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  • 特許-水素浴用気泡生成装置 図1
  • 特許-水素浴用気泡生成装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】水素浴用気泡生成装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/68 20230101AFI20240830BHJP
   B01F 23/231 20220101ALI20240830BHJP
   A47K 3/00 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
C02F1/68 510H
C02F1/68 520B
C02F1/68 530B
B01F23/231
A47K3/00 Z
A47K3/00 F
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024017385
(22)【出願日】2024-02-07
【審査請求日】2024-02-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512038333
【氏名又は名称】株式会社水素生活
(74)【代理人】
【識別番号】110001184
【氏名又は名称】弁理士法人むつきパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】石鍋 善雄
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-215118(JP,A)
【文献】特開2004-267626(JP,A)
【文献】特開2006-239314(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/00
B01J 4/00-7/02
C02F 1/66-1/68
A61H 33/00-37/00
B01F 21/00-25/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽内の浴湯に水素ガスの気泡を与える水素浴用の気泡生成装置であって、
水と反応し水素ガスを生成させる薬剤を水とともに収容される、有底筒状の上部開口を有する樹脂容器と、
前記樹脂容器の前記上部開口を密封するように開閉自在に組み合わせられる蓋部と、
前記浴槽内に沈められ送出されてくる水素ガスを気泡として前記浴湯に放出する多孔質体からなる気泡生成部と、
前記蓋部に取り付けられ前記気泡生成部と前記樹脂容器とを連通させる樹脂配管と、
を含み、
前記樹脂容器の内部で生成する前記水素ガスにより密閉された前記樹脂容器の内部圧力を上昇させ前記樹脂配管を介して前記気泡生成部に前記水素ガスを送り込むことを特徴とする気泡生成装置。
【請求項2】
前記蓋部は前記内部圧力の所定値以上で前記樹脂容器から脱落するように組み合わせられることを特徴とする請求項1記載の気泡生成装置。
【請求項3】
前記蓋部は、樹脂からなり可撓性を有し、前記上部開口の周縁内側に嵌合させて組み合わせられることを特徴とする請求項2記載の気泡生成装置。
【請求項4】
前記蓋部又は前記樹脂容器の上部に設けられ前記所定値よりも高い第2の所定値で前記樹脂容器の内部の前記水素ガスを外部に放出する圧力調整バルブを更に含むことを特徴とする請求項2記載の気泡生成装置。
【請求項5】
前記薬剤を前記樹脂容器の内部の底部に配置させる押さえ具を更に含むことを特徴とする請求項1乃至4のうちの1つに記載の気泡生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽内の浴湯に水素ガスの気泡を与える水素浴用の気泡生成装置に関し、特に、一般家庭用浴室でも使用し得る水素浴用の気泡生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
分子状の水素ガスが生体中の活性酸素やフリーラジカルを除去し健康の増進等に寄与することが報告されている。そこで、水素ガスを利用した各種の健康や美容のための装置が提案されている。例えば、浴槽内の浴湯に水素ガスを吹き込んでこの気泡中に入浴者を曝さらすことにより、又、水面より脱泡した水素ガスを入浴者が吸引することにより、各種機能とともにリラックス効果、美容効果を得られるとした装置も提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、水素ガスを噴出させる孔を設けたパイプ等の管状物からなる水素ガス供給手段を浴槽中の浴湯に沈め、圧縮水素ガスボンベから配管を通して水素ガス供給手段に水素ガスを供給し、水素ガスの気泡を浴槽内の浴湯に噴出させる装置を開示している。ここで、圧縮水素ガスボンベは浴室の外部で耐火性の収納室等に設置し浴槽内には配管で水素ガスを送出するとしている。
【0004】
一般家庭用途において、圧縮水素ガスボンベは、取り扱いやその供給体制に問題を有し取り扱い性に欠ける。そこで、電気分解によって水素を供給しようとする装置も提案されている。しかしながら、駆動電源を必要とするため、安全面からコンセントの設置のされていない家庭用浴室では外部からの電源供給手段を確保し、若しくは、バッテリを組み込む必要があって、やはり取り扱い性に欠ける。
【0005】
特許文献2には、水と反応して水素ガスを発生させるマグネシウムやカルシウムなどの薬剤をケース内部に収容させ、これを浴槽に沈めることで、ケース内部に侵入した浴槽中の水と薬剤とが反応し、これにより生成された水素ガスがケース上部の孔から気泡として浴槽中に放出される水素ガス生成具を開示している。かかる器具では、水素ガスを得るのに、駆動電源を必要とせず、複雑な配管も必要としない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2008-36331号公報
【文献】特開2017-225922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したような、浴槽中の水と薬剤との反応を利用した水素ガス生成装置では、薬剤が浴槽中に漏出する恐れがあり、又、薬剤が水との反応時に発熱するため、入浴者と接触しないように考慮する必要がある。そこで、より安全性に優れた、簡便でコンパクトな装置が求められた。
【0008】
本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、駆動電源を必要とせず、一般家庭用浴室(浴槽)でも使用し得る取り扱い性に優れたコンパクトな水素浴用の水素気泡生成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による気泡生成装置は、浴槽内の浴湯に水素ガスの気泡を与える水素浴用の気泡生成装置であって、水と反応し水素ガスを生成させる薬剤を水とともに収容される、有底筒状の上部開口を有する樹脂容器と、前記樹脂容器の前記上部開口を密封するように開閉自在に組み合わせられる蓋部と、前記浴槽内に沈められ送出されてくる水素ガスを気泡として前記浴湯に放出する多孔質体からなる気泡生成部と、前記蓋部に取り付けられ前記気泡生成部と前記樹脂容器とを連通させる樹脂配管と、を含み、前記樹脂容器の内部で生成する前記水素ガスにより密閉された前記樹脂容器の内部圧力を上昇させ前記樹脂配管を介して前記気泡生成部に前記水素ガスを送り込むことを特徴としている。
【0010】
かかる特徴によれば、駆動電源を必要とせず、一般家庭用浴室(浴槽)でも使用し得る取り扱い性に優れたコンパクトな構成による水素浴のための水素気泡を生成することができる。
【0011】
本発明による上述の水素気泡生成装置において、以下のような付加的特徴を有するようにしてもよい。
【0012】
すなわち、前記蓋部は前記内部圧力の所定値以上で前記樹脂容器から脱落するように組み合わせられるようにしてもよい。
【0013】
前記蓋部は、樹脂からなり可撓性を有し、前記上部開口の周縁内側に嵌合させて組み合わせられるようにしてもよい。
【0014】
また、前記蓋部又は前記樹脂容器の上部近傍に設けられ前記所定値よりも高い第2の所定値で前記樹脂容器の内部の前記水素ガスを外部に放出する圧力調整バルブを更に含むようにしてもよい。
【0015】
さらに、前記薬剤を前記樹脂容器の内部の底部に配置させる押さえ具を更に含むようにしてもよい。
【0016】
これらの付加的特徴によれば、本発明の所期の効果をより一層高め、或いは安定性及び利便性のより高いものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施の形態による水素浴用の水素気泡生成装置の構成を示す概略斜視図である。
図2図1の水素気泡生成装置における薬剤及びそのコンテナを示す概略斜視図である。
図3】本発明の他の実施の形態による水素浴用の水素気泡生成装置における押さえ具の構成を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態による水素浴用気泡生成装置を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態による気泡生成装置の構成を示している。
【0020】
図1において、浴槽10には水素浴のために給湯された温水による浴湯100が溜められている。このような状況において、本実施の形態による気泡生成装置としての気泡生成セット2が使用され、気泡生成セット2は、浴槽10内の浴湯100に水素ガスの大量の気泡20を生成、供給し拡散させ、浴湯100に水素をバブリング、そして、一部を溶解させるようにしている。
【0021】
気泡生成セット2は、主として、樹脂容器3と、蓋部4と、気泡生成部5と、樹脂配管6とによって構成される。
【0022】
樹脂容器3は、上部開口3uを有する有底筒状に形成され、当該容器に注がれる所定量の水3wを収容し貯水することを可能としている。樹脂容器3の内部には、後述する薬剤3cを保持する薬剤コンテナ30が収容され、薬剤コンテナ30全体は、水3wの水中に沈められる。樹脂容器3は、その収容部において、コンテナ30内の薬剤3cが水3wと反応し水素ガス200を生成させることを可能としている。
【0023】
蓋部4は、樹脂容器3の上部開口3uを密封するようにその底側半部が当該容器に嵌入可能な形状を有し、当該容器に対し開閉自在に組み合わされる。蓋部4も、樹脂容器3と同様に樹脂成形されたものであるが、樹脂容器3よりも高度の可撓性を有し、上部開口3uの周縁内側に嵌合させて組み合わせられる形状となっている。
【0024】
気泡生成部5は、その主部が多孔質体5Mからなり、当該多孔質体の内部(図示せず)に供給される水素ガス流を多孔質体5Mにより気泡化して多数の水素泡を生成しこれらを浴湯100に拡散し放出しバブリングすることを可能としている。気泡生成部5は、浴槽10に溜められた浴湯100に沈められ、浴槽10の底面上に置かれた状態で使用される。したがって、生成された水素泡は浴湯100の最下方から上方へと向かって長く移動するので、水素気泡が滞留し且つ浴湯100に溶解し易くなる。
【0025】
樹脂配管6は、蓋部4に取り付けられ、気泡生成部5と樹脂容器3の内部とを連通させる。より詳しくは、樹脂配管6は、樹脂容器3において生成され蓋部4から放出される水素ガス200を通過させ、気泡生成部5の吸気口5iに流入させる。これにより、吸気口5iに流入された水素ガス200は、気泡生成部5の多孔質体5Mの内部へ通じることとなる。
【0026】
以上のような構成において、樹脂容器3の内部で生成した水素ガス200は、密閉された樹脂容器3の上部空間に潮流されその内部圧力を上昇させ、樹脂配管6を介して気泡生成部5に水素ガス200を送り込むことを可能としている。かかる内部圧力上昇に基づいて、気泡生成部5は水素浴のための水素泡を浴湯100に放出することができるので、気泡生成セット2は、駆動電源などを不要にして簡単な構成での水素浴の環境を提供することができる。
【0027】
なお、蓋部4は、樹脂容器3の内部圧力の所定値以上で樹脂容器3から脱落するように組み合わせられるよう設計されることが好ましい。このようにすることにより、多孔質体5Mの目詰まりを含む何らかの理由による樹脂容器3の内部圧力異常にも安全に対処することが可能となる。所定値は、安全を鑑みて設定されるが、多孔質体5Mからの水素ガスの押し出しの圧力と関係して決定される。
【0028】
蓋部4が内部圧力で樹脂容器3から脱落するようにするには、蓋部4の外周部にOリングを取り付け、又は、フランジ状の樹脂材からなる蛇腹部を設けるなど、上部開口3uの周縁内側の嵌合強度を調整できるような構造とすることが好ましい。
【0029】
また、図1にも示されているように、圧力調整バルブ7を蓋部4に設け、圧力調整バルブ7により、樹脂容器3の内部圧力の上記所定値よりも高い第2の所定値で樹脂容器3の内部の水素ガス200を外部すなわち配管6に放出するようにしてもよい。圧力調整バルブ7は、ゴムバルブ、もしくは、第2の所定値で抜け落ちるゴム栓であってもよい。このようにすることにより、配管6内の圧力を一定に保つことが可能となるので、浴湯100への水素泡20の放出を安定して行うことができる、という効果を奏する。
【0030】
ここでは圧力調整バルブ7を蓋部4に設ける形態を説明したが、かかる圧力調整バルブを樹脂容器3の上部近傍に設ける形態も考えられる。また、蓋部4の内部構造にこのような圧力調整機能を持たせてもよい。蓋部4の形状その他部品の設計仕様に応じてこれらの形態のいずれかを選択すればよい。
【0031】
さらに、図1にも示されているように、薬剤コンテナ30は、持続的に薬剤3cを水中深く沈められるよう樹脂容器3の底部に固定されることが好ましい。そのため、樹脂容器3の内部底面に嵌合部3bを形成しており、この嵌合部3bが薬剤コンテナ30の底部と嵌合し薬剤コンテナ30を樹脂容器3の底面に固定するようにしている。このように、本実施の形態では、薬剤コンテナ30と嵌合部3bによって、薬剤3cを樹脂容器3の内部の底部に配置させる押さえ具を構成している。これにより、安定した水素ガスの発生を確実なものとすることができる。
【0032】
図2は、図1の気泡生成セット2における薬剤3c及びそのコンテナ30を示している。
【0033】
図2において、薬剤コンテナ30は、薬剤3cを収容する下部ケージ31と、このケージ31の上部に螺合してケージ上部を覆う上部カバー32とを有して成る。ケージ31は、図2に示されるように、当該ケージ内部を露出させる多数の略矩形の開口が縦横に配列されて形成されており、ケージ内部に置かれた薬剤3Cがこれら開口を通じた水と反応し易い構造を有している。
【0034】
水素気泡生成セット2を稼働しようとする際には、薬剤3cがケージ31に入れられ、カバー32の内側のねじ溝(図示せず)をねじ溝31jに合わせて回転させて螺合し、ケージ31が閉じられる。そして、この閉じられた状態の薬剤コンテナ30が樹脂容器3に入れられ、その後、樹脂容器3に水3wが注がれることとなる。
【0035】
薬剤3cは、マグネシウム、カルシウム、黒曜石、トルマリン、抗菌砂、風化サンゴなどの材料による、水と反応して水素ガスを発生する水素発生剤又は触媒である。薬剤3cは、薬剤コンテナ30により樹脂容器3に入れられ水3wに浸されると、水3wと反応して水素を発生し、コンテナ30の開口よりガス200を放出することとなる。
【0036】
なお、上記実施の形態では、薬剤3cの押さえ具として樹脂容器3の底部に形成された嵌合部3bを用いているが、このような押さえ機能は、別の手法で実現してもよい。
【0037】
図3は、かかる別手法に基づく本発明の他の実施の形態による水素浴用の水素気泡生成装置(水素気泡生成セット2’)における押さえ具の構成を示している。
【0038】
図3において、図1に示される嵌合部3bの代わりに、蓋部4の下部に設けられ当該下部より突出して形成された押さえロッド4rが設けられる。このロッド4rは、蓋部4が樹脂容器3に嵌入されたときに薬剤コンテナ30を樹脂容器3の底部に向けて押さえ込むことを可能にしている。より詳しくは、当該嵌入時に、ロッド4rの先端が薬剤コンテナ30の頭部カバー32に当接しカバー32を下方に押さえる。これにより、薬剤コンテナ30の上下方向の揺動が規制され、薬剤コンテナ30を樹脂容器3内で固定ないしは安定化させることができる。特に、薬剤コンテナ30の内部に水素が滞留し浮力を得ても、その外部に水素を放出させることができる。
【0039】
上述した各実施の形態の水素気泡生成セット2及び2’によれば、駆動電源を必要とせず、一般の家庭用浴室設備でも使用し得る取り扱い性に優れたコンパクトな構成による水素浴のための水素気泡を生成することができる。
【0040】
以上、本発明の実施の形態の構成を説明したが、本発明は必ずしもこれらの構成に限定されるものではなく、当業者であれば、本発明の主旨又は添付した特許請求の範囲を逸脱することなく、様々な代替例及び改変例を見出すことができる。
【符号の説明】
【0041】
10 浴槽
100 浴湯
2,2’ 気泡生成セット
20 気泡
200 水素ガス
3 樹脂容器
3w 水
3c 薬剤
30 薬剤コンテナ
3b 嵌合部
31 ケージ
32 カバー
4 蓋部
4r ロッド
5 気泡生成部
5M 多孔質体
5i 吸気口
6 樹脂配管
7 圧力調整バルブ

【要約】
【課題】 駆動電源を必要とせず、一般家庭用浴室(浴槽)でも使用し得る取り扱い性に優れたコンパクトな構成で水素浴用の水素気泡を生成する。
【解決手段】 浴槽10内の浴湯100に水素ガスの気泡20を与える水素浴用の気泡生成装置2は、水と反応し水素ガスを生成させる薬剤3Cを水とともに収容される、有底筒状の上部開口3uを有する樹脂容器3と、樹脂容器3の上部開口3uを密封するように開閉自在に組み合わせられる蓋部4と、浴槽10内に沈められ送出されてくる水素ガスを気泡として浴湯100に放出する多孔質体5Mからなる気泡生成部5と、蓋部4に取り付けられ気泡生成部5と樹脂容器3とを連通させる樹脂配管6と、を含み、樹脂容器3の内部で生成する水素ガス200により密閉された樹脂容器3の内部圧力を上昇させ樹脂配管6を介して気泡生成部5に水素ガスを送り込む。
【選択図】 図1
図1
図2
図3