IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-宅配ボックス 図1
  • 特許-宅配ボックス 図2
  • 特許-宅配ボックス 図3
  • 特許-宅配ボックス 図4
  • 特許-宅配ボックス 図5
  • 特許-宅配ボックス 図6
  • 特許-宅配ボックス 図7
  • 特許-宅配ボックス 図8
  • 特許-宅配ボックス 図9
  • 特許-宅配ボックス 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】宅配ボックス
(51)【国際特許分類】
   A47G 29/14 20060101AFI20240830BHJP
【FI】
A47G29/14
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020216942
(22)【出願日】2020-12-25
(65)【公開番号】P2022102288
(43)【公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 富夫
(72)【発明者】
【氏名】林 伸昭
(72)【発明者】
【氏名】畑 秀明
(72)【発明者】
【氏名】小坂部 裕介
(72)【発明者】
【氏名】名久井 基歩
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-213584(JP,A)
【文献】実開平04-102294(JP,U)
【文献】欧州特許出願公開第03571963(EP,A1)
【文献】特開2017-064456(JP,A)
【文献】特開2017-195957(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 29/12~29/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
宅配物を収容可能である外ボックス本体と、扉本体と、施錠ブロックと、断熱ボックスと、を備え、
前記外ボックス本体は、樹脂製で、前面に開口を有しており、
前記扉本体は、前記外ボックス本体の前記開口の縁部にヒンジを介して取り付けられ、
前記施錠ブロックは、前記扉本体に取り付けられて、前記扉本体の施錠及び解錠を可能とし、
前記断熱ボックスは、上下方向両端に配置される天板及び底板と、横方向両端に配置される2つの側板と、奥端に設けられた奥板とを有する内ボックス本体と、前記内ボックス本体の前端開口を塞ぐ蓋とを含み、前記外ボックス本体内部に取り外し可能に収納され、
前記蓋は、内側面に前記内ボックス本体の前記前端開口と嵌合可能な突部を有し、前記前端開口を塞ぐように一体に取り付けた状態で、前記外ボックス本体の外側に取り外し可能であり、
前記内ボックス本体及び前記蓋が断熱材を含んでおり、
前記外ボックス本体の内部に前記断熱ボックスが収納された状態で、前記蓋の外周面と前記外ボックス本体の内周面との間の少なくとも一部と、前記内ボックス本体の外周面と前記外ボックス本体の内周面との間の少なくとも一部とのそれぞれに、指を挿入できる隙間が設けられ、
前記断熱ボックスの前記内ボックス本体の外周面には、前記外ボックス本体の内面に向けて突出する4つの本体側突部が形成され、
前記断熱ボックスの前記蓋の外周面には、前記外ボックス本体の内面に向けて突出する4つの蓋側突部が形成され、
前記本体側突部及び前記蓋側突部のそれぞれは、前記断熱ボックスの外周面のそれぞれの四隅に、断面L字形で前後方向に延び、前記断熱ボックスの外周面の左右方向の端及び上下方向の端の両方に、前記外ボックス本体の内面に向けて突出するように設けられる、
宅配ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、宅配ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、宅配物を無人で受け取り可能な宅配ボックスが知られている。例えば、宅配ボックスでは、荷物の配達員が収容室(荷物室)に宅配物を入れた後、扉を閉め、扉に設けられた施錠装置の操作によって扉が施錠される。これにより、宅配ボックスは、戸建住宅等の建物の前に置かれている場合に、宅配業者によって配達された宅配物を受け取ることができ、建物の住人が留守でも宅配物の受け取りが可能である。
【0003】
現在、宅配ボックスは、宅配業者から配達される冷凍または冷蔵の保存が必要な食材等の物品を預け入れすることはできないが、宅配ボックスの受取側のユーザでは、宅配ボックスを用いてそのような物品を受け取りたいニーズが高い。
【0004】
特許文献1には、断熱材を含む板部材で形成した内ボックスが、外ボックスの収納部に取り出し可能に収納可能な宅配ボックスが記載されている。宅配業者によって配達される物品が保温または保冷を必要とする場合に、内ボックスにその物品が入れられた後、収容部に内ボックスが収容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-213584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には、内ボックスとして、扉側である前端が開口した直方体状、または6面全面を断熱材で構成したものを外ボックスに収納することが記載されている。しかしながら、内ボックスを前端が開口した直方体状とする場合には、扉に断熱材を設けないと内ボックス内の物品の保温及び保冷を行えない。一方、宅配ボックスの受取側のユーザが扉に断熱材を設定する作業は面倒である。
【0007】
また、内ボックスの6面前面を断熱材で構成する場合には、宅配業者が内ボックスを外ボックスから引き出してから内ボックスに保温または保冷を必要とする物品を入れることが要求される可能性がある。これにより、宅配業者の配達作業に手間及び時間を要する可能性がある。
【0008】
また、特許文献1に記載された構成では、外ボックスは金属板を加工して形成されるので、軽量化を図る面から改良の余地がある。
【0009】
本開示の目的は、宅配ボックスにおいて、軽量化を図ると共に、保温または保冷を必要とする物品の受取側のユーザが配達前に行う作業、及び宅配業者が配達時に行う作業の作業性を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の宅配ボックスは、宅配物を収容可能である外ボックス本体と、扉本体と、施錠ブロックと、断熱ボックスと、を備え、外ボックス本体は、樹脂製で、前面に開口を有しており、扉本体は、外ボックス本体の開口の縁部にヒンジを介して取り付けられ、施錠ブロックは、扉本体に取り付けられて、扉本体の施錠及び解錠を可能とし、断熱ボックスは、上下方向両端に配置される天板及び底板と、横方向両端に配置される2つの側板と、奥端に設けられた奥板とを有する内ボックス本体と、内ボックス本体の前端開口を塞ぐ蓋とを含み、外ボックス本体内部に取り外し可能に収納され、内ボックス本体及び蓋が断熱材を含んでいる、宅配ボックスである。
【発明の効果】
【0011】
本開示に係る宅配ボックスによれば、外ボックス本体が樹脂製であるため、軽量化を図れる。さらに、外ボックス本体の内部に取り外し可能に断熱ボックスが収納されるので、受取側のユーザが許可した場合に、保温または保冷を必要とする食材等の物品を宅配ボックスに預入することができる。さらに、内ボックス本体と蓋とが断熱材を含んでいるので、保温または保冷を必要とする物品の配達前に、受取側のユーザが扉に断熱材を設ける必要がない。さらに、断熱ボックスは、扉本体側の前端に蓋が設けられるので、宅配業者が配達時に外ボックス本体から内ボックス本体を取り外した後に、内ボックス本体の内部に物品を収納する必要がない。これによりユーザが配達前に行う作業、及び宅配業者が配達時に行う作業の作業性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態の宅配ボックスの斜視図である。
図2図1の宅配ボックスの扉を取り除いて示す斜視図である。
図3図2から断熱ボックスの蓋を取り外した状態を示す斜視図である。
図4図2において断熱ボックスのみを示す斜視図である。
図5図4から断熱ボックスの蓋を取り外した状態を示す斜視図である。
図6図4のA-A断面図である。
図7】実施形態の別例において、外ボックス本体から断熱ボックスを取り出して示す斜視図である。
図8】実施形態の別例において、外ボックス本体から扉を取り外して前側から見た図である。
図9】実施形態の別例において、外ボックス本体から扉及び蓋を取り外して前側から見た図であって、内ボックス本体の外周側の手がかり部にユーザが手をかける状態を示す図である。
図10】実施形態の別例において、図7に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を用いて本開示の実施形態を説明する。以下で説明する形状、材料及び個数は、説明のための例示であって、宅配ボックスの仕様に応じて適宜変更することができる。以下ではすべての図面において同等の要素には同一の符号を付して説明する。また、本文中の説明においては、必要に応じてそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0014】
以下の説明及び図面で、Rは、宅配ボックスの扉を閉じた状態で宅配ボックスの外側から扉がある前面に向かって見た場合の右側であり、Lは、同じく左側であり、Fは、宅配ボックスの正面側である前側であり、Bは、宅配ボックスの裏側である後側である。R及びLを結ぶ方向と、F及びBを結ぶ方向とは、互いに直交する。
【0015】
図1は、実施形態の宅配ボックス12の斜視図である。図2は、宅配ボックス12の扉40を取り除いて示す斜視図である。図3は、図2から断熱ボックス60の蓋69を取り外した状態を示す斜視図である。宅配ボックス12は、例えば戸建住宅用であり、宅配される物品(図示せず)を無人で受け取り可能である。宅配ボックス12は、宅配業者の配達員が宅配物を預けるとともに、扉40を施錠するために使用される。例えば、宅配ボックス12は、戸建住宅の外側で玄関扉の近くに配置される。また、宅配ボックス12は、宅配物として保冷または保温が必要な食材等の物品の預け入れも可能である。
【0016】
具体的には、宅配ボックス12は、外ボックス本体13と、扉40と、断熱ボックス60とを含んで形成される。外ボックス本体13は、前面に開口15(図2図3)を有する略直方体状である。扉40は、外ボックス本体13の開口15を開閉する横開き型である。外ボックス本体13の内側には収容室14が形成される。収容室14は、宅配物(図示せず)を出し入れ可能に収容可能な略直方体の箱状である。収容室14には、後述の断熱ボックス60も出し入れ可能に収容可能である。外ボックス本体13は、樹脂製の一体成型品である。例えば、外ボックス本体13は、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリルスチレンアクリレート(ASA)等の樹脂により形成される。
【0017】
外ボックス本体13は、上面である天面16の略全面に、降雨時の水溜まりを防止するための、後端(図1のB側端)に向かうに従い下方に傾斜した傾斜面が設けられる。
【0018】
図2に示すように、外ボックス本体13の外面において左右両側の側面17,18は、後端(図2のB側端)に向かうに従い左右方向中央側に傾斜した傾斜面となっている。これにより、外ボックス本体13を上または下から見た場合の外形が、左右方向における中心線に関して左右対称な台形状となっている。このため、外ボックス本体13は、後端に向かうほど断面形状が小さくなっており、樹脂成型時に用いる金型からの抜け性を高くできる。
【0019】
また、外ボックス本体13の底面70には、外ボックス本体13を床面または地面の上に配置するための複数のブロック状の脚部73がネジ等により取り付けられている。
【0020】
外ボックス本体13の前側の開口15の右側R縁部には、扉40がヒンジ(図示せず)を介して回動可能に取り付けられる。ヒンジは、外ボックス本体13の右側R端部の上下両端部に取り付けられた金属板製のヒンジ板と、扉40の右側R端部の上下両端部に上下方向に突出するように固定されて、ヒンジ板の孔に貫通支持されるヒンジピンとにより形成される。これにより、外ボックス本体13の開口15が、右開き用の扉40によって開閉可能となる。扉40は、外ボックス本体13の開口の縁部において左側L端部に設けられたヒンジにより、左開き用の扉によって開閉可能とされてもよい。
【0021】
なお、外ボックス本体13の開口15の縁に樹脂製のボックス補強枠が嵌合され、そのボックス補強枠にヒンジを介して扉を取り付ける構成としてもよい。
【0022】
外ボックス本体13の前側の開口の左側L縁部にはラッチ受け金具(図示せず)が固定される。ラッチ受け金具にはラッチ受け孔が形成され、ラッチ受け孔に後述の施錠ブロック50から出し入れされるラッチボルト(図示せず)が挿入可能である。
【0023】
さらに扉40は、矩形板状の扉本体41と、扉本体41に取り付けられた施錠ブロック50とを含んで構成される。扉本体41の左側L端部には、上下方向に長い矩形孔42が貫通して形成される。施錠ブロック50は、矩形孔42を通じて一部が前側Fに露出するように扉本体41の裏側に取り付けられる。扉本体41は、例えば樹脂により形成される。扉本体41の前側F面(表側面)にはフィルムが貼られたり、塗装が施されてもよい。
【0024】
施錠ブロック50は、扉本体41を含む扉40の電気的な施錠及び解錠を可能とする電子錠であり、施錠装置に相当する。施錠ブロック50は、ブロックケース54の前側Fから露出するテンキー入力部55を有する。ブロックケース54の内側には電池を含む電源部と、電源部から電力を供給される制御装置と、制御装置により駆動されるソレノイド等を含む電動アクチュエータと、施錠機構とが配置される。テンキー入力部55の操作によって生じる操作信号は、制御装置に入力される。施錠機構は、扉本体41の左側L端からの突出及び扉本体41の内側への退避が可能なラッチボルトと、ラッチボルトを移動させる移動部(図示せず)とを含んでいる。制御装置は、電動アクチュエータを駆動して、移動部を介してラッチボルトを扉本体41の左側L端から突出または退避させることにより、扉40の施錠及び解錠を切換可能である。例えば、宅配業者等が、収容室14に宅配物を入れた後、扉40を閉めて、テンキー入力部55で暗証番号を押した後、テンキー入力部55に設けられる決定ボタンを押すことで、扉40を施錠することができる。宅配物の受取側のユーザは、テンキー入力部55で暗証番号を押した後、決定ボタンを押すことで、扉40を解錠することができる。
【0025】
施錠ブロック50は、カードキーや、スマートフォン等の携帯端末からの無線信号を受信する受信部を有してもよい。受信部で受信された信号は、制御装置に入力される。制御装置に入力された信号が扉の解錠または施錠を表す信号である場合に、制御装置は、電動アクチュエータ及び施錠機構により、扉40を解錠または施錠する。これにより、扉40の外側からカードキーを近づけたり、携帯端末から解錠または施錠のための無線信号を送った場合に、扉40を解錠または施錠することができる。
【0026】
さらに、図2図3に示すように、本例の宅配ボックス12の内部には、断熱ボックス60が取り外し可能に収納される。断熱ボックス60は、宅配ボックス12を保冷または保温が必要な食材等の物品を預入可能とするために設けられる。
【0027】
図4は、図2において断熱ボックス60のみを示す斜視図である。図5は、図4から断熱ボックス60の蓋69を取り外した状態を示す斜視図である。図6は、図4のA-A断面図である。断熱ボックス60は、前面に前端開口61aを有する略直方体状の内ボックス本体61と、内ボックス本体61の前端開口61aを塞ぐ蓋69とを含んで形成される。具体的には、内ボックス本体61は、上下方向両端に配置される天板62及び底板63と、横方向である左右方向の両端に配置される2つの側板64と、奥端に設けられた奥板65(図6)とを有し、一体に形成される。内ボックス本体61も、外ボックス本体13と同様に、上面の略全面に、後端に向かうに従い下方に傾斜した傾斜面が設けられ、外面において左右両側の側面が、後端に向かうに従い左右方向中央側に傾斜した傾斜面となっている。
【0028】
内ボックス本体61の内側は、保冷または保温が必要な食材等の宅配物としての物品を出し入れ可能に収容可能である。内ボックス本体61は、断熱性を有する樹脂製の一体成型品である。これにより、内ボックス本体61の軽量化を図れると共に高断熱性を確保できる。例えば、内ボックス本体61は、発砲ポリスチレン(発砲スチロール、EPS)や、発泡ウレタン等の樹脂により形成される。内ボックス本体61は、天板62、底板63、2つの側板64、奥板65のそれぞれが断熱材を含んでいればよく、それぞれ金属板の内面の全面に断熱材が貼られていてもよい。
【0029】
蓋69は、略平板状であり、裏側面の中心部には断面略矩形状の突部69aが形成される。これにより、蓋69は、突部69aが内ボックス本体61の前端開口61aに嵌合され、断熱ボックス60内部を気密に密閉するように取り付けられる。蓋69も、内ボックス本体61と同様に、断熱性を有する樹脂製の一体成型品である。これにより、蓋69の軽量化を図れると共に高断熱性を確保できる。例えば、蓋69は、発砲ポリスチレン(発砲スチロール、EPS)や、発泡ウレタン等の樹脂により形成される。蓋69は断熱材を含んでいればよく、金属板の内面の全面に断熱材が貼られていてもよい。
【0030】
さらに、図2に示すように、宅配ボックス12は、外ボックス本体13の内部に断熱ボックス60が収納された状態で、図3に示すように、内ボックス本体61から蓋69を取り外し可能である。これにより、宅配業者が宅配物を配達するときの配達の容易化、及び、受け取り側のユーザが宅配物を取り出すときの取り出しの容易化を図れる。
【0031】
さらに、図2に示すように外ボックス本体13の内部に断熱ボックス60が収納された状態で、蓋69の外周面と外ボックス本体13の内周面との間の少なくとも一部には、指を挿入できる隙間が設けられる。「指を挿入できる隙間」とは10mm以上の隙間である。これにより、断熱ボックス60は、外ボックス本体13の内部からの取り外しが容易である。さらに外ボックス本体13内への断熱ボックス60の収納状態で、内ボックス本体61からの蓋69の取り外しが容易になる。例えば、断熱ボックス60の前端から後端にわたって外周面の左右方向の長さは、同じ前後方向の位置で、外ボックス本体13の内周面の左右方向の長さより20mm以上短くなっている。これにより、断熱ボックス60の左右方向両端から外ボックス本体13の左右方向の端までの長さを、それぞれ10mm以上にした状態で、外ボックス本体13の内側に断熱ボックス60を配置することができる。このため、ユーザは、断熱ボックス60の左右方向両端に両手の指をかけて持ち運び、外ボックス本体13に収容することが可能であり、かつ、外ボックス本体13に断熱ボックス60が収容された状態でユーザが断熱ボックス60の左右方向両端に両手の指をかけて取り出すことが可能である。
【0032】
また、外ボックス本体13の内部に断熱ボックス60を安定して設置するために、外ボックス本体13の内部で奥板65の奥側面と対向する位置に鉄板等の磁性材製の板を固定すると共に、内ボックス本体61の奥板65の奥側面に磁石を固定することができる。これにより、外ボックス本体13への断熱ボックス60の設置時に、断熱ボックス60の磁石を外ボックス本体13の磁性材製の板に磁力で吸着させて、断熱ボックス60を外ボックス本体13に、容易に、かつ安定して保持させることができる。さらに、外ボックス本体13の内側から、磁力を上回る力で断熱ボックス60を引っ張ることにより、断熱ボックス60を外ボックス本体13から容易に取り外すことができる。
【0033】
また、外ボックス本体13の内部で奥板65の奥側面と対向する位置と、内ボックス本体61の奥板65の奥側面との一方に、面ファスナの一方側部材であるフック側部材を固定し、他方に面ファスナの他方側部材であるループ側部材を固定してもよい。これにより、断熱ボックス60を外ボックス本体13に、容易に、かつ安定して保持させることができると共に、断熱ボックス60を外ボックス本体13から容易に取り外すことができる。
【0034】
上記の宅配ボックス12は、次のように利用される。例えば、利用形態の第1例は、主として保冷または保温を必要とする食材を除く物品を、宅配ボックス12に預入するために利用する。このとき、外ボックス本体13の内側からは断熱ボックス60を取り出しておく。一方、宅配ボックス12は、保冷または保温を必要とする食材を預入することも可能である。このときには、受け取り側のユーザにおいて、食材の受取前に外ボックス本体13の内側に断熱ボックス60を設置しておく。そして、宅配業者が断熱ボックス60の蓋69を開けて内側に食材を収容し、蓋69を断熱ボックス60に取り付けてから扉40を閉めて施錠する。ユーザが食材を受け取るときには扉40の解錠後、断熱ボックス60の全体を外ボックス本体13から取り外し、家の中に断熱ボックス60を持ち込む。そして、断熱ボックス60の蓋69をあけて中から食材を取り出す。
【0035】
利用形態の第2例は、宅配ボックス12を、定期的に配達される食材、例えば弁当などの定期的に配達される物品の預入専用として用いる。このときには、外ボックス本体13の内部には常時、断熱ボックス60を設置した状態のままとする。ユーザが食材を受け取るときには、扉40の解錠後、断熱ボックス60の蓋69を取り外してから食材を家の中に持ち込む。
【0036】
本例の宅配ボックスによれば、上記の第1例及び第2例のいずれの利用形態にも対応できる。これにより、本例の構成によれば、宅配ボックス12の用途の範囲を広くできる。
【0037】
上記の宅配ボックス12によれば、外ボックス本体13が樹脂製であるため、軽量化を図れる。さらに、外ボックス本体13の内部に取り外し可能に断熱ボックス60が収納されるので、受け取り側のユーザが許可した場合に、保温または保冷を必要とする食材等の物品を宅配ボックス12に預入することができる。さらに、内ボックス本体61と蓋69とが断熱材を含んでいるので、保温または保冷を必要とする物品の配達前に、受け取り側のユーザが扉40に断熱材を設ける必要がない。さらに、断熱ボックスは、扉本体41側の前端に蓋69が設けられるので、宅配業者が配達時に外ボックス本体13から内ボックス本体61を取り外した後に、内ボックス本体61の内部に物品を収納する必要がない。これにより受け取り側のユーザが配達前に行う作業、及び宅配業者が配達時に行う作業の作業性を向上できる。
【0038】
図7は、実施形態の別例において、外ボックス本体13aから断熱ボックス80を取り出して示す斜視図である。図8は、実施形態の別例において、外ボックス本体13aから扉を取り外して前側から見た図である。図9は、実施形態の別例において、外ボックス本体13から扉及び蓋89を取り外して前側から見た図であって、内ボックス本体81の外周側の手がかり部にユーザ100が手をかける状態を示す図である。本例の構成では、外ボックス本体13aの内面の底部には、前端の開口15から奥側に少し離れた位置から、外ボックス本体13aの奥端にわたって上方に突出する突部13bが形成される。なお、突部13bは、図1図6で示した宅配ボックス12に形成されてもよい。
【0039】
そして、断熱ボックス80の内ボックス本体81の外周面、及び蓋89の外周面のそれぞれの四隅には、断面L字形で前後方向に延び、外ボックス本体13の内面に向けて突出する突部90,91が一体形成される。外ボックス本体13側の突部90は、断熱ボックス80の外周面の左右方向両端及び上下方向両端の両方に設けられる。蓋89側の突部91は、蓋89の前面四隅から前側に突出した矩形状の前側突部92に連結される。このような突部90,91が断熱ボックス80に形成されるので、図8のように外ボックス本体13aに断熱ボックス80を収容した状態で、各突部90,91が外ボックス本体13aの収容室14の四隅に突き当てられる。そして、断熱ボックス80の外周面と外ボックス本体13aの内周面との間で、左右方向両端と上下方向両端との4つの位置には、10mm以上の隙間93,94,95,96が形成される。また、断熱ボックス80の外周面で外ボックス本体13aの内面から離れた部分が、断熱ボックス80引き出し用の手がかり部として用いられる。
【0040】
これにより、外ボックス本体13aから断熱ボックス80を取り出すときの取り出し性を高くできると共に、外ボックス本体13aに断熱ボックス80を収容するときの収容性を高くできる。図9では、断熱ボックス80の蓋89を取り外した状態で断熱ボックス80の左端にユーザ100が手の指をかける状態を示しているが、断熱ボックス80の右端や、上下方向両端にもユーザ100が同様に手の指をかけることができる。これにより、ユーザ100は、両手で断熱ボックス80を外ボックス本体13aから取り外すことができる。また、図9の場合と異なり、断熱ボックス80の内ボックス本体81に蓋89を取り付けた状態でもユーザ100は内ボックス本体81の左右方向両端、または上下方向両端に手の指をかけて取り外すことができる。なお、断熱ボックス80の外周面に設ける突部は、断熱ボックス80の外周面の左右方向両端及び上下方向両端の一方のみに設けることもできる。
【0041】
また、図9に示すように、断熱ボックス80の蓋89を取り外した状態で内ボックス本体81の内面の左右両端の上下に離れた複数位置には、前後方向に延びる凹溝97が形成される。複数の凹溝97は、内ボックス本体81の左右両端で左右方向に対向する位置に形成される。そして、左右両端で左右方向に対向する凹溝97に仕切り板98が差し込まれる。これにより、断熱ボックス80の内側に食材等の物品を複数段に分けて入れることができる。本例において、その他の構成及び作用は、図1図6の構成と同様である。
【0042】
図10は、実施形態の別例において、図7に対応する図である。本例の構成では、断熱ボックス80aの蓋89の外周面の左右方向両端部と、内ボックス本体81の外周面の左右方向両端部とに、それぞれ窪み101,102が形成される。窪み101,102は、例えば略矩形であり、ユーザが手の1本または複数本の指を差し込み可能な大きさである。内ボックス本体81の窪み102は、内ボックス本体81の外周面の前側端部に形成される。図10では、窪み101,102は、内ボックス本体81の右側の窪み101,102のみを図示しているが、左側の窪みも右側の窪み101,102と同じ高さ位置で同様に形成される。
【0043】
本例の構成によれば、外ボックス本体13aに断熱ボックス80aが収容された状態で、ユーザまたは宅配業者が両手の指を蓋89の左右両端の窪み101に差し込んで引き抜くことで蓋89を内ボックス本体81からより容易に取り外すことができる。さらに、内ボックス本体81及び蓋89が組み合わされた断熱ボックス80aで、ユーザが両手の指を、内ボックス本体81の左右両端の窪み102に差し込んで引き抜くことで断熱ボックス80aを外ボックス本体13aからより容易に取り外すことができる。本例において、その他の構成及び作用は、図7図9の構成と同様である。
【0044】
なお、図10の断熱ボックス80aの窪みは、図1図6の構成の断熱ボックス60に形成してもよい。また、上記の各例の構成において、断熱ボックス60,80,80aの外周面の左右両端、または上端にループ状の紐を係止したり、断熱ボックス60,80,80aの外周面の左右両端、または上端に突起を形成し、その突起にループ状の紐の一部を通しておくこともできる。この構成によれば、ユーザが断熱ボックス60,80,80aを外ボックス本体13,13aから取り外した後、家の中に断熱ボックス60,80,80aを持ち運びやすくなる。
【符号の説明】
【0045】
12 宅配ボックス、13,13a 外ボックス本体、13b 突部、14 収容室、15 開口、16 天面、17 側面、18 側面、40 扉、41 扉本体、42 矩形孔、50 施錠ブロック、54 ブロックケース、55 テンキー入力部、60 断熱ボックス、61 内ボックス本体、61a 前端開口、62 天板、63 底板、64 側板、65 奥板、69 蓋、69a 突部、70 底面、73 脚部、80,80a 断熱ボックス、81 内ボックス本体、89 蓋、90,91 突部、92 前側突部、93~96 隙間、97 凹溝、98 仕切り板、100 ユーザ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10