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特許7546178情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240829BHJP
【FI】
G06Q50/10
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2024012602
(22)【出願日】2024-01-31
【審査請求日】2024-01-31
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 徹
【審査官】岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-054841(JP,A)
【文献】国際公開第2022/065028(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが行った一又は複数の行動を示す行動データを取得する取得部と、
前記ユーザが組織に参加していることを示すトークンをブロックチェーン上で保有することにより前記ユーザが参加している第1組織及び第2組織を特定する特定部と、
前記行動データに基づいて、前記第1組織及び前記第2組織それぞれにおける前記一又は複数の行動それぞれの量である行動量を算出する算出部と、
前記第1組織における前記行動量と、前記第2組織における前記行動量と、に対応する出力情報を出力する出力部と、
を有する、情報処理装置。
【請求項2】
前記算出部は、前記一又は複数の行動それぞれの前記行動量を、前記第1組織及び前記第2組織それぞれに応じて重み付けし、
前記出力部は、前記第1組織における重み付けされた前記行動量と、前記第2組織における重み付けされた前記行動量と、に対応する前記出力情報を出力する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記算出部は、記憶部に予め記憶された所定の係数と前記第1組織及び前記第2組織それぞれとを関連付けた関係情報において、前記第1組織及び前記第2組織それぞれに関連付けられた前記係数を前記行動量に乗算することによって、前記行動量を重み付けする、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記算出部は、前記関係情報において、前記第1組織及び前記第2組織それぞれと前記行動との組み合わせに関連付けられた前記係数を前記行動量に乗算することによって、前記行動量を重み付けする、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記算出部は、前記ユーザが前記第1組織及び前記第2組織の両方に参加している場合の前記第1組織における前記行動量を、前記ユーザが前記第1組織に参加しており前記第2組織に参加していない場合の前記第1組織における前記行動量とは異ならせる、
請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記算出部は、前記ユーザが前記第1組織及び前記第2組織の両方に参加している場合の前記第2組織における前記行動量を、前記ユーザが前記第2組織に参加しており前記第1組織に参加していない場合の前記第2組織における前記行動量と同じにする、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記出力部は、前記第1組織における前記行動量に応じて前記ユーザに付与される特典と、前記第2組織における前記行動量に応じて前記ユーザに付与される特典と、を示す前記出力情報を出力する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記組織は、分散型自立組織(Decentralized Autonomous Organization)であり、
前記ユーザは、前記組織の意思決定に対する投票の権利を示すガバナンストークンを前記ブロックチェーン上で保有する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記出力部は、前記第1組織における前記行動量に応じた前記第1組織の前記ガバナンストークンと、前記第2組織における前記行動量に応じた前記第2組織の前記ガバナンストークンと、を前記ユーザに付与するための前記出力情報を出力する、
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
プロセッサが実行する、
ユーザが行った一又は複数の行動を示す行動データを取得するステップと、
前記ユーザが組織に参加していることを示すトークンをブロックチェーン上で保有することにより前記ユーザが参加している第1組織及び第2組織を特定するステップと、
前記行動データに基づいて、前記第1組織及び前記第2組織それぞれにおける前記一又は複数の行動それぞれの量である行動量を算出するステップと、
前記第1組織における前記行動量と、前記第2組織における前記行動量と、に対応する出力情報を出力するステップと、
を有する、情報処理方法。
【請求項11】
プロセッサに、
ユーザが行った一又は複数の行動を示す行動データを取得するステップと、
前記ユーザが組織に参加していることを示すトークンをブロックチェーン上で保有することにより前記ユーザが参加している第1組織及び第2組織を特定するステップと、
前記行動データに基づいて、前記第1組織及び前記第2組織それぞれにおける前記一又は複数の行動それぞれの量である行動量を算出するステップと、
前記第1組織における前記行動量と、前記第2組織における前記行動量と、に対応する出力情報を出力するステップと、
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが参加する組織に関する情報を処理する情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ユーザはゲームに参加するプレイヤの集団等の組織に所属しており、ガバナンストークンの所有量に応じて組織における投票イベント等で投票を行うことを可能にする技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2023-54841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザは、参加している組織のために経済的活動、非経済的活動又は社会的活動等の行動を行い、行った行動に応じて組織から所定の特典の付与を受けられる場合がある。従来、ユーザが複数の組織に参加している状況では、複数の組織それぞれに対してユーザの行動に関する情報を登録するために大きな手間が掛かるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、ユーザが参加している複数の組織のための行動に関する情報を登録する手間を削減できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の情報処理装置は、ユーザが行った一又は複数の行動を示す行動データを取得する取得部と、前記ユーザが組織に参加していることを示すトークンをブロックチェーン上で保有することにより前記ユーザが参加している第1組織及び第2組織を特定する特定部と、前記行動データに基づいて、前記第1組織及び前記第2組織それぞれにおける前記一又は複数の行動それぞれの量である行動量を算出する算出部と、前記第1組織における前記行動量と、前記第2組織における前記行動量と、に対応する出力情報を出力する出力部と、を有する。
【0007】
前記算出部は、前記一又は複数の行動それぞれの前記行動量を、前記第1組織及び前記第2組織それぞれに応じて重み付けし、前記出力部は、前記第1組織における重み付けされた前記行動量と、前記第2組織における重み付けされた前記行動量と、に対応する前記出力情報を出力してもよい。
【0008】
前記算出部は、記憶部に予め記憶された所定の係数と前記第1組織及び前記第2組織それぞれとを関連付けた関係情報において、前記第1組織及び前記第2組織それぞれに関連付けられた前記係数を前記行動量に乗算することによって、前記行動量を重み付けしてもよい。
【0009】
前記算出部は、前記関係情報において、前記第1組織及び前記第2組織それぞれと前記行動との組み合わせに関連付けられた前記係数を前記行動量に乗算することによって、前記行動量を重み付けしてもよい。
【0010】
前記算出部は、前記ユーザが前記第1組織及び前記第2組織の両方に参加している場合の前記第1組織における前記行動量を、前記ユーザが前記第1組織に参加しており前記第2組織に参加していない場合の前記第1組織における前記行動量とは異ならせてもよい。
【0011】
前記算出部は、前記ユーザが前記第1組織及び前記第2組織の両方に参加している場合の前記第2組織における前記行動量を、前記ユーザが前記第2組織に参加しており前記第1組織に参加していない場合の前記第2組織における前記行動量と同じにしてもよい。
【0012】
前記出力部は、前記第1組織における前記行動量に応じて前記ユーザに付与される特典と、前記第2組織における前記行動量に応じて前記ユーザに付与される特典と、を示す前記出力情報を出力してもよい。
【0013】
前記組織は、分散型自立組織(Decentralized Autonomous Organization)であり、前記ユーザは、前記組織の意思決定に対する投票の権利を示すガバナンストークンを前記ブロックチェーン上で保有してもよい。
【0014】
前記出力部は、前記第1組織における前記行動量に応じた前記第1組織の前記ガバナンストークンと、前記第2組織における前記行動量に応じた前記第2組織の前記ガバナンストークンと、を前記ユーザに付与するための前記出力情報を出力してもよい。
【0015】
本発明の第2の態様の情報処理方法は、プロセッサが実行する、ユーザが行った一又は複数の行動を示す行動データを取得するステップと、前記ユーザが組織に参加していることを示すトークンをブロックチェーン上で保有することにより前記ユーザが参加している第1組織及び第2組織を特定するステップと、前記行動データに基づいて、前記第1組織及び前記第2組織それぞれにおける前記一又は複数の行動それぞれの量である行動量を算出するステップと、前記第1組織における前記行動量と、前記第2組織における前記行動量と、に対応する出力情報を出力するステップと、を有する。
【0016】
本発明の第3の態様のプログラムは、プロセッサに、ユーザが行った一又は複数の行動を示す行動データを取得するステップと、前記ユーザが組織に参加していることを示すトークンをブロックチェーン上で保有することにより前記ユーザが参加している第1組織及び第2組織を特定するステップと、前記行動データに基づいて、前記第1組織及び前記第2組織それぞれにおける前記一又は複数の行動それぞれの量である行動量を算出するステップと、前記第1組織における前記行動量と、前記第2組織における前記行動量と、に対応する出力情報を出力するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ユーザが参加している複数の組織のための行動に関する情報を登録する手間を削減できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】情報処理システムの模式図である。
図2】情報処理システムのブロック図である。
図3】実施形態に係る例示的な関係情報の模式図である。
図4】実施形態に係る算出部が行動量を算出する方法を説明するための模式図である。
図5】情報処理装置が実行する例示的な情報処理方法のフローチャートを示す図である。
図6】変形例に係る例示的な関係情報の模式図である。
図7】変形例に係る算出部が行動量を算出する方法を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[情報処理システムSの概要]
図1は、本実施形態に係る情報処理システムSの模式図である。情報処理システムSは、情報処理装置1と、情報端末2と、を含む。情報処理システムSは、その他のサーバ、端末等の機器を含んでもよい。
【0020】
情報処理装置1は、ユーザが参加する組織に関する情報処理を行うコンピュータである。組織は、複数のユーザが属する集団である。ユーザは、組織に参加(加入、所属)する人間である。本実施形態において、ユーザは第1組織及び第2組織を含む複数の組織に参加している。組織は、例えば、分散型自立組織(DAO: Decentralized Autonomous Organization)である。複数のユーザそれぞれは、組織の意思決定に対する投票権を有しており、組織が行う施策に対して投票(多数決等)を行うことができる。
【0021】
複数のユーザそれぞれは、ブロックチェーン上で、当該ユーザが組織に参加していることを示す組織トークンを保有している。組織トークンは、例えば、DAOである組織の意思決定に対する投票の権利を当該トークンの保有者に与えるガバナンストークンである。組織トークンは、組織によってユーザに付与され、又はユーザ間で移転(譲渡)されることにより、各ユーザに保有される。組織トークンは、例えば、ユーザが組織に関する所定の行動を行ったことに応じて、当該ユーザに付与される。
【0022】
ブロックチェーンは、情報処理装置1の記憶部又は情報処理装置1とは異なる装置の記憶部に構築される。ブロックチェーンは複数の装置の記憶部に構築されており、情報処理装置1は当該複数の装置のうちいずれかであってもよい。
【0023】
組織トークンは、例えば、ネットワーク上の一又は複数の記憶部上のブロックチェーンによって、保有者であるユーザを識別するためのユーザ識別情報(ユーザID(Identifier))と関連付けて記憶される。ブロックチェーンは複数のデータのブロックを含み、各ブロックはトークンの保有者が移転されたことを示す一又は複数のトランザクションを含む。ブロックチェーン内の各ブロックには所定の規則で生成されたハッシュ値が含まれており、ブロック間のハッシュ値の整合性を確認することによりブロックチェーン全体の正しさが担保される。
【0024】
情報端末2は、ユーザが利用するコンピュータである。情報端末2は、例えば、スマートフォン又はタブレット端末である。情報端末2は、操作を受け付けるためのタッチパネルやキーボード等の操作部と、情報を表示するための液晶ディスプレイ等の表示部と、を有する。情報端末2は、ネットワークを介して情報処理装置1と通信可能である。
【0025】
本実施形態に係る情報処理システムSが実行する処理の概要を以下に説明する。情報処理装置1は、ユーザが行った一又は複数の行動を示す行動データを取得する。行動データは、ユーザ又は他の人間によって登録される。
【0026】
情報処理装置1は、ユーザが組織トークンをブロックチェーン上で保有することによりユーザが参加している第1組織及び第2組織を特定する。情報処理装置1は、取得した行動データに基づいて、ユーザが行った一又は複数の行動であって、第1組織及び第2組織それぞれにおける一又は複数の行動それぞれの量である行動量を算出する。
【0027】
情報処理装置1は、第1組織におけるユーザの行動量と、第2組織におけるユーザの行動量と、に対応する出力情報を出力する。情報処理装置1は、例えば、第1組織及び第2組織それぞれにおけるユーザの行動量を情報端末2に表示させるための出力情報を出力してもよい。また、情報処理装置1は、例えば、第1組織及び第2組織それぞれにおけるユーザの行動量に応じて、第1組織及び第2組織それぞれにおける特典をユーザに付与するための出力情報を出力してもよい。
【0028】
このように、情報処理システムSは、ユーザが行った一又は複数の行動を示す行動データに基づいて第1組織及び第2組織それぞれにおけるユーザの行動量を算出し、第1組織及び第2組織それぞれにおけるユーザの行動量に応じた情報を出力する。これにより、情報処理システムSは、共通の行動データに基づいて複数の組織におけるユーザの行動量を算出できるため、ユーザが参加している複数の組織のための行動に関する情報を登録する手間を削減できる。
【0029】
[情報処理システムSの構成]
図2は、本実施形態に係る情報処理システムSのブロック図である。図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、図2に示したもの以外のデータの流れがあってもよい。図2において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、図2に示すブロックは単一の装置内に実装されてもよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてもよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてもよい。
【0030】
情報処理装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、を有する。情報処理装置1は、2つ以上の物理的に分離した装置が有線又は無線で接続されることにより構成されてもよい。また、情報処理装置1は、コンピュータ資源の集合であるクラウドによって構成されてもよい。
【0031】
通信部11は、ネットワークを介して情報端末2との間でデータを送受信するための通信コントローラを有する。通信部11は、情報端末2からネットワークを介して受信したデータを制御部13に通知する。また、通信部11は、ネットワークを介して、制御部13から出力されたデータを情報端末2に送信する。
【0032】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを予め記憶している。また、記憶部12は、組織とユーザの行動との関連性を示す関係情報を予め記憶している。記憶部12は、情報処理装置1の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部13との間でデータの授受を行ってもよい。
【0033】
制御部13は、取得部131と、特定部132と、算出部133と、出力部134と、を有する。制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、取得部131、特定部132、算出部133及び出力部134として機能する。
【0034】
以下、情報処理システムSが実行する処理について詳細に説明する。情報処理装置1は、例えば、ユーザが情報端末2において所定の開始操作を行ったこと、ユーザの新たな行動データが登録されたこと等の所定の開始条件が満たされたことに応じて、複数の組織それぞれにおけるユーザの行動量を算出するための処理を開始する。
【0035】
取得部131は、複数の組織それぞれと、当該組織に参加しているユーザの行動と、の関連性を示す関係情報を記憶部12から取得する。関係情報は、組織又は組織の種類と、ユーザの行動又は行動の種類と、の関連の有無を示す情報である。
【0036】
組織は、予め定義された複数の種類のいずれかに分類される。組織の種類は、例えば、経済に関する経済組織、コミュニティに関するコミュニティ組織、業界に関するソーシャル組織等を含む。
【0037】
ユーザの行動は、予め定義された複数の種類のいずれかに分類される。行動の種類は、例えば、経済的活動、非経済的活動、社会的活動等を含む。経済的活動である行動は、例えば、組織が提供する商品(物品又はサービス)の購入、利用又は保有、組織に対する寄付、組織が催すイベントへの参加等を含む。非経済的活動である行動は、例えば、組織の管理及び運営に関する作業、組織への技能又は資源の提供、組織との協力関係の締結、組織に関する物品又はサービスの提供、組織に関するイベントの実施、SNS(Social Networking Service)への組織に関する投稿等を含む。社会的活動である行動は、例えば、組織が属する業界を活性化させる行動等を含む。
【0038】
図3は、本実施形態に係る例示的な関係情報の模式図である。記憶部12は、組織又は組織の種類と、ユーザの行動又は行動の種類と、関連の有無を示す係数である関連度と、を関連付けた関係情報を記憶している。関連度は、例えば、値が大きいほど関連性が大きく、値が小さいほど関連性が小さいことを示す数値(0以上1以下の範囲の数値等)である。また、関連度は、関連性の大きさを示さず、関連性があること又は関連性がないことを示してもよい。関係情報は、情報処理システムSに予め設定され、又は情報処理システムSの管理者によって指定される。
【0039】
図3に例示した関係情報は、組織(個別の組織)と行動(個別の行動)との組み合わせに関連付けられた関連度を示している。また、関係情報は、組織と行動の種類との組み合わせに関連付けられた関連度を示してもよい。また、関係情報は、組織の種類と行動又は行動の種類との組み合わせに関連付けられた関連度を示してもよい。
【0040】
次に取得部131は、ユーザが行った行動を示す行動データを取得する。行動データは、例えば、ユーザを識別するためのユーザ識別情報(ユーザID)と、ユーザが行った行動と、ユーザが行った行動の量(回数、成果物の数量等)である行動量と、ユーザが行動を行った日時と、を示す。
【0041】
ユーザ又は他の人間は、例えば、ユーザが行った行動を示す行動データを情報端末2を用いて入力し、情報端末2は、入力された行動データを記憶部12又はその他の記憶装置に記憶させる。取得部131は、記憶部12又はその他の記憶装置から、行動データを取得する。行動データは、記憶部12又はその他の記憶装置において、データベースとして記憶されていてもよく、ブロックチェーン上に記憶されていてもよい。
【0042】
取得部131は、所定の対象期間にユーザが行った行動を示す行動データを取得してもよい。対象期間は、例えば、現在時点(複数の組織それぞれにおけるユーザの行動量を算出するための処理を行っている時点)から遡って所定の長さの期間である。対象期間は、情報端末2においてユーザによって指定された期間であってもよい。これにより、情報処理システムSは、特定の期間におけるユーザの行動に基づいて、複数の組織それぞれにおけるユーザの行動量を算出することができる。
【0043】
特定部132は、ユーザが組織トークンをブロックチェーン上で保有することによりユーザが参加している第1組織及び第2組織を特定する。特定部132は、例えば、ブロックチェーンにおいてユーザのユーザIDに関連付けられた複数の組織トークンを取得する。特定部132は、取得した複数の組織トークンに対応する2つの組織を、ユーザが参加している第1組織及び第2組織として特定する。ユーザが3つ以上の組織に対応する組織トークンを保有している場合に、特定部132は、3つ以上の組織のうち2つの組織の複数の組み合わせそれぞれを、第1組織及び第2組織として特定してもよい。
【0044】
算出部133は、取得部131が取得した行動データに基づいて、第1組織及び第2組織それぞれにおけるユーザの一又は複数の行動それぞれの量である行動量を算出する。ここで算出部133は、取得部131が取得した関係情報を用いて、取得部131が取得した行動データが示す行動量を重み付けする。
【0045】
図4は、本実施形態に係る算出部133が行動量を算出する方法を説明するための模式図である。算出部133は、例えば、関係情報において、第1組織及び第2組織それぞれと一又は複数の行動それぞれとの組み合わせに関連付けられた関連度を、行動データが示す当該行動の行動量に乗算することによって、ユーザの行動量を重み付けする。
【0046】
算出部133は、関係情報において第1組織及び第2組織それぞれが該当する組織の種類と、行動データが示す一又は複数の行動それぞれが該当する行動の種類と、に関連付けられた関連度を用いて、ユーザの行動量を重み付けしてもよい。また、算出部133は、行動又は行動の種類によらず、組織又は組織の種類ごとにユーザの行動量を重み付けをしてもよい。
【0047】
算出部133は、第1組織及び第2組織それぞれにおける、ユーザの重み付けされた行動量を集計(合計)する。図4の例では、各行動(行動a、行動b、行動c、行動d)の行動量に、関係情報において当該行動と各組織(組織α、組織β、組織γ)とに関連付けられた関連度が乗算されることにより、各行動及び各組織に応じて重み付けされた行動量の合計値(スコア)が算出されている。
【0048】
図4の例では、算出部133は、組織α~組織γの3つの組織に対してユーザの行動量を算出しているが、第1組織及び第2組織であるいずれか2つの組織のみに対してユーザの行動量を算出してもよい。
【0049】
ユーザが3つ以上の複数の組織に参加している場合に、情報処理装置1は、複数の組織のうち2つの組織の各組み合わせを第1組織及び第2組織として同様の処理を行うことにより、複数の組織全てについてユーザの行動量を算出してもよい。これにより、情報処理システムSは、共通の行動データに対して組織ごと及び行動ごとに異なる重み付けをしてユーザの行動量を算出するため、組織ごとに異なる各行動の重要性を行動量に反映できる。
【0050】
出力部134は、算出部133が算出した第1組織におけるユーザの重み付けされた行動量と、算出部133が算出した第2組織におけるユーザの重み付けされた行動量と、に対応する出力情報を出力する。
【0051】
出力部134は、例えば、算出部133が算出した第1組織及び第2組織それぞれにおけるユーザの行動量を情報端末2に表示させるための出力情報を、情報端末2に送信してもよい。情報端末2は、情報処理装置1が送信した出力情報に従って、第1組織及び第2組織それぞれにおけるユーザの行動量を表示部上に表示する。これにより、情報処理システムSは、ユーザが参加している複数の組織それぞれに対して行動データを登録する手間を削減しながら、ユーザに対して複数の組織それぞれにおける行動量を通知することができる。
【0052】
出力部134は、例えば、算出部133が算出した第1組織における行動量に応じてユーザに付与される特典と、算出部133が算出した第2組織における行動量に応じてユーザに付与される特典と、を示す出力情報を出力してもよい。
【0053】
出力部134は、例えば、記憶部12に予め記憶された情報に基づいて、第1組織における行動量に対応する特典と、第2組織における行動量に対応する特典と、を決定する。例えば、第1組織における行動量に応じてユーザに付与される特典は第1組織のガバナンストークンであり、第2組織における行動量に応じてユーザに付与される特典は第2組織のガバナンストークンである。
【0054】
この場合に、出力部134は、第1組織における行動量に対応する数の第1組織のガバナンストークンをユーザに付与するための出力情報をブロックチェーンに送信するとともに、第2組織における行動量に対応する数の第2組織のガバナンストークンをユーザに付与するための出力情報をブロックチェーンに送信する。ブロックチェーンは、情報処理装置1が送信した出力情報に従って、第1組織及び第2組織それぞれのガバナンストークンをユーザに付与する情報を記憶する。これにより、情報処理システムSは、ユーザが参加している複数の組織それぞれに対して行動データを登録する手間を削減しながら、ユーザに対して複数の組織それぞれにおける行動量に応じた特典を付与することができる。
【0055】
[情報処理方法のフロー]
図5は、本実施形態に係る情報処理装置1が実行する例示的な情報処理方法のフローチャートを示す図である。図5のフローは、複数の組織それぞれにおけるユーザの行動量を算出するための処理を開始する条件が満たされたことに応じて開始される。
【0056】
取得部131は、複数の組織それぞれと、当該組織に参加しているユーザの行動と、の関連性を示す関係情報を記憶部12から取得する(S11)。関係情報は、組織又は組織の種類と、ユーザの行動又は行動の種類と、の関連の有無を示す情報である。
【0057】
取得部131は、ユーザが行った行動を示す行動データを取得する(S12)。行動データは、例えば、ユーザのユーザIDと、ユーザが行った行動と、ユーザが行った行動の行動量と、ユーザが行動を行った日時と、を示す。
【0058】
特定部132は、ユーザが組織トークンをブロックチェーン上で保有することによりユーザが参加している第1組織及び第2組織を特定する(S13)。
【0059】
算出部133は、取得部131が取得した関係情報を用いて、取得部131が取得した行動データが示す行動量を重み付けする(S14)。算出部133は、例えば、関係情報において、第1組織及び第2組織それぞれと一又は複数の行動それぞれとの組み合わせに関連付けられた関連度を、行動データが示す当該行動の行動量に乗算することによって、ユーザの行動量を重み付けする。算出部133は、第1組織及び第2組織それぞれにおけるユーザの重み付けされた行動量を集計する(S15)。
【0060】
出力部134は、算出部133が算出した第1組織におけるユーザの重み付けされた行動量と、算出部133が算出した第2組織におけるユーザの重み付けされた行動量と、に対応する出力情報を出力する(S16)。出力部134は、例えば、第1組織及び第2組織それぞれにおけるユーザの行動量を情報端末2に表示させるための出力情報、又はガバナンストークン等の特典をユーザに付与するための出力情報を出力する。
【0061】
[実施形態の効果]
本実施形態に係る情報処理システムSによれば、情報処理装置1は、ユーザが行った一又は複数の行動を示す行動データに基づいて第1組織及び第2組織それぞれにおけるユーザの行動量を算出し、第1組織及び第2組織それぞれにおけるユーザの行動量に応じた情報を出力する。これにより、情報処理システムSは、共通の行動データに基づいて複数の組織におけるユーザの行動量を算出できるため、ユーザが参加している複数の組織のための行動に関する情報を登録する手間を削減できる。
【0062】
また、情報処理システムSは、共通の行動データに対して組織ごと及び行動ごとに異なる重み付けをしてユーザの行動量を算出することにより、組織ごとに異なる各行動の重要性を行動量に反映できる。
【0063】
<変形例>
本変形例では、情報処理装置1はユーザが第1組織及び第2組織のうち一方にのみ参加している場合と両方に参加している場合とで異なる行動量を算出する。以下、上述の実施形態とは異なる点を主に説明する。
【0064】
取得部131は、関係情報及び行動データを取得する。図6は、本変形例に係る例示的な関係情報の模式図である。本変形例に係る取得部131が取得する関係情報は、ユーザが同時に参加している一又は複数の組織と、ユーザの行動又は行動の種類と、関連の有無を示す係数である関連度と、を関連付けた情報である。本変形例に係る関係情報は、ユーザが第1組織及び第2組織のうち一方にのみ参加している場合と、両方に参加している場合と、で異なる行動又は行動の種類ごとの関連度を示す。
【0065】
図6は、第1の組織におけるユーザの行動量の重み付けに用いられる関係情報を表している。図6に例示した関係情報は、ユーザが第1組織(組織α)のみに参加している場合の行動又は行動の種類ごとの関連度と、ユーザが第1組織(組織α)と第2組織(組織β)との両方に参加している場合の行動又は行動の種類ごとの関連度と、を表している。
【0066】
特定部132は、ユーザが第1組織及び第2組織の両方に参加していること、又はユーザが第1組織に参加しており第2組織に参加していないことを特定する。特定部132は、例えば、ブロックチェーンにおいてユーザのユーザIDに関連付けられた複数の組織トークンを取得する。特定部132は、取得した複数の組織トークンが第1組織及び第2組織の組織トークンを含む場合に、ユーザが第1組織及び第2組織の両方に参加していると特定する。特定部132は、取得した複数の組織トークンが第1組織の組織トークンを含み第2組織の組織トークンを含まない場合に、ユーザが第1組織に参加しており第2組織に参加していないと特定する。
【0067】
算出部133は、取得部131が取得した関係情報及び行動データに基づいて、第1組織におけるユーザの行動量を算出する。図7は、本変形例に係る算出部133が行動量を算出する方法を説明するための模式図である。
【0068】
ユーザが第1組織に参加しており第2組織に参加していない場合に、算出部133は、例えば、関係情報において、ユーザが第1組織及び第2組織のうち一方にのみ参加している場合の行動又は行動の種類ごとの関連度を、行動データが示す一又は複数の行動それぞれの行動量に乗算することによって、ユーザの行動量を重み付けする。一方、ユーザが第1組織及び第2組織の両方に参加している場合に、算出部133は、例えば、関係情報において、ユーザが第1組織及び第2組織の両方に参加している場合の行動又は行動の種類ごとの関連度を、行動データが示す一又は複数の行動それぞれの行動量に乗算することによって、ユーザの行動量を重み付けする。
【0069】
算出部133は、ユーザが第1組織及び第2組織のうち一方にのみ参加している場合のユーザの重み付けされた行動量、又はユーザが第1組織及び第2組織の両方に参加している場合のユーザの重み付けされた行動量を集計(合計)する。図7の例では、各行動(行動a、行動b、行動c、行動d)の行動量に、ユーザが第1組織及び第2組織のうち一方にのみ参加している場合の関連度と、ユーザが第1組織及び第2組織の両方に参加している場合の関連度と、が乗算されることにより、重み付けされた行動量の合計値(スコア)が算出されている。
【0070】
図7の例では、算出部133は、ユーザが第1組織及び第2組織のうち一方にのみ参加している場合と、ユーザが第1組織及び第2組織の両方に参加している場合と、の両方の場合に対してユーザの行動量を算出しているが、どちらか一方の場合のみに対してユーザの行動量を算出してもよい。
【0071】
出力部134は、ユーザが第1組織及び第2組織のうち一方にのみ参加している場合のユーザの重み付けされた行動量と、ユーザが第1組織及び第2組織の両方に参加している場合のユーザの重み付けされた行動量と、のどちらか一方に対応する出力情報を出力する。
【0072】
このように、情報処理装置1は、ユーザが第1組織及び第2組織の両方に参加している場合の第1組織における行動量を、ユーザが第1組織に参加しており第2組織に参加していない場合の第1組織における行動量とは異ならせる。同様に、情報処理装置1は、ユーザが3つ以上の複数の組織に参加している場合に、ユーザが参加している第1組織を含む一又は複数の組織の組み合わせに応じて行動量を異ならせてもよい。この場合に、算出部133は、例えば組織α、β、γのうち、ユーザが組織α(第1組織)に参加している場合と、ユーザが組織α及びβに参加している場合と、ユーザが組織α及びγに参加している場合と、組織α、β及びγに参加している場合と、で行動量を異ならせ得る。これにより、情報処理システムSは、例えばより多くの組織に参加していて影響力の大きいユーザに付与される特典を多くする等の目的で、行動量の重み付けを柔軟に変更することができる。
【0073】
算出部133は、図6図7の例においてユーザが第1組織及び第2組織のうち一方にのみ参加している場合と両方に参加している場合とで第1組織における行動量を異ならせているが、第2組織における行動量については異ならせなくてもよい。
【0074】
すなわち、算出部133は、ユーザが第1組織及び第2組織の両方に参加している場合の第2組織における行動量を、ユーザが第2組織に参加しており第1組織に参加していない場合の第2組織における行動量と同じにしてもよい。この場合に、関係情報は、ユーザが第2組織(組織β)のみに参加している場合の関連度と、ユーザが第1組織(組織α)と第2組織(組織β)との両方に参加している場合の関連度と、が同じであることを示す。
【0075】
これにより、情報処理システムSは、例えば第1組織についてはユーザが複数の組織に参加している場合の行動量を大きくし、第2組織についてはユーザが複数の組織に参加している場合の行動量を大きくしない等、行動量の重み付けをより柔軟に変更することができる。
【0076】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0077】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0078】
S 情報処理システム
1 情報処理装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 取得部
132 特定部
133 算出部
134 出力部
2 情報端末

【要約】
【課題】ユーザが参加している複数の組織のための行動に関する情報を登録する手間を削減できるようにする。
【解決手段】情報処理装置1は、ユーザが行った一又は複数の行動を示す行動データを取得する取得部131と、ユーザが組織に参加していることを示すトークンをブロックチェーン上で保有することによりユーザが参加している第1組織及び第2組織を特定する特定部132と、行動データに基づいて、第1組織及び第2組織それぞれにおける一又は複数の行動それぞれの量である行動量を算出する算出部133と、第1組織における行動量と、第2組織における行動量と、に対応する出力情報を出力する出力部134と、を有する。
【選択図】図2

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7