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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】釣り用遊動式仕掛け
(51)【国際特許分類】
   A01K 85/00 20060101AFI20240830BHJP
   A01K 95/00 20060101ALI20240830BHJP
   A01K 95/02 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
A01K85/00 C
A01K85/00 B
A01K95/00 Z
A01K95/02
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021116316
(22)【出願日】2021-07-14
(65)【公開番号】P2023012707
(43)【公開日】2023-01-26
【審査請求日】2024-05-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】322013041
【氏名又は名称】株式会社ジャッカル
(74)【代理人】
【識別番号】100109911
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義仁
(74)【代理人】
【識別番号】100071168
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 久義
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 健市
(72)【発明者】
【氏名】樋口 祐太朗
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特許第6691344(JP,B2)
【文献】特許第6534360(JP,B2)
【文献】特開2016-140355(JP,A)
【文献】登録実用新案第3232649(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 83/00-85/08
A01K 91/00-95/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣糸挿通孔を有する錘と、釣針を有する遊動体とを具備し、
前記釣糸挿通孔にスライド自在に挿通された釣糸の先端部に前記遊動体が接続された釣り用遊動式仕掛けであって、
前記錘が上下方向に延びた形状のものであり、前記錘の上端部に前記釣糸挿通孔が設けられており、
前記釣糸に前記錘及び前記遊動体が吊り下げられた状態において、前記錘の横側に前記釣針が位置しており、
前記錘は、上下方向に延びた形状の錘本体と、前記錘本体とは別体に形成されるとともに前記錘本体を前記釣糸に接続する接続具と、前記錘本体と前記接続具を分離可能に連結する連結手段とを備えるとともに、
前記接続具に前記釣糸挿通孔が設けられている釣り用遊動式仕掛け。
【請求項2】
前記連結手段は、アイと、前記アイに係脱可能に係止するフックと、前記フックの開口を閉鎖する閉鎖部材とを備えており、
前記錘本体の上端部に前記アイ及び前記フックのうち一方が設けられるとともに、前記接続具に他方が設けられ、
前記アイに前記フックが係止することにより、前記錘本体と前記接続具が連結されるとともに、
前記閉鎖部材が、前記アイに前記フックが係止した状態で前記フックの開口を閉鎖する閉鎖位置と前記フックの開口を開放する開放位置とに移動可能に構成されている請求項記載の釣り用遊動式仕掛け。
【請求項3】
前記連結手段は、第1アイと、第2アイと、前記第1アイ及び前記第2アイを分離可能に接続するスプリットリングとを備えており、
前記錘本体の上端部に前記第1アイが設けられるとともに、前記接続具に前記第2アイが設けられ、
前記第1アイと前記第2アイが前記スプリットリングを介して接続されることにより、前記錘本体と前記接続具が連結される請求項記載の釣り用遊動式仕掛け。
【請求項4】
前記錘はその軸線を中心とした略回転体形状に形成されるとともに、
前記錘の周面の上下方向の略中間部にその全周に亘って括れ部が形成されている請求項1~のいずれかに記載の釣り用遊動式仕掛け。
【請求項5】
釣糸挿通孔を有する錘と、釣針を有する遊動体とを具備し、
前記釣糸挿通孔にスライド自在に挿通された釣糸の先端部に前記遊動体が接続された釣り用遊動式仕掛けであって、
前記錘が上下方向に延びた形状のものであり、前記錘の上端部に前記釣糸挿通孔が設けられており、
前記釣糸に前記錘及び前記遊動体が吊り下げられた状態において、前記錘の横側に前記釣針が位置しており、
前記錘はその軸線を中心とした略回転体形状に形成されるとともに、
前記錘の周面の上下方向の略中間部にその全周に亘って括れ部が形成されている釣り用遊動式仕掛け。
【請求項6】
前記釣糸に前記錘及び前記遊動体が吊り下げられた状態において、前記錘の前記括れ部の横側に前記釣針が位置している請求項4又は5記載の釣り用遊動式仕掛け。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は釣り用遊動式仕掛けに関する。
【背景技術】
【0002】
釣り用の遊動式の仕掛けとして例えば鯛ラバ(鯛カブラ)は、そのヘッドとして錘を備えている。この錘としては一般に略球状の中通し錘が用いられている。すなわち、略球状の錘に設けられた貫通孔に釣糸がスライド自在に挿通されるとともに、釣糸の先端部に、釣針及び集魚部材(ネクタイ、スカート等)を有する遊動体が接続されており、これにより、遊動体が中通し錘に対して相対的に遊動しうるように構成されている。
【0003】
また、中通し錘においては、貫通孔に挿通された釣糸が貫通孔の内周面との接触により損傷するのを防止するため、登録実用新案第3190126号公報(特許文献1)には、貫通孔に釣糸を直接挿通するのではなく貫通孔に樹脂製チューブを挿入してこのチューブ内に釣糸を挿通することにより、釣糸を貫通孔の内周面との接触による損傷から保護するように構成した錘をヘッドとして備えた鯛ラバが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】登録実用新案第3190126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
而して、一般的に釣り用仕掛けには釣針の魚へのフッキング率が高いことが求められる。そこで、本発明者は鯛ラバにおける釣針の魚へのフッキングについて研究をしたところ次のような知見を得た。
【0006】
すなわち、従来の鯛ラバによれば、錘として略球状の中通し錘が用いられているため、釣糸に錘及び遊動体が吊り下げられた状態では錘の下側に遊動体の釣針及び集魚部材が位置している。そのため、仕掛けの全長が長くなっており、これが集魚作用を高めるという効果を発揮する反面、釣針の魚へのフッキング率の低下を招いていた。しかも、釣針と集魚部材との干渉を抑制するため集魚部材を長くする必要があり、この点も仕掛けの全長が長くなってフッキング率の低下を招く原因になっている。
【0007】
本発明は上述した知見に基づいてなされたものであり、その目的は魚へのフッキング率が高い釣り用遊動式仕掛けを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下の手段を提供する。
【0009】
1) 釣糸挿通孔を有する錘と、釣針を有する遊動体とを具備し、
前記釣糸挿通孔にスライド自在に挿通された釣糸の先端部に前記遊動体が接続された釣り用遊動式仕掛けであって、
前記錘が上下方向に延びた形状のものであり、前記錘の上端部に前記釣糸挿通孔が設けられており、
前記釣糸に前記錘及び前記遊動体が吊り下げられた状態において、前記錘の横側に前記釣針が位置している釣り用遊動式仕掛け。
【0010】
2) 前記錘は、上下方向に延びた形状の錘本体と、前記錘本体とは別体に形成されるとともに前記錘本体を前記釣糸に接続する接続具と、前記錘本体と前記接続具を分離可能に連結する連結手段とを備えるとともに、
前記接続具に前記釣糸挿通孔が設けられている前項1記載の釣り用遊動式仕掛け。
【0011】
3) 前記連結手段は、アイと、前記アイに係脱可能に係止するフックと、前記フックの開口を閉鎖する閉鎖部材とを備えており、
前記錘本体の上端部に前記アイ及び前記フックのうち一方が設けられるとともに、前記接続具に他方が設けられ、
前記アイに前記フックが係止することにより、前記錘本体と前記接続具が連結されるとともに、
前記閉鎖部材が、前記アイに前記フックが係止した状態で前記フックの開口を閉鎖する閉鎖位置と前記フックの開口を開放する開放位置とに移動可能に構成されている前項2記載の釣り用遊動式仕掛け。
【0012】
4) 前記連結手段は、第1アイと、第2アイと、前記第1アイ及び前記第2アイを分離可能に接続するスプリットリングとを備えており、
前記錘本体の上端部に前記第1アイが設けられるとともに、前記接続具に前記第2アイが設けられ、
前記第1アイと前記第2アイが前記スプリットリングを介して接続されることにより、前記錘本体と前記接続具が連結される前項2記載の釣り用遊動式仕掛け。
【0013】
5) 前記錘はその軸線を中心とした略回転体形状に形成されるとともに、
前記錘の周面の上下方向の略中間部にその全周に亘って括れ部が形成されている前項1~4のいずれかに記載の釣り用遊動式仕掛け。
【0014】
6) 前記釣糸に前記錘及び前記遊動体が吊り下げられた状態において、前記錘の前記括れ部の横側に前記釣針が位置している前項5記載の釣り用遊動式仕掛け。
【発明の効果】
【0015】
本発明は以下の効果を奏する。
【0016】
前項1では、錘が上下方向に延びた形状のものであることにより、集魚作用が高められる。そして、この錘の上端部に設けられた釣糸挿通孔に釣糸がスライド自在に挿通されるとともに、釣糸に錘及び遊動体が吊り下げられた状態において錘の横側に釣針が位置していることにより、釣針の魚へのフッキング率を高めることができる。
【0017】
前項2では、錘が錘本体と接続具を分離可能に連結する連結手段を備えているので、錘本体を交換する際に錘本体と接続具を分離することができる。そのため、釣糸を切断しなくても錘本体を別の錘本体に交換することができる。
【0018】
前項3では、連結手段の閉鎖部材が、アイにフックが係止した状態でフックの開口を閉鎖する閉鎖位置とフックの開口を開放する開放位置とに移動可能に構成されているので、錘本体の交換作業を容易に行うことができる。
【0019】
すなわち、錘本体を釣糸から取り外す場合は、閉鎖部材を閉鎖位置から開放位置に移動することでフックの開口を開放すれば、フックのアイからの係止解除を行うことができて、錘本体を釣糸から取り外すことができる。そして、別の錘本体を釣糸に取り付ける場合は、別の錘本体についてフックをアイに係止し、閉鎖部材を開放位置から閉鎖位置に移動することでフックの開口を閉鎖部材で閉鎖すれば、当該別の錘本体を釣糸に取り付けることができるし、フックがアイから不慮に係止解除されないようにフックのアイへの係止状態を保持することができる。したがって、錘本体の交換作業を容易に行うことができる。
【0020】
前項4では、連結手段が第1アイと第2アイを分離可能に接続するスプリットリングを備えているので、錘本体の交換作業を容易に行うことができる。
【0021】
すなわち、錘本体を釣糸から取り外す場合は、第1アイをスプリットリングから分離することにより錘本体を釣糸から取り外すことができる。そして、別の錘本体を釣糸に取り付ける場合は、別の錘本体の第1アイをスプリットリングに接続することにより当該別の錘本体を釣糸に取り付けることができる。したがって、錘本体の交換作業を容易に行うことができる。
【0022】
前項5では、錘がその軸線を中心とした略回転体形状に形成されていることにより、錘の形状が略長板状である場合よりも錘の水中での沈降速度(フォールスピード)を高めることができる。
【0023】
さらに、錘の周面の上下方向の略中間部にその全周に亘って括れ部が形成されていることにより、水中沈降時における錘の回転が抑制される。これにより、錘の水中沈降時において釣針の絡みを低減することができる。
【0024】
前項6では、釣針が魚に更に一層フッキングし易くなり、釣針の魚へのフッキング率の更なる向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る釣り用遊動式仕掛けにおいて釣糸に錘及び遊動体を吊り下げた状態を示す同仕掛けの側面図である。
図2図2は錘の錘本体を示す図であって、(a)はその正面図、(b)はその側面図、及び(c)はその縦断面図である。
図3図3は錘の接続具を示す図であって、(a)はその正面図、及び(b)はその側面図である。
図4図4は接続具の釣糸挿通孔に釣糸が挿通された状態を示す同接続具の断面図である。
図5図5は錘の閉鎖部材を示す図であって、(a)はその正面図、(b)はその側面図、(c)はその平面図、及び(d)はその底面図である。
図6図6は閉鎖部材が閉鎖位置に配置された状態を示す錘の要部斜視図である。
図7図7は閉鎖部材が開放位置に配置された状態を示す錘の要部斜視図である。
図8図8は、本発明の第2実施形態に係る釣り用遊動式仕掛けにおいて釣糸に錘及び遊動体を吊り下げた状態を示す同仕掛けの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の幾つかの実施形態について図面を参照して以下に説明する。
【0027】
図1~7は本発明の第1実施形態を説明する図である。
【0028】
図1に示すように、本第1実施形態に係る釣り用仕掛け60は遊動式のものであり、上下方向に延びた形状の錘1と、錘1に対して相対的に遊動する遊動体40とを具備している。錘1は釣糸挿通孔12(図6参照)を有している。
【0029】
遊動体40は、少なくとも一つ(本第1実施形態では二つ)の釣針45と、細長状の集魚部材42としての柔軟なネクタイ43とを有している。各釣針45は釣糸50の先端部を構成する所定長さのハリス51の先端に接続(結着)されている。そして、ハリス51とネクタイ43の基端部とが有底略円筒状の樹脂製結束具41にて一体的に結束されている。
【0030】
錘1は、錘本体2と、錘本体2とは別体に形成されるとともに錘本体2を釣糸50に接続する接続具11と、錘本体2と接続具11を分離可能に連結する連結手段20とを備えている。
【0031】
図2に示すように、錘本体2は例えば鋳造により形成された金属(タングステン、鉛、真鍮等)製のものである。錘本体2の形状は上下方向に延びた形状であり、詳述すると錘本体2は上下方向に向いた軸線を中心とした略回転体形状に形成されたものであり、更に錘本体2の下端部の形状は略回転流線形状である。また錘本体2の周面には集魚効果を高めるための処理として着色が部分的に又は全面的に施されている。
【0032】
さらに、錘本体2の周面の上下方向(即ち軸線方向)の略中間部にはその全周に亘って断面略凹円弧状の括れ部2aが形成されている。
【0033】
さらに、錘本体2の周面における括れ部2aよりも下部分には、上下方向に延びた複数(本実施形態では四つ)の横断面略凸円弧状の整流用突条部2bが、当該下部分の周方向に等間隔に形成されている。この突条部2bは、釣糸50の巻き上げ時に錘本体2が水中で回転しないように水の整流を行うものである。
【0034】
なお符号「2c」は、集魚効果を高めるための部材としての、目玉を模した略凸半球状のプラスチックやガラス製の目玉部材であり、図2(c)に示すように錘本体2の周面の括れ部2aにおける互いに反対側の位置に局部的に形成された凹部内に接着固定されている。
【0035】
図3及び4に示すように、接続具11は硬質樹脂成形体からなり、接続具11に上述の釣糸挿通孔12が貫通状に設けられている。釣糸50はこの釣糸挿通孔12にスライド自在に挿通されるとともに、釣糸50の先端部に遊動体40が球状ビーズ47を介して接続されている。これにより、遊動体40が接続具11に対して相対的に遊動可能になるように釣糸50が釣糸挿通孔12に挿通されている。
【0036】
なお、ビーズ47には釣糸50が接続具11と遊動体40(結束具41)との間の位置にて挿通されている。
【0037】
図1及び6に示すように、連結手段20は、アイ13と、アイ13に係脱可能に係止するフック3と、フック3の開口3a(図7参照)を閉鎖する閉鎖部材21とを備えている。
【0038】
錘本体2の上端には連結手段20のアイ13及びフック3のうちフック3が錘本体2に対して上方突出状に設けられている。図2に示すように、フック3は開口3aを有する略J字状又は略逆J字状のものであり、具体的には下端側方に開口するように略逆J字状に屈曲した金属線材からなり、錘本体2との一体成形により錘本体2にフック3が固着されている。
【0039】
接続具11の下端には連結手段20のアイ13が接続具11に対して下方突出状に設けられている。図3及び4に示すように、アイ13は略U字状に屈曲した金属線材からなるものであり、接続具11との一体成形(例えばインサート成形)により接続具11にアイ13が固着されている。そして、アイ13にフック3が係脱可能に係止することにより、錘本体2と接続具11が分離可能に連結されて錘1が構成されている。
【0040】
ここで、錘本体2及び接続具11のうちアイ13が設けられた方を「アイ13付き本体Y」、フック3が設けられた方を「フック3付き本体X」ともいう。本第1実施形態では、接続具11がアイ13付き本体Y、錘本体2がフック3付き本体Xに対応している。
【0041】
連結手段20の閉鎖部材21は図5に示すように略円盤状乃至略短円柱状の樹脂成形体からなる。図5(c)及び(d)に示すように、閉鎖部材21の中央部には閉鎖部材21の上下方向(厚さ方向)に貫通した横断面略十字状のスライド孔22が設けられている。
【0042】
そして、閉鎖部材21が、図6に示すようにアイ13にフック3が係止した状態でフック3の開口3aを閉鎖する閉鎖位置と、図7に示すようにフック3の開口3aを開放する開放位置とに錘本体2(フック3付き本体X)と接続具11(アイ13付き本体Y)との間にてスライド移動可能になるように、アイ13及びフック3が閉鎖部材21のスライド孔22に圧入状態に且つスライド可能に挿通されている。
【0043】
すなわち、スライド孔22は上述したように横断面略十字状であり、詳述すると、アイ13が通過する横断面略I字状の第1孔部22aと、第1孔部22aに対して略直交するとともにフック3が通過する横断面略I字状の第2孔部22bとから構成されている。
【0044】
閉鎖部材21が閉鎖位置に配置された状態(図6)では、アイ13及びフック3のうちフック3がスライド孔22の第2孔部22bに圧入状態に且つスライド可能に挿通されている。さらにこの状態では、閉鎖部材21(詳述すると閉鎖部材21の下面21b)が錘本体2(フック3付き本体X)の上端に衝当している。
【0045】
閉鎖部材21が開放位置に配置された状態(図7)では、アイ13がスライド孔22の第1孔部22aに圧入状態に且つスライド可能に挿通されている。さらにこの状態では、閉鎖部材21(詳述すると閉鎖部材21の上面21a)が接続具11(アイ13付き本体Y)の下面に衝当している。
【0046】
なお図6及び7では、釣糸挿通孔12に挿通された釣糸50(図4参照)は図示省略されている。
【0047】
また図5に示すように、閉鎖部材21における錘本体2(フック3付き本体X)側に向いた面、即ち閉鎖部材21の下面21bには、当該下面21bの直径方向にスライド孔22の第2孔部22bに沿って延びた溝部24が形成されている。この溝部24は図5(b)に示すように下方向に開口した断面略逆U字状のものであり、図7に示すように、閉鎖部材21が開放位置に配置された状態のもとでフック3のアイ13への係止時及びフック3のアイ13からの係止解除時にフック3が通る通路として機能するものである。
【0048】
而して、図1に示すように、釣糸挿通孔12に釣糸50が挿通された接続具11のアイ13に錘本体2のフック3が係止し且つ釣竿(図示せず)から釣糸50に錘1及び遊動体40が吊り下げられた状態では、錘1の錘本体2は自重により接続具11よりも下側に位置してアイ13から吊り下げられており、また図6に示すように閉鎖部材21が閉鎖位置に配置されてフック3の開口3aが閉鎖部材21で閉鎖されている。このとき閉鎖部材21は錘本体2(フック3付き本体X)の上端に衝当している。
【0049】
さらにこの状態では、図1に示すように錘本体2(錘1)の横側に釣針45が位置しており、詳述すると錘本体2の括れ部2aの横側近傍に全ての釣針45が位置している。
【0050】
仕掛け60は上述の状態にして釣りに用いられる。
【0051】
この仕掛け60において錘本体2を別の錘本体に交換する場合には、図6に示すように閉鎖部材21を指先(図示せず)で閉鎖位置から開放位置までスライド移動させると、図7に示すようにフック3の開口3aが開放されるとともに閉鎖部材21が接続具11(アイ13付き本体Y)の下端に衝当して閉鎖部材21の移動が停止される。そのため、閉鎖部材21を開放位置に確実に配置させることができる。またこの状態では、閉鎖部材21はスライド孔22(詳述するとスライド孔22の第1孔部22a)とアイ13との圧接摩擦力により下側(即ち閉鎖位置側)に不慮に移動しないように開放位置に維持されている。
【0052】
次いで、錘本体2のフック3を接続具11のアイ13から係止解除する。この際にフック3が溝部24をフック3のアイ13からの係止解除方向に通過する。これにより、錘本体2が釣糸50(接続具11)から取り外される。
【0053】
そして、閉鎖部材21を開放位置に配置した状態のまま、別の錘本体のフック3を接続具11のアイ13に係止させる。この際にフック3が溝部24をフック3のアイ13への係止方向に通過する。次いで、閉鎖部材21を指先で開放位置から閉鎖位置までスライド移動させると、図6に示すようにフック3の開口3aが閉鎖部材21で閉鎖されるとともに閉鎖部材21が錘本体2(フック3付き本体X)の上端に衝当して閉鎖部材21の移動が停止される。そのため、閉鎖部材21を閉鎖位置に確実に配置させることができる。また、閉鎖部材21はスライド孔22(詳述するとスライド孔22の第2孔部22b)とフック3との圧接摩擦力によって上側(即ち開放位置側)に不慮に移動しないように閉鎖位置に維持されている。
【0054】
以上の手順で錘本体2の交換作業が行われる。
【0055】
本第1実施形態の仕掛け60によれば、錘1の錘本体2が上下方向に延びた形状のものであるから高い集魚効果を発揮しうる。さらに、図1に示すように釣糸50に錘1及び遊動体40が吊り下げられた状態では、錘本体2の下側ではなく錘本体2の横側に釣針45が位置していることから、仕掛け60の全長を短くすることができ、釣針45の魚へのフッキング率の向上を図ることができる。
【0056】
しかも、釣針45は詳述すると錘本体2の括れ部2aの横側に位置していることにより、フッキング率の更なる向上を図ることができる。
【0057】
さらに、錘本体2がその軸線を中心とした略回転体形状に形成されていることにより、錘本体2が略長板状である場合よりも錘本体2の水中での沈降速度(フォールスピード)を高めることができる。
【0058】
さらに、錘本体2の周面の上下方向の略中間部に括れ部2aが形成されていることにより、水中沈降時における錘本体2の回転が抑制される。そのため、錘本体2の水中沈降時において釣針45やネクタイ43(集魚部材42)の絡みを低減することができる。
【0059】
しかも、錘本体2の周面における括れ部2aよりも下部分には、複数の整流用突条部2bが当該下部分の周方向に等間隔に形成されていることにより、釣糸50の巻き上げ時における錘本体2の水中での回転が抑制される。そのため、巻き上げ時においても釣針45やネクタイ43(集魚部材42)の絡みを低減することができる。
【0060】
ここで、錘本体2の長さの下限は限定されるものではないが、上述の効果を確実に発揮させるため、錘本体2の長さは錘本体2の最大直径に対して2倍以上であることが好ましい。錘本体2の長さの上限も限定されるものでなく通常は錘本体2の最大直径に対して5倍以下である。
【0061】
さらに、本第1実施形態の仕掛け60によれば、上述したように錘本体2の交換の際に釣糸50を切断しなくてもよいので、錘本体2の交換作業を容易に行うことができる。
【0062】
さらに、閉鎖部材21の下面21bにはフック3のアイ13への係止時及びフック3のアイ13からの係止解除時にフック3が通る通路としての溝部24が形成されているので、閉鎖位置と開放位置とに移動する閉鎖部材21の移動ストローク長さを極力短くすることができ、これにより閉鎖部材21の移動操作を容易に行うことができる。
【0063】
さらに、錘本体2にフック3が設けられるとともに、接続具11にアイ13が設けられているので、閉鎖位置が開放位置よりも下側に位置するとともに閉鎖位置に配置された閉鎖部材21には重力が下向きに作用している。そのため、閉鎖部材21が閉鎖位置から開放位置へ不慮に移動するのを抑制することができ、これにより閉鎖部材21を閉鎖位置に確実に維持することができる。
【0064】
ここで、本第1実施形態では錘本体2にフック3が設けられ、接続具11にアイ13が設けられているが、本発明ではその他に、錘本体2にアイ13が設けられ、接続具11にフック3が設けられていてもよい。後者の場合、錘本体2が「アイ13付き本体Y」、接続具11が「フック3付き本体X」に対応する。
【0065】
図8に示した本発明の第2実施形態に係る釣り用遊動式仕掛け60Aでは、連結手段20Aは、第1アイ5と、第2アイ13と、第1アイ5及び第2アイ13を分離可能に接続するスプリットリング28とを備えている。
【0066】
錘1Aの錘本体2Aの上端にはフックではなく連結手段20Aの第1アイ5が上方突出状に設けられている。第1アイ5は略半円環状乃至略逆U字状である。そして、この第1アイ5と接続具11のアイ13(これが連結手段20Aの第2アイ13に対応している)とがスプリットリング28を介して接続されることにより、錘本体2Aと接続具11が分離可能に連結されて錘1Aが構成されている。
【0067】
なお、接続具11と遊動体40は上記第1実施形態のものと同じ構成である。
【0068】
本第2実施形態の仕掛け60Aにおいて錘本体2Aを別の錘本体に交換する場合は、錘本体2Aの第1アイ5をスプリットリング28から分離することにより錘本体2Aを釣糸50(接続具11)から取り外す。次いで、別の錘本体の第1アイ5をスプリットリング28に接続することにより当該別の錘本体を釣糸50に取り付けることができる。したがって、釣糸50を切断しなくても錘本体2Aを別の錘本体に交換することができ、これにより錘本体2Aの交換作業を容易に行うことができる。
【0069】
以上で本発明の幾つかの実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で様々に変更可能である。
【0070】
例えば、上記実施形態では遊動体40の集魚部材42としてネクタイ43が用いられているが、本発明では集魚部材としてスカート等が用いられていてもよい。
【0071】
さらに、上記実施形態では遊動体40は集魚部材42を有しているが、本発明では遊動体40は必ずしも集魚部材42を有していなくてもよい。
【0072】
さらに、上記実施形態の仕掛け60のように、釣糸50に錘1及び遊動体40が吊り下げられた状態において遊動体40に備えられた全ての釣針45が錘1(錘本体2)の横側に位置していることが特に望ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、遊動体40に備えられた全ての釣針45のうち少なくとも一つが錘1(錘本体2)の横側に位置していればよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本考案は釣り用遊動式仕掛けに利用可能である。
【符号の説明】
【0074】
1、1A:錘 2、2A:錘本体
2a:括れ部 3:フック
3a:フックの開口 5:第1アイ
11:接続具 12:釣糸挿通孔
13:アイ(第2アイ) 20、20A:連結手段
21:閉鎖部材 28:スプリットリング
40:遊動体 42:集魚部材
45:釣針 50:釣糸
60、60A:釣り用遊動式仕掛け
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8