(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】自動車投光器用の照射装置
(51)【国際特許分類】
F21S 41/25 20180101AFI20240829BHJP
F21V 5/04 20060101ALI20240829BHJP
F21S 41/43 20180101ALI20240829BHJP
F21S 41/19 20180101ALI20240829BHJP
F21S 41/275 20180101ALI20240829BHJP
F21W 102/13 20180101ALN20240829BHJP
【FI】
F21S41/25
F21V5/04 650
F21S41/43
F21S41/19
F21S41/275
F21W102:13
(21)【出願番号】P 2023518481
(86)(22)【出願日】2021-07-22
(86)【国際出願番号】 EP2021070587
(87)【国際公開番号】W WO2022063459
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-03-22
(32)【優先日】2020-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】593045569
【氏名又は名称】ツェットカーヴェー グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】マンドル、ベルンハルト
(72)【発明者】
【氏名】ヘルツル、アンドレアス
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-175818(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108036277(CN,A)
【文献】特開2002-117708(JP,A)
【文献】特表2009-505361(JP,A)
【文献】特開2013-195754(JP,A)
【文献】実開平06-050109(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/00
F21V 5/04
F21W 102/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車投光器用の照射装置であって、前記照射装置(10)は、以下の構成を含む:
- 主放射方向の方向に配光を生成するための少なくとも1つの光源を備えた少なくとも1つの第1ライトモジュール(100)を含み、但し前記第1ライトモジュール(100)は、光線を主放射方向に放出するように設けられており、
- 光軸線(A)を有する投射レンズ(300)を含み、前記投射レンズ(300)は、前記第1ライトモジュール(100)により生成可能な光を前記照射装置(10)の前方に結像するように設けられており、但し前記投射レンズ(300)は、フレネルレンズとして構成されており、前記フレネルレンズは、基体(310)と、前記基体(310)に配設された複数の環形状の段部(320)とを含み、前記段部(320)は、
互いに同心に配設されており、各前記段部(320)は、前記照射装置(10)の前方に少なくとも1つの前記第1ライトモジュール(100)の光線を投射するための主面(320a)と、前記基体(310)から前記主面(320a)に至るまで延在する傾斜面(320b)とを有し、
- 光線絞り(400)を含み、但し前記光線絞り(400)は、明暗境界を生成するための光学的に関与する絞りエッジ(410)を含み、前記絞りエッジ(410)は、前記フレネルレンズの前記光軸線(A)と交差し、また前記第1ライトモジュール(100)は、前記光線絞り(400)の上側に配設されており、前記光線絞り(400)の光学的に関与する前記絞りエッジ(410)と組み合わせて配光を生成するように共に作用する構成であり、
各前記段部(320)の前記主面(320a)は、湾曲して形成されており、
それぞれ異なる焦点を有する複数の部分を有し、前記焦点
は、前記フレネルレンズの前記光軸線(A)から水平方向及び/又は垂直方向でずらして配置されており、また隣接する前記段部(320)は、互いに異なる焦点
を有すること、
を特徴とする照射装置。
【請求項2】
前記光線絞り(400)は、長手軸線を有し、前記光線絞り(400)の前記長手軸線は、自動車投光器内に前記照射装置(10)が取り付けられた状態で水平面内に配置されており、また光学的に関与する前記絞りエッジ(410)は、非対称の明暗境界を生成するために設けられており、また前記第1ライトモジュール(100)は、前記光線絞り(400)の光学的に関与する前記絞りエッジ(410)と組み合わせてロービーム配光を生成するように共に作用すること、
を特徴とする、請求項1に記載の照射装置。
【請求項3】
前記照射装置(10)は、ハイビーム配光を生成するための少なくとも1つの光源を備えた少なくとも1つの第2ライトモジュール(200)を含むこと、
を特徴とする、請求項1又は2に記載の照射装置。
【請求項4】
前記第2ライトモジュール(200)は、前記光線絞り(400)の下側に配設されていること、
を特徴とする、請求項3に記載の照射装置。
【請求項5】
前記段部(320)の前記主面(320a)は、凸状又は凹状に形成されていること、
を特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項6】
1つの前記段部(320)の前記主面(320a)と前記傾斜面(320b)は、共通の面交線において段部エッジ(320c)を形成し、前記段部エッジ(320c)は、隣接する前記段部エッジ(320c)から、20μmよりも小さい間隔、又は10μmよりも小さい間隔、又は5μmよりも小さい間隔を有すること、
を特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の照射装置(10)を少なくとも1つ備えた自動車投光器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車投光器用の照射装置に関し、該照射装置は、以下の構成を含む:
- 主放射方向の方向に配光を生成するための少なくとも1つの光源を備えた少なくとも1つの第1ライトモジュールを含み、但し第1ライトモジュールは、光線を主放射方向に放出するように設けられており、
- 光軸線を有する投射レンズを含み、投射レンズは、第1ライトモジュールにより生成可能な光を該照射装置の前方に結像するように設けられており、但し投射レンズは、フレネルレンズとして構成されており、フレネルレンズは、基体と、基体に配設された複数の環形状の段部とを含み、これらの段部は、実質的に互いに同心に配設されており、各段部は、該照射装置の前方に少なくとも1つの第1ライトモジュールの光線を投射するための主面と、基体から主面に至るまで延在する傾斜面とを有し、
- 光線絞りを含み、但し光線絞りは、明暗境界を生成するための光学的に関与する絞りエッジを含み、絞りエッジは、フレネルレンズの光軸線と交差し、また第1ライトモジュールは、光線絞りの上側に配設されており、光線絞りの光学的に関与する絞りエッジと組み合わせて配光を生成するように共に作用する。
【0002】
更に本発明は、本発明による照射装置を少なくとも1つ備えた自動車投光器に関する。
【背景技術】
【0003】
フレネルレンズ(より正確には:フレネルのステップレンズ)は、従来のレンズの重さと体積を伴うことなく、短い焦点距離を有する大きく且つ肉厚のレンズの構成を可能とする光学レンズである。
【0004】
フレネルレンズにおいて体積の減少は、複数の環形状(リング形状)の領域に分割することにより行われる。これらの領域の各領域において厚さが減少され、それによりレンズは、一連の環形状の段部(ステップ部)を獲得する。光は、レンズの主面でのみ屈折されるので、屈折角は、レンズの厚さに依存するのではなく、レンズの両方の表面の間の角度にのみ依存する。それ故、レンズは、その光学特性を維持し、この際、段部構造により画質は損なわれるが、このことは、多くの使用事例において重要なことではない。それに関する例は、あらゆる種類の投光器における照射光線路である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2007/022861号
【文献】米国特許出願公開第2011/205748号
【文献】欧州特許出願公開第1270324号
【文献】米国特許出願公開第2005/190572号
【文献】特開2013-186951号
【文献】独国特許出願公開第102004008296号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、改善された照射装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、各段部の主面が湾曲して形成されており、少なくとも1つの焦点を有し、該焦点が、フレネルレンズの光軸線から水平方向及び/又は垂直方向でずらして配置されており、またこの際、隣接する段部が互いに異なる焦点を有することにより解決される。
即ち本発明の第1の視点により、
自動車投光器用の照射装置であって、前記照射装置は、以下の構成を含む:
- 主放射方向の方向に配光を生成するための少なくとも1つの光源を備えた少なくとも1つの第1ライトモジュールを含み、但し前記第1ライトモジュールは、光線を主放射方向に放出するように設けられており、
- 光軸線を有する投射レンズを含み、前記投射レンズは、前記第1ライトモジュールにより生成可能な光を前記照射装置の前方に結像するように設けられており、但し前記投射レンズは、フレネルレンズとして構成されており、前記フレネルレンズは、基体と、前記基体に配設された複数の環形状の段部とを含み、前記段部は、実質的に互いに同心に配設されており、各前記段部は、前記照射装置の前方に少なくとも1つの前記第1ライトモジュールの光線を投射するための主面と、前記基体から前記主面に至るまで延在する傾斜面とを有し、
- 光線絞りを含み、但し前記光線絞りは、明暗境界を生成するための光学的に関与する絞りエッジを含み、前記絞りエッジは、前記フレネルレンズの前記光軸線と交差し、また前記第1ライトモジュールは、前記光線絞りの上側に配設されており、前記光線絞りの光学的に関与する前記絞りエッジと組み合わせて配光を生成するように共に作用する構成であり、
各前記段部の前記主面は、湾曲して形成されており、少なくとも1つの焦点を有し、前記焦点は、前記フレネルレンズの前記光軸線から水平方向及び/又は垂直方向でずらして配置されており、また隣接する前記段部は、互いに異なる焦点を有すること、
を特徴とする照射装置が提供される。
より詳しくは、前記第1の視点において、
自動車投光器用の照射装置であって、前記照射装置は、以下の構成を含む:
- 主放射方向の方向に配光を生成するための少なくとも1つの光源を備えた少なくとも1つの第1ライトモジュールを含み、但し前記第1ライトモジュールは、光線を主放射方向に放出するように設けられており、
- 光軸線を有する投射レンズを含み、前記投射レンズは、前記第1ライトモジュールにより生成可能な光を前記照射装置の前方に結像するように設けられており、但し前記投射レンズは、フレネルレンズとして構成されており、前記フレネルレンズは、基体と、前記基体に配設された複数の環形状の段部とを含み、前記段部は、互いに同心に配設されており、各前記段部は、前記照射装置の前方に少なくとも1つの前記第1ライトモジュールの光線を投射するための主面と、前記基体から前記主面に至るまで延在する傾斜面とを有し、
- 光線絞りを含み、但し前記光線絞りは、明暗境界を生成するための光学的に関与する絞りエッジを含み、前記絞りエッジは、前記フレネルレンズの前記光軸線と交差し、また前記第1ライトモジュールは、前記光線絞りの上側に配設されており、前記光線絞りの光学的に関与する前記絞りエッジと組み合わせて配光を生成するように共に作用する構成であり、
各前記段部の前記主面は、湾曲して形成されており、それぞれ異なる焦点を有する複数の部分を有し、前記焦点は、前記フレネルレンズの前記光軸線から水平方向及び/又は垂直方向でずらして配置されており、また隣接する前記段部は、互いに異なる焦点を有すること、
を特徴とする。
更に本発明の第2の視点により、
前記照射装置を少なくとも1つ備えた自動車投光器が提供される。
尚、本願の特許請求の範囲に付記された図面参照符号は、専ら本発明の理解の容易化のためのものであり、図示の形態への限定を意図するものではないことを付言する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明において、以下の形態が可能である。
(形態1)
自動車投光器用の照射装置であって、前記照射装置は、以下の構成を含む:
- 主放射方向の方向に配光を生成するための少なくとも1つの光源を備えた少なくとも1つの第1ライトモジュールを含み、但し前記第1ライトモジュールは、光線を主放射方向に放出するように設けられており、
- 光軸線を有する投射レンズを含み、前記投射レンズは、前記第1ライトモジュールにより生成可能な光を前記照射装置の前方に結像するように設けられており、但し前記投射レンズは、フレネルレンズとして構成されており、前記フレネルレンズは、基体と、前記基体に配設された複数の環形状の段部とを含み、前記段部は、実質的に互いに同心に配設されており、各前記段部は、前記照射装置の前方に少なくとも1つの前記ライトモジュールの光線を投射するための主面と、前記基体から前記主面に至るまで延在する傾斜面とを有し、
- 光線絞りを含み、但し前記光線絞りは、明暗境界を生成するための光学的に関与する絞りエッジを含み、前記絞りエッジは、前記フレネルレンズの前記光軸線と交差し、また前記第1ライトモジュールは、前記光線絞りの上側に配設されており、前記光線絞りの光学的に関与する前記絞りエッジと組み合わせて配光を生成するように共に作用する構成であり、
各前記段部の前記主面は、湾曲して形成されており、少なくとも1つの焦点を有し、前記焦点は、前記フレネルレンズの前記光軸線から水平方向及び/又は垂直方向でずらして配置されており、また隣接する前記段部は、互いに異なる焦点を有すること。
(形態2)
前記光線絞りは、長手軸線を有し、前記光線絞りの前記長手軸線は、自動車投光器内に前記照射装置が取り付けられた状態で水平面内に配置されており、また光学的に関与する前記絞りエッジは、非対称の明暗境界を生成するために設けられており、また前記第1ライトモジュールは、前記光線絞りの光学的に関与する前記絞りエッジと組み合わせてロービーム配光を生成するように共に作用すること、好ましい。
(形態3)
前記照射装置は、ハイビーム配光を生成するための少なくとも1つの光源を備えた少なくとも1つの第2ライトモジュールを含むこと、が好ましい。
(形態4)
前記第2ライトモジュールは、前記光線絞りの下側に配設されていること、が好ましい。
(形態5)
前記段部の前記主面は、凸状又は凹状に形成されていること、が好ましい。
(形態6)
1つの前記段部の前記主面と前記傾斜面は、共通の面交線において段部エッジを形成し、前記段部エッジは、隣接する前記段部エッジから、20μmよりも小さい間隔、好ましくは10μmよりも小さい間隔、好ましくは5μmよりも小さい間隔を有すること、が好ましい。
(形態7)
前記照射装置を少なくとも1つ備えた自動車投光器。
【0009】
この際、例えば、それぞれの段部ないし当該段部の主面は、それぞれ異なる焦点を有することのできる複数の部分(セクション)を有することができる。つまり例えば、自動車投光器内の照射装置の取り付け位置で見て、1つの段部の上半分が当該段部の下半分とは異なる焦点を有することができる。
【0010】
例えば、垂直方向で光軸線の上側と下側に、ないし絞りエッジの上側と下側に、2つの焦点を分けることで、垂直方向で互いにずらして(即ちオフセットして)配置されている2つの光像が生成される。同じことが、水平方向で互いにずらされている焦点にも当てはまり、この際、光像は、水平方向で互いにずらされている。ずらされた光像を互いに重ね合わせることで、不鮮明さ(ぼけ)が発生し、この不鮮明さは、明暗境界における色彩効果を補償することと、明暗境界を柔らかにすることの双方において有利である。
【0011】
この際、法的な枠組み条件に対応する測定スクリーン(例えばECEガイドラインの意味での測定スクリーン)で測定して、水平方向及び/又は垂直方向でほぼ1/10°から10分の数度までの配光のスライド(変位)を構成することができる。
【0012】
「光軸線」との概念は、一方ではフレネルレンズの対称軸線をも表す光軸線を意味し、つまりフレネルレンズと実質的にそのセンタないし中心点で交差する光軸線を意味する。
【0013】
全般的に、以下では、例えば「水平」、「垂直」、「水平方向」、「垂直方向」、「上方」、「下方」、「前方」、「後方」、「その下」、「その上」などのような場所又は向きに関する概念は、自動車投光器内の当該照射装置の規定どおりの取り付け位置に関するものである。
【0014】
更に「水平方向及び/又は垂直方向でずらして配置されている」との表現は、水平面内ないし垂直面内のスライドないし変位を含むことが指摘されるべきであり、つまり複数の焦点は、光軸線に沿っても、ないし光軸線の方向でも、ずらして配置されていることが可能である。
【0015】
光線絞りは、長手軸線を有することができ、この際、光線絞りの長手軸線は、自動車投光器内に照射装置が取り付けられた状態で水平面内に配置されており、またこの際、光学的に関与する(ないし関連する)絞りエッジは、非対称の明暗境界を生成するために設けられており、またこの際、第1ライトモジュールは、光線絞りの光学的に関与する絞りエッジと組み合わせてロービーム配光を生成するように共に作用する。
【0016】
照射装置は、ハイビーム配光を生成するための少なくとも1つの光源を備えた少なくとも1つの第2ライトモジュールを含むことができる。
【0017】
ロービーム配光と、例えば点灯されたハイビーム配光とは、全配光を構成し、この際、これらの配光の間で発生する可能な隙間間隔は、ずらされた焦点に基づき、同様に不鮮明に(ぼけて)投射され、それによりロービーム配光とハイビーム配光の間に発生する隙間は閉じられる(消失する)。
【0018】
第2ライトモジュールは、光線絞りの下側に配設されていることができる。
【0019】
段部の主面は、凸状又は凹状に形成されていることができる。
【0020】
1つの段部の主面と傾斜面は、共通の面交線において段部エッジを形成することができ、この際、段部エッジは、隣接する段部エッジから(フレネルレンズの半径方向において)20μmよりも小さい間隔、好ましくは10μmよりも小さい間隔、好ましくは5μmよりも小さい間隔を有する。
【0021】
前記課題は、同様に、本発明による照射装置を少なくとも1つ備えた自動車投光器により解決される。
【0022】
以下、例示の図面に基づき、本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】フレネルレンズとして構成された投射レンズを備えた例示の一照射装置の側面図を示す図であり、この際、フレネルレンズは、実質的に互いに同心の複数の段部を含んでいる。
【
図2】
図1のフレネルレンズの1つの段部の横断面図を示す図である。
【実施例】
【0024】
図1は、自動車投光器用の例示の照射装置10を示しており、照射装置10は、主放射方向の方向にロービーム配光を生成するための少なくとも1つの光源を備えた少なくとも1つの第1ライトモジュール100を含み、この際、第1ライトモジュールは、光線を主放射方向に放出するように設けられている。
【0025】
更に照射装置10は、光軸線Aを有する投射レンズ300を含み、投射レンズ300は、第1ライトモジュール100により生成可能な光を照射装置10の前方に結像するように設けられており、この際、投影レンズ300は、フレネルレンズとして構成されている。
【0026】
フレネルレンズは、基体(ベースボディ)310と、基体310に配設された複数の環形状(リング形状)の段部(ステップ部)320とを含み、これらの段部320は、実質的に互いに同心に配設されており、この際、
図2でより明確に見てとれるように、各段部320は、照射装置10の前方に少なくとも1つの第1ライトモジュール100の光線を投射するための主面320aと、基体310から主面320aに至るまで延在する傾斜面320bとを有する。
【0027】
そのうえ、1つの段部320の主面320aと傾斜面320bは、共通の面交線において段部エッジ320cを形成し、この際、段部エッジ320cは、隣接する段部エッジ320cから(フレネルレンズの半径方向において)20μmよりも小さい間隔、好ましくは10μmよりも小さい間隔、好ましくは5μmよりも小さい間隔を有する。
【0028】
更に照射装置10は、長手軸線を有する光線絞り(ビームシェード)400を含み、この際、光線絞り400の長手軸線は、自動車投光器内に照射装置10が取り付けられた状態で水平面内に配置されており、この際、光線絞り400は、非対称の明暗境界を生成するための光学的に関与する(ないし関連する)絞りエッジ410を含み、この際、絞りエッジ410は、フレネルレンズの光軸線Aと交差する。
【0029】
この際、第1ライトモジュール100は、光線絞り400の上側に配設されており、光線絞り400の光学的に関与する絞りエッジ410と組み合わせてロービーム配光を生成するように共に作用する。
【0030】
全般的に、以下では、例えば「水平」、「垂直」、「水平方向」、「垂直方向」、「上方」、「下方」、「前方」、「後方」、「その下」、「その上」などのような場所又は向きに関する概念は、自動車投光器内の当該照射装置の規定どおりの取り付け位置に関するものである。
【0031】
各段部320の主面320aは、湾曲して形成されており、それぞれ、焦点F1、F2、F3、F4を有し、これらの焦点F1、F2、F3、F4は、フレネルレンズの光軸線Aから水平方向および/または垂直方向でずらして配置されており、またこの際、隣接する段部320は、互いに異なる(位置における)焦点F1、F2、F3、F4を有する。
【0032】
図1で見てとれるように、フレネルレンズの最も外側の段部320には、焦点F1が割り当てられ、次に内側に位置する段部320には、焦点F2が割り当てられ、以下同様であり、即ち次に内側に位置する段部320には、焦点F3が割り当てられ、次に内側に位置する段部320には、焦点F4が(それぞれ異なった位置に)割り当てられている。
【0033】
段部320の湾曲した主面320aは、凸状又は凹状に形成されていることが可能であり、
図2では、例示の段部320が凸状の主面320aを有するように形成されている。
【0034】
更に
図1の例示的な照射装置10は、ハイビーム配光を生成するための少なくとも1つの光源を有する第2ライトモジュール200を含み、この際、第2ライトモジュール200は、光線絞り400の下側に配設されている。
【符号の説明】
【0035】
10 照射装置
100 第1ライトモジュール
200 第2ライトモジュール
300 投射レンズ(フレネルレンズ)
310 基体
320 段部
320a 主面
320b 傾斜面
320c 段部エッジ
400 光線絞り
410 絞りエッジ
A 光軸線
F1 焦点
F2 焦点
F3 焦点
F4 焦点