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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】部品実装システムおよび部品実装方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20240830BHJP
【FI】
H05K13/04 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020085970
(22)【出願日】2020-05-15
(65)【公開番号】P2021180287
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】溝上 大輔
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-160645(JP,A)
【文献】特開2015-126172(JP,A)
【文献】特開2006-019469(JP,A)
【文献】特開2012-094673(JP,A)
【文献】特開2016-111298(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の実装手段によって基板に第1の部品を実装する第1の部品実装装置と、
前記第1の部品実装装置から搬出された前記基板に第2の部品を実装する第2の部品実装装置と、を含み、
前記第1の部品実装装置は、
前記第1の実装手段によって前記基板へ前記第1の部品を実装した際の前記第1の実装手段の高さ方向の移動量と前記第1の部品の高さ寸法とに基づいて、第1の実装高さ情報を取得する第1の実装高さ取得手段と、
前記第1の実装高さ取得手段によって取得された前記第1の実装高さ情報を送信する送信手段と、を備え、
前記第2の部品実装装置は、
前記送信手段によって送信された前記第1の実装高さ情報を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された前記第1の実装高さ情報に基づいて、前記基板に前記第2の部品を実装する第2の実装手段と、を備える、
部品実装システム。
【請求項2】
前記第2の部品実装装置は、
前記第2の実装手段による前記基板への前記第2の部品の実装に基づいて、第2の実装高さ情報を取得する第2の実装高さ取得手段、をさらに備える、
請求項1に記載の部品実装システム。
【請求項3】
前記第1の部品実装装置は、
前記基板の複数の計測点の基板高さを計測する高さ計測手段と、
前記高さ計測手段によって計測された前記計測点ごとの前記基板高さに基づいて、前記基板の反りデータを取得する反りデータ取得手段と、をさらに備え、
前記第1の実装手段は、前記反りデータ取得手段によって取得された前記反りデータに基づいて、前記基板に前記第1の部品を実装する、
請求項2に記載の部品実装システム。
【請求項4】
前記基板での前記第1の部品の実装位置が複数であり、複数の前記実装位置のそれぞれが前記基板で全体に亘って配置される場合、前記第2の実装手段は、前記受信手段によって受信された前記第1の実装高さ情報に少なくとも基づいて、前記基板に前記第2の部品を実装する、
請求項1~3のうちいずれか一項に記載の部品実装システム。
【請求項5】
前記送信手段は、前記反りデータ取得手段によって取得された前記反りデータをさらに送信し、
前記受信手段は、前記送信手段によって送信された前記反りデータをさらに受信し、
前記第1の部品の実装位置が複数であり、複数の前記実装位置のそれぞれが前記基板で局所的に配置される場合、前記第2の実装手段は、前記受信手段によって受信された前記第1の実装高さ情報および前記反りデータに少なくとも基づいて、前記基板に前記第2の部品を実装する、
請求項3に記載の部品実装システム。
【請求項6】
第1の実装手段によって基板に第1の部品を実装する第1の実装工程と、
前記第1の実装工程後に第1の部品が実装された前記基板を搬送する搬送工程と、
前記搬送工程後に第2の実装手段によって前記基板に第2の部品を実装する第2の実装工程と、を含み、
前記第1の実装工程は、
前記第1の実装手段によって前記基板へ前記第1の部品を実装した際の前記第1の実装手段の高さ方向の移動量と前記第1の部品の高さ寸法とに基づいて、第1の実装高さ情報を取得する第1の実装高さ取得工程と、
前記第1の実装高さ取得工程によって取得された前記第1の実装高さ情報を送信する送信工程と、を有し、
前記第2の実装工程は、前記送信工程で送信された前記第1の実装高さ情報を受信する受信工程と、を有し、
前記第2の実装工程では、前記受信工程で受信された前記第1の実装高さ情報に基づいて、前記第2の実装手段によって前記基板に前記第2の部品を実装する、
部品実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、部品実装システムおよび部品実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体などの基板製造工場には部品実装装置が配置され、部品実装装置は、基板のクリーム半田が印刷された位置(いわゆる実装位置)に部品(電子部品など)を実装する。その際、部品が実装される基板によっては反りが発生している場合があり、部品の実装の前にその反りの有無およびその程度が計測される。
【0003】
その従来の部品実装装置として、基板の表面の粗さを判定し、基板の表面に設けられた複数の計測領域の高さを高さセンサによって計測するものが知られる(例えば特許文献1参照)。この部品実装装置は、その高さ計測結果に基づいて複数の計測領域のそれぞれを代表する高さの代表値を順次導出して基板の反りデータ(以下「基板反りデータ」ともいう。)を取得し、基板反りデータに基づいて部品の実装高さを補正して部品を基板に実装する。これにより、この種の部品実装装置は、反りを有する基板に対しても部品を精度良く実装することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-152453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、昨今の高品質な電子機器等の製造現場では、複数の電子部品実装装置(部品実装装置)が並列して配置されることが少なくなく、同一の基板に対して部品実装装置ごとに互いに異なる種類の部品を実装する運用がなされている。
【0006】
ここで、図15および図16を参照して、複数の部品実装装置e1,e2,e3,e4,e5,e6,e7が配置される実装基板製造ラインmlでの基板反りデータ96に基づく部品実装の流れについて説明する。図15は、従来の複数の部品実装装置e1~e7の間での基板反りデータ96のやり取りを例示する模式図である。図16は、図15に示す例とは異なる他の従来の基板反りデータ96のやり取りを例示する模式図である。
【0007】
図15に示すように、基板製造工場の実装基板製造ラインmlで、複数の部品実装装置e1~e7のそれぞれには高さセンサ92が設けられる。そして、この種の実装基板製造ラインmlでは、基板1が搬送される都度、部品実装装置e1~e7のそれぞれは搬送された基板1に対しそれぞれの高さセンサ92を用いて基板の基板反りデータ96を取得していた。この場合、部品実装装置e1~e7のそれぞれに高さセンサ92が設けられる構成であるので設備コストが全体的に高くなっていた。また、この実装基板製造ラインmlでは部品実装装置e1~e7のそれぞれで基板反りデータ96の取得の作業が完了しないと、部品実装装置e1~e7のそれぞれは次の作業(部品の実装)を開始することができない。そのため、タクトタイムのロスが大きくなっていた(言い換えると、工程作業時間の増大に繋がっていた)。
【0008】
すなわち、複数の部品実装装置e1~e7が並列して配置される実装基板製造ラインmlにおいて、特許文献1のようにそれぞれの部品実装装置e1~e7において基板1の複数の計測領域の高さを高さセンサ92によって計測するなどの処理を行うとなると、実装基板製造ラインml全体としてタクトロスが大きくなるだけでなく、部品実装装置e1~e7ごとに高さセンサ92を設ける必要があるためコストアップも避けられないという課題が生じていた。
【0009】
そこで、図16に示すように、複数の部品実装装置e1~e7のすべてに高さセンサ92を設けず、搬送方向に沿って1台目(最初)の部品実装装置e1にのみ高さセンサ92を設ける構成も知られる。この実装基板製造ラインmlでは、基板1の高さは搬送の際には変化しないことを前提として、1台目の部品実装装置e1で高さセンサ92によって取得された基板反りデータ96がその2台目以降の部品実装装置e2~e7のそれぞれに送信される。また、その基板反りデータ96の送信は、その計測された基板1の搬送に対応して順次行われる。この場合、複数の部品実装装置e1~e7のすべてに高さセンサを設けないので設備コストを削減することが可能である。
【0010】
しかしながら、図16に示す例では、例えば搬送方向に沿って上流側の部品実装装置eで部品実装の際には基板1を押圧するので基板1の高さが少しでも変化する可能性がある。つまり、このような図16に示す構成は基板1の搬送や部品の実装による基板1の高さの変化に対応できるものではなく、この種の構成についても改善の余地があった。
【0011】
本開示は、複数の部品実装装置が配置された実装基板製造ライン全体のタクトロスの増大を抑制しながら基板の反りを適切に判定し、複数の種類の異なる部品の効率的な実装を支援する部品実装システムおよび部品実装方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示は、第1の実装手段によって基板に第1の部品を実装する第1の部品実装装置と、前記第1の部品実装装置から搬出された前記基板に第2の部品を実装する第2の部品実装装置と、を含み、前記第1の部品実装装置は、前記第1の実装手段によって前記基板へ前記第1の部品を実装した際の前記第1の実装手段の高さ方向の移動量と前記第1の部品の高さ寸法とに基づいて、第1の実装高さ情報を取得する第1の実装高さ取得手段と、前記第1の実装高さ取得手段によって取得された前記第1の実装高さ情報を送信する送信手段と、を備え、前記第2の部品実装装置は、前記送信手段によって送信された前記第1の実装高さ情報を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された前記第1の実装高さ情報に基づいて、前記基板に前記第2の部品を実装する第2の実装手段と、を備える、部品実装システムを提供する。
【0013】
また、本開示は、第1の実装手段によって基板に第1の部品を実装する第1の実装工程と、前記第1の実装工程後に第1の部品が実装された前記基板を搬送する搬送工程と、前記搬送工程後に第2の実装手段によって前記基板に第2の部品を実装する第2の実装工程と、を含み、前記第1の実装工程は、前記第1の実装手段によって前記基板へ前記第1の部品を実装した際の前記第1の実装手段の高さ方向の移動量と前記第1の部品の高さ寸法とに基づいて、第1の実装高さ情報を取得する第1の実装高さ取得工程と、前記第1の実装高さ取得工程によって取得された前記第1の実装高さ情報を送信する送信工程と、を有し、前記第2の実装工程は、前記送信工程で送信された前記第1の実装高さ情報を受信する受信工程と、を有し、前記第2の実装工程では、前記受信工程で受信された前記第1の実装高さ情報に基づいて、前記第2の実装手段によって前記基板に前記第2の部品を実装する、部品実装方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、複数の部品実装装置が配置された実装基板製造ライン全体のタクトロスの増大を抑制しながら基板の反りを適切に判定し、複数の種類の異なる部品の効率的な実装を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施の形態1に係る部品実装装置の機械的構成を例示する上面図
図2図1に示す部品実装装置の機械的構成を例示する側面図
図3図2に示すヘッドユニットおよび基板搬送機構の構成を例示する拡大図
図4図1に示す部品実装装置の制御部の機能的構成を例示するブロック図
図5】基板反りデータのデータ構造を例示するテーブル
図6】実装高さ情報のデータ構造を例示するテーブル
図7図3に示す高さセンサによって計測される複数の計測領域を例示する平面図
図8図7に示す計測領域での複数の計測点を例示する平面図
図9】(a)図3に示す高さセンサが基板の反りを計測する動作を例示する側面図(b)基板反りデータにも基づいて構築される基板の反りの曲面モデルを例示する立体図
図10】複数の部品実装装置の間でのデータのやり取りを例示する模式図
図11】1台目の部品実装装置および2台目の部品実装装置のそれぞれでの実装位置を例示する平面図
図12】1台目の部品実装装置の制御部での動作フローを例示するフローチャート
図13】2台目以降の部品実装装置の制御部での動作フローを例示するフローチャート
図14図11に示す例とは異なる実装位置を例示する平面図
図15】従来の複数の部品実装装置の間での基板反りデータのやり取りを例示する模式図
図16図15に示す例とは異なる他の従来の基板反りデータのやり取りを例示する模式図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係る部品実装システムおよび部品実装方法を具体的に開示した実施の形態を詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、すでによく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。また、添付図面のそれぞれは符号の向きに従って参照するものとする。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0017】
例えば、実施の形態でいう「部」または「装置」とは単にハードウェアによって機械的に実現される物理的構成に限らず、その構成が有する機能をプログラムなどのソフトウェアにより実現されるものも含む。また、1つの構成が有する機能が2つ以上の物理的構成により実現されても、または2つ以上の構成の機能が例えば1つの物理的構成によって実現されていてもかまわない。
【0018】
<部品実装装置の機械的構成について>
先ず、図1図3を参照しながら、部品実装装置Eの機械的構成について説明する。図1は、実施の形態1に係る部品実装装置Eの機械的構成を例示する上面図である。図2は、図1に示す部品実装装置E1の機械的構成を例示する側面図である。図3は、図2に示すヘッドユニット27(第1の実装手段および第2の実装手段の一例)および基板搬送機構13の構成を例示する拡大図である。
【0019】
なお、図1図3において、部品実装装置Eの正面側(図1の紙面で下側、図2の紙面で左側、図3の紙面で左側)を前側(フロント)、部品実装装置Eの裏面側(図1の紙面で上側、図2の紙面で右側、図3の紙面で右側)を後側(リア)ともいう。また、水平面内で互いに直交する2軸方向として、基板搬送方向のX方向(図1での紙面左右方向)、基板搬送方向に直交するY方向(図1にでの紙面上下方向)が示される。図2および図3では、水平面と直交する高さ方向としてZ方向(図2および図3での紙面上下方向)が示される。Z方向は、部品実装装置Eが水平面上に配置された場合の鉛直方向(重力方向)である。
【0020】
部品実装装置Eは、基板1に複数の種類の部品2を取り付けて製造するための実装基板製造ラインMLに複数並列に配置されており、実装基板製造ラインMLの上流から搬送される基板1に複数種の部品2を移送して所定の位置および姿勢で実装する。また、実施の形態1では、これら複数の部品実装装置Eを含む装置全体を部品実装システムESともいう。つまり、実施の形態1の部品実装システムESは、複数の部品実装装置Eを有して構成される。
【0021】
図1および図2に示すように、部品実装装置Eのそれぞれは、主に各部機構の動作によって基板1に部品2(例えば、IC(Integrated Circuit)、トランジスタ、コンデンサなどの電子部品など)を実装する本体機構部10と、その動作を制御する制御部40(図1図3では図示略、図4参照)と、を含んで構成される。本体機構部10は、基台12などから構成される実装機本体11と、実装機本体11に対し移動可能に構成されるヘッドユニット27(第1の実装手段および第2の実装手段の一例)と、を有する。なお、制御部40は、部品実装装置Eの基台12(後述参照)の内部に収納されており、実装機本体11およびヘッドユニット27などの各種の機構を制御する。
【0022】
実装機本体11の基台12の中央部には、X方向(基板1の搬送方向)に沿って基板搬送機構13が配設される。基板搬送機構13は、X方向に沿って延設される一対のコンベア部14を有し、その一対のコンベア部14の上に載置される基板1を搬送して所定の実装作業位置で位置決めして保持する。
【0023】
基板搬送機構13の前後両側(図1の紙面で上下両側、図2の紙面で左右両側)には、前後一対の部品供給機構19のそれぞれが対向して配設される。この一対の部品供給機構19のそれぞれはスロット21が設けられるフィーダベース20を有しており、スロット21にはパーツフィーダとして複数のテープフィーダ22が並列に配置される。
【0024】
また、部品実装装置Eは、フィーダーカート23をさらに有する。フィーダーカート23は、その下側に複数の車輪が配設される台車部24と、台車部24の上側においてに配設される複数のリールストック部(図示略)と、を含んで構成される。複数のリールストック部のそれぞれには、リール25が収容される。リール25のそれぞれから、部品2が収容されるキャリアテープ26が引き出されて部品供給機構19のテープフィーダ22に部品2が供給される。これにより、部品供給機構19のテープフィーダ22は、キャリアテープ26をテープ送り方向にピッチ送りすることで、後述するヘッドユニット27の移動ヘッド30によって部品2の取り出し(ピックアップ)が実行される取出位置に供給する。
【0025】
ヘッドユニット27は、基台12の上側に配設されており、部品供給機構19および基板1が配置される実装作業位置および取出位置に亘って移動可能に構成される。具体的には、ヘッドユニット27は、基板1の表面1Aと略平行する平面上で互いに直交配置されるX軸テーブル機構29およびY軸テーブル機構28によってX方向およびY方向(水平方向)に沿って直動移動可能に設けられる。
【0026】
基台12の上側には、Y軸テーブル機構28がY方向に沿って配設される。また、前後一対のX軸テーブル機構29がX方向に沿って配設されており、Y方向に沿ってスライド移動可能にY軸テーブル機構28のそれぞれに取り付けられる。また、前後一対のX軸テーブル機構29のそれぞれの先端部には、移動ヘッド30がX方向に沿ってスライド移動可能に取り付けられる。すなわち、実施の形態1では、ヘッドユニット27に移動ヘッド30が搭載されており、移動ヘッド30はX軸テーブル機構29およびY軸テーブル機構28によって互いに独立に移動可能に設けられる。これにより、移動ヘッド30は基板1の表面1Aと略平行する平面上、つまり水平面(XY平面)において任意に位置決めされる。なお、X軸テーブル機構29およびY軸テーブル機構28はいずれもリニアガイド駆動機構により設けられる。
【0027】
移動ヘッド30は複数の移動ヘッド30を有する多連型ヘッド(図示略)であり、それぞれの移動ヘッド30の下端部には複数の部品保持ノズル31が並列して配置される。部品保持ノズル31のそれぞれは、空気圧を利用して部品供給機構19のテープフィーダ22から部品2を真空吸着して保持し個別に昇降する。また、移動ヘッド30は、部品保持ノズル31のそれぞれを個別に昇降させるZ軸昇降機構(図示略)と、部品保持ノズル31のそれぞれをノズル軸回りに個別に回転させるZ軸回転機構(図示略)と、をさらに有して構成される。
【0028】
Y軸テーブル機構28およびX軸テーブル機構29が駆動することにより、移動ヘッド30は水平面(XY平面)で任意に位置決めされる。また、Z軸昇降機構およびZ軸昇降機構が駆動することで、移動ヘッド30は鉛直方向で任意の高さおよび任意の水平姿勢で位置決めされる。このような位置決めにより、移動ヘッド30は、部品供給機構19のテープフィーダ22の取出位置から部品2を部品保持ノズル31によって吸着して取り出す。
【0029】
また、移動ヘッド30には、X軸テーブル機構29の下面側に配設され、移動ヘッド30と一体に移動する基板認識カメラ34(図1参照)が固設される。移動ヘッド30が移動することにより、基板認識カメラ34は基板搬送機構13によって位置決めされた基板1の上方を通過し基板1を撮像する。制御部40は、この撮像結果に基づいて基板1の位置および姿勢を検出する。
【0030】
また、前後一対の部品供給機構19および基板搬送機構13の間には、部品認識カメラ33が配設される。部品供給機構19から部品2を取り出して保持した状態で移動ヘッド30に実装される部品保持ノズル31が部品認識カメラ33の上方を移動して通過する。その際、部品認識カメラ33は部品保持ノズル31で保持された部品2を撮像する。制御部40はこの撮像結果に基づいて部品2の種類の識別および位置検出を行う。
【0031】
これら基板1および部品2の検出結果、および後述する基板1の反りデータ(以下「基板反りデータ」ともいう。)に基づいて、移動ヘッド30は、制御部40の指示に従ってその部品保持ノズル31によって部品2をその実装位置C(基板1上における部品2が実装されるべき実装位置および実装姿勢、図11参照)のそれぞれに実装する(取り付ける)。この部品2の1回あたりの実装は、移動ヘッド30の部品保持ノズル31のそれぞれによって吸着保持された部品2がすべて基板1上に実装されるまで実行される。このようにして、部品2は、取出位置から実装作業位置までの間を移動ヘッド30の部品保持ノズル31によって保持されて移動され、そして最終的に基板1上に取り付けられる。その際、実装機本体11およびヘッドユニット27は、協調して動作しており、この協調動作は制御部40の指示によって実行される。
【0032】
また、部品2の実装(取付)の際、制御部40は、その実装に伴う部品保持ノズル31および基板1との接触の直前、その部品保持ノズル31の昇降速度を遅くする。また、部品実装装置Eのそれぞれにおいて部品保持ノズル31の先端部は微弱な電流が印加可能に設けられており、制御部40は基板1に対する部品2の実装完了の有無を、その接触による通電の有無によって判定する。
【0033】
部品実装装置Eは、基板1上の複数の実装位置Cでの実装がすべて完了するまで、移動ヘッド30の部品保持ノズル31による複数の部品2の取出、実装そして取出位置への戻り移動の一連の作業を繰り返し実行する。この作業の繰り返しにより、順次搬送される基板1のそれぞれには多数の部品2が順次実装され、その実装後、部品2が全部実装された基板1は下流側の部品実装装置Eに搬送される。下流側の部品実装装置Eでも同様に、異なる種類の部品2について実装そして取出位置への戻り移動の一連の作業が繰り返し実行される。複数の部品実装装置Eのそれぞれで部品2が実装されることで、基板1上には複数の種類の部品2が実装される。
【0034】
なお、前後一対の部品供給機構19および基板搬送機構13の間には、ノズルホルダ36および廃棄ボックス35がさらに配設される。ノズルホルダ36は、移動ヘッド30の部品保持ノズル31を保持対象の部品2に対応して複数の種類で収納する。移動ヘッド30をノズルホルダ36にアクセスさせて所定のノズル交換動作を実行させることにより、移動ヘッド30には保持対象に適した部品保持ノズル31が適宜実装される。廃棄ボックス35は箱状に形成されて内部空間を有し、その内部空間には、部品認識カメラ33によって撮像結果を認識した結果、不良と判定された部品2などが適宜廃棄される。
【0035】
さらに図3を参照して、基板搬送機構13の詳細な構成について説明する。図3に示すように基板搬送機構13は、X方向に延出する一対の板状部材15の内側に、一対のコンベア部14が配設される。コンベア部14は、モータ(図示略)で駆動される搬送ベルト(図示略)によって基板1の両端を下側から支持してX方向に搬送する。一対の板状部材15の上端には、コンベア部14のそれぞれの上側に延出する押え板16が配設される。押え板16の下面とコンベア部14の上面との間隔は、コンベア部14によって搬送される基板1の厚さより広く設定される。
【0036】
作業位置での基板1の下側には、下受け部材17が配設される。下受け部材17は、シリンダ18によって鉛直方向に昇降する。基板搬送機構13は、基板1を作業位置に位置決めして下受け部材17を上昇させる。そして、基板搬送機構13は、その基板1をコンベア部14から持ち上げて基板1の両縁部を押え板16の下面で上側から押さえ込む。これにより、基板搬送機構13は、基板1を作業位置に位置決め保持する。すなわち、基板搬送機構13は、基板1を作業位置に位置決め保持する基板保持部として機能する。また、基板搬送機構13は、基板1を搬送する際、下受け部材17を基板1の下面と干渉しない位置まで下降させる。
【0037】
また、移動ヘッド30の側方には、移動ヘッド30と一体に移動する高さセンサ32(高さ計測手段の一例)が配設されている。高さセンサ32は、例えばレーザ変位センサなどであり、レーザ光を下方に向けて投射するレーザ光源(図示略)と、レーザ光源が投射したレーザ光の反射光を受光する受光素子(図示略)を含んで構成される。高さセンサ32は、制御部40の高さ計測部51(図4参照)により制御されてレーザ光の投射・受光を行い、三角測量の原理で計測対象の高さを算出する。高さセンサ32は、基板1が基板搬送機構13によって作業位置に位置決め保持された状態で、高さセンサ32の取付位置を基準として基板1の表面1Aまでの変位量(以下「基板高さ」ともいう。)を計測する。
【0038】
<部品実装装置の機能的構成について>
次に、図4を参照しながら、部品実装装置Eの制御部40のソフトウェア構成(機能的構成)、さらに制御部40の記憶部41の記憶保持される基板反りデータ46(基板の反りデータの一例)のデータ構造および実装高さ情報48のデータ構造について説明する。図4は、図1に示す部品実装装置Eの制御部40の機能的構成を例示するブロック図である。図5は、基板反りデータ46のデータ構造を例示するテーブルである。図6は、実装高さ情報48のデータ構造を例示するテーブルである。
【0039】
なお、部品実装装置Eの制御部40は、汎用のコンピュータにより構成されており、コンピュータのROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶装置(記憶部の一例)に記憶保持されるソフトウェアとしてのプログラム(図示略)がそのCPU(Central Processing Unit)などの演算装置によって実行される。すなわち、図4に示す制御部40内に図示する各ブロックはプログラムなどのソフトウェアにより実現される機能を表す。ただし、そのブロックそれぞれで表現される機能はソフトウェアに限らず、それぞれが「装置」の物理的構成としてハードウェアによって構成されてもよい。
【0040】
図4に示すように、制御部40は、記憶部41と、機構駆動部49と、計測処理部50、撮像処理部54と、通信部55(送信手段および受信手段の一例)と、を含んで構成される。
【0041】
機構駆動部49は、本体機構部10を制御し、例えば基板搬送機構13、部品供給機構19およびヘッドユニット27が互いに協調して動作するようにそれぞれを駆動制御する。撮像処理部54は、部品認識カメラ33および基板認識カメラ34の撮像を制御し、部品認識カメラ33および基板認識カメラ34の撮像画像に基づいて基板1および部品2を画像認識する。
【0042】
通信部55は、イントラネットなどの通信網に無線回線または有線で接続されており、中央制御装置(図示略)と双方向で通信可能に設けられる。中央制御装置は、例えばサーバーシステムであり実装基板製造ラインMLを統合的に監視および管理する。他の部品実装装置Eのそれぞれも同様に通信部55を有して構成されており、通信部55のそれぞれを通じて中央制御装置と双方向で通信可能である。すなわち、同一の実装基板製造ラインMLに配置される部品実装装置Eのそれぞれは、その通信部55および中央制御装置を介して互いに通信可能にネットワーク(通信網)が構成される。そのため、部品実装装置Eのそれぞれは、例えば基板反りデータ46(後述参照)および実装高さ情報48(後述参照)などの各種情報またはデータを互いに送受信することが可能である。
【0043】
記憶部41は、実装データ42と、部品データ43と、計測点位置情報44と、高さ計測結果情報45、基板反りデータ46と、曲面モデルデータ47と、実装高さ情報48と、を少なくとも記憶保持する。
【0044】
実装データ42には、基板1のそれぞれに実装されるべき部品2の種類、およびその基板1上の部品2の実装位置C(図11参照)および実装姿勢などの情報が格納される。部品データ43には、部品2の種類ごとの外形(高さ寸法情報も含む)および、電極の有無またはその本数などの情報が格納される。
【0045】
計測点位置情報44には、高さセンサ32によって計測されるべき、基板1上の複数の計測領域P、およびその計測領域Pのそれぞれでの複数の計測点Sの位置情報(基板1上でのXY座標)が格納される。高さ計測結果情報45は、この計測点位置情報44に基づいて高さセンサ32によって計測された、基板1上の計測点Sのそれぞれの基板高さの計測値がその計測結果として格納される。また、この基板高さの計測値(基板高さの計測結果)は、例えば、高さセンサ32の取付位置を基準(0位置)とする基板1の表面1Aまでの変位量とされる(図9(a)参照)。
【0046】
基板反りデータ46は、反りデータ取得部53(データ取得手段の一例、後述参照)によって、基板1上の複数の計測点Sでの高さ計測結果情報45に基づいて算出される。この算出の結果、基板反りデータ46は、図5に示すように、計測点Sの水平面での位置情報、すなわち複数の計測領域Pおよびその計測領域P1,P2,・・・のそれぞれでの複数の計測点Sの座標(XY座標)S1,S2,・・・の情報を含んで構成される。また、基板反りデータ46は、その計測点位置情報44のそれぞれに対応する基板高さの計測値(変位量)h1,h2,・・・、およびその計測領域Pごとの代表値(基板反り値、後述)hP1,・・・をさらに含んで構成される。曲面モデルデータ47は、基板反りデータ46に基づいて反りデータ取得部53によって生成される(後述参照)。
【0047】
なお、実施の形態1では、2台目以降の、基板1の搬送方向に沿って下流側の部品実装装置Eの制御部40では、その反りデータ取得部53は、上流側の部品実装装置Eで取得され送信される実装高さ情報48に基づいても基板反りデータ46を算出可能に設けられる。
【0048】
実装高さ情報48は、実装高さ取得部52(第1の実装高さ取得手段および第2の実装高さ取得手段の一例、後述)によって、ヘッドユニット27が実際に基板1に部品2を実装した際の、ヘッドユニット27の駆動系の移動量およびその部品2の高さ寸法(部品データ43より参照)に基づいて算出される。その算出の結果、図6に示すように、実装高さ情報48には、基板実装の座標(XY座標)A1,A2,・・・と、この基板実装の座標ごとの実装高さ計測値H1,H2,・・・と、を含んで構成される。
【0049】
なお、基板実装の座標Aは、実際に部品2を基板1に実装した際に取得される計測値(実測値)である。それに対し、上述した実装位置Cは、実装データ42で規定される目標値であり、実施の形態1では基板実装の座標Aとは区別して扱われる。
【0050】
図4に示すように、計測処理部50は、高さ計測部51(高さ計測手段の一例)と、実装高さ取得部52と、反りデータ取得部53と、を有して構成される。
【0051】
高さ計測部51は、高さセンサ32による計測を制御する。具体的には、機構駆動部49が記憶部41の計測点位置情報44を読み込み、その計測点位置情報44に基づいてヘッドユニット27などを駆動制御する。この駆動制御により、そのヘッドユニット27が所定の計測領域Pでの計測点Sのそれぞれに位置決めされる。そしてその時点で、高さ計測部51は、高さセンサ32を動作制御して基板1の表面1Aまでの変位量、すなわち基板高さ(基板高さの計測値、変位量)を計測させる。高さ計測部51は、計測領域Pのうち計測点Sの全部においてその基板高さを計測させて、その基板高さの計測値を反りデータ取得部53に送信する。反りデータ取得部53は、送信された基板高さの計測値に基づいて基板反りデータ46を生成する(後述参照)。
【0052】
実装高さ取得部52は、機構駆動部49から、その基板1上の水平方向でのヘッドユニット27の移動量(すなわち基板1上の部品2の実際の基板実装の座標(XY座標))、およびそのヘッドユニット27の高さ方向(Z方向、鉛直方向)の移動量を逐次取得する。また、実装高さ取得部52は、記憶部41の部品データ43を読み込むとともに、撮像処理部54の画像認識結果からヘッドユニット27が今現在保持している部品2を識別して、その部品2の高さ寸法を取得する。
【0053】
なお、ヘッドユニット27の水平方向での移動量は、Y軸テーブル機構28およびX軸テーブル機構29のそれぞれに駆動制御のために内設される駆動センサ(図示略)などにより逐次計測される。また、ヘッドユニット27の高さ方向の移動量は、移動ヘッド30のZ軸昇降機構に同様に内設される駆動センサ(図示略)などにより逐次計測される。
【0054】
そして、実装高さ取得部52は、ヘッドユニット27の高さ方向での移動量と、該当の部品2の高さ寸法と、の値を加算して実装高さの計測値(実際値)を取得する。つまり、実装高さの計測値は、部品2の基板実装の座標(基板1上でのXY座標)での、実装データ42に従って機構駆動部49によって駆動制御された本体機構部10の実際の駆動情報(計測された移動量)と、部品データ43に基づくその本体機構部10によって実際に移送された部品2の高さ寸法情報と、の加算によって算出される。
【0055】
ここで、実装高さの計測値は、高さセンサ32によって計測される基板高さの計測値に相当する値であり、実装高さ取得部52は、実際に実装した部品2の点数分でその基板実装の座標と実装高さの計測値とを紐付けして実装高さ情報48を生成する(図6参照)。生成された実装高さ情報48は、記憶部41に記憶保持される。そして、後述するように、制御部40は、記憶部41の実装高さ情報48を、通信部55を通じて次工程(下流側)の部品実装装置Eの制御部40に送信する。
【0056】
すなわち、制御部40は、ヘッドユニット27による基板1への部品2の実際の実装に基づいて、実装高さ情報48を取得してその実装高さ情報48を次(下流側)の部品実装装置Eに送信する。その下流側の部品実装装置Eは、この実装高さ情報48に基づいて基板反りデータ46を生成した上でその基板反りデータ46に基づいて基板1の反りを適切に判定して基板1に部品2を実装する。
【0057】
<高さセンサによる基板上の計測値での高さ計測について>
次に、図7図9を参照しながら、高さセンサ32による基板1上の計測値での高さ計測について説明する。図7は、図3に示す高さセンサ32によって計測される複数の計測領域Pを例示する平面図である。図8は、図7に示す計測領域Pでの複数の計測領域Pを例示する平面図である。図9(a)は、図3に示す高さセンサ32が基板1の反りを計測する動作を例示する側面図である。図9(b)は、基板反りデータ46にも基づいて構築される基板1の反りの曲面モデルWMを例示する立体図である。
【0058】
図7を示すように、基板1の表面1Aには、記憶部41の計測点位置情報44に従って高さセンサ32によって基板高さを計測するための9点の計測領域Pn(nは自然数、n=1,2,・・・,9)が設定される。基板高さの計測値によって基板1の反り(基板1の反りの曲面モデルWM)が算出される。
【0059】
ヘッドユニット27のX軸テーブル機構29およびY軸テーブル機構28によって計測領域Pnの上側に移動した高さセンサ32は、計測領域Pnに向けてレーザ光を投射して基板高さを計測する。すなわち、上述したように高さセンサ32はヘッドユニット27に取り付けられており(図3参照)、基板搬送機構13に位置決め保持された基板1の基板高さ(基板1の表面1Aの高さ)を計測する。なお、実施の形態1では計測領域Pnは9点に設定されるが、これに限定されず、任意に設定することが可能である。
【0060】
また、基板1の表面1Aがその領域によって粗い場合など、レーザ光の乱反射によって基板高さの計測値(計測結果)がばらつき計測誤差を低下させる可能性がある。そこで、実施の形態1では、図8に示すように、その基板高さの計測は計測領域Pのそれぞれで複数の計測点Sで行われる。複数点での計測により、基板高さの計測誤差を低減することが可能となる。
【0061】
具体的には、図8に示すように、例えば計測領域P1のうちに5点の計測点S1(i)(i=1,2,・・・,5)が設定される。なお、図8では、計測点S1(1)~S1(5)のそれぞれの符号は、計測領域P1において高さセンサ32によって投射されるレーザ光の中心の位置を示す。また、ビーム領域B1(1)~B1(5)のそれぞれの符号はレーザ光の広がりを示しており、ビーム領域B1(1)~B1(5)の直径がビーム直径(基板1の表面1Aでのレーザ光のビーム径)を示す。
【0062】
計測点S1(1)~S1(5)のそれぞれは、隣接する計測点S1(1)~S1(5)のビーム領域B1(1)~B1(5)の一部が互いに重なるように設定される。すなわち複数の計測点S1での基板高さの計測では、基板高さ(基板1の表面1Aの高さ)が計測される計測領域P1において、互いに近接する複数の計測点S1(1)~S1(5)のうち、隣接する計測点S1(1)~S1(5)間の変位量は高さセンサ32から投射されるレーザ光のビーム直径BD(基板1の表面1Aでのビーム径)より短く設けられる。
【0063】
このように、ビーム領域B1(1)~B1(5)が重なる複数の計測点S1(1)~S1(5)の計測結果(図5参照)に基づいて計測領域P1の基板高さとすることで、表面1Aが粗い基板1の場合であっても基板高さの計測誤差を低減することが可能となる。
【0064】
なお、実施の形態1では計測領域Pnのうちの計測点Snは5つに設定されるが、これに限定されることなく、基板1の表面1Aの粗さやレーザ光のビーム直径などに基づいて任意に設定することが可能である。
【0065】
そして、図9(a)に示すように、反りデータ取得部53は、基板1上の複数の計測点Sでの基板高さの計測値に基づいて、反りや変形のない平坦な基板1が基板搬送機構13に位置決め保持された状態の基板1の表面1Aからの変位量を、計測点Snのそれぞれについて算出する。その際、高さセンサ32によって計測領域Pnにおいて複数の計測点Snで基板高さが計測されているので、反りデータ取得部53は、計測領域Pnのそれぞれの計測点Snの基板高さから代表値(基板反り値)を決定して計測領域Pnの変位量とする(図5参照)。
【0066】
その代表値としては、計測領域Pn内の計測点Snの平均値、中央値、最大値と最小値を排除した平均値などが例示される。また、2台目以降の下流側の部品実装装置Eの反りデータ取得部53は、上流側の部品実装装置Eで取得され送信される実装高さ情報48に基づいて、保持状態の基板1からの変位量(すなわち基板反り値)をその実装位置Cのそれぞれについて算出する。
【0067】
反りデータ取得部53は、基板反りデータ46の計測領域Pnのそれぞれの変位量(代表値)に基づいて曲面モデルWMを生成する。生成された曲面モデルWMは、曲面モデルデータ47として記憶部41に記憶保持される。このようにして、高さセンサ32による基板高さの計測結果(計測値)に基づいて、複数の計測領域Pnのそれぞれを代表する基板高さの代表値(変位量、基板反り値)が順次導出され基板反りデータ46が生成される。そして、反りデータ取得部53は、その基板反りデータ46に基づいて、代表値の基板1の立体形状を示す曲面モデルデータ47を取得する。
【0068】
その一方、実施の形態1では、2台目以降の下流側の部品実装装置Eの反りデータ取得部53は、上流側の部品実装装置Eから送信される実装高さ情報48に基づいて算出した基板反り値により曲面モデルWMを生成して、記憶部41に曲面モデルデータ47として記憶保持される。2台目以降の下流側の部品実装装置Eは、その実装高さ情報48に基づいて生成される曲面モデルデータ47により基板1の反りを判定して部品2を実装する。
【0069】
そして、上述したように、図9(b)に示すように、機構駆動部49は、ヘッドユニット27を駆動制御して、基板搬送機構13に位置決め保持された基板1の表面1Aの実装位置C(XC、YC)に部品2を実装する。その際、曲面モデルデータ47の曲面モデルWMに基づいて実装位置Cにおける目標変位量ZCが算出されており、機構駆動部49はその算出された目標変位量ZC(XC,YC)に基づいて実装高さ(Z軸昇降機構の移動量)を補正して部品2を実装する。すなわち、実施の形態1では、制御部40の機構駆動部49は、基板反りデータ46に基づいて実装高さを補正して部品2を基板1に精度良く実装することが可能である。
【0070】
<複数の部品実装装置の間での実装高さ情報の送受信について>
次に、図10および図11を参照しながら、実装基板製造ラインMLに複数配置される、複数の部品実装装置Eの間での実装高さ情報48の送受信について説明する。また、基板1上での実装位置Cに関し、1台目の部品実装装置Eおよび2台目の部品実装装置Eでの基板1上での実装位置Cの例を挙げて説明する。図10は、複数の部品実装装置Eの間でのデータのやり取りを例示する模式図である。図11は、1台目の部品実装装置Eおよび2台目の部品実装装置Eのそれぞれでの実装位置Cを例示する平面図である。
【0071】
図10に示すように、同一の実装基板製造ラインMLに7台の部品実装装置Ej(j=1,2,・・・,7)が配置される。また、実施の形態1では、1台目の部品実装装置E1の実装機本体11には高さセンサ32が設けられるが、2台目以降の部品実装装置E2~E7の実装機本体11のそれぞれには高さセンサ32は設けられない。また、これに対応して2台目以降の部品実装装置E2~E7の制御部40のそれぞれには、計測処理部50の高さ計測部51も同様に設けられない。それ以外の構成は、1台目の部品実装装置E1と同様である。
【0072】
なお、図10では、符号Ejのjの値は、その値が小さいほど基板1の搬送方向(図10での矢印)に沿って上流側に配置される部品実装装置Eであることを示す。また、説明の便宜上、その部品実装装置Eのそれぞれは模式的に表現されており、またそれぞれにおいて基板1、部品実装装置Eの本体、その高さセンサ32およびそのヘッドユニット27以外の構成の図示は省略される。
【0073】
また、実施の形態1では、図11に示すように、基板1に対する1台目の部品実装装置E1および2台目の部品実装装置E2の実装位置Cのそれぞれが複数設定される。すなわち、1台目の部品実装装置Eに割り当てられる部品2の実装位置Cは、基板1上に9点の実装位置C1(k)(k=1,2,・・・,9)が設定されており、また、基板1の表面1Aで全体に亘って略均一に配置される。2台目の部品実装装置Eも同様に、9点の実装位置C2(l)(l=1,2,・・・,9)が設定されており、基板1の表面1Aで全体に亘って略均一に配置される。
【0074】
この場合、1台目の部品実装装置E1において、高さセンサ32による計測領域P1~P9と、その実装位置C1(1)~C1(9)全体が囲われる領域と、の重畳面積は大きい(図7参照)。そのため、1台目の部品実装装置E1の実装高さ取得部52で取得される実装高さ情報48に基づいて生成される基板反りデータ46は、高さセンサ32によって計測される基板高さに基づいて生成される基板反りデータ46と同様に扱うことが可能である。
【0075】
そのため、実施の形態1では、1台目の部品実装装置E1は、自装置で取得した実装高さ情報48をその通信部55を通じて2台目の部品実装装置E2に送信する。2台目の部品実装装置E2は、その送信された実装高さ情報48をその通信部55を通じて受信する。つまり、2台目以降の下流側の部品実装装置E2~E7は、その上流側の部品実装装置Eから送信される実装高さ情報48に基づいて自装置の反りデータ取得部53で基板反りデータ46を生成する。この生成により、2台目以降の下流側の部品実装装置E2~E7は、その生成された基板反りデータ46に基づいて基板1の反りを適切に判定して自装置に搬送された基板1に対し部品2を実装することが可能となる。
【0076】
<部品実装装置のそれぞれの制御部の動作フローについて>
次に、図12および図13を参照して、1台目の部品実装装置E1および2台目の部品実装装置E2の制御部40のそれぞれの動作フローについて詳細に説明する。図12は、1台目の部品実装装置E1の制御部40での動作フローを例示するフローチャートである。図13は、2台目以降の部品実装装置E2の制御部40での動作フローを例示するフローチャートである。
【0077】
図12に示すように、1台目の部品実装装置E1の制御部40の機構駆動部49は、基板搬送機構13を駆動制御して基板1を自装置に搬入して保持する(S11)。基板1が基板搬送機構13によって保持された状態で、機構駆動部49がヘッドユニット27を駆動制御するとともに高さ計測部51が高さセンサ32による計測を動作制御する。これにより、制御部40は、基板1上の複数の計測点Sでの基板高さを計測する(S12)。
【0078】
反りデータ取得部53は、基板1上の複数の計測点Sでの基板高さの計測値に基づいて、反りや変形のない平坦な基板1が基板搬送機構13に位置決め保持された状態の基板1の表面1Aからの変位量を、計測点Sのそれぞれについて算出して基板反りデータ46を生成する。そして、反りデータ取得部53は、基板反りデータ46の計測領域Pnのそれぞれの変位量(代表値)に基づいて曲面モデルWMを生成する(S13)。
【0079】
ここで、曲面モデルWMに基づいて実装位置Cにおける目標変位量ZCが算出され(図9参照)、制御部40はその算出された目標変位量ZCに基づいて実装高さを補正する。機構駆動部49は、その補正に基づいてヘッドユニット27を駆動制御して基板1の表面1Aの実装位置C(基板実装の座標)に部品2を実装する(S14)。
【0080】
その際、実装高さ取得部52は、ヘッドユニット27の高さ方向での移動量と、該当の部品2の高さ寸法と、の値を加算して実装高さの計測値(実際値)を取得する。実装高さ取得部52は、実際に実装した部品2の点数分で、その部品2ごとの基板実装の座標(XY座標)Aと実装高さの計測値(Z方向での移動量)Hとを紐付けして実装高さ情報48を生成する(S15)。
【0081】
1台目の部品実装装置E1の制御部40は、生成された実装高さ情報48を通信部55を通じて次工程、つまり2台目の部品実装装置E2の制御部40に送信する(S16)。そして、1台目の部品実装装置E1の機構駆動部49は、基板搬送機構13を駆動制御して基板1を自装置から搬出して2台目の部品実装装置E2に搬送する(S17)。
【0082】
そして、図13に示すように、2台目の部品実装装置E2は、1台目の部品実装装置E1から送信された実装高さ情報48を自装置の通信部55を通じて受信する(S21)。また、2台目の部品実装装置E2は1台目の部品実装装置E1によって搬送された基板1を受け取り、2台目の部品実装装置E2の制御部40の機構駆動部49は、基板搬送機構13を駆動制御して基板1を自装置に搬入して保持する(S22)。
【0083】
2台目の部品実装装置E2の機構駆動部49は、その受信した実装高さ情報48に基づいて、ヘッドユニット27を駆動制御して基板1の表面1Aの実装位置Cに部品2を実装する(S23)。その際、2台目の部品実装装置E2の実装高さ取得部52は、自装置についても1台目の部品実装装置E1と同様に、ヘッドユニット27の高さ方向での移動量と、該当の部品2の高さ寸法と、の値を加算して実装高さの計測値を取得する。2台目の部品実装装置E2の実装高さ取得部52は、実際に実装した部品2の点数分で、その部品2ごとの基板実装の座標Aと実装高さの計測値Hとを紐付けして、自装置の実装に関しても実装高さ情報48を生成する(S24)。
【0084】
2台目の部品実装装置E2の制御部40は、自装置の実装で生成された実装高さ情報48を自装置の通信部55を通じて次工程、つまり3台目の部品実装装置E3の制御部40に送信する(S25)。そして、2台目の部品実装装置E2の機構駆動部49は、基板搬送機構13を駆動制御して基板1を自装置から搬出して3台目の部品実装装置E3に搬送する(S26)。
【0085】
このようにして、3台目~7台目の部品実装装置E3~E7は、ステップS21~S26と同様な動作処理を実行して、自装置の実装で生成された実装高さ情報48を通信部55を通じて次工程、換言すれば自装置から下流側の部品実装装置Eの制御部40に順次送信する。
【0086】
なお、7台目(最終台)の部品実装装置E7は、実装基板製造ラインMLで最後に配置されるので、次工程の部品実装装置Eに実装高さ情報48を送信する必要がない。そのため、7台目の部品実装装置Eでは、ステップS24、S25の動作処理は実行されない。
【0087】
以上により、実施の形態1に係る部品実装システムESによれば、1台目の部品実装装置E1(第1の部品実装装置の一例)は、ヘッドユニット27(第1の実装手段の一例)による基板1への部品2(第1の部品の一例)の実装に基づいて、実装高さ情報48(第1の実装高さ情報の一例)を取得する実装高さ取得部52(第1の実装高さ取得手段の一例)と、実装高さ取得部52によって取得された実装高さ情報48(第1の実装高さ情報の一例)を送信する通信部55(送信手段の一例)と、を備える。また、2台目の部品実装装置E2(第2の部品実装装置の一例)は、1台目の部品実装装置E1の通信部55(送信手段の一例)によって送信された実装高さ情報48を受信する通信部55(受信手段の一例)と、この通信部55によって受信された1台目の部品実装装置E1の実装高さ情報48(第1の実装高さ情報の一例)に基づいて、基板1に部品2(第2の部品の一例)を実装するヘッドユニット27(第2の実装手段の一例)と、を備える。
【0088】
また、実施の形態1に係る部品実装方法によれば、1台目の部品実装装置E1での実装工程(第1の実装工程の一例)は、基板1への(第1の部品の一例)の実装に基づいて、実装高さ情報48(第1の実装高さ情報の一例)を取得する実装高さ取得工程(第1の実装高さ取得工程の一例)と、この実装高さ情報取得工程(第1の実装高さ取得工程の一例)によって取得された実装高さ情報48を送信する送信工程と、を有する(図12参照)。また、2台目の部品実装装置E2での実装工程(第2の実装工程)は、1台目の部品実装装置E1での送信工程で送信された実装高さ情報48を受信する受信工程を有し、2台目の部品実装装置E2での実装工程(第2の実装工程の一例)では、その受信工程で受信された1台目の部品実装装置E1の実装高さ情報48(第1の実装高さ情報の一例)に基づいて、基板1に部品2(第2の部品の一例)を実装する(図13参照)。
【0089】
このため、基板1の搬送方向に沿って下流側、例えば2台目の部品実装装置E2は、その上流側である、例えば1台目の部品実装装置E1が部品2を実装する際に取得される上流側の部品実装装置Eの実装高さ装置に基づいて基板反りデータ46を生成することができる。これにより、2台目の下流側の部品実装装置E2は自装置で高さセンサ32(高さ計測手段の一例)などで改めて基板1上の複数の計測点Sの高さを計測する必要がないので、そのタスク(作業)を不要にしてそのタクトタイムを削減することができる。その結果、複数の部品実装装置Eが配置された実装基板製造ラインML全体のタクトロスの増大を抑制しながら基板1の反りを適切に判定し、複数の種類の異なる部品2の効率的な実装を支援することができる。また、下流側の部品実装装置Eに高さセンサ32を設ける必要がないので、部品実装装置Eの装置コストを削減することができる。
【0090】
また、実施の形態1の部品実装システムESによれば、2台目の部品実装装置E2(第2の部品実装装置の一例)は、そのヘッドユニット27(第2の実装手段の一例)による基板1への部品2(第2の部品の一例)の実装に基づいて、2台目の部品実装装置E2の実装高さ情報48(第2の実装高さ情報の一例)を取得する実装高さ取得部52(第2の実装高さ取得手段)、をさらに備える。
【0091】
このため、2台目の部品実装装置E2は、取得した自装置の実装高さ情報48をその下流側の3台目の部品実装装置E3に送信し、3台目の部品実装装置E3はその送信された2台目の部品実装装置E2の実装高さ情報48に基づいて基板反りデータ46を生成することができる。これにより、3台目以降の下流側の部品実装装置E3~E7でも同様にその自装置で高さセンサ32などによって改めて基板1上の複数の計測点Sの高さを計測するタスクを不要にして、そのタクトタイムのそれぞれを削減することができる。
【0092】
また、実施の形態1の部品実装システムESによれば、1台目の部品実装装置E1(第1の部品実装装置の一例)は、基板1の複数の計測点Sの基板高さを計測する高さセンサ32(高さ計測手段の一例)と、高さセンサ32によって計測された計測点Sごとの基板高さに基づいて、基板反りデータ46(反りデータの一例)を取得する反りデータ取得部53(反りデータ取得手段の一例)と、さらに備える。また、1台目の部品実装装置E1のヘッドユニット27(第1の実装手段の一例)は、反りデータ取得部53によって取得された基板反りデータ46に基づいて、基板1に部品2(第1の部品の一例)を実装する。
【0093】
このため、1台目の部品実装装置E1は、あらかじめ設定される複数の計測点Sの基板高さを高さセンサ32によって計測するので、1台目の部品実装装置E1は、(実装高さ情報48を取得しなくても)その基板高さの計測値に基づいて基板1の反りを精度良く判定して、部品2を実装することができる。
【0094】
また、実施の形態1の部品実装システムESによれば、基板1での1台目の部品実装装置E1の部品2(第1の部品の一例)の実装位置C1(1)~C1(9)が複数であり、その実装位置C1(1)~C1(9)が基板1で全体に亘って配置される場合、2台目の部品実装装置E2のヘッドユニット27(第2の実装手段の一例)は、通信部55(受信手段の一例)によって受信された実装高さ情報48(第1の実装高さ情報の一例)に基づいて、基板1に2台目の部品実装装置E2の部品2(第2の部品の一例)を実装する。
【0095】
この場合、1台目の部品実装装置E1において、高さセンサ32による計測領域P1~P9と、その実装位置C1(1)~C1(9)が囲われる領域と、の重畳面積は大きい。このため、1台目の部品実装装置E1の実装高さ取得部52で取得される実装高さ情報48に基づいて生成される基板反りデータ46は、高さセンサ32によって計測される基板高さに基づいて生成される基板反りデータ46と同様に扱うことができる。つまり、1台目の部品実装装置E1は、2台目の部品実装装置E2に対し基板高さの情報を送信する必要はなく、2台目の部品実装装置E2は1台目の部品実装装置E1から送信される実装高さ情報48のみでも基板反りデータ46を精度良く生成することができる。
【0096】
(変形例)
次に、図14を参照しながら、上述した実施の形態1に係る変形例について説明する。図14は、図11に示す例とは異なる実装位置Cを例示する平面図である。
【0097】
上述した実施の形態1では、1台目の部品実装装置E1および2台目の部品実装装置E2のそれぞれに割り当てられる部品2の実装位置C1(1)~C1(9),C2(1)~C2(9)が基板1の表面1Aで全体に亘って略均一に配置される。その一方、実施の形態1の変形例では、1台目の部品実装装置E1および2台目の部品実装装置E2のそれぞれに割り当てられる部品2の実装位置C1(1)~C1(9),C2(1)~C2(9)は局所的に配置される。
【0098】
具体的には、1台目の部品実装装置E1の部品2の実装位置C1(1)~C1(9)の範囲は、基板1の搬送方向(図14で矢印方向)に沿って基板1の下側、かつ同一平面においてその搬送方向に対し垂直方向で一端側(図14の紙面で上側)に集中して配置される。2台目の部品実装装置E2の部品2の実装位置C2(1)~C2(9)の範囲は、同様に基板1の下側であるが、その垂直方向で中間(図14の紙面で中間)に集中して配置される。
【0099】
この場合、1台目の部品実装装置E1において、高さセンサ32による計測領域Pと、その実装位置C1(1)~C1(9)が囲われる領域と、の重畳面積は小さい(図7参照)。そのため、上述の実施の形態1とは異なり、1台目の部品実装装置E1の実装高さ取得部52で取得される実装高さ情報48のみに基づいて生成される基板反りデータ46は、高さセンサ32によって計測される基板高さに基づいて生成される基板反りデータ46に対しその精度が低い可能性がある。
【0100】
そこで、実施の形態1の変形例では、1台目の部品実装装置E1の通信部55は、その制御部40の反りデータ取得部53によって取得された基板反りデータ46をさらに2台目の部品実装装置E2に送信する。2台目の部品実装装置E2の通信部55は、1台目の部品実装装置E1の通信部55によって送信された基板反りデータ46を受信する。そして、2台目の部品実装装置E2の反りデータ取得部53は、2台目の部品実装装置E2の通信部55によって受信された、1台目の部品実装装置E1の実装高さ情報48および基板反りデータ46に基づいて自装置のための基板反りデータ46を生成する。この基板反りデータ46に基づいて、2台目の部品実装装置E2は自装置に搬送された基板1に対し部品2を実装する。
【0101】
つまり、実施の形態1に係る変形例の部品実装システムESによれば、1台目の部品実装装置E1の通信部55(送信手段の一例)は、1台目の部品実装装置E1の反りデータ取得部53(反りデータ取得手段の一例)によって取得された基板反りデータ46(反りデータの一例)をさらに送信する。2台目の部品実装装置E2の通信部55(受信手段の一例)は、1台目の部品実装装置E1の通信部55によって送信された基板反りデータ46をさらに受信する。そして、1台目の部品実装装置E1の部品2(第1の部品の一例)の実装位置C1(1)~C1(9)が複数であり、その実装位置C1(1)~C1(9)が基板1で局所的に配置される場合、2台目の部品実装装置E2のヘッドユニット27(第2の実装手段の一例)は、2台目の部品実装装置E2の通信部55(受信手段の一例)によって受信された1台目の部品実装装置E1の実装高さ情報48(第1の実装高さ情報の一例)および基板反りデータ46に基づいて、基板1に部品2(第2の部品の一例)を実装する。
【0102】
すなわち、実施の形態1の変形例では、2台目の部品実装装置E2の反りデータ取得部53は、1台目の部品実装装置E1の実装高さ情報48だけではなく1台目の部品実装装置E1の基板反りデータ46も合わせて参照して自装置のための基板反りデータ46を生成する。このため、上述したように1台目の部品実装装置E1の部品2の実装位置C1(1)~C1(9)が局所的に配置される場合でも、2台目の部品実装装置E2は自装置のための基板反りデータ46を精度良く生成することができる。
【0103】
以上、図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことはいうまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本開示は、複数の部品実装装置が配置された実装基板製造ラインにおいて、その実装基板製造ライン全体のタクトロスの増大を抑制しながら基板の反りを適切に判定し、複数の種類の異なる部品の効率的な実装を支援することができる部品実装システムおよび部品実装方法として有用である。
【符号の説明】
【0105】
1 基板
1A 表面
2 部品
10 本体機構部
11 実装機本体
12 基台
13 基板搬送機構
14 コンベア部
15 板状部材
16 押え板
17 下受け部材
18 シリンダ
19 部品供給機構
20 フィーダベース
21 スロット
22 テープフィーダ
23 フィーダーカート
24 台車部
25 リール
26 キャリアテープ
27 ヘッドユニット
28 Y軸テーブル機構
29 X軸テーブル機構
30 移動ヘッド
31 部品保持ノズル
32 高さセンサ
33 部品認識カメラ
34 基板認識カメラ
35 廃棄ボックス
36 ノズルホルダ
40 制御部
41 記憶部
42 実装データ
43 部品データ
44 計測点位置情報
45 高さ計測結果情報
46 基板反りデータ
47 曲面モデルデータ
48 実装高さ情報
49 機構駆動部
50 計測処理部
51 高さ計測部
52 実装高さ取得部
53 反りデータ取得部
54 撮像処理部
55 通信部
ML 実装基板製造ライン
ES 部品実装システム
E 部品実装装置
図1
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