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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】全館空調システム及び確認方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/49 20180101AFI20240830BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20240830BHJP
   F24F 110/10 20180101ALN20240830BHJP
   F24F 140/40 20180101ALN20240830BHJP
【FI】
F24F11/49
F24F7/007 B
F24F110:10
F24F140:40
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023502210
(86)(22)【出願日】2022-01-28
(86)【国際出願番号】 JP2022003287
(87)【国際公開番号】W WO2022181199
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-06-14
(31)【優先権主張番号】P 2021027172
(32)【優先日】2021-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】小原 大治
(72)【発明者】
【氏名】古門 健
(72)【発明者】
【氏名】中北 賢二
(72)【発明者】
【氏名】和中 剛
(72)【発明者】
【氏名】日比谷 新平
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-031506(JP,A)
【文献】特開平04-052445(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/49
F24F 7/007
F24F 110/10
F24F 140/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の対象空間のそれぞれに設けられる温度センサと、
前記複数の対象空間のそれぞれへの空気の流入量を制御するダンパと、
それぞれの前記ダンパを制御するコントローラとを備え、
前記コントローラは、前記ダンパと前記温度センサとの紐付け作業を実行し、紐付けの確認作業の際に、
前記複数の対象空間のうちの1つの対象空間である第1対象空間の目標温度を設定し、
前記目標温度に応じて前記第1対象空間に対応する前記ダンパを制御し、
前記目標温度に応じて前記第1対象空間に対応する前記ダンパの制御を開始した時点から所定期間経過後、(1)前記温度センサが検知した変化した温度が、前記第1対象空間において前記目標温度に近づいている場合、制御した前記ダンパと変化した温度を検知した前記温度センサとの紐付けが正しいと判定し、(2)前記温度センサが検知した温度が、前記第1対象空間において前記目標温度に近づいていない場合、制御した前記ダンパと変化した温度を検知した前記温度センサとの紐付けが誤っていると判定し、
判定した結果を出力する
全館空調システム。
【請求項2】
前記コントローラは、制御した前記ダンパと変化した温度を検知した前記温度センサとの紐付けが誤っていると判定した場合、前記複数の対象空間のうちの前記第1対象空間とは異なる空間である第2対象空間の変化した温度が前記第1対象空間の前記目標温度に近づいているときに、前記第1対象空間と前記第2対象空間とにおける制御した前記ダンパと変化した温度を検知した前記温度センサとが紐付けられていると判定する
請求項1に記載の全館空調システム。
【請求項3】
前記コントローラは、制御した前記ダンパと変化した温度を検知した前記温度センサとの紐付けが正しいと判定した場合に、前記所定期間経過後に前記目標温度に達していない場合、前記ダンパの能力が不足していると判定する
請求項1又は2に記載の全館空調システム。
【請求項4】
前記温度センサが検知した変化した温度が、前記所定期間の始点の温度と前記目標温度との差分値である第1差分値と、前記所定期間の終点の温度と前記目標温度との差分値である第2差分値とで示される場合、前記コントローラは、前記第1差分値が前記第2差分値よりも大きく、かつ、前記第1差分値と前記第2差分値との差異が所定値以上であれば、前記目標温度に近づいていると判定する
請求項1~3のいずれか1項に記載の全館空調システム。
【請求項5】
前記コントローラは、前記対象空間ごとに、制御した前記ダンパと変化した温度を検知した前記温度センサとの紐付けが正しいか否かを判定する
請求項1~4のいずれか1項に記載の全館空調システム。
【請求項6】
前記コントローラが判定した結果を表示する表示部を備える
請求項1~5のいずれか1項に記載の全館空調システム。
【請求項7】
温度センサとダンパとコントローラとを含む全館空調システムにおける前記温度センサと前記ダンパとの紐付を前記コントローラにより確認する確認方法であって、
前記ダンパと前記温度センサとの紐付け作業を実行し、紐付けの確認作業の際に、前記温度センサと前記ダンパとが設けられた複数の対象空間のうちの1つの第1対象空間の目標温度を設定し、
前記目標温度に応じて前記第1対象空間に対応する前記ダンパを制御し、
前記目標温度に応じて前記第1対象空間に対応する前記ダンパの制御を開始した時点から所定期間経過後、(1)前記温度センサが検知した変化した温度が、前記第1対象空間において前記目標温度に近づいている場合、制御した前記ダンパと変化した温度を検知した前記温度センサとの紐付けが正しいと判定し、(2)前記温度センサが検知した温度が、前記第1対象空間において前記目標温度に近づいていない場合、制御した前記ダンパと変化した温度を検知した前記温度センサとの紐付けが誤っていると判定し、
判定した結果を出力する
確認方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全館空調システム及び確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来の空気調和機の制御装置が開示されている。制御装置は、複数のダンパ開閉手段と複数の空調領域との対応をさせる開閉部部屋設定手段と、ダンパ開閉手段を予め決められた順に一定時間開閉する据付位置確認制御手段と、複数の空調領域の温度調節用センサの接続を判定するセンサ接続判定手段とを備えている。この制御装置は、センサ接続判定手段の結果と空調領域に対応した複数のダンパ開閉手段と複数の空調領域との対応関係を比較することで、異常時に警告する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平4-52445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の制御装置では、複数の空調領域のそれぞれにおいて、温度調節用センサとダンパ開閉手段との対応付けを、施工作業者が施工後に行うものである。そして、施工作業者は、当該対応付けを行った後に、複数の空調領域のそれぞれにおいて、当該対応付けが正しく行われているか否かの確認作業を実施する。
【0005】
しかしながら、施工作業者は、想定通りに動作しているかどうかを確認する作業を対応付けの数だけ行うため、確認作業に時間を要してしまう。また、想定通りに動作しない場合、施工作業者は、どのように設定誤りがあるかを確認するため、確認作業が煩雑になる。さらに、想定通りに動作しているかどうかを確認するために、運転開始してから室温が目標値に達するまでに時間を要する。このように、施工作業者の確認作業が長時間化してしまうという課題がある。
【0006】
そこで、本開示は、施工作業者の確認作業に要する時間の長期化を抑制することができる全館空調システム及び確認方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の一態様に係る全館空調システムは、複数の対象空間のそれぞれに設けられる温度センサと、前記複数の対象空間のそれぞれへの空気の流入量を制御するダンパと、それぞれの前記ダンパを制御するコントローラとを備え、前記コントローラは、前記ダンパと前記温度センサとの紐付け作業を実行し、紐付けの確認作業の際に、前記複数の対象空間のうちの1つの対象空間である第1対象空間の目標温度を設定し、前記目標温度に応じて前記第1対象空間に対応する前記ダンパを制御し、前記目標温度に応じて前記第1対象空間に対応する前記ダンパの制御を開始した時点から所定期間経過後、(1)前記温度センサが検知した変化した温度が、前記第1対象空間において前記目標温度に近づいている場合、制御した前記ダンパと変化した温度を検知した前記温度センサとの紐付けが正しいと判定し、(2)前記温度センサが検知した温度が、前記第1対象空間において前記目標温度に近づいていない場合、制御した前記ダンパと変化した温度を検知した前記温度センサとの紐付けが誤っていると判定し、判定した結果を出力する。
【0008】
また、上記目的を達成するために、本開示の一態様に係る確認方法は、温度センサとダンパとコントローラとを含む全館空調システムにおける前記温度センサと前記ダンパとの紐付を前記コントローラにより確認する確認方法であって、前記ダンパと前記温度センサとの紐付け作業を実行し、紐付けの確認作業の際に、温度センサとダンパとが設けられた複数の対象空間のうちの1つの第1対象空間の目標温度を設定し、前記目標温度に応じて前記第1対象空間に対応する前記ダンパを制御し、前記目標温度に応じて前記第1対象空間に対応する前記ダンパの制御を開始した時点から所定期間経過後、(1)前記温度センサが検知した変化した温度が、前記第1対象空間において前記目標温度に近づいている場合、制御した前記ダンパと変化した温度を検知した前記温度センサとの紐付けが正しいと判定し、(2)前記温度センサが検知した温度が、前記第1対象空間において前記目標温度に近づいていない場合、制御した前記ダンパと変化した温度を検知した前記温度センサとの紐付けが誤っていると判定し、判定した結果を出力する。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る全館空調システム等は、施工作業者の確認作業に要する時間の長期化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態に係る全館空調システムを示す模式図である。
図2図2は、実施の形態に係る全館空調システムを示すブロック図である。
図3図3は、実施の形態に係る全館空調システムの動作を示すフローチャートである。
図4図4は、実施の形態の変形例1に係る全館空調システムの別の動作を示すフローチャートである。
図5図5は、実施の形態の変形例2に係る全館空調システムのさらに別の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、並びに、ステップ、ステップの順序等は、一例であって本開示を限定する主旨ではない。
【0012】
各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されてはいない。したがって、例えば、各図において縮尺等は必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0013】
以下の実施の形態に係る全館空調システム及び確認方法について説明する。
【0014】
(実施の形態)
<構成:全館空調システム10>
図1は、実施の形態に係る全館空調システム10を示す模式図である。図2は、実施の形態に係る全館空調システム10の機能構成を示すブロック図である。
【0015】
図1及び図2に示されるように、全館空調システム10は、空調装置20等を用いて、施設1内の複数の対象空間11aの空気の調節を行うことができるシステムである。
【0016】
ここで対象空間11aとは、施設1内の部屋、廊下、階段等のような、一定の広さを有する空間である。例えば、対象空間11aは周囲が壁等で区切られていなくてもよく、1つの部屋において、複数の対象空間11aを規定してもよい。また、空気の調節とは、対象空間11aにおける温度、湿度、対象空間11aの空気に含まれる二酸化炭素濃度及びPM(Particulate Matter)2.5等の各汚染物質の濃度等である。
【0017】
本実施の形態の全館空調システム10は、施設1の外部から取り入れた空気、又は、施設1の中で循環している空気の温度を調節することで、複数の対象空間11aのそれぞれに、温度を調節した空気を搬送して、複数の対象空間11aにおける空気の温度(室温)を調節することができる。
【0018】
なお、複数の対象空間11aの数は特に限定されないが、本実施の形態では、複数の対象空間11aを例に挙げて説明する。
【0019】
なお、全館空調システム10は、全館空調システム10の機能又は設備を拡充する場合、全館空調システム10のネットワークに1以上の新たな機器を追加して登録することで、新たな機器も含めて空調装置20等の動作を制御することができてもよい。新たな機器は、対象空間11aに割り当てるための追加機器であり、例えば、温度センサ50、ダンパ40等であってもよい。なお、新たな機器には、換気機器、給気機器、空気清浄機等が含まれていてもよい。
【0020】
ここでは、全館空調システム10の具体的な構成について説明する。
【0021】
本実施の形態では、全館空調システム10は、熱交換器15と、空調装置20と、ファン30と、複数のダンパ40と、複数の温度センサ50と、コントローラ60とを備えている。空調装置20、ファン30、複数のダンパ40及び複数の温度センサ50のそれぞれは、コントローラ60と通信する機能を有する。
【0022】
熱交換器15は、施設1の外部から取り込んだ空気の熱を吸収したり、空気を加熱したりする。熱交換器15は、熱を吸収した空気又は加熱した空気を空調装置20に搬送する。熱交換器15は、例えば、ヒートポンプ、加熱コイル及び冷却コイル等であってもよい。また、熱交換器15は、施設1内の空気を外部に排気したりすることもできる。
【0023】
熱交換器15は、例えば、空気を搬送可能なダクトを介して空調装置20と間接的に接続されていてもよく、空調装置20と直接的に接続されていてもよい。
【0024】
空調装置20は、空気の流れにおいて熱交換器15の下流側に設けられている。空調装置20には、熱交換器15を通過した空気が流入したり、施設1の中で循環している空気が流入したりする。空調装置20は、コントローラ60によって制御され、コントローラ60の制御に基づいて、施設1の外部から取り入れた空気、又は、施設1の中で循環している空気を取り入れることで、取り入れた空気の温度を調節する。具体的には、空調装置20は、冷却コイル、加熱コイル及び送風器等で構成されている。空調装置20は、熱交換器15を介して温度調節した空気を送風器によって搬送することで、室内の空気の温度を調節する。空調装置20は、いわゆるエアーコンディショナである。
【0025】
なお、空調装置20は、対象空間11aの室温調節機能だけでなく、湿度調節、空気清浄等の機能を有していてもよい。空調装置20が湿度調節機能を有する場合、空調装置20の冷却コイル及び加熱コイルは、空気を除湿したり、空気を加湿したりすることができる。また、空調装置20が空気清浄機能を有する場合、空調装置20は、エアフィルタを備えていてもよい。エアフィルタは、空気から、粉じん又は埃を除去することで、空気の清浄度を整えることができる。
【0026】
ファン30は、例えば、送風器である。ファン30は、複数のダクトを介して、複数のダンパ40と接続されている。
【0027】
また、ファン30は、空気の流れにおいて空調装置20の下流側に設けられ、空調装置20によって温度調節された空気を搬送する。具体的には、ファン30は、コントローラ60の制御に基づいて、空調装置20で温度調節された空気を、ダクトを通じて複数のダンパ40のそれぞれに搬送する。なお、ファン30は、全館空調システム10に1以上設けられていればよいが、全館空調システム10に設けられていなくてもよい。
【0028】
また、ファン30は、コントローラ60の制御に基づいて、空調装置20からの空気の搬送を停止したり、空気の搬送を開始したりすることができる。
【0029】
複数のダンパ40は、複数の対象空間11aのそれぞれに設けられている。具体的には、複数の対象空間11aのそれぞれには、1以上のダンパ40が設けられている。複数の対象空間11aのそれぞれに設けられた1以上のダンパ40は、空気の流れにおいてファン30の下流側に設けられ、空調装置20によって温度調節された空気を、自身が設けられている対象空間11aに供給する。このため、複数のダンパ40のそれぞれは、自身が設けられている対象空間11aに温度調節された空気を供給することで、自身が設けられている対象空間11aの室温を調節することができる。
【0030】
複数のダンパ40のそれぞれは、コントローラ60の制御に基づいて、複数の対象空間11aのそれぞれに対して供給する温度調節された空気の流入量を調節することができる。例えば、複数のダンパ40のそれぞれは、コントローラ60の制御によって開放状態となって、当該対象空間11aに温度調節された空気を供給したり、コントローラ60の制御によって閉鎖状態となって、当該対象空間11aに温度調節された空気の供給を停止したりする。
【0031】
また、複数のダンパ40のそれぞれを介して供給された空気は、複数の対象空間11aのそれぞれを循環して、複数の対象空間11aのそれぞれに設けられる排気ダクトを介して空調装置20に供給される。
【0032】
複数の温度センサ50のそれぞれは、複数の対象空間11aに設けられている。具体的には、複数の対象空間11aのそれぞれには、1以上の温度センサ50が設けられている。つまり、温度センサ50は、複数の対象空間11aのそれぞれに1以上ずつ設けられている。複数の温度センサ50のそれぞれは、対象空間11aの室温を検知し、検知した温度を示す情報である温度情報をコントローラ60に送信する。
【0033】
コントローラ60は、複数のダンパ40、ファン30及び空調装置20等を個別に制御することができる。なお、コントローラ60は、全館空調システム10のネットワークに追加した新たな機器を制御することができてもよい。
【0034】
また、コントローラ60は、CPU等のプロセッサ及び所定の処理を実行するためのプログラム等を記憶するメモリ等を有している。また、コントローラ60は、無線通信又は有線通信によって、複数のダンパ40、ファン30及び空調装置20等と通信を行うことができる。
【0035】
コントローラ60は、入力部61と、表示部62と、記憶部63と、通信部64と、制御部65とを備えている。
【0036】
入力部61は、施工作業者の操作を受け付けるユーザインターフェースである。入力部61は、例えば、タッチパネルによって実現されるが、タッチパネル以外に、ハードウェアボタンを含んでいてもよい。
【0037】
表示部62は、コントローラ60に搭載されたモニタであり、複数の対象空間11aのそれぞれの室温、複数のダンパ40の開度、空調装置20の運転状態及びファン30の運転状態等を表示する。また、表示部62は、後述するが、制御部65が判定した結果を表示することもできる。また、表示部62は、例えば、液晶パネル又は有機EL(Electro Luminescence)パネル等の表示パネル等である。表示部62は、入力部61とともにGUI(Graphical User Interface)を構成してもよい。
【0038】
記憶部63は、制御部65が実行する制御プログラム等が記憶される記憶装置である。また、記憶部63は、後述する、複数の対象空間11aのそれぞれに設けられている1以上のダンパ40と1以上の温度センサ50とを紐付けた設定情報を記憶している。記憶部63は、例えば、半導体メモリ等によって実現される。
【0039】
通信部64は、ネットワークを介して、温度センサ50、複数のダンパ40、ファン30及び空調装置20のそれぞれと通信を行うための通信モジュール(通信回路)である。通信部64によって行われる通信は、例えば、無線通信又は有線通信である。通信に用いられる通信規格についても、特に限定されない。
【0040】
制御部65は、通信部64を介して、複数のダンパ40、ファン30及び空調装置20等に制御コマンドを送信することにより、複数のダンパ40、ファン30及び空調装置20等を制御することができる。具体的には、複数の温度センサ50、複数のダンパ40、ファン30及び空調装置20等を全館空調システム10のネットワークへの登録後、制御部65は、通信部64を介して、複数の温度センサ50のそれぞれから温度情報を取得することができる。また、当該登録後、制御部65は、通信部64を介して、制御コマンドを複数のダンパ40、ファン30及び空調装置20等に送信することで、複数のダンパ40、ファン30及び空調装置20等を個別に制御したりすることができる。制御部65は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサによって実現されてもよい。
【0041】
また、制御部65は、それぞれのダンパ40の開度を制御する。複数の対象空間11aのうちの1つの対象空間である第1対象空間11a1を例に挙げると、制御部65は、第1対象空間11a1に設けられている1以上のダンパ40の開度をそれぞれ制御することで、第1対象空間11a1への空調装置20によって温度調節された空気の流入量を調節することができる。これにより、第1対象空間11a1の室温を調節することができる。本実施の形態では、単に対象空間11aという場合、第1対象空間11a1等を含めた総称として用いる。
【0042】
また、制御部65は、空調装置20の出力、ファン30の出力(ファンモータの回転数)等も制御することができる。例えば、制御部65は、それぞれの温度センサ50が検知した複数の対象空間11aのそれぞれの温度に基づいて空調装置20の出力を制御することで、空調装置20が排出する空気の温度を調節することもできる。また、制御部65は、それぞれの温度センサ50が検知した複数の対象空間11aのそれぞれの温度に基づいてファン30の回転数を制御することで、空調装置20が温度調節した空気の搬送量を調節することもできる。
【0043】
これらのことから、例えば、第1対象空間11a1の室温を上昇させたい場合、制御部65は、ダンパ40の開度を大きくさせ、ファン30の回転数も大きくさせ、空調装置20の温風の出力を大きくさせる。これにより、温かい空気が第1対象空間11a1に供給されることで、第1対象空間11a1の室温を上昇させることができる。また、制御部65は、例えば、第1対象空間11a1の室温を下降させたい場合、ダンパ40の開度を大きくし、ファン30の回転数も大きくし、空調装置20の冷風の出力を大きくする。これにより、冷たい空気が第1対象空間11a1に供給されることで、第1対象空間11a1の室温を下降させることができる。
【0044】
このような全館空調システム10において、施工作業者は、熱交換器15、空調装置20、ファン30、複数のダンパ40、複数の温度センサ50及び制御部65を施設1に施工した後に、複数の対象空間11aのそれぞれに設けられた1以上のダンパ40と1以上の温度センサ50との紐付け作業を実行し、当該作業を実行後に、正しく紐付けができているか否かを確認する。このため、制御部65は、紐付けの確認作業の際に、施工作業者からの操作を受け付けることで、以下の処理を実行することができる。
【0045】
制御部65は、複数の対象空間11aのうちの1つの対象空間である第1対象空間11a1の目標温度を設定することができる。このため、制御部65は、設定された目標温度となるように、少なくとも1以上のダンパ40を制御する。言い換えれば、制御部65は、目標温度に応じて第1対象空間11a1に対応する1以上のダンパ40を制御する。本実施の形態では、制御部65は、第1対象空間11a1に設けられている、複数のダンパ40、ファン30及び空調装置20を同時に制御する。
【0046】
また、制御部65は、対象空間11aごとに、制御したダンパ40と変化した温度を検知した温度センサ50との紐付けが正しいか否かを判定する。制御部65は、目標温度に応じて第1対象空間11a1に対応するダンパ40の制御を開始した時点から所定期間経過後、(1)温度センサ50が検知した変化した温度が、第1対象空間11a1において目標温度に近づいている場合、制御したダンパ40と変化した温度を検知した温度センサ50との紐付けが正しいと判定し、(2)温度センサ50が検知した温度が、第1対象空間11a1において目標温度に近づいていない場合、制御したダンパ40と変化した温度を検知した温度センサ50との紐付けが誤っていると判定する。
【0047】
つまり、制御部65は、目標温度に応じて第1対象空間11a1に対応するダンパ40の制御を開始した時点から所定期間経過後、温度センサ50が検知した変化した温度が、第1対象空間11a1において目標温度に近づいているか否かを判定する。
【0048】
具体的には、上述の(1)のように、制御部65は、温度センサ50が検知した変化した温度が、所定期間の始点の温度よりも所定期間に含まれる現時点の温度の方が目標温度に近ければ、第1対象空間11a1において目標温度に近づいていると判定する。つまり、温度センサ50が検知した変化した温度が、所定期間の始点の温度と目標温度との差分値である第1差分値と、所定期間の終点の温度と目標温度との差分値である第2差分値とで示される場合、コントローラ60は、第1差分値が第2差分値よりも大きく、かつ、第1差分値と第2差分値との差異が所定値以上であれば、目標温度に近づいていると判定する。そして、制御部65は、制御したダンパ40と変化した温度を検知した温度センサ50との紐付けが正しいと判定する。ここで、差分値は、絶対値である。また、第1差分値、第2差分値及び差異も同様に絶対値である。
【0049】
また、上述の(2)のように、コントローラ60は、第1差分値が第2差分値よりも大きく、かつ、第1差分値と第2差分値との差異が所定値未満であれば、第1対象空間11a1において目標温度に近づいていないと判定する。そして、制御部65は、制御したダンパ40と変化した温度を検知した温度センサ50との紐付けが誤っていると判定する。
【0050】
制御部65は、判定した結果を、記憶部63、表示部62等に出力する。これにより、制御したダンパ40と変化した温度を検知した温度センサ50との紐付けが誤っていることが表示部62に表示され、記憶部63にも記憶される。
【0051】
ここで、所定期間は、予め設定された任意の期間である。また、所定期間の始点と終点とに関する差異とは、例えば、始点から終点までの平均値、始点と終点とを結ぶ直線の傾き、始点と終点との単純な差異である。
【0052】
<動作>
次に、全館空調システム10及び確認方法の動作について、図3を用いて説明する。
【0053】
図3は、実施の形態に係る全館空調システム10の動作を示すフローチャートである。
【0054】
まず、図3に示すように、施工作業者は、熱交換器15、空調装置20、ファン30、複数のダンパ40、複数の温度センサ50及び制御部65を施設1に施工した後に、複数の対象空間11aのそれぞれに設けられた1以上のダンパ40と1以上の温度センサ50とを紐付ける作業を実行する。例えば、施工作業者は、専用の端末装置、又は、紐付け作業を実行するためのアプリケーションがインストールされた端末装置を用いて操作することで、複数の対象空間11aのそれぞれに設けられた1以上のダンパ40と1以上の温度センサ50とを紐付ける作業を実施する。制御部65は、複数の対象空間11aのそれぞれにおける1以上のダンパ40と1以上の温度センサ50とを紐付けた設定情報を生成し、生成した設定情報を記憶部63に記憶する。ここでいう端末装置は、コントローラ60であってもよく、コントローラ60とは別の端末装置であってもよい。
【0055】
本実施の形態では、施工作業者は、コントローラ60を用いて入力部61を操作することで、複数の対象空間11aのそれぞれに設けられた1以上のダンパ40と1以上の温度センサ50との紐付けを確認する作業を実施するためのアプリケーションを起動させる。施工作業者は、当該アプリケーションを起動後、コントローラ60を用いて紐付けの確認作業を実施する。この確認作業は、1つの対象空間11aずつ行う。本実施の形態では、第1対象空間11a1から第n対象空間11anまでの順番で確認作業を開始する。なお、このフローチャートでは、説明の便宜上、「1以上のダンパ40」及び「1以上の温度センサ50」のことを、単に「ダンパ40」及び「温度センサ50」として説明する。nは、1以上の自然数である。
【0056】
具体的には、施工作業者が入力部61に対する目標温度を操作入力することによって、コントローラ60の制御部65は、第1対象空間11a1の目標温度を設定し(S11)、設定された目標温度となるように、少なくともダンパ40を制御する(S12)。制御部65は、第1対象空間11a1の室温が目標温度になるように、記憶部63に記憶されている設定情報に基づいて、第1対象空間11a1に紐付けられたダンパ40を制御することで、これらのダンパ40を開く。このとき、制御部65は、ファン30及び空調装置20も同時に制御する。また、第1対象空間11a1以外に紐付けられたダンパ40を制御することで、これらのダンパ40を閉じる。
【0057】
次に、複数の温度センサ50のそれぞれは、設けられた対象空間11aの温度つまり対象空間11a内の室温を検知する(S13)。複数の温度センサ50のそれぞれは、検知した温度を示す情報である温度情報を所定時間間隔でコントローラ60に送信する。
【0058】
コントローラ60の制御部65は、通信部64を介して、複数の対象空間11aのそれぞれの温度情報を取得する。制御部65は、複数の対象空間11aのうちの1つの対象空間である第1対象空間11a1において、制御したダンパ40と変化した温度を検知した温度センサ50との紐付けが正しいか否かを判定する。具体的には、制御部65は、設定情報に基づいて、第1対象空間11a1に紐付けられている温度センサ50(第1温度センサ50と呼ぶ場合がある)と、ダンパ40(第1ダンパと呼ぶ場合がある)とを抽出する。制御部65は、抽出した第1温度センサから取得した温度情報に示される温度を用いて、目標温度になるように第1ダンパの開度を制御する。本実施の形態では、単にダンパ40という場合、第1ダンパ等を含めた総称として用いる。また。本実施の形態では、単に温度センサ50という場合、第1温度センサ等を含めた総称として用いる。
【0059】
制御部65は、第1ダンパの開度の制御を開始した時点から所定期間が経過したか否かを判定する(S14)。
【0060】
制御部65は、第1ダンパの開度の制御を開始した時点から所定期間が経過していないと判定した場合(S14でNO)、処理をステップS14に戻す。
【0061】
制御部65は、第1ダンパの開度の制御を開始した時点から所定期間が経過したと判定した場合(S14でYES)、第1温度センサから取得した温度情報に示される変化した温度が、第1対象空間11a1において目標温度に近づいているか否かを判定する(S15)。
【0062】
第1温度センサが検知した変化した温度が、所定期間の始点の温度と目標温度との差分値である第1差分値と、所定期間の終点の温度と目標温度との差分値である第2差分値とで示される場合、コントローラ60は、第1差分値が第2差分値よりも大きく、かつ、第1差分値と第2差分値との差異が所定値以上であれば、第1対象空間11a1の室温が目標温度に近づいていると判定する(S15でYES)。そして、制御部65は、ステップS12で制御した第1ダンパとステップS13で変化した温度を検知した第1温度センサとの紐付けが正しいと判定する(S16)。
【0063】
制御部65は、ステップS16で判定した結果を、記憶部63、表示部62等に出力する。つまり、制御部65は、第1対象空間11a1に設けられている、第1ダンパと第1温度センサとの紐付けが正しいことを示す結果を記憶部63、表示部62等に出力する。記憶部63には、当該結果である、第1対象空間11a1に設けられている、第1ダンパと第1温度センサとの紐付けが正しいことを記憶する。また、表示部62は、当該結果である、第1対象空間11a1に設けられている、第1ダンパと第1温度センサとの紐付けが正しいことを表示する(S17)。そして、全館空調システム10は、処理を終了する。
【0064】
また、コントローラ60は、第1差分値が第2差分値よりも大きく、かつ、第1差分値と第2差分値との差異が所定値未満であれば、第1対象空間11a1の室温が目標温度に近づいていないと判定する(S15でNO)。そして、制御部65は、第1対象空間11a1に設けられている、ステップS12で制御した第1ダンパとステップS13で変化した温度を検知した第1温度センサとの紐付けが誤っている(つまり第1ダンパと第1温度センサとの紐付けがされていない)と判定する(S18)。
【0065】
制御部65は、ステップS18で判定した結果を、記憶部63、表示部62等に出力する。つまり、制御部65は、第1対象空間11a1に設けられている、第1ダンパと第1温度センサとの紐付けが誤っていることを示す結果を記憶部63、表示部62等に出力する。記憶部63には、当該結果である、第1対象空間11a1に設けられている、第1ダンパと第1温度センサとの紐付けが誤っていることを記憶する。また、表示部62は、当該結果である、第1対象空間11a1に設けられている、第1ダンパと第1温度センサとの紐付けが誤っていることを表示する(S17)。そして、全館空調システム10は、処理を終了する。
【0066】
また、対象空間11aは複数存在しているため、対象空間11aごとに上述の動作を実行することで、全ての対象空間11aに設けられているダンパ40と温度センサ50との紐付けが正しいか否かを判定することができる。
【0067】
これより、施工作業者は、表示部62に表示された、判定した結果を閲覧することで、それぞれの対象空間11aにおけるダンパ40と温度センサ50との紐付けが正しいか否かを認識することができるようになる。
【0068】
<作用効果>
次に、本実施の形態における全館空調システム10及び確認方法の作用効果について説明する。
【0069】
上述したように、本実施の形態に係る全館空調システム10は、複数の対象空間11aのそれぞれに設けられる温度センサ50と、複数の対象空間11aのそれぞれへの空気の流入量を制御するダンパ40と、それぞれのダンパ40を制御するコントローラ60とを備えている。また、コントローラ60は、複数の対象空間11aのうちの1つの対象空間である第1対象空間11a1の目標温度を設定し、目標温度に応じて第1対象空間11a1に対応するダンパ40を制御し、目標温度に応じて第1対象空間11a1に対応するダンパ40の制御を開始した時点から所定期間経過後、(1)温度センサ50が検知した変化した温度が、第1対象空間11a1において目標温度に近づいている場合、制御したダンパ40と変化した温度を検知した温度センサ50との紐付けが正しいと判定し、(2)温度センサ50が検知した温度が、第1対象空間11a1において目標温度に近づいていない場合、制御したダンパ40と変化した温度を検知した温度センサ50との紐付けが誤っていると判定する。そして、コントローラ60は、判定した結果を出力する。
【0070】
これによれば、複数の対象空間11aのそれぞれにおける1以上のダンパ40と1以上の温度センサ50との紐付けが正しく紐付けられているか否かを、コントローラ60が自動的に判定することができる。このため、1以上のダンパ40と1以上の温度センサ50との紐付けが正しく紐付けられているか否かの確認作業について、施工作業者が長時間の対応を強いられ難くなる。
【0071】
したがって、全館空調システム10では、施工作業者の確認作業に要する時間の長期化を抑制することができる。
【0072】
特に、この全館空調システム10では、対応付けが誤っていた場合、コントローラ60が出力した判定した結果を施工作業者が閲覧することで確認することができる。このため、施工作業者は、どのように対応付けを誤ったかを確認する作業を容易に行うことができる。また、1以上のダンパ40と1以上の温度センサ50との紐付けを確認する作業に長時間を要することが抑制される。このため、本実施の形態では、少なくとも1以上のダンパ40と1以上の温度センサ50との紐付けを確認する作業を容易にすることができる。
【0073】
また、本実施の形態に係る確認方法は、温度センサ50とダンパ40とコントローラ60とを含む全館空調システム10における温度センサ50とダンパ40の紐付をコントローラ60により確認する確認方法であって、温度センサ50とダンパ40とが設けられた複数の対象空間11aのうちの1つの第1対象空間11a1の目標温度を設定し、目標温度に応じて第1対象空間11a1に対応するダンパ40を制御し、目標温度に応じて第1対象空間11a1に対応するダンパ40の制御を開始した時点から所定期間経過後、(1)温度センサ50が検知した変化した温度が、第1対象空間11a1において目標温度に近づいている場合、制御したダンパ40と変化した温度を検知した温度センサ50との紐付けが正しいと判定し、(2)温度センサ50が検知した温度が、第1対象空間11a1において目標温度に近づいていない場合、制御したダンパ40と変化した温度を検知した温度センサ50との紐付けが誤っていると判定し、判定した結果を出力する。
【0074】
この確認方法においても上述と同様の作用効果を奏する。
【0075】
また、本実施の形態に係る全館空調システム10において、温度センサ50が検知した変化した温度が、所定期間の始点の温度と目標温度との差分値である第1差分値と、所定期間の終点の温度と目標温度との差分値である第2差分値とで示される場合、コントローラ60は、第1差分値が第2差分値よりも大きく、かつ、第1差分値と第2差分値との差異が所定値以上であれば、目標温度に近づいていると判定する。
【0076】
これによれば、目標温度に近づいているか否かの判定をすることができる。このため、紐付けが正しいか否かを、当該差異に基づいて精度よく判定することができる。
【0077】
また、本実施の形態に係る全館空調システム10において、コントローラ60は、対象空間11aごとに、制御したダンパ40と変化した温度を検知した温度センサ50との紐付けが正しいか否かを判定する。
【0078】
これによれば、全ての対象空間11aにおけるダンパ40と温度センサ50との紐付けを判定することができるため、例えば、施設1における、1以上のダンパ40と1以上の温度センサ50との紐付けを確認する作業に長時間を要することが抑制することができる。
【0079】
また、本実施の形態に係る全館空調システム10において、コントローラ60が判定した結果を表示する表示部62を備える。
【0080】
これによれば、当該判定した結果が表示されることで、施工作業者は、例えば、紐付けが誤っていること、紐付けが正しいこと、ダンパ40の能力が不足していること等を認識することができる。このため、施工作業者は、紐付けが正しいか否かを容易に認識することができるため、確認作業を容易に完了させることができる。
【0081】
(実施の形態の変形例1)
以下では、本変形例における全館空調システム10の基本的な構成は、図2に示す実施の形態の全館空調システム10と基本的な構成と同様であるため、本変形例における全館空調システム10の基本的な構成について同一の符号を付して説明を省略する。本変形例では、目標温度に近づいている第2対象空間11a2を抽出する点で実施の形態と相違する。本変形例では、単に対象空間11aという場合、第1対象空間11a1及び第2対象空間11a2から第n対象空間11an等を含めた総称として用いる。
【0082】
確認作業において、制御部65は、制御したダンパ40と変化した温度を検知した温度センサ50との紐付けが誤っていると判定した場合、複数の対象空間11aのうちの第1対象空間11a1とは異なる空間である第2対象空間11a2の変化した温度が第1対象空間11a1の目標温度に近づいているとき、第1対象空間11a1と第2対象空間11a2とにおける制御したダンパ40と変化した温度を検知した温度センサ50とが紐付けられていると判定する。
【0083】
つまり、制御部65は、制御したダンパ40と変化した温度を検知した温度センサ50との紐付けが誤っていると判定した場合、複数の対象空間11aのそれぞれに設けられている温度センサ50が検知した変化した温度に基づいて、複数の対象空間11aのうちの第1対象空間11a1以外の他の対象空間11aの室温に変化があるか否かを判定する。室温に変化がある他の対象空間11aが存在している場合、制御部65は、室温に変化のある1以上の他の対象空間11aを抽出する。
【0084】
制御部65は、抽出した1以上の他の対象空間11aのうち、温度センサ50が検知した変化した温度に基づいて、第1対象空間11a1に対して設定した目標温度に近づいている第2対象空間11a2が存在しているか否かを判定する。制御部65は、第1対象空間11a1に対して設定した目標温度に近づいている第2対象空間11a2が存在していると判定した場合、第1対象空間11a1と第2対象空間11a2とにおいて、制御したダンパ40と変化した温度を検知した温度センサ50との紐付けが誤っていると判定する。制御部65は、判定した結果を、記憶部63、表示部62等に出力する。これにより、第1対象空間11a1と第2対象空間11a2とにおけるダンパ40と温度センサ50との紐付けが誤っていることが表示部62に表示され、記憶部63にも記憶される。
【0085】
次に、全館空調システム10及び確認方法の動作について、図4を用いて説明する。なお本変形例の動作については、実施の形態の動作と同様の動作であるため、同一の動作については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0086】
図4は、実施の形態の変形例1に係る全館空調システム10の別の動作を示すフローチャートである。
【0087】
施工作業者は、施工後、複数の対象空間11aのそれぞれに設けられた1以上のダンパ40と1以上の温度センサ50との紐付けを確認する作業を実施する。なお、このフローチャートでは、説明の便宜上、「1以上のダンパ40」及び「1以上の温度センサ50」のことを、単に「ダンパ40」及び「温度センサ50」として説明する。
【0088】
コントローラ60の制御部65は、図4に示すように、ステップS11~S15の処理を経て、コントローラ60は、第1差分値が第2差分値よりも大きく、かつ、第1差分値と第2差分値との差異が所定値未満であれば、第1対象空間11a1の室温が目標温度に近づいていないと判定する(S15でNO)。制御部65は、第1対象空間11a1に設けられている、ステップS12で制御した第1ダンパとステップS13で変化した温度を検知した第1温度センサとの紐付けが誤っていると判定する(S18)。
【0089】
温度センサ50は、全ての対象空間11aの温度を検知する(S19)。複数の温度センサ50のそれぞれは、検知した温度を示す情報である温度情報をコントローラ60に送信する。
【0090】
コントローラ60の制御部65は、通信部64を介して、全ての対象空間11aの温度情報を取得する。制御部65は、全ての対象空間11aのうち、変化した温度が目標温度に近づいている対象空間である第2対象空間11a2を抽出する。そして、制御部65は、設定情報に基づいて、第2対象空間11a2に設けられている温度センサ50(第2温度センサと呼ぶ場合がある)とダンパ40(第2ダンパと呼ぶ場合がある)とを抽出する。
【0091】
制御部65は、第1対象空間11a1と第2対象空間11a2とにおける制御したダンパ40と変化した温度を検知した温度センサ50とが紐付けられていると判定する。つまり、制御部65は、第1対象空間11a1に設けられているダンパ40及び温度センサ50と、第2対象空間11a2に設けられているダンパ40及び温度センサ50とが紐付けられていると判定する(S20)。具体的には、第1対象空間11a1の第1ダンパ及び第1温度センサと、第2対象空間11a2の第2ダンパ及び第2温度センサとにおける紐付けが互い違いになっている。
【0092】
制御部65は、ステップS18で判定した結果を、記憶部63、表示部62等に出力する。つまり、制御部65は、第1対象空間11a1及び第2対象空間11a2に設けられているダンパ40及び温度センサ50の紐付けが誤っていることを示す結果を記憶部63、表示部62等に出力する。記憶部63には、当該結果である、第1対象空間11a1及び第2対象空間11a2に設けられているダンパ40及び温度センサ50の紐付けが誤っていることを記憶する。また、表示部62は、当該結果である、第1対象空間11a1及び第2対象空間11a2に設けられているダンパ40及び温度センサ50の紐付けが誤っていることを表示する(S17)。そして、全館空調システム10は、処理を終了する。
【0093】
このような、本変形例に係る全館空調システム10において、コントローラ60は、制御したダンパ40と変化した温度を検知した温度センサ50との紐付けが誤っていると判定した場合、複数の対象空間11aのうちの第1対象空間11a1とは異なる空間である第2対象空間11a2の変化した温度が第1対象空間11a1の目標温度に近づいているとき、第1対象空間11a1と第2対象空間11a2とにおける制御したダンパ40と変化した温度を検知した温度センサ50とが紐付けられていると判定する。そして、コントローラ60は、判定した結果を出力する。
【0094】
これによれば、温度センサ50とダンパ40とを制御しても、第1対象空間11a1とは別の対象空間11aである第2対象空間11a2の室温が目標温度に近づいていることを検知した場合、第1対象空間11a1に設けられた温度センサ50とダンパ40との紐付けが誤っていると判定することができる。このため、施工作業者は、当該判定した結果が出力されることで、紐付けが誤っていることを認識することができる。
【0095】
(実施の形態の変形例2)
以下では、本変形例における全館空調システム10の基本的な構成は、実施の形態の全館空調システム10と基本的な構成と同様であるため、本変形例における全館空調システム10の基本的な構成について同一の符号を付して説明を省略する。本変形例では、ダンパ40の能力不足を判定する点で実施の形態と相違する。
【0096】
確認作業において、制御部65は、制御したダンパ40と変化した温度を検知した温度センサ50との紐付けが正しいと判定した場合に、所定期間経過後に目標温度に達していない場合、ダンパ40の能力が不足していると判定する。制御部65は、判定した結果を、記憶部63、表示部62等に出力する。これにより、第1対象空間におけるダンパ40の能力が不足していることが表示部62に表示され、記憶部63にも記憶される。
【0097】
次に、全館空調システム10及び確認方法の動作について、図5を用いて説明する。なお本変形例の動作については、実施の形態の動作と同様の動作であるため、同一の動作については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0098】
図5は、実施の形態の変形例2に係る全館空調システム10のさらに別の動作を示すフローチャートである。
【0099】
施工作業者は、施工後、複数の対象空間11aのそれぞれに設けられた1以上のダンパ40と1以上の温度センサ50との紐付けを確認する作業を実施する。なお、このフローチャートでは、説明の便宜上、「1以上のダンパ40」及び「1以上の温度センサ50」のことを、単に「ダンパ40」及び「温度センサ50」として説明する。
【0100】
コントローラ60の制御部65は、図5に示すように、ステップS11~S16の処理を経て、所定期間経過後に目標温度に達しているか否かを判定する(S21)。
【0101】
制御部65は、所定期間経過後に第1対象空間11a1の室温が目標温度に達していると判定した場合(S21でYES)、ステップS17に進み、ステップS16で判定した結果を、記憶部63、表示部62等に出力する。そして、ステップS17を経て、全館空調システム10は、処理を終了する。
【0102】
また、制御部65は、所定期間経過後に第1対象空間11a1の室温が目標温度に達していないと判定した場合(S21でNO)、第1対象空間11a1に設けられているダンパ40の能力が不足していると判定する(S22)。
【0103】
制御部65は、ステップS22で判定した結果を、記憶部63、表示部62等に出力する。つまり、制御部65は、第1対象空間11a1に設けられているダンパ40の能力が不足していることを示す結果を記憶部63、表示部62等に出力する。記憶部63には、当該結果である、第1対象空間11a1に設けられているダンパ40の能力が不足していることを記憶する。また、表示部62は、当該結果である、第1対象空間11a1に設けられているダンパ40の能力が不足していることを表示する(S17)。そして、全館空調システム10は、処理を終了する。
【0104】
なお、図5において、全館空調システム10及び確認方法のステップS19、S20は省略されてもよく、全館空調システム10及び確認方法の動作における必須の処理ではない。
【0105】
このような、本変形例に係る全館空調システム10において、コントローラ60は、制御したダンパ40と変化した温度を検知した温度センサ50との紐付けが正しいと判定した場合に、所定期間経過後に目標温度に達していない場合、ダンパ40の能力が不足していると判定する。そして、コントローラ60は、判定した結果を出力する。
【0106】
これによれば、第1対象空間11a1におけるダンパ40と温度センサ50との紐付けが正しくても、所定期間において目標温度に達しない場合、ダンパ40の能力が不足していると判定することができる。このため、施工作業者は、当該判定した結果が出力されることで、ダンパ40の能力が不足していることを認識することができる。
【0107】
(その他変形例等)
以上、本開示について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これら実施の形態等に限定されるものではない。
【0108】
例えば、本実施の形態における全館空調システム及び確認方法において、コントローラは、無線通信又は有線通信によって、インターネットに接続され、サーバと通信することが可能であってもよい。この場合、記憶部に記憶されている設定情報は、サーバに記憶されていてもよい。
【0109】
また、本実施の形態における全館空調システム及び確認方法において、さらに空気質センサが用いられてもよい。空気質センサは、例えば、二酸化炭素濃度センサ、微粒子濃度センサ、湿度センサ等であってもよい。この場合、二酸化炭素濃度センサは、空気質として対象空間の中の二酸化炭素濃度を検知し、二酸化炭素濃度のセンサ値をコントローラに送信してもよい。また、微粒子濃度センサは、PM2.5濃度センサ等の粒子状物質(以下、単に微粒子とも記載される)の微粒子濃度を検知し、微粒子濃度のセンサ値をコントローラに送信してもよい。また、湿度センサは、空気質として対象空間の中の湿度を検知し、湿度のセンサ値をコントローラに送信してもよい。センサ値は、複数の対象空間のそれぞれの、二酸化炭素濃度、湿度、温度及び微粒子濃度である。
【0110】
また、本実施の形態における全館空調システム及び確認方法において、コントローラが判定した結果は、音、光に等によって周囲に報知するだけでもよい。つまり、全館空調システムは、報知部を備えていてもよい。コントローラは、判定した結果を、記憶部、表示部だけでなく、報知部に出力してもよい。
【0111】
また、本実施の形態における全館空調システム及び確認方法等に含まれるそれぞれの処理部は、典型的に集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
【0112】
また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0113】
なお、上記実施の形態において、それぞれの構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、それぞれの構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。それぞれの構成要素は、CPU又はプロセッサ等のプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリ等の記憶媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0114】
また、上記で用いた数字は、全て本開示を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の実施の形態は例示された数字に制限されない。
【0115】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0116】
また、フローチャートにおけるそれぞれのステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
【0117】
その他、実施の形態に対して当業者が思いつくそれぞれの種変形を施して得られる形態、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【符号の説明】
【0118】
10 全館空調システム
11a 対象空間
11a1 第1対象空間
11a2 第2対象空間
11an 第n対象空間
40 ダンパ
50 温度センサ
60 コントローラ
62 表示部
図1
図2
図3
図4
図5