効率の向上につながる。
【0090】
好ましくは、前記システムは複数のさらなる動作コンポーネントを含み、各々はそれぞれのコンポーネントの監視変数を測定するための複数のさらなる測定装置のうちの1つに接続され、複数のさらなる測定装置は、監視装置の受信装置に接続される。
【0091】
これにより、監視対象システムの多数の動作コンポーネントの監視が可能になる。
【0092】
好ましくは、前記システムは鉄道システムであり、前記動作コンポーネントは前記鉄道システムの動作コンポーネントである。
【0093】
このようなコンポーネントの非限定的な例としては、ドライブトレイン、電気エンジンなどの列車関連コンポーネント、または信号装置、電力供給ライン、鉄道線路のスイッチなどの鉄道ネットワーク関連コンポーネントが考えられる。
【0094】
特に鉄道システムでは、特定のコンポーネントに関連する特定の事象が定期的に発生しないため、訓練データはかなり不十分であり、これは、鉄道システムの監視に使用される、第1の態様による有利な監視装置によって補償することができる。
【0095】
本発明の第3の態様によれば、システムの動作コンポーネントを監視するための方法が提供され、この方法は、前記コンポーネントの訓練データに基づいて、前記システムの少なくとも1つの動作コンポーネントの確率データを決定するステップであって、前記確率データは、前記コンポーネントの監視変数に依存して、前記コンポーネントのエラーなし動作の確率分布を記述し、前記コンポーネントの訓練データから確率データを計算することをさらに含み、計算された確率データがゼロに等しい分散値を有する場合に、決定された確率データがゼロより大きい分散値を有するように、計算された確率データに補正係数を適用することによって、計算された確率データを補正することと、前記コンポーネントに接続された測定装置から前記コンポーネントの監視変数の値を受信することと、受信された監視変数の値および決定された確率データに依存して、前記コンポーネントの状態パラメータを決定することとと、決定された状態パラメータに対応する出力信号を出力することとを含む。
【0096】
第3の態様により、動作コンポーネントを監視するための方法が提供され、本質的に、本発明の第1の態様と関連して既に説明したのと同じ有利な点、すなわち、非常に限られた量または乏しい量の訓練データしか利用できないコンポーネントも監視できるため、保守効率が改善される。
【0097】
好ましくは、計算された確率を補正するステップは、計算された確率データの分散値に補正係数を加えることを含む。
【0098】
好ましくは、状態パラメータを決定するステップは、決定された確率分布の分散値、決定された確率分布の平均値、および監視変数の受信値に基づいて状態パラメータを決定することを含む。
【0099】
好ましくは、本方法は、決定された状態パラメータに基づいて、少なくとも第1および第2の優先値を割り当てることができる優先パラメータを決定するステップを含み、決定された状態パラメータが所定の優先閾値より低い場合には、第1の優先値が優先パラメータに割り当てられ、決定された状態パラメータが所定の優先閾値以上である場合には、第2の優先値が優先パラメータに割り当てられる。
【0100】
好ましくは、出力信号を出力するステップは、決定された状態パラメータを表示装置に表示することを含む。
【0101】
好ましくは、出力信号を出力するステップは、決定された優先順位パラメータ(決定された場合)を、特に色分けによって表示することをさらに含む。
【0102】
好ましくは、システムは、N≧1であるN個のさらなる動作コンポーネントを含み、本方法は、それぞれの監視変数に依存してそれぞれのコンポーネントのエラーなし動作の確率分布を記述する、それぞれのコンポーネントの訓練データからN個のさらなるコンポーネントのそれぞれについて確率データを計算するステップと、N個のさらなるコンポーネントについて計算された確率データから補正係数を決定するステップとをさらに含む。
【0103】
好ましくは、補正係数を決定するステップは、N個のさらなるコンポーネントについて計算された確率データのうち最小のゼロではない分散値を決定することと、決定された最小のゼロではない分散値を補正係数に割り当てることとを含む。
【0104】
好ましくは、本方法は、N個のさらなるコンポーネントのうちの1つまたは複数のコンポーネントの計算された確率データがゼロに等しい分散値を有する場合に、N個のさらなるコンポーネントのうちの1つまたは複数のコンポーネントの計算された確率データを補正するステップをさらに含み、補正係数は、それぞれのコンポーネントの確率データがゼロより大きい分散値を有するように決定されるように、計算された確率データに適用され、N個のさらなるコンポーネントの各々について、それぞれのコンポーネントに接続された測定装置から監視変数の値を受信するステップと、N個のさらなるコンポーネントの各々について、受信されたそれぞれの監視変数の値およびそれぞれの決定された確率データに依存して状態パラメータを決定するステップと、を含む。
【0105】
本発明の第4の態様によれば、第1の態様による監視装置で使用するためのコンピュータプログラム製品が提供され、コンピュータプログラム製品は、コンピュータプログラム製品が実行されると、本発明の第3の態様による方法を監視装置に実行させる命令を含む。
【0106】
本発明は、先に説明した実施形態及びその特徴に決して限定されないことを強調しておく。本発明はさらに、独立請求項の保護範囲内において、それらの実施形態の改変、特に、記載された実施形態の個々の特徴または複数の特徴の改変および/または組み合わせから生じる改変を包含する。
【0107】
本発明のさらなる態様および利点ならびに前述の実施形態の具体例を、添付の図に示す図面を参照して以下に説明する。ここでも、本明細書に記載された例および/または実施形態またはその一部の組み合わせは、本開示の範囲内であることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0108】
図1図1は、本発明の第1の態様による監視装置の一例の概略セットアップを示す。
図2図2は、第1の態様による監視装置の表示装置を備えた出力装置の例を示す。
図3図3は、例示的な確率分布と、それに基づいて決定された確率データを示している。
図4図4は、対応する確率データと、それに基づいて決定された状態パラメータを伴う、例示的な確率分布を示している。
図5図5は、本発明の第3の態様による動作コンポーネントの監視方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0109】
図1は、本発明の第1の態様による監視装置1の一例の概略セットアップを示す。
【0110】
監視装置は、システム100の動作コンポーネントを監視するように構成されており、図1には第1の動作コンポーネント110が示されている。
【0111】
監視装置1は、確率データ装置10、受信装置20、診断装置30および出力装置40から構成され、データの接続は接続線で示されている。
【0112】
確率データ装置10は、計算のための(構成された/のために構成されるという意味を含むものとする)プロセッサユニット11と、データを記憶するための記憶ユニット12とを備える。確率データ装置10は、少なくともシステム100の第1の動作コンポーネント110について確率データを決定するように構成され、確率データは、コンポーネント110の監視変数に依存して、当該コンポーネント110のエラーなし動作の確率分布を記述する。
【0113】
これにより、確率データ装置10、より具体的にはそのプロセッサユニット11は、この実施例では記憶装置内の記憶データとして提供される前記コンポーネント110の訓練データから確率データを計算するように構成される。
【0114】
さらに、プロセッサユニット11は、計算された確率データがゼロに等しい分散値を有する場合に、補正ステップを実行するように構成され、補正係数は、決定された確率データがゼロよりも大きい分散値を有するように、計算された確率データに適用される。
【0115】
受信装置20は、前記コンポーネント110に接続された測定装置111から前記コンポーネント110の監視変数の値を受信するように構成される。これにより、受信装置20と測定装置111の接続は、有線または無線とすることができる。
【0116】
診断装置30は、計算のためのプロセッサユニット31を備える。
【0117】
診断装置30、より具体的にはそのプロセッサユニット31は、受信装置20によって受信された監視変数の値と、確率データ装置10によって決定された(場合によっては補正された)確率データとに応じて、前記コンポーネント110の状態パラメータを決定するように構成される。
【0118】
特に、プロセッサユニット31は、好ましくは前述の式(1)に従って、状態パラメータを重大度パラメータとして決定するように構成される。
【0119】
出力装置40は、診断装置30によって決定された状態パラメータに対応する出力信号を、例えば図2に例示的に示す表示装置によって出力するように構成されている。
【0120】
例示的な監視装置1を使用すると、非常に限られた量の訓練データしか利用できないシステムのコンポーネントを、確率的な方法でモニタリングすることができる。
【0121】
これにより、例えばそのようなコンポーネントの偽陽性エラーのリスクが減少し、特に不必要な保守作業の量が大幅に削減されるため、保守効率が向上する。
【0122】
図2は、システムの動作コンポーネントA、B、C及びDの監視に使用される、第1の態様による監視装置の表示装置(表示ユニット)41を備えた出力装置40の例を示す。
【0123】
監視装置は、動作コンポーネントA、B、C及びDを監視するように構成され、その結果、各監視コンポーネントの状態パラメータが決定される。状態パラメータは、所定の例では、それぞれのコンポーネントの所望のエラーのない動作状態からの逸脱がどの程度深刻であるかを示す重大度パラメータを表す。
【0124】
状態パラメータがどのように決定されるかについての繰り返しの説明は、この時点では省略する。
【0125】
監視装置は、図2に示す出力装置40を備え、この出力装置40は、コンポーネントA、B、C及びDの決定された状態パラメータが1日ごとに数値として描かれる表示装置41で構成される。数値が高ければ高いほど、コンポーネントの所望のエラーのない作動状態からの逸脱がより深刻である。
【0126】
図2の例による表示装置41は、4つのコンポーネントA、B、C及びDの状態パラメータを表形式で表示するように構成されている。この例では、4日目のコンポーネントCとDに最も深刻度が高く、値「15」で示される。
【0127】
出力装置は、決定された状態パラメータに基づいて、少なくとも第1、第2および第3の優先値を割り当てることができる優先パラメータを決定するように構成された評価ユニット(図示せず)をさらに備える。
【0128】
評価ユニットは、決定された状態パラメータが0と7の間の第1の例示的な値範囲にある場合に、優先パラメータに第1の優先値を割り当て、決定された状態パラメータが8と14の間の第2の例示的な値範囲にある場合に、優先パラメータに第2の優先値を割り当て、決定された状態パラメータが例示的な値15と等しいか大きい場合に、優先パラメータに第3の優先値を割り当てるように構成される。
【0129】
これにより、表示装置41は、コンポーネントA、B、C及びDの決定された状態パラメータを表示するだけでなく、評価ユニットによって決定された関連する優先パラメータも表示するように構成される。
【0130】
図2の例では、これは色分けによって実現されており、上から順に赤、黄及び緑という従来から知られている色分けが施された概略的な信号システムによって示されているが、色分けの原理はこれらに限定されるものではない。
【0131】
このようにして、作業者またはシステムオペレータは、状態パラメータの数値によって動作コンポーネントA、B、C及びDの現在の状態を知らされるだけでなく、同時に、現在の状態が即座のメンテナンス(「赤」で示される高い優先度)、現代的なメンテナンス(「黄」で示される中程度の優先度)、またはメンテナンスなし(「緑」で示される低い優先度)のいずれを必要とするかの情報を受け取り、メンテナンス効率を向上させることができる。
【0132】
図3は、例示的な確率分布と、それに基づいて決定された確率データを示している。
【0133】
図3A~3Cは、コンポーネントA、B及びCの確率分布を示し、Xは監視変数(確率変数)を表し、Pは監視変数Xに依存する、それぞれのコンポーネントのエラーなし動作の確率を表す。
【0134】
監視変数は、すべてのコンポーネントに対して同じ記号Xで表されるが、システムの異なるコンポーネントの監視変数は、通常、互いに異なることに注意されたい。
【0135】
さらに、確率データは一般的に(与えられた例に限定されるものではないが)監視変数に関して正規化することができ、異なるコンポーネントの確率データ間で定量的な一貫性が得られる。
【0136】
各図内のグレーのバーは訓練データを表し、破線はそれに基づく確率分布を表し、これは平均値μと分散値σ、すなわち分散(variance)からなる確率データを介して記述される。
【0137】
コンポーネントAについては、十分かつ広範な訓練データが利用可能であり、平均値μ=X0、分散値σ=σ1の確率分布が得られる(図3A参照)。
【0138】
コンポーネントBの場合、訓練データはむしろ小さく局在しており、平均値μ=X0の確率分布及びコンポーネントAの確率分布よりも小さい分散値σ=σ2<σ1をもたらす(図3B参照)。
【0139】
コンポーネントCの場合、訓練データは乏しく、訓練データ内で利用可能な離散値は1つだけであり、平均値μ=X0、分散なし(σ=0)の確率分布となる(図3C参照)。
【0140】
図3Aから図3Cからわかるように、確率分布、したがって確率データは利用可能な訓練データに大きく依存し、訓練データが乏しいと、図4に関連して後述するように、診断ステップで扱うのが難しい分散値がゼロに等しい確率データになる。
【0141】
本発明によれば、コンポーネントCの計算された確率データを補正するステップが実行され、補正された確率データがゼロに等しい分散値を構成しないようにする(図3D参照)。これは、確率データに補正係数を適用することによって行われ、その結果、コンポーネントCについて図3Dの右側に示される人工的な確率分布が得られ、その確率データは補正された分散値σ=σ2を構成し、確率的な方法で構成Cを監視することができる。
【0142】
所与の実施例において、補正係数は、ゼロではない分散値σ1およびσ2からなる他のコンポーネントAおよびBの確率データから決定され、補正係数は、これらの値の最小値として選択される、すなわち、分散値σ1が補正係数に割り当てられ、この補正係数は、その後、図3Dに示すように、コンポーネントCの確率データに適用される。
【0143】
図4は、対応する確率データと、それに基づいて決定された状態パラメータを伴う、例示的な確率分布を示している。
【0144】
図4A図4Bに示す図は、図3に示すコンポーネントAとコンポーネントCの図に基づいており、共通する要素についての繰り返しの説明はこの時点で省略される。図3に加えて、図4A図4Bは、それぞれのコンポーネントの監視変数の特定の値X*,X1 *,X2 *>X1 *からなり、これに基づいて状態パラメータ(重大度パラメータS)が計算されます。
【0145】
重大度パラメータSは、上述の式(1)に基づいて計算される例示的なもので、コンポーネントの現在の動作状態(X*、X1 *、X2 *で表される)が、その所望のエラーのない動作状態からどの程度深刻に逸脱しているかを示すもので、それぞれの確率データによって記述される。
【0146】
図4Aは、コンポーネントCの監視変数Xの値X1 *が受信される第1のケースと、コンポーネントCの監視変数Xの値X2 *がより大きく受信される第2のケースを示す。
【0147】
コンポーネントCの確率データは、図3Dに示された補正ステップに従って補正され、コンポーネントCの前述の2つのケースの確率的な比較が可能になる。その結果、S2>S1の関係が容易に得られる。これは、2番目のケースの方がより深刻で、たとえば即時のメンテナンスが必要であることを示しています。
【0148】
このような分析は、図3Cに示された当初計算された確率データでは不可能であったであろうし、その結果、重大度パラメータS、S2は無限大になる傾向にある。
【0149】
図4Aに示した場合とは対照的に、図4Bは2つの異なるコンポーネント、すなわちコンポーネントAとコンポーネントCとの比較を示しており、コンポーネントAの確率データの方が分散値が高い、すなわちσ1>σ2である。
【0150】
両方のコンポーネントについて、それぞれの監視変数Xの定量的に同一の値X*が受信される。図4Aの場合と同様に、2つのコンポーネントの重大度パラメータS1及びS2が決定され、S2>S1の関係が容易に得られ、コンポーネントCの動作状態の偏差がコンポーネントAの動作状態よりも深刻であることを示す。
【0151】
これにより、どのコンポーネントCがコンポーネントAの前に維持されなければならないかに従って、保守優先順位を定義することができる。
【0152】
異なるコンポーネントのこのような比較分析は、図3Cに示した当初計算された確率データでは不可能であったであろう。図3Cは、続いて無限大になる傾向にあるコンポーネントCの重大度パラメータS2に至る。
【0153】
図5は、本発明の第3の態様によるシステムの動作コンポーネントを監視する方法の一例のフローチャートである。
【0154】
例示的なシステムは、監視される第1の動作コンポーネントと、N≧1であるN個のさらなる動作コンポーネントから構成される。
【0155】
ステップS1では、N個のさらなるコンポーネントの各々についての確率データが、それぞれのコンポーネントの訓練データから計算され、それぞれの監視変数に依存するそれぞれのコンポーネントのエラーなし動作の確率分布を記述する。
【0156】
ステップS2において、N個のさらなるコンポーネントについての計算された確率データから補正係数が決定される。この補正係数は、N個のさらなるコンポーネントについての計算された確率データのうちの最小のゼロでない分散値が決定されるサブステップS2.1と、決定された最小のゼロでない分散値が補正係数に割り当てられるサブステップS2.2とを含む。
【0157】
この例では、ステップS1とS2は補正係数を決定するために一度だけ実行されるが、ステップS7の後に続く繰り返しループに含めることもできる。
【0158】
更なる代替例では、ステップS1とステップS2を、ゼロに等しい確率データの分散値を補正するための補正係数を提供するステップに置き換えることができる。当該補正係数は、システムオペレータによって手動で提供される場合もあれば、他のシステムからインポートされた補正係数である場合もある。
【0159】
ステップS3では、システムの第1のコンポーネントの確率データが、前記コンポーネントの訓練データに基づいて決定され、前記確率データは、前記コンポーネントの監視変数に依存して、前記コンポーネントのエラーなし動作の確率分布を記述する。
【0160】
ステップS3はさらに、前記コンポーネントの訓練データからの確率データを計算するサブステップS3.1を含む。
【0161】
ステップS3.2では、計算された分散値の評価が行われる。計算された確率データがゼロに等しい分散値を有する場合、サブステップS3.3が実行され、そうでない場合はステップS4に進む。
【0162】
サブステップS3.3では、ステップS2で決定された補正係数を計算された確率データに適用することにより、第1コンポーネントの計算された確率データが補正され、その結果、決定された(補正された)確率データがゼロより大きい分散値を有するようにする。
【0163】
与えられた例では、ステップS3は1回だけ実行されるが、ステップS7の後に続く繰り返しループに含めることもできる。
【0164】
ステップS4において、第1のコンポーネントの監視変数の値が、当該コンポーネントに接続された測定装置から受信される。
【0165】
ステップS5では、ステップS4からの監視変数の受信値と、ステップS3からの決定された確率データとに依存して、第1のコンポーネントの状態パラメータが決定され、状態パラメータは、この例では重大度パラメータを表し、第1のコンポーネントの動作状態の所望のエラーのない動作状態からの逸脱がどの程度深刻であるかを示す。
【0166】
ステップS6では、ステップS5からの決定された状態パラメータに対応する出力信号を出力し、決定された状態パラメータを表示装置に表示するサブステップS6.1を備える。
【0167】
ステップS7では、所定の長さの休止が行われ、その後、方法が再びステップS4から部分的に繰り返される。
【0168】
前述の例示的な方法によって、少なくとも第1のコンポーネントを監視する可能性が提供され、確率的な方法で当該コンポーネントを確実に監視することができ、保守効率を向上させる、すなわち、当該コンポーネントの偽陽性エラー信号の数を減少させることができる。ステップとサブステップは、異なる順序で配置されたり、一部が省かれたり、さらなるステップが追加されたりすることもある。
【0169】
強調しておくが、本発明は決して前述の実施例及びその特徴に限定されるものではない。本発明はさらに、独立請求項の保護範囲内において、それらの実施例の改変、特に、記載された実施例の個々の特徴または複数の特徴の改変および/または組み合わせから生じる改変を包含する。
【0170】
当業者には理解されるように、本開示は、本明細書上および添付の図に記載されるように、方法(例えば、コンピュータ実装プロセスまたは任意の他のプロセス)、装置(デバイス、マシン、システム、コンピュータプログラム製品、および/または任意の他の装置を含む)、または前述の組み合わせとして具現化され得る。本開示の態様/例は、完全にソフトウェア(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)、または「システム」と呼ばれ得るソフトウェアおよびハードウェアの態様の組み合わせであってもよい。さらに、本開示は、媒体に具現化されたコンピュータ実行可能プログラムコードを有するコンピュータ可読媒体上のコンピュータプログラム製品の形態をとることができる。
【0171】
なお、図面では、2つ以上のエンティティが関与する通信、転送、またはその他のアクティビティを表すために矢印が使用される場合があることに留意されたい。両矢印が存在する場合、一般に、アクティビティが両方向で発生する可能性があることを示すが(例えば、一方向のコマンド/要求とそれに対応する他方向の返信、またはいずれかのエンティティによって開始されるピアツーピア通信)、状況によっては、アクティビティが必ずしも両方向で発生するとは限らない。
【0172】
片矢印は、一般に、一方向のアクティビティのみ、または主に一方向のアクティビティを示すが、特定の状況では、そのような方向性のアクティビティは、実際には両方向のアクティビティ(例えば、送信者から受信者へのメッセージと受信者から送信者への確認応答、または転送前の接続の確立と転送後の接続の終了)を含む可能性があることに留意すべきである。したがって、特定のアクティビティを表すために特定の図面で使用される矢印のタイプは例示的なものであり、限定的なものと見なすべきではない。
【0173】
本開示は、方法および装置のフローチャート図および/またはブロック図を参照して、ならびに方法および/または装置によって生成されるグラフィカルユーザインターフェースの多数のサンプルビューを参照して説明され得る。フローチャート図および/またはブロック図の各ブロック、および/またはフローチャート図および/またはブロック図のブロックの組み合わせ、ならびにグラフィカルユーザインターフェースは、コンピュータ実行可能なプログラムコードによって実装され得ることが理解されるであろう。
【0174】
コンピュータ実行可能プログラムコードは、汎用コンピュータ、特殊用途コンピュータ、または他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供され、コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサを介して実行されるプログラムコードは、フローチャート、ブロック図ブロックまたはブロック、図、および/または書面による説明で指定された機能/行為/出力を実施するための手段を作成する。
【0175】
また、コンピュータ実行可能プログラムコードは、コンピュータ可読メモリに記憶されたプログラムコードが、フローチャート、ブロック図ブロック、図、及び/又は書面による説明で指定された機能/行為/出力を実施する命令手段を含む製造品を生成するように、コンピュータ又は他のプログラム可能データ処理装置に特定の態様で機能するように指示することができるコンピュータ可読メモリに記憶されてもよい。
【0176】
コンピュータ実行可能プログラムコードは、コンピュータまたは他のプログラマブル装置上で実行されるプログラムコードが、フローチャート、ブロック図ブロック、図、および/または書面による説明で指定された機能/行為/出力を実施するためのステップを提供するように、コンピュータまたは他のプログラマブル装置上でコンピュータ実装プロセスを生成するための一連の動作ステップを実行させるために、コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置にロードすることもできる。あるいは、本開示の実施形態を実施するために、コンピュータプログラムが実施するステップまたは行為を、オペレータまたは人間が実施するステップまたは行為と組み合わせてもよい。
【0177】
本明細書では、「サーバ」や「プロセッサ」などの用語が使用されることがあり、これらは、本開示の特定の態様において使用され得るデバイスを説明するために解釈され得る、文脈上別段必要とされない限り、本開示を特定のデバイスタイプに限定するために解釈されるべきではないことに留意されたい。したがって、デバイスは、限定するものではないが、ブリッジ、ルータ、ブリッジルータ(brouter)、スイッチ、ノード、サーバ、コンピュータ、アプライアンス、または他のタイプのデバイスを含み得る。このようなデバイスは、通常、通信ネットワークを介して通信するための1つまたは複数のネットワークインターフェースと、デバイス機能を実行するように適宜構成されたプロセッサ(例えば、メモリおよび他の周辺機器および/またはアプリケーション固有のハードウェアを備えたマイクロプロセッサ)とを含む。
【0178】
通信ネットワークは、一般に、パブリックネットワークおよび/またはプライベートネットワークを含み、ローカルエリア、ワイドエリア、メトロポリタンエリア、ストレージ、および/または他のタイプのネットワークを含み、アナログ技術、デジタル技術、光技術、無線技術(例えば、ブルートゥース(登録商標))、ネットワーキング技術、およびインターネットワーキング技術を含むが、これらに限定されない通信技術を採用することができる。
【0179】
なお、デバイスは通信プロトコルおよびメッセージ(例えば、デバイスによって作成、送信、受信、保存、および/または処理されるメッセージ)を使用することがあり、そのようなメッセージは通信ネットワークまたは媒体によって伝達されることがあることに留意すべきである。
【0180】
文脈が特に要求しない限り、本開示は、特定の通信メッセージタイプ、通信メッセージフォーマット、または通信プロトコルに限定されると解釈されるべきではない。したがって、通信メッセージは、一般に、限定することなく、フレーム、パケット、データグラム、ユーザデータグラム、セル、または他のタイプの通信メッセージを含み得る。
【0181】
文脈上別段必要とされない限り、特定の通信プロトコルへの言及は例示であり、代替案は、適宜、そのような通信プロトコルのバリエーション(例えば、随時行われ得るプロトコルの修正又は拡張)又は既知若しくは将来開発される他のプロトコルを採用し得ることを理解されたい。
【0182】
また、論理フローは、本開示の様々な態様を示すために本明細書で説明されることがあり、本開示を特定の論理フローまたは論理実装に限定するように解釈されるべきではないことに留意されたい。記述された論理は、全体的な結果を変更することなく、またはそうでなければ本開示の真の範囲から逸脱することなく、異なる論理ブロック(例えば、プログラム、モジュール、関数、またはサブルーチン)に分割されてもよい。
【0183】
多くの場合、論理要素は、全体的な結果を変更することなく、またはそうでなければ本開示の範囲から逸脱することなく、追加、変更、省略、異なる順序で実行、または異なる論理構成要素(例えば、論理ゲート、ループプリミティブ、条件付き論理、および他の論理構成要素)を使用して実装され得る。
【0184】
本開示は、グラフィカルプロセッシングユニット、ならびにプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタルシグナルプロセッサ、または汎用コンピュータ)とともに使用するためのコンピュータプログラムロジック、プログラマブルロジックデバイス(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または他のPLD)とともに使用するためのプログラマブルロジック、ディスクリートコンポーネント、集積回路(例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)など)、またはそれらの任意の組合せを含む他の手段で構成される。説明した機能の一部またはすべてを実装するコンピュータプログラムロジックは、一般に、コンピュータ実行可能な形式に変換され、コンピュータ可読媒体に格納され、オペレーティングシステムの制御下でマイクロプロセッサによって実行されるコンピュータプログラム命令のセットとして実装される。説明した機能の一部またはすべてを実装するハードウェアベースのロジックは、1つまたは複数の適切に構成されたFPGAを使用して実装することができる。
【0185】
本明細書で先に説明した機能の全部または一部を実装するコンピュータプログラムロジックは、ソースコード形式、コンピュータ実行可能形式、および様々な中間形式(例えば、アセンブラ、コンパイラ、リンカ、またはロケータによって生成される形式)を含むが、これらに限定されない様々な形式で具現化することができる。
【0186】
ソースコードは、様々なオペレーティングシステムまたはオペレーティング環境とともに使用するために、様々なプログラミング言語(例えば、オブジェクトコード、アセンブリ言語、またはFortran、python、C、C++、JAVA、JavaScript、HTMLなどの高級言語)のいずれかで実装された一連のコンピュータプログラム命令を含むことができる。ソースコードは、さまざまなデータ構造や通信メッセージを定義し、使用することができる。ソースコードは、(例えば、インタプリタを介して)コンピュータ実行可能な形式であってもよいし、ソースコードを(例えば、トランスレータ、アセンブラ、またはコンパイラを介して)コンピュータ実行可能な形式に変換してもよい。
【0187】
本開示の実施形態の動作を実行するためのコンピュータ実行可能プログラムコードは、Java、Perl、Smalltalk、C++などのような、オブジェクト指向の、スクリプト化された、またはスクリプト化されていないプログラミング言語で書かれてもよい。しかしながら、本開示の態様の動作を実施するためのコンピュータプログラムコードはまた、「C」プログラミング言語または類似のプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語で書かれてもよい。
【0188】
本明細書で先に説明した機能の全部または一部を実装するコンピュータプログラムロジックは、単一のプロセッサ上で異なる時間に実行されてもよく(例えば、同時実行)、複数のプロセッサ上で同じ時間または異なる時間に実行されてもよく、単一のオペレーティングシステムプロセス/スレッドの下で実行されてもよく、異なるオペレーティングシステムプロセス/スレッドの下で実行されてもよい。
【0189】
このように、「コンピュータプロセス」という用語は、異なるコンピュータプロセスが同じプロセッサ上で実行されるか異なるプロセッサ上で実行されるかに関係なく、また、異なるコンピュータプロセスが同じオペレーティングシステムプロセス/スレッドの下で実行されるか異なるオペレーティングシステムプロセス/スレッドの下で実行されるかに関係なく、コンピュータプログラム命令のセットの実行を一般的に指す。
【0190】
コンピュータプログラムは、半導体メモリデバイス(例えば、RAM、ROM、PROM、EEPROM、またはFlash-Programmable RAM)、磁気メモリ・デバイス(例えば、ディスケットまたは固定ディスク)、光メモリ・デバイス(例えば、CD-ROM)、PCカード(例えば、PCMCIAカード)、または他のメモリ・デバイスなどの有形記憶媒体に恒久的または一時的に任意の形態(例えば、ソースコード形態、コンピュータ実行可能形態、または中間形態)で固定することができる。
【0191】
コンピュータプログラムは、アナログ技術、デジタル技術、光技術、無線技術(例えば、ブルートゥース(登録商標))、ネットワーキング技術、およびインターネットワーキング技術を含むが、これらに限定されない様々な通信技術のいずれかを使用してコンピュータに送信可能な信号の任意の形態で固定することができる。
【0192】
コンピュータプログラムは、印刷または電子文書(例えば、シュリンク包装されたソフトウェア)を添付したリムーバブル記憶媒体として、コンピュータシステムにプリロードされて(例えば、システムROMまたは固定ディスク上に)、または通信システム(例えば、インターネットまたはワールドワイドウェブ)を介してサーバまたは電子掲示板から配布されるなど、任意の形態で配布することができる。
【0193】
本明細書で既に説明した機能の全部または一部を実装するハードウェアロジック(プログラマブルロジックデバイスと共に使用するためのプログラマブルロジックを含む)は、従来の手作業による方法を使用して設計してもよいし、コンピュータ支援設計(CAD)、ハードウェア記述言語(例えば、VHDLまたはAHDL)、またはPLDプログラミング言語(例えば、PALASM、ABEL、またはCUPL)などの様々なツールを使用して電子的に設計、キャプチャ、シミュレーション、または文書化してもよい。
【0194】
任意の適切なコンピュータ可読媒体を利用することができる。コンピュータ可読媒体は、例えば、電子、磁気、光学、電磁、赤外線、または半導体のシステム、装置、デバイス、または媒体であってもよいが、これらに限定されない。
【0195】
コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、1つ以上のワイヤを有する電気的接続、またはポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、コンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM)、または他の光学もしくは磁気記憶装置などの他の有形記憶媒体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0196】
プログラマブルロジックは、半導体メモリ・デバイス(例えば、RAM、ROM、PROM、EEPROM、またはFlash-Programmable RAM)、磁気メモリ・デバイス(例えば、ディスケットまたは固定ディスク)、光メモリ・デバイス(例えば、CD-ROM)、または他のメモリ・デバイスなどの有形記憶媒体に永久的または一時的に固定することができる。
【0197】
プログラマブルロジックは、アナログ技術、デジタル技術、光技術、無線技術(例えば、ブルートゥース(登録商標))、ネットワーキング技術、およびインターネットワーキング技術を含むが、これらに限定されない様々な通信技術のいずれかを使用してコンピュータに送信可能な信号に固定することができる。
【0198】
プログラマブルロジックは、印刷または電子文書(例えば、シュリンクラップソフトウェア)を添付したリムーバブル記憶媒体として配布してもよいし、コンピュータシステムにプリロードしてもよいし(例えば、システムROMまたは固定ディスク上)、通信システム(例えば、インターネットまたはワールドワイドウェブ)を介してサーバまたは電子掲示板から配布してもよい。もちろん、本開示のいくつかの実施形態は、ソフトウェア(例えば、コンピュータプログラム製品)とハードウェアの両方の組み合わせとして実施されてもよい。本開示のさらに他の態様は、完全にハードウェアとして、または完全にソフトウェアとして実装される。
【0199】
特定の例示的な態様を添付の図面に記載し示したが、このような実施形態または実施例は、広範な本開示を単に例示するものであり、広範な本開示を制限するものではないこと、および、本開示の態様は、上記の段落に記載されたものに加えて、他の様々な変更、組み合わせ、省略、修正および置換が可能であるため、図示および記載された特定の構造および配置に限定されないことを理解されたい。
【0200】
当業者であれば、今説明した態様、実施形態、および/または実施例の様々な適合、修正、および/または組み合わせが構成され得ることを理解するであろう。したがって、添付の特許請求の範囲内において、本開示は、本明細書において具体的に記載される以外の方法で実施され得ることが理解される。例えば、明示的に別段の記載がない限り、本明細書に記載される工程のステップは、本明細書に記載される順序とは異なる順序で実施されてもよく、1つまたは複数のステップが組み合わされ、分割され、または同時に実施されてもよい。当業者はまた、本開示に鑑みて、本明細書に記載される本開示の異なる態様または実施例を組み合わせて、本開示の他の態様または実施例を形成し得ることを理解するであろう。
【符号の説明】
【0201】
1…監視装置、10…確率データ装置、11…プロセッサユニット、12…記録ユニット、20…受信装置、30…診断装置、31…プロセッサユニット、40…出力装置、41…表示装置、100…システム、110…動作コンポーネント、111…測定装置
図1
図2
図3
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図5