(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】情報処理方法及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
B60W 30/00 20060101AFI20240830BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20240830BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
B60W30/00
G08G1/09 F
G08G1/16 D
(21)【出願番号】P 2021567234
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(86)【国際出願番号】 JP2020046256
(87)【国際公開番号】W WO2021131785
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2023-09-13
(31)【優先権主張番号】P 2019236880
(32)【優先日】2019-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】穴吹 元嗣
(72)【発明者】
【氏名】竹内 一真
(72)【発明者】
【氏名】大山 慎史
(72)【発明者】
【氏名】胡 貝尓
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-78566(JP,A)
【文献】国際公開第2016/194134(WO,A1)
【文献】特開2019-11055(JP,A)
【文献】特開平11-345396(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
移動体の走行計画を示す走行計画情報に基づいて生成され、前記移動体において実行される走行に関するタスクと、前記移動体に搭載され、前記移動体の外部をセンシングする第1センサが出力する第1センシングデータと、前記移動体の走行に関するスペックと、を取得し、
前記タスクと前記スペックとに基づいてセンシング要件を算出し、
前記第1センサが出力した前記第1センシングデータに基づいて第1センシング結果を算出し、
前記センシング要件及び前記第1センシング結果に基づいて前記タスクの実行を制限するか否かを判定し、
前記タスクの実行を制限すると判定された場合、前記タスクの実行を制限する指示を前記移動体へ出力する
情報処理方法。
【請求項2】
前記センシング要件は、センシングが要される領域である要求センシング領域を含み、
前記第1センシング結果は、前記第1センシングデータに基づいて算出される第1センシング領域を含み、
前記判定では、前記要求センシング領域及び前記第1センシング領域に基づいて前記タスクの実行を制限するか否かを判定する
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記判定では、前記要求センシング領域と前記第1センシング領域との重なりにしたがって判定する
請求項2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記判定では、前記要求センシング領域と前記第1センシング領域との重なり度合いにしたがって判定する
請求項3に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記判定では、前記要求センシング領域と前記第1センシング領域とが重ならない領域にしたがって判定する
請求項3に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記制限は、前記タスクの実行の禁止である
請求項2~5のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記制限は、前記タスクの実行内容の変更である
請求項2~5のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記タスクの変更の内容は、前記要求センシング領域と前記第1センシング領域との重なりに基づいて決定される
請求項7に記載の情報処理方法。
【請求項9】
さらに、前記移動体の移動経路に設置される第2センサが出力する第2センシングデータを取得し、
前記第2センシングデータに基づいて第2センシング結果を算出し、
前記判定では、さらに前記第2センシング結果にも基づいて判定する
請求項1~8のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項10】
さらに、前記タスクの実行を制限すると判定された場合、前記移動体を監視対象に追加する、又は、前記移動体の監視優先度を上げる
請求項1~9のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項11】
さらに、前記タスクの実行を制限すると判定された場合、前記タスクの実行が制限されることを前記移動体の管理者又は乗客に通知する
請求項1~10のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項12】
前記センシング要件は、センシングが要される対象である要求センシング対象を含み、
前記第1センシング結果は、前記第1センシングデータに基づいて算出される第1センシング対象を含み、
前記判定では、前記要求センシング対象及び前記第1センシング対象に基づいて前記タスクの実行を制限するか否かを判定する
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項13】
前記判定では、前記要求センシング対象と前記第1センシング対象との十分度又は一致度にしたがって判定する
請求項12に記載の情報処理方法。
【請求項14】
前記センシング要件は、センシングが要される対象である要求センシング性能を含み、
前記第1センシング結果は、前記第1センシングデータに基づいて算出される第1センシング性能を含み、
前記判定では、前記要求センシング性能及び前記第1センシング性能に基づいて前記タスクの実行を制限するか否かを判定する
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項15】
前記判定では、前記要求センシング性能を前記第1センシング性能が上回るか否かにしたがって判定する
請求項14に記載の情報処理方法。
【請求項16】
前記移動体の走行に関する前記スペックは、前記移動体ごとに異なる
請求項1~15のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項17】
前記センシング要件は、前記タスクごとに異なる
請求項1~16のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項18】
コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
移動体において実行される走行に関するタスクと、前記移動体に搭載され、前記移動体の外部をセンシングする第1センサが出力する第1センシングデータと、前記移動体の走行に関するスペックと、を取得し、
前記タスクと前記スペックとに基づいてセンシング要件を算出し、
前記第1センサが出力した前記第1センシングデータに基づいて第1センシング結果を算出し、
前記センシング要件及び前記第1センシング結果に基づいて前記タスクの実行を制限するか否かを判定し、
前記タスクの実行を制限すると判定された場合、前記タスクの実行を制限する指示を前記移動体へ出力し、
前記センシング要件は、センシングが要される領域である要求センシング領域を含み、
前記第1センシング結果は、前記第1センシングデータに基づいて算出される第1センシング領域を含み、
前記判定では、前記要求センシング領域及び前記第1センシング領域に基づいて前記タスクの実行を制限するか否かを判定し、
前記判定では、前記要求センシング領域と前記第1センシング領域との重なりにしたがって判定し、
前記判定では、前記要求センシング領域と前記第1センシング領域との重なり度合いにしたがって判定する
情報処理方法。
【請求項19】
コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
移動体において実行される走行に関するタスクと、前記移動体に搭載され、前記移動体の外部をセンシングする第1センサが出力する第1センシングデータと、前記移動体の走行に関するスペックと、を取得し、
前記タスクと前記スペックとに基づいてセンシング要件を算出し、
前記第1センサが出力した前記第1センシングデータに基づいて第1センシング結果を算出し、
前記センシング要件及び前記第1センシング結果に基づいて前記タスクの実行を制限するか否かを判定し、
前記タスクの実行を制限すると判定された場合、前記タスクの実行を制限する指示を前記移動体へ出力し、
前記センシング要件は、センシングが要される領域である要求センシング領域を含み、
前記第1センシング結果は、前記第1センシングデータに基づいて算出される第1センシング領域を含み、
前記判定では、前記要求センシング領域及び前記第1センシング領域に基づいて前記タスクの実行を制限するか否かを判定し、
前記判定では、前記要求センシング領域と前記第1センシング領域との重なりにしたがって判定し、
前記判定では、前記要求センシング領域と前記第1センシング領域とが重ならない領域にしたがって判定する
情報処理方法。
【請求項20】
コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
移動体において実行される走行に関するタスクと、前記移動体に搭載され、前記移動体の外部をセンシングする第1センサが出力する第1センシングデータと、前記移動体の走行に関するスペックと、を取得し、
前記タスクと前記スペックとに基づいてセンシング要件を算出し、
前記第1センサが出力した前記第1センシングデータに基づいて第1センシング結果を算出し、
前記センシング要件及び前記第1センシング結果に基づいて前記タスクの実行を制限するか否かを判定し、
前記タスクの実行を制限すると判定された場合、前記タスクの実行を制限する指示を前記移動体へ出力し、
前記センシング要件は、センシングが要される領域である要求センシング領域を含み、
前記第1センシング結果は、前記第1センシングデータに基づいて算出される第1センシング領域を含み、
前記判定では、前記要求センシング領域及び前記第1センシング領域に基づいて前記タスクの実行を制限するか否かを判定し、
前記制限は、前記タスクの実行内容の変更であり、
前記タスクの変更の内容は、前記要求センシング領域と前記第1センシング領域との重なりに基づいて決定される
情報処理方法。
【請求項21】
コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
移動体において実行される走行に関するタスクと、前記移動体に搭載され、前記移動体の外部をセンシングする第1センサが出力する第1センシングデータと、前記移動体の走行に関するスペックと、を取得し、
前記タスクと前記スペックとに基づいてセンシング要件を算出し、
前記第1センサが出力した前記第1センシングデータに基づいて第1センシング結果を算出し、
前記センシング要件及び前記第1センシング結果に基づいて前記タスクの実行を制限するか否かを判定し、
前記タスクの実行を制限すると判定された場合、前記タスクの実行を制限する指示を前記移動体へ出力し、
さらに、前記移動体の移動経路に設置される第2センサが出力する第2センシングデータを取得し、
前記第2センシングデータに基づいて第2センシング結果を算出し、
前記判定では、さらに前記第2センシング結果にも基づいて判定する
情報処理方法。
【請求項22】
コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
移動体において実行される走行に関するタスクと、前記移動体に搭載され、前記移動体の外部をセンシングする第1センサが出力する第1センシングデータと、前記移動体の走行に関するスペックと、を取得し、
前記タスクと前記スペックとに基づいてセンシング要件を算出し、
前記第1センサが出力した前記第1センシングデータに基づいて第1センシング結果を算出し、
前記センシング要件及び前記第1センシング結果に基づいて前記タスクの実行を制限するか否かを判定し、
前記タスクの実行を制限すると判定された場合、前記タスクの実行を制限する指示を前記移動体へ出力し、
さらに、前記タスクの実行を制限すると判定された場合、前記移動体を監視対象に追加する、又は、前記移動体の監視優先度を上げる
情報処理方法。
【請求項23】
コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
移動体において実行される走行に関するタスクと、前記移動体に搭載され、前記移動体の外部をセンシングする第1センサが出力する第1センシングデータと、前記移動体の走行に関するスペックと、を取得し、
前記タスクと前記スペックとに基づいてセンシング要件を算出し、
前記第1センサが出力した前記第1センシングデータに基づいて第1センシング結果を算出し、
前記センシング要件及び前記第1センシング結果に基づいて前記タスクの実行を制限するか否かを判定し、
前記タスクの実行を制限すると判定された場合、前記タスクの実行を制限する指示を前記移動体へ出力し、
前記センシング要件は、センシングが要される対象である要求センシング対象を含み、
前記第1センシング結果は、前記第1センシングデータに基づいて算出される第1センシング対象を含み、
前記判定では、前記要求センシング対象及び前記第1センシング対象に基づいて前記タスクの実行を制限するか否かを判定する
情報処理方法。
【請求項24】
コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
移動体において実行される走行に関するタスクと、前記移動体に搭載され、前記移動体の外部をセンシングする第1センサが出力する第1センシングデータと、前記移動体の走行に関するスペックと、を取得し、
前記タスクと前記スペックとに基づいてセンシング要件を算出し、
前記第1センサが出力した前記第1センシングデータに基づいて第1センシング結果を算出し、
前記センシング要件及び前記第1センシング結果に基づいて前記タスクの実行を制限するか否かを判定し、
前記タスクの実行を制限すると判定された場合、前記タスクの実行を制限する指示を前記移動体へ出力し、
前記センシング要件は、センシングが要される対象である要求センシング性能を含み、
前記第1センシング結果は、前記第1センシングデータに基づいて算出される第1センシング性能を含み、
前記判定では、前記要求センシング性能及び前記第1センシング性能に基づいて前記タスクの実行を制限するか否かを判定する
情報処理方法。
【請求項25】
移動体の走行計画を示す走行計画情報に基づいて生成され、前記移動体において実行される走行に関するタスクを取得する第1取得部と、
前記移動体に搭載され、前記移動体の外部をセンシングする第1センサが出力する第1センシングデータを取得する第2取得部と、
前記移動体の走行に関するスペックを取得する第3取得部と、
前記タスクと前記スペックとに基づいてセンシング要件を算出する第1算出部と、
前記第1センサが出力した前記第1センシングデータに基づいて第1センシング結果を算出する第2算出部と、
前記センシング要件及び前記第1センシング結果に基づいて前記タスクの実行を制限するか否かを判定する判定部と、
前記タスクの実行を制限すると判定された場合、前記タスクの実行を制限する指示を前記移動体へ出力する出力部とを備える
情報処理システム。
【請求項26】
移動体において実行される走行に関するタスクを取得する第1取得部と、
前記移動体に搭載され、前記移動体の外部をセンシングする第1センサが出力する第1センシングデータを取得する第2取得部と、
前記移動体の走行に関するスペックを取得する第3取得部と、
前記タスクと前記スペックとに基づいてセンシング要件を算出する第1算出部と、
前記第1センサが出力した前記第1センシングデータに基づいて第1センシング結果を算出する第2算出部と、
前記センシング要件及び前記第1センシング結果に基づいて前記タスクの実行を制限するか否かを判定する判定部と、
前記タスクの実行を制限すると判定された場合、前記タスクの実行を制限する指示を前記移動体へ出力する出力部とを備え、
前記センシング要件は、センシングが要される領域である要求センシング領域を含み、
前記第1センシング結果は、前記第1センシングデータに基づいて算出される第1センシング領域を含み、
前記判定では、前記要求センシング領域及び前記第1センシング領域に基づいて前記タスクの実行を制限するか否かを判定し、
前記判定では、前記要求センシング領域と前記第1センシング領域との重なりにしたがって判定し、
前記判定では、前記要求センシング領域と前記第1センシング領域との重なり度合いにしたがって判定する
情報処理システム。
【請求項27】
移動体において実行される走行に関するタスクを取得する第1取得部と、
前記移動体に搭載され、前記移動体の外部をセンシングする第1センサが出力する第1センシングデータを取得する第2取得部と、
前記移動体の走行に関するスペックを取得する第3取得部と、
前記タスクと前記スペックとに基づいてセンシング要件を算出する第1算出部と、
前記第1センサが出力した前記第1センシングデータに基づいて第1センシング結果を算出する第2算出部と、
前記センシング要件及び前記第1センシング結果に基づいて前記タスクの実行を制限するか否かを判定する判定部と、
前記タスクの実行を制限すると判定された場合、前記タスクの実行を制限する指示を前記移動体へ出力する出力部とを備え、
前記センシング要件は、センシングが要される領域である要求センシング領域を含み、
前記第1センシング結果は、前記第1センシングデータに基づいて算出される第1センシング領域を含み、
前記判定では、前記要求センシング領域及び前記第1センシング領域に基づいて前記タスクの実行を制限するか否かを判定し、
前記判定では、前記要求センシング領域と前記第1センシング領域との重なりにしたがって判定し、
前記判定では、前記要求センシング領域と前記第1センシング領域とが重ならない領域にしたがって判定する
情報処理システム。
【請求項28】
移動体において実行される走行に関するタスクを取得する第1取得部と、
前記移動体に搭載され、前記移動体の外部をセンシングする第1センサが出力する第1センシングデータを取得する第2取得部と、
前記移動体の走行に関するスペックを取得する第3取得部と、
前記タスクと前記スペックとに基づいてセンシング要件を算出する第1算出部と、
前記第1センサが出力した前記第1センシングデータに基づいて第1センシング結果を算出する第2算出部と、
前記センシング要件及び前記第1センシング結果に基づいて前記タスクの実行を制限するか否かを判定する判定部と、
前記タスクの実行を制限すると判定された場合、前記タスクの実行を制限する指示を前記移動体へ出力する出力部とを備え、
前記センシング要件は、センシングが要される領域である要求センシング領域を含み、
前記第1センシング結果は、前記第1センシングデータに基づいて算出される第1センシング領域を含み、
前記判定では、前記要求センシング領域及び前記第1センシング領域に基づいて前記タスクの実行を制限するか否かを判定し、
前記制限は、前記タスクの実行内容の変更であり、
前記タスクの変更の内容は、前記要求センシング領域と前記第1センシング領域との重なりに基づいて決定される
情報処理システム。
【請求項29】
移動体において実行される走行に関するタスクを取得する第1取得部と、
前記移動体に搭載され、前記移動体の外部をセンシングする第1センサが出力する第1センシングデータを取得する第2取得部と、
前記移動体の走行に関するスペックを取得する第3取得部と、
前記タスクと前記スペックとに基づいてセンシング要件を算出する第1算出部と、
前記第1センサが出力した前記第1センシングデータに基づいて第1センシング結果を算出する第2算出部と、
前記センシング要件及び前記第1センシング結果に基づいて前記タスクの実行を制限するか否かを判定する判定部と、
前記タスクの実行を制限すると判定された場合、前記タスクの実行を制限する指示を前記移動体へ出力する出力部とを備え、
さらに、前記移動体の移動経路に設置される第2センサが出力する第2センシングデータを取得し、
前記第2センシングデータに基づいて第2センシング結果を算出し、
前記判定では、さらに前記第2センシング結果にも基づいて判定する
情報処理システム。
【請求項30】
移動体において実行される走行に関するタスクを取得する第1取得部と、
前記移動体に搭載され、前記移動体の外部をセンシングする第1センサが出力する第1センシングデータを取得する第2取得部と、
前記移動体の走行に関するスペックを取得する第3取得部と、
前記タスクと前記スペックとに基づいてセンシング要件を算出する第1算出部と、
前記第1センサが出力した前記第1センシングデータに基づいて第1センシング結果を算出する第2算出部と、
前記センシング要件及び前記第1センシング結果に基づいて前記タスクの実行を制限するか否かを判定する判定部と、
前記タスクの実行を制限すると判定された場合、前記タスクの実行を制限する指示を前記移動体へ出力する出力部とを備え、
さらに、前記タスクの実行を制限すると判定された場合、前記移動体を監視対象に追加する、又は、前記移動体の監視優先度を上げる
情報処理システム。
【請求項31】
移動体において実行される走行に関するタスクを取得する第1取得部と、
前記移動体に搭載され、前記移動体の外部をセンシングする第1センサが出力する第1センシングデータを取得する第2取得部と、
前記移動体の走行に関するスペックを取得する第3取得部と、
前記タスクと前記スペックとに基づいてセンシング要件を算出する第1算出部と、
前記第1センサが出力した前記第1センシングデータに基づいて第1センシング結果を算出する第2算出部と、
前記センシング要件及び前記第1センシング結果に基づいて前記タスクの実行を制限するか否かを判定する判定部と、
前記タスクの実行を制限すると判定された場合、前記タスクの実行を制限する指示を前記移動体へ出力する出力部とを備え、
前記センシング要件は、センシングが要される対象である要求センシング対象を含み、
前記第1センシング結果は、前記第1センシングデータに基づいて算出される第1センシング対象を含み、
前記判定では、前記要求センシング対象及び前記第1センシング対象に基づいて前記タスクの実行を制限するか否かを判定する
情報処理システム。
【請求項32】
移動体において実行される走行に関するタスクを取得する第1取得部と、
前記移動体に搭載され、前記移動体の外部をセンシングする第1センサが出力する第1センシングデータを取得する第2取得部と、
前記移動体の走行に関するスペックを取得する第3取得部と、
前記タスクと前記スペックとに基づいてセンシング要件を算出する第1算出部と、
前記第1センサが出力した前記第1センシングデータに基づいて第1センシング結果を算出する第2算出部と、
前記センシング要件及び前記第1センシング結果に基づいて前記タスクの実行を制限するか否かを判定する判定部と、
前記タスクの実行を制限すると判定された場合、前記タスクの実行を制限する指示を前記移動体へ出力する出力部とを備え、
前記センシング要件は、センシングが要される対象である要求センシング性能を含み、
前記第1センシング結果は、前記第1センシングデータに基づいて算出される第1センシング性能を含み、
前記判定では、前記要求センシング性能及び前記第1センシング性能に基づいて前記タスクの実行を制限するか否かを判定する
情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理方法及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、移動体の移動速度に応じた制動距離と停止までにかかる時間である制動時間と移動体の走行経路とから特定されるマップであって、移動体と衝突する可能性がある範囲の障害物を示す障害物マップを、外部マップとして、周辺体から受信する運転支援装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の発明では、移動体が走行に関するタスク(以下、走行タスク)を安全に実行できるとは限らない。例えば、移動体の走行に関するスペック(以下、走行スペック又は車両スペック)によっては、移動体は外部マップに基づいて走行タスクを実行しても安全に走行できないことがある。
【0005】
そこで、本開示は、様々な走行スペックの移動体に対して走行タスクの実行の安全を提供することができる情報処理方法及び情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る情報処理方法は、コンピュータにより実行される情報処理方法であって、移動体の走行計画を示す走行計画情報に基づいて生成され、前記移動体において実行される走行に関するタスクと、前記移動体に搭載され、前記移動体の外部をセンシングする第1センサが出力する第1センシングデータと、前記移動体の走行に関するスペックと、を取得し、前記タスクと前記スペックとに基づいてセンシング要件を算出し、前記第1センサが出力した前記第1センシングデータに基づいて第1センシング結果を算出し、前記センシング要件及び前記第1センシング結果に基づいて前記タスクの実行を制限するか否かを判定し、前記タスクの実行を制限すると判定された場合、前記タスクの実行を制限する指示を前記移動体へ出力する。
また、本開示の一態様に係る情報処理方法は、コンピュータにより実行される情報処理方法であって、移動体において実行される走行に関するタスクと、前記移動体に搭載され、前記移動体の外部をセンシングする第1センサが出力する第1センシングデータと、前記移動体の走行に関するスペックと、を取得し、前記タスクと前記スペックとに基づいてセンシング要件を算出し、前記第1センサが出力した前記第1センシングデータに基づいて第1センシング結果を算出し、前記センシング要件及び前記第1センシング結果に基づいて前記タスクの実行を制限するか否かを判定し、前記タスクの実行を制限すると判定された場合、前記タスクの実行を制限する指示を前記移動体へ出力し、前記センシング要件は、センシングが要される領域である要求センシング領域を含み、前記第1センシング結果は、前記第1センシングデータに基づいて算出される第1センシング領域を含み、前記判定では、前記要求センシング領域及び前記第1センシング領域に基づいて前記タスクの実行を制限するか否かを判定し、前記判定では、前記要求センシング領域と前記第1センシング領域との重なりにしたがって判定し、前記判定では、前記要求センシング領域と前記第1センシング領域との重なり度合いにしたがって判定する。
また、本開示の一態様に係る情報処理方法は、コンピュータにより実行される情報処理方法であって、移動体において実行される走行に関するタスクと、前記移動体に搭載され、前記移動体の外部をセンシングする第1センサが出力する第1センシングデータと、前記移動体の走行に関するスペックと、を取得し、前記タスクと前記スペックとに基づいてセンシング要件を算出し、前記第1センサが出力した前記第1センシングデータに基づいて第1センシング結果を算出し、前記センシング要件及び前記第1センシング結果に基づいて前記タスクの実行を制限するか否かを判定し、前記タスクの実行を制限すると判定された場合、前記タスクの実行を制限する指示を前記移動体へ出力し、前記センシング要件は、センシングが要される領域である要求センシング領域を含み、前記第1センシング結果は、前記第1センシングデータに基づいて算出される第1センシング領域を含み、前記判定では、前記要求センシング領域及び前記第1センシング領域に基づいて前記タスクの実行を制限するか否かを判定し、前記判定では、前記要求センシング領域と前記第1センシング領域との重なりにしたがって判定し、前記判定では、前記要求センシング領域と前記第1センシング領域とが重ならない領域にしたがって判定する。
また、本開示の一態様に係る情報処理方法は、コンピュータにより実行される情報処理方法であって、移動体において実行される走行に関するタスクと、前記移動体に搭載され、前記移動体の外部をセンシングする第1センサが出力する第1センシングデータと、前記移動体の走行に関するスペックと、を取得し、前記タスクと前記スペックとに基づいてセンシング要件を算出し、前記第1センサが出力した前記第1センシングデータに基づいて第1センシング結果を算出し、前記センシング要件及び前記第1センシング結果に基づいて前記タスクの実行を制限するか否かを判定し、前記タスクの実行を制限すると判定された場合、前記タスクの実行を制限する指示を前記移動体へ出力し、前記センシング要件は、センシングが要される領域である要求センシング領域を含み、前記第1センシング結果は、前記第1センシングデータに基づいて算出される第1センシング領域を含み、前記判定では、前記要求センシング領域及び前記第1センシング領域に基づいて前記タスクの実行を制限するか否かを判定し、前記制限は、前記タスクの実行内容の変更であり、前記タスクの変更の内容は、前記要求センシング領域と前記第1センシング領域との重なりに基づいて決定される。
また、本開示の一態様に係る情報処理方法は、コンピュータにより実行される情報処理方法であって、移動体において実行される走行に関するタスクと、前記移動体に搭載され、前記移動体の外部をセンシングする第1センサが出力する第1センシングデータと、前記移動体の走行に関するスペックと、を取得し、前記タスクと前記スペックとに基づいてセンシング要件を算出し、前記第1センサが出力した前記第1センシングデータに基づいて第1センシング結果を算出し、前記センシング要件及び前記第1センシング結果に基づいて前記タスクの実行を制限するか否かを判定し、前記タスクの実行を制限すると判定された場合、前記タスクの実行を制限する指示を前記移動体へ出力し、さらに、前記移動体の移動経路に設置される第2センサが出力する第2センシングデータを取得し、前記第2センシングデータに基づいて第2センシング結果を算出し、前記判定では、さらに前記第2センシング結果にも基づいて判定する。
また、本開示の一態様に係る情報処理方法は、コンピュータにより実行される情報処理方法であって、移動体において実行される走行に関するタスクと、前記移動体に搭載され、前記移動体の外部をセンシングする第1センサが出力する第1センシングデータと、前記移動体の走行に関するスペックと、を取得し、前記タスクと前記スペックとに基づいてセンシング要件を算出し、前記第1センサが出力した前記第1センシングデータに基づいて第1センシング結果を算出し、前記センシング要件及び前記第1センシング結果に基づいて前記タスクの実行を制限するか否かを判定し、前記タスクの実行を制限すると判定された場合、前記タスクの実行を制限する指示を前記移動体へ出力し、さらに、前記タスクの実行を制限すると判定された場合、前記移動体を監視対象に追加する、又は、前記移動体の監視優先度を上げる。
また、本開示の一態様に係る情報処理方法は、コンピュータにより実行される情報処理方法であって、移動体において実行される走行に関するタスクと、前記移動体に搭載され、前記移動体の外部をセンシングする第1センサが出力する第1センシングデータと、前記移動体の走行に関するスペックと、を取得し、前記タスクと前記スペックとに基づいてセンシング要件を算出し、前記第1センサが出力した前記第1センシングデータに基づいて第1センシング結果を算出し、前記センシング要件及び前記第1センシング結果に基づいて前記タスクの実行を制限するか否かを判定し、前記タスクの実行を制限すると判定された場合、前記タスクの実行を制限する指示を前記移動体へ出力し、前記センシング要件は、センシングが要される対象である要求センシング対象を含み、前記第1センシング結果は、前記第1センシングデータに基づいて算出される第1センシング対象を含み、前記判定では、前記要求センシング対象及び前記第1センシング対象に基づいて前記タスクの実行を制限するか否かを判定する。
また、本開示の一態様に係る情報処理方法は、コンピュータにより実行される情報処理方法であって、移動体において実行される走行に関するタスクと、前記移動体に搭載され、前記移動体の外部をセンシングする第1センサが出力する第1センシングデータと、前記移動体の走行に関するスペックと、を取得し、前記タスクと前記スペックとに基づいてセンシング要件を算出し、前記第1センサが出力した前記第1センシングデータに基づいて第1センシング結果を算出し、前記センシング要件及び前記第1センシング結果に基づいて前記タスクの実行を制限するか否かを判定し、前記タスクの実行を制限すると判定された場合、前記タスクの実行を制限する指示を前記移動体へ出力し、前記センシング要件は、センシングが要される対象である要求センシング性能を含み、前記第1センシング結果は、前記第1センシングデータに基づいて算出される第1センシング性能を含み、前記判定では、前記要求センシング性能及び前記第1センシング性能に基づいて前記タスクの実行を制限するか否かを判定する。
【0007】
なお、これらのうちの一部の具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータで読み取り可能なCD-ROM等の記録媒体を用いて実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせを用いて実現されてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本開示の情報処理方法等によれば、様々な走行スペックの移動体に対して走行タスクの実行の安全を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態における情報処理システムを示すブロック図である。
【
図2A】
図2Aは、実施の形態における情報処理システムの走行タスクの例を示す図である。
【
図2B】
図2Bは、実施の形態における情報処理システムの走行計画情報の例を示す図である。
【
図2C】
図2Cは、実施の形態における情報処理システムの車両スペック情報の例を示す図である。
【
図2D】
図2Dは、実施の形態における情報処理システムの走行地点情報の例を示す図である。
【
図2E】
図2Eは、実施の形態における情報処理システムの安全要件情報の例を示す図である。
【
図2F】
図2Fは、実施の形態における情報処理システムの要求センシング領域の例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施の形態における情報処理システムの動作を示すフローチャートである。
【
図4A】
図4Aは、実施の形態における情報処理システムの詳細な動作を示すフローチャートである。
【
図4B】
図4Bは、実施の形態における情報処理システムの実センシング領域の例を示す図である。
【
図5】
図5は、要求センシング距離を算出する処理を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、要求センシング領域、要求センシング距離の例を示す図である。
【
図7】
図7は、対象領域レーンの探索の処理を示すフローチャートである。
【
図8A】
図8Aは、実センシング領域を算出する処理を示すフローチャートである。
【
図8B】
図8Bは、センサ毎に実センシング距離を算出する処理を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、第1センシング領域と第2センシング領域との関係の例を示す図である。
【
図10】
図10は、要求センシング領域と実センシング領域との関係の例を示す図である。
【
図11】
図11は、変形例における情報処理システムを示す模式図である。
【
図12A】
図12Aは、変形例5における情報処理システムの走行タスクの例を示す図である。
【
図12B】
図12Bは、変形例5における情報処理システムの走行計画情報の例を示す図である。
【
図12C】
図12Cは、変形例5における情報処理システムのロボットスペック情報の例を示す図である。
【
図12D】
図12Dは、変形例5における情報処理システムの走行地点情報の例を示す図である。
【
図12E】
図12Eは、変形例5における情報処理システムの安全要件情報の例を示す図である。
【
図12F】
図12Fは、変形例5における情報処理システムの要求センシング領域の例を示す図である。
【
図13】
図13は、要求センシング領域、要求センシング距離の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
近年では、自動運転技術の発展に伴い、自動運転車による移動サービスの普及が予想される。例えば、自動運転車は、特定の走行シーン(特定のエリア、環境、時間帯など)で走行できるように最適化された状態に設計される。また、特定の走行シーンに最適化された自動運転車を異なる走行シーンで使用するケースが生じることが考えられる。しかし、自動運転車は、自身が走行シーンに適しているか否かを判断できるとは限らない。そのため、最適化されていない走行シーンで自動運転車が走行する場合、走行スペック及びセンサスペックの組合せが走行シーンに適していない、言い換えると走行性能に対してセンシング性能が不足することによって安全性を担保できなくなる可能性がある。例えば、特許文献1では、外部マップを用いた運転支援が提供されるが、走行スペックが走行シーンに適していない場合、外部マップを用いても移動体の走行の安全性を保障できるとは限らない。
【0011】
これに対し、本開示の一態様に係る情報処理方法は、コンピュータにより実行される情報処理方法であって、移動体において実行される走行に関するタスクと、前記移動体に搭載され、前記移動体の外部をセンシングする第1センサが出力する第1センシングデータと、前記移動体の走行に関するスペックと、を取得し、前記タスクと前記スペックとに基づいてセンシング要件を算出し、前記第1センサが出力した前記第1センシングデータに基づいて第1センシング結果を算出し、前記センシング要件及び前記第1センシング結果に基づいて前記タスクの実行を制限するか否かを判定し、前記タスクの実行を制限すると判定された場合、前記タスクの実行を制限する指示を前記移動体へ出力する。
【0012】
これによれば、移動体が走行する際に、移動体の走行スペックから要されるセンシング要件及びセンシング結果に依存して走行タスクの実行を制限できる。すなわち、走行スペック及びセンサスペックが走行シーンに適していない場合、走行タスクの実行を制限できる。したがって、様々な走行スペックの移動体に対して走行タスクの実行の安全を提供することができる。
【0013】
例えば、後述するように、移動体の走行スペック及びセンサスペックが走行シーンに適しておらず走行タスクの実行を完了できない又は走行タスクを実行できない、つまり移動体が走行できない場合には、当該走行タスクの実行を停止させる。これにより、当該走行タスクの実行による事故又はインシデントの発生を抑制することができる。また例えば、移動体の走行スペック及びセンサスペックが走行シーンに適しておらず走行タスクを安全に実行できない、つまり移動体が安全に走行できない場合には、当該走行タスクの実行の内容を変更させる。これにより、移動体は、走行の安全条件を完全に満たしていない移動体であっても、元の走行タスクの代わりに内容が制限された走行タスクを実行することにより、安全に走行を継続することができる。
【0014】
本開示の他の態様に係る情報処理システムは、移動体において実行される走行に関するタスクを取得する第1取得部と、前記移動体に搭載され、前記移動体の外部をセンシングする第1センサが出力する第1センシングデータを取得する第2取得部と、前記移動体の走行に関するスペックを取得する第3取得部と、前記タスクと前記スペックとに基づいてセンシング要件を算出する第1算出部と、前記第1センサが出力した前記第1センシングデータに基づいて第1センシング結果を算出する第2算出部と、前記センシング要件及び前記第1センシング結果に基づいて前記タスクの実行を制限するか否かを判定する判定部と、前記タスクの実行を制限すると判定された場合、前記タスクの実行を制限する指示を前記移動体へ出力する出力部とを備える。
【0015】
この情報処理システムにおいても、上述と同様の作用効果を奏する。
【0016】
本開示の他の態様に係る情報処理方法において、前記センシング要件は、センシングが要される領域である要求センシング領域を含み、前記第1センシング結果は、前記第1センシングデータに基づいて算出される第1センシング領域を含み、前記判定では、前記要求センシング領域及び前記第1センシング領域に基づいて前記タスクの実行を制限するか否かを判定する。
【0017】
移動先で事故又はインシデントの発生を避けるためには、移動先及びその周辺を移動体がセンシングできなければならない。例えば、移動先となる領域及び移動先に移動する物体が存在し得る領域を移動体がセンシングできなければならない。これに対し、本構成によれば、要求センシング領域と移動体のセンシング領域との比較結果にしたがって走行タスクの実行を制限できる。例えば、要求センシング領域を移動体がセンシングできていない場合、走行タスクの実行を制限できる。したがって、走行タスクの実行の安全を提供することができる。
【0018】
本開示の他の態様に係る情報処理方法は、前記判定では、前記要求センシング領域と前記第1センシング領域との重なりにしたがって判定する。
【0019】
要求センシング領域と第1センシング領域との重なりは、走行タスクの実行の安全性に影響する。そのため、当該重なりにしたがって走行タスクの実行を制限することにより、移動体に走行タスクを安全に実行させることができる。すなわち、移動体は、より安全に走行することができる。
【0020】
本開示の他の態様に係る情報処理方法は、前記判定では、前記要求センシング領域と前記第1センシング領域との重なり度合いにしたがって判定する。
【0021】
要求センシング領域と第1センシング領域との重なり度合いは、走行タスクの実行の安全性の度合いに関係する。そのため、当該重なりの度合いにしたがって走行タスクの実行を制限することにより、移動体に走行タスクを安全に実行させることができる。すなわち、移動体は、より安全に走行することができる。
【0022】
本開示の他の態様に係る情報処理方法は、前記判定では、前記要求センシング領域と前記第1センシング領域とが重ならない領域にしたがって判定する。
【0023】
要求センシング領域と第1センシング領域とが重なっていない領域があっても走行タスクの実行の安全性があまり低下しない場合がある。例えば、移動体の後方の領域、又は移動体の走行方向と反対方向の領域、等のように走行の安全性に関わる重要度の低い領域は、センシングが不十分な場合でも、安全上のリスクは低い。また、反対に、要求センシング領域と第1センシング領域とが重なっていない領域が走行タスクの実行の安全性を低下させる場合もある。例えば、移動体の近傍の領域、又は移動体の走行方向の領域、等のように走行の安全性に関わる重要度の高い領域は、センシングが不十分な場合、安全上のリスクが高まる。そのため、重なっていない領域に応じて(例えば当該領域の重要度に応じて)走行タスクの実行が制限されることにより、移動体を安全に走行させながら走行の効率を高めることができる。
【0024】
本開示の他の態様に係る情報処理方法において、前記制限は、前記タスクの実行の禁止である。
【0025】
これによれば、走行タスクを安全に実行できない場合、走行タスクの実行を停止することで、移動体の走行による事故又はインシデントの発生をより確実に抑制することができる。
【0026】
本開示の他の態様に係る情報処理方法において、前記制限は、前記タスクの実行内容の変更である。
【0027】
これによれば、移動体の走行タスクを停止させることなく安全に実行を継続させることができる。したがって、移動体の安全を確保しながら走行の効率を維持又は走行の効率の低下を抑制することができる。例えば、速度を低下させたり、右折する交差点を変更したり、停車する位置を変更したり、発進するタイミングを遅らせたりすることにより、走行タスクを安全に実行することができる。
【0028】
本開示の他の態様に係る情報処理方法において、前記タスクの変更の内容は、前記要求センシング領域と前記第1センシング領域との重なりに基づいて決定される。
【0029】
上述したように、要求センシング領域と第1センシング領域との重なりは、走行タスクの実行の安全性に影響する。そのため、当該重なりにしたがって走行タスクの内容が変更されることにより、安全性が高い内容に走行タスクを変更することができる。
【0030】
本開示の他の態様に係る情報処理方法は、さらに、前記移動体の移動経路に設置される第2センサが出力する第2センシングデータを取得し、前記第2センシングデータに基づいて第2センシング結果を算出し、前記判定では、さらに前記第2センシング結果にも基づいて判定する。
【0031】
第1センシングデータに加えて第2センシングデータもセンシングに利用することにより、移動体の第1センサのセンシング性能が低くても、センシング領域を広げることができる。要求センシング領域と重なるセンシング領域が広がることにより、走行タスクが安全に実行されやすくなる。すなわち、移動体が安全に走行できやすくなる。
【0032】
本開示の他の態様に係る情報処理方法は、さらに、前記タスクの実行を制限すると判定された場合、前記移動体を監視対象に追加する、又は、前記移動体の監視優先度を上げる。
【0033】
走行タスクの実行が制限されるような移動体は、他の移動体よりも事故又はインシデントを発生させる可能性が高い。そのため、走行タスクの実行が制限される移動体を、例えば監視対象としたり、又は、監視優先度の高くしたりすることにより、事故又はインシデントの発生を抑制することができる。また、万が一、事故又はインシデントが発生したとしても、監視者による迅速な対応が可能となる。
【0034】
本開示の他の態様に係る情報処理方法は、さらに、前記タスクの実行を制限すると判定された場合、前記タスクの実行が制限されることを前記移動体の管理者又は乗客に通知する。
【0035】
これによれば、管理者又は乗客は、移動体の走行タスクの実行が制限されたことを把握することができる。例えば、管理者が監視者である場合は、事故又はインシデントが発生する可能性が他の移動体よりも高い移動体を監視者が見落とすことを抑制することができる。また、当該移動体を優先的に監視すればよいため、監視者による移動体の監視負担を軽減することができる。また、乗車している移動体の挙動に対する乗客の不安を軽減することができる。
【0036】
本開示の他の態様に係る情報処理方法は、前記センシング要件は、センシングが要される対象である要求センシング対象を含み、前記第1センシング結果は、前記第1センシングデータに基づいて算出される第1センシング対象を含み、前記判定では、前記要求センシング対象及び前記第1センシング対象に基づいて前記タスクの実行を制限するか否かを判定する。
【0037】
移動先で事故又はインシデントの発生を避けるためには、事故又はインシデントの原因となり得る対象を移動体がセンシングできなければならない。例えば、移動先にある障害物、又は移動先の路面の状態、等を移動体がセンシングできなければならない。これに対し、本構成によれば、要求センシング対象と移動体によりセンシングされた対象との比較結果にしたがって走行タスクの実行を制限できる。したがって、走行タスクの実行の安全を提供することができる。
【0038】
本開示の他の態様に係る情報処理方法は、前記判定では、前記要求センシング対象と前記第1センシング対象との十分度又は一致度にしたがって判定する。
【0039】
要求センシング対象と第1センシング対象との一致度、すなわちセンシングすべき対象がセンシングされているか否か及びそのセンシングの精度又は正確度は、走行タスクの実行の安全性に影響する。そのため、センシング対象の一致度にしたがって走行タスクの実行を制限することにより、移動体に走行タスクを安全に実行させることができる。例えば、要求センシング対象を移動体がセンシングできていない場合、走行タスクの実行を制限できる。
【0040】
本開示の他の態様に係る情報処理方法において、前記センシング要件は、センシングが要される対象である要求センシング性能を含み、前記第1センシング結果は、前記第1センシングデータに基づいて算出される第1センシング性能を含み、前記判定では、前記要求センシング性能及び前記第1センシング性能に基づいて前記タスクの実行を制限するか否かを判定する。
【0041】
移動先で事故又はインシデントの発生を避けるためには、移動体のセンシング性能が十分でなければならない。例えば、センシングの精度、正確度、解像度、又は処理周期、等が十分でなければならない。これに対し、本構成によれば、要求センシング性能と移動体のセンシング性能との比較結果にしたがって走行タスクの実行を制限できる。したがって、走行タスクの実行の安全を提供することができる。
【0042】
本開示の他の態様に係る情報処理方法において、前記判定では、前記要求センシング性能を前記第1センシング性能が上回るか否かにしたがって判定する。
【0043】
このように、センシング性能の優劣にしたがって走行タスクの実行を制限することにより、移動体に走行タスクを安全に実行させることができる。例えば、要求センシング性能を移動体のセンシング性能が下回る場合、走行タスクの実行を制限できる。
【0044】
以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また全ての実施の形態において、各々の内容を組み合わせることもできる。
【0045】
以下、本開示の一態様に係る情報処理方法及び情報処理システムについて、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0046】
(実施の形態)
<構成:情報処理システム1>
図1は、実施の形態における情報処理システム1を示すブロック図である。
【0047】
図1に示すように、情報処理システム1は、自動運転装置2と、運行管制装置3と、インフラストラクチャ装置4と、判定装置5とを備える。なお、自動運転装置2のみが移動体に備えられてもよく、自動運転装置2及び運行管制装置3が移動体に備えられてもよい。
【0048】
[自動運転装置2]
自動運転装置2は、移動体に搭載され、移動体の周辺をセンシングし、センシング結果に基づいて移動体の走行を制御する。移動体は、車両、航空機、又は船舶等である。本実施の形態では、以下、移動体として自動運転車6を想定して説明する。
【0049】
自動運転装置2は、第1センシング部21と、走行判定部22とを有する。
【0050】
第1センシング部21は、第1センサとして、第1センシングデータを判定装置5に出力する。
【0051】
第1センシング部21は、例えば、Lidar(Laser Imaging Detection and Ranging)、又は撮像装置等のセンサ又はセンサモジュールであり、自動運転車6の外部をセンシングする。第1センシング部21は、センシングした結果である第1センシングデータを生成する。第1センシングデータは、例えば点群情報又は画像である。
【0052】
走行判定部22は、走行タスク生成部31が生成した自動運転車6において実行される走行に関するタスク(以下走行タスクということがある)と、走行タスク制限部57が出力した走行タスク許可とを取得する。走行判定部22は、取得した走行タスクと走行タスク許可とに基づいて、走行タスクを実行するか否かを判定したり、当該判定した走行タスクを実行したりする。走行判定部22は、走行タスクを実行する場合、走行タスクに応じた走行指示を自動運転車6に出力する。
【0053】
[運行管制装置3]
運行管制装置3は、走行タスク生成部31と、第1記憶部32と、走行計画変更部33とを有する。
【0054】
走行タスク生成部31は、第1記憶部32から取得した走行計画情報に基づいて、走行タスクを生成する。ここで、走行タスクとは、アクチュエータを制御する下位の走行制御よりも抽象的な上位の走行制御である。具体的には、下位の走行制御は、速度、加速度、減速度、又は操舵角等の制御であり、上位の走行制御は、直進、右折、左折、障害物の回避、駐車、車線変更、合流、発進、又は停止等の自動運転車6の制御である。例えば、走行タスクは、
図2Aに示すように、走行タスク名、走行タスク種類、及び地点名を含む。
図2Aは、実施の形態における情報処理システム1の走行タスクの例を示す図である。
【0055】
走行計画情報は、
図2Bに示すように、ルート及び当該ルート上の走行タスクが実行される地点を含む。地点は、出発地、目的地、右折地点、左折地点、停止地点等である。
図2Bは、実施の形態における情報処理システム1の走行計画情報の例を示す図である。
【0056】
走行タスク生成部31は、生成した走行タスクを判定装置5に出力する。
【0057】
第1記憶部32は、自動運転車6の走行計画を示す走行計画情報データベースを格納する。第1記憶部32は、走行タスク生成部31の要求に応じて、走行計画情報を出力する。また、第1記憶部32は、走行計画変更部33が走行計画情報を変更した場合、変更後の走行計画情報に更新する。
【0058】
走行計画変更部33は、走行タスクの実行を制限する指示(以下、制限事項)に基づいて、走行計画情報を変更する必要が生じた場合に、第1記憶部32に格納される走行計画情報を変更して更新する。また、走行計画変更部33は、走行タスク制限部57が出力した走行タスク許可を取得した場合も、第1記憶部32に格納される走行計画情報が許可されたことを更新してもよい。なお、走行計画情報の変更は、ユーザが手動で所望の計画に変更してもよい。ここで、制限事項は、走行タスクの実行の禁止、又は、走行タスクの実行内容の変更である。例えば、走行タスクの実行の禁止は、走行の禁止、右折若しくは左折の禁止、又は停車の禁止等である。また例えば、走行タスクの実行内容の変更は、速度若しくは加速度の変更、又は走行レーンの変更等である。
【0059】
具体的には、走行計画変更部33は、走行タスクが右折であっても、取得した制限事項が右折禁止である場合、当該走行タスクを削除し新たな走行タスクを追加する等して走行計画を変更する。
【0060】
[インフラストラクチャ装置4]
インフラストラクチャ装置4は、道路、又は信号機等のインフラストラクチャに設定される。インフラストラクチャ装置4は、第2センシング部41を有する。
【0061】
第2センシング部41は、自動運転車6の移動経路に設置されるセンサであり、自機の周辺をセンシングし、第2センシングデータを生成する。第2センシング部41は、生成した第2センシングデータを判定装置5に出力する。第2センシング部41は、第2センサの一例であってもよい。
【0062】
[判定装置5]
判定装置5は、走行タスク取得部51と、第2記憶部52と、第3記憶部53と、第4記憶部54と、条件取得部55と、判定部56と、走行タスク制限部57とを有する。
【0063】
走行タスク取得部51は、運行管制装置3の走行タスク生成部31が出力した走行タスクを取得する。走行タスク取得部51は、取得した走行タスクを判定部56に出力する。走行タスク取得部51は、第1取得部の一例である。
【0064】
第2記憶部52は、自動運転車6の車両スペックを示す車両スペック情報のデータベース(以下、車両スペック情報データベース)を格納する。第2記憶部52は、条件取得部55の要求に応じて、車両スペック情報を出力する。車両スペックは、自動運転車6の走行に関するスペックである。具体的には、車両スペック情報は、
図2Cに示すように、車両名、最大加速度、最大減速度、最大速度、車両応答時間等を含む。車両応答時間は、自動運転車6に指示を与えてから実際に指示に対応する動作を実行又は動作を完了するまでの時間である。例えば、車両応答時間は、自動運転車6に停止指示を与えた場合に、自動運転車6がブレーキをかけるまでにかかる時間である。また、車両スペックには、自動運転車6の大きさ、重量、最小旋回半径、車両応答速度、障害物検知性能、自己位置推定精度、経路追従精度、搭載されるセンサの種類、センサが検知可能な物体等が含まれていてもよい。
図2Cは、実施の形態における情報処理システム1の車両スペック情報の例を示す図である。
【0065】
第3記憶部53は、地図で表現される走行地点の各種情報を示す走行地点情報のデータベース(以下、走行地点情報データベース)を格納する。第3記憶部53は、条件取得部55の要求に応じて、走行地点情報を出力する。走行地点情報は、走行路の地図情報及び交通環境情報である。具体的には、走行地点情報は、
図2Dに示すように、地点名、地点名に割り当てられた地点番号、道路の種類といった地図情報、及び信号機の有無、左折経路長、右折経路長、直進経路長、制限速度、想定他車最大速度、進入レーンといった交通環境情報を含む。
図2Dは、実施の形態における情報処理システム1の走行地点情報の例を示す図である。
【0066】
第4記憶部54は、走行タスクに対する安全要件を示す安全要件情報のデータベース(以下、安全要件情報データベース)を格納する。第4記憶部54は、条件取得部55の要求に応じて、安全要件情報を出力する。安全要件情報は、走行タスクに対して、自動運転車6が安全に走行するために、事業者等が予め設定した要件である。言い換えると、安全要件情報は、走行タスクの実行条件に関わる。具体的には、安全要件情報は、
図2Eに示すように、走行タスク名、対象領域種別、道路の種類、交差点内部の要求センシング範囲、進入レーンの要求センシング範囲、要求センシング範囲算出インプット等を含み、このうち対象領域種別、交差点内部要求センシング範囲、進入レーン要求センシング範囲がセンシング要件に関わる安全要件である。
図2Eは、実施の形態における情報処理システム1の安全要件情報の例を示す図である。なお、安全要件情報は、上記のセンシング要件に関わる情報以外の情報を含んでもよい。例えば、安全要件情報は、障害物、死角領域、天候、路面の状態、及び照度等の走行環境に関する安全要件を含む。走行環境に関する安全要件は、走行環境要件の算出に用いられる。
【0067】
対象領域種別は、自動運転車6が他の物体と衝突する可能性がある領域の種別を示す。具体的には、対象領域種別は、
図2Eの例では、交差点内部と、自動運転車6が存在するレーン以外の進入レーンと、を上記領域の種別として示している。
【0068】
交差点内部の要求センシング範囲は、交差点内部という種別の領域の要求センシング範囲である。例えば、交差点内部はどの部分でも自動運転車6が他の移動体と衝突する可能性があるため、交差点内部の要求センシング範囲は、全域と設定されている。
【0069】
進入レーンの要求センシング範囲は、進入レーンという種別の領域の要求センシング範囲である。例えば、進入レーンから遠く離れた領域は衝突の可能性が低いため、進入レーンの要求センシング範囲は、交差点から要求センシング距離までの領域と設定されている。
【0070】
なお、要求センシング範囲算出インプットは、上記要求センシング距離を算出するために入力される情報である。そのため、対象領域の要求センシング範囲に付随する情報といってもよい。要求センシング範囲算出インプットは、例えば自動運転車6の最大速度、制限速度、最大加速度、車両応答時間、右折経路長、想定他車最大速度等である。
【0071】
条件取得部55は、第2記憶部52から車両スペック情報と、第3記憶部53から走行地点情報とを取得する。また、条件取得部55は、判定部56を介して走行タスク取得部51から走行タスクを取得する。条件取得部55は、第1算出部の一例であり、第3取得部の一例でもある。また、条件取得部55は、さらに第4記憶部54から安全要件情報を取得する。
【0072】
条件取得部55は、走行タスクの実行条件を算出する。走行タスクの実行条件は、言い換えると、走行タスクの正常な実行判断が可能か否か、すなわち走行タスクを実行するためのセンシングが十分であるか否か、を判定するための条件である。走行タスクの実行条件は、自動運転車6及び走行地点の少なくとも一方に応じた走行タスクの実行条件である。例えば、走行タスクの実行条件は、自動運転車6の直進、右折、左折、障害物の回避、駐車、車線変更、合流、発進、停止等の走行タスクが実行可能か否かを判定するための条件である。そのため、実行条件は、センシング要件を1つの要素として含む。また、実行条件は、走行環境要件を他の要素として含む。走行環境要件の要素としては、障害物、死角領域、天候、路面の状態、及び照度等がある。実行条件は、安全要件情報に基づいて算出される。
【0073】
条件取得部55は、車両スペック情報と判定部56を介して取得した走行タスクとに基づいて、センシング要件を算出して取得する。具体的には、条件取得部55は、車両スペック情報及び走行タスクに基づいてセンシングが要される領域である要求センシング領域を算出する。つまり、条件取得部55は、走行タスクに示される地点と一致する走行地点情報と車両スペック情報とに基づいて、その車両スペックの自動運転車6がその走行タスクの実行に必要な要求センシング領域を算出して取得する。より具体的には、条件取得部55は、車両スペック情報と走行タスクと安全要件情報とに基づいて要求センシング領域を算出する。例えば、条件取得部55は、走行タスクから、該当する走行地点の走行地点情報、及び安全要件情報を取得する。条件取得部55は、取得した安全要件情報から対象領域種別、対象領域種別毎の要求センシング範囲、及び要求センシング範囲算出インプットを取得する。条件取得部55は、取得した要求センシング範囲算出インプットに示される情報を、車両スペック情報及び走行地点情報から取得する。条件取得部55は、取得した情報を用いて地点内の対象領域毎に要求センシング範囲を算出する。このようにして算出された対象領域のセンシング範囲が要求センシング領域である。
【0074】
要求センシング領域は、
図2Fに示すように、車両名、走行タスク名、対象領域ID、領域種別毎の要求センシング範囲を含む。要求センシング範囲は、例えば、全域、又は対象領域における要求センシング距離である。
図2Fの例では、対象領域A0については全域、対象領域A1、A3、A7についてはそれぞれ要求センシング距離43mが設定されている。
図2Fは、実施の形態における情報処理システム1の要求センシング領域の例を示す図である。
【0075】
条件取得部55は、主に自動運転車6が走行する前に、要求センシング領域を含めて実行条件を取得するが、自動運転車6の走行中に、実行条件を取得してもよい。
【0076】
条件取得部55は、取得した実行条件を判定部56に出力する。
【0077】
判定部56は、第1センシング部21から第1センシングデータを取得し、第2センシング部41から第2センシングデータを取得し、条件取得部55からセンシング要件を含む実行条件を取得する。また、判定部56は、走行タスク取得部51から走行タスクを取得する。
【0078】
判定部56は、第1センシングデータに基づいて第1センシング結果を算出する。第1センシング結果は、第1センシング部21がセンシングした領域を示す第1センシング領域である。また、判定部56は、第2センシングデータに基づいて第2センシング結果を算出する。第2センシング結果は、第2センシング部41がセンシングした領域を示す第2センシング領域である。なお、第1センシング結果及び第2センシング結果には、その他の情報が含まれてもよい。例えば、障害物の有無、障害物の種類、障害物の位置、障害物の大きさ、障害物による死角領域、天候、路面の状態、及び照度等が含まれてもよい。第1センシング領域及び第2センシング領域は実センシング領域である。
【0079】
判定部56は、第1センシング結果及びセンシング要件に基づいて走行タスクの実行を制限するか否かを判定する。具体的には、判定部56は、第1センシング領域と実行条件の要求センシング領域とに基づいて、自動運転車6による走行タスクの実行を制限するか否かを判定する。つまり、判定部56は、自動運転車6が走行タスクを実行してよいか否かを正常に判断できるか否かを判定する。走行タスクの実行を正常に判断ができることは、第1センシング結果が十分であること、すなわち第1センシング結果がセンシング要件を満たすこと、を意味する。例えば、判定部56は、要求センシング領域と第1センシング領域との重なりにしたがって走行タスクの実行を制限するか否かを判定する。具体的には、判定部56は、要求センシング領域と第1センシング領域との重なり度合いにしたがって判定する。例えば、要求センシング領域の全部又は所定の割合以上の部分が第1センシング領域と重なっている場合、判定部56は、走行タスクの実行を制限しない。反対に、第1センシング領域と重なっている要求センシング領域の部分がない又は所定の割合よりも少ない場合、判定部56は、走行タスクの実行を制限する。
【0080】
さらに、判定部56は、第2センシング領域にも基づいて、走行タスクの実行を制限するか否かを判定する。例えば、判定部56は、第1センシング領域と第2センシング領域とを合わせた合成センシング領域と要求センシング領域との重なりにしたがって走行タスクの実行を制限するか否かを判定する。
【0081】
なお、判定部56は、要求センシング領域と第1センシング領域とが重ならない領域にしたがって判定してもよい。具体的には、判定部56は、要求センシング領域のうち第1センシング領域と重なっていない部分が自動運転車6の走行安全に影響を及ぼす領域であるかを判定する。安全に影響を及ぼす領域は、例えば、自動運転車6に近い領域、自動運転車6の進行方向の領域、走行予定の経路上の領域、歩道、信号機が位置する領域等である。走行安全に影響を及ぼす領域が当該重なっていない部分である場合、判定部56は、走行タスクの実行を制限する。
【0082】
また、判定部56は、実行条件の他の要件に基づいて走行タスクの実行を制限するか否かを判定する。具体的には、判定部56は、走行環境要件と第1センシングデータとに基づいて走行タスクの実行を制限するか否かを判定する。例えば、ルート上に霧が発生した場合、又は当該ルート上の路面が凍結している場合に、判定部56は、走行タスクの実行を制限すると判定する。また、ルート上の所定地点において、歩行者数が閾値以上存在する場合、又は事故が発生した場合に、判定部56は、走行タスクの実行を制限すると判定する。また、動物がルート内に進入した場合に、判定部56は、走行タスクの実行を制限すると判定する。また、自動運転車6を監視するための監視者端末と自動運転車6との通信状態が悪い場合、判定部56は、走行タスクの実行を制限すると判定する。
【0083】
判定部56は、判定結果を走行タスク制限部57に出力する。
【0084】
走行タスク制限部57は、判定部56から判定結果を取得すると、判定結果に応じて走行タスクの実行を制限する。具体的には、判定部56によるセンシング要件についての判定結果にしたがって、走行タスク制限部57は、走行タスクの実行を制限する指示である制限事項を生成する。詳細には、走行タスク制限部57は、制限事項として、走行タスクの実行の禁止を、判定部56による要求センシング領域についての判定結果にしたがって生成する。例えば、走行タスクが右折である場合に、要求センシング領域のうちの右折方向に対応する部分が第1センシング領域と重なっていなければ、判定部56によって走行タスクの実行を制限すると判定される。このため、走行タスク制限部57は、右折禁止を示す制限事項を生成する。また、走行タスク制限部57は、制限事項として、走行タスクの変更の内容を、判定部56による要求センシング領域についての判定結果にしたがって決定する。詳細には、走行タスク制限部57は、第1センシング領域と要求センシング領域との重なり(例えば、重なりの有無、又は重なり度合い等)に基づいて走行タスクの変更内容を決定する。例えば、走行タスクが直進である場合に、要求センシング領域のうちの進行方向に対応する部分と第1センシング領域との重なりが所定の割合を下回るときは、判定部56によって走行タスクの実行を制限すると判定される。このため、走行タスク制限部57は、重なる領域が所定の割合以上となるような速度(言い換えると制限速度)を示す制限事項を生成する。
【0085】
また、走行タスク制限部57は、判定部56による他の要件についての判定結果にしたがって制限事項を生成する。具体的には、走行タスク制限部57は、走行環境要件についての判定結果にしたがって制限事項を生成する。例えば、ルート上に霧が発生した場合、又は当該ルート上の路面が凍結している場合に、走行タスク制限部57は、走行速度を低下させる制限事項として生成する。また、ルート上の所定地点において、歩行者数が閾値以上存在する場合、又は事故が発生した場合に、走行タスク制限部57は、当該所定地点への侵入を禁止する制限事項を生成する。また、動物がルート内に進入した場合に、走行タスク制限部57は、当該ルートを禁止及びルートを変更させる制限事項を生成する。また、自動運転車6を監視するための監視者端末と自動運転車6との通信状態が悪い場合、又は緊急車両が接近する場合に、走行タスク制限部57は、走行を停止させる制限事項を生成する。
【0086】
なお、走行タスクの制限事項は、管理者の操作に基づいて生成されてもよい。例えば、管理者が制限事項を選択し、走行タスク制限部57は、選択結果に基づいて制限事項を生成する。走行タスク制限部57は、出力部の一例である。管理者は、情報処理システム1又はその一部の装置の管理者、自動運転車6の所有者、自動運転車6の監視者等である。
【0087】
走行タスク制限部57は、生成した制限事項を走行判定部22及び走行計画変更部33に出力する。また、走行タスク制限部57は、制限すると判定されなかった走行タスクの実行の許可を示す走行タスク許可を走行判定部22に出力する。なお、走行タスク制限部57は、走行タスク許可を走行計画変更部33に出力してもよい。
【0088】
<動作>
以上のように構成される情報処理システム1の処理について説明する。
【0089】
図3は、実施の形態における情報処理システム1の処理を示すフローチャートである。
図3では、情報処理システム1の処理の全体の概要について説明する。
【0090】
図3に示すように、条件取得部55は、自動運転車6が走行する前に、車両スペック情報と走行地点情報とに基づいて、自動運転車6に応じた走行地点ごとの走行タスクの実行条件を算出して取得する(S11)。ステップS11の処理は、自動運転車6の走行前に実行されてもよい。
【0091】
次に、走行タスク取得部51は、走行タスク生成部31が出力した走行タスクを取得する(S12)。
【0092】
次に、判定部56は、第1センシング部21から第1センシングデータ、第2センシング部41から第2センシングデータ、条件取得部55から実行条件、及び、走行タスク取得部51から走行タスクを取得する。判定部56は、取得した情報に基づいて、自動運転車6が走行タスクの実行を正常に判断することができるか否かを判定する(S13)。すなわち、判定部56は、取得した情報に基づいて、走行タスクの実行を制限するか否かを判定する。
【0093】
次に、判定部56は、走行タスクの実行を制限しないと判定すると(S13でYES)、走行タスク許可を走行判定部22に出力する(S17)。走行判定部22は、走行タスク許可を取得すると、走行タスク許可が示す走行タスクを実行する。これにより、自動運転車6は、走行タスクに応じた走行制御がなされる。
【0094】
次に、走行判定部22は、走行を終了するか否かを判定する(S18)。つまり、走行判定部22は、目的地に到着したか否かを判定する。
【0095】
走行判定部22は、走行を終了すると判定した(S18でYES)、自動運転車6の走行を終了させる。また、情報処理システム1は、処理を終了する。
【0096】
また、走行判定部22は、走行を終了しないと判定した場合(S18でNO)、ステップS12に処理が戻る。
【0097】
また、判定部56は、走行タスクの実行を制限すると判定すると(S13でNO)、走行タスク制限部57は、走行タスクの実行を制限すると判定された走行タスクに対して制限事項を生成し、制限事項を走行計画変更部33と走行判定部22とに出力する(S14)。
【0098】
走行計画変更部33は、制限事項に基づいて、第1記憶部32に格納される走行タスクの走行計画情報を変更する(S15)。つまり、走行計画変更部33は、制限事項についての走行地点を走行計画から削除又は変更することで走行計画を変更する。
【0099】
次に、走行判定部22は、制限事項に基づいて、走行を継続可能であるか否かを判定する(S16)。具体的には、走行判定部22は、制限事項に基づいて走行タスクの実行を中止又は実行内容を変更する。走行判定部22は、走行タスクの実行の中止又は実行内容の変更後に、自動運転車6の走行が継続可能である否かを判定する。
【0100】
走行判定部22は、走行を継続不可能であれば(S16でNO)、自動運転車6の走行を終了させる。また、情報処理システム1は、処理を終了する。
【0101】
走行判定部22は、走行を継続可能であれば(S16でYES)、ステップS13に処理が戻る。このように、走行判定部22は、自動運転車6が目的地に到着するまで、複数の走行タスクを取得することで、自動運転車6を走行させる。
【0102】
次に、情報処理システム1の判定装置5の詳細な処理について説明する。
【0103】
図4Aは、実施の形態における判定装置5の詳細な処理を示すフローチャートである。
図4Aでは、自動運転車6の走行開始後に処理が実行されることが想定される。
【0104】
処理の開始前に、条件取得部55は、要求センシング領域を算出して取得する。具体的には条件取得部55は、車両スペック情報と判定部56を介して取得した走行タスクとに基づいて、要求センシング領域を算出して取得する。要求センシング領域の算出処理の詳細については、後述する。
【0105】
図4Aに示すように、走行タスク取得部51は、運行管制装置3から走行タスクを取得すると、判定部56に出力する。これにより、判定部56は、走行タスクを取得する(S21)。
【0106】
次に、判定部56は、自動運転装置2から第1センシングデータを取得する(S22)。
【0107】
次に、判定部56は、インフラストラクチャ装置4から第2センシングデータを取得する(S23)。
【0108】
次に、判定部56は、第1センシングデータと第2センシングデータとに基づいて、実センシング領域を算出して取得する(S24)。実センシング領域は、
図4Bに示すように、センシング装置名、及び対象領域毎の実センシング範囲を含む。実センシング範囲は、全域又は実センシング距離で示される。例えば、
図4Bでは、対象領域A0の実センシング範囲は全域、対象領域A1~A8の実センシング範囲はそれぞれ実センシング距離の数値である。
図4Bは、実施の形態における情報処理システム1の実センシング領域の例を示す図である。実センシング領域は、第1センシング領域及び第2センシング領域に基づいて規定される領域であり、例えば第1センシング領域及び第2センシング領域を合わせた領域(言い換えると、合成センシング領域)である。実センシング距離は、第1センシング部21(すなわち自動運転車6)又は第2センシング部41(すなわちインフラストラクチャ装置4)が実際にセンシングした距離である。
【0109】
図4Aに戻って、次に、判定部56は、合成センシング領域が十分であるかどうかを判定する(S25)。具体的には、判定部56は、第1センシング領域又は第2センシング領域と要求センシング領域とに基づいて、走行タスクの実行を制限するか否かを判定する。
【0110】
判定部56は、合成センシング領域が十分であると判定した場合(S25でYES)、走行タスク許可を走行判定部22に出力する(S31)。
【0111】
次に、判定装置5は、自動運転車6の走行が終了したかを判定する(S32)。具体的には、判定装置5は、走行判定部22が、自動運転車6の走行を終了させたか否かを判定する。
【0112】
判定装置5は、自動運転車6の走行が終了したと判定した場合(S32でYES)、処理を終了する。また、判定装置5は、自動運転車6の走行が終了していないと判定した場合(S32でNO)、ステップS21に処理を戻す。
【0113】
判定部56は、合成センシング領域が十分でないと判定した場合(S25でNO)、インフラストラクチャ装置4(すなわち第2センシング部41)を調整することで解決可能か否かを判定する(S26)。具体的には、インフラストラクチャ装置4の設置位置、第2センシング部41のセンシング範囲、又は精度等を調節することで、判定部56は、合成センシング領域が十分になるか否かを判定する。なお、解決手段は、センサの追加、又はインフラストラクチャの変更等であってもよい。また、解決手段は、調整可能な項目が予め設定されてもよく、選択された解決手段が管理者に通知されてもよい。
【0114】
次に、判定部56は、インフラストラクチャ装置4を調整することで解決可能であると判定した場合(S26でYES)、インフラストラクチャ装置4を調整し(S33)、ステップS23に処理が戻る。なお、ステップS26及びS33の処理は必須の処理ではないため省略してもよい。
【0115】
また、判定部56は、インフラストラクチャ装置4を調整しても解決可能でないと判定した場合(S25でNO)、走行タスク制限部57は、合成センシング領域が十分でないと判定された走行タスクについて制限事項を生成することで、走行タスクの実行を制限する(S27)。
【0116】
走行タスク制限部57は、生成した制限事項を、走行計画変更部33に出力することで、走行計画情報(取得した走行タスクを含む)を走行計画変更部33に変更させる(S28)。走行計画変更部33は、制限事項に基づいて、第1記憶部32に格納される走行計画情報を変更する。
【0117】
次に、走行タスク制限部57は、変更後の走行計画情報に基づいて自動運転車6が走行を継続可能であるか否かを判定する(S29)。走行タスク制限部57は、走行判定部22による、走行計画情報と共に変更された走行タスクに基づく走行を継続可能であるか否かの判定結果を取得する。
【0118】
走行タスク制限部57は、走行を継続不可能であると判定した場合(S29でNO)、走行判定部22に自動運転車6の走行を終了させる指示を出力する(S30)。自動運転車6は、走行を終了する。そして、判定装置5は処理を終了する。
【0119】
走行を継続可能であると判定された場合(S29でYES)、ステップS25に処理が戻る。
【0120】
以下、要求センシング領域の算出するための処理について説明する。
【0121】
要求センシング領域を算出するために、まずは要求センシング距離の算出について説明する。要求センシング距離は、例えば、自動運転車6が交差点に侵入する場合に、交差点領域からの所定距離である。当該所定距離は、当該交差点に進入する移動体をセンシングするための距離である。
【0122】
図5は、要求センシング距離を算出する処理を示すフローチャートである。
【0123】
図5で示すように、条件取得部55は、第4記憶部54から安全要件情報を取得する(S41)。例えば、安全要件情報の走行環境要件として交差点内に他の移動体が侵入しないことが設定されている場合、自動運転車6が交差点に安全に進入できるようになる。また、安全要件情報のセンシング要件として交差点内及び周辺の他の移動体をセンシングできることが設定されている場合、自動運転車6が他の移動体を見落とす可能性を低下させる、すなわち事故又はインシデントの発生を抑制することができる。
【0124】
次に、条件取得部55は、第3記憶部53から走行地点情報を取得する。条件取得部55は、取得した走行地点情報からセンシングの対象領域を探索する(S42)。具体的には、条件取得部55は、走行地点情報から、走行タスクごとにセンシングすべき対象領域として道路のレーン及び領域を決定する。
【0125】
例えば、
図6で示すように、信号機の無い交差点領域A0に自動運転車6がレーンA5から侵入する場合、縦線のハッチングで示すように、他の移動体が交差点領域A0に進入するレーンは、レーンA1、A3、A7である。条件取得部55は、安全要件情報にて指定される対象領域種別を参照し、種別に該当する領域を探索する。
図6では、交差点領域A0、レーンA1、A3、A7が対象領域として該当するため、それぞれ対象領域に決定される。対象領域レーンの一部が、要求センシング領域R1となる。詳細は後述する。
図6は、要求センシング領域R1、要求センシング距離の例を示す図である。
【0126】
次に、条件取得部55は、要求センシング距離を算出する(S43)。具体的には、条件取得部55は、要求センシング距離算出インプット(自動運転車6の最大速度、制限速度、交差点への進入速度、最大加速度、車両応答時間、右折経路長、想定他車最大速度等)に基づいて、走行タスクごとに要求センシング距離を算出する。
【0127】
より具体的には、条件取得部55は、自動運転車6の最大速度vmax、交差点への進入速度vmin及び最大加速度amaxを式(1)に代入し、自動運転車6が最大速度まで加速するために必要な時間tmax velocityを算出する。例えば、自動運転車6が発車する場合、vminは0に設定される。
【0128】
【0129】
また、条件取得部55は、自動運転車6の最大速度vmax、交差点への進入速度vmin及び時間tmax velocityを式(2)に代入し、自動運転車6が最大速度まで加速するために必要な距離lmaxを算出する。
【0130】
【0131】
また、条件取得部55は、自動運転車6の最大速度vmax、最大加速度amax、車両応答時間tresponse、右折経路長ltask、時間tmax velocity及び距離lmax velocityを式(3)に代入し、自動運転車6が走行タスク完了までにかかる時間ttaskを算出する。
【0132】
【0133】
また、条件取得部55は、時間ttask及び想定他車最大速度votherを式(4)に代入し、自動運転車6が走行タスク完了までに他の移動体が移動する最大距離lmove other vehicleを算出する。
【0134】
【0135】
条件取得部55は、算出した距離lmove other vehicleを要求センシング距離として設定する。
【0136】
このように、情報処理システム1では、要求センシング距離を算出することができる。例えば、
図6において、自動運転車6が交差点領域A0で右折する場合、レーンA1、A3、A7について、交差点領域A0からの要求センシング距離をそれぞれ算出する。これにより、自動運転車6が右折を完了するまでに他の移動体が侵入しないことを検知することをセンシング要件(言い換えると安全要件)に設定できる。
【0137】
ここで、
図5のステップS42の対象領域の探索のうちの対象領域レーンの探索の処理について、
図7を参照して説明する。
【0138】
図7は、対象領域レーンの探索の処理を示すフローチャートである。
【0139】
図6及び
図7に示すように、条件取得部55は、自動運転車6が侵入しようとする交差点領域A0への進入レーンA1、A3、A5、A7のうち、自動運転車6以外の他の移動体が進入するレーンとしてレーンA1、A3、A7を決定する(S51)。
【0140】
次に、条件取得部55は、交差点領域A0に信号機が存在するかどうかを判定する(S52)。
【0141】
条件取得部55は、交差点領域A0に信号機が存在しない場合(S52でNO)、自動運転車6が存在しているレーンA5以外の全進入レーンA1、A3、A7を対象領域レーンとして決定する(S53)。
【0142】
条件取得部55は、交差点領域A0に信号機が存在する場合(S52でYES)、自動運転車6にとっての対向車の進入レーンA1を対象領域レーンとして決定する(S54)。
【0143】
続いて、情報処理システム1の実センシング領域の算出について説明する。
【0144】
図8Aは、実センシング領域を算出する処理を示すフローチャートである。
【0145】
まず、
図8Aに示すように、判定部56は、センサ(第1センシング部21及び第2センシング部41)毎に、実センシング領域を算出する(S61)。センサ毎の実センシング領域の算出については、
図8Bを用いて説明する。
図8Bは、センサ毎に実センシング領域を算出する処理を示すフローチャートである。
【0146】
ここでは、センサが第1センシング部21の例を説明する。
図8Bに示すように、判定部56は、第1センシング部21の最大センシング距離を取得する(S61a)。例えば、判定部56は、第2記憶部52に格納される車両スペック情報から第1センシング部21の最大センシング距離を取得する。
【0147】
次に、判定部56は、第1センシングデータに基づいて第1センシング部21(すなわち自動運転車6)から各方位の物体までの距離を算出する(S61b)。
【0148】
判定部56は、最大センシング距離と各方位の物体までの距離の内、小さい値を各方位の実センシング距離に設定する(S61c)。例えば、
図9では、レーンA5に存在する自動運転車6から障害物7までの距離は、最大センシング距離よりも短い。このため、判定部56は、自動運転車6から障害物7までの距離を実センシング距離として設定する。障害物7の自動運転車6側と反対側は自動運転車6の死角となる。
図9は、第1センシング領域K1と第2センシング領域K2との関係の例を示す図である。
【0149】
図8AのフローチャートのステップS62の説明に戻る。
【0150】
次に、判定部56は、実センシング領域である第1センシング領域と、第2センシング領域とを重ね合わせる(S62)。
図9では、第1センシング領域K1を格子状の斜線のハッチングで示し、第2センシング領域K2をドット状のハッチングで示す。
【0151】
次に、判定部56は、第1センシング領域K1及び第2センシング領域K2の重ね合わせの結果に基づいて、走行タスクの実行を制限するか否かの判定処理に用いる実センシング領域すなわち合成センシング領域を算出する(S63)。
【0152】
具体的には、判定部56は、第1センシング領域及び第2センシング領域のいずれか一方がカバーする領域を合成センシング領域として決定する。言い換えると、第1センシング領域と第2センシング領域との和が合成センシング領域として決定される。例えば、
図9の格子状の斜線のハッチング又はドット状のハッチングの箇所が合成センシング領域として決定される。
【0153】
このように、
図5及び7の処理により算出される要求センシング領域と、
図8A及び8Bの処理により算出される実センシング領域と、に基づいて、走行タスクの実行を制限するか否かの判定処理(
図4AのステップS25)が行われる。
図10を参照して、要求センシング領域と実センシング領域とに基づく上記判定処理の例を説明する。
図10は、要求センシング領域と実センシング領域との関係の例を示す図である。
【0154】
図10では、第1センシング領域K1と第2センシング領域K2の和が斜線のハッチングの実センシング領域K3として示されている。また、要求センシング領域のうち、実センシング領域K3と重なる領域R2が縦線のハッチングで示されており、実センシング領域K3と重ならない領域R3がドット間隔の細かいハッチングで示されている。判定部56は、要求センシング領域の一部の領域R3が実センシング領域K3と重ならないため、走行タスクすなわち右折の実行を制限すると判定する。
【0155】
<作用効果>
次に、本実施の形態における情報処理方法及び情報処理システム1の作用効果について説明する。
【0156】
以上のように、本実施の形態における情報処理方法及び情報処理システム1によれば、移動体が走行する際に、移動体の走行スペックに依存して走行タスクの実行を制限できる。すなわち、走行スペック及びセンサスペックが走行シーンに適していない場合、走行タスクの実行を制限できる。したがって、様々な走行スペックの移動体に対して走行タスクの実行の安全を提供することができる。
【0157】
例えば、後述するように、移動体の走行スペック及びセンサスペックが走行シーンに適しておらず走行タスクの実行を完了できない又は走行タスクを実行できない、つまり移動体が走行できない場合には、当該走行タスクの実行を停止させる。これにより、当該走行タスクの実行による事故又はインシデントの発生を抑制することができる。また例えば、移動体の走行スペック及びセンサスペックが走行シーンに適しておらず走行タスクを安全に実行できない、つまり移動体が安全に走行できない場合には、当該走行タスクの実行の内容を変更させる。これにより、移動体は、走行の安全条件を完全に満たしていない移動体であっても、元の走行タスクの代わりに内容が制限された走行タスクを実行することにより、安全に走行を継続することができる。
【0158】
(変形例1)
上記の実施の形態では、一例として、情報処理方法及び情報処理システム1について説明したが、これに限らない。情報処理システム1に端末装置80と監視者端末90とが通信可能に接続されていてもよい。以下、この場合を変形例1として、上記の実施の形態と異なるところを中心に説明する。
【0159】
図11は、変形例1における情報処理システム1を示す模式図である。
【0160】
[走行タスク制限部57]
図11に示すように、走行タスク制限部57は、走行タスクの実行を制限するか否かの判定結果にしたがって、監視者による自動運転車6の監視態様を決定する。具体的には、走行タスク制限部57は、判定部56によって走行タスクの実行を制限すると判定された場合、自動運転車6を監視対象に追加する、又は、自動運転車6の監視優先度を上げる。
【0161】
また、走行タスク制限部57は、走行タスクの実行が制限されることを後述する端末装置80及び監視者端末90に出力する。これにより、自動運転車6の管理者又は乗客に走行タスクの実行が制限されることが通知される。なお、走行タスク制限部57は、自動運転車6を監視対象に追加する、又は、自動運転車6の監視優先度を上げることを端末装置80及び監視者端末90に出力してもよい。
【0162】
[端末装置80]
端末装置80は、情報処理システム1と通信可能に接続される、カーナビゲーション装置、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、又はタブレット端末等である。端末装置80は、監視対象に追加した自動運転車6又は監視優先度を上げた自動運転車6、走行タスクの実行が制限される自動運転車6、及び走行タスクの実行が制限されることの少なくとも1つを自動運転車6の所有者又は乗客に通知する。通知は、ディスプレイ等の表示装置による表示、スピーカ等の音響装置による音声出力等で実現されてよい。所有者は、管理者の一例である。
【0163】
[監視者端末90]
監視者端末90は、情報処理システム1と通信可能に接続されるパーソナルコンピュータ、スマートフォン、又はタブレット端末等である。監視者端末90は、監視対象に追加した自動運転車6又は監視優先度を上げた自動運転車6、走行タスクの実行が制限される自動運転車6、走行タスクの実行が制限されたことの少なくとも1つを、走行タスク制限部57から取得し、監視者に通知する。通知は、ディスプレイ等の表示装置による表示、スピーカ等の音響装置による音声出力等で実現されてもよい。監視者は、管理者の一例である。
【0164】
このような情報処理方法によれば、事故又はインシデントの発生を抑制することができる。万が一、事故又はインシデントが発生したとしても、監視者による迅速な対応が可能となる。また、管理者又は乗客は、移動体の走行タスクの実行が制限されたことを把握することができる。また、当該移動体を優先的に監視すればよいため、監視者による移動体の監視負担を軽減することができる。また、乗車している移動体の挙動に対する乗客の不安を軽減することができる。
【0165】
(変形例2)
上記実施の形態では、センシング要件が要求センシング領域である例を説明したが、センシング要件は、他の要件であってもよい。具体的には、センシング要件は、センシングが要される対象である要求センシング対象であり、第1センシング結果は、第1センシングデータに基づいて算出される第1センシング対象であり、判定部56は、要求センシング対象及び第1センシング対象に基づいて走行タスクの実行を制限するか否かを判定する。第2センシング結果についても同様に第2センシング対象であり、上記判定に用いられてよい。
【0166】
より具体的には、判定部56は、要求センシング対象と第1センシング対象の十分度(すなわち要求センシング対象を第1センシング対象が含むか否か)にしたがって走行タスクの実行を制限するか否かを判定する。例えば、要求センシング対象は、信号機、道路標識、縁石、又は路面標識等の種類の地理的固定物及びこれらの数である。また、要求センシング対象は、交差点、カーブ、又は橋渡り等の地理的シーンである。要求センシング対象となる可能性がある項目については、走行地点情報、及び安全要件情報に情報が追加される。
【0167】
以下、処理の一例を説明する。
【0168】
まず、条件取得部55は、走行タスク、車両スペック情報、走行地点情報、及び安全要件情報に基づいて、走行タスクの実行条件として要求センシング対象を算出する。例えば、条件取得部55は、地点Cを右折するという走行タスクについて、走行地点情報から地点Cの地理的固定物の配置又は地理的シーンを取得し、車両スペックから速度及び加速度を取得する。条件取得部55は、取得した情報から安全要件情報で指定されるセンシングが要される地理的固定物又は地理的シーンを算出する。例えば、交差点から所定距離以上手前において当該交差点における自動運転車6の進行方向にある信号機及び看板が要求センシング対象として算出される。
【0169】
判定部56は、第1センシングデータから第1センシング対象を、第2センシングデータから第2センシング対象を算出する。例えば、判定部56は、画像データ又は点群データ等の第1及び第2センシングデータから自動運転車6の進行方向に位置する物体(例えば看板)をそれぞれ第1及び第2センシング対象として算出する。
【0170】
判定部56は、要求センシング対象と第1センシング対象及び第2センシング対象とに基づいて走行タスクの実行を制限するか否かを判定する。例えば、判定部56は、第1及び第2センシング対象として算出した物体が、要求センシング対象として算出された物体、例えば上記信号機又は看板であるか否かを判定する。第1及び第2センシング対象として算出した物体に、要求センシング対象として算出された上記信号機及び看板の少なくとも1つが含まれないと判定した場合、判定部56は、走行タスクの実行を制限すると判定する。そうでない場合、走行タスクの実行を制限しないと判定される。
【0171】
なお、判定部56は、要求センシング対象と第1センシング対象との一致度にしたがって走行タスクの実行を制限するか否かを判定してもよい。例えば、要求センシング対象が信号機及び看板である場合に、第1センシング対象が信号機及び横断歩道であるときは、要求センシング対象と第1センシング対象とが一致しないため、走行タスクの実行が制限される。また、第1センシング対象が信号機、看板、及び横断歩道であるときもまた、要求センシング対象と第1センシング対象とが一致しないため、走行タスクの実行が制限される。
【0172】
また、判定部56は、さらに要求センシング対象の状態を第1センシング対象が含むか否か(すなわち要求センシング対象の状態と第1センシング対象の状態との一致度又は十分度)にしたがって走行タスクの実行を制限するか否かを判定してもよい。センシング対象が一致していても対象の状態に応じて走行タスクの実行の安全性は変わる。そのため、センシング対象の状態の一致度にしたがって走行タスクの実行を制限することにより、移動体に走行タスクをより安全に実行させることができる。例えば、要求センシング対象の状態と移動体がセンシングした対象の状態とが異なる場合、走行タスクの実行を制限できる。
【0173】
(変形例3)
また、上記変形例2と同様に、センシング要件は、他の要件であってもよい。具体的には、センシング要件は、センシングが要される対象である要求センシング性能であり、第1センシング結果は、第1センシングデータに基づいて算出される第1センシング性能であり、判定部56は、要求センシング性能及び第1センシング性能に基づいて走行タスクの実行を制限するか否かを判定する。第2センシング結果についても同様に第2センシング性能であり、上記判定に用いられてよい。
【0174】
より具体的には、判定部56は、要求センシング性能を第1センシング性能が上回るか否かにしたがって走行タスクの実行を制限するか否かを判定する。例えば、要求センシング性能は、センシングの精度、正確度、解像度、又は処理周期等である。要求センシング性能となる可能性がある項目については、安全要件情報に情報が追加される。
【0175】
以下、処理の一例を説明する。
【0176】
まず、条件取得部55は、走行タスク、車両スペック情報、走行地点情報、及び安全要件情報に基づいて、走行タスクの実行条件として要求センシング性能を算出する。例えば、条件取得部55は、地点Cを右折するという走行タスクについて、走行地点情報から制限速度及び想定他車最大速度を取得し、車両スペックから速度及び加速度を取得する。条件取得部55は、取得した情報から安全要件情報で指定されるセンシングの精度を算出する。例えば、他車が交差点に進入しようとしても回避できるだけの時間を確保できる処理周期が要求センシング性能として算出される。
【0177】
判定部56は、第1センシングデータから第1センシング性能を、第2センシングデータから第2センシング性能を算出する。例えば、判定部56は、画像データ又は点群データ等の第1及び第2センシングデータから第1センシング部21及び第2センシング部41の処理周期をそれぞれ第1及び第2センシング性能として算出する。
【0178】
判定部56は、要求センシング性能と第1センシング性能及び第2センシング性能とに基づいて走行タスクの実行を制限するか否かを判定する。例えば、判定部56は、第1及び第2センシング性能として算出した処理周期が、要求センシング性能として算出された処理周期よりも短いか否かを判定する。第1及び第2センシング対象として算出した処理周期のいずれかが、要求センシング性能として算出された処理周期以上であると判定した場合、判定部56は、走行タスクの実行を制限すると判定する。そうでない場合、走行タスクの実行を制限しないと判定される。
【0179】
(変形例4)
また、上記実施の形態では、判定部56が第1及び第2センシング結果を算出するとしたがこれに限らない。第1及び第2センシング結果は、それぞれ第1センシング部21及び第2センシング部41が算出してもよい。この場合、第1及び第2センシング結果は、判定装置5すなわち判定部56に出力される。
【0180】
(変形例5)
また、上記実施の形態では、移動体が自動運転車であるとしたがこれに限らない。移動体は、自律移動ロボットであってもよい。例えば、建物内で利用され通路を移動するロボットが想定される。当然ながら移動体は建物外で利用され道路を走るロボットであってもよい。以下、移動体が自律移動ロボット8である例について説明する。なお、上記実施の形態の構成又は処理と実質的に同一の構成又は処理については説明を省略する。
【0181】
[運行管制装置3]
走行タスク生成部31は、第1記憶部32から取得した自律移動ロボット8の走行計画情報に基づいて、走行タスクを生成する。例えば、走行タスクは、
図12Aに示すように、走行タスク名、走行タスク種類、及び地点名を含む。
図12Aは、変形例5における情報処理システム1の走行タスクの例を示す図である。
【0182】
走行計画情報は、
図12Bに示すように、ルート及び当該ルート上の走行タスクが実行される地点を含む。地点は、出発地、目的地、右折地点、左折地点、停止地点等に加えて、エレベータ等の建物内の設備が設置される地点を含む。
図12Bは、変形例5における情報処理システム1の走行計画情報の例を示す図である。
【0183】
第1記憶部32は、自律移動ロボット8の走行計画を示す走行計画情報データベースを格納する。
【0184】
[判定装置5]
第2記憶部52は、自律移動ロボット8のスペックを示すロボットスペック情報のデータベース(以下、ロボットスペック情報データベース)を格納する。第2記憶部52は、条件取得部55の要求に応じて、ロボットスペック情報を出力する。ロボットスペックは、自律移動ロボット8の走行に関するスペックである。具体的には、ロボットスペック情報は、
図12Cに示すように、ロボット名、移動方式、最大加速度、最大減速度、最大速度、応答時間等を含む。
図12Cは、変形例5における情報処理システム1のロボットスペック情報の例を示す図である。
【0185】
第3記憶部53は、走行地点情報データベースを格納する。走行地点情報は、
図12Dに示すように、地点名、地点名に割り当てられた地点番号、通路の種類といった地図情報、及び進入レーンといった交通環境情報を含む。なお、交通環境情報として、建物内の設備の有無又は設備の種別などの情報が含まれてもよい。
図12Dは、変形例5における情報処理システム1の走行地点情報の例を示す図である。
【0186】
第4記憶部54は、安全要件情報データベースを格納する。安全要件情報は、
図12Eに示すように、走行タスク名、対象領域種別、通路の種類、地点内の要求センシング範囲、接続通路の要求センシング範囲、要求センシング範囲算出インプット等を含み、このうち対象領域種別、地点内の要求センシング範囲、接続通路の要求センシング範囲がセンシング要件に関わる安全要件である。
図12Eは、変形例5における情報処理システム1の安全要件情報の例を示す図である。
【0187】
対象領域種別は、自律移動ロボット8が他の物体と衝突する可能性がある領域の種別を示す。具体的には、対象領域種別は、
図12Eの例では、地点内部と、地点に接続する通路と、を上記領域の種別として示している。
【0188】
地点内部の要求センシング範囲は、地点内部という種別の領域の要求センシング範囲である。例えば、地点内部はどの部分でも自律移動ロボット8が他の移動体と衝突する可能性があるため、
図12Eの例では、地点内部の要求センシング範囲は、全域と設定されている。
【0189】
接続通路の要求センシング範囲は、接続通路という種別の領域の要求センシング範囲である。例えば、地点との接続部分から遠く離れた領域は衝突の可能性が低いため、
図12Eの例では、接続通路の要求センシング範囲は、接続部分から要求センシング距離までの領域と設定されている。
【0190】
要求センシング範囲算出インプットは、上記要求センシング距離を算出するために入力される情報である。要求センシング範囲算出インプットは、
図12Eの例では、自律移動ロボット8の最大速度、最大加速度、応答時間等である。
【0191】
条件取得部55は、第2記憶部52からロボットスペック情報と、第3記憶部53から走行地点情報とを取得する。また、条件取得部55は、判定部56を介して走行タスク取得部51から走行タスクを取得する。また、条件取得部55は、さらに第4記憶部54から安全要件情報を取得する。
【0192】
条件取得部55は、走行タスクの実行条件を算出する。走行タスクの実行条件は、自律移動ロボット8及び走行地点の少なくとも一方に応じた走行タスクの実行条件である。
【0193】
具体的には、条件取得部55は、ロボットスペック情報、走行タスク、及び安全要件情報に基づいて、センシング要件を算出する。具体的には、条件取得部55は、ロボットスペック情報、走行タスク、及び安全要件情報に基づいて要求センシング領域を算出する。
【0194】
要求センシング領域は、ロボット名、走行タスク名、対象領域ID、領域種別毎の要求センシング範囲を含む。要求センシング範囲は、例えば、全域、又は対象領域における要求センシング距離である。
図12Fの例では、対象領域B0については全域、対象領域B1、B2、B3についてはそれぞれ要求センシング距離3mが設定されている。
図12Fは、変形例5における情報処理システム1の要求センシング領域の例を示す図である。
【0195】
続いて、
図13を参照して、センシング要件の算出について説明する。条件取得部55は、ロボットスペック情報、走行タスク、及び安全要件情報に基づいてセンシングの対象領域を探索する。具体的には、条件取得部55は、安全要件情報から特定される走行地点情報に基づいて、走行タスクごとにセンシングすべき対象領域として領域および領域に接続する通路を決定する。
【0196】
例えば、
図13で示すように、交差点領域B0に自律移動ロボット8が接続通路B4から侵入する場合、縦線のハッチングで示すように、交差点領域B0に接続する通路は、通路B1、B2、B3である。条件取得部55は、安全要件情報にて指定される対象領域種別を参照し、種別に該当する領域を探索する。
図13の例では、交差点領域B0、通路B1、B2、B3が対象領域として該当するため、それぞれ対象領域に決定される。対象領域である通路の一部が、要求センシング領域R1となる。
図13は、要求センシング領域R1、要求センシング距離の例を示す図である。
【0197】
判定部56は、第1センシング部21から第1センシングデータを取得し、第2センシング部41から第2センシングデータを取得し、条件取得部55からセンシング要件を含む実行条件を取得する。また、判定部56は、走行タスク取得部51から走行タスクを取得する。なお、判定部56及び走行タスク制限部57の処理については上記実施の形態の説明を参照されたい。
【0198】
このように移動体が自律移動ロボットであっても、本開示の実施の形態に係る構成を適用することができる。
【0199】
(その他)
以上、本開示について、実施の形態及び変形例に基づいて説明したが、本開示は、これら実施の形態及び変形例に限定されるものではない。
【0200】
例えば、上記実施の形態及び変形例に係る情報処理方法及び情報処理システムは、コンピュータを用いたプログラムによって実現され、このようなプログラムは、記憶装置に記憶されてもよい。
【0201】
また、上記実施の形態及び変形例に係る情報処理方法及び情報処理システムに含まれる各処理部は、典型的に集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
【0202】
また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0203】
なお、上記実施の形態及び変形例において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0204】
また、上記で用いた数字は、全て本開示を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の実施の形態及び変形例は例示された数字に制限されない。
【0205】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0206】
また、フローチャートにおける各ステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
【0207】
その他、実施の形態及び変形例に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態及び変形例における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0208】
本開示は、自動運転車、自動運転車を遠隔操作する装置、自律移動ロボット、或いはこれらを含むシステムに適用できる。
【符号の説明】
【0209】
1 情報処理システム
6 自動運転車(移動体)
8 自律移動ロボット(移動体)
21 第1センシング部(第1センサ)
41 第2センシング部(第2センサ)
51 走行タスク取得部(第1取得部)
55 条件取得部(第3取得部、第1算出部)
56 判定部(第2取得部、第2算出部、判定部)
57 走行タスク制限部(出力部)