(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】自動利得制御方法、センサ及び無線電気素子
(51)【国際特許分類】
H03G 3/20 20060101AFI20240830BHJP
G01S 7/285 20060101ALI20240830BHJP
G01S 13/34 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
H03G3/20 A
G01S7/285 200
G01S13/34
(21)【出願番号】P 2022551272
(86)(22)【出願日】2021-02-25
(86)【国際出願番号】 CN2021077811
(87)【国際公開番号】W WO2021175144
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】202010136325.8
(32)【優先日】2020-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521162919
【氏名又は名称】加特▲蘭▼微▲電▼子科技(上海)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100151208
【氏名又は名称】植田 吉伸
(72)【発明者】
【氏名】朱 ▲硯▼
【審査官】及川 尚人
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-228240(JP,A)
【文献】特開2004-294092(JP,A)
【文献】特開2012-198070(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0014353(US,A1)
【文献】特開2002-082165(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0246006(US,A1)
【文献】特開2000-147087(JP,A)
【文献】特開平03-031783(JP,A)
【文献】国際公開第2017/175458(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03G 3/20
G01S 7/285
G01S 13/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動利得制御方法において、
センサの信号送受信リンクに適用され、前記信号送受信リンクにおいて送信される無線電気信号において、信号フレームは連続的な複数のユニット信号を含み、前記複数のユニット信号は、N個のテストユニット信号、及び、標的物体を検出するための少なくとも1つのスキャンユニット信号を含み、前記方法は、
第iテストユニット信号に対応するエコー信号である、第iテストエコーユニット信号の飽和情報を取得する段階と-i及びNは正の整数であり、i≦N-1、2≦Nである-、
前のi個のテストエコーユニット信号のうち、少なくとも1つのテストエコーユニット信号の飽和情報に基づいて
、送信される第i+1テストユニット信号に対応して受信される第i+1テストエコーユニット信号の強度に関する第i+1プリアンブル利得を決定する段階と、
前記信号送受信リンクは、前記第i+1プリアンブル利得に基づいて第i+1テストユニット信号を送信し、及び/または第i+1テストエコーユニット信号を受信する段階と、
i=N-1まで順番に循環させる段階と、
第Nテストエコーユニット信号の飽和情報、及びこの時前記センサ内のADC
(アナログ-デジタル変換器)の出力信号電力を取得する段階と、
前記第Nテストエコーユニット信号の飽和情報と前記ADCの出力信号電力に基づいて、後続の受信信号の強度が所定範囲内にあるように、
送信されるスキャンユニット信号に対応して受信されるスキャンエコーユニット信号の強度に関するスキャン利得を決定する段階と、
前記スキャン利得を用いて各前記スキャンユニット信号を送信し、及び/または各前記スキャンユニット信号に対応するスキャンエコーユニット信号を受信する段階と、を含
み、
前記第Nテストエコーユニット信号の飽和情報と前記ADCの出力信号電力に基づいてスキャン利得を決定する段階は、
前記第Nテストエコーユニット信号の飽和情報に基づいて前記信号送受信リンクにリンク飽和が発生するかどうかを判断する段階と、
前記リンク飽和が発生する場合、前記スキャン利得をデフォルト値に設定する段階と、
そうでない場合、前記ADCの出力信号電力に基づいて前記スキャン利得の値を決定する段階と、を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記デフォルト値は、前記信号送受信リンクの最小利得値または最大利得値であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記デフォルト値が前記信号送受信リンクの最大値である場合、前記ADCの入力信号が所定値より小さければ、前記ADCの出力信号に対して左シフト演算を行う段階をさらに含むことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ADCの出力信号電力に基づいて前記スキャン利得の値を決定する段階は、
前記ADCの出力信号電力に基づいて、ルックアップテーブル及び計算のうち、少なくとも1つを通じて前記スキャン利得の値を決定する段階を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記センサ内のADC
(アナログ-デジタル変換器)の出力信号電力を取得する前記段階は、
前記ADCの出力の第Nエコーユニット信号中の各値の二乗の平均値を計算することによって前記ADCの出力信号電力を決定する段階、または
前記ADCの出力の第Nエコーユニット信号の有効領域内の所定順序の絶対値を前記ADC
の出力信号電力として使用する段階を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ADCの出力信号電力は、前記ADCの出力の第Nエコーユニット信号の有効領域の中で最も大きい絶対値またはその次に大きい絶対値であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
初期利得を用いて第1テストユニット信号を送信し、前記第1テストユニット信号と対応する第1テストエコーユニット信号を受信する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記センサは少なくとも2つの信号送受信リンクを含み、前記方法は、
いずれかの信号送受信リンクに対して、各前記信号送受信リンクそれぞれに対応するスキャン利得を決定する段階をさらに含み、
ここで各前記信号送受信リンクは、それぞれ対応するスキャン利得に基づいて信号の送信及び受信のうち、少なくとも1つを行うか、または
各前記信号送受信リンクは、最小のスキャン利得に基づいて信号の送信及び受信のうち、少なくとも1つを行うことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ユニット信号の個数または前記信号フレームの周期の長さに基づいて、信号フレーム内の前記複数のユニット信号を前記N個のテストユニット信号及び前記少なくとも1つのスキャンユニット信号に分割する段階、または
元の信号フレームに基づいて、前記N個のテストユニット信号を増加させて、前記N個のテストユニット信号及び前記少なくとも1つのスキャンユニット信号を含む信号フレームを形成する段階をさらに含み、
ここで、前記N個のテストユニット信号は、前記信号フレームにおいて連続的に分布されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
いずれかの信号フレームに対して、前記N個のテストユニット信号は、前記信号フレームの頭部に位置してプリアンブルユニット信号を形成し、
ここで前記信号送受信リンクは、前記スキャン利得に基づいて、現在のフレーム信号内の各前記スキャンユニット信号を送信し、及び/または現在のフレーム信号内の各前記スキャンユニット信号に対応するスキャンエコーユニット信号を受信することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
いずれかの信号フレームに対して、前記N個のテストユニット信号は、前記信号フレームの尾部に位置し、
ここで前記信号送受信リンクは、前記スキャン利得に基づいて、次のフレーム信号内の各前記スキャンユニット信号を送信し、及び/または次のフレーム信号内の各前記スキャンユニット信号に対応するスキャンエコーユニット信号を受信することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
いずれかのテストユニット信号に対して、前記テストユニット信号に対応するテストエコーユニット信号の飽和情報を取得する段階は、
前記テストユニット信号の送信開始と送信終了の間の時間区間内に、前記信号送受信リンクにリンク飽和が発生する回数を統計する段階を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記テストユニット信号の送信開始と送信終了の間の時間区間内に、前記信号送受信リンクにリンク飽和が発生する回数が所定値より大きいかどうかを判断する段階と、
所定値より大きい場合、リンク飽和を決定する段階と、
そうでない場合、リンク未飽和を決定する段階と、をさらに含むことを特徴とする、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
各前記スキャンユニット信号を送信する時、前記信号送受信リンクの飽和情報を統計する段階と、
前記信号送受信リンクの飽和情報に基づいて前記スキャン利得の値を動的調整する段階と、をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記無線電気信号は、周波数変調連続波信号であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
利得構成テーブルを事前に設定する段階と、
前記利得構成テーブルに基づいてルックアップテーブル方式を通じて前記第i+1プリアンブル利得及び前記スキャン利得のうち、少なくとも1つを取得する段階をさらに含み、
ここで各テストエコーユニット信号は、それぞれ1つの利得構成テーブルに対応し、または前記テストエコーユニット信号は、同一の利得構成テーブルに対応することを特徴とする、請求項1ないし請求項
15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
センサにおいて、
無線電気信号を送信及び受信するのに使用される信号送受信リンクと、
受信した無線電気信号に対してデジタル信号処理を行うのに使用されるアナログ-デジタル変換器ADCと、
請求項1ないし請求項
15のいずれか1項による方法を実行して前記信号送受信リンクに対して自動利得制御を行うのに使用される自動利得制御装置と、を含むことを特徴とするセンサ。
【請求項18】
前記方法は、利得構成テーブルを事前に設定する段階と、
前記利得構成テーブルに基づいてルックアップテーブル方式を通じて前記第i+1プリアンブル利得及び前記スキャン利得のうち、少なくとも1つを取得する段階をさらに含み、
ここで各テストエコーユニット信号は、それぞれ1つの利得構成テーブルに対応し、または前記テストエコーユニット信号は、同一の利得構成テーブルに対応することを特徴とする、請求項
17に記載のセンサ。
【請求項19】
前記センサは、ミリ波レーダであることを特徴とする、請求項
17に記載のセンサ。
【請求項20】
前記自動利得制御装置は、前記センサ内のデジタル回路モジュールまたはデジタル回路プロセッサであることを特徴とする、請求項
17に記載のセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年3月2日に中国特許庁に提出された出願番号202010136325.8、発明の名称が「レーダ信号の利得制御方法及び装置」である中国特許出願に対する優先権を主張する。本出願はその全体内容を参照として引用した。
【0002】
本出願は、自動利得制御の技術分野に関するものであって、より詳しくは、自動利得制御方法、センサ及び無線電気素子に関するものである。
【背景技術】
【0003】
各種センサ(例えばレーダ)の適用において、反射物(または標的物)の形状、サイズ及びこれとセンサとの距離等の要因の影響によって、センサが受信する信号(すなわち、エコー信号)の強度が絶え間なく変更され得る。
【0004】
しかし、センサ内の信号の受信リンクが耐えられる信号電力は一定の閾値範囲を有する。つまり、センサ内の信号の受信リンクが耐えられる最大信号電力は一定である。したがって、エコー信号の信号電力が前記最大信号電力を超過する場合、受信リンクで受信する信号が歪んでしまう場合がある。したがって、センサが標的物体のデータを正確に検出することができず、甚だしくはセンサが完全に機能喪失(blinding)する場合がある。同様に、センサ内の信号の受信リンクで受信することができる最小信号電力も一定である。エコー信号の信号電力が前記最小信号電力未満である場合、受信リンクが受信する信号に比較的大きい量子化雑音(Quantization Noise)が導入され得る。したがって、センサに検出漏れ及び誤検出等の問題が発生する場合がある。
【発明の詳細な説明】
【0005】
これを考慮して、本出願の実施例は、自動利得制御(Automatic Gain Control、AGC)方法、センサ及び無線電気素子を提供する。これは、テストエコー情報の飽和情報を用いて、送受信リンクの利得係数を調整する。これを通じて、受信した標的検出用の信号電力が所定の閾値範囲内にあるように保障することができる。また、センサの標的検出の精度を向上させ、検出漏れ、誤検出、機能喪失等の欠陥が発生することを防止することができる。
【0006】
前記問題を解決するために、本出願の実施例において提供する技術的解決策は以下の通りである。
【0007】
第1様相において、本出願は自動利得制御方法を提供し、これは、センサの信号送受信リンクに適用され得る。前記信号送受信リンクにおいて送信される無線電気信号において、信号フレームは連続的な複数のユニット信号を含む。前記複数のユニット信号は、N個のテストユニット信号、及び、少なくとも1つのスキャンユニット信号を含む。
【0008】
前記方法は、第iテストユニット信号に対応する第iテストエコーユニット信号の飽和情報を取得する段階と-i及びNは正の整数であり、i≦N-1、2≦Nである-、
前のi個のテストエコーユニット信号のうち、少なくとも1つのテストエコーユニット信号の飽和情報に基づいて第i+1プリアンブル利得を決定する段階と、
前記信号送受信リンクは、前記第i+1プリアンブル利得に基づいて第i+1テストユニット信号を送信し、及び/または第i+1テストエコーユニット信号を受信する段階と、
i=N-1まで順番に循環させる段階と、
第Nテストエコーユニット信号の飽和情報、及び、この時前記センサ内のアナログ-デジタル変換器(Analog-to-Digital Convertor、ADC)出力信号電力を取得する段階と、
前記第Nテストエコーユニット信号の飽和情報と前記ADC出力信号電力に基づいてスキャン利得を決定する段階と、
前記スキャン利得を用いて各前記スキャンユニット信号を送信し、及び/または各前記スキャンユニット信号に対応するスキャンエコーユニット信号を受信する段階と、を含むことができる。
【0009】
前記実施例において、テストエコーユニット信号の飽和情報及びセンサのADC出力信号電力を用いることによって、検出信号を後続的に送信及び/または受信するリンク利得を調整する。これを通じて、センサが後続的に受信する受信信号の強度が所定範囲内にあるように保障する。よって、信号の歪みが発生することを効果的に防止し、標的情報検出の精度を向上させることができる。同時に比較的大きい量子化雑音が導入されることを効果的に防止して、検出漏れ及び誤検出が発生する可能性を防止することができる。
【0010】
また、本実施例中の操作方法は、センサのデジタル部分において実行される。したがって、回路設計の複雑性を効果的に下げ、自動利得制御の柔軟性を向上させることもできる。また、センサの受信及び送信の協業作業を具現することができる。
【0011】
前記テストユニット信号とスキャンユニット信号間の形状は同一または類似すると言う点に留意する。したがって、取得されたテストエコーユニット信号の強度は、スキャンエコーユニット信号において受信リンクの強度を比較的リアルに反映することができる。一部特殊な応用シナリオの場合、テストユニット信号とスキャンユニット信号間の形状を若干異なるように設定をして実際の需要を満たすこともできる。
【0012】
選択的一実施例において、前記第Nテストエコーユニット信号の飽和情報及び前記ADC出力信号電力に基づいてスキャン利得を決定する前記段階は、
前記第Nテストエコーユニット信号の飽和情報に基づいて前記信号送受信リンクにリンク飽和が発生するかどうかを判断する段階と、
前記リンク飽和が発生する場合、前記スキャン利得をデフォルト値に設定する段階と、
そうでない場合、前記ADC出力信号電力に基づいて前記スキャン利得の値を決定する段階と、を含むことができる。
【0013】
前記実施例において、テストエコーユニット信号の飽和情報及びADCで出力した信号電力を通じてスキャン利得を決定する。具体的に、まず第Nテストエコーユニット信号の飽和情報に基づいて信号送受信リンクにリンク飽和が発生するかどうかを決定する。信号リンクに飽和が発生したものと決定された場合、スキャン利得をデフォルト値に設定する。信号リンクに飽和が発生しなかったものと決定された場合、ADC出力信号電力に基づいてスキャン利得の値を決定する。これによって、出力信号の実際の状況に応じてリアルタイムに調整し、送受信リンクが前記スキャン利得に応じてスキャンユニット信号を送信し、または前記スキャン利得に応じてスキャンユニット信号に対応するスキャンエコーユニット信号を受信できるように保障する。そのようにして、送信されたスキャンユニット信号が標的物体を検出できるように保障し、受信されたスキャンエコーユニット信号を通じて標的物体の距離等の情報を決定できるように保障する。
【0014】
選択的一実施例において、前記デフォルト値は、前記信号送受信リンクの最小利得値または最大利得値である。
【0015】
前記実施例において、信号送受信リンクにリンク飽和が発生した場合、これは、受信信号の強度が所定範囲内にあることを意味するため、標的物体を決定する正確性を保障することができる。この場合、現在の信号の電力に基づいて動的調整を行う必要なく、信号送受信リンクのスキャン利得を最小利得値または最大利得値に設定することができる。
【0016】
選択的一実施例において、前記方法は以下の段階をさらに含むことができる。
【0017】
前記デフォルト値が前記信号送受信リンクの最大値である場合、ADCの入力信号が所定値未満であれば、前記ADC出力信号に対して左シフト演算を行う。入力信号が非常に小さくリンク利得がすでに最大に調整された場合、ADC出力データに対して左シフト演算を行うことによって、基底帯域のデジタル処理の精度を保障する。
【0018】
選択的一実施例において、前記ADC出力信号電力に基づいて前記スキャン利得の値を決定する前記段階は、以下の段階を含むことができる。
【0019】
前記ADC出力信号電力に基づいて、ルックアップテーブル(Look up Table、LUT)及び/または計算を通じて前記スキャン利得の値を決定する。
【0020】
選択的一実施例において、前記センサ内のADC出力信号電力を取得する段階は、
前記ADC出力の第Nエコーユニット信号中の各値の二乗の平均値を計算することによって前記ADC出力信号電力を決定する段階、または
前記ADC出力の第Nエコーユニット信号の有効領域内の所定順序の絶対値を前記ADC出力信号電力として使用する段階を含む。
【0021】
選択的一実施例において、前記ADC出力の第Nエコーユニット信号の有効領域の中で最も大きい絶対値またはその次に大きい絶対値を前記ADC出力信号電力として使用する。
【0022】
選択的一実施例において、前記方法は以下の段階をさらに含むことができる。
【0023】
初期利得を用いて第1テストユニット信号を送信し、前記第1テストユニット信号と対応する第1テストエコーユニット信号を受信する。
【0024】
選択的一実施例において、前記センサは少なくとも2つの信号送受信リンクを含む。
【0025】
前記方法は、いずれかの信号送受信リンクに対して、各前記信号送受信リンクそれぞれに対応するスキャン利得を決定する段階をさらに含む。
【0026】
ここで各前記信号送受信リンクは、それぞれ対応するスキャン利得に基づいて信号の送信及び/または受信を行う。
【0027】
また、各前記信号送受信リンクは、最小のスキャン利得に基づいて信号の送信及び/または受信を行う。
【0028】
本実施例において、少なくとも2つの信号送受信リンクのセンサに対して、各信号送受信リンクは相互独立的にAGC調整を行うことができる。このように異なる信号送受信リンク間のスキャン利得は相違し得る。すなわち、各信号送受信リンクは、各AGC調整後に取得したスキャン利得を採択し、後続的に角度測定を必要としない標的検出作業を行うことができる。角度測定が必要な場合、各信号送受信リンクは、後続的な標的検出作業を行う前にまずスキャン利得を統一しなければならない。すなわち、各信号送受信リンクは、同一のスキャン利得(一般的に取得した各信号送受信リンクのスキャン利得のうち最も小さいスキャン利得)に基づいて後続的な標的検出作業を行わなければならない。これを通じてシステム位相差が導入され、後続的な角度測定の結果に影響を及ぼすことを防止する。
【0029】
具体的に、各信号送受信リンクの最後のテストユニット信号の送信終了前に、最終的なスキャン利得を選択することができる。リンク決定の各テストユニット信号の送信終了前に、各信号送受信リンク間の利得がすべて一致するように維持してAGC作業を行うこともできる。
【0030】
選択的一実施例において、前記方法は、
ユニット信号の個数または前記信号フレームの周期の長さに基づいて、信号フレーム内の前記複数個の信号フレームを前記N個のテストユニット信号及び前記少なくとも1つのスキャンユニット信号に分割する段階、または
元の信号フレームに基づいて、前記N個のテストユニット信号を増加させて、前記N個のテストユニット信号及び前記少なくとも1つのスキャンユニット信号を含む信号フレームを形成する段階をさらに含むことができる。
【0031】
ここで、前記N個のテストユニット信号は、前記信号フレームにおいて連続的に分布される。
【0032】
選択的一実施例において、いずれかの信号フレームに対して、前記N個のテストユニット信号は、前記信号フレームの頭部に位置してプリアンブルユニット信号を形成する。
【0033】
ここで前記信号送受信リンクは、前記スキャン利得に基づいて、現在のフレーム信号内の各前記スキャンユニット信号を送信し、及び/または現在のフレーム信号内の各前記スキャンユニット信号に対応するスキャンエコーユニット信号を受信する。
【0034】
選択的一実施例において、いずれかの信号フレームに対して、前記N個のテストユニット信号は、前記信号フレームの尾部に位置する。
【0035】
ここで前記信号送受信リンクは、前記スキャン利得に基づいて、次のフレーム信号内の各前記スキャンユニット信号を送信し、及び/または次のフレーム信号内の各前記スキャンユニット信号に対応するスキャンエコーユニット信号を受信する。
【0036】
選択的一実施例において、いずれかのテストユニット信号に対して、前記テストユニット信号に対応するテストエコーユニット信号の飽和情報を取得する段階は、
前記テストユニット信号の送信開始と送信終了の間の時間区間内に、前記信号送受信リンクにリンク飽和が発生する回数を統計する段階を含む。
【0037】
選択的一実施例において、前記方法は、
前記テストユニット信号の送信開始と送信終了の間の時間区間内に、前記信号送受信リンクにおいてリンク飽和が発生する回数が所定値より大きいかどうかを判断する段階と、
所定値より大きい場合、リンク飽和が発生したものと定義する段階と、
そうでない場合、リンク飽和が発生しなかったものと定義する段階と、をさらに含むことができる。
【0038】
選択的一実施例において、前記方法は、
各前記スキャンユニット信号を送信する時、前記信号送受信リンクの飽和情報を統計する段階と、
前記信号送受信リンクの飽和情報に基づいて前記スキャン利得の値を動的調整する段階と、をさらに含むことができる。
【0039】
前記信号送受信リンクが前記スキャンユニット信号を送信する時、前記フレーム信号内のスキャンユニット信号送信が完了する時まで固定されたスキャン利得を採択して前記スキャンユニット信号を送信することができる。固定されたスキャン利得を採択して後続の所定フレーム内の前記スキャンユニット信号を送信することもできる。同様に、実際の需要に基づいて、現在統計した飽和情報に基づいてスキャン利得に対してリアルタイムの動的調整を行うこともできる。しかし、同一のユニット信号は固定された利得を採択して信号の送受信作業を行う。
【0040】
選択的一実施例において、前記無線電気信号は、周波数変調連続波信号(Frequency Modulation Continuous Wave、FMCW)である。
【0041】
FMCW波は、複数の連続的なユニット信号(chirp、チャープ)で構成されたフレーム構造である。N個のテストユニット信号をプリアンブルテスト信号として用いて信号強度推定を行うことによって、リンクの利得構成を取得する。同時にAGC設計アルゴリズムは、デジタル回路またはDSP等のデジタルモジュールを用いて具現することができる。RF(radio frequency)またはアナログリンクにフィードバックを追加してAGCを行うことに比べて、本実施例の技術的解決策は、利得調節のリアルタイム性を効果的に向上させることができるだけでなく、回路設計が簡単で設計された回路が実際のAGC適用において柔軟性が比較的高い。また、リンク利得を自己適応的に調整することによって、多様な応用シナリオに適用して受信及び送信の協業作業を具現することもできる。
【0042】
選択的一実施例において、前記方法は、
利得構成テーブルを事前に設定する段階と、
前記利得構成テーブルに基づいてルックアップテーブル方式を通じて前記第i+1プリアンブル利得及び/または前記スキャン利得を取得する段階と、をさらに含むことができる。
【0043】
ここで各エコー信号ユニットは、それぞれ1つの利得構成テーブルに対応する。また、すべてのエコー信号ユニットは、1つの利得構成テーブルに対応する。
【0044】
第2様相において、本出願の実施例は、センサをさらに提供する。
【0045】
ここでは、無線電気信号を送信及び受信するのに使用される信号送受信リンクと、
受信した無線電気信号に対してデジタル信号処理を行うのに使用されるADC装置と、
本出願の第1様相による方法に基づいて前記信号送受信リンクに対して自動利得制御を行うのに使用される自動利得制御装置と、を含むことができる。
【0046】
選択的一実施例において、前記センサは、ミリ波レーダであり得る。
【0047】
選択的一実施例において、前記自動利得制御装置は、前記センサ内のデジタル回路モジュールまたはデジタル回路プロセッサ(Digital Signal Processor、DSP)である。
【0048】
第3様相において、本出願の実施例は自動利得制御の方法をさらに提供し、これは、無線電気素子に適用される。
【0049】
前記方法は、前記無線電気素子が受信する信号の強度を取得する段階と、
前記無線電気素子が受信する信号の強度に対してデジタル信号処理を行い、ルックアップテーブル方式を通じてリンクの利得構成を取得する段階と、
前記リンクの利得構成に基づいて信号を送信し、及び/または信号を受信する段階と、を含む。
【0050】
前記実施例において、信号強度とリンク利得間の対応関係を事前に記憶することができる。受信された信号の強度を決定した後、前記信号強度及び前記対応関係を通じてリンクの利得構成を決定することができる。
【0051】
本実施例において、衝突がないことを前提として、前記自動利得制御の方法は、本出願の他の実施例に説明された内容を参考及び結合して具体的に実施することができる。また、実際の適用と共に、その他の実施例に説明された関連した技術的内容を結合して適切に調整することにより、本実施例中の自動利得制御の関連段階を具現することができる。
【0052】
第4様相において、本出願の実施例は、無線電気素子をさらに提供する。
【0053】
ここには、信号を受信するのに使用される信号送受信リンク、及び、
本出願の第4様相によるいずれかの実施例の方法に基づいて前記リンクの利得構成を取得するのに使用される自動利得制御装置がさらに含まれ得る。ここで前記自動利得制御装置は、前記リンクの利得構成に基づいて信号を送信し、及び/または信号を受信するのにさらに使用される。
【0054】
前記実施例中の無線電気素子は、通信用素子であり得る。レーダ等のように、標的検出用のセンサ素子であってもよい。これは、受信されたテスト信号の飽和情報及びデジタル回路処理結果に基づいて、素子の信号受信リンクの利得を調整する。また、後続的に受信した通信用、標的検出用等の信号強度を受信リンクの閾値範囲内に収まるようにする。さらに、受信機が適切なリンク利得環境で作業することを可能にすると同時に、相応するモデル、回路等を簡単かつ柔軟に効率が高くなるようにする。
【0055】
第5様相において、本出願の実施例は、センサをさらに提供する。前記センサは、所定の時間区間(例えば1つまたは複数個のフレーム)で標的検出を行う時、自動利得制御段階及び標的検出段階を備えることができる。すなわち、自動利得制御段階において、センサは、送受信リンクの利得係数の調整を自己適応的に行うことができる。これを通じて、標的検出段階で受信したエコー信号が所定の閾値範囲内にあるように保障し、全標的検出過程の中で前記二つの段階は順番に循環することができる。
【0056】
例えば、FMCWレーダセンサの場合、1つのフレーム信号内の前部分(例えば3個または5個等)のチャープ信号(chirp)をプリアンブル信号として用いて自動利得制御を行うことができる。残りの部分のチャープ信号は、スキャン信号として使用して標的検出を行うのに使用され得る。すなわち、各フレーム信号のプリアンブル信号の送信段階は、標的検出段階である。後続的なスキャン信号の送信段階は、自動利得制御段階と見なすことができる。同時に、連続フレーム信号の場合、現在のフレーム信号内の後部分のチャープ信号を次のフレーム信号のプリアンブル信号として使用して自動利得制御を行うこともできる。また、各フレームの前部分のチャープ信号をスキャン信号として標的検出を行う。
【0057】
前記自動利得制御段階及び標的検出段階の分割は、ユニット信号(例えばチャープ信号)を送信して具現する機能によって分割することができ、時間領域に沿って分割することもできることに留意する。具体的に、実際の需要に応じて適応的に調整することができる。
【0058】
具体的に、前記センサは、
無線電気信号を送信するのに使用される信号送信リンクと、
エコー信号を受信するのに使用される信号受信リンクと、
前記信号受信リンクと結合して、前記信号受信リンクが前記エコー信号を受信する時に各素子が飽和状態にあるかどうかを検出するのに使用される検出器と、
それぞれ前記信号送信リンク、前記信号受信リンク、及び前記検出器と連結されるコントローラと、を含むことができる。
【0059】
ここで、自動利得制御段階において、前記コントローラは、前記検出器が出力する飽和状態の情報に基づいて、前記信号送信リンク及び/または前記信号受信リンクの利得係数を調整するのに使用される。
【0060】
選択的一実施例において、前記信号受信リンクは、順番に連結されたローノイズアンプLNAと、トランスインピーダンスアンプTIAと、第1可変利得アンプVGA1と、第2可変利得アンプVGA2と、含む。これによって前記エコー信号に対して信号処理を行う。
【0061】
ここで前記検出器は、それぞれ前記トランスインピーダンスアンプの出力端、前記第1可変利得アンプの出力端、及び/または第2可変利得アンプの出力端と連結される。これを通じて、前記信号処理遂行時、前記トランスインピーダンスアンプ、前記第1可変利得アンプ、及び/または前記第2可変利得アンプの飽和状態の情報をリアルタイムに検出する。
【0062】
選択的一実施例において、前記検出器は、第1検出器と、第2検出器と、第3検出器と、を含む。
【0063】
前記第1検出器は、前記トランスインピーダンスアンプの出力端に連結される。これは、前記トランスインピーダンスアンプが前記信号処理を行う時、第1飽和状態の情報を検出及び出力するのに使用される。
【0064】
前記第2検出器は、前記第1可変利得アンプの出力端に連結される。前記第1可変利得アンプが前記信号処理を行う時、第2飽和状態の情報を検出及び出力するのに使用される。
【0065】
前記第3検出器は、前記第2可変利得アンプの出力端に連結される。前記第2可変利得アンプが前記信号処理を行う時、第3飽和状態の情報を検出及び出力するのに使用される。
【0066】
ここで前記コントローラは、前記第1飽和状態の情報、第2飽和状態の情報、及び前記第3飽和状態の情報に基づいて、前記信号送信リンク及び/または前記信号受信リンクの利得係数を調整する。これを通じて自動利得制御を具現する。
【0067】
選択的一実施例において、前記信号受信リンクは、
それぞれ前記第2可変利得アンプの出力端と連結され、前記エコー信号に対してアナログ-デジタル変換を行ってADCデータを出力するのに使用されるアナログ-デジタル変換器をさらに含む。
【0068】
前記コントローラは、前記アナログ-デジタル変換器の出力端に連結される。
【0069】
ここで、前記自動利得制御段階の終了時、前記コントローラは、前記アナログ-デジタル変換器で出力する現在のADCデータ及び前記検出器で出力する現在の飽和状態の情報を取得し、さらに前記現在のADCデータ及び前記現在の飽和状態の情報に基づいてスキャン利得係数を取得するのに使用される。
【0070】
次の標的検出段階において、前記コントローラは、前記スキャン利得係数に基づいて、前記信号送信リンク及び/または前記信号受信リンクが無線電気信号の送信及び受信を行うように制御するのにさらに使用される。
【0071】
選択的に、各前記検出器は、
受信したエコー信号に対してサンプリング及び電力比較を行うのに使用されるサンプリング比較モジュールと、
前記サンプリング比較モジュールにおいてサンプリングした信号電力値が所定値より大きい回数をカウントするのに使用されるカウントモジュールと、
前記カウントモジュールがユニットで出力した数値と所定の閾値を比較するのに使用される比較モジュールと、を含む。
【0072】
ここで、前記自動利得制御段階中、各ユニット信号の送信終了前に、前記ユニット信号の送信の間に前記カウントモジュールのカウント値が前記所定の閾値よりも大きい場合、前記比較モジュールは飽和状態にあるものとして飽和状態の情報を出力する。
【0073】
選択的に、前記自動利得制御段階内において、前記コントローラは、前記検出器で出力する飽和状態の情報に基づいてルックアップテーブル及び/または計算を通じて中間利得係数を取得して、前記信号送信リンク及び/または前記信号受信リンクの利得係数を前記中間利得係数で調整して次のユニット信号の送信及び/または受信を行うのに使用される。
【図面の簡単な説明】
【0074】
以下では、本出願の実施例または従来の技術中の技術的解決策をより明確に説明するために、実施例または従来の技術の説明に使用されるべき添付図面を簡略に紹介する。以下の添付図面は本出願に記載された一部実施例に過ぎず、本出願が属する技術分野の当業者は、創意的な努力なしにこれらの図面から異なる図面を得ることができる。
【0075】
【
図1】本出願の実施例において提供する自動利得制御方法のフロー図である。
【
図2】本出願の実施例において提供するテストエコーユニット信号処理のブロック図である。
【
図3】本出願の実施例において提供する有効区間の概略図である。
【
図4a】本出願の実施例において提供する送信信号の構造図である。
【
図4b】本出願の実施例において提供する異なる送信信号の構造図である。
【
図5a】本出願の実施例において提供するレーダ作業の原理図である。
【
図5b】本出願の実施例において提供する周波数変調連続波の概略図である。
【
図6】本出願の実施例において提供する異なる自動利得制御方法のフロー図である。
【
図7】本出願の実施例において提供するセンサの構造図である。
【
図8】本出願の実施例において提供する異なるセンサの構造図である。
【
図9】本出願の実施例において提供する無線電気素子の構造図である。
【発明の実施のための形態】
【0076】
本出願の前記目的、特徴及び利点をより明確に、かつ理解しやすく説明するために、以下では添付図面と具体的な実施方式を参照して本出願の実施例をより詳しく説明する。
【0077】
本出願において提供する技術的解決策に対する理解を助けるために、以下ではレーダを例に挙げて本出願に言及された関連技術的内容を詳しく説明する。本技術分野の当業者に公知された技術に基づいて、本出願に記載された内容は、その他のセンサ及び通信等の無線電気素子に拡張適用され得ることに留意する。
【0078】
実際の適用において、レーダの受信リンクが耐えられるエコー信号の強度は制限的である。したがって、レーダの標的検出の正確性を保障するために、エコー信号の強度を所定の閾値範囲内に制御する必要がある。前記問題を解決するために、現在、主にRF/アナログ回路上にフィードバック回路を追加して、フィードバック回路でフィートバックする信号を通じて受信利得及び/または送信利得を調整する。しかし、前記のような方式は、回路設計が複雑で柔軟性が比較的劣る。また、受信/送信リンクの協業作業が比較的困難であり得る。
【0079】
前記問題に対して、本出願の実施例は自動利得制御方法を提供する。これは、デジタル回路またはデジタル信号処理器(DSP)を通じて自動利得調整を行うことができる。これは、回路設計が簡単であるだけでなく、デジタル信号を変更して適切に調整することができる。したがって、柔軟性が効果的に向上し、受信リンクと送信リンク間の協業作業を具現することができる。
【0080】
本出願の実施例において提供する自動利得制御方法に対する理解を助けるために、以下では添付図面を参照して前記方法を説明する。
【0081】
図1を参照すると、前記図面は、本出願の実施例において提供する自動利得制御方法のフロー図である。前記方法は、センサまたはその他無線電気素子の信号送受信リンク上に適用され得る。信号送受信リンクにおいて送信する無線電気信号には、複数の信号フレームが含まれ得る。少なくとも一部信号フレームは、連続的な複数のユニット信号を含むことができる。前記複数のユニット信号は、N個のテストユニット信号、及び、少なくとも1つのスキャンユニット信号を含むことができる。前記方法は以下の段階を含む。
【0082】
S101:第iテストユニット信号と対応する第iテストエコーユニット信号の飽和情報を取得する。
【0083】
本実施例において、信号送受信リンクで送信した送信信号中の各テストユニット信号に対して、前記テストユニット信号に対応するテストエコーユニット信号の飽和情報を取得する。ここで、前記テストユニット信号に対応するテストエコー信号は、前記テストユニット信号が物体によって反射された後に送受信リンクによって受信された信号を意味する。選択的一実施例において、テストエコー信号の飽和情報は、前記テストエコー信号のうち受信リンクで受信することができる信号の閾値範囲を超える信号情報と見なすことができる。
【0084】
また、第iテストユニット信号に対応するテストエコーユニット信号の飽和情報を取得する段階は、テストユニット信号の送信開始から送信終了の間の時間区間内に、信号送受信リンクにリンク飽和が発生する回数を統計する段階を含むことができる。具体的に、信号送受信リンクにリンク飽和が発生する回数が所定値より大きいかどうかを判断する。所定値より大きい場合、信号送受信リンクに飽和が発生したものと決定することができる。そうでない場合、信号送受信リンクに飽和が発生しなかったものと決定することができる。
【0085】
具体的に、
図2は、信号受信リンクに対して設定した飽和状態検出器の構造図である。前記実施例において、信号受信リンクは、順番に連結されたローノイズアンプLNA、可変利得アンプVGA1、可変利得アンプVGA2、及びエコー信号サンプリングモジュールADC等を含むことができる。また、ローノイズアンプLNAと可変利得アンプVGA1の間、可変利得アンプVGA1と可変利得アンプVGA2の間には、図面に図示された通りのフィルタを設けることができる。同時に、ローノイズアンプLNAとフィルタの間には、トランスインピーダンスアンプTIA(未図示)をさらに設けることができる。これに対応して、図面に図示された検出器は、前記ローノイズアンプLNA、トランスインピーダンスアンプTIA、可変利得アンプVGA1、及び/または可変利得アンプVGA2の出力端に連結され得る。これを通じて、ローノイズアンプLNA、トランスインピーダンスアンプTIA、可変利得アンプVGA1、及び/または可変利得アンプVGA2が、自動利得制御段階においてエコー信号を処理する時に飽和状態にあるかどうかを検出することができる。
【0086】
選択的一実施例において、1つまたは複数の検出器を用いて、前記信号受信リンク内の各素子に対して飽和状態の検出を行うことができる。一部素子に対してのみ飽和状態の検出を行うこともできる。例えば、第1検出器、第2検出器及び第3検出器をそれぞれ設けて、ローノイズアンプ(またはトランスインピーダンスアンプ)、可変利得アンプVGA1、及び可変利得アンプVGA2に対してそれぞれ飽和状態の検出(未図示)を行うことができる。また、前記3つの検出器において出力する飽和状態の情報データを結合して自動利得制御を行い、ADC出力データを結合して後続段階のスキャン利得係数を取得することができる。
【0087】
選択的に、前記各検出器は、デジタル回路基板のサンプリング比較モジュール、カウンタ及び比較器等の素子を含むことができる。すなわち、サンプリング比較モジュールは、受信したエコー信号をサンプリングするのに使用され得る。また、サンプリング信号の電力が所定の閾値範囲外にある時、この時対応する素子が飽和状態にあるものと決定する。また、カウンタは、1つのテストユニット信号の送信段階内でサンプリング比較モジュールが出力する飽和回数に対して統計を行う。比較器は、カウンタで出力するカウント値と所定の閾値を比較して、前記カウント値が所定の閾値より大きい場合のみ、前記対応する素子が飽和状態にあるものと決定する。
【0088】
選択的一実施例において、
図2に図示されたように、信号送受信リンクに対して検出器を設置する方式を通じて、所定の時間区間内に前記飽和回数に対する統計を行うことができる。例えば、テストユニット信号の送信開始から送信修了の時間区間内において飽和情報検出器を作動し、信号受信チャネルが受信したエコー信号がローノイズアンプを過ぎた後、前記リンク上の所定位置の地点においてサンプリングを行い、この際、各地点のエコー信号の受信電力が所定電力の閾値範囲外にあるかどうかを判断する。所定電力の閾値外にある場合、カウンタは1を加える。その後、可変利得アンプVGA1と可変利得アンプVGA2を過ぎた時、それぞれ前記サンプリングと判断も行う。最後にカウンタの値を所定の閾値と比較する。所定の閾値以上である場合、受信したテストエコー信号に飽和が発生したものと決定し、そうでない場合、未飽和である。
【0089】
選択的一実施例において、以下の方式を通じて、N個のテストユニット信号及び少なくとも1つのスキャンユニット信号のフレーム信号を取得することができる。
【0090】
1つは、M個のスキャンユニット信号を1つの信号フレームに用いることに基づいて、前記M個のスキャンユニット信号の前面にN個のテストユニット信号を増設してプリアンブル信号として使用することである。すなわち、この時、1つのフレーム信号はN+M個のユニット信号を含む。N個のテストユニット信号及びM個のスキャンユニット信号は、1つの信号フレームにより使用されて連続送信を行う。ここで、増加したN個のテストユニット信号のカテゴリは、M個のスキャンユニット信号のカテゴリと同一であり得るが、同一でない場合もある。例えば、増設されたテストユニット信号の各種媒介変数は、スキャンユニット信号の各種媒介変数と一致するように維持することができる。MとNの値は、実際の需要に応じて動的分配を実行して柔軟なリアルタイム調整を具現することができる。本実施例はこれに限定されない。その他のレーダの応用シナリオを考慮して、M、Nが関係式2≦N≦(M+N)/2を満たすようにすることができ、MとNは整数である。
【0091】
1つは、ユニット信号の個数に基づいて、信号フレーム内の複数のユニット信号を、N個のテストユニット信号及び少なくとも1つのスキャンユニット信号に分割することである。例えば、X個のユニット信号を含む信号フレームを取得する。X個のユニット信号のうち、前面に位置するX1個のユニット信号をテストユニット信号と定義して、残ったX2個のユニット信号をスキャンユニット信号と定義する。また、実際の応用シナリオに対する考慮に基づいて、X1、X2が関係式2≦X1≦X/2、2≦X2を満たすようにすることができ、X、X1、X2はいずれも整数である。
【0092】
もう1つは、信号フレームの周期の長さに基づいて、信号フレーム内のユニット信号に対してテストユニット信号及びスキャンユニット信号の分割を行うことである。例えば、信号フレームの周期はTである。周期Tのうち、第1時間区間T1内に位置する各ユニット信号をテストユニット信号と定義する。残った時間区間T2に位置する各ユニット信号をスキャンユニット信号と定義して送信信号を形成する。T=T1+T2、2≦T1≦T/2であり、各時間区間内にはいずれも少なくとも2個のユニット信号が含まれる。言い換えると、信号フレームを異なる時間区間に分割してテストユニット信号及びスキャンユニット信号を決定する。例えば、時間が前に近い時間区間内の各ユニット信号をテストユニット信号と決定し、時間が後ろに近い時間区間内の各ユニット信号をスキャンユニット信号と決定することができる。
【0093】
本実施例において、利得推定用のテストユニット信号は、一般的に標的物体の検出に使用されない。また、利得推定用のテストユニット信号と標的物体検出用のスキャンユニット信号の形状は同一または類似する。したがって、利得推定用のテストユニット信号は、受信リンク上において標的物体追跡用のスキャンユニット信号の強度を比較的リアルに反映する。
【0094】
前記実施例において取得したテストユニット信号及びスキャンユニット信号を含むフレーム信号に基づいて、第iテストエコーユニット信号に飽和情報が存在するかどうかを決定する。具体的に以下の通りである。
【0095】
コントローラは、次の方式を通して第iテストエコーユニット信号に飽和情報が存在するかどうかを決定することができる。コントローラは、有効な時間内に複数回第iテストエコーユニット信号に対してサンプリングを行って、複数のサンプリングポイントを取得することができる。各サンプリングポイントにリンク飽和が発生するかどうかを決定する。所定数のサンプリングポイントにすべてリンク飽和が発生するか、またはリンク飽和が発生したサンプリングポイントの個数が所定の閾値よりも大きい場合、第iテストエコーユニット信号に飽和情報が存在するものと決定する。具体的に、サンプリングポイントの電力が電力閾値を超過するかどうかを決定する。超過する場合、前記サンプリングポイントにリンク飽和が発生したものと決定し、リンク飽和が発生したサンプリングポイントの個数を統計する。リンク飽和が発生したサンプリングポイントの個数が所定条件を満たせば、第iテストエコーユニット信号に飽和が発生したものと決定する。
【0096】
また、i=1である時、つまり、第1テストユニット信号を送信する時、信号送受信リンクは初期利得を用いて第1テストユニット信号を送信することができる。また、信号受信リンクは、初期利得を用いて第1テストユニット信号に対応する第1テストエコーユニット信号を受信することができる。ここで初期利得は、初期送信利得と初期受信利得を含む。前記初期利得は、システムに、応用シナリオ、データ分析等に基づいて事前に内蔵され得るものである。
【0097】
S102:前のi個のテストエコーユニット信号のうち、少なくとも1つのテストエコーユニット信号の飽和情報に基づいて第i+1プリアンブル利得を決定する。
【0098】
本実施例において、コントローラは、現在送信したテストユニット信号に対応するテストエコー信号の飽和情報を取得した後、取得したすべてのテストエコーユニット信号のうち、少なくとも1つのテストエコーユニット信号の飽和情報に基づいて、第i+1プリアンブル利得を決定する。
【0099】
ここでコントローラは、前のi個のテストエコーユニット信号のうち、少なくとも1つのテストエコーユニット信号の飽和情報に基づいて第i+1プリアンブル利得を決定して、以下の方式を通じて取得することができる。具体的に次の通りである。
【0100】
1つは、コントローラが取得した前のi個のテストエコーユニット信号の中から一部のテストエコーユニット信号を選択して、一部のテストエコーユニット信号の飽和情報に基づいて計算及び/またはルックアップテーブルを通じて第i+1プリアンブル利得を決定することである。あるいは、コントローラが一部のテストエコーユニット信号の飽和情報に基づいて照会して、前記飽和情報に対応するプリアンブル利得を取得する。すなわち、コントローラは、飽和情報とプリアンブル利得の対応関係テーブルを事前に記憶する。前のi個のテストエコーユニット信号の飽和情報を取得する場合、一部のテストエコーユニット信号の飽和情報及び対応関係テーブルに基づいて対応するプリアンブル利得を照会する。
【0101】
もう1つは、コントローラがすべてのテストエコーユニット信号の飽和情報に基づいて計算及び/またはルックアップテーブルを通じて第i+1プリアンブル利得を決定することである。すなわち、コントローラが第iテストエコーユニット信号の飽和情報を取得する場合、以前及び現在取得した各テストエコーユニット信号の飽和情報に基づいて第i+1プリアンブル利得を決定する。具体的に、コントローラは、取得したすべてのテストエコーユニット信号の飽和情報に基づいて第i+1プリアンブル利得を計算して取得することができる。あるいは、コントローラは、取得したすべてのテストエコーユニット信号の飽和情報に基づいて、ルックアップテーブルを通じて第i+1プリアンブル利得を決定する。
【0102】
一部実施例において、コントローラに利得構成テーブルが事前に記憶され、前記利得構成テーブルに基づいてルックアップテーブル方式を通じて第i+1プリアンブル利得を取得する。具体的に、各テストエコーユニット信号は、それぞれ1つの利得構成テーブルに対応することができる。または、前記テストエコーユニット信号は、同一の利得構成テーブルに対応することができる。
【0103】
具体的な実施において、コントローラは、すべてのテストエコーユニット信号の飽和情報に基づいて平均飽和情報を計算して取得することができる。さらに、前記平均飽和情報に基づいて計算またはルックアップテーブルを通じて第i+1プリアンブル利得を取得することができる。もちろんコントローラは、すべてのテストエコーユニット信号の飽和情報から最大飽和情報または最小飽和情報を決定することもできる。さらに、最大飽和情報または最小飽和情報に基づいて第i+1プリアンブル利得を計算して取得することができる。またはコントローラは、最大飽和情報または最小飽和情報に基づいてルックアップテーブルを通じて第i+1プリアンブル利得を取得する。ここで、コントローラがテストエコーユニット信号の飽和情報に基づいてプリアンブル利得を計算して取得することは、コントローラがテストエコーユニット信号の飽和情報、及び前記信号送受信リンクにおいて受信することができるテストエコーユニット信号の最大値に基づいてプリアンブル利得を決定し得るものである。
【0104】
S103:信号送受信リンクは、第i+1プリアンブル利得に基づいて第i+1テストユニット信号を送信し、及び/または第i+1テストエコーユニット信号を受信し、i=N-1まで順番に循環する。
【0105】
本実施例において、前記第i+1プリアンブル利得を用いて第i+1テストユニット信号を送信し、及び/または第i+1エコーユニット信号を受信する。すなわち、現在時刻に決定されたプリアンブル利得は、次のテストユニット信号を送信し、及び/または次のテストエコーユニット信号を受信するのに使用される。第N-1プリアンブル利得に基づいて第Nテストユニット信号を送信し、及び/または第Nテストエコーユニット信号を受信する時まで、S102ないしS103を繰り返して実行する。
【0106】
実際の適用において、信号送受信リンクの利得を調整する時、送信リンクの利得のみ調整することができ、受信リンクの利得のみ調整することもできる。また、送信利得と受信利得を同時に調整することもでき、受信リンクの利得を先に調整した後に、送信リンクの利得を調整することもできる。前記2つの利得を分離して調整する場合、実際の需要に応じて受信利得の優先順位を送信利得の優先順位よりも高く調整することができる。
【0107】
選択的に、送信リンクの利得を調整して、受信リンクの利得も調整する場合、第i+1プリアンブル利得を用いて第i+1テストエコーユニット信号を受信することができ、i=N1まで順番に循環させる。第N1+1プリアンブル利得を用いて第N1+2テストユニット信号を送信して、i=N-1まで順番に循環し、第Nテストエコーユニット信号の飽和情報を取得する。すなわち、前のN1個のテストエコーユニット信号の飽和情報を用いて調整したプリアンブル利得は受信リンクの利得である。前記受信リンクの利得を用いてテストエコーユニット信号を受信する。第N1+1ないしN-1テストエコーユニット信号の飽和情報を用いて調整したプリアンブル利得は、送信リンクの利得である。前記送信リンクの利得を用いて次のテストユニット信号を送信する。ここでN1は整数であり、2<N1<N-1である。
【0108】
S104:第Nテストエコーユニット信号の飽和情報、及び現在のセンサ内のアナログ-デジタル変換器ADC出力信号電力を取得する。
【0109】
具体的に、第N-1プリアンブル利得を用いて第Nテストユニット信号を送信した後、第Nテストユニット信号に対応する第Nテストエコーユニット信号の飽和情報を取得する。同時に、現在時刻のADCの第Nテストエコーユニット信号に対する出力信号電力を取得する。
【0110】
S105:第Nテストエコーユニット信号の飽和情報とADC出力信号電力に基づいてスキャン利得を決定する。
【0111】
具体的に、まず第Nテストエコーユニット信号の飽和情報に基づいて、信号送受信リンクにリンク飽和が発生するかどうかを判断する。信号送受信リンクに飽和が発生した場合、スキャン利得をデフォルト値に設定することができる。すなわち、この時、信号送受信リンクに依然として飽和が発生した場合、現在の受信リンクで受信したテストエコーユニット信号の強度が依然として標的物体を正確に検出するのに使用することができないことを意味する。したがって、依然としてスキャン利得を調整しなければならず、直接送信リンク及び/または受信リンクをデフォルト値に設定する必要がある。ここでデフォルト値は、信号送受信リンクの最大利得値または最小利得値であり得る。
【0112】
一部実施例において、処理精度を保障するために、アナログ-デジタル変換器ADCで出力する信号に対して右シフトまたは左シフト演算を行うこともできる。その後、左/右シフト演算の信号出力電力に応じてスキャン利得を決定する。例えば、信号送受信リンクのスキャン利得が最大利得値にすでに調節されたが、受信したエコーユニット信号の強度が依然として比較的小さければ、アナログ-デジタル変換器で出力した信号に対して左シフト演算を行うことができる。これにより、出力信号電力を増加させて処理精度を保障する。
【0113】
また、第Nテストエコーユニット信号の飽和情報に基づいて信号送受信リンクに飽和が発生しなかったものと判断された場合、ADC出力信号電力に基づいてスキャン利得を決定することができる。具体的に、コントローラが第Nテストエコーユニット信号の出力信号電力を取得した場合、信号送受信リンクで受信することができる信号の閾値(最大値と最小値)、及び前記出力信号電力に基づいてスキャン利得を計算することができる。したがって、受信したエコーユニット信号の強度が最大受信閾値よりも大きいことなく、最小受信閾値よりも小さいことのないように保障して検出の正確度を確保する。その他コントローラが第Nテストエコーユニット信号の出力信号電力を取得した場合、前記出力信号電力に基づいてルックアップテーブル(look up table、LUT)方式を通じてスキャン利得を取得し、前記スキャン利得を用いてスキャンユニット信号を送信し、またはスキャンエコーユニット信号を受信することもできる。したがって、受信したスキャンエコーユニット信号の強度が最大受信閾値よりも大きいことなく、最小受信閾値よりも小さいことのないように保障して後続検出の正確性を確保する。
【0114】
一部実施例において、コントローラに利得構成テーブルを事前に記憶して、前記利得構成テーブルに基づいてルックアップテーブル方式を通じてスキャン利得を取得する。したがって、システム運営の効率をさらに向上させることができる。具体的に、各テストエコーユニット信号はそれぞれ1つの利得構成テーブルに対応することができる。または、前記テストエコーユニット信号は、同一の利得構成テーブルに対応することができる。一部実施例において、センサ内のADC出力信号電力を取得することは、以下の方式を通じて取得することができる。
【0115】
1つは、ADC出力の第Nテストエコーユニット信号中の各値の二乗の平均値を計算することによって、ADC出力信号電力を決定することである。言い換えると、第Nテストエコーユニット信号に対してサンプリングを行い、各サンプリングポイントに対応する振幅値を取得する。各サンプリングポイントの振幅値の二乗を互いに加え、サンプリングポイントで割って平均値を取得する。前記平均値はADC出力信号電力として使用される。
【0116】
もう1つは、ADC出力の第Nテストエコーユニット信号の有効領域内の所定順序の絶対値をADC出力信号電力として使用することである。言い換えると、取得した第Nテストエコーユニット信号に対して、先に前記第Nテストエコーユニット信号の有効領域を決定する。例えば、
図3に図示された通り、チャープ信号の上昇エッジが有効な場合、第Nテストエコーユニット信号の上昇エッジから開始して下降エッジまでの間の一部またはすべての領域を有効領域として決定する。前記有効領域のうち、特定ポイントに対応する絶対値をADC出力信号電力として決定する。ここで、所定順序の絶対値は、最も大きい絶対値またはその次に大きい絶対値であり得る。すなわち、有効領域中、最も大きい絶対値の二乗をADC出力信号電力として使用する。または、有効領域中、次に大きい絶対値の二乗をADC出力信号電力として使用する。
【0117】
S106:スキャン利得を用いて各スキャンユニット信号を送信し、及び/または各スキャンユニット信号に対応するスキャンエコーユニット信号を受信する。
【0118】
本実施例において、第Nエコーユニット信号の飽和情報とADC出力信号電力に基づいてスキャン利得を決定する。その後、前記スキャン利得を用いて後続の各スキャンユニット信号を送信し、及び/または前記スキャン利得を用いて各スキャンユニット信号に対応するスキャンエコーユニット信号を受信する。ここで、スキャン利得は送信利得及び/または受信利得を含むことができる。スキャン利得が送信利得のみ含む場合、送信リンクユニットは前記送信利得を用いて各スキャンユニット信号を送信する。スキャン利得が受信利得のみ含む場合、受信リンクユニットは前記受信利得を用いて各スキャンユニット信号に対応するスキャンエコーユニット信号を受信する。スキャン利得が送信利得と受信利得を含む場合、送信リンクユニットは前記送信利得を用いて各スキャンユニット信号を送信する。受信リンクユニットは前記受信利得を用いて各スキャンユニット信号に対応するエコーユニット信号を受信する。
【0119】
一部選択的実施例において、各スキャンユニット信号を送信する時、各信号送受信リンクの飽和情報を統計することもできる。これは、信号送受信リンクの飽和情報に基づいてスキャン利得の値を動的調整するのを容易にし、信号送受信リンクが受信したスキャンエコーユニット信号の強度を動的調整できるようにする。これにより、標的物体のポジショニングの正確度を保障する。ここで、各信号送受信リンクの飽和情報を取得するように具現することは、前記テストエコーユニット信号の飽和情報を取得する関連説明を参照することができる。
【0120】
一部実施例において、センサに少なくとも2つの信号送受信リンクが含まれる場合、いずれかの信号送受信リンクに対して、各信号送受信リンクのそれぞれに対応するスキャン利得を決定する。スキャンユニット信号を送信し、またはスキャンエコーユニット信号を受信する時、前記信号送受信リンクに対応するスキャン利得を用いて前記信号送受信リンクのスキャンユニット信号を送信し、及び/または前記信号送受信リンクのスキャンユニット信号に対応するスキャンエコーユニット信号を受信する。言い換えると、各送受信リンクは、それに対応するスキャン利得を独自に決定することができる。前記送受信リンクがスキャンユニット信号を送信し、またはスキャンエコーユニット信号を受信する時、前記送受信リンクは、自らに対応するスキャン利得を用いてスキャンユニット信号を送信し、または自らに対応するスキャン利得を用いてスキャンエコーユニット信号を受信する。
【0121】
一部実施例において、センサが少なくとも2つの信号送受信リンクを含み、センサを用いて角度測定等のシナリオを行う場合、各送受信リンクに対応するスキャン利得は同一である。言い換えると、センサを用いて距離測定を行うだけでなく、角度測定も行わなければならない場合、各送受信リンクはすべて標的スキャン利得を用いて各スキャンユニット信号を送信し、及び/またはスキャンユニット信号に対応するエコーユニット信号を受信する。ここで角度測定は、センサを用いて標的物体のセンサに対する偏角を測定することを意味する。ここで標的利得は、各信号送受信リンクに対応するスキャン利得を通じて決定することができる。例えば、各信号送受信リンクに対応するスキャン利得のうち、数値が最も小さいスキャン利得を標的スキャン利得として決定する。これにより、各信号送受信リンクで受信したスキャンエコーユニット信号の強度が受信閾値を超過しないように保障する。
【0122】
本実施例において、少なくとも2つの信号送受信リンクを含むセンサに対して、各信号送受信リンクは相互独立的にAGC調整を行う。このように異なる信号送受信リンク間のスキャン利得は相違し得る。すなわち、各信号送受信リンクは、各AGC調整後に取得したスキャン利得を採択し、後続的に角度測定を必要としない標的検出作業を行うことができる。角度測定が必要な場合、各信号送受信リンクは、後続的な標的検出作業を行う前にまずスキャン利得を統一しなければならない。すなわち、各信号送受信リンクは、同一のスキャン利得(一般的に取得した各信号送受信リンクのスキャン利得のうち最も小さいスキャン利得)に基づいて後続的な標的検出作業を行わなければならない。これを通じてシステム位相差が導入され、後続的な角度測定の結果に影響を与えることを防止する。
【0123】
具体的に、各信号送受信リンクの最後のテストユニット信号の送信終了前に、最終的なスキャン利得を選択することができる。リンク決定の各テストユニット信号の送信終了前に、各信号送受信リンク間の利得がすべて一致するように維持してAGC作業を行ることもできる。
【0124】
一部実施例において、いずれかの信号フレームに対して、N個のテストユニット信号は、前記信号フレームの頭部に位置してプリアンブルユニット信号を形成する。ここで信号送受信リンクは、スキャン利得に基づいて、現在のフレーム信号内の各スキャンユニット信号を送信し、及び/または現在のフレーム信号内の各スキャンユニット信号に対応するスキャンエコーユニット信号を受信する。
図4aに図示された通り、信号フレームは、N個のテストユニット信号及びM個のスキャンユニット信号を含む。ここでN個のテストユニット信号は、M個のスキャンユニット信号に位置する前に現在のフレームのプリアンブル信号として使用される。また、前記N+M個のユニット信号は連結信号である。
【0125】
一部実施例において、いずれかの信号フレームに対して、N個のテストユニット信号は、信号フレームの尾部に位置する。信号送受信リンクは、スキャン利得に基づいて、次のフレーム信号内の各スキャンユニット信号を送信し、及び/または次のフレーム信号内の各スキャンユニット信号に対応するスキャンエコーユニット信号を受信する。
図4bに図示された通り、信号フレーム1(すなわち、送信信号1)には、M個のスキャンユニット信号とN個のテストユニット信号が含まれる。ここでN個のテストユニット信号はM個のスキャンユニット信号の尾部に位置し、次のフレームのプリアンブル信号として使用される。この場合、第Nテストエコーユニット信号に基づいて確定したスキャン利得は、信号送受信リンクが信号フレーム2(すなわち、送信信号2)内のスキャンユニット信号に対応するスキャンエコーユニット信号を受信し、及び/または信号フレーム2内のスキャンユニット信号を送信するように案内するのに使用される。
【0126】
テストユニット信号の位置に関係なく、すべてのテストユニット信号を用いて信号強度推定を行い、送受信リンク上の利得を調整することができることがわかる。これを通じて受信されたテストエコー信号の強度が所定範囲内に位置するように確保して、標的検出の精度を保障することができる。
【0127】
ここでわかるように、本実施例において、現在送信したテストユニット信号に対応するテストエコー信号の飽和情報を取得して、受信した少なくとも1つのテストエコー信号の飽和情報に基づいてプリアンブル利得を決定する。その後、前記プリアンブル利得を用いて次のテストユニット信号を送信し、及び/または前記プリアンブル利得を用いて次のテストユニット信号に対応するテストエコーユニット信号を受信する。次のテストユニット信号を送信する場合、前記次のテストユニット信号に対応するテストエコー信号の飽和情報を取得する。また、前記飽和情報を用いてプリアンブル利得を決定する。前記プリアンブル利得を用いて次の時刻のユニット信号を送信し、及び/または次の時刻のテストユニット信号に対応するテストエコー信号を受信する。第N-1テストユニット信号まで順番に循環する。第Nテストユニット信号が送信される場合、第Nテストユニット信号に対応するテストエコー信号の飽和情報及びADCの第Nテストエコーユニット信号に対する出力信号電力を取得する。また、前記飽和情報と出力信号電力に基づいてスキャン利得を決定して、前記スキャン利得を用いてスキャンユニット信号を送信し、及び/またはスキャンユニット信号に対応するスキャンエコーユニット信号を受信する。ここでわかるように、本出願の実施例において提供する方法を通じて、送受信リンクの利得をリアルタイムに決定して、送信信号の送信電力及び/またはエコー信号の受信電力を調整することができる。したがって、エコー信号の強度が所定の受信範囲内にあるように保障して標的物体検出の正確性を向上させることができる。
【0128】
また、前記実施例において、テストエコーユニット信号の飽和情報及びセンサのADC出力信号電力を用いることによって、検出信号を後続的に送信及び/または受信するリンク利得を調整する。これを通じて、後続的に受信する受信信号の強度が所定範囲内にあるように保障する。よって、信号の歪みが発生することを効果的に防止し、標的情報検出の精度を向上させることができる。同時に比較的大きい量子化雑音が導入されることを効果的に防止して検出漏れ及び誤検出が発生する可能性を防止することができる。その他の本実施例における操作方法は、素子のデジタル部分において実行され得る。したがって、回路設計の複雑性を効果的に下げ、自動利得制御の柔軟性を向上させることもできる。また、センサの受信及び送信の協業作業を具現することができる。
【0129】
本出願の実施例は、周波数変調連続波(Frequency Modulated Continuous Wave、FMCW)レーダに適用され得る。
【0130】
図5aに図示されたレーダシステムの構造図において、前記レーダシステムは、送信アンテナと、受信アンテナと、電力分配器と、電力アンプと、周波数混合器に構成されたRFフロントエンドと、を含むことができる。後端処理部分は、三角波発生器と、VCOと、ADサンプリングと、信号処理等のモジュールと、を含むことができる。具体的に、三角波発生器は、必要な変調信号を提供する。電圧制御発振器(Voltage-Controlled Oscillator、VCO)制御を経て、周波数が時間上において三角形の変化に沿った連続的な高周波の連続波を生成するように制御する。電力分配器を用いて、一部分は電力アンプを経て増幅させた後、送信アンテナを通じて放出させ、他の一部分は周波数混合器の局部発振器信号として使用することができる。送信された無線電波が標的物体によって反射されてエコー信号を形成して受信アンテナによって受信される時、この時受信されたエコー信号は、局部発振器信号に比べて周波数、位相等の媒介変数の変化が起こり得る。すなわち、周波数混合器を経て局部発振器信号に基づいて周波数を下げた後、ビート信号を出力し、後続的に前記ビート信号に対してフィルタリング増幅及びADサンプリングを行った後、2次元高速フーリエ変換(2 Dimensional Fast Fourier Transform、2D-FFT)、一定の誤警報率(Constant False-Alarm Rate、CFAR)、到来方向(Direction Of Arrival、DOA)等のようなデジタル信号処理を行う。これを通じて標的のセンサに対する距離、速度及び角度等の情報を取得し、標的の検出を具現する。
【0131】
ここで周波数変調連続波FMCWは、複数のチャープ信号(chirp)で構成される。本出願の自動利得制御方法の関連内容を通じて、デジタル信号処理方式に基づいてエコーチャープ信号の強度を処理することによってリンクの利得構成を取得することができる。また、前記リンクの利得構成に基づいて送信チャープ信号の強度及び/またはエコーチャープ信号の強度を自己適用的に調整することができる。これにより、受信したエコーチャープ信号の強度が所定の受信範囲内にあるように保障して、標的検出の正確性を確保する。
【0132】
実際の適用において、周波数変調連続波のフレーム信号のうち、所定数のチャープ信号を用いて信号の強度推定を行うことができる。また、送信リンク/受信リンクに対応する利得を決定することができる。
図5bに図示された周波数変調連続波の派形図において、点線左側のチャープ信号は、信号の強度推定に使用される。すなわち、自動利得制御(Automatic Gain Control、AGC)を行う。点線右側のチャープ信号は、標的物体の検出に使用される。
図5bにおいて、線形の周波数変調連続波の波形は、1つの例示で過ぎないことに留意する。具体的な波形の表現形態は、実際の状況によって決定され得る。
【0133】
信号の強度推定用のチャープ信号は、一般的に標的物体の検出に使用されない。また、信号の強度推定用のチャープ信号は、標的物体検出用のチャープ信号と形状が同一または類似する。そうでない場合、信号の強度推定用のチャープ信号は、受信リンク上において標的物体推定用のチャープの強度を比較的リアルに反映することができない。
【0134】
その他、本出願の実施例は、自動利得制御方法をさらに提供する。
図6を参照すると、前記図面は、本出願の実施例において提供する自動利得制御方法のフロー図である。
図6に図示された通り、前記方法は以下の段階を含むことができる。
【0135】
S601:無線電気素子が受信する信号の強度を取得する。
【0136】
S602:無線電気素子が受信する信号の強度に対してデジタル信号処理を行い、ルックアップテーブル方式を通じてリンクの利得構成を取得する。
【0137】
本実施例において、無線電気素子によって受信された信号に対して、信号内の雑音をフィルタリングするなどのデジタル信号処理を行う。処理された信号を取得し、前記処理された信号の強度を取得する。前記信号強度に基づいて、ルックアップテーブル方式を通じてリンクの利得構成を取得する。
【0138】
S603:リンクの利得構成に基づいて信号を送信し、及び/または信号を受信する。
【0139】
リンクの利得構成を決定した後、前記リンクの利得構成の送信信号または受信信号を用いて、無線電気素子によって受信されたエコー信号の強度が所定条件を満たすようにすることができる。また、標的物体検出の正確性を確認することができる。
【0140】
前記方法の実施例に基づいて、本出願の実施例は、センサをさらに提供する。
図7を参照すると、前記センサ700は、信号送受信リンク701と、アナログ-デジタル変換器702と、自動利得制御装置
703と、を含むことができる。
【0141】
ここで信号送受信リンク701は、無線電気信号を送信及び受信するのに使用される。信号送受信リンク701の具体的な具現については、
図1に図示された方法内の関連説明を参照することができる。
【0142】
アナログ-デジタル変換器702は、受信した無線電気信号に対してデジタル信号処理を行うのに使用される。具体的に、受信したテストエコーユニット信号またはスキャンエコーユニット信号に対してデジタル信号処理を行う。アナログ-デジタル変換器702の具体的な具現については、
図1に図示された方法内の関連説明を参照することができる。
【0143】
自動利得制御装置703は、本出願の方法実施例(例えば
図1及び
図6)による方法のうち、信号送受信リンクの利得に対する制御を実行するのに使用される。自動利得制御装置703に対する具体的な具現は、前記方法と関連された説明を参照することができる。ここで自動利得
制御装置703は、センサ内のデジタル回路モジュールまたはデジタル回路プロセッサであり得る。ここで自動利得制御装置703は、センサ内のデジタル回路モジュールまたはデジタル回路プロセッサである。
【0144】
ここでセンサは、ミリ波レーダであり得る。前記レーダは、
図8に図示された受信アンテナ801と、プロセッサ802と、送信アンテナ803と、を含むことができる。ここでプロセッサ802は、それぞれ受信アンテナ801、送信アンテナ803と連結される。
【0145】
受信アンテナ801は、テストエコーユニット信号またはスキャンエコーユニット信号を受信するのに使用される。
【0146】
プロセッサ802は、前記テストエコーユニット信号の強度を取得し、前記テストエコーユニット信号の強度に対してデジタル信号処理を行ってリンク利得を取得するのに使用される。
【0147】
送信アンテナ803は、リンク利得を用いて後続的な送信テストユニット信号またはスキャンユニット信号を送信するのに使用される。
【0148】
受信アンテナ801は、リンクの利得構成を用いて、後続的な送信テストユニット信号に対応するテストエコーユニット信号、またはスキャンユニット信号に対応するスキャンエコーユニット信号を受信するのにさらに使用される。
【0149】
一部実施例において、前記レーダは、アナログ-デジタル変換器804をさらに含むことができる。前記アナログ-デジタル変換器804は、受信アンテナ801及びプロセッサ802の間に位置する。アナログ-デジタル変換器804は、テストエコーユニット信号に対してアナログ-デジタル変換を行うのに使用される。
【0150】
本実施例において、アナログ-デジタル変換器は、受信アンテナにおいて受信するテストエコーユニット信号に対してアナログ-デジタル変換を行い、変換されたテストエコーユニット信号を出力する。プロセッサは、変換されたテストエコーユニット信号の強度を取得する。すなわち、アナログ-デジタル変換作業を通じて、デジタルテストエコーユニット信号の強度を推定し、計算の複雑性を単純化する。
【0151】
一部実施例において、前記レーダは、アンプ805をさらに含む。前記アンプは、受信アンテナ801とプロセッサ802の間に位置することができる。具体的に、アンプ805は、受信アンテナ801とアナログ-デジタル変換器804の間に位置する。アンプ805は、テストエコーユニット信号に対して増幅を行うのに使用される。
【0152】
一部実施例において、前記レーダは、検出器806をさらに含む。前記検出器806は、エコー信号中の各サンプリングポイントの信号電力に基づいて、前記テストエコーユニット信号に飽和が発生するかどうかを決定するのに使用される。
【0153】
具体的に前記検出器806は、比較器とカウンタを含む。ここで比較器は、各サンプリングポイントの信号電力と所定の電力閾値を比較するのに使用される。カウンタは、信号電力が所定の電力閾値のサンプリングポイントの個数よりも小さくないように統計するのに使用される。
【0154】
ここで各素子の具体的な具現は、前記方法の関連説明を参照することができる。本実施例はここで繰り返し説明しない。
【0155】
本出願の実施例は、無線電気素子をさらに提供する。
図9に図示されたように、前記無線電気素子900は、信号リンク901と自動
利得制御装置902を含むことができる。
【0156】
ここで信号リンク901は、受信信号を送信するのに使用される。
【0157】
自動利得制御装置902は、リンクの利得構成を取得して、前記リンクの利得構成に基づいて信号を送信し、及び/または信号を受信するのに使用される。
【0158】
ここで信号リンク901と自動利得制御装置902の具体的な具現は、前記方法の実施例の関連説明を参照することができる。
【0159】
本明細書の各実施例は、漸進的方式で説明されたことに留意する。各実施例において重点的に説明したことはすべて異なる実施例との相違点であり、各実施例間の同一または類似した部分は互いに参照することができる。実施例に開示されたシステムまたは装置の場合、これは実施例に開示された方法と対応するため、説明が比較的簡単である。関連された部分は方法部分の説明を参照することができる。
【0160】
本出願において「少なくとも1つ(項目)」は、1つまたは複数を意味し、「複数個」は、2個または2個以上を意味することに留意する。「及び/または」は、関連対象の関連関係を説明するためのものであって、3つの関係が存在することを意味する。例えば、「A及び/またはB」は、Aのみ存在する場合、Bのみ存在する場合、及びAとBが同時に存在する場合等、3つの場合を示すことができる。ここでA、Bは、単数または複数であり得る。符号「/」は、一般的に前後の関連対象が一種の「または」の関係であることを意味する。「以下の少なくとも1つの項目(個)」またはそれに類似した表現は、これらの項目中の任意の組合せを意味する。ここでは単一項目(個)または複数項目(個)の任意の組合せが含まれる。例えば、a、bまたはcの少なくとも1つの項目(個)は、a、b、c、「aとb」、「aとc」、「bとc」または「aとbとc」を示すことが出来る。ここでa、b、cは、1つであってもよく、複数個であってもよい。
【0161】
本願において、第1及び第2等のような関係用語は、1つの実体または操作を異なる1つの実体または操作と区分するためのものに過ぎないことに留意する。これは、これらの実体または操作間に、任意のそのような実際の関係や順序が存在することを必ずしも要求または暗示しない。または用語「含む」、「包括」またはこの他の変形は、非排他的な包含まで内包するものであるので、一連の要素を含む過程、方法、物品またはデバイスは、そのような要素を含むだけでなく、明示的に羅列されない異なる要素をさらに含み、またはこれらの過程、方法、物品またはデバイス固有の要素も含むと言う点に留意しなければならない。これ以上の制限がない場合、「1つの...を含む」という文章で限定される要素は、該当要素を含んだ過程、方法、物品またはデバイスにおいて、異なる同一の要素が存在することを排除しない。
【0162】
本願に開示された実施例に説明された方法またはアルゴリズムを結合した段階は、ハードウェア、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールまたはこの二つの結合を直接使用して実施することができる。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、内蔵メモリ、読み取り専用メモリ(ROM)、電気的プログラミング可能ROM、電気的消去及びプログラミング可能ROM、レジスタ、ハードディスク、移動式ディスク、CD-ROMまたは技術分野で公知された任意のその他の形態の記憶媒体に設けることができる。
【0163】
開示された実施例に対する前記説明は、本技術分野の当業者が本出願を具現し、または使用することが出来るようにする。これらの実施例に対する多様な修正は、本技術分野の当業者が容易に行うことができる。本願に定義された一般的な原理は、本出願の思想または範囲を逸脱することなく、異なる実施例において具現され得る。したがって、本出願は、本願に図示されたこれらの実施例に制限されない。本願に開示された原理及び新規の特徴と一致する最も広い範囲と付合しなければならない。