(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】収納庫、管理方法、プログラム、及び、管理システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20240830BHJP
【FI】
B65G1/137 C
(21)【出願番号】P 2022069124
(22)【出願日】2022-04-19
(62)【分割の表示】P 2021503942の分割
【原出願日】2020-07-29
【審査請求日】2023-05-16
(31)【優先権主張番号】P 2020031399
(32)【優先日】2020-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】吉川 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】松本 通弘
(72)【発明者】
【氏名】森下 竜也
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-102135(JP,A)
【文献】特開2006-290617(JP,A)
【文献】特表2013-546061(JP,A)
【文献】特開2013-124798(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物が載置される棚を備え、前記棚への前記対象物の載置が行われる収納庫であって、
前記棚に加わる重量を検知する重量センサと、
前記対象物に取り付けられた無線タグからIDを読み取る無線タグリーダと、
前記無線タグリーダによって読み取られた、収納中の前記対象物のIDが登録情報として記憶されるメモリと、
マイクロコンピュータとを備え、
前記マイクロコンピュータは、
前記重量センサによって検知される重量が増加する前に前記無線タグリーダによって読み取ることができたIDで、前記重量センサによって検知される重量が増加した直後に前記無線タグリーダによって読み取ることができなくなったIDを新たに入庫された対象物のIDとして特定し、
特定した前記IDを前記登録情報に追加する
収納庫。
【請求項2】
前記対象物は、第二対象物であり、
前記第二対象物の前記IDは、第二IDであり、
前記マイクロコンピュータは、
前記重量センサによって検知される重量が増加する前に前記無線タグリーダによって読み取ることができたIDで、前記重量センサによって検知される重量が増加した直後にも前記無線タグリーダによって読み取ることができたIDのうち前記登録情報に含まれないIDである候補IDを新たに入庫された第一対象物の第一IDとして特定し、
特定した前記第一IDを前記登録情報に追加する
請求項1に記載の収納庫。
【請求項3】
前記マイクロコンピュータは、
前記重量センサによって検知される重量が減少する前に前記無線タグリーダによって読み取ることができなかったIDで、前記重量センサによって検知される重量が減少した直後に前記無線タグリーダによって読み取ることができたIDを出庫された第三対象物の第三IDとして特定し、
特定した前記第三IDを前記登録情報から削除する
請求項1に記載の収納庫。
【請求項4】
前記無線タグリーダは、前記無線タグからID及び前記対象物の重量を読み取り、
前記マイクロコンピュータは、
前記重量センサによって検知される重量が減少する前に前記無線タグリーダによって読み取ることができたIDで、前記重量センサによって検知される重量が減少した直後に前記無線タグリーダによって読み取ることができたIDの中から前記第一対象物の重量および前記無線タグから読み取った前記対象物の重量に基づいて、出庫された第三対象物の第三IDを特定し、
特定した前記第三IDを前記登録情報から削除する
請求項2に記載の収納庫。
【請求項5】
前記無線タグリーダは、前記無線タグからID及び前記対象物の重量を読み取り、
前記マイクロコンピュータは、
前記候補IDの中から、前記重量センサによって検知される前記第一対象物の重量および前記無線タグから読み取った前記対象物の重量に基づいて、前記第一対象物の前記第一IDを特定する
請求項2に記載の収納庫。
【請求項6】
前記マイクロコンピュータは、前記候補IDが複数存在し、かつ、前記第一対象物と同じ重量の他の対象物が入庫された場合、前記他の対象物が出庫されたときに、複数の前記候補IDの1つを前記第一対象物の前記第一IDとして特定する
請求項5に記載の収納庫。
【請求項7】
前記重量センサは、前記重量センサによって検知される重量の増加の開始タイミングから前記増加が収束する終了タイミングまでの期間における重量の増加量を、前記第一対象物の重量として認識し、
前記マイクロコンピュータは、前記候補IDが複数存在し、かつ、前記第一対象物の重量として実際には複数の対象物の重量の合計が検知されている場合、複数の前記候補IDの2つ以上を前記第一対象物の前記第一IDとして特定する
請求項5に記載の収納庫。
【請求項8】
前記収納庫は、さらに、前記開始タイミング、及び、前記終了タイミングのそれぞれをユーザに通知する通知部を備える
請求項7に記載の収納庫。
【請求項9】
前記棚には、前記棚に載置されるべき対象物の種別が定められ、
前記無線タグリーダは、前記無線タグからID及び前記対象物の種別を読み取り、
前記マイクロコンピュータは、
前記候補IDが複数存在する場合、複数の前記候補IDのそれぞれに対応付けられた種別に基づいて、複数の前記候補IDの1つを前記第一対象物の前記第一IDとして特定する
請求項2、4~8のいずれか1項に記載の収納庫。
【請求項10】
前記収納庫は、1つの前記棚に対して複数の前記重量センサを備え、
前記マイクロコンピュータは、
複数の前記重量センサによって検知される前記第一対象物の位置情報を、特定した前記第一IDに対応付けて前記メモリに記憶し、
複数の前記重量センサによって検知される前記第二対象物の位置情報を、特定した前記第二IDに対応付けて前記メモリに記憶する
請求項2、4~9のいずれか1項に記載の収納庫。
【請求項11】
前記マイクロコンピュータは、
前記重量センサによって検知される重量が減少する前に前記無線タグリーダによって読み取ることができたIDで、前記重量センサによって検知される重量が減少した後に前記無線タグリーダによって読み取ることができないIDを出庫された対象物のIDとして特定し、
特定したIDを前記登録情報から削除する
請求項1~10のいずれか1項に記載の収納庫。
【請求項12】
コンピュータによって実行される管理方法であって、
前記管理方法は、対象物が載置される棚を備え、前記棚への前記対象物の載置が行われる収納庫における前記対象物を管理するための管理方法であり、
前記棚に加わる重量を検知する重量センサによって検知される重量が増加する前に、前記対象物に取り付けられた無線タグからIDを読み取る無線タグリーダによって読み取ることができたIDで、前記重量センサによって検知される重量が増加した直後に前記無線タグリーダによって読み取ることができなくなったIDを新たに入庫された対象物のIDとして特定し、
特定した前記IDを、メモリに記憶された登録情報に追加する
管理方法。
【請求項13】
請求項12に記載の管理方法を前記コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項14】
対象物が載置される棚を備え、前記棚への前記対象物の載置が行われる収納庫における前記対象物を管理するための管理システムであって、
前記棚に加わる重量を検知する重量センサと、
前記対象物に取り付けられた無線タグからIDを読み取る無線タグリーダと、
前記無線タグリーダによって読み取られた、収納中の前記対象物のIDが登録情報として記憶されるメモリと、
プログラム実行部とを備え、
前記プログラム実行部は、
前記重量センサによって検知される重量が増加する前に前記無線タグリーダによって読み取ることができたIDで、前記重量センサによって検知される重量が増加した直後に前記無線タグリーダによって読み取ることができなくなったIDを新たに入庫された対象物のIDとして特定し、
特定した前記IDを前記登録情報に追加する
管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、収納庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対象物が収納される収納庫に関する技術が提案されている。特許文献1には、食品の賞味期限を管理することができる冷蔵庫が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、収納対象物の管理の精度が向上された収納庫を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る収納庫は、対象物が載置される棚を備え、前記棚への前記対象物の載置が行われる収納庫であって、記棚に加わる重量を検知する重量センサと、記対象物に取り付けられた無線タグからIDを読み取る無線タグリーダと、記無線タグリーダによって読み取られた、収納中の前記対象物のIDが登録情報として記憶されるメモリと、マイクロコンピュータとを備え、前記マイクロコンピュータは、前記重量センサによって検知される重量が増加する前に前記無線タグリーダによって読み取ることができたIDで、前記重量センサによって検知される重量が増加した直後に前記無線タグリーダによって読み取ることができなくなったIDを新たに入庫された対象物のIDとして特定し、特定した前記IDを前記登録情報に追加する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、収納対象物の管理の精度が向上された収納庫が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る冷蔵庫の外観図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る冷蔵庫の機能構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る冷蔵庫の動作の概要を説明するためのタイムチャートである。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る冷蔵庫の、食材が入庫されるときの動作のフローチャートである。
【
図6】
図6は、無線タグリーダの動作のフローチャートである。
【
図7】
図7は、重量センサの動作のフローチャートである。
【
図8】
図8は、入庫管理情報の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、第三無線タグ情報の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、入庫された食材の無線タグIDの登録処理のフローチャートである。
【
図12】
図12は、実施の形態に係る冷蔵庫の、食材が出庫されるときの動作のフローチャートである。
【
図15】
図15は、出庫された食材の無線タグIDの登録解除処理のフローチャートである。
【
図16】
図16は、変形例1に係る登録情報の一例を示す図である。
【
図17】
図17は、変形例2に係る入庫管理情報の一例を示す図である。
【
図18】
図18は、変形例2に係る登録情報の一例を示す図である。
【
図19】
図19は、変形例3に係る入庫管理情報の一例を示す図である。
【
図20】
図20は、変形例3に係る第三無線タグ情報の一例を示す図である。
【
図21】
図21は、実施の形態2に係る食材管理システムの概略構成を示す図である。
【
図22】
図22は、冷蔵庫内の食材の配置を示す画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0009】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0010】
(実施の形態1)
[構成]
まず、実施の形態1に係る冷蔵庫の構成について説明する。
図1は、実施の形態1に係る冷蔵庫の外観図である。
図2は、実施の形態1に係る冷蔵庫の機能構成を示すブロック図である。
【0011】
実施の形態1に係る冷蔵庫10は、食材40に取り付けられた無線タグを読み取ることにより、冷蔵庫10内に収納された食材40を管理することができる。
図1に示されるように、冷蔵庫10は、本体部11と、本体部11の内部空間12へアクセスするための扉13と、内部空間12に設けられた複数の棚14とを備える。ユーザは、扉13を開けることで、複数の棚14のそれぞれに食材40を載置することができる状態となる。
【0012】
また、
図1及び
図2に示されるように、冷蔵庫10は、開閉センサ15と、複数の重量センサ16と、無線タグリーダ17と、メモリ18と、マイクロコンピュータ19と、通知部20とを備える。
【0013】
開閉センサ15は、扉13の開閉を検知する。開閉センサ15は、例えば、扉13及び本体部11の一方に取り付けられた磁石と、扉13及び本体部11の他方に取り付けられたマグネットセンサによって実現される、磁力式のセンサである。
【0014】
重量センサ16は、棚14に加わる重量を検知する。重量センサ16は、例えば、一つの棚14の四隅に設けられる。これにより、当該棚14に食材40が置かれたときの4つの重量センサ16が検知する重量のバランスに基づいて食材40の位置の特定が可能となる。なお、位置の特定は必須ではなく、重量センサ16は、一つの棚14に一つ設けられてもよい。
【0015】
無線タグリーダ17は、食材40に取り付けられた無線タグから無線タグIDを読み取る。無線タグリーダ17は、言い換えれば、RFID(Radio Frequency Identifier)タグリーダであり、近距離無線通信により、無線タグからIDを読み取る。無線タグは、例えば、パッシブ型のRFIDタグである。無線タグリーダ17は、内部空間12に設置される。つまり、無線タグリーダ17は、本体部11の内部に設置される。なお、無線タグから読み取ることができる情報には、無線タグIDの他に、食材の重量、食材の種別・品名などを示す食材コードなどが含まれてもよい。無線タグIDは、ユニークなIDを意味する。
【0016】
メモリ18には、無線タグリーダ17によって読み取られた無線タグIDが収納中の食材40の無線タグIDとして記憶される。以下では、収納中の食材40の無線タグIDを集約した情報は、登録情報とも記載される。
図3は、登録情報の一例を示す図である。また、メモリ18には、マイクロコンピュータによって実行されるコンピュータプログラムも記憶される。メモリ18は、例えば、半導体メモリによって実現される。
【0017】
マイクロコンピュータ19は、メモリ18に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、冷蔵庫10内の食材40の管理に関する情報処理を行う。マイクロコンピュータ19は、具体的には、起動部19aと、判定部19bと、取得部19cと、登録部19dとを備える。
【0018】
通知部20は、重量センサ16による重量の計測開始タイミング、及び、重量の計測終了タイミングをユーザに通知する。通知部20は、例えば、出音により上記タイミングを通知する、スピーカまたはブザーなどの出音装置であるが、発光により上記タイミングを通知する、発光装置であってもよい。
【0019】
[動作の概要]
次に、冷蔵庫10の動作の概要について説明する。冷蔵庫10は、食材40に取り付けられた無線タグを読み取る(以下、検出するとも記載される)ことにより、冷蔵庫10内に収納された食材40を管理することができる。上述のように、無線タグを読み取るための無線タグリーダ17は、冷蔵庫10の内部空間12に設置されている。本体部11及び扉13が金属部材を含むことなどにより電波を遮蔽する(または、減衰させる)機能を有する場合、無線タグリーダ17は、扉13が閉じた状態では、内部空間12に位置する食材40の無線タグのみを読み取ることができる。一方、扉13が開いた状態では、無線タグリーダ17は、近距離無線通信が有効な範囲で、内部空間12の外に位置する食材40の無線タグを読み取ることもできる。
図4は、このような冷蔵庫10の動作の概要を説明するためのタイムチャートである。
図4の(a)は、開閉センサ15の検知結果、すなわち、扉13の開閉状態を示し、第一期間T1は、扉13が開いてから閉じるまでの期間である。
図4の(b)は、重量センサ16の検知結果、すなわち、棚14に食材40が置かれたタイミングを示す。
【0020】
図4の(c)に示されるように、第一期間T1の前から冷蔵庫10に収納されている食材40の無線タグAは、第一期間T1の前から第一期間T1の後まで無線タグリーダ17によって検出することができる。
【0021】
また、
図4の(f)に示されるように、冷蔵庫10の外に位置する食材40の無線タグDは、第一期間T1のみ無線タグリーダ17によって検出することができる。つまり、冷蔵庫10の外に位置する食材40は、扉13が開いている期間のみ無線タグリーダ17によって検出することができる。
【0022】
また、
図4の(d)に示されるように、タイミングt1において冷蔵庫10に入庫される(つまり、棚14に載置される)食材40の無線タグBは、扉13が開いたタイミング以降は、無線タグリーダ17によって検出することができる。
【0023】
ここで、冷蔵庫10に入庫される食材40の無線タグは、棚14に接触することにより、検出できなくなる場合がある。例えば、棚14が金属部分を含むような場合である。具体的には、
図4の(e)に示される無線タグCは、扉13が開いてから棚14に載置されるタイミングt2までは、無線タグリーダ17によって検出できるが、それ以降は検出できない。
【0024】
そうすると、単純に、扉13が閉じた後も検出できる無線タグのみを冷蔵庫10内に入庫された食材40の無線タグであるとみなすと、
図4の(e)の場合には、食材40は実際には冷蔵庫10内にあるにもかかわらず、管理されないという課題がある。そこで、冷蔵庫10においては、
図4の(e)のような場合も食材40も適切に管理することができるアルゴリズムが採用されている。
【0025】
[食材を入庫するときの動作例]
以下、このようなアルゴリズム(動作)の詳細について説明する。
図5は、食材40が入庫されるときの冷蔵庫10の動作のフローチャートである。なお、以下では、ID201~210が記録された無線タグが取り付けられた10個の食材40が既に入庫されているときに、ID101~103が記録された無線タグが取り付けられた3つの食材40がさらに入庫されるものとして説明が行われる。ID101が記録された無線タグが取り付けられた食材40、及び、ID102が記録された無線タグが取り付けられた食材40は、上記
図4の(d)に示されるように、通常通り入庫され、入庫後も無線タグIDを読みとることができるものとする。一方、ID103が記録された無線タグが取り付けられた食材40は、上記
図4の(e)に示されるように、入庫後には無線タグIDを読み取ることができないものとする。3つの食材40は、例えば、1つの棚14の上に入庫される。
【0026】
まず、起動部19aは、起動信号を送信すること等により、無線タグリーダ17を起動し(S101)、複数の重量センサ16を起動する(S102)。
図6に示されるように、起動中の無線タグリーダ17は、通信可能範囲に位置する無線タグの無線タグIDを読み取り、内部メモリに保持することを繰り返す(S11)。
図6は、無線タグリーダ17の動作のフローチャートである。また、
図7に示されるように、起動中の複数の重量センサ16は、食材40の入庫が検知されるごとに、入庫された食材40の重量及び位置を入庫情報として内部メモリに保持する(S21)。
図7は、重量センサ16の動作のフローチャートである。なお、食材40の入庫とは、食材40が棚14に載置されることを意味し、食材40の出庫とは、食材40が棚14から除かれることを意味する。
【0027】
次に、判定部19bは、入庫個数を0にリセットし(S103)、開閉センサ15の検知結果に基づいて、扉13が開いたか否かを判定する(S104)。この判定は、扉13が開くまで継続される(S104でNo)。
【0028】
判定部19bは、扉13が開いたと判定すると(S104でYes)、重量センサ16によって食材40の入庫(重量の増加)が検知されたか否かを判定する(S105)。取得部19cは、判定部19bによって食材40の入庫が検知されたと判定されると(S105でYes)、入庫された食材40の入庫情報(重量情報及び位置情報)を重量センサ16の内部メモリから取得する(S106)。また、取得部19cは、無線タグリーダ17から、入庫が検知される直前に読み取られていた無線タグIDを示す第一無線タグ情報を取得し(S107)、入庫が検知される直後に読み取られていた無線タグIDを示す第二無線タグ情報を取得する(S108)。そして、取得部19cは、入庫情報、第一無線タグ情報、及び、第二無線タグ情報を紐づけて入庫管理情報としてメモリ18に記憶する(S109)。
図8は、入庫管理情報の一例を示す図である。
図8に示されるように、入庫管理情報においては、入庫情報の一つ一つに仮IDが付与されている。仮IDは、一つの位置情報に対して一つ付与されるものであり、言い換えれば、位置IDである。仮IDは、位置情報と読み替えられてもよい。なお、
図8では図示されないが、無線タグからは無線タグIDの他に重量及び食材コードを読み取ることができ、入庫管理情報(具体的には、第一無線タグ情報、及び、第二無線タグ情報)においてもこれらの情報が含まれる。その後、判定部19bは、入庫個数に1を加算する(S110)。
【0029】
判定部19bは、ステップS110の後、及び、ステップS105で入庫が検知されなかった場合(S105でNo)のそれぞれにおいて、扉13が閉じたか否かを判定する(S111)。判定部19bは、扉13が閉じていないと判定すると(S111でNo)、ステップS105の判定処理に戻る。
【0030】
一方、取得部19cは、判定部19bによって扉13が閉じたと判定されると(S111でYes)、扉13が閉じた直後に読み取られていた無線タグIDを示す第三無線タグ情報を取得してメモリ18に記憶する(S112)。
図9は、第三無線タグ情報の一例を示す図である。
図9の例では、第三無線タグ情報には、無線タグIDの他に、食材40の重量、及び、食材コードなどが含まれている。上述のように、重量、及び、食材コードなどの情報も無線タグに含まれている。
【0031】
ステップS112の後、登録部19dは、入庫された食材40の無線タグIDの登録処理を行う(S113)。
図10は、入庫された食材40の無線タグIDの登録処理のフローチャートである。
【0032】
まず、登録部19dは、入庫個数が0より大きいか否かを判定する(S114)。入庫個数が0であると判定されると(S114でNo)、動作は終了となる。登録部19dは、入庫個数が0より大きいと判定すると(S114でYes)、入庫管理情報(
図8参照)の仮IDを1つ選択する(S115)。
【0033】
次に、登録部19dは、メモリ18に記憶されている登録情報と、第三無線タグ情報(
図9)とを比較し、第三無線タグ情報に含まれており、登録情報に含まれていない無線タグIDを候補IDとして特定する(S116)。この処理は、言い換えれば、新たに入庫された食材40の無線タグIDを特定する処理であるといえる。第三無線タグ情報(
図9参照)に含まれており、登録情報(
図3参照)に含まれていない無線タグIDに該当するのは、ID101及びID102である。
【0034】
次に、登録部19dは、食材40の重量に基づいて、ステップS116で特定した候補IDの中からステップS115で選択した仮IDに相当する無線タグIDを特定する(S117)。例えば、ステップS115で仮ID1001が選択されている場合、その重量は100gである(
図8参照)。そうすると、仮ID1001に相当する無線IDは、第三無線タグ情報(
図9参照)において、200gに対応付けられたID102ではなく、100gに対応付けられたID101であると特定できる。
【0035】
登録部19dは、上記のように無線タグIDが特定できた場合には(S118でYes)、特定した無線タグIDに紐づけられた情報(重量及び食材コード)と、仮IDに紐づけられた情報(重量及び位置)とを統合して登録情報に追加し(S119)、入庫個数から1を減算して(S120)、ステップS114の判定処理に戻る。
【0036】
一方、ステップS117において仮IDに相当する無線タグIDが特定できない場合がある。例えば、ステップS115で仮ID1003が選択されている場合、その重量は400g(
図8参照)である。そうすると、ステップS116で特定した候補ID(ID101、ID102)の中には400gに対応付けられた無線タグIDが存在しないため、仮ID1003に相当する無線タグIDが特定できない。
【0037】
このように、ステップS117において仮IDに相当する無線タグIDが特定できない場合(S118でNo)、登録部19dは、入庫管理情報(
図8参照)において、選択された仮IDに紐づけられた第一無線タグ情報及び第二無線タグ情報を比較し、第一無線タグ情報には含まれているが第二無線タグ情報には含まれていない無線タグID(
図8の例では、ID103)を、仮IDに相当する無線タグIDであると特定する(S121)。登録部19dは、特定した無線タグIDに紐づけられた情報(重量及び食材コード)と、仮IDに紐づけられた情報(重量及び位置)とを統合して登録情報に追加し(S119)、入庫個数から1を減算して(S120)、ステップS114の判定処理に戻る。
【0038】
以上のような登録処理の結果、登録情報は、
図2の状態から
図11のように更新される。
図11は、更新後の登録情報の一例を示す図である。
【0039】
以上説明したように、ステップS121において、冷蔵庫10は、第一期間T1内で、重量センサ16によって検知される重量が増加したタイミング以降に無線タグリーダ17によって読み取ることができなくなったIDを新たに入庫された食材40の無線タグIDとして特定する。これにより、棚14に載置されたことに起因して無線タグが読み取れなくなった食材40のIDを管理することができる。つまり、食材40の管理の精度が向上された冷蔵庫10が実現される。
【0040】
なお、上述のステップS116においては、第三無線タグ情報に含まれており、登録情報に含まれていない無線タグIDが候補IDとして特定されたが、第一無線タグ情報に含まれ、かつ、第三無線タグ情報に含まれ、かつ、登録情報に含まれていない無線タグIDが候補IDとして特定されてもよい。
【0041】
また、上述のステップS117において、候補IDが1つしかない場合には、重量に基づいて仮IDに相当する無線タグIDが特定される必要は無い。
【0042】
[食材を出庫するときの動作例]
次に、冷蔵庫10から食材40が出庫されるときの動作について説明する。
図12は、食材40が出庫されるときの冷蔵庫10の動作のフローチャートである。なお、以下では、無線タグID101~103が取り付けられた3つの食材40が出庫されるものとして説明が行われる。
【0043】
まず、起動部19aは、起動信号を送信すること等により、無線タグリーダ17を起動し(S201)、複数の重量センサ16を起動する(S202)。
【0044】
次に、判定部19bは、出庫個数を0にリセットし(S203)、開閉センサ15の検知結果に基づいて、扉13が開いたか否かを判定する(S204)。この判定は、扉13が開くまで継続される(S204でNo)。
【0045】
判定部19bは、扉13が開いたと判定すると(S204でYes)、重量センサ16によって食材40の出庫(つまり、重量の減少)が検知されたか否かを判定する(S205)。取得部19cは、判定部19bによって食材40の出庫が検知されたと判定されると(S205でYes)、出庫された食材40の出庫情報(重量及び位置)を重量センサ16の計測値の変化に基づいて取得する(S206)。また、取得部19cは、無線タグリーダ17から、出庫が検知された直後に読み取られていた無線タグIDを示す第四無線タグ情報を取得する(S207)。
【0046】
そして、取得部19cは、出庫情報と、第四無線タグ情報を紐づけて出庫管理情報としてメモリ18に記憶する(S208)。
図13は、出庫管理情報の一例を示す図である。
図13に示されるように、出庫管理情報においては、出庫情報の一つ一つに仮IDが付与されている。また、
図13に示される第四無線タグ情報は、仮IDの小さい食材40から順に出庫された場合のものである。つまり、
図13に示される第四無線タグ情報は、仮ID2003が付与された食材40が最後に出庫された場合のものである。その後、判定部19bは、出庫個数に1を加算する(S209)。
【0047】
判定部19bは、ステップS209の後、及び、ステップS205で出庫が検知されなかった場合(S205でNo)のそれぞれにおいて、扉13が閉じたか否かを判定する(S210)。判定部19bは、扉13が閉じていないと判定すると(S210でNo)、ステップS205の判定処理に戻る。
【0048】
一方、取得部19cは、判定部19bによって扉13が閉じたと判定されると(S210でYes)、扉13が閉じた直後に読み取られていた無線タグIDを示す第五無線タグ情報を取得してメモリ18に記憶する(S211)。
図14は、第五無線タグ情報の一例を示す図である。
【0049】
ステップS211の後、登録部19dは、出庫された食材40の無線タグIDの登録解除処理を行う(S212)。
図15は、出庫された食材40の無線タグIDの登録解除処理のフローチャートである。
【0050】
まず、登録部19dは、出庫個数が0より大きいか否かを判定する(S213)。出庫個数が0であると判定されると(S213でNo)、動作は終了となる。登録部19dは、出庫個数が0より大きいと判定すると(S213でYes)、出庫管理情報(
図13参照)の仮IDを1つ選択する(S214)。
【0051】
次に、登録部19dは、メモリ18に記憶されていた扉13が開く直前の時点における登録情報(
図11参照)と、対象の仮IDに紐づいている第四無線タグ情報と、第五無線タグ情報(
図14参照)とを比較し、登録情報に含まれており、かつ、第四無線タグ情報にも含まれており、第五無線タグ情報に含まれていない無線タグIDを候補IDとして特定する(S215)。この処理は、言い換えれば、出庫された食材40の無線タグIDを特定する処理であるといえる。登録情報に含まれており、かつ、第四無線タグ情報にも含まれており、第五無線タグ情報(
図14参照)に含まれていない無線タグIDに該当するのは、ID101及びID102である。
【0052】
なお、棚14に載置されたことに起因して無線タグが読み取れない状態の食材40であっても、食材40が取り出された直後にはその無線タグを認識することができる。このため、無線タグIDが第四無線タグ情報にも含まれていることを確認することで、取り出した食材40を精度よく特定することができる。棚14に載置されたことに起因して無線タグが読み取れない食材40の無線タグIDは、取り出されない限り第四無線タグ情報に含まれず、ID101及びID102のいずれもこのような無線タグIDには該当しない。
【0053】
次に、登録部19dは、食材40の重量に基づいて、ステップS215で特定した候補IDの中からステップS214で選択した仮IDに相当する無線タグIDを特定する(S216)。例えば、ステップS214で仮ID2001が選択されている場合、その重量は100gである(
図13参照)。そうすると、仮ID2001に相当する無線IDは、登録情報(
図11参照)において、200gに対応付けられたID102ではなく、100gに対応付けられたID101であると特定できる。
【0054】
登録部19dは、上記のように無線タグIDが特定できた場合には(S217でYes)、特定した無線タグIDに紐づけられた情報(重量、位置、及び食材コード)を登録情報から削除し(S218)、出庫個数から1を減算して(S219)、ステップS213の判定処理に戻る。
【0055】
一方、ステップS216において仮IDに相当する無線タグIDが特定できない場合がある。例えば、ステップS214で仮ID2003が選択されている場合、その重量は400g(
図13参照)である。そうすると、ステップS215で特定した候補ID(ID101、ID102)の中には400gに対応付けられた無線タグIDが存在しないため、仮ID2003に相当する無線タグIDが特定できない。なお、このようなシチュエーションは、冷蔵庫10内で無線タグが食材40から外れてしまい、食材40は出庫されたが、無線タグのみが収納されたままである場合に生じる可能性がある。
【0056】
このように、ステップS216において仮IDに相当する無線タグIDが特定できない場合(S217でNo)、登録部19dは、出庫管理情報(
図13参照)において、仮IDに紐づけられた出庫情報(重量及び位置)から、登録情報(
図11参照)に含まれる無線タグIDのうち、仮IDと最も類似する無線タグID(つまり、ID103)を、仮IDに相当する無線タグIDであると特定する(S220)。登録部19dは、特定した無線タグIDに紐づけられた情報(重量、位置、及び食材コード)を登録情報から削除し(S218)、出庫個数から1を減算して(S219)、ステップS213の判定処理に戻る。
【0057】
以上のような登録解除処理の結果、登録情報は、
図11の状態から
図3のように更新される。
【0058】
以上説明したように、冷蔵庫10は、無線タグが食材40から外れてしまい、食材40は出庫されたが、無線タグのみが収納されたままであるような場合にも、このような食材40の無線タグIDを登録情報から削除することができる。
【0059】
なお、出庫時の動作は、簡略化されてもよい。例えば、扉13が開く前の登録情報(
図11参照)に含まれ、扉13が閉じた後の第五無線タグ情報(
図14参照)に含まれない無線タグIDを、出庫された食材40の無線タグIDとして特定することもできる。つまり、冷蔵庫10は、開閉センサ15の検知結果に基づいて定まる、扉13が開いてから閉じるまでの第二期間(ステップS204からステップS210までの期間)の前に登録情報に含まれていた無線タグIDのうち第二期間の後に無線タグリーダ17によって読み取ることができない無線タグIDを出庫された食材40のIDとして特定してもよい。また、冷蔵庫10は、特定した無線タグIDを登録情報から削除してもよい。
【0060】
[食材を入庫するときの動作の変形例1]
なお、
図10のステップS117においては、仮登録情報(
図8参照)において仮ID1001に対応付けられた重量と、入庫管理情報において仮ID1002に対応付けられた重量とが異なることから、重量に基づいて、仮ID1001に相当する無線タグID(候補ID)を特定することができた。しかしながら、仮登録情報において仮ID1001に対応付けられた重量と、入庫管理情報において仮ID1002に対応付けられた重量とが同じである場合には、重量に基づいて、仮ID1001に相当する無線タグIDを特定することができない。
【0061】
このような場合、登録部19dは、仮IDに相当する無線タグIDをペンディング扱いにしてもよい。
図16は、仮IDに相当する無線タグIDがペンディング扱いにされた、登録情報の一例を示す図である。この場合、ID101の食材40及びID102の食材40のいずれかが出庫されると、出庫された食材40の位置の重量が100g軽くなり、かつ、扉13が閉じた後には出庫された食材40のIDが読み取れなくなることから、登録部19dは、出庫時に仮IDに相当する無線タグIDを特定することができる。
【0062】
以上説明したように、マイクロコンピュータ19は、候補IDが複数存在し、かつ、第一期間T1にある食材40と同じ重量の他の食材40が入庫された場合、他の食材40が出庫されたときに、複数の候補IDの1つをある食材40の無線タグIDとして特定する。これにより、冷蔵庫10は、第一期間T1に同じ重量の食材40が2つ以上入庫されたとしても、これらの食材40を区別することができる。
【0063】
[食材を入庫するときの動作の変形例2]
重量センサ16は、重量センサ16によって検知される重量の増加の開始タイミングから増加が収束する終了タイミングまでの期間における重量の増加量を、食材40の重量として認識する。したがって、複数の食材40が同時または連続して入庫されると、
図5のステップS105において重量センサ16が複数の食材40を1つの食材40として検知してしまう場合がある。例えば、100gの食材40と200gの食材40とが同時に入庫されても、300gの1つの食材40が入庫されたものとみなされる場合がある。
図17は、2つの食材40を1つの食材40として検知した場合の入庫管理情報の一例を示す図である。
【0064】
このような場合、
図10のステップS117においては、仮ID1004に対応付けられた重量と、候補IDに対応付けられた重量とが一致しないことから、仮ID1004に相当する1つの無線タグIDを特定することができない。また、
図10のステップS121においても無線タグIDを特定することができない。
【0065】
このような場合、登録部19dは、登録情報において、仮ID1004に2つ以上の無線タグIDを対応付けてもよい。
図18は、このような登録情報の一例を示す図である。登録部19dは、具体的には、複数の候補IDの中から、重量の合計が仮ID1004に対応付けられた重量と一致する2つ以上の無線タグIDの組み合わせを特定する。
【0066】
このように、マイクロコンピュータ19は、候補IDが複数存在し、かつ、食材40の重量として実際には複数の食材40の重量の合計が検知されている場合、複数の候補IDの2つ以上を食材40の無線タグIDとして特定する。この場合も、ID101の食材40及びID102の食材40のいずれかが出庫されると、出庫された食材40の位置の重量が軽くなり、かつ、扉13が閉じた後には出庫された食材40のIDが読み取れなくなることから、登録部19dは、出庫時に無線タグIDを特定することができる。つまり、冷蔵庫10は、第一期間T1に同じ重量の食材40が2つ以上同時にまたは連続して入庫されたとしても、これらの食材40を区別することができる。
【0067】
なお、上記のように、食材40を同時または連続して入庫されることを抑制するために、冷蔵庫10は、ユーザに食材40の入庫のタイミングを通知してもよい。例えば、マイクロコンピュータ19は、重量センサ16によって検知される重量の増加の開始タイミングに通知部20に通知音を出力させ、重量の増加が収束する終了タイミングにも通知部20に通知音を出力させる。これにより、ユーザが食材40を棚14に載せ始めると通知音が開始タイミングと終了タイミングの2回鳴るため、ユーザは、2回目の通知音がなるまでは別の食材40を棚14に載せない、という作業が可能となる。つまり、ユーザは、通知音を聞くことによって、食材40を同時または連続して入庫しないように気を付けることができる。
【0068】
[食材を入庫するときの動作の変形例3]
ところで、一番上の棚14には野菜が載置され、2段目の棚14には乳製品が載置される、というようなルールがメモリ18にあらかじめ記憶されているような場合が考えられる。このような場合、
図10のステップS117において、登録部19dは、第三無線タグ情報において候補IDに対応付けられた食材コードと、棚14に対して定められた食材40の種別とを照合することにより、仮ID1001に相当する無線タグIDを特定してもよい。
【0069】
図19は、変形例3に係る入庫管理情報の一例を示す図であり、
図20は、変形例3に係る第三無線タグ情報の一例を示す図である。
【0070】
図19に示されるように、変形例3に係る入庫管理情報においては、どの棚に入庫されたかを示す情報が含まれる。
図19の例では、上の棚14に仮ID1001に対応する100gの食材40が入庫され、2段目の棚14には仮ID1002に対応する100gの食材40が入庫されている。
【0071】
図20に示されるように、第三無線タグ情報に含まれる候補IDは、ID101及びID102であるが、ID101及びID102は、いずれも100gの重量に対応付けられている。このため、重量に基づいて、仮IDに相当する候補IDを特定することはできない。しかしながら、登録部19dは、入庫管理情報において仮IDに対応付けられた棚14に入庫されるべき食材40の種別と、第三無線タグ情報において候補IDに対応付けられた食材コード(つまり、無線タグから読み取られた食材40の種別)とを照合することにより、仮IDに相当する候補IDを特定することができる。
図19及び
図20の例では、登録部19dは、具体的には、仮ID1001にはID101が相当し、仮ID1002にはID102が相当することを特定することができる。
【0072】
このように、マイクロコンピュータ19は、候補IDが複数存在する場合、複数の候補IDのそれぞれに対応付けられた食材コード(つまり、食材40の種別)に基づいて、複数の候補IDの1つを食材40の無線タグIDとして特定する。これにより、冷蔵庫10は、重量を使用せずに複数の食材40を区別することができる。
【0073】
[その他の変形例]
実施の形態1において、冷蔵庫10は、一般家庭用の冷蔵庫であってもよいし、コンビニエンスストアなどの小売店で用いられる商品展示用の冷蔵庫であってもよいし、その他の業務用の冷蔵庫であってもよい。
【0074】
また、実施の形態1では、冷蔵庫10内で食材40の位置を管理するために1つの棚14に対して複数の重量センサ16が設けられたが、食材40の位置が管理されることは必須ではない。食材40の位置を管理する必要が無い場合には、重量センサ16は、1つの棚14に対して1つ設けられればよい。また、食材40の位置を管理する必要が無い場合には、無線タグに重量の情報が含まれなくてもよい。
【0075】
また、冷蔵庫10内に単一種別の食材40が収納されるような場合には、無線タグに食材コード(食材40の種別を示す情報)が含まれてなくてもよい。
【0076】
また、冷蔵庫10は、収納庫の一例であり、本開示は、冷蔵機能を有しない他の収納庫としても実現できる。また、収納庫に収納される物品(つまり、対象物)は、食材40に限定されず、その他の物品であってもよい。冷蔵庫10に食材40以外の物品が収納されるような場合も考えられる。
【0077】
[効果等]
以上説明したように、冷蔵庫10は、扉13、及び、対象物が載置される棚14を備え、扉13が開いた状態で棚14への対象物の載置が行われる。冷蔵庫10は、収納庫の一例であり、対象物は、具体的には、食材40などである。冷蔵庫10は、扉13の開閉を検知する開閉センサ15と、棚14に加わる重量を検知する重量センサ16と、対象物に取り付けられた無線タグからIDを読み取る無線タグリーダ17と、無線タグリーダ17によって読み取られた、収納中の対象物のIDが登録情報として記憶されるメモリ18と、マイクロコンピュータ19とを備える。マイクロコンピュータ19は、開閉センサ15の検知結果に基づいて定まる、扉13が開いてから閉じるまでの第一期間T1の後に無線タグリーダ17によって読み取ることができるIDのうち登録情報に含まれないIDである候補IDを新たに入庫された第一対象物の第一IDとして特定し、第一期間T1内で、重量センサ16によって検知される重量が増加した直後に無線タグリーダ17によって読み取ることができなくなったIDを新たに入庫された第二対象物の第二IDとして特定し、特定した第一ID及び第二IDを登録情報に追加する。
【0078】
このような冷蔵庫10は、棚14に載置されたことに起因して無線タグが読み取れなくなった食材40のIDを管理することができる。つまり、食材40の管理の精度が向上された冷蔵庫10が実現される。
【0079】
また、例えば、マイクロコンピュータ19は、登録情報に含まれており、かつ、第四無線タグ情報にも含まれており、第五無線タグ情報に含まれていない無線タグIDを候補IDとして特定する。このような処理は、
図15のステップS215に相当する。
【0080】
棚14に載置されたことに起因して無線タグが読み取れなくなった食材40の無線タグは、その食材40自体が入庫中で他の食材40が出庫されるときには、他の食材40が取り出された直後、及び、他の食材40が出庫されて扉13が閉じた後の両方で読み取ることができないので、出庫した他の食材40ではないと判断できる。つまり、上記の処理により、出庫した食材40の判定精度が向上された冷蔵庫10が実現される。
【0081】
また、例えば、無線タグリーダ17は、無線タグからID及び対象物の重量を読み取り、マイクロコンピュータ19は、候補IDが複数存在する場合、重量センサ16によって検知される第一対象物の重量に基づいて、複数の候補IDの1つを第一対象物の第一IDとして特定する。このような処理は、
図10のステップS117に相当する。
【0082】
このような冷蔵庫10は、第一期間T1に対象物が2つ以上入庫されたとしても、これらの対象物を区別することができる。
【0083】
また、例えば、マイクロコンピュータ19は、候補IDが複数存在し、かつ、第一期間T1に第一対象物と同じ重量の他の対象物が入庫された場合、他の対象物が出庫されたときに、複数の候補IDの1つを第一対象物の第一IDとして特定する。このような処理は、上述の食材40を入庫するときの動作の変形例1に相当する。
【0084】
このような冷蔵庫10は、第一期間T1に同じ重量の対象物が2つ以上入庫されたとしても、これらの対象物を区別することができる。
【0085】
また、例えば、重量センサ16は、重量センサ16によって検知される重量の増加の開始タイミングから増加が収束する終了タイミングまでの期間における重量の増加量を、第一対象物の重量として認識する。マイクロコンピュータ19は、候補IDが複数存在し、かつ、第一対象物の重量として実際には複数の対象物の重量の合計が検知されている場合、複数の候補IDの2つ以上を第一対象物の第一IDとして特定する。このような処理は、上述の食材40を入庫するときの動作の変形例2に相当する。
【0086】
このような冷蔵庫10は、第一期間T1に同じ重量の対象物が2つ以上同時にまたは連続して入庫されたとしても、これらの対象物を管理することができる。
【0087】
また、例えば、冷蔵庫10は、さらに、開始タイミング、及び、終了タイミングのそれぞれをユーザに通知する通知部20を備える。
【0088】
このような冷蔵庫10は、対象物を1つだけ入庫すべきタイミングをユーザに通知することができる。つまり、冷蔵庫10は、ユーザが対象物を同時または連続して入庫しないように支援することができる。
【0089】
また、例えば、棚14には、棚14に載置されるべき対象物の種別が定められ、無線タグリーダ17は、無線タグからID及び対象物の種別を読み取り、マイクロコンピュータ19は、候補IDが複数存在する場合、複数の候補IDのそれぞれに対応付けられた種別に基づいて、複数の候補IDの1つを第一対象物の第一IDとして特定する。このような処理は、上述の食材40を入庫するときの動作の変形例3に相当する。上記実施の形態1では、対象物の種別は、食材コードによって特定される。
【0090】
このような冷蔵庫10は、棚14に載置されるべき対象物の種別と、無線タグリーダ17によって読み取られた対象物の種別とを照合することにより、複数の対象物を区別することができる。
【0091】
また、例えば、冷蔵庫10は、1つの棚14に対して複数の重量センサ16を備える。マイクロコンピュータ19は、複数の重量センサ16によって検知される第一対象物の位置情報を、特定した第一IDに対応付けてメモリ18に記憶する。複数の重量センサ16によって検知される第二対象物の位置情報を、特定した第二IDに対応付けてメモリ18に記憶する。
【0092】
このような冷蔵庫10は、対象物の位置情報を管理することができる。
【0093】
また、例えば、マイクロコンピュータ19は、開閉センサ15の検知結果に基づいて定まる、扉13が開いてから閉じるまでの第二期間の前に登録情報に含まれていたIDのうち第二期間の後に無線タグリーダ17によって読み取ることができないIDを出庫された対象物のIDとして特定し、特定したIDを登録情報から削除する。
【0094】
このような冷蔵庫10は、対象物の出庫を管理することができる。
【0095】
(実施の形態2)
[構成]
次に、実施の形態2に係る食材管理システムについて説明する。
図21は、実施の形態2に係る食材管理システムの概略構成を示す図である。
【0096】
図21に示されるように、実施の形態2に係る食材管理システム100は、冷蔵庫10と、サーバ装置50と、情報端末60とを備える。
【0097】
冷蔵庫10は、メモリ18に記憶された登録情報を逐次サーバ装置50にアップロードする。冷蔵庫10の詳細構成は、実施の形態1で説明した通りである。なお、冷蔵庫10及びサーバ装置50は、例えば、インターネットなどの広域通信ネットワーク70を介して通信を行う。
【0098】
サーバ装置50は、いわゆるクラウドサーバであり、冷蔵庫10によってアップロードされた登録情報を記憶し、情報端末60からの要求に応じて登録情報を情報端末60に提供する。なお、サーバ装置50及び情報端末60は、例えば、インターネットなどの広域通信ネットワーク70を介して通信を行う。
【0099】
情報端末60は、例えば、スマートフォンまたはタブレット端末などの携帯型の情報端末であるが、パーソナルコンピュータなどの据え置き型の情報端末であってもよい。情報端末60は、表示部を備え、サーバ装置50から提供される登録情報に基づいて、冷蔵庫10内の食材40の配置を示す画像を上記表示部に表示する。
図22は、冷蔵庫10内の食材40の配置を示す画像の一例を示す図である。
【0100】
図22に示される画像は、仮想的な内部空間12に、食材40に対応するアイコン(例えば、リンゴのアイコン及び牛乳のアイコン)が重畳された画像である。アイコンの重畳位置は、登録情報における位置情報に応じて変更される。
【0101】
[効果等]
このように、食材管理システム100は、冷蔵庫10内の食材40の配置を可視化することができる。例えば、情報端末60がユーザによって所持される携帯端末であり、冷蔵庫10がユーザの自宅に配置される家庭用冷蔵庫であれば、ユーザは、情報端末60を通じて外出先から自宅の冷蔵庫10の中身を確認することができる。
【0102】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0103】
例えば、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0104】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0105】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、各構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0106】
また、本開示の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、本開示の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0107】
例えば、本開示は、コンピュータによって実行される対象物の管理方法として実現されてもよいし、対象物の管理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。本開示は、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0108】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【符号の説明】
【0109】
10 冷蔵庫(収納庫)
11 本体部
12 内部空間
13 扉
14 棚
15 開閉センサ
16 重量センサ
17 無線タグリーダ
18 メモリ
19 マイクロコンピュータ
19a 起動部
19b 判定部
19c 取得部
19d 登録部
20 通知部
40 食材(対象物)
50 サーバ装置
60 情報端末
70 広域通信ネットワーク
100 食材管理システム