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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】情報処理方法及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/083 20240101AFI20240830BHJP
【FI】
G06Q10/083
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021520765
(86)(22)【出願日】2020-05-15
(86)【国際出願番号】 JP2020019437
(87)【国際公開番号】W WO2020235478
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】P 2019094318
(32)【優先日】2019-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】河本 弘和
(72)【発明者】
【氏名】浦部 弘章
(72)【発明者】
【氏名】葉山 悟
(72)【発明者】
【氏名】原田 尚幸
(72)【発明者】
【氏名】北 篤佳
【審査官】小山 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-002444(JP,A)
【文献】特開2012-053861(JP,A)
【文献】沖 展彰 Nobuaki OKI,実制約付き車両配送問題に対する即時配送を考慮した動的配送計画システム,計測自動制御学会論文集,日本,公益社団法人計測自動制御学会,2019年04月30日,第55巻 第4号,第313-323頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが、
第1の複数の目的地に基づいて、前記第1の複数の目的地に基づく配送又はサービスの提供のための移動体について生成された第1の移動計画を取得し、
前記移動体の属性を取得し、
前記第1の移動計画の生成後に前記第1の複数の目的地から変更された第2の複数の目的地を取得し、
前記移動体の属性に基づいて前記移動体の前記第1の移動計画における変更が許可されない目的地である固定部分を決定し、
前記第2の複数の目的地に基づいて前記固定部分を変更しないで前記移動体について前記第1の移動計画に代わる第2の移動計画を生成し、
前記移動体の属性は、自動運転の可否についての属性を含み、
前記移動体の属性が自動運転が不可な属性である場合、前記移動体が現在向かっている目的地を前記固定部分として決定する
情報処理方法。
【請求項2】
コンピュータが、
第1の複数の目的地に基づいて、前記第1の複数の目的地に基づく配送又はサービスの提供のための移動体について生成された第1の移動計画を取得し、
前記移動体の属性を取得し、
前記第1の移動計画の生成後に前記第1の複数の目的地から変更された第2の複数の目的地を取得し、
前記移動体の属性に基づいて前記移動体の前記第1の移動計画における変更が許可されない目的地である固定部分を決定し、
前記第2の複数の目的地に基づいて、前記固定部分を変更しないで前記移動体について前記第1の移動計画に代わる第2の移動計画を生成し、
前記移動体の属性は、通信接続の可否についての属性を含み、
前記移動体の属性が通信接続が不可な属性である場合、前記移動体の現在の巡回における目的地の集合を前記固定部分として決定する
情報処理方法。
【請求項3】
コンピュータが、
第1の複数の目的地に基づいて、前記第1の複数の目的地に基づく配送又はサービスの提供のための移動体について生成された第1の移動計画を取得し、
前記移動体の属性を取得し、
前記第1の移動計画の生成後に前記第1の複数の目的地から変更された第2の複数の目的地を取得し、
前記移動体の属性に基づいて前記移動体の前記第1の移動計画における変更が許可されない目的地である固定部分を決定し、
前記第2の複数の目的地に基づいて、前記固定部分を変更しないで前記移動体について前記第1の移動計画に代わる第2の移動計画を生成し、
前記移動体の属性は、搭載される配送用設備又はサービス用設備の種類についての属性を含み、
前記移動体の属性が冷蔵又は冷凍設備を搭載した移動体である場合、前記移動体が現在向かっている目的地を前記固定部分として決定する
情報処理方法。
【請求項4】
前記固定部分は、前記第1の複数の目的地のうちの一度に巡回する目的地の集合である
請求項1~3のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項5】
さらに、前記移動体の状態を取得し、
前記移動体の属性と前記移動体の状態とに基づいて前記固定部分を決定する
請求項1~4のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記移動体の状態は、移動用エネルギーの残量の状態、走行状態、又は、目的地からの距離についての状態を含む
請求項5に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記第2の移動計画の生成に失敗した場合、前記移動体の属性に基づいて前記第2の移動計画の生成における制約条件を緩和する
請求項1~6のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記移動体の属性に基づいて、前記制約条件のうち必須条件でない条件の中から緩和する制約条件を決定する
請求項7に記載の情報処理方法。
【請求項9】
第1の複数の目的地に基づいて、前記第1の複数の目的地に基づく配送又はサービスの提供のための移動体について生成された第1の移動計画を取得する第1移動計画取得部と、
前記移動体の属性を取得する属性取得部と、
前記第1の移動計画の生成後に前記第1の複数の目的地から変更された第2の複数の目的地を取得する第2目的地取得部と、
前記移動体の属性に基づいて前記移動体の前記第1の移動計画における変更が許可されない目的地である固定部分を決定する固定部分決定部と、
前記第2の複数の目的地に基づいて前記固定部分を変更しないで前記移動体について前記第1の移動計画に代わる第2の移動計画を生成する第2移動計画生成部と、を備え
前記移動体の属性は、自動運転の可否についての属性を含み、
前記固定部分決定部は、前記移動体の属性が自動運転が不可な属性である場合、前記移動体が現在向かっている目的地を前記固定部分として決定する
情報処理システム。
【請求項10】
第1の複数の目的地に基づいて、前記第1の複数の目的地に基づく配送又はサービスの提供のための移動体について生成された第1の移動計画を取得する第1移動計画取得部と、
前記移動体の属性を取得する属性取得部と、
前記第1の移動計画の生成後に前記第1の複数の目的地から変更された第2の複数の目的地を取得する第2目的地取得部と、
前記移動体の属性に基づいて前記移動体の前記第1の移動計画における変更が許可されない目的地である固定部分を決定する固定部分決定部と、
前記第2の複数の目的地に基づいて、前記固定部分を変更しないで前記移動体について前記第1の移動計画に代わる第2の移動計画を生成する第2移動計画生成部と、を備え、
前記移動体の属性は、通信接続の可否についての属性を含み、
前記固定部分決定部は、前記移動体の属性が通信接続が不可な属性である場合、前記移動体の現在の巡回における目的地の集合を前記固定部分として決定する
情報処理システム。
【請求項11】
第1の複数の目的地に基づいて、前記第1の複数の目的地に基づく配送又はサービスの提供のための移動体について生成された第1の移動計画を取得する第1移動計画取得部と、
前記移動体の属性を取得する属性取得部と、
前記第1の移動計画の生成後に前記第1の複数の目的地から変更された第2の複数の目的地を取得する第2目的地取得部と、
前記移動体の属性に基づいて前記移動体の前記第1の移動計画における変更が許可されない目的地である固定部分を決定する固定部分決定部と、
前記第2の複数の目的地に基づいて、前記固定部分を変更しないで前記移動体について前記第1の移動計画に代わる第2の移動計画を生成する第2移動計画生成部と、を備え、
前記移動体の属性は、搭載される配送用設備又はサービス用設備の種類についての属性を含み、
前記固定部分決定部は、前記移動体の属性が冷蔵又は冷凍設備を搭載した移動体である場合、前記移動体が現在向かっている目的地を前記固定部分として決定する
情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動体の移動計画を生成する情報処理方法及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
配送計画が立案されて各車両の配送業務が開始された後に計画外の配送業務が発生することがある。このような場合に、計画外の配送業務を追加で行うことができる対象候補車両が移動中の車両の中に存在するか否かを判断し、存在する場合には対象候補車両に優先順位付けを行って最も優先順位の高い車両を対象車両とし、存在しない場合には待機中の車両を新たに対象車両として決定する配送計画支援装置が開示されている(例えば、特許文献1)。これにより、配送業務開始後に計画外の配送業務が発生したとしても配送計画を変更することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-2444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された配送計画支援装置では、事業者の業務形態に適応しない配送計画に変更されてしまうおそれがある。
【0005】
本開示は、事業者の業務形態に適応した移動計画を生成し直すことができる情報処理方法及び情報処理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る情報処理方法は、コンピュータが、第1の複数の目的地と、前記第1の複数の目的地に基づく配送又はサービスの提供のための移動体と、に基づいて生成された第1の移動計画を取得し、前記移動体の属性を取得し、前記第1の移動計画の生成後に前記第1の複数の目的地から変更された第2の複数の目的地を取得し、前記移動体の属性に基づいて前記移動体の前記第1の移動計画における変更が許可されない目的地に関する固定部分を決定し、前記第2の複数の目的地と前記移動体とに基づいて前記固定部分を変更しないで第2の移動計画を生成する方法である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、事業者の業務形態に適応した移動計画を生成し直すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態における情報処理システムの構成の一例を示す図である。
図2図2は、配送計画を変更する際の処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図3図3は、実施の形態における情報処理システムによる情報処理方法の一例を示すフローチャートである。
図4図4は、第1の配送計画の計画外の配送業務が発生するまでの配送の流れを示す図である。
図5A図5Aは、第2の配送計画による配送の第一例を示す図である。
図5B図5Bは、第2の配送計画による配送の第二例を示す図である。
図5C図5Cは、第2の配送計画による配送の第三例を示す図である。
図6図6は、移動体の属性と移動体の状態とに基づいて決定される固定部分の一例を示す表である。
図7図7は、第1の配送計画から第2の配送計画への変更時における提示の例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示の一態様を得るに至った経緯)
宅配等の配送業務では、膨大な量の荷物等の配送対象の配送が行われるため、配送業務の開始前に作成した初期の配送計画通りとならない事象が多数発生することがある。例えば、早急に配送すべき荷物が配送の拠点に届いたり、配送業務を開始した移動体に誤った荷物が搭載されたり、配送対象の配送日時の変更依頼を受信したりといった事象が発生し、初期の配送計画を変更することを要する場合がある。しかし、初期の配送計画には、変更が許可されない固定部分があることが多い。このような固定部分は、配送の事業者の業務形態によると予想される。したがって、このような固定部分を考慮しないで配送計画を生成し直した場合、事業者は様々な事業形態をとり得るため、事業者によっては、生成し直した配送計画を利用できない場合がある。そこで、以下では、事業者の業務形態に適応した移動計画(例えば配送計画)を生成し直すことができる情報処理方法及び情報処理システムについて説明する。
【0010】
本開示の一態様に係る情報処理方法は、コンピュータが、第1の複数の目的地と、前記第1の複数の目的地に基づく配送又はサービスの提供のための移動体と、に基づいて生成された第1の移動計画を取得し、前記移動体の属性を取得し、前記第1の移動計画の生成後に前記第1の複数の目的地から変更された第2の複数の目的地を取得し、前記移動体の属性に基づいて前記移動体の前記第1の移動計画における変更が許可されない目的地に関する固定部分を決定し、前記第2の複数の目的地と前記移動体とに基づいて前記固定部分を変更しないで第2の移動計画を生成する方法である。
【0011】
事業者の業務形態によっては、第1の移動計画における変更が許可されない目的地に関する固定部分がある。例えば、事業者の業務形態によって、事業者が移動に使用する移動体の属性が変わることがあり、固定部分が移動体の属性に応じたものとなる場合がある。このような固定部分を変更して第2の移動計画が生成された場合、事業者が第2の移動計画を利用できない場合がある。これに対して、移動体の属性に基づいて固定部分が決定され、固定部分を変更しないで(言い換えると、固定部分以外を変更して)第1の移動計画に代わる第2の移動計画が生成される。つまり、本態様によれば、事業者の業務形態に適応した移動計画を生成し直すことができる。事業者の業務形態に適応した移動計画が生成されることで、移動業務の変更に対応しつつ効率的に移動を行うことができる。
【0012】
また、前記固定部分は、前記第1の複数の目的地のうちの少なくとも1つの目的地であるとしてもよい。また、前記固定部分は、前記第1の複数の目的地のうちの一度に巡回する目的地の集合であるとしてもよい。
【0013】
このように、固定部分は、第1の移動計画における第1の複数の目的地のうちの少なくとも1つであってもよく、また、第1の移動計画における第1の複数の目的地のうちの一度に巡回する目的地の集合、つまり、移動体が拠点を出発して再度拠点に戻ってくるまでに訪れる目的地の集合であってもよい。
【0014】
また、前記移動体の属性は、自動運転の可否についての属性、通信接続の可否についての属性、又は、搭載される配送用設備又はサービス用設備の種類についての属性を含むとしてもよい。
【0015】
例えば、移動体の属性が自動運転が可能な属性である場合、固定部分を設けなくてもよい。自動運転が可能な移動体は、移動業務を開始した後、移動中に計画外の移動業務が発生したとしても、基本的には計画の変更の指示をいつでも受信することができ、計画外の移動業務に対して臨機応変に対応できるためである。また、例えば、移動体の属性が自動運転が不可な属性である場合、現在向かっている目的地を固定部分としてもよい。移動業務を開始した後、移動中に計画外の移動業務が発生したとしても、自動運転が不可な移動体の運転者は、運転中には移動計画の変更の指示を確認できず、計画外の移動業務に対して対応できないことが多いためである。また、例えば、移動体の属性が通信接続が不可な属性である場合、現在の巡回における目的地の集合を固定部分としてもよい。移動業務を開始した後、移動中に計画外の移動業務が発生したとしても、通信接続が不可な移動体は、移動計画の変更の指示を受信できず、現在の巡回をそのまま続けることになるためである。また、例えば、移動体の属性が冷蔵又は冷凍設備を搭載した移動体である場合、現在向かっている目的地を固定部分としてもよい。計画外の移動業務に対して対応すると、冷蔵又は冷凍している配送又はサービスの対象(荷物)の品質が劣化するおそれがあるためである。
【0016】
また、さらに、前記移動体の状態を取得し、前記移動体の属性と前記移動体の状態とに基づいて前記固定部分を決定するとしてもよい。
【0017】
例えば、移動体の状態によっても、固定部分が変化する場合がある。このため、移動体の状態にも基づいて固定部分を決定することで、事業者がさらに利用しやすい移動計画を生成し直すことができる。
【0018】
また、前記移動体の状態は、移動用エネルギーの残量の状態、走行状態、又は、目的地からの距離についての状態を含むとしてもよい。
【0019】
例えば、移動体が移動用エネルギーの残量が少ない状態である場合、現在の巡回における目的地の集合を固定部分としてもよい。計画外の移動業務に対して対応すると、その分エネルギーを消費してエネルギー切れとなってしまうおそれがあるためである。また、例えば、移動体の属性が自動運転が不可な属性であり、移動体が停止状態の場合、固定部分を設けなくてもよい。移動業務を開始した後、移動中に計画外の移動業務が発生したとしても、自動運転が不可な移動体の運転者は、停止中であれば移動計画の変更の指示を確認でき、計画外の移動業務に対して対応できる場合があるためである。また、例えば、移動体の現在位置が次の目的地から遠い場合には、固定部分を設けなくてもよい。次の目的地までの距離が遠い場合には、次の目的地へ向かう途中に計画外の移動業務に対して対応できる場合があり、また、次の目的地へ向かう途中に対応した方が全体として効率的に移動を行うことができる場合があるためである。また、例えば、移動体の現在位置が次の目的地から近い場合には、現在向かっている目的地を固定部分としてもよい。次の目的地までの距離が近い場合には、次の目的地へ向かう途中に計画外の移動業務の発生に対して急には対応できない場合が多く、また、先に近くの次の目的地への移動を終わらせた後に計画外の移動業務に対応した方が全体として効率的に移動を行うことができる場合があるためである。
【0020】
また、前記第2の移動計画の生成に失敗した場合、前記移動体の属性に基づいて前記第2の移動計画の生成における制約条件を緩和するとしてもよい。具体的には、前記移動体の属性に基づいて、前記制約条件のうち必須条件でない条件の中から緩和する制約条件を決定するとしてもよい。
【0021】
例えば、第2の移動計画は、特定の制約条件を満たすように生成される。しかし、制約条件の中には、移動体の属性によっては緩和してもよいものがある。そこで、第2の移動計画の生成に失敗した場合に、移動体の属性に基づいて必須でない制約条件を緩和することで、第2の移動計画の生成を成功させやすくなる。
【0022】
本開示の一態様に係る情報処理システムは、第1の複数の目的地と、前記第1の複数の目的地に基づく配送又はサービスの提供のための移動体と、に基づいて生成された第1の移動計画を取得する第1移動計画取得部と、前記移動体の属性を取得する属性取得部と、前記第1の移動計画の生成後に前記第1の複数の目的地から変更された第2の複数の目的地を取得する第2目的地取得部と、前記移動体の属性に基づいて前記移動体の前記第1の移動計画における変更が許可されない目的地に関する固定部分を決定する固定部分決定部と、前記第2の複数の目的地と前記移動体とに基づいて前記固定部分を変更しないで第2の移動計画を生成する第2移動計画生成部と、を備える。
【0023】
これによれば、事業者の業務形態に適応した移動計画を生成し直すことができる情報処理システムを提供できる。
【0024】
また、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。
【0025】
また、以下では、配送を、集荷も含む概念として用いる。つまり、配送には、配送対象を目的地に送り届ける意味だけではなく、配送対象を目的地で回収する意味も含む。また、配送対象は、物に限らず、人であってもよい。
【0026】
(実施の形態)
以下、実施の形態における情報処理システムの構成及び情報処理システムによる情報処理方法について詳しく説明する。
【0027】
図1は、実施の形態における情報処理システム10の構成の一例を示す図である。
【0028】
情報処理システム10は、移動体(本実施の形態では複数の移動体)を管理し、移動体に配送対象をなるべく効率的に配送させるための移動計画(例えば配送計画)を生成するシステムである。情報処理システム10は、例えば、サーバ等のコンピュータである。なお、情報処理システム10は、移動体による配送対象の配送の拠点に設置されたコンピュータであってもよい。また、情報処理システム10は、携帯端末であってもよい。
【0029】
移動体は、設定された複数の目的地に基づく配送又はサービスの提供のための移動体である。なお、移動体は、例えば、車両であるが、これは一例であり、ドローン、航空機又は船舶などであってもよい。
【0030】
情報処理システム10は、第1目的地取得部11、最適化項目取得部12、第1配送計画生成部13、第1配送計画取得部14、状態取得部15、属性取得部16、固定部分決定部17、第2目的地取得部18、固定部分取得部19、第2配送計画生成部20及び緩和部21を備える。情報処理システム10は、プロセッサ、メモリ及び通信回路等を含むコンピュータである。メモリは、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等であり、プロセッサにより実行されるプログラムを記憶することができる。第1目的地取得部11、最適化項目取得部12、第1配送計画生成部13、第1配送計画取得部14、状態取得部15、属性取得部16、固定部分決定部17、第2目的地取得部18、固定部分取得部19、第2配送計画生成部20及び緩和部21は、メモリに格納されたプログラムを実行するプロセッサによって実現される。なお、情報処理システム10を構成するこれらの構成要素は、複数のコンピュータ(サーバ等)に分散して配置されてもよい。
【0031】
第1目的地取得部11は、第1の複数の目的地を取得する。第1の複数の目的地は、例えば、配送業務の開始前に予めわかっている配送の目的地である。例えば、情報処理システム10を用いる事業者のユーザ(情報処理システム10のユーザ)が第1の複数の目的地を情報処理システム10に入力したり、送信したりすることで、第1目的地取得部11は、第1の複数の目的地を取得する。
【0032】
最適化項目取得部12は、最適化項目を取得する。最適化項目は、情報処理システム10を用いる事業者が配送計画において最適化したい項目である。最適化項目には、例えば、移動距離に関する項目、移動時間に関する項目又は移動体の台数に関する項目等が含まれる。最適化項目は、事業者によって異なり、事業者が重視する目的に合った項目が選択される。例えば、稼働する移動体の台数をなるべく少なくしてコストダウンを図ることを重視する事業者のユーザは、最適化項目として移動体の台数に関する項目を選択する。なお、最適化項目は、これらの項目のうちの複数の項目の組み合わせであってもよい。例えば、移動距離及び移動体の台数の両方が最適化されるような最適化項目が取得されてもよい。例えば、ユーザが最適化項目を情報処理システム10に入力したり、送信したりすることで、最適化項目取得部12は、最適化項目を取得する。なお、情報処理システム10は、最適化項目取得部12を備えていなくてもよい。
【0033】
第1配送計画生成部13は、第1の複数の目的地と、第1の複数の目的地に基づき配送対象を配送する移動体と、に基づいて第1の配送計画を生成する。例えば、第1配送計画生成部13は、目的地、利用可能な移動体、目的地への到着時間、目的地での作業時間、配送対象を配送する移動体の要件、などの情報に基づいて第1の配送計画を生成する。なお、情報処理システム10が最適化項目取得部12を備える場合、第1配送計画生成部13は、最適化項目にも基づいて第1の配送計画を生成する。第1配送計画生成部13は、例えば、最適化項目を満たしつつ、情報処理システム10が管理している移動体を用いて、第1の複数の目的地へ配送対象を届けたり、第1の複数の目的地で配送対象を回収したりすることを、なるべく効率的に行うための計画を生成する。配送計画を生成する方法については、特に限定されない。
【0034】
第1配送計画取得部14は、生成された第1の配送計画を取得する。なお、情報処理システム10は、第1目的地取得部11及び第1配送計画生成部13を備えていなくてもよく、第1配送計画取得部14は、情報処理システム10外で生成された第1の配送計画を取得してもよい。
【0035】
状態取得部15は、移動体の状態を取得する。移動体の状態は、例えば、移動用エネルギーの残量の状態、走行状態、又は、目的地からの距離についての状態を含む。情報処理システム10は、移動体と通信可能に接続されており、移動体から送信された移動用エネルギーの残量、エンジン等の動作状態、又は、移動体の位置情報等に基づいて推定された移動体の状態を取得する。なお、情報処理システム10は、状態取得部15を備えていなくてもよい。
【0036】
属性取得部16は、移動体の属性を取得する。移動体の属性は、例えば、自動運転の可否についての属性、通信接続の可否についての属性、又は、搭載される配送用設備又はサービス用設備(ここでは配送用設備)の種類についての属性を含む。例えば、事業者の業務形態によって、事業者が配送に使用する移動体の属性が変わることがあり、ユーザが移動体の属性を情報処理システム10に入力したり、送信したりすることで、属性取得部16は、移動体の属性を取得する。
【0037】
固定部分決定部17は、移動体の属性に基づいて移動体の第1の配送計画における変更が許可されない目的地に関する固定部分を決定する。なお、情報処理システム10が状態取得部15を備える場合、固定部分決定部17は、移動体の属性と移動体の状態とに基づいて固定部分を決定する。固定部分は、第1の複数の目的地のうちの少なくとも1つの目的地であってもよいし、第1の複数の目的地のうちの一度に巡回する目的地の集合であってもよい。固定部分の詳細については後述する。
【0038】
第2目的地取得部18は、第1の配送計画の生成後に第1の複数の目的地から変更された第2の複数の目的地を取得する。第2の複数の目的地は、例えば、第1の配送計画において配送の予定がなかった目的地、つまり、第1の配送計画の計画外の追加の目的地を含む。例えば、早急に配送すべき荷物が配送の拠点に届いたり、配送業務を開始した移動体に誤った荷物が搭載されたり、配送対象の配送日時の変更依頼を受信したりといった事象が発生することにより、計画外の目的地への配達対象の配達業務が発生する。例えば、ユーザがこのような計画外の目的地も含む第2の複数の目的地を情報処理システム10に入力したり、送信したりすることで、第2目的地取得部18は、第2の複数の目的地を取得する。
【0039】
固定部分取得部19は、ユーザにより設定された固定部分を取得する。情報処理システム10が把握できないような条件がある場合に、ユーザが例えば手動で固定部分を設定することで、固定部分決定部17が決定する固定部分とは別に固定部分を設けることができる。例えば、ある運転者(移動体)が普段よりも早く配送業務を終える必要がある場合に、ユーザは、早く配送業務を終えることができるような固定部分を設定する。
【0040】
第2配送計画生成部20は、第2の複数の目的地と移動体とに基づいて固定部分を変更しないで第2の配送計画を生成する。なお、情報処理システム10が最適化項目取得部12を備える場合、第2配送計画生成部20は、最適化項目にも基づいて第2の配送計画を生成する。第2配送計画生成部20は、最適化項目を満たしつつ、さらに、固定部分を変更しないで、情報処理システム10が管理している移動体を用いて、第2の複数の目的地へ配送対象を届けたり、第2の複数の目的地で配送対象を回収したりすることを、なるべく効率的に行うための計画を生成する。第2の配送計画の詳細については後述する。
【0041】
緩和部21は、第2の配送計画の生成に失敗した場合、移動体の属性に基づいて第2の配送計画の生成における制約条件を緩和する。例えば、緩和部21は、移動体の属性に基づいて、制約条件のうち必須条件でない条件の中から緩和する制約条件を決定する。制約条件は、例えば、配送の時間帯についての条件、移動体に搭載可能な配送対象の量についての条件、又は、移動距離についての条件等であり、移動体の属性によっては緩和してもよいものがある。なお、制約条件には、必須条件と必須でない条件が含まれており、必須か必須でないかは事業者によって変わる。例えば、事業者が自動運転可能な移動体(無人移動体)を使用する場合、言い換えると、移動体の属性が無人移動体である場合、無人移動体に多くの業務をさせることができることから、配送の時間帯についての条件は必須条件とならず、配送の時間帯を緩和、つまり、延長することができる。一方で、事業者が自動運転不可能な移動体を使用する場合、言い換えると、移動体の属性が無人移動体でない場合、移動体の運転者の業務量には上限があることから、配送の時間帯についての条件は必須条件となる場合がある。なお、情報処理システム10は、緩和部21を備えていなくてもよい。
【0042】
なお、図示していないが、情報処理システム10は、生成した第2の配送計画を出力する出力部を備える。出力部が第2の配送計画を出力することで、例えば、移動体に第2の配送計画が送信され、又は、情報処理システム10のユーザに第2の配送計画が提示される。
【0043】
次に、情報処理システム10の動作の詳細を説明する前に、配送計画を変更する際の情報処理システム10のユーザ、情報処理システム10及び複数の移動体間の処理の全体的な流れについて図2を用いて簡単に説明する。
【0044】
図2は、配送計画を変更する際の処理の流れの一例を示すシーケンス図である。図2には、第1の配送計画を生成及び送信するとき(初期計画時)、並びに、第2の配送計画を生成及び送信するとき(再計画時)の処理の流れを示している。
【0045】
まず、情報処理システム10のユーザは、最適化項目を設定する(ステップS101)。これにより、情報処理システム10は、最適化項目を取得する。
【0046】
情報処理システム10のユーザは、予めわかっている第1の複数の目的地を情報処理システム10に送信する(ステップS102)。
【0047】
情報処理システム10は、第1の複数の目的地と、第1の複数の目的地に基づき配送対象を配送する複数の移動体と、に基づいて第1の配送計画を生成する(ステップS103)。
【0048】
情報処理システム10は、第1の配送計画を複数の移動体に送信し(ステップS104)、また、情報処理システム10のユーザにも送信する(ステップS105)。これにより、複数の移動体は、第1の配送計画に従ってそれぞれの配送業務を行うことができ、また、情報処理システム10のユーザは、第1の配送計画を認識することができる。
【0049】
膨大な量の配送対象の配送が行われる事業者では、第1の配送計画を変更することを要するような事象が発生する。このため、情報処理システム10のユーザは、第1の配送計画に代わる第2の配送計画を情報処理システム10に生成させるために、当該事象に対する追加の目的地を含む第2の複数の目的地、及び、複数の移動体のそれぞれの属性を情報処理システム10に送信する(ステップS106)。なお、情報処理システム10のユーザが当該送信を行うタイミングは、特に限定されない。例えば、第1の配送計画に従った配送業務の開始後の予め定められた時刻に、その時刻までに発生した追加の目的地を含む第2の複数の目的地の送信が行われてもよい。また、追加の目的地の数が所定数以上となったときに、所定数以上の追加の目的地を含む第2の複数の目的地の送信が行われてもよい。
【0050】
また、複数の移動体は、移動体(自身)の状態を送信する(ステップS107)。例えば、情報処理システム10は、第2の複数の目的地及び移動体の属性を受信したときに、複数の移動体に対して移動体の状態を送信するように指示する。なお、第2の配送計画の生成が予め定められた時刻に行われる場合には、複数の移動体がその時刻前に自発的に移動体の状態を情報処理システム10に送信してもよい。
【0051】
情報処理システム10のユーザは、固定部分を設定する(ステップS108)。これにより、情報処理システム10は、ユーザにより設定された固定部分を取得する。ユーザにより設定された固定部分は、移動体の属性及び移動体の状態に基づいて決定できないような固定部分であり、上述したように、情報処理システム10が把握できないような条件に対応するための固定部分である。
【0052】
情報処理システム10は、取得した移動体の属性と移動体の状態とに基づいて、第1の配送計画における変更が許可されない目的地に関する固定部分を決定する(ステップS109)。
【0053】
情報処理システム10は、第1の配送計画における固定部分を変更しないで第2の配送計画を生成する(ステップS110)。
【0054】
そして、情報処理システム10は、生成した第2の配送計画を複数の移動体に送信し(ステップS111)、また、情報処理システム10のユーザにも送信する(ステップS112)。これにより、複数の移動体は、第1の配送計画に代わる第2の配送計画に従ってそれぞれの配送業務を行うことができ、また、情報処理システム10のユーザは、第2の配送計画を認識することができる。
【0055】
次に、情報処理システム10の動作の詳細について図3から図6を用いて説明する。
【0056】
図3は、実施の形態における情報処理システム10による情報処理方法の一例を示すフローチャートである。なお、情報処理システム10は、例えばコンピュータにより実現されるため、情報処理方法は、コンピュータにより実行される方法であるといえる。
【0057】
図4は、第1の配送計画の計画外の配送業務が発生するまでの配送の流れを示す図である。図5Aから図5Cは、第2の配送計画による配送の第一例から第三例を示す図である。図4及び図5Aから図5Cには、配送に使用される移動体100、配送の拠点200、目的地201~205を示している。
【0058】
図6は、移動体の属性と移動体の状態とに基づいて決定される固定部分の一例を示す表である。
【0059】
図3に示すように、情報処理システム10は、最適化項目を取得する(ステップS11)。例えば、情報処理システム10は、移動距離に関する項目、移動時間に関する項目又は移動体の台数に関する項目といった、最適化項目を取得する。なお、ここでは、情報処理システム10は、最適化項目を取得する場合の例について説明するが、最適化項目を取得しなくてもよい。
【0060】
情報処理システム10は、第1の複数の目的地と、第1の複数の目的地に基づき配送対象を配送する移動体100と、に基づいて生成された第1の配送計画を取得する(ステップS12)。なお、ここでは、情報処理システム10は、最適化項目を取得するため、最適化項目にも基づいた第1の配送計画を取得する。上述したように、情報処理システム10は、第1の配送計画を生成しなくてもよく、情報処理システム10外から第1の配送計画を取得してもよい。
【0061】
例えば、図4の上段に示すように、情報処理システム10は、第1の複数の目的地として目的地201~204と、目的地201~204に基づき配送対象を配送する移動体100と、に基づいて生成された第1の配送計画を取得する。第1の配送計画は、例えば、図4の中段に示すように、拠点200を出発して、目的地201、202と順に回った後に拠点200に戻り、再度拠点200を出発して、目的地203、204と順に回った後に拠点200に戻る計画である。なお、ここでは、1つの移動体100に着目して説明するが、第1の配送計画及び第2の配送計画には複数の移動体についての配送計画が含まれる。
【0062】
情報処理システム10は、移動体100の属性を取得する(ステップS13)。例えば、情報処理システム10は、移動体100の属性として、自動運転の可否についての属性、通信接続の可否についての属性、又は、移動体100に搭載される配送用設備の種類についての属性等を取得する。具体的には、図6に示すように、情報処理システム10は、自動運転車であるか、非自動運転車であるか、配送計画の送受信が可能であるか、冷蔵(冷凍)車両であるか、拠点200以外では配送計画の送受信が不可能であるか、積み込み順序が決まっているか、運転者の経験が浅いか、といった移動体100の属性を取得する。
【0063】
情報処理システム10は、移動体100の状態を取得する(ステップS14)。例えば、情報処理システム10は、移動体100の状態として、移動用エネルギーの残量の状態、走行状態、又は、目的地からの距離についての状態等を取得する。具体的には、図6に示すように、情報処理システム10は、燃料が僅少状態でないか、燃料が僅少状態であるか、停車中であるか、次の目的地まで遠距離の位置にいる状態であるか、走行中であるか、次の目的地まで近距離の位置にいるか、といった移動体100の状態を取得する。なお、図6には示していないが、情報処理システム10は、どのような走行路を走行中の状態であるか、といった移動体100の状態を取得してもよい。例えば、情報処理システム10は、トンネルを走行中の状態、高速道路を走行中の状態等といった移動体100の状態を取得してもよい。なお、ここでは、情報処理システム10は、移動体100の状態を取得する場合の例について説明するが、移動体100の状態を取得しなくてもよい。
【0064】
情報処理システム10は、第1の配送計画の生成後に第1の複数の目的地から変更された第2の複数の目的地を取得する(ステップS15)。例えば、図4の下段に示すように、情報処理システム10は、目的地201~204から変更された目的地201~205を取得する。目的地205は、第1の複数の目的地から追加された目的地である。
【0065】
情報処理システム10は、ユーザにより設定された固定部分を取得する(ステップS16)。例えば、情報処理システム10は、ある運転者(移動体)が普段よりも早く配送業務を終える必要がある場合に、早く配送業務を終えることができるような固定部分を取得する。なお、情報処理システム10は、ユーザにより設定された固定部分を取得しなくてもよい。
【0066】
情報処理システム10は、移動体100の属性に基づいて移動体100の第1の配送計画における変更が許可されない目的地に関する固定部分を決定する(ステップS17)。なお、ここでは、情報処理システム10は、移動体100の状態を取得するため、移動体100の状態にも基づいて固定部分を決定する。移動体100の状態にも基づいて固定部分を決定することで、事業者がさらに利用しやすい配送計画を生成し直すことができる。例えば、固定部分は、第1の複数の目的地のうちの少なくとも1つの目的地であってもよく、第1の複数の目的地のうちの一度に巡回する目的地の集合であってもよい。
【0067】
そして、情報処理システム10は、第2の複数の目的地と移動体100とに基づいて固定部分を変更しないで第2の配送計画を生成する(ステップS18)。なお、情報処理システム10は、最適化項目を取得する場合には、最適化項目にも基づいて第2の配送計画を生成する。例えば、図4の下段に示すように、移動体100が拠点200を出発した後、目的地201で配送対象の配送を行い、次の目的地202へ向かっている途中に、追加の目的地205が発生したとする。なお、移動体100は拠点200をすでに出発しているため、追加の目的地205で配送対象を回収することを想定しているが、例えば牛乳の配送のように、配送対象が個別に目的地に対応付けられないものである場合(言い換えると、個体を区別せずに配送物を複数の目的地に配送する場合)には、追加の目的地205に配送対象を送り届けてもよい。
【0068】
図6に示すように、移動体100の属性が配送計画の送受信が可能な自動運転車であり、移動体100の状態が燃料僅少以外の状態である場合、固定部分はなしと決定されて、第2の配送計画が生成される。この場合、固定部分がないため、図5Aに示すように、移動体100の次の目的地を目的地202から目的地205に変更された第2の配送計画が生成される。自動運転が可能な移動体100は、配送業務を開始した後、移動中に計画外の配送業務が発生したとしても、基本的には配送計画の変更の指示をいつでも受信することができ、計画外の配送業務に対して臨機応変に対応できるためである。また、燃料が僅少でないことから、第1の配送計画において巡回する第1の複数の目的地に加えて目的地205に向かったとしても燃料切れになるおそれが少ないためである。
【0069】
また、図6に示すように、移動体100の属性が配送計画の送受信が可能な自動運転車であり、移動体100の状態が燃料僅少の状態である場合、固定部分は現在の巡回、つまり、第1の複数の目的地のうちの一度に巡回する目的地の集合と決定されて、固定部分を変更しないで第2の配送計画が生成される。この場合、図5Cに示すように、移動体100の拠点200、目的地201、目的地202、拠点200と回る現在の巡回を固定し、次の巡回を拠点200、目的地203、目的地204、拠点200と回る巡回から、拠点200、目的地205、目的地203、目的地204、拠点200と回る巡回に変更された第2の配送計画が生成される。計画外の配送業務に対して対応すると、その分燃料を消費して燃料切れとなってしまうおそれがあるためである。なお、現在の巡回において拠点200に戻ったときに目的地205にも向かうことを考慮して十分に燃料を補給することで、次の巡回で目的地205に向かっても燃料切れとならないようにすることができる。
【0070】
また、図6に示すように、移動体100の属性が配送計画の送受信が可能な非自動運転車であり、移動体100の状態が停車中の状態である場合、固定部分はなしと決定されて、図5Aに示すような第2の配送計画が生成される。配送業務を開始した後、移動中に計画外の配送業務が発生したとしても、自動運転が不可な移動体100の運転者は、停止中であれば配送計画の変更の指示を確認でき、計画外の配送業務に対して対応できる場合があるためである。
【0071】
また、図6に示すように、移動体100の属性が配送計画の送受信が可能な非自動運転車であり、移動体100の状態が次の目的地202まで遠距離の位置にいる状態である場合、固定部分はなしと決定されて、図5Aに示すような第2の配送計画が生成される。次の目的地202までの距離が遠い場合には、次の目的地202へ向かう途中に計画外の配送業務に対して対応できる場合があり、また、次の目的地202へ向かう途中に対応した方が全体として効率的に配送を行うことができる場合があるためである。
【0072】
また、図6に示すように、移動体100の属性が配送計画の送受信が可能な非自動運転車であり、移動体100の状態が走行中の状態である場合、固定部分は次の目的地202と決定されて、固定部分を変更しないで第2の配送計画が生成される。この場合、図5Bに示すように、移動体100が次の目的地202で配送対象を配送した後、目的地205を回ってから拠点200に戻る第2の配送計画が生成される。自動運転が不可な移動体100の運転者は、走行中には配送計画の変更の指示を確認できず、計画外の配送業務に対して対応できないためである。なお、運転者は、目的地202で配送対象を配送した後、拠点200に向かう前に配送計画の変更の指示を確認できるため、追加の目的地205に向かうことができる。
【0073】
また、図6に示すように、移動体100の属性が配送計画の送受信が可能な非自動運転車であり、移動体100の状態が次の目的地202まで近距離の位置にいる状態である場合、固定部分は次の目的地202と決定されて、固定部分を変更しないで図5Bに示すような第2の配送計画が生成される。次の目的地202までの距離が近い場合には、次の目的地202へ向かう途中に計画外の配送業務の発生に対して急には対応できない場合が多く、また、先に近くの次の目的地202への配送を終わらせた後に計画外の配送業務に対応した方が全体として効率的に配送を行うことができる場合があるためである。
【0074】
また、図6に示すように、移動体100の属性が冷蔵又は冷凍設備を搭載した移動体である場合、固定部分は次の目的地202と決定されて、固定部分を変更しないで図5Bに示すような第2の配送計画が生成される。計画外の配送業務に対して対応すると、冷蔵又は冷凍している配送対象(荷物)の品質が劣化するおそれがあるためである。
【0075】
また、図6に示すように、移動体100の属性が拠点200以外での配送計画の送受信が不可能な車両である場合、固定部分は現在の巡回と決定されて、固定部分を変更しないで図5Cに示すような第2の配送計画が生成される。配送業務を開始した後、移動中に計画外の配送業務が発生したとしても、通信接続が不可な移動体100は、配送計画の変更の指示を受信できず、現在の巡回をそのまま続けることになるためである。なお、現在の巡回において拠点200に戻ったときに配送計画の変更の指示を確認して、次の巡回で目的地205に向かうことができる。
【0076】
また、図6に示すように、移動体100の属性が積み込み順序が決まっている車両(例えば、家具のようなサイズが大きく取り出し順序を変更しづらい配送対象の配送のための車両、典型的には引っ越しのための車両等)である場合、固定部分は現在の巡回と決定されて、固定部分を変更しないで図5Cに示すような第2の配送計画が生成される。例えば、目的地205が元々目的地202の次に向かう目的地である場合、目的地205での配送対象が積み込まれてから目的地202での配送対象が積み込まれる。つまり、後入れ先出し方式により、目的地202、目的地205の順序で円滑に配送対象を降ろすことができる。このように、積み込み順序が決まっている場合、目的地202よりも先に目的地205で配送対象を降ろすことが難しいため、現在の巡回は固定とされる。
【0077】
また、図6に示すように、移動体100の属性が経験の浅い運転者が運転している車両である場合、固定部分は現在の巡回と決定されて、固定部分を変更しないで図5Cに示すような第2の配送計画が生成される。配送業務を開始した後、移動中に計画外の配送業務が発生したとしても、経験の浅い運転者は計画外の配送業務に対して臨機応変に対応できないおそれがあるためである。
【0078】
また、図示していないが、移動体100の状態がトンネルを走行中の状態である場合、固定部分は次の目的地202と決定されて、固定部分を変更しないで図5Bに示すような第2の配送計画が生成される。トンネルを走行中の移動体100は、配送計画の変更の指示を受信できず、計画外の配送業務に対してすぐに対応できないためである。
【0079】
また、図示していないが、移動体100の状態が高速道路を走行中の状態である場合、固定部分は次の目的地202と決定されて、固定部分を変更しないで図5Bに示すような第2の配送計画が生成される。高速道路を走行中の移動体100は、配送計画の変更の指示を受信したとしても、計画外の配送業務に対して臨機応変に対応できない可能性が高いためである。
【0080】
なお、図6に示すような移動体100の属性及び移動体100の状態の組み合わせと、各組み合わせに基づいて決定される固定部分は一例であり、これらに限られない。
【0081】
次に、情報処理システム10は、第2の配送計画の生成に失敗したか否かを判定する(ステップS19)。何をもって第2の配送計画の失敗とするかは、事業者に応じて決められる。例えば、膨大な量の配送対象を扱う事業者は第1の配送計画通りとならない事象も多数発生し、その全てに対応できる第2の配送計画を生成することは難しい。このため、このような事業者の場合において、生成された第2の配送計画では発生した事象のうちの所定の割合(例えば80%)以下の事象しか対応できない場合に、第2の配送計画が失敗したと判定されてもよい。また、例えば、ある1つの事象について、生成された第2の配送計画では、当該事象に対応できない場合に、第2の配送計画が失敗したと判定されてもよい。また、例えば、ユーザが生成された第2の配送計画を確認して、ユーザにより成功か失敗かが判定されることで、第2の配送計画の生成に失敗したか否かが判定されてもよい。
【0082】
情報処理システム10は、第2の配送計画の生成に失敗した場合(ステップS19でYes)、移動体100の属性に基づいて第2の配送計画の生成における制約条件を緩和する(ステップS20)。例えば、情報処理システム10は、移動体100の属性に基づいて、制約条件のうち必須条件でない条件の中から緩和する制約条件を決定する。制約条件は、例えば、配送の時間帯についての条件、移動体100に搭載可能な配送対象の量についての条件、又は、移動距離についての条件等であり、移動体100の属性によっては緩和してもよいものがある。なお、制約条件には、必須条件と必須でない条件が含まれており、必須か必須でないかは事業者によって変わる。例えば、事業者が自動運転可能な移動体100(無人移動体)を使用する場合、言い換えると、移動体100の属性が無人移動体である場合、無人移動体に多くの業務をさせることができることから、配送の時間帯についての条件は必須条件とならず、配送の時間帯を緩和、つまり、延長することができる。一方で、事業者が自動運転不可能な移動体100を使用する場合、言い換えると、移動体100の属性が無人移動体でない場合、移動体100の運転者の業務量には上限があることから、配送の時間帯についての条件は必須条件となる場合がある。情報処理システム10は、緩和された制約条件に基づいて、再度第2の配送計画を生成する。このように、第2の配送計画の生成に失敗した場合に、移動体100の属性に基づいて必須でない制約条件を緩和することで、第2の配送計画の生成を成功させやすくなる。
【0083】
情報処理システム10は、第2の配送計画の生成に成功した場合(ステップS19でNo)、第2の配送計画に従って配送業務を行わせるために、生成した第2の配送計画を移動体100等に送信し、処理を終了する。
【0084】
また、第1の配送計画及び第2の配送計画が提示されてもよい。これについて、図7を用いて説明する。
【0085】
図7は、第1の配送計画から第2の配送計画への変更時における提示の例である。
【0086】
例えば、図7の左図に示すように、山田邸及び鈴木邸の2か所の家へ荷物を配送するための第1の配送計画が提示される。なお、配送計画と共に、配送のための移動体の用途及び属性が提示されてもよい。また、図示していないが、移動体の状態が提示されてもよい。そして、例えば、配送先として佐藤邸が追加された第2の配送計画が生成されると、図7の右図に示すように、山田邸と鈴木邸の配送の間に佐藤邸に配送される第2の配送計画が提示される。ここで、第2の配送計画の生成の際に、固定部分とされた配送先(及びルート)とそうでない配送先(及びルート)が異なる態様で提示されてもよい。図7の例では、第2の配送計画の生成の際に、固定部分とされた配送先は無地であり、変更可能部分とされた配送先はドットが付されている。
【0087】
また、図7の例では、配送計画が配送先のリストで表現されているが、配送計画は、図4及び図5A~5Cのように地図へのマッピングで表現されてもよい。
【0088】
以上説明したように、事業者の業務形態によっては、第1の配送計画における変更が許可されない目的地に関する固定部分がある。例えば、事業者の業務形態によって、事業者が配送に使用する移動体の属性が変わることがあり、固定部分が移動体の属性に応じたものとなる場合がある。このような固定部分を変更して第2の配送計画が生成された場合、事業者が第2の配送計画を利用できない場合がある。これに対して、移動体の属性に基づいて固定部分が決定され、固定部分を変更しないで(言い換えると、固定部分以外を変更して)第1の配送計画に代わる第2の配送計画が生成される。つまり、本態様によれば、事業者の業務形態に適応した配送計画を生成し直すことができる。事業者の業務形態に適応した配送計画が生成されることで、配送業務の変更に対応しつつ効率的に配送を行うことができる。
【0089】
(その他の実施の形態)
以上、本開示の一つ又は複数の態様に係る情報処理システム10及び情報処理方法について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を各実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の一つ又は複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0090】
例えば、本開示では、移動体の目的は配送に限られない。具体的には、移動体の目的はサービスの提供であってもよい。例えば、サービスが医療である場合、移動体は受診対象の人の家を巡回することが考えられる。すなわち移動計画として巡回計画が作成される。また、この場合、移動体は、医者若しくは看護師等の医療サービスの提供者、又は医療機器等を搭載する。
【0091】
例えば、急患が発生した場合、情報処理システム10は、医療サービス提供のための移動体の属性に基づいて巡回計画における変更が許可されない目的地に関する固定部分を決定する。医療サービス提供のための移動体の属性としては、患者の収容数、車内医療設備の有無等がある。車内医療設備は、サービス用設備の一例である。そして、情報処理システム10は、当該固定部分を変更しないで、急患発生箇所を含む複数の目的地と移動体の位置とに基づいて第2の巡回計画を生成する。
【0092】
また、例えば、サービスが機器の修理又はメンテナンス等の作業である場合、移動体は作業対象の物が保管されている家を巡回することが考えられる。すなわち移動計画として巡回計画が作成される。また、この場合、移動体は、修理若しくはメンテナンス等の作業者、又は作業器具等を搭載する。
【0093】
例えば、緊急を要するような修理又はメンテナンスの依頼が発生した場合、あるいは、作業がキャンセルされた場合、情報処理システム10は、作業サービス提供のための移動体の属性に基づいて巡回計画における変更が許可されない目的地に関する固定部分を決定する。そして、情報処理システム10は、当該固定部分を変更しないで、緊急作業依頼の発生箇所を含みかつ作業がキャンセルされた箇所を含まない複数の目的地と移動体の位置とに基づいて第2の巡回計画を生成する。
【0094】
また、例えば、サービスが営業の場合、移動体は営業対象の人の家を巡回することが考えられる。すなわち移動計画として巡回計画が作成される。また、この場合、移動体は、セールスパーソン、又は営業に用いる書類等の物を搭載する。
【0095】
例えば、営業先が追加された、又は営業がキャンセルとなった場合、情報処理システム10は、営業のための移動体の属性に基づいて巡回計画における変更が許可されない目的地に関する固定部分を決定する。そして、情報処理システム10は、当該固定部分を変更しないで、追加の営業先を含みかつキャンセルされた営業先を含まない複数の目的地と移動体の位置とに基づいて第2の巡回計画を生成する。
【0096】
例えば、本開示は、情報処理方法に含まれるステップを、コンピュータに実行させるためのプログラムとして実現できる。さらに、本開示は、そのプログラムを記録したCD-ROM等である非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体として実現できる。
【0097】
例えば、本開示が、プログラム(ソフトウエア)で実現される場合には、コンピュータのCPU、メモリ及び入出力回路等のハードウェア資源を利用してプログラムが実行されることによって、各ステップが実行される。つまり、CPUがデータをメモリ又は入出力回路等から取得して演算したり、演算結果をメモリ又は入出力回路等に出力したりすることによって、各ステップが実行される。
【0098】
本開示において、ユニット、装置、システム、部材又は部の全部又は一部、又は図に示されるブロック図の機能ブロックの全部又は一部は、半導体装置、半導体集積回路(IC)、又はLSI(Large Scale Integration)を含む一つ又は複数の電子回路によって実行されてもよい。LSI又はICは、一つのチップに集積されてもよいし、複数のチップを組み合わせて構成されてもよい。例えば、記憶素子以外の機能ブロックは、一つのチップに集積されてもよい。ここでは、LSI又はICと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、若しくはULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるものであってもよい。LSIの製造後にプログラムされる、Field Programmable Gate Array(FPGA)、又はLSI内部の接合関係の再構成又はLSI内部の回路区画のセットアップができるReconfigurable Logic Deviceも同じ目的で使うことができる。
【0099】
さらに、ユニット、装置、部材又は部の全部又は一部の機能又は操作は、ソフトウエア処理によって実行することが可能である。この場合、ソフトウエアは一つ又は複数のROM、光学ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録され、ソフトウエアが処理装置(Processor)によって実行されたときに、そのソフトウエアで特定された機能が処理装置(Processor)及び周辺装置によって実行される。システム又は装置は、ソフトウエアが記録されている一つ又は複数の非一時的記録媒体、処理装置(Processor)、及び必要とされるハードウエアデバイス、例えばインターフェース、を備えていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本開示に係る情報処理方法は、配送又はサービスの提供のためのシステムに適用できる。
【符号の説明】
【0101】
10 情報処理システム
11 第1目的地取得部
12 最適化項目取得部
13 第1配送計画生成部
14 第1配送計画取得部
15 状態取得部
16 属性取得部
17 固定部分決定部
18 第2目的地取得部
19 固定部分取得部
20 第2配送計画生成部
21 緩和部
100 移動体
200 拠点
201、202、203、204、205 目的地
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7