(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】商品押出し陳列棚
(51)【国際特許分類】
A47F 3/026 20060101AFI20240830BHJP
A47F 5/00 20060101ALI20240830BHJP
A47F 1/12 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
A47F3/026
A47F5/00 Z
A47F1/12
(21)【出願番号】P 2020216024
(22)【出願日】2020-12-25
【審査請求日】2023-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】394016874
【氏名又は名称】河淳株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野口 幸平
【審査官】葛谷 光平
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-070108(JP,A)
【文献】特開2016-187480(JP,A)
【文献】特開2000-106988(JP,A)
【文献】特開平10-272039(JP,A)
【文献】実開平05-074356(JP,U)
【文献】米国特許第06142317(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0140279(US,A1)
【文献】米国特許第07913861(US,B2)
【文献】米国特許第06889854(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 1/00ー11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棚本体と、
前記棚本体に支持され商品を載置可能な移動棚板であって、前記棚本体に近接した第1位置と、前記棚本体から離間した第2位置と、の間で移動可能な移動棚板と、
前記移動棚板の前記棚本体と対向する端部とは反対側の端部に設けられた柵と、
前記棚本体に固定され、前記第1位置にある前記移動棚板上で前記柵の近傍に位置する1以上の第1係合部と、
前記移動棚板の移動方向に沿って前記移動棚板上を移動可能に設けられ、前記商品に当接する当接部を有する1以上の押出し部材と、
前記1以上の押出し部材よりも前記棚本体に近い位置で、前記移動棚板の移動方向に沿って前記移動棚板上を移動可能に設けられ、前記1以上の押出し部材と当接したり、前記1以上の押出し部材から分離したり可能な1以上の移動部材と、
前記1以上の移動部材に設けられ前記1以上の第1係合部と係合可能な1以上の第2係合部であって、前記移動棚板が前記第2位置から前記第1位置に移動する際に前記柵に当接した前記商品からの荷重で前記第1係合部との係合を解除可能な1以上の第2係合部と、
を備える商品押出し陳列棚。
【請求項2】
前記商品が直接載置される1以上のレール部材を備え、
前記1以上の押出し部材および前記1以上の移動部材は、前記レール部材にガイドされ、前記移動棚板の移動方向に沿って移動可能であり、
前記1以上の第1係合部は、前記レール部材に対応する位置に設けられる請求項1に記載の商品押出し陳列棚。
【請求項3】
前記第1係合部は、強磁性体および磁石のいずれか一方であり、
前記第2係合部は、強磁性体および磁石のいずれか他方である請求項1に記載の商品押出し陳列棚。
【請求項4】
前記商品が直接載置される1以上のレール部材を備え、
前記レール部材は、前記移動棚板の移動方向に沿って細長く延びる貫通孔部を有し、
前記移動部材は、前記貫通孔部内に嵌っており、
前記第1係合部は、凹部および凸部のいずれか一方であり、
前記第2係合部は、前記第1係合部と嵌合する凹部および凸部のいずれか他方である請求項1に記載の商品押出し陳列棚。
【請求項5】
前記凹部は、半球状に窪んでおり、前記凸部は、半球状に突出している請求項4に記載の商品押出し陳列棚。
【請求項6】
前記商品が直接載置される1以上のレール部材を備え、
前記レール部材は、前記移動棚板の移動方向に沿って細長く延びる貫通孔部を有し、
前記移動部材は、前記貫通孔部内に嵌っており、
前記第1係合部は、面ファスナーの一方であり、
前記第2係合部は、前記第1係合部と係合する面ファスナーの他方である請求項1に記載の商品押出し陳列棚。
【請求項7】
前記移動棚板の移動方向に沿って前記移動棚板上を移動可能に設けられ、前記1以上の押出し部材を前記棚本体から遠ざかる方向に引き出し可能な1以上のレバーを備える請求項1に記載の商品押出し陳列棚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棚本体から遠ざかる方向に商品を押し出すことが可能な商品押出し陳列棚に関する。
【背景技術】
【0002】
商品補充時に棚板を前に引き出すことが可能な商品陳列棚がある。この商品陳列棚は、ブラケット間に渡された棚板本体と、棚板本体上でスライド移動するスライド棚板と、を備える。
【0003】
商品陳列棚は、複数段の棚板を有することが通常である。このため、補充対象となる棚板の上側にも、他の棚板が存在している場合が多い。店舗管理者は、スライド棚板を手前側に引き出した状態で、スライド棚板上に商品を補充することができる。これによって、上部の棚板が作業の邪魔になることがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、食料品や飲料等の商品には、消費期限が存在する。このため、店舗管理者は、新たに補充する商品を陳列棚の棚板の奥部に補充し、消費期限が近い商品を棚板の前方に配置する必要がある。これによって、消費期限が近い商品から顧客の手に取ってもらうことが、消費期限を経過して廃棄となる商品の数量を低減するためにも望ましい。一方、商店に置かれる商品数は膨大であり、すべての商品でこのような店舗管理を行うことは、店舗管理者にとって大きな負担となっている。
従って、本発明の課題の一つは、店舗管理者の管理負担を低減できる商品押出し陳列棚を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、以下の本発明により解決される。すなわち、本発明(1)の商品押出し陳列棚は、
棚本体と、
前記棚本体に支持され商品を載置可能な移動棚板であって、前記棚本体に近接した第1位置と、前記棚本体から離間した第2位置と、の間で移動可能な移動棚板と、
前記移動棚板の前記棚本体と対向する端部とは反対側の端部に設けられた柵と、
前記棚本体に固定され、前記第1位置にある前記移動棚板上で前記柵の近傍に位置する1以上の第1係合部と、
前記移動棚板の移動方向に沿って前記移動棚板上を移動可能に設けられ、前記商品に当接する当接部を有する1以上の押出し部材と、
前記1以上の押出し部材よりも前記棚本体に近い位置で、前記移動棚板の移動方向に沿って前記移動棚板上を移動可能に設けられ、前記1以上の押出し部材と当接したり、前記1以上の押出し部材から分離したり可能な1以上の移動部材と、
前記1以上の移動部材に設けられ前記1以上の第1係合部と係合可能な1以上の第2係合部であって、前記移動棚板が前記第2位置から前記第1位置に移動する際に前記柵に当接した前記商品からの荷重で前記第1係合部との係合を解除可能な1以上の第2係合部と、
を備える。
【0007】
また、本発明(2)の商品押出し陳列棚は、(1)記載の商品押出し陳列棚であって、
前記商品が直接載置される1以上のレール部材を備え、
前記1以上の押出し部材および前記1以上の移動部材は、前記レール部材にガイドされ、前記移動棚板の移動方向に沿って移動可能であり、
前記1以上の第1係合部は、前記レール部材に対応する位置に設けられる。
【0008】
また、本発明(3)の商品押出し陳列棚は、(1)記載の商品押出し陳列棚であって、
前記第1係合部は、強磁性体および磁石のいずれか一方であり、
前記第2係合部は、強磁性体および磁石のいずれか他方である。
【0009】
また、本発明(4)の商品押出し陳列棚は、(1)記載の商品押出し陳列棚であって、
前記レール部材は、前記移動棚板の移動方向に沿って細長く延びる貫通孔部を有し、
前記移動部材は、前記貫通孔部内に嵌っており、
前記第1係合部は、凹部および凸部のいずれか一方であり、
前記第2係合部は、前記第1係合部と嵌合する凹部および凸部のいずれか他方である。
【0010】
また、本発明(5)の商品押出し陳列棚は、(4)記載の商品押出し陳列棚であって、
前記凹部は、半球状に窪んでおり、前記凸部は、半球状に突出している。
【0011】
また、本発明(6)の商品押出し陳列棚は、(1)記載の商品押出し陳列棚であって、
前記レール部材は、前記移動棚板の移動方向に沿って細長く延びる貫通孔部を有し、
前記移動部材は、前記貫通孔部内に嵌っており、
前記第1係合部は、面ファスナーの一方であり、
前記第2係合部は、前記第1係合部と係合する面ファスナーの他方である。
【0012】
また、本発明(7)の商品押出し陳列棚は、(1)記載の商品押出し陳列棚であって、
前記移動棚板の移動方向に沿って前記移動棚板上を移動可能に設けられ、前記1以上の押出し部材を前記棚本体から遠ざかる方向に引き出し可能な1以上のレバーを備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、店舗管理者の管理負担を低減できる商品押出し陳列棚を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態の商品押出し陳列棚を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す商品押出し陳列棚のレール部材、押出し部材、レバー等を示す斜視図である。
【
図3】
図1に示す商品押出し陳列棚のレール部材、押出し部材、柵、第1係合部のバー、および第2係合部等を貫通孔部に沿う面で切断し、移動棚板を切断せずに示す断面図である。
【
図4】
図1に示す商品押出し陳列棚のレール部材、押出し部材、柵、移動部材、および第2係合部等を示す斜視図である。
【
図5】
図3に示す商品押出し陳列棚の移動棚板を第2位置に移動させた状態を示す断面図である。
【
図6】
図5に示す商品押出し陳列棚の移動棚板を第1位置に戻した状態を示す断面図である。
【
図7】
図6に示す商品押出し陳列棚の移動棚板を第2位置に再び移動させた状態を示す断面図である。
【
図8】
図7に示す商品押出し陳列棚において、押出し部材を手指で押し下げて後退させ、レール部材上に商品を補充する工程を示す断面図である。
【
図9】
図8に示す商品押出し陳列棚の移動棚板を第1位置に再び戻した状態を示す断面図である。
【
図10】
図8に示す商品押出し陳列棚の移動棚板を第1位置に再び戻した状態を示す斜視図である。
【
図11】
図1に示す商品押出し陳列棚の商品を補充する前の状態を側方から模式的に示す側面図である。
【
図12】
図11に示す商品押出し陳列棚の商品を補充する工程を側方から模式的に示す側面図である。
【
図13】
図1に示す商品押出し陳列棚のレバーを収納位置から引出位置に引き出して商品の個別的な押出しをする工程を示す斜視図である。
【
図14】
図13に示す商品押出し陳列棚のレバーを引出位置から収納位置に戻された状態を示す斜視図である。
【
図15】第1変形例の商品押出し陳列棚において、移動棚板が第1位置にあり、第1係合部と第2係合部とが分離した状態を模式的に示す断面図である。
【
図16】第1変形例の商品押出し陳列棚において、移動棚板が第2位置にあり、第1係合部と第2係合部とが係合した状態を模式的に示す断面図である。
【
図17】第2変形例の商品押出し陳列棚において、移動棚板が第1位置にあり、第1係合部と第2係合部とが分離した状態を模式的に示す断面図である。
【
図18】第2変形例の商品押出し陳列棚において、移動棚板が第2位置にあり、第1係合部と第2係合部とが係合した状態を模式的に示す断面図である。
【
図19】第3変形例の商品押出し陳列棚において、移動棚板が第1位置にあり、第1係合部と第2係合部とが分離した状態を模式的に示す断面図である。
【
図20】第3変形例の商品押出し陳列棚において、移動棚板が第2位置にあり、第1係合部と第2係合部とが係合した状態を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下
図1~
図14を参照して、本発明の商品押出し陳列棚の実施形態について説明する。本発明の商品押出し陳列棚は、商店内に設置され、商品を手前に押し出す作業(前出し作業)を簡単に実現しつつ、商品の補充性の向上をも実現できるものである。
[実施形態]
【0016】
図1~
図3に示すように、商品押出し陳列棚11は、一対の支持部12を有する棚本体13と、一対の支持部12間に渡されることで棚本体13に支持され商品17を載置可能な1以上の移動棚板14と、1以上の移動棚板14のそれぞれに設けられたレール部材15と、1以上の移動棚板14のそれぞれに設けられた柵16と、後述する第1位置P1にある移動棚板14上で柵16の近傍に位置する1以上の第1係合部21と、移動棚板14の移動方向Aに沿って移動棚板14上を移動可能に設けられた1以上の押出し部材22と、移動棚板14の移動方向Aに沿って移動棚板14上を移動可能に設けられた1以上の移動部材20と、1以上の移動部材20に設けられ1以上の第1係合部21と係合可能な1以上の第2係合部23と、レール部材15に装着され押出し部材22を個別に手前側に引き出すためのレバー24と、を備える。
【0017】
棚本体13は、脚部25と、脚部25から起立した柱状の一対のフレーム26と、一対のフレーム26間に渡された背面板27と、一対のフレーム26にそれぞれ取り付けられた1組以上の一対の支持部12と、を有する。フレーム26のそれぞれは、その長手方向に沿って複数の係合孔28を有する。フレーム26は、これらの係合孔28に差し込まれた一対の支持部12や第1係合部21の一対のブラケット31を支持することができる。
【0018】
一対の支持部12のそれぞれは、ブラケット状に形成されており、フレーム26に支持された状態で前方に突出している。一対の支持部12は、これらの間で移動棚板14をスライド可能に支持できる。移動棚板14の厚さの範囲内には、一対の支持部12に対して移動棚板14を移動方向Aにスライド移動可能にする図示しない一対のレールが設けられている。
【0019】
1以上の移動棚板14のそれぞれは、例えば、金属材料、例えば、スチール等の板金によって方形の平板状に形成されている。移動棚板14は、木製材料や樹脂材料によって方形の平板状に形成されていてもよい。移動棚板14は、例えば、金属材料等で形成された線材を折り曲げて平板状(網棚状)に形成してもよい。移動棚板14が網棚状に形成される場合には、移動棚板14は、その厚さ方向に貫通する貫通孔部を有していてもよい。
図3に示すように、移動棚板14は、棚本体13と対向する第1端部32と、第1端部32とは反対側の第2端部33と、を有する。
図3、
図5に示すように、移動棚板14は、棚本体13に近接した第1位置P1と棚本体13から離間した第2位置P2との間で移動可能に構成されている。
図3に示すように、移動棚板14の第2端部33は、上方に向けて立ち上がった起立片34と、下方に向けて延び移動棚板14を引き出す際に手指を掛けることが可能な引掛け部35と、を有する。
【0020】
図1に示すように、1以上の第1係合部21のそれぞれは、フレーム26の係合孔28に差し込み可能な一対のブラケット31と、一対のブラケット31間に渡された直線的に延びるバー36と、を有する。第1係合部21の一対のブラケット31およびバー36は、強磁性体、例えばスチールによって形成されている。本実施形態において、第1係合部21のバー36は、移動棚板14の全幅に亘って設けられているが、レール部材15に対応する位置にも設けられている。
【0021】
バー36は、細長い平板状に形成されている。バー36は、例えば、断面台形状に形成されている。バー36は、第1位置P1にある移動棚板14の上側で柵16の近傍に位置している。バー36の下面と移動棚板14の頂面との間には、0.1mm~2mm程度の隙間が設けられている。バー36の材質は、強磁性体(スチール)に限定されるものではない。後述する第2係合部23が例えば強磁性体(スチール)で構成される場合には、バー36は、例えば磁石(例えば、ネオジム磁石、その他の磁石)として形成されてもよい。
【0022】
ブラケット31のそれぞれは、フレーム26に支持された状態で前方に突出している。一対のブラケット31は、非対称形に形成されており、
図1で左側に示すブラケット31の縦壁の高さ寸法が右側に示すブラケット31の縦壁の高さ寸法よりも大きく形成されている。
図1で左側に示すブラケット31の縦壁の高さは、レール部材15の側板部37の高さと略同等に形成されている。なお、レール部材15の右端に設けられる側板部37は、
図1で左側に示すブラケット31の縦壁と同様の商品ガイド機能を有しているために、
図1で右側に示すブラケット31の縦壁を左側のブラケット31のように高く形成する必要はない。むしろ、
図1に示すように、右側に示すブラケット31の縦壁の高さを低くすることで、店舗管理者がレバー24の指掛部24Bにアクセスしやすくなるため、右側に示すブラケット31の縦壁の高さを低くすることが有用である。
【0023】
図2、
図3に示すように、レール部材15に対して直接商品17を載置できる。
図4に示すように、レール部材15は、1以上の押出し部材22の1以上のスライド片43と、移動部材20と、を移動棚板14の移動方向Aに沿ってガイドできる。
図2に示すように、レール部材15は、平坦な底板部41と、底板部41の中央に細長く形成された貫通孔部42と、底板部41の一つの辺部から起立した側板部37と、を有する。レール部材15の各部および柵16は、例えば合成樹脂材料によって一体に成形されている。柵16は、第2端部33に設けられている。柵16は、レール部材15の底板部41および側板部37と一体的に形成されている。貫通孔部42は、移動棚板14の移動方向Aに沿って細長く延びており、レール部材15を貫通している。
図2、
図3に示すように、柵16は、移動棚板14の起立片34に沿うように、レール部材15の端部(前端)から上方に向けて延びている。側板部37の上部には、レバー24がスライド可能に差し込まれる溝部37Aが設けられている。底板部41の上面には、商品17が直接載置される。
【0024】
図2から
図4に示すように、レバー24は、移動棚板14の移動方向Aに沿う方向に細長く延びる板状のレバー本体24Aと、レバー本体24Aの手前側の端部に設けられる指掛部24Bと、レバー本体24Aの棚本体13側の端部に設けられるフック部24Cと、を有する。
図13、
図14に示すように、レバー24は、移動棚板14の移動方向Aに沿って、移動棚板14上を移動可能に設けられている。レバー24は、側板部37内に収納された収納位置S1と、側板部37内から手前側に引き出された引出位置S2と、の間で移動させることができる。フック部24Cは、押出し部材22の背もたれ部44の裏面に当接して押出し部材22および商品17を個別に手前側(棚本体13から遠ざかる方向)に引き出すことができる。
【0025】
レバー24は、レバー本体24Aを収納位置S1に引き戻すためのばね部材を有していてもよい。ばね部材は、側板部37と、フック部24Cとの間に介在されることが好ましい。ばね部材は、引張コイルばねで構成されることが好ましい。或いは、ばね部材を用いることなく、店舗管理者が手動で収納位置S1と、引出位置S2との間で移動させてもよい。
【0026】
図2、
図3に示すように、1以上の押出し部材22のそれぞれは、貫通孔部42内に嵌る方形板状のスライド片43と、スライド片43から起立した背もたれ部44と、を有する。スライド片43は、移動棚板14の移動方向Aに沿って移動可能である。背もたれ部44は、移動棚板14の頂面に対して斜めになるように形成される。押出し部材22は、例えば、合成樹脂材料によって一体的に成形されている。背もたれ部44は、商品17に当接する当接部の一例である。
【0027】
図3、
図4に示すように、1以上の移動部材20は、方形板状に形成され、貫通孔部42内で移動可能に貫通孔部42内に嵌っている。移動部材20のそれぞれは、1以上の押出し部材22よりも棚本体13に近い位置で、移動棚板14の移動方向Aに沿って移動棚板14上を移動可能に設けられている。したがって、移動部材20は、押出し部材22とは独立して移動方向Aに沿って移動可能である。移動部材20は、
図3に示すように押出し部材22と当接したり、
図4に示すように押出し部材から分離したりすることが可能である。
【0028】
1以上の第2係合部23のそれぞれは、移動部材20の下部(下面)に設けられている。第2係合部23は、例えば磁石で構成されている。第2係合部23は、例えばネオジム磁石で構成されることが好ましい。第2係合部23の材質としては、磁石に限定されるものではない。第1係合部21のバー36が例えば磁石(例えば、ネオジム磁石)で構成される場合には、第2係合部23は、例えば強磁性体(スチール)として形成されてもよい。
【0029】
続いて、
図1~
図14を参照して、本実施形態の商品押出し陳列棚11を用いた商品押出し工程および商品補充・押出し工程について説明する。本実施形態の商品押出し陳列棚11は、自立しない商品17の前出しおよびそのような商品17の補充に好適に用いることができる。なお、
図1~
図14では、移動棚板14上にレール部材15、押出し部材22、移動部材30、および第2係合部23がそれぞれ1個のみ示されているが、これらが移動棚板14上に複数設置されていても当然によい。
【0030】
図1~
図3は、商店において商品17が買われ、移動棚板14上の商品17が少なくなっている状態を示している。この状態では、手前側の商品17が無くなり、移動棚板14の後側(第1端部32側)に商品17が残っている。また、
図1では、レール部材15、押出し部材22、移動部材20、および第2係合部23を1個のみ示しているが、実際の移動棚板14上には、複数のレール部材15、複数の押出し部材22、複数の移動部材20、および複数の第2係合部23が配置される場合が多い。また、
図11に示す商品押出し陳列棚11は、他の一般的な形態の陳列棚と同様に、補充対象となる移動棚板14(上から3段目の移動棚板14)の上下に他の移動棚板14が存在しているために、このままでは商品17の補充をすることができない。
【0031】
このような状況下で、店舗管理者は、商品17の補充に先立ち商品押出し工程を行う。まず、店舗管理者は、移動棚板14の引掛け部35に下側から手指をかけて、
図1、
図3に示される移動棚板14を棚本体13に近接した第1位置P1から、
図5に示される手前側に引き出された第2位置P2に引き出す。これによって、移動棚板14とともに、移動棚板14上の商品17、レール部材15、押出し部材22、移動部材20、および第2係合部23が手前側に引き出される。そして、手前側に引き出された移動部材20は、第2係合部23の磁石の磁力によって、
図5に示すように第1係合部21のバー36に係合する。
図4に示すように、移動部材20は、押出し部材22よりも棚本体13に近い位置に設けられている。このため、移動部材20(第2係合部23)が第1係合部21に係合されることで、押出し部材22の位置を第1係合部21よりも棚本体13とは反対側(手前側)の位置に規制できる。
【0032】
店舗管理者は、移動棚板14の第2端部33を押し込んで、移動棚板14を、
図5に示される第2位置P2から
図6に示される第1位置P1に戻すようにする。これに伴い、押出し部材22、移動部材20および第2係合部23は、第1係合部21のバー36の近傍に保持された状態を維持し、商品17を移動棚板14上の第1端部32寄りの位置から第2端部33寄りの位置に相対移動させる。移動棚板14が第1位置P1の近傍にまで移動すると、商品17の前側が柵16に当接して、柵16の押圧力(荷重)が商品17を経由して押出し部材22に伝えられる。これによって、第1係合部21のバー36に対する第2係合部23の係合状態が解除され、柵16の押圧力によって商品17とともに移動部材20および押出し部材22が移動棚板14上を第1端部32に向けて移動する。移動棚板14が第1位置P1まで移動することで、商品押出し工程(商品前出し工程)が完了する。この状態において、商品17の前側は、柵16に当接した状態を維持している。レール部材15上に商品17が複数残存している場合でも、最前列の商品17の前側は、柵16に当接した状態を維持する。また、移動棚板14上にレール部材15、押出し部材22、第2係合部23、商品17が、複数横並びに設置されている場合には、すべてのレール部材15上の商品17の前側が柵16に当接した状態を維持する(すなわち、商品17が前出しされている)。
【0033】
続いて、店舗管理者は、商品補充・押出し工程を行う。店舗管理者は、移動棚板14の引掛け部35に下側から手指をかけて、移動棚板14を
図6に示す第1位置P1から、
図7に示す第2位置P2に引き出す。その際、商品17の前側は、柵16に当接した状態(商品17が前出しされた状態)を維持する。押出し部材22は、商品17と当接した状態を維持する。このため、本実施形態の商品押出し陳列棚11では、2回目の移動棚板14の第2位置P2への引き出しに伴い、押出し部材22が商品17から分離することがない。このため、本実施形態では、押出し部材22の分離に伴い自立しない商品17が転倒してしまうような不具合を生じない。一方、移動部材20(第2係合部23)は、第1係合部21のバー36に再度係合することで、押出し部材22から分離して、第1係合部21の近傍に留まる。
【0034】
移動棚板14が第2位置P2に移動完了した状態で、店舗管理者は、
図8に示すように、例えば、一方の手で前出しされた自立しない商品17を倒れないように支えつつ、他方の手で押出し部材22を第1端部32に向けて移動させる。そして、
図8、
図12に示すように、前出しされている商品17と押出し部材22との間のスペースに、新たに商品17を補充することができる。移動棚板14上に複数のレール部材15、複数の押出し部材22、および複数の移動部材20(第2係合部23)がある場合には、それぞれのレール部材15上に対象の商品17を一斉に補充することができる。
【0035】
店舗管理者は、移動棚板14の第2端部33を押し込んで、移動棚板14を、
図8に示す第2位置P2から、
図9、
図10に示す第1位置P1に移動させる。この動作の途中で、押出し部材22は移動部材20に当接する。押出し部材22および移動部材20(第2係合部23)は、第1係合部21のバー36に係合された状態を維持する。押出し部材22は、商品17の後ろ側に当接して、移動棚板14上で商品17を第2端部33寄りの位置に相対移動させる。押出し部材22に押し出された商品17のうち、最前列の商品17の前側が柵16に当接した際には、商品17は柵16からの押圧力を受けることとなる。柵16から押圧力(荷重)を受けた商品17は、押出し部材22および移動部材20(第2係合部23)を第1係合部21のバー36から分離させる。これによって、移動棚板14の第2位P2への移動に伴い、商品17が柵16と押出し部材22との間で過度に押しつぶされてしまうことが防止される。移動棚板14が第1位置P1まで移動することで、商品補充工程が完了する。この状態において、最前列の商品17の前側は、柵16に当接した状態を維持している。また、レール部材15上のすべての商品17は、前側に押し出された(前出しされた)状態を維持している。移動棚板14上に複数のレール部材15、複数の押出し部材22、および複数の移動部材20(第2係合部23)がある場合には、それぞれのレール部材15上で商品17が前側に押し出された状態を維持している。
【0036】
店舗管理者は、上記のように、移動棚板14を第1位置P1と第2位置P2との間で2往復させることで、移動棚板14上のすべての商品17を一斉に前方に押出し(前出し)することができる。また、自立しない商品17の転倒を防止できる。
【0037】
また、店舗管理者は、以下に述べるように、特定の商品17についてのみ、個別に前方に押出し(前出し)することもできる。店舗管理者は、
図13に示すように、レバー24を手前側に引き出して、収納位置S1から引出位置S2に移動させることで、レール部材15上で押出し部材22を前方に移動させることができる。これによって、店舗管理者は、特定の商品17のみを前方に押し出すことができる。店舗管理者は、この押出し作業が完了した後に、
図14に示すように、再びレバー24を元の収納位置S1に戻して、個別的な商品17の押出し(前出し)を完了できる。側板部37とフック部24Cとの間にばね部材が介在される場合には、店舗管理者が指掛部24Bから指を離すことで、レバーが自動的に収納位置S1に戻される。
【0038】
本実施形態によれば、以下のことがいえる。商品押出し陳列棚11は、棚本体13と、棚本体13に支持され商品17を載置可能な移動棚板14であって、棚本体13に近接した第1位置P1と、棚本体13から離間した第2位置P2と、の間で移動可能な移動棚板14と、移動棚板14の棚本体13と対向する端部とは反対側の端部に設けられた柵16と、棚本体13に固定され、第1位置P1にある移動棚板14上で柵16の近傍に位置する1以上の第1係合部21と、移動棚板14の移動方向Aに沿って移動棚板14上を移動可能に設けられ、商品17に当接する当接部を有する1以上の押出し部材22と、1以上の押出し部材22よりも棚本体13に近い位置で、移動棚板14の移動方向に沿って移動棚板14上を移動可能に設けられ、1以上の押出し部材22と当接したり、1以上の押出し部材22から分離したり可能な1以上の移動部材20と、1以上の移動部材20に設けられ1以上の第1係合部21と係合可能な1以上の第2係合部23であって、移動棚板14が第2位置P2から第1位置P1に移動する際に柵16に当接した商品17からの荷重で第1係合部21との係合を解除可能な1以上の第2係合部23と、を備える。
【0039】
この構成によれば、移動棚板14を第1位置P1と第2位置P2との間で1往復させることで、第1係合部21に第2係合部23が係合し、移動棚板14が第2位置P2から第1位置P1に移動する際に、柵16に対して押出し部材22が近づくように相対移動し商品17を柵16に向けて押し出すことができる。それによって商品17が柵16に当接すると、柵16に当接した商品17からの荷重で第1係合部21と第2係合部23との係合が解除され、移動棚板14とともに商品17が第1位置P1に向けて後退する。これによって商品17を柵16に向けて押し出すことができる。
【0040】
商品は、例えば袋状のものであったり、例えばシート状であったりすることがあり、それらの多くは自立しないことが多い。上記構成によれば、商品17の押出しに加えて、再度、移動棚板14を第1位置P1と第2位置P2との間で往復させることで、商品17の補充・押出しを行うことができる。すなわち、2回目に移動棚板14を第2位置P2に移動させた際には、初回の往復と同様に、第1係合部21に第2係合部23が係合する。したがって、その際に、第2係合部23が設けられた移動部材20は、第1係合部21の近傍に保持される。一方、移動棚板14に残存する商品17は、すでに柵16に向けて押し出された状態となっている。押出し部材22も同様に、商品17とともにすでに柵16に向けて押し出された状態となっている。このため、本実施形態によれば、2回目に移動棚板20を第1位置P1から第2位置P2に移動させる際に、商品17に対して押出し部材22が退避することなく、押出し部材22を商品17に当接させたままの状態にすることができる。これによって、押出し部材22が退避することがなくなり、押出し部材22の退避に起因して自立しない商品17が転倒してしまうことを防止できる。なお、店舗管理者は、移動棚板14を2回目に第2位置P2にした際に、例えば、一方の手によって商品17を起立させた状態を維持したまま、他方の手によって押出し部材22を棚本体13に向けて押し下げることができる。これによって、商品17と押出し部材22の間に形成されたスペースに対して、商品17を新たに補充することができる。
【0041】
商品17の補充の完了後、店舗管理者が移動棚板14を第2位置P2から第1位置P1に戻すことで、第1係合部21と第2係合部23の係合と、その後の柵16に当接した商品17からの荷重による第1係合部21と第2係合部23との係合の解除とによって、柵16に対して押出し部材22が近づくように相対移動して、補充された商品17を含む複数の商品17を柵16に向けて押し出すことができる。以上によって、商品17の補充・押出しを行うことができる。
【0042】
以上のように、移動棚板14を往復させるという簡単な作業によって、商品17の押出し工程と、商品17の補充・押出し工程と、を実現できる。これらは、特に、移動棚板14上に、複数種類の商品17、複数の押出し部材22、複数の第2係合部23がある場合に、複数種類の商品17の押出しと、複数種類の商品17の補充・押出しと、を一括して実施できる点で極めて有用である。これによって、店舗管理者の管理負担を著しく低減できる。近年、特に、商店内に置かれる商品17の数が膨大になっている。このため、本実施形態の商品押出し陳列棚11のように、一括して複数種類の商品17を押出しし、且つ、補充・押出しをも一括して行える商品押出し陳列棚を導入することで、店舗管理の効率を著しく向上できる。また、店舗管理者の負担を低減できる。
【0043】
商品押出し陳列棚11は、商品17が直接載置される1以上のレール部材15を備え、1以上の押出し部材22のおよび1以上の移動部材20は、レール部材15にガイドされ、移動棚板14の移動方向Aに沿って移動可能であり、1以上の第1係合部21は、レール部材15に対応する位置に設けられる。
【0044】
この構成によれば、レール部材15によって商品17、押出し部材22および移動部材20を安定的に支持することができる。これによって、移動棚板14の移動方向Aと交差する方向に押出し部材22がずれてしまう不具合を防止できる。また、貫通孔部42を介して第1係合部21と第2係合部23とを係合させることができる。これらによって、押出し部材22によって商品17を安定的に押し出しできる構造を実現できる。
【0045】
第1係合部21は、強磁性体および磁石のいずれか一方であり、第2係合部23は、強磁性体および磁石のいずれか他方である。この構成によれば、第1係合部21と第2係合部23との間で係合する構成を磁石を用いた構造によって簡単かつ低コストで実現できる。
【0046】
移動棚板14の移動方向に沿って移動棚板14上を移動可能に設けられ、1以上の押出し部材22を棚本体13から遠ざかる方向に引き出し可能な1以上のレバー24を備える。この構成によれば、特定の商品17に関してのみ押出し(前出し)を行いたい場合に、個別的に行うことができる。これによって、さらにユーザフレンドリーな商品押出し陳列棚11を実現できる。
【0047】
以下の変形例では、主として上記実施形態と異なる部分について説明し、上記実施形態と共通する部分については、図示又は説明を省略する。
[第1変形例]
【0048】
図15、
図16を参照して、商品押出し陳列棚11の変形例について説明する。本変形例の商品押出し陳列棚11は、第1係合部21のバー36の構成と、第2係合部23の構成と、が上記実施形態と異なっている。
【0049】
バー36は、第1位置P1にある移動棚板14上で柵16の近傍に位置している。バー36は、細長い平板状に形成されている。バー36は、例えば合成樹脂材料によって形成されている。バー36は、例えば、断面台形状に形成されている。バー36は、その頂面で、貫通孔部42に対応する位置に、半球形に窪んだ凹部51を有する。バー36の材質としては、合成樹脂材料に限定されるものではなく、例えば金属材料等によって形成されていてもよい。なお、第1係合部21の凹部51の形状は、半球形に限られるものではなく、例えば、楕円半球形や四角錐等の錐形に窪んでいてもよい。
【0050】
第2係合部23は、移動部材20と一体的に成形されている。第2係合部23は、移動部材20の下面から下方に突出するように設けられている。第2係合部23は、移動部材20の下面から半球形状に突出した凸部52で構成される。第2係合部23は、第1係合部21の内側に嵌ることができるように、第1係合部21(凹部51)に対して相補的な形状を有する。なお、第2係合部23の凸部52の形状は、半球形に限られるものではなく、例えば、楕円半球形や四角錐等の錐形に突出していてもよい。
【0051】
続いて、
図15、
図16等を参照して、本変形例の商品押出し陳列棚11の作用について説明する。
【0052】
図1~
図3は、商店において商品17が買われ、移動棚板14上の商品17が少なくなっている状態を示している。この状態では、手前側の商品17が無くなり、移動棚板14の後側(第1端部32側)に商品17が残っている。
【0053】
この状況下で、店舗管理者は、商品補充に先立ち、商品押出し工程を行う。まず、店舗管理者は、移動棚板14の引掛け部35に下側から手指をかけて、
図1、
図3に示される移動棚板14を棚本体13に近接した第1位置P1から、
図5に示される手前側に引き出された第2位置P2に引き出す。これによって、移動棚板14とともに、移動棚板14上の商品17、レール部材15、押出し部材22、移動部材20、および第2係合部23が手前側に引き出される。そして、
図15、
図16に示すように、手前側に引き出された押出し部材22、移動部材20、および第2係合部23は、第1係合部21のバー36のスロープ36Aを乗り越えて、バー36の凹部51に嵌り込んで、第1係合部21と係合する。
【0054】
店舗管理者は、移動棚板14の第2端部33を押し込んで、移動棚板14を、
図5に示される第2位置P2から
図6に示される第1位置P1に戻すようにする。これに伴い、押出し部材22、移動部材30、および第2係合部23は、第1係合部21のバー36に保持された状態を維持し、商品17を移動棚板14上の第1端部32寄りの位置から第2端部33寄りの位置に相対移動させる。移動棚板14が第1位置P1の近傍にまで移動すると、商品17の前側が柵16に当接して、柵16の押圧力(荷重)が商品17を経由して押出し部材22に伝えられる。これによって、第1係合部21のバー36に対する押出し部材22、移動部材30、および第2係合部23の係合状態が解除され、
図15に示す状態となり、柵16の押圧力によって商品17とともに押出し部材22が移動棚板14上を第1端部32に向けて移動する。移動棚板14が第1位置P1まで移動することで、商品押出し工程(商品前出し工程)が完了する。この状態において、商品17の前側は、柵16に当接した状態を維持している。
【0055】
続いて、店舗管理者は、商品補充・押出し工程を行う。店舗管理者は、移動棚板14の引掛け部35に下側から手指をかけて、移動棚板14を
図6に示す第1位置P1から、
図7に示す第2位置P2に引き出す。その際、商品17の前側は、柵16に当接した状態(商品17が前出しされた状態)を維持する。押出し部材22は、商品17と当接した状態を維持する。このため、本実施形態の商品押出し陳列棚11では、2回目の移動棚板14の第2位置P2への引き出しに伴い、押出し部材22が商品17から分離することがない。このため、押出し部材22の分離に伴い自立しない商品17が転倒してしまうような不具合を生じない。一方、移動部材20(第2係合部23)は、第1係合部21のバー36に再度係合することで、押出し部材22から分離して、第1係合部21の近傍に留まる。
【0056】
移動棚板14が第2位置P2に移動完了した状態で、店舗管理者は、
図8に示すように、例えば、一方の手で前出しされた自立しない商品17を倒れないように支えつつ、他方の手で押出し部材22を第1端部32に向けて移動させる。そして、
図8、
図12に示すように、前出しされている商品17と押出し部材22との間のスペースに、新たに商品17を補充することができる。移動棚板14上に複数のレール部材15、複数の押出し部材22、および複数の移動部材20(第2係合部23)がある場合には、それぞれのレール部材15上に対象の商品17を一斉に補充することができる。
【0057】
店舗管理者は、移動棚板14の第2端部33を押し込んで、移動棚板14を、
図8に示す第2位置P2から、
図9、
図10に示す第1位置P1に移動させる。この動作の途中で、押出し部材22は移動部材20に当接する。押出し部材22、移動部材20、および第2係合部23は、
図16に示すように、第1係合部21のバー36に係合された状態を維持する。押出し部材22は、商品17の後ろ側に当接して、移動棚板14上で補充された商品17を含む複数の商品17を第2端部33寄りの位置に相対移動させる。押出し部材22に押出された商品17の前側が柵16に当接した際には、商品17は柵16からの押圧力を受けることとなる。柵16から押圧力を受けた商品17は、押出し部材22、移動部材20、および第2係合部23を、
図15に示すように第1係合部21のバー36から分離させる。移動棚板14が第1位置P1まで移動することで、商品補充工程が完了する。この状態において、商品17の前側は、柵16に当接した状態を維持している。また、レール部材15上のすべての商品17は、前側に押し出された(前出しされた)状態を維持している。
【0058】
店舗管理者は、上記のように、移動棚板14を第1位置P1と第2位置P2との間で2往復させることで、移動棚板14上のすべての商品17を一斉に前方に押出し(前出し)することができる。
【0059】
本変形例によれば、以下のことがいえる。レール部材15は、移動棚板14の移動方向に沿って細長く延びる貫通孔部42を有し、移動部材20は、貫通孔部内42に嵌っており、第1係合部21は、凹部51であり、第2係合部23は、第1係合部21と嵌合する凸部52である。この構成によれば、凹部51と凸部52を用いた簡単な構造によって、第1係合部21と第2係合部23とを実現できる。これによって、磁石を用いない構造とすることができ、上記実施形態に比してさらに低コスト化を実現できる。
【0060】
凹部51は、半球状に窪んでおり、凸部52は、半球状に突出している。この構成によれば、所定の負荷が掛けられた際に凹部51から凸部52が脱落できる機構を極めて簡単な構造で実現できる。
[第2変形例]
【0061】
図17、
図18を参照して、商品押出し陳列棚11の変形例について説明する。本変形例の商品押出し陳列棚11は、第1係合部21のバー36の構成と、第2係合部23の構成と、が第1変形例と異なっている。
【0062】
バー36は、第1位置P1にある移動棚板14上で柵16の近傍に位置している。バー36は、細長い平板状に形成されている。バー36は、例えば合成樹脂材料によって形成されている。バー36は、例えば、断面台形状に形成されている。バー36は、その頂面で、貫通孔部42に対応する位置に、半球形に突出した凸部52を有する。バー36の材質としては、合成樹脂材料に限定されるものではなく、例えば金属材料等によって形成されていてもよい。なお、第1係合部21の凸部52の形状は、半球形に限られるものではなく、例えば、楕円半球形や四角錐等の錐形に突出していてもよい。
【0063】
第2係合部23は、移動部材20に設けられている。第2係合部23は、移動部材20の下面から上向きに窪む凹部51として設けられている。第2係合部23は、移動部材20の下面から半球形状に窪んでいる。第2係合部23は、第1係合部21と相補的な形状を有する。なお、第2係合部23の凹部51の形状は、半球形に限られるものではなく、例えば、楕円半球形や四角錐等の錐形に窪んでいてもよい。
本変形例の作用は、第1変形例の作用と略同様である。
【0064】
本変形例によれば、以下のことがいえる。レール部材15は、移動棚板14の移動方向に沿って細長く延びる貫通孔部42を有し、移動部材20は、貫通孔部内42に嵌っており、第1係合部21は、凸部52であり、第2係合部23は、第1係合部21と嵌合する凹部51である。この構成によれば、凹部51と凸部52を用いた簡単な構造によって、第1係合部21と第2係合部23とを実現できる。これによって、磁石を用いない構造とすることができ、上記実施形態に比してさらに低コスト化を実現できる。
[第3変形例]
【0065】
図19、
図20を参照して、商品押出し陳列棚11の変形例について説明する。本変形例の商品押出し陳列棚11は、第1係合部21のバー36の構成と、第2係合部23の構成と、が上記実施形態と異なっている。
【0066】
バー36は、第1位置P1にある移動棚板14上で柵16の近傍に位置している。バー36は、細長い平板状で、断面長方形に形成されている。バー36は、例えば金属材料によって形成された基材36Bと、基材36Bの頂面でレール部材15に対応する位置に設けられた面ファスナーの一方36Cと、を有する。面ファスナーの一方36Cは、例えばループ面で構成される。バー36の基材36Bの材質としては、金属材料に限定されるものではなく、例えば合成樹脂材料等によって形成されていてもよい。バー36の頂面に設けられる面ファスナーの一方36Cは、例えばフック面であってもよい。バー36は、面ファスナーの一方36Cに代えて、ゲル状の粘着シートを有していてもよい。
【0067】
第2係合部23は、移動部材20の下面に設けられている。第2係合部23は、面ファスナーの他方であり、例えばフック面で構成される。第1係合部21の面ファスナーの一方36Cがフック面で構成される場合には、面ファスナーの他方である第2係合部23は、例えばループ面であってもよい。また、バー36が、面ファスナーの一方36Cに代えて、ゲル状の粘着シートを有している場合には、第2係合部23は、面ファスナーの他方に代えて、当該粘着シートに吸着されることが可能な平坦面で構成されてもよい。或いは、第2係合部23の面ファスナーの他方に代えてゲル状の粘着シートを設け、バー36の頂面に設けられる面ファスナーの一方36Cに代えて、当該ゲル状の粘着シートに吸着されることが可能な平坦面を設けてもよい。
【0068】
本変形例の作用は、バー36にスロープ36Aが設けられていないものの、第1変形例の作用と略同様の作用を奏する。
【0069】
本変形例によれば、以下のことがいえる。レール部材15は、移動棚板14の移動方向Aに沿って細長く延びる貫通孔部42を有し、スライド片43は、貫通孔部42内に嵌っており、第1係合部21は、面ファスナーの一方であり、第2係合部23は、第1係合部21と係合する面ファスナーの他方である。これによって、磁石を用いない構造とすることができ、上記実施形態に比してさらに低コスト化を実現できる。
【0070】
上記した実施形態は、種々の置き換えや変形を加えて実施できる。また、上記実施形態および上記変形例を適宜に組み合わせて発明を実現することも当然にできる。
【符号の説明】
【0071】
11 商品押出し陳列棚
12 支持部
13 棚本体
14 移動棚板
15 レール部材
16 柵
17 商品
20 移動部材
21 第1係合部
22 押出し部材
23 第2係合部
24 レバー
42 貫通孔部
43 スライド片
51 凹部
52 凸部
P1 第1位置
P2 第2位置
A 移動方向