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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】流体搬送装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/06 20060101AFI20240830BHJP
【FI】
F24F13/06 A
F24F13/06 C
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020126190
(22)【出願日】2020-07-27
(65)【公開番号】P2021105505
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2023-05-12
(31)【優先権主張番号】P 2019235387
(32)【優先日】2019-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】勝又 慎介
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 悠気
(72)【発明者】
【氏名】村山 将
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-083896(JP,A)
【文献】米国特許第05165452(US,A)
【文献】実開平01-092222(JP,U)
【文献】特開平08-170856(JP,A)
【文献】実開昭57-184439(JP,U)
【文献】特開2003-010301(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調空気を噴出するノズル部を有した流体搬送装置であって、
前記ノズル部は、
第1噴出口と、
前記第1噴出口の外周側に、前記第1噴出口の外周を囲むように環状に形成され、流体を環状噴流として噴出する第2噴出口と、
前記第2噴出口の外周に隣接して、前記第2噴出口の外周部を囲むように環状に形成され、流体を環状噴流として噴出する第3噴出口と、
前記第1噴出口に連通する第1流路と、
内周側において前記第1流路を形成する第1仕切板と、
前記第2噴出口に連通する第2流路と、
前記第1仕切板と挟まれた領域において前記第2流路を形成する第2仕切板と、
前記第3噴出口に連通する第3流路と、
前記第2仕切板と挟まれた領域において前記第3流路を形成する第3仕切板とを有し、
前記第1仕切板および前記第3仕切板は、開き角度のある錐台形状であり、
前記第3仕切板の開き角度は、前記第1仕切板の開き角度よりも大きく、
前記第2仕切板は、開き角度のない円管状であり、
前記第1噴出口と前記第2噴出口と前記第3噴出口の合計面積が、前記流体搬送装置内部において前記空調空気の流路断面積が最小となる絞り部の流路断面積よりも大きく、
前記第1噴出口、前記第2噴出口、前記第3噴出口から吹き出す空気の流速をそれぞれU1、U2、U3としたとき、
U2>U1、U2>U3、U1≧U3となるように吹出す流体搬送装置。
【請求項2】
1つの空調ダクトに接続する請求項1記載の流体搬送装置。
【請求項3】
前記第2流路に流れる空気の流速を増速する増速機構を設けた請求項1または2に記載の流体搬送装置。
【請求項4】
前記増速機構は、前記第2噴出口の風上位置に設けた羽根車と、当該羽根車に回転駆動力
を与える電動機を有する請求項記載の流体搬送装置。
【請求項5】
前記第1流路に第1圧力損失要素を設けることにより、U1<U2となるようにした請求項いずれかひとつに記載の流体搬送装置。
【請求項6】
前記第1圧力損失要素は、風車であることを特徴とする請求項記載の流体搬送装置。
【請求項7】
前記第1圧力損失要素として、前記第1流路の長さを前記第2流路の長さよりも長くすることを特徴とする請求項記載の流体搬送装置。
【請求項8】
前記第3流路に第2圧力損失要素を設けることにより、U3<U2となるようにした請求項いずれかひとつに記載の流体搬送装置。
【請求項9】
前記第2圧力損失要素として、前記第3流路の長さを前記第2流路の長さよりも長くすることを特徴とする請求項記載の流体搬送装置。
【請求項10】
前記第1流路と前記第2流路の軸方向中央部に回転体を設け、
前記回転体は、
前記第1流路における圧力損失要素としての風車部と、
前記第2流路における増速機構としての羽根車部を有し、
前記第1流路を流れる空気によって生じる風車部の回転力を前記羽根車部の回転駆動源とする請求項記載の流体搬送装置。
【請求項11】
前記第3流路に第3圧力損失要素を設けることにより、U3<U2となるようにした請求項10記載の流体搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷暖房などの目的で空気などの流体を効率よく搬送するための流体搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工場、倉庫、競技場、業務用の厨房などの大空間において、冷暖房を行う場合、空調空気を目的場所に向かってスポット的に到達させるための吹出口構造として、図14に示すような流体噴出ノズル101が用いられている。この流体噴出ノズル101は、空調ダクト102に円形状の開口部103が形成されており、その開口部103に鍔状部材104が固着され、この鍔状部材104に対して側面部がR状に形成された固定部材105が固着されている。この固定部材105内に略半円形状のノズル本体(ボール部)106がその中心軸に介して任意の方向に移動自在に配設されており、このノズル本体106の下端部側は円筒状の吹き出し部107を有している。このような構成によって、任意の方向に向かってスポット的に空調空気を吹き出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平5-73441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような流体噴出ノズル101において、吹き出し部107より空調空気Aを吹き出す場合、吹き出し部107付近で周囲の空間空気(周囲空気B)を誘引する。例えば夏季の冷房運転の場合、この周囲空気Bは、吹き出し部107より吹き出された冷たい空調空気A(冷房空気)に比較して高温の空気であり、この高温の空気が誘引効果により冷房対象場所まで到達するため、冷房効果が低下する。同じく冬季の暖房運転の場合も、吹き出し部107より吹き出された暖かい空調空気A(暖房空気)に比較して低温である周囲空気Bが、誘引効果により暖房対象場所まで到達するため、暖房効果が低下する。
【0005】
また、このような流体噴出ノズル101の場合、冷房対象場所に冷房の空調空気Aが到達する際に、たとえば人に直接噴流があたり、その流速による風圧の体感や耳元での風切音の発生により不快に感じてしまうことがある。また、たとえば工場の空気調和において、その噴流到達箇所に風圧の影響を避けるべき製造品や製造装置、液体などがある場合は、他の流体搬送手段が必要となる。
【0006】
また、他の流体搬送手段である成層空調システムの場合、上述の流体噴出ノズル101の風圧に伴う課題を解決することができる。しかし、成層空調システムは、たとえば工場のシャッターなどを開けるなどにより空間内の圧力の過渡的な変化が発生すると、居住域に滞留している気体が流出してしまう。その場合、再度適切な温度・湿度になるまでの時間とエネルギーの損失が生じてしまうという課題があった。
【0007】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、誘引効果を抑え効率よく流体搬送を行うことができ、かつ風圧による不快感を極力抑制することが可能な流体搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明の流体搬送装置は、
空調空気を噴出するノズル部を有し、
前記ノズル部は、
第1噴出口と、
前記第1噴出口の外周側に、前記第1噴出口の外周を囲むように環状に形成され、流体を環状噴流として噴出する第2噴出口と、
前記第2噴出口の外周に隣接して、前記第2噴出口の外周部を囲むように環状に形成され、流体を環状噴流として噴出する第3噴出口を有し、
前記第1噴出口、前記第2噴出口、前記第3噴出口から吹き出す空気の流速(風速)をそれぞれU1、U2、U3としたとき、
U2>U1、U2>U3となるように吹出す構成により、所期の目的を達成する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第1噴出口と第3噴出口から噴出される噴流の噴出速度を第2噴出口から噴出される噴流の噴出速度より遅くすると、第3噴出口から噴出される噴流によって第2噴出口から噴出される噴流と周囲の流体の速度差によるせん断力を小さくすることができ、誘引効果による周囲の流体の引き込みを抑制することが可能となる。また、第1噴出口から噴出される噴流が第2噴出口から噴出される噴流により遠方に搬送され、且つ第2噴出口から噴出される噴流は第1噴出口から噴出される噴流により減速されるので、噴出速度を抑えつつ、遠方まで搬送させることが可能となる。従って、3つのノズルにより噴出速度差をつけることで、周囲流体の誘引を抑制し、且つ風速を抑制しつつ空調空気を遠方に搬送を行うことができるので、流体の風圧による不快感を極力抑制した快適な空調空間を構築することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態1の流体搬送装置の構成を示す説明図
図2】本発明の実施の形態1の流体搬送装置の構成を示す拡大断面図
図3】従来の流体搬送装置の噴流の速度分布の変化を表す断面図(比較例)
図4】本発明の実施の形態1の噴流の速度分布の変化を表す断面図(実施例)
図5】本発明の実施の形態2の流体搬送装置の構成を示す拡大断面図
図6】本発明の実施の形態3の流体搬送装置の構成を示す拡大断面図
図7】本発明の実施の形態4の流体搬送装置の斜視図
図8】本発明の実施の形態4の流体搬送装置の構成部品である延長部の斜視図
図9】本発明の実施の形態4の流体搬送装置の断面図
図10】本発明の実施の形態4の類似構造における剥離領域を模擬した断面図
図11】本発明の実施の形態4の類似構造における剥離領域を模擬した断面図
図12】(a)本発明の実施の形態4の変形例1の斜視図、(b)本発明の実施の形態4の変形例1の断面図
図13】本発明の実施の形態4の変形例2の断面図
図14】従来の流体搬送装置の構成を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明にかかる流体搬送装置は、空調空気を噴出するノズル部を有し、前記ノズル部は、第1噴出口と、前記第1噴出口の外周側に、前記第1噴出口の外周を囲むように環状に形成され、流体を環状噴流として噴出する第2噴出口と、前記第2噴出口の外周に隣接して、前記第2噴出口の外周部を囲むように環状に形成され、流体を環状噴流として噴出する第3噴出口を有し、前記第1噴出口、前記第2噴出口、前記第3噴出口から吹き出す空気の流速(風速)をそれぞれU1、U2、U3としたとき、U2>U1、U2>U3となるように吹出すものである。
【0012】
このような構成により、第3噴出口から噴出される噴流によって第2噴出口から噴出される噴流と周囲の流体の速度差によるせん断力を小さくすることができ、誘引効果による周囲の流体の引き込みを抑制することが可能となる。また、第1噴出口から噴出される噴流が第2噴出口から噴出される噴流により遠方に搬送され、且つ第2噴出口から噴出される噴流は第1噴出口から噴出される噴流により減速されるので、噴出速度を抑えつつ、遠方まで搬送させることが可能となる。従って、3つのノズルにより噴出速度差をつけることで、周囲流体の誘引を抑制し、且つ風速を抑制しつつ空調空気を遠方に搬送を行うことができるので、流体の風圧による不快感を極力抑制した快適な空調空間を提供することができる。
【0013】
また、前記第1噴出口、前記第3噴出口から吹き出す空気の流速は、U1≧U3となるように吹出すようにしてもよい。
【0014】
また、前記第1噴出口に連通する第1流路と、前記第2噴出口に連通する第2流路と、前記第3噴出口に連通する第3流路とを有し、1つの空調ダクトに接続するようにしてもよい。
【0015】
また、前記第1噴出口と前記第2噴出口と前記第3噴出口の合計面積が、前記流体搬送装置内部において前記空調空気の流路断面積が最小となる絞り部の流路断面積よりも大きくなるように設けてもよい。これによって、各噴出口からの噴流の風速を抑制して周囲流体の誘引を抑制することで、風速を抑制しつつ空調空気を遠方に搬送を行うことができる効果を更に高めることができる。
【0016】
また、前記第1流路、前記第2流路、前記第3流路は、それぞれの外周面を錐台形状としてもよい。
【0017】
また、前記第2流路に流れる空気の流速を増速する増速機構を設けてもよい。
【0018】
また、前記増速機構は、前記第2噴出口の風上位置に設けた羽根車と、当該羽根車に回転駆動力を与える電動機としてもよい。
【0019】
また、前記第1流路に第1圧力損失要素を設けることにより、U1<U2となるようにしてもよい。
【0020】
また、前記第1圧力損失要素は、風車としてもよい。
【0021】
また、前記第1圧力損失要素として、前記第1流路の長さを前記第2流路の長さよりも長くするように設定してもよい。これによって、前記第1流路の流量を前記第2流路の流量よりも少なくすることで、U2>U1になるように設定することが可能になる。
【0022】
また、前記第3流路に第2圧力損失要素を設けることにより、U3<U2となるようにしてもよい。
【0023】
また、前記第2圧力損失要素としては、前記第3流路の長さを前記第2流路の長さよりも長くするように設定してもよい。これによって、前記第3流路の流量を前記第2流路の流量よりも少なくすることで、U2>U3になるように設定することが可能になる。
【0024】
また、前記第1流路と前記第2流路の軸方向中央部に回転体を設け、前記回転体は、前記第1流路における圧力損失要素としての風車部と、前記第2流路における増速機構としての羽根車部を有し、前記第1流路を流れる空気によって生じる風車部の回転力を前記羽根車部の回転駆動源にしてもよい。
【0025】
また、前記第3流路に第3圧力損失要素を設けることにより、U3<U2となるようにしてもよい。
【0026】
このような構成により、前記U1,U2,U3を、U1<U2、U3<U2となるような噴流を構築することができる。また、増速用の羽根車の駆動源として電動機を使用する必要がないため、電気部材、電気工事を必要とせず、且つエネルギー消費を抑制することが可能となる。
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図を参照しながら説明する。
【0028】
(実施の形態1)
図1に示すように、第1の実施の形態の流体搬送装置1は、空調ダクト2に接続されている。すなわち、本実施の形態において、流体搬送装置1は、空調空気の吹出口となっている。図2の流体搬送装置1の拡大断面図に示すように、流体搬送装置1は、空調空気を噴出する円形の吹出口となるノズル部3を有している。ノズル部3は、流体を噴出する第1噴出口4と、第1噴出口4の外周部を囲むように環状に形成され、流体を環状噴流として噴出する第2噴出口5と、第2噴出口5の外周部を囲むように環状に形成され、流体を環状噴流として噴出する第3噴出口6を有している。第1噴出口4は、ノズル部3の中央部に設けられ、円筒状の気流を噴出する。第2噴出口5は、第1噴出口4の外周側に隣接して設けられている。同じように、第3噴出口6は、第2噴出口5の外周側に隣接して設けられている。第1流路4aは、第1噴出口4の上流側において第1噴出口4と空調ダクト2とを連通する風路となっている。同様に、第2流路5aは、第2噴出口5と空調ダクト2を連通し、第3流路6aは、第3噴出口6と空調ダクト2を連通する風路となっている。そして、第1噴出口4から噴出される噴流(第1噴流7)の噴出速度をU1、第2噴出口5から噴出される噴流(第2噴流8)の噴出速度をU2、第3噴出口6から噴出される噴流(第3噴流9)の噴出速度をU3としたとき、U2が最もおおきくなるように、すなわち、U1<U2、U3<U2となるように、第1噴出口4、第2噴出口5、第3噴出口6から噴流を噴出する。さらに好ましくは、U2>U1>U3となるように噴出するとよい。
【0029】
前述のように、速い気流と遅い気流の接触部においては、速い気流側に遅い気流が誘引される現象が起こる。その誘引量は速度差が大きいほど大きくなる。
【0030】
本実施の形態の流体搬送装置1においては、上記のように、第2噴流8の風速U2は隣接する、外周側の第3噴流9よりも速くなっている、すなわち、第2噴流8と第3噴流9の境界部で速度差を生じさせることによって、誘引効果が生じる。また、第3噴流9と周囲空気Bの境界部でも速度差により誘引効果が生じる。この誘引効果により、第2噴流8は第3噴流9を巻き込みながら搬送され、第3噴流9は周囲空気Bを巻き込みながら搬送される。このような構成の吹出しによれば、第2噴流8と周囲空気Bとが直接接触する場合の速度差よりも、最外周における第3噴流9と周囲空気Bとの速度差は小さくなるため、周囲空気Bの誘引効果を抑えることができる。すなわち、速い風速U2を持つ第2噴流8は、周囲空気Bに直接接触することがなく、周囲空気Bは、遅い風速の第3噴流9に誘引されるので、誘引量が抑えられるのである。このように、冷房時におけるノズル部3から吹き出す空調空気の温度上昇、あるいは暖房時における温度低下を抑えることができ、夏季の冷房運転の性能低下および冬季の暖房運転の性能低下を抑制することができる。
【0031】
さらに、第2噴流8の風速U2を第1噴流7の風速U1より大きくすることにより、第2噴流8と第1噴流7の境界部でも誘引効果が生じる。すなわち、第2噴流8は、空調空気である第1噴流7を巻き込みながら搬送される。また、第2噴流8は、速い風速U2をもつので、遠方まで空調空気を搬送することができる。そして、第2噴流8に囲まれた第1噴流7は、第2噴流8によって誘引されながら、遠方まで到達することになる。また、第1噴流7は、比較的遅い風速U1のため、たとえば直接噴流があたることによる体感や耳元での風切音の発生による不快感を抑制することができる。また、たとえば工場の空気調和において、その噴流到達箇所に風圧の影響を避けるべき製造品や製造装置、液体などがある場合にも有効である。
【0032】
図3は、比較例として単ノズル(一重ノズル)から空調空気Aを風速U0(断面平均速度)の噴流として噴出させた場合の速度分布の変化を表す説明図である。図4は、実施例として、ノズル部の第1噴出口から空調空気Aを風速U1(断面平均速度)の第1噴流7、第2噴出口から空調空気Aを風速U2(断面平均速度)の第2噴流8、第3噴出口から空調空気Aを風速U3(断面平均速度)の第3噴流9を噴出し、それぞれの速度はU1<U2、U3<U2の条件で噴出させた場合の速度分布の変化を表す説明図である。
【0033】
図3に示すように、従来技術の流体噴出ノズル101から空調空気Aが噴出された場合、距離Z=0では風速U0の一様な分布となる。しかし、空調空気Aと周囲空気Bの境界部では、速度差により誘引効果が生じ、空調空気Aは周囲空気Bを巻き込みながら搬送される。この効果は下流に進むにつれ進行し、空調空気の速度は外側から徐々に低下し、空調空気の温度は周囲の温度の影響を受ける。例えば夏季の冷房運転の場合は、周囲の高温の流体に暖められ、冷房性能が低下し、冬季の暖房運転の場合は、周囲の低温の流体に冷やされ、暖房性能が低下する。
【0034】
図3には、点線によって、空調空気A、室内空気(周囲空気B)の影響を受ける領域を示している。距離Z=Zにおいては、外周部の周囲空気Bの影響領域、すなわち、周囲空気Bを誘引しながら搬送される領域が大きい。一方、主に空調空気Aとして搬送される領域(主に流体噴出ノズルから噴出された空気の領域)は小さくなっていることが示されている。すなわち、距離Z=Zでは、流体噴出ノズル部101から吹き出した空気として感じられる領域が狭く、冷房、あるいは暖房効果が小さくなっていることがわかる。
【0035】
一方、図4に示すように、本実施の形態による流体搬送装置1の場合、距離Z=0では第1噴流7の速度分布と第3噴流9の速度が小さく、第2噴流8の速度が大きくなる。この時、第2噴流8と第3噴流9の境界部では速度差により誘引効果が生じる。また、第3噴流9と周囲空気Bの境界部でも速度差により誘引効果が生じる。この誘引効果により、第2噴流8は第1噴流7、第3噴流9を巻き込みながら搬送され、第3噴流9は周囲空気Bを巻き込みながら搬送される。しかしながら、第3噴流9の速度を小さくすることにより、最外周部分では、吹出す空調空気(第3噴流9)と周囲空気Bとの速度差は小さくなる。そのため、周囲空気Bの誘引効果を抑えることができ、夏季の冷房運転の性能低下および冬季の暖房運転の性能低下を抑制することができる。
【0036】
図4には、点線によって、空調空気A、室内空気(周囲空気B)の影響を受ける領域を示している。距離Z=Zにおいて、外周部の周囲空気Bの影響領域、すなわち、第3噴流9に周囲空気Bが誘引されて搬送される領域は、吹出し噴流における外周部の一部領域となっている。一方、空調空気Aの影響領域は、主として第1噴流7の領域、第1噴流7と第2噴流8の混合領域、第2噴流8と第3噴流9の混合領域となっている。すなわち、空調空気Aの影響領域は、風速は遅くなっているものの、広い範囲に空調空気Aを届かせることができていることが示されている。このように、距離Z=Zでは、ノズル部3から吹き出した空気として感じられる領域が広く、冷房、あるいは暖房できていることになる。
【0037】
本実施の形態では、第1噴流7の風速U1、第2噴流8の風速U2、第3噴流9の風速U3の関係は、U2>U1、U2>U3として説明したが、U2>U1>U3のように設定することにより、より効果を上げることができる。すなわち、中央部の第1噴流7の風速、すなわち、風量を確保することにより、供給する熱量を確保できることになる。なお、第1噴流7の風速U1と第3噴流9の風速U3の大小関係については、U1≧U3であってもよい。
【0038】
また、第3噴流9を第1噴流7よりも遅くすることにより、速度差に伴うせん断力によって減速される第2噴流8が外周側(第3噴出口6の延長線側)に優先的に広がる傾向となる。このことは、空調空気Aである噴流が広範囲に広がることに寄与する。また、第1噴流7は第2噴流8よりも遅くする必要があるが、第1噴流7は空調空気Aの搬送流量をある程度賄う必要があり、過度な減速により空調空気Aの搬送流量が減ってしまうことも避けなければならない。つまり、第3噴流9よりも第1噴流7を早くする方が、前述の目的を達成するのに適している。
【0039】
本実施の形態では、隣接する3つの噴出口(第1噴出口4、第2噴出口5、第3噴出口6)を用いて説明したが、この形態に限定されるものではない。すなわち、最外周に第3噴出口6を備え、第3噴出口6の内周側に隣接した第2噴出口5、第2噴出口5の内周側であって、中心部に円柱状に噴出する第1噴出口4を備えればよい。例えば、第1噴出口4と第2噴出口5とが隣接せず、間に第4の噴出口、さらに追加の噴出口を設けてもよいし、閉鎖領域があってもよい。
【0040】
(実施の形態2)
図5に示すように、第2の実施の形態の流体搬送装置1は、実施の形態1と同様に、空調ダクト2に取り付けられ、第1噴出口4、第2噴出口5、第3噴出口6を有する。本実施の形態の特徴として、第2噴流8の風速U2を上げる増速機構を設けたものとなっている。増速機構としては、第2噴出口5の風上位置、すなわち、第2流路5aに羽根車10を設け、当該羽根車10に回転駆動力を与える電動機11を接続する。本実施の形態では、第1流路4a内に電動機11を配置している。羽根車10は、第1流路4aの壁面と同径の円筒部を有し、その外周側に羽根を備えたものである。すなわち、羽根車10の円筒部の内周側は第1流路4aの一部となり、羽根車10の円筒部の外周側は第2流路5aとなる。羽根車10は、電動機11を駆動することによって、円筒部ごと羽根が回転するものとなっている。そして、羽根車10の回転によって、第2流路5aを流れる風速を上げることができ、結果、第2噴流8の風速U2を上げることができる。
【0041】
さらに、第1噴出口4および第3噴出口6それぞれの風上位置、すなわち、第1流路4a内、第3流路6a内に圧力損失要素12、13を設けてもよい。本実施の形態における圧力損失要素12は、第1流路4a内に設けられ、第1流路4aの流路断面積を小さくする壁部である。また、圧力損失要素13は、第3流路6a内に設けられ、第3流路6aの流路断面積を小さくする壁部である。圧力損失要素12は、第1流路4aを流れる風速、および、第1噴流の風速U1を下げることになり、圧力損失要素13は、第3流路6aを流れる風速、および、第3噴流の風速U3を下げることになる。そして、圧力損失要素12、13の大きさを調整することによって、第1噴流7の風速U1、第3噴流9の風速U3の調整をすることもできる。
【0042】
この構成により、第1噴出口4から噴出される風速U1、第2噴出口5から噴出される風速U2、第3噴出口6から噴出される風速U3について、U1<U2、U3<U2となるよう噴流を容易に構成することができる。なお、本実施の形態において、圧力損失要素12、13は、流路に突起物を設けるように示しているが、流路を狭くすること等で構成してもよい。あるいは、圧力損失要素12、13は、パンチングメタルやフィルタによって構成してもよい。
【0043】
(実施の形態3)
図6に示すように、第3の実施の形態の流体搬送装置1は、実施の形態1と同様に、空調ダクト2に取り付けられ、第1噴出口4、第2噴出口5、第3噴出口6を有する。本実施の形態の特徴としては、第1噴出口4の風上位置、すなわち、第1流路4aに風車部として風車14が設けられている。また、第2噴出口5の風上位置、すなわち、第2流路5aに羽根車部として羽根車15を設けて風車14と連接させる。つまり、風車14と羽根車15は、回転軸を同軸にして、1つの回転体となっている。
【0044】
さらに詳しく説明すると、風車14は、第1流路4aの圧力損失要素として第1流路4aを遮るように設置され、風車14はその風上と風下との圧力差により回転をする。すなわち、風車14と羽根車15が一体となった回転体は、第1流路4aを流れる空気を動力にして回転する。第1流路4aは、風車14の下流側で流路径を小さくしてあり、第1噴出口4から噴出する風速(第1噴流7の風速U1)を上げるようになっている。
【0045】
上述のように、風車14の下流側で第1流路4aの流路径が小さくなるよう、第1流路4aと第2流路5aの境界部の一部は、下流側が小さくなる円錐台状になっている。この円錐台状の部分の外周側となる第2流路5a内に羽根車15の羽根が設けられている。つまり、第1流路4a(と第2流路5a)の円錐台状の壁面ごと回転する羽根車15となっている。そして、羽根車15は、風車14と回転軸で連結されて1つの回転体となっている。羽根車15の羽根は円錐台状の壁面に設けられているので、羽根車15は、斜流ファンとして機能する。すなわち、羽根車15は、第2流路5aを流れる空気の増速機構となっている。
【0046】
このような構成により、風車14は、その風上と風下との圧力差により回転をすると同時に、第1流路4aの圧力損失要素の役割を担う。さらに、風車14の回転により得られる回転力を、羽根車15の回転駆動源とすることができる。そして、第1噴出口4から噴出される風速U1、第2噴出口5から噴出される風速U2、第3噴出口6から噴出される風速U3について、U1<U2、U3<U2となるよう噴流を容易に構成することができる。また、増速用の羽根車15の駆動源として電動機を使用する必要がないため、電気部材、電気工事を必要とせず、且つエネルギー消費を抑制することが可能となる。
【0047】
なお、第2の実施の形態のように、第3流路6aに圧力損失要素13を設け、第3噴流9の風速U3を下げるようにしてもよい。
【0048】
(実施の形態4)
図7は、第4の実施の形態の流体搬送装置の斜視図である。図8は、本実施の形態の流体搬送装置を構成する延長部の斜視図である。図9は、本実施の形態の流体搬送装置の断面図である。図10および図11は、本実施の形態よりも、各流路それぞれの拡大角度を大きくした場合における流体搬送装置内を流れる空調空気の内部流とその内部流の剥離領域を模擬的に表した断面図である。図12は、本実施の形態の変形例1の(a)斜視図と(b)断面図である。図13は、本実施の形態の変形例2の断面図である。また、図9から図13は、延長部を構成するボルト、ナットは省いて記載している。
【0049】
図7に示すように、第4の実施の形態の流体搬送装置1は、実施の形態1と同様に、空調ダクト2(図示せず)に取り付けられ、ノズル部3の先端に第1噴出口4、第2噴出口5、第3噴出口6を有する。ノズル部3は、流体搬送装置1の流路断面積が最小となる絞り部51から先端の噴出口(第1噴出口4、第2噴出口5、第3噴出口6)に向けて拡大する延長部37を有している。本実施の形態の特徴としては、第1噴出口4と第2噴出口5と第3噴出口6の合計面積(図7では、噴出口外周30として破線で示す領域内の面積)が、流体搬送装置1内部において空調空気の流路断面積が最小となるノズル部3の流路断面積(図7では、絞り部外周31として破線で示す領域内の面積)よりも大きくなるように構成されている。
【0050】
さらに詳しく説明すると、図8図9に示すように、延長部37は、同心軸Xを中心軸とした、円錐台形状の第1仕切板32、第2仕切板33、第3仕切板34を有している。そして、この第1仕切板32、第2仕切板33、第3仕切板34を外周面として、第1流路4a、第2流路5a、第3流路6aが形成される。第1仕切板32、第2仕切板33、第3仕切板34の3枚の仕切板は、薄肉の中空円錐台状に形成される。第1仕切板32と第2仕切板33、第2仕切板33と第3仕切板34は、それぞれ6本のボルト35と6個のナット36把持される。延長部37は、流体搬送装置1の本体側の外周に3本のボルト35と3個のナット36によって接続されている。
【0051】
このように、第3仕切板34が円錐台形状となっているので、第3仕切板34の流体搬送装置1本体側端部で、延長部37における流路断面積の最小部、すなわち、絞り部51となっている。
【0052】
そして、それぞれの仕切板の内径は、第1仕切板32<第2仕切板33<第3仕切板34の大小関係を有している。従って前述の通り、図9に示すように、第1仕切板32の内周側には第1流路4a、第1仕切板32と第2仕切板33とで挟まれた領域は第2流路5a、第2仕切板33と第3仕切板34とで挟まれた領域は第3流路6aが形成されることになる。
【0053】
また、図9に示すように、本実施の形態では、第1仕切板32、第2仕切板33、第3仕切板34は、それぞれの開き角度39、40、41が6°、12°、20°になるように漸次拡大されている。ここでの、開き角度とは、図9に示すように、各仕切板の同心軸X方向においてハの字に開いている角度として定義している。
【0054】
第1噴出口4、第2噴出口5、第3噴出口6からの吹出し風速U1、U2、U3は、第1流路4a、第2流路5a、第3流路6aの流路断面積の拡大率によって決まることになる。すなわち、上述のとおり、第1仕切板32は、第1噴出口4側に向けて拡大する円錐台形状なので、第1流路4aの入口側断面積S1iと出口側断面積S1oの比に従って風速は変化することになる。例えば入口での風速U0とすると、第1噴出口4における風速U1は、
U1=U0×S1i/S1o
となる。第2噴出口5における風速U2、第3噴出口6における風速U3についても同様であり、第1流路4a、第2流路5a、第3流路6aの流路断面積の拡大率を調整することにより、U1<U2、U3<U2となるように、第1噴流7、第2噴流8、第3噴流9を噴出することが可能になる。
【0055】
先述の通り、気流とその気流周囲の静止している空気の接触部においては、静止している空気が気流に誘引されて流れが発生する現象が起こる。しかし、この誘引量は気流の速度が小さいほど小さくなる。つまり、流体搬送装置1から噴き出す空調空気の風量が同一の場合、第1噴出口4、第2噴出口5、第3噴出口6の面積が大きいほど第1噴流7、第2噴流8、第3噴流9の風速は低下するため、各噴流の静止している外気の誘引量が低下する。
【0056】
本実施の形態では、第1噴出口4と第2噴出口5と第3噴出口6の合計面積(本実施の形態では、噴出口外周30が囲む面積)が、絞り部51の外周(絞り部外周31)の流路断面積よりも大きくなるように構成されている。そのため、第1噴出口4、第2噴出口5、第3噴出口6から噴き出された第1噴流7、第2噴流8、第3噴流9と、その周囲の静止している外気との速度差が小さくなり、外気の誘引量を抑制することが可能になる。つまり、夏季の冷房運転の性能低下および冬季の暖房運転の性能低下を抑制することができる。
【0057】
また、第1噴流7、第2噴流8、第3噴流9の風速を低下させることで、一定距離離れた地点における風速も抑制することができる。そのため、直接噴流があたることによる体感や耳元での風切音の発生による不快感を抑制することできる。
【0058】
つまり、噴き出し面積を大きくするほど、先述の効果を更に高めることが可能になるわけである。そのために、本実施の形態では、第1噴出口4と第2噴出口5と第3噴出口6の合計面積を大きくするために、第1仕切板32、第2仕切板33、第3仕切板34の開き角度39、40、41を大きく設定することができる。
【0059】
しかし、空気という流体の性質上、一般的に流路の拡大角度を14°あるいはそれ以上に設定すると、気流は壁面に沿って流れることができずに渦を形成する剥離領域が発生してしまうことが知られている。本実施の形態での流路の拡大確度は、隣り合う仕切り板が形成する角度であり、同心軸Xを含んだ平面で延長部37を切断したときに、隣り合う仕切り板が形成する角度である。
【0060】
この剥離領域における流体のふるまいについて説明する。この剥離領域は、発生場所によって、いくつかの悪影響を及ぼしてしまうことになる。今回は、流体搬送装置1から一定量の空調空気を創出する場合について記述する。
【0061】
例えば、図10に示すように、第1噴出口4、第2噴出口5、第3噴出口6周辺以外で、すなわち、第1流路4a、第2流路5a、第3流路6aの上流側において内部流Cの剥離領域Dが発生する場合は、空調空気を創出するために必要とされる空調機の圧力が高まり、空調機の消費電力が増加することになる。
【0062】
また、図11に示すように、第1噴出口4、第2噴出口5、第3噴出口6周辺で、すなわち、第1流路4a、第2流路5a、第3流路6aの下流端近くにおいて内部流Cの剥離領域Dが発生する場合は、第1噴出口4、第2噴出口5、第3噴出口6の噴出面積が実質的に小さくなる。従って、噴出口付近で高風速領域の形成や、噴き出す前から外気の流体搬送装置1内への流れ込みEが発生する。これらの現象により誘引量の増加を招くことになるため、各流路の拡大角度は14°以下に設定することが望ましい。
【0063】
そこで、本実施の形態では、第1流路4a、第2流路5a、第3流路6aのそれぞれの拡大角度42、43、44を、6°、6°、8°になるように設定している。この設定により、剥離領域Dを発生させずに、第1噴出口4と第2噴出口5と第3噴出口6の合計面積を十分に大きく設定することとなり、で第1噴流7、第2噴流8、第3噴流9の風速を抑制している。
【0064】
なお、本実施の形態では、第1仕切板32、第2仕切板33、第3仕切板34を円錐台形状としたが、角錐台形状であっても構わない。あるいは、第1仕切板32、第2仕切板33、第3仕切板34は、円錐台形状、角錐台形状の組み合わせであっても構わない。
【0065】
また、本実施の形態では、第1流路4a、第2流路5a、第3流路6aを漸次拡大としているが、必ずしも漸次拡大とする必要はない。例えば、図12(a)に示すように、第1噴出口4と第2噴出口5と第3噴出口6の合計面積を絞り部51の流路断面積よりも大きくすることができれば、第3仕切板34を中空円管状など構造にしてもかまわない(図示はしていないが、第1仕切板32や第2仕切板33も同様である)。ただし、図12(b)に示すように、絞り部51と第3流路6aの接続部で急拡大部45が形成されると、内部流Cの剥離領域Dができる。そのため、必要以上に空気を送出するための圧力が必要となり、空調機の消費電力が増加することになる。
【0066】
また、本実施の形態では、第1仕切板32を第2仕切板33よりも長くして、上流側に延ばした状態となっている。すなわち、第1流路4aは、第2流路5a、第3流路6aよりも長くなっている。このような構成により、第1流路4aの入口面積と出口面積の比を大きくして第1噴出口4における風速U1を遅くすることができる。また、第1流路4aを長くして、第1噴出口4における風速U1を遅くすることができる。このように、第1流路4aや第3流路6aの長さを適宜変更することによって、U1<U2、U3<U2の条件になるようにしてもよい。
【0067】
また、各噴出口の風速は、各流路を流れる風量を各噴出口の面積で除することで決定される。そのため、例えば、第3噴出口6の面積を第2噴出口5の面積よりも小さくする場合は、U3>U2とならないようにする。例えば、第3流路6aを第2流路5aよりも長くするとよい。このような構成により、第3流路6aの圧力損失は第2流路5aの圧力損失よりも大きくなり、第3流路6aを流れる空調空気の風量を抑制して、U3<U2に設定することが可能になる。
【0068】
また、本実施の形態では、第1流路4aの上流端は、第2流路5a、第3流路6aよりも上流側に延設しているが、必ずしもこの形態でなくてもよい。例えば、図13に示すように、第1仕切板32、第2仕切板33を噴出口近傍にのみ設けてもよい。ただし、各流路内での剥離を抑えながら流路を拡大するためには、適切な流路長さを確保する必要がある。
【0069】
また、本実施の形態では、延長部37は、流体搬送装置1本体に取り付ける構造としているが、特に限定するものではなく、流体搬送装置1本体と延長部37を一体とした構成にしてもかまわない。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、空気調和などを目的とした流体搬送に用いることが可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 流体搬送装置
2 空調ダクト
3 ノズル部
4 第1噴出口
4a 第1流路
5 第2噴出口
5a 第2流路
6 第3噴出口
6a 第3流路
7 第1噴流
8 第2噴流
9 第3噴流
10 羽根車
11 電動機
12 第1噴出口の圧力損失要素
13 第3噴出口の圧力損失要素
14 風車
15 羽根車
30 噴出口外周
31 絞り部外周
32 第1仕切板
33 第2仕切板
34 第3仕切板
35 ボルト
36 ナット
37 延長部
39、40、41 開き角度
42、43、44 拡大角度
45 急拡大部
51 絞り部
101 流体噴出ノズル
102 空調ダクト
103 開口部
104 鍔状部材
105 固定部材
106 ノズル本体
107 吹き出し部
A 空調空気
B 周囲空気
C 内部流
D 剥離領域
E 流れ込み
X 同心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14