(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】進捗管理サーバ及び進捗管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/10 20230101AFI20240829BHJP
G06Q 50/08 20120101ALI20240829BHJP
【FI】
G06Q10/10 310
G06Q50/08
(21)【出願番号】P 2023523784
(86)(22)【出願日】2021-05-26
(86)【国際出願番号】 JP2021019905
(87)【国際公開番号】W WO2022249309
(87)【国際公開日】2022-12-01
【審査請求日】2023-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関根 淳紀
(72)【発明者】
【氏名】牛村 真人
【審査官】渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-193406(JP,A)
【文献】特開2003-50839(JP,A)
【文献】特開2018-181085(JP,A)
【文献】特開2017-182546(JP,A)
【文献】特開2002-7657(JP,A)
【文献】特開2005-272067(JP,A)
【文献】特開2015-52855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工事現場で行われる作業が計画された計画工程と、前記計画工程に従って前記工事現場で実施された作業の実施結果が登録された実作業工程とを、前記工事現場ごとに管理する進捗管理データベースと、
前記進捗管理データベースから読み出した前記計画工程と前記実作業工程との差異が生じた場合に、前記差異に基づいて作成した進捗情報を、前記作業の進捗を管理する管理者端末からの要求に応じて前記管理者端末に出力する進捗管理部と、を備え
、
前記進捗管理部は、
前記管理者端末から入力された前記計画工程を前記進捗管理データベースに登録する計画工程登録部と、
前記計画工程に合わせて、前記工事現場の作業者に指示される前記作業の作業内容と、前記作業に合わせて実施される危険予知活動とを含む帳票を作成し、前記進捗管理データベースに前記帳票を登録する帳票作成部と、
作業者端末から要求される前記工事現場及び作業日付の作業を前記計画工程から抽出する作業抽出部と、
前記計画工程に従って実施された前記作業の実施結果が前記作業者端末から入力されると、前記作業の実施結果を前記実作業工程として前記進捗管理データベースに登録する実作業工程登録部と、
前記進捗管理データベースから前記計画工程、及び前記実作業工程を読み出し、前記計画工程と前記実作業工程との差異を抽出して前記進捗情報を作成し、前記管理者端末が要求したタイミング、又は前記差異が生じたタイミングで、前記作業の遅延を示す前記進捗情報を前記管理者端末又は前記作業者端末に出力する工程差異抽出部と、を有し、
前記作業抽出部は、前記計画工程から抽出した前記作業に合わせて前記進捗管理データベースから取得する前記帳票を前記作業者端末に出力し、前記作業に合わせて前記帳票から抽出した前記危険予知活動を前記作業者端末に出力し、
前記実作業工程登録部は、前記作業者端末から入力される、前記工事現場で実施された前記危険予知活動の実施結果、又は前記工事現場で前記危険予知活動が実施されなかった理由を前記進捗管理データベースに登録し、
前記進捗管理データベースに登録された当日中に限り、前記進捗管理データベースに誤登録された前記作業の実施結果が、前記作業者端末から修正可能である
進捗管理サーバ。
【請求項2】
前記作業抽出部は、前記工事現場及び作業日付で前記進捗管理データベースに登録された前記実作業工程を前記作業者端末又は前記管理者端末に出力する
請求項
1に記載の進捗管理サーバ。
【請求項3】
前記帳票には、前記計画工程の作業を指示するための作業指示内容、前記危険予知活動及び前記危険予知活動の実施結果、前記作業の指示内容及び前記作業の実施結果、前記作業の作業手順書及び前記作業手順書の閲覧結果、並びに、昇降機の据付作業における据付精度及び据付結果が確認されたチェックシートへの記載結果のうち、少なくとも一つが含まれ、
前記実作業工程登録部は、前記作業者が前記帳票に基づいて
実施した前記作業
の実施結果を前記実作業工程として登録する
請求項
2に記載の進捗管理サーバ。
【請求項4】
工事現場で行われる作業が計画された計画工程に従って前記工事現場で実施された作業の実施結果が入力される作業者端末と、
前記作業の進捗を管理する管理者端末と、
前記計画工程、及び前記計画工程に従って前記工事現場で実施された前記作業の実施結果が管理される進捗管理サーバと、を備え、
前記進捗管理サーバは、
前記計画工程と、前記実施結果が登録された実作業工程とを、前記工事現場ごとに管理する進捗管理データベースと、
前記進捗管理データベースから読み出した前記計画工程と前記実作業工程との差異が生じた場合に、前記差異に基づいて作成した進捗情報を、
前記管理者端末からの要求に応じて前記管理者端末に出力する進捗管理部と、を備え
、
前記進捗管理部は、
前記管理者端末から入力された前記計画工程を前記進捗管理データベースに登録する計画工程登録部と、
前記計画工程に合わせて、前記工事現場の作業者に指示される前記作業の作業内容と、前記作業に合わせて実施される危険予知活動とを含む帳票を作成し、前記進捗管理データベースに前記帳票を登録する帳票作成部と、
前記作業者端末から要求される前記工事現場及び作業日付の作業を前記計画工程から抽出する作業抽出部と、
前記計画工程に従って実施された前記作業の実施結果が前記作業者端末から入力されると、前記作業の実施結果を前記実作業工程として前記進捗管理データベースに登録する実作業工程登録部と、
前記進捗管理データベースから前記計画工程、及び前記実作業工程を読み出し、前記計画工程と前記実作業工程との差異を抽出して前記進捗情報を作成し、前記管理者端末が要求したタイミング、又は前記差異が生じたタイミングで、前記作業の遅延を示す前記進捗情報を前記管理者端末又は前記作業者端末に出力する工程差異抽出部と、を有し、
前記作業抽出部は、前記計画工程から抽出した前記作業に合わせて前記進捗管理データベースから取得する前記帳票を前記作業者端末に出力し、前記作業に合わせて前記帳票から抽出した前記危険予知活動を前記作業者端末に出力し、
前記実作業工程登録部は、前記作業者端末から入力される、前記工事現場で実施された前記危険予知活動の実施結果、又は前記工事現場で前記危険予知活動が実施されなかった理由を前記進捗管理データベースに登録し、
前記進捗管理データベースに登録された当日中に限り、前記進捗管理データベースに誤登録された前記作業の実施結果が、前記作業者端末から修正可能である
進捗管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、進捗管理サーバ及び進捗管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、昇降機の据付工事が行われる際、工事現場の進捗状況は、工事現場の施工管理者によって管理されている。施工管理者は、複数個所の工事現場を管理するので、現場に常駐できないことが多い。そこで、施工管理者は、現場で実際に作業を行う現場作業者に電話を掛けて工事の進捗状況を問合せ、進捗状況を直接確認していたので、進捗管理が煩雑であった。また、施工管理者から問い合わせを受けた作業者は、一時的に工事を中断し、工事の実施状況を確認しなければならない。この確認作業の間は、現場の作業が止まるので、作業が遅れることがあった。
【0003】
特に、建屋に昇降機を据え付ける工事の場合、一人の施工管理者が複数の据付工事の現場を管理している。このため、施工管理者は、各現場の進捗状況を把握することに苦慮していた。このような現場管理の手間を軽減する技術として、特許文献1に開示された技術が知られている。
【0004】
特許文献1には、「保守点検支援システムは、作業管理部と、報告書生成部と、を備える。作業管理部は、保守点検作業の点検結果を記憶する。点検結果は、複数の点検項目の各々について複数の判定結果の中から保守点検作業を行っている保守員が選択することで入力される。複数の点検項目は、保守点検対象装置の保守点検作業に含まれる報告書生成部は、作業管理部が記憶している点検結果に基づいて、保守点検作業の報告書を生成する。これにより、保守点検支援システムは、保守員の作業負担を軽減できる。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されている報告書作成システムでは、単に保守点検作業内容やその点検結果に基づいて、報告書が作成されるに過ぎない。このため、施工管理者が作業の進捗を把握するためには、工事現場にいる現場作業者に直接問い合わせる必要があった。また、従来、事前に計画された作業工程と、作業の実施結果との差異は管理されておらず、施工管理者が作業の遅れを把握するのに時間がかかっていた。
【0007】
本発明はこのような状況に鑑みて成されたものであり、管理者が要求するタイミングで工事現場における作業の進捗状況を把握できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、進捗管理サーバは、工事現場で行われる作業が計画された計画工程と、計画工程に従って工事現場で実施された作業の実施結果が登録された実作業工程とを、工事現場ごとに管理する進捗管理データベースと、進捗管理データベースから読み出した計画工程と実作業工程との差異が生じた場合に、差異に基づいて作成した進捗情報を、工事現場の進捗を管理する管理者端末からの要求に応じて管理者端末に出力する進捗管理部と、を備え、進捗管理部は、管理者端末から入力された計画工程を進捗管理データベースに登録する計画工程登録部と、計画工程に合わせて、工事現場の作業者に指示される作業の作業内容と、作業に合わせて実施される危険予知活動とを含む帳票を作成し、進捗管理データベースに帳票を登録する帳票作成部と、作業者端末から要求される工事現場及び作業日付の作業を計画工程から抽出する作業抽出部と、計画工程に従って実施された作業の実施結果が作業者端末から入力されると、作業の実施結果を実作業工程として進捗管理データベースに登録する実作業工程登録部と、進捗管理データベースから計画工程、及び実作業工程を読み出し、計画工程と実作業工程との差異を抽出して進捗情報を作成し、管理者端末が要求したタイミング、又は差異が生じたタイミングで、作業の遅延を示す進捗情報を管理者端末又は作業者端末に出力する工程差異抽出部と、を有し、作業抽出部は、計画工程から抽出した作業に合わせて進捗管理データベースから取得する帳票を作業者端末に出力し、作業に合わせて帳票から抽出した危険予知活動を作業者端末に出力し、実作業工程登録部は、作業者端末から入力される、工事現場で実施された危険予知活動の実施結果、又は工事現場で危険予知活動が実施されなかった理由を進捗管理データベースに登録し、進捗管理データベースに登録された当日中に限り、進捗管理データベースに誤登録された作業の実施結果が、作業者端末から修正可能である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、例えば、施工管理者が要求するタイミングで計画工程と実作業工程との差異に基づいて作成された進捗情報が管理者端末に出力されるので、施工管理者が工事現場の現場作業者に問い合わせなくても、工事現場における作業の進捗状況を把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る進捗管理支援システムの全体構成例を示すブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る進捗管理支援システムで行われる当日の作業指示内容の確認及び登録の処理の例を示すシーケンス図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る作業者端末に表示される当日の作業の登録時の画面情報の表示例を示す図である。
図3Aは、現場選択画面の表示例を示す図である。
図3Bは、作業内容選択画面の表示例を示す図である。
図3Cは、日付選択用のカレンダーが表示された作業内容選択画面の表示例を示す図である。
図3Dは、作業指示内容が表示された作業内容選択画面の表示例を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る作業開始時及び作業実施結果の登録時に作業者端末に表示される画面情報の表示例を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る進捗管理支援システムで行われる作業の実施結果を登録する処理の例を示すシーケンス図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る作業実施結果の登録時に作業者端末に表示される画面情報の表示例を示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る作業実施結果の確認画面の表示例を示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る作業者端末に作業の遅れが通知される様子を示す図である。
【
図9】本発明の一実施の形態に係る計算機のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照して説明する。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0012】
[一実施形態]
始めに、進捗管理支援システムの構成例について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る進捗管理支援システム1の全体構成例を示すブロック図である。
進捗管理支援システム1は、ネットワークNを介して互いに接続された進捗管理サーバ10、作業者端末20及び管理者端末30を備える。
【0013】
<進捗管理サーバの構成例>
進捗管理サーバ10は、昇降機の据付現場の進捗管理を行う会社の施工管理部門により管理される情報処理装置の一例である。進捗管理サーバ10は、例えば、昇降機の据付工事の進捗状況を管理する。進捗管理サーバ10は、進捗管理データベース40(以下、進捗管理DB40と略記する)、進捗管理部50及び通信部56を備える。
【0014】
(進捗管理DB)
始めに、進捗管理DB40の構成例について説明する。
進捗管理DB40は、工事現場で行われる作業が計画された計画工程と、計画工程に従って工事現場で実施された作業の実施結果が登録された実作業工程とを、工事現場ごとに管理するデータベースである。例えば、進捗管理DB40は、現場Aの現場情報が格納される現場A情報41、現場Bの現場情報が格納される現場B情報41、現場Cの現場情報が格納される現場C情報41を持つ。このように、進捗管理DB40には、現場ごとに現場情報が蓄積され、管理されている。以下の説明では、現場A情報41に注目し、進捗管理部50は、現場Aの現場情報が格納される現場A情報41にアクセスするものとする。同じく、作業者端末20は現場Aの現場作業者により使用され、管理者端末30は、現場Aの施工管理者により使用されるものとする。現場B情報41、現場C情報41については説明を省略する。
【0015】
現場A情報41は、工事仕様情報42、据付現場関係者情報43、工程表44、顧客情報45、及び作業実施用帳票46を有する。
【0016】
工事仕様情報42は、据付現場(現場Aと呼ぶ)の昇降機の工事仕様を示す情報である。
据付現場関係者情報43は、据付現場の施工管理者、現場作業者、資材運搬業者、製品設計者、営業担当者、工事仕様決定者など(以下、これらを総称して「現場関係者」とも呼ぶ)の氏名や所属等を作業IDに紐づけて管理する情報である。なお、作業IDにより、据付現場で実施される各作業が識別される。
【0017】
工程表44は、据付現場の各作業工程のスケジュールが計画された計画工程表と、現場作業者の作業指示内容に対する実施結果が記録された実作業工程表とを含む情報である。
顧客情報45は、顧客の担当者や連絡先、住所などを管理する情報である。
【0018】
作業実施用帳票46は、作業実施時に活用する作業手順書、危険予知活動記入表、危険予知活動事例集、関連する事故事例、作業上のチェックシートなどの情報を含む帳票である。本実施の形態に係る帳票は、作業者端末20及び管理者端末30に表示される各種の情報である。ここで、危険予知活動は、計画工程に項目として表記されるものではないが、作業者を管理する会社から作業者には、作業開始前に危険予知活動を実施することが課される。危険予知活動は、作業開始前に、作業日当日に行われる作業で発生する可能性のある危険事象を予めリストアップしておき、危険に繋がる障害を排除できたかを確認する活動である。想定される危険事象ごとに危険度が規定されており、危険度が高いほど重大な事故につながる。そこで、危険予知活動では、危険度が高い危険事象を排除できるように、現場作業者に作業開始前の安全点検が促される。現場作業者が危険予知活動を行うことで、仮に作業時に事故が起こったとしても、軽微な事故に留めることが期待される。
【0019】
(進捗管理部)
次に、進捗管理部50の構成例について説明する。
進捗管理部50は、進捗管理DB40から読み出した計画工程と実作業工程との差異が生じた場合に、差異に基づいて作成した進捗情報を、作業の進捗を管理する管理者端末30からの要求に応じて管理者端末30に出力する。この進捗情報として、例えば、計画工程通りに完了していない作業内容の強調表示や、作業が遅れていることを示すメッセージが想定される。進捗管理部50は、昇降機の据付現場の進捗を管理するための進捗情報を生成し、作業者端末20及び管理者端末30からの要求を受けて、これらの端末に進捗情報を出力する。
【0020】
進捗管理部50は、作業抽出部51、計画工程登録部52、実作業工程登録部53、帳票作成部54、工程差異抽出部55、及び通信部56を備える。
【0021】
通信部56は、ネットワークNを介して作業者端末20又は管理者端末30からの要求(例えば、情報の取得要求)を受信すると、進捗管理部50に要求を渡す。また、通信部56は、進捗管理部50からの応答情報(例えば、画面情報)を受け取ると、要求の送信元である作業者端末20又は管理者端末30に対して、ネットワークNを介して応答情報を返す。ただし、以下の進捗管理部50が有する各機能部の処理の説明では、通信部56の処理を省略し、各機能部が直接、作業者端末20又は管理者端末30と各種の情報及びデータを送受信するものとして説明する。
【0022】
作業抽出部51は、作業者端末20から要求される工事現場及び作業日付の作業を計画工程から抽出する。例えば、作業抽出部51は、作業者端末20又は管理者端末30から作業抽出要求を受付けると、進捗管理DB40の該当する現場で実施予定の作業を抽出する。例えば、作業抽出部51は、現場Aの作業抽出要求を受付けた場合、現場A情報41を選択して、工事仕様情報42、据付現場関係者情報43、及び工程表44を参照し、作業者端末20又は管理者端末30が指定した日で実施予定の作業を抽出する。進捗管理DB40には、多数の現場情報が格納され、各現場情報には作業日が計画されている。このため、現場作業者は、作業者端末20に工事現場及び作業日付を入力することで、特定の工事現場及び作業日付で計画された作業を確認することができる。
【0023】
また、作業抽出部51は、工事現場及び作業日付で工程表44に登録された実作業工程を、実作業工程の取得を要求する作業者端末20又は管理者端末30に出力する。管理者端末30に表示された実作業工程を含む帳票は、管理者端末30が通信可能な印刷機から用紙に印刷することもできる。このため、施工管理者又は現場作業者は、工事現場の顧客の要望に応じて、工事現場の進捗状況を画面に示したり、用紙に印刷して提出したりすることができる。また、作業抽出部51は、作業に合わせて帳票から抽出した危険予知活動を作業者端末20に出力する。このため、作業者端末20には、作業に合わせて実施される危険予知活動を含む帳票も表示される。
【0024】
計画工程登録部52は、管理者端末30から入力された計画工程を進捗管理DB40に登録する。例えば、計画工程登録部52は、管理者端末30に入力された現場Aの計画工程を現場A情報41の工程表44に登録する。この際、計画工程登録部52は、進捗管理DB40の工事仕様情報42及び据付現場関係者情報43を参照し、現場Aで確保できる作業者の人数、スキル等を確認して、施工管理者が作成した計画工程を工程表44に登録することができる。
【0025】
実作業工程登録部53は、作業者端末20から受信した実施結果のデータを実作業工程として進捗管理DB40に登録する。計画工程に従って現場作業者が実施した作業の実施結果は、作業者端末20から入力される。例えば、実作業工程登録部53は、作業者端末20から受信した現場での実施結果を実作業工程として現場A情報41の工程表44に登録する。また、実作業工程登録部53は、作業者端末20から入力される、工事現場で実施された危険予知活動の実施結果を工程表44に登録することもできる。
【0026】
帳票作成部54は、工程表44に登録された計画工程に合わせて、工事現場の作業者に指示される作業の作業内容を含む帳票(例えば、作業実施用帳票46)を作成し、進捗管理DB40に帳票を登録する。また、帳票作成部54は、計画工程の作業に合わせて実施される危険予知活動を含む帳票を作成し、進捗管理DB40に帳票を登録する。この帳票には、計画工程の作業を現場作業者に指示するための作業指示内容、危険予知活動及び危険予知活動の実施結果、作業の指示内容及び作業の実施結果、作業の作業手順書及び作業手順書の閲覧結果、並びに、昇降機の据付作業における据付精度及び据付結果が確認されたチェックシートへの記載結果のうち、少なくとも一つが含まれる。
【0027】
作業者端末20は、作業抽出部51が工程表44から読み出した計画工程と実作業工程のデータを進捗管理部50から受信し、計画工程と実作業工程を表示する。また、作業者端末20は、作業抽出部51が計画工程から抽出した作業に合わせて進捗管理DB40の作業実施用帳票46から取得する帳票が出力される。また、管理者端末30には、計画工程と実作業工程との差異を示す進捗情報が出力される。計画工程と実作業工程との差異を示す進捗情報は、後述する
図7に示す強調表示として示される。また、計画工程と実作業工程との差異を示す情報は、後述する
図8に示す通知情報として作業者端末20に表示される。
【0028】
工程差異抽出部55は、進捗管理DB40から計画工程、及び実作業工程を読み出し、計画工程と実作業工程との差異を抽出して進捗情報を作成する。例えば、工程差異抽出部55は、現場A情報41から工程表44を読み出し、計画工程と実作業工程との差異を抽出する。工程差異抽出部55は、差異が存在する場合、この差異に基づいて作成した進捗情報を管理者端末30に出力する。
【0029】
そして、工程差異抽出部55は、作業の遅延を示す進捗情報を、管理者端末30が要求したタイミングで管理者端末30又は作業者端末20に出力する。このため、施工管理者は、管理者端末30を操作して、意図したタイミングで作業の遅延を示す進捗情報を確認できる。なお、作業の遅延が発生した時点で作業者端末20又は管理者端末30に対して、作業の遅延を示す進捗情報が自動的に表示され、現場作業者又は施工管理者に注意喚起がなされてもよい。
【0030】
管理者端末30は、進捗管理部50が有する全ての機能部を実行することができる。一方、作業者端末20は、計画工程登録部52の機能を実行できない。
【0031】
<作業者端末の構成例>
次に、作業者端末20の構成例について説明する。
作業者端末20は、昇降機据付工事を行う据付現場の現場作業者により操作される情報処理端末の一例である。作業者端末20として、携帯電話、スマートフォン、タブレット型携帯端末、又はラップトップ型パーソナルコンピューター等の携帯端末が用いられる。現場作業者は、現場で作業者端末20を容易に操作が可能である。そして、現場作業者は、作業者端末20にインストールされたWebブラウザを通じて、当日行う作業を確認したり、作業の実施結果を入力したりする。
【0032】
作業者端末20は、各種の情報を表示する表示部21、及び現場作業者が入力する情報を受付ける入力部22を備える。そして、作業者端末20は、一般的な携帯端末等と同様の機能を有する。例えば、作業者端末20は、通話機能や、ネットワークNを介して、進捗管理サーバ10から取得した情報を表示部21に表示する機能を有する。
【0033】
また、作業者端末20は、入力部22から作業の実施結果の入力を受付けて、進捗管理サーバ10と各種のデータを送受信する機能を有する。作業者端末20は、進捗管理サーバ10から当日の作業及び作業指示内容のデータを受信する。例えば、現場作業者は、作業者端末20でWebブラウザを起動して、工事現場における工事仕様情報42を閲覧したり、計画工程に規定される作業指示内容を閲覧したり、当日の作業指示内容に応じて実施した作業の実施結果を進捗結果として工程表44に登録したりすることができる。進捗結果とは、作業指示内容に対する結果が入力されたものでもよいし、当該日における作業指示内容に紐づいた危険予知活動及びその実施結果が入力されたものでもよい。また、作業現場における昇降機の据付作業の据付精度や作業実施結果を確認したチェックシートの記載結果が入力されたものでもよい。
【0034】
<管理者端末の構成例>
次に、管理者端末30の構成例について説明する。
管理者端末30は、その据付現場の施工管理者により操作される端末である。管理者端末30として、携帯電話、スマートフォン、タブレット型携帯端末、又はラップトップ型パーソナルコンピューター等の携帯端末が用いられる。施工管理者は、管理者端末30にインストールされたWebブラウザを通じて、現場ごとに当日行われる作業を確認したり、作業の進捗状況を確認したりする。
【0035】
管理者端末30は、一般的なデスクトップ型パーソナルコンピューターや携帯端末等と同様の機能、すなわち通話やネットワークを介しての情報の表示や入力、送受信等の各処理が実施できる機能を備える。進捗管理サーバ10に登録された計画工程及び実作業工程を含む工程表44のデータは、管理者端末30からのアクセスに応じて、進捗管理サーバ10から送信される。
【0036】
施工管理者は、管理者端末30を操作して、施工管理者が担当する据付現場の計画工程表を作成し、進捗管理サーバ10へ登録する。そして、施工管理者は、管理者端末30は、その据付現場における進捗状況等の管理を行うことができる。
【0037】
管理者端末30は、各種の情報を表示する表示部31、及び施工管理者が入力する情報を受付ける入力部32を備える。
管理者は、管理者端末30の入力部32を通じて作成した計画工程を進捗管理サーバ10に登録する。また、管理者は、管理者端末30の表示部31に表示された計画工程及び実作業工程の差異を確認することで実作業の進捗を管理することができる。
【0038】
<現場作業者が当日の作業指示内容を確認し、登録する処理>
次に、進捗管理支援システム1の動作の例について説明する。
図2は、進捗管理支援システム1で行われる当日の作業指示内容の確認及び登録の処理の例を示すシーケンス図である。ここでは、作業者が作業者端末20を操作し、進捗管理サーバ10に登録されている計画工程表から当日の作業指示内容を確認し、進捗管理サーバ10に確認結果を登録する流れについて説明する。
【0039】
始めに、作業者は、当日の作業開始前に作業者端末20を通じて、当該現場の現場名及び作業日付を選択する。作業者端末20は、現場作業者が選択した現場名及び作業日付のデータを進捗管理サーバ10へ送信する(S1)。
【0040】
進捗管理サーバ10の作業抽出部51は、作業者端末20から当該現場の現場名及び作業日付のデータを受信すると、当該現場の工程表44に含まれる計画工程から日付情報に合わせて、当日の作業を抽出する(S2)。
【0041】
次に、進捗管理部50は、作業抽出部51が抽出した当日の作業を、作業指示内容のデータとして作業者端末20へ送信する。(S3)
【0042】
作業者端末20の表示部21は、進捗管理サーバ10から作業指示内容のデータを受信すると、画面に作業指示内容を表示する(S4)。例えば、当日の午前と午後で計画された作業が異なる場合、午前と午後のそれぞれに計画された作業が当日の作業内容として作業者端末20に表示される。作業者は、画面上に表示された作業指示内容を確認すると、入力部22を通じて進捗管理サーバ10へ作業指示内容を確認した旨を入力する。そして、作業者端末20は、作業者による作業指示内容の確認結果のデータを進捗管理サーバ10に送信し(S5)、本処理を終了する。
【0043】
進捗管理サーバ10の計画工程登録部52は、作業者端末20から受信した作業指示内容の確認結果のデータに基づいて、工程表44に当日の作業内容の確認結果を登録し(S6)、本処理を終了する。
【0044】
このように現場関係者(作業者及び施工管理者を含む)が作業者端末20又は管理者端末30を介して、工程表44の取得要求を進捗管理サーバ10へ要求することで、現場関係者が工程表44に登録された計画工程の作業内容を随時確認することが可能である。
【0045】
また、作業者端末20が作業指示内容を表示する際に、例えば、当日の作業指示内容に合わせた作業実施用帳票46を表示することもできる。作業実施用帳票46には、作業指示内容に合わせた各種の情報が含まれるので、現場作業者は、当日の作業に必要な情報を過不足なく確認できる。
【0046】
<作業登録時の画面の表示例>
次に、作業者端末20に表示される当日の作業の登録時の画面情報について説明する。
図3は、作業者端末20に表示される当日の作業の登録時の画面情報の表示例を示す図である。
【0047】
図3Aは、現場選択画面W1の表示例を示す図である。
現場選択画面W1には、複数の現場の現場名が一覧表示される。現場作業者は、作業者端末20の表示部21に表示された現場選択画面W1を通じて、当日の作業が行われる現場に該当する現場名を選択する。現場選択画面W1で現場名が選択された後、表示部21には、
図3Bに示す作業内容選択画面W2が表示される。
【0048】
図3Bは、作業内容選択画面W2の表示例を示す図である。
現場作業者は、作業内容選択画面W2から作業日時を入力する。日付選択画面の上部には、本日ボタンが表示される。現場作業者が本日ボタンを押すと、現場作業者が作業者端末20を操作している本日の日付が日付入力欄に表示される。
【0049】
図3Cは、日付選択用のカレンダーが表示された作業内容選択画面W2の表示例を示す図である。
現場作業者が日付入力欄の右側にあるカレンダーアイコンを押すと、日付選択画面に重ねて日付選択用のカレンダーが表示される。現場作業者は、本日以外の日で計画工程を確認したい場合、日付選択用のカレンダーから任意の日付を選択できる。選択された日付は、日付入力欄に表示される。
【0050】
図3Dは、作業指示内容が表示された作業内容選択画面W2の表示例を示す図である。
図3B又は
図3Cに示したように作業内容選択画面W2から日付が入力された後、現場名と日付の情報が進捗管理サーバ10に送信される。そして、作業者端末20は、進捗管理サーバ10から作業指示内容のデータを受信すると、作業内容選択画面W2の「午前中の作業予定を選択」欄及び「午後の作業予定を選択」欄のうち、少なくとも一つの欄に該当する作業指示内容が表示される。
【0051】
図3Dでは、「午前中の作業予定を選択」欄に、作業指示内容として「足場組立」及び「塔内芯出し」が表示された例が示される。なお、「午後の作業予定を選択」欄が空欄であることは、「午前中の作業予定を選択」欄に示される作業と同じ作業が午後に行われることを表す。午後の作業が無い場合、「午後の作業予定を選択」欄には、空欄又は「作業無し」のように表示される。
【0052】
現場作業者は、作業内容選択画面W2に表示された作業指示内容を確認すると、作業内容選択画面W2の下部にある「次へ」ボタンを選択する。作業者端末20は、進捗管理サーバ10に確認結果のデータを送信する。進捗管理サーバ10の進捗管理部50は、作業者端末20から確認結果のデータを受信すると、作業抽出部51が抽出した作業を、当日の作業として工程表44に登録する。
【0053】
図4は、作業開始時及び作業実施結果の登録時に作業者端末20に表示される画面情報の表示例を示す図である。
作業開始時及び作業実施結果の登録時には、作業者端末20の表示部21に危険予知活動確認画面W3が表示される。現場作業者は、作業開始時に危険予知活動確認画面W3に表示される危険予知活動を当日の作業に活用できる。危険予知活動は、図中で「KY」と表示される。
【0054】
危険予知活動確認画面W3には、当日の作業で必要な作業人数、作業内容の項目が表示される。
作業人数入力欄には、プルダウンリストが表示され、現場作業者は、プルダウンリストから選択した人数を作業人数として登録可能である。
作業内容表示欄には、「着工・安全対策」と「製品搬入」の作業指示内容ごとに関連事故事例と関連作業手順へのリンクが表示される。現場作業者は、リンクをクリックすることで、作業指示内容ごとに一又は複数の関連事故事例と関連作業手順を確認することができる。
【0055】
現場作業者が、例えば、「作業内容」欄の関連事故事例項目から丸数字で表されるリンクボタンを押すと、関連事故事例の情報が作業者端末20に表示される。また、現場作業者が、例えば、「作業内容」欄の関連作業手順項目から丸数字で表されるリンクボタンを押すと、関連作業手順の情報が作業者端末20に表示される。このように現場作業者がリンクボタンを押して表示される情報を「作業実施用帳票」と呼ぶ。作業実施用帳票は、作業者が現場で危険予知活動を実施するために用いられる。現場作業者は、作業者端末20を操作して進捗管理サーバ10へ当日の作業を登録する際に、表示部21に表示された作業実施用帳票を通じて、作業内容に合わせた作業手順書や関連する事故事例などを確認することができる。
【0056】
危険予知活動は作業現場における安全対策の一環として行われる。上述したように危険予知活動は、事故やケガにつながる危険のポイントを、当日の作業及び現場環境から洗い出して、作業行う人間の全員で認識することで、作業途中のけがを未然に防止する取り組みである。このため、危険予知活動専用の帳票が設けられるわけではない。危険予知活動に使用される情報として、例えば、昇降機の組立作業を記した手順、類似の作業で過去に発生した労働災害の事例紹介など、多岐に渡る資料及び帳票が想定される。そして、現場作業者は、随時、これらの資料及び帳票を確認することができる。
【0057】
作業内容表示欄には、各作業に対して、現場作業者が「作業振り返り」の実行有無を入力するためのチェックボックスが表示される。「作業振り返り」は、現場作業者が危険予知活動の実施有無を入力するための項目である。作業振り返りの詳細については、
図6を参照して後述する。
【0058】
また、作業実施用帳票は、「KYシート」と呼ばれる紙媒体でも用いられる。この場合、現場作業者がKYシートに必要事項、チェック項目に危険予知活動の実施結果を記入して、作業者端末20に付属するカメラでKYシートを撮影した後、KYシートの写真を進捗管理サーバ10にアップロードすることもできる。アップロードされた写真は、実作業工程の一部として工程表44に登録される。
【0059】
<現場作業者が作業の実施結果を登録する処理>
次に、進捗管理支援システム1の動作の例について説明する。
図5は、進捗管理支援システム1で行われる作業の実施結果を登録する処理の例を示すシーケンス図である。ここでは、現場作業者が作業者端末20を操作し、進捗管理サーバ10に登録した当日の作業に対して、実施結果の登録を行う。
【0060】
始めに、作業者端末20は、現場作業者が当日の作業実施結果を入力する旨のデータを進捗管理サーバ10へ送信する(S11)。この処理は、現場作業者が、作業前に進捗管理サーバ10に登録した作業指示内容を、当日の作業後に作業者端末20へ表示させるために行われる。
【0061】
進捗管理サーバ10の作業抽出部51は、作業者端末20から当日の作業実施結果を入力する旨のデータを受信すると、現場A情報41の工程表44から、作業開始前に
図2のステップS6で登録された当日の作業指示内容を抽出する(S12)。そして、進捗管理部50は、現場A情報41から抽出した当日の作業指示内容のデータを作業者端末20へ送信する(S13)。
【0062】
作業者端末20の表示部21は、進捗管理サーバ10から受信した作業指示内容のデータに基づいて、当日の作業前に登録された作業指示内容を画面上に表示する(S14)。現場作業者は、画面に表示された作業指示内容が、作業開始前に登録した作業指示内容であることを確認する。そして、現場作業者は、作業指示の実施結果を、入力部22を通じて作業者端末20に送信する。作業者端末20は、作業指示の実施結果のデータを進捗管理サーバ10へ送信する(S15)。
【0063】
進捗管理サーバ10の進捗管理部50が実施結果を受信すると、実作業工程登録部53が実施結果を実作業工程として工程表44に登録する(S16)。そして、工程差異抽出部55は、工程表44から計画工程と実作業工程とに基づいて、工程の差異を抽出する(S17)。
【0064】
次に、工程差異抽出部55は、計画工程と実作業工程とに差異があるか否かを判定する(S18)。計画工程と実作業工程とに差異がない場合(S18のNO)、進捗管理部50は、作業者端末20に差異がない旨を送信し(S21)、本処理を終了する。
【0065】
一方、計画工程と実作業工程とに差異がある場合(S18のYES)、進捗管理部50は、この差異に基づいて、作業者端末20に作業が遅延している旨を送信する(S19)。作業者端末20の表示部21は、進捗管理サーバ10から受信した、作業が遅延している旨を表示し(S20)、本処理を終了する。現場作業者は、作業が遅延している旨を確認すると、作業遅延の原因を把握し、作業の進捗を早める等の対処を行うことができる。
【0066】
このように、作業指示の実施結果と実作業工程表についても、作業者端末20又は管理者端末30を介して現場関係者が、進捗管理サーバ10へ要求することで、随時確認をすることが可能である。
【0067】
図6は、作業実施結果の登録時に作業者端末20に表示される画面情報の表示例を示す図である。ここでは、
図4と同様の危険予知活動確認画面W3の表示例が示される。現場作業者は、作業者端末20に表示される当日の作業に対する実施結果の登録時に、危険予知活動を当日の作業実施結果として登録する。
【0068】
現場作業者が危険予知活動を実施し、当日の作業が完了して、その日に現場から退館する直前に、現場作業者自身が決めた「危険予知活動」に対する振り返りの実施有無をチェックする。現場作業者が行う振り返りをチェックすることは、現場で実施した作業の実施結果を登録することを兼ねる。そこで、現場作業者が「作業振り返り」のチェックボックスにチェックを入力することを「作業登録」とも呼ぶ。
【0069】
そこで、現場作業者は、当日の作業実施後、危険予知活動確認画面W3を作業者端末20の画面上へ表示させ、危険予知活動を実施したかを確認するための「作業振り返り」を行う。現場作業者が危険予知活動を完了したのであれば、現場作業者は、
図6に示された登録画面のチェックボックスにチェックを入力する。一方、危険予知活動が不十分であれば、現場作業者は、危険予知活動をできなかった理由等を登録画面に入力する。
【0070】
現場作業者が「作業振り返り」にチェックを入力した後、「次へ」ボタンを選択することにより、作業者端末20での作業実施結果の登録が終了する。作業者端末20は、危険予知活動の実施結果のデータを進捗管理サーバ10に送信する。
図1に示した進捗管理サーバ10の実作業工程登録部53は、作業者端末20から受信したデータに基づいて、作業日毎に危険予知活動の作業実施結果を工程表44に登録する。工程表44に作業実施結果が登録されることで、作業実施日における実作業工程の登録が終了する。
【0071】
図7は、作業実施結果の確認画面の表示例を示す図である。
進捗管理DB40に登録された作業内容と作業の完了日とを含む作業実施結果は、現場関係者が確認することができる。現場関係者は、作業者端末20又は管理者端末30を操作して、作業内容と完了日を入力すると、作業者端末20又は管理者端末30が進捗管理サーバ10に作業実施結果の取得を要求する。進捗管理サーバ10が進捗管理DB40から取得した作業実施結果のデータが、要求元の作業者端末20又は管理者端末30に送信される。そして、作業者端末20又は管理者端末30は、進捗管理DB40から受信したデータに基づいて、作業実施結果の確認画面に作業実施結果を表示する。
【0072】
作業実施結果の確認画面には、計画工程で登録された作業内容と、作業の完了有無を示すチェックボックスと、作業の完了日とが表示される。作業の完了有無を示すチェックボックスにチェックが入力され、作業の完了日に日付が入力された作業内容は、作業が実施されたことを表す。一方、作業の完了日に「作業遅れ」と表示された作業内容は、作業が計画工程通りの作業日に完了しなかったことを表す。作業が遅れたことは、例えば、遅れた作業内容が、他の作業内容とは異なる色(例えば、赤字)又は字体(例えば、太字)で強調表示されたり、遅れた作業内容の欄が異なる色(例えば、赤色)で表示されたりして表される。このように遅れた作業内容が強調表示されると、現場関係者が作業の遅れを気づきやすくなる。作業が遅れた場合、施工管理者は、作業の発注業者と相談して、納期や計画工程を変更する対処等を早い段階で行うことができる。
【0073】
図8は、作業者端末20に作業の遅れが通知される様子を示す図である。
計画工程通りに作業が完了しなかった場合、作業者端末20の危険予知活動確認画面W3には、作業の遅れが通知される。作業者は、危険予知活動確認画面W3に重ねて表示される「作業が遅れています」等のメッセージを見て、計画工程通りに作業が完了しなかったことを認識できる。
【0074】
<計算機のハードウェア構成例>
ここで、進捗管理支援システム1の各装置を構成する計算機60のハードウェア構成例について説明する。
図9は、計算機60のハードウェア構成例を示すブロック図である。計算機60は、本実施の形態に係る進捗管理サーバ10、作業者端末20又は管理者端末30として動作可能なコンピューターとして用いられるハードウェアの一例である。本実施の形態に係る進捗管理支援システム1は、サーバ及び端末を構成する各計算機60(コンピューター)がプログラムを実行することにより、
図1に示した各機能ブロックが連携して行う、施工現場の進捗管理方法を実現する。
【0075】
計算機60は、バス64にそれぞれ接続されたCPU(Central Processing Unit)61、ROM(Read Only Memory)62、及びRAM(Random Access Memory)63を備える。さらに、計算機60は、表示装置65、入力装置66、不揮発性ストレージ67及びネットワークインターフェイス68を備える。
【0076】
CPU61は、本実施の形態に係る各機能を実現するソフトウェアのプログラムコードをROM62から読み出してRAM63にロードし、実行する。RAM63には、CPU61の演算処理の途中で発生した変数やパラメーター等が一時的に書き込まれ、これらの変数やパラメーター等がCPU61によって適宜読み出される。ただし、CPU61に代えてMPU(Micro Processing Unit)を用いてもよい。進捗管理サーバ10の進捗管理部50の機能は、CPU61により実現される。なお、
図1では不図示としたが、作業者端末20及び管理者端末30もCPU61、ROM62及びRAM63を有しており、各端末の動作は、CPU61等により制御される。
【0077】
表示装置65は、例えば、液晶ディスプレイモニターであり、計算機60で行われる処理の結果等を作業関係者に表示する。入力装置66には、例えば、キーボード、マウス等が用いられ、作業関係者が所定の操作入力、指示を行うことが可能である。なお、進捗管理サーバ10には、表示装置65、入力装置66が設けられなくてもよい。
【0078】
不揮発性ストレージ67としては、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ又は不揮発性のメモリ等が用いられる。この不揮発性ストレージ67には、OS(Operating System)、各種のパラメーターの他に、計算機60を機能させるためのプログラムが記録されている。ROM62及び不揮発性ストレージ67は、CPU61が動作するために必要なプログラムやデータ等を記録しており、計算機60によって実行されるプログラムを格納したコンピューター読取可能な非一過性の記憶媒体の一例として用いられる。
図1に示した進捗管理DB40は、進捗管理サーバ10に設けられた不揮発性ストレージ67に構成される。
【0079】
ネットワークインターフェイス68には、例えば、NIC(Network Interface Card)等が用いられ、NICの端子に接続されたLAN(Local Area Network)、専用線等を介して各種のデータを装置間で送受信することが可能である。例えば、進捗管理サーバ10の通信部56の機能は、ネットワークインターフェイス68により実現される。また、作業者端末20及び管理者端末30が有するネットワークインターフェイス68によりネットワークNに接続可能な通信部の機能が実現される。
【0080】
以上説明した一実施の形態に係る進捗管理支援システム1では、現場作業者が作業者端末20を操作して、日々の工事現場において指定した日の作業を確認し、作業の実施結果を入力する。進捗管理サーバ10では、作業者端末20に入力された実施結果を実作業工程として工程表44に登録する。現場ごとの計画工程及び実作業工程の差異が生じた場合、管理者端末30には、施工管理者が要求するタイミングで、作業の遅れを示す進捗情報が表示される。このため、施工管理者は、計画工程に対する実作業工程の遅れをタイムリーに把握できる。そして、施工管理者は、遅れが生じた作業に対する、現場作業者への実施の促進、スケジュールの再検討等を早めに対応することができる。
【0081】
また、施工管理者は、工事現場にいる現場作業者に直接、工事の進捗状況を問い合わせなくても、施工管理者が要求する任意のタイミングで現場の計画工程及び実作業工程を確認できる。このため、施工管理者が現場作業者に問い合わせることによる、現場作業の一時中断を無くし、施工管理者に由来する作業遅延の影響を無くすことができる。
【0082】
また、施工管理者は、自身が担当する据付現場における作業の進捗状況を、施工管理者が所望するタイミングで把握できる。このため、施工管理者は、複数の据付現場を担当していても、複数の据付現場の現在の進捗状況を、時間をかけずに確認することができる。
【0083】
また、現場作業者は、当日の作業開始前に、作業者端末20を通じて当日計画されている作業を確認できる。また、当日の作業終了後には、作業現場で現場作業者が作業者端末20を通じて作業の完了を入力することができる。このため、現場作業者は、事務所等に戻って作業の完了を入力する必要がなく、作業現場から事務所等への移動時間を削減できる。また、作業の遅れが生じた場合には、施工管理者と同様に現場作業者も作業者端末20に表示される進捗情報に基づいて、作業の遅れを認識することができる。
【0084】
また、現場作業者は、当日の作業開始前に、作業者端末20を通じて危険予知活動を確認できる。このため、現場作業者は、作業に取り掛かる前に、危険予知活動に基づいて、事故の発生するおそれのある障害を取り除けるので、安全な作業現場を確保できる。
【0085】
また、現場作業者は、危険予知活動の詳細を作業者端末20に表示して把握することができ。また、危険予知活動の実施有無は、現場作業者が作業者端末20を通じて簡単な操作で入力することができる。そして、現場作業者は、危険予知活動が未実施であった場合、未実施とした理由等を作業者端末20から入力することで、作業関係者が危険予知活動の内容を精査することができる。
【0086】
[変形例]
なお、現場作業者が未完の作業を完了したと誤って登録した場合であっても、当日中であれば修正できるようにしてよい。また、現場作業者とは異なる検査員が現場で検査することにより、作業完了の誤登録を認識することも可能である。このため、施工管理者は、工程表44に基づいて作業の進捗状況を正しく管理することができる。
【0087】
上述した実施の形態では、現場作業者が、当日実施する作業の作業指示内容及びその作業の実施結果と、危険予知活動及びその実施結果を、進捗管理DB40に入力することについて説明した。この際、現場作業者は、作業手順書の内容及びその作業手順書の閲覧結果を、進捗管理DB40に登録してもよいし、現場作業者が現場据付作業における据付精度や結果を確認したチェックシートの記載結果を、進捗管理DB40に登録してもよい。
【0088】
また、進捗管理部50は、管理者端末30からの要求が無くても、計画工程と実作業工程との差異が生じた時点で、実作業の遅れを示す進捗情報を管理者端末30に出力してもよい。管理者端末30を操作する施工管理者は、通知された進捗情報に基づいて、実作業の遅れが生じた現場を直ちに把握することができる。
【0089】
なお、本発明は上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りその他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
例えば、上述した実施形態は本発明を分かりやすく説明するためにシステムの構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、本実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0090】
1…進捗管理支援システム、10…進捗管理サーバ、20…作業者端末、30…管理者端末、40…進捗管理DB、41…現場A情報、50…進捗管理部、51…作業抽出部、52…計画工程登録部、53…実作業工程登録部、54…帳票作成部、55…工程差異抽出部、56…通信部