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  • 特許-管継手及び給湯器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】管継手及び給湯器
(51)【国際特許分類】
   F16L 21/00 20060101AFI20240830BHJP
   F16L 55/00 20060101ALI20240830BHJP
   F24H 1/18 20220101ALI20240830BHJP
   F24H 9/00 20220101ALI20240830BHJP
【FI】
F16L21/00 D
F16L55/00 D
F24H1/18 A
F24H9/00 G
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020161194
(22)【出願日】2020-09-25
(65)【公開番号】P2022054156
(43)【公開日】2022-04-06
【審査請求日】2023-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】本間 勉
【審査官】広瀬 雅治
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-257556(JP,A)
【文献】特開2011-033158(JP,A)
【文献】特開2020-094604(JP,A)
【文献】特開2010-281382(JP,A)
【文献】特開2006-010259(JP,A)
【文献】特開2006-093001(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0065312(US,A1)
【文献】特開2007-247903(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0167876(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 21/00
F16L 55/00
F24H 1/18
F24H 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オス側管部材メス側管部材差込接続するための管継手であって、
前記オス側管部材が、
先端が小径部、基端側が大径部となる段付形状に外周面が形成される差し込み管部と、
前記差し込み管部にその先端側から圧入される圧入管部と、前記圧入管部の基端に周設されるフランジ部とを備えるフランジキャップと、からなり、
前記フランジキャップの前記圧入管部を前記差し込み管部に圧入した状態で、前記大径部と前記フランジ部との間にOリングが外装される装着溝が形成される管継手であって、
前記差し込み管部の前記小径部の先端側端面には、環状の突条部が突設される一方、
前記フランジ部における前記小径部との対向面には、前記圧入管部の圧入状態で前記突条部が嵌合する周溝が形成されていることを特徴とする管継手。
【請求項2】
前記オス側管部材と前記メス側管部材とは、給湯器の給水側に設置されるものであって、前記差し込み管部の内部には、水量センサが収容され、前記圧入管部を前記差し込み管部に圧入した状態で、前記圧入管部の先端が前記水量センサのケーシングに当接して前記水量センサの移動を規制することを特徴とする請求項1に記載の管継手。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の管継手を備えてなる給湯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯器等の流体制御機器において、配管同士を接続するために用いられる管継手と、当該管継手を用いた給湯器とに関する。
【背景技術】
【0002】
給湯器等の流体制御機器においては、流体を熱交換器等の構成部間で受け渡しするために、配管同士が接続される。この接続は、例えば特許文献1に開示されるように、ソケット部材(メス側管部材)に設けた受け口部に、プラグ部材(オス側管部材)を挿入することで行われる。
プラグ部材の外周には、シール性を保つために、Oリングが外装されている。よって、プラグ部材には、Oリングが外装されるOリング溝が形成されるが、ここではプラグ部材を、先端外周にOリング溝が形成される挿入脚部(差し込み管部)と、Oリング溝の先端寄り壁面を形成するフランジを有する挿嵌体(フランジキャップ)とに分割し、挿入脚部に挿嵌体を圧入する構造を採用している。この構造により、Oリング溝の底面にパーティングラインが形成されることがなく、シール性の低下が防止可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-281382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の管継手においては、挿入脚部への挿嵌体の圧入状態を外部から確認するのが難しく、検品に手間がかかって組み立て効率が低下するという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、メス側管部材へのオス側管部材の圧入状態を容易に確認でき、検品が迅速に行えて組み立て効率が向上する管継手及び給湯器を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のうち、第1の発明は、オス側管部材メス側管部材差込接続するための管継手であって、
前記オス側管部材が、
先端が小径部、基端側が大径部となる段付形状に外周面が形成される差し込み管部と、
前記差し込み管部にその先端側から圧入される圧入管部と、前記圧入管部の基端に周設されるフランジ部とを備えるフランジキャップと、からなり、
前記フランジキャップの前記圧入管部を前記差し込み管部に圧入した状態で、前記大径部と前記フランジ部との間にOリングが外装される装着溝が形成される管継手であって、
前記差し込み管部の前記小径部の先端側端面には、環状の突条部が突設される一方、
前記フランジ部における前記小径部との対向面には、前記圧入管部の圧入状態で前記突条部が嵌合する周溝が形成されていることを特徴とする。
第1の発明の別の態様は、上記構成において、前記オス側管部材と前記メス側管部材とは、給湯器の給水側に設置されるものであって、前記差し込み管部の内部には、水量センサが収容され、前記圧入管部を前記差し込み管部に圧入した状態で、前記圧入管部の先端が前記水量センサのケーシングに当接して前記水量センサの移動を規制することを特徴とする。
上記目的を達成するために、本発明のうち、第2の発明は、給湯器であって、第1の発明の管継手を備えてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、差し込み管部の突条部がフランジキャップの周溝に嵌合する際にクリック感が得られることで、メス側管部材へのオス側管部材の圧入状態を容易に確認できる。よって、検品が迅速に行えて組み立て効率が向上する。
本発明の別の態様によれば、圧入管部を差し込み管部に圧入した状態で、圧入管部の先端が水量センサのケーシングに当接して水量センサの移動を規制するので、フランジキャップを水量センサの位置決めに兼用した合理的な構成となる。よって、部品点数を減らすことができ、生産コスト及び管理コストの低減に繋がる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】給湯器及び管継手の説明図である。
図2図1のA-A線断面図である。
図3】差し込み管部の分解斜視図である。
図4】差し込み管部の下端部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、給湯器の給水側の一部を示し、図2図1のA-A線断面を示している。給湯器1は、筐体2の底板3に、外部の水道管と接続されるメス側管部材としての接続部材4と、筐体2内で接続部材4に接続されるオス側管部材としての水側部材5とを備えている。接続部材4と水側部材5とは樹脂製である。
水側部材5には、給水管6が接続され、給水管6は、図示しない熱交換器に接続される。接続部材4から供給された水は、水側部材5及び給水管6を通過して熱交換器に流れ、バーナの燃焼排気と熱交換されて、図示しない出湯管から出湯される。
接続部材4は、底板3に固定される固定板7と、固定板7から下向きに突出する水入口管8と、水入口管8へ直交状に接続される水抜き管9と、固定板7から筐体2内へ上向きに突出するソケット管10とを有する。ソケット管10の上端には、フランジ11が周設されている。
【0010】
水側部材5は、上下方向に延びる筒状で、下部には、接続部材4のソケット管10へ差込接続される差し込み管部15が形成されている。差し込み管部15の内部には、水量センサ16が収容されている。水量センサ16は、差し込み管部15へ下方から挿入される筒状のケーシング17と、ケーシング17内で回転可能な水車18とを含んでいる。差し込み管部15の内部には、挿入されたケーシング17の上端を係止させて位置決めする段部19が形成されている。
差し込み管部15内の上部には、流量を制御する水絞りバルブ20が設けられている。差し込み管部15の上側には、水絞りバルブ20を動作させるステッピングモータ21が設けられている。水絞りバルブ20の下流側で差し込み管部15の側面には、給水管6との接続口22が設けられている。差し込み管部15の外周において、下端よりやや上方には、ソケット管10との接続状態でフランジ11と当接する受けフランジ23が形成されている。
【0011】
そして、接続部材4のソケット管10と、水側部材5の差し込み管部15とは、管継手25によって接続されている。
図3及び図4に示すように、差し込み管部15において、受けフランジ23の下方の外周面は、上側が大径部26、下側が小径部27となる段付形状となっている。大径部26の内側で差し込み管部15の内周面には、リング状の溝28が形成されている。
小径部27の下面には、小径部27よりも小径となる環状の突条部29が、小径部27と同軸で下向きに突設されている。
【0012】
そして、差し込み管部15には、下方からフランジキャップ30が圧入される。このフランジキャップ30は、差し込み管部15に圧入される圧入管部31と、圧入管部31の下端に形成されるフランジ部32とを有している。圧入管部31の外周には、差し込み管部15への圧入状態で溝28に係止する突起33,33・・が、周方向に等間隔をおいて突設されている。圧入管部31の上端は、差し込み管部15への圧入状態で水量センサ16のケーシング17に下方から当接してケーシング17の下方への移動を規制するようになっている。
フランジ部32の上面で圧入管部31の根元側には、差し込み管部15への圧入状態で突条部29が嵌合する周溝34が形成されている。周溝34の深さは、突条部29の突出高さよりもやや大きくなっている。
【0013】
フランジ部32の外径は、差し込み管部15の大径部26と同径となっており、差し込み管部15への圧入状態では、フランジ部32の外周側上面が大径部26の下面と対向し、小径部27を底面とする横断面U字状の装着溝35を形成する。この装着溝35にOリング36が外装される。
こうしてフランジキャップ30が圧入されることで、差し込み管部15の軸線方向に引き抜く割り型を採用することができる。よって、装着溝35にパーティングラインが形成されることがないため、シール性の低下を防止することができる。
【0014】
以上の如く構成された管継手25において、差し込み管部15に水量センサ16を挿入した状態で、フランジキャップ30の圧入管部31を差し込み管部15に圧入する。すると、図4に示すように差し込み管部15の小径部27の端面にフランジキャップ30のフランジ部32が当接してフランジキャップ30の圧入が停止する。このとき差し込み管部15の突条部29がフランジ部32の周溝34に嵌合するため、圧入時にクリック感が得られる。この圧入位置で圧入管部31の突起33も差し込み管部15の溝28に係止する。
また、フランジキャップ30の圧入位置では、前述のように圧入管部31が水量センサ16のケーシング17に当接してケーシング17を位置決めする。
【0015】
こうして差し込み管部15とフランジキャップ30とで形成された装着溝35にOリング36を外装すれば、水側部材5の組み立ては終了する。
そして、水側部材5の下端を接続部材4のソケット管10に挿入すれば、図2に示すようにソケット管10の内側の受け面12にフランジキャップ30が当接すると共に、ソケット管10のフランジ11が差し込み管部15の受けフランジ23に当接して、ソケット管10と差し込み管部15とが接続されると共に、Oリング36がソケット管10の内周に当接してシールがなされる。フランジ11と受けフランジ23とは、図示しないクリップによって挟持される。
【0016】
このように、上記形態の管継手25及び給湯器1では、差し込み管部15の小径部27の先端側端面には、環状の突条部29が突設される一方、フランジキャップ30のフランジ部32における小径部27との対向面には、圧入管部31の圧入状態で突条部29が嵌合する周溝34が形成されている。
この構成により、差し込み管部15の突条部29がフランジキャップ30の周溝34に嵌合する際にクリック感が得られることで、接続部材4への水側部材5の圧入状態を容易に確認できる。よって、検品が迅速に行えて組み立て効率が向上する。
【0017】
特に、差し込み管部15の内部には、水量センサ16が収容され、圧入管部31を差し込み管部15に圧入した状態で、圧入管部31の先端が水量センサ16のケーシング17に当接して水量センサ16の移動を規制する。
よって、フランジキャップ30を水量センサ16の位置決めに兼用した合理的な構成となるため、部品点数を減らすことができ、生産コスト及び管理コストの低減に繋がる。
【0018】
なお、上記形態では、フランジキャップを水量センサの位置決めにも兼用しているが、当該位置決めに兼用しない形態も採用できる。
また、上記形態では、水側部材がオス側管部材、接続部材がメス側管部材となっているが、オスメス関係を逆にすることもできる。
さらに、管継手は、水側部材と接続部材との間に限らず、他の配管同士の接続に用いることもできる。給水側に限らず、バイパス側や出湯側、風呂回路等にも採用可能である。
そして、本発明の管継手は、給湯器に限らず、湯沸器や暖房熱源機、コンロやレンジ、オーブン、フライヤー等の厨房機器、浴室暖房乾燥機、といった各種の流体制御機器においても適用可能である。
【符号の説明】
【0019】
1・・給湯器、2・・筐体、3・・底板、4・・接続部材、5・・水側部材、6・・給水管、10・・ソケット管、11・・フランジ、15・・差し込み管部、16・・水量センサ、17・・ケーシング、23・・受けフランジ、25・・管継手、26・・大径部、27・・小径部、30・・フランジキャップ、31・・圧入管部、32・・フランジ部、34・・周溝、35・・装着溝、36・・Oリング。
図1
図2
図3
図4