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特許7546227工程管理装置および工程管理方法ならびに工程管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】工程管理装置および工程管理方法ならびに工程管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20240830BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
H05K13/04 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020055237
(22)【出願日】2020-03-26
(65)【公開番号】P2021157348
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】糸瀬 和彦
(72)【発明者】
【氏名】古賀 正一
(72)【発明者】
【氏名】木村 槙志
(72)【発明者】
【氏名】乗富 賢一
(72)【発明者】
【氏名】林 涛
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-235905(JP,A)
【文献】特開2004-334631(JP,A)
【文献】特開2002-258927(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
H05K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを搬入装置で搬入する搬入工程と、前記ワークに作業装置で作業する作業工程と、前記ワークを搬出装置で搬出する搬出工程とを含む生産工程を管理する工程管理装置において、
前記生産工程を一つのグループとして管理する一体管理、または前記生産工程の各工程を個別に管理する個別管理に設定する管理設定部と、
一体管理の場合は前記生産工程の複数の装置のうちの少なくとも1つの装置から作業情報を収集し、個別管理の場合は前記生産工程の各装置から作業情報を収集する情報収集部と、を備え、
前記搬入装置と前記搬出装置の少なくとも一方は、前記ワークに付された識別情報を認識する認識部と、
前記ワークの情報を収集した時間から前記ワークの生産時刻を算出する生産時刻算出部とをさらに備え、
前記情報収集部は、前記認識部が認識した前記ワークの情報を収集し、
一体管理の場合は、前記ワークの情報を収集した時刻と標準作業時間から前記ワークの生産時刻を算出する、工程管理装置。
【請求項2】
前記生産時刻算出部は、
個別管理の場合は、収集された前記各装置からの作業情報から前記ワークの生産時刻を算出する、請求項に記載の工程管理装置。
【請求項3】
ワークを搬入する搬入工程と、前記ワークに作業する作業工程と、前記ワークを搬出する搬出工程とを含む生産工程を管理する工程管理方法において、
前記生産工程を一つのグループとして管理する一体管理、または前記生産工程の各工程を個別に管理する個別管理のいずれかに設定し、
一体管理の場合は前記生産工程の複数の工程のうちの少なくとも1つ工程において作業情報を収集し、個別管理の場合は前記生産工程の各工程において作業情報を収集する、ことを含
前記搬入工程と前記搬出工程の少なくとも一方において前記ワークに付された識別情報を認識し、
前記ワークの情報を収集した時刻から前記ワークの生産時刻を算出することをさらに含み、
前記識別情報より認識された前記ワークの情報を収集し、
一体管理の場合は、前記ワークの情報を収集した時刻と標準作業時間から前記ワークの生産時刻を算出する、工程管理方法。
【請求項4】
個別管理の場合は、収集された前記各工程における作業情報から前記ワークの生産時刻を算出することをさらに含む、請求項に記載の工程管理方法。
【請求項5】
請求項3または4に記載の工程管理方法をコンピュータにより実行させる工程管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産工程を管理する工程管理装置および工程管理方法ならびに工程管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
生産ラインでは、基板などのワークを搬送する搬送装置やワークを加工する部品実装装置などの作業装置を含む複数の装置が、ワークを順番に受け渡しながらワークを加工して実装基板などの製品を生産する。生産ラインでは、生産実績や現時点の仕掛状況を把握したり、次の生産を最適化したりするために、生産ラインの各装置から逐次作業情報が収集されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の部品実装システムでは、部品実装ラインの各装置と通信ネットワークで接続された工程管理装置(管理コンピュータ)が各装置から送信される作業実績等を収集している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-199772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1を含む従来技術では、生産ラインを構成する装置には工程管理装置と接続することができず、工程管理装置が作業実績を収集することができない装置もあり、多様な構成の生産ラインにおいて精確な工程管理を実行するには更なる改善の余地があった。
【0005】
そこで本発明は、多様な構成の生産ラインにおいて精確な工程管理を実行することができる工程管理装置および工程管理方法ならびに工程管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の工程管理装置は、ワークを搬入装置で搬入する搬入工程と、前記ワークに作業装置で作業する作業工程と、前記ワークを搬出装置で搬出する搬出工程とを含む生産工程を管理する工程管理装置において、前記生産工程を一つのグループとして管理する一体管理、または前記生産工程の各工程を個別に管理する個別管理に設定する管理設定部と、一体管理の場合は前記生産工程の複数の装置のうちの少なくとも1つの装置から作業情報を収集し、個別管理の場合は前記生産工程の各装置から作業情報を収集する情報収集部と、を備える。
【0007】
本発明の工程管理方法は、ワークを搬入する搬入工程と、前記ワークに作業する作業工程と、前記ワークを搬出する搬出工程とを含む生産工程を管理する工程管理方法において、前記生産工程を一つのグループとして管理する一体管理、または前記生産工程の各工程を個別に管理する個別管理のいずれかに設定し、一体管理の場合は前記生産工程の複数の工程のうちの少なくとも1つ工程において作業情報を収集し、個別管理の場合は前記生産工程の各工程において作業情報を収集する、ことを含む。
【0008】
本発明の工程管理プログラムは、請求項5から8のいずれかに記載の工程管理方法をコンピュータにより実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、多様な構成の生産ラインにおいて精確な工程管理を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態の部品実装システムの構成説明図
図2】本発明の一実施の形態の部品実装システムに設置される作業区の構成説明図
図3】本発明の一実施の形態の部品実装システムの工程管理に関する構成を示すブロック図
図4】本発明の一実施の形態の装着ライン管理装置(工程管理装置)が備える表示部に表示された管理方法設定画面の一例を示す図
図5】本発明の一実施の形態の装着ライン管理装置(工程管理装置)による(a)個別管理の一例を説明する図(b)一体管理の一例を説明する図
図6】本発明の一実施の形態の装着ライン管理装置(工程管理装置)による一体管理の一例を説明する図
図7】本発明の一実施の形態の工程管理方法のフロー図
図8】本発明の一実施の形態の部品実装システムの工程管理に関する構成を示すブロック図
図9】本発明の一実施の形態の端末装置に表示された製造実績入力画面の一例を示す図
図10】本発明の一実施の形態の端末装置に表示された生産作業中の製造実績入力画面の一例を示す図
図11】本発明の一実施の形態の端末装置に表示された予定時間超過理由入力画面の一例を示す図
図12】本発明の一実施の形態の表示方法のフロー図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、生産システム、生産ライン、端末装置、生産装置の仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、生産ラインとして、基板に部品等を実装して実装基板を生産する部品実装ライン、部品装着ライン、組立ラインを例に説明する。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0012】
まず図1を参照して、生産システムである部品実装システム1の構成について説明する。部品実装システム1は、部品実装ラインL1、部品装着ラインL2、組立ラインL3を備えている。部品実装ラインL1は、実装ライン内通信ネットワーク2に接続された複数の生産装置を実装ライン管理装置3によって制御する構成となっている。部品装着ラインL2は、装着ライン内通信ネットワーク4に接続された複数の生産装置を装着ライン管理装置5によって制御する構成となっている。
【0013】
組立ラインL3には、作業者が基板などのワークに作業するための複数の作業区S1~S5が設置されている。各作業区S1~S5には、タブレットPCなどの端末装置T(図2参照)が配置されている。組立ラインL3には、端末装置Tと無線で通信する無線通信部6aを備える組立ライン管理装置6が設置されている。実装ライン管理装置3、装着ライン管理装置5、組立ライン管理装置6は、通信ネットワーク7に接続されている。また、通信ネットワーク7には、統合管理装置8が接続されている。なお、端末装置Tは作業区S1~S5に配置されている必要はなく、作業者が所持していてもよい。なお、端末装置Tは入力機能と表示機能を備えていれば、タブレットPCでなくてもよく、例えば眼鏡型や時計型のウェアラブルデバイスであってもよい。
【0014】
なお、図1の部品実装システム1は、部品実装ラインL1、部品装着ラインL2、組立ラインL3を1本ずつ備えているが、部品実装システム1は、この構成に限定されることはない。部品実装システム1は、部品実装ラインL1、部品装着ラインL2、組立ラインL3をそれぞれ2本以上備えていても、いずれかのラインを備えてなくてもよい。
【0015】
図1において、部品実装ラインL1には、基板搬送方向の上流側(紙面左側)から下流側(紙面右側)に向けて、ローダ装置M1、印刷装置M2、部品実装装置M3~M5、リフロー装置M6、アンローダ装置M7などの生産装置が直列に連結されている。ローダ装置M1は、部品実装ラインL1に搬入された基板B(図2参照)を受け取り(矢印a)、下流側の生産装置に受け取った基板Bを供給する。以下、特に区別する場合を除いて、半田が印刷された状態や部品、異形部品が実装、装着された状態などの生産途中の状態も含めて、単に基板Bと称する。
【0016】
印刷装置M2は、基板Bに部品接合用の半田をスクリーン印刷する半田印刷作業を実行する。部品実装装置M3~M5は、半田が印刷された基板Bに部品P(図2参照)を実装する部品実装作業を実行する。リフロー装置M6は、基板Bを加熱して半田を融解させた後に硬化させ、基板Bの電極と部品Pの端子とを半田接合するリフロー作業を実行する。アンローダ装置M7は、上流側から搬送された基板Bを回収する。
【0017】
図1において、部品装着ラインL2には、基板搬送方向の上流側から下流側に向けて、ローダ装置M8、異形部品装着装置M9、局所半田付け装置M10、アンローダ装置M11などの生産装置が直列に連結されている。各生産装置は基板Bを搬送する基板搬送機構を備えている。基板搬送機構は、コンベアを備える搬入装置で上流側から基板Bを搬入して作業位置まで搬送し、作業装置による作業が終了した基板Bを、コンベアを備える搬出装置で下流側に搬出する。なお、搬入装置と搬出装置は、分離した装置である必要はなく、一つのコンベアが搬入と搬出を実行してもよい。
【0018】
ローダ装置M8は、部品実装ラインL1のアンローダ装置M7から移送された基板Bを(矢印b)内蔵する搬出装置で下流側の生産装置に供給する。異形部品装着装置M9は、内蔵する搬入装置が基板Bを搬入し、内蔵する作業装置が基板Bにソケット、コネクタなどの異形部品C(図2参照)を装着(挿入)する異形部品装着作業を実行し、内蔵する搬出装置が作業後の基板Bを搬出する。局所半田付け装置M10は、内蔵する搬入装置が基板Bを搬入し、内蔵する作業装置が基板Bに装着された異形部品Cの端子にのみ融解させた半田を浸して半田付けする局所半田付け作業を実行し、内蔵する搬出装置が作業後の基板Bを搬出する。アンローダ装置M11は、内蔵する搬入装置が上流側から搬送された基板Bを回収する。
【0019】
図1において、ローダ装置M8およびアンローダ装置M11は、基板B(ワーク)に付された1次元コード、2次元コード、またはRFIDなどの識別情報Q(図2参照)を認識する認識部Rを備えている。ローダ装置M8の認識部Rは、基板Bを異形部品装着装置M9に移送する際に識別情報Qを認識する。アンローダ装置M11の認識部Rは、基板Bを局所半田付け装置M10から回収する際に識別情報Qを認識する。
【0020】
認識部Rが認識した基板B(ワーク)の情報は、装着ライン内通信ネットワーク4を介して装着ライン管理装置5に送信される。なお、認識部Rは、必ずしもローダ装置M8およびアンローダ装置M11の両装置が備えている必要はない。すなわち、搬入装置であるローダ装置M8と搬出装置であるアンローダ装置M11の少なくとも一方が、基板B(ワーク)に付された識別情報Qを認識する認識部Rを備えていればよい。
【0021】
図2において、組立ラインL3に設置された作業区S1~S5には、作業者が基板B(ワーク)を載置して作業を行う作業台9がそれぞれ配置されている。各作業台9には、作業者が基板Bに作業する際に使用する端末装置Tとリーダ10が配置されている。リーダ10は、基板Bに付された識別情報Qを認識する読み取り部(図示省略)を備えている。作業者がリーダ10を操作して認識させた識別情報Qは、無線で組立ライン管理装置6に送信される。なお、作業台9に設置したリーダ10により、自動的に基板Bに付された識別情報Qを認識するようにしてもよい。
【0022】
図1において、組立ラインL3の先頭の作業区S1には、部品装着ラインL2のアンローダ装置M11が回収した基板B(ワーク)が搬送される(矢印c)。各作業区S1~S5では、作業者が基板Bに対して端末装置Tによって指示された生産作業(動作)を実行し、下流側の作業区S1~S5に基板Bを移送する。最後尾の作業区S5での作業を終えた基板Bは、組立ラインL3の外に搬送される(矢印d)。なお、組立ラインL3では、部品装着ラインL2以外の生産ラインで加工されたワークや部材に対する生産作業を実行してもよい。
【0023】
なお、組立ラインL3に設置される作業区S1~S5は5箇所に限定されることはなく、1箇所でも6箇所以上であってもよい。また、端末装置Tとリーダ10は全ての作業区S1~S5に配置されている必要はなく、少なくともいずれかの作業区S1~S5に配置されていればよい。また、部品装着ラインL2と同様に、認識部Rを備えるローダ装置M8を先頭の作業区S1の上流側に設置し、認識部Rを備えるアンローダ装置M11を最後尾の作業区S5の下流側に設置してもよい。その場合、認識部Rが認識した識別情報Qは、無線または図示省略する有線のネットワークで組立ライン管理装置6に送信される。
【0024】
次に図3を参照して、部品実装システム1が備える機能のうち、生産装置や作業者による生産作業の履歴を収集する工程管理に関する構成について説明する。図3では、主に部品実装ラインL1と部品装着ラインL2における生産作業の履歴の収集について説明する。統合管理装置8は、管理記憶部11、履歴収集部12、分析処理部13、管理通信部14を備えている。管理記憶部11は記憶装置であり、生産履歴データ11aなどを記憶している。
【0025】
管理通信部14は、通信ネットワーク7を介して実装ライン管理装置3、装着ライン管理装置5、組立ライン管理装置6との間で各種情報を送受信する。履歴収集部12は、実装ライン管理装置3、装着ライン管理装置5、組立ライン管理装置6が収集した生産装置等の生産作業の履歴情報を収集して、生産履歴データ11aとして管理記憶部11に記憶させる。分析処理部13は、収集された生産履歴データ11aに基づいて、生産工程のボトルネックや効率などを分析する。なお、分析処理部13と分析した生産工程のボトルネックや効率を表示する表示部を備える別システムを備えていてもよい。
【0026】
図3において、部品実装ラインL1を管理する実装ライン管理装置3は、実装記憶部21、実装履歴処理部22、実装通信部23を備えている。実装記憶部21は記憶装置であり、実装履歴データ21aなどを記憶する。実装通信部23は、通信ネットワーク7を介して統合管理装置8、装着ライン管理装置5、組立ライン管理装置6との間で各種情報を送受信する。実装履歴処理部22は、部品実装ラインL1が備える生産装置から生産作業の開始時刻、終了時刻、エラー情報などの実績を収集し、実装履歴データ21aとして実装記憶部21に記憶させる。また、実装履歴処理部22は、収集した実装履歴データ21aを統合管理装置8に送信する。
【0027】
部品装着ラインL2を管理する装着ライン管理装置5は、装着記憶部31、管理設定部32、情報収集部33、生産時刻算出部34、入力部35、表示部36、装着通信部37を備えている。装着記憶部31は記憶装置であり、生産装置データ31a、標準時間データ31b、装着履歴データ31cなどを記憶している。装着通信部37は、通信ネットワーク7を介して統合管理装置8、実装ライン管理装置3、組立ライン管理装置6との間で各種情報を送受信する。入力部35は、キーボード、タッチパネル、マウスなどの入力装置であり、操作コマンドやデータ入力時などに用いられる。表示部36は液晶パネルなどの表示装置であり、各記憶部が記憶する各種データを表示する他、入力部35による操作のための管理方法設定画面などの各種情報を表示する。
【0028】
図3において、生産装置データ31aには、部品装着ラインL2が備える生産装置を特定する情報、接続順番、生産設備が実行する作業内容などが記憶されている。標準時間データ31bには、基板B(ワーク)を搬入装置で搬入する搬入工程と、基板Bに作業装置で異形部品装着作業や局所半田付け作業などをする作業工程と、基板Bを搬出装置で搬出する搬出工程とを含む生産工程の各々の標準的な作業時間(標準作業時間)が記憶されている。管理設定部32は、生産工程を一つのグループとして管理する一体管理、または生産工程の各工程を個別に管理する個別管理の、いずれの管理方法で管理するかを設定する。
【0029】
ここで図4を参照して、管理設定部32が表示部36に表示させた管理方法設定画面40の例について説明する。管理方法設定画面40には、「品目名」設定枠41、「生産ライン名」設定枠42、「管理方法」設定枠43、「情報収集対象生産装置」設定枠44、「決定」ボタン45が表示されている。「品目名」設定枠41では、作業者が入力部35を操作して生産される品目名が入力される。「生産ライン」設定枠42では、作業者が入力部35を操作して管理方法を設定する生産ラインが入力される。この例では、品目名として「B1」が、生産ライン名として「L2」が設定されている。
【0030】
「管理方法」設定枠43では、作業者が入力部35を操作してラジオボタン43aを選択することにより、管理方法として「一体管理」または「個別管理」のいずれかが設定される。この例では、「一体管理」が設定されている。「情報収集対象生産装置」設定枠44では、作業者が入力部35を操作して設定ボタン44aを選択することで情報収集対象の生産装置が選択設定される。この例では、部品装着ラインL2が備える生産装置のうち、ローダ装置M8とアンローダ装置M11が選択されている。なお、「管理方法」設定枠43において「個別管理」が設定されると、自動的に全ての生産装置が選択される。作業者が入力部35を使用して「決定」ボタン45を操作すると、管理設定部32は管理方法設定画面40で設定された条件を管理方法として設定する。
【0031】
図3において、情報収集部33は、管理設定部32によって設定された管理方法に基づいて、作業情報を収集する。具体的には、情報収集部33は、一体管理の場合は生産工程の複数の装置のうちの少なくとも1つの装置から作業情報を収集する。また、情報収集部33は、個別管理の場合は生産工程の各装置から作業情報を収集する。収集された作業情報は、装着履歴データ31cとして装着記憶部31に記憶される。
【0032】
また、情報収集部33は、ローダ装置M8またはアンローダ装置M11が備える認識部Rが基板B(ワーク)に付された識別情報Qを認識すると、認識部Rが認識した基板Bの情報を収集する。生産時刻算出部34は、一体管理の場合は、情報収集部33が基板Bの情報を収集した時刻と標準時間データ31bに含まれる標準作業時間から、基板B毎に生産工程が実行された生産時刻(生産完了時刻)を算出(推定)する。また、生産時刻算出部34は、個別管理の場合は、収集された各装置からの作業情報と標準時間データ31bに含まれる標準作業時間から、基板B毎に生産工程が実行された生産時刻を算出(推定)する。算出された生産時刻は、装着履歴データ31cに記憶される。
【0033】
ここで図5(a)を参照して、個別管理の例について説明する。個別管理では、各生産装置から搬入工程、作業工程、搬出工程の開始時刻または終了時刻が収集される。ローダ装置M8では、時刻T11に搬出工程が開始され、時刻T12に搬出工程が終了している。ここでの時刻T11はローダ装置M8が備えるコンベアが可動を開始する時刻であり、時刻T12はコンベアが可動を終了する時刻の実績である。ローダ装置M8では、コンベアが可動中(時刻T11~T12)の時刻Tr1に認識部Rにより基板Bに付された識別情報Qが認識される(認識工程が実施される)。
【0034】
異形部品装着装置M9では、搬入工程が時刻T21~T22に、作業工程(部品装着作業)が時刻T22~T23に、搬出工程が時刻T23~T24に実施されている。異形部品装着装置M9では、ローダ装置M8の搬出工程(時刻T11~T12)中に搬入工程が開始される(時刻T11<時刻T21<時刻T12)。局所半田付け装置M10では、搬入工程が時刻T31~T32に、作業工程(局所半田付け作業)が時刻T32~T33に、搬出工程が時刻T33~T34に実施されている。局所半田付け装置M10では、異形部品装着装置M9の搬出工程(時刻T23~T24)中に搬入工程が開始される(時刻T23<時刻T31<時刻T24)。
【0035】
図5(a)において、アンローダ装置M11では、搬入工程が時刻T41~T42に実施されている。アンローダ装置M11では、コンベアが可動中(時刻T41~T42)の時刻Tr2に認識工程が実施される。生産時刻算出部34は、収集された異形部品装着装置M9の作業時間と標準時間データ31bに含まれる標準作業時間から異形部品C1,C2の基板Bへの部品装着作業が終了した時刻を算出(推定)する。
【0036】
具体的には、生産時刻算出部34は、部品装着作業が開始される時刻T22に、標準時間データ31bに含まれる異形部品C1の部品装着作業の標準作業時間D11を加算して、異形部品C1の部品装着作業の終了時刻T25(T22+D11)を算出する。また、生産時刻算出部34は、算出した異形部品C1の部品装着作業の終了時刻T25に、異形部品C2の部品装着作業の標準作業時間D12を加算して、異形部品C2の部品装着作業の終了時刻T26(T22+D11+D12)を算出する。
【0037】
次に図5(b)を参照して、一体管理の例について説明する。この例では、図4に示す管理方法設定画面40で決定された管理方法が設定されているとする。すなわち、ローダ装置M8とアンローダ装置M11が情報収集対象生産装置に設定されている。ローダ装置M8とアンローダ装置M11からは、認識部Rにより基板Bに付された識別情報Qが収集される。生産時刻算出部34は、ローダ装置M8から識別情報Qが収集された時刻Tr3に、標準時間データ31bに含まれるローダ装置M8の認識工程から異形部品装着装置M9の搬入工程が終了するまでの標準作業時間D21を加算して、搬入工程の終了時刻T51(Tr3+D21)(作業工程の開始時刻)を算出(推定)する。
【0038】
同様に、生産時刻算出部34は、搬入工程の終了時刻T51に部品装着作業の標準作業時間D22を加算して作業工程の終了時刻T52(Tr3+D21+D22)(搬出工程の開始時刻)を算出する。また、生産時刻算出部34は、作業工程の終了時刻T52に搬出工程の標準作業時間D23を加算して搬出工程の終了時刻T53(Tr3+D21+D22+D23)を算出する。
【0039】
図5(b)において、生産時刻算出部34は、アンローダ装置M11から識別情報Qが収集された時刻Tr4から、局所半田付け装置M10の搬出工程が開始されてからアンローダ装置M11で識別情報Qが収集されるまでの標準作業時間D33を減算して、搬出工程の開始時刻T63(Tr4-D33)(作業工程の終了時刻)を算出(推定)する。
【0040】
同様に、生産時刻算出部34は、搬出工程の開始時刻T63から局所半田付け作業の標準作業時間D32を減算して作業工程の開始時刻T62(Tr4-D33-D32)(搬入工程の終了時刻)を算出する。また、生産時刻算出部34は、作業工程の開始時刻T62から搬入工程の標準作業時間D31を減算して搬入工程の開始時刻T61(Tr4-D33-D32-D31)を算出する。このように、異形部品装着装置M9や局所半田付け装置M10から生産情報が収集されない場合であっても、他の生産装置から収集された生産情報と標準作業時間から異形部品装着装置M9や局所半田付け装置M10の生産工程の開始時刻、終了時刻を算出することができる。これによって、精確な工程管理を実行することができる。
【0041】
次に図6を参照して、一体管理の他の例について説明する。この例では、ローダ装置M8のみが情報収集対象生産装置に設定されている。異形部品装着装置M9の生産時刻T71~T73は、図5(b)の例と同様に、ローダ装置M8から識別情報Qが収集された時刻Tr5に、標準作業時間D21~D23を加算して算出される。生産時刻算出部34は、ローダ装置M8から識別情報Qが収集された時刻Tr5に、標準時間データ31bに含まれるローダ装置M8の認識工程から局所半田付け装置M10の搬入工程が開始されるまでの標準作業時間D41を加算して、搬入工程の開始時刻T81(Tr5+D41)を算出する。
【0042】
また、生産時刻算出部34は、搬入工程の開始時刻T81に搬入工程の標準作業時間D31を加算して搬入工程の終了時刻T82(Tr5+D41+D31)(作業工程の開始時刻)を算出する。また、生産時刻算出部34は、搬入工程の終了時刻T82に局所半田付け作業の標準作業時間D32を加算して作業工程の終了時刻T83(Tr5+D41+D31+D32)(搬出工程の開始時刻)を算出する。また、生産時刻算出部34は、作業工程の終了時刻T83に搬出工程の標準作業時間D33を加算して搬出工程の終了時刻T84(Tr5+D41+D31+D32+D33)を算出する。
【0043】
上記説明したように、本実施の形態の装着ライン管理装置5は、生産工程を一つのグループとして管理する一体管理、または生産工程の各工程を個別に管理する個別管理に設定する管理設定部32と、一体管理の場合は生産工程の複数の装置のうちの少なくとも1つの装置から作業情報を収集し、個別管理の場合は生産工程の各装置から作業情報を収集する情報収集部33と、を備え、生産工程を管理する工程管理装置である。これによって、多様な構成の生産ラインにおいて精確な工程管理を実行することができる。なお、下述する生産時間は作業工程の開始時刻と終了時刻に基づいて算出される。
【0044】
次に図7のフローに沿って、ワーク(基板B)を搬入する搬入工程と、ワークに作業する作業工程と、ワークを搬出する搬出工程とを含む生産工程を管理する工程管理方法(工程管理プログラム)について説明する。まず、管理設定部32は、管理方法設定画面40(図4参照)を用いて、管理方法として生産工程を一つのグループとして管理する一体管理、または生産工程の各工程を個別に管理する個別管理のいずれかに設定させる(ST1:管理方法設定工程)。
【0045】
一体管理の場合(ST2においてYes)、搬入工程と搬出工程の少なくとも一方において、認識部Rがワーク(基板B)に付された識別情報Qを認識する(ST3:識別情報認識工程)。次いで情報収集部33は、識別情報Qより認識されたワーク(基板B)の情報を収集する(ST4:ワーク情報収集工程)。すなわち、一体管理の場合は生産工程の複数の工程のうちの少なくとも1つ工程において作業情報を収集する。次いで生産時刻算出部34は、ワークの情報を収集した時刻と標準作業時間から、生産工程におけるワークの生産時刻(工程開始時刻、工程終了時刻)を算出する(ST5:一体管理生産時刻算出工程)。すなわち、一体管理の場合は、ワークの情報を収集した時刻からワークの生産時刻を算出する(図5(b)、図6参照)。
【0046】
図7において、個別管理の場合(ST2においてNo)、生産工程の各工程において作業情報を収集する(ST6:作業情報収集工程)。次いで生産時刻算出部34は、収集された各工程における作業情報と標準作業時間からワーク(基板B)の生産時刻を算出する(ST7:個別管理生産時刻算出工程)。このように、生産ラインに応じて管理方法を設定することで、多様な構成の生産ラインにおいて精確な工程管理を実行することができる。
【0047】
次に図8を参照して、部品実装システム1が備える工程管理に関する機能のうち、組立ラインL3における生産作業の履歴の収集に関する構成について説明する。組立ラインL3を管理する組立ライン管理装置6は、組立記憶部51、情報処理部52、組立通信部53、無線通信部6aを備えている。組立記憶部51は記憶装置であり、動作情報データ51a、作業者情報51b、組立履歴データ51cなどを記憶している。組立通信部53は、通信ネットワーク7を介して統合管理装置8、実装ライン管理装置3、装着ライン管理装置5との間で各種情報を送受信する。無線通信部6aは、無線で端末装置T、リーダ10との間で各種情報を送受信する。
【0048】
動作情報データ51aには、組立ラインL3において実行される生産作業を、作業者の動作レベルに細分化して動作順に記述した動作情報(作業指示)が記憶されている。動作情報データ51aは、例えば、製造指示を特定する製造指示番号毎に、作業区S1~S5単位の工程レベル、作業区S1~S5における作業レベル、作業内容を作業者の動作に細分化した動作レベルの順に階層化された動作情報が記憶される。また、動作情報データ51aには、各動作の開始から終了までに要する予定時間が記憶されている。なお、動作情報データ51aの階層構造などは、任意に設定可能である。作業者情報51bは、組立ラインL3において作業する作業者を特定する情報(作業者番号)、作業スキルレベル、勤務時間などが記憶されている。
【0049】
図8において、情報処理部52は、作業区S1~S5に配置された端末装置Tに対し、その作業区S1~S5に割り当てられた生産作業に必要な動作情報データ51aに含まれている動作情報や作業者情報51bを当該端末装置Tに送信する。また、情報処理部52は、端末装置Tから収集したワーク(基板B)毎の生産作業に関連する情報とリーダ10から収集したワーク毎の識別情報Qを関連付けて組立履歴データ51cとして組立記憶部51に記憶させる。また、情報処理部52は、収集した組立履歴データ51cを統合管理装置8に送信する。
【0050】
図8において、端末装置Tは、端末通信部61、入力表示部62、端末制御部63、予定時間超過判断部64、端末記憶部65を備えている。端末記憶部65は記憶装置であり、作業関連データ65a、端末履歴65bなどを記憶している。端末通信部61は、無線で組立ライン管理装置6との間で各種情報を送受信する。端末通信部61が受信した、動作情報データ51aに含まれている動作情報や作業者情報51bなどは、作業関連データ65aとして端末記憶部65に記憶される。入力表示部62は、タッチパネルなどであり、入力機能と表示機能を備えている。
【0051】
端末制御部63は、後述する入力表示部62に入力される情報の受け付けと、作業関連データ65aに含まれる情報と入力された情報の入力表示部62に表示する情報への変換を制御する。変換された情報は、端末履歴65bとして端末記憶部65に記憶される。また、端末制御部63は、作業関連データ65aと端末履歴65bに基づいて、入力表示部62に後述する製造実績入力画面や予定時間超過理由入力画面などを表示させる。
【0052】
ここで図9を参照して、入力表示部62に表示された製造実績入力画面70の例について説明する。ここでは、作業区S3に配置された端末装置Tの入力表示部62に表示された製造実績入力画面70の例を示す。製造実績入力画面70には、「作業者名」表示枠70a、情報画面区画71、第1画面区画72、第2画面区画73、第3画面区画74が表示されている。「作業者名」表示枠70aには、端末装置Tを操作して作業を行う作業者を特定する作業者名(OP1)が表示されている。
【0053】
情報画面区画71には、作業区S3に割り当てられた作業に関する情報が表示されている。この例では、情報画面区画71に、ワーク(基板B)の製造番号(OD012)、品目名(B1)、製造指示番号(MI0001)、作業区S3に割り当てられた作業の工程番号(PR002)および作業番号(WK03)、作業区名(S3)、着手予定日(2020/03/18)、完了予定日(2020/03/20)が表示されている。
【0054】
図9において、第1画面区画72には、作業報告ボタン群72a、実績表示枠72b、後段取報告ボタン群72cが表示されている。作業報告ボタン群72aには、生産作業中に作業内容を報告するための複数のボタンが表示されている。段取開始ボタンは、製造する品目を変更するための段取作業の開始を報告するボタンであり、段取終了ボタンは、段取作業の終了を報告するボタンである。なお、作業報告ボタン群72a、後段取報告ボタン群72cに示されるボタンは例示であって、これ以外を含んでいてもよい。例えば、ボタン操作を誤った場合に一つ前の状態に戻れる戻るボタンを含んでもよい。
【0055】
工程開始ボタン72dは、生産作業の開始を報告するボタンである。工程終了ボタン72eは、生産作業の終了を報告するボタンである。中断ボタンは、生産作業の一時中断を報告するボタンであり、中止ボタンは、生産作業の中止を報告するボタンである。段取開始ボタン、段取終了ボタン、工程開始ボタン、工程終了ボタン、中断ボタン、中止ボタンは、ワークを加工する作業に関連する作業項目を入力するためのボタンである。
【0056】
図9において、付帯作業ボタンは、装置の電源オン、メンテナンス、掃除などの生産に直接関係しない作業の開始を報告するボタンである。昼休憩ボタンは、昼休憩の開始を報告するボタンである。非作業ボタンは、体操、ミーティングなどの生産作業以外の業務の開始を報告するボタンである。間接作業ボタンは、ワークを加工する工数として計上しない間接作業の開始を報告するボタンである。付帯作業ボタン、昼休憩ボタン、非作業ボタン、間接作業ボタンは、ワークを加工する作業以外の非作業項目を入力するためのボタンである。すなわち、非作業項目には、生産準備、作業者の休憩や移動に関する項目が含まれている。
【0057】
実績表示枠72bには、製造番号全体(全体)と製造指示番号(今回)のワークの着手数、完了数、不良数が表示されている。また、不良原因入力枠では、不良となったワークの不良原因が入力される。後段取報告ボタン群72cには、翌日の作業のための後段取作業の開始を報告する後段取開始ボタン、後段取作業の終了を報告する後段取終了ボタン、その日の作業の終了を報告する終了ボタンが表示されている。
【0058】
このように、第1画面区画72では、ワークに作業する作業者の作業項目および非作業項目が入力される。作業項目には、作業関連データ65aに含まれる複数の動作情報が関連付けられている。作業項目や非作業項目に対応するボタンが操作(選択)されると、端末制御部63は選択されたボタンに対応する情報を受け付ける。端末制御部63は、受け付けた情報と受け付けた時刻を作業関連データ65aに含まれる動作情報に関連付けて端末履歴65bに記憶させる。
【0059】
図9において、第2画面区画73には、履歴一覧表示枠73aが表示されている。履歴一覧表示枠73aには、第1画面区画72で入力された動作情報の履歴が表示される。第3画面区画74には、同時作業者入力枠74a、同時作業者表示枠74bが表示されている。同時作業者入力枠74aに作業者を特定する作業者番号を入力して追加ボタンを操作(選択)すると、同時作業者表示枠74bに入力された作業者が同時作業者として登録される。同時作業者は、この端末装置Tにおいて生産作業を報告する作業者(ここでは3名)が登録される。
【0060】
同時作業者には、同じ作業区S3で作業する作業者の他、隣接する作業区S2に端末装置Tが配置されていない場合に、隣接する作業区S2で作業する作業者が含まれる。このように、第3画面区画74には、同時に作業する作業者の情報(同時作業者の作業者番号)が入力される。端末制御部63は、作業項目または非作業項目が入力されると、動作情報の履歴に同時に作業する作業者の情報を関連付けて端末履歴65bに記憶させる。これによって、端末装置Tが配備されていない作業者や、共同で作業をする作業者の作業実績を詳細に記録することができる。なお、同時作業者表示枠74bの削除ボタンが選択されると、その作業者が同時作業者から削除される。
【0061】
次に図10を参照して、生産作業中の製造実績入力画面75の例について説明する。図9に示す製造実績入力画面70において第1画面区画72の工程開始ボタン72dが操作されると生産作業が開始され、第1画面区画76に表示される工程開始ボタンが次へボタン76aに変化する。さらに、操作可能なボタンに斜線のハッチングが付される。ここでは、次へボタン76aの他、中断ボタン、中止ボタン、工程終了ボタン76b、付帯作業ボタン、昼休憩ボタン、非作業ボタン、間接作業ボタンが操作可能なボタンとして表示されている。
【0062】
作業者が工程開始ボタン72dを操作すると、第2画面区画77の履歴一覧表示枠77aに、作業関連データ65aに記憶されている作業者への動作指示(動作情報)が表示される。作業者がその動作を完了して次へボタン76aを操作すると、端末制御部63は、完了した動作情報に完了した時刻を関連付けて端末履歴65bに記憶させるとともに、第2画面区画77の履歴一覧表示枠77aに動作指示の完了日時を追加表示させる。また、記憶された端末履歴65bは、組立ライン管理装置6に送信される。なお、入力ミスを防止するために次へボタン76aの入力後、所定時間だけ次へボタン76aの入力を無効化してもよい。
【0063】
図10において、履歴一覧表示枠77aには、完了した動作指示(ネジ取る、ネジ締めA、ネジ締めB)と完了日時が一覧として表示されている。さらに端末制御部63は、次へボタン76aが操作されると、履歴一覧表示枠77aに次に動作指示を表示させる。履歴一覧表示枠77aでは、作業者が現時点で実行すべき動作指示(点検)に斜線でハッチングが付されている。
【0064】
このように、端末制御部63は、第1画面区画76において作業項目または非作業項目が入力されると、入力された作業項目または非作業項目に関連付けられる動作情報の履歴を第2画面区画77に表示させる。また、端末制御部63は、次へボタン76aが操作された回数、すなわち作業項目の入力回数に応じた動作情報と、当該動作が完了した時刻を時系列順に履歴一覧として表示させる。
【0065】
図8において、予定時間超過判断部64は、端末履歴65bに記憶された作業項目の開始から終了までの生産時間の実績(実績時間)が、作業関連データ65aに記憶されている予定時間よりも長くなる予定時間超過が発生したか否かを判断する。予定時間超過が発生したと判断された場合、すなわち、入力された作業項目の開始から終了までの時間が予定時間よりも長い場合に、端末制御部63は入力表示部62に予定時間超過の原因を入力させる予定時間超過理由入力画面を表示させる。
【0066】
ここで図11を参照して、予定時間超過理由入力画面78の例について説明する。予定時間超過理由入力画面78には、情報画面区画79、入力画面区画80が表示されている。情報画面区画79には、予定時間を超過した作業(動作)に関する情報が表示されている。この例では、情報画面区画79には、品目名(B1)、工程番号(PR002)、作業番号(WK03)、作業の実施日時(2020/03/18 09:12~2020/03/18 09:14)、作業の予定時間(1分)、実績時間(2分)が表示されている。
【0067】
入力画面区画80には、原因入力枠81、コメント入力枠82、反映ボタン83が表示されている。作業者は、原因入力枠81、コメント入力枠82に表示されるドロップダウンリストから予定時間の超過の原因とコメントを選択する。ここでは、原因として「手順不明」が、コメントとして「新人・久しぶり作業」が選択されている。反映ボタン83が操作されると、超過の原因とコメントが予定時間を超過した作業(動作)に関連付けて端末履歴65bに記憶され、次の作業内容を表示する製造実績入力画面に遷移する。
【0068】
上記説明したように、端末装置Tは、入力表示部62と、入力表示部62に入力される情報の受け付けと、入力された情報の入力表示部62に表示する情報への変換を制御する端末制御部63とを備えている。そして入力表示部62は、ワーク(基板B)に作業する作業者の作業項目および非作業項目が入力される第1画面区画72,76と、作業項目または非作業項目に関連付けられる動作情報の履歴が表示される第2画面区画73,77とを含んでいる。これによって、作業者の作業実績を詳細に記録することができる。
【0069】
次に図12のフローに沿って、図9図11を参照しながら、入力表示部62を備え、入力表示部62に入力される情報を受け付けて、情報を変換して入力表示部62に表示する端末装置Tにおける表示方法(表示プログラム)について説明する。まず、端末制御部63は、入力表示部62に製造実績入力画面70を表示させる(ST11:製造実績入力画面表示工程)(図9参照)。製造実績入力画面70において、第1画面区画72の工程開始ボタン72dが操作されると(ST12においてYes)、端末制御部63は、次に作業者が実施すべき動作情報を第2画面区画77の履歴一覧表示枠77aに表示させる(ST13:動作情報表示工程)(図10参照)。
【0070】
次いで端末制御部63は、第1画面区画76に表示されている作業項目または非作業項目の入力(ボタンの操作)を受け付ける(ST14:項目入力工程)。工程終了が入力(工程終了ボタン76bが操作)された場合(ST15においてYes)、工程入力が終了する。作業工程以外が入力(次へボタン76a以外が操作)された場合(ST16においてNo)、端末制御部63は入力された項目と入力された時刻を関連付けして端末記憶部65に記憶させ、項目入力工程(ST14)に戻る。
【0071】
図12において、作業工程が入力(次へボタン76aが操作)された場合(ST16においてYes)、端末制御部63は履歴一覧表示枠77aに動作の完了日時を追加させ、動作情報に完了日時を関連付けて端末履歴65bに記憶させる(ST17:完了日時追加工程)。すなわち、端末制御部63は、作業項目の入力に応じて(ST15~ST16)、動作情報の履歴に当該動作が完了した時刻を表示する(ST17)。
【0072】
次いで予定時間超過判断部64は、入力された作業項目の開始から終了までの作業時間の実績(実績時間)を算出する(ST18:作業時間算出工程)。予定時間超過判断部64は、実績時間が予定時間内の場合(ST19においてNo)、動作情報表示工程(ST13)に戻り、次に作業者が実施すべき動作情報が履歴一覧表示枠77aに表示される。予定時間超過判断部64は、実績時間が予定時間を超過している(予定時間より長い)場合(ST19においてYes)、端末制御部63は入力表示部62に予定時間超過の原因を入力させる予定時間超過理由入力画面78を表示させる(ST20:予定時間超過理由入力画面表示工程)(図11参照)。
【0073】
図12において、予定時間超過理由入力画面78により予定時間超過の原因が入力されると、動作情報表示工程(ST13)に戻り、次に作業者が実施すべき動作情報が履歴一覧表示枠77aに表示される。すなわち、作業項目の入力回数(ST16がYesであった回数)に応じた動作情報が履歴一覧として履歴一覧表示枠77aに表示される(ST13)。このように、本発明の表示方法では、作業者の作業実績を詳細に記録することができる。
【0074】
なお上記では、部品実装ラインL1の生産装置の履歴情報を実装ライン管理装置3が収集し、部品装着ラインL2の生産装置の履歴情報を装着ライン管理装置5が収集し、組立ラインL3の履歴情報を組立ライン管理装置6が収集する構成で説明したが、部品実装システム1はこの構成に限定されることはない。例えば、統合管理装置8が部品実装ラインL1の生産装置の履歴情報、部品装着ラインL2の生産装置の履歴情報、組立ラインL3の履歴情報を直接収集する構成であってもよい。また、統合管理装置8、実装ライン管理装置3、装着ライン管理装置5、組立ライン管理装置6は、それぞれひとつのコンピュータで構成する必要はなく、複数のデバイスで構成してもよい。例えば、記憶装置、内部処理部の全てもしくは一部を、サーバを介してクラウドに備えてもよい。
【0075】
なお、上記では、ワーク(基板B)を搬入する搬入工程と、ワークに作業する作業工程と、ワークを搬出する搬出工程とを含む生産工程を管理する工程管理方法(工程管理プログラム)にて管理方法として生産工程を一つのグループとして管理する一体管理、または生産工程の各工程を個別に管理する個別管理のいずれかに設定させている(ST1:管理方法設定工程)。しかし、生産ラインの構成が固定されて各工程の管理が変化しない場合は、管理方法設定工程を含まなくてもよい。その代わりに、生産工程を一つのグループとして管理する一体管理、または生産工程の各工程を個別に管理する個別管理かを判定する管理方法判定工程を含む。
【0076】
また上記では、生産工程におけるワークの生産時間を工程開始時刻と工程終了時刻から算出していたが、その他の算出方法を用いてもよい。例えば、工程開始時刻から時間の計測を開始して、工程終了時刻で計測を終了することで、計測時間を生産時間として算出することができる。また、上記では、生産時刻(生産完了時刻)を用いたが、そのタイミングはワークによって生産時間の範囲内において適宜変更可能である。
【0077】
また上記では、生産ラインとして基板Bに部品Pを実装する部品実装ラインL1、基板Bに異形部品Cを装着する部品装着ラインL2、基板Bに作業者が生産作業を実行する組立ラインL3を例に工程管理装置(装着ライン管理装置5)、端末装置Tを例に説明したが、生産ラインはこれらに限定されることはない。例えば、生産ラインは半導体を製造する半導体製造ラインであっても、電気機械器具、一般機械器具等のワーク(生産物)を組立てる組立て生産ラインであっても、食品加工製品を生産する食品加工ラインであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明の工程管理装置および工程管理方法ならびに工程管理プログラムは、多様な構成の生産ラインにおいて精確な工程管理を実行することができるという効果を有し、部品を基板に実装する分野において有用である。
【符号の説明】
【0079】
5 装着ライン管理装置(工程管理装置)
B 基板(ワーク)
Q 識別情報
R 認識部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12