(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】搬送装置、搬送方法及び部品実装システム
(51)【国際特許分類】
B62D 9/00 20060101AFI20240830BHJP
B62B 5/00 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
B62D9/00
B62B5/00 J
(21)【出願番号】P 2021550525
(86)(22)【出願日】2020-09-09
(86)【国際出願番号】 JP2020034065
(87)【国際公開番号】W WO2021070542
(87)【国際公開日】2021-04-15
【審査請求日】2023-07-10
(31)【優先権主張番号】P 2019187176
(32)【優先日】2019-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019187177
(32)【優先日】2019-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水野 修
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】村山 直寛
(72)【発明者】
【氏名】中村 徹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 淳一
(72)【発明者】
【氏名】村井 亮介
(72)【発明者】
【氏名】西方 友美
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-006996(JP,A)
【文献】特開2008-179187(JP,A)
【文献】特開2013-193597(JP,A)
【文献】特開平02-220972(JP,A)
【文献】特開2008-238959(JP,A)
【文献】特開2003-330541(JP,A)
【文献】特開2019-156382(JP,A)
【文献】国際公開第2016/075428(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 9/00
B62B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの駆動輪ユニットを備え、
前記少なくとも一つの駆動輪ユニットに含まれる駆動輪ユニットは、
駆動輪を含む走行機構と、
前記駆動輪の向きを変更する操舵機構とを有し、
前記操舵機構は、前記走行機構の上方に位置し、
搬送装置によって搬送物を搬送している状態において、前記駆動輪は、上方から見てこの搬送物の周囲に位置
し、
前記搬送装置は、前記駆動輪ユニットが取り付けられるベースを更に備え、
前記駆動輪ユニットは、前記ベースに対する取付位置を変更可能であり、
前記操舵機構は、
前記駆動輪の向きを変える動力を出力するステアリングモータと、
前記ステアリングモータの下方に位置し、前記ステアリングモータから出力した動力が伝達され、かつ、前記駆動輪の向きを変更する動力を出力する減速機とを更に有し、
前記駆動輪ユニットは、
取付部を更に有し、
前記取付部は、前記取付部に前記ステアリングモータ及び前記減速機が取り付けられ、
前記取付部が前記ベースに取り付けられた、
搬送装置。
【請求項2】
前記搬送装置によって搬送物を搬送している状態において、前記搬送装置は、上方から見てこの搬送物と並び、
前記搬送装置によって前記搬送物を搬送している状態において、前記操舵機構は、上方から見て前記搬送装置が前記搬送装置と前記搬送物とが並ぶ方向と交差する方向に走行するように、前記駆動輪の向きを変更可能である、
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記搬送装置によって搬送物を搬送している状態において、前記搬送装置は、上方から見てこの搬送物と並び、
前記搬送装置によって前記搬送物を搬送している状態において、前記操舵機構は、上方から見て前記搬送装置が前記搬送物とは反対側に向かって走行するように、前記駆動輪の向きを変更可能である、
請求項1又は請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記搬送装置によって搬送物を搬送している状態において、前記搬送装置は、上方から見てこの搬送物と並び、
前記搬送装置によって前記搬送物を搬送している状態において、前記操舵機構は、上方から見て前記搬送装置が前記搬送物側に向かって走行するように、前記駆動輪の向きを変更可能である、
請求項1~3のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項5】
複数の前記駆動輪と、
前記複数の駆動輪の各々の向きを個別に変更する複数の前記操舵機構とを備え、
前記搬送装置によって搬送物を搬送している状態において、前記搬送装置は、上方から見てこの搬送物と並び、
前記搬送装置によって前記搬送物を搬送している状態において、前記複数の操舵機構は、上方から見て、前記搬送装置の旋回中心が前記搬送装置の前記搬送物側に位置した状態で前記搬送装置が旋回するように、前記複数の駆動輪の各々の向きを変更可能である、
請求項1~4のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記少なくとも一つの駆動輪ユニットとして、複数の駆動輪ユニットを備えた、
請求項1~5のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記複数の駆動輪ユニットとして、二つの駆動輪ユニットを備え、
前記搬送装置によって搬送物を搬送している状態において、上方から見て、前記二つの駆動輪ユニットがこの搬送物の両側に位置する、
請求項6に記載の搬送装置。
【請求項8】
前記ベースは、前記駆動輪ユニットを一箇所だけで保持した、
請求項1~
7のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項9】
前記走行機構は、
ドライブモータを更に有し、
前記ドライブモータは、
前記駆動輪を回転するための動力を出力する出力軸を有し、
前記ドライブモータにおいて前記出力軸を除いた部分は、縦長の形状を有する、
請求項1~8のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項10】
二つの駆動輪ユニットを備え、
前記二つの駆動輪ユニットに含まれる駆動輪ユニットは、
駆動輪を含む走行機構と、
前記駆動輪の向きを変更する操舵機構とを有し、
前記操舵機構は、前記走行機構の上方に位置し、
搬送装置によって搬送物を搬送している状態において、前記駆動輪は、上方から見てこの搬送物の周囲に位置し、
前記走行機構は、
前記駆動輪を回転するための動力を出力するドライブモータを更に有し、
前記操舵機構は、
前記駆動輪の向きを変える動力を出力するステアリングモータを更に有し、
前記ステアリングモータは、前記駆動輪及びドライブモータのうちの少なくとも一方の上方に位置した、
搬送装置。
【請求項11】
搬送物に連結可能な連結部を更に備えた、
請求項1~10のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項12】
少なくとも一つの駆動輪ユニットを備え、
前記少なくとも一つの駆動輪ユニットに含まれる駆動輪ユニットは、
駆動輪を含む走行機構と、
前記駆動輪の向きを変更する操舵機構とを有し、
前記操舵機構は、前記走行機構の上方に位置し、
搬送装置によって搬送物を搬送している状態において、前記駆動輪は、上方から見てこの搬送物の周囲に位置し、
上方から見て前記搬送装置と一方向に並んで配置された搬送物に連結可能な連結部を更に備え、
前記駆動輪は、上方から見て前記一方向と交差する方向に走行可能であり、
上方から見て、前記駆動輪の中心は、前記搬送装置の中心よりも前記一方向において前記搬送物側に位置する、
搬送装置。
【請求項13】
上方から見て搬送装置と一方向に並んで配置された搬送物に連結可能な連結部を更に備え、
前記駆動輪は、上方から見て前記一方向と交差する方向に走行可能であり、
上方から見て、前記搬送装置の重心が、前記駆動輪の中心よりも前記一方向において前記搬送物とは反対側に位置した、
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項14】
上方から見て搬送装置と一方向に並んで配置された搬送物に連結可能な連結部を更に備え、
前記駆動輪は、上方から見て前記一方向と交差する方向に走行可能であり、
上方から見て、前記駆動輪の中心は、前記搬送装置の前記一方向における中心よりも前記一方向において前記搬送物側に位置した、
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の搬送装置によって搬送物を搬送する、
搬送方法。
【請求項16】
前記搬送装置は、上方から見て前記搬送装置と前記搬送物とが並んだ状態で前記搬送物を搬送し、
前記搬送装置による前記搬送物の搬送時において、前記搬送装置は、第1方向、第2方向及び第3方向のうちの少なくとも一つの方向に走行し、
前記第1方向は、上方から見て前記搬送装置と前記搬送物とが並ぶ方向と交差する方向であり、
前記第2方向は、上方から見て前記搬送装置から前記搬送物とは反対側に向かう方向であり、
前記第3方向は、上方から見て前記搬送装置から前記搬送物側に向かう方向である、
請求項15に記載の搬送方法。
【請求項17】
少なくとも一つの電子部品装着機を備え、
前記少なくとも一つの電子部品装着機に含まれる電子部品装着機は、
電子部品をプリント配線板に実装する装着ヘッドを含む装着機本体と、
前記電子部品を前記装着機本体に供給する部品供給部とを有し、
前記部品供給部は、請求項1~14のいずれか1項に記載の搬送装置によって前記装着機本体まで搬送される、
部品実装システム。
【請求項18】
前記搬送装置は、前記部品供給部のうち前記電子部品を前記装着機本体に排出する部位と反対側の部位と連結可能である、
請求項17に記載の部品実装システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、搬送装置、搬送方法及び部品実装システムに関し、詳しくは、駆動輪を備えた搬送装置、搬送装置を利用する搬送方法及び搬送装置を利用する部品実装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、無人搬送車が開示されている。この無人搬送車は台車であり、走行モータの駆動により操舵輪が回転し、また、ステアリングモータの駆動により操舵輪の操舵が行われる。
【0003】
上述した無人搬送車にあっては、上方から見たときのサイズが大きくなると、無人搬送車を置くための広いスペースが必要になったり、無人搬送車が幅の狭い通路を走行し難くなったりする可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
本開示は上記事由に鑑みてなされており、上方から見たときのサイズが大きくなることを抑制できる搬送装置、搬送方法及びこの搬送装置を利用する部品実装システムを提供することを目的とする。
【0006】
本開示の一態様に係る搬送装置は、少なくとも一つの駆動輪ユニットを備える。前記少なくとも一つの駆動輪ユニットに含まれる駆動輪ユニットは、駆動輪を含む走行機構と、前記駆動輪の向きを変更する操舵機構とを有する。前記操舵機構は、前記走行機構の上方に位置する。前記搬送装置によって搬送物を搬送している状態において、前記駆動輪は、上方から見てこの搬送物の周囲に位置する。
【0007】
本開示の一態様に係る搬送方法は、前記搬送装置によって搬送物を搬送する。
【0008】
本開示の一態様に係る部品実装システムは、少なくとも一つの電子部品装着機を備える。前記少なくとも一つの電子部品装着機に含まれる電子部品装着機は、装着機本体と、部品供給部とを有する。前記装着機本体は、電子部品をプリント配線板に実装する装着ヘッドを含む。前記部品供給部は、前記電子部品を前記装着機本体に供給する。前記部品供給部は、前記搬送装置によって前記装着機本体まで搬送される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1A及び
図1Bは、第1実施形態に係る搬送装置と搬送物とを示した斜視図である。
【
図2】
図2は、同上の搬送装置の内部構造を示した斜視図である。
【
図3】
図3は、同上の搬送装置の要部であって、一部を切欠断面で示した正面図である。
【
図4】
図4は、他例のドライブモータを示した斜視図である。
【
図5】
図5は、同上の搬送装置の走行状態を模式的に示した平面図である。
【
図6】
図6は、同上の搬送装置を備える部品実装システムのブロック図である。
【
図7】
図7A~
図7Cは、同上の搬送装置の走行状態を模式的に示した平面図である。
【
図8】
図8は、同上の搬送装置と電子部品装着機とを模式的に示した平面図である。
【
図9】
図9は、変形例1の搬送装置の内部構造を示した斜視図である。
【
図10】
図10は、変形例2の搬送装置及び搬送物を示した斜視図である。
【
図11】
図11は、第二実施形態に係る搬送装置と搬送物とを示した斜視図である。
【
図12】
図12は、同上の搬送装置と搬送物とを模式的に示した平面図である。
【
図13】
図13は、同上の搬送装置の走行状態を模式的に示した平面図である。
【
図14】
図14は、他例の搬送装置の走行状態を模式的に示した平面図である。
【
図15】
図15は、第二実施形態に係る搬送装置と電子部品装着機とを模式的に示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1)第1実施形態
図1A及び
図1Bに第1実施形態の搬送装置1を示す。搬送装置1は、搬送物71が連結された状態で走行面9上を走行することにより、搬送物71を目的の箇所に搬送する。
【0011】
搬送装置1が走行する走行面9は、例えば、床面、マットの上面、地面、アスファルトの上面又はコンクリートの上面である。走行面9は、屋内又は屋外のいずれの場所に形成された面であってもよい。走行面9が形成される場所は、例えば、工場、倉庫、建設現場、店舗(ショッピングモールを含む)、物流センタ、事務所、公園、住宅、学校、病院、駅、空港、駐車場又は乗り物の内部である。
【0012】
以下では、搬送装置1について、搬送装置1が水平な走行面9上に配置された状態における方向を用いて、説明する。具体的には、水平な走行面9に対して直交する2方向を上下方向とする。また、走行面9から搬送装置1に向かう方向を上方とする。また、上下方向と直交し、かつ、互いに逆向きの任意の2方向を前後方向とする。また、上下方向に直交し、かつ、前後方向と直交する2方向を左右方向とする。なお、走行面9は、水平方向に対して傾いた傾斜面であってもよく、また、凹凸を有してもよい。
【0013】
本実施形態の搬送装置1は、走行面9を自動で走行する無人搬送車(Automated guided vehicle)である。搬送装置1が搬送物71を搬送している状態において、搬送装置1は、上方から見て搬送物71と水平な一方向に並ぶ。すなわち、本実施形態の搬送装置1は、搬送物71をけん引して搬送可能なけん引形の無人搬送車である。なお、本開示において、「搬送装置が上方から見て搬送物と並ぶ」には、上方から見て搬送物71の一部が搬送装置1と重なった態様で、搬送装置1と搬送物71とが水平な一方向に並ぶことも含まれる。勿論、搬送装置1と搬送物71とは、上方から見て搬送装置1の全部が搬送物71と重ならない態様で並んでもよい。
【0014】
また、本開示において、「搬送装置1が上方から見て搬送物71と並ぶ」には、搬送装置1に付属物が取り付けられる場合に、この付属物だけが搬送物71と上方から見て並ぶことも含まれる。また、搬送装置1には、けん引する搬送物71とは別の搬送物が積載されてもよい。この場合、搬送装置1は、搬送物71と、搬送物71とは別の搬送物とを同時に搬送することができる。また、搬送装置1は、けん引形に限定されず、搬送物71を搬送装置1上に載せて搬送する積載形であってもよい。また、本実施形態の搬送装置1は、上方から見て、搬送物71の周囲に位置するが、例えば、上方から見て、搬送物71の全体が搬送装置1と重なってもよい。この場合、搬送装置1は、搬送物71の周囲に位置しない。
【0015】
搬送装置1の自動走行方式は、例えば、経路誘導式である。経路誘導式では、経路に沿って設置された誘導体がセンサ等で検知され、このセンサの検知結果に基づいて搬送装置1が誘導される。誘導体としては、例えば、磁気テープ、光反射テープ又は電磁誘導ケーブル等が用いられる。なお、搬送装置1の自動走行方式は、経路誘導式に限定されない。搬送装置1の自動走行方式は、搬送装置1が有する位置推定機能又は走行制御機能等を用いて自律的に移動する自律移動式であってもよい。
【0016】
本実施形態の搬送装置1は、
図1A及び
図1Bに示すように、左右方向に延びた形状を有している。本実施形態では、搬送物71が搬送装置1の後方に配置された状態で搬送装置1に連結され、この状態で搬送装置1が走行することにより、搬送物71が搬送される。
【0017】
搬送装置1は、例えば、
図2に示すベース2を備えている。ベース2は、例えば、金属製である。ベース2は、搬送装置1の骨格を構成するフレームである。ベース2は、左右方向に延びた直方体状に枠組みされた複数のフレーム材200~202,210~212,220~222を有している。
【0018】
ベース2は、上枠20、下枠21及び接続部22を有している。上枠20はベース2の上端部を構成している。下枠21は、間隔をあけて上枠20の下方に位置している。下枠21は、ベース2の下端部を構成している。接続部22は、上枠20と下枠21とを接続している。
【0019】
上枠20は、前後方向に間隔をあけて並んだ前後一対のフレーム材200,201と、左右方向に間隔をあけて並んだ複数のフレーム材202とを有している。下枠21は、前後方向に間隔をあけて並んだ前後一対のフレーム材210,211と、左右方向に間隔をあけて並んだ複数のフレーム材212とを有している。
【0020】
上枠20の前後のフレーム材200,201及び下枠21の前後のフレーム材210,211の各々は、左右方向に延びている。上枠20の複数のフレーム材202及び下枠21の複数のフレーム材212の各々は、前後方向に延びている。上枠20及び下枠21の各々において、前後一対のフレーム材200,201,210,211は、複数のフレーム材202,212によって連結されている。
【0021】
接続部22は、複数のフレーム材220と、複数のフレーム材221とを有している。複数のフレーム材220及び複数のフレーム材221の各々のフレーム材220,221は、上下方向に延びている。複数のフレーム材220は、左右方向に間隔をあけて並んでいる。上枠20の前側のフレーム材200と下枠21の前側のフレーム材210とは、複数のフレーム材220で接続されている。複数のフレーム材221は、左右方向に間隔をあけて並んでいる。上枠20の後側のフレーム材201と下枠21の後側のフレーム材211とは、複数のフレーム材221で接続されている。
【0022】
接続部22は、フレーム材220,221として、二つのフレーム材220a,221aを有している。二つのフレーム材220a,221aは、ベース2における左右方向の中間部に位置している。二つのフレーム材220a,221aは、前後方向に間隔をあけて配されている。接続部22は、フレーム材222を更に有している。フレーム材222は、前後方向に延び、二つのフレーム材220a,221aの下端部同士を連結している。
【0023】
搬送装置1は、複数の駆動輪ユニット3を備えている。具体的に搬送装置1は、二つの駆動輪ユニット3を備えている。各駆動輪ユニット3は、同じ規格で製造されたユニットであって構成が同じであることが望ましい。なお、搬送装置1が備える駆動輪ユニット3の数は限定されない。例えば、搬送装置1は、駆動輪ユニット3を一つだけ備えてもよいし、三つ以上備えてもよい。
【0024】
各駆動輪ユニット3は、ベース2に対して脱着可能に取り付けられている。二つの駆動輪ユニット3は、ベース2の長手方向に間隔をあけて並んでいる。二つの駆動輪ユニット3は、ベース2の長手方向(左右方向)の両端部にそれぞれ取り付けられている。
【0025】
複数の駆動輪ユニット3の各々は、走行機構4と操舵機構5とを有している。各駆動輪ユニット3の走行機構4は、走行面9を走行する駆動輪40を有している。走行機構4は、駆動輪40を回転させて搬送装置1を走行させる。
【0026】
各駆動輪ユニット3は、駆動輪40を一つだけ有している。すなわち、搬送装置1は、合計二つの駆動輪40を有している。操舵機構5は、駆動輪40の向きを変更する。すなわち、操舵機構5は、駆動輪40を操舵する機構である。なお、各駆動輪ユニット3は複数の駆動輪40を有してもよく、各駆動輪ユニット3が有する駆動輪40の数は、限定されない。
【0027】
各駆動輪ユニット3は、走行機構4と操舵機構5とが一体化された一つのユニットとして取り扱われる。このため、駆動輪ユニット3をベース2に取り付けることで、走行機構4と操舵機構5とを備えた搬送装置1を簡単に組み立てることができる。また、一つのユニットとして一体化された駆動輪ユニット3は、ベース2への取付位置を変更したり、搬送装置1が備える駆動輪ユニット3の数を変更したりすることで、搬送物71(
図1A参照)の形状、大きさ及び重さ等に適した搬送装置1を容易に製造することができる。例えば、駆動輪ユニット3は、ベース2において異なる複数の箇所の各々に対して、ねじ等の固着具を用いて取り付けられるように構成されている。これにより、駆動輪ユニット3は、例えば、複数のフレーム材200~202,210~212,220~222のうちのいずれかのフレーム材に取り付けることができる。
【0028】
走行機構4の駆動輪40は、搬送装置1を走行させるための車輪である。駆動輪40は、搬送装置1の下端部に位置している。二つの駆動輪40(一方の駆動輪ユニット3の駆動輪40と、他方の駆動輪ユニット3の駆動輪40)は、左右方向に間隔をあけて並んでいる。上方から見て、各駆動輪40の中心は、左右方向と平行な同一の仮想直線上に位置している。
【0029】
図3に示すように、走行機構4は、ドライブモータ42を更に有している。ドライブモータ42は、出力軸420を有している。出力軸420は、駆動輪40の回転軸30と平行である。出力軸420は、ドライブモータ42の駆動時において、駆動輪40を回転するための動力を出力する。出力軸420から出力された動力が、駆動輪40に伝達することにより、駆動輪40は、鉛直面に対して交差する方向に延びる回転軸30を中心に回転する。具体的に駆動輪40は、水平な回転軸30を中心に回転する。なお、本開示における「回転軸」は、回転運動の中心となる仮想の直線を意味する。以下、回転軸30を駆動軸30という。
【0030】
ドライブモータ42において出力軸420を除いた他の全ての部分で構成される部分は、駆動軸30と平行な方向に延びた横長の形状を有している。なお、本開示における「横長」とは、水平方向の最大寸法が上下方向の最大寸法よりも大きいことを意味する。本実施形態では、出力軸420を含めたドライブモータ42の全体の形状が、横長である。
【0031】
ドライブモータ42と駆動輪40とは、駆動軸30と平行な方向に並んでいる。ドライブモータ42の出力軸420の回転方向は、一方向とこの一方向とは逆方向となる他方向とに切換可能である。このため、出力軸420の回転方向を切り換えることにより、駆動軸30を中心とした駆動輪40の回転方向を一方向とこの一方向とは逆方向となる他方向とに切り換えることができる。なお、駆動輪40の前記回転方向の切換は、出力軸420の回転方向の切換ではなくドライブモータ42から出力された動力を駆動輪40に伝えるギヤの切換等によって実現されてもよい。
【0032】
走行機構4は、減速機41を更に有している。以下、減速機41を第1減速機41という。第1減速機41には、ドライブモータ42から出力した動力が伝達される。第1減速機41は、ドライブモータ42から第1減速機41に伝達した動力を、駆動輪40を回転するための動力として出力する。この際、第1減速機41は、駆動輪40の駆動軸30回りの回転速度が出力軸420の回転速度よりも遅くなるように、駆動輪40を回転するための動力を出力する。第1減速機41は、ドライブモータ42と駆動輪40との間に位置している。すなわち、ドライブモータ42、第1減速機41及び駆動輪40は、駆動軸30と平行な方向に並んでいる。ドライブモータ42及び第1減速機41は、駆動輪40から駆動軸30と平行な一方向に突出している。
【0033】
第1減速機41は、固定部410を有している。固定部410は、ボルト等の固着具によってドライブモータ42に取付けられている。すなわち、本実施形態の走行機構4は、ドライブモータ42と第1減速機41とで構成されたギヤードモータを有している。なお、ドライブモータ42は、減速機41が取り付けられないモータであってもよい。この場合、ドライブモータ42から出力された動力は、駆動輪40に直接伝達されてもよいし、ドライブモータ42に取り付けられていない減速機を介して駆動輪40に伝達されてもよい。
【0034】
第1減速機41は、出力部411を更に有している。出力部411は、固定部410によって回転可能に保持されている。出力部411は、ボルト等の固着具によって駆動輪40に取り付けられている。ドライブモータ42の駆動時において、出力部411は、出力部411の水平な中心軸を中心に回転する。このように、出力部411が回転することで、出力部411に取り付けられた駆動輪40は、出力部411の中心軸を中心に回転する。すなわち、本実施形態では、出力部411の中心軸が駆動軸30となる。
【0035】
本実施形態の走行機構4は、ブラケット43を更に有している。ブラケット43は、縦板部430と横板部431とを有している。縦板部430は、厚み方向が駆動輪40の駆動軸30に平行な平板状に形成されている。縦板部430は、駆動軸30と平行な方向において、駆動輪40と並んでいる。第1減速機41は縦板部430を貫通している。縦板部430には、ボルト等の固着具によって第1減速機41の固定部410が取付けられている。
【0036】
横板部431は、縦板部430とは別の部材である。横板部431は、ボルト等の固着具によって縦板部430に取り付けられている。横板部431は、厚み方向が上下方向に平行な平板状に形成されている。横板部431は、縦板部430の上端部から駆動輪40の上方領域に向かって突出している。横板部431は、後述する操舵機構5が取り付けられる部分である。なお、横板部431は、縦板部430と一体に形成されてもよい。
【0037】
各駆動輪ユニット3において、操舵機構5は駆動輪40の向きを変更する。すなわち、駆動輪40は、操舵機構5によって、駆動軸30の向きが変えられる操舵輪である。操舵機構5は、ステアリングモータ50を有している。ステアリングモータ50は、出力軸500を有している。ステアリングモータ50の駆動時において、出力軸500は、駆動輪40の向きを変えるための動力を出力する。出力軸500から出力された動力により、駆動輪40が上下方向と平行な回転軸31を中心に回転し、駆動輪40の向きが変わる。以下、この回転軸31を操舵軸31という。
【0038】
ステアリングモータ50において出力軸500を除いた他の全ての部分で構成される部分は、上下方向に延びた縦長の形状を有している。なお、本開示における「縦長」とは、上下方向の最大寸法が水平方向の最大寸法よりも大きいことを意味する。本実施形態では、出力軸500を含めたステアリングモータ50の全体の形状が、縦長である。ステアリングモータ50は、ブラケット43の横板部431の上方に位置し、かつ、駆動輪40の上方に位置している。このため、各駆動輪ユニット3の上方から見たときのサイズが大きくなることを抑制でき、ひいては搬送装置1の上方から見たサイズの大型化を抑制できる。
【0039】
なお、本実施形態のステアリングモータ50は、ドライブモータ42の上方に位置しないが、駆動輪40とドライブモータ42との両者の上方に位置してもよい。また、ステアリングモータ50は、駆動輪40及びドライブモータ42のうちのドライブモータ42のみの上方に位置してもよい。すなわち、ステアリングモータ50は、駆動輪40及びドライブモータ42のうちの少なくとも一方の上方に位置していればよい。
【0040】
各駆動輪ユニット3の上方から見たときのサイズの大型化を更に抑制するには、例えば、
図4に示すようにドライブモータ42において出力軸420を除いた他の全ての部分で構成される部分の形状が、縦長であってもよい。
図4に示すドライブモータ42は、出力軸が水平面に対して交差するモータであり、この出力軸の回転は、例えば、減速機41によって駆動輪40の駆動軸30を中心とした回転に変換される。
【0041】
なお、
図4に示すように、ドライブモータ42において出力軸を除いた他の全ての部分で構成される部分を縦長の形状にする場合、ドライブモータ42の出力軸は、駆動軸30と平行であってもよい。また、各駆動輪ユニット3の上方から見たときのサイズの大型化を更に抑制するには、ドライブモータ42として、駆動輪40に内蔵されたホイールモータ(インホイールモータ)を用いてもよい。
【0042】
図3に示す各駆動輪ユニット3は、ステアリングモータ50の出力軸500の回転方向が、一方向とこの一方向とは逆方向となる他方向とに切換可能である。このため、出力軸500の回転方向を切り換えることにより、操舵軸31を中心とした駆動輪40の回転方向を一方向とこの一方向とは逆方向となる他方向とに切り換えることができる。なお、駆動輪40の操舵軸31を中心とした回転方向の切換は、出力軸500の回転方向の切換に代えて、ステアリングモータ50から出力された動力を駆動輪40に伝えるギヤの切換等によって実現されてもよい。
【0043】
本実施形態の操舵機構5は、減速機52を更に有している。以下、減速機52を第2減速機52という。第2減速機52には、ステアリングモータ50から出力した動力が伝達される。第2減速機52は、ステアリングモータ50から第2減速機52に伝達した動力を、駆動輪40の向きを変更するための動力として出力する。この際、第2減速機52は、駆動輪40の操舵軸31を中心とした回転速度が出力軸500の回転速度よりも遅くなるように、駆動輪40の向きを変更するための動力を出力する。
【0044】
第2減速機52は、ブラケット43の横板部431と、この横板部431の上方に位置するステアリングモータ50との間に位置している。第2減速機52は、固定部520と出力部521とを有している。固定部520は、ステアリングモータ50に対して固定されている。出力部521は、固定部520の下方に位置している。出力部521は、固定部520によって回転可能に保持されている。出力部521は、ボルト等の固着具によってブラケット43の横板部431に取り付けられている。ステアリングモータ50の駆動時において、出力部521は、上方から見て出力部521の中心を通る上下方向と平行な回転軸を中心に回転する。なお、この回転軸は、上方から見て駆動輪40の中心と重なっていてもよいし、重なっていなくてもよい。
【0045】
上記のように出力部521が回転することで、出力部521に取り付けられたブラケット43が回転する。このようにブラケット43が回転することで、ブラケット43に対して取り付けられた、第1減速機41、ドライブモータ42及び駆動輪40が、出力部521の回転軸を中心に回転する。これにより、駆動輪40の向きが変わる。すなわち、本実施形態では、出力部521の回転軸が、駆動輪40の操舵軸31となる。操舵軸31は、水平面に対して交差(詳しくは、直交)する方向に延びる。
【0046】
各駆動輪ユニット3の駆動輪40の向きは、各駆動輪ユニット3が有する操舵機構5によって、駆動輪40毎(駆動輪ユニット3毎)に個別に変更可能である。なお、各駆動輪40の操舵軸31を中心とした回転において許容される角度は、360度未満であってもよいし、360度以上であってもよい。
【0047】
本実施形態の搬送装置1は、例えば、
図5に示すように、搬送物71をけん引して搬送可能な、けん引形の搬送装置である。このため、搬送物71の下向きの荷重の大部分は、走行面9に加わり、搬送装置1には加わらない。すなわち、各駆動輪40には搬送物71の下向きの荷重が加わり難く、各駆動輪40の向きは小さな力で変更可能である。したがって、ステアリングモータ50の大型化を抑制することができる。なお、
図5及び後述の説明で用いる
図7A~
図7Cは、理解を容易にするため、駆動輪ユニット3及び従動輪10、並びに搬送物71が有する車輪721を実線で示しているが、実際にはこれらは上方からは隠れて見えない。
【0048】
図3に示すように、本実施形態の操舵機構5は、取付部53を更に有している。取付部53は、駆動輪ユニット3において、ベース2に取り付けられる部分である。取付部53は、横板部530と、縦板部531とを有している。横板部530は、厚み方向が上下方向と平行な平板状に形成されている。横板部530は、ステアリングモータ50と第2減速機52の固定部520との間に位置している。
【0049】
取付部53の横板部530には、ボルト等の固着具によって、ステアリングモータ50と第2減速機52の固定部520とが取り付けられている。ステアリングモータ50、横板部530、固定部520及び出力部521は、上下方向に並んでいる。本実施形態では、駆動輪40の上方に、出力部521、固定部520、横板部530及びステアリングモータ50が位置している。このため、各駆動輪ユニット3の上方から見たときのサイズが大きくなることを一層抑制できる。
【0050】
取付部53の縦板部531は、横板部530とは別の部材である。縦板部531は、ボルト等の固着具によって横板部530に取り付けられている。縦板部531は、厚み方向が左右方向と平行な平板状に形成されている。縦板部531は、横板部530における左右方向の一端部から上方に向かって突出している。
【0051】
ステアリングモータ50は、横板部530に加えて、縦板部531に対してボルト等の固着具によって取り付けられてもよい。この場合、ステアリングモータ50は、縦板部531と横板部530との両者に取り付けられる。なお、ステアリングモータ50は、横板部530及び縦板部531のうち、横板部530だけに取り付けられてもよいし、縦板部531だけに取り付けられてもよい。また、縦板部531は、横板部530と一体に形成されてもよい。
【0052】
縦板部531は、ベース2に取り付けられている。具体的に縦板部531は、上枠20のフレーム材202に、ボルト等の固着具によって取り付けられている。本実施形態では、このように縦板部531がベース2に取り付けられることにより、各駆動輪ユニット3の駆動輪40、ドライブモータ42及び操舵機構5がベース2に対して取り付けられている。なお、本開示において、「取り付けられる」とは、取付対象物に対して直接取り付けられる場合だけでなく、他の部材を介して間接的に取り付けられる場合も含む。すなわち、駆動輪40、ドライブモータ42及び操舵機構5の各々は、直接ベース2に取り付けられてもよいし、他の部材を介して間接的にベース2に取り付けられてもよい。
【0053】
本実施形態の各駆動輪ユニット3は、取付部53における縦板部531だけが、ベース2に直接取り付けられている。すなわち、ベース2は、各駆動輪ユニット3を、縦板部531の一箇所だけで保持している。このように、走行機構4と操舵機構5とを一体化して一つのユニットとして構成された駆動輪ユニット3における一箇所をベース2に取り付けることで、走行機構4及び操舵機構5を備えた搬送装置1を簡単に組み立てることができる。
【0054】
図2に示すように、搬送装置1は、複数の従動輪10を更に備えている。複数の従動輪10の各々は、搬送装置1の下端部に位置している。各従動輪10は、ベース2に取り付けられている。本実施形態の搬送装置1は、複数の従動輪10として、合計二つの従動輪10を備えている。二つの従動輪10は、フレーム材222の前後方向の両端部にそれぞれ取り付けられている。二つの従動輪10は、前後方向に間隔をあけて配されている。
【0055】
複数の従動輪10の各々は、ベース2に対して、上下方向に対し平行な旋回軸を中心に回転可能である。なお、搬送装置1が備える従動輪10の数は、二つに限定されない。搬送装置1が備える従動輪10の数は、例えば、一つであってもよいし、三つ以上であってもよい。また、各従動輪10の旋回軸を中心とした回転において許容される角度は、360度以上であってもよいし、360度未満であってもよい。また、搬送装置1は、従動輪10を備えなくてもよい。
【0056】
図6に示すように、本実施形態の搬送装置1は、制御装置11と、電源12とを更に備えている。制御装置11及び電源12は、例えば、ベース2(
図2参照)に取り付けられる。制御装置11は、各駆動輪ユニット3のドライブモータ42及びステアリングモータ50を個別に制御する。
【0057】
制御装置11は、例えば1以上のプロセッサ及びメモリを有するマイクロコンピュータを有している。言い換えれば、制御装置11は、1以上のプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムにて実現されている。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを有する。メモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における制御装置11の機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されていてもよいが、電気通信回線を通じて提供されてもよいし、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1乃至複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、一つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、一つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。
【0058】
電源12は、例えば、二次電池である。電源12は、各駆動輪ユニット3のドライブモータ42及びステアリングモータ50、並びに制御装置11に対して、直接又は間接的に電力を供給する。
【0059】
図2に示すように、本実施形態のベース2は、電源設置部23を更に有している。電源設置部23は、電源12が設置される部分である。電源設置部23は、ベース2における左右方向の中間部に位置している。電源設置部23は、底部24と、複数のフレーム材25とを有している。底部24は、複数のフレーム材で構成される。複数のフレーム材25は、底部24の周縁部から上方に向かって突出している。複数のフレーム材25の上端部は、上枠20に接続されている。
【0060】
電源12は、底部24に載った状態で電源設置部23に取り付けられる。電源12は、上方から見て二つの駆動輪40の間に配されることが好ましい。この場合、前後方向において、搬送装置1の重心を各駆動輪40の操舵軸31に近づけることができる。このため、各駆動輪40の上方に搬送物71が配されないけん引形の搬送装置1でありながら、搬送装置1の走行時においては、各駆動輪40の走行面9に対する摩擦力(トラクション)が大きくなりやすい。したがって、搬送装置1は大きな推進力で走行することができ、かつ、各駆動輪40が空転することが抑制される。なお、搬送装置1は、外部から電力が供給されてもよく、この場合、搬送装置1は電源12を備えなくてもよい。
【0061】
本実施形態の搬送装置1は、
図6に示す制御装置11が、各駆動輪ユニット3のドライブモータ42及びステアリングモータ50を制御することによって、走行する。制御装置11は、搬送装置1の走行時において、各駆動輪ユニット3のステアリングモータ50の駆動を制御することで、各駆動輪ユニット3の駆動輪40の向きを制御する。
【0062】
搬送装置1は、搬送物71の搬送時において、第1方向、第2方向及び第3方向のうちの少なくとも一つの方向に走行可能である。前記第1方向は、上方から見て搬送装置1と搬送物71とが並ぶ方向と交差する方向である。前記第2方向は、上方から見て搬送装置1から搬送物71とは反対側に向かう方向である。前記第3方向は、上方から見て搬送装置1から搬送物71側に向かう方向である、本実施形態の搬送装置1は、第1方向、第2方向及び第3方向のいずれの方向にも走行可能である。
【0063】
具体的に搬送装置1は、
図5及び
図7A~
図7Cに示すように、走行可能である。
図5に示す状態では、各駆動輪40の駆動軸30が前後方向と平行である。この状態で、各駆動輪40が駆動軸30を中心に回転することで、搬送装置1は左右方向に直進する。すなわち、この場合、搬送装置1は、搬送物71を搬送している状態において、上方から見て、搬送装置1と搬送物71とが並ぶ方向と交差する方向(詳しくは、直交する方向)に走行する。搬送装置1は、例えば、制御装置11が各駆動輪40の駆動軸30が前後方向と平行になるようにステアリングモータ50を制御すると共に、各駆動輪40の駆動軸30回りの回転方向を同一方向になるようにドライブモータ42を制御することにより、左右方向に直進する。
【0064】
図7Aに示す状態では、各駆動輪40の駆動軸30が左右方向と平行である。この状態で、各駆動輪40が駆動軸30を中心に回転することで、搬送装置1は前後方向に直進する。この場合、搬送装置1は、搬送物71を搬送している状態において、上方から見て、搬送装置1と搬送物71とが並ぶ方向に走行する。すなわち、搬送装置1は、上方から見て搬送物71とは反対側に向かって走行可能であり、かつ、上方から見て搬送物71側に向かって走行可能である。搬送装置1は、例えば、制御装置11が各駆動輪40の駆動軸30が左右方向と平行になるようにステアリングモータ50を制御すると共に、各駆動輪40の駆動軸30回りの回転方向を同一方向になるようにドライブモータ42を制御することにより、前後方向に直進する。
【0065】
図7Bに示す状態では、各駆動輪40の駆動軸30が非平行である。また、各駆動輪40の操舵軸31から、旋回中心となる複数の駆動軸30が交わる点Cまでの距離が異なっている。この状態で、各駆動輪40が駆動軸30を中心に回転することで、搬送装置1は点Cを中心に旋回する。この場合、搬送装置1の旋回中心である点Cは、左右方向において搬送装置1とずれて位置する。搬送装置1は、例えば、制御装置11が各駆動輪40の駆動軸30が非平行になるようにステアリングモータ50を制御すると共に、各駆動輪40の駆動軸30回りの回転方向を同一方向になるようにドライブモータ42を制御することにより、旋回する。
【0066】
図7Cに示す状態では、各駆動輪40の駆動軸30が非平行である。また、各駆動輪40の操舵軸31から、旋回中心となる複数の駆動軸30が交わる点Cまでの距離が同じである。この状態で、各駆動輪40が駆動軸30を中心に回転することで、搬送装置1は点Cを中心に旋回する。この場合、搬送装置1の旋回中心である点Cは、搬送装置1の後方(搬送装置1に連結された搬送物71側)に位置する。このため、搬送装置1は、
図7Bに示す状態と比較して、小さい旋回半径で旋回する。具体的に
図7Cに示す状態では、上方から見て、搬送装置1の旋回中心Cが、左側に位置する駆動輪40の操舵軸31よりも右側に位置し、かつ、右側に位置する駆動輪40の操舵軸31よりも左側に位置する。したがって、搬送装置1は、極めて小さい旋回半径で旋回する。
【0067】
図1A及び
図1Bに示すように、搬送装置1は、カバー6を更に備えている。カバー6は、ベース2(
図2参照)に取り付けられている。カバー6は、ベース2及び複数の駆動輪ユニット3を覆っている。カバー6は、搬送装置1の外殻を構成している。なお、カバー6は省略可能である。
【0068】
カバー6は、二つのユニット収容部60を有している。二つのユニット収容部60は、それぞれ、カバー6の左右方向の両端部を構成している。二つのユニット収容部60には、二つの駆動輪ユニット3がそれぞれ収容されている。
【0069】
図1A及び
図1Bに示す各ユニット収容部60は、突出部分600を有している。すなわち、カバー6は、二つの突出部分600を有している。各ユニット収容部60の突出部分600は、カバー6における二つのユニット収容部60の間の部分よりも、後方(搬送物71側)に向かって突出している。
図1Aに示す搬送物71は、突出部75を有している。搬送装置1によって搬送物71を搬送している状態において、突出部75は、搬送装置1側に向かって突出し、かつ、上方から見て二つの突出部分600の間に配される。この場合、カバー6に内蔵された二つの駆動輪ユニット3は、上方から見て、搬送物71の一部である突出部75の両側に位置する。すなわち、搬送装置1によって搬送物71を搬送している状態において、二つの駆動輪ユニット3は、上方から見て、搬送物71の両側に位置する。
【0070】
搬送装置1は、例えば、
図5に示す連結部13を更に備える。連結部13は、搬送物71が脱着可能に連結される部分である。連結部13は、例えば、ベース2の後面に取り付けられ、搬送装置1の後端部に位置する。すなわち、連結部13は、搬送装置1の後端部に位置しており、搬送装置1における前後方向の片側にのみ設けられている。
【0071】
搬送装置1によって搬送物71を搬送している状態において、各駆動輪40を含む搬送装置1は、上方から見て、連結部13に連結された搬送物71の周囲に位置する。具体的に連結部13に連結された搬送物71は、上方から見て、搬送装置1と前後方向(一方向)において並んで配置される。本実施形態の連結部13は、電磁石であり、搬送物71が備えた強磁性体74を磁力により引き付けることで、搬送物71に連結される。
【0072】
連結部13と搬送物71の強磁性体74との連結及びこの連結の解除は、電磁石である連結部13に流れる電流を制御装置11(
図6参照)が制御することで、切り換えられる。なお、連結部13は、電磁石に限定されない。連結部13は、例えば、引っ掛け又は嵌合等によって搬送物71に脱着可能に連結されてもよいし、ボルト等の固着具を用いて搬送物71に脱着可能に連結されてもよい。また、連結部13への搬送物71の連結は、搬送装置1又はその他の装置により自動で行われてもよいし、人により行われてもよい。また、連結部13の形状及び搬送装置1が備える連結部13の数は、適宜変更可能である。
【0073】
図1A及び
図1Bに示すように、本実施形態の搬送装置1が搬送する搬送物71は、電子部品装着機(チップマウンタ)7(
図8及び
図6参照)の部品供給部71である。部品供給部71は、電子部品装着機7が備える装着機本体70(
図6参照)に脱着可能に装着される。このように部品供給部71が装着機本体70に装着された状態では、上方から見て、部品供給部71と装着機本体70とが前後方向に並んだ状態で配される。部品供給部71は、装着機本体70に装着された状態で、装着機本体70に部品を供給する。装着機本体70は、部品供給部71から供給された電子部品をプリント配線板の所定位置に装着する装着ヘッド700(
図6参照)を有する。
【0074】
図1Bに示すように、部品供給部71は、台車72と、複数のフィーダ73とを有している。台車72は、台部720と、台部720に取付けられた複数の車輪721とを有している。例えば、台部720の前面には、搬送装置1の連結部13に連結可能な被連結部として、前述した強磁性体74(
図5参照)が取り付けられる。
【0075】
本実施形態では、四つの車輪721が、上方から見て矩形状の台部720の四隅にそれぞれ取り付けられている。複数の車輪721の各々は、例えば、台部720に対して、上下方向と平行な旋回軸を中心に回転可能な自在キャスタである。なお、複数の車輪721のうちの一部は、旋回しない固定キャスタであってもよい。また、複数の車輪721の全部が、固定キャスタであってもよい。また、台車72が有する車輪721の数は限定されない。台車72が有する車輪721の数は、二つ、三つ、あるいは五つ以上であってもよいし、一つであってもよい。また、各車輪721の旋回軸を中心とした回転において許容される角度は、360度以上であってもよいし、360度未満であってもよい。
【0076】
台部720の上には、複数のフィーダ73が載っている。複数のフィーダ73は、台部720に取り付けられている。複数のフィーダ73の各々は、装着機本体70に供給される電子部品を含んでいる。各フィーダ73は、例えば、テープフィーダである。
【0077】
各フィーダ73の後側の端部は、電子部品を装着機本体70に排出する部位(供給する部位)を構成する。各フィーダ73は、リール730を前側から設置できるように構成されている。リール730は、例えば、電子部品が取り付けられたテープ731と、このテープ731が巻き付けられたリール本体732とを含む。
【0078】
なお、フィーダ73は、テープフィーダに限定されない。フィーダ73は、例えば、トレイフィーダ、スティックフィーダ又はバルクフィーダ等であってもよい。また、搬送物71は、部品供給部71に限定されず、車輪を有するその他の物品であってもよい。また、搬送物71は、車輪721を有さなくてもよい。
【0079】
搬送装置1によって搬送物71を搬送する場合、搬送物71は、例えば、
図5に示すように搬送装置1の連結部13に連結される。この場合、部品供給部71は、上方から見て、装着機本体70が装着される側(後方)とは反対側(前方)が搬送装置1に連結される。すなわち、搬送装置1は、部品供給部71のうち電子部品を装着機本体70に排出する部位と反対側の部位と連結可能である。このため、搬送装置1は、部品供給部71を、装着機本体70に装着される向きで、装着機本体70に装着される箇所又はその近傍まで搬送することができる。したがって、搬送装置1によって部品供給部71を搬送した後に、部品供給部71の向きを変更することが不要になる。このように搬送物71が搬送装置1に連結された状態で、搬送装置1が走行することにより、搬送物71が目的の箇所に搬送される。
【0080】
本実施形態の搬送装置1は、電子部品装着機7を備えた部品実装システム8の一部として利用することができる。すなわち、部品実装システム8は、少なくとも一つの電子部品装着機7と、搬送装置1とを備える。搬送装置1は、装着機本体70に部品を供給する部品供給部71を装着機本体70まで搬送する。この部品実装システム8では、搬送装置1によって搬送された部品供給部71により、装着機本体70に電子部品が供給される。なお、本開示において「部品供給部を装着機本体まで搬送する」とは、部品供給部71を装着機本体70の近傍まで搬送することを意味する。すなわち、「部品供給部を装着機本体まで搬送する」には、部品供給部71を装着機本体70に装着される箇所に搬送することと、部品供給部71を装着機本体70には装着されないが装着機本体70の近傍まで搬送することとの両者を含む。後者の場合、部品供給部71の装着機本体70への装着は、人又は他のロボット等によって行われる。
【0081】
(2)変形例
次に第1実施形態の変形例について説明する。なお、以下の各変形例の説明では、第1実施形態と共通する要素については同一の符号を付し、第1実施形態と共通する事項のついては説明を省略する。
【0082】
(2-1)変形例1
変形例1の搬送装置1は、
図9に示すように、ベース2の形状が第1実施形態の搬送装置1と異なる。搬送装置1は、複数の従動輪10として、合計四つの従動輪10を備えている。ベース2は、第1実施形態のベース2よりも左右方向の寸法が長い。ベース2の上枠20の左右方向の両側の端部は、下枠21よりも左右方向の外側に向かって突出している。電源設置部23の底部24は、下枠21で構成されている。電源12は下枠21に載った状態で電源設置部23に取り付けられている。
【0083】
四つの従動輪10は、上方から見て矩形枠状の下枠21の四隅にそれぞれ取り付けられている。四つの従動輪10の各々は、ベース2に対して、上下方向と平行な旋回軸を中心に回転可能である。なお、本変形例においても、搬送装置1が備える従動輪10の数は、限定されない。
【0084】
(2-2)変形例2
図10に示す変形例2の搬送装置1は、カバー6の形状が第1実施形態の搬送装置1と異なっている。本変形例のカバー6には、二つのユニット収容部60の間に位置し、上方及び前後両方向に開口した凹部61が形成されている。本変形例の搬送装置1も複数の駆動輪ユニット3を備えている。各駆動輪ユニット3は、カバー6で覆われている、各駆動輪ユニット3は、例えば、カバー6で覆われるベースに取り付けられる。なお、ベースは、第1実施形態のベース2と異なるベースであってもよいし、第1実施形態のベース2と同じベースであってもよい。
【0085】
凹部61には、搬送装置1に連結された搬送物71の一部を配置することができる。すなわち、この場合、上方から見て、搬送装置1と搬送物71の一部とが重複する。
図10に示す搬送物71は、搬送装置1に連結された状態で搬送装置1側に向かって突出したフィーダ73を有しており、このフィーダ73の一部が凹部61に配されている。
【0086】
(3)第2実施形態
次に第2実施形態について説明する。なお、以下の第2実施形態の説明では、第1実施形態と共通する要素については同一の符号を付し、第1実施形態と共通する事項については説明を省略する。
【0087】
ところで、特許文献1(特開2002-39786号公報)に示される無人搬送車は、搬送物が載せられる台車である。このため、上方から見て搬送物を載せる部分のサイズを大きくしなければ、搬送物を載せられない場合がある。この場合、無人搬送車の上方から見たときのサイズが大きくなりやすい。このため、無人搬送車を駐車するために広いスペースが必要になったり、無人搬送車が幅の狭い通路を走行し難くなったりする可能性がある。
【0088】
本実施形態は、上記事由に鑑みてなされており、上方から見たときのサイズが大きくなることを抑制できる搬送装置及びこれを備えた部品実装システムを提供することを目的とする。
【0089】
図11に第2実施形態の搬送装置1を示す。
図11及び
図12に示すように、本実施形態の搬送装置1は、変形例2と同様の構成を有するカバー6を備えている。また、本実施形態の搬送装置1も複数の駆動輪ユニット3を備えている。具体的に搬送装置1は、二つの駆動輪ユニット3を備えている。各駆動輪ユニット3は、第1実施形態の駆動輪ユニット3と同様の構成を有してもよいし、第1実施形態の駆動輪ユニット3とは異なる構成を有してもよい。
【0090】
各駆動輪ユニット3は、例えば、カバー6で覆われるベースに取り付けられる。なお、ベースは、第1実施形態のベース2と異なるベースであってもよいし、第1実施形態のベース2と同じベースであってもよい。カバー6の形状は、限定されず、例えば、カバー6は、第1実施形態のカバー6であってもよい。
【0091】
図13に示すように、上方から見て、各駆動輪40の中心CW1は、左右方向と平行な同一の仮想直線上に位置し、搬送装置1の中心C1よりも後方に位置し、かつ、搬送装置1の前後方向における中心C2よりも後方に位置している。また、上方から見て、搬送装置1の重心gは、各駆動輪40の中心CW1及び搬送装置1の中心C1よりも、前方に位置している。なお、本実施形態では、搬送装置1の中心C1と、搬送装置1の前後方向における中心C2とは、前後方向において同位置に配されているが、前後方向において異なる位置に配されてもよい。
【0092】
ここで、本開示における駆動輪40の中心CW1は、駆動輪40を上方から見たときに、駆動輪40の外形を規定する図形の幾何中心である。同様に、本開示における搬送装置1の中心C1は、搬送装置1を上方から見たときに、搬送装置1の外形を規定する図形の幾何中心である。また、本開示における搬送装置1の前後方向における中心C2は、搬送装置1において前後方向の寸法が最も大きくなる箇所における前後方向の中心である。
【0093】
本開示における搬送装置1の中心C1は、厳密な意味での中心に限定されず、当該中心の近辺であってもよい。同様に、本開示における搬送装置1の前後方向(一方向)における中心C2は、厳密な意味での前後方向の中心に限定されず、当該中心の近辺であってもよい。同様に、本開示における重心とは、厳密な意味での重心に限定されず、当該重心の近辺であってもよい。また、
図13及び後述の説明で用いる
図14及び
図15では、理解を容易にするため、駆動輪40、従動輪10及び車輪721を実線で示しているが、実際にはこれらは上方からは隠れて見えない。
【0094】
本実施形態の搬送装置1は、従動輪10を一つだけ備えている。
図13に示すように、上方から見て、従動輪10の中心CW2は、搬送装置1における左右方向の中間部に位置し、搬送装置1の中心C1よりも前方(搬送物71とは反対側)に位置し、かつ、搬送装置1の前後方向における中心C2よりも前方に位置している。また、上方から見て、従動輪10の中心CW2は、搬送装置1の重心gよりも前方(搬送物71とは反対側)に位置している。すなわち、従動輪10の中心CW2は、左右方向において、一方の駆動輪40の中心CW1と他方の駆動輪40の中心CW1との間に位置し、かつ、各駆動輪40の中心CW1よりも前方に位置している。従動輪10は、上下方向と平行な旋回軸を中心に回転可能である。
【0095】
本実施形態の搬送装置1は、二つの駆動輪40と一つの従動輪10との合計三つの車輪を備えており、走行面9に対してこれら三つの車輪40,10の3点だけで接する。このため、搬送装置1が四つ以上の車輪を備える場合と比較すると、搬送装置1の各車輪40,10が平らな走行面9に対して接しやすくなる。したがって、搬送装置1は、走行面9上に安定して配置されやすい。また、この場合、搬送装置1にサスペンションを設けることなく各車輪40,10を走行面9に接するようにできる。このため、搬送装置1の構造が複雑になることを抑制できる。
【0096】
なお、搬送装置1をより安定して走行させるには、各車輪40,10にサスペンションを設けても構わない。また、搬送装置1は、一つの駆動輪40と二つの従動輪10との合計三つの車輪を備えてもよい。また、搬送装置1は、少なくとも一つの駆動輪40を備えていればよく、搬送装置1が備える車輪の合計数(すなわち、駆動輪40の数と従動輪10の数とを足し合わせた数)は、三つに限定されない。例えば、搬送装置1は、一つ、二つ又は四つ以上の車輪を備えてもよい。また、搬送装置1は、従動輪10を複数備えてもよい。また、従動輪10の旋回軸を中心とした回転において許容される角度は、360度以上であってもよいし、360度未満であってもよい。また、搬送装置1は、従動輪10を備えなくてもよい。
【0097】
搬送装置1は、
図12及び
図13に示すように、各駆動輪40の駆動軸30が前後方向と平行な状態で、走行することができる。この場合、搬送装置1は、各駆動輪40が駆動軸30を中心に回転することで、左右方向に直進する。すなわち、この場合、搬送装置1は、上方から見て、搬送装置1と搬送物71とが並ぶ一方向と交差(詳しくは直交)する方向に走行する。
【0098】
搬送装置1は、
図11に示すように、各駆動輪40の駆動軸30が左右方向と平行な状態で、走行することもできる。この場合、搬送装置1は、各駆動輪40が駆動軸30を中心に回転することで、前後方向に直進する。すなわち、この場合、搬送装置1は、上方から見て、搬送装置1と搬送物71とが並ぶ一方向に走行する。また、搬送装置1は、各駆動輪40の駆動軸30が非平行な状態で、各駆動輪40が駆動軸30を中心に回転することで、旋回することもできる。
【0099】
搬送装置1が搬送時において加速した際には、両駆動輪40の回転により、例えば、
図13中のベクトルV1で表される推進力が発生する。このとき、前記推進力により、搬送装置1と搬送物71との合成重心G(搬送装置1と搬送物71と合わせた全体の重心)を中心としたモーメント(旋回成分)Mが発生する。また、同様のモーメントMは、搬送装置1の減速時にも発生する。合成重心Gが、上方から見て、各駆動輪40の中心CW1よりも搬送物71側に大きく離れて位置すると、モーメントMが大きくなり、搬送装置1の走行が安定し難くなる可能性がある。しかし、本実施形態では、上方から見て、各駆動輪40の中心CW1が、搬送装置1の中心C1よりも搬送物71側(後方)に位置し、かつ、搬送装置1の前後方向における中心C2よりも搬送装置1側に位置している。このため、
図14に示すように各駆動輪40の中心CW1と搬送装置1の中心C1とが前後方向において同位置にあり、かつ、各駆動輪40の中心CW1と搬送装置1の前後方向における中心C2とが前後方向において同じ位置にある場合と比較して、モーメントMを小さくすることができる。加えて、本実施形態では、上方から見て、搬送装置1の重心gが、各駆動輪40の中心CW1よりも搬送物71とは反対側にしている。このため、搬送装置1と搬送物71との合成重心Gから、各駆動輪40の中心CW1までの前後方向の距離Lが小さくなり、モーメントMを一層小さくすることができる。なお、
図13及び
図14に示すV2は、搬送装置1と搬送物71と合わせた全体の慣性力を示すベクトルである。
【0100】
各駆動輪40の中心CW1の位置及び搬送装置1の重心gの位置は限定されない。例えば、各駆動輪40の中心CW1は、
図14に示すように搬送装置1の中心C1と前後方向において同じ位置に配されてもよい。また、各駆動輪40の中心CW1は、搬送装置1の中心C1よりも前方に配されてもよい。同様に各駆動輪40の中心CW1は、
図14に示すように搬送装置1の前後方向における中心C2と前後方向において同じ位置に配されてもよい。また、各駆動輪40の中心CW1は、搬送装置1の前後方向における中心C2よりも前方に配されてもよい。また、搬送装置1の重心gは、
図14に示すように各駆動輪40の中心CW1と前後方向において同じ位置に配されてもよい。また、搬送装置1の重心gは、各駆動輪40の中心CW1よりも後方に配されてもよい。また、搬送装置1の重心gは、前後方向において搬送装置1の中心C1と同じ位置に配されてもよい。
【0101】
(4)他の変形例
上述した第1実施形態、第2実施形態及び各変形例の搬送装置1及び部品実装システム8は、適宜設計変更可能である。例えば、搬送装置1の各要素の形状、大きさ、位置、数及び材質、並びに電子部品装着機7の各要素の形状、大きさ、位置、数及び材質は、適宜変更可能である。また、第1実施形態、第2実施形態及び各変形例の構成は、適宜組み合わせてもよい。
【0102】
(5)態様
以上説明した、第1実施形態、第2実施形態及び各変形例から明らかなように、第1の態様の搬送装置(1)は、以下に示す構成を有する。搬送装置(1)は、少なくとも一つの駆動輪ユニット(3)を備える。少なくとも一つの駆動輪ユニット(3)に含まれる駆動輪ユニット(3)は、走行機構(4)と、操舵機構(5)とを有する。走行機構(4)は、駆動輪(40)を含む。操舵機構(5)は、駆動輪(40)の向きを変更する。操舵機構(5)は、走行機構(4)の上方に位置する。搬送装置(1)によって搬送物(71)を搬送している状態において、駆動輪(40)は、上方から見て搬送物(71)の周囲に位置する。
【0103】
この態様によれば、操舵機構(5)が走行機構(4)の上方に位置する。このため、搬送装置(1)の上方から見たサイズが大きくなることを抑制できる。また、ユニット化された駆動輪ユニット(3)を利用して、走行機構(4)と操舵機構(5)とを備えた搬送装置(1)を容易に組み立てることができる。また、搬送装置(1)によって搬送物(71)を搬送している状態において、駆動輪(40)は、上方から見て搬送物(71)の周囲に位置する。このため、搬送物(71)の荷重が駆動輪(40)に加わり難くなり、駆動輪(40)の向きを小さな力で変更することが可能になる。また、これにより、操舵機構(5)の上方から見たサイズが大きくなることを抑制でき、搬送装置(1)の上方から見たサイズの大型化を一層抑制できる。
【0104】
第2の態様の搬送装置(1)は、第1の態様との組み合わせにより実現され得る。第2の態様の搬送装置(1)は、以下に示す構成を有する。搬送装置(1)によって搬送物(71)を搬送している状態において、搬送装置(1)は、上方から見て搬送物(71)と並ぶ。搬送装置(1)によって搬送物(71)を搬送している状態において、操舵機構(5)は、上方から見て搬送装置(1)が搬送装置(1)と搬送物(71)とが並ぶ方向と交差する方向に走行するように、駆動輪(40)の向きを変更可能である。
【0105】
この態様の搬送装置(1)は、上方から見て駆動輪(40)と搬送物(71)とが並ぶ方向と交差する方向に走行して、搬送物(71)を搬送することができる。
【0106】
第3の態様の搬送装置(1)は、第1又は第2の態様との組み合わせにより実現され得る。第3の態様の搬送装置(1)は、以下に示す構成を有する。搬送装置(1)によって搬送物(71)を搬送している状態において、搬送装置(1)は、上方から見て搬送物(71)と並ぶ。搬送装置(1)によって搬送物(71)を搬送している状態において、操舵機構(5)は、上方から見て搬送装置(1)が搬送物(71)とは反対側に向かって走行するように、駆動輪(40)の向きを変更可能である。
【0107】
この態様の搬送装置(1)は、搬送物(71)をけん引して搬送することができる。
【0108】
第4の態様の搬送装置(1)は、第1~第3のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第4の態様の搬送装置(1)は、以下に示す構成を有する。搬送装置(1)によって搬送物(71)を搬送している状態において、搬送装置(1)は、上方から見て搬送物(71)と並ぶ。搬送装置(1)によって搬送物(71)を搬送している状態において、操舵機構(5)は、上方から見て搬送装置(1)が搬送物(71)側に向かって走行するように、駆動輪(40)の向きを変更可能である。
【0109】
この態様の搬送装置(1)は、搬送物(71)を押し動かして搬送することができる。
【0110】
第5の態様の搬送装置(1)は、第1~第4のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第5の態様の搬送装置は、以下に示す構成を有する。搬送装置(1)は、複数の駆動輪(40)と、複数の操舵機構(5)とを備える。複数の操舵機構(5)は、複数の駆動輪(40)の各々の向きを個別に変更する。搬送装置(1)によって搬送物(71)を搬送している状態において、搬送装置(1)は、上方から見て搬送物(71)と並ぶ。搬送装置(1)によって搬送物(71)を搬送している状態において、複数の操舵機構(5)は、上方から見て、搬送装置(1)の旋回中心(C)が搬送装置(1)の搬送物(71)側に位置した状態で搬送装置(1)が旋回するように、複数の駆動輪(40)の各々の向きを変更可能である。
【0111】
この態様によれば、搬送装置(1)は、小さい旋回半径で旋回することができる。
【0112】
第6の態様の搬送装置(1)は、第1~第5のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第6の態様の搬送装置(1)は、以下に示す構成を有する。搬送装置(1)は、ベース(2)を更に備える。駆動輪ユニット(3)は、ベース(2)に取り付けられる。駆動輪ユニット(3)は、ベース(2)に対する取付位置を変更可能である。
【0113】
この態様によれば、ユニット化された駆動輪ユニット(3)をベース(2)に取り付けることで、走行機構(4)と操舵機構(5)とを備えた搬送装置(1)を容易に組み立てることができる。また、ユニット化された駆動輪ユニット(3)のベース(2)への取付位置を変更することで、搬送物(71)に応じて駆動輪(40)の位置を変更した搬送装置(1)を容易に製造することができる。
【0114】
第7の態様の搬送装置(1)は、第6の態様との組み合わせにより実現され得る。第7の態様の搬送装置(1)は、少なくとも一つの駆動輪ユニット(3)として、複数の駆動輪ユニット(3)を備える。
【0115】
この態様によれば、例えば、駆動輪ユニット(3)の数を変更することで、搬送物(71)に応じて駆動輪(40)の数を変更した搬送装置(1)を容易に製造することができる。
【0116】
第8の態様の搬送装置(1)は、第7の態様との組み合わせにより実現され得る。第8の態様の搬送装置(1)は、以下に示す構成を有する。搬送装置(1)は、複数の駆動輪ユニット(3)として、二つの駆動輪ユニット(3)を備える。搬送装置(1)によって搬送物(71)を搬送している状態において、上方から見て、二つの駆動輪ユニット(3)が搬送物(71)の両側に位置する。
【0117】
この態様によれば、上方から見て、搬送物(71)の両側に駆動輪(40)を配置することができ、搬送物(71)をバランス良く安定して搬送することができる。
【0118】
第9の態様の搬送装置(1)は、第6~第8のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第9の態様の搬送装置(1)は、以下に示す構成を有する。ベース(2)は、駆動輪ユニット(3)を一箇所だけで保持する。
【0119】
この態様によれば、駆動輪ユニット(3)の一箇所をベース(2)に取り付けるだけで、ベース(2)に駆動輪ユニット(3)を容易に設けることができる。
【0120】
第10の態様の搬送装置(1)は、第9の態様との組み合わせにより実現され得る。第10の態様の搬送装置(1)は、以下に示す構成を有する。操舵機構(5)は、ステアリングモータ(50)と、減速機(52)とを更に有する。ステアリングモータ(50)は、駆動輪(40)の向きを変える動力を出力する。減速機(52)は、ステアリングモータ(50)の下方に位置する。減速機(52)には、ステアリングモータ(50)から出力した動力が伝達される。減速機(52)は、駆動輪(40)の向きを変更する動力を出力する。駆動輪ユニット(3)は、取付部(53)を更に有する。取付部(53)は、ステアリングモータ(50)と減速機(52)との間に位置する。取付部(53)には、ステアリングモータ(50)及び減速機(52)が取り付けられる。取付部(53)がベース(2)に取り付けられる。
【0121】
この態様によれば、ステアリングモータ(50)及び減速機(52)が取り付けられた取付部(53)をベース(2)に取り付けることで、駆動輪ユニット(3)をベース(2)に取り付けることができる。
【0122】
第11の態様の搬送装置(1)は、第1~第10のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第11の態様の搬送装置(1)は、以下に示す構成を有する。走行機構(4)は、ドライブモータ(42)を更に有する。ドライブモータ(42)は、出力軸(420)を有する。出力軸(420)は、駆動輪(40)を回転するための動力を出力する。ドライブモータ(42)において出力軸(420)を除いた部分は、縦長の形状を有する。
【0123】
この態様によれば、ドライブモータ(42)の上方から見たときのサイズが大きくなることを抑制でき、搬送装置(1)の上方から見たサイズの大型化を一層抑制できる。
【0124】
第12の態様の搬送装置(1)は、第1~第9のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第12の態様の搬送装置(1)は、以下に示す構成を有する。走行機構(4)は、ドライブモータ(42)を更に有する。ドライブモータ(42)は、駆動輪(40)を回転するための動力を出力する。操舵機構(5)は、ステアリングモータ(50)を有する。ステアリングモータ(50)は、駆動輪(40)の向きを変える動力を出力する。ステアリングモータ(50)は、駆動輪(40)及びドライブモータ(42)のうちの少なくとも一方の上方に位置する。
【0125】
この態様によれば、ステアリングモータ(50)が、駆動輪(40)及びドライブモータ(42)のうちの少なくとも一方の上方に位置する。このため、搬送装置(1)の上方から見たサイズが大きくなることを抑制できる。
【0126】
第13の態様の搬送装置(1)は、第1~第12のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第13の態様の搬送装置(1)は、搬送物(71)に連結可能な連結部(13)を更に備える。
【0127】
この態様の搬送装置(1)では、連結部(13)に搬送物(71)を連結することで、搬送物(71)をけん引して搬送することができる。
【0128】
第14の態様の搬送装置(1)は、第1の態様との組み合わせにより実現され得る。第14の態様の搬送装置(1)は、以下に示す構成を有する。搬送装置(1)は、連結部(13)を更に備える。連結部(13)は、上方から見て搬送装置(1)と一方向に並んで配置された搬送物(71)に連結可能である。駆動輪(40)は、上方から見て前記一方向と交差する方向に走行可能である。上方から見て、駆動輪(40)の中心(CW1)は、搬送装置(1)の中心(C1)よりも前記一方向において搬送物(71)側に位置する。
【0129】
第15の態様の搬送装置(1)は、第1の態様との組み合わせにより実現され得る。第15の態様の搬送装置(1)は、以下に示す構成を有する。搬送装置(1)は、連結部(13)を更に備える。連結部(13)は、上方から見て搬送装置(1)と一方向に並んで配置された搬送物(71)に連結可能である。駆動輪(40)は、上方から見て前記一方向と交差する方向に走行可能である。上方から見て、搬送装置(1)の重心(g)が、駆動輪(40)の中心(CW1)よりも前記一方向において搬送物(71)とは反対側に位置する。
【0130】
第16の態様の搬送装置(1)は、第1の態様との組み合わせにより実現され得る。第15の態様の搬送装置(1)は、以下に示す構成を有する。第16の態様の搬送装置(1)は、以下に示す構成を有する。搬送装置(1)は、連結部(13)を更に備える。連結部(13)は、上方から見て搬送装置(1)と一方向に並んで配置された搬送物(71)に連結可能である。駆動輪(40)は、上方から見て前記一方向と交差する方向に走行可能である。上方から見て、駆動輪(40)の中心(CW1)は、搬送装置(1)の前記一方向における中心(C2)よりも前記一方向において搬送物(71)側に位置する。
【0131】
第14~第16の態様によれば、搬送装置(1)が搬送時において加速した際及び減速した際に生じる、搬送装置(1)と搬送物(71)との合成重心(G)を中心としたモーメント(M)を抑制できる。このため、搬送装置(1)は安定して走行しやすくなる。
【0132】
第17の態様の搬送方法は、以下に示す構成を有する。第17の態様では、第1~第16のいずれか一つの搬送装置(1)によって搬送物(71)を搬送する。
【0133】
第18の態様の搬送方法は、第17の態様との組み合わせにより実現され得る。第18の態様の搬送方法は、以下に示す構成を有する。搬送装置(1)は、上方から見て搬送装置(1)と搬送物(71)とが並んだ状態で搬送物(71)を搬送する。搬送装置(1)による搬送物(71)の搬送時において、搬送装置(1)は、第1方向、第2方向及び第3方向のうちの少なくとも一つの方向に走行する。前記第1方向は、上方から見て搬送装置(1)と搬送物(71)とが並ぶ方向と交差する方向である。前記第2方向は、上方から見て搬送装置(1)から搬送物(71)とは反対側に向かう方向である。前記第3方向は、上方から見て搬送装置(1)から搬送物(71)側に向かう方向である。
【0134】
第19の態様の部品実装システム(8)は、以下に示す構成を有する。部品実装システム(8)は、少なくとも一つの電子部品装着機(7)を備える。少なくとも一つの電子部品装着機(7)に含まれる電子部品装着機(7)は、装着機本体(70)と、部品供給部(71)とを有する。装着機本体(70)は、電子部品をプリント配線板に実装する装着ヘッド(700)を含む。部品供給部(71)は、前記電子部品を装着機本体(70)に供給する。部品供給部(71)は、第1~第16のいずれか一つの態様の搬送装置(1)によって装着機本体(70)まで搬送される。
【0135】
この態様によれば、搬送装置(1)により装着機本体(70)まで搬送された部品供給部(71)によって、電子部品を装着機本体(70)に供給することができる。
【0136】
第20の態様の部品実装システム(8)は、第19の態様との組み合わせにより実現され得る。第20の態様の部品実装システム(8)は、以下に示す構成を有する。搬送装置(1)は、部品供給部(71)のうち電子部品を装着機本体(70)に排出する部位と反対側の部位と連結可能である。
【0137】
この態様によれば、搬送装置(1)によって部品供給部(71)を搬送した後に、部品供給部(71)の向きを変更することが不要になる。
【0138】
第21の態様の搬送装置(1)は、以下に示す構成を有する。搬送装置(1)は、連結部(13)と少なくとも一つの駆動輪(40)とを備える。連結部(13)は、上方から見て搬送装置(1)と一方向に並んで配置された搬送物(71)に連結可能である。少なくとも一つの駆動輪(40)に含まれる駆動輪(40)は、上方から見て前記一方向と交差する方向に走行可能である。上方から見て、駆動輪(40)の中心(CW1)は、搬送装置(1)の中心(C1)よりも前記一方向において搬送物(71)側に位置する。
【0139】
第22の態様の搬送装置(1)は、以下に示す構成を有する。搬送装置(1)は、連結部(13)と少なくとも一つの駆動輪(40)とを備える。連結部(13)は、上方から見て搬送装置(1)と一方向に並んで配置された搬送物(71)に連結可能である。少なくとも一つの駆動輪(40)に含まれる駆動輪(40)は、上方から見て前記一方向と交差する方向に走行可能である。上方から見て、搬送装置(1)の重心(g)が、駆動輪(40)の中心(CW1)よりも前記一方向において搬送物(71)とは反対側に位置する。
【0140】
第23の態様の搬送装置(1)は、以下に示す構成を有する。搬送装置(1)は、連結部(13)と少なくとも一つの駆動輪(40)とを備える。連結部(13)は、上方から見て搬送装置(1)と一方向に並んで配置された搬送物(71)に連結可能である。少なくとも一つの駆動輪(40)に含まれる駆動輪(40)は、上方から見て前記一方向と交差する方向に走行可能である。上方から見て、駆動輪(40)の中心(CW1)は、搬送装置(1)の前記一方向における中心(C2)よりも前記一方向において搬送物(71)側に位置する。
【0141】
第21~第23の態様によれば、搬送装置(1)は、上方から見て、連結部(13)に連結された搬送物(71)の周囲に位置する。このため、搬送装置(1)にあっては、搬送物(71)を載せる部分を設けなかったり、この部分の上方から見たときのサイズを小さくしたりすることができる。したがって、搬送装置(1)の上方から見たときのサイズが大きくなることを抑制できる。また、搬送装置(1)が搬送時において加速した際及び減速した際に生じる、搬送装置(1)と搬送物(71)との合成重心(G)を中心としたモーメント(M)を抑制できる。このため、搬送装置(1)は安定して走行しやすくなる。
【0142】
第24の態様の搬送装置(1)は、第21~第23のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第24の態様の搬送装置(1)は、以下に示す構成を有する。搬送装置(1)は、駆動輪(40)を複数備える。搬送装置(1)は、複数の操舵機構(5)を更に備える。複数の操舵機構(5)は、複数の駆動輪(40)の各々の向きを個別に変更する。
【0143】
この態様によれば、複数の駆動輪(40)の各々の向きを個別に変更することで、搬送装置(1)の多様な旋回を実現できる。
【0144】
第25の態様の搬送装置(1)は、第21~第24のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第25の態様の搬送装置(1)は、駆動輪(40)を含めて、合計三つの車輪(40,10)を備える。
【0145】
この態様によれば、搬送装置(1)の各車輪(40,10)が走行面(9)に対して接しやすくなる。したがって、搬送装置(1)は、走行面(9)上に安定して配置されやすい。
【0146】
第26の態様の搬送装置(1)は、第25の態様との組み合わせにより実現され得る。第26の態様の搬送装置(1)は、三つの車輪(40,10)として、二つの駆動輪(40)と、一つの従動輪(10)とを有する。
【0147】
この態様によれば、二つの駆動輪(40)と一つの従動輪(10)とを用いて、搬送装置(1)の安定した走行を実現できる。
【0148】
第27の態様の搬送装置(1)は、第21~第25のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第27の態様の搬送装置(1)は、以下に示す構成を有する。搬送装置(1)は、二つの駆動輪(40)を備える。搬送装置(1)によって搬送物(71)を搬送している状態において、上方から見て、二つの駆動輪(40)が搬送物(71)の両側に位置する。
【0149】
この態様によれば、上方から見て、搬送物(71)の両側に駆動輪(40)を配置することができ、搬送物(71)をバランス良く安定して搬送することができる。
【0150】
第28の態様の搬送装置(1)は、第21~第24のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第28の態様の搬送装置(1)は、駆動輪(40)を含む複数の車輪(40,10)を備える。複数の車輪(40,10)は、従動輪(10)を有する。
【0151】
この態様によれば、駆動輪(40)と従動輪(10)と用いて搬送装置(1)の安定した走行を実現できる。
【0152】
第29の態様の搬送装置(1)は、第21~第28のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第29の態様の連結部(13)は電磁石である。
【0153】
この態様によれば、電磁石によって発生する磁力を用いて、搬送装置(1)に搬送物(71)を連結できる。
【0154】
第30の態様の部品実装システム(8)は、以下に示す構成を有する。部品実装システム(8)は、少なくとも一つの電子部品装着機(7)を備える。電子部品装着機(7)は、装着機本体(70)と、部品供給部(71)とを有する。装着機本体(70)は、電子部品をプリント配線板に実装する装着ヘッド(700)を含む。部品供給部(71)は、前記電子部品を装着機本体(70)に供給する。部品供給部(71)は、第21~第29のいずれか一つの態様の搬送装置(1)によって装着機本体(70)まで搬送される。
【0155】
この態様によれば、搬送装置(1)により装着機本体(70)まで搬送された部品供給部(71)によって、電子部品を装着機本体(70)に供給することができる。
【0156】
第31の態様の部品実装システム(8)は、第30の態様との組み合わせにより実現され得る。第31の態様の部品実装システム(8)は、以下に示す構成を有する。搬送装置(1)は、部品供給部(71)のうち電子部品を装着機本体(70)に排出する部位と反対側の部位と連結可能である。
【0157】
この態様によれば、搬送装置(1)によって部品供給部(71)を搬送した後に、部品供給部(71)の向きを変更することが不要になる。
【0158】
なお、第21~第31の各々の態様は、第1~第16、第19及び第20の各々の態様と組み合わされてもよいし、第1~第16、第19及び第20の各々の態様が有する構成を有さなくてもよい。
【符号の説明】
【0159】
C 旋回中心
C1 搬送装置の中心
C2 搬送装置の一方向における中心
Cw1 駆動輪の中心
g 搬送装置の重心
1 搬送装置
13 連結部
2 ベース
3 駆動輪ユニット
4 走行機構
40 駆動輪
42 ドライブモータ
420 出力軸
5 操舵機構
50 ステアリングモータ
52 減速機
53 取付部
7 電子部品装着機
70 装着機本体
700 装着ヘッド
71 搬送物(部品供給部)
8 部品実装システム