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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】商品前出し具
(51)【国際特許分類】
   A47F 3/08 20060101AFI20240830BHJP
   A47F 1/12 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
A47F3/08
A47F1/12
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024017324
(22)【出願日】2024-02-07
【審査請求日】2024-03-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】394016874
【氏名又は名称】河淳株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 充嗣
【審査官】大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第219920733(CN,U)
【文献】米国特許第05450969(US,A)
【文献】欧州特許出願公開第03391788(EP,A1)
【文献】国際公開第96/013188(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 3/08
A47F 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に延びるとともに商品が載置されるレール部材と、
前記レール部材上を進退可能な基部であって、前記レール部材と接続する端部とは反対側の端部に第1軸部および第1軸受のいずれか一方を有する基部と、
前記第1軸部に係合する第2軸受および前記第1軸受に係合する第2軸部のいずれか一方を有し、前記第1軸部および前記第1軸受のいずれか一方を中心に前記基部に対してシーソー状に回動可能な首振部であって、前記第1軸部および前記第1軸受のいずれか一方から後方に向けて延びた第1片と、前記第1軸部および前記第1軸受のいずれか一方から下方に延びて前記商品に後側から当接可能な第2片と、を有する首振部と、
を備える商品前出し具。
【請求項2】
前後方向に延びるとともに商品が載置されるレール部材と、
前記レール部材上を進退可能な基部であって、前記レール部材と接続する端部とは反対側の端部に第1軸部および第1軸受のいずれか一方を有する基部と、
前記第1軸部に係合する第2軸受および前記第1軸受に係合する第2軸部のいずれか一方を有し、前記第1軸部および前記第1軸受のいずれか一方を中心に前記基部に対してシーソー状に回動可能な首振部であって、前記第1軸部および前記第1軸受のいずれか一方から上方に向けて延びた第1片と、前記第1軸部および前記第1軸受のいずれか一方から下方に延びて前記商品に後側から当接可能な第2片と、を有する首振部と、
を備える商品前出し具。
【請求項3】
前記第1片は、後方に行くにつれて設置高さが高くなるように斜めに延びた請求項1に記載の商品前出し具。
【請求項4】
前記首振部は、前記第2片が下方に延びている第1姿勢と、前記第1片の押し下げにより前記第2片が上昇して前記商品を後側から押圧する第2姿勢と、の間で回動可能であるとともに、前記第1片の押し下げの解除により、前記第2姿勢から前記第1姿勢に戻ることが可能である請求項2又は請求項3に記載の商品前出し具。
【請求項5】
前記首振部は、前記第1片の押し下げの解除により、自重で前記第2姿勢から前記第1姿勢に戻る請求項4に記載の商品前出し具。
【請求項6】
前記首振部は、前記基部に対して着脱可能である請求項1又は請求項2に記載の商品前出し具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品を前出しする商品前出し具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、商品自動前出し陳列棚が知られている(例えば、特許文献1参照)。この陳列棚では、棚板の前後の移動によって、自動的に商品を前出しできる。すなわち、店舗管理者は、移動棚板を通常位置から引き出し位置に移動することで、一旦商品を前出しし、さらにもう一度、通常位置に戻した後に引き出し位置に移動することで、前出しされた商品の後側に新たな商品の補充スペースを確保することができる。店舗管理者は、このように、棚上に残っている商品を前出しした後に、また必要に応じて押出し部材を手動で後側に押し下げることで、棚上に残っている商品の後側にスペースを確保してから、商品の補充を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-108801号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、店舗管理者は、商品を補充する際に、一方の手で補充用の商品を入れた籠を持ち、もう片方の手で商品を補充するというオペレーションを行う場合がある。このため、商品を持っている手で簡単に後方に下げられる押出し部材についてニーズがあった。
【0005】
従って、本発明の目的は、商品を持っている手で簡単に後方に下げることができる商品前出し具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、以下の本発明により解決される。すなわち、本発明(1)の商品前出し具は、
前後方向に延びるとともに商品が載置されるレール部材と、
前記レール部材上を進退可能な基部であって、前記レール部材と接続する端部とは反対側の端部に第1軸部および第1軸受のいずれか一方を有する基部と、
前記第1軸部に係合する第2軸受および前記第1軸受に係合する第2軸部のいずれか一方を有し、前記第1軸部および前記第1軸受のいずれか一方を中心に前記基部に対してシーソー状に回動可能な首振部であって、前記第1軸部および前記第1軸受のいずれか一方から後方に向けて延びた第1片と、前記第1軸部および前記第1軸受のいずれか一方から下方に延びて前記商品に後側から当接可能な第2片と、を有する首振部と、
を備える。
【0007】
上記課題は、以下の本発明により解決される。すなわち、本発明(2)の商品前出し具は、
前後方向に延びるとともに商品が載置されるレール部材と、
前記レール部材上を進退可能な基部であって、前記レール部材と接続する端部とは反対側の端部に第1軸部および第1軸受のいずれか一方を有する基部と、
前記第1軸部に係合する第2軸受および前記第1軸受に係合する第2軸部のいずれか一方を有し、前記第1軸部および前記第1軸受のいずれか一方を中心に前記基部に対してシーソー状に回動可能な首振部であって、前記第1軸部および前記第1軸受のいずれか一方から上方に向けて延びた第1片と、前記第1軸部および前記第1軸受のいずれか一方から下方に延びて前記商品に後側から当接可能な第2片と、を有する首振部と、
を備える。
【0008】
また、本発明(3)の商品前出し具は、(1)又は(2)記載の商品前出し具であって、
前記第1片は、後方に行くにつれて設置高さが高くなるように斜めに延びている。
【0009】
また、本発明(4)の商品前出し具は、(3)記載の商品前出し具であって、
前記首振部は、前記第2片が下方に延びている第1姿勢と、前記第1片の押し下げにより前記第2片が上昇して前記商品を後側から押圧する第2姿勢と、の間で回動可能であるとともに、前記第1片の押し下げの解除により、前記第2姿勢から前記第1姿勢に戻ることが可能である。
【0010】
また、本発明(5)の商品前出し具は、(4)に記載の商品前出し具であって、
前記首振部は、前記第1片の押し下げの解除により、自重で前記第2姿勢から前記第1姿勢に戻る。
【0011】
また、本発明(6)の商品前出し具は、(1)又は(2)に記載の商品前出し具であって、
前記首振部は、前記基部に対して着脱可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、商品を持っている手で簡単に後方に下げることができる商品前出し具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態の棚を示す斜視図である。なお、本図では、1つのレール部材をピックアップしている状態を示し、移動板に対してレール部材が着脱可能であることを模式的に示している。
図2図1に示す棚の固定部を示す斜視図である。
図3図1に示す棚の固定部の一部、レール部材、前出し部材、およびフック部材等を示す斜視図である。
図4図3に示すレール部材、前出し部材、およびフック部材等を示す斜視図である。
図5図4に示すレール部材、前出し部材、およびフック部材等を分解して示す分解斜視図である。
図6図1に示す棚において、前出し部材を通る位置で縦方向に切断して示す断面図である。
図7図5に示す前出し部材の首振部を後方から示す斜視図である。
図8図1に示す棚を縦方向に切断して示した断面図である。
図9図1に示す棚において、移動板を第2位置から手前側の第1位置に引き出した状態を示す斜視図である。
図10図9に示す棚を縦方向に切断して示す断面図である。
図11図10に示す棚において、商品によって首振部の第1片を押し下げて、第2片を第1姿勢から第2姿勢にした状態を示す断面図である。
図12図11に示す棚において、前出し部材(基部、首振部)が後方に下がって、空いたスペースに商品を補充する工程を示す断面図である。
図13図11に示す棚において、移動板を第1位置から第2位置に移動させた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下図面を参照して、本発明の棚の実施形態について説明する。本発明の棚は、移動板の前方向への引き出し動作および後方向への押し込み動作によって、自動的に商品を前出しできるものである。以下では、棚の前方向をF、後方向をR、幅方向をW、として説明を進める。
[実施形態]
【0015】
図1図13を参照して、実施形態の棚10について説明する。棚10は、本発明にいう商品前出し具の一例である。
【0016】
図1図5に示すように、棚10は、基台11と、基台11の後端部かつ両端部から起立する一対のフレーム12と、一対のフレーム12同士の間に渡された背面板13と、一対のフレーム12に対して固定された固定部14と、一対のフレーム12にそれぞれ固定された一対のブラケット15と、一対のブラケット15に設けられた一対の棚板用レール16と、一対の棚板用レール16を介して前方向Fに引き出したり後方向Rに押し込んだり可能な移動板17(移動棚板)と、移動板17上に設けられるレール部材18と、レール部材18上を前後方向に移動可能な前出し部材21と、レール部材18上を前後方向に移動可能なフック部材22と、前出し部材21とフック部材22とが接近する方向にこれらを付勢する付勢部材23と、移動板17上を前後方向に沿って仕切る仕切板24と、を備える。
【0017】
一対のフレーム12のそれぞれは、ブラケット15を固定するための複数の貫通口25を縦並びに有する。複数の貫通口25が形成する列は、2列以上であってもよい。
【0018】
図1図2に示すように、固定部14は、フレーム12に着脱可能な一対の金属製の支持ブラケット26と、一対の支持ブラケット26同士の間に渡された金属製の横架板27と、横架板27の上面に取り付けられた樹脂製の平板28と、を有する。固定部14の横架板27および平板28は、幅方向Wに関して、移動板17の略全幅に亘って設けられており、幅方向Wに細長く延びた帯状に形成されている。平板28は、横架板27に対して、爪の係合などによって着脱可能に固定されている。図3に示すように、平板28は、第1面28Aと、第1面28Aとは反対側の第2面28Bと、を有する。平板28の第2面28Bは、横架板27に当接されている。平板28は、第1面28Aに、前後方向FRに延びる複数の溝部31を有する。図6に示すように、平板28は、さらに、第2面28Bで前側の端部に、レール部材18の後述するアンカー部32およびフック部材22の後述するフック部33が引っ掛けられるための凹部34を有する。
【0019】
図9に示すように、一対の棚板用レール16は、一対のブラケット15の内面側にそれぞれ設けられている。一対の棚板用レール16のそれぞれは、前後方向FRに沿って伸縮可能であり、移動板17を前後方向FRにスライド移動可能に支持することができる。したがって、移動板17は、図9に示すように、固定部14(平板28)に対して後端部17Bでオーバーラップした第1位置P1と、図1に示すように、固定部14(平板28)に対して前端部17Aでオーバーラップした第2位置P2と、の間で移動可能である。
【0020】
移動板17は、金属板によって平板状に形成されている。移動板17は、固定部14の直下に設けられている。図8に示すように、移動板17は、前端部17Aと、前端部17Aとは反対側の後端部17Bと、を有する。移動板17は、前端部17Aに、下方に折り曲げされた指掛部17AAを有する。店舗管理者は、指掛部17AAに指を掛け、図示しないロック機構を解除しながら手前側に引くことで、移動板17を第2位置P2から第1位置P1に引き出すことができる。移動板17は、前端部17Aに、レール部材18の差込片42や仕切板24の差込片42を差し込むことが可能に、断面U字形をなした起立片35を有する。起立片35は、幅方向Wに沿って延びている。起立片35は、前端部17Aに設けられた横溝36に対して差し込まれて固定されている(図8参照)。
【0021】
図1に示すように、レール部材18は、移動板17上に載置されて使用される。図8に示すように、レール部材18に対して、商品46が載置される。図4に示すように、レール部材18は、細長い長方形に形成されており、移動板17に対して、その長辺が前後方向FRに沿うように載置される。すなわち、レール部材18は、前後方向FRに延びている。
【0022】
図4に示すように、レール部材18は、その頂面に前後方向FRに延びるように設けられるスライド溝41と、その前端部に設けられた差込片42と、その側面に設けられ固定部14(横架板27および平板28)を収納可能なスロット43と、スロット43の前後方向FRにおける中間部および前側に設けられた係合部44と、スロット43の最も前側に設けられたアンカー部32と、スロット43の後側に設けられた拡径部45と、を有する。
【0023】
スライド溝41は、レール部材18の頂面に1本の溝として形成されており、その内側に前出し部材21およびフック部材22が前後方向FRにスライド移動可能に嵌め込まれている。本実施形態のレール部材18の構成は一例であり、例えば、モノレールのように一つの突条としてのレールを有し、このレールに跨るように前出し部材21およびフック部材22を構成する等、他の態様を採用することも当然に可能である。
【0024】
図4に示すように、差込片42は、下方に突出する爪状に設けられている。差込片42の上部は、商品46が移動板17から脱落するのを防ぐとともに商品46が転倒してしまうことを防止する転び止めとなっている。差込片42の上部には、さらに、商品の値段等を記載したポップを差し込むことができる差込部分42Aが設けられている。差込片42は、移動板17の起立片35(溝)に対して差し込んだり、当該起立片35(溝)から分離したり可能である。このため、レール部材18は、図1に示すように、移動板17に対して着脱可能に構成されている。また、レール部材18は、幅方向Wに関して、移動板17上の任意の位置に配置することができる。
【0025】
スロット43は、レール部材18の側面に前後方向FRに細長く形成されている。このため、このスロット43内を固定部14(横架板27および平板28)が相対移動することができる。実際には、移動板17の前後方向FRの移動に伴い、レール部材18がこれと一緒に移動することになるが、固定部14の位置は変化しない。このため、移動板17の移動に伴って、レール部材18が移動板17とともに一緒に円滑に移動する。
【0026】
図4に示すように、係合部44は、スロット43内で、固定部14に近づく方向に向けて板状に突出するように設けられている。係合部44は、前後方向FRに沿って細長く形成されている。図3に示すように、移動板17が後側に収納された第2位置P2にあるときに、係合部44は、固定部14の複数の溝部31のいずれかに対して係合する。図9図10に示すように、移動板17が手前側に引き出された第1位置P1にあるときに、係合部44は、固定部14の複数の溝部31から分離した位置にあり、複数の溝部31に対して係合することができない。
【0027】
図3図4に示すように、アンカー部32は、後方向Rに向けて突出した爪状に形成されており、固定部14(平板28)の第2面28B(凹部34)に対してきっちりと係合することができる。この状態において、レール部材18は、固定部14に対して固定されることになり、固定部14および移動板17からレール部材18を取り外すことができない。
【0028】
図4に示すように、拡径部45は、スロット43内で係合部44が設けられている箇所よりも、隙間の高さ寸法が大きく形成されている。また、拡径部45を構成する隙間の高さ寸法は、固定部14(平板28)の高さ寸法(厚さ寸法)よりも大きく形成されている。このため、移動板17が第1位置P1にあるときに、拡径部45は、固定部14との間に隙間を存して固定部14を収納可能である。
【0029】
図4図5に示すように、前出し部材21は、レール部材18から起立するように設けられている。また、前出し部材21は、商品46に後ろ側から当接することで商品46を前出し可能である。
【0030】
前出し部材21は、レール部材18の頂面のスライド溝41に対して嵌め込まれて、前後方向FRにスライド移動可能に構成されている。前出し部材21は、ベアリング球47を介してレール部材18に取り付けられている。レール部材18は、スライド溝41の周囲に、ベアリング球47が前後方向FRに走行するための窪み部48を有する。前出し部材21は、レール部材18に直接取り付けられる基部51と、基部51の第1軸部51Aに対してシーソー状に回動可能に取り付けられた首振部52と、を有する。基部51は、レール部材18上を進退可能である。基部51は、付勢部材23のリール53を回転可能に支持する軸受部51Bを有する。
【0031】
基部51は、レール部材18と接続する端部とは反対側の端部(頂部)に第1軸部51Aを有する。なお、本実施形態では、基部51に第1軸部51Aが設けられているが、これに限定されるものではない。第1軸部51Aが設けられている位置に、第1軸部51Aに代えて、以下に述べる第2軸受52Cと同様の構成の第1軸受を設けてもよい。
【0032】
首振部52は、基部51の頂部に設けられた第1軸部51Aに対して回動可能に設けられている。図5図7に示すように、首振部52は、上側の第1片52Aと、下側の第2片52Bと、第1軸部51Aに対して係合する第2軸受52Cと、を有する。第2軸受52Cは、第1軸部51Aを取り囲むようにアーチ状(フック状)をなしており、その一部に、第1軸部51Aを通過させるための開口52CAを有する。なお、基部51に第1軸受を設けた場合には、首振部52は、第1軸受内に嵌ってこれに係合する第2軸部を設けてもよい。この場合、第2軸部の構成は、上記第1軸部51Aと同様の構成を有する。
【0033】
図6に示すように、第1片52Aは、第1軸部51Aから後方に行くにつれて設置高さが高くなるように斜めに延びている。或いは、第1片52Aは、上記構成に代えて、同図中に二点鎖線で示すように、第1軸部51Aから、略水平な方向に沿って後方向Rに延びていてもよい。或いは、第1片52Aは、上記構成に代えて、同図中に二点鎖線で示すように、第1軸部51Aから、略鉛直な方向に沿って上方に延びていてもよい。図7に示すように、第1片52Aは、薄肉の平板状に形成されている。
【0034】
第2片52Bは、下方に向けて延びている。図7に示すように、第2片52Bは、第1片52Aよりも大きい肉厚で、第1片52Aよりも大きい重量で形成されている。すなわち、第2片52Bは、肉厚の大きい平板状に形成されている。第2片52Bは、静止している状態で、基部51の前側に対して当接している。首振部52は、図6図10に示すように第2片52Bが下方に延びている第1姿勢S1と、図11に示すように第1片52Aの押し下げにより第2片52Bが上昇して商品46を後側から押圧する第2姿勢S2と、の間で回動可能である。また、第1片52Aに対して第2片52Bの部分が重いという自重のバランスから、首振部52は、第2姿勢S2にある状態から第1片52Aに対する押し下げを解除した際に、自動的に第1姿勢S1に戻ることができる。
【0035】
なお、本実施形態では、首振部52の自重によって、首振部52が第2姿勢S2から第1姿勢S1に戻るようにしているが、この構成に限られるものではない。例えば、基部51と首振部52との間に引張ばねを介在させ、この引張ばねの付勢力によって、第2姿勢S2から第1姿勢S1に戻るようにしても当然によい。
【0036】
店舗管理者は、商品46を補充する際に、首振部52を活用して、前出し部材21を後に下げることができる。すなわち、店舗管理者が手や商品46などで首振部52の第1片52Aを押し下げると、首振部52が軸部51Aを中心に回動して、第2片52Bが上昇して近くの商品46を押そうとする。商品46に対する第2片52Bの押圧の反作用で、前出し部材21は、後側に移動する。このため、店舗管理者は、前出し部材21をワンタッチで簡単に後方向Rにさげることができる。
【0037】
図5に示すように、首振部52は、基部51に対して着脱可能である。一方、商品46の大きさに応じて、より大きな首振部を用意して、元の首振部52に対して交換可能としてもよい。このため、店舗管理者は、大きな商品46を陳列する場合には、それに対応して大きな首振部を設置して、商品46の陰に首振部が隠れてしまわないようにすることもできる。
【0038】
図4図6に示すように、フック部材22は、方形のブロック状に形成されている。フック部材22は、前出し部材21よりも前側かつ商品46よりも下側で、前後方向FRにスライド自在に設けられている。フック部材22は、レール部材18の頂面のスライド溝41に対して嵌め込まれて、前後方向FRにスライド移動可能に構成されている。フック部材22は、付勢部材23のゼンマイばね54の先端部54Aを差し込んで保持できるスリット22Aを有する。フック部材22は、下面に、固定部14(平板28)の第2面28B(凹部34)に引っ掛けるためのフック部33を有する。フック部材22は、移動板17の移動に伴い、固定部14に係合して固定部14よりも後ろ側に移動することが規制されたり、固定部14から分離したり可能である。
【0039】
フック部材22は、付勢部材23を介して前出し部材21と接続されている。付勢部材23は、円筒形のリール53と、リール53の周囲に巻き回されたゼンマイばね54と、ゼンマイばねの先端部54Aと、を有する。ゼンマイばね54は、リール53の周囲から引き出し可能であるが、元のリール53の周囲に巻き戻るような復元力を有する。このため、付勢部材23は、前出し部材21とフック部材22とを近づけるようにこれらを付勢できる。
【0040】
図1に示すように、仕切板24は、移動板17の起立片35に対して差し込むことが可能な差込片42を有する。差込片42の構造は、レール部材18に設けた差込片42と同様である。仕切板24は、移動板17上を前後方向FRに仕切ることができる。仕切板24は、その下面に、溝部31に差し入れることが可能な差入片55を有する。
【0041】
続いて、図8図13を参照して、本実施形態の棚10の作用について説明する。店舗管理者が商品46の補充を行いたい場合には、ロック機構を解除して移動板17を前方向Fに引き出す。これによって、移動板17は、図1図8に示す第2位置P2から、図9図10に示す第1位置P1になる。この状態で、店舗管理者は、残存している商品46の後側に新しい商品46を補充していくことができる。なお、第1位置P1にあるときに、前出し部材21は、付勢部材23の作用によって、フック部材22と当接している状態を維持している。
【0042】
このとき、フック部材22が固定部14(平板28)と係合していないために、前出し部材21には前方向Fに向かう付勢力が発生していない。この状態で、店舗管理者は、図10図11に示すように、首振部52をシーソー状に回動させることで、前出し部材21(基部51)を後方に下げることができる。すなわち、店舗管理者が、手又は商品46そのものを用いて、第1片52Aを押し下げると、首振部52の第2片52Bが図10に示すような下方に延びている第1姿勢S1から、図11に示すように上昇した第2姿勢S2に移動する。
【0043】
これによって、第2片52Bが商品46の後側を押し込む押圧力の反作用を利用して、前出し部材21(基部51および首振部52)を後方に下げることができる。そして、店舗管理者が第1片52Aに対する押し下げを解除すると、第2片52Bは、自重により第2姿勢S2から第1姿勢S1に復帰する。これによって、図12に示すように、既存の商品46と前出し部材21(基部51および首振部52)の間にスペースが形成され、このスペースに対して新たに商品46を補充することができる。このように、店舗管理者は、手によって別途に基部51を後方向Rに下げることを要することなく、商品補充の作業を効率的に行うことができる。
【0044】
この状態では、図9図10に示すように、固定部14の溝部31に対して係合部44が差し込まれておらず、固定部14は、拡径部45内に収納されている。この状態で、店舗管理者は、レール部材18を幅方向Wの任意の位置に移動させることができる。また、この状態では、仕切板24の差入片55が固定部14の溝部31に対して差し込まれていない状態なので、店舗管理者は、同じく仕切板24も幅方向Wの任意の位置に移動させることができる。これによって、店舗管理者は、商品46の補充だけでなく、商品46の入替作業も円滑に行うことができる。
【0045】
商品46の補充の完了後、店舗管理者は、移動板17を第1位置P1から第2位置P2に移動させる。その際、図13に示すように、移動板17が第1位置P1から第2位置P2に移動する途中で、フック部材22が固定部14(平板28)に対して係合する。これによって、フック部材22は、移動板17の上で、後端部17Bから前端部17Aに向けて相対移動する(実際には、移動板17が後に移動して、フック部材22が固定部14と一緒に停止した状態となる。)。
【0046】
一方、レール部材18および前出し部材21は、移動板17と一緒に後方に移動する。このため、フック部材22と前出し部材21との間の距離が大きくなり、付勢部材23が作動して前出し部材21をフック部材22および固定部14に近づく方向に付勢する。これによって、前出し部材21が商品46の後側に当接して、商品46を移動板17中の前方向Fに前出しすることができる。図1図13に示すように、移動板17が第2位置P2にある場合には、係合部44が固定部14の溝部31内に差し込まれているために、レール部材18が幅方向Wに移動することが規制される。このため、前出し部材21による商品46の前出しの付勢力が働く場合に、レール部材18の横ずれが防止されるため、商品46が荷崩れしてずれてしまうことがない。
【0047】
また、この状態では、レール部材18のアンカー部32が固定部14の凹部34に係合するため、レール部材18が固定部14から浮き上がることが防止される。このため、商品46の姿勢が安定する。同様に、仕切板24についても、移動板17が第2位置P2にある場合には、差入片55が固定部14の溝部31に対して差し込まれているので、仕切板24が幅方向Wに移動することが規制される。以上より、商品46の補充と、補充した商品46の前出しとが完了する。
【0048】
本実施形態によれば、以下のことがいえる。商品前出し具は、前後方向FRに延びるとともに商品46が載置されるレール部材18と、レール部材18上を進退可能な基部51であって、レール部材18と接続する端部とは反対側の端部に第1軸部51Aおよび第1軸受のいずれか一方を有する基部51と、第1軸部51Aに係合する第2軸受51Bおよび前記第1軸受に係合する第2軸部のいずれか一方を有し、第1軸部51Aおよび前記第1軸受のいずれか一方を中心に基部51に対してシーソー状に回動可能な首振部52であって、第1軸部51Aおよび前記第1軸受のいずれか一方から後方に向けて延びた第1片52Aと、第1軸部51Aおよび前記第1軸受のいずれか一方から下方に延びて商品46に後側から当接可能な第2片52Bと、を有する首振部52と、を備える。
【0049】
また、商品前出し具は、前後方向FRに延びるとともに商品46が載置されるレール部材18と、レール部材18上を進退可能な基部51であって、レール部材18と接続する端部とは反対側の端部に第1軸部51Aおよび第1軸受のいずれか一方を有する基部51と、第1軸部51Aに係合する第2軸受51Bおよび前記第1軸受に係合する第2軸部のいずれか一方を有し、第1軸部51Aおよび前記第1軸受のいずれか一方を中心に基部51に対してシーソー状に回動可能な首振部52であって、第1軸部51Aおよび前記第1軸受のいずれか一方から上方に向けて延びた第1片52Aと、第1軸部51Aおよび前記第1軸受のいずれか一方から下方に延びて商品46に後側から当接可能な第2片52Bと、を有する首振部52と、を備える。
【0050】
従来では、店舗管理者は、商品46を既存の商品46の後側に補充する際に、手で基部51を後方に押し下げて既存の商品46の後側にスペースを確保した後に、商品46を補充するというオペレーションを行っていた。上記したこれらの構成によれば、店舗管理者は、首振部52による押圧力(回転力)の反作用を利用して、基部51を後方に下げることができる。このため、店舗管理者は、例えば、商品46を持ったまま、商品46を持っている手によって首振部52を回動させることができる。これによって、店舗管理者は、基部51を片手で簡単に後方に下げることができ、既存の商品46の後側に新しい商品46を補充するオペレーションを極めて簡単に行うことができる。
【0051】
第1片52は、後方に行くにつれて設置高さが高くなるように斜めに延びている。この構成によれば、店舗管理者が手で首振部52を回動させるだけでなく、補充する商品46そのものによって首振部52を回動させることもできる。これによって、店舗管理者が基部51を後方に下げるために一度商品46を手放す必要がなくなり、商品46の補充作業をさらに効率的に行うことができる。
【0052】
首振部52は、第2片52Bが下方に延びている第1姿勢S1と、第1片52Aの押し下げにより第2片52Bが上昇して商品46を後側から押圧する第2姿勢S2と、の間で回動可能であるとともに、第1片52Aの押し下げの解除により、第2姿勢S2から第1姿勢S1に戻ることが可能である。
【0053】
この構成によれば、複数の商品46を補充する際に、連続して首振部52を回動させる場合でも、自動的に首振部52が第2姿勢S2から第1姿勢S1に戻るため、店舗管理者は、極めて効率的に商品46の補充作業を行うことができる。
【0054】
首振部52は、第1片52Aの押し下げの解除により、自重で第2姿勢S2から第1姿勢S1に戻る。この構成によれば、首振部52が自動的に第2姿勢S2から第1姿勢S1に戻る構造を極めて簡単な簡単な構成で実現できる。
【0055】
首振部52は、基部51に対して着脱可能である。この構成によれば、例えば、商品46の大きさに応じて、最適なサイズの首振部52を取り付けることができる。これによって、店舗管理者が商品46の補充作業をさらに効率的に行うことができる。
【0056】
上記した実施形態は、さらなる種々の置き換えや変形を加えて実施できる。
【符号の説明】
【0057】
10 棚
18 レール部材
21 前出し部材
W 幅方向
F 前方向
R 後方向
46 商品
51 基部
51A 第1軸部
51B 第2軸受
52 首振部
52A 第1片
52B 第2片
52C 第2軸受
S1 第1姿勢
S2 第2姿勢
【要約】      (修正有)
【課題】商品を持っている手で簡単に後方に下げることができる商品前出し具を提供する。
【解決手段】商品前出し具は、前後方向に延びるとともに商品が載置されるレール部材18と、前記レール部材上を進退可能な基部51であって、前記レール部材と接続する端部とは反対側の端部に第1軸部51Aおよび第1軸受のいずれか一方を有する基部と、前記第1軸部に係合する第2軸受および前記第1軸受に係合する第2軸部のいずれか一方を有し、前記第1軸部51Aおよび前記第1軸受のいずれか一方を中心に前記基部51に対してシーソー状に回動可能な首振部52であって、前記第1軸部および前記第1軸受のいずれか一方から後方に向けて延びた第1片52Aと、前記第1軸部および前記第1軸受のいずれか一方から下方に延びて前記商品に後側から当接可能な第2片52Bと、を有する首振部52と、を備える。
【選択図】図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13