(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】作業データ分析装置、作業管理システム、作業データ分析方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20240830BHJP
G06Q 10/0639 20230101ALN20240830BHJP
G06Q 10/08 20240101ALN20240830BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q10/0639
G06Q10/08
(21)【出願番号】P 2021196400
(22)【出願日】2021-12-02
【審査請求日】2023-10-10
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 雅典
(72)【発明者】
【氏名】坂本 優太
(72)【発明者】
【氏名】一力 知一
(72)【発明者】
【氏名】石井 智大
(72)【発明者】
【氏名】平山 健太郎
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】特許第6789590(JP,B1)
【文献】特表2008-512732(JP,A)
【文献】特開2017-010277(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G06Q 10/0639
G06Q 10/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の作業主体により実施される一連の作業の状況を記録した作業データから、前記一連の作業を構成する各作業について、作業主体による作業の状況を撮像した撮像データと、前記作業主体に対する作業開始の指示データ及び前記作業主体による作業完了を示す操作データの少なくとも一方を含む管理データと、の両方に基づいて、作業の所要時間を特定し、かつ、前記作業を作業内容の付加価値の程度に応じたカテゴリに分類する処理部と、
前記各作業の前記所要時間及び前記カテゴリを含む情報をグラフで出力する出力部と、
前記グラフから1つのカテゴリの指定を受け付ける受付部と、を備え、
前記出力部は、前記撮像データのうち、指定された前記カテゴリに対応する作業の状況を撮像した撮像データを出力
し、
前記指示データは、前記作業主体に対して作業開始を指示する画像データを含む、
作業データ分析装置。
【請求項2】
複数の作業主体により実施される一連の作業の状況を記録した作業データから、前記一連の作業を構成する各作業について、作業主体による作業の状況を撮像した撮像データと、前記作業主体に対する作業開始の指示データ及び前記作業主体による作業完了を示す操作データの少なくとも一方を含む管理データと、の両方に基づいて、作業の所要時間を特定し、かつ、前記作業を作業内容の付加価値の程度に応じたカテゴリに分類する処理部と、
前記各作業の前記所要時間及び前記カテゴリを含む情報をグラフで出力する出力部と、
前記グラフから1つのカテゴリの指定を受け付ける受付部と、を備え、
前記出力部は、前記撮像データのうち、指定された前記カテゴリに対応する作業の状況を撮像した撮像データを出力し、
前記操作データは、前記作業主体により作業完了を示す操作を端末装置に入力した際の時刻情報を含む、
作業データ分析装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記操作データにおいて、作業完了と判断された時刻より後に、前記撮像データにおいて前記作業主体の動作が検知された場合、当該動作は非付加価値動作と判断し、非付加価値作業のカテゴリに分類する、
請求項2に記載の作業データ分析装置。
【請求項4】
前記一連の作業を構成する前記各作業は、同一ライン上で複数の作業が同時かつ周期的に実施される中で1つのサイクル時間内に実施される作業である、
請求項1又は2に記載の作業データ分析装置。
【請求項5】
複数の作業主体により実施される一連の作業の状況を記録した作業データから、前記一連の作業を構成する各作業について、作業主体による作業の状況を撮像した撮像データと、前記作業主体に対する作業開始の指示データ及び前記作業主体による作業完了を示す操作データの少なくとも一方を含む管理データと、の両方に基づいて、作業の所要時間を特定し、かつ、前記作業を作業内容の付加価値の程度に応じたカテゴリに分類する処理部と、
前記各作業の前記所要時間及び前記カテゴリを含む情報をグラフで出力する出力部と、
前記グラフから1つのカテゴリの指定を受け付ける受付部と、を備え、
前記出力部は、前記撮像データのうち、指定された前記カテゴリに対応する作業の状況を撮像した撮像データを出力し、
前記撮像データは、複数の作業場所に設置された複数のカメラから得られた撮像画像、及び前記撮像画像が撮像された前記複数の作業場所の情報を含み、
前記受付部が、前記1つのカテゴリ、及び作業場所の組合せの指定を受け付けると、前記出力部は、前記撮像データのうち、指定された前記作業場所及び指定された前記カテゴリに対応する作業の状況を撮像した撮像データを出力する、
作業データ分析装置。
【請求項6】
前記カテゴリは、主作業である付加価値作業、及び非付加価値作業を含む、
請求項1,2,5のいずれか一項に記載の作業データ分析装置。
【請求項7】
前記カテゴリは、定常作業、非定常作業、及び無作業を含む、
請求項1,2,5のいずれか一項に記載の作業データ分析装置。
【請求項8】
前記カテゴリは、主作業である付加価値作業及び付帯作業を含み、
前記付帯作業は、前記付加価値作業の遂行に必要な作業である、
請求項1,2,5のいずれか一項に記載の作業データ分析装置。
【請求項9】
複数の作業主体により実施される一連の作業の状況を記録した作業データから、前記一連の作業を構成する各作業について、作業主体による作業の状況を撮像した撮像データと、前記作業主体に対する作業開始の指示データ及び前記作業主体による作業完了を示す操作データの少なくとも一方を含む管理データと、の両方に基づいて、作業の所要時間を特定し、かつ、前記作業を作業内容の付加価値の程度に応じたカテゴリに分類する処理部と、
前記各作業の前記所要時間及び前記カテゴリを含む情報をグラフで出力する出力部と、
前記グラフから1つのカテゴリの指定を受け付ける受付部と、を備え、
前記出力部は、前記撮像データのうち、指定された前記カテゴリに対応する作業の状況を撮像した撮像データを出力し、
前記一連の作業を構成する前記各作業は、同一ライン上で複数の作業が同時かつ周期的に実施される中で1つのサイクル時間内に実施される作業であり、
前記撮像データは、前記同一ライン上の複数の作業場所に設置された複数のカメラから得られた撮像画像、及び前記撮像画像が撮像された前記複数の作業場所の情報を含み、
前記受付部が、前記1つのカテゴリ、及び作業場所の組合せの指定を受け付けると、前記出力部は、前記撮像データのうち、指定された前記作業場所及び指定された前記カテゴリに対応する前記作業の状況を撮像した撮像データを出力する、
作業データ分析装置。
【請求項10】
前記出力部は、複数のサイクルについて、各サイクル時間を比較可能な態様で出力する、
請求項9に記載の作業データ分析装置。
【請求項11】
前記受付部は、所定期間から日付又は時間帯を指定する操作を受け付け、
前記出力部は、指定された前記日付又は前記時間帯における1サイクルの時間を比較可能な態様で出力する、
請求項10に記載の作業データ分析装置。
【請求項12】
前記受付部は、前記複数のサイクルのうち一のサイクルを指定する操作を受け付け、
前記出力部は、指定された前記サイクルにおける、前記複数の作業場所に対応する画像を出力する、
請求項10に記載の作業データ分析装置。
【請求項13】
前記処理部は、前記各作業におけるカテゴリ別の所要時間の実績値を算出し、予め設定した標準値と前記実績値に基づいて、最適値を算出し、
前記出力部は、前記実績値及び前記最適値を比較可能な態様で出力する、
請求項1,2,5,9のいずれか一項に記載の作業データ分析装置。
【請求項14】
複数の作業を管理する作業管理システムであって、
カメラと、
作業データ分析装置と、を備え、
前記作業データ分析装置は、
前記カメラから取得した、複数の作業主体により実施される一連の作業の状況を記録した作業データから、前記一連の作業を構成する各作業について、作業主体による作業の状況を撮像した撮像データと、前記作業主体に対する作業開始の指示データ及び前記作業主体による作業完了を示す操作データの少なくとも一方を含む管理データと、の両方に基づいて、作業の所要時間を特定し、かつ、前記作業を作業内容の付加価値の程度に応じたカテゴリに分類する処理部と、
前記各作業の前記所要時間及び前記カテゴリを含む情報をグラフで出力する出力部と、
前記グラフから1つのカテゴリの指定を受け付ける受付部と、を備え、
前記出力部は、前記撮像データのうち、指定された前記カテゴリに対応する作業の状況を撮像した撮像データを出力し、
前記指示データは、前記作業主体に対して作業開始を指示する画像データを含む、
作業管理システム。
【請求項15】
コンピュータが、
複数の作業主体により実施される一連の作業の状況を記録した作業データから、前記一連の作業を構成する各作業について、作業主体による作業の状況を撮像した撮像データと、前記作業主体に対する作業開始の指示データ及び前記作業主体による作業完了を示す操作データの少なくとも一方を含む管理データと、の両方に基づいて、作業の所要時間を特定し、かつ、前記作業を作業内容の付加価値の程度に応じたカテゴリに分類し、
前記各作業の前記所要時間及び前記カテゴリを含む情報をグラフで出力し、
前記グラフから1つのカテゴリの指定を受け付けると、前記撮像データのうち、指定された前記カテゴリに対応する作業の状況を撮像した撮像データを出力し、
前記指示データは、前記作業主体に対して作業開始を指示する画像データを含む、
作業データ分析方法。
【請求項16】
複数の作業主体により実施される一連の作業の状況を記録した作業データから、前記一連の作業を構成する各作業について、作業主体による作業の状況を撮像した撮像データと、前記作業主体に対する作業開始の指示データ及び前記作業主体による作業完了を示す操作データの少なくとも一方を含む管理データと、の両方に基づいて、作業の所要時間を特定し、かつ、前記作業を作業内容の付加価値の程度に応じたカテゴリに分類し、
前記各作業の前記所要時間及び前記カテゴリを含む情報をグラフで出力し、
前記グラフから1つのカテゴリの指定を受け付けると、前記撮像データのうち、指定された前記カテゴリに対応する作業の状況を撮像した撮像データを出力する、ことをコンピュータに実行させ、
前記指示データは、前記作業主体に対して作業開始を指示する画像データを含む、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業データ分析装置、作業管理システム、作業データ分析方法及びプログラムに関し、より詳細には、作業における付加価値の向上を支援する作業データ分析装置、作業管理システム、作業データ分析方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、各作業者の身体の異なる部位に装着された複数の加速度センサ等からのデータを基に、作業内容の特定及び分析を行い、分析結果(作業の所要時間を昼夜別に、曜日間で比較可能な画面)を表示するものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ある作業現場で複数の作業が行われる場合、一部の作業が非効率であると、他の作業も影響を受け、複数の作業全体の効率が低下する可能性がある。特に、複数の作業が複数の場所で同時に行われるライン作業の場合は、あるサイクルにおいて複数の作業が全て完了しないと、次のサイクルにおける複数の作業を開始できないため、一の作業が遅れると、ライン作業全体が遅延する結果、ライン作業によって生み出される付加価値は低下する。
【0005】
特許文献1に記載のものにおいて、非効率な作業を効率化し、付加価値の向上を図ろうとする場合、ユーザは、表示された分析結果を参照して、例えば、作業の所要時間が長い時間帯(曜日、及び昼夜の別)を特定し、その時間帯に作業現場に出向いて複数の作業を観察することで、作業を特定する必要がある。このため、特許文献1に記載のものでは、複数の作業における効率化、ひいては付加価値の向上を図ることは、容易でなかった。
【0006】
本開示の目的は、複数の作業における付加価値の向上を支援できる作業データ分析装置、作業管理システム、作業データ分析方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る作業データ分析装置は、処理部と出力部と受付部とを備える。前記処理部は、複数の作業主体により実施される一連の作業の状況を記録した作業データから、前記一連の作業を構成する各作業について、作業主体による作業の状況を撮像した撮像データと、前記作業主体に対する作業開始の指示データ及び前記作業主体による作業完了を示す操作データの少なくとも一方を含む管理データと、の両方に基づいて、作業の所要時間を特定し、かつ、前記作業を作業内容の付加価値の程度に応じたカテゴリに分類する。前記出力部は、前記各作業の前記所要時間及び前記カテゴリを含む情報をグラフで出力する。前記受付部は、前記グラフから1つのカテゴリの指定を受け付け、前記出力部は、前記撮像データのうち、指定された前記カテゴリに対応する作業の状況を撮像した撮像データを出力する。前記指示データは、前記作業主体に対して作業開始を指示する画像データを含む。
本開示の一態様に係る作業データ分析装置は、処理部と出力部と受付部とを備える。前記処理部は、複数の作業主体により実施される一連の作業の状況を記録した作業データから、前記一連の作業を構成する各作業について、作業主体による作業の状況を撮像した撮像データと、前記作業主体に対する作業開始の指示データ及び前記作業主体による作業完了を示す操作データの少なくとも一方を含む管理データと、の両方に基づいて、作業の所要時間を特定し、かつ、前記作業を作業内容の付加価値の程度に応じたカテゴリに分類する。前記出力部は、前記各作業の前記所要時間及び前記カテゴリを含む情報をグラフで出力する。前記受付部は、前記グラフから1つのカテゴリの指定を受け付け、前記出力部は、前記撮像データのうち、指定された前記カテゴリに対応する作業の状況を撮像した撮像データを出力する。前記操作データは、前記作業主体により作業完了を示す操作を端末装置に入力した際の時刻情報を含む。
本開示の一態様に係る作業データ分析装置は、処理部と出力部と受付部とを備える。前記処理部は、複数の作業主体により実施される一連の作業の状況を記録した作業データから、前記一連の作業を構成する各作業について、作業主体による作業の状況を撮像した撮像データと、前記作業主体に対する作業開始の指示データ及び前記作業主体による作業完了を示す操作データの少なくとも一方を含む管理データと、の両方に基づいて、作業の所要時間を特定し、かつ、前記作業を作業内容の付加価値の程度に応じたカテゴリに分類する。前記出力部は、前記各作業の前記所要時間及び前記カテゴリを含む情報をグラフで出力する。前記受付部は、前記グラフから1つのカテゴリの指定を受け付け、前記出力部は、前記撮像データのうち、指定された前記カテゴリに対応する作業の状況を撮像した撮像データを出力する。前記撮像データは、複数の作業場所に設置された複数のカメラから得られた撮像画像、及び前記撮像画像が撮像された前記複数の作業場所の情報を含む。前記受付部が、前記1つのカテゴリ、及び作業場所の組合せの指定を受け付けると、前記出力部は、前記撮像データのうち、指定された前記作業場所及び指定された前記カテゴリに対応する作業の状況を撮像した撮像データを出力する。
本開示の一態様に係る作業データ分析装置は、処理部と出力部と受付部とを備える。前記処理部は、複数の作業主体により実施される一連の作業の状況を記録した作業データから、前記一連の作業を構成する各作業について、作業主体による作業の状況を撮像した撮像データと、前記作業主体に対する作業開始の指示データ及び前記作業主体による作業完了を示す操作データの少なくとも一方を含む管理データと、の両方に基づいて、作業の所要時間を特定し、かつ、前記作業を作業内容の付加価値の程度に応じたカテゴリに分類する。前記出力部は、前記各作業の前記所要時間及び前記カテゴリを含む情報をグラフで出力する。前記受付部は、前記グラフから1つのカテゴリの指定を受け付け、前記出力部は、前記撮像データのうち、指定された前記カテゴリに対応する作業の状況を撮像した撮像データを出力する。前記一連の作業を構成する前記各作業は、同一ライン上で複数の作業が同時かつ周期的に実施される中で1つのサイクル時間内に実施される作業である。前記撮像データは、前記同一ライン上の複数の作業場所に設置された複数のカメラから得られた撮像画像、及び前記撮像画像が撮像された前記複数の作業場所の情報を含む。前記受付部が、前記1つのカテゴリ、及び作業場所の組合せの指定を受け付けると、前記出力部は、前記撮像データのうち、指定された前記作業場所及び指定された前記カテゴリに対応する前記作業の状況を撮像した撮像データを出力する。
【0008】
本開示の一態様に係る作業管理システムは、複数の作業を管理する作業管理システムであって、カメラと作業データ分析装置とを備える。前記作業データ分析装置は、処理部と出力部と受付部とを備える。前記処理部は、前記カメラから取得した、複数の作業主体により実施される一連の作業の状況を記録した作業データから、前記一連の作業を構成する各作業について、作業主体による作業の状況を撮像した撮像データと、前記作業主体に対する作業開始の指示データ及び前記作業主体による作業完了を示す操作データの少なくとも一方を含む管理データと、の両方に基づいて、作業の所要時間を特定し、かつ、前記作業を作業内容の付加価値の程度に応じたカテゴリに分類する。前記出力部は、前記各作業の前記所要時間及び前記カテゴリを含む情報をグラフで出力する。前記受付部は、前記グラフから1つのカテゴリの指定を受け付け、前記出力部は、前記撮像データのうち、指定された前記カテゴリに対応する作業の状況を撮像した撮像データを出力する。前記指示データは、前記作業主体に対して作業開始を指示する画像データを含む。
【0009】
本開示の一態様に係る作業データ分析方法では、コンピュータが、複数の作業主体により実施される一連の作業の状況を記録した作業データから、前記一連の作業を構成する各作業について、作業主体による作業の状況を撮像した撮像データと、前記作業主体に対する作業開始の指示データ及び前記作業主体による作業完了を示す操作データの少なくとも一方を含む管理データと、の両方に基づいて、作業の所要時間を特定し、かつ、前記作業を作業内容の付加価値の程度に応じたカテゴリに分類する。そして、前記コンピュータは、前記各作業の前記所要時間及び前記カテゴリを含む情報をグラフで出力し、前記グラフから1つのカテゴリの指定を受け付けると、前記撮像データのうち、指定された前記カテゴリに対応する作業の状況を撮像した撮像データを出力する。前記指示データは、前記作業主体に対して作業開始を指示する画像データを含む。
【0010】
本開示の一態様に係るプログラムは、複数の作業主体により実施される一連の作業の状況を記録した作業データから、前記一連の作業を構成する各作業について、作業主体による作業の状況を撮像した撮像データと、前記作業主体に対する作業開始の指示データ及び前記作業主体による作業完了を示す操作データの少なくとも一方を含む管理データと、の両方に基づいて、作業の所要時間を特定し、かつ、前記作業を作業内容の付加価値の程度に応じてたカテゴリに分類する、ことをコンピュータに実行させる。そして、前記プログラムは、前記各作業の前記所要時間及び前記カテゴリを含む情報をグラフで出力し、前記グラフから1つのカテゴリの指定を受け付けると、前記撮像データのうち、指定された前記カテゴリに対応する作業の状況を撮像した撮像データを出力する、ことをコンピュータに更に実行させる。前記指示データは、前記作業主体に対して作業開始を指示する画像データを含む。
【発明の効果】
【0011】
本開示の一実施例によれば、複数の作業における付加価値の向上を支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係る作業データ分析装置を含む作業管理システムのブロック図である。
【
図2】
図2Aは、同上の作業管理システムが用いられる作業現場でのライン作業を構成する一のサイクルを示す図であり、
図2Bは、同上のライン作業を構成する他のサイクルを示す図であり、
図2Cは、同上のライン作業を構成するその他のサイクルを示す図である。
【
図3】
図3Aは、同上の作業データ分析装置において作業の分類に用いられる複数のカテゴリの一例、及び当該複数のカテゴリに対応する複数の作業時間の間の関係、を説明するための図であり、
図3Bは、同上の分類に用いられる他の複数のカテゴリの例、及び当該他の複数のカテゴリに対応する複数の作業時間の間の関係、を説明するための図である。
【
図4】
図4は、同上のライン作業を構成する複数のサイクルごとに、ラインに沿って配置された複数の場所の各々における、複数のカテゴリに対応する複数の作業時間の間の関係、を説明するための図である。
【
図5】
図5は、同上の作業データ分析装置の動作を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、同上の作業データ分析装置の出力例(時期比較画面)を示す図である。
【
図7】
図7は、同上の作業データ分析装置の他の出力例(サイクル比較画面)を示す図である。
【
図8】
図8は、同上の作業データ分析装置のその他の出力例(場所比較画面)を示す図である。
【
図9】
図9は、同上の作業データ分析装置の更にその他の出力例(場所区間撮像画像)を示す図である。
【
図10】
図10は、同上の作業データ分析装置の他の出力例(値比較画面)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0014】
(1)概要
(1-1)作業管理システム
本開示の実施形態に係る作業管理システム100は、複数の作業を管理する。複数の作業は、同じ場所で行われても、異なる場所で行われてもよい。また、複数の作業は、同じ期間に行われても、異なる期間に行われてもよい。
【0015】
本実施形態における複数の作業は、例えば、同じ場所で異なる期間に行われるが、異なる場所で同じ期間に行われてもよいし、異なる場所で異なる期間に行われても構わない。
【0016】
作業管理システム100は、作業データ分析装置1を備える。
【0017】
また、作業管理システム100は、例えば、
図1に示すように、1つ以上のカメラ2(本実施形態では、5つのカメラ21-25)と、管理装置3と、複数の端末装置4(本実施形態では、5つの端末装置41-45)と、を更に備える。
【0018】
作業データ分析装置1は、1つ以上のカメラ2、管理装置3、及び複数の端末装置4、の各々とネットワーク110を介して通信可能に接続される。ネットワーク110は、例えば、LANやインターネット等である。ただし、通信は、例えば、通信ケーブルによる接続でも、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線による接続でもよい。
【0019】
作業データ分析装置1は、プロセッサ及びメモリを含む。メモリには、プログラム及び各種の情報が格納され、プロセッサがメモリ内のプログラム及び各種の情報に基づいて動作することにより、作業データ分析装置1の機能(付加価値向上機能)が実現される。なお、プログラム及び各種の情報については後述する。また、このような付加価値向上機能を実現するプロセッサ及びメモリ、又はそれらを含むデバイスを「コンピュータ」と称してもよい。
【0020】
また、作業データ分析装置1は、通常、タッチパネルやキーボード等の入力デバイス、及びディスプレイやプリンタ等の出力デバイス、及びネットワーク110を介した通信を行うための通信モジュールなども有する。
【0021】
管理装置3、複数の端末装置4、及び1つ以上のカメラ2、の各々もまた、プロセッサ及びメモリ並びに通信モジュール等を有する。作業データ分析装置1のプロセッサ及びメモリは、管理装置3等のプロセッサ及びメモリと協働して、付加価値向上機能を実現してもよい。
【0022】
(1-1-1)作業データ分析装置
本開示の実施形態に係る作業データ分析装置1は、
図1に示すように、受付部11と、処理部12と、出力部13とを備える。
【0023】
受付部11は、各種の情報や各種の指示などを受け付ける。各種の情報とは、例えば、作業データであり、各種の操作とは、例えば、カテゴリ指定操作などである。なお、作業データやカテゴリ指定操作などについては後述する。
【0024】
受付部11による受け付けは、通常、通信モジュールを介した情報の受信、及び入力デバイスを介した操作の受け付けである。ただし、受け付けは、例えば、記録媒体から読み出された情報の受け付け、作業データ分析装置1を構成する他の要素から送信された情報の受け付け(受信)、なども含んでもよい。
【0025】
処理部12は、各種の処理を実行する。各種の処理とは、例えば、後述する特定部121などの処理である。また、処理部12は、フローチャートで説明する各種の判断なども行う。
【0026】
出力部13は、各種の情報を表示する。各種の情報とは、例えば、比較画像及び区間撮像画像などである。なお、比較画像等については後述する。
【0027】
出力部13による出力は、通常、ディスプレイへの表示である。ただし、出力は、例えば、通信モジュールを介した送信、プリンタによるプリントアウト、記録媒体への記録、他の要素への情報の送信、なども含んでもよい。
【0028】
(1-1-2)カメラ
カメラ2は、複数の作業が行われる場所の近傍に設置され、作業主体(通常、人であるが、機械でもよい)及び作業対象(例えば、商品、商品が収納される容器、等の物体)が存在する空間を撮像し、撮像画像を取得する。なお、撮像画像は、通常、動画像であるが、間欠的に取得される静止画像でもよい。
【0029】
本実施形態では、例えば、
図2A-
図2Cに示すように、ライン400(コンベア)を利用したライン作業(後述)が行われるため、ライン400に沿って複数のカメラ2(ここでは、5つのカメラ21-25)が設置される。
【0030】
5つのカメラ21-25はそれぞれ、ライン400沿いに区画された5つの場所401-405に向けられ、5つの場所401-405で行われるライン作業を撮像し、5つの場所401-405に対応する5つの撮像画像を取得する。
【0031】
ただし、複数の作業は、ライン作業(適用例3参照)に限らず、一の場所で順次的に行われる順次作業(適用例1参照)でもよいし、2次元的に分散された複数の場所で行われる分散作業(適用例2参照)でもよい。
【0032】
そして、異なる場所で行われる複数の作業(例えば、ライン作業又は分散作業)が、一のカメラ2で撮像されてもよい。その場合は、一のカメラ2による一の撮像画像から、例えば、管理装置3内での画像処理等によって、複数の場所(5つの場所401-405)に対応する複数の撮像画像(5つの部分撮像画像)と、当該複数の撮像画像に対応する複数(5つ)の場所特定情報と、が取得される。なお、一の場所で行われる複数の作業(例えば、順次作業)は、通常、一のカメラ2で撮像されるが、複数のカメラ2で異なるアングルから撮像されてもよい。
【0033】
1つ以上のカメラ2の各々は、取得した撮像画像を、作業データ分析装置1及び管理装置3の少なくとも一方に送信する。
【0034】
本実施形態におけるカメラ2は、場所特定情報を保持している。場所特定情報とは、作業が行われている場所を特定する情報である。なお、
図2の例のように、複数の場所(4つの場所401-405)と複数のカメラ2(5つのカメラ21-25)とが一対一に対応している場合、場所特定情報は、カメラ2自身を特定する情報(カメラ特定情報)でもある。場所特定情報は、例えば、場所名、ID等である。
【0035】
1つ以上のカメラ2の各々は、取得した撮像画像を、保持している場所特定情報に対応付けて送信する。ただし、カメラ2が1つだけの場合、場所特定情報は送信されなくてもよい。
【0036】
(1-1-3)管理装置
管理装置3は、管理データを格納する。管理データとは、複数の作業を管理するためのデータである。管理データは、前述した撮像画像を含む。
【0037】
管理装置3は、カメラ2から送信された撮像画像及び場所特定情報を受信し、当該受信した撮像画像を、当該受信した場所特定情報、及び時期特定情報に対応付けて蓄積する。
【0038】
時期特定情報とは、時期(例えば、日付、時間帯等)を特定する情報である。時期特定情報は、例えば、管理装置3のプロセッサの内蔵時計やNTP(Network Time Protocol)サーバ等からの現在時刻情報を基に取得される。なお、時期特定情報の詳細については後述する。
【0039】
管理装置3は、例えば、複数のカメラ2(ここでは5つのカメラ21-25)の各々から撮像画像及び場所特定情報を受信し、当該受信した撮像画像及び場所特定情報と、内蔵時計等の現在時刻情報を基に取得した時期特定情報と、の組(以下、組情報)をメモリに蓄積する。これによって、管理装置3のメモリには、カメラ2の数と同数(ここでは5つ)の組情報が格納される。
【0040】
本実施形態における管理データは、指示データ及び操作データを更に含む。指示データとは、作業を行う人(作業者)に対する指示(作業開始指示)に関するデータである。操作データとは、作業者による操作(完了操作)に関するデータである。なお、指示データ及び操作データの詳細については後述する。
【0041】
管理装置3は、指示データ及び操作データを更に格納する。本実施形態における管理装置3には、場所特定情報及び時刻情報の組に対応付けて、指示データ及び操作データが格納される。
【0042】
指示データに対応付いた場所特定情報は、指示が行われた場所(5つの場所401-405のいずれか)を特定する情報であり、指示データに対応付いた時刻情報は、指示が行われた時刻を示す情報である。同様に、操作データに対応付いた場所特定情報は、操作が受け付けられた場所(5つの場所401-405のいずれか)を特定する情報であり、操作データに対応付いた時刻情報は、操作が受け付けられた時刻を示す情報である。なお、時刻情報は、管理装置3が端末装置4を介して指示を行った又は操作を受け付けた時点での現在時刻情報を基に取得される。
【0043】
(1-1-4)端末装置
端末装置4は、複数の作業が行われる場所に設置され、作業を行う人(作業者)に対する指示(作業開始指示)を出力し、作業者による操作(完了操作)を受け付ける。
【0044】
本実施形態では、
図2に示したように、5つの端末装置41-45が、ライン作業が行われる5つの場所401-405にそれぞれ設置される。
【0045】
端末装置4(41-45)は、ランプ(41A-45A)及びボタン(41B-45B)を有する。作業者に対する指示は、ランプ(41A-45A)を介して行われ、作業者による操作は、ボタン(41B-45B)を介して受け付けられる。
【0046】
なお、作業開始指示は、5つのランプ41A-45Aの一斉点灯であり、完了操作は、5つのボタン41B-45Bの個別的な押下である。5つの端末装置41-45の各々は、管理装置3からの作業開始指示に応じてランプを点灯し、ボタン押下に応じて完了操作の受け付けを管理装置3に通知する。
【0047】
以上のように、作業データ分析装置1は、ユーザに対し、カテゴリ間での所要時間の違い(例えば、総所要時間に占める各カテゴリの所要時間の割合:占有率)を比較可能な比較画像を見せ、一のカテゴリを指定させ、指定カテゴリに対応する区間の区間撮像画像を見せる。ユーザは、区間撮像画像を基に、どのカテゴリのどの作業が付加価値向上の阻害要因となっているかを特定し、対策を講じることができる。こうして、作業管理システム100は、複数の作業における付加価値の向上を支援できる。
【0048】
また、作業データ分析装置1は、複数の作業について、期間及びカテゴリを特定し、作業特定情報を取得できる。
【0049】
さらに、作業データ分析装置1は、撮像画像を用いることで、期間及びカテゴリの特定精度の向上を図ることができる。
【0050】
(2)詳細
詳しくは、出力部13は、
図1に示すように、第1出力部131と、第2出力部132とを備える。
【0051】
なお、処理部12は、通常、
図1に示すように、特定部121を備える。ただし、特定部121については後述する。
【0052】
また、好ましくは、
図1に示すように、処理部12は、実績値取得部122及び最適値取得部123を更に備え、出力部13は、第3出力部133を更に備える。ただし、実績値取得部122等については後述する。
【0053】
第1出力部131は、行われた複数の作業について、複数の作業特定情報を基に、比較画像を出力する。
【0054】
第1出力部131は、比較画像を、通常、作業データ分析装置1が有するディスプレイに表示するが、他の装置(端末装置4等)に送信してもよい。
【0055】
(2-1)複数の作業
複数の作業は、例えば、ピッキングを含む。ここでいうピッキングとは、商品を収納用容器から取り出して配送用容器に収納する作業である。
【0056】
本実施形態における商品は、酒の瓶や紙パックである。収納用容器とは、商品を収納するための容器であり、本実施形態では、段ボール箱である(以下では、単に「箱」と記す)。配送用容器とは、商品を小売店に配送するための容器であり、本実施形態では、折り畳み式コンテナである(以下では、単に「コンテナ」と記す)。
【0057】
複数の作業は、付帯作業も含む。付帯作業とは、主作業に付帯する作業である。本実施形態では、ピッキングが主作業であり、付帯作業は、ピッキングに付帯する各種の作業(例えば、箱の折りたたみ、コンテナ内の商品の整理等)である。
【0058】
(2-1-1)複数の作業特定情報
作業特定情報とは、複数の作業の各々を特定する情報である。複数の作業特定情報の各々(以下、単に「作業特定情報」と記す)は、期間特定情報及びカテゴリ特定情報を含む。
【0059】
期間特定情報とは、作業が行われた期間を特定した結果である。期間特定情報は、例えば、開始時刻及び終了時刻を示す情報であるが、開始時刻及び所要時間を示す情報でもよい。
【0060】
カテゴリ特定情報とは、複数の作業における作業内容の付加価値の程度に応じて予め決められた複数のカテゴリ(以下、単に「複数のカテゴリ」と記す)のうち、作業が属するカテゴリを特定した結果である。
【0061】
カテゴリ情報は、例えば、カテゴリ名(“付加価値作業”,“非付加価値作業”等)であるが、カテゴリ名に対応付いたID(“付加価値作業”に対応する“1”,“非付加価値作業”に対応する“2”等)でもよい。または、カテゴリ情報は、カテゴリ名に対応付いた色(青色、オレンジ色、灰色等)やパターン(濃い網掛け、薄い網掛け等)で表現されてもよい。
【0062】
本実施形態における作業特定情報は、前述した場所特定情報(例えば、場所名、ID等)を更に含む。
【0063】
なお、複数の作業特定情報は、本実施形態では、作業データ分析装置1を構成する特定部121(後述)によって取得される。ただし、複数の作業特定情報は、他の装置(例えば、管理装置3、又は外部の装置)によって取得され、作業データ分析装置1に送信されてもよい。
【0064】
(2-1-2)複数のカテゴリ
複数のカテゴリは、例えば、付加価値作業及び非付加価値作業を含む。付加価値作業とは、付加価値を生む作業である。付加価値作業は、通常、主作業であり、本実施形態では、ピッキングである。
【0065】
非付加価値作業とは、付加価値を生まない作業である。非付加価値作業は、通常、主作業以外の作業である。
【0066】
こうして、作業データ分析装置1は、複数の作業を、付加価値作業と非付加価値作業とに分け、それらの間の所要時間の違い(例えば、複数の作業に対応する総所要時間に占める、付加価値作業の所要時間の割合)をユーザに認識させることができる。ユーザは、非付加価値作業の割合を抑制する対策を講じることで、付加価値の向上を図ることができる。
【0067】
また、複数のカテゴリは、例えば、付帯作業及び非付帯作業を更に含む。付帯作業及び非付帯作業は、非付加価値作業に属する。すなわち、付加価値作業及び非付加価値作業が上位カテゴリであり、付帯作業及び非付帯作業は、非付帯作業の下位カテゴリである。
【0068】
付帯作業とは、前述したように、主作業に付帯する作業である。付帯作業は、通常、付加価値は生まないが、主作業の遂行に必要な作業である。付帯作業は、例えば、箱の折りたたみ、コンテナ内の商品の整理などである。
【0069】
こうして、作業データ分析装置1は、非付加価値作業を、付加価値作業に付帯する付帯作業と、付帯作業以外の作業である非付帯作業とに分け、それらの間の所要時間の違いをユーザに認識させることができる。ユーザは、非付帯作業の割合を抑制する対策を講じることで、付加価値の向上を図ることができる。
【0070】
複数のカテゴリは、例えば、非定常作業及び無作業を更に含む。非定常作業及び無作業は、非付帯作業に属する。すなわち、非定常作業及び無作業は、非付加価値作業の下位カテゴリである。
【0071】
非定常作業とは、非定常的に発生する作業である。非定常作業は、通常、突発的に発生する作業である。非定常作業は、例えば、非付帯作業のうち、手待ち(無作業)以外の作業である。つまり、非定常作業は、付加価値作業、付帯作業及び無作業、のいずれにも分類されない作業、であってもよい。この場合、付加価値作業及び付帯作業が、定常作業に属する。
【0072】
無作業とは、作業に該当しない行為である。無作業は、通常、手待ちである。本実施形態における手待ちとは、主作業が終了し、付帯作業や非定常作業がある場合はそれも終了して、次の主作業の開始を待っている状態である。
【0073】
こうして、作業データ分析装置1は、非付帯作業を非定常作業と無作業とに分け、それらの間の所要時間の違いをユーザに認識させることができる。ユーザは、無作業の割合をより抑制する対策を講じることで、付加価値の向上を図ることができる。
【0074】
このように、本実施形態において、複数のカテゴリには、上位カテゴリである付帯作業及び非付帯作業と、非付帯作業の下位カテゴリ(中位カテゴリ)である付帯作業及び非付帯作業と、非付帯作業の下位カテゴリである非定常作業及び無作業と、が含まれており、複数の作業の各々は、これら複数のカテゴリのいずれかに分類される。
【0075】
(2-1-3)複数のカテゴリに対応する作業時間の区分
このような複数のカテゴリをライン作業(適用例3参照)に用いる場合、1サイクルに対応する作業時間(作業開始指示からコンベア移動開始までの時間)T0は、
図3Aに示すように区分される。
【0076】
すなわち、作業時間T0は、付加価値作業(主作業)時間T1と、非付加価値作業時間T2とに区分される。付加価値作業(主作業)時間T1とは、付加価値作業(主作業)の所要時間であり、非付加価値作業時間T2とは、付加価値作業の所要時間である。
【0077】
また、非付加価値作業時間T2は、付帯作業時間T21と、非付帯作業時間T22とに区分される。付帯作業時間T21とは、付帯作業の所要時間であり、非付帯作業時間T22とは、非付帯作業の所要時間である。
【0078】
さらに、非付帯作業時間T22は、非定常作業時間T221と、無作業(手待ち)時間T222とに区分される。非定常作業時間T221とは、非定常作業の所要時間であり、無作業(手待ち)時間T222とは、無作業つまり手待ちの時間である。
【0079】
または、作業時間T0は、
図3Bに示すように、主作業時間T1と、最長主作業待ち時間T2xと、全主作業完了後待ち時間T2yとに区分されてもよい。最長主作業待ち時間T2xとは、自己の主作業完了から、自己以外の主作業のうち最長の主作業が完了するまでの時間である。全主作業完了後待ち時間T2yとは、全主作業の完了からコンベア移動開始までの時間である。
【0080】
(2-1-4)複数のカテゴリの変形例
なお、複数のカテゴリには、上位カテゴリである定常作業、非定常作業及び手待ちと、定常作業の下位カテゴリである主作業及び付帯作業と、の計5つのカテゴリが含まれ、複数の作業の各々は、これら5つのカテゴリのいずれかに分類されてもよい。
【0081】
または、複数のカテゴリには、上位カテゴリである主作業及び付帯作業と、付帯作業の下位カテゴリである移動及びその他と、の計4つのカテゴリが含まれ、複数の作業の各々は、これら4つのカテゴリのいずれかに分類されてもよい。
【0082】
または、複数のカテゴリには、付帯作業、非付帯作業、及び手待ち、の3つが含まれ、複数の作業の各々は、これら3つのカテゴリのいずれかに分類されてもよい。
【0083】
(2-1-5)比較画像
比較画像とは、作業の所要時間を複数のカテゴリ間で比較可能に示す画像である。
【0084】
所要時間とは、作業の開始時刻及び終了時刻の間の差分である。比較される所要時間は、例えば、同じカテゴリに属する複数の作業に対応する複数の時間、を平均した平均時間であるが、当該複数の時間を合計した合計時間でもよい。
【0085】
比較可能に示すことは、通常、複数のカテゴリに対応する複数の所要時間を、一の画面内に並べて表示(同時表示)することである。ただし、比較可能に示すことは、例えば、複数のカテゴリに対応する複数の所要時間を、順次表示することでもよい。
【0086】
本実施形態における比較画像は、グラフ(棒グラフ・円グラフ・レーダーチャート等)である。
【0087】
比較画像は、例えば、一の画面内に、複数のカテゴリに対応する複数の棒ブラフを、複数のカテゴリ識別情報にそれぞれ対応付けて配置し、複数の棒ブラフの各々の長さを、所要時間に応じた長さとしたものである。複数の棒ブラフは、本実施形態では、一直線に並べられる(言い換えると、一の棒グラフを複数の矩形区画に区分したものである)が、互いに平行に並べられてもよい。
【0088】
または、比較画像は、例えば、一の円グラフを、複数のカテゴリに対応する複数の扇型区画に区分し、複数の扇型区画の各々の中心角を、所要時間に応じた大きさとしたものでもよい。
【0089】
なお、上記のような比較画像が、複数の場所特定情報の各々に対応付けて出力されてもよい。
【0090】
または、上記のような比較画像が、複数の時期特定情報の各々に対応付けて出力されてもよい。時期特定情報とは、前述したように、時期を特定する情報である。時期とは、サイクルよりも長い時間である。時期は、例えば、日、週、月、年などである。または、時期は、午前/午後/夜間、10時台/11時台といった、1日より短い時間帯でもよい。撮像画像には、時期特定情報が対応付いている。
【0091】
(2-1-6)カテゴリ指定操作
受付部11は、カテゴリ指定操作を受け付ける。なお、受付部11は、カテゴリ指定操作を、通常、作業データ分析装置1が有するキーボード等の入力デバイスを介して、受け付けるが、他の装置(端末装置4等)から受信してもよい。
【0092】
カテゴリ指定操作とは、第1出力部131が出力した比較画像に基づいて、複数のカテゴリのうち一のカテゴリを指定する操作である。カテゴリ指定操作は、例えば、前述した棒グラフ態様の比較画像において、複数のカテゴリに対応する複数の棒ブラフのうち一の棒グラフ(又は、一の棒ブラフを構成する複数の矩形区画のうち一の矩形区画)を選択する操作である。
【0093】
(2-1-7)区間撮像画像
第2出力部132は、区間撮像画像を出力する。なお、第2出力部132は、区間撮像画像を、通常、作業データ分析装置1が有するディスプレイに表示するが、他の装置(端末装置4等)に送信してもよい。
【0094】
区間撮像画像とは、複数の作業を撮像した1つ以上の撮像画像のうち、カテゴリ指定操作によって指定されたカテゴリに対応する区間、の画像である。
【0095】
(2-1-8)撮像画像
撮像画像とは、カメラ2で撮像された画像である。本実施形態における撮像画像は、作業主体及び作業対象が存在する空間を、カメラ2で撮像することにより取得される。作業主体は、通常、人(作業員等)であるが、機械(ロボット等)でもよい。作業対象は、例えば、商品(酒瓶等)、商品が収納される容器(箱,コンテナ等)、等の物体である。
【0096】
1つ以上の撮像画像は、一のカメラ2で一括的に撮像されても、複数のカメラ2で個別に撮像されてもよい。
【0097】
本実施形態では、
図2に示すように、ライン400に沿って5つのカメラ21-25が配置されており、これら5つのカメラ21-25によって、5つの撮像画像が取得される。
【0098】
5つのカメラ21-25からの5つの撮像画像は、管理装置3に蓄積される。第2出力部132は、管理装置3から5つの撮像画像を取得し、当該取得した5つの撮像画像のうち、指定されたカテゴリに対応する区間撮像画像を出力する。
【0099】
以上のように、作業データ分析装置1は、行われた複数の作業について、期間及びカテゴリを特定した結果である複数の作業特定情報を基に、所要時間をカテゴリ間で比較可能な比較画像を出力する。そして、作業データ分析装置1は、一のカテゴリを指定するカテゴリ指定操作を受け付け、複数の作業を撮像した撮像画像のうち、指定されたカテゴリに対応する区間の画像である区間撮像画像を出力する。
【0100】
つまり、作業データ分析装置1は、ユーザに対し、作業の所要時間のカテゴリによる違い(例えば、複数の作業の総所要時間に占める各カテゴリの所要時間の割合:占有率等)を比較可能な画像を見せ、一のカテゴリを指定させ、指定カテゴリに対応する区間の撮像画像を見せる。これによって、ユーザは、複数の作業のうち、どのカテゴリのどの作業が付加価値向上の阻害要因となっているかを特定し、対策を講じることができる。
【0101】
こうして、作業データ分析装置1は、複数の作業における付加価値の向上を支援できる。
【0102】
(2-1-9)作業特定情報の取得
作業データ分析装置1は、特定部121を更に備える。特定部121は、作業データを基に、複数の作業について、期間及びカテゴリを特定し、期間特定情報及びカテゴリ特定情報の組を含む複数の作業特定情報を取得する。
【0103】
特定部121は、複数の作業について、場所を更に特定し、期間特定情報を更に含む複数の作業特定情報を取得してもよい。
【0104】
本実施形態では、管理装置3のメモリに作業データが格納されており、特定部121は、管理装置3から作業データを受信し、当該作業データを基に、場所、期間及びカテゴリを特定し、場所特定情報、期間特定情報及びカテゴリ特定情報の組を含む複数の作業特定情報を取得する。
【0105】
(2-1-9a)作業データ
作業データとは、複数の作業に関する情報である。作業データは、通常、前述した撮像データである。すなわち、作業データは、例えば、1つ以上のカメラ2で撮像された1つ以上の撮像画像を含む。本実施形態における作業データは、5つのカメラ21~25で撮像された5つの撮像画像を含む。
【0106】
なお、作業データは、管理データを更に含むが、管理データについては後述する。
【0107】
(2-1-9b)作業データからの作業特定情報の取得手順
特定部121は、例えば、作業データを入力とし、複数の作業特定情報を出力とするアルゴリズムを用いて、複数の作業特定情報を取得する。
【0108】
前述したように、作業データは、1つ以上の撮像画像を含む。作業データには、管理データ(後述)が更に含まれることが好適である。
【0109】
アルゴリズムは、例えば、関数、モデル等を利用するアルゴリズムである。詳しくは、作業データ分析装置1のメモリに、複数のカテゴリ(付加価値作業,非付加価値作業等)に対応する複数の特徴データ(モデル:カテゴリ特定情報と特徴データとの対の集合)が格納されており、特定部121は、1つ以上の撮像画像に対して、複数の特徴データとのパターンマッチングを行うことで、区間分割及びカテゴリ分類を行い、複数の作業特定情報を取得する。
【0110】
なお、区間分割及びカテゴリ分類を行う際に、管理データを参照することで、特定精度の向上を図ることができる。例えば、管理データから作業が完了したと判断された後に、撮像画像から作業者の動作が検知された場合、特定部121は、当該動作は主作業ではない(非付加価値動作である)と判断してもよい。
【0111】
また、アルゴリズムは、例えば、機械学習を利用するアルゴリズムでもよい。このようなアルゴリズムは、例えば、作業特定アルゴリズムを含む。作業特定アルゴリズムは、作業データを入力とし、複数の作業特定情報を出力とする学習モデル、を用いて複数の作業特定情報を取得するアルゴリズムである。
【0112】
なお、学習モデルは、本例では作業データ分析装置1によって生成されるが、例えば、外部の装置で生成されて、作業データ分析装置1に送信され、作業データ分析装置1のメモリに格納されてもよい。
【0113】
特定部121は、学習モデルを用いた作業特定アルゴリズムを実行し、複数の作業特定情報を取得する。
【0114】
上記アルゴリズムは、学習アルゴリズムを更に含む。学習アルゴリズムは、作業特定アルゴリズムが使用する機械学習(ディープラーニング)と同種の機械学習によって、上記のようなモデルを生成するプログラムである。
【0115】
特定部121は、例えば、作業データと複数の作業特定情報とを含む学習用データセットを用いて、学習アルゴリズムを実行することにより、学習モデルを生成する。
【0116】
なお、学習用データセットに含まれる複数の作業特定情報は、人為的又は機械的に取得された情報である。機械的に取得された情報は、例えば、前述した作業特定アルゴリズムによって取得された情報でもよい。人為的に取得された情報は、例えば、作業特定アルゴリズムによって取得された情報を、人が訂正した情報(つまり、学習データ)であってもよい。
【0117】
(2-1-9c)撮像画像へのカテゴリ特定情報の対応付け
第2出力部132は、複数の作業特定情報を用いて、1つ以上の撮像画像の各々を複数区間に区分し、当該複数区間の各々に上記複数のカテゴリ特定情報のいずれかを対応付ける。
【0118】
本実施形態における第2出力部132は、特定部121が作業データを基に取得した複数の作業特定情報を用いて、作業データに含まれる5つの撮像画像の各々を複数区間に区分し、当該複数区間に、当該複数の作業特定情報からそれぞれ抽出される複数のカテゴリ特定情報を対応付ける。
【0119】
こうして、複数の作業特定情報を用いて撮像画像を複数区間に区分し、複数区間の各々にカテゴリ特定情報を対応付けることで、作業データ分析装置1では、指定カテゴリに対応する区間撮像画像の出力を容易化できる。
【0120】
(2-2)管理データ
作業データは、前述したように、管理データを更に含む。管理データは、少なくとも期間の開始時刻及び終了時刻の一方の特定に寄与し得る1種類以上のデータを含む。
【0121】
本実施形態では、作業主体は人(作業者)であり、管理データは、人に対する指示データ、及び人による操作データを含む。このような管理データは、開始時刻及び終了時刻の両方の特定に寄与し、更にカテゴリの特定にも寄与し得る。
【0122】
ただし、管理データは、指示データ及び操作データの一方のみを含んでもよい。指示データを含む管理データは、開始時刻の特定に寄与し、更にカテゴリの特定にも寄与し得る。操作データを含む管理データは、終了時刻の特定に寄与し、更にカテゴリの特定にも寄与し得る。
【0123】
(2-2-1)指示データ
本実施形態における指示データは、作業の開始を人に指示するためのデータである。作業開始の指示は、例えば、ランプの点灯により行われる。
【0124】
なお、指示対象となる作業は、通常、主作業(付加価値作業)であり、多くの場合、主作業の完了後に、付帯作業等の非付加価値作業が実行される。ただし、各種作業の実行順序は、適宜変更され得る。
【0125】
図2A-
図2Cに示すライン作業の場合、管理装置3が、指示データに基づいて、端末装置41~45に対応するランプ41A~45Aを一斉に点灯させることで、ピッキングの開始が指示される。指示データには、予め決められた点灯時刻を示す複数の時刻情報が対応付いている。予め決められた点灯時刻に対して実際の点灯が遅れた又は早まった場合、指示データに含まれる時刻情報は、実際に点灯された時刻に更新される。
【0126】
なお、本実施形態における作業は、ピッキングであり、指示データには、ピッキングされる商品の数量を示す数量情報が更に含まれる。数量情報は、ランプの点灯に先立って、端末装置4のディスプレイに表示される。
【0127】
(2-2-2)操作データ
本実施形態における操作データは、完了操作に関するデータである。完了操作とは、作業の完了を申告する操作であり、例えば、端末装置4(41-45)が有するボタン(41B-45B)の押下に関するデータである。操作データは、ボタン(41B-45B)が押下された時刻を示す時刻情報を含む。
【0128】
図2A-
図2Cに示すライン作業の場合、管理装置3が、端末装置41~45に対応するボタン41B~45Bの押下をそれぞれ検知し、検知した5つの時刻情報を、上記指示データに対応付けてメモリに格納する。
【0129】
特定部121は、期間及びカテゴリの特定を行う際に、管理データを更に用いる。
【0130】
本実施形態では、特定部121は、撮像画像及び管理データの両方を常時用いて特定を行う。ただし、特定部121は、通常、撮像画像だけを用い、撮像画像だけでは特定が困難な場合に、管理データを併用してもよい。
【0131】
こうして、作業データ分析装置1では、カテゴリの特定を行う際に管理データを利用することで、特定精度のより一層の向上を図ることができる。
【0132】
(2-3)適用例1:順次作業の付加価値向上
本例における複数の作業は、順次作業である。すなわち、複数の作業は、一の場所で順次的に行われる。当該一の場所の近傍に一のカメラ2が設置され、管理装置3には、当該一のカメラ2からの撮像画像が蓄積されている。
【0133】
なお、当該一の場所に一の端末装置4が設置されてもよい。その場合、管理装置3には、当該一の端末装置4に関する指示データ及び操作データが、時刻情報に対応付けて更に蓄積されている。
【0134】
作業データ分析装置1は、管理装置3から撮像画像を受信する。作業データ分析装置1を構成する受付部11が、当該撮像画像を受け付け、特定部121は、当該受け付けられた撮像画像を用いて、順次作業を構成する複数の作業について、期間及びカテゴリを特定し、期間特定情報及びカテゴリ特定情報の組を含む複数の作業特定情報を取得する。
【0135】
第1出力部131は、当該複数の作業について、取得された複数の作業特定情報を基に、比較画像を出力する。ここで出力される比較画像は、一の画面内に、複数のカテゴリに対応する複数の棒ブラフを、複数のカテゴリ識別情報にそれぞれ対応付けて配置し、複数の棒ブラフの各々の長さを、所要時間に応じた長さとしたものである。
【0136】
ユーザは、出力された比較画像を基に、複数のカテゴリのうち一のカテゴリを指定するカテゴリ指定操作を行う。例えば、複数の棒ブラフのうち長さが最長の棒グラフ、に対応するカテゴリ(例えば“付加価値作業”)が指定される。
【0137】
受付部11は、カテゴリ指定操作を受け付ける。
【0138】
第2出力部132は、特定部121による複数の作業特定情報の取得に応じて、当該取得された複数の作業特定情報を基に撮像画像の区間区分及びカテゴリ特定情報の対応付けを行っており、受け付けられたカテゴリ指定操作が指定するカテゴリに対応する区間撮像画像を出力する。
【0139】
こうして、順次作業を構成する複数の作業のうち、所要時間が長い作業のカテゴリが特定され、撮像画像のうち当該カテゴリに対応する区間撮像画像がディスプレイに表示されるので、ユーザは、当該作業の所要時間を短縮して、順次作業の付加価値を向上させるための対応を行うことができる。
【0140】
(2-4)適用例2:分散作業における付加価値向上
本例における複数の作業は、分散作業である。すなわち、複数の作業は、互いに異なる複数の場所で行われる。
図2に示された複数の場所(ここでは5つの場所401-405)は、一次元的に配列されているが、本例では、2次元的に分散しているものとする。そして、5つの場所401-405に向けて、5つのカメラ21-25が設置される。
【0141】
5つカメラ21-25の各々からの撮像画像には、場所特定情報“401”-“405”が対応付いている。なお、ここでは便宜上、参照符号を場所特定特定情報として用いているが、場所特定特定情報は、例えば、カメラ2に割り当てられたMACアドレス、場所名、IDなどである。
【0142】
受付部11は、場所・カテゴリ指定操作を受け付ける。場所・カテゴリ指定操作とは、複数のカテゴリ(付加価値作業及び非付加価値作業等)のうち一のカテゴリ、及び複数の場所(例えば、5つの場所401-405:
図2参照)のうち一の場所、の組を指定する操作である。
【0143】
場所・カテゴリ指定操作は、例えば、第1出力部131が出力した場所比較画面(後述)を基に、一のカテゴリ及び一の場所の組を指定する操作である。カテゴリ指定操作は、例えば、場所比較画面に含まれる、複数の場所特定情報に対応する複数の比較画像(例えば、5つの場所401-405に対応する5本の棒グラフ:
図8参照)のうち一の比較画像(例えば、場所405に対応する棒グラフ:
図8参照)、の中の一の矩形区画(例えば、濃いハッチングが施された矩形区画)を選択する操作である。
【0144】
第2出力部132は、場所区間撮像画像を出力する。場所区間撮像画像とは、複数のカメラ(例えば、5つのカメラ21-25)に対応する複数の撮像画像(例えば、5つの撮像画像)のうち、指定された場所に対応する撮像画像の、指定されたカテゴリに対応する区間、の画像である。
【0145】
このように、撮像画像は、場所特定情報に対応付いており、作業データ分析装置1は、一のカテゴリ及び一の場所の組を指定する場所・カテゴリ指定操作を受け付け、撮像画像のうち、指定された場所及びカテゴリの組、に対応する区間撮像画像を出力する。これによって、指定された場所及びカテゴリの組、に対応する場所区間撮像画像の出力を容易化できる。ユーザは、場所及びカテゴリの組を指定し、対応する場所区間画像を見ることで、どの場所のどのカテゴリのどの作業が阻害要因となっているかを特定し、対策を講じることができる。
【0146】
(2-5)適用例3:ライン作業における付加価値向上
本例における複数の作業は、ライン作業において、当該ライン作業を構成する複数のサイクルの各々に複数の場所で同時的に行われる複数の作業である。
【0147】
ライン作業とは、1次元的に配置された複数の場所で、当該複数の場所に沿って移動される複数の作業対象に対し、同時的かつ周期的に行われる複数の作業である。ライン作業は、例えば、
図2に示すように、一のライン400に沿って配置された複数の場所(ここでは、5つの場所401-405で、一のライン400上を移動される複数の作業対象(ここでは、12個のコンテナ301a-301l)に対し、同時的かつ周期的に行われる複数の作業である。
【0148】
ライン400は、通常、コンベアである。ライン作業におけるサイクルは、例えば、複数の作業が一斉に開始(作業開始指示)されてから、最後の作業の完了、複数の作業対象の次の場所への移動(コンベア駆動)を経て、再び複数の作業が一斉に開始されるまで、の期間である。
【0149】
本実施形態でのサイクルは、作業開始指示(ランプ点灯)から、複数の作業対象の移動開始(コンベアの駆動開始)までの期間である。サイクルの長さは、通常、一定でない(元も遅い作業に依存する)。
【0150】
本実施形態での作業は、前述したようにピッキングである。この場合の作業対象は、例えば、配送用容器(コンテナ)である。ただし、作業対象は、収納用容器から配送用容器にピッキングされる商品でもよい。また、商品が収納されていた収納用容器も、作業対象に含まれてもよい。
【0151】
複数の作業対象は、例えば、12の小売店(店舗a-店舗l)に配送される12個のコンテナ301a-301lである。
【0152】
複数の作業対象の移動は、本実施形態では、間欠的(移動と停止の繰り返し)である。つまり、コンベアが間欠駆動され、複数の作業対象は、移動と停止を繰り返す。
【0153】
複数の作業が「同時的」に行われることは、通常、開始が同時であり、終了は同時でないことであるが、終了も同時でもよい。すなわち、ライン作業を構成する複数のサイクルのうち、多くのサイクルでは、複数の作業が同時に開始され、異なるタイミングで終了されるが、終了も同時であるサイクルがあってもよいし、開始が同時でないサイクルがあっても構わない。
【0154】
複数の作業が「周期的」に行われることは、通常、サイクルの長さが一定ではなく、複数の作業のうち最も遅い作業の進捗に応じて、サイクルの長さが伸縮することである。ただし、サイクルの長さは一定でもよい。
【0155】
このように、作業データ分析装置1は、ユーザに対し、ラインに沿って配置された複数の場所の各々について、カテゴリ間の所要時間の違い(各場所における、総作業時間に占める各カテゴリの所要時間の割合)を比較可能な比較画像を見せ、場所及びカテゴリの組を指定させ、指定された組に対応する場所区間撮像画像を見せる。これによって、ユーザは、どの場所のどのカテゴリのどの作業が、価値向上の阻害要因となっているかを特定し、対策を講じることができる。
【0156】
こうして、作業データ分析装置1は、ライン作業における付加価値の向上を支援できる。
【0157】
(2-5-1)時期比較画面
第1出力部131は、時期比較画面を出力する。時期比較画面とは、複数の時期に対応する複数の比較画像、を含む画面である。時期とは、前述したように、サイクルよりも長い時間であり、本例では、日である。
【0158】
時期比較画面は、例えば、
図6に示すように、2021年6月8日から15日までの7日間に対応する7本の棒グラフを含む。
【0159】
この時期比較画面では、下側に横軸、左側に第1の縦軸、右側に第2の縦軸、がそれぞれ定義され、横軸に時期特定情報“2021/06/08”-“2021/06/15”が、第1の縦軸に作業時間“0”-“80”(秒)が、第2の縦軸に総作業件数“0”-“4000”(件)が、それぞれ配置されている。
【0160】
また、7本の棒グラフの各々を構成する複数の矩形区画は、カテゴリに対応する濃さのハッチング(着色)が施されている。ここでのカテゴリは、前述したサイクル比較画面の場合と同様、主作業時間“T1”と最長主作業待ち時間“T2x”と全主作業完了後待ち時間“T2y”との3種類であり、“T1”に対応する矩形区画には濃いハッチング(青色の着色)が、“T2x”に対応する矩形区画にはやや濃いハッチング(オレンジ色の着色)が、“T2y”に対応する矩形区画には薄いハッチング(灰色の着色)が、それぞれ施されている。
【0161】
なお、
図6の時期比較画面では、複数の矩形区画の各々に、作業時間を示す数値は記載されていないが、記載されてもよい。
【0162】
なお、
図6-
図8の各比較画面において、縦軸(第1の縦軸)に配置された数値は、作業時間自体を示すが、一の棒グラフ(一の時期、一のサイクル、一の場所)における作業時間の割合(占有率等)を示すものであってもよい。
【0163】
(2-5-2)時期指定操作
受付部11は、時期指定操作を受け付ける。時期指定操作とは、複数の時期のうち一の時期を指定する操作である。本例における時期指定操作は、時期比較画面(
図6参照)において、複数の時期に対応する複数の比較画像、のうち一の比較画像から一の区画を指定する操作である。
【0164】
本例における受付部11は、第1出力部131が時期比較画面を出力した後、時期指定操作を受け付ける。例えば、
図6の時期比較画面において、7つの時期のうち一の時期(ここでは、2021/06/14)を指定する時期指定操作が行われ、受付部11は、当該時期指定操作を受け付ける。
【0165】
(2-5-3)サイクル比較画面
第1出力部131は、サイクル比較画面を出力する。サイクル比較画面とは、複数のサイクルに対応する複数の比較画像、を含む画面である。サイクル比較画面は、例えば、
図7に示すように、30個のサイクル#1-#30に対応する30本の棒グラフを含む。
【0166】
このサイクル比較画面では、下側に横軸、左側に縦軸がそれぞれ定義され、横軸にサイクル特定情報“#1”-“#30”が、縦軸に1サイクル当たりの作業時間“0”-“80”(秒/サイクル)が、それぞれ配置されている。また、30本の棒グラフの各々を構成する複数の矩形区画は、カテゴリに対応する濃さのハッチング(着色)が施されている。ここでのカテゴリは、主作業時間“T1”及び最長主作業待ち時間“T2x”の和“T1+T2x”と、全主作業完了後待ち時間“T2y”との2種類であり、“T1+T2x”に対応する矩形区画には濃いハッチング(青色の着色)が、“T2y”に対応する矩形区画には薄いハッチング(灰色の着色)が、それぞれ施されている。
【0167】
なお、
図7のサイクル比較画面では、標準時間(31秒)が点線で示されている。サイクルの長さ(時間)を示す棒グラフと共に、標準時間を示す点線を表示することで、サイクルの長さと標準時間との間のギャップの大小(ひいては、付加価値向上の余地の有無、緊急性の有無等)を認識させることができる。
【0168】
本例におけるサイクル比較画面は、時期指定操作で指定された一の時期に属する複数のサイクル、に対応する複数の比較画像を含む画面である。
図7のサイクル比較画面は、
図6の時期比較画面において、前述した時期指定操作で指定された一の時期(例えば、2021/06/14)、に属する30個のサイクル#1~#30を含む。
【0169】
このように、第1出力部131は、本例では、受付部11が受け付けた時期指定操作に応じて、サイクル比較画面を出力する。
【0170】
このように、作業データ分析装置1は、複数の時期に対応する複数の比較画像を含む時期比較画面を出力し、一の時期を指定させ、指定された一の時期に属する複数のサイクルに対応する複数の比較画像を含むサイクル比較画面を更に出力する。こうして、ユーザに対して、時期比較画面を見せ、時期指定操作に応じてサイクル比較画面を更に見せることで、ユーザは、付加価値向上の阻害要因となっている作業の期間を段階的に絞り込んでいき、対策を講じることができる。
【0171】
(2-5-4)サイクル指定操作
受付部11は、サイクル指定操作を受け付ける。サイクル指定操作とは、複数のサイクルのうち一のサイクルを指定する操作である。本例におけるサイクル指定操作は、サイクル比較画面において、複数のサイクルに対応する複数の比較画像、のうち一の比較画像から一の区画を指定する操作である。
【0172】
本例における受付部11は、第1出力部131がサイクル比較画面(
図7参照)を出力した後、サイクル指定操作を受け付ける。例えば、
図7のサイクル比較画面において、30個のサイクルのうち一のサイクル(ここでは、サイクル#23)を指定するサイクル指定操作が行われ、受付部11は、当該サイクル指定操作を受け付ける。
【0173】
(2-5-5)場所比較画面
第1出力部131は、場所比較画面を出力する。場所比較画面とは、複数の場所に対応する複数の比較画像、を含む画面である。場所比較画面は、例えば、
図8に示すように、5つの場所401-405に対応する5本の棒グラフを含む。
【0174】
この場所比較画面では、下側に横軸、左側に縦軸がそれぞれ定義され、横軸に場所特定情報“401”-“405”が、縦軸に作業時間“0.0”-“60.0”(秒)が、それぞれ配置されている。
【0175】
また、5本の棒グラフの各々を構成する複数の矩形区画は、カテゴリに対応する濃さのハッチング(着色)が施されている。ここでのカテゴリは、主作業時間“T1”と最長主作業待ち時間“T2x”と全主作業完了後待ち時間“T2y”と(
図3B参照)の3種類であり、“T1”に対応する矩形区画には濃いハッチング(青色の着色)が、“T2x”に対応する矩形区画にはやや濃いハッチング(オレンジ色の着色)が、“T2y”に対応する矩形区画には薄いハッチング(灰色の着色)が、それぞれ施されている。そして、複数の矩形区画の各々に、作業時間を示す数値“58.4”等が記載されている。
【0176】
本例における場所比較画面は、サイクル指定操作で指定された一のサイクルにおいて、複数の場所で行われた複数の作業、に対応する複数の比較画像を含む画面である。
【0177】
図8の場所比較画面は、
図7のサイクル比較画面において、前述したサイクル指定操作で指定された一のサイクル(例えば、サイクル#23)において行われた、5つの場所401-405に対応する5つの比較画像、を含む画面である。
【0178】
このように、作業データ分析装置1は、一のサイクルの指定に応じて、指定された一のサイクルにおける、複数の場所に対応する複数の比較画像、を含む場所比較画面を出力する。
【0179】
こうして、指定されたサイクルにおける場所比較画面を更に見せることで、ユーザは、付加価値向上の阻害要因となっている作業の期間に加えて場所も特定し、対策を講じることができる。
【0180】
なお、前述した場所区間撮像画像(
図8参照)は、本例では、場所比較画面が出力された後、前述した場所・カテゴリ指定操作に応じて出力される。
【0181】
これによって、ユーザは、場所区間撮像画像を基に、付加価値向上の阻害要因を特定し、対策を講じることができる。
【0182】
(2-6)付加価値向上の評価
本例における作業データ分析装置1は、実績値取得部122と、最適値取得部123と、第3出力部133とを更に備える。
【0183】
実績値取得部122は、前述した付加価値に関連するパラメータに関して、特定部121が取得した複数の作業特定情報を基に、実績値を取得する。
【0184】
付加価値に関連するパラメータは、例えば、工数、人数、所要時間等である。実績値は、取得された複数の作業特定情報の各々が有する期間情報及びカテゴリ情報、を基に計算される。
【0185】
最適値取得部123は、上記パラメータに関して、特定部121が取得した取得した複数の作業特定情報と、実績値取得部122が取得した実績値と、予め決められた標準値と、を基に最適値を取得する。
【0186】
標準値は、例えば、標準工数、標準人数、標準所要時間等である。最適値は、例えば、複数の作業特定情報と実績値と標準値とを入力とし、最適値を出力とするアルゴリズム(関数、モデル等)、を用いて取得される。
【0187】
本例におけるアルゴリズムは、最適化アルゴリズムを含む。最適化アルゴリズムは、例えば、複数の作業特定情報と実績値と標準値とを入力とし、最適値を出力とするモデル、を用いて最適値を取得するアルゴリズムである。なお、モデルは、本例では作業データ分析装置1が生成するが、例えば、外部の装置で生成されて、作業データ分析装置1に送信され、作業データ分析装置1のメモリに格納されてもよい。
【0188】
最適値取得部123は、このようなモデルを用いた最適化アルゴリズムを実行し、パラメータの最適値を取得する。
【0189】
アルゴリズムは、学習アルゴリズムを更に含む。学習アルゴリズムは、例えば、ディープラーニング等の機械学習によって、上記のようなモデルを生成するプログラムである。
【0190】
最適値取得部123は、例えば、複数の作業特定情報と実績値と標準値と最適値とを含む学習用データセットを用いて、機械学習の学習アルゴリズムを実行することにより、モデルを生成する。
【0191】
なお、学習用データセットに含まれる最適値は、人為的又は機械的に取得された値である。機械的に取得された最適値は、例えば、前述した最適化アルゴリズムによって取得された値でもよい。人為的に取得された最適値は、例えば、最適化アルゴリズムによって取得された値を、人が訂正した値(学習データ)であってもよい。
【0192】
第3出力部133は、実績値取得部122が取得した実績値、及び最適値取得部123が取得した最適値、の各々又は各々の変化を比較可能な態様で出力する。
【0193】
ここで、各々を比較可能な態様とは、例えば、一の画面内に、実績値及び最適値に対応する2本の棒グラフを配置し、2本の棒グラフの各々の長さを、値に比例した長さとしたもの(図示しない)、であってもよい。
【0194】
また、各々の変化を比較可能な態様とは、例えば、
図10に示すような、一の画面内に、実績値の変化及び最適値の変化をそれぞれ示す2本の折れ線グラフを配置した画像、であってもよい。
【0195】
こうして、作業の付加価値向上に関連するパラメータに関し、作業データ分析装置1は、複数の作業特定情報を基に実績値を取得し、前述のように取得した複数の作業特定情報と、ここで取得した実績値と、予め決められた標準値と、を基に最適値を取得し、実績値及び最適値の各々の変化を比較可能な態様で出力する。
【0196】
これによって、ユーザは、実績値及び最適値の比較を基に、付加価値向上の余地の多寡を判断できる。例えば、最適値に対する実績値の乖離が大きい又は拡大している場合に、ユーザは、作業データ分析装置1に前述したような各種の比較画像、更には区間撮像画像又は場所区間撮像画像を出力させ、阻害要因を特定し、対策を講じることができる。
【0197】
なお、適用例3において、第3出力部133の出力後に、受付部11が、比較画像を出力させる操作(比較画像出力操作)を受け付け、第1出力部131が比較画像を出力してもよい。
【0198】
また、適用例3において、作業データ分析装置1は、予定値取得部(図示しない)を更に備えていてもよい。予定値取得部は、パラメータに関して、予定値を取得する。予定値とは、予定された値である。予定値は、例えば、過去の一定期間(例えば、直近1年)に渡る実績値を基に取得(人為的又は機械的に計算)された値であり、管理装置3のメモリに予め格納されている。
【0199】
(2-7)作業データ分析装置の動作
作業データ分析装置1は、例えば、
図5のフローチャートに従う処理を実行する。なお、既に詳細を説明済みの動作については、適宜省略又は簡略化している。また、
図5の処理は、作業データ分析装置1の電源オンに応じて開始され、電源オフに応じて終了される。
【0200】
処理部12は、受付部11が作業データを受け付けたか否かを判断する(ステップS1)。例えば、管理装置3が作業データ分析装置1からの要求に応じて作業データを作業データ分析装置1に送信し、受付部11が当該送信された作業データを受け付ける。受付部11が作業データを受け付けた判断された場合、処理はステップS2に進む。作業データが受け付けられていないと判断された場合、処理はステップS3に進む。
【0201】
特定部121は、ステップS1で受け付けられた作業データを基に複数の作業特定情報を取得する(ステップS2)。その後、処理はステップS1に戻る。
【0202】
処理部12は、受付部11が比較画像出力操作を受け付けたか否かを判断する(ステップS3)。例えば、ユーザが作業データ分析装置1の入力デバイスを介して比較画像出力操作を行い、受付部11がこれを受け付ける。受付部11が比較画像出力操作を受け付けたと判断された場合、処理はステップS4に進む。比較画像出力操作が受け付けられていないと判断された場合、処理はステップS1に戻る。
【0203】
第1出力部131は、ステップS3で受け付けられた複数の作業特定情報を基に比較画像を出力する(ステップS4)。これによって、例えば、作業データ分析装置1のディスプレイに、
図6-
図8に示されたような比較画像(複数のカテゴリに対応する複数の矩形区画で構成された棒グラフ)が表示される。
【0204】
処理部12は、受付部11がカテゴリ指定操作を受け付けたか否かを判断する(ステップS5)。例えば、ユーザが作業データ分析装置1の入力デバイスを介してカテゴリ指定操作(棒グラフを構成する複数の矩形区画のうち一の矩形区画を選択する操作)を行い、受付部11がこれを受け付ける。受付部11がカテゴリ指定操作を受け付けたと判断された場合、処理はステップS6に進む。カテゴリ指定操作が受け付けられていないと判断された場合、処理はステップS1に戻る。
【0205】
第2出力部132は、ステップS5で受け付けられたカテゴリ指定操作が指定するカテゴリ(指定された一の矩形区画と対になるカテゴリ)、に対応する区間撮像画像を出力する(ステップS6)。これによって、例えば、作業データ分析装置1のディスプレイに、
図9に示されたような区間撮像画像が表示される。その後、処理はステップS1に戻る。
【0206】
(2-8)具体例
本例は、適用例3の具体例である。本例における作業管理システム100の構成は、
図1に示されたものであり、複数の作業は、
図2に示されたライン作業である。
【0207】
例えば、サイクル#5では、場所401において、箱303から商品302を取り出して店舗e用のケース301eに収納するピッキング作業が行われる。また、場所402において、箱303から商品302を取り出して店舗d用のケース301dに収納するピッキング作業が行われる。さらに、他の場所402-405においても、同様の作業が行われる。
【0208】
次のサイクル#6では、場所401において、箱303から商品302を取り出して店舗f用のケース301fに収納するピッキング作業が行われる。また、場所402において、箱303から商品302を取り出して店舗e用のケース301eに収納するピッキング作業が行われる。さらに、他の場所402-405においても、同様の作業が行われる。
【0209】
更に、例えば、サイクル#12では、場所401において、箱303から商品302を取り出して店舗l用のケース301lに収納するピッキング作業が行われる。また、場所402において、箱303から商品302を取り出して店舗k用のケース301kに収納するピッキング作業が行われる。さらに、他の場所402-405においても、同様の作業が行われる。
【0210】
各サイクル(#5,#6,#12等)において、各場所(401-404)で行われる複数の作業の各々は、本例では、3つのカテゴリ「主作業」、「最長主作業待ち」、及び「全作業完了後待ち」(
図3Bに示された主作業時間T1、最長主作業待ち時間T2x、及び全作業完了後待ち時間T2y、にそれぞれ対応)のいずれかに分類される。
【0211】
そして、各サイクル(#5,#6,#12等)における各場所(401-404)での作業時間は、
図4に示すように、主作業時間T1と、最長主作業待ち時間T2xと、全作業完了後待ち時間T2yと、に区分される。
【0212】
複数の作業特定情報は、
図4の区分に対応する情報であり、特定部121は、5つのカメラ21-25からの5つの撮像画像と、5つの端末装置41-45からの5つの“指示データ及び操作データの組”に基づいて、
図4の区分に対応する複数の作業特定情報を取得する。
【0213】
第1出力部131は、特定部121が取得した上記複数の作業特定情報を基に、
図6のような時期比較画面を出力する。ユーザは、例えば、作業時間が最長の時期“2021/06/14”を指定する時期指定操作を行う。
【0214】
受付部11が上記時期指定操作を受け付け、第1出力部131は、
図7に示すような、指定された時期“2021/06/14”に属する30個のサイクル#1-#30についてのサイクル比較画面を出力する。ユーザは、例えば、作業時間が最長のサイクル“#30”を指定するサイクル指定操作を行う。
【0215】
受付部11が上記サイクル指定操作を受け付け、第1出力部131は、
図8に示すような、指定されたサイクル“#23”における5つの場所401-405に関する場所比較画面を出力する。ユーザは、例えば、主作業時間が最長の場所405を指定する場所指定操作を行う。
【0216】
受付部11が上記場所指定操作を受け付け、第2出力部132は、
図8に示すような、サイクル“#23”及び場所“405”の組、に対応する場所区間撮像画像を出力する。
【0217】
ユーザは、上記場所区間撮像画像を参照することで、ケース内の商品の整理のために時間を要していることがわかる。
【0218】
(2-9)付加価値向上方法及びプログラム
なお、本実施形態に係る作業データ分析装置1と同様の機能は、付加価値向上方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。なお、付加価値向上方法は、上記各種ステップのうち、少なくとも、ステップS4(第1出力ステップ)と、ステップS5(受付ステップ)と、ステップS6(第2出力ステップ)とを含む方法である。また、プログラムは、同上の付加価値向上方法を1つ以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。1つ以上のプロセッサは、作業データ分析装置1のプロセッサ単独でもよいし、管理装置3のプロセッサを含んでもよいし、端末装置4のプロセッサやカメラ2のプロセッサを更に含んでもよい。
【0219】
(3)まとめ
第1の態様に係る作業データ分析装置(1)は、第1出力部(131)と、受付部(11)と、第2出力部(132)とを備える。第1出力部(131)は、複数の作業特定情報を基に、比較画像を出力する。前記複数の作業特定情報の各々は、期間特定情報及びカテゴリ特定情報を含む。前記期間特定情報は、複数の作業の各々が行われた期間を特定した結果である。前記カテゴリ特定情報は、作業内容の付加価値の程度に応じて予め決められた複数のカテゴリのうち、前記複数の作業の各々が属するカテゴリを特定した結果である。前記比較画像は、前記複数の作業の各々の所要時間を前記複数のカテゴリ間で比較可能に示す画像である。受付部(11)は、カテゴリ指定操作を受け付ける。前記カテゴリ指定操作は、前記比較画像に基づいて前記複数のカテゴリのうち一のカテゴリを指定する操作である。第2出力部(132)は、区間撮像画像を出力する。前記区間撮像画像は、前記複数の作業を撮像した1つ以上の撮像画像のうち、前記カテゴリ指定操作によって指定されたカテゴリに対応する区間、の画像である。
【0220】
この態様によれば、ユーザに対し、作業の所要時間のカテゴリによる違い(例えば、複数の作業の総所要時間に占める各カテゴリの所要時間の割合:占有率等)を比較可能な画像を見せ、一のカテゴリを指定させ、指定カテゴリに対応する区間の撮像画像を見せることで、ユーザは、複数の作業のうち、どのカテゴリのどの作業が付加価値向上の阻害要因となっているかを特定し、対策を講じることができる。こうして、作業管理システム(100)は、複数の作業における付加価値の向上を支援できる。
【0221】
第2の態様に係る作業データ分析装置(1)は、第1の態様において、特定部(121)を更に備える。特定部(121)は、作業データを基に、前記複数の作業の各々について、期間及びカテゴリを特定し、前記複数の作業特定情報を取得する。作業データは、前記複数の作業に関する情報である。
【0222】
この態様によれば、複数の作業について、期間及びカテゴリを特定し、作業特定情報を取得できる。
【0223】
第3の態様に係る作業データ分析装置(1)では、第2の態様において、前記作業データは、前記1つ以上の撮像画像を含む。
【0224】
この態様によれば、撮像画像を用いることで、期間及びカテゴリの特定精度の向上を図ることができる。
【0225】
第4の態様に係る作業データ分析装置(1)では、第3の態様において、第2出力部(132)は、前記複数の作業特定情報を用いて、前記1つ以上の撮像画像の各々を複数区間に区分し、前記複数区間の各々に前記複数のカテゴリ特定情報のいずれかを対応付ける。
【0226】
この態様によれば、指定カテゴリに対応する区間撮像画像の出力を容易化できる。
【0227】
第5の態様に係る作業データ分析装置(1)では、第3又は第4の態様において、前記作業データは、管理データを更に含む。前記管理データは、前記複数の作業を管理するためのデータであり、少なくとも期間の開始時刻及び終了時刻の一方の特定に寄与し得る。特定部(121)は、期間及びカテゴリの特定を行う際に前記管理データを更に用いる。
【0228】
この態様によれば、管理データを更に用いることで、特定精度のより一層の向上を図ることができる。
【0229】
第6の態様に係る作業データ分析装置(1)では、第3-第5のいずれかの態様において、前記複数の作業は、互いに異なる複数の場所(401-405)で行われる。前記複数の場所(401-405)の各々に、カメラ(2)が設置される。前記複数の場所(401-405)に対応する複数のカメラ(21-25)の各々からの撮像画像に、場所特定情報が対応付いている。場所特定情報は、場所を特定する情報である。受付部(11)は、場所・カテゴリ指定操作を受け付ける。前記場所・カテゴリ指定操作は、前記複数のカテゴリのうち一のカテゴリ、及び前記複数の場所のうち一の場所、の組を指定する操作である。第2出力部(132)は、場所区間撮像画像を出力する。場所区間撮像画像は、複数のカメラ(21-25)に対応する複数の撮像画像のうち、指定された場所に対応する撮像画像の、指定されたカテゴリに対応する区間、の画像である。
【0230】
この態様によれば、指定された場所及びカテゴリの組、に対応する場所区間撮像画像の出力を容易化できる。ユーザは、場所及びカテゴリの組を指定し、対応する場所区間画像を見ることで、どの場所のどのカテゴリのどの作業が阻害要因となっているかを特定し、対策を講じることができる。
【0231】
第7の態様に係る作業データ分析装置(1)では、第1-第6のいずれかの態様において、前記複数のカテゴリは、付加価値作業及び非付加価値作業を含む。付加価値作業は、前記付加価値を生む作業であり、非付加価値作業は、付加価値を生まない作業である。
【0232】
この態様によれば、複数の作業を、付加価値作業と非付加価値作業とに分け、それらの間の所要時間の違い(例えば、複数の作業に対応する総所要時間に占める、付加価値作業の所要時間の割合)をユーザに認識させることができる。ユーザは、非付加価値作業の割合を抑制する対策を講じることで、付加価値の向上を図ることができる。
【0233】
第8の態様に係る作業データ分析装置(1)では、第7の態様において、前記複数のカテゴリは、付帯作業及び非付帯作業を更に含む。付帯作業及び非付帯作業は、前記非付加価値作業に属する。
【0234】
この態様によれば、非付加価値作業を、付加価値作業に付帯する付帯作業と、付帯作業以外の作業である非付帯作業とに分け、それらの間の所要時間の違いをユーザに認識させることができる。ユーザは、非付帯作業の割合を抑制する対策を講じることで、付加価値の向上を図ることができる。
【0235】
第9の態様に係る作業データ分析装置(1)では、第8の態様において、前記複数のカテゴリは、非定常作業及び無作業を更に含む。非定常作業及び無作業は、前記非付帯作業に属する。
【0236】
この態様によれば、非付帯作業を非定常作業と無作業とに分け、それらの間の所要時間の違いをユーザに認識させることができる。ユーザは、無作業の割合をより抑制する対策を講じることで、付加価値の向上を図ることができる。
【0237】
第10の態様に係る作業データ分析装置(1)では、第6の態様において、前記複数の作業は、ライン作業において、前記ライン作業を構成する複数のサイクルの各々に複数の場所(401-405)で同時的に行われる複数の作業である。ライン作業では、一次元的に配列された複数の場所(401-405)で、複数の場所(401-405)に沿って移動される複数の作業対象(301a-301l)に対し、複数の作業が同時的かつ周期的に行われる。
【0238】
この態様によれば、ユーザに対し、一次元的に配列された複数の場所の各々について、カテゴリ間の所要時間の違い(各場所における、総作業時間に占める各カテゴリの所要時間の割合)を比較可能な比較画像を見せ、場所及びカテゴリの組を指定させ、指定された組に対応する場所区間撮像画像を見せることで、ユーザは、どの場所のどのカテゴリのどの作業が、価値向上の阻害要因となっているかを特定し、対策を講じることができる。こうして、ライン作業における付加価値の向上を支援できる。
【0239】
第11の態様に係る作業データ分析装置(1)では、第10の態様において、第1出力部(131)は、場所比較画面を出力する。前記場所比較画面は、前記複数の場所に対応する複数の比較画像、を含む画面である。
【0240】
この態様によれば、ユーザに対して場所比較画面を見せることで、ユーザは、ラインのどの場所での作業が付加価値向上の阻害要因となっているかを特定し、対策を講じることができる。
【0241】
第12の態様に係る作業データ分析装置(1)では、第11の態様において、第1出力部(131)は、サイクル比較画面を出力する。前記サイクル比較画面は、前記複数のサイクルに対応する複数の比較画像、を含む画面である。
【0242】
この態様によれば、ユーザに対してサイクル比較画面を見せることで、ユーザは、どの期間のライン作業が付加価値向上の阻害要因となっているかを特定し、対策を講じることができる。
【0243】
第13の態様に係る作業データ分析装置(1)では、第12の態様において、第1出力部(131)は、時期比較画面を出力する。時期比較画面は、前記複数の時期に対応する複数の比較画像を含む。受付部(11)は、時期指定操作を受け付ける。時期指定操作は、前記複数の時期のうち一の時期を指定する操作である。第1出力部(131)は、サイクル比較画面を出力する。前記サイクル比較画面は、指定された前記一の時期に属する複数のサイクル、に対応する複数の比較画像を含む。
【0244】
この態様によれば、ユーザに対して、時期比較画面を見せ、時期指定操作に応じてサイクル比較画面を更に見せることで、ユーザは、付加価値向上の阻害要因となっている作業の期間を段階的に絞り込んでいき、対策を講じることができる。
【0245】
第14の態様に係る作業データ分析装置(1)では、第13の態様において、受付部(11)は、サイクル指定操作を受け付ける。サイクル指定操作は、前記複数のサイクルのうち一のサイクルを指定する操作である。第1出力部(131)は、場所比較画面を出力する。場所比較画面は、指定された前記一のサイクルにおける、前記複数の場所に対応する複数の比較画像、を含む。
【0246】
この態様によれば、サイクル指定操作に応じて、指定されたサイクルにおける場所比較画面を更に見せることで、ユーザは、付加価値向上の阻害要因となっている作業の期間に加えて場所も特定し、対策を講じることができる。
【0247】
第15の態様に係る作業データ分析装置(1)は、第1-第14のいずれかの態様において、実績値取得部(122)と、最適値取得部(123)と、第3出力部(133)とをさらに備える。実績値取得部(122)は、前記付加価値に関連するパラメータに関して、前記複数の作業特定情報を基に実績値を取得する。最適値取得部(123)は、前記パラメータに関して、前記複数の作業特定情報と前記実績値と予め決められた標準値と、を基に最適値を取得する。第3出力部(133)は、前記実績値及び前記最適値の各々又は各々の変化を比較可能な態様で出力する。
【0248】
この態様によれば、ユーザは、実績値及び最適値の比較によって、付加価値向上の余地の多寡を判断できる。例えば、最適値に対する実績値の乖離が大きい又は拡大している場合に、作業管理システムに比較画像を出力させ、阻害要因を特定し、対策を講じることができる。
【0249】
第16の態様に係る作業管理システム(100)は、複数の作業を管理する作業管理システム(100)であって、第1-第15のいずれかの態様の作業データ分析装置(1)を備える。
【0250】
第17の態様に係る付加価値向上方法は、第1出力ステップ(S4)と、受付ステップ(S5)と、第2出力ステップ(S6)とを含む。第1出力ステップ(S4)では、複数の作業特定情報を基に、比較画像が出力される。前記複数の作業特定情報の各々は、期間特定情報及びカテゴリ特定情報を含む。前記期間特定情報は、複数の作業の各々が行われた期間を特定した結果である。前記カテゴリ特定情報は、作業内容の付加価値の程度に応じて予め決められた複数のカテゴリのうち、前記複数の作業の各々が属するカテゴリを特定した結果である。前記比較画像は、前記複数の作業の各々の所要時間を前記複数のカテゴリ間で比較可能に示す画像である。受付ステップ(S5)では、カテゴリ指定操作が受け付けられる。前記カテゴリ指定操作は、前記比較画像に基づいて前記複数のカテゴリのうち一のカテゴリを指定する操作である。第2出力ステップ(S6)では、区間撮像画像が出力される。前記区間撮像画像は、前記複数の作業を撮像した1つ以上の撮像画像のうち、前記カテゴリ指定操作によって指定されたカテゴリに対応する区間、の画像である。
【0251】
第18の態様に係るプログラムは、第17の態様の付加価値向上方法を1つ以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【符号の説明】
【0252】
100 作業管理システム
1 作業データ分析装置
11 受付部
121 特定部
122 実績値取得部
123 最適値取得部
131 第1出力部
132 第2出力部
133 第3出力部
2,21-25 カメラ
3 管理装置
4,41-45 端末装置
41A-45A ランプ
41B-45B ボタン
110 ネットワーク
301a-301l コンテナ
302 商品
303 箱