(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/103 20210101AFI20240830BHJP
H01M 10/058 20100101ALI20240830BHJP
H01M 50/46 20210101ALI20240830BHJP
【FI】
H01M50/103
H01M10/058
H01M50/46
(21)【出願番号】P 2021514167
(86)(22)【出願日】2020-04-14
(86)【国際出願番号】 JP2020016396
(87)【国際公開番号】W WO2020213597
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2023-02-08
(31)【優先権主張番号】P 2019080244
(32)【優先日】2019-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 俊哉
(72)【発明者】
【氏名】北村 敏康
(72)【発明者】
【氏名】田嶋 光俊
【審査官】井原 純
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-171020(JP,A)
【文献】実開昭62-031368(JP,U)
【文献】特開2015-049959(JP,A)
【文献】特開2014-157803(JP,A)
【文献】特開2006-324239(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/10-50/198
H01M 50/40-50/497
H01M 10/058
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極群と、
前記電極群を収容し、筒状の側壁部と前記側壁部の高さ方向の下端に接続した底部と、上端に設けられた開口部とを有するケースとを備え、
前記底部の内面は、前記高さ方向に直交する平面に対して傾斜する斜面部を有し、
前記電極群が、前記斜面部と熱接触し
、
前記斜面部は、前記高さ方向の下端部と上端部を有し、
前記側壁部は、前記上端部より前記下端部に近い第1壁部と、前記下端部より前記上端部に近い第2側壁部とを有し、
前記電極群は、第2壁部より第1壁部に近い、
電池。
【請求項2】
前記電極群は、前記ケースの前記側壁部に対して前記高さ方向に直交する直交方向に対向する対向部を有し、
前記対向部が、前記第1壁部に熱接触した、
請求項
1に記載の電池。
【請求項3】
電極群と、
前記電極群を収容し、筒状の側壁部と前記側壁部の高さ方向の下端に接続した底部と、上端に設けられた開口部とを有するケースとを備え、
前記底部の内面は、前記高さ方向に直交する平面に対して傾斜する斜面部を有し、
前記電極群が、前記斜面部と熱接触し、
前記ケースの前記底部は、前記ケースの前記高さ方向の内方側に突出した突出部を有し、
前記斜面部は、前記突出部に形成され、
前記電極群は、正極および負極を含む複数の電極ユニットから構成され、
前記各電極ユニットでは、前記正極と前記負極とが積層方向に対向しており、
前記複数の電極ユニットは、前記積層方向に並んでおり、
前記複数の電極ユニットが、前記積層方向に隣り合う第1電極ユニットと第2電極ユニットを有し、
前記斜面部は、前記第1電極ユニットと熱接触する第1斜面部と、前記第2電極ユニットと熱接触する第2斜面部とを含み、
前記積層方向に延びる直線であって、前記第1斜面部の斜面と前記第2斜面部の斜面の両方に交わる直線が存在する
、
電池。
【請求項4】
前記ケースは、前記突出部と前記側壁部の間に前記突出部より窪んだ溝部を有する、
請求項
3に記載の電池。
【請求項5】
前記突出部は、前記第1電極ユニットの下端および前記第2電極ユニットの下端よりも上方に突出した先端部を前記第1電極ユニットと前記第2電極ユニットとの間に有する、
請求項
3又は4に記載の電池。
【請求項6】
電極群と、
前記電極群を収容し、筒状の側壁部と前記側壁部の高さ方向の下端に接続した底部と、上端に設けられた開口部とを有するケースとを備え、
前記底部の内面は、前記高さ方向に直交する平面に対して傾斜する斜面部を有し、
前記電極群が、前記斜面部と熱接触し、
前記電極群は、シート状の正極と、シート状の負極と、前記正極と前記負極の間に介在するシート状のセパレータとを有し、前記正極、前記セパレータ、及び前記負極が向かい合う面は、前記ケースの前記底部と前記開口部が向かい合う方向と略平行になっており、
前記セパレータは、前記
開口部に向かって、前記正極の縁および前記負極の縁から延出した第1延出部と、前記高さ方向の前記底部に向かって、前記正極の縁および前記負極の縁から延出した第2延出部とを有し、
前記第1延出部の延出した寸法は、前記第2延出部の延出した寸法より大きい
、
電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電池モジュールとしては、特許文献1に記載されているものがある。この電池モジュールは、車両のバッテリとして用いられ、電気的に接続された複数の角型電池と、各角型電池と当接し、角型電池を冷却する冷却プレートを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2014/109034号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車載用の電池モジュールにおいて急速な充放電を行った場合、電池内で発生するジュール熱が増大する虞があり、電池単体の放熱性を高めることが求められている。そこで、本開示の目的は、放熱性を向上できる電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る電池は、電極群と、電極群を収容し、筒状の側壁部と側壁部の高さ方向の下端に接続した底部と、上端に設けられた開口部とを有するケースとを備え、底部の内面は、高さ方向に直交する平面に対して傾斜する斜面部を有し、電極群が、斜面部と熱接触している。
【発明の効果】
【0006】
本開示に係る電池によれば、高さ方向に直交する平面に対して傾斜する斜面部がケース底部の内面に設けられる。したがって、電極群をケース底部に熱接触させ易く、電極群で発生した熱を、ケース底部を介して逃がすことを促進できる。更には、電極群が斜面部から直接又は絶縁シートを介して間接的に受ける垂直抗力で電極群がケース側壁部側に押圧され易い。したがって、電極群がケース側壁部とも熱接触し易くなることにより、電極群で発生した熱を、ケースの側壁部を介してより積極的に逃がし得る。よって、電池における熱の逃がし性能を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の一実施形態に係る電池の斜視図である。
【
図2】上記電池を側方から見た図であり、内部構造が見えるようにした透視図である。
【
図3】上記電池の正極をその厚さ方向から見たときの平面図である。
【
図4】上記電池の負極を、その厚さ方向から見たときの平面図である。
【
図7】変形例の電池における
図6に対応する断面図の下側部分である。
【
図8】他の変形例の電池における
図6に対応する断面図である。
【
図9】更なる変形例の電池を含む電池モジュールの模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本開示に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて新たな実施形態を構築することは当初から想定されている。また、以下の実施例では、図面において同一構成に同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、複数の図面には、模式図が含まれ、異なる図間において、各部材における、縦、横、高さ等の寸法比は、必ずしも一致しない。また、以下の説明及び図面において、X方向は、以下で説明する正極20の厚さ方向を示し、複数の正極20の積層方向に一致する。また、Y方向は、正極20が広がる2次元平面内の一方向を示し、Z方向は、以下で説明する外装体11の高さ方向を示し、以下で説明する封口板12の板状部の法線方向に一致する。X方向、Y方向、及びZ方向は、互いに直交する。また、本明細書では、高さ方向上側を高さ方向の封口板12側とし、高さ方向下側を高さ方向の底部58側とする。また、以下では、電池が、積層型の電極群14を有する電池1,101,201,301である場合を例に説明を行うが、電池は、巻回型の電極群を有する角形二次電池でもよい。又は、電池は、円筒形電池でもよい。また、以下の実施例では、斜面部51,151,251が、Y方向に延在する場合について説明するが、斜面部は、X方向に延在してもよい。また、以下で説明される構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素であり、必須の構成要素ではない。
【0009】
図1は、本開示の一実施形態に係る電池(以下、単に電池という)1の斜視図であり、
図2は、電池1を側方から見た図であり、内部構造が見えるようにした透視図である。
図1及び
図2に示すように、電池1は、ケースとしての角形の外装体(角形外装缶)11と、封口板12と、積層型の電極群14(
図2参照)を備える。外装体11は、例えば、金属、好ましくは、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる。
図1に示すように、外装体11は、角筒状の側壁部55と側壁部55の高さ方向(Z方向)の下端(一端)に接続した底部58と、上端(他端)に設けられた開口部とを有する。電池1は、絶縁性を有する絶縁シート28(
図6参照)を備え、その絶縁シート28は、箱形状を有し、Z方向上側のみが開口し、外装体11の開口側を除いた内面を覆うように配置される。なお、外装体11は、合成樹脂等の絶縁体で構成されてもよく、この場合、絶縁性のシートは省略されることができる。後述するが、封口板12には電極群14等が固定される。封口板12に電極群14等を固定した後、封口板12は外装体11の開口に嵌合される。封口板12と外装体11の嵌合部をレーザ溶接等で接合することで、封口板12が外装体11と一体化され、電極群14を収容する収容室が画定される。
【0010】
電極群14は、複数の正極と、複数の負極と、複数のセパレータを備え、外装体11内に収容される。電極群14の両側には、負極が配置される。次に、正極と、負極と、セパレータと、電極群14の構造について詳細に説明する。
図3は、正極20をその厚さ方向(X方向)から見たときの平面図であり、
図4は、負極30を、その厚さ方向(X方向)から見たときの平面図である。また、
図5は、電極群14の斜視図である。
【0011】
図3に示すように、正極20は、電極部21、及び集電タブ22を備える。電極部21は、平板状の芯体と、芯体の両面に塗布された活物質層24を有する。また、集電タブ22は、電極部21から突出する。
図3に示す例では、電極部21は、側面視において略矩形の形状を有する。電極部21は、一方の一対の縁25aがZ方向に略平行に延在し、他方の一対の縁25bがY方向に略延在する。また、正極集電タブ22は、正極芯体と同じ材料からなり、芯体と一体に構成されていてもよい。又は、集電タブ22は芯体と別体の金属片を芯体に接合してもよい。集電タブ22は、側面視において略矩形の形状を有し、電極部21の上側の縁25bにおけるY方向の一方側からZ方向上側に突出する。集電タブ22の一方の一対の縁は、Z方向に略平行に延在し、他方の一対の縁は、Y方向に略平行に延在する。
【0012】
図4に示すように、負極30は、電極部31、及び集電タブ32を備える。電極部31は、平板状の芯体と、芯体の両面に塗布された活物質層34を有する。集電タブ32は、電極部31から突出する。
図4に示す例では、電極部31は、側面視において略矩形の形状を有する。電極部31は、一方の一対の縁35aがZ方向に略平行に延在し、他方の一対の縁35bがY方向に略延在する。集電タブ32は、芯体と同じ材料からなり、芯体と一体に構成されていてもよい。また集電タブ32は芯体と別体の金属片を芯体に接合してもよい。集電タブ32は、側面視において略矩形の形状を有し、電極部31の上側の縁35bにおけるY方向の他方側からZ方向上側に突出する。負極集電タブ32の一方の一対の縁は、Z方向に略平行に延在し、他方の一対の縁は、Y方向に略平行に延在する。
【0013】
図5を参照して、正極20と負極30は、集電タブ22、32がZ方向上側に突出するように配置された状態で、セパレータ70を介して交互に積層される。セパレータ70は、側面視において略矩形の形状を有する。この積層により、電極群14が構成される。
図3及び
図4に示すように、負極の電極部31の側面視の面積は、正極の電極部21の側面視の面積よりも大きくなっており、セパレータ70の側面視の面積は、負極の電極部31の側面視の面積よりも大きくなっている。
【0014】
後述するが、電極群14は、外装体11内に配置される正極電極端子及び負極電極端子に接合され、外装体11内に配置される。電極群14が所定位置に配置された状態で、X方向から見たとき、正極の電極部21の全てが、負極の電極部31に重なり、負極の電極部31は、電極部21と対向する対向領域と、この対向領域と周囲に形成されるとともに電極部21と対向しない環状の非対向領域を有していてもよい。また、X方向から見たとき、電極部31の全てが、セパレータ70に重なり、セパレータ70は電極部31と対向する対向領域と、この対向領域の周囲に形成されて電極部31と対向しない非対向領域を有していてもよい。
【0015】
正極20、セパレータ70、及び負極30が向かい合う面は、外装体11の底部58と外装体11の開口部が向かい合う方向と略平行になっている。電極群14が外装体11に配置された状態で、セパレータ70において負極の電極部31のZ方向の上縁31aよりもZ方向上側(Z方向の封口板12側)に延出している第1延出部70aの延出寸法は、セパレータ70において電極部31の下縁31bよりもZ方向下側(Z方向の底部58側)に延出している第2延出部70bの延出寸法よりも大きくなっている。上述のように、X方向から見たとき、正極の電極部21の全てが、電極部31に重なる。よって、第1延出部70aは、Z方向の開口部に向かって、負極30の上縁31aのみならず正極20の上縁からも延出し、第2延出部70bは、Z方向の底部58に向かって、負極30の下縁31bのみならず正極20の下縁からも延出する。
【0016】
正極の芯体及び集電タブ22は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金箔からなる。また、正極の活物質層24は、例えば、活物質として、リチウムニッケル酸化物を用い、導電剤として、アセチレンブラック(AB)を用い、結着剤として、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を用い、分散媒として、N-メチル-2-ピロリドンを用いることで作成できる。正極活物質について更に詳細に説明すると、正極活物質としては、リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出することが可能な化合物であれば適宜選択して使用できる。これらの正極の活物質としては、リチウム遷移金属複合酸化物が好ましい。例えば、リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出することが可能なLiMO2(但し、MはCo、Ni、Mnの少なくとも1種である)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物、すなわち、LiCoO2、LiNiO2、LiNiyCo1-yO2(y=0.01~0.99)、LiMnO2、LiCoxMnyNizO2(x+y+z=1)や、LiMn2O4又はLiFePO4などを一種単独もしくは複数種を混合して用いることができる。さらには、リチウムコバルト複合酸化物にジルコニウムやマグネシウム、アルミニウム、タングステンなどの異種金属元素を添加したものも使用し得る。しかし、正極活物質含有層24は、それら以外の公知の如何なる材料で作成されてもよい。
【0017】
正極の電極部21は、例えば、次のように作製される。正極の活物質に導電剤や結着剤等を混合し、その混合物を分散媒中で混練することによってペースト状のスラリーを作製する。その後、スラリーを正極の芯体上に塗布する。続いて、芯体に塗布されたスラリーを乾燥、及び圧縮すると、電極部21が形成される。
【0018】
負極の芯体及び集電タブ32は、例えば、銅又は銅合金箔からなる。負極の活物質層34に含まれる負極の活物質は、リチウムを可逆的に吸蔵・放出できるものであれば特に限定されず、例えば、炭素材料や、珪素材料、リチウム金属、リチウムと合金化する金属或いは合金材料や、金属酸化物などを用いることができる。なお、材料コストの観点からは、負極活物質に炭素材料を用いることが好ましく、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、メソフェーズピッチ系炭素繊維(MCF)、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、コークス、ハードカーボンなどを用いることができる。特に、高率充放電特性を向上させる観点からは、負極活物質として、黒鉛材料を低結晶性炭素で被覆した炭素材料を用いることが好ましい。
【0019】
また、負極の活物質層34は、結着剤として、スチレンーブタジエン共重合体ゴム粒子分散体(SBR)を用い、増粘剤として、カルボキシメチルセルロース(CMC)を用い、分散媒として、水を用いて、作成されると好ましい。負極の電極部31は、例えば、次のように作製される。負極の活物質に導電剤や結着剤等を混合し、その混合物を分散媒中で混練することによってペースト状の負極活物質スラリーを作製する。その後、スラリーを負極の芯体上に塗布する。続いて、芯体に塗布されたスラリーを乾燥、及び圧縮すると、負極活物質配置部31が形成される。
【0020】
セパレータ70としては、非水電解質二次電池において一般に使用されている公知のものを用いることができる。例えば、ポリオレフィンからなるセパレータが用いられる。具体的には、ポリエチレンからなるセパレータのみならず、ポリエチレンの表面にポリプロピレンからなる層が形成されたものや、ポリエチレンのセパレータの表面にアラミド系の樹脂が塗布されたものを用いても良い。
【0021】
正極20とセパレータ70との界面ないし負極30とセパレータ70との界面には、無機物のフィラー層を形成してもよい。このフィラーとしては、チタン、アルミニウム、ケイ素、マグネシウム等を単独もしくは複数用いた酸化物やリン酸化合物、またその表面が水酸化物などで処理されているものを用いることができる。また、このフィラー層は、正極20、負極30、又はセパレータ70に、フィラー含有スラリーを直接塗布して形成してもよく、フィラーで形成したシートを、正極20、負極30、又はセパレータ70に貼り付けることで形成してもよい。
【0022】
図6は、
図2のA‐A線断面図である。次に、
図2及び
図6を用いて、封口板12への電極群14の取付構造の一例について簡単に説明する。なお、封口板12への電極群14の取付構造は、次に説明する取付構造に限らず、電極群14を封口板12に取り付け可能な構造であれば、如何なる構造が採用されてもよい。
【0023】
図6に示すように、電池1は、正極の集電端子40、及び樹脂製の絶縁カバー60を備える。集電端子40は、外装体11内に配置され、X方向に延在する。本実施例では、複数の正極20に含まれる複数の正極の集電タブ22は、2つに分けられて重なるように配置されて2つの束となり、2つの束の夫々は、正極のタブ束41を構成する。集電端子40は、アルミニウム又はアルムニウム合金で形成されていてもよい。また、集電端子40は、板状部45を有し、その板状部45は、封口板12の板状部と略平行に配置される。板状部45は、封口板12にZ方向に対向する。
【0024】
図6に示すように、正極の集電タブ22は、板状部45の下面46に沿うように延在する平坦部22cを有する。平坦部22cにおいては、タブ束41に含まれる全ての正極集電タブ22が、略Z方向に重なっている。平坦部22cは、超音波溶接、レーザ溶接、TIG溶接、又は抵抗溶接等で、板状部45の下面46に接合され、板状部45に電気的に接続される。換言すると、各集電タブ22における正極の集電端子40との接合部は、平坦部22cに含まれる。
【0025】
図2及び
図6を参照して、正極の集電端子40は、集電タブ22の接合部よりもY方向の片側に外部端子接続部65を有する。外部端子接続部65は、例えば、板状部45から上側に突出する円柱状のリベット部61を有し、リベット部61を介して封口板12の外側に設けられた正極の外部端子18に電気的に接続される。
図2に示すように、リベット部61は、封口体12に対して絶縁された状態で封口体12に設けられた貫通孔に挿通され、外部端子18に設けられた貫通孔にも挿通される。このリベット部61の挿入は、樹脂等の絶縁体からなる絶縁カバー60(
図6参照)を、正極の集電端子40と封口板12との間に配置した状態で実行される。なお、リベット部61と板状部45は別体で用意され、電池1を作製する過程で、リベット部61と板状部45とをかしめや溶接などで電気的に接続するとともに固定してもよい。
【0026】
リベット部61は、この挿入が実行された後、かしめられる。このかしめによって、リベット部61、絶縁カバー60、封口板12、及び正極の外部端子18が一体化され、集電端子40のリベット部61が外部端子18に電気的に接続される。上述のように、正極20は、集電端子40に接合されている。よって、リベット部61のかしめによって、複数の正極20、集電端子40、絶縁カバー60、及び封口板12が、一体化される。説明は省略するが、複数の負極30、図示しない銅製の負極の集電端子、絶縁カバー60、封口板12、及び負極の外部端子19(
図2参照)も、正極側と同様の構造により一体化される。その結果、電極群14、正極の集電端子40、負極の集電端子、絶縁カバー60、及び封口板12は、一体に統合されて統合構造を構成する。なお、かしめによって、正極集電端子40を封口板12と一体化する場合について説明したが、正極の集電端子は、溶接やねじ止め等の他の接合手段によって封口板に固定されてもよい。
【0027】
統合構造は、電極群14(
図5参照)をZ方向下方側に配置した状態で、外装体11に対してZ方向下方に相対移動させられ、封口板12以外の部分が外装体11内に挿入される。その後、上述のように、封口板12はレーザ溶接等により外装体11の開口側の縁部に接合される。
【0028】
外装体11への統合構造の取り付けが完了すると、非水電解液が、封口板12に設けられた注液孔(図示せず)を介して注液される。その後、正極及び負極の外部端子18,19(
図2参照)を用いて所定の充電を施して、電池の充電反応によって発生する反応ガスを予め発生させた後、注液孔を密封することで電池1を作製する。注液孔の密封は、例えばブラインドリベットや溶接等で実行されてもよい。
【0029】
非水電解質の溶媒としては、特に限定されるものではなく、非水電解質二次電池に従来から用いられてきた溶媒を使用することができる。例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート(VC)などの環状カーボネート;ジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ジエチルカーボネート(DEC)などの鎖状カーボネート;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ-ブチロラクトンなどのエステルを含む化合物;プロパンスルトンなどのスルホン基を含む化合物;1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,2-ジオキサン、1,4-ジオキサン、2-メチルテトラヒドロフランなどのエーテルを含む化合物;ブチロニトリル、バレロニトリル、n-ヘプタンニトリル、スクシノニトリル、グルタルニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル、1,2,3-プロパントリカルボニトリル、1,3,5-ペンタントリカルボニトリルなどのニトリルを含む化合物;ジメチルホルムアミドなどのアミドを含む化合物などを用いることができる。特に、これらのHの一部がFにより置換されている溶媒であってもよい。また、これらを単独又は複数組み合わせて使用することができ、特に環状カーボネートと鎖状カーボネートとを組み合わせた溶媒や、さらにこれらに少量のニトリルを含む化合物やエーテルを含む化合物が組み合わされた溶媒であってもよい。
【0030】
また、非水電解質の非水系溶媒としてイオン性液体を用いることもでき、この場合、カチオン種、アニオン種については特に限定されるものではないが、低粘度、電気化学的安定性、疎水性の観点から、カチオンとしては、ピリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、4級アンモニウムカチオンを、アニオンとしては、フッ素含有イミド系アニオンを用いた組合せであってもよい。
【0031】
さらに、非水電解質に用いる溶質としても、従来から非水電解質二次電池において一般に使用されている公知のリチウム塩を用いることができる。そして、このようなリチウム塩としては、P、B、F、O、S、N、Clの中の一種類以上の元素を含むリチウム塩を用いることができ、具体的には、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(FSO2)2、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)、LiC(C2F5SO2)3、LiAsF6、LiClO4、LiPF2O2などのリチウム塩及びこれらの混合物を用いることができる。
【0032】
また、溶質としては、オキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩を用いることもできる。このオキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩としては、LiBOB(リチウム-ビスオキサレートボレート)の他、中心原子にC2O42-が配位したアニオンを有するリチウム塩、例えば、Li[M(C2O4)xRy](式中、Mは遷移金属、周期律表の13族,14族,15族から選択される元素、Rはハロゲン、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基から選択される基、xは正の整数、yは0又は正の整数である。)で表わされるものを用いることができる。具体的には、Li[B(C2O4)F2]、Li[P(C2O4)F4]、Li[P(C2O4)2F2]などがある。
【0033】
再度、
図6を参照して、外装体11は、その底部58の内面71にZ方向に直交する平面(XY平面)に対して傾斜する斜面部51を有する。斜面部51は、底部58のY方向の一端からY方向の他端まで延在している。斜面部51は、第1斜面部51aと、第2斜面部51bを含む。第1斜面部51aは、X方向の一方側からX方向の中央側に行くにしたがってZ方向の封口板12側に変位し、第2斜面部51bは、X方向の他方側からX方向の中央側に行くにしたがってZ方向の封口板12側に変位する。本実施例では、X方向に延びる直線であって、第1斜面部51aと第2斜面部51bの両方に交わる直線が存在している。
【0034】
なお、本実施形態では、
図6に示す断面において、第1及び第2斜面部51a,51bの夫々が、略直線状に延在している。しかし、X方向およびZ方向に拡がる断面において、直線で描写された第1及び第2斜面部の少なくとも一方の一部に曲線を含んでもよい。また、本実施形態では、Y方向とZ方向に拡がると共に底部58を垂直に二等分する平面に対して、第1斜面部51aと第2斜面部51bが略面対称になっている。しかし、第1斜面部と第2斜面部は、当該平面に対して略面対称になっていなくてもよい。
【0035】
図6に示すように、底部58は、X方向の中央部にX方向の両端部に位置する部分からZ方向の封口板12側に突出する突出部52を有する。突出部52の上面52aは、Z方向の封口板12側に凸の凸面となっており、X方向の中央部が最もZ方向の封口板12側に位置している。外装体11は、X方向端部に位置してYZ平面に略平行になっている一対の側壁部55aと突出部52のX方向の間に突出部52より窪んだ溝部53を有する。溝部53は、突出部52のX方向の両側に位置する。各溝部53は、底部58におけるY方向の一端から他端までY方向に延在する。突出部52は、如何なる方法で形成されてもよいが、この溝部53を有する底部58の構造は、底部58のX方向中央部を裏面側からZ方向の封口板12側にプレスすることで容易に形成できる。なお、本実施形態の斜面部51a、第2斜面部51bは、突出部52の上面52aに形成されている。
【0036】
本実施例の電極群14は、正極20および負極30を含む複数の電極ユニットで構成される。より詳細には、電極群14は、X方向に隣り合う第1電極ユニット76と第2電極ユニット77を備える。各電極ユニット76,77では、正極20と負極30とが積層方向としてのX方向に対向しており、電極ユニット76、77は、X方向に並んでいる。電極ユニット76、77それぞれに含まれる正極20の複数の集電タブ22は、電極ユニットごとにタブ束41を構成する。
【0037】
図6に示すように、絶縁シート28は、電極群14を覆うと共に、外装体11と電極群14との間に介在している。絶縁シート28は、1枚の絶縁シートを折り畳んで形成されてもよく、筒部と筒部の一端を塞ぐ底部を有するケース状であってもよい。また、絶縁シートは、分離した複数枚のシートを外装体11の内面を覆うように配置してもよい。絶縁シート28は、斜面部51a、51bに追従するように斜面部51に沿って延在して斜面部51に接触する接触部26を有する。
【0038】
絶縁シート28の接触部26が、斜面部51に容易に追従するために、接触部26が適切な箇所に折目を有していてもよい。接触部26は、外装体11の突出部52の形状に沿って、X方向中央部にX方向両端部に位置する部分からZ方向の封口板12側に突出していてもよい。接触部26は、電極群14と斜面部51との間に介在する介在部29を有する。介在部29は、斜面部51と略平行な下面を含む。介在部29は、突出部27に含まれる。介在部29は、第1斜面部51aに沿うように延在する第1介在部29aと、第2斜面部51bに沿うように延在する第2介在部29bを含む。
【0039】
電極群14及び斜面部51の夫々は、介在部29に接触する。より詳しくは、第1電極ユニット76及び第1斜面部51aは、第1介在部29aに接触し、第2電極ユニット77及び第2斜面部51bは、第2介在部29bに接触する。換言すると、第1電極ユニット76は、第1介在部29aを介して第1斜面部51aに熱的に接触し、第2電極ユニット77は、第2介在部29bを介して第2斜面部51bに熱的に接触する。また、外装体11の突出部52は、第1電極ユニット76の下端76aおよび第2電極ユニット77の下端77aよりも上方に突出する先端部52bをX方向の第1電極ユニット76と第2電極ユニット77との間に有している。この先端部52bは、尖った突起で構成されてもよく、X方向およびY方向に広がった平坦面や曲面を含んでもよい。また、先端部52bの上端は、電極ユニット75において、底部58と対向する面の上端よりZ方向の下方にあってもよく、同上端より上方にあってもよい。なお、電極ユニット75が、X方向に隣り合う第1電極ユニット76と第2電極ユニット77で構成される場合について説明した。しかし、本開示の電極群は、この構成に限定されない。電極ユニットは、3以上の電極ユニットを備えてもよい。また、
図6では、絶縁シート28の底部58と、溝部53の内面が接触していないが、ケース状である絶縁シート28の底部は、外装体11の突出部52だけでなく、溝部53の内面にも接触していてもよい。
【0040】
以上、電池1によれば、Z方向に直交するXY平面に対して傾斜する斜面部51が外装体11の底部58の内面71に設けられる。したがって、電極群14を底部58に熱接触させ易く、電極群14で発生した熱を底部58を介してより積極的に逃がし得る。更には、電極群14は、斜面部51から絶縁シート28を介して間接的に
図6に矢印F1で示すYZ平面に対して傾斜する方向の垂直抗力を受ける。したがって、電極群14は、この垂直抗力のX方向成分である力F2によって外装体11におけるX方向端部に位置してY方向に延在する側壁部55aに押圧される。したがって、電極群14を側壁部55aとも熱接触させることができ、電極群14で発生した熱を側壁部55aを介してより積極的に逃がすことができる。よって、電池1の放熱効果を大きく向上できる。
【0041】
また、電極群14が、第1電極ユニット76と第2電極ユニット77を備え、第1電極ユニット76が、第1介在部29aを介して第1斜面部51aに熱的に接触し、第2電極ユニット77が、第2介在部29bを介して第2斜面部51bに熱的に接触している。また、第1斜面部51aと第2斜面部51bは、Y方向とZ方向を含むと共に底部58を垂直に二等分する平面に対して略面対称になっている。そのため、第1電極ユニット76は、第1傾斜部51aの斜面の上端部と下端部のうち、下端部に近接した側壁部55aに近接し易くなる。また、第2電極ユニット77は、第2傾斜部51bの斜面の上端部と下端部のうち、第2傾斜部51bの下端部に近接した側壁部55aに近接し易くなる。したがって、第1電極ユニット76を第1斜面部51aに熱接触させることができるだけでなく、Y方向に延在するX方向一方側の側壁部55aに積極的に当接することができ、そのX方向一方側の側壁部55aに熱接触させることができる。さらには、第2電極ユニット77も第2斜面部51bに熱接触させることができるだけでなく、Y方向に延在するX方向他方側の側壁部55aに積極的に当接することができ、そのX方向他方側の側壁部55aに熱接触させることができる。よって、電極群14を、底部58に熱接触させることができるだけでなく、外装体11において容量が特に大きい(言い換えれば、電極群14との接触面積が大きい)YZ平面に平行な2つの側壁部55aにも熱接触させることができる。そのため、電極群14で発生した熱を、底部58、及び2つの側壁部55aを経由して拡散させることができる。その結果、電極群14で発生する熱を効率的に外装体11へ逃がすことができ、電極群14の冷却効果を大きくできる。なお、外装体11内において、X方向に並んだ複数の電極ユニット76,77の間に底部58の突起部を設けて外装体11においてY方向およびZ方向に拡がった一対の側壁部55aと電極ユニット76,77とを熱接触させる場合について説明した。しかし、外装体内において、Y方向に並んだ複数の電極ユニットの間に底部の突起部を設けて外装体においてX方向およびZ方向に拡がった一対の側壁部と電極ユニットとを熱接触させてもよい。
【0042】
また、絶縁シート28の介在部29が、斜面部51と略平行な下面を有していてもよい。更には、電極群14が外装体11内に配置された状態で、セパレータ70において負極の電極部31のZ方向の上縁31aよりもZ方向上側に延出している第1延出部70aの延出寸法が、セパレータ70において電極部31の下縁31bよりもZ方向下側に延出している第2延出部70bの延出寸法よりも大きくなっている。したがって、電極群14を介在部29を介して斜面部51に密着させることができ、セパレータ70が介在部29への正極20及び負極30の密着を阻害することも抑制できる。よって、電極群14における正極20及び負極30が発生した熱を、斜面部51を介して外部に更に効率的に逃がすことができる。
【0043】
なお、本開示は、上記実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載された事項およびその均等な範囲において種々の改良や変更が可能である。
【0044】
図7は、変形例の電池101における
図6に対応する断面図の下側部分である。上記実施形態では、底部58を下側からプレスしてへこませることで突出部52を形成して底部58の下面(外面)68が、Z方向上側に窪んでいる場合について説明した。しかし、
図7の下側部分に示すように、外装体111の底部158の下面168が、Z方向に略直交するように広がる平面(XY平面)で構成されてもよい。そして、底部158のZ方向厚さが、X方向位置に依存して変動する構成でもよい。そして、底部158の上面にZ方向に直交する平面に対して傾斜する斜面部151が存在する構成でもよい。なお、
図6、
図7に示された電極群では、複数の電極ユニットの間にY方向とZ方向にのびる隙間が形成されている。しかし、この構成に限定されない。上記隙間の間に放熱性に優れた部材や絶縁部材を介在させてもよい。
【0045】
また、底部58の内面71が、X方向を二等分する平面に対して略面対称となる第1及び第2斜面部51a,51bを有する場合について説明した。また、電極群14が、2つの第1及び第2電極ユニット76,77を含んで、第1電極ユニット76が第1斜面部51aに熱的に接触する一方、第1電極ユニット76が第2斜面部51bに熱的に接触する場合について説明した。しかし、これらの構成は、次に説明するように採用されなくてもよい。
【0046】
図8は、他の変形例の電池201における
図6に対応する断面図である。
図8に示すように、外装体211の底部258の内面271が一つのみの斜面部251を有してもよい。そして、唯一の斜面部251が、X方向一方側から他方側に行くにしたがってZ方向上側(Z方向の封口板212側)に変位してもよい。また、電極群233が、唯一の電極ユニット275に含まれ、電極群233の全ての正極の集電タブ222及び負極の集電タブ(図示せず)の夫々が、一つに束ねられて、一つの正極のタブ束241と一つの負極のタブ束(図示せず)を構成してもよい。
【0047】
そして、電極群233が、斜面部251の垂直抗力F3のX方向成分の力F4を絶縁シート228を介して間接的に受けて、X方向一方側に位置してY方向に延在する第1壁部255a側に押圧されてもよい。より詳しくは、電極群233は、外装体211の側壁部255に対してZ方向に直交する直交方向に対向する対向部281を有してもよい。また、斜面部251は、Z方向の下端部231と上端部232を有してもよい。また、側壁部255は、上端部232より下端部231に近い第1壁部255aと、下端部231より上端部232に近い第2壁部255bとを有してもよい。そして、電極群233は、第2壁部255bより第1壁部255aに近くてもよい。
【0048】
このように、底部258の内面271に一つのみの斜面部251を設けることで、電極群233を、絶縁シート228を介して底部258に熱接触させると共に絶縁シート228を介して第1壁部255aに熱接触させてもよい。そして、電極群233で発生する熱を、底部258を用いて効果的に逃がすと共に、X方向一方側の第1壁部255aも用いて効果的に逃がしてもよい。
【0049】
本変形例によれば、電極群233を意図的にX方向一方側に位置する第1壁部255a側に押圧することができ、電極群233で発生する熱を発散させる側壁部を制御することができる。したがって、冷却プレートを用いて熱を逃がす場合に、熱を逃がすX方向一方側の第1壁部255aに接触するように冷却プレートを配置する一方、第2壁部255bのX方向外方側に冷却プレートを配置しないようにできる。よって、本変形例によれば、電極群233の効果的な冷却を実行できるのみならず、冷却プレートの数を減らして製造コストの低減やコンパクト化も実現することができる。
【0050】
また、プレスの実行により底部の底面におけるX方向中央部が高さ方向上側に窪んでいる場合に、伝熱シートをX方向両端部に取り付けて電池の底面を平面にしてもよい。また、その場合に、伝熱シートと、底部の底面で囲まれるスペースに、伝熱材を充填して放熱効果を促進してもよい。
【0051】
ここで、上記伝熱材として、放熱ジェルを用いてもよい。放熱ジェルは、例えば、ベース材と、そのベース材に略均一に分散された金属又は金属酸化物の粒子(フィラー)を含む。ベース材は、絶縁性を確保し、微細な隙間を隙間なく埋めるために用いられる。他方、フィラーは、熱伝導性が高い粒子で構成され、伝熱性を向上させるために用いられる。ベース材は、例えば、シリコーン等のジェル(グリス)で構成されてもよい。また、フィラーは、銅、銀、アルミ、アルミナ、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、又は、それらの混合物等で構成されてもよく、それらの単体、又は混合物が、ベース材に、粒子径に見合った分散方法で分散されてもよい。放熱ジェルが粘土程度の粘性を有する材料であれば、伝熱シートと、底部の底面との間から漏出することを抑制できる。なお、伝熱材として、熱硬化性樹脂等を用いてもよい。
【0052】
更には、
図12、すなわち、更なる変形例の電池301を含む電池モジュール310の模式断面図に示すように、伝熱シートの替わりに冷却プレート315の上面315aを、ケースを構成する外装体311における底部358の底面368のX方向両端部358a,358bに、固定手段、例えば、溶接、接着剤、又はねじ止め等で固定してもよい。そして、冷却プレート315の上面315aと、底部358の底面368との間に伝熱材収容室377を画定してもよい。そして、この伝熱材に放熱ジェル等の伝熱材を充填することで、更に放熱効果が高くなるようにしてもよい。なお、本実施形態を示す
図6~8では、電極群はZ方向に延びた複数の直線を含む。しかし、この各直線は、正極、負極、セパレータの縁を正確に描写したものではない。
【符号の説明】
【0053】
1,101,201,301 電池、 11,111,211,311 外装体、 14,233 電極群、 27 突出部、 28,228 絶縁シート、 29 介在部、 29a 第1介在部、 29b 第2介在部、 30 負極、 51,151,251 斜面部、 51a 第1斜面部、 51b 第2斜面部、 53 溝部、 55,55a,255 側壁部、 58,158,258,358 底部、 70 セパレータ、 70a 第1延出部、 70b 第2延出部、 71,271 内面、 75,275 電極ユニット、 76 第1電極ユニット、 77 第2電極ユニット、 76a 第1電極ユニットの下端、 77a 第2電極ユニットの下端、 231 下端部、 232 上端部、 255a 第1壁部、 255b 第2壁部、 281 対向部。