(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】情報提示方法、情報提示装置、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
A47L 9/28 20060101AFI20240830BHJP
【FI】
A47L9/28 E
A47L9/28 Z
(21)【出願番号】P 2022503165
(86)(22)【出願日】2021-01-22
(86)【国際出願番号】 JP2021002328
(87)【国際公開番号】W WO2021171855
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2023-06-16
(31)【優先権主張番号】P 2020031740
(32)【優先日】2020-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】池田 洋一
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-198346(JP,A)
【文献】特開2000-060782(JP,A)
【文献】特表2019-522301(JP,A)
【文献】特開2018-139720(JP,A)
【文献】特開平05-046239(JP,A)
【文献】特開2015-027345(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/28
G05D 1/00 - 1/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータにより実行される情報提示方法であって、
特定の区域に含まれる複数の領域それぞれにおいて自走式掃除機が掃除を行った位置を表す掃除軌跡と、前記特定の区域に含まれ、かつ、一の領域から当該一の領域と異なる領域に移動した前記自走式掃除機の経路を表す移動軌跡と、を含む走行軌跡情報を取得し、
前記掃除軌跡及び前記移動軌跡を含む提示情報であって、特定の条件を満たす場合に、前記掃除軌跡及び前記移動軌跡の少なくとも一方の表示態様を異ならせた提示情報を作成し、
前記特定の区域における前記自走式掃除機の走行軌跡として、前記提示情報をユーザに提示
し、
前記特定の条件は、前記特定の区域の掃除頻度が所定値以上である、
情報提示方法。
【請求項2】
前記提示情報を作成する際、
前記特定の条件として、前記特定の区域に対する過去の走行軌跡情報が存在しない場合に、前記移動軌跡の表示態様を異ならせた前記提示情報を作成する、
請求項1に記載の情報提示方法。
【請求項3】
前記提示情報を作成する際、
前記特定の条件として、前記特定の区域に対する過去の走行軌跡情報が存在する場合に、前記掃除軌跡の表示態様を異ならせた前記提示情報を作成する、
請求項1に記載の情報提示方法。
【請求項4】
前記提示情報を作成する際、
前記特定の条件として、前記特定の区域をそれぞれ所定の大きさとなる複数のブロックに分割した場合の、少なくとも一のブロックに占める前記掃除軌跡及び前記移動軌跡を含む走行軌跡の密度が一定以上であるときに、前記移動軌跡の表示態様を異ならせた前記提示情報を作成する、
請求項1に記載の情報提示方法。
【請求項5】
前記提示情報を作成する際、
さらに、前記複数のブロックそれぞれに占める前記密度に応じて、前記複数のブロックごとに前記移動軌跡の表示態様を異ならせた前記提示情報を作成する、
請求項4に記載の情報提示方法。
【請求項6】
前記表示態様は、ディスプレイで表示される軌跡の濃淡である、
請求項1~5のいずれか1項に記載の情報提示方法。
【請求項7】
前記表示態様は、ディスプレイで表示される軌跡の色である、
請求項1~5のいずれか1項に記載の情報提示方法。
【請求項8】
前記表示態様は、ディスプレイで表示される軌跡の輝度である、
請求項1~5のいずれか1項に記載の情報提示方法。
【請求項9】
前記表示態様は、ディスプレイで表示される軌跡の線の太さである、
請求項1~5のいずれか1項に記載の情報提示方法。
【請求項10】
前記表示態様は、ディスプレイで表示される軌跡の線種である、
請求項1~5のいずれか1項に記載の情報提示方法。
【請求項11】
さらに、取得した前記走行軌跡情報に含まれる前記移動軌跡の全長が所定値以上の場合、前記自走式掃除機が次回に掃除を行うときの前記経路を異ならせる提案を示す提案情報を作成し、
前記提案情報を前記ユーザに提示する、
請求項1~10のいずれか1項に記載の情報提示方法。
【請求項12】
さらに、前記提案情報が前記ユーザにより承認された場合、前記提案情報に基づき、前記自走式掃除機が次回に掃除を行うときの前記経路を異ならせる命令を、前記自走式掃除機に送信する、
請求項11に記載の情報提示方法。
【請求項13】
特定の区域に含まれる複数の領域それぞれにおいて自走式掃除機が掃除を行った位置を表す掃除軌跡と、前記特定の区域に含まれ、かつ、一の領域から当該一の領域と異なる領域に移動した前記自走式掃除機の経路を表す移動軌跡と、を含む走行軌跡情報を取得する取得部と、
前記掃除軌跡及び前記移動軌跡を含む提示情報であって、特定の条件を満たす場合に、前記掃除軌跡及び前記移動軌跡の少なくとも一方の表示態様を異ならせた提示情報を作成する提示情報作成部と、
前記特定の区域における前記自走式掃除機の走行軌跡として、前記提示情報をユーザに提示する表示部とを備え、
前記特定の条件は、前記特定の区域の掃除頻度が所定値以上である、
情報提示装置。
【請求項14】
特定の区域に含まれる複数の領域それぞれにおいて自走式掃除機が掃除を行った位置を表す掃除軌跡と、前記特定の区域に含まれ、かつ、一の領域から当該一の領域と異なる領域に移動した前記自走式掃除機の経路を表す移動軌跡と、を含む走行軌跡情報を取得し、
前記掃除軌跡及び前記移動軌跡を含む提示情報であって、特定の条件を満たす場合に、前記掃除軌跡及び前記移動軌跡の少なくとも一方の表示態様を異ならせた提示情報を作成し、
前記特定の区域における前記自走式掃除機の走行軌跡として、前記提示情報をユーザに提示することを、コンピュータに実行させ、
前記特定の条件は、前記特定の区域の掃除頻度が所定値以上である、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自走式掃除機の情報を提示する情報提示方法、情報提示装置、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅等の建物における部屋の掃除を自動で行う自走式掃除機が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、自走式掃除機は自動で(自律的に)掃除を行うため、ユーザは自走式掃除機が部屋のどこを掃除したかを知りたい場合がある。
【0005】
しかしながら、自走式掃除機が自律的に走行した走行軌跡をそのままユーザが見た場合、走行軌跡が入り組んでいる領域があると、ユーザは自走式掃除機が当該領域を正しく網羅して掃除できているのかわからないという課題がある。
【0006】
本開示は、上述の事情を鑑みてなされたもので、自走式掃除機がどのように掃除を行ったかについて容易に把握させることができる情報提示方法、情報提示装置、及び、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の一形態に係る情報提示方法は、コンピュータにより実行される情報提示方法であって、特定の区域に含まれる複数の領域それぞれにおいて自走式掃除機が掃除を行った位置を表す掃除軌跡と、前記特定の区域に含まれ、かつ、一の領域から当該一の領域と異なる領域に移動した前記自走式掃除機の経路を表す移動軌跡と、を含む走行軌跡情報を取得し、前記掃除軌跡及び前記移動軌跡を含む提示情報であって、特定の条件を満たす場合に、前記掃除軌跡及び前記移動軌跡の少なくとも一方の表示態様を異ならせた提示情報を作成し、前記特定の区域における前記自走式掃除機の走行軌跡として、前記提示情報をユーザに提示する。
【0008】
また、上記目的を達成するために、本開示の一形態に係る情報提示装置は、特定の区域に含まれる複数の領域それぞれにおいて自走式掃除機が掃除を行った位置を表す掃除軌跡と、前記特定の区域に含まれ、かつ、一の領域から当該一の領域と異なる領域に移動した前記自走式掃除機の経路を表す移動軌跡と、を含む走行軌跡情報を取得する取得部と、前記掃除軌跡及び前記移動軌跡を含む提示情報であって、特定の条件を満たす場合に、前記掃除軌跡及び前記移動軌跡の少なくとも一方の表示態様を異ならせた提示情報を作成する提示情報作成部と、前記特定の区域における前記自走式掃除機の走行軌跡として、前記提示情報をユーザに提示する表示部とを備える。
【0009】
なお、これらのうちの一部の具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータで読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体を用いて実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせを用いて実現されてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、自走式掃除機がどのように掃除を行ったかについて容易に把握させることができる情報提示方法、情報提示装置、及び、プログラムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る情報提示システムの一例を示す図である。
【
図2A】
図2Aは、実施の形態に係る自走式掃除機が走行しながら作成するマップ情報及び走行軌跡情報についての説明図である。
【
図2B】
図2Bは、実施の形態に係る自走式掃除機が走行しながら作成するマップ情報及び走行軌跡情報についての説明図である。
【
図2C】
図2Cは、実施の形態に係る自走式掃除機が走行しながら作成するマップ情報及び走行軌跡情報についての説明図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る情報提示装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図4A】
図4Aは、比較例に係る移動軌跡と掃除軌跡との表示態様が同じ場合の例を示す図である。
【
図4B】
図4Bは、実施の形態に係る移動軌跡の線の太さの表示態様を異ならせた場合の例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る情報提示装置の機能をソフトウェアにより実現するコンピュータハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施の形態に係る情報提示装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、
図6に示すステップS11の詳細動作の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施の形態の変形例に係る情報提示装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、実施の形態の変形例に係る提案部の機能構成を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、実施の形態の変形例に係る提案情報の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、実施の形態の変形例に係る情報提示装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の一態様に係る情報提示方法等について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また全ての実施の形態において、各々の内容を組み合わせることもできる。
【0013】
(実施の形態)
[情報提示システム]
まず、実施の形態に係る情報提示システムについて説明する。
図1は、本実施の形態に係る情報提示システムの一例を示す図である。
【0014】
本実施の形態に係る情報提示システムは、情報提示装置10と自走式掃除機20とを備える。情報提示装置10と自走式掃除機20とは通信可能である。
【0015】
[自走式掃除機20]
自走式掃除機20は、各種センサ(不図示)と走行制御部(不図示)と掃除実行部(不図示)とを備え、住宅等の建物における部屋の床面上などを自律的に移動しながら当該床面の掃除を実行することができる掃除ロボットである。換言すると、自走式掃除機20は、各種センサを用いて、特定の区域内を走行制御部により自律的に走行し、掃除実行部により当該区域内に存在するごみを吸引する掃除ロボットである。
【0016】
本実施の形態では、自走式掃除機20は、例えば複数の部屋を部屋ごとにすなわち複数の領域からなる特定の区域を領域ごとに、自律的に走行しながら掃除する。また、自走式掃除機20は、毎回、特定の区域のマップを作成しながら掃除する。
【0017】
自走式掃除機20は、さらに後述する
図3に示されるマップ格納部201と軌跡格納部202とを備える。自走式掃除機20は、特定の区域内を自律的に走行しながら、例えばカメラなどのセンサを用いて走行した箇所の周囲のマップを作成することで、特定の区域のマップを作成し、作成したマップを示すマップ情報をマップ格納部201に格納する。また、自走式掃除機20は、特定の区域内を自律的に走行しながら、加速度センサ及び/または速度センサなどを用いて自走式掃除機20が走行した位置(座標点)を表す走行軌跡を示す走行軌跡情報を軌跡格納部202に格納する。
【0018】
ここで、走行軌跡情報には、特定の区域に含まれる複数の領域それぞれにおいて自走式掃除機20が掃除を行った位置を表す掃除軌跡と、特定の区域に含まれ、かつ、一の領域から当該一の領域と異なる領域に移動した自走式掃除機20の経路を表す移動軌跡とが含まれる。なお、移動軌跡を走行中の自走式掃除機20は、掃除を行わずに領域の移動のみを行ってもよいし、掃除を行いながら領域の移動を行ってもよい。また、自走式掃除機20は、掃除効率を鑑み、基本的には、掃除軌跡が重ならないように走行する。
【0019】
なお、各種センサは、上記のカメラ、加速度センサ及び速度センサに限らず、障害物センサ、測距センサ、衝突センサ、角速度センサ及び床面センサのいずれか1つ以上であってもよい。つまり、各種センサは、自走式掃除機20が特定の区域内を自律的に走行しながら、マップを作成でき、かつ、自走式掃除機20が走行した位置を表す走行軌跡を取得できれば、どのようなセンサであってもよい。障害物センサは、自走式掃除機20の前方に存在する障害物を検出するセンサである。測距センサは、自走式掃除機20の周囲に存在する障害物などの物体と自走式掃除機20との距離を検出するセンサである。衝突センサは、自走式掃除機20の周囲に取り付けられているバンパが、障害物に接触したことを検出するセンサである。床面センサは、自走式掃除機20の底面の複数箇所に配置され、掃除対象としての床面が存在するか否かを検出するセンサである。加速度センサは、自走式掃除機20が走行する際の加速度を検出するセンサである。角速度センサは、自走式掃除機20が旋回する際の角速度を検出するセンサである。
【0020】
以下、自走式掃除機20が自律的に走行しながら、特定の区域のマップを作成しつつ、走行した位置を表す走行軌跡が描かれる様子について図を用いて説明する。
【0021】
図2A~
図2Cは、本実施の形態に係る自走式掃除機20が走行しながら作成するマップ情報及び走行軌跡情報についての説明図である。
図2A~
図2Cには、自走式掃除機20の掃除対象とする範囲(特定の区域)一例として、2つの領域41、42からなる部屋が示されている。また、
図2A~
図2Cでは、自走式掃除機20の走行軌跡が、説明の便宜上、自走式掃除機20の処理内部の分類である移動軌跡と掃除軌跡とに区別されて描かれている。なお、自走式掃除機20は、自身の走行軌跡に対して、移動軌跡であるか掃除軌跡であるか処理内部の分類を示す情報を付している。また、自走式掃除機20は、原則、掃除軌跡が重ならないように走行するよう設計されている。
【0022】
まず、
図2Aに示すように、充電台30に位置していた自走式掃除機20は、部屋の掃除を開始するために、充電台30から移動後に掃除を開始する。自走式掃除機20は、
図2Aの点線で描かれる掃除軌跡を走行しながら掃除するとともに、カメラなどのセンサを用いてマップ40aを作成する。
図2Aに示されるマップ40aは、自走式掃除機20が充電台30を出発して、掃除軌跡を走行しながら位置31に到達するまでにカメラなどのセンサが撮像できる範囲で生成したマップである。
【0023】
次に、
図2Aの位置31に到達した自走式掃除機20は、
図2Bに示す領域41において掃除軌跡を走行しながら掃除するとともに、マップ40bを作成する。そして、自走式掃除機20は、
図2Bに示す領域41における掃除軌跡に沿って走行しながら、カメラなどのセンサによって壁など領域41の境界が確認でき、かつ、当該領域41すべてを掃除した場合に、領域41とは異なる領域42に移動する。自走式掃除機20は、
図2Aに示すマップ40aを作成した際に、上方の左側に領域41が閉じていないことを把握しているので、領域41の端、かつ、掃除軌跡の端となる位置32に向かって移動する。なお、
図2Bに示されるマップ40bは、自走式掃除機20が走行軌跡すなわち掃除軌跡及び移動軌跡を走行した際にカメラが撮像できる範囲で生成したマップをマップ40aに追加したものである。
【0024】
次に、
図2Bの位置32に到達した自走式掃除機20は、
図2Cに示す領域42において掃除軌跡を走行しながら掃除するとともに、マップ40cを作成する。自走式掃除機20は、
図2Cに示す領域42における掃除軌跡に沿って走行しながら、カメラなどのセンサにより壁など領域42の境界が確認でき、かつ、当該領域42すべてを掃除した場合には、領域42とは異なる領域に移動しようとする。
図2Cに示すマップ40cでは、領域42と異なりかつ掃除していない領域がないため、自走式掃除機20は、充電台30に戻るために位置33に向かって移動する。なお、
図2Cに示されるマップ40cは、自走式掃除機20が領域42における掃除軌跡及び移動軌跡を走行した際にカメラが撮像できる範囲で生成したマップをマップ40bに追加したものである。また、マップ40cに含まれる領域41及び領域42を含む区域は、自走式掃除機20が掃除対象とする範囲であり、特定の区域に該当する。
【0025】
このように、掃除軌跡は重ならない一方で、移動軌跡は、掃除軌跡と重なったり交差したりする場合がある。すなわち、走行軌跡が入り組んでしまう領域がある。走行軌跡が入り組んでしまう領域がある場合にユーザが走行軌跡を見たとき、ユーザは自走式掃除機20が当該領域を正しく網羅して掃除できているのかわからない。
【0026】
なお、自走式掃除機20は、自身の掃除軌跡と移動軌跡とを含む走行軌跡情報を軌跡格納部202に格納し、自身で作成したマップを示すマップ情報をマップ格納部201に格納すると説明したが、これに限らない。自走式掃除機20は、走行軌跡情報をクラウドにある軌跡格納部に格納し、マップ情報をクラウドにあるマップ格納部に格納するとしてもよい。
【0027】
[情報提示装置10]
次に、情報提示装置10について、
図3を用いて説明する。
【0028】
図3は、本実施の形態に係る情報提示装置10の構成の一例を示すブロック図である。
【0029】
情報提示装置10は、自走式掃除機20の走行軌跡のうち掃除軌跡及び移動軌跡の少なくとも一方の表示態様を異ならせてディスプレイ等に表示させることができる。これにより、ユーザは自走式掃除機20がどのように掃除を行ったかについて容易に把握することができる。
【0030】
本実施の形態では、情報提示装置10は、
図3に示すように、取得部11と、条件判定部12と、提示情報作成部13と、表示部14とを備える。なお、情報提示装置10は、表示部14を備えることは必須ではない。以下、各構成要素について詳細に説明する。
【0031】
[取得部11]
取得部11は、特定の区域に含まれる複数の領域それぞれにおいて自走式掃除機20が掃除を行った位置を表す掃除軌跡と、特定の区域に含まれ、かつ、一の領域から当該一の領域と異なる領域に移動した自走式掃除機20の経路を表す移動軌跡と、を含む走行軌跡情報を取得する。ここで、特定の区域は、上述したように、自走式掃除機20が充電台から出発して充電台に戻ってくるまでの1回の掃除で掃除対象とする範囲を意味する。
【0032】
本実施の形態では、取得部11は、マップ取得部111と軌跡取得部112とを備える。
【0033】
マップ取得部111は、自走式掃除機20と通信し、マップ格納部201から自走式掃除機20が作成した最新のマップ情報を取得して、不図示のメモリに格納する。なお、当該マップ情報がクラウドに格納されている場合には、マップ取得部111は、クラウドと通信し、自走式掃除機20が作成した最新のマップ情報を取得すればよい。また、不図示のメモリは、マップ取得部111が取得した過去のマップ情報を蓄積している。
【0034】
軌跡取得部112は、自走式掃除機20と通信し、軌跡格納部202から自走式掃除機20の最新の掃除軌跡と最新の移動軌跡とを含む最新の走行軌跡情報を取得する。なお、当該走行軌跡情報がクラウドに格納されている場合には、軌跡取得部112は、クラウドと通信し、自走式掃除機20の最新の走行軌跡情報を取得すればよい。
【0035】
[条件判定部12]
条件判定部12は、取得部11が取得した走行軌跡情報が特定の条件を満たすか否かを判定する。条件判定部12は、判定結果を提示情報作成部13に伝達する。
【0036】
ここで、特定の条件は、予め定められている。また、例えば、条件判定部12は、特定の区域に対する過去の走行軌跡情報が存在しない場合、または、特定の区域に対する過去の走行軌跡情報が存在する場合に、特定の条件を満たすと判定してもよい。また、例えば特定の区域をそれぞれ所定の大きさとなる複数のブロックに分割したとする。この場合、条件判定部12は、複数のブロックのうちの少なくとも一のブロックに占める掃除軌跡及び移動軌跡を含む走行軌跡の密度が一定以上であるときに、特定の条件を満たすと判定してもよい。
【0037】
なお、条件判定部12は、走行軌跡の密度だけでなく掃除軌跡の密度を用いて判定してもよい。また、条件判定部12は、掃除頻度またはマップ掃除頻度を用いて判定してもよい。
【0038】
図3に示す例では、条件判定部12は、掃除頻度判定部121と掃除軌跡密度判定部122とを備え、掃除軌跡の密度及び/またはマップ掃除頻度を用いて、予め定められた特定の条件を満たすか否かを判定する。
【0039】
<掃除頻度判定部121>
掃除頻度判定部121は、マップ取得部111が取得した最新のマップ情報と過去のマップ情報とに基づいて、特定の条件を満たすか否かを判定することで、特定の区域を高い頻度で掃除しているかを判定する。
【0040】
より具体的には、まず、掃除頻度判定部121は、マップ取得部111が取得した最新のマップ情報に示されるマップと過去のマップ情報に示されるマップとの重複面積が一定以上であれば、これらのマップが同じ場所(特定の区域)を示していると判定する。自走式掃除機20は、毎回、マップを再作成するため、最新のマップ情報に示されるマップと過去のマップ情報に示されるマップそれぞれとが同じ場所を示しているかどうかをまず判定する。次に、掃除頻度判定部121は、最新のマップ情報に示されるマップと同じ場所を示す過去のマップ情報に示されるマップの数に基づき、当該場所を何回(n回と称する)掃除したかをカウントする。
【0041】
なお、上記の判定は、以下のように行ってもよい。すなわち、掃除頻度判定部121は、まず、最新のマップ情報に示されるマップと過去のマップ情報に示されるマップ1枚ずつとを、充電台の向きと充電台座標とが一致するように重ね合わせる。次いで、掃除頻度判定部121は、重複する面積が所定値(例えば80%)以上のマップ数(n個)をカウントしてもよい。
【0042】
次に、掃除頻度判定部121は、カウントした回数(n回)を、全掃除回数(N)で割った数をマップ掃除頻度とし、全掃除回数(N)が所定値(例えば10)以上、かつ、マップ掃除頻度が所定値(例えば0.5)以上であるかを判定する。
【0043】
そして、掃除頻度判定部121は、全掃除回数(N)が所定値以上、かつ、マップ掃除頻度が所定値以上である場合、特定の条件を満たす旨を示す判定結果を提示情報作成部13に伝達する。一方、掃除頻度判定部121は、全掃除回数(N)が所定値(例えば10)未満、または、マップ掃除頻度が所定値(例えば0.5)未満である場合、特定の条件を満たさない旨を示す判定結果を提示情報作成部13に伝達する。
【0044】
このように、掃除頻度判定部121は、特定の区域を過去に掃除したかどうか、さらに過去に掃除していた場合、何回掃除したかを判定し、マップ掃除頻度を演算する。そして、掃除頻度判定部121は、マップ掃除頻度を用いて、特定の条件を満たすかを判定し、その判定結果を提示情報作成部13に伝達する。
【0045】
<掃除軌跡密度判定部122>
掃除軌跡密度判定部122は、軌跡取得部112が取得した最新の走行軌跡情報に基づいて、特定の条件を満たすか否かを判定することで、走行軌跡が入り組んでいて見にくい領域があるかを判定する。
【0046】
より具体的には、まず、掃除軌跡密度判定部122は、軌跡取得部112が取得した最新の走行軌跡情報に基づいて、走行軌跡を例えば1m四方のブロックに区切ったブロックごとに、ブロック内にある掃除軌跡の座標数が所定値(例えば10座標)以上かを判定する。
【0047】
そして、掃除軌跡密度判定部122は、掃除軌跡の座標数が所定値以上であるブロックがある場合、特定の条件を満たす旨を示す判定結果を提示情報作成部13に伝達する。
【0048】
このように、掃除軌跡密度判定部122は、特定の区域に含まれる複数の所定のブロックのうちの掃除軌跡が入り組んで見にくいブロックがあるかどうかを全ブロックについて判定し、その判定結果を提示情報作成部13に伝達する。
【0049】
[提示情報作成部13]
提示情報作成部13は、自走式掃除機20の掃除軌跡及び移動軌跡を含む提示情報であって、特定の条件を満たす場合に、当該掃除軌跡及び当該移動軌跡の少なくとも一方の表示態様を異ならせた提示情報を作成する。
【0050】
ここで、例えば、提示情報作成部13は、特定の条件として、当該特定の区域に対する過去の走行軌跡情報が存在しない場合に、移動軌跡の表示態様を異ならせた提示情報を作成してもよい。また、例えば、提示情報作成部13は、特定の条件として、当該特定の区域に対する過去の走行軌跡情報が存在する場合に、掃除軌跡の表示態様を異ならせた提示情報を作成してもよい。
【0051】
なお、特定の区域をそれぞれ所定の大きさとなる複数のブロックに分割したとする。この場合、例えば、提示情報作成部13は、特定の条件として、複数のブロックのうちの少なくとも一のブロックに占める掃除軌跡及び移動軌跡を含む軌跡の密度が一定以上であるときに、移動軌跡の表示態様を異ならせた提示情報を作成してもよい。ここで、さらに、提示情報作成部13は、複数のブロックそれぞれに占める密度に応じて、複数のブロックごとに移動軌跡の表示態様を異ならせた提示情報を作成してもよい。
【0052】
本実施の形態では、提示情報作成部13は、条件判定部12の判定結果に応じて提示情報を作成する。例えば、提示情報作成部13は、条件判定部12により特定の条件を満たす旨の判定結果が伝達された場合、掃除軌跡または移動軌跡の表示態様を異ならせた提示情報を作成してもよい。
【0053】
また、提示情報作成部13は、条件判定部12により掃除軌跡の密度及び/またはマップ掃除頻度に基づく特定の条件を満たす旨の判定結果が伝達された場合、移動軌跡の濃度を薄めるなど移動軌跡の表示態様を異ならせた提示情報を作成してもよい。
【0054】
例えば、条件判定部12により、全掃除回数(N)が所定値以上、かつ、マップ掃除頻度が所定値以上の場合であり特定の条件を満たす旨を示す第1判定結果が、提示情報作成部13に伝達されたとする。この場合、提示情報作成部13は、第1判定結果に基づいて、移動軌跡の濃度を50%薄めるなど移動軌跡の表示態様を異ならせた提示情報を作成してもよい。
【0055】
また、例えば、条件判定部12により、掃除軌跡の座標数が所定値以上であるブロックがあり特定の条件を満たす旨を示す第2判定結果が、提示情報作成部13に伝達されたとする。この場合、提示情報作成部13は、第2判定結果に基づいて、掃除軌跡の座標数が所定値以上であるブロック内の移動軌跡の濃度を50%薄めるなど移動軌跡の表示態様を異ならせた提示情報を作成してもよい。
【0056】
さらに、条件判定部12により、上記の第1判定結果及び第2判定結果が、提示情報作成部13に伝達されたとする。この場合、提示情報作成部13は、第1判定結果及び第2判定結果に基づいて、移動軌跡の濃度を50%薄め、かつ、掃除軌跡の座標数が所定値以上であるブロック内の移動軌跡の濃度をさらに50%薄めるなどで移動軌跡の表示態様を異ならせた提示情報を作成してもよい。
【0057】
なお、表示態様を異ならせる例は、移動軌跡の濃度を異ならせる場合に限らない。他の例については後述する。
【0058】
[表示部14]
表示部14は、例えばディスプレイを含むが、これに限らない。表示部14は、スマートフォンまたはタブレットなどの携帯端末であってもよいし、テレビ、プロジェクタまたはパソコンであってもよい。つまり、表示部14は、ディスプレイを含みユーザに提示情報を視認させることができれば、その形態は問われない。
【0059】
表示部14は、特定の区域における自走式掃除機20の走行軌跡として、提示情報作成部13が作成した提示情報をユーザに提示する。つまり、表示部14は、掃除軌跡及び移動軌跡の少なくとも一方の表示態様を異ならせた提示情報をディスプレイで表示することで、提示情報をユーザに提示する。ここで、表示態様は、ディスプレイで表示される軌跡の濃淡、色、輝度、線の太さ、及び、線種のうちの少なくとも1つである。
【0060】
本実施の形態では、表示部14は、取得部11が取得した最新のマップ情報に示されるマップに、提示情報作成部13から伝達された提示情報を重畳させてディスプレイで表示する。例えば、表示部14は、取得部11が取得した最新のマップ情報に示されるマップに最新の掃除軌跡を重畳させ、かつ、提示情報作成部13から伝達された提示情報に基づいて、移動軌跡の濃淡等の表示態様を異ならせたものを重畳させてディスプレイで表示する。
【0061】
ここで、一例として、表示部14により、移動軌跡の線の太さの表示態様を異ならせて表示される場合について説明する。
【0062】
図4Aは、比較例に係る移動軌跡と掃除軌跡との表示態様が同じ場合の例を示す図である。
図4Bは、本実施の形態に係る移動軌跡の線の太さの表示態様を異ならせた場合の例を示す図である。
図4Aでは、表示部14により、マップ40に表示態様が同じ移動軌跡と掃除軌跡とが重畳されている。つまり、
図4Aでは、移動軌跡と掃除軌跡とが区別できない走行軌跡としてマップ40に重畳されている。一方、
図4Bでは、表示部14により、マップ40に、掃除軌跡と掃除軌跡よりも太い線で描かれた移動軌跡とが重畳されている。つまり、
図4Bでは、移動軌跡と掃除軌跡とが区別できる走行軌跡としてマップ40に重畳されている。
【0063】
図4A及び
図4Bを比較してわかるように、
図4Aでは、マップ40に重畳された掃除軌跡と移動軌跡とが同じ太さの線で描かれており、特に領域43では両者が入り組んでいる。このため、ユーザは、
図4Aに示されるマップ40を見ても自走式掃除機20が領域43を正しく網羅して掃除できているのかが容易にはわからない。一方、
図4Bでは、マップ40に重畳された掃除軌跡と移動軌跡とが異なる太さの線で描かれており、両者が入り組んでいる領域43でも、掃除軌跡が容易に区別できる。このため、ユーザは、
図4Bに示されるマップ40において例えば両者が入り組んでいる領域43を見ても、掃除軌跡が容易に区別できるので、自走式掃除機20が領域43を正しく網羅して掃除できているのかわかる。
【0064】
[情報提示装置10のハードウェア構成]
次に、本実施の形態に係る情報提示装置10のハードウェア構成について、
図5を用いて説明する。
図5は、本実施の形態に係る情報提示装置10の機能をソフトウェアにより実現するコンピュータ1000のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0065】
コンピュータ1000は、
図5に示すように、入力装置1001、出力装置1002、CPU1003、内蔵ストレージ1004、RAM1005、読取装置1007、送受信装置1008及びバス1009を備えるコンピュータである。入力装置1001、出力装置1002、CPU1003、内蔵ストレージ1004、RAM1005、読取装置1007及び送受信装置1008は、バス1009により接続される。
【0066】
入力装置1001は入力ボタン、タッチパッド、タッチパネルディスプレイなどといったユーザインタフェースとなる装置であり、ユーザの操作を受け付ける。なお、入力装置1001は、ユーザの接触操作を受け付ける他、音声での操作、リモコン等での遠隔操作を受け付ける構成であってもよい。
【0067】
内蔵ストレージ1004は、フラッシュメモリなどである。また、内蔵ストレージ1004は、情報提示装置10の機能を実現するためのプログラム、及び、情報提示装置10の機能構成を利用したアプリケーションの少なくとも一方が、予め記憶されていてもよい。
【0068】
RAM1005は、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory)であり、プログラム又はアプリケーションの実行に際してデータ等の記憶に利用される。
【0069】
読取装置1007は、USB(Universal Serial Bus)メモリなどの記録媒体から情報を読み取る。読取装置1007は、上記のようなプログラムやアプリケーションが記録された記録媒体からそのプログラムやアプリケーションを読み取り、内蔵ストレージ1004に記憶させる。
【0070】
送受信装置1008は、無線又は有線で通信を行うための通信回路である。送受信装置1008は、例えばネットワークに接続されたサーバ装置と通信を行い、サーバ装置から上記のようなプログラムやアプリケーションをダウンロードして内蔵ストレージ1004に記憶させる。
【0071】
CPU1003は、中央演算処理装置(Central Processing Unit)であり、内蔵ストレージ1004に記憶されたプログラム、アプリケーションをRAM1005にコピーし、そのプログラムやアプリケーションに含まれる命令をRAM1005から順次読み出して実行する。
【0072】
このように、情報提示装置10は、
図3に示す機能構成を
図5に示すようなコンピュータで実現される装置である。なお、情報提示装置10は、サーバ装置であってもよいし、スマートフォンまたはタブレットなどの携帯端末であってもよいし、パソコンであってもよい。
【0073】
[動作]
以上のように構成される本実施の形態に係る情報提示装置10の動作について、図を用いて説明する。
【0074】
図6は、本実施の形態に係る情報提示装置10の動作の一例を示すフローチャートである。
【0075】
まず、
図6に示すように、情報提示装置10は、自走式掃除機20の掃除軌跡と移動軌跡とを含む走行軌跡情報を取得する(S10)。より具体的には、情報提示装置10は、自走式掃除機20が格納するまたはクラウドに格納される走行軌跡情報を取得する。本実施の形態では、情報提示装置10は、自走式掃除機20が格納するまたはクラウドに格納されるマップ情報をさらに取得する。
【0076】
次に、情報提示装置10は、ステップS10で取得した掃除軌跡及び移動軌跡を含む提示情報を作成する(S11)。より具体的には、情報提示装置10は、ステップS10で取得した掃除軌跡及び移動軌跡を含む提示情報あって、特定の条件を満たす場合に、掃除軌跡及び移動軌跡の少なくとも一方の表示態様を異ならせた提示情報を作成する。例えば、情報提示装置10は、特定の条件を満たす場合に、掃除軌跡及び移動軌跡の少なくとも一方における例えば線種、輝度、色または濃淡などの表示態様を異ならせた提示情報を作成する。
【0077】
次に、情報提示装置10は、特定の区域における自走式掃除機20の走行軌跡として、ステップS11で作成した提示情報を、ユーザに提示する(S12)。
【0078】
図7は、
図6に示すステップS11の詳細動作の一例を示すフローチャートである。
【0079】
ステップS11において、まず、情報提示装置10は、ステップS10で取得した走行軌跡情報が特定の条件を満たすか否かを判定する(S111)。
【0080】
ステップS111において、情報提示装置10は、走行軌跡情報が特定の条件を満たすと判定した場合(S111でYes)、掃除軌跡及び移動軌跡の少なくとも一方の表示態様を異ならせる提示情報を作成する(S112)。
【0081】
一方、ステップS111において、情報提示装置10は、走行軌跡情報が特定の条件を満たさないと判定した場合(S111でNo)、掃除軌跡及び移動軌跡の表示態様が同じ提示情報を作成する(S113)。
【0082】
[効果等]
以上のように、本実施の形態に係る情報提示方法及び情報提示装置10によれば、自走式掃除機20の走行軌跡のうち掃除軌跡及び移動軌跡の少なくとも一方の表示態様を異ならせて表示させること(見える化すること)ができる。これにより、ユーザに自走式掃除機20がどのように掃除を行ったかについて容易に把握させることができる。よって、ユーザは、自走式掃除機20が特定の区域を掃除した際、どのように移動しているかと、網羅して掃除しているかを表示態様の異なる走行軌跡として把握できる。この結果、自走式掃除機20が行う掃除に対して安心感及び満足度がアップするという効果を奏する。
【0083】
なお、本実施の形態に係る情報提示装置10は、提示情報作成部13を備えるとして説明したが、これに限らない。情報提示装置10は、提示情報作成部13を備えなくてもよい。この場合、提示情報作成部13は、スマートフォンまたはタブレットなどの携帯端末に備えられていればよく、当該携帯端末は、情報提示装置10と通信可能であり、表示部14が備えられた他の携帯端末または情報提示装置10等と通信可能であればよい。
【0084】
また、本実施の形態に係る情報提示装置10は、上述したようにサーバ装置である場合に限らず、本実施の形態に係る情報提示装置10の一部の処理をクラウドまたはサーバ装置でおこなってもよい。サーバ装置はクラウドを構成し得るため、サーバ装置はクラウドであるとしてもよいし、一部機能をクラウドにさせる構成であってもよい。
【0085】
また、本実施の形態に係る情報提示装置10は、自走式掃除機20の走行軌跡のうち掃除軌跡及び移動軌跡の少なくとも一方の表示態様を異ならせることで移動軌跡を見える化しユーザに掃除結果を確認させるとして説明したが、これに限らない。例えば、本実施の形態に係る情報提示装置10は、移動軌跡を見える化しユーザに掃除結果を確認させるだけでなく、さらに、自走式掃除機20が次回に掃除を行うときの掃除の仕方を変更することの提案をユーザに行ってもよい。以下、この場合を変形例として上記実施の形態と異なる点を中心に説明する。
【0086】
(変形例)
[情報提示装置10A]
図8は、本実施の形態の変形例に係る情報提示装置10Aの構成の一例を示すブロック図である。
図3と同様の要素には同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。
【0087】
情報提示装置10Aは、自走式掃除機20の走行軌跡のうち掃除軌跡及び移動軌跡の少なくとも一方の表示態様を異ならせてディスプレイ等に表示させることで、移動軌跡を見える化してユーザに掃除結果を確認させることができる。本変形例では、情報提示装置10Aは、移動軌跡を見える化してユーザに掃除結果を確認させるだけでなく、さらに、自走式掃除機20が次回に掃除を行うときの掃除の仕方を変更する提案をユーザに行う。
【0088】
図8に示す情報提示装置10Aは、上記実施の形態に係る情報提示装置10に対して、提案部15Aの構成が追加されている点で異なる。
【0089】
[提案部15A]
提案部15Aは、提案情報を作成し、作成した提案情報をユーザに提示する。
【0090】
図9は、本実施の形態の変形例に係る提案部15Aの機能構成を示すブロック図である。
【0091】
提案部15Aは、
図9に示すように、全長判定部151と、提案情報作成部152と、命令作成部153とを備える。
【0092】
全長判定部151は、取得部11が取得した走行軌跡情報に含まれる移動軌跡の全長が所定値以上か否かを判定する。本変形例では、全長判定部151は、取得部11が取得した自走式掃除機20が作成した最新のマップ情報に示されるマップを用いて、移動軌跡の全長が所定値以上か否かを判定する。例えば、全長判定部151は、マップ情報に示されるマップの広さを規定する縦及び横の長さに沿って移動軌跡の全長を分け、分けることで得た縦横の長さの和を移動軌跡の全長として算出すればよい。そして、全長判定部151は、移動軌跡の全長を分けることで得た縦横の長さの和に対する、当該マップの広さを規定する縦及び横の長さの和の割合が閾値以上であれば、移動軌跡の全長が所定値以上であると判定すればよい。
【0093】
提案情報作成部152は、全長判定部151により移動軌跡の全長が所定値以上であると判定された場合、自走式掃除機20が次回に掃除を行うときの経路を異ならせる提案を示す提案情報を作成し、作成した提案情報をユーザに提示する。
【0094】
本変形例では、提案情報作成部152は、自走式掃除機20が次回に掃除を行うときの経路を異ならせるなど掃除の仕方を変更する提案を示す提案情報を作成する。提案情報作成部152は、作成した提案情報を表示部14に出力して表示部14において提案情報を表示させることで、ユーザに提案情報を提示する。
【0095】
図10は、本実施の形態の変形例に係る提案情報の一例を示す図である。
図10には、マップ40Aとともに掃除結果としての移動軌跡が提示され、その上で、自走式掃除機20が行う次回の掃除の仕方の変更を提案する提案情報の一例が示されている。
図10に示す例では、次回の掃除の仕方として、マップ40Aに示される特定の区域において掃除する領域の順番を変えることが提案されている。また、
図10に示す例では、提案により移動軌跡を短くすることで約10分掃除時間を短縮できることが提案されている。
【0096】
なお、マップ40Aと移動軌跡とが提示されるのは、マップ40Aと移動軌跡とがユーザに表示されることで、次回の掃除をどのように行うのがよいかの判断をユーザがしやすくするためである。
【0097】
命令作成部153は、提案情報作成部152により作成された提案情報がユーザにより承認された場合、当該提案情報に基づき、自走式掃除機20が次回に掃除を行うときの経路を異ならせる命令を作成する。命令作成部153は、作成した命令を、自走式掃除機20に送信する。
【0098】
提案情報をユーザが承認する場合の一例としては、例えば
図10に示されるような選択肢「変更して掃除」をユーザが選択することである。ユーザは、このような選択を不図示のインターフェースを介して入力することで、ユーザは当該提案情報を承認することができる。そして、
図10に示される選択肢「変更して掃除」がユーザにより選択された場合、命令作成部153は、特定の区域において掃除する領域の順番を変える命令を作成し、自走式掃除機20に送信する。
【0099】
[動作]
次に、以上のように構成される本変形例に係る情報提示装置10Aの動作について、図を用いて説明する。
【0100】
図11は、本実施の形態の変形例に係る情報提示装置10Aの動作の一例を示すフローチャートである。
【0101】
まず、
図11に示すように、情報提示装置10Aは、移動軌跡の全長が所定値以上か否かを判定する(S131)。より具体的には、情報提示装置10Aは、取得部11が取得した自走式掃除機20が作成した最新のマップ情報に示されるマップを用いて、取得部11が取得した走行軌跡情報に含まれる移動軌跡の全長が所定値以上か否かを判定する。
図10に示す例で説明すると、情報提示装置10Aは、マップ40Aの縦横の長さの和に対する、移動軌跡の全長をマップ40Aの縦横に分けたときの縦横の長さの和の割合が、閾値以上か否かを判定することで、移動軌跡の全長が所定値以上か否かを判定する。
【0102】
ステップS131において、移動軌跡の全長が所定値以上である場合(S131でYes)、情報提示装置10Aは、自走式掃除機20が次回に掃除を行うときの経路を異ならせる提案を示す提案情報を作成する(S132)。
図10に示す例で説明すると、情報提示装置10Aは、マップ40Aに示される特定の区域において掃除する領域の順番を変えるなど掃除の仕方を変更して、自走式掃除機20が次回に掃除を行うときの経路を異ならせる提案を示す提案情報を作成する。
【0103】
次に、情報提示装置10は、ステップS132において作成した提案情報をユーザに提示する(S133)。より具体的には、情報提示装置10は、作成した提案情報を表示部14に出力して表示部14において提案情報を表示させることで、ユーザに提案情報を提示する。
【0104】
[効果等]
以上のように、本変形例に係る情報提示方法及び情報提示装置10Aによれば、自走式掃除機20の走行軌跡のうち掃除軌跡及び移動軌跡の少なくとも一方の表示態様を異ならせて表示させること(見える化すること)ができる。これにより、ユーザに自走式掃除機20がどのように掃除を行ったかについて容易に把握させることができる。
【0105】
さらに、本変形例に係る情報提示方法及び情報提示装置10Aによれば、自走式掃除機20が次回に掃除を行うときの掃除の仕方を変更する提案をユーザに行うことができる。これにより、自走式掃除機20が次回に掃除を行うときの経路を異ならせて移動距離を短くすることができるので、自走式掃除機20が次回の掃除に要する時間を短くでき、自走式掃除機20が次回の掃除に要する消費電力を抑制することができる。また、自走式掃除機20が次回の掃除に要する時間が短くなることは、自走式掃除機20が掃除している特定の区域にユーザがいた場合には自走式掃除機20の掃除中に発生させる騒音の継続時間を短くできるので、ユーザは特定の区域で過ごしやすくなるという効果もある。
【0106】
なお、特定の区域に配置されるオブジェクトの模様替えをした場合、掃除範囲が変わってしまうので、その後に自走式掃除機20が特定の区域を掃除するための移動経路は長くなる傾向がある。しかし、本変形例のように自走式掃除機20が次回に掃除を行うときの掃除の仕方を変更する提案をユーザに行うことで、自走式掃除機20が次回に掃除を行うときの経路を異ならせて移動距離を短くすることができる。これにより、自走式掃除機20が次回の掃除に要する時間を短くすることができる。
【0107】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態に係る情報提示方法について説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0108】
また、本開示は、情報提示方法として実現できるだけでなく、情報提示方法をコンピュータ(コンピュータシステム)に実行させるためのプログラムとして実現できる。さらに、本開示は、そのプログラムを記録したCD-ROM等であるコンピュータで読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現できる。
【0109】
例えば、本開示に係る情報提示方法及び情報提示装置が、プログラム(ソフトウェア)で実現される場合には、コンピュータのCPU、メモリ及び入出力回路等のハードウェア資源を利用してプログラムが実行されることによって、各ステップが実行される。つまり、CPUがデータをメモリまたは入出力回路等から取得して演算したり、演算結果をメモリまたは入出力回路等に出力したりすることによって、各ステップが実行される。
【0110】
また、上記実施の形態の情報提示装置10に含まれる各構成要素は、専用または汎用の回路として実現されてもよい。
【0111】
また、上記実施の形態の情報提示装置10に含まれる各構成要素は、集積回路(IC:Integrated Circuit)であるLSI(Large Scale Integration)として実現されてもよい。
【0112】
また、集積回路はLSIに限られず、専用回路または汎用プロセッサで実現されてもよい。プログラム可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、または、LSI内部の回路セルの接続及び設定が再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサが、利用されてもよい。
【0113】
さらに、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて、情報提示装置10に含まれる各構成要素の集積回路化が行われてもよい。
【0114】
その他、実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【符号の説明】
【0115】
10、10A 情報提示装置
11 取得部
12 条件判定部
13 提示情報作成部
14 表示部
15A 提案部
20 自走式掃除機
30 充電台
40、40A、40a、40b、40c マップ
41、42、43 領域
31、32、33 位置
111 マップ取得部
112 軌跡取得部
121 掃除頻度判定部
122 掃除軌跡密度判定部
151 全長判定部
152 提案情報作成部
153 命令作成部
201 マップ格納部
202 軌跡格納部