(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】キサンチンアミドヒドロラーゼ及びその用途
(51)【国際特許分類】
A61K 38/16 20060101AFI20240830BHJP
A61P 19/06 20060101ALI20240830BHJP
C12N 15/55 20060101ALI20240830BHJP
C12N 9/86 20060101ALI20240830BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240830BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240830BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240830BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240830BHJP
A23L 33/00 20160101ALI20240830BHJP
【FI】
A61K38/16
A61P19/06
C12N15/55 ZNA
C12N9/86
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A23L33/00
(21)【出願番号】P 2022543080
(86)(22)【出願日】2021-01-13
(86)【国際出願番号】 CN2021071501
(87)【国際公開番号】W WO2021143725
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2022-09-06
(31)【優先権主張番号】202010036500.6
(32)【優先日】2020-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010036519.0
(32)【優先日】2020-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505245449
【氏名又は名称】天津大学
【氏名又は名称原語表記】Tian Jin University
【住所又は居所原語表記】92, Weijin Road, Nankai District Tianjin 300072 CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヂャン イェン
(72)【発明者】
【氏名】リー ペイシャン
(72)【発明者】
【氏名】トン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】フー イーリン
(72)【発明者】
【氏名】リィゥ ダーヂー
【審査官】鳥居 敬司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/183292(WO,A1)
【文献】allantoinase [Cytobacillus oceanisediminis 2691],NCBI,2016年,Acc. AND39904.1,<URL;https://www.ncbi.nlm.nih.gov/protein/AND39904>
【文献】L-hydantoinase LhyD [Gottschalkia purinilytica],NCBI,2015年,Acc. KNF07048.1,<URL;https://www.ncbi.nlm.nih.gov/protein/KNF07048>
【文献】Analytical Biochemistry,1982年,Vol.123,pp.32-40
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C12N 9/00-9/99
A61P 19/00-19/10
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿酸の生成においてプリンを分解するための薬物組成物であって、SEQ ID NO:1により示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド又はその機能的変異体
を含み、
前記ポリペプチド又はその機能的変異体が、キサンチンアミドヒドロラーゼ活性を有し、
前記機能的変異体が前記SEQ ID NO:1により示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドの天然アイソザイムであり、
前記天然アイソザイムが、SEQ ID NO:4~104のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む、薬物組成物。
【請求項2】
SEQ ID NO:1により示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド又はその機能的変異体がキサンチンアミドヒドロラーゼ活性を有し、
前記機能的変異体が前記SEQ ID NO:1により示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドの天然アイソザイムであり、
前記天然アイソザイムが、SEQ ID NO:4~104のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む、
前記ポリペプチド又は前記機能的変異体の、
尿酸の生成においてプリンを分解するための薬物組成物又は保健食品の製造における利用。
【請求項3】
前記ポリペプチド及び前記機能的変異体が触媒部位を有し、ペプチド鎖が巻き、畳まれていることにより前記触媒部位が空間構造的にお互いに近い状態である、SEQ ID NO:1を参照するH59と、H61と、K151と、H186と、H242と、D316アミノ酸残基を含み、
前記ポリペプチド及び前記機能的変異体が結合部位を有し、ペプチド鎖が巻き、畳まれていることにより前記結合部位が、空間構造的にお互いに近い状態である、SEQ ID NO:1を参照するI288と、A289と、P338と、G339アミノ酸残基を含む、請求項2に記載の
薬物組成物又は保健食品の製造における利用。
【請求項4】
前記ポリペプチド及び前記機能的変異体が触媒部位を有し、ペプチド鎖が巻き、畳まれていることにより前記触媒部位が空間構造的にお互いに近い状態である、SEQ ID NO:1を参照するH59と、H61と、K151と、H186と、H242と、D316アミノ酸残基を含み、
前記ポリペプチド及び前記機能的変異体が結合部位を有し、ペプチド鎖が巻き、畳まれていることにより前記結合部位が、空間構造的にお互いに近い状態である、SEQ ID NO:1を参照するI288と、A289と、P338と、G339アミノ酸残基を含む、請求項1に記載
の薬物組成物。
【請求項5】
前記触媒部位が、さらに2価金属イオンを含み、前記2価金属イオンがZn
2+及び/又はMn
2+である、請求項4に記載
の薬物組成物。
【請求項6】
前記触媒部位と前記結合部位との距離が5オングストローム(Å)以下である、請求項4又は5に記載
の薬物組成物。
【請求項7】
前記ポリペプチド又はその機能的変異体が、Bacillus firmus、compost metagenome、Clostridium purinilyticum、Thermoflavimicrobium sp.、Marininema halotolerans、Clostridiaceae bacterium、Bacillus sp.、Paenibacillus sp.、Thermoflavimicrobium dichotomicum、Fictibacillus enclensis、Marininema mesophilum、Paenibacillus typhae、Tissierella praeacuta、Bradyrhizobium japonicum、Acidaminobacter hydrogenoformans、Caloranaerobacter sp.、Tissierella sp.、Paenibacillus donghaensis、Gottschalkia acidurici、Clostridium acidurici、Bacillus fortis、Bacillus oceanisediminis、Virgibacillus profundi、Anaeromicrobium sediminis、Thermosyntropha lipolytica、Alkaliphilus peptidifermentans、Aneurinibacillus migulanus、Bacillus bacterium、Marinisporobacter balticus、Bacillus terrae、Tindallia californiensis、Romboutsia lituseburensis、Paraclostridium bifermentans、Bacillus praedii、Carbydothermus islandicus、Caloramator australicus、Paraclostridium bifermentans、Tepidimicrobium xylanilyticum、Bacillus notoginsengisoli、[Clostridium]ultunense Esp、Bacillus freudenreichii、Caloramator fervidus、Soehngenia saccharolytica、Thermotalea metallivorans、Ornithinibacillus halophilus、Fictibacillus sp.、Bacillus mesonae、Tindallia magadiensis、Paenibacillus borealis、Paraclostridium benzoelyticum、Bacillus solani、Thermohalobacter berrensis、Acinetobacter sp.、Maledivibacter halophilus、Tissierella creatinini、Natronincola peptidivorans、Anaerovirgula multivorans、Carbydothermus hydrogenoformans、Sporanaerobacter acetigenes、Proteiniborus sp.、Virgibacillus indicus、Andreesenia angusta、Paludifilum halophilum、Proteiniborus ethanoligenes、Alkaliphilus metalliredigens、Fictibacillus solisalsi、Sporosarcina globispora、Alkaliphilus sp.、Alkaliphilus oremlandii、Caloramator mitchellensis、Clostridium cylindrosporum、Ammoniphilus sp.、Carbydothermus pertinax、Soehngenia sp.
又は、Natribacillus halophilusに由来する、請求項1及び4~6のいずれかに記載
の薬物組成物。
【請求項8】
尿酸の生成においてプリンを分解するための薬物組成物であって、SEQ ID NO:1により示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド又はその機能的変異体をコードする、核酸分子
を含み、
前記ポリペプチド又はその機能的変異体が、キサンチンアミドヒドロラーゼ活性を有し、
前記機能的変異体が前記SEQ ID NO:1により示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドの天然アイソザイムであり、前記天然アイソザイムが、SEQ ID NO:4~104のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む、薬物組成物。
【請求項9】
前記核酸分子
が、発現カセットに含まれている、請求項8に記載
の薬物組成物。
【請求項10】
前記核酸分子
が、発現ベクターに含まれている、請求項8に記載
の薬物組成物。
【請求項11】
前記核酸分子又は発現ベクターが、宿主細胞に含まれている、請求項
8又は請求項10に記載
の薬物組成物。
【請求項12】
前記
宿主細胞が真核細胞又は原核細胞である、請求項11に記載
の薬物組成物。
【請求項13】
痛風を予防及び/又は治療するための薬物組成物であって、請求項1及び4~
8、10~12のいずれかに記載
の薬物組成物、及び薬学的に許容されるキャリア又は賦形剤を含む、薬物組成物。
【請求項14】
請求項1及び4~
13のいずれかに記載
の薬物組成物の、痛風を予防及び/又は治療する
ための薬物の調製における利用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願が2020年1月14日にて提出した中国特願第202010036500.6号と第202010036519.0号との優先権を主張し、その全内容を全体的に引用することによって、本願明細書の記載に組み込まれる。
本願が生物医薬分野に関し、具体的に、新しいプリン分解経路、当該経路に関与する酵素及びそれらの用途、特に痛風の治療においての応用を提供する。
【背景技術】
【0002】
プリンの吸収は主に腸で行われ、腸は無酸素環境である。痛風はプリンの代謝異常による関節炎であり、繰り返して発作する赤く、圧痛的、熱く、腫れる関節がその特徴である。一般に、痛みが速やかに発生し、12時間以内に最大強度に達する。痛風が起こる原因は、体内尿酸レベルの上昇により、尿酸塩が関節と腎臓部位において蓄積し、尿酸がプリン代謝の産物である。
【0003】
現在、現存の痛風を治療する薬物はコルヒチン、アロプリノール、フェブキソスタット及び他の非ステロイド性抗炎症薬とグルココルチコイド等である。コルヒチンが好中球の遊走、粘着及び貪食作用等を抑制することにより、関節一部の痛み、腫れ及び炎症反応を制御できる。アロプリノールとフェブキソスタットとは、選択的キサンチンオキシダ-ゼ抑制剤であり、血尿酸塩濃度を下げることにより、痛風を治療する作用を発揮できるが、以上の薬物が大きな副作用がある。
【0004】
新しい痛風を予防、関与及び/又は治療する薬物の開発及び応用が本分野にとっては必要である。
【発明の概要】
【0005】
第一態様は、本願がポリペプチドを提供し、SEQ ID NO:1により示されるアミノ酸配列又はその機能的変異体を含み,前記機能的変異体がキサンチンアミドヒドロラーゼ活性を有する。
第一態様のある実施形態において、前記ポリペプチドが、空間構造的に下記のように定義される触媒部位を有する:
前記触媒部位が、空間構造的にお互いに近づく、SEQ ID NO:1を参照するH59と、H61と、K151と、H186と、H242と、D316アミノ酸残基を含む。
第一態様のある実施形態において、前記触媒部位が、さらに2価金属イオンを含む。
第一態様のある実施形態において、前記ポリペプチドが、さらに空間構造的に下記のように定義される結合部位を有する。
前記結合部位が、空間構造的にお互いに近づく、SEQ ID NO:1を参照するI288と、A289と、P338と、G339アミノ酸残基を含む。
第一態様のある実施形態において、前記触媒部位と前記結合部位との距離が5オングストローム(Å)以下である。
第一態様のある実施形態において、前記機能的変異体が、SEQ ID NO:1により示されるアミノ酸配列の天然アイソザイムである。
第一態様のある実施形態において、前記機能的変異体が、SEQ ID NO:1により示されるアミノ酸配列又はその天然アイソザイムに基づいて、一個又は複数個のアミノ酸の挿入、置換及び/又は欠損を起こることにより産生される。
第一態様のある実施形態において、前記挿入、置換及び/又は欠損が触媒部位及び/又は結合部位において起こらない。
第二態様は、本願が核酸分子を提供し、第一態様に記載されるポリペプチドをコードする。
第三態様は、本願が発現キットを提供し、第二態様に記載される核酸分子を含む。
第四態様は、本願が発現ベクターを提供し、第二態様に記載される核酸分子又は第三態様に記載される発現キットを含む。
第五態様は,本願が宿主細胞を提供し、第二態様に記載される核酸分子、第三態様に記載される発現キット又は第四態様に記載される発現ベクターを含む。
第五態様のある実施形態において、前記宿主細胞がSEQ ID NO:1により示されるアミノ酸配列又はその機能的変異体を含むポリペプチドを発現、産生でき、前記機能的変異体がキサンチンアミドヒドロラーゼ活性を有する。
第五態様のある実施形態において、前記ポリペプチドが、空間構造的に下記のように定義される触媒部位を有する。
前記触媒部位が、空間構造的にお互いに近づく、SEQ ID NO:1に参照するH59と、H61と、K151と、H186と、H242と、D316アミノ酸残基を含む。
第五態様のある実施形態において、前記触媒部位が、さらに2価金属イオンを含む。
第五態様のある実施形態において、前記宿主細胞が真核細胞又は原核細胞である。
第五態様のある実施形態において、前記真核細胞が酵母細胞である。
第五態様のある実施形態において、前記原核細胞がエシェリキア属と、乳酸桿菌属と、ビフィズス菌属と、バクテロイデス門と、ファーミキューテス門とから選ばれる。
第六態様は、本願が薬物組成物又は保健食品を提供し、第一態様に記載されるポリペプチド、第二態様に記載される核酸分子、第三態様に記載される発現キット、第四態様に記載される発現ベクター又は第五態様に記載される宿主細胞、及び薬学的に許容されるキャリア又は賦形剤を含む。
第六態様のある実施形態において、前記薬物組成物又は保健食品が、痛風を予防及び/又は関与及び/又は治療に用いられる。
第七態様は、本願は、第一態様に記載されるポリペプチド、第二態様に記載される核酸分子、第三態様に記載される発現キット、第四態様に記載される発現ベクター、第五態様に記載される宿主細胞又は第六態様に記載される薬物組成物又は保健食品がプリンの分解においての用途を提供する。
第七態様のある実施形態において、前記プリンの分解が体外で起こる。
第八態様は、本願は、第一態様に記載されるポリペプチド、第二態様に記載される核酸分子、第三態様に記載される発現キット、第四態様に記載される発現ベクター、第五態様に記載される宿主細胞又は第六態様に記載される薬物組成物又は保健食品の、痛風を予防、関与及び/又は治療する薬物の調製における用途を提供する。
第九態様は、本願は、痛風を予防、関与及び/又は治療する方法を提供し、必要のある個体に第一態様に記載されるポリペプチド、第二態様に記載される核酸分子、第三態様に記載される発現キット、第四態様に記載される発現ベクター、第五態様に記載される宿主細胞又は第六態様に記載される薬物組成物又は保健食品を供与することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】人体が各種プリンを分解する代謝経路及び各ステップを触媒する酵素のEC番号である。
【
図2】キサンチンオキシダ-ゼがキサンチンを分解して尿酸を産生する代謝反応及び複雑Mo含有接合団にかかる触媒メカニズムである。
【
図3】アロプリノールがキサンチンオキシダ-ゼを抑制することにより尿酸の生成を阻止して痛風を治療するメカニズムである。
【
図4】キサンチンアミドヒドロラーゼが無酸素条件でキサンチンを分解する反応式(1)及び全代謝経路である。
【
図5】精製したキサンチンアミドヒドロラーゼの電気泳動結果であり、レーンMが分子量マーカーを示し、レーンTがキサンチンアミドヒドロラーゼを発現する細菌ライセートを示し、レーンUがCoアフィニティーカラムを通過した細菌ライセートを示し、レーンE1、E2、E3のそれぞれがコバルトアフィニティーカラムを通過して精製、溶出した1、2と4μgのキサンチンアミドヒドロラーゼを示す。
【
図6】キサンチンアミドヒドロラーゼがキサンチンの加水分解開環を触媒する酵素活性LC-MS(液体クロマトグラフィー/質量分析)検出結果であり、Aが酵素を添加しないネガティブコントロールのLC-MS検出結果で、Bが実験群のLC-MS検出結果である。
【
図7】PHYRE2サーバー(PHYRE2 Protein Fold Recognition Server)によりコンピューターシミュレーションを行って得たキサンチンアミドヒドロラーゼ構造の活性中心の図であり、触媒部位は空間構造的にお互いに近づく四つのヒスチジン、一つカルボキシ基化のリジン、一つのアスパラギン酸、及び二つの2価金属イオン(例えば、Zn
2+及び/又はMn
2+)を含み、結合部位が空間構造的にお互いに近づくキサンチンと相互作用をする一つのイソロイシンと、一つのアラニンと、一つのプロリンと、一つのグリシン残基を含む。
【
図8】UniRef50_Q3AEA1の全てのキサンチンアミドヒドロラーゼの進化システム樹形図である。灰色表記が各樹状分岐から菌株を選択して、Bacillus firmus、Clostridium cylindrosporum DSM 605、Clostridium purinilyticum、Carbydothermus hydrogenoformans、菌株ATCC BAA-161/DSM 6008/Z-2901、及びPaenibacillus donghaensisを代表し、それらをコードする登録番号がそれぞれA0A366K523と、A0A0J8G334と、A0A0L0W692と、Q3AEA1と、A0A2Z2KEH1とであるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を
図9において配列比較を行う。
【
図9】五つ異なるの種のBacillus firmus、Clostridium cylindrosporum DSM 605、Clostridium purinilyticum、Carbydothermus hydrogenoformans、菌株ATCC BAA-161/DSM 6008/Z-2901)、及びPaenibacillus donghaensisであり、コードする登録番号がそれぞれA0A366K523と、A0A0J8G334と、A0A0L0W692と、Q3AEA1と、A0A2Z2KEH1とであるキサンチンアミドヒドロラーゼの配列比較の結果、触媒部位が二つの2価金属(例えば、Zn
2+又はMn
2+等)及びそれと配位する背景が灰色である四つのヒスチジン(H)と、一つのリジン(K)と、一つのアスパラギン酸(D)残基(実線枠)とを含み、結合部位がキサンチンと結合する背景が灰色である一つのイソロイシン(I)と、一つのアラニン(A)と、一つのプロリン(P)と、一つのグリシン残基(G)とを含む。
【配列の簡単な説明】
【0007】
SEQ ID NO:1は、Bacillus firmus,CGMCC1.2010により発現するキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:2は、PCR増幅に用いられるキサンチンアミドヒドロラーゼの核酸分子をコードする上流プライマーのヌクレオチド配列を示す。
SEQ ID NO:3は、PCR増幅に用いられるキサンチンアミドヒドロラーゼの核酸分子をコードする下流プライマーのヌクレオチド配列を示す。
SEQ ID NO:4は、Clostridium purinilyticaにより発現する登録番号がA0A0L0W692であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:5は、Thermoflavimicrobium sp. FBKL4.011により発現する登録番号がA0A364K317であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:6は、Marininema halotoleransにより発現する登録番号がA0A1I6SUY8であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:7は、Clostridiaceae bacteriumにより発現する登録番号がA0A3D2NSM2であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:8は、Bacillus sp. 2_A_57_CT2により発現する登録番号がE5WNF6であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:9は、Paenibacillus sp. FSL H8-0259により発現する登録番号がA0A1R1CK18であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:10は、Thermoflavimicrobium dichotomicumにより発現する登録番号がA0A1I3U261であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:11は、Fictibacillus enclensisにより発現する登録番号がA0A0V8JCN2であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:12は、Marininema mesophilumにより発現する登録番号がA0A1H2QVP9であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:13は、Paenibacillus sp. FSLR5-0912により発現する登録番号がA0A089K5P4であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:14は、Paenibacillus typhaeにより発現する登録番号がA0A1G9DGW2であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:15は、Tissierella praeacuta DSM18095により発現する登録番号がA0A1M4UHZ6であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:16は、Bacillus sp. cl95により発現する登録番号がA0A1I6C7J4であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:17は、Bradyrhizobium japonicumにより発現する登録番号がA0A0A3XEE6であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:18は、Bacillus firmusにより発現する登録番号がA0A380XTT6であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:19は、Acidaminobacter hydrogenoformans DSM 2784により発現する登録番号がA0A1G5S5P6であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:20は、Caloranaerobacter sp. TR13により発現する登録番号がA0A0P8Z9T7であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:21は、Tissierella sp. P1により発現する登録番号がA0A265Q2B2であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:22は、Bacillus sp. 3-2-2により発現する登録番号がA0A429Y566であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:23は、Paenibacillus donghaensisにより発現する登録番号がA0A2Z2KEH1であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:24は、Gottschalkia acidurici(菌株ATCC 7906/DSM 604/BCRC 14475/CIP 104303/NCIMB 10678/9a)により発現する登録番号がK0AWA5であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:25は、Bacillus fortisにより発現する登録番号がA0A443IKX3であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:26は、Bacillus oceanisediminisにより発現する登録番号がA0A2V2ZNB0であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:27は、Virgibacillus profundiにより発現する登録番号がA0A2A2IEE5であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:28は、Paenibacillus sp. FSL R7-0331により発現する登録番号がA0A089MDW3であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:29は、Bacillus sp. FJAT-21945により発現する登録番号がA0A0M0X8C9であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:30は、Tissierella praeacutaにより発現する登録番号がA0A3F3S6I2であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:31は、Bacillus oceanisediminisにより発現する登録番号がA0A1S1YDG4であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:32は、Bacillus sp. OV194により発現する登録番号がA0A1I1X526であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:33は、Anaeromicrobium sediminisにより発現する登録番号がA0A267MJF0であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:34は、Thermosyntropha lipolytica DSM 11003により発現する登録番号がA0A1M5RDL0であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:35は、Alkaliphilus peptidifermentans DSM 18978により発現する登録番号がA0A1G5KXH0であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:36は、Aneurinibacillus migulanusにより発現する登録番号がA0A1G8Q7H9であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:37は、Paenibacillus sp. IHB B 3415により発現する登録番号がA0A0B2F3Z2であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:38は、Marinisporobacter balticusにより発現する登録番号がA0A4R2KME8であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:39は、Bacillus terraeにより発現する登録番号がA0A429X0W8であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:40は、Tindallia californiensisにより発現する登録番号がA0A1H3Q6T8であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:41は、Clostridium acidurici(菌株ATCC 7906/DSM 604/BCRC 14475/CIP 104303/NCIMB 10678/9a)により発現する登録番号がK0B360であるキサンチンアミドヒドロラーゼであるアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:42は、Romboutsia lituseburensis DSM 797により発現する登録番号がA0A1G9M635であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:43は、Paraclostridium bifermentans ATCC 19299により発現する登録番号がT4V5T0であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:44は、Bacillus praediiにより発現する登録番号がA0A4R1ATL6であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:45は、Carbydothermus islandicusにより発現する登録番号がA0A1L8D5S0であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:46は、Caloramator australicus RC3により発現する登録番号がI7KTT3であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:47は、Paraclostridium bifermentans ATCC 638により発現する登録番号がT4VRB8であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:48は、Tepidimicrobium xylanilyticumにより発現する登録番号がA0A1H2RLU1であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:49は、Aneurinibacillus migulanusにより発現する登録番号がA0A0K2WJ73であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:50は、Bacillus bacteriumにより発現する登録番号がA0A3D0EBN7であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:51は、Bacillus notoginsengisoliにより発現する登録番号がA0A417YW08であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:52は、Bacillus oceanisediminis 2691により発現する登録番号がA0A160MBB4であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:53は、Paenibacillus sp. FSL R7-0273により発現する登録番号がA0A089LXU3であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:54は、Clostridium]ultunense Espにより発現する登録番号がM1ZGS5であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:55は、Bacillus freudenreichiiにより発現する登録番号がA0A448FF64であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:56は、Caloramator fervidusにより発現する登録番号がA0A1H5RUL9であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:57は、Bacillus oceanisediminisにより発現する登録番号がA0A4R8GVS7であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:58は、Soehngenia saccharolyticaにより発現する登録番号がA0A4T9ZWH0であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:59は、Bacillus firmus DS1により発現する登録番号がW7LB72であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:60は、Thermotalea metallivoransにより発現する登録番号がA0A140L3I5であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:61は、Ornithinibacillus halophilusにより発現する登録番号がA0A1M5FNK3であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:62は、Thermosyntropha lipolytica DSM 11003により発現する登録番号がA0A1M5LQE8であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:63は、Fictibacillus sp. S7により発現する登録番号がA0A4Q2HRQ1であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:64は、Bacillus mesonaeにより発現する登録番号がA0A3Q9QZ31であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:65は、Clostridium purinilyticaにより発現する登録番号がA0A0L0W688であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:66は、Tindallia magadiensisにより発現する登録番号がA0A1I3ETA9であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:67は、Paenibacillus borealisにより発現する登録番号がA0A089LHF8であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:68は、Paraclostridium benzoelyticumにより発現する登録番号がA0A0M3DN30であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:69は、Bacillus solaniにより発現する登録番号がA0A0Q3QMR7であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:70は、Thermohalobacter berrensisにより発現する登録番号がA0A419T2I0であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:71は、Acinetobacter sp. RIT592により発現する登録番号がA0A369PBX6であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:72は、Maledivibacter halophilusにより発現する登録番号がA0A1T5JUM9であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:73は、Tissierella creatininiにより発現する登録番号がA0A4T9WHZ3であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:74は、堆肥メタゲノム(compost metagenome)により発現する登録番号がA0A3R1HSK2であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:75は、Natronincola peptidivoransにより発現する登録番号がA0A1I0F3P2であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:76は、Bacillus firmusにより発現する登録番号がA0A0J5YTU9であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:77は、Anaerovirgula multivoransにより発現する登録番号がA0A239FV01であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:78は、Carbydothermus hydrogenoformans(菌株ATCC BAA-161/DSM 6008/Z-2901)により発現する登録番号がQ3AEA1であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:79は、Sporanaerobacter acetigenes DSM 13106により発現する登録番号がA0A1M5YST8であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:80は、Proteiniborus sp. DW1により発現する登録番号がA0A1M4MA63であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:81は、Bacillus sp. 7894-2により発現する登録番号がA0A268IWM5であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:82は、Clostridium]ultunense Espにより発現する登録番号がA0A1M4PLJ1であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:83は、Virgibacillus indicusにより発現する登録番号がA0A265N7L4であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:84は、Paenibacillus sp. NFR01により発現する登録番号がA0A1I0KAI3であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:85は、Andreesenia angustaにより発現する登録番号がA0A1S1V3Q5であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:86は、Paenibacillus sp. DMB5により発現する登録番号がA0A117T0P2であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:87は、Paludifilum halophilumにより発現する登録番号がA0A235B9X8であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:88は、Proteiniborus ethanoligenesにより発現する登録番号がA0A1H3NJW1であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:89は、Alkaliphilus metalliredigens(菌株QYMF)により発現する登録番号がA6TWT7であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:90は、Fictibacillus solisalsiにより発現する登録番号がA0A1G9U6Z5であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:91は、Sporosarcina globisporaにより発現する登録番号がA0A0M0GGH4であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:92は、Bacillus firmusにより発現する登録番号がA0A366K523であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:93は、Paenibacillus sp.FSL R5-0490により発現する登録番号がA0A1R1FFH4であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:94は、Alkaliphilus sp.により発現する登録番号がA0A2G2MLE4であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:95は、Alkaliphilus oremlandii(菌株OhILAs)により発現する登録番号がA8MLA7であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:96は、Caloramator mitchellensisにより発現する登録番号がA0A0R3JVG6であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:97は、Clostridium cylindrosporum DSM 605により発現する登録番号がA0A0J8G334であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:98は、Ammoniphilus sp. CFH 90114により発現する登録番号がA0A4Q1SWC2であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:99は、Carbydothermus pertinaxにより発現する登録番号がA0A1L8CSM0であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:100は、Soehngenia sp. 1933Pにより発現する登録番号がA0A4Z0D783であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:101は、Soehngenia saccharolyticaにより発現する登録番号がA0A4T9ZOT2であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:102は、Natribacillus halophilusにより発現する登録番号がA0A1G8N2H8であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:103は、堆肥メタゲノム(compost metagenome)により発現する登録番号がA0A403WBU6であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:104は、堆肥メタゲノム(compost metagenome)により発現する登録番号がA0A3R4A6V9であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列を示す。
【本願に対する詳細な説明】
【0008】
図1は、人体における各種プリンの代謝経路を示し、各種プリンの代謝終産物が尿酸塩であり、尿酸塩が関節と腎臓等の部位での蓄積が痛風の原因である。
図2には酸素需要型蛋白であるキサンチンオキシダ-ゼがキサンチンの分解を触媒して尿酸を産生する過程を示す。痛風を治療する薬物であるアロプリノールがキサンチンオキシダ-ゼの抑制により、尿酸の産生を抑制して、痛風を治療する(
図3)。G.D.VOGELSらが(Degradation of Purines and Pyrimidines by Microorganisms,Bacteriological Reviews,June 1976,Vol.40,No.2,p.403-468)Clostridium cylindrosporumが無酸素条件でキサンチンをイミノメチルグリシンに分解できると報告した。
図4がキサンチンアミドヒドロラーゼが無酸素条件でキサンチンを分解する反応式を示す。本願の発明者が無酸素条件下でのプリン分解が重大な意味を持つことに気づき、人体の腸が無酸素環境であるため、腸のプリンに対する吸收の先に、腸内でプリンを分解できることが、痛風の予防、関与、緩和及び/又は治療に対して新たな考え方である。本願の発明者が生物情報学の方法を利用して、大量な作業を行なってから、無酸素条件下でキサンチンを分解するキサンチンアミドヒドロラーゼを成功に鑑定できた。
【0009】
説明がある以外に、本願において使用される用語は当業者が一般的に理解する意味を有する。
【定義】
【0010】
説明がある以外に、それぞれ、核酸は5’から3’までの方向で左から右へ記載される。アミノ酸配列がアミノ基からカルボキシ基までの方向で左から右へ記載する。数字範囲が当該範囲を限定する数字を含む。アミノ酸は、本文において周知される三つのアルファベット符号又はIUPAC-IUB生物化学命名委員会により推薦する一つのアルファベット符号で表される。同様に、一般的に納得できるシングルアルファベットでヌクレオチドを表すこともできる。明細書の全体を参考して、より十分に上記のように定義される用語を定義する。
【0011】
本願の「ポリペプチド」と「蛋白」が本文において交換使用でき、アミノ酸残基のポリマー及びその変異体と、合成のと、天然的に存在する類似体を示す。したがって、これらの用語が天然的に存在するアミノ酸ポリマー及びその天然的に存在する化学誘導体、及び一個又は複数個のアミノ酸残基が合成的で非天然的に存在するアミノ酸(例えば、対応的に天然的に存在するアミノ酸の化学類似体)のアミノ酸ポリマーに適用する。そのような誘導体には、例えば、翻訳後に修飾及び分解された産物を含み、ポリペプチドフラグメントのリン酸化、グリコシル化、酸化、異性化、カルボキシル化、及び脱アミノ化変異体を含む。
【0012】
本文において使用される「酵素活性中心」という用語は、酵素分子中に基質分子と直接に結合でき、基質の化学反応を触媒する部位を示し、この部位を酵素の活性中心となる。一般に、活性中心は主に二つの機能部位で構成されると考えられている。一つ目が触媒部位で、基質の結合がここで切断され、又は新しい結合が形成されて、特定の化学変化を起こる。二つ目が結合部位で、酵素の基質がこの部位により酵素分子に結合する。機能部位は、酵素分子中に立体構造的に近い少数のアミノ酸残基或いは当該残基のある基により構成されて、一次構造では距離が遠くてもよいが、異なるペプチド鎖に位置することもあり、ペプチド鎖を巻き、畳むことにより、空間構造的にお互いに近づく。補酵素が必要とする酵素にとって補酵素分子(例えば、金属イオンZn2+及び/又はMn2+)又は補酵素分子のある部分の構造も機能部位の構成部分である。
【0013】
本文において使用される「アミノ酸」という用語は、カルボン酸の炭素原子上の水素原子がアミノ基により置換された化合物を示し、アミノ酸分子にアミノ基及びカルボキシル基の二つの官能基が含まれる。天然に存在する、及び非天然に存在するアミノ酸とアミノ酸類似体と模倣体を含む。天然に存在するアミノ酸が、蛋白質生合成に使用される20種類の(L)-アミノ酸、及び4-ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、カルボキシル化リジン、デスモシン、イソデスモシン、ホモシステイン、シトルリン、オルニチンを含む。非天然に存在するアミノ酸が、例えば(D)-アミノ酸、ノルロイシン、ノルバリン、p-フルオロフェニルアラニン、エチオニン等を含み、これらが当業者に知られている。アミノ酸類似体が、天然及び非天然に存在するアミノ酸の修飾形態を含む。この修飾が、例えばアミノ酸の化学基及び部分を置換して、又はアミノ酸の誘導化を含み得る。アミノ酸模倣体が、例えば機能的に類似性質を表す有機構造を含み、前記性質が、例えばアミノ酸の電荷及び電荷空間特性である。例えば、アルギニン(Arg又はR)を模倣する有機構造は、類似する分子空間に位置し、且つ天然に存在するArgアミノ酸の側鎖のe-アミノ基と同じ程度の移動度を有する正電荷部分を有する。模倣体は、さらにアミノ酸又はアミノ酸官能基の最適な空間及び電荷相互作用を維持するための拘束構造も含む。当業者は、どの構造が機能的に同等のアミノ酸類似体及びアミノ酸模倣体を構成するかを決定できる。
【0014】
本文において使用される「アイソザイム」という用語は、生体内において同じ反応を触媒し、分子構造が異なる酵素を示す。
【0015】
本文において使用される「核酸」という用語は、mRNA、RNA、cRNA、cDNA又はDNAを示し、一本鎖及び二本鎖のDNAを含む。当該用語が、一般的に、少なくとも10塩基長であるヌクレオチドのポリマー形態を指し、当該ヌクレオチドが、リボヌクレオチド、又はデオキシヌクレオチド、又はいずれのタイプのヌクレオチドの修飾形態である。
【0016】
本文において使用される「コード」という用語は、特定の核酸の文脈において使用される場合、当該核酸が当該ヌクレオチド配列から特定蛋白に翻訳することを教示する必要な情報を含むことを示す。コドンを使用してコード蛋白の情報を示す。蛋白をコードする核酸が当該核酸の翻訳領域内の非翻訳配列(例えば、イントロン)を含み得るか、又はそのような介在非翻訳配列(例えば、cDNAにあるように)を欠き得る。
【0017】
本文において使用される特定のポリヌクレオチド又はそれによりコードされる蛋白に係る「全長配列」は、天然(非合成)内因性配列を有する核酸配列全体又はアミノ酸配列全体を示す。全長ポリヌクレオチドは、当該特定の蛋白質の全長、触媒活性形式をコードする。
【0018】
本文において使用される「単離的」という用語は、ポリペプチド、又は核酸、又はその生物学的活性部分を示し、天然に存在して環境で発見できる一般的に蛋白質又は核酸に付随又は反応する成分を基本的又は実質的に含まない。したがって、組換え技術によって単離されたポリペプチド又は核酸を産生する場合、単離されたポリペプチド又は核酸は、他の細胞材料又は培地を基本的に含まないか、或いは化学的に合成される場合、単離されたポリペプチド又は核酸は、化学前駆体又は他の化学物質を基本的に含まない。
【0019】
本文において使用される「発現ベクター」という用語は、組換え又は合成により産生された核酸構築体であり、特定の核酸が宿主細胞内で転写することを可能にする一連の特定の核酸要素を有する。
【0020】
本文において使用される「宿主細胞」という用語は、形質転換と形質導入(感染)において外来遺伝子を受ける細胞を示す。宿主細胞は、酵母細胞などの真核細胞又は大腸菌などの原核細胞であり得る。
【発明を実施するための形態】
【0021】
第一態様は、本願がポリペプチドを提供し、SEQ ID NO:1により示されるアミノ酸配列又はその機能的変異体を含み,前記機能的変異体がキサンチンアミドヒドロラーゼ活性を有する。
【0022】
第一態様のある実施形態において、その空間構造的下記のように定義される触媒部位を有する。
前記触媒部位が、空間構造的にお互いに近づく、SEQ ID NO:1を参照するH59と、H61と、K151と、H186と、H242と、D316アミノ酸残基を含む。
第一態様のある実施形態において、前記触媒部位が、さらに2価金属イオンを含む。
第一態様のある実施形態において、前記触媒部位が、さらに二つの2価金属イオン、例えばZn2+及び/又はMn2+を含む。
第一態様のある実施形態において、前記ポリペプチドが、さらに空間構造的に下記のように定義される結合部位を有する。
前記結合部位が、空間構造的にお互いに近づく、SEQ ID NO:1を参照するI288と、A289と、P338と、G339アミノ酸残基を含む。
第一態様のある実施形態において、前記触媒部位と前記結合部位との距離が5オングストローム(Å)以下である。
第一態様のある実施形態において、前記機能的変異体がSEQ ID NO:1により示されるアミノ酸配列の天然アイソザイムである。
【0023】
第一態様のある実施形態において、前記天然アイソザイムは、Bacillus firmus、compost metagenome、Clostridium purinilyticum、Thermoflavimicrobium sp.、Marininema halotolerans、Clostridiaceae bacterium、Bacillus sp.、Paenibacillus sp.、Thermoflavimicrobium dichotomicum、Fictibacillus enclensis、Marininema mesophilum、Paenibacillus typhae、Tissierella praeacuta、Bradyrhizobium japonicum、Acidaminobacter hydrogenoformans、Caloranaerobacter sp.、Tissierella sp.、Paenibacillus donghaensis、Gottschalkia acidurici、Clostridium acidurici、Bacillus fortis、Bacillus oceanisediminis、Virgibacillus profundi、Anaeromicrobium sediminis、Thermosyntropha lipolytica、Alkaliphilus peptidifermentans、Aneurinibacillus migulanus、Bacillus bacterium、Marinisporobacter balticus、Bacillus terrae)、Tindallia californiensis、Romboutsia lituseburensis、Paraclostridium bifermentans、Bacillus praedii、Carbydothermus islandicus、Caloramator australicus、Paraclostridium bifermentans、Tepidimicrobium xylanilyticum、Bacillus notoginsengisoli、[Clostridium]ultunense Esp、Bacillus freudenreichii、Caloramator fervidus、Soehngenia saccharolytica、Thermotalea metallivorans、Ornithinibacillus halophilus、Fictibacillus sp.、Bacillus mesonae、Tindallia magadiensis、Paenibacillus borealis、Paraclostridium benzoelyticum、 Bacillus solani、Thermohalobacter berrensis、Acinetobacter sp.、Maledivibacter halophilus、Tissierella creatinini、Natronincola peptidivorans、Anaerovirgula multivorans、Carbydothermus hydrogenoformans、Sporanaerobacter acetigenes、Proteiniborus sp.、Virgibacillus indicus、Andreesenia angusta、Paludifilum halophilum、Proteiniborus ethanoligenes、Alkaliphilus metalliredigens、Fictibacillus solisalsi、Sporosarcina globispora、Alkaliphilus sp.、Alkaliphilus oremlandii、Caloramator mitchellensis、Clostridium cylindrosporum、Ammoniphilus sp.、Carbydothermus pertinax、Soehngenia sp.とNatribacillus halophilusから由来する。
第一態様のある具体的な実施形態において、前記天然アイソザイムがSEQ ID NO:4~104のいずれかにより示されるアミノ酸配列を含む。
第一態様のある実施形態において、前記機能的変異体が、SEQ ID NO:1により示されるアミノ酸配列又はその天然アイソザイムに基づいて、一個又は複数個のアミノ酸の挿入、置換及び/又は欠損を起こることにより産生される。
第一態様のある実施形態において、前記挿入、置換及び/又は欠損が、触媒部位において起こらない。
第一態様のある実施形態において、前記挿入、置換及び/又は欠損が、結合部位において起こらない。
第一態様のある実施形態において、前記挿入、置換及び/又は欠損が、触媒部位及び結合部位において起こらない。
第一態様のある実施形態において、前記アミノ酸の挿入、置換及び/又は欠損の数が1~30個であり、1~20個が好ましい、1~10個がさらに好ましい、得られる機能的変異体が基本的に変更のないキサンチンアミドヒドロラーゼの活性を保持する。
第一態様のある実施形態において、前記機能的変異体とSEQ ID NO:1により示されるアミノ酸配列とは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸の挿入、置換及び/又は欠損の差がある。
第一態様のある実施形態において、前記機能的変異体とSEQ ID NO:1により示されるアミノ酸配列とは、1、2、3、4、又は5個のアミノ酸の挿入、置換及び/又は欠損の差がある。
第一態様のある実施形態において、前記ポリペプチドが単離なポリペプチドである。
【0024】
第二態様は、本願が核酸分子を提供し、第一態様に記載されるポリペプチドをコードする。
【0025】
第二態様のある実施形態において、本願の核酸分子が、SEQ ID NO:1とSEQ ID NO:4~104のいずれかにより示されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列と厳格条件で交雑するヌクレオチド配列を含み、又はSEQ ID NO:1とSEQ ID NO:4~104のいずれかにより示されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列と特異的に交雑して、且つSEQ ID NO:1とSEQ ID NO:4~104のいずれかにより示されるポリペプチドと機能的に同様なポリペプチドをコードする核酸配列により組成する。
【0026】
当業者がDNAを交雑する厳格条件を一般的に選択できる。一般的に、適切なアニーリングを行うために、より長いプローブに対してより高い温度が必要され、より短いプローブに対してより低い温度が必要とする。交雑することが、一般的に、相補鎖がその融解温度より低い環境にあるときに変性DNAが再びアニーリングする能力に依存する。プローブと交雑可能な配列との間の相同性の程度が高いほど、使用できる相対温度が高くなる。したがって、より高い相対温度は反応条件をより厳しくする傾向があり、一方、より低い温度では、厳格度はより低くなる。交雑反応の厳格条件の詳細については、Ausubelら,Current Protocols in Molecular Biology,Wiley Interscience Publishers,(1995)を参照できる。
【0027】
第二態様のある実施形態において、DNA交雑に使用される厳格条件が、(1)洗浄のとき、低イオン強度と高温を使用し、例えば50°Cの0.015M塩化ナトリウム/0.0015Mクエン酸ナトリウム/0.1%ドデシル硫酸ナトリウム、(2)交雑のとき、ホルムアミド等の変性剤を使用し、例えば42°C、50%(v/v)ホルムアミドに0.1%ウシ血清アルブミン/0.1%Ficoll/0.1%ポリジエニルピロリドン/pH 6.5の50mMリン酸ナトリウムバッファー、及び750mM塩化ナトリウム、75mMクエン酸ナトリウムを添加する、又は(3)42°Cでオーバーナイトして交雑し、交雑溶液に50%ホルムアミド、5×SSC(0.75M塩化ナトリウム、0.075Mクエン酸ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH 6.8)、0.1%ピロリン酸ナトリウム、5×Denhardt’s溶液、超音波処理した鮭の精子DNA(50mg/mL)、0.1%SDSと10%デキストラン硫酸を含み、そして0.2×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)中、42°Cで10分間の洗浄を行って、さらにEDTAを含有する0.1×SSCで55°Cで高厳格度の洗浄を行うこと含む。中等厳格条件がSambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,NewYork:Cold Spring Harbor Press,1989中の記載により決定できる。中等厳格条件は、厳格度が上記より低い洗浄溶液と交雑条件(例えば、温度、イオン強度、SDSパーセンテージ)とを採用することを含む。例えば、中等厳格条件は、少なくとも約16%v/vから少なくとも約30%v/vまでのホルムアミドと、少なくとも約0.5Mから少なくとも約0.9Mまでの塩を用いて42°Cで交雑して、及び少なくとも約0.1Mから少なくとも約0.2Mまでの塩を用いて55°Cで洗浄することを含む。中等厳格条件は、さらに、1%ウシ血清アルブミン(BSA)、1mM EDTA、0.5M NaHPO4(pH 7.2)、7%SDSを用いて65°Cで交雑して、及び(i)2×SSC、0.1%SDS、又は(ii)0.5%BSA、1mM EDTA、40mM NaHPO4(pH 7.2)、5%SDSを用いて60~65°Cで洗浄することを含む。プロフェッショナルがプローブの長さ等の要因により、温度、イオン強度等を調整できる。核酸を交雑するときの厳格度は、核酸分子の長さと相補性の程度、及び他の本分野において周知される変数による。二つのヌクレオチド配列の間の類似性又は相同性が大きいほど、これら配列を含む核酸ヘテロ接合体のTmが大きくなる。核酸交雑の相対的安定性(より高いTmに対して)が下記の順番で減少する:RNA:RNA、DNA:RNA、DNA:DNA。好ましく、交雑可能な核酸の最低長さが少なくとも約12個のヌクレオチドであり、少なくとも約16個が好ましい、少なくとも約24個がより好ましい、少なくとも約36個のヌクレオチドがもっとも好ましい。
【0028】
本願の核酸分子は、他のDNA配列と組み合わせることが可能であり、前記他のDNA配列、例えば、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、他の制限酵素サイト、ポリクローニングサイト、他のコーディングフラグメント等、それらの全長を著しく異ならせることができる。したがって、ほぼ任意の長さのポリヌクレオチドフラグメントを利用することが考えられる。全長は、意図する組換えDNAプロトコールでの調製及び使用の容易さによって制限されることが好ましい。
【0029】
本分野内に知られる及び得られる多種の成熟した技術中のいずれか一種を利用して、ポリヌクレオチド及びその融合物を調整、操縦及び/又は発現することができる。例えば、本願のポリペプチド又はその機能的変異体をコードする核酸分子は、組換えDNA分子に用いられて、ポリペプチドが適当な宿主細胞に発現することを指導する。遺伝コードの固有の縮重性により、基本的に同じ又は機能的に同等のアミノ酸配列をコードする他のDNA配列も本願に用いられ、これらの配列が、所定のポリペプチドをクローニング及び発現することに用いられる。
【0030】
なお、本願の核酸分子は、遺伝子産物のクローニング、プロセシング、発現及び/又は活性の改変を含むことに限らず、当技術分野で周知される方法を使用して操作することができる。
【0031】
第二態様のある実施形態において、前記核酸分子は、人工合成、例えば直接な化学合成又は酵素合成により産生される。
第二態様のある実施形態において、前記核酸分子は、組換え技術により産生される。
第二態様のある実施形態において、前記核酸分子は、単離された核酸分子である。
第三態様は、本願が発現キットを提供し、第二態様に記載される核酸分子を含む。
第三態様のある具体的な実施形態において、発現キットは、翻訳を促進するように作用する5′リーダー配列をさらに含んでもよい。
【0032】
発現キットを調製する際に,各種DNAフラグメントを操作して、DNA配列を適切な方向に、適切な場合には適切な読み枠を提供しえる。当該目的を達成するために、アダプター又はリンカーを使用してDNAフラグメントを結合してもよく、又は便利な制限部位を提供、過剰なDNAを除去、制限部位を除去などのために、他の操作を含んでもよい。当該目的のために、体外誘発、プライマー修復、制限性、アニーリング、転移(transition)及びトランスバージョン(transversion)などの再置換が関与し得る。
【0033】
第四態様は、本願が発現ベクターを提供し、第二態様に記載される核酸分子又は第三態様に記載される発現キットを含む。
第四態様のある実施形態において、いずれの適切な発現ベクターを本願に用いることができる。例えば、前記発現ベクターがpET28、pET14、HT-1N-TAG-2691、pRS416等のキャリアのいずれか一種であってもよい。
第四態様のある実施形態において、SEQ ID NO:1とSEQ ID NO:4~104中のいずれか一項により示されるポリペプチドをコードする核酸分子は、キャリアにクローニングされて、本願の前記核酸分子を含む組換えキャリアを構成する。
第四態様のある実施形態において、ポリヌクレオチドをクローニングするための発現ベクターがプラスミドキャリアである。
第四態様のある実施形態において、上記発現ベクターは、さらに、核酸分子の発現を調節する制御配列,前記核酸分子と前記制御配列とは操作可能に接続する。
【0034】
本文において使用される「制御配列」という用語は、それと連続するコード配列の発現を実現するためのポリヌクレオチドである。こういう制御配列の性質が宿主生物により変化する。原核生物において、こういう制御配列は、一般的に、プロモーター、リボソーム結合部位、及びターミネーターを含み、真核生物において、こういう制御配列は、一般的に、プロモーター、ターミネーター、及びある場合のエンハンサーを含む。したがって、「調節配列」という用語は、その存在が目的遺伝子の発現にとって最小限必要であるすべての配列を含み、その存在が目的遺伝子の発現にとって有利である、リーダー配列などの他の配列も含み得る。
【0035】
本文において使用される「操作可能に接続する」という用語は、係る配列は、それらを所望の方法で機能させることを可能にする関係にあることを示す。したがって、例えば、あるコード配列に「操作可能に接続する」制御配列は、前記制御配列と適合する条件下で当該コード配列の発現を実現させる。
【0036】
第四態様のある実施形態において、当業者によく知られる方法を利用して、SEQ ID NO:1とSEQ ID NO:4~104中のいずれか一項により示されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列と、適切な転写/翻訳の制御素子を含む発現ベクターを構築する。これらの方法は、体外組換えDNA技術、DNA合成技術、体内組換え技術等(Sambroook,et al.Molecular Cloning,a Laboratory Manual,cold Spring Harbor Laboratory.New York,1989)を含む。ヌクレオチド配列は、操作可能に発現ベクター中の適当なプロモーターに接続して、mRNAの合成を指導する。これらプロモーターの代表的な実例には:大腸菌のlac又はtrpプロモーター;λバクテリオファージのPLプロモーター;真核プロモーターには、CMV前初期プロモーター、HSVチミジンキナーゼプロモーター、初期及び後期SV40プロモーター、レトロウイルスのLTR、及びいくつかの他の既知の制御可能な遺伝子が原核細胞又は真核細胞又はそれらのウイルスで発現するプロモーターが含まれる。発現ベクターには、翻訳開始用のリボソーム結合部位と転写ターミネーターなども含まれる。ベクターにエンハンサー配列が挿入されると、高等真核細胞での転写が増強される。エンハンサーは、遺伝子の発現のシス作用因子であり、一般的に約10~300個の塩基対の長さで、遺伝子の転写を促進するためにプロモーターに作用する。実例には、複製開始点の後期側の100~270の塩基対のSV40エンハンサー、複製開始点の後期側のポリオーマエンハンサー、及びアデノウイルスエンハンサー等がある。
【0037】
なお、形質転換の宿主細胞を選択するための表現型形質、例えば、抗硫酸カナマイシン、抗アンピシリン等をコードするなどの遺伝子を提供するために、発現ベクターは一個又は複数個の選択的表記遺伝子を含むことが好ましい。
【0038】
第五態様は,本願が宿主細胞を提供し、第二態様に記載される核酸分子、第三態様に記載される発現キット又は第四態様に記載される発現ベクターを含む。
第五態様のある実施形態において、前記宿主細胞は、SEQ ID NO:1により示されるアミノ酸配列又はその機能的変異体を含むポリペプチドを発現、産生でき、前記機能的変異体は、キサンチンアミドヒドロラーゼ活性を有する。
第五態様のある実施形態において、前記ポリペプチドは、在空間構造的に下記のように定義される触媒部位を有する:
空間構造的にお互いに近づく、SEQ ID NO:1に参照するH59と、H61と、K151と、H186と、H242と、D316アミノ酸残基を含む。
第五態様のある実施形態において、前記触媒部位が、さらに2価金属イオンを含む。
第五態様のある具体的な実施形態において、前記触媒部位が、さらに二つの2価金属イオン、例えば、Zn2+及び/又はMn2+を含む。
第五態様のある具体的な実施形態において、前記ポリペプチドは、空間構造的に下記のように定義される触媒部位と結合部位を有する:
前記触媒部位が、空間構造的にお互いに近づく、SEQ ID NO:1に参照するH59と、H61と、K151と、H186と、H242と、D316アミノ酸残基及び二つの2価金属イオン(例えば、Zn2+及び/又はMn2+)を含み、と
前記結合部位が、空間構造的にお互いに近づく、SEQ ID NO:1に参照するI288と、A289と、P338と、G339アミノ酸残基を含む。
【0039】
第五態様のある実施形態において、使用可能な宿主細胞は上記の発現ベクターを含む細胞であり、真核細胞であってもよく、例えば酵母細胞培養システムが本願のポリペプチドの発現に用いられる。前記宿主細胞は、上記の発現ベクターを含む原核細胞であってもよく、例えばエシェリキア属(例えば大腸菌)、乳酸桿菌属、ビフィズス菌属、バクテロイデス門とファーミキューテス門等から選ばれる。
第五態様のある具体的な実施形態において、前記宿主細胞が酵母細胞又は大腸菌である。
第五態様のある具体的な実施形態において、本願の一種或又は複数種の酵素をコードする核酸分子は、遊離キャリアの形式で宿主細胞に存在してもよく、又は宿主細胞のゲノムへの組み込んでもよい。
【0040】
上記のいずれの態様に係る実施形態において、前記単離された核酸は操作可能に制御配列に接続して、制御配列が、発現ベクターで形質転換された宿主細胞によって認識される。
【0041】
形質転換、形質導入、トランスフェクション、ウイルス感染、遺伝子銃又はTi媒介の遺伝子導入を含む本分野に知られるいずれの技術を利用して発現ベクターを宿主細胞中に導入できる。具体的な方法は、包括リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション、リポフェクション又はエレクトロポレーション等を含む(Davis,L.,Dibner,M.,Battey,I.,Basic Methods in Molecular Biology,(1986))。例として、宿主は大腸菌のような原核生物である場合、指数増殖期の後にコンピテント細胞を獲得して、当分野で周知するCaCl2法を用いて形質転換することができる。
【0042】
第六態様,本願が薬物組成物又は保健食品を提供し、第一態様に記載されるポリペプチド、第二態様に記載される核酸分子、第三態様に記載される発現キット、第四態様に記載される発現ベクター又は第五態様に記載される宿主細胞、及び薬学的に許容されるキャリア又は賦形剤を含む。
第六態様のある実施形態において、前記薬物組成物又は保健食品が、痛風を予防及び/又は関与及び/又は治療に用いられる。
第六態様のある実施形態において、前記薬物組成物又は保健食品が、さらに、下記の一種又は複数種を含むことができる:タルク、ステアリン酸マグネシウム、鉱油などの潤滑剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、安息香酸、ソルビン酸、プロピオン酸カルシウムなどの防腐剤、甘味料及び/又は香味料など。
第六態様のある実施形態において、本願中の薬物組成物又は保健食品を、錠剤、丸薬、粉末、ロゼンジ、エリキシル、懸濁液、エマルジョン、溶液、シロップ、座薬又はカプセルの形に製剤できる。
第六態様のある実施形態において、本願の薬物組成物又は保健食品は腸管に投与できるいずれの手段によって送達することができ、経口投与が好ましい。
第六態様のある具体的な実施形態において、第五態様に記載される宿主細胞を経口投与用の腸溶性カプセルに調製する。
第六態様のある実施形態において、治療用途の薬学的組成物は、所望の純度の薬剤をいずれの薬学的に許容される担体、賦形剤などと混合することにより、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態で保存するために製剤化することができる。
【0043】
第七態様は、本願は、第一態様に記載されるポリペプチド、第二態様に記載される核酸分子、第三態様に記載される発現キット、第四態様に記載される発現ベクター、第五態様に記載される宿主細胞又は第六態様に記載される薬物組成物又は保健食品がプリンの分解においての用途を提供する。
第七態様のある実施形態において、前記プリンの分解が体外で起こる。
第七態様のある実施形態において、分解プリンが無酸素の環境下、例えば腸内で行う。
【0044】
第八態様は、本願は、第一態様に記載されるポリペプチド、第二態様に記載される核酸分子、第三態様に記載される発現キット、第四態様に記載される発現ベクター、第五態様に記載される宿主細胞又は第六態様に記載される薬物組成物又は保健食品が、痛風を予防、関与及び/又は治療する薬物の調製においての用途を提供する。
【0045】
第九態様は、本願は、痛風を予防、関与及び/又は治療する方法を提供し、必要のある個体に第一態様に記載されるポリペプチド、第二態様に記載される核酸分子、第三態様に記載される発現キット、第四態様に記載される発現ベクター、第五態様に記載される宿主細胞又は第六態様に記載される薬物組成物又は保健食品を供与することを含む。
【0046】
例示性な実施形態として、キサンチンの無酸素分解において、SEQ ID NO:1により示されるキサンチンアミドヒドロラーゼは、キサンチンを4-ウレア基-5-カルボキシイミダゾールに分解することにより、ヒトの細胞によるプリンの獲得が減少し、尿酸に変換される。この経路により、腸内でキサンチンを分解して、痛風を予防、関与及び/又は治療する。
【実施例】
【0047】
下記の実施例は説明的であり、本願の実施案の範囲又は請求項の的範囲を限定することではない。
【0048】
実施例1.キサンチンアミドヒドロラーゼをコードする遺伝子クローニングの調製
Bacillus firmus(CGMCC 1.2010)のゲノムをテンプレートとして、SEQ ID NO:2と3により示される上流プライマーと下流プライマーを用いてキサンチンアミドヒドロラーゼ(SEQ ID NO:1)をコードする核酸分子をPCR増幅して、キサンチンアミドヒドロラーゼをコードする遺伝子配列が得られる。Gibsonの方法を用いて、キサンチンアミドヒドロラーゼをコードする遺伝子配列をHT-1N-TAG-2691キャリア(His6ラベルとTEVプロテアーゼ切断部位を含む)のSspI制限性部位に挿入して、キサンチンアミドヒドロラーゼをコードする遺伝子を含む発現ベクターが得られる。
【0049】
実施例2.キサンチンアミドヒドロラーゼの組換え発現と精製
【0050】
2.1組換え発現
実施例1において構築されたキサンチンアミドヒドロラーゼをコードする遺伝子1が含まれる発現ベクターを大腸菌(Escherichia coli)BL21細胞に形質転換して、50μg/mL硫酸カナマイシンを含むLB寒天プレート上に塗布し、37°Cでオーバーナイト培養する。モノクローナルコロニーを選んで5mLの硫酸カナマイシン含有LB液体培地中に37°C、220rpmでオーバーナイト培養し、翌日に800mLのLB培養液中に移して拡大培養する。OD600値が0.8程度に達すると、温度を18°Cに下げて、終濃度が0.3mMであるIPTGを添加して、蛋白発現を誘導する。発現を誘導して16時間後に4°Cで4000Gの遠心を10分かけて、菌体を回収する。菌体沈殿を35mLライセート[50mM Tris/HCl、pH 8.0、1mMフッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)、0.2mg/mLリゾチーム、0.03%Triton X-100と1μLのDNase I]で再懸濁して、-80°Cで冷凍保存する。
【0051】
2.2精製
菌体を-80°Cから取り出して、25°Cにおいて40分間のウォーターバスでインキュベートして細胞を溶解する。6mLの6%硫酸ストレプトマイシン水溶液を加え、穏やかに混合して、4°C、20,000Gの速度で5分間遠心する。上清を0.22μmのメンブレンでろ過して、バッファーA(20mM Tris-HCl 7.5,0.2M KCl)で事前に平衡化された5mLのTALONコバルトカラムに結合し、10倍カラム体積のバッファーAでカラムを洗濯して、そして5倍カラム体積の150mMイミダゾールを含むバッファーB(20mM Tris-HCl 7.5,0.2M KCl、150mMイミダゾール、5mMβ-スルフヒドリル基エタノール)で目的蛋白を溶出する。溶出された蛋白溶液に70%まで硫酸アンモニアを加えて蛋白を飽和沈殿して、10,000Gで10分間遠心し、上清を捨て、沈殿用5mLバッファーC(20mM Tris-HCl 7.5,0.2M KCl、10%(v/v)グリセロール)で再懸濁して、G25カラムを用いて、塩を除去する。塩が除去された目的蛋白を分配して、液体窒素で急冷凍して、-80°Cで冷凍保存する。分光光度計により最終的に得られるキサンチンアミドヒドロラーゼの濃度を検出する。蛋白配列により、キサンチンアミドヒドロラーゼの吸光係数が55,810M
-1cm
-1である。1リットル毎の菌から平均約35mgの蛋白を精製できる。
図5は、キサンチンアミドヒドロラーゼを発現、精製する過程を示し、ゲル電気泳動の移動速度は、実際の分子量サイズ(55.7kDa)に対応する。
【0052】
実施例3.キサンチンアミドヒドロラーゼの活性検出
1mMキサンチン、4μM実施例2において得られたキサンチンアミドヒドロラーゼ、0.1mM Mn
2+、200mM Tris-HCl 7.5を含む1mLの溶液を30°Cでウォーターバス中に0.5hインキューベートして、システムを完全に反応させて、そして等体積のメタノール溶液を入れて均一に混和して、14,000Gで10分間遠心をかけ、0.22μmのメンブレンを通じて蛋白沈殿をろ過して、実験群とする。対象群はキサンチンアミドヒドロラーゼ及び2価金属イオンが添加されない反応であり、対象群と実験群との他の実験条件が同じである(表1)。実験が無酸素のグローブボックスで行い、蛋白溶液、反応バッファー等を含むすべての溶液がグローブボックスに入る前に、Schlenk線によって酸素を除去する。
LC-MSによってキサンチンアミドヒドロラーゼはキサンチンの加水分解開環を触媒することが検出され、対象群において産物ピークが検出されず、実験群において、分子量は169Daの産物ピークが検出されて、キサンチンアミドヒドロラーゼはキサンチンを分解できると証明した(
図6)。
【0053】
【0054】
実施例4.キサンチンアミドヒドロラーゼの活性中心鑑定
体外において、SEQ ID NO:1により示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドはキサンチンアミドヒドロラーゼ活性を有することが証明されてから、PHYRE2サーバーを利用して当該酵素に対して構造模倣を行って(
図7)、四つのヒスチジン、一つのリジン、一つのアスパラギン酸及び二つの2価金属イオン(Zn
2+及び/又はMn
2+)を含んで構成される触媒部位が示される。さらに、コンピューターソフトウェアを用いて、模倣したキサンチンアミドヒドロラーゼに対して、基質であるキサンチンのアンカードを行った結果から、活性中心にさらに一つのイソロイシン、一つのアラニン、一つのプロリンと、一つのグリシンから空間構造的にお互いに近づいて構成された結合部位と基質であるキサンチンと相互作用をすることが示される(
図7)。
【0055】
実施例5.キサンチンアミドヒドロラーゼのアイソザイム鑑定
本願の発明者が、さらにUniprotデータベースから、このキサンチンアミドヒドロラーゼアイソザイムUniRef50の配列(50%の同一配列をカバーして、キサンチンアミドヒドロラーゼの長さの80%を超える蛋白質配列)を見つかり、上記配列がいずれもUniRef50_Q3AEA1のクラスターにあり、全部101種の蛋白配列を含み、この101種の異なる種属由来の蛋白に対して進化樹分析(
図8)を行った。各進化分岐から一つの代表蛋白を選び、全部五種類の蛋白で、それぞれBacillus firmus、Clostridium cylindrosporum DSM 605、Clostridium purinilyticum、Carbydothermus hydrogenoformans(菌株ATCC BAA-161/DSM 6008/Z-2901)、及びPaenibacillus donghaensisから由来し、それらをコードする登録番号がそれぞれA0A366K523、A0A0J8G334、A0A0L0W692、Q3AEA1とA0A2Z2KEH1であるキサンチンアミドヒドロラーゼのアミノ酸配列に対して配列アラインメントを行った。配列アラインメントの結果から、上記の触媒位点と結合位点とのアミノ酸残基が高度保守的で、すべての五つの配列が上記アミノ酸残基を含むことを示し、これらの酵素がずべてキサンチンアミドヒドロラーゼであることを証明した(
図9)。表2にUniprotデータベースから見つかった101種のキサンチンアミドヒドロラーゼの登録番号、菌株由来及びアミノ酸配列号を示す。
【0056】
【0057】
実施例6.キサンチンアミドヒドロラーゼを発現する大腸菌の構築
本実施例は、キサンチンアミドヒドロラーゼ(SEQ ID NO:1)を発現できる大腸菌を構築した。
本実施例の重要な操作は、キサンチンアミドヒドロラーゼをコードする遺伝子を大腸菌のゲノムに組み込み、例えば、マルチコピー16sRNAの一つのコピー、それを安定に発現させるとともに、グアニントランスポーターとグアニンデヒドロゲナーゼを制御するプロモーターをgapAプロモーターに置換して、キサンチンアミドヒドロラーゼをコードする遺伝子を持続で安定的に発現させる。
本実施例は、構成型持続で安定的に発現するプロモーターgapAを用いてグアニントランスポーター及びグアニンデヒドロゲナーゼをコードするプロモーターを置換することが好ましい。通常、元のプロモーターが環境において窒素源が不足で、グアニンの窒素を利用する必要な場合にのみ発現するが、窒素源が十分な場合、制御される遺伝子が発現しない。食物中のグアニンが本発明のキサンチンアミドヒドロラーゼにより分解されるために、グアニントランスポーターとグアニンデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子を制御するプロモーターを、常に発現できるように置換する必要があり、これにより、グアニンは、上記の工程によって改造された大腸菌細胞内に効果的に転送され、グアニンデヒドロゲナーゼ及びキサンチンアミドヒドロラーゼの一連の作用によって分解され、それによって、ヒトの腸管がグアニンを吸収して尿酸に変換することを効果的に阻止できる。
【0058】
実施例7.キサンチンアミドヒドロラーゼを発現する大腸菌が痛風を治療することに用いられる
オキソニン酸(oxonic acid)を用いて誘導した高尿酸ラット又はウリカーゼノックアウトトランスジェニックマウスを痛風の動物モデルとして、実施例6に調製された各種大腸菌を腸溶性カプセルに調製する。同じ給餌条件下で、各種大腸菌腸溶性カプセルが痛風ラット及びマウスの血中尿酸含有量を減少できるかをテストする。
【0059】
実施例8.キサンチンアミドヒドロラーゼを発現する大腸菌が痛風を治療することに用いられる
【0060】
8.1ラット実験
SD雄性ラット(体重120g-150g)を選んで、各群6匹、同じ給餌条件下で、実験群、高尿酸血症群と対象群に分けられ、具体的な実験過程が以下のようである。
1.動物プレコンディショニング:≧7日間プレコンディショニング過程、普通の餌と普通の飲用水で給餌する。
2.抗生物質前処理:普通の餌で給餌し、飲用水に2mg/mLストレプトマイシン+1mg/mLアンピシリンを添加して、ラットを3日間給餌した後、給水停止>6時間後、続く胃管栄養処理をかける。
3.実験群:ラットに1%(w/w)アデニンを含む餌を毎日与え、2×10^10個の実施例6で調製した大腸菌を含む懸濁液200μLを2週間胃管栄養処理を行う。
高尿酸血症群:ラットに1%(w/w)アデニンを含む餌を毎日与え、二週間続ける。
対象群:ラットに普通の餌を毎日与え、二週間続ける。
二週間給餌後、眼窩から採血して、尿酸キットで血清中の尿酸含有量を検出する。
【0061】
8.2マウス実験
マウスBalb/c(8週齢)を選んで、各群5匹、同じ給餌条件下で、実験群、高尿酸血症群と対象群に分けて、具体的な実験過程が以下のようである。
1.動物プレコンディショニング:≧7日間プレコンディショニング過程、普通の餌と普通の飲用水で給餌する。
2.抗生物質前処理:普通の餌で給餌し、飲用水に2mg/mLストレプトマイシン+1mg/mLアンピシリンを添加してマウスを3日間給餌した後、給水停止>6時間後、続く胃管栄養処理をかける。
3.実験群:マウスに1%(w/w)アデニンを含む餌を毎日与え、胃管栄養法により200mg/kgオキシシアン酸カリウムを投与して、1×10^10個の実施例6で調製した大腸菌を含む懸濁液100μLを2週間胃管栄養処理を行う。
高尿酸血症群:マウスに0.1%(w/w)アデニンを含む餌を毎日与え、胃管栄養法により200mg/kgオキシシアン酸カリウムを投与して、二週間続ける。
対象群:普通の餌を毎日与え、二週間続ける。
二週間給餌後、眼窩から採血して、尿酸キットで血清中の尿酸含有量を検出する。
【0062】
上記が本願の各項発明の例示的実施形態について説明したが、本願の実質及び範囲から離れない限り、当業者は本願に説明された例示的実施形態に対して修正又は進化ができて、得られる変更形態も本願の範囲内に属す。
【配列表フリーテキスト】
【0063】
配列番号1~配列番号104:キサンチンアミドヒドロラーゼ
【配列表】