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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】ペーパーケース
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/08 20060101AFI20240830BHJP
【FI】
B65D83/08 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2024066722
(22)【出願日】2024-04-17
(62)【分割の表示】P 2023010944の分割
【原出願日】2022-05-16
(65)【公開番号】P2024095825
(43)【公開日】2024-07-10
【審査請求日】2024-04-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】394016874
【氏名又は名称】河淳株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】仲村 海志
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03624791(US,A)
【文献】意匠登録第1370803(JP,S)
【文献】米国特許第1525040(US,A)
【文献】米国特許第3482734(US,A)
【文献】実開昭61-129775(JP,U)
【文献】実開昭52-111036(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/08
A47K 10/20
A47K 10/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方から見て四角の枠状に形成された側壁部と、前記側壁部よりも上側に設けられ正面から見て三角形の屋根状に形成された頂壁部と、前記頂壁部に設けられペーパーを取り出し可能な取出口であって前記三角形の屋根を横断する方向に横長に形成された取出口と、前記側壁部に設けられた一対の第1係合部と、を有する箱状の第1ケースと、
前記ペーパーを支持可能に前記頂壁部に向けて凸になった隆起部と、前記隆起部の前記頂壁部に近い位置の端部とは反対側の端部から外側に向けて延びる一対の平坦部と、一対の指掛部と、前記一対の第1係合部と係合可能な一対の第2係合部と、を有し、少なくとも前記隆起部が前記第1ケース内に収められる第2ケースと、
を備え、
前記隆起部の頂部は、前記頂壁部よりも下側に位置して前記屋根を横断する方向と直交する方向に延びているペーパーケース。
【請求項2】
前記一対の指掛部は、前記一対の平坦部の略中央部に設けられ、
前記一対の指掛部のそれぞれは、円形をなした請求項1に記載のペーパーケース。
【請求項3】
前記第2ケースは、前記第1ケース内に収められる請求項1に記載のペーパーケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペーパー等を収納できるペーパーケースに関する。
【背景技術】
【0002】
ティッシュペーパー等を収納可能なペーパーホルダが開示されている(例えば、特許文献1参照)。このペーパーホルダは、方形箱状のホルダ本体と、ホルダ本体の両側壁間に渡された軸と、ホルダ本体に対して着脱可能な蓋体と、を有する。ティッシュペーパー等は、軸に吊下げられて保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】意匠登録1386625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のペーパーホルダは、部品点数が多く、構造が複雑となってコスト増となる問題がある。
【0005】
本発明の目的は、構造を簡略化して製造コストを低減できるペーパーケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、以下の本発明により解決される。すなわち、本発明(1)のペーパーケースは、
側壁部と、頂壁部と、前記頂壁部に設けられペーパーを取り出し可能な取出口と、前記側壁部に設けられた一対の第1係合部と、を有する箱状の第1ケースと、
前記ペーパーを支持可能に前記頂壁部に向けて凸になった隆起部と、前記隆起部の前記頂壁部に近い位置の端部とは反対側の端部から外側に向けて延びる一対の平坦部と、前記一対の平坦部の略中央部に設けられた一対の指掛部と、前記一対の平坦部のそれぞれの外側から前記頂壁部に向けて延びる一対の縦壁部と、前記一対の縦壁部にそれぞれ設けられ前記一対の第1係合部と係合可能な一対の第2係合部と、を有し、少なくとも前記隆起部が前記第1ケース内に収められる第2ケースと、
を備え、
前記隆起部は、第1壁部と、前記第1壁部から離間して設けられる第2壁部と、前記第1壁部に対して前記第2壁部が近づく方向に回動可能に前記第1壁部と前記第2壁部とを連結する連結部と、を有する。
【0007】
また、本発明(2)のペーパーケースは、(1)に記載のペーパーケースであって、
前記第2ケースは、前記第1ケースの内側の所定の位置に嵌った第1位置と、前記第1ケースから分離した第2位置と、の間で移動可能であり、
前記一対の平坦部のそれぞれは、前記側壁部に係合して、前記第1位置よりも前記頂壁部に近い位置に前記第2ケースが入り込むことを阻止可能なストッパー部を有し、前記ストッパー部は、前記平坦部の前記縦壁部を設けた辺とは異なる辺に設けられる。
【0008】
また、本発明(3)のペーパーケースは、(2)に記載のペーパーケースであって、
前記側壁部の下端部は、前記ストッパー部を受容可能な受容部であって、前記第1壁部に対して近づく方向の前記第2壁部の移動に伴い移動する前記ストッパー部の移動方向に関して、前記ストッパー部の寸法よりも大きく形成されるとともに、前記移動方向に関する前記ストッパー部の移動を許容する受容部を有する。
【0009】
また、本発明(4)のペーパーケースは、(3)に記載のペーパーケースであって、
前記受容部は、前記側壁部の肉厚内に設けられる。
【0010】
また、本発明(5)のペーパーケースは、(1)に記載のペーパーケースであって、
前記側壁部の下端部は、前記一対の第1係合部の近傍で少なくとも前記一対の第2係合部に対応する位置に設けられた傾斜面であって、前記頂壁部から遠ざかるにつれて前記第1ケースの内径寸法が広がるように斜めになった傾斜面を有する。
【0011】
また、本発明(6)のペーパーケースは、(5)に記載のペーパーケースであって、
前記一対の縦壁部のそれぞれは、その幅方向の両端かつ前記頂壁部に近い位置の角部に設けられ当該角部を除去するように形成した一対の除角部を有する。
【0012】
また、本発明(7)のペーパーケースは、(6)記載のペーパーケースであって、
前記一対の除角部のそれぞれは、円弧状に形成される。
【0013】
また、本発明(8)のペーパーケースは、(7)に記載のペーパーケースであって、
前記一対の指掛部のそれぞれは、円形をなした。
【0014】
また、本発明(9)のペーパーケースは、(1)に記載のペーパーケースであって、
前記一対の縦壁部の先端は、前記頂壁部に当接可能である。
【0015】
また、本発明(10)のペーパーケースは、(1)に記載のペーパーケースであって、
前記第2ケースは、前記第1ケース内に収められる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、構造を簡略化して製造コストを低減できるペーパーケースを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態のペーパーケースにおいて、内部にペーパーを収納した状態を示す斜視図である。
図2図1に示すペーパーケースにおいて、ペーパーを収納しない状態を示す斜視図である。
図3図1に示すペーパーケースを下方から示す斜視図である。
図4図3に示すA部を拡大して示した斜視図である。
図5図3に示すB部を拡大して示した斜視図である。
図6図1に示すペーパーケースの縦方向(上下方向)に沿った断面図である。
図7図2に示すペーパーケースを縦方向(上下方向)に切断して示した斜視図である。
図8図7に示すC部を拡大して示す斜視図である。
図9図1に示すペーパーケースを分解して示す斜視図である。
図10】第2実施形態のペーパーケースにおいて、縦方向(上下方向)に切断して内部を示した斜視図である。
図11】第3実施形態のペーパーケースを示す斜視図である。
図12図11に示す第3実施形態のペーパーケースの縦方向(上下方向)に沿った断面図である。
図13図11に示す第3実施形態のペーパーケースの正面図である。
図14】第4実施形態のペーパーケースの縦方向(上下方向)に沿った断面図である。
図15】第5実施形態のペーパーケースの縦方向(上下方向)に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下図面を参照して、ペーパーケースの実施形態について説明する。ペーパーケースは、例えば、ビニール製の袋に詰めて販売されているティッシュペーパー等を内部に収納して、体裁良く見せることができるものである。
[第1実施形態]
【0019】
図1図9を参照して、第1実施形態のペーパーケース11について説明する。図1に示すように、ペーパーケース11は、合成樹脂材料、例えばABS樹脂、ポリスチレン、ポリプロピレン等で形成されている。ペーパーケース11は、例えば不透明な合成樹脂材料で形成されているが、透明又は透光性のある合成樹脂材料によって形成されていてもよい。ペーパーケース11は、例えばステンレス鋼等の金属材料で構成されていてもよい。
【0020】
図1図3に示すように、ペーパーケース11は、上側の第1ケース12と、下側の第2ケース13と、を有する。第1ケース12は、箱状をなしている。第2ケース13の後述する脚部14を除くほとんどの部分は、第1ケース12の内部に収められる。すなわち、第2ケース13は、第1ケース12の内側の所定の位置に嵌った第1位置P1と、図9に示すように第1ケース12から分離した第2位置P2と、の間で移動可能である。第2ケース13は、第1ケース12の内部に嵌って、第1ケース12の底部に対して係合することができる。第2ケース13は、第1ケース12およびペーパー15を支持する土台部分を構成する。ペーパーケース11は、第1ケース12と第2ケース13とで形成される内部空間16内にペーパー15を収納することができる。ペーパー15は、次に説明する取出口22Aから1枚ずつ外部に取り出されて使用される。
【0021】
図1図8に示すように、第1ケース12は、三角屋根の家型(正面から見て逆ホームベース型)の形状をなしている。第1ケース12は、第2ケース13の周囲(四面)を取り囲む側壁部21と、第2ケース13の頂部を覆う頂壁部22と、頂壁部22に設けられた取出口22Aと、第2ケース13と係合するための一対の第1係合部23と、一対の第1係合部23の近傍に設けられた一対の傾斜面24と、側壁部21に設けられ第2ケース13の後述するストッパー部34を受容する受容部25と、を有する。第1ケース12は、上記した合成樹脂材料によって、一体に成形されている。
【0022】
側壁部21は、上方から見て四角の枠状に形成されている。頂壁部22は、正面から見て三角形の屋根状に形成されている。取出口22Aは、頂壁部22の三角形の屋根を横断する方向に横長の貫通孔として形成されている。取出口22Aは、貫通孔の両端部を丸く形成した長穴状をなしている。
【0023】
図6図7に示すように、一対の第1係合部23は、側壁部21の内の1つの壁部21Aの内面と、当該1つの壁部21Aと対向する側壁部21の内の他の1つの壁部21Bの内面と、にそれぞれ設けられている。また、一対の第1係合部23は、後述する第2ケース13の隆起部26を間に挟んだ両側に設けられている。
【0024】
一対の第1係合部23のそれぞれは、第2ケース13の後述する第2係合部27と相補的な形状の凹部として形成されている。
【0025】
本実施形態において、傾斜面24は、少なくとも一対の第2係合部27に対応する位置に設けられている。すなわち、傾斜面24は、一対の第2係合部27に対応する位置に一対に設けられている。なお、傾斜面24の構造はこれに限られるものではなく、受容部25およびその周辺を除く側壁部21の下端部の全周にわたるように設けられていてもよい。
【0026】
一対の傾斜面24は、側壁部21の下端部に設けられている。一対の傾斜面24は、第1係合部23の下側(直下)に設けられている。一対の傾斜面24は、側壁部21の内の1つの壁部21Aの内面と、当該1つの壁部21Aと対向する側壁部21の内の他の1つの壁部21Bの内面と、にそれぞれ設けられている。一対の傾斜面24は、それらが設けられた側壁部21の内の1つの延びている方向に対して斜めに形成されている。すなわち、一対の傾斜面24は、図7等に示すように、頂壁部22から遠ざかるにつれて第1ケース12の内径寸法Dが広がるように斜めになっている。
【0027】
図3に示すように、受容部25は、側壁部21の下端部の4か所に設けられている。受容部25のそれぞれは、側壁部21の下端部の内面から外側に向けて略長方形状に窪むように形成されている。受容部25は、側壁部21の肉厚内に設けられている。図4図5に示すように、受容部25は、後述するようにストッパー部34の移動方向Mに関して、ストッパー部34の寸法よりも大きく形成されている。このため、受容部25は、第2ケース13の後述する隆起部26の第1壁部41に対して近づく方向に第2壁部42が移動するのに伴って、移動方向Mに移動するストッパー部34の移動を許容することができる。
【0028】
図3図8に示すように、第2ケース13は、中央部に設けられた隆起部26と、隆起部26の頂壁部22側の端部とは反対側の端部から外側に向けて延びる一対の平坦部31と、一対の平坦部31のそれぞれに設けられた一対の指掛部32と、一対の平坦部31のそれぞれの外側から頂壁部22に向けて延びる一対の縦壁部33と、一対の縦壁部33にそれぞれ設けられた一対の第2係合部27と、一対の平坦部31のそれぞれに設けられたストッパー部34と、一対の平坦部31のそれぞれに設けられた脚部14と、を有する。第2ケース13は、上記した合成樹脂材料によって、一体に成形されている。
【0029】
隆起部26は、頂壁部22に向けて凸になるように形成されている。隆起部26は、ペーパー15を直接支持することができる。隆起部26は、例えば、逆「V」字状に形成されている。隆起部26は、平板状をなした第1壁部41と、第1壁部41から離間して設けられ平板状をなした第2壁部42と、第1壁部41と第2壁部42とを連結する連結部43と、を有する。第2壁部42は、第1壁部41に対して斜めになるように設けられている。
【0030】
なお、隆起部26の下側は、空洞部44となっている。隆起部26の下側の空洞部44を閉塞するために、別途に空洞部44を覆うカバーを設けてもよい。当該カバーは、第2ケース13に対して着脱可能に構成されていてもよい。当該カバーがあることによって、空洞部44内にホコリ等がたまることが防止される。
【0031】
連結部43は、断面円弧状のアーチ形に形成されている。連結部43は、第1壁部41に対して第2壁部42が近づく方向に回動可能に第1壁部41と第2壁部42とを連結する。
【0032】
図3に示すように、一対の平坦部31のそれぞれは、略方形の平板状に形成されている。一方の平坦部31の形状は、他方の平坦部31の形状と略同一であるか、或いは他方の平坦部31の形状とは若干異なっていてもよい。平坦部31は、その略中央部に貫通孔として形成された指掛部32を有する。指掛部32は、例えば、円形の貫通孔として形成されているが、四角形や多角形であってもよい。一方の平坦部31の指掛部32の構成は、他方の平坦部31の指掛部32の構成と同一であるか、或いは他方の平坦部31の指掛部32の構成とは若干異なっていてもよい。一対の平坦部31同士は、第1壁部41に対して第2壁部42が近づく方向に移動する際に、互いに近づいたり遠ざかったりするように移動方向Mに移動できる。
【0033】
脚部14は、一対の平坦部31のそれぞれの角部の2か所に設けられている。言い換えると、図3図5に示すように、脚部14は、第2ケース13の角部に対応する合計4か所に設けられている。脚部14は、略半球形状に形成されている。本実施形態では、複数の脚部14によってペーパーケース11を支持するようにしているため、製造上のバラツキによって、第2ケース13に反りなどを生じた場合でも、ペーパーケース11にがたつきを生じることが防止されている。
【0034】
図3に示すように、ストッパー部34は、平坦部31のそれぞれに一対に設けられている。平坦部31は、縦壁部33を設けた第1辺31Aと、第1辺31Aとは異なる一対の第2辺31Bと、を有する。一対の第2辺31B同士は、互いに対向する位置に設けられている。一対の第2辺31Bは、第1辺31Aと隣接する位置に設けられている。ストッパー部34の一方は、一対の第2辺31Bの一方に設けられ、ストッパー部34の他方は、一対の第2辺31Bの他方に設けられている。
【0035】
図4図5に示すように、一対のストッパー部34のそれぞれは、平坦部31から長方形状に突出した突出片として形成されている。図3に示すように、一対のストッパー部34は、平坦部31を間に挟んだ両側に設けられている。一対のストッパー部34のそれぞれは、第1ケース12の一対の受容部25のそれぞれに対して差し入れることができる。
【0036】
図6図9に示すように、一対の縦壁部33のそれぞれは、第1辺31Aから起立するように設けられている。一方の縦壁部33の形状は、他方の縦壁部33の形状と略同一であるか、或いは他方の縦壁部33の形状とは若干異なっていてもよい。縦壁部33は、平坦部31と交差(直交)する方向に延びている。縦壁部33は、一対の除角部46を有する。一対の除角部46は、縦壁部33の幅方向Wの両端部で、頂壁部22に近い位置の角部に設けられている。一対の除角部46は、当該角部を除去するように形成されている。一対の除角部46の形状は、どのような形状であってもよく、例えば、円弧状をなしていてもよいし、或いは、当該角部を除去するように上下方向に対して斜めになった斜め方向に形成されていてもよい。
【0037】
一対の第2係合部27の一方は、一対の縦壁部33の一方に設けられ、一対の第2係合部27の他方は、一対の縦壁部33の他方に設けられている。図7図9に示すように、一対の第2係合部27のそれぞれは、縦壁部33から隆起した山型に形成されている。より詳細には、第2係合部27は、頂部付近で丸みを帯びた山型をなしており、当該山型のうち、頂壁部22に近い位置の斜面の傾斜は、頂壁部22から遠い位置の斜面の傾斜よりもなだらかである。
【0038】
本実施形態において、ペーパー15は、例えば、ティッシュペーパーで構成されている。ペーパー15は、ペーパータオル等であってもよい。
【0039】
続いて、図9等を参照して、第1ケース12と第2ケース13とを結合させるペーパーケース11の組み立てについて説明する。ユーザは、ビニール袋等に収納されたペーパー15の束をビニール袋や箱から取り出して、束のまま第2ケース13の隆起部26の上側に載置する。この状態で、第2ケース13およびペーパー15の上方から第1ケース12を覆いかぶせるように設置する。このとき、隆起部26がガイドとなって、第2ケース13に対して第1ケース12が正しい位置となるように覆いかぶせられる。その際、一対の縦壁部33が第2のガイドとなる。すなわち、第2ケース13に対して覆いかぶせられる第1ケース12の角度が、中心軸C回りに第2ケース13の角度に対してずれていた場合には、第1ケース12の側壁部21の下端部および内面に対して、縦壁部33の除角部46が当接し、第1ケース12を正しい角度に案内する。これによって、正しい角度で第2ケース13に対して第1ケース12を覆いかぶせることができる。
【0040】
さらに、第1ケース12の側壁部21の下端部には、傾斜面24が設けられているために、第1ケース12の第1係合部23に対して第2ケース13の第2係合部27が係合する際に、第2係合部27が傾斜面24で案内される。その際、第2係合部27が傾斜面24から反力を受けることで、第1壁部41と第2壁部42とが近づくように隆起部26が若干変形する。これによって、第1ケース12の側壁部21が第2ケース13の第2係合部27を円滑に乗り越えて、第1ケース12の第1係合部23に対して第2ケース13の第2係合部27が係合することができる。第1係合部23に対して第2係合部27が係合することで、第1ケース12に対して第2ケース13が固定されて、ペーパーケース11の組立が極めて簡単かつワンタッチで完了する。
【0041】
このとき、第1ケース12の各受容部25に対して第2ケース13の各ストッパー部34が差し込まれる。受容部25に対してストッパー部34が当接するために、第1ケース12に嵌った第1位置P1よりも奥側(頂壁部22側)に第2ケース13が入り込んでしまう不具合を生じない。
【0042】
一方、ユーザがペーパー15を使い切って、第1ケース12から第2ケース13を分離してペーパーケース11内にペーパー15を補充したい場合には、次のようにする。ユーザは、ペーパーケース11を持ちあげた状態で、一対の指掛部32に例えば人差し指と親指とを差し入れる。さらに、一対の平坦部31同士を近づけるように力を加える。これによって、第1壁部41に対して第2壁部42が近づくように変形する。また、この変形に伴い、各第1係合部23に対する各第2係合部27の係合が解除される。その際、各受容部25内で各ストッパー部34がスライド移動可能となっているために、ストッパー部34の移動が妨げられることで各第1係合部23に対する各第2係合部27の係合解除がうまくいかなくなることが防止される。
【0043】
この状態で、第1ケース12から第2ケース13を引き抜くことで、第2ケース13を第1ケース12から分離させる。これによって、第2ケース13は、第1ケース12から分離した第2位置P2に移動する。ユーザは、この状態で、第2ケース13(隆起部26)上にペーパー15を新たに補充して、上記と同様に、第2ケース13の上側に第1ケース12を覆いかぶせることで、第1ケース12と第2ケース13とを一体に組み立てることができる。
【0044】
なお、第1係合部23および第2係合部27の形状は、一例であり、上記例とは異なり、第1ケース12側の第1係合部23を凸部として形成し、第2ケース13側の第2係合部27をこれと相補的な形状の凹部として形成しても当然によい。この場合には、第1係合部23を案内する傾斜面24は、例えば、第2ケース13の一対の縦壁部33の先端部で、側壁部21に対向する側に設けられることが好ましい。
【0045】
また、一方の平坦部31の指掛部32を1個の貫通孔として構成し、他方の平坦部31の指掛部32を2個の貫通孔として構成してもよい。これによって、ユーザは、一方の平坦部31の指掛部32の1個の貫通孔に対して親指を差し入れ、他方の平坦部31の指掛部32の2個の貫通孔に対して人差し指と中指とを差し入れて、一対の平坦部31同士を近づけるように力を加えることで、第1ケース12に対して第2ケース13を着脱するこ
とができる。
【0046】
本実施形態によれば、以下のことがいえる。ペーパーケース11は、側壁部21と、頂壁部22と、頂壁部22に設けられペーパー15を取り出し可能な取出口22Aと、側壁部21に設けられた一対の第1係合部23と、を有する箱状の第1ケース12と、ペーパー15を支持可能に頂壁部22に向けて凸になった隆起部26と、隆起部26の頂壁部22に近い位置の端部とは反対側の端部から外側に向けて延びる一対の平坦部31と、一対の平坦部31の略中央部に設けられた一対の指掛部32と、一対の平坦部31のそれぞれの外側から頂壁部22に向けて延びる一対の縦壁部33と、一対の縦壁部33にそれぞれ設けられ一対の第1係合部23と係合可能な一対の第2係合部27と、を有し、少なくとも隆起部26が第1ケース12内に収められる第2ケース13と、を備える。隆起部26は、第1壁部41と、第1壁部41から離間して設けられる第2壁部42と、第1壁部41に対して第2壁部42が近づく方向に回動可能に第1壁部41と第2壁部42とを連結する連結部43と、を有する。
【0047】
この構成によれば、ユーザが平坦部31の略中央部に設けられた指掛部32に対して指を掛けて一対の平坦部31同士を近づけるようにすることで、連結部43において弾性変形が起こって、隆起部26の第1壁部41と第2壁部42とが近づくように変形することができる。その際、指掛部32が平坦部31の略中央部に設けられているために、指掛部32に指を掛ける際に、ユーザが例えば人差し指と親指との間隔を大きく広げる必要がなく、第1ケース12から第2ケース13を取り外す作業を楽に行うことができる。また、第1ケース12と第2ケース13とを組み立てる作業も楽にできる。上記構成によれば、隆起部26が、ペーパー15を支持する部分と、一対の平坦部31同士の距離の伸び縮みを許容するばね構造の部分と、を兼ねているために、ペーパーケース11の構造を簡略化して部品点数を削減できるとともに、製造コストを削減することができる。さらに、上記構成によれば、隆起部26によってペーパー15を略逆「V」字状に保持できるために、通常の袋製又は箱製のペーパーケースに比して、ペーパーケース11を設置するための設置面積を小さくすることができる。これによって、設置スペースが限られる洗面所などにも設置しやすいペーパーケース11を実現できる。
【0048】
この場合、第2ケース13は、第1ケース12の内側の所定の位置に嵌った第1位置P1と、第1ケース12から分離した第2位置P2と、の間で移動可能であり、一対の平坦部31のそれぞれは、側壁部21に係合して、第1位置P1よりも頂壁部22に近い位置に第2ケース13が入り込むことを阻止可能なストッパー部34を有し、ストッパー部34は、平坦部31の縦壁部33を設けた辺とは異なる辺に設けられる。
【0049】
第1壁部41に第2壁部42を近づける変形に伴い平坦部31同士が移動する際に、一対の縦壁部33を設けた辺も第1ケース12から離間する方向に移動することとなる。上記の構成によれば、第1壁部41に第2壁部42を近づける変形があった場合でも、ストッパー部34を作動可能な位置に配置できる。これによって、第1ケース12の内部に必要以上に第2ケース13が入り込んでしまう不具合を生じることを防止できる。
【0050】
この場合、側壁部21の下端部は、ストッパー部34を受容可能な受容部25であって、第1壁部41に対して近づく方向の第2壁部42の移動に伴い移動するストッパー部34の移動方向Mに関して、ストッパー部34の寸法よりも大きく形成されるとともに、移動方向Mに関するストッパー部34の移動を許容する受容部25を有する。
【0051】
この構成によれば、ストッパー部34によって、第1壁部41に対して近づく方向の第2壁部42の移動が阻害されることを防止できる。
【0052】
受容部25は、側壁部21の肉厚内に設けられる。
【0053】
この構成によれば、ストッパー部34が外部から視認されないようにすることができる。これによって、ペーパーケース11の体裁を良好にすることができる。
【0054】
側壁部21の下端部は、一対の第1係合部23の近傍で少なくとも一対の第2係合部27に対応する位置に設けられた傾斜面24であって、頂壁部22から遠ざかるにつれて第1ケース12の内径寸法が広がるように斜めになった傾斜面24を有する。
【0055】
この構成によれば、傾斜面24によって一対の第2係合部27をスムーズに案内して、一対の第1係合部23に対する一対の第2係合部27の係合を円滑にすることができる。
【0056】
一対の縦壁部33のそれぞれは、その幅方向Wの両端かつ頂壁部22に近い位置の角部に設けられ当該角部を除去するように形成した一対の除角部46を有する。
【0057】
この構成によれば、第1ケース12に対して第2ケース13を差し込んで第2ケース13を収める際に、第1ケース12に角部が引っ掛かる不具合を生じることを防止できる。
【0058】
前記一対の除角部46のそれぞれは、円弧状に形成される。
【0059】
この構成によれば、第1ケース12に対して第2ケース13を差し込んで第2ケース13を収める際に、第1ケース12に角部が引っ掛かることを防ぎつつ、第2ケース13に対して第1ケース12の角度がずれている場合でも、第1ケース12の角度を微調整して、第2ケース13に対して第1ケース12を正しく結合させることができる。
【0060】
前記一対の指掛部32のそれぞれは、円形をなした。
【0061】
この構成によれば、ユーザが指掛部32に指を掛けて第1壁部41に対して第2壁部42を近づけるように変形させる際に、ユーザの指に負担がかかることを防止できる。
【0062】
第2ケース13は、第1ケース12内に収められる。この構成によれば、使用によって第2ケース13が汚れてしまう可能性を低減できる。これによって、清掃の際に、ユーザは、主に第1ケース12を清掃すれば足り、汚れの少ない第2ケース13を清掃する手間を省くことができる。
【0063】
以下の実施形態では、主として第1実施形態と異なる部分について説明し、第1実施形態と共通する部分については、図示又は説明を省略する。
[第2実施形態]
【0064】
図10を参照して、第2実施形態のペーパーケース11について説明する。本実施形態では、隆起部26の形状が第1実施形態と異なっている。
【0065】
隆起部26は、逆「U」字状に形成されている。隆起部26は、上下方向に延びる第1壁部41と、第1壁部41と略平行に延びる第2壁部42と、第1壁部41と第2壁部42とを連結する連結部43と、を有する。
【0066】
連結部43は、第1実施形態と同様に、断面円弧状のアーチ形に形成されている。連結部43は、第1壁部41に対して第2壁部42が近づく方向に回動可能に第1壁部41と第2壁部42とを連結する。しかしながら、本実施形態の連結部43の曲率半径は、第1実施形態の連結部43の曲率半径よりも大きい。
【0067】
本実施形態によれば、第1実施形態のペーパーケース11に比して内部空間16が小さくなり、収納可能なペーパー15の枚数が少なくなってしまうものの、実用上は問題のないペーパーケース11を実現できる。また、第2ケース13から金型を抜きやすくするために、第1壁部41と第2壁部42とを完全な平行に構成するのではなく、平坦部31に近づくにつれて拡開するように、平坦部31に対して第1壁部41および第2壁部42を若干斜めに構成しても当然によい。
[第3実施形態]
【0068】
図11図13を参照して、第2実施形態のペーパーケース11について説明する。本実施形態では、第1ケース12の頂壁部22の形状が第1実施形態と異なっている。
【0069】
頂壁部22は、断面半円形のドーム型に形成されている。
【0070】
本実施形態によれば、第1実施形態のペーパーケース11に比して第1ケース12の剛性が高くなるために、第1ケース12の耐久性を向上してペーパーケース11の製品信頼性を向上できる。また、ペーパーケース11を丸みを帯びたデザインとすることができるために、ペーパーケース11の体裁を良好にすることができる。
[第4実施形態]
【0071】
図14を参照して、第4実施形態のペーパーケース11について説明する。本実施形態では、一対の縦壁部33の形状が第1実施形態と異なっている。また、本実施形態では、ストッパー部34および受容部25の構成が省略されている。
【0072】
一対の縦壁部33のそれぞれは、第1実施形態の縦壁部33よりも上下方向に関して長尺に構成されている。このため、第2ケース13が第1ケース12内に収められた第1位置P1にある際に、縦壁部33の先端は、第1ケース12の頂壁部22の内面に当接可能である。このため、本実施形態では、ストッパー部34および受容部25がなくとも、第2ケース13が第1ケース12の内部深くに入り込んでしまう不具合を生じることがない。これにより、本実施形態では、ストッパー部34および受容部25の構成が省略され、ペーパーケース11の形状が簡素化されている。
【0073】
本実施形態によれば、以下のことがいえる。一対の縦壁部33の先端は、頂壁部22に当接可能である。この構成によれば、ストッパー部34および受容部25の構成を省略することができ、ペーパーケース11の形状を簡略化することができる。
[第5実施形態]
【0074】
図15を参照して、第5実施形態のペーパーケース11について説明する。本実施形態では、第2ケース13の縦壁部33が第1ケース12の内部に収められておらず、第1ケース12の外側に配置されている点で、第1実施形態と異なっている。また、本実施形態では、第1ケース12の側壁部21の外面に第1係合部23を設け、第2ケース13の縦壁部33の内面に第2係合部27を設けている点で、第1実施形態と異なっている。さらに、本実施形態では、ストッパー部34および受容部25の構成が省略されている。
【0075】
縦壁部33は、第1ケース12の側壁部21よりも外側に配置され、側壁部21の外側に当接している。このため、本実施形態のペーパーケース11の構造上、第1ケース12の内部深くに第2ケース13が入り込んでしまう恐れがなく、ストッパー部34および受容部25を省略することができる。本実施形態によれば、ストッパー部34および受容部25の構成を省略することができ、ペーパーケース11の形状を簡略化することができる。
【0076】
上記した実施形態は、種々の置き換えや変形を加えて実施できる。また、上記実施形態同士を適宜に組み合わせて発明を構成することも当然にできる。
【符号の説明】
【0077】
11 ペーパーケース
12 第1ケース
13 第2ケース
15 ペーパー
21 側壁部
22 頂壁部
22A 取出口
23 第1係合部
24 傾斜面
25 受容部
26 隆起部
27 第2係合部
31 平坦部
31A 第1辺
31B 第2辺
32 指掛部
33 縦壁部
34 ストッパー部
41 第1壁部
42 第2壁部
43 連結部
46 除角部
P1 第1位置
P2 第2位置
M 移動方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15