(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/005 20060101AFI20240829BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20240829BHJP
G08G 1/0968 20060101ALI20240829BHJP
G01C 21/34 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
G08G1/005
G08G1/00 D
G08G1/0968 A
G01C21/34
(21)【出願番号】P 2023506366
(86)(22)【出願日】2021-03-17
(86)【国際出願番号】 IB2021000183
(87)【国際公開番号】W WO2022195313
(87)【国際公開日】2022-09-22
【審査請求日】2023-09-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】高木 良貴
(72)【発明者】
【氏名】中村 誠秀
【審査官】小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-163578(JP,A)
【文献】特開2019-070971(JP,A)
【文献】米国特許第10134286(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/34
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取得部と、コントローラと、出力部と、を備える情報処理装置であって、
前記取得部は、
ユーザが操作する情報端末の位置を示す位置データを取得し、
前記情報端末からの配車リクエストを取得し、
前記コントローラは、
前記配車リクエストに基づいて、前記ユーザに配車する車両を決定し、
前記位置データに基づいて、前記情報端末の位置の精度を算出し、
前記位置データに基づいて、前記ユーザと前記車両が待ち合わせる地点の候補となる待合地点を抽出し、
前記出力部は、
前記待合地点を前記情報端末に送信し、
前記精度が低い場合に抽出される前記待合地点の数は、前記精度が高い場合に抽出される前記待合地点の数よりも大きいこと
を特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記コントローラは、
前記位置データに基づいてエリアを設定し、前記エリアに含まれる前記待合地点を抽出し、
前記精度が低い場合に設定される前記エリアは、前記精度が高い場合に設定される前記エリアよりも広いこと
を特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理装置であって、
前記取得部は、
所定時間以内に複数の前記位置データを取得し、
前記エリアは、複数の前記位置データによって特定される複数の前記位置を含むこと
を特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の情報処理装置であって、
前記コントローラは、
前記精度が更新されたか否かを判定し、
更新前の前記精度と比較して更新後の前記精度が高くなった場合、前記エリアを縮小すること
を特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の情報処理装置であって、
前記取得部は、
前記車両の位置を取得し、
前記コントローラは、前記精度が所定閾値よりも低い場合、
前記待合地点ごとに、前記車両の位置から前記待合地点まで前記車両が走行する経路を算出し、
前記経路が互いに分岐する分岐点を算出し、
前記分岐点を前記車両の目的地に設定すること
を特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の情報処理装置であって、
前記コントローラは、
前記車両が前記目的地に到着する到着時刻を算出し、
前記出力部は、
前記到着時刻を前記情報端末に送信すること
を特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の情報処理装置であって、
前記出力部は、前記精度が所定閾値よりも低い場合、
前記位置データの入力を前記ユーザに求める入力リクエストを前記情報端末に送信すること
を特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
ユーザが操作する情報端末と、サーバと、を備える情報処理システムであって、
前記サーバは、取得部と、コントローラと、出力部と、を備え、
前記取得部は、
前記情報端末の位置を示す位置データを取得し、
前記情報端末からの配車リクエストを取得し、
前記コントローラは、
前記配車リクエストに基づいて、前記ユーザに配車する車両を決定し、
前記位置データに基づいて、前記情報端末の位置の精度を算出し、
前記位置データに基づいて、前記ユーザと前記車両が待ち合わせる地点の候補となる待合地点を抽出し、
前記出力部は、
前記待合地点を前記情報端末に送信し、
前記精度が低い場合に抽出される前記待合地点の数は、前記精度が高い場合に抽出される前記待合地点の数よりも大きいこと
を特徴とする情報処理システム。
【請求項9】
取得部及び出力部と接続されたコントローラを制御する情報処理方法であって、
前記取得部は、
ユーザが操作する情報端末の位置を示す位置データを取得し、
前記情報端末からの配車リクエストを取得し、
前記コントローラは、
前記配車リクエストに基づいて、前記ユーザに配車する車両を決定し、
前記位置データに基づいて、前記情報端末の位置の精度を算出し、
前記位置データに基づいて、前記ユーザと前記車両が待ち合わせる地点の候補となる待合地点を抽出し、
前記出力部は、
前記待合地点を前記情報端末に送信し、
前記精度が低い場合に抽出される前記待合地点の数は、前記精度が高い場合に抽出される前記待合地点の数よりも大きいこと
を特徴とする情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザに対して車両の配車を行う際、ユーザの現在地を表す情報と、車両の現在地及び利用状況を表す情報とを取得し、それらの情報に基づいてユーザに対して配車可能な配車予定車両と乗車場所とを設定する技術が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術によれば、複数の乗車場所の候補の中から、ユーザの現在地から最も容易にユーザが到達できる場所(例えば、所要時間又は所要距離が最も短い場所)が乗車場所として設定される。そのため、ユーザの位置の精度が低い場合、容易にユーザが到達できない場所が乗車場所として設定されてしまう恐れがあるという課題がある。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、ユーザの位置の精度が低い場合であっても、ユーザと配車される車両とが待ち合わせる待合地点として容易にユーザが到達できる場所を設定することができる情報処理装置及び情報処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した問題を解決するために、本発明の一態様に係る情報処理装置及び情報処理方法は、ユーザが操作する情報端末からの配車リクエストに基づいてユーザに配車する車両を決定し、情報端末の位置を示す位置データに基づいて情報端末の位置の精度を算出し、位置データに基づいてユーザと車両が待ち合わせる地点の候補となる待合地点を抽出し、待合地点を情報端末に送信する。ここで、精度が低い場合に抽出される待合地点の数は、精度が高い場合に抽出される待合地点の数よりも大きい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザの位置の精度が低い場合であっても、ユーザと配車される車両とが待ち合わせる待合地点として容易にユーザが到達できる場所を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る情報処理システムの処理を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係る情報処理システムの動作例を説明するシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0010】
[情報処理システムの構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理システムの構成を示すブロック図である。
図1に示すように、情報処理システムは、無線又は有線のネットワーク400で互いに接続された、端末100(情報端末)と、サーバ200と、車両300と、を備える。
【0011】
ネットワーク400は、例えば、インターネットが挙げられる。ネットワーク400は、4G/LTEや、5Gなどのモバイル通信機能を利用するものであってもよい。
【0012】
端末100は、ユーザの操作を受け付け、受け付けた操作に関する情報をネットワーク400に送信する。端末100は、ユーザの操作に基づいて、車両の配車を要求する配車リクエストをネットワーク400に送信するものであってもよい。端末100としては、例えば、ユーザが日常的に利用する携帯端末(スマートフォン、タブレットなど)が挙げられる。
【0013】
車両300は、ユーザが指定する目的地までの移動手段を提供する乗り物であって、例えば、自動運転車両が挙げられる。その他、車両300としては、例えば、有人/無人のタクシー、バス、トラックなど、種々の移動手段が挙げられる。情報処理システムには、複数台の車両が登録されていてもよい。
【0014】
車両300は、所定のタイミングや、所定の周期で車両300の車両情報を送信するものであってもよいし、端末100やサーバ200からの指令に基づいて、車両300の車両情報を送信するものであってもよい。
【0015】
サーバ200は、ユーザとユーザに配車される車両の待合せに係る情報を生成する。サーバ200は、配車サービスを提供する図示しない外部サーバに搭載されるものであってもよいし、端末100、車両300に搭載されるものであってもよい。
【0016】
以下では、ネットワーク400を介して、端末100、サーバ200、車両300は互いに双方向に通信可能であるとする。
【0017】
[端末の構成]
次に、端末100(情報端末)について説明する。
図1に示すように、端末100は、センサ150と、表示部160と、操作部170と、通信部110と、コントローラ130と、を備える。
【0018】
センサ150は、複数のセンサ群からなり、端末100の位置を示す位置データを取得する位置検出センサを含む。例えば、位置検出センサは、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)などの絶対位置を計測するセンサである。その他、位置検出センサは、Wi-Fi(登録商標)測位、RFID(Radio Frequency Identifier)測位、ビーコン測位などの手法によって絶対位置を計測するセンサであってもよい。
【0019】
なお、位置データは、端末100の位置の誤差を示す誤差データを含んでいてもよい。ここで「誤差」とは、位置データによって特定される端末100の位置と、端末100の実際の位置の間の差異の大きさを意味する。
【0020】
例えば、位置検出センサがGPSによって絶対位置を計測センサである場合には、GPSの電波の受信状況に基づいて、端末100の位置の誤差を算出することができる。センサ150は、GPSの電波の受信状況(DOP値(Dilution of Precision)、捕捉衛星数など)に基づいて誤差データを算出するものであってもよい。
【0021】
Wi-Fi(登録商標)測位、RFID(Radio Frequency Identifier)測位、ビーコン測位などについても、同様に、基準となる信号の強度、信号の数などに基づいて、端末100の位置の誤差を算出することができる。センサ150は、基準となる信号の強度、信号の数などに基づいて誤差データを算出するものであってもよい。
【0022】
その他、位置データは、誤差データを出力するために用いるGPSの電波の受信状況、基準となる信号の強度、信号の数などのデータを、補足データとして含んでいてもよい。
【0023】
表示部160は、車両300との待合地点に関する情報を表示する。また、表示部160は、待合地点までユーザの移動をガイドするための案内情報を表示するものであってもよい。その他、表示部160は、車両300の情報や、車両300の走行ルートに関する情報を表示するものであってもよい。移動経路の情報、及び、ユーザの移動をガイドするための案内情報は、後述する通信部110により、ネットワーク400を介してサーバ200から取得するものであってもよい。
【0024】
なお、表示部160としては、各種の情報を視覚情報によって情報を提示するものに限定されない。表示部160は、聴覚情報によってユーザに情報を提示するものであってもよいし、振動を発生させて、振動による刺激によってユーザに情報を提示するものであってもよい。
【0025】
操作部170は、情報処理システムに対するユーザからの各種の指令に対応するユーザの操作を受け付ける。例えば、操作部170は、複数のボタンを備えた入力インターフェイスであってもよいし、タッチインターフェイスを備えたタッチパネルであってもよい。
【0026】
より具体的には、絵や記号で表現したアイコンをユーザが操作可能なように表示部160が表示し、表示されたアイコンをユーザがタッチ、ドラッグなどすることで、操作部170はユーザの操作を受け付けるものであってもよい。
【0027】
通信部110は、ネットワーク400との間で情報を送受信する。通信部110は、ネットワーク400から取得した情報を図示しないメモリ等に記憶し、また、ユーザの操作に基づいて生成される配車リクエストや、位置データなど所定の情報をネットワーク400に対して出力する。例えば、通信部110は、4G/LTEや5Gなどのモバイル通信機能を備えたデバイスであってもよいし、Wifi通信機能を備えたデバイスであってもよい。
【0028】
コントローラ130は、センサ150、表示部160、操作部170、通信部110と接続されており、コントローラ130には、センサ150、操作部170、通信部110からの情報が入力され、コントローラ130からは表示部160、通信部110への情報が出力される。
【0029】
なお、コントローラ130は、CPU(中央処理装置)、メモリ、及び入出力部を備える汎用のマイクロコンピュータである。コントローラ130には、情報処理システムの一部として機能するためのコンピュータプログラム(情報端末プログラム)がインストールされている。コンピュータプログラムを実行することにより、コントローラ130は、表示部160及び通信部110の制御を行う。
【0030】
コントローラ130が備える各種の情報処理は、ソフトウェアによって実現されるものであってもよいし、専用のハードウェアによって実現されるものであってもよい。
【0031】
コントローラ130は、操作部170に対するユーザの操作に基づいて、配車サービスを提供する外部サーバや、情報処理システムに対するリクエストを生成する。例えば、リクエストには、車両300が向かう目的地や目的地に到着する到着予定時刻の指定が含まれていてもよい。また、リクエストには、車両300が出発する出発予定時刻の指定が含まれていてもよい。
【0032】
[サーバの構成]
次に、サーバ200(情報処理装置)について説明する。
図1に示すように、サーバ200は、通信部210(通信手段)と、データベース220と、コントローラ230と、を備える。
【0033】
通信部210は、ネットワーク400との間で情報を送受信する。通信部210は、端末100から送信された配車リクエスト、位置データ、車両300から送信された車両情報など、所定の情報をネットワーク400から取得し、取得した情報をデータベース220に記録する。
【0034】
データベース220は、通信部210によって取得した情報を記憶する。その他、データベース220は、車両が停車可能な地点や、ユーザの過去の位置データを記憶するものであってもよい。
【0035】
コントローラ230は、CPU(中央処理装置)、メモリ、及び入出力部を備える汎用のマイクロコンピュータである。コントローラ230には、情報処理システムの一部として機能させるためのコンピュータプログラム(情報処理サーバプログラム)がインストールされている。コンピュータプログラムを実行することにより、コントローラ230は、複数の情報処理回路(231、233、235、237、239)として機能する。
【0036】
なお、ここでは、ソフトウェアによってコントローラ230が備える複数の情報処理回路(231、233、235、237、239)を実現する例を示す。ただし、以下に示す各情報処理を実行するための専用のハードウェアを用意して、情報処理回路(231、233、235、237、239)を構成することも可能である。また、複数の情報処理回路(231、233、235、237、239)を個別のハードウェアにより構成してもよい。
【0037】
コントローラ230は、複数の情報処理回路(231、233、235、237、239)として、精度算出部231、配車車両決定部233、待合地点抽出部235、経路算出部237、待機計画設定部239を備える。
【0038】
精度算出部231は、端末100から送信された位置データに基づいて、端末100の位置の精度を算出する。具体的には、位置データに含まれる誤差データ、又は、補足データに基づいて、端末100の位置の精度を算出する。ここで「精度が高い」とは、端末100の位置の誤差が小さいことを意味する。反対に、「精度が低い」とは、端末100の位置の誤差が大きいことを意味する。
【0039】
例えば、精度算出部231は、誤差データによって示される誤差が小さいほど、端末100の位置の精度は高いものとして算出するものであってもよい。
【0040】
また、精度算出部231は、補足データとして得られるGPSの電波の受信状況を参照し、DOP値が小さいほど、又は、補足衛星数が大きいほど、端末100の位置の精度は高いものとして算出するものであってもよい。
【0041】
さらに、精度算出部231は、基準となる信号の強度が大きいほど、又は、信号の数が多いほど、端末100の位置の精度は高いものとして算出するものであってもよい。
【0042】
その他、精度算出部231は、端末100の位置を決定するために使用する電波の受信状況が悪い場合に端末100の位置の精度は低いものとして算出するものであってもよい。反対に、端末100の位置を決定するために使用する電波の受信状況が良い場合に端末100の位置の精度は高いものとして算出するものであってもよい。
【0043】
その他、ユーザが一か所にとどまることなく、端末100と共に頻繁に移動している場合には、所定時間以内に取得した複数の位置データによって示される複数の位置のばらつき(分散)が大きいことが想定される。
【0044】
このようにユーザが頻繁に移動している場合も精度が低く場合として取り扱うため、精度算出部231は、所定時間以内に取得された複数の位置データによって示される複数の位置のばらつきが大きいほど、端末100の位置の精度は低いものとして算出するものであってもよい。所定時間及び位置データを取得するタイミングは、任意に定められる。
【0045】
配車車両決定部233は、端末100から送信された配車リクエストに基づいて、ユーザに配車される車両を、複数の車両300の中から決定する。配車リクエストに基づいて配車される車両を決定する方法として、既知の方法を使用することが可能である。その他、配車車両決定部233は、配車サービスを提供する図示しない外部サーバからユーザに配車される車両の情報を取得するものであってもよい。
【0046】
待合地点抽出部235は、位置データに基づいて、ユーザとユーザに配車される車両が待ち合わせる地点の候補となる待合地点を抽出する。なお、待合地点抽出部235によって、精度が低い場合に抽出される待合地点の数は、精度が高い場合に抽出される待合地点の数よりも大きい。
【0047】
具体的には、待合地点抽出部235は、端末100から送信された位置データに基づいて、待合地点の抽出のためのエリアを設定する。ここで位置データによって示される端末100の位置から所定距離内の範囲、又は、所定時間内でユーザが移動可能な範囲を、待合地点の抽出のためのエリアとして設定する。そして、事前にデータベース220に登録された、車両が停車可能な地点の中から、エリア内に含まれる地点を待合地点として抽出する。
【0048】
エリアを設定するために用いる所定距離、及び、所定時間に関して、所定距離をユーザが移動可能な距離によって定めてもよいし、所定時間をユーザが移動可能な時間によって定めてもよい。
【0049】
ここで、位置データによって示される端末100の位置は、位置取得センサによる位置の測定に起因して、端末100の位置の誤差の分だけ変動しうる。そのため、精度が高い場合に設定されるエリアと比較して、精度が低い場合にはより広いエリアを設定する。例えば、精度が高い場合に定められる所定距離又は所定時間と比較して、精度が低い場合にはより大きな所定距離又は所定時間を設定するものであってもよい。
【0050】
その他、ユーザが一か所にとどまることなく、端末100と共に頻繁に移動している場合には、所定時間以内に取得した複数の位置データによって示される複数の位置のばらつき(分散)が大きいことが想定される。ユーザが頻繁に移動する場合において適切な待合地点を抽出するため、待合地点抽出部235は、所定時間以内に取得した複数の位置データよって示される複数の位置を含むよう、待合地点の抽出のためのエリアを設定するものであってもよい。
【0051】
また、待合地点抽出部235は、精度算出部231によって算出された精度が更新されたか否かを判定し、更新前の精度と比較して更新後の精度が高くなった場合、待合地点の抽出のためのエリアを縮小するものであってもよい。
【0052】
なお、待合地点抽出部235は、精度算出部231によって算出された精度が所定閾値よりも低い場合、すなわち、端末100の位置の誤差が所定の大きさよりも大きい場合には、位置データの入力をユーザに求める入力リクエストを生成するものであってもよい。生成された入力リクエストは、通信部210を介して端末100に送信される。
【0053】
入力リクエストに応じて、ユーザが端末100に入力した位置データは、通信部110を介してサーバ200に送信され、ユーザに提示される。待合地点抽出部235は、ユーザが入力した位置データによって示される位置に基づいて、待合地点の抽出のためのエリアを設定するものであってもよい。
【0054】
その他、待合地点抽出部235は、精度算出部231によって算出された精度が十分に高い場合、すなわち、端末100の位置の誤差が十分に小さい場合には、端末100の位置から最も容易にユーザが到達できる待合地点を抽出するものであってもよい。ここで、算出された精度が十分に高い場合とは、例えば、精度が所定の閾値よりも高い場合を意味する。また、最も容易にユーザが到達できる待合地点とは、例えば、ユーザの位置から待合地点まで移動する際の所要時間又は所要距離が最も短い待合地点を意味する。
【0055】
待合地点抽出部235は、抽出された待合地点が複数存在する場合に、複数の待合地点の中から1つの待合地点を選択するようユーザに求める選択リクエストを生成するものであってもよい。生成された入力リクエストは、通信部210を介して端末100に送信され、ユーザに提示される。選択リクエストに応じて、ユーザが選択した待合地点は、通信部110を介してサーバ200に送信される。
【0056】
待合地点抽出部235は、抽出された待合地点が複数存在する場合に、端末100の位置の精度が低いために複数の待合地点が抽出されたことを示すメッセージを生成するものであってもよい。生成されたメッセージは、通信部210を介して端末100に送信され、ユーザに提示される。これにより、メッセージに応じて、ユーザは端末100の位置の精度が高くなる場所(例えば、端末100の位置を決定するために使用する電波の受信状況が良い場所)に移動することが期待できる。
【0057】
経路算出部237は、待合地点抽出部235によって抽出された待合地点ごとに、配車される車両の位置から待合地点まで走行する際の経路を算出する。例えば、経路算出部237は、地図情報等に基づいて経路を算出する。経路を算出する方法として、既知の方法を使用することが可能である。
【0058】
なお、経路算出部237は、精度算出部231によって算出された精度が所定閾値よりも低い場合、算出した経路が互いに分岐する分岐点を算出し、分岐点を車両の目的地に設定するものであってもよい。
【0059】
分岐点の算出について詳述する。経路算出部237によって待合地点ごとに算出された経路は、いずれも配車される車両の位置を始点とし、待合地点を終点とするものである。したがって、相異なる複数の待合地点が精度算出部231によって抽出された場合、経路算出部237によって算出された複数の経路は、共通の始点を有し、相異なる複数の終点を有することになる。
【0060】
したがって、経路算出部237によって算出された複数の経路は、配車される車両の位置を一端とする共通部分を有することになる。経路算出部237は、算出された複数の経路のうち、配車される車両の位置を一端とする共通部分を抽出し、共通部分の他端を分岐点として算出する。
【0061】
分岐点の定義から、経路算出部237によって算出された複数の経路は、分岐点から待合地点までの部分において相異なることになる。
【0062】
分岐点を車両の目的地に設定することについて詳述する。ユーザの位置の精度が低い場合(例えば、通信状況が悪い場所である地下にユーザが位置する場合)に抽出される待合地点の数は、ユーザの位置の精度が高い場合(例えば、通信状況が良い場所である地上にユーザが位置する場合)に抽出される待合地点の数よりも多い。したがって、ユーザの位置の精度が低い場合には、ユーザに配車される車両は、向かうべき待合地点の数を絞り込むことができない。
【0063】
そのため、ユーザの位置の精度が低い状態から高い状態になって、待合地点の数を絞り込むことができるようになるまで、車両は待機していることが望ましい。一方で、待合地点の数を絞り込むことができるようになるまで、ユーザに配車される車両が走行を開始できない場合には、車両がユーザと待ち合わせる待合地点に到着するのが遅れてしまう恐れがある。
【0064】
経路算出部237は分岐点を車両の目的地に設定することにより、分岐点まで車両の走行を行って、車両がユーザの周辺地域まで移動することができる。その結果、車両がユーザと待ち合わせる待合地点に到着するのが遅れてしまう可能性を低減できる。
【0065】
精度算出部231によって算出された精度が更新された結果、待合地点抽出部235によって抽出された待合地点の数が減少したタイミングで、経路算出部237は、分岐点を更新し、更新後の分岐点を目的地として再設定するものであってもよい。
【0066】
待合地点抽出部235によって抽出された待合地点が1つに定まると、経路算出部237は、待合地点を目的地として設定する。
【0067】
経路算出部237は、算出した経路に基づいて、算出した分岐点への車両の到着時刻、各待合地点への車両の到着時刻を算出するものであってもよい。分岐点への車両の到着時刻、各待合地点への車両の到着時刻は、通信部210を介して端末100に送信され、ユーザに提示される。
【0068】
待機計画設定部239は、経路算出部237によって目的地(分岐点、又は、待合地点)が設定された後に、車両が目的地に到着するまでに車両が待機する必要があるか否かを判定する。そして、車両が待機する必要があると判定された場合には、待機計画設定部239は、車両を待機させる走行計画(待機計画)を生成する。
【0069】
より具体的には、待機計画設定部239は、待合地点抽出部235によって抽出された待合地点が複数存在する場合には、車両が待機する必要があると判定する。一方、待合地点抽出部235によって抽出された待合地点が1つのみである場合には、車両が待機する必要がないと判定する。
【0070】
待機計画設定部239は、精度算出部231によって算出された精度が所定閾値未満である場合に、車両が待機する必要があると判定するものであってもよい。その他、待機計画設定部239は、端末100の位置情報に基づいて、ユーザが待合地点に到着する到着時刻を算出し、車両が待合地点に到着する到着時刻よりもユーザが待合地点に到着する到着時刻が後である場合に、車両が待機する必要があると判定するものであってもよい。
【0071】
待機計画設定部239は、目的地(分岐点、又は、待合地点)周辺に位置する待機地点を抽出し、当該待機地点で車両を一時停車させる待機計画を生成する。
【0072】
例えば、待機計画設定部239は、事前にデータベース220に登録された車両が停車可能な地点の中から、目的地から所定距離内の範囲に位置する地点を、待機地点として抽出するものであってもよい。待機地点は、経路算出部237によって算出した経路上であってもよいし、経路から離れた地点であってもよい。待機計画設定部239は、経路算出部237で算出した経路を修正して、配車される車両の位置から待機地点を経由して目的地まで走行するための経路を算出するものであってもよい。
【0073】
また、待機計画設定部239は、待機地点で車両を一時停車させる待機計画を生成する代わりに、目的地を通過した後(目的地で停車しないで通過した後)に再び目的地に戻る回遊経路を算出し、回遊経路上において繰り返し車両を走行させる待機計画を生成するものであってもよい。回遊経路は、目的地から所定距離内の範囲に含まれる経路であってもよい。
【0074】
算出された待機地点及び待機地点を経由する経路、又は、算出された回遊経路は、通信部210を介して配車される車両に送信され、車両は、待機地点を経由する経路、又は、回遊経路に沿って走行するよう制御されるものであってもよい。算出された待機地点及び待機地点を経由する経路、又は、算出された回遊経路は、通信部210を介して端末100に送信され、ユーザに提示されるものであってもよい。
【0075】
[情報処理システムの処理手順]
次に、本実施形態に係る情報処理システムの処理手順を、
図2及び
図3を参照して説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係る情報処理システムの処理を示すフローチャートである。
図3は、本発明の一実施形態に係る情報処理システムの動作例を説明するシーケンスチャートである。
【0076】
図2に示されるフローチャートの処理は、配車リクエストに基づいてユーザに配車する車両を決定された後に開始され、車両が待合地点で停車するまでの間、所定の周期で繰り返し実行される。
【0077】
図3に示すように、ステップS301にて、端末100にて位置データが生成され、位置データは端末100からサーバ200に送信される。そして、ステップS101において、精度算出部231は、端末100の位置を示す位置データを取得する。
【0078】
ステップS103において、精度算出部231は、位置データに基づいて、端末100の位置の精度を算出する。
【0079】
ステップS105において、待合地点抽出部235は、精度算出部231によって算出された精度が所定閾値以上であるか否かを判定する。
【0080】
精度が所定閾値以上でないと判定された場合(ステップS105でNOの場合)には、ステップS107において、待合地点抽出部235は、端末100から送信された位置データに基づいて、待合地点の抽出のためのエリアを設定する。
【0081】
その後、ステップS109において、待合地点抽出部235は、車両が停車可能な地点の中から、エリア内に含まれる複数の地点を待合地点として抽出する。そして、ステップS111において、経路算出部237は、抽出された待合地点ごとに、配車される車両の位置から待合地点まで走行する際の経路を算出する。
【0082】
ステップS113において、待合地点抽出部235は、算出した経路が互いに分岐する分岐点を算出する。
【0083】
一方、精度が所定閾値以上であると判定された場合(ステップS105でYESの場合)には、ステップS115において、待合地点抽出部235は、端末100の位置から最も容易にユーザが到達できる待合地点(例えば、所要時間又は所要距離が最も短い待合地点)を抽出する。そして、ステップS117において、経路算出部237は、抽出された待合地点までの経路を算出する。
【0084】
ステップS119において、待合地点抽出部235は、車両の目的地を設定する。特に、待合地点抽出部235は、分岐点が算出されている場合には分岐点を車両の目的地として設定し、分岐点が算出されていない場合には待合地点を車両の目的地として設定する。
【0085】
なお、
図3に示すように、抽出された待合地点、算出された経路、目的地に車両が到着する到着時刻は、サーバ200から端末100に送信されるものであってもよい。そして、サーバ200から端末100に送信された情報(抽出された待合地点、算出された経路、目的地に車両が到着する到着時刻)は、ステップS303にて端末100の表示部160によって表示されて、ユーザに報知されるものであってもよい。
【0086】
ステップS121において、待機計画設定部239は、車両が目的地に到着するまでに車両が待機する必要があるか否かを判定する。
【0087】
車両が待機する必要がないと判定された場合(ステップS121でNOの場合)には、ステップS123において、待機計画設定部239は、経路算出部237が算出した経路を配車される車両に送信し、送信された経路に沿って車両は制御される。
【0088】
一方、車両が待機する必要があると判定された場合(ステップS121でYESの場合)には、ステップS125において、待機計画設定部239は、待機計画を生成する。
【0089】
その後、ステップS127において、待機計画設定部239は、待機計画を配車される車両に送信し、送信された待機計画に沿って車両は制御される。
【0090】
なお、
図3に示すように、算出された経路、待機計画は、サーバ200から配車される車両300に送信される。
【0091】
また、抽出された待合地点、算出された経路、待機計画、目的地に車両が到着する到着時刻は、サーバ200から端末100に送信されるものであってもよい。そして、サーバ200から端末100に送信された情報(抽出された待合地点、算出された経路、待機計画、目的地に車両が到着する到着時刻)は、ステップS305にて端末100の表示部160によって表示されて、ユーザに報知されるものであってもよい。
【0092】
[実施形態の効果]
以上詳細に説明したように、本実施形態に係る情報処理装置及び情報処理方法は、ユーザが操作する情報端末からの配車リクエストに基づいてユーザに配車する車両を決定し、情報端末の位置を示す位置データに基づいて情報端末の位置の精度を算出し、位置データに基づいてユーザと車両が待ち合わせる地点の候補となる待合地点を抽出し、待合地点を情報端末に送信する。ここで、精度が低い場合に抽出される待合地点の数は、精度が高い場合に抽出される待合地点の数よりも大きい。
【0093】
これにより、ユーザの位置の精度が低い場合であっても、ユーザと配車される車両とが待ち合わせる待合地点として容易にユーザが到達できる場所を設定することができる。特に、精度が低い場合には抽出される待合地点の数が増えるため、誤差を含みうる情報端末の位置を示す位置データに基づいて待合地点の抽出を行ったとしても、容易にユーザが到達することができる場所を抽出できない恐れを低減することができる。
【0094】
さらに言えば、ユーザの到着を待つために車両が待合地点で長時間待機する可能性を低減できる。その結果、待合地点での車両の待機により交通流を妨げてしまう恐れを低減でき、配車サービス全体の効率を向上させることができる。
【0095】
また、本実施形態に係る情報処理装置及び情報処理方法は、位置データに基づいてエリアを設定し、エリアに含まれる待合地点を抽出し、精度が低い場合に設定されるエリアは、精度が高い場合に設定されるエリアよりも広いものであってもよい。これにより、情報端末の位置の精度が低い場合であっても、容易にユーザが到達することができる場所を抽出できない恐れを低減することができる。
【0096】
さらに、本実施形態に係る情報処理装置及び情報処理方法は、所定時間以内に複数の位置データを取得し、エリアは、複数の位置データによって特定される複数の位置を含むものであってもよい。これにより、ユーザが頻繁に移動している場合には、頻繁に移動しているエリア全体を対象として待合地点の抽出を行うことができる。その結果、頻繁に移動を繰り返すユーザに対しても、待合地点として容易にユーザが到達できる場所を設定することができる。
【0097】
また、本実施形態に係る情報処理装置及び情報処理方法は、精度が更新されたか否かを判定し、更新前の精度と比較して更新後の精度が高くなった場合、エリアを縮小するものであってもよい。これにより、ユーザの位置の精度が低い状態から高い状態になった際(例えば、通信状況が悪い場所(地下など)から通信状況が良い場所(地上など)にユーザが移動した際)に、待合地点の数を絞り込むことができる。その結果、最新のユーザの位置に合わせた適切な待合地点を抽出できる。
【0098】
さらに、本実施形態に係る情報処理装置及び情報処理方法は、車両の位置を取得し、精度が所定閾値よりも低い場合、待合地点ごとに、車両の位置から待合地点まで車両が走行する経路を算出し、経路が互いに分岐する分岐点を算出し、分岐点を車両の目的地に設定するものであってもよい。これにより、分岐点まで車両の走行を行って、車両がユーザの周辺地域まで移動することができる。その結果、車両がユーザと待ち合わせる待合地点に到着するのが遅れてしまう可能性を低減できる。その結果、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0099】
また、本実施形態に係る情報処理装置及び情報処理方法は、車両が目的地に到着する到着時刻を算出し、到着時刻を情報端末に送信するものであってもよい。これにより、ユーザは自身に配車される車両の到着時刻を認識できる。その結果、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0100】
さらに、本実施形態に係る情報処理装置及び情報処理方法は、精度が所定閾値よりも低い場合、位置データの入力をユーザに求める入力リクエストを情報端末に送信するものであってもよい。これにより、抽出される待合地点の数が膨大になってしまう可能性を低減できる。その結果、待合地点ごとの経路の算出を行う必要がなくなり、計算コストを低減できる。さらには、端末の位置の測定に起因する誤差に影響されることなく、待合地点を抽出することができる。
【0101】
また、本実施形態に係る情報端末は、上述した情報処理装置に位置データ及び配車リクエストを送信し、情報処理装置から待合地点を受信し、受信した待合地点をユーザに提示するものであってもよい。これにより、ユーザは待合地点を認識することができる。さらには、ユーザは、複数の待合地点の中から希望する待合地点を選択することができる。その結果、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0102】
上述の実施形態で示した各機能は、1又は複数の処理回路によって実装されうる。処理回路には、プログラムされたプロセッサや、電気回路などが含まれ、さらには、特定用途向けの集積回路(ASIC)のような装置や、記載された機能を実行するよう配置された回路構成要素なども含まれる。
【0103】
以上、実施形態に沿って本発明の内容を説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0104】
本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0105】
100 端末
110 通信部
130 コントローラ
150 センサ
160 表示部
170 操作部
200 サーバ
210 通信部
220 データベース
230 コントローラ
231 精度算出部
233 配車車両決定部
235 待合地点抽出部
237 経路算出部
239 待機計画設定部
300 車両
400 ネットワーク