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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】圧縮成形装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/56 20060101AFI20240830BHJP
   B29C 31/06 20060101ALI20240830BHJP
   B29C 43/18 20060101ALI20240830BHJP
   B29C 43/34 20060101ALI20240830BHJP
   B29C 43/58 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
H01L21/56 R
B29C31/06
B29C43/18
B29C43/34
B29C43/58
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023525670
(86)(22)【出願日】2022-04-28
(86)【国際出願番号】 JP2022019416
(87)【国際公開番号】W WO2022255021
(87)【国際公開日】2022-12-08
【審査請求日】2023-07-19
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2021/021205
(32)【優先日】2021-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000144821
【氏名又は名称】アピックヤマダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135677
【弁理士】
【氏名又は名称】澤井 光一
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 誠
(72)【発明者】
【氏名】田上 秀作
【審査官】安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-165133(JP,A)
【文献】特開2003-258172(JP,A)
【文献】特開2003-231145(JP,A)
【文献】特開2009-088403(JP,A)
【文献】特開2017-226202(JP,A)
【文献】特開2019-145550(JP,A)
【文献】特開2010-040939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/56
H01L 23/28-23/31
H01L 25/00-25/18
B29C 31/00-31/10
B29C 43/00-43/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアに複数の接続部材を介して複数の部品が搭載されたワークに対して樹脂を圧縮成形し、それぞれに少なくとも1つの部品が樹脂封止された複数のパッケージを製造する圧縮成形装置であって、
前記ワークの重量を計量する計量部と、
前記計量部で計量された前記ワークの重量に基づき、樹脂の供給量を算出する算出部と、
前記算出部によって算出された供給量の樹脂を供給する供給部と、
前記供給部によって供給された樹脂を前記ワークに対して圧縮成形するモールド金型と、を備え、
前記算出部は、
前記ワークの重量に基づき、前記複数の部品及び前記複数の接続部材を含む複数の実装物の総体積を算出し、
前記複数の実装物の総体積に基づき、前記樹脂の供給量を算出する、
圧縮成形装置。
【請求項2】
前記算出部は、
前記ワークの重量に基づき、前記複数の実装物の総重量を算出し、
前記複数の実装物の総重量に基づき、前記複数の実装物の総体積を算出する、
請求項1に記載の圧縮成形装置。
【請求項3】
前記算出部は、
前記複数の実装物の比重に基づき、前記複数の実装物の総重量から前記複数の実装物の総体積を算出する、
請求項2に記載の圧縮成形装置。
【請求項4】
前記計量部は、基準キャリアに第1セット数の実装物が搭載された第1試作用ワークの重量と、基準キャリアに第1セット数とは異なる第2セット数の実装物が搭載された第2試作用ワークの重量とを計量し、
前記算出部は、前記第1試作用ワークの重量と前記第2試作用ワークの重量との重量差分を、前記第1試作用ワークの体積と前記第2試作用ワークの体積との体積差分で除算して、前記複数の実装物の比重を算出する、
請求項3に記載の圧縮成形装置。
【請求項5】
前記計量部は、基準キャリアに実装物が全く搭載されていない第1試作用ワークの重量と、基準キャリアに実装物が全て搭載された第2試作用ワークの重量とを計量し、
前記算出部は、前記第1試作用ワークの重量と前記第2試作用ワークの重量との重量差分を、前記第1試作用ワークの体積と前記第2試作用ワークの体積との体積差分で除算して、前記複数の実装物の比重を算出する、
請求項3に記載の圧縮成形装置。
【請求項6】
前記ワークの体積を計測する体積計測部をさらに備え、
前記体積計測部は、前記第1試作用ワークの体積と前記第2試作用ワークの体積とを計測する、
請求項4又は5に記載の圧縮成形装置。
【請求項7】
前記算出部は、
1セット当たりの実装物の重量に基づき、前記複数の実装物の総重量から前記複数の実装物のセット数を算出し、
1セット当たりの実装物の体積に基づき、前記複数の実装物のセット数から前記複数の実装物の総体積を算出する、
請求項2に記載の圧縮成形装置。
【請求項8】
パッケージの厚みを計測する厚み計測部をさらに備え、
前記計量部は、基準キャリアに第3セット数の実装物が搭載された第3試作用ワークの重量と、基準キャリアに第4セット数の実装物が搭載された第4試作用ワークの重量とを計量し、
前記厚み計測部は、前記第3試作用ワークに対して第1供給量の樹脂が成形された第1試作用集合パッケージの厚みと、前記第4試作用ワークに対して前記第1供給量の樹脂が成形された第2試作用集合パッケージの厚みとを計測し、
前記算出部は、
前記第1試作用集合パッケージの厚みと前記第2試作用集合パッケージの厚みとの厚み差分に、前記第1試作用集合パッケージ又は前記第2試作用集合パッケージの上面面積を乗算し、前記第3セット数と前記第4セット数とのセット数差分で除算して、前記1セット当たりの実装物の体積を算出し、
前記第3試作用ワークの重量と前記第4試作用ワークの重量との重量差分を、前記セット数差分で除算して、前記1セット当たりの実装物の重量を算出する、
請求項7に記載の圧縮成形装置。
【請求項9】
パッケージの厚みを計測する厚み計測部をさらに備え、
前記計量部は、基準キャリアに実装物が全く搭載されていない第3試作用ワークの重量と、基準キャリアに実装物が全て搭載された第4試作用ワークの重量とを計量し、
前記厚み計測部は、前記第3試作用ワークに対して第1供給量の樹脂が成形された第1試作用集合パッケージの厚みと、前記第4試作用ワークに対して前記第1供給量の樹脂が成形された第2試作用集合パッケージの厚みとを計測し、
前記算出部は、
前記第1試作用集合パッケージの厚みと前記第2試作用集合パッケージの厚みとの厚み差分に、前記第1試作用集合パッケージ又は前記第2試作用集合パッケージの上面面積を乗算し、前記第4試作用ワークに搭載された実装物のセット数で除算して、前記1セット当たりの実装物の体積を算出し、
前記第3試作用ワークの重量と前記第4試作用ワークの重量との重量差分を、前記第4試作用ワークに搭載された実装物のセット数で除算して、前記1セット当たりの実装物の重量を算出する、
請求項7に記載の圧縮成形装置。
【請求項10】
前記算出部は、前記ワークの重量から基準キャリアの重量を減算して前記複数の実装物の重量を算出する、
請求項2に記載の圧縮成形装置。
【請求項11】
前記キャリアの厚みを計測する厚み計測部をさらに備え、
前記算出部は、前記キャリアの厚みに基づき前記キャリアの重量を算出し、前記ワークの重量から前記キャリアの重量を減算して前記複数の実装物の重量を算出する、
請求項2に記載の圧縮成形装置。
【請求項12】
前記算出部は、
前記複数の実装物の総体積に基づき、前記複数のパッケージを所望の厚みにするために必要な成形後の樹脂の体積を算出し、
前記成形後の樹脂の体積に基づき、成形後の樹脂の重量を前記樹脂の供給量として算出する、
請求項1に記載の圧縮成形装置。
【請求項13】
前記算出部は、
前記複数の実装物の総体積に基づき、前記複数のパッケージを所望の厚みにするために必要な成形後の樹脂の体積を算出し、
前記成形後の樹脂の体積に基づき、成形後の樹脂の重量を算出し、
成形前後での樹脂の重量変化率に基づき、前記成形後の樹脂の重量から成形前の樹脂の重量を前記樹脂の供給量として算出する、
請求項1に記載の圧縮成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子等の部品が樹脂封止されたパッケージを製造する装置として、キャリアに複数の部品が搭載されたワークに対して樹脂を成形し、複数のパッケージを一括形成する成形装置が知られている。そのような成形装置の一つに、一対の金型の一方に可変構造のキャビティが設けられた圧縮成形装置がある。パッケージの厚みの精度を向上させるため、圧縮成形装置は、例えば、ワークにおいて欠損している部品の数に応じて、樹脂の供給量を調整する機能を有する。
【0003】
特許文献1には、重量測定装置で計測されたチップ抜けを加味したワーク重量から基板単体の重量を減算した後、1チップ当たりの重量で除算してワークに搭載されているチップ数を求め、正規のチップ数からこれを減算して欠損しているチップ数を算出し、欠損しているチップ数に1チップ欠損したときに補充する樹脂量を乗算して補正樹脂量を算出する液材吐出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-165133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
部品はボンディングワイヤ、ハンダ及び異方性導電性接着剤等の接続部材を介してキャリアに搭載されるため、ワークにおいて部品が欠損すると、部品の体積に比べると小さいが接続部材の体積分についてもワークの体積が変化する。この接続部材の重量や体積は、実際に部品をキャリアに搭載するときの接続部材の形状や寸法等によって変化する。このため、部品に接続部材を加味した実装物の正確な重量や体積は、実際にワークに搭載した状態を測定する必要がある。しかしながら、特許文献1に記載された1チップ当たりの重量及び1チップ欠損したときに補充する樹脂量がどのように測られたものか不明であるため、接続部材を加味したものか否か不明である。また、1チップ中の一部が欠損したことに伴い接続部材の一部又は全部が欠損した場合、チップの欠損数量と接続部材の欠損数量とが一致しない場合がある。このため、特許文献1に記載された欠損しているチップ数や1チップ当たりの重量に基づいて算出した補正樹脂量では、パッケージの厚みに誤差が生じる場合がある。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、樹脂の供給精度を向上させることができる圧縮成形装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る圧縮成形装置は、キャリアに複数の部品が複数の接続部材を介して搭載されたワークに対して樹脂を圧縮成形し、それぞれに少なくとも1つの部品が樹脂封止された複数のパッケージを製造する圧縮成形装置であって、ワークの重量を計量する計量部と、計量部で計量されたワークの重量に基づき、樹脂の供給量を算出する算出部と、算出部によって算出された供給量の樹脂を供給する供給部と、供給部によって供給された樹脂をワークに対して圧縮成形するモールド金型と、を備え、算出部は、ワークの重量に基づき、複数の部品及び複数の接続部材を含む複数の実装物の総体積を算出し、複数の実装物の総体積に基づき、樹脂の供給量を算出する。
【0008】
この態様によれば、キャリア上の部品の状況に応じて樹脂の供給量を簡易かつ迅速に調整することができる。また、部品の数量だけでなく接続部材の数量も加味した、搭載された実装物の総体積に基づき樹脂の供給量を算出することで、樹脂の供給量の算出精度が向上し、樹脂の過不足に起因した不良品の発生を抑制することができる。
【0009】
上記態様において、算出部は、ワークの重量に基づき、複数の実装物の総重量を算出し、複数の実装物の総重量に基づき、複数の実装物の総体積を算出してもよい。
【0010】
上記態様において、算出部は、複数の実装物の比重に基づき、複数の実装物の総重量から複数の実装物の総体積を算出してもよい。
【0011】
上記態様において、計量部は、基準キャリアに第1セット数の実装物が搭載された第1試作用ワークの重量と、基準キャリアに第1セット数とは異なる第2セット数の実装物が搭載された第2試作用ワークの重量とを計量し、算出部は、第1試作用ワークの重量と第2試作用ワークの重量との重量差分を、第1試作用ワークの体積と第2試作用ワークの体積との体積差分で除算して、複数の実装物の比重を算出してもよい。
【0012】
上記態様において、計量部は、基準キャリアに実装物が全く搭載されていない第1試作用ワークの重量と、基準キャリアに実装物が全て搭載された第2試作用ワークの重量とを計量し、算出部は、第1試作用ワークの重量と第2試作用ワークの重量との重量差分を、第1試作用ワークの体積と第2試作用ワークの体積との体積差分で除算して、複数の実装物の比重を算出してもよい。
【0013】
上記態様において、圧縮成形装置は、ワークの体積を計測する体積計測部をさらに備え、体積計測部は、第1試作用ワークの体積と第2試作用ワークの体積とを計測してもよい。
【0014】
上記態様において、算出部は、1セット当たりの実装物の重量に基づき、複数の実装物の重量から複数の実装物のセット数を算出し、1セット当たりの実装物の体積に基づき、複数の実装物のセット数から複数の実装物の総体積を算出してもよい。
【0015】
上記態様において、圧縮成形装置は、パッケージの厚みを計測する厚み計測部をさらに備え、計量部は、基準キャリアに第3セット数の実装物が搭載された第3試作用ワークの重量と、基準キャリアに第4セット数の実装物が搭載された第4試作用ワークの重量とを計量し、厚み計測部は、第3試作用ワークに対して第1供給量の樹脂が成形された第1試作用集合パッケージの厚みと、第4試作用ワークに対して第1供給量の樹脂が成形された第2試作用集合パッケージの厚みとを計測し、算出部は、第1試作用集合パッケージの厚みと第2試作用集合パッケージの厚みとの厚み差分に、第1試作用集合パッケージ又は第2試作用集合パッケージの上面面積を乗算し、第3セット数と第4セット数とのセット数差分で除算して、1セット当たりの実装物の体積を算出し、第3試作用ワークの重量と第4試作用ワークの重量との重量差分を、セット数差分で除算して、1セット当たりの実装物の重量を算出してもよい。
【0016】
上記態様において、圧縮成形装置は、パッケージの厚みを計測する厚み計測部をさらに備え、計量部は、基準キャリアに実装物が全く搭載されていない第3試作用ワークの重量と、基準キャリアに実装物が全て搭載された第4試作用ワークの重量とを計量し、厚み計測部は、第3試作用ワークに対して第1供給量の樹脂が成形された第1試作用集合パッケージの厚みと、第4試作用ワークに対して第1供給量の樹脂が成形された第2試作用集合パッケージの厚みとを計測し、算出部は、第1試作用集合パッケージの厚みと第2試作用集合パッケージの厚みとの厚み差分に、第1試作用集合パッケージ又は第2試作用集合パッケージの上面面積を乗算し、第4試作用ワークに搭載された実装物のセット数で除算して、1セット当たりの実装物の体積を算出し、第3試作用ワークの重量と第4試作用ワークの重量との重量差分を、第4試作用ワークに搭載された実装物のセット数で除算して、1セット当たりの実装物の重量を算出してもよい。
【0017】
上記態様において、算出部は、ワークの重量から基準キャリアの重量を減算して複数の実装物の重量を算出してもよい。
【0018】
上記態様において、圧縮成形装置は、キャリアの厚みを計測する厚み計測部をさらに備え、算出部は、キャリアの厚みに基づきキャリアの重量を算出し、ワークの重量からキャリアの重量を減算して複数の実装物の重量を算出してもよい。
【0019】
上記態様において、算出部は、複数の実装物の総体積に基づき、複数のパッケージを所望の厚みにするために必要な成形後の樹脂の体積を算出し、成形後の樹脂の体積に基づき、成形後の樹脂の重量を樹脂の供給量として算出してもよい。
【0020】
上記態様において、算出部は、複数の実装物の総体積に基づき、複数のパッケージを所望の厚みにするために必要な成形後の樹脂の体積を算出し、成形後の樹脂の体積に基づき、成形後の樹脂の重量を算出し、成形前後での樹脂の重量変化率に基づき、成形後の樹脂の重量から成形前の樹脂の重量を樹脂の供給量として算出してもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、樹脂の供給精度を向上させることができる圧縮成形装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】一実施形態に係る圧縮成形装置の構成を概略的に示す図である。
図2】樹脂を圧縮する前のワークの構成を概略的に示す平面図である。
図3】樹脂の供給量の算出方法の一例を示すフローチャートである。
図4】補正樹脂量の調整方法の一例を示すフローチャートである。
図5】樹脂の供給位置の算出方法の一例を示すフローチャートである。
図6】樹脂の供給位置の算出方法の別の一例を示すフローチャートである。
図7】樹脂の供給量の算出方法の別の一例を示すフローチャートである。
図8】第1変形例に係る圧縮成形装置の構成を概略的に示す図である。
図9】第2変形例に係る圧縮成形装置の構成を概略的に示す図である。
図10】樹脂の供給量の算出方法の一部を示すフローチャートである。
図11】樹脂の供給量の算出方法の一部を示すフローチャートである。
図12】樹脂の供給量の算出方法の一部を示すフローチャートである。
図13】樹脂の供給量の算出方法の一部を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。本実施形態の図面は例示であり、各部の寸法や形状は模式的なものであり、本願発明の技術的範囲を当該実施形態に限定して解するべきではない。
【0024】
<圧縮成形装置>
図1及び図2を参照しつつ、本発明の実施形態に係る圧縮成形装置1の構成について説明する。図1は、一実施形態に係る圧縮成形装置の構成を概略的に示す図である。図2は、樹脂を圧縮する前のワークの構成を概略的に示す平面図である。
【0025】
圧縮成形装置1は、キャリア11に複数の部品12が搭載されたワーク10に対して樹脂Rを圧縮成形し、それぞれに少なくとも1つの部品12が樹脂封止(モールド成形)された複数のパッケージを製造する装置である。圧縮成形装置1は、部品12が搭載れていない少なくとも1つのパッケージも併せて製造する。圧縮成形装置1は、樹脂Rを供給する樹脂供給装置100と、樹脂Rを加熱圧縮するモールド金型190とを備えている。
【0026】
一例として、キャリア11はインタポーザ基板であり、部品12はキャリア11に搭載された半導体素子(ICチップ、ダイオード、トランジスタ等)であり、樹脂Rは顆粒状である。但し、キャリア11、部品12及び樹脂Rは上記に限定されるものではない。例えば、キャリア11は、樹脂、ガラス、金属、半導体等を材料とする基板であり、リードフレーム、粘着シート付きキャリアプレートなどでもよい。例えば、部品12は、MEMSデバイスや電子デバイス(キャパシタ、インダクタ、レジスタ等)であってもよい。部品12は、キャリア11にワイヤボンディング方式やフリップチップ方式によって実装されていてもよく、着脱可能に固定されていてもよい。部品12は、例えば、2種類の部品12a及び部品12bを含んでもよく、3種類以上の部品を含んでもよい。樹脂Rは、粉末状、タブレット状、液状等であってもよい。樹脂Rは、例えばエポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂を含んでおり、加熱圧縮によって任意の形状に成形され得る。なお、部品12は、図示を省略した接続部材を介してキャリア11に搭載されている。接続部材は、部品12をキャリア11に固定する部材や、部品12をキャリア11に電気的に接続する部材である。例えば、接続部材は、ボンディングワイヤ、ハンダ及び異方性導電性接着剤等である。以下、複数の部品12と複数の接続部材とを纏めて複数の実装物とする。1つのパッケージエリアPAに搭載された少なくとも1つの部品12とその少なくとも1つの部品12をキャリア11に接続する少なくとも1つの接続部材とを合わせて、1セットの実装物とする。言い換えると、1セットの実装物は、圧縮成形装置1によってワーク10から製造される複数のパッケージのうち1つのパッケージ中に樹脂封止されるキャリア11上の全ての被封止物である。
【0027】
例えば圧縮成形装置1によって成形されるパッケージには、高い厚み精度が求められる場合がある。所望の厚みのパッケージを製造するために必要な樹脂Rの供給量はワーク10の状態に応じて変化するため、圧縮成形装置1は樹脂Rの供給量を高精度で算出可能に構成されるのが望ましい。
【0028】
ここで、ワーク10の状態と樹脂Rの供給量との関係について、図2に示したワーク10の一例を参照しつつ説明する。ワーク10には、複数の分割ラインLN1,LN2によって区画された複数のパッケージエリアPAが設けられている。複数の分割ラインLN1,LN2は、樹脂Rが圧縮成形されたワーク10を複数のパッケージに分割するための仮想線であり、複数の分割ラインLN1と複数の分割ラインLN2とは互いに略直交している。パッケージエリアPAはパッケージとなる領域であり、複数のパッケージエリアPAはマトリクス状に並んでいる。パッケージエリアPAのうち第1のパッケージエリアPA1には、第1の部品12a及び第2の部品12bが配置されている。しかし、パッケージエリアPAのうち第2のパッケージエリアPA2及び第3のパッケージエリアPA3では、第1の部品12a及び第2の部品12bのうち少なくとも一方の一部又は全部が存在しない。例えば、第2のパッケージエリアPA2に示すように、ワーク10が衝撃を受けた際に部品12bが剥落して、部品12bの一部又は全部が欠ける場合がある。例えば、部品12bの一部又は全部が部品12bの搭載後に欠損し、当該一部欠損した部品12bをキャリア11に接続する接続部材が欠損していない場合、ワーク10中の部品12bの数量と、部品12bを接続する接続部材の数量とは一致しない。また、例えば、第3のパッケージエリアPA3に示すように、キャリア11の配線不良等によって使用できない部分には、部品の損失を減らすために第1の部品12a及び第2の部品12bをもともと搭載しない場合がある。これらの場合にパッケージの薄肉化を抑制するためには、第2のパッケージエリアPA2及び第3のパッケージエリアPA3に搭載予定であったが存在しない第1の部品12a及び第2の部品12bの体積分だけ樹脂Rの供給量を増やして調整する必要がある。
【0029】
樹脂供給装置100は、ワーク10の状態に基づいて樹脂Rの供給量を算出し、モールド金型190に搬入される前のワーク10又はリリースフィルムRFに樹脂Rを供給する。図1に示した例では、樹脂供給装置100はリリースフィルムRFに樹脂Rを供給している。樹脂供給装置100は、計量部110と、算出部120と、供給部130と、ステージ140と、厚み計測部150と、撮像部160と、反転部180とを備えている。
【0030】
計量部110は、ワーク10の重量を計量し、計量結果を算出部120に伝送する。例えば、計量部110は上面に積載された物の重量を計量する上皿電子天秤であり、部品12が搭載された搭載面を上(計量部110とは反対側)に向けた状態のワーク10を上面に積載し、ワーク10の重量を計量する。
【0031】
算出部120は、計量部110で計量されたワーク10の重量に基づき、樹脂Rの供給量を算出する。算出部120は、計算機のハードウェハ及びソフトウェハによって構成される。算出部120には、樹脂Rの供給量を算出するためのデータが事前に登録されていてもよい。当該データは、例えば、キャリア11の標準重量、最小重量、最大重量、標準厚み、最小厚み、最大厚み及び比重を含んでもよい。また、当該データは、ワーク10の標準重量、最小重量及び最大重量を含んでもよく、1つのワーク10に搭載される部品12の標準数量、最大数量、最小数量、標準総重量、最大総重量、最小総重量及び比重を含んでもよく、樹脂Rの標準供給量、最小供給量、最大供給量及び比重を含んでもよく、パッケージエリアPAの数、パッケージの所望の厚み、パッケージの厚みの許容範囲、等を含んでもよい。樹脂Rの供給量は、体積で特定されてもよく、重量で特定されてもよい。また、樹脂Rの供給量は、供給部130の制御パラメータによって特定されてもよい。ここで、上記標準重量等の「標準」は、上記の各項目における製品として欠陥がなかったり、欠陥の数が許容範囲であることで平均値又は中央値であって製造工程において標準として取り扱われる値である。上記重量等の「最小」及び「最大」は、それぞれ、製造における許容限界の下限値及び上限値である。なお、算出部120に登録されたデータは、キャリア11の重量及び厚み、ワーク10の重量、部品12の数量及び総重量、並びに樹脂Rの供給量のそれぞれの、平均値、中央値、最頻値などの統計量を含んでもよい。算出部120に登録されたデータは、予測値でもよく、実測値でもよい。
【0032】
標準重量のキャリア11が本発明の「基準キャリア」の一例に相当し、キャリア11の標準重量が本発明の「基準キャリア重量」の一例に相当する。本発明の「基準キャリア」は、最小重量又は最大重量のキャリア11でもよく、重量が平均値、中央値又は最頻値のキャリア11でもよい。すなわち、本発明の「基準キャリア重量」は、キャリア11の重量の最小値、最大値、平均値、中央値又は最頻値でもよい。部品12の標準数量が本発明の「基準部品数量」の一例に相当し、部品12の標準総重量が本発明の「基準部品総重量」の一例に相当する。本発明の「基準部品数量」は部品12の最大数量又は最小数量でもよく、本発明の「基準部品総重量」は部品12の最大総重量又は最小総重量でもよい。
【0033】
標準重量のワーク10が本発明の「基準ワーク」の一例に相当し、ワーク10の標準重量が本発明の「基準ワーク重量」の一例に相当する。本発明の「基準ワーク」は基準キャリアに基準部品数量の部品が搭載されたワークであり、本発明の「基準ワーク重量」は基準ワークの重量である。本発明の「基準ワーク」は最小重量又は最大重量のワーク10でもよく、本発明の「基準ワーク重量」はワーク10の最小重量又は最大重量でもよい。ワーク10の最大重量は、例えば基準キャリアに部品12が全て搭載されたワーク10の重量である。ワーク10の最小重量は、例えば基準キャリアに部品12が全く搭載されていないワーク10の重量(即ち、基準キャリア重量)である。
【0034】
樹脂Rの標準供給量が本発明の「基準樹脂量」の一例に相当する。本発明の「基準樹脂量」は、基準ワークに対して樹脂Rを所望の厚みに圧縮成形するために必要な樹脂量である。本発明の「基準樹脂量」は、樹脂Rの最大供給量又は最小供給量でもよい。樹脂Rの最小供給量は、例えば最大重量のワーク10に対して樹脂Rを所望の厚みに圧縮成形するために必要な樹脂量である。樹脂Rの最大供給量は、例えば最小重量のワーク10に対して樹脂Rを所望の厚みに圧縮成形するために必要な樹脂量である。
【0035】
供給部130は、算出部120によって算出された供給量の樹脂Rを供給する。図1に示した例では供給部130はリリースフィルムRFに樹脂Rを供給するように構成されているが、ワーク10に樹脂Rを供給するように構成されてもよい。供給部130は、ホッパ131と、制御部133と、リニアフィーダ135とを備えている。ホッパ131は、樹脂Rを収容する。制御部133は、算出部120からの入力される算出結果に基づき、樹脂Rの供給量、供給速度、供給タイミング等を制御する。リニアフィーダ135は、樹脂Rを送り出して先端から投下する。なお、供給部130の構成は上記に限定されるものではない。例えば樹脂Rの形状が液状であった場合、供給部130は、樹脂Rを貯留するシリンジと、樹脂Rを押し出すピストンと、シリンジの先端を開閉するピンチバルブとを有するディスペンサを備えてもよい。また、供給部130の構成として、リニアフィーダ135を用いた構成やシリンジを有するディスペンサ以外の構成を採用することもできる。
【0036】
ステージ140は、樹脂Rが供給されるリリースフィルムRFを支持する土台である。ステージ140は、供給部130に対して相対的に移動可能に構成されている。具体的には、供給部130及びステージ140の少なくとも一方が、サーボモータ等の移動手段によって移動可能に構成されている。例えば、供給部130及びステージ140の一方が他方に対して相対的に移動し、リリースフィルムRF上の広範囲に樹脂Rが供給される。但し、供給部130及びステージ140の互いに対する相対的位置は略固定されていてもよく、例えばリリースフィルムRFの中央部に樹脂Rが供給されてもよい。ステージ140は、リリースフィルムRF上に供給された樹脂Rを振動によって分散させる加振器を備えてもよい。
【0037】
厚み計測部150は、例えばキャリア11の厚みを計測する。厚み計測部150は、例えば反射率分光法方式やエリプソメータ方式等の非接触式計測器であるが、これに限定されるものではなくマイクロメータ方式等の接触式計測器であってもよい。厚み計測部150は、レーザ変位計を用いて厚みを計測してもよい。厚み計測部150は、例えば、複数の点又は複数の面の厚みを計測して厚みの面内分布を計測してもよく、面内方向を走査しつつ厚みを計測して厚みの面内分布を計測してもよい。厚み計測部150が計測した情報は、算出部120に伝送され、樹脂Rの供給量の算出に利用される。例えば、算出部120は、計量部110で計量されたワーク10の重量における、キャリア11の厚み変動に起因した重量変動を補正する。
【0038】
厚み計測部150は、ワーク10の厚みを計測してもよい。ここでいうワーク10の厚みは、例えばキャリア11に搭載される部品12の有無、部品12の高さや位置、等の搭載状況に関する情報が含まれる。すなわち、搭載状況に関する情報は、第2のパッケージエリアPA2及び第3のパッケージエリアPA3の数、位置、密度等を含んでいる。ワーク10の厚みを計測する場合、計測による部品12の損傷を抑制する観点から、厚み計測部150は非接触式計測器やレーザ変位計によって厚みを計測するのが望ましい。厚み計測部150が計測した搭載状況に関する情報は算出部120に伝送され、樹脂Rの供給量や供給位置の算出に利用される。なお、ここでいう樹脂Rの供給位置には、どのパッケージエリアPAに対応する位置に樹脂Rを供給するかという情報だけではなく、どのパッケージエリアPAに対応する位置で樹脂Rの供給量を増やすか又は減らすかという情報も含まれる。
【0039】
厚み計測部150は、パッケージの厚みを計測してもよい。厚み計測部150が計測したパッケージの厚みは算出部120に伝送される。例えば、算出部120は、算出した樹脂Rの供給量と、その樹脂Rによって圧縮成形されたパッケージの厚みを比較し、樹脂Rの供給量の算出方法を調整してもよい。
【0040】
撮像部160は、ワーク10の画像を撮像する。撮像部160は、例えば、カメラ(単眼カメラや複眼カメラ)と、カメラで撮像した画像を処理する画像処理システムとを備えている。これにより、撮像部160は、キャリア11上の部品12を撮像し、画像処理によって搭載状況に関する情報を取得する。撮像部160が取得した搭載状況に関する情報は算出部120に伝送され、樹脂Rの供給量や供給位置の算出に利用される。
【0041】
なお、厚み計測部150及び撮像部160は、圧縮成形装置1から省略されてもよい。また、キャリア11の厚みと、ワーク10の厚みと、パッケージの厚みとは、別々の厚み計測部によって計測されてもよい。
【0042】
反転部180は、計量部110で計量されたワーク10を、モールド金型190の内部へ搬送する途中で上下反転させる。図1に示すように、ワーク10が部品12を上に向けた状態で計量され且つ部品12を下に向けた状態で後述する上型192にセットされる場合に、反転部180はワーク10の上下方向を反転させる。また、ワーク10が部品12を下に向けた状態で計量され且つ部品12を上に向けた状態で後述する下型191にセットされる場合にも、反転部180はワーク10の上下方向を反転させる。なお、計量部110において計量されるときのワーク10の向きとモールド金型190の内部にセットされるときのワーク10の向きとが同じ場合、反転部180は省略される。
【0043】
モールド金型190は、圧縮成形技術を用いてワーク10を樹脂封止するための一対の金型(下型191及び上型192)である。下型191及び上型192のうち、キャビティ199を有する方の金型にリリースフィルムRFがセットされ、もう一方の金型にワーク10がセットされる。また、リリースフィルムRF及びワーク10のうち下型191にセットされる方に樹脂Rが供給される。本実施形態において、モールド金型190は、下型191にキャビティ199を有する下型キャビティ構造である。
【0044】
モールド金型190は、モールド金型190の内部(下型191と上型192との間の空間)をシールするシールリング193(例えばOリング)を備えている。なお、図示しないが、圧縮成形装置1は、モールド金型190の内部圧力を調節する圧力調節部(例えば真空ポンプ)や、内部温度(成形温度)を調節する温度調節部(例えばヒータ)を備えている。
【0045】
下型191は、チェイス19Aと、チェイス19Aの上型192側に固定されたキャビティ駒19Bと、キャビティ駒19Bを囲むクランパ19Cと、間隔を空けてクランパ19Cを囲むチャンバブロック19Dとを備えている。キャビティ駒19Bはチェイス19Aの上型192側に固定されている。クランパ19Cは、キャビティ駒19Bよりも上型192に向かって突出し、キャビティ駒19Bとともにキャビティ199を構成している。クランパ19Cは、スプリングを介してチェイス19Aに接続され、キャビティ駒19Bに対して摺動可能に構成されている。型締めしたとき、クランパ19Cと上型192との間に、ワーク10の外縁部(キャリア11)が挟まれる。クランパ19Cの上面(上型192に対向する面)には、チャンバブロック19D側の空間とキャビティ199とを繋ぐ複数のエアベントが設けられている。複数のエアベントは、キャビティ199を中心とした放射線状に設けられた溝である。複数のエアベントは、型締めされたモールド金型190のキャビティ199に残存するエアや樹脂Rから発生するガスを排出する排気孔として機能する。エアベントは、エアやガスは排出されるが樹脂Rは流出しないような深さ(例えば数μm程度)に形成されている。チャンバブロック19Dには、シールリング193が接触する。
【0046】
本実施形態に係る圧縮成形装置1は体積計測部をさらに備えてもよい。体積計測部は、ワーク10の体積、ワーク10に対して樹脂Rが成形された集合パッケージの体積、キャリア11の体積、ワーク10に搭載された複数の実装物の体積などを測定可能であれば特に限定されるものではない。
【0047】
次に、図3乃至図7を参照しつつ、圧縮成形装置1を用いたパッケージの製造方法の一例について説明する。
【0048】
図3は、樹脂Rの供給量の算出方法の一例(S110)を示すフローチャートである。樹脂Rの供給量の算出方法S110においては、まず、基準ワーク重量及び基準樹脂量を登録する(S111)。例えば、基準ワーク重量及び基準樹脂量は、外部端末から算出部120に入力される。この算出方法S110において、基準ワーク重量は、基準キャリアに部品12が全て搭載されたワーク10(以下、「基準ワーク」とする。)の重量である。言い換えると、基準ワーク重量は、全てのパッケージエリアPAが第1のパッケージエリアPA1であるワーク10の重量である。基準キャリアには、例えば標準重量のキャリア11が用いられる。この場合、基準樹脂量は、部品12が全て搭載された基準ワークに対して樹脂Rを圧縮成形し、所望の厚みのパッケージを得るのに必要な樹脂Rの供給量である。なお、基準キャリアには、最小重量のキャリア11を用いることもできる。この場合、基準樹脂量は、部品12が全く搭載されていない基準ワークに対して樹脂Rを圧縮成形し、所望の厚みのパッケージを得るのに必要な樹脂Rの供給量である。
【0049】
次に、ワーク10の重量を計量し(S112)、ワーク10の重量差分を算出する(S113)。ワーク10の重量は計量部110によって計量され、ワーク10の重量差分は算出部120によって算出される。ワーク10の重量差分とは、基準ワーク重量と、計量したワーク10の重量との差分である。ワーク10は、部品12が一部存在しない第2のパッケージエリアPA2及び部品12が全部存在しない第3のパッケージエリアPA3を有することがある。例えば、基板の内部配線に不良があるために第3のパッケージエリアPA3が点在する場合や、部品12を全数搭載できないためにキャリア11の半分が第3のパッケージエリアPA3となる場合もありえる。このように、第2のパッケージエリアPA2や第3のパッケージエリアPA3に搭載予定であったが存在しない部品12を、まとめて「存在しない部品12」とする。工程S112で計量されるワーク10の重量は、存在しない部品12の重量分だけ基準ワーク重量よりも軽くなる。工程S113では、基準ワーク重量から、工程S112で計量したワーク10の重量を減算することで、存在しない部品12の重量をワーク10の重量差分として算出する。
【0050】
次に、ワーク10の重量差分に基づき補正樹脂量を算出し(S114)、基準樹脂量に補正樹脂量を算入する(S115)。補正樹脂量は算出部120によって算出され、算出部120によって基準樹脂量へ算入される。第2のパッケージエリアPA2及び第3のパッケージエリアPA3を有するワーク10に対して基準樹脂量の樹脂Rを圧縮成形すると、存在しない部品12の分だけパッケージの厚みが減少する。そこで、所望の厚みのパッケージを得るために、工程S115において、存在しない部品12の分の補正樹脂量を、基準樹脂量に加算する。工程S114において補正樹脂量は例えば樹脂Rの重量として算出され、ワーク10の重量差分に樹脂Rの比重を乗算して部品12の比重で除算して算出される。樹脂Rの比重と部品12の比重とが近い場合、ワーク10の重量差分を補正樹脂量として用いてもよい。
【0051】
このように、ワーク10の重量に基づいて樹脂Rの供給量を算出することで、簡易かつ迅速に樹脂Rの供給量を算出することができる。すなわち、ワークの略全面を走査して厚みを計測し全ての部品の搭載状況を精査する構成の圧縮成形装置に比べて、本実施形態に係る圧縮成形装置及びこれを用いた圧縮成形方法では、パッケージの生産能力が向上する。
【0052】
なお、樹脂Rの供給量の算出方法S110において、基準ワーク重量は、上記したように基準キャリアに部品12が全く搭載されていないワーク10の重量であってもよい。言い換えると、基準ワーク重量は、基準キャリアの重量であってもよい。このときの基準樹脂量は、部品が全く搭載されていない基準ワークに対して樹脂Rを圧縮成形し、所望の厚みのパッケージを得るのに必要な樹脂Rの供給量である。この場合、工程S112で計量されるワーク10の重量は、搭載された部品12の重量分だけ基準ワーク重量よりも重くなる。工程S112で計量したワーク10の重量から、基準ワーク重量を減算することで、搭載された部品12の重量をワーク10の重量差分として算出する。このとき、工程S115において、ワーク10に搭載された部品12の分の補正樹脂量を、基準樹脂量から減算することで、樹脂Rの供給量が算出される。
【0053】
図4は、補正樹脂量の調整方法の一例(S120)を示すフローチャートである。補正樹脂量の調整方法S120においては、まず、キャリア11の厚みを計測する(S121)。キャリア11の厚みは、厚み計測部150によって計測される。次に、キャリア11の厚みからキャリア重量を算出し(S122)、キャリア11の重量差分を算出し(S123)、キャリア11の重量差分に基づき補正樹脂量を調整する(S124)。キャリア11の重量差分は算出部120によって算出され、補正樹脂量は算出部120によって調整される。キャリア11の重量差分は、基準ワーク重量のうち基準キャリアの占める重量と、計量されたワーク10のうちキャリア11の占める重量との差分である。キャリア11の重量は、キャリア11の厚みの変動に応じて変動する。このため、工程S113で算出されるワーク10の重量差分には、存在しない部品12の重量だけではなく、キャリア11の重量差分も含まれる。しかし、キャリア11の重量の変動は、所望の厚みのパッケージを圧縮成形するために必要な樹脂Rの供給量には影響しない。このため、補正樹脂量からキャリア11の重量差分の影響を排除することで、樹脂Rの供給量をより正確に算出できる。工程S124では、一例として、ワーク10の重量差分から補正樹脂量を算出してから、キャリア11の重量差分に基づき補正樹脂量を調整している。しかし、ワーク10の重量差分からキャリア11の重量差分を減算してから、補正樹脂量を算出してもよい。
【0054】
図5は、樹脂Rの供給位置の算出方法の一例(S130)を示すフローチャートである。樹脂Rの供給位置の算出方法S130においては、まず、ワーク10の厚みを計測する(S131)。ワーク10の厚みは、厚み計測部150によって計測される。次に、部品12の搭載状況を算出し(S132)、樹脂Rの供給位置を算出する(S133)。部品12の搭載状況はワーク10の厚みに基づいて算出部120によって算出され、樹脂Rの供給位置は、部品12の搭載状況に基づいて算出部120によって算出される。樹脂Rの供給位置は、部品12の搭載状況に基づいて算出される。第1のパッケージエリアPA1に対応する位置への樹脂Rの供給量よりも、第2のパッケージエリアPA2及び第3のパッケージエリアPA3に対応する位置への樹脂Rの供給量を多くすることで、モールド金型190の内部での樹脂Rの充填に要する時間を短縮し、樹脂Rの成形不良を抑制することができる。
【0055】
図6は、樹脂Rの供給位置の算出方法の別の一例(S140)を示すフローチャートである。樹脂Rの供給位置の算出方法S140においては、まず、ワーク10の画像を撮像する(S141)。ワーク10の画像は、撮像部160によって撮像される。次に、部品12の搭載状況を算出(S142)、樹脂Rの供給位置を算出する(S143)。部品12の搭載状況は、ワーク10の画像に基づいて算出部120によって算出され、樹脂Rの供給位置は部品12の搭載状況に基づいて算出部120によって算出される。なお、樹脂Rの供給位置の算出には、算出方法S130と算出方法S140とを併用してもよい。
【0056】
図7は、樹脂Rの供給量の算出方法の別の一例(S210)を示すフローチャートである。樹脂Rの供給量の算出方法S210においては、まず、最大ワーク重量、最小ワーク重量及び最大パッケージ数を登録する(S211)。例えば、最大ワーク重量、最小ワーク重量及び最大パッケージ数は、外部端末から算出部120に入力される。この算出方法S210において、最大ワーク重量は、基準キャリアに部品12が全て搭載されたワーク10(以下、「最大ワーク」とする。)の重量である。言い換えると、最大ワーク重量は、全てのパッケージエリアPAが第1のパッケージエリアPA1であるワーク10の重量である。また、最小ワーク重量は、基準キャリアに部品12が全く搭載されていないワーク10(以下、「最小ワーク」とする。)の重量である。言い換えると、最小ワーク重量は、基準キャリアの重量である。基準キャリアは、例えば標準重量のキャリア11である。最大パッケージ数は、最大ワークから製造可能なパッケージの数、すなわちパッケージエリアPAの数である。
【0057】
次に、重量範囲を算出し、複数の部分範囲に分割する(S212)。重量範囲は算出部120によって算出され、重量範囲は算出部120によって部分範囲に分割される。重量範囲は、最小ワーク重量から最大ワーク重量までの数値範囲であり、複数の部分範囲は、重量範囲を最大パッケージ数で分割したそれぞれの数値範囲である。
【0058】
次に、ワーク10の重量を計量し(S213)、ワーク10の重量の属する部分範囲に基づき樹脂Rの供給量を算出する(S214)。ワーク10は計量部110によって計量され、樹脂Rの供給量は算出部120によって算出される。例えば、算出部120は、部分範囲のそれぞれに対応する樹脂Rの供給量が登録されており、ワーク10の重量がどの部分範囲に属するかを判定し、登録された樹脂Rの供給量を読み出す。これによれば、高精度な計量及び算出が不要であり、樹脂Rの供給量の算出速度が向上する。
【0059】
以下に、圧縮成形装置の変形例について説明する。なお、上記実施形態と共通の事柄については以下の各変形例においても同様に適用できるものとしその記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成には同様の符号を付し、同様の構成とそれによる同様の作用効果については逐次言及しない。
【0060】
図8を参照しつつ、一変形例に係る圧縮成形装置2の構成について説明する。図8は、第1変形例に係る圧縮成形装置の構成を概略的に示す図である。本変形例において、計量部110は、部品12を下(計量部110の側)に向けた状態のワーク10の重量を計量する。ワーク10は外縁部のキャリア11が支持され、部品12は計量部110等に接触していない。ワーク10はこの向きのまま搬送され、モールド金型190の上型192にセットされる。
【0061】
図9を参照しつつ、一変形例に係る圧縮成形装置3の構成について説明する。図9は、第2変形例に係る圧縮成形装置の構成を概略的に示す図である。本変形例において、モールド金型190は、上型192にキャビティ199を有する上型キャビティ構造である。計量部110で計量されたワーク10はステージ140に搬送される。ステージ140上で樹脂Rが供給されたワーク10は下型191にセットされ、リリースフィルムRFは上型192にセットされる。
【0062】
次に、図10及び図11を参照しつつ、一実施形態に係る樹脂の供給量の算出方法の一例について説明する。図10及び図11は、樹脂の供給量の算出方法の一部を示すフローチャートである。図10は試作段階を示すフローチャートであり、図11は本番段階を示すフローチャートである。以下の説明において、特に言及がない場合、算出は算出部120において実行される。
【0063】
まず、第1試作用ワーク及び第2試作用ワークの重量及び体積を測定する(S311)。試作用ワークは、本番時の製造条件を洗い出すための試作に用いるワークである。第1試作用ワーク及び第2試作用ワークは、基準キャリアにそれぞれ異なるセット数の実装物が搭載されたワークである。第1試作用ワーク及び第2試作用ワークは、搭載された複数の部品12の全てに欠損のないワークから適宜選択されるのが望ましいが、複数の部品12の一部が欠損していてもよい。第1試作用ワーク及び第2試作用ワークのそれぞれの実装物のセット数は、大きく異なることが望ましい。望ましくは、第1試作用ワークは実装物が全く搭載されていない最小ワーク(すなわち基準キャリア)であり、第2試作用ワークは実装物が全て搭載された最大ワークである。
【0064】
第1試作用ワークの重量をWw1とし、第2試作用ワークの重量をWw2とし、第1試作用ワークの体積をVw1とし、第2試作用ワークの体積をVw2とする。第1試作用ワークの重量Ww1及び第2試作用ワークの重量Ww2は、計量部110において計量される。また、第1試作用ワークの体積Vw1及び第2試作用ワークの体積Vw2は、体積計測部において直接計測される。第1試作用ワークの体積Vw1及び第2試作用ワークの体積Vw2は、厚み計測部150において計測された第1試作用ワークの厚み及び第2試作用ワークの厚みに基づき算出されてもよい。
【0065】
次に、試作用ワークの重量差分及び体積差分に基づき、複数の実装物の比重を算出する(S312)。試作用ワークの重量差分は第1試作用ワークの重量と第2試作用ワークの重量との差分であり、試作用ワークの体積差分は第1試作用ワークの体積と第2試作用ワークの体積との差分である。複数の実装物の比重は、複数の部品とそれをキャリアに接続する複数の接続部材とをまとめた比重であり、言い換えるとワークからキャリアを除いた部分の比重である。
【0066】
試作用ワークの重量差分をΔWw21とし、試作用ワークの体積差分をΔVw21とし、複数の実装物の比重をdmとする。ΔWw21は、次式ΔWw21=Ww2-Ww1によって算出される。ΔVw21は、次式ΔVw21=Vw2-Vw1によって算出される。dmは、次式dm=ΔWw21/ΔVw21によって算出される。
【0067】
次に、第1試作用集合パッケージ又は第2試作用集合パッケージの重量及び体積を測定する(S313)。第1試作用集合パッケージは、第1試作用ワークに対して所定の供給量の樹脂を成形した成形後のワークであり、第1試作用ワークを基に製造される複数のパッケージの集合体である。第2試作用集合パッケージは、第2試作用ワークに対して所定の供給量の樹脂を成形した成形後のワークであり、第2試作用ワークを基に製造される複数のパッケージの集合体である。
【0068】
第1試作用集合パッケージの重量をWp1とし、第2試作用集合パッケージの重量をWp2とし、第1試作用集合パッケージの体積をVp1とし、第2試作用集合パッケージの体積をVp2とする。第1試作用集合パッケージの重量Wp1又は第2試作用集合パッケージの重量Wp2は、計量部110において計量される。また、第1試作用集合パッケージの体積Vp1又は第2試作用集合パッケージの体積Vp2は、体積計測部において直接計測されてもよく、厚み計測部150において計測された第1試作用集合パッケージの厚み又は第2試作用集合パッケージの厚みに基づき算出されてもよい。なお、第1試作用集合パッケージ及び第2試作用集合パッケージの両方の重量Wp1,Wp2及び体積Vp1,Vp2を測ってもよい。
【0069】
なお、第1試作用集合パッケージを製造するために第1試作用ワークに対して供給される樹脂の成形前の重量をWr1とする。第2試作用集合パッケージを製造するために第2試作用ワークに対して供給される樹脂の成形前の重量をWr2とする。樹脂の重量Wr1,Wr2は、供給後に計量された実測値であってもよく、供給前に決定された設定値であってもよい。
【0070】
次に、試作用ワークと試作用集合パッケージとの重量差分及び体積差分に基づき、成形後の樹脂の比重を算出する(S314)。試作用ワークと試作用集合パッケージとの重量差分は、樹脂が供給される前の試作用ワークの重量と、その試作用ワークに対して樹脂が成形された後の重量との差分であり、試作用集合パッケージ中に占める成形後の樹脂の重量に相当する。試作用ワークと試作用集合パッケージとの体積差分も同様であり、試作用集合パッケージ中に占める成形後の樹脂の体積に相当する。成形後の樹脂の比重は、試作用集合パッケージ中に占める成形後の樹脂の比重である。
【0071】
第1試作用ワークと第1試作用集合パッケージとの重量差分をΔWpw1とし、第1試作用ワークと第1試作用集合パッケージとの体積差分をΔVpw1とし、第2試作用ワークと第2試作用集合パッケージとの重量差分をΔWpw2とし、第2試作用ワークと第2試作用集合パッケージとの体積差分をΔVpw2とし、成形後の樹脂の比重をdrとする。ΔWpw1は、次式ΔWpw1=Wp1-Ww1によって算出される。ΔVpw1は、次式ΔVpw1=Vp1-Vw1によって算出される。ΔWpw2は、次式ΔWpw2=Wp2-Ww2によって算出される。ΔVpw2は、次式ΔVpw2=Vp2-Vw2によって算出される。
【0072】
工程S313において第1試作用集合パッケージの重量及び体積を測定した場合、工程S314において算出される重量差分及び体積差分はΔWpw1及びΔVpw1であり、drは、次式V=ΔWpw1/ΔVpw1によって算出される。工程S313において第2試作用集合パッケージの重量及び体積を測定した場合、工程S314において算出される重量差分及び体積差分はΔWpw2及びΔVpw2であり、drは、次式dr=ΔWpw2/ΔVpw2によって算出される。
【0073】
なお、工程S313において第1試作用集合パッケージ及び第2試作用集合パッケージの両方の重量及び体積を測定した場合、成形後の樹脂の比重は、第1試作用集合パッケージの重量及び体積を基に算出された比重と、第2試作用集合パッケージの重量及び体積を基に算出された比重との平均としてもよい。このとき、drは、次式dr={(ΔWpw1/ΔVpw1)+(ΔWpw2/ΔVpw2)}/2によって算出される。
【0074】
次に、試作用ワークと試作用集合パッケージとの重量差分に基づき、成形前後での樹脂の重量変化率を算出する(S315)。成形前後での樹脂の重量変化率は、成形前の樹脂の重量に対する成形後の樹脂の重量の比率である。
【0075】
成形前後での樹脂の重量変化率をαとする。工程S313において第1試作用集合パッケージの重量及び体積を測定した場合、αは、次式α=ΔWpw1/Wr1によって算出される。工程S313において第2試作用集合パッケージの重量及び体積を測定した場合、αは、次式α=ΔWpw2/Wr2によって算出される。
【0076】
なお、工程S313において第1試作用集合パッケージ及び第2試作用集合パッケージの両方の重量及び体積を測定した場合、成形前後での樹脂の重量変化率は、第1試作用ワークへ供給された樹脂の重量変化率と、第2試作用ワークへ供給された樹脂の重量変化率との平均としてもよい。このとき、αは、次式α={(ΔWpw1/Wr1)+(ΔWpw2/Wr2)}/2によって算出される。
【0077】
次に、ワーク10の重量を計量し、キャリア11の厚みを計測する(S321)。ワーク10の重量をWwとし、キャリア11の厚みをTcとする。ワーク10の重量Wwは計量部110において計量され、キャリア11の厚みTcは厚み計測部150において計測される。
【0078】
ここで、キャリア11の厚みTcからキャリア11の重量を算出する。キャリア11の重量をWcとし、キャリア11の面積をScとし、キャリア11の比重をdcとしたとき、Wcは、次式Wc=Tc×Sc×dcによって算出される。キャリア11の面積Sc及び比重dcは、設定値として算出部120に登録されている。キャリア11の面積Scは実測値であってもよい。
【0079】
次に、ワーク10の重量に基づき、複数の実装物の総重量を算出する(S322)。複数の実装物の総重量は、ワーク10に搭載された全ての部品12の総重量と、当該全ての部品12をキャリア11に接続する全ての接続部材の総重量との和である。言い換えると、ワーク10からキャリア11を除いた部分の重量である。1つの部品12の一部が欠損している場合や、部品12の数量と接続部材の数量とが一致していない場合、本工程S322で算出される複数の実装物の総重量は、1セット当たりの実装物の重量の整数倍ではない数として算出されてもよい。
【0080】
複数の実装物の総重量をWmとしたとき、Wmは、次式Wm=Ww-Wcによって算出される。
【0081】
次に、複数の実装物の比重に基づき、複数の実装物の総重量から複数の実装物の総体積を算出する(S323)。複数の実装物の総体積は、ワーク10に搭載された全ての部品12の総体積と、当該全ての部品12をキャリア11に接続する全ての接続部材の総体積との和である。言い換えると、ワーク10からキャリア11を除いた部分の体積である。複数の実装物の総重量と同様、複数の実装物の総体積は、1セット当たりの実装物の体積の整数倍ではない数として算出されてもよい。
【0082】
複数の実装物の総体積をVmとしたとき、Vmは、次式Vm=Wm×dmによって算出される。
【0083】
次に、複数の実装物の総体積に基づき、成形後の樹脂の体積を算出する(S324)。成形後の樹脂の体積は、集合パッケージ中に占める成形後の樹脂の体積であり、集合パッケージからワーク10を除いた部分の体積である。
【0084】
キャビティ199の体積をVcvとし、成形後の樹脂の体積をVrcとする。Vrcは、次式Vrc=Vcv-Vmによって算出される。なお、キャビティ199の体積Vcvは、集合パッケージの目標寸法に応じて事前に設計されており、設定値として算出部120に登録されている。
【0085】
次に、成形後の樹脂の比重に基づき、成形後の樹脂の体積から成形後の樹脂の重量を算出する(S325)。成形後の樹脂の重量は、集合パッケージ中に占める成形後の樹脂の重量であり、集合パッケージからワーク10を除いた部分の重量である。
【0086】
成形後の樹脂の重量をWrcとしたとき、Wrcは、次式Wrc=Vrc×drによって算出される。
【0087】
次に、成形前後の樹脂の重量変化率に基づき、成形後の樹脂の重量から成形前の樹脂の重量を算出する(S326)。算出された成形前の樹脂の重量は、ワーク10に対する樹脂の適正な供給量として扱われる。
【0088】
成形前の樹脂の重量をWrとしたとき、Wrは、次式Wr=(1/α)×Wrcによって算出される。
【0089】
このように、本実施形態では、ワークの重量に基づき複数の実装物の総重量を算出し、複数の実装物の比重に基づき複数の実装物の総重量から複数の実装物の総体積を算出し、複数の実装物の総体積に基づき、樹脂の供給量を算出する。複数の実装物の比重は、第1試作用ワークの重量と第2試作用ワークの重量との重量差分を、第1試作用ワークの体積と第2試作用ワークの体積との体積差分で除算して算出される。
【0090】
これによれば、部品の数量だけでなく接続部材の数量も加味した樹脂の供給量を算出することができる。したがって、樹脂の供給量の算出精度が向上し、樹脂の過不足に起因した不良品の発生を抑制することができる。
【0091】
また、本実施形態では、基準キャリアに実装物が全く搭載されていない最小ワークを第1試作用ワークとし、基準キャリアに実装物が全て搭載されている最大ワークを第2試作用ワークとしてもよい。
【0092】
これによれば、第1試作用ワーク及び第2試作用ワークの重量差分及び体積差分が大きくなり、複数の実装物の比重の算出精度が向上する。
【0093】
また、本実施形態では、ワークの重量から、キャリアの厚みに基づき算出したキャリアの重量を減算して、複数の実装物の重量を算出している。
【0094】
これによれば、キャリアの厚みの変動に起因して生じる樹脂供給量の計算誤差を低減することができる。
【0095】
但し、複数の実装物の総重量は、ワークの重量から基準キャリアの重量を減算して算出してもよい。この場合、基準キャリアの重量は設定値として算出部に登録されるため、工程S321に含まれる計測部におけるキャリアの厚みの計測を省略することが可能であり、製造工程を簡略化することができる。
【0096】
また、本実施形態では、体積計測部によって第1試作用ワーク及び第2試作用ワークの体積を直接計測し、体積計測部での計測結果に基づいて第1試作用ワークの体積と第2試作用ワークの体積との体積差分を算出している。
【0097】
これによれば、厚み計測部で計測した厚みに基づいて第1試作用ワーク及び第2試作用ワークの体積を算出する構成に比べて、複数の実装物の比重の算出に要する時間の短縮を図ることができる。
【0098】
また、本実施形態では、成形前後での樹脂の重量変化率に基づき、成形後の樹脂の重量から成形前の樹脂の重量をワークに対する樹脂の適正な供給量として算出している。
【0099】
これによれば、成形前後での樹脂の重量変化に起因して生じる樹脂供給量の計算誤差を低減することができる。
【0100】
但し、成形後の樹脂の体積に基づき、成形後の樹脂の重量をワークに対する樹脂の適正な供給量として算出してもよい。
【0101】
これによれば、工程S315や工程S326を省略することが可能であり、製造工程を簡略化することができる。
【0102】
なお、本実施形態では2つの試作用ワークを基に製造条件(複数の実装物の比重、成形後の樹脂の比重、成形前後での樹脂の重量変化率など)を算出しているが、3つ以上の試作用ワークを基に製造条件を算出してもよい。試作用ワークの数を増やすことで、製造条件の正確性を向上さることができる。
【0103】
次に、図12及び図13を参照しつつ、一実施形態に係る樹脂の供給量の算出方法の一例について説明する。図12及び図13は、樹脂の供給量の算出方法の一部を示すフローチャートである。図12は試作段階を示すフローチャートであり、図13は本番段階を示すフローチャートである。以下の説明において、図10及び図11を参照して説明した工程と同様の工程については、詳細な説明を省略する。
【0104】
まず、第3試作用ワーク及び第4試作用ワークの重量を計量する(S411)。第3試作用ワーク及び第4試作用ワークは、基準キャリアにそれぞれ異なるセット数の実装物が搭載されたワークである。第3試作用ワーク及び第4試作用ワークは、搭載された複数の部品12の全てに欠損のないワークから適宜選択される。このため、第3試作用ワーク及び第4試作用ワークにおける部品12の搭載数と実装物のセット数とは一致する。第3試作用ワーク及び第4試作用ワークのそれぞれの実装物のセット数は、大きく異なることが望ましい。望ましくは、第3試作用ワークは実装物が全く搭載されていない最小ワーク(すなわち基準キャリア)であり、第4試作用ワークは実装物が全て搭載された最大ワークである。
【0105】
第3試作用ワークの重量をWw3、第4試作用ワークの重量をWw4とする。第3試作用ワークWw3及び第4試作用ワークWw4の重量は、計量部110において計量される。第3試作用ワークに搭載された実装物のセット数をNw3、第4試作用ワークに搭載された実装物のセット数をNw4とする。第3試作用ワーク及び第4試作用ワークに搭載された実装物のセット数Nw3,Nw4は、例えば第3試作用ワーク及び第4試作用ワークの厚み計測や画像解析などによってカウントされた部品12の数に比例するが、算出部120に登録された所定の設定値であってもよい。なお、第3試作用ワーク及び第4試作用ワークに搭載された実装物のセット数Nw3,Nw4のいずれか一方は0であってもよい。
【0106】
次に、第3~第6試作用集合パッケージの厚み、上面面積及び重量を測定する(S412)。第3試作用集合パッケージは、第3試作用ワークに対して第1供給量の樹脂が成形された成形後のワークであり、第3試作用ワークを基に製造される複数のパッケージの集合体である。第4試作用集合パッケージは、第4試作用ワークに対して第1供給量の樹脂が成形された成形後のワークであり、第4試作用ワークを基に製造される複数のパッケージの集合体である。第5試作用集合パッケージは、第3試作用ワークに対して第2供給量の樹脂が成形された成形後のワークであり、第3試作用ワークを基に製造される複数のパッケージの集合体である。第6試作用集合パッケージは、第4試作用ワークに対して第2供給量の樹脂が成形された成形後のワークであり、第4試作用ワークを基に製造される複数のパッケージの集合体である。なお、本願の特許請求の範囲に記載の第1及び第2試作用集合パッケージは、例えば第3及び第4試作用集合パッケージである。
【0107】
第1供給量の樹脂の成形前の重量をWraとし、第2供給量の樹脂の成形前の重量をWrbとする。第1供給量の樹脂の成形前の重量Wra及び第2供給量の樹脂の成形前の重量Wrbは、供給後且つ成形前に例えば計量部110において計量された実測値であってもよく、供給前に決定された設定値であってもよい。
【0108】
試作用集合パッケージの厚みは、試作用集合パッケージのキャリア側を下面、樹脂側を上面としたとき、上面が平坦となった部分の厚みの平均値である。試作用集合パッケージの上面面積は、上面が平坦となった部分の面積である。但し、試作用集合パッケージの厚みは、上面が平坦となった部分の厚みの最大値又は最小値であってもよく、中央などの特定の位置の厚みであってもよい。
【0109】
第3試作用集合パッケージの厚みをTp3とし、第4試作用集合パッケージの厚みをTp4とし、第5試作用集合パッケージの厚みをTp5とし、第6試作用集合パッケージの厚みをTp6とする。第3~第6試作用集合パッケージの厚みTp3~Tp6は、厚み計測部150において計測される。第3~第6試作用集合パッケージの厚みTp3~Tp6は、少なくとも3つ計測されていれば、残りの1つの計測は省略されてもよい。上面面積をSpとしたとき、上面面積Spは、第3~第6試作用集合パッケージのいずれか1つの上面面積を計測して求めてもよく、第3~第6試作用集合パッケージのうち2つ以上の上面面積を計測してそれらの平均として算出してもよい。上面面積Spは、算出部120に設定値として登録される、キャビティ199の平坦な底面の面積であってもよい。第3試作用集合パッケージの重量をWp3とし、第4試作用集合パッケージの重量をWp4とし、第5試作用集合パッケージの重量をWp5とし、第6試作用集合パッケージの重量をWp6とする。第3~第6試作用集合パッケージの重量Wp3~Wp6は、例えば計量部110において計量される。第3~第6試作用集合パッケージの重量Wp3~Wp6は、少なくとも1つ計量されていれば、残りの3つの計測は省略されてもよい。
【0110】
次に、第1厚み差分及び実装物のセット数差分に基づき、1セット当たりの実装物の体積を算出する(S413)。第1厚み差分は、異なるセット数の実装物が搭載された2つのワークに対して、同じ供給量の樹脂を成形した際に生じる厚みの相違であり、実装物のセット数差分に相関する。実装物のセット数差分は、第3試作用ワークに搭載された実装物のセット数Nw3と、第3試作用ワークに搭載された実装物のセット数Nw4との差分である。1セット当たりの実装物の体積は、1つのパッケージエリアに搭載される欠損のない部品12の体積と、その部品12をキャリア11に接続する欠損のない接続部材の体積との和である。
【0111】
第1厚み差分をΔT1とし、実装物のセット数差分をΔNw43とし、1セット当たりの実装物の体積をVsとする。
【0112】
工程S412において第5試作用集合パッケージの厚みTp5及びと第6試作用集合パッケージの厚みTp6のいずれか一方の計測を省略した場合、第1厚み差分ΔT1は、第4試作用集合パッケージの厚みTp4と第3試作用集合パッケージの厚みTp3との差分である。このとき、ΔT1は、次式ΔT1=|Tp4-Tp3|によって算出される。工程S412において第3試作用集合パッケージの厚みTp3及びと第4試作用集合パッケージの厚みTp4のいずれか一方の計測を省略した場合、第1厚み差分ΔT1は、第6試作用集合パッケージの厚みTp6と第5試作用集合パッケージの厚みTp5との差分である。このとき、ΔT1は、次式ΔT1=|Tp6-Tp5|によって算出される。工程S412において第3~6試作用集合パッケージの厚みTp3~Tp6の全てを計測した場合、第1厚み差分ΔT1は、第4試作用集合パッケージと第3試作用集合パッケージとの厚み差分と、第6試作用集合パッケージと第5試作用集合パッケージとの厚み差分との平均としてもよい。このとき、ΔT1は、次式ΔT1=(|Tp4-Tp3|+|Tp6-Tp5|)/2によって算出される。
【0113】
ΔNw43は、次式ΔNw43=|Nw4-Nw3|によって算出される。例えば第3試作用ワークが最小ワークである場合(Nw=0)、第4試作用ワークに搭載された実装物のセット数がセット数差分である(ΔNw43=Nw4)。なお、第3及び第4試作用ワークは、搭載された複数の部品12の全てに欠損のないワークから選択されているため、Nw3及びNw4は0又は正の整数であり、ΔNw43は正の整数である。
【0114】
Vsは、次式Vs=(ΔT1×Sp)/ΔNw43によって算出される。
【0115】
次に、試作用ワークの重量差分及び実装物のセット数差分に基づき、1セット当たりの実装物の重量を算出する(S414)。試作用ワークの重量差分は、第4試作用ワークの重量Ww4と、第3試作用ワークの重量Ww3との差分であり、セット数差分ΔNw43の実装物の総重量に相当する。1セット当たりの実装物の重量は、1つのパッケージエリアに搭載される欠損のない部品12の重量と、その部品12をキャリア11に接続する欠損のない接続部材の重量との和である。
【0116】
試作用ワークの重量差分をΔWw43とし、1セット当たりの実装物の重量をWsとする。ΔWw43は、次式ΔWw43=|Ww4-Ww3|によって算出される。Wsは、次式Ws=ΔWw43/ΔNw43によって算出される。
【0117】
次に、第2厚み差分及び供給量差分に基づき、樹脂の概算比重を算出する(S415)。第2厚み差分は、同じセット数の実装物が搭載された2つのワークに対して、異なる供給量の樹脂を成形した際に生じる厚みの相違であり、成形後の樹脂の体積に相関する。供給量差分は、第1供給量の樹脂の成形前の重量Wraと、第2供給量の樹脂の成形前の重量Wrbとの差分である。樹脂の概算比重は、成形前後で樹脂の重量が略一定と仮定して算出する樹脂の比重である。
【0118】
第2厚み差分をΔT2とし、供給量差分をΔWrとし、樹脂の概算比重をdrxとする。
【0119】
工程S412において、第4試作用集合パッケージの厚みTp4及び第6試作用集合パッケージの厚みTp6のいずれか一方の計測を省略した場合、第2厚み差分ΔT2は、第5試作用集合パッケージの厚みTp5と第3試作用集合パッケージの厚みTp3との差分である。このとき、ΔT2は、次式ΔT2=|Tp5-Tp3|によって算出される。工程S412において、第3試作用集合パッケージの厚みTp3及び第5試作用集合パッケージの厚みTp5のいずれか一方の計測を省略した場合、第2厚み差分ΔT2は、第6試作用集合パッケージの厚みTp6と第4試作用集合パッケージの厚みTp4との差分である。このとき、ΔT2は、次式ΔT2=|Tp6-Tp4|によって算出される。工程S412において第3~6試作用集合パッケージの厚みTp3~Tp6の全てを計測した場合、第2厚み差分ΔT2は、第5試作用集合パッケージと第3試作用集合パッケージとの厚み差分と、第6試作用集合パッケージと第4試作用集合パッケージとの厚み差分との平均としてもよい。このとき、ΔT2は、次式ΔT2=(|Tp5-Tp3|+|Tp6-Tp4|)/2によって算出される。
【0120】
ΔWrは、次式ΔWr=|Wrb-Wra|によって算出される。
【0121】
drxは、次式drx=ΔWr/(ΔT2×Sp)によって算出される。
【0122】
次に、樹脂の概算比重に基づき、樹脂の最大重量を算出する(S416)。樹脂の最大重量は、部品が全く搭載されていない最小ワーク(すなわち基準キャリア)に対して、目標寸法の集合パッケージを製造するために供給する必要がある樹脂の重量である。
【0123】
樹脂の最大重量をWrmとし、設定値として算出部120に登録される集合パッケージの目標厚みをTptとする。第3試作用ワークが基準キャリアである場合、樹脂の最大重量Wrmは、第3試作用ワークへ供給した樹脂の重量に対して、第3試作用ワークから製造された試作用集合パッケージの重量と集合パッケージの目標重量との重量差分を補正して求めることができる。このとき、Wrmは、次式Wrm=Wra-{(Tp3-Tpt)×Sp/drx}、又は次式Wrm=Wrb-{(Tp5-Tpt)×Sp/drx}によって算出される。
【0124】
設定値として基準キャリアの厚みが算出部120に登録されている場合、基準キャリアの厚みをTcsとすると、Wrmは次式Wrm=(Tpt-Tcs)×Sp/drxによって算出することもできる。なお、上記Wrmの算出式において、基準キャリアの厚みの設定値であるTcsの代わりに、第3試作用ワーク又は第4試作用ワークに含まれるキャリアの厚みを計測して求めた実測値を用いてもよい。
【0125】
次に、ワーク10の重量を計量し、キャリア11の厚みを計測する(S421)。ワーク10の重量をWwとし、キャリア11の厚みをTcとする。また、キャリア11の厚みTcからキャリア11の重量Wcを算出する。
【0126】
次に、ワークの重量に基づき、複数の実装物の総重量を算出する(S422)。複数の実装物の総重量をWmとする。
【0127】
次に、1セット当たりの実装物の重量に基づき、複数の実装物の総重量から複数の実装物のセット数を算出する(S423)。複数の実装物のセット数は、ワーク10に搭載された複数の実装物の総セット数である。1つの部品12の一部が欠損している場合や、部品12の数量と接続部材の数量とが一致していない場合、複数の実装物のセット数は、整数ではない数として算出されてもよい。
【0128】
複数の実装物のセット数をNmとしたとき、Nmは、次式Nm=Wm/Wsによって算出される。
【0129】
次に、1セット当たりの実装物の重量に基づき、複数の実装物のセット数から複数の実装物の総体積を算出する(S424)。
【0130】
複数の実装物の総体積をVmとしたとき、Vmは、次式Vm=Nm×Vsによって算出される。
【0131】
次に、樹脂の概算比重に基づき、複数の実装物の総体積から複数の実装物の樹脂換算重量を算出する(S425)。複数の実装物の樹脂換算重量は、ワーク10中の複数の実装物を成形後の樹脂で置き換えた場合の重量である。言い換えると、複数の実装物の総体積と同じ体積の、成形後の樹脂の重量である。
【0132】
複数の実装物の樹脂換算重量をWrxとしたとき、Wrxは、次式Wrx=Vm×drxによって算出される。
【0133】
次に、成形後の樹脂の最大重量及び複数の実装物の樹脂換算重量に基づき、成形後の樹脂の重量を算出する(S426)。
【0134】
成形後の樹脂の重量をWrcとしたとき、Wrcは、次式Wrc=Wrm-Wrxによって算出される。算出された成形後の樹脂の重量Wrcは、ワーク10に対する樹脂の適正な供給量として扱われる。
【0135】
このように、本実施形態では、ワークの重量に基づき複数の実装物の総重量を算出し、1セット当たりの実装物の重量に基づき複数の実装物の総重量から複数の実装物のセット数を算出し、1セット当たりの実装物の体積に基づき複数の実装物のセット数から複数の実装物の総体積を算出し、複数の実装物の総体積に基づき樹脂の供給量を算出する。1セット当たりの実装物の体積は、例えば、第3試作用集合パッケージの厚みと第4試作用集合パッケージの厚みとの厚み差分に、第3又は第4試作用集合パッケージの上面面積を乗算し、第3試作用ワークの実装物のセット数と第4試作用ワークの実装物のセット数とのセット数差分で除算して算出される。1セット当たりの実装物の重量は、例えば、第3試作用ワークの重量と第4試作用ワークの重量との重量差分を、第3試作用ワークの実装物のセット数と第4試作用ワークの実装物のセット数とのセット数差分で除算して算出される。
【0136】
これによれば、部品の数量だけでなく接続部材の数量も加味した樹脂の供給量を算出することができる。したがって、樹脂の供給量の算出精度が向上し、樹脂の過不足に起因した不良品の発生を抑制することができる。
【0137】
また、本実施形態では、基準キャリアに実装物が全く搭載されていない最小ワークを第3試作用ワークとし、基準キャリアに実装物が全て搭載されている最大ワークを第4試作用ワークとしてもよい。
【0138】
これによれば、第3試作用集合パッケージ及び第4試作用集合パッケージの厚み差分と、第3試作用ワーク及び第4試作用ワークの実装物のセット数差分とが大きくなり、1セット当たりの実装物の体積の算出精度が向上する。また、第3試作用ワーク及び第4試作用ワークの重量差分も大きくなり、1セット当たりの実装物の重量の算出精度が向上する。
【0139】
また、本実施形態では、ワークの重量から、キャリアの厚みに基づき算出したキャリアの重量を減算して、複数の実装物の重量を算出している。
【0140】
これによれば、キャリアの厚みの変動に起因して生じる樹脂供給量の計算誤差を低減することができる。
【0141】
但し、複数の実装物の重量は、ワークの重量から基準キャリアの重量を減算して算出してもよい。この場合、基準キャリアの重量は設定値として算出部に登録されるため、工程S321に含まれる計測部におけるキャリアの厚みの計測を省略することが可能であり、製造工程を簡略化することができる。
【0142】
また、本実施形態では、成形前の樹脂の重量を成形後の樹脂の体積で除算して樹脂の概算比重を算出し、樹脂の概算比重に基づき樹脂の最大重量を算出し、樹脂の最大重量に基づき成形後の樹脂の重量を算出している。
【0143】
但し、樹脂の最大重量Wrmの算出方法は上記に限定されるものではない。例えば、成形後の樹脂の比重をdrcとして、次式Wrm=Wrb-{(Tp5-Tpt)×Sp/drc}によって算出してもよい。drcは、第5試作用集合パッケージの重量Wp5と第3試作用集合パッケージの重量Wp3との重量差分をΔWp53としたとき、次式drc=ΔWp53/(ΔT2×Sp)によって算出される。
【0144】
樹脂の最大重量Wrmは、設計値として算出部120に登録されたキャビティ199の容量を、樹脂の概算比重又は成形の樹脂の比重で乗算して算出してもよい。
【0145】
また、本実施形態では、成形後の樹脂の重量をワークに対する樹脂の適正な供給量として算出している。
【0146】
但し、成形前後での樹脂の重量変化率を算出しておき、成形後の樹脂の重量Wrcから成形前の樹脂の重量を算出し、これをワークに対する樹脂の適正な供給量として扱ってもよい。成形前後での樹脂の重量変化率は、例えば、第5試作用集合パッケージの重量Wp5と第3試作用集合パッケージの重量Wp3との重量差分を、第2供給量の樹脂の重量と第1供給量の樹脂の重量との重量差分で除算することによって算出される。
【0147】
以上説明したように、本発明の一態様によれば、樹脂の供給精度を向上させることができる圧縮成形装置を提供することができる。
【0148】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0149】
1…圧縮成形装置
10…ワーク
11…キャリア
12…部品
100…樹脂供給装置
110…計量部
120…算出部
130…供給部
140…ステージ
150…厚み計測部
160…撮像部
180…反転部
190…モールド金型
191…下型
192…上型
199…キャビティ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13