(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】グリル
(51)【国際特許分類】
A47J 37/06 20060101AFI20240830BHJP
F24C 3/02 20210101ALI20240830BHJP
F24C 15/20 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
A47J37/06 366
F24C3/02 R
F24C3/02 Q
F24C3/02 Z
F24C15/20 C
(21)【出願番号】P 2021053695
(22)【出願日】2021-03-26
【審査請求日】2023-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100174344
【氏名又は名称】安井 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】中村 直司
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-097568(JP,A)
【文献】特開2017-221541(JP,A)
【文献】特開2019-010130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/06
F24C 3/02
F24C 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食材を収容するグリル庫と、
前記グリル庫内に設けられ、前記食材を加熱するグリルバーナと、
前記グリル庫の後部から上方に延設され、前記後部に設けられた排気用開口から流れる前記グリル庫内からの燃焼排気を上方へ導く排気ダクトと、
前記排気ダクト内の下部に設けられ、前記燃焼排気に含まれる前記食材から発生した油煙と臭気成分を加熱して減少させるアフターバーナ部と
を備えたグリルにおいて、
前記アフターバーナ部は、前記排気ダクト内の下部で且つ前記排気用開口の後方に設けられ、前記排気用開口から前記排気ダクト内に流れる前記燃焼排気の流れに対して火炎を形成する炎口面を備え、
前記排気ダクト内には、前記炎口面上を通過する前記燃焼排気の流れを上方に規制する整流板が設けられ
、
前記排気ダクト内において、前記アフターバーナ部の前記燃焼排気が流れる方向の下流側には、前記排気ダクトから外部への火炎の溢れを防止するフレームトラップが設けられ、
前記フレームトラップは、複数の孔部を有する板状の多孔板部を、互いに隣接する多孔板部同士が互いに対向するように且つ所定間隔隔離するように配置して形成され、
前記整流板は、前記炎口面の後端側から後方に対して斜め上方に傾斜して設けられ、
前記整流板を仮想的に後側に延ばした延長線は、前記フレームトラップの後部に向けられていること
を特徴とするグリル。
【請求項2】
前記排気ダクト内において、前記フレームトラップは、前記燃焼排気の流れに相対するように前側よりも後側が低くなるように傾斜して設けられ、
前記整流板は、前記炎口面の後端側から、前記フレームトラップの前後方向中央部から仮想的に垂下する垂線と重ならない位置まで後方に対して斜め上方に傾斜して延びること
を特徴とする請求項
1に記載のグリル。
【請求項3】
前記整流板は、前記炎口面の後端側から、前記炎口面と前記フレームトラップの間の半分の高さ位置を超えない高さ位置まで後方に対して斜め上方に傾斜して延びること
を特徴とする請求項
1に記載のグリル。
【請求項4】
前記排気ダクト内の上部には、前記排気ダクトの上部から侵入する煮汁を受ける為の受け部が左右方向に延びるようにして設けられ、
前記整流板は、前記炎口面の後端側から、前記受け部から仮想的に垂下する垂線と重ならない位置まで後方に対して斜め上方に傾斜して延びること
を特徴とする請求項1に記載のグリル。
【請求項5】
食材を収容するグリル庫と、
前記グリル庫内に設けられ、前記食材を加熱するグリルバーナと、
前記グリル庫の後部から上方に延設され、前記後部に設けられた排気用開口から流れる前記グリル庫内からの燃焼排気を上方へ導く排気ダクトと、
前記排気ダクト内の下部に設けられ、前記燃焼排気に含まれる前記食材から発生した油煙と臭気成分を加熱して減少させるアフターバーナ部と
を備えたグリルにおいて、
前記アフターバーナ部は、前記排気ダクト内の下部で且つ前記排気用開口の後方に設けられ、前記排気用開口から前記排気ダクト内に流れる前記燃焼排気の流れに対して火炎を形成する炎口面を備え、
前記排気ダクト内には、前記炎口面上を通過する前記燃焼排気の流れを上方に規制する整流板が設けられ
、
前記排気ダクト内の上部には、前記排気ダクトの上部から侵入する煮汁を受ける為の受け部が左右方向に延びるようにして設けられ、
前記整流板は、前記炎口面の後端側から、前記受け部から仮想的に垂下する垂線と重ならない位置まで後方に対して斜め上方に傾斜して延びること
を特徴とするグリル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリルに関する。
【背景技術】
【0002】
食材を収容するグリル庫と、グリル庫内の食材を加熱するグリルバーナと、食材から発生した油煙や臭気成分をグリル庫奥部の排気用開口からグリル本体の上方へ導く排気通路と、排気通路に配設され且つ前記油煙や臭気成分を加熱焼失するアフターバーナとを備えたグリルが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
排気通路内において燃焼排気の流れが速いと、アフターバーナの火炎が燃焼排気の流れに押されて倒れてしまい、燃焼排気に流れに対して火炎が比較的浅い角度で接触することになる。この場合、燃焼排気に対して火炎が十分に接触できないことから、燃焼排気中の油煙や臭気成分がアフターバーナによって十分加熱されず、減臭減煙効果が低減する可能性があった。
【0005】
本発明の目的は、アフターバーナ部の減臭減煙効果を向上できるグリルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1のグリルは、食材を収容するグリル庫と、前記グリル庫内に設けられ、前記食材を加熱するグリルバーナと、前記グリル庫の後部から上方に延設され、前記後部に設けられた排気用開口から流れる前記グリル庫内からの燃焼排気を上方へ導く排気ダクトと、前記排気ダクト内の下部に設けられ、前記燃焼排気に含まれる前記食材から発生した油煙と臭気成分を加熱して減少させるアフターバーナ部とを備えたグリルにおいて、前記アフターバーナ部は、前記排気ダクト内の下部で且つ前記排気用開口の後方に設けられ、前記排気用開口から前記排気ダクト内に流れる前記燃焼排気の流れに対して火炎を形成する炎口面を備え、前記排気ダクト内には、前記炎口面上を通過する前記燃焼排気の流れを上方に規制する整流板が設けられ、前記排気ダクト内において、前記アフターバーナ部の前記燃焼排気が流れる方向の下流側には、前記排気ダクトから外部への火炎の溢れを防止するフレームトラップが設けられ、前記フレームトラップは、複数の孔部を有する板状の多孔板部を、互いに隣接する多孔板部同士が互いに対向するように且つ所定間隔隔離するように配置して形成され、前記整流板は、前記炎口面の後端側から後方に対して斜め上方に傾斜して設けられ、前記整流板を仮想的に後側に延ばした延長線は、前記フレームトラップの後部に向けられていることを特徴とする。
【0007】
【0008】
【0009】
請求項2のグリルの前記排気ダクト内において、前記フレームトラップは、前記燃焼排気の流れに相対するように前側よりも後側が低くなるように傾斜して設けられ、前記整流板は、前記炎口面の後端側から、前記フレームトラップの前後方向中央部から仮想的に垂下する垂線と重ならない位置まで後方に対して斜め上方に傾斜して延びてもよい。
【0010】
請求項3のグリルの前記整流板は、前記炎口面の後端側から、前記炎口面と前記フレームトラップの間の半分の高さ位置を超えない高さ位置まで後方に対して斜め上方に傾斜して延びてもよい。
【0011】
請求項4のグリルの前記排気ダクト内の上部には、前記排気ダクトの上部から侵入する煮汁を受ける為の受け部が左右方向に延びるようにして設けられ、前記整流板は、前記炎口面の後端側から、前記受け部から仮想的に垂下する垂線と重ならない位置まで後方に対して斜め上方に傾斜して延びてもよい。
請求項5のグリルは、食材を収容するグリル庫と、前記グリル庫内に設けられ、前記食材を加熱するグリルバーナと、前記グリル庫の後部から上方に延設され、前記後部に設けられた排気用開口から流れる前記グリル庫内からの燃焼排気を上方へ導く排気ダクトと、前記排気ダクト内の下部に設けられ、前記燃焼排気に含まれる前記食材から発生した油煙と臭気成分を加熱して減少させるアフターバーナ部とを備えたグリルにおいて、前記アフターバーナ部は、前記排気ダクト内の下部で且つ前記排気用開口の後方に設けられ、前記排気用開口から前記排気ダクト内に流れる前記燃焼排気の流れに対して火炎を形成する炎口面を備え、前記排気ダクト内には、前記炎口面上を通過する前記燃焼排気の流れを上方に規制する整流板が設けられ、前記排気ダクト内の上部には、前記排気ダクトの上部から侵入する煮汁を受ける為の受け部が左右方向に延びるようにして設けられ、前記整流板は、前記炎口面の後端側から、前記受け部から仮想的に垂下する垂線と重ならない位置まで後方に対して斜め上方に傾斜して延びることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1のグリルによれば、炎口面上を通過する燃焼排気の流れが整流板によって上方に規制される。排気通路内の下部において、炎口面上に形成される火炎は燃焼排気の流れによって押されるが、整流板の流れの規制により燃焼排気が炎口面側に押し戻される。これにより、炎口面上に形成される火炎が起き上がるので、燃焼排気に流れに向けて火炎を良好に形成できる。従って、グリルは、炎口面上を通過する燃焼排気中の油煙と臭気成分を十分に焼き切ることができるので、減臭減煙効果を向上できる。
【0013】
さらに、フレームトラップの排気抵抗により、燃焼排気がアフターバーナの炎口面の上空で滞留しながら排気ダクトから外部に排出される。炎口面に対して燃焼排気が接触する時間が長くなるので、グリルは減臭減煙効果をさらに高めることができる。
【0014】
さらに、整流板の延長線は、フレームトラップの後部に向けられているので、炎口面上を通過した燃焼排気をフレームトラップに向けて良好に流すことができる。
【0015】
請求項2のグリルによれば、フレームトラップは前側よりも後側が低くなるように傾斜して設けられる。このことから、排気ダクト内に上から侵入した煮汁がフレームトラップに付着すると、煮汁はフレームトラップを後方に伝って後部から落下する。整流板は、フレームトラップの前後方向中央部から仮想的に垂下する垂線と重ならない位置まで延びるので、煮汁が整流板の上面に落下して、アフターバーナの炎口面にかかるのを防止できる。これにより、炎口面の各炎口に煮汁が付着して詰まったり、腐食するのを防止できる。
【0016】
請求項3のグリルによれば、炎口面とフレームトラップの間の上流側において、燃焼排気の流れを整流板でフレームトラップ側に規制すると共に、下流側において、整流板が配置されていないことで、燃焼排気を拡散させる逃がし空間を設けることができる。整流板に沿って流れる燃焼排気の一部が逃がし空間に流れることで、フレームトラップの排気抵抗が高くなり過ぎるのを防止できる。従って、グリルは、排気ダクトの排気性能を保持しつつ、アフターバーナによる減臭減煙効果を向上できる。排気ダクトの排気性能を保持できるので、グリル庫内のグリルバーナの燃焼性能も保持できる。
【0017】
請求項4,5のグリルによれば、受け部の下方に整流板が配置されていないので、煮汁が整流板の上面に滴下して、アフターバーナの炎口面にかかるのを防止できる。これにより、炎口面の各炎口に煮汁が付着して詰まったり、腐食するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図5】底部材40の上面に固定されたアフターバーナユニット5の周囲を斜め後方から見下ろした斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を説明する。以下に記載される装置構成などは、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明する為に用いられるものである。
【0020】
図1~
図4を参照し、グリル装置1の構成を説明する。グリル装置1は、図示しないコンロの筐体内に取り付けられる。
図1,
図2に示すように、グリル装置1は、グリル庫2、グリル扉3、排気ダクト4等を備える。
【0021】
グリル庫2は略直方体の箱状に形成され、上壁部11、右壁部12、左壁部13(
図2参照)、底壁部14を備える。グリル庫2の前側には、正面視矩形状のグリル開口部(図示略)が設けられる。上壁部11には上火バーナ21が設けられる。上火バーナ21はグリル庫2内に向けて火炎を形成する。右壁部12内面の略中段には、下火バーナ22の右炎口部(図示略)が設けられる。左壁部13内面の略中段には、下火バーナ22の左炎口部24が設けられる。右炎口部と左炎口部24は前後方向に延び、同一高さ位置で互いに対向する。右炎口部と左炎口部24は、グリル庫2内に向けて火炎を形成する。
【0022】
グリル扉3はグリル庫2前側に設けられ、グリル開口部を開閉する。グリル扉3の背面下部には、支持枠16(
図2参照)が固定される。支持枠16は、焼き網(図示略)と受皿17を着脱可能に支持する。支持枠16は、グリル庫2の底壁部14上面の左右両側に設けられたレール機構(図示略)により前後方向に移動可能に支持される。それ故、グリル扉3は支持枠16と一体して手前側に引き出し可能であり、焼き網と受皿17をグリル庫2外に同時に取り出せる。
【0023】
排気ダクト4はグリル庫2の後部から後側で且つ斜め上方に傾斜して延びる。排気ダクト4の内側は、排気ダクト4の前側に位置する後述の排気用開口38(
図3,
図4参照)を介してグリル庫2内と連通する。排気ダクト4の上部には、グリル排気口39が設けられる。グリル排気口39は上方に向けて開口し、平面視左右方向に長い略矩形状に形成される。グリル庫2内からの燃焼排気は排気ダクト4内を上方に流れ、グリル排気口39から外部へ排出される。
【0024】
排気ダクト4の構造を説明する。
図2~
図4に示すように、排気ダクト4は、ダクト本体30と底部材40を備える。ダクト本体30は、上部と底部が開口する平面視左右方向に長い箱状に形成される。底部材40は、平面視左右方向に長い略矩形状に形成され、ダクト本体30の開口する底部に下側から閉塞するように固定されることで、排気ダクト4の底部を形成する。
【0025】
ダクト本体30は、前板部31、上板部32、右板部33、左板部34、背板部35、前方突出部36、仕切壁37を備える。前板部31は、正面視略逆U字状に形成される。上板部32は、前板部31の上端部から後側で且つ斜め上方に傾斜して延び、平面視左右方向に長い略矩形状に形成される。上板部32の上端部は上方に屈曲される。上板部32の内面で且つ上端部よりもやや下側には、受け部材120が固定される。
【0026】
受け部材120は断面略U字状に形成され、固定部121、上側突出部122、下側突出部123を備える。固定部121は左右方向に延びる略矩形状に形成され、上板部32の内面に密着した状態で3つのネジ97で固定される。上側突出部122と下側突出部123は、固定部121の上端部と下端部から夫々、後述の背板部35の内面に向かって突出する。上側突出部122と下側突出部123は互いに平行である。受け部材120は、グリル排気口39の上板部32の内面を伝って流れ落ちる煮汁を受け止めて落下させる。
【0027】
背板部35は、下端部から上端部に向かって後側に傾斜しながら延び、背面視左右方向に長い略矩形状に形成される。背板部35の上端部は上方に屈曲される。右板部33は、前板部31、上板部32、背板部35の夫々の右端部の間を右側方から閉塞するように設けられる。右板部33は、右側面視上方に向かうに従って前後方向の幅が狭くなる先細り状に形成される。左板部34は、前板部31、上板部32、背板部35の夫々の左端部の間を左側方から閉塞するように設けられる。左板部34は、左側面視上方に向かうに従って前後方向の幅が狭くなる先細り状に形成される。
【0028】
上板部32、背板部35、右板部33、左板部34の夫々の上端部に取り囲まれる内側に、平面視略矩形状のグリル排気口39が形成される。上板部32、背板部35、右板部33、左板部34に囲まれて形成される燃焼排気の通路は、下方から上方に向かうに従って前後方向の幅が狭くなる先細り状に形成される。
【0029】
前方突出部36は、前板部31の正面視略逆U字状の下端部から前方に突出して設けられ、下半分が切断された略半筒状に形成される。仕切壁37は、前方突出部36の前端部に沿って設けられ、正面視略逆U字状に形成される。仕切壁37は、グリル庫2内と排気ダクト4内とを仕切る壁である。仕切壁37の略逆U字状の下端部の内側には、排気用開口38(
図3~
図5参照)が形成される。排気用開口38は、正面視左右方向に長い略矩形状に形成される。
【0030】
排気ダクト4内の構造を説明する。
図3,
図4に示すように、排気ダクト4内において、燃焼排気が流れる方向の上流側の下部には、アフターバーナユニット5が設けられる。アフターバーナユニット5は、アフターバーナ50とバーナ支持部60を備える。アフターバーナ50は炎口面55を上面に備える。炎口面55は多数の炎口を備え、上方に向けて火炎を形成する。
【0031】
図3~
図5に示すように、バーナ支持部60は、平面視左右両側に延びる略矩形枠状に形成され、その両端部が底部材40の上面の左右両側に固定される。バーナ支持部60は、開口部61、後側リブ62、前側リブ63を備える。開口部61はバーナ支持部60の中央に設けられ、平面視左右方向に長い略矩形状に形成される。後側リブ62は、開口部61の後縁部から上方に突出して設けられる。前側リブ63は、開口部61の前縁部から上方に突出して設けられる。バーナ支持部60の上面において、開口部61の右側にはイグナイタ電極27が固定され、開口部61の左側には失火センサ28が固定される。バーナ支持部60は、アフターバーナ50の上面に固定される。
【0032】
アフターバーナ50の炎口面55は、バーナ支持部60の開口部61に位置決めされ、上方に向けて露出する。炎口面55の右側直上にイグナイタ電極27が配置され、左側直上に失火センサ28が配置される(
図5参照)。
図3,
図4に示すように、炎口面55は、排気ダクト4内の下部において、前側から後側にかけて斜め上方に傾斜し、燃焼排気の流れに沿うように配置される。アフターバーナ50は、燃焼排気中に含まれる食材から発生した油煙や臭気成分を焼き切ることで減少させる。
【0033】
図2~
図4に示すように、アフターバーナユニット5の下流側で、且つ排気ダクト4の高さ方向略中段には、フレームトラップ110が取り付けられる。フレームトラップ110は消炎部材であり、例えばステンレス等からなるラス網等の2枚の多孔板の両端を曲げ加工し、それを上下方向に向かい合わせて直方体の筒状に形成したものである。フレームトラップ110は、前端側より後端側が低くなるように傾斜し、燃焼排気の流れる方向に対向するように取り付けられる。燃焼排気はフレームトラップ110の網を通り抜け、グリル排気口39から外部に排出される。
【0034】
アフターバーナ50の上方には、整流部材57が設けられる。
図5に示すように、整流部材57は、整流板571、右支持部572、左支持部573、右固定部577、左固定部(図示略)を備え、背面視上方に向けて開口する略コの字状に形成される。整流部材57は、例えば一枚の金属板を屈曲して作製してもよい。
【0035】
整流板571は、整流部材57の中央に設けられ、平面視左右方向に長い略矩形状に形成される。整流板571の前端部には、下方に屈曲する前側リブ575が設けられる。整流板571の後端部には、斜め下方に屈曲する後側リブ576が設けられる。右支持部572は、整流板571の右端部から略垂直上方に立設され、右側面視略三角形状に形成される。左支持部573は、整流板571の左端部から略垂直上方に立設され、左側面視略三角形状に形成される。右固定部577は、右支持部572の前方に向けて対向する前端部から右側方に突出し、背面視前後方向に延びる略矩形状に形成される。左固定部は、左支持部573の前方に向けて対向する前端部から左側方に突出し、背面視前後方向に延びる略矩形状に形成される。
【0036】
整流部材57の開口する内側が、排気ダクト4の仕切壁37の背面に向けられた状態で、右固定部577と左固定部がネジ98で仕切壁37の背面に固定される。これにより、整流板571は、右支持部572と左支持部によって、アフターバーナ50の炎口面55の下流側に支持される。整流板571の前側リブ575は、バーナ支持部60の後側リブ62の背面に接触して配置される。整流板571は、炎口面55の後端部付近からフレームトラップ110に向けて斜め上方に傾斜する。具体的に言うと、整流板571を仮想的に後側に延ばした延長線Eは、フレームトラップ110の下面の後側の角部に向けられている。整流板571は、アフターバーナ50の炎口面55上を通過した燃焼排気をフレームトラップ110に向けて案内する。
【0037】
排気ダクト4内において、整流板571とフレームトラップ110の間の上側には、ガイド板58が設けられる。ガイド板58は、前端側から後端側にかけて斜め上方に傾斜し、その後端部は、フレームトラップ110の前端部に配置される。ガイド板58は、グリル庫2内から排気ダクト4の上側を流れる燃焼排気をフレームトラップ110に向けて案内する。
【0038】
アフターバーナユニット5の中央部分の下側には、煮汁用通路200が設けられる。煮汁用通路200は、アフターバーナユニット5の中央部分の下側を、底部材40の上面に沿って前方に延び、グリル庫2内の背面下部に設けられた出口201と接続する。煮汁用通路200は、グリル排気口39から侵入して排気ダクト4内の背面を伝って流れ落ちる煮汁をアフターバーナユニット5の下側を通過させ、グリル庫2内に案内する。煮汁は出口201から受皿17に落下する。ユーザは、受皿17をグリル庫2外に引き出すことで、煮汁を容易に回収できる。
【0039】
図4を参照し、整流板571の機能を説明する。整流板571は、炎口面55に対して前側よりも後側が高くなるように傾斜して配置される。仮に整流板571を設けない場合、排気用開口38から排気ダクト4内に流れる燃焼排気は炎口面55に沿ってそのまま後方に流れてしまう。この場合、炎口面55に形成される多数の火炎は、燃焼排気の流れによって後方に倒れてしまい、燃焼排気に対して火炎が十分に接触できないことから、燃焼排気中の油煙と臭気成分を十分に加熱できない。本実施形態では、炎口面55の下流側に整流板571を設けたことで、炎口面55上を通過する燃焼排気の流れを斜め上方に規制する。これにより、燃焼排気は炎口面55側に押し戻されるので、炎口面55上に形成される多数の火炎は、後方に寝た状態から起き上がり、炎口面55に対して直交する方向に形成される。従って、炎口面55上を通過する燃焼排気中の油煙と臭気成分を十分に加熱できるので、減臭減煙効果を向上できる。
【0040】
また、整流板571の下流側にフレームトラップ110が設けられるので、フレームトラップ110の排気抵抗により、油煙が炎口面55上空でさらに滞留しつつ排気ダクト4内を上方に流れ、グリル排気口39から外部に排出される(
図4に示す燃焼排気の流れを参照)。油煙や臭気成分を焼き切る炎口面55に対して油煙や臭気成分が接触する時間が長くなるので、減臭減煙効果をさらに高めることができる。
【0041】
また、整流板571を仮想的に後側に延ばした延長線Eは、フレームトラップ110の下面の後側の角部に向けられているので、炎口面55上を通過した燃焼排気を拡散させることなく、フレームトラップ110に向けて効果的に流すことができる。これにより、排気ダクト4における燃焼排気の排気性能を向上できる。
【0042】
図4を参照し、整流板571の後端部の位置とその効果を説明する。炎口面55の最上部は後端である。フレームトラップ110の最下部は下面後側の角部である。炎口面55の後端位置を高さの基準とした場合、フレームトラップ110の下面後側の角部の高さはH1、その半分の高さはH2である。整流板571の後端部の高さをH3とした場合、高さH3が高さH2よりも低くなるように、整流板571の後端部の位置が設定される。
【0043】
このような位置関係に規定することで、グリル装置1は、炎口面55とフレームトラップ110の間の上流側において、燃焼排気の流れを整流板571で斜め上方向に偏流させてフレームトラップ110側に規制すると共に、下流側において、整流板571が配置されていないことで、背板部35側に逃がし空間100を設けることができる。これにより、整流板571を通過した燃焼排気の一部が逃がし空間100に拡散して流れることで、排気ダクト4内全体として、フレームトラップ110の排気抵抗が高くなり過ぎるのを防止できる。従って、グリル装置1は、排気ダクト4の排気性能を保持しつつ、アフターバーナ50による減臭減煙効果を向上できる。排気ダクト4の排気性能を保持できるので、グリル庫2内のグリルバーナ(上火バーナ21、下火バーナ22)の燃焼性能も保持できる。
【0044】
また、整流板571は、炎口面55の後端側から、フレームトラップ110の前後方向中央部から仮想的に垂下する垂線P1(
図4参照)と重ならない位置まで後方に対して斜め上方に傾斜して延びる。例えば、グリル排気口39から排気ダクト4内に煮汁が侵入し、フレームトラップ110に付着した場合を想定する。フレームトラップ110は後端側が低くなるように傾斜して配置されていることから、煮汁はフレームトラップ110の下面を後側の角部に向かって流れる途中で落下するか、若しくは後側の角部から背板部35の内面を伝って流れ落ちる。何れの場合においても、フレームトラップ110の前後方向中央部から後端側の下方には、整流板571が配置されていないので、煮汁は整流板571の上面に落下することはなく、煮汁用通路200を通過してグリル庫2内の出口201から受皿17上に排出される。従って、グリル装置1は、煮汁が整流板571の上面に落下して、アフターバーナ50の炎口面55にかかるのを防止できる。
【0045】
また、排気ダクト4の上板部32の内面上部には、受け部材120が固定されているが、受け部材120に付着した煮汁は、受け部材120の最下部に位置する下側突出部123の先端から落下し、フレームトラップ110上に付着する。フレームトラップ110に付着した煮汁は、上記の通り、フレームトラップ110の下面を後側の角部に向かって流れる途中で落下するか、そのまま背板部35の内面を伝って流れ落ちる。従って、煮汁は整流板571の上面に落下することはなく、煮汁用通路200を通過してグリル庫2内の出口201から受皿17上に排出される。
【0046】
なお、受け部材120の最下部に位置する下側突出部123の先端から仮想的に垂下する垂線P2(
図4参照)に対して、整流板571は重ならないので、仮にフレームトラップ110が取り付けられていない場合に、受け部材120の下側突出部123の先端から煮汁が落下したとしても、整流板571の上面に落下することもない。従って、グリル装置1は、煮汁が整流板571の上面に落下して、アフターバーナ50の炎口面55にかかるのを防止できる。
【0047】
以上説明したように、本実施形態のグリル装置1は、グリル庫2、上火バーナ21、下火バーナ22、排気ダクト4、アフターバーナユニット5を備える。グリル庫2は食材を収容する。上火バーナ21と下火バーナ22はグリルバーナであって、グリル庫2内に設けられ、食材を加熱する。排気ダクト4は、グリル庫2の後部から上方に延設され、排気用開口38から流れるグリル庫2内からの燃焼排気を上方へ導く。アフターバーナユニット5は、排気ダクト4内の下部に設けられる。アフターバーナユニット5は炎口面55を備え、排気用開口38から排気ダクト4内に流れる燃焼排気の流れに対して火炎を形成する。
【0048】
排気ダクト4内には、炎口面55上を通過する燃焼排気の流れを上方に規制する整流板571が設けられる。炎口面55上に形成された火炎は、燃焼排気の流れる方向に押されるが、炎口面55上を通過する燃焼排気の流れが整流板571によって上方に規制されることから、燃焼排気は炎口面55側に一旦押し戻される。これにより、炎口面55上に形成される火炎は、燃焼排気の流れとは反対側に起き上がるので、燃焼排気に流れに対して火炎を形成できる。従って、炎口面55上を通過する燃焼排気中の油煙と臭気成分を十分に焼き切ることができるので、減臭減煙効果を向上できる。
【0049】
上記説明において、グリル装置1は本発明の「グリル」の一例である。アフターバーナユニット5は本発明の「アフターバーナ部」の一例である。受け部材120は本発明の「受け部」の一例である。
【0050】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。上記実施形態のグリル装置1は、コンロの筐体内に設置されるものであるが、それ単体のグリル装置であってもよい。グリル装置1は、本発明の「グリルバーナ」としての上火バーナ21と下火バーナ22を備えるが、上火バーナ21及び下火バーナ22の何れか一方のみを備えていてもよい。排気ダクト4内において、フレームトラップ110、受け部材120は省略してもよい。
【0051】
整流板571は、略コの字型の整流部材57の一部分であって、排気ダクト4の仕切壁37の背面に右固定部577と左固定部を固定することで、排気ダクト4内の炎口面55の下流側に傾斜して支持されるものであるが、これ以外の方法で整流板571を支持するようにしてもよい。
【0052】
整流板571を仮想的に後側に延ばした延長線Eは、フレームトラップ110の下面の後側の角部であるが、整流板571の傾斜角度は適宜変えてもよい。炎口面55に形成される火炎を燃焼排気に向けて立たせるには、炎口面55に対して後端側が高くなるよう傾斜するのがよい。
【0053】
アフターバーナ50は、バーナ支持部60を固定することでアフターバーナユニット5を構成し、バーナ支持部60を排気ダクト4の底部材40の底面に固定することで、アフターバーナ50を排気ダクト4内の下部に支持するが、これ以外の方法で排気ダクト4内に支持してもよく、例えば、アフターバーナ50を排気ダクト4内に直接固定してもよい。
【0054】
アフターバーナ50の炎口面55は、前側から後側にかけて斜め上方に傾斜するように配置されるが、水平に配置してもよい。
【0055】
1 グリル装置
2 グリル庫
4 排気ダクト
5 アフターバーナユニット
21 上火バーナ
22 下火バーナ
38 排気用開口
50 アフターバーナ
55 炎口面
110 フレームトラップ
120 受け部材
571 整流板
E 延長線