(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】飲食店用会計システム、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G07G 1/00 20060101AFI20240830BHJP
G07G 1/01 20060101ALI20240830BHJP
G07G 1/12 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
G07G1/00 301D
G07G1/01 301D
G07G1/12 361C
(21)【出願番号】P 2020138820
(22)【出願日】2020-08-19
【審査請求日】2023-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】390010319
【氏名又は名称】株式会社石野製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石野 晴紀
(72)【発明者】
【氏名】松本 達也
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-367040(JP,A)
【文献】特開2015-148918(JP,A)
【文献】特開2016-136385(JP,A)
【文献】特開2017-10505(JP,A)
【文献】特開2017-10526(JP,A)
【文献】特開2019-8467(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07G 1/00 - 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲食用の客席を有する飲食店で用いられる飲食店用会計システムであって、
データを蓄積可能なサーバと、
前記サーバと通信可能な無線携帯端末と、
飲食物のRFIDタグを近距離無線通信で読み取り可能な読み取り端末と、
読取手段で読み取り可能な識別子を有する可搬媒体と、を備え、
前記無線携帯端末は、
会計開始操作が行われると、前記無線携帯端末と無線接続された前記読み取り端末から送信されるRFIDタグの情報をメモリーに蓄積する処理と、前記無線携帯端末に設けられている読取手段で前記可搬媒体の識別子を読み取る処理とを実行し、
読み取り完了操作が行われると、前記メモリーに蓄積された情報を、前記無線携帯端末の読取手段で読み取った識別子の情報と共に前記サーバへ送信する処理を実行し、
前記サーバは、
前記飲食店の会計エリアに持参された前記可搬媒体の識別子を読み取り可能な会計エリアの端末から所定の識別子の情報を受信すると、前記無線携帯端末から受信したデータのうち前記所定の識別子に対応するデータに基づく精算用のデータを、前記会計エリアの端末へ送信する、
飲食店用会計システム。
【請求項2】
前記会計エリアの端末は、前記
サーバから受信した前記精算用のデータを、前記会計エリアに設置されている精算機が読み取り可能な表示形態で画面表示する、
請求項1に記載の飲食店用会計システム。
【請求項3】
前記無線携帯端末は、前記読み取り端末からRFIDタグの情報を飲食物毎に受け取る度にカウントアップするカウンタを画面表示する、
請求項1又は2に記載の飲食店用会計システム。
【請求項4】
前記無線携帯端末は、飲食物の注文受付開始操作が行われると、注文受付処理を実行する、
請求項1から3の何れか一項に記載の飲食店用会計システム。
【請求項5】
前記サーバは、前記飲食店の客の端末から前記所定の識別子の情報を受信すると、前記無線携帯端末から受信したデータのうち前記所定の識別子に対応するデータに基づく精算額の情報を、前記客の端末へ送信する、
請求項1から4の何れか一項に記載の飲食店用会計システム。
【請求項6】
飲食用の客席を有する飲食店で用いられる飲食店用会計方法であって、
データを蓄積可能なサーバと、
前記サーバと通信可能な無線携帯端末と、
飲食物のRFIDタグを近距離無線通信で読み取り可能な読み取り端末と、
読取手段で読み取り可能な識別子を有する可搬媒体と、を備える飲食店用会計システムにおいて、
前記無線携帯端末は、
会計開始操作が行われると、前記無線携帯端末と無線接続された前記読み取り端末から送信されるRFIDタグの情報をメモリーに蓄積する処理と、前記無線携帯端末に設けられている読取手段で前記可搬媒体の識別子を読み取る処理とを実行し、
読み取り完了操作が行われると、前記メモリーに蓄積された情報を、前記無線携帯端末の読取手段で読み取った識別子の情報と共に前記サーバへ送信する処理を実行し、
前記サーバは、
前記飲食店の会計エリアに持参された前記可搬媒体の識別子を読み取り可能な会計エリアの端末から所定の識別子の情報を受信すると、前記無線携帯端末から受信したデータのうち前記所定の識別子に対応するデータに基づく精算用のデータを、前記会計エリアの端末へ送信する、
飲食店用会計方法。
【請求項7】
飲食用の客席を有する飲食店で用いられる飲食店用会計プログラムであって、
データを蓄積可能なサーバと、
前記サーバと通信可能な無線携帯端末と、
飲食物のRFIDタグを近距離無線通信で読み取り可能な読み取り端末と、
読取手段で読み取り可能な識別子を有する可搬媒体と、を備える飲食店用会計システムにおいて、
前記無線携帯端末に、
会計開始操作が行われると、前記無線携帯端末と無線接続された前記読み取り端末から送信されるRFIDタグの情報をメモリーに蓄積する処理と、前記無線携帯端末に設けられている読取手段で前記可搬媒体の識別子を読み取る処理とを実行させ、
読み取り完了操作が行われると、前記メモリーに蓄積された情報を、前記無線携帯端末の読取手段で読み取った識別子の情報と共に前記サーバへ送信する処理を実行させ、
前記サーバに、
前記飲食店の会計エリアに持参された前記可搬媒体の識別子を読み取り可能な会計エリアの端末から所定の識別子の情報を受信すると、前記無線携帯端末から受信したデータのうち前記所定の識別子に対応するデータに基づく精算用のデータを、前記会計エリアの端末へ送信させる、
飲食店用会計プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食店用会計システム、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、飲食店やその他の各種においては、端末を使った会計処理が行なわれている(例えば、特許文献1-6を参照)。そして、飲食店の会計処理の形態としては、例えば、回転寿司店に代表されるような、飲食店における会計を皿の種類や枚数に基づいて行う形態がある。このような会計処理の形態では、皿の種類や枚数を飲食店のスタッフが目視で確認する方式や、皿に設けられたRFID(Radio frequency identifier)等の識別情報を端末が電子的に読み取る方式が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-367040号公報
【文献】特開2015-148918号公報
【文献】特開2016-136385号公報
【文献】特開2017-10505号公報
【文献】特開2017-10526号公報
【文献】特開2019-8467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
皿等の物品類に設けられるRFIDを読み取るには、RFIDを読み取るためのアンテナ等が必要である。このようなRFID用のアンテナは、例えば、スマートフォンに代表されるような一般に広く流通する汎用の無線携帯端末には装備されていない。よって、皿に設けられたRFIDを読み取るためには、RFID用のアンテナを読み取り可能な専用の端末が必要となる。
【0005】
ところが、近年、店舗に用いられる会計システムは、このような専用の端末ではなく、スマートフォンのような汎用の無線携帯端末を利用する形態が普及しつつある。このような汎用の無線携帯端末を利用する意図は、端末自体を容易に安価で入手できること、端末のOS(Operating System)に対応できるアプリの開発環境が充実しているので、端末に画面表示させるUI(User interface)を自在に作成できること、等々の各種理由が挙げられる。
【0006】
そこで、このような汎用の無線携帯端末にRFID用のアンテナを組み込むことも考えられるが、このような無線携帯端末は小型化のために部品が高密度で内蔵されており、追加のアンテナを組み込むための空きスペースは存在しない。また、例えば、飲食店の皿に設けられるRFIDは、通常、端末側から送出される電力で作動するパッシブ型のRFIDである。よって、このようなパッシブ型のRFIDを読み取るアンテナは、電磁波を捉える役割の他に、電力を送出する役割も担う必要があるため、サイズが比較的大きい。このため、このようなアンテナを無線携帯端末に組み込むことは更に困難である。
【0007】
そこで、本願は、汎用の無線携帯端末であっても、皿等の物品類に設けられた識別情報を無線で読み取り可能な飲食店用会計システム、方法及びプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明では、飲食物のRFIDタグを近距離無線通信で読み取り可能な読み取り端末を、サーバと通信可能な無線携帯端末と別体で用意することにした。
【0009】
詳細には、本発明は、飲食用の客席を有する飲食店で用いられる飲食店用会計システムであって、データを蓄積可能なサーバと、サーバと通信可能な無線携帯端末と、飲食物のRFIDタグを近距離無線通信で読み取り可能な読み取り端末と、読取手段で読み取り可能な識別子を有する可搬媒体と、を備え、無線携帯端末は、会計開始操作が行われると、無線携帯端末と無線接続された読み取り端末から送信されるRFIDタグの情報をメモリーに蓄積する処理と、無線携帯端末に設けられている読取手段で可搬媒体の識別子を読み取る処理とを実行し、読み取り完了操作が行われると、メモリーに蓄積された情報を、無線携帯端末の読取手段で読み取った識別子の情報と共にサーバへ送信する処理を実行し、サーバは、飲食店の会計エリアに持参された可搬媒体の識別子を読み取り可能な会計エリアの端末から所定の識別子の情報を受信すると、無線携帯端末から受信したデータのうち所定の識別子に対応するデータに基づく精算用のデータを、会計エリアの端末へ送信する。
【0010】
上記の飲食店用会計システムによれば、無線携帯端末を利用しつつ、飲食物のRFIDタグについては、無線携帯端末とは別体のアンテナユニットで読み取ることができる。このため、汎用の無線携帯端末であっても、皿等の物品類に設けられた識別情報を無線で読み取り可能となる。よって、店員が操作する無線携帯端末を専用品ではなく汎用品とすることが可能であり、無線携帯端末の画面や商品の店舗ごとのカスタマイズが、汎用の無線携帯端末用のアプリケーションプログラムの開発環境で容易に行うことができ、且つ、飲食物のRFIDタグを使った精算も行うことができる。
【0011】
なお、会計エリアの端末は、サーバから受信した精算用のデータを、会計エリアに設置
されている精算機が読み取り可能な表示形態で画面表示するようにしてもよい。これによれば、会計機に市販のものを使うことが可能となる。
【0012】
また、無線携帯端末は、読み取り端末からRFIDタグの情報を飲食物毎に受け取る度にカウントアップするカウンタを画面表示するようにしてもよい。これによれば、読み取り端末で読み取った飲食物のRFIDタグの数を即座に把握することができる。
【0013】
また、無線携帯端末は、飲食物の注文受付開始操作が行われると、注文受付処理を実行するようにしてもよい。これによれば、会計のみならず飲食物の注文の受付も可能となるため、客がいるエリアで業務を行う店員に便利である。
【0014】
また、サーバは、飲食店の客の端末から所定の識別子の情報を受信すると、無線携帯端末から受信したデータのうち所定の識別子に対応するデータに基づく精算額の情報を、客の端末へ送信するようにしてもよい。これによれば、精算金額を客も自身の端末で確認することが可能となる。
【0015】
また、本発明は、方法の側面から捉えることもできる。例えば、本発明は、飲食用の客席を有する飲食店で用いられる飲食店用会計方法であって、データを蓄積可能なサーバと、サーバと通信可能な無線携帯端末と、飲食物のRFIDタグを近距離無線通信で読み取り可能な読み取り端末と、読取手段で読み取り可能な識別子を有する可搬媒体と、を備える飲食店用会計システムにおいて、無線携帯端末は、会計開始操作が行われると、無線携帯端末と無線接続された読み取り端末から送信されるRFIDタグの情報をメモリーに蓄積する処理と、無線携帯端末に設けられている読取手段で可搬媒体の識別子を読み取る処
理とを実行し、読み取り完了操作が行われると、メモリーに蓄積された情報を、無線携帯端末の読取手段で読み取った識別子の情報と共にサーバへ送信する処理を実行し、サーバは、飲食店の会計エリアに持参された可搬媒体の識別子を読み取り可能な会計エリアの端末から所定の識別子の情報を受信すると、無線携帯端末から受信したデータのうち所定の識別子に対応するデータに基づく精算用のデータを、会計エリアの端末へ送信するものであってもよい。
【0016】
また、本発明は、プログラムの側面から捉えることもできる。例えば、本発明は、飲食用の客席を有する飲食店で用いられる飲食店用会計プログラムであって、データを蓄積可能なサーバと、サーバと通信可能な無線携帯端末と、飲食物のRFIDタグを近距離無線通信で読み取り可能な読み取り端末と、撮像手段で読み取り可能な識別子を有する可搬媒体と、を備える飲食店用会計システムにおいて、無線携帯端末に、会計開始操作が行われると、無線携帯端末と無線接続された読み取り端末から送信されるRFIDタグの情報をメモリーに蓄積する処理と、無線携帯端末に設けられている読取手段で可搬媒体の識別子を読み取る処理とを実行させ、読み取り完了操作が行われると、メモリーに蓄積された情報を、無線携帯端末の読取手段で読み取った識別子の情報と共にサーバへ送信する処理を実行させ、サーバに、飲食店の会計エリアに持参された可搬媒体の識別子を読み取り可能な会計エリアの端末から所定の識別子の情報を受信すると、無線携帯端末から受信したデータのうち所定の識別子に対応するデータに基づく精算用のデータを、会計エリアの端末へ送信させるものであってもよい。
【発明の効果】
【0017】
上記の飲食店用会計システム、方法及びプログラムであれば、汎用の無線携帯端末であっても、皿等の物品類に設けられた識別情報を無線で読み取り可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、実施形態に係る飲食店用会計システムの全体構成図である。
【
図2】
図2は、サーバの内部構成の一例を示した図である。
【
図3】
図3は、アンテナユニットの内部構成の一例を示した図である。
【
図4】
図4は、客席エリア用スマートフォンの内部構成の一例を示した図である。
【
図5】
図5は、会計機の内部構成の一例を示した図である。
【
図7】
図7は、飲食店用会計システムにおいて実現される処理フローの一例を示した図である。
【
図8】
図8は、客席エリア用スマートフォンに表示される画面の第1例を示した図である。
【
図9】
図9は、客席エリア用スマートフォンに表示される画面の第2例を示した図である。
【
図10】
図10は、客席エリア用スマートフォンに表示される画面の第3例を示した図である。
【
図11】
図11は、客席エリア用スマートフォンに表示される画面の第4例を示した図である。
【
図12】
図12は、客席エリア用スマートフォンに表示される画面の第5例を示した図である。
【
図13】
図13は、レジ横用スマートフォンに表示される画面の第1例を示した図である。
【
図14】
図14は、レジ横用スマートフォンに表示される画面の第2例を示した図である。
【
図15】
図15は、レジ横用スマートフォンに表示される画面の第3例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本願発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態は、本願発明の一態様であり、本願発明の技術的範囲を限定するものではない。以下に示す実施形態や変形例は、例えば、寿司や飲料物、そばやうどんといった丼物、から揚げや天ぷらといった各種の飲食物を提供する飲食店に好適である。
【0020】
図1は、実施形態に係る飲食店用会計システムの全体構成図である。飲食店用会計システム1は、回転寿司店等の各種飲食店で用いられるシステムであり、
図1に示すように、サーバ2、無線基地局3、ネットワーク4、アンテナユニット5、客席エリア用スマートフォン6、会計札7、レジ横用スマートフォン8を備える。そして、飲食店用会計システム1は、会計金額等の精算用のデータ(以下、「精算データ」という)の識別子を、店舗に設置されている会計機9へ渡す。会計機9は、飲食店用会計システム1から渡された精算データの識別子に基づいて精算を行う。
【0021】
より詳細には、飲食店用会計システム1では、アンテナユニット5と客席エリア用スマートフォン6を店員Sが携帯している。また、レジ横用スマートフォン8は、会計機9の付近に設置されている。そして、飲食を終えた客Cが店員Sを呼び出すと、客Cが飲食していたテーブルTに店員Sが訪れる。そして、店員Sは、会計札7に印刷されている会計用QRコード7C(本願でいう「識別子」の一例である。「QRコード」は登録商標)を客席エリア用スマートフォン6のカメラで読み取った後、客席エリア用スマートフォン6と無線接続でペアリングされた状態にあるアンテナユニット5を皿Dに翳し、各皿Dに設けられているRFID(Radio Frequency Identifier)タグの識別情報を読み取る。これにより、客席エリア用スマートフォン6には、客Cが飲食した飲食物の皿Dの枚数や種類といった各種の精算データが蓄積される。そして、客席エリア用スマートフォン6に蓄積された精算データは、無線基地局3やネットワーク4を経由してサーバ2へ送られる。また、客席エリア用スマートフォン6で蓄積された精算データがサーバ2へ送られた後は、店員Sが会計札7を客Cへ渡し、客Cに会計札7を持って会計機9の所へ向かうように案内する。
【0022】
会計札7を持った客Cが会計機9の所(会計エリア)へ訪れると、会計機9の所に居る店員Sは、会計機9付近に設置されているレジ横用スマートフォン8のカメラで会計札7の会計用QRコード7Cを読み取る。会計用QRコード7Cをカメラで読み取ったレジ横用スマートフォン8は、会計用QRコード7Cに対応する精算データをサーバ2へ無線基地局3やネットワーク4経由で照会する。レジ横用スマートフォン8から精算データを照会されたサーバ2は、対応する精算データをコード化したレジ精算用コード8Cの情報をレジ横用スマートフォン8へ送る。レジ横用スマートフォン8は、サーバ2から送られたレジ精算用コード8Cを画面に表示する。会計機9の所に居る店員Sは、レジ横用スマートフォン8に表示されたレジ精算用コード8Cを、会計機9に設けられているコードリーダ9Rで読み取る。コードリーダ9Rでレジ精算用コード8Cを読み取ると、会計機9には精算金額等が表示され、会計機9を使った精算が可能となる。
【0023】
会計機9は、市販の精算機であるため、レジ精算用コード8Cはこのような市販の精算機でも読み取り可能な二次元コードまたは一次元コードで構成される。すなわち、飲食店用会計システム1は、市販の精算機を用いる店舗においても適用可能なシステム構成となっている。
【0024】
なお、テーブルTで客Cに対応を行った店員Sは、テーブルTから会計機9の所へ移動して会計機9の操作を行ってもよい。また、サーバ2は、クラウドであってもよいし、或いは店内に設置されたものであってもよい。
【0025】
以下、飲食店用会計システム1の各部の構成について詳述する。
【0026】
図2は、サーバ2の内部構成の一例を示した図である。サーバ2は、CPU(Central Processing Unit)やメモリー、ストレージ、入出力インターフェースを備えるコンピュ
ータであり、メモリーに展開されたコンピュータプログラムをCPUが実行することにより、通信部21や精算部22、管理部23、データベース24を実現する。通信部21は、無線基地局3やネットワーク4を通じて客席エリア用スマートフォン6やレジ横用スマートフォン8と通信を行い、各種データの入出力を司る機能部である。また、精算部22は、客席エリア用スマートフォン6から送られたデータに基づいて精算金額の算出を行う機能部である。また、管理部23は、客席エリア用スマートフォン6やレジ横用スマートフォン8に表示させる操作項目や商品等の情報を編集するための管理機能を司る機能部である。
【0027】
図3は、アンテナユニット5の内部構成の一例を示した図である。通信部51は、客席エリア用スマートフォン6と近距離無線通信を行うための機能部であり、より詳細には、Bluetooth(登録商標)といった客席エリア用スマートフォン6と直接の無線通信が可能な通信方式に準拠した通信を行う。通信部51は、客席エリア用スマートフォン6といった特定の機器と予めペアリングされると、ペアリングされた機器と双方向通信を行う。アンテナ52は、皿Dに設けられたRFIDタグと近距離無線通信を行うためのアンテナであり、より詳細には、NFC(Near field communication)による通信を行う。アンテナ52は、皿Dへ向けた無線送電により電力を皿DのRFIDタグへ供給すると共に、無線送電による電力により皿DのRFIDタグから無線送信される識別情報を受信する。よって、アンテナ52は、比較的大電力を必要とし、また、通信部51で送受される無線信号に干渉しないような位置でアンテナユニット5内に設けられている。処理部53は、アンテナ52で受信した皿DのRFIDタグの識別情報を通信部51で客席エリア用スマートフォン6へ送る処理等を司る機能部である。
【0028】
図4は、客席エリア用スマートフォン6の内部構成の一例を示した図である。客席エリア用スマートフォン6は、市販のスマートフォンと同様、CPUやメモリー、ストレージ、タッチパネル等の入出力インターフェース、通信ユニットを備える携帯端末であり、第1通信部61や第2通信部62、撮像部63、表示部64、処理部65を備える。客席エリア用スマートフォン6は、飲食店用会計システム1を実現するために用意されたアプリケーションプログラムをインストールしてCPUに実行させることにより、後述する各種処理を実現する。第1通信部61は、アンテナユニット5と近距離無線通信を行うための機能部であり、通信部51と同じ通信方式に準拠してアンテナユニット5と直接の無線通信を行う。第2通信部62は、公衆無線回線や無線LAN(Local Area Network)等による無線通信を行うための機能部であり、例えば、Wi-fi(登録商標)等の通信方式に準拠して無線基地局3等と無線通信を行う。撮像部63は、客席エリア用スマートフォン6に内蔵されたカメラで画像を取得する処理を司る機能部である。表示部64は、客席エリア用スマートフォン6の前面に設けられたタッチパネルに各種情報を表示する処理を司る機能部である。処理部65は、第1通信部61や第2通信部62で送受されたデータや、表示部64に表示させる情報、タッチパネルを通じて入力された操作等の処理を司る機能部である。レジ横用スマートフォン8も客席エリア用スマートフォン6と同等のハードウェア構成であるため、
図4においては、客席エリア用スマートフォン6と同等の機能部に符号を併記している。
【0029】
図5は、会計機9の内部構成の一例を示した図である。会計機9は、市販のPOS(Point of sale system)システム用の精算機(レジスター)であり、金額の入力といった各種操作を行うための操作部91、会計金額の表示等を司る表示部92、会計機9に内蔵の
金庫を開閉したり硬貨及び紙幣の計数を行う機能を司る入出金部93、店舗を運営する会社のサーバ等と通信を行うための通信部94、バーコードやQRコードといった各種のコード類を光学的に読み取るコードリーダ9Rを備える。
【0030】
図6は、会計札7の一例を示した図である。会計札7は、会計時に用いる札であり、店舗の名称である店舗ブランド名71、店内に複数ある会計札7を識別するために付与される会計番号72及び会計用QRコード7Cが印刷されている。会計札7は、再利用可能な硬質の札であってもよいし、或いは、再利用不能な使い捨ての印刷紙であってもよい。
【0031】
無線基地局3とネットワーク4は、店舗内に構築された構内LANの設備であってもよいし、或いは、携帯通信事業者が保有する公衆の無線通信設備であってもよい。
【0032】
以下、飲食店用会計システム1において実現される処理フローについて説明する。
図7は、飲食店用会計システム1において実現される処理フローの一例を示した図である。
【0033】
店内で飲食を終えた客Cに呼び出され、客Cが飲食していたテーブルTを訪れた店員Sは、客席エリア用スマートフォン6で会計用の画面を呼び出す。また、店員Sは、客席エリア用スマートフォン6を操作し、会計札7の会計用QRコード7Cを客席エリア用スマートフォン6の撮像部63で読み取る(S101)。
図8は、客席エリア用スマートフォン6に表示される画面の第1例を示した図である。店員Sが客席エリア用スマートフォン6を操作して会計の画面を呼び出すと、処理部65は、
図8に示す画面D101を表示部64に表示させる。画面D101には、新規の会計を行うための「新規会計」ボタンが用意されている。店員Sは、客Cの会計を行うので、客席エリア用スマートフォン6に表示されている画面D101の「新規会計」ボタンをタッチする。
【0034】
図9は、客席エリア用スマートフォン6に表示される画面の第2例を示した図である。画面D101の「新規会計」ボタンがタッチされると、処理部65は、
図9に示す画面D102を表示部64に表示させる。画面D102には、客の情報を入力する画面を呼び出すための「入力」ボタン、アンテナユニット5を使って皿DのRFIDタグを読み取る操作を開始するための「お皿をスキャン」ボタン、客Cが飲食した飲食物の情報を手動で入力するための「サイドメニュー」ボタン、会計金額を確認するための「会計を確認」ボタンが用意されている。店員Sは、客Cの会計を行うにあたり、まず、「入力」ボタンをタッチする。
【0035】
図10は、客席エリア用スマートフォン6に表示される画面の第3例を示した図である。画面D102の「入力」ボタンがタッチされると、処理部65は、
図10に示す画面D103を表示部64に表示させる。画面D103には、客の人数や座席の番号、客層を入力する欄と、入力内容を確定させる「完了」ボタンが用意されている。店員Sは、テーブルTに居る客Cの人数や座席の番号、客層を画面D103で入力し、「完了」ボタンをタッチする。画面D103の「完了」ボタンがタッチされると、処理部65は、
図9に示した画面D102を表示部64に再び表示させる。
【0036】
図11は、客席エリア用スマートフォン6に表示される画面の第4例を示した図である。画面D102の「お皿をスキャン」ボタンがタッチされると、処理部65は、
図11に示す画面D104を表示部64に表示させる。画面D104には、客席エリア用スマートフォン6とペアリングされた状態にあるアンテナユニット5で皿DのRFIDタグの読み取りを開始するための「スキャン開始」ボタンや、表示を画面D102へ戻すための「戻る」ボタンが用意されている。店員Sは、画面D104の「スキャン開始」ボタンをタッチする。これにより、皿DのRFIDタグの読み取りが開始される(S102)。店員Sは、画面D104の「スキャン開始」ボタンをタッチした後、アンテナユニット5を皿D
に翳す。アンテナユニット5を皿Dに翳すと、アンテナ52から無線送電された電力を受けて皿DのRFIDタグが識別情報を無線送信する。アンテナユニット5は、皿DのRFIDタグから無線送信された識別情報をアンテナ52で読み取る(S103)。そして、アンテナユニット5は、アンテナ52で読み取った皿DのRFIDタグの識別情報を通信部51で客席エリア用スマートフォン6へ送信する。客席エリア用スマートフォン6の画面D104には、アンテナユニット5がRFIDタグの識別情報を読み取った皿Dの累積枚数が表示されており、アンテナユニット5がRFIDタグを読み取る度に累積枚数がカウントアップされる。店員Sは、テーブルTに載っている全ての皿DのRFIDタグの読み取りを終えると、画面D104に表示されている「戻る」ボタンを押し、皿DのRFIDタグの読み取りを終了する(S104)。画面D104に表示されている「戻る」ボタンを押すと、客席エリア用スマートフォン6には画面D102が再び表示される。
【0037】
図12は、客席エリア用スマートフォン6に表示される画面の第5例を示した図である。店員Sは、画面D102で必要に応じて「サイドメニュー」ボタンをタッチし、アンテナユニット5で読み取れない商品の情報を適宜入力する。そして、店員Sは、画面D102の「会計を確認」ボタンをタッチする。画面D102の「会計を確認」ボタンが押されると、処理部65は、
図12に示す画面D105を表示部64に表示させる。画面D105には、暫定の請求金額や、請求金額の情報が埋め込まれたQRコードが表示される。また、処理部65は、第2通信部62を使って無線基地局3とネットワーク4経由でサーバ2へ精算データを送信する(S105)。通信部21によって客席エリア用スマートフォン6から精算データを受信したサーバ2では、精算部22が精算金額の算出を行う(S106)。そして、サーバ2では、精算部22が算出した精算金額等の精算データを、ステップS101で客席エリア用スマートフォン6の撮像部63に読み取られた会計札7の会計用QRコード7Cの識別情報と紐づけてデータベース24に保存する。なお、客席エリア用スマートフォン6に表示される画面D105のQRコードは、客Cが所有するスマートフォンのカメラで撮影することにより、客Cが自身のスマートフォンで精算金額を確認するのに用いることもできる。この場合、画面D105のQRコードを読み取った客Cのスマートフォンは、例えば、後述するレジ横用スマートフォン8の処理と同様に、サーバ2へ精算データの照会を行い、精算金額を取得する。
【0038】
テーブルTの所に居る店員Sは、客Cに請求金額を口頭で伝える等の客対応を行った後、会計札7を客Cへ手渡す。そして、店員Sは、客Cに会計札7を持って会計機9の所へ向かうように案内する。
【0039】
会計札7を持った客Cが会計機9の所へ訪れると、会計機9の所に居る店員Sは、レジ横用スマートフォン8の付近に設置されているレジ横用スマートフォン8を操作し、精算用の画面を呼び出す。
図13は、レジ横用スマートフォン8に表示される画面の第1例を示した図である。店員Sがレジ横用スマートフォン8を操作して精算の画面を呼び出すと、処理部85は、
図13に示す画面D106を表示部84に表示させる。画面D106には、会計機9に精算用のコードを表示させるための「レジ精算」ボタンが用意されている。店員Sは、会計機9の所に訪れた客Cから会計札7を受け取ると、画面D106の「レジ精算」ボタンをタッチする。
【0040】
図14は、レジ横用スマートフォン8に表示される画面の第2例を示した図である。画面D106の「レジ精算」ボタンがタッチされると、処理部85は、
図14に示す画面D107を表示部84に表示させる。また、処理部85は、撮像部83を起動させ、レジ横用スマートフォン8のカメラの画像を画面D107の枠内に表示させる。店員Sは、客Cから受けとった会計札7をレジ横用スマートフォン8のカメラに翳し、レジ横用スマートフォン8のカメラで会計札7の会計用QRコード7Cを読み取る(S107)。そして、処理部85は、レジ横用スマートフォン8のカメラで読み取った会計用QRコード7Cの
識別情報を、第2通信部82を使って無線基地局3とネットワーク4経由でサーバ2へ送信し、精算データの照会を行う(S108)。通信部21によってレジ横用スマートフォン8から識別情報を受信したサーバ2では、精算部22がデータベース24にアクセスし、レジ横用スマートフォン8から送信された識別情報に対応する精算データを索出する。そして、精算部22は、索出した精算データに対応するコードを生成して、通信部21でレジ横用スマートフォン8へ無線基地局3やネットワーク4経由で送信する(S109)。
【0041】
図15は、レジ横用スマートフォン8に表示される画面の第3例を示した図である。サーバ2から送信された精算データのコードがレジ横用スマートフォン8の第2通信部82で受信されると、処理部85は、
図15に示す画面D108のように、表示部84にコードを表示させる(S110)。店員Sは、レジ横用スマートフォン8に画面D108が表示されると、会計機9の操作部91を操作してコードリーダ9Rを起動し、コードリーダ9Rをレジ横用スマートフォン8の画面に翳して画面D108の一次元コードまたは二次元コードを読み取る(S111)。
図15(A)と
図15(B)の何れの画面D108がレジ横用スマートフォン8に表示されるかは、当該店舗に設置されている会計機9が読み取り可能なコードの種類に従って予め設定された適宜の設定に応じる。会計機9は、コードリーダ9Rで読み取ったコードから精算金額を取得し、表示部92に表示させる(S112)。店員Sは、表示部92に表示される精算金額を客Cへ伝え、客Cから代金の支払いを受ける。代金の支払いは、現金で行われてもよいし、或いは、電子マネーやクレジットカード等の各種決済手段で行われてもよい。店員Sは、現金を受け取った場合には操作部91を操作し、入出金部93で現金の出し入れを行う。これにより、飲食店用会計システム1を使った精算が完了する。
【0042】
飲食店用会計システム1において実現される処理フローは以上の通りである。本実施形態の飲食店用会計システム1によれば、市販のスマートフォンを客席エリア用スマートフォン6やレジ横用スマートフォン8として利用しつつ、皿DのRFIDタグについては、客席エリア用スマートフォン6とは別体のアンテナユニット5で読み取ることができる。このため、店員Sが操作する画面や商品の店舗ごとのカスタマイズが、このような汎用のスマートフォン用のアプリケーションプログラムの開発環境で容易に行うことができ、且つ、皿DのRFIDタグを使った精算も行うことができる。皿DのRFIDタグを読み取り可能なアンテナは、市販のスマートフォンに組み込むことは極めて困難である。よって、RFID用のアンテナを一体化した端末は、不可避的に専用品となり、アプリケーションプログラムの開発環境も特殊になる。この点、本実施形態の飲食店用会計システム1では、市販のスマートフォンを客席エリア用スマートフォン6やレジ横用スマートフォン8として利用することで、容易なアプリケーションプログラムの開発を可能にしつつ、皿DのRFIDタグの読み取り機能も発揮させることができる。
【0043】
なお、上記実施形態では、近距離無線通信の一例としてBluetoothやNFC等を例示したが、その他の各種通信方式についても適用可能である。
【0044】
また、客席エリア用スマートフォン6は、上述した会計機能の他、例えば、客Cからの注文を受け付けるための注文受付機能を有していてもよい。この場合、客席エリア用スマートフォン6に表示される画面には、飲食物の注文の受付を開始するための操作ボタン等が用意されることになる。
【0045】
また、上記実施形態では、市販のスマートフォンを利用するシステム構成となっていたが、専用の端末を利用するシステム構成であってもよい。また、上記実施形態では、アンテナユニット5を店員Sが携帯していたが、アンテナユニット5はテーブルT等に埋め込まれていてもよい。また、上記実施形態は、その他、適宜の変更を行ってもよい。例えば
、会計札7には近距離無線通信で読み取り可能なICチップが内蔵されており、カメラ等の撮像手段で読み取るバーコードや二次元コードの代わりにICチップの識別子を使って上記一連の処理を実現してもよい。
【符号の説明】
【0046】
D・・皿:T・・テーブル:C・・客:S・・店員:1・・飲食店用会計システム:2・・サーバ:3・・無線基地局:4・・ネットワーク:5・・アンテナユニット:6・・客席エリア用スマートフォン:7・・会計札:8・・レジ横用スマートフォン:9・・会計機:21・・通信部:22・・精算部:23・・管理部:24・・データベース:51・・通信部:52・・アンテナ:53・・処理部:61・・第1通信部:62・・第2通信部:63・・撮像部:64・・表示部:65・・処理部:71・・店舗ブランド名:72・・会計番号:7C・・会計用QRコード:81・・第1通信部:82・・第2通信部:83・・撮像部:84・・表示部:85・・処理部:8C・・レジ精算用コード:91・・操作部:92・・表示部:93・・入出金部:94・・通信部:9R・・コードリーダ