(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】身体鍛錬器具及び身体鍛錬器具用把持具
(51)【国際特許分類】
A63B 23/00 20060101AFI20240830BHJP
【FI】
A63B23/00 Z
(21)【出願番号】P 2024085475
(22)【出願日】2024-05-27
【審査請求日】2024-06-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523335841
【氏名又は名称】有限会社ベルビー
(74)【代理人】
【識別番号】100128277
【氏名又は名称】專徳院 博
(72)【発明者】
【氏名】木原 一樹
【審査官】宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-082293(JP,A)
【文献】特許第7385330(JP,B1)
【文献】米国特許第05536222(US,A)
【文献】登録実用新案第3234283(JP,U)
【文献】特開2002-017763(JP,A)
【文献】特開2009-213896(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 1/00 - 26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
持ち運び容易な可搬式の身体鍛錬器具であって、
水平部と、前記水平部の両端から下方に伸びる一対の垂直部とを有する略逆U字状の本体と、
前記本体を支持する脚体と、
前記本体の水平部の外径よりも小さい外径の把持部を有する把持部材と、
前記把持部材を前記本体の水平部の下方に吊下げる、ベルトの一端にカンが取付けられた吊下げ具と、
を有し、
前記把持部材は、前記把持部が前記本体の水平部の下方に前記本体の水平部と平行になるように前記吊下げ具を介して前記本体に取付けられていることを特徴とする身体鍛錬器具。
【請求項2】
前記吊下げ具は、前記本体に対して取付け、取外し自在であり、
前記把持部材は、前記吊下げ具に対して取付け、取外し自在であることを特徴とする請求項1に記載の身体鍛錬器具。
【請求項3】
前記吊下げ具に取付けられた前記把持部材の回転を防ぐ回転防止手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の身体鍛錬器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体を鍛えるための身体鍛錬器具及び身体鍛錬器具用把持具に関する。
【背景技術】
【0002】
ディップススタンドと呼ばれる上半身を鍛える身体鍛錬器具がある。一般的なディップススタンドは、略逆U字状の本体と、本体を支持する一対の脚体とで構成されており、一対のディップススタンドを用い、本体の水平部を上から握り又は本体の水平部を上から押さえ付けるように使用し上半身を鍛える。
【0003】
本発明者は、従来のディップススタンドを改良し、使い易くまた幅広いトレーニング方法を行える身体鍛錬器具を発明し、特許を取得している(特許文献1参照)。本発明者が発明した身体鍛錬器具を
図5に示す。
【0004】
図5に示す身体鍛錬器具100は、従来のディップススタンドと同様に、トレーニングの際には一対の身体鍛錬器具100が使用される。2つの身体鍛錬器具100は、同一形状、同一寸法、同一構造であり、略逆U字状の本体10と、前記本体10を支持する一対の脚体30と、本体10に固定された把持部材40とを備える。
【0005】
本体10は、細長い金属製のパイプ材が略逆U字状に曲げられ、水平部12と、水平部12の両端から下方に伸びる一対の垂直部14、15とを有する。水平部12の中央部には弾力性を有する被覆材25が取付けられている。脚体30は、細長い金属製パイプ材からなる支持部31と、支持部31の長手方向の中心に立設された円筒状の連結部33とを有する。一対の支持部31の両端には、ゴム製のカバー37が取付けられている。
【0006】
身体鍛錬器具100は、一対の脚体30が互いに平行に配置され、本体10の水平部12が脚体30と直交するように、本体10の左右の垂直部14、15の下端がそれぞれ脚体30の連結部33に嵌め込まれ、本体10と一対の脚体30とがボルト38で固定されている。
【0007】
把持部材40は、本体把持部の外径よりも小さい外径を有する直線状の円筒パイプからなり、本体の水平部12の下方に水平部12に平行に固着されている。本体把持部は、本体の水平部12又は本体の水平部12に取付けられた被覆材25の部分である。
【0008】
このような身体鍛錬器具100は、本体の水平部12の下方に水平部12に平行に本体把持部の外径よりも小さい外径を有する把持部材40が取付けられているので、斜め懸垂などが行い易く、従来のディップススタンドと比較して幅広いトレーニングを行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1には連結具を介して本体に把持部材を連結する身体鍛錬器具も開示されているが、本体に把持部材を連結する方法は、特許文献1に記載の方法以外の方法も考え得る。
【0011】
本発明の目的は、使い易くまた幅広いトレーニング方法を行うことができる新規な身体鍛錬器具及び身体鍛錬器具に後付け可能な身体鍛錬器具用把持具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、持ち運び容易な可搬式の身体鍛錬器具であって、水平部と、前記水平部の両端から下方に伸びる一対の垂直部とを有する略逆U字状の本体と、前記本体を支持する脚体と、前記本体の水平部の外径よりも小さい外径の把持部を有する把持部材と、前記把持部材を前記本体の水平部の下方に吊下げる、ベルトの一端にカンが取付けられた吊下げ具と、を有し、前記把持部材は、前記把持部が前記本体の水平部の下方に前記本体の水平部と平行になるように前記吊下げ具を介して前記本体に取付けられていることを特徴とする身体鍛錬器具である。
【0013】
本発明に係る身体鍛錬器具において、前記吊下げ具は、前記本体に対して取付け、取外し自在であり、前記把持部材は、前記吊下げ具に対して取付け、取外し自在であることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る身体鍛錬器具は、前記吊下げ具に取付けられた前記把持部材の回転を防ぐ回転防止手段を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明は、水平部と、前記水平部の両端から下方に伸びる一対の垂直部とを有する略逆U字状の本体と、前記本体を支持する脚体と、を備える持ち運び容易な可搬式の身体鍛錬器具に後付け可能な把持具であり、前記本体の水平部の外径よりも小さい外径の把持部を有する把持部材と、前記把持部材を前記本体の水平部の下方に前記本体の水平部と平行になるように吊下げる、ベルトの一端にカンが取付けられた吊下げ具と、を備えることを特徴とする身体鍛錬器具用把持具である。
【0016】
本発明は、水平部と、前記水平部の両端から下方に伸びる一対の垂直部とを有する略逆U字状の本体と、前記本体を支持する脚体と、を備える持ち運び容易な可搬式の身体鍛錬器具に対し、前記本体の水平部の外径よりも小さい外径の把持部を有する把持部材を、把持部が前記本体の水平部の下方に前記本体の水平部と平行になるように前記本体に着脱可能に吊下げるための吊下げ具であって、前記吊下げ具が、ベルトの一端にカンが取付けられた吊下げ具であることを特徴とする身体鍛錬器具用吊下げ具である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、使い易くまた幅広いトレーニング方法を行うことができる新規な身体鍛錬器具及び身体鍛錬器具に後付け可能な身体鍛錬器具用把持具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施形態の身体鍛錬器具1の斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態の身体鍛錬器具1で使用する吊下げ具55の斜視図である。
【
図3】本発明の第1実施形態の身体鍛錬器具1で使用する吊下げ具55の構成を説明するための図である。
【
図4】本発明の第1実施形態の身体鍛錬器具1で使用する吊下げ具55のずれ防止手段である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
明細書及び図中のXYZ軸は、3次元直交座標系のX軸,Y軸,Z軸に対応し、本実施形態において、XZ平面を水平面、Y軸を鉛直軸に平行とし、X軸の矢印方向を左、Y軸の矢印方向を上、Z軸の矢印方向を後とする。また本実施形態において、正面図は、X軸Y軸を含む面を正面としZ軸の矢印方向に見た図、右側面図は、Y軸Z軸を含む面を正面としX軸の矢印方向に見た図、平面図は、X軸Z軸を含む面をY軸の矢印の反対方向に見た図である。
【0020】
図1は、本発明の第1実施形態の身体鍛錬器具1の斜視図である。
図2及び
図3は、第1実施形態の身体鍛錬器具1で使用する吊下げ具55の斜視図及び吊下げ具55の構成を説明するための図である。第1実施形態の身体鍛錬器具1において、
図5に示す従来の身体鍛錬器具100と同一の構成には同一の符号を付す。
【0021】
身体鍛錬器具1は、上半身を鍛えるためのトレーニング器具であり、手で持ち簡単に移動させることができる可搬タイプである。
図1では、1つの身体鍛錬器具1を記載しているが、この身体鍛錬器具1は、通常、
図5に示す身体鍛錬器具100と同様に、2つの身体鍛錬器具1を1セットとして使用する。
【0022】
身体鍛錬器具1は、略逆U字状の本体10と、本体10を支持する一対の脚体30と、吊下げ具55を介して本体10の水平部12の下方に付けられた把持部材50とを有する。
【0023】
本体10は、水平面に平行なX軸方向に伸びる水平部12と、水平部12の両端から下方に伸びる水平面に直交する一対の垂直部14、15とを有する。本体10は、細長い金属製の円筒パイプが曲げ加工により形成されている。
【0024】
本体10は、金属製のパイプ材を用い、水平部12と、垂直部14、15と、これらをつなぐ湾曲部20、21とを別々に製作し、これらを溶接付けして形成してもよい。水平部12と、垂直部14、15と、湾曲部20、21とを別々に製作した後に溶接付けし本体10を形成する場合は、各部の外径を異なるものとすることもできる。溶接付けは、金属製のパイプ材の固着方法の具体例であり、各部材を堅固に固着できれば他の固着方法であってもよい。
【0025】
水平部12は、トレーニングを行う際に主として把持する部分であり、本体把持部である。本実施形態の身体鍛錬器具1においては、水平部12の長手方向(X方向)の中央には、水平部を覆う弾力性を有する円筒状の被覆材25が取付けられている。被覆材25は、水平部25を把持し易くするための部材であり、把持したときの滑止め材としても機能する。
【0026】
被覆材25は、水平部12の全体、あるいは水平部12から湾曲部20,21まで、あるいは水平部12から湾曲部20,21を経由して垂直部14、15の上部までを覆うものであってもよい。逆に本体10の水平部12に被覆材25が取付けられていなくてもよい。
【0027】
本実施形態の身体鍛錬器具1は、垂直部14、15の下端16,17近傍に本体10と脚体30とを連結するためのボルト38が挿通する貫通孔が設けられている。
【0028】
脚体30は、金属製のパイプ部材からなる支持部31と、支持部31の長手方向(Z方向)の中心に設けられた、支持部31の上面からY方向に伸びる短管からなる連結部33とを有する。
【0029】
支持部31は、直線状の円筒パイプからなり、両端にゴム製のカバー37が取付けられている。カバー37は、身体鍛錬器具1を床面に安定的に設置するためのクッション機能、滑止め機能を有する。本実施形態の脚体30の支持部31は、円筒パイプからなるが横断面が4角形の角筒パイプを用いてもよい。
【0030】
連結部33は、支持部31の上面からY方向に伸びる金属製の円筒パイプ部材からなる短管であり、外径は、本体10の垂直部14、15の内径よりも僅かに小さく設定されている。このため連結部33に対して本体10の垂直部の下端16,17をぐらつかせることなく差し込むことができる。また連結部33には、高さ方向(Y方向)に複数個の雌ねじを有するねじ孔34が設けられている。
【0031】
本体10と一対の脚体30とは、本体の垂直部14,15の下端16,17がそれぞれ脚体30の連結部33に差し込まれ、ボルト38を本体の垂直部14,15の下端16,17に設けられた貫通孔に挿通させ、脚体30の連結部33に設けられたねじ孔34に螺合させ固定される。脚体30の連結部33には高さが異なる複数個のねじ孔34が設けられているので、ボルト38を螺合させる位置を変更することで本体の水平部12の高さを変更することができる。
【0032】
本体の垂直部14,15の下端16,17に設けられた貫通孔、及び脚体30の連結部33に設けられたねじ孔34は、本体10と一対の脚体30とをボルト38で連結したとき、脚体30の支持部31が、本体10の水平部12と直交するように設けられている。
【0033】
把持部材50は、トレーニングを行う際に把持する部材である。把持部材50において、トレーニングを行う際に把持する部分を把持部という。本実施形態では、一対の吊下げ具55の間の部分が把持部となる。
【0034】
把持部材50は、金属製の円筒パイプからなり、一対の吊下げ具55を介して本体の水平部12の下方に水平部12に平行に取付けられている。把持部材50の長さは、本体の左右の垂直部14,15の間隔の半分程度であるが、把持部材50は手で掴むことができる長さがあればよく、左右の垂直部14,15の間隔と同程度であってもよい。把持部材50と本体の水平部12との間隔Δhは、把持部材50を下から握ることができる距離があればよく、適宜決定すればよい。
【0035】
把持部材50と本体の水平部12との間隔Δhは、把持部材50の把持部と本体10の水平部12の把持部との間隔のうち最も狭い部分をいう。把持部材50と本体の水平部12との間隔Δhをいうときは、本体の水平部12に取付けられている被覆材25も含める。よって本体10の水平部12に被覆材25が取り付けられている場合には、被覆材25の下端と把持部材50の上端との間隔となる。また把持部材50にも被覆材が取付けられている場合には、本体10の被覆材25の下端と把持部材50の被覆材の上端との間隔となる。
【0036】
把持部材50は、斜め懸垂するときに握り易い太さとなっており、把持部材50の把持部の外径D1は、本体の水平部12の外径D0よりも小さい。把持部材50の把持部の外径D1を、本体の水平部12の外径D0よりも小さくすることで従来のディップススタンドと比較して多様なトレーニグが可能となる。
【0037】
本体の水平部の外径D0、把持部材の把持部の外径D1をいうときは、本体の水平部に取付けられている被覆材、把持部材の把持部に取付けられている被覆材も含める。本実施形態では、把持部材50の把持部は、把持部材50そのものである。
【0038】
本体の水平部12に被覆材が取り付けられていない場合は、本体の水平部の外径D0は、水平部自体の外径となる。本体の水平部全体に被覆材が取り付けられている場合は、本体の水平部の外径D0は、被覆材の外径となる。本実施形態のように本体の水平部12に被覆材25が部分的に取り付けられている場合は、本体の水平部の外径D0は、水平部12自体の外径又は被覆材25の外径となる。
【0039】
把持部材50の把持部に被覆材が取り付けられていない場合は、把持部材50の把持部の外径D1は、把持部材50の把持部自体の外径となる。把持部材50の把持部全体に被覆材が取り付けられている場合は、把持部材50の把持部の外径D1は、被覆材の外径となる。把持部材50の把持部に被覆材が部分的に取り付けられている場合は、把持部材50の把持部の外径D1は、把持部自体の外径又は被覆材の外径となる。
【0040】
本実施形態において本体把持部は、被覆材25が取付けられていない水平部12又は被覆材25が取付けられた水平部であるから、把持部材の把持部の外径D1が、本体の水平部の外径D0よりも小さいとは、把持部材の把持部の外径D1が、本体把持部の外径D0よりも小さいと換言できる。
【0041】
把持部材50は、表面を滑止め処理することが好ましい。滑止め処理の方法としては、把持部材50の表面にローレット加工などの滑止め加工を施す方法、把持部材50の表面に滑止め材の被覆を施す方法、把持部材50に弾力性を有する被覆材を取付ける方法などがある。把持部材50に施す滑止め処理は、把持部材50の把持部のみでもよい。
【0042】
吊下げ具55は、把持部材50を本体の水平部12に吊り下げる吊下げベルト55であり、左右一対のベルトからなる。吊下げベルト55は、トレーニング時に把持部材50に加わる荷重に耐えるものであればよく、素材等は特に限定されるものではない。よって適度な幅の布製,革製,合成樹脂製のベルトを用いることができる。
【0043】
吊下げベルト55は、一端に本体の水平部12が挿通可能な輪57を備える。輪57は、ベルト本体の一端61を輪57ができるように折り返し、折り返したベルト本体の一端61をベルト本体60と縫製し形成されている。このため輪57の大きさ(直径)は、固定されている。
【0044】
吊下げベルト55の他端には、角カン70が取り付けられている。角カン70は、四角形の形状を有する公知のカン金具である。角カン70は、角カン70内にベルト本体の他端63を通し、他端63をベルト本体60側に折り返し、折り返したベルト本体の他端63をベルト本体60と縫製することで取付けられている。
【0045】
角カン70は、
図1及び
図3に示すように、吊下げベルト55の輪57の部分を角カン70の内側に通すことで把持部材50を支持するための輪59を作るための部材である。このように機能するカン金具であれば、角カンに代えてDカン、楕円カンなどを使用してもよい。
【0046】
吊下げベルト55には、ベルト本体の上面65であって角カン70側に短冊形状の布製の滑止め材67が取り付けられている。滑止め材67の幅は、ベルト本体60の幅と同程度であり、滑止め材67の長さは、把持部材50の外周長の約1/2である。滑止め材67は、吊下げベルト55を介して把持部材50を本体の水平部12に吊り下げたとき、把持部材50の外周の下半分と接するようにベルト本体60に取付けられている。
【0047】
滑止め材67は、身体鍛錬器具1を使用中に把持部材50が回転することを防止できるものであればよく、寸法、素材、把持部材50との接触面69の構造等は特に限定されるものではない。本実施形態では滑止め材67がベルト本体の上面65に取付けられているが、滑止め材67がベルト本体の裏面66に取付けられていてもよい。
【0048】
吊下げ具55を用いた把持部材50の取付け要領を説明する。
図3に示すように吊下げベルト55の輪57の部分を角カン70の内側に通すことで把持部材50を支持するための輪59を作る。このとき滑止め材67が輪59の内側になるようにする。この状態で吊下げベルト55の輪57の部分を身体鍛錬器具1の本体の水平部12に通し、吊下げベルト55を本体の水平部12に吊り下げる。その後、角カン70を動かし輪59を大きくし把持部材50を通し、その後、
図1に示すように輪59が小さくなるように角カン70を調整し、把持部材50をしっかりと固定する。
【0049】
本実施形態の身体鍛錬器具1において、吊下げ具55は、本体の水平部12に吊下げ後にずれないようにすることが好ましい。特に対象とするずれは、吊下げ具55の本体の水平部12に対する左右方向(X方向)へのずれである。
【0050】
図4は、
図1に示す身体鍛錬器具1の吊下げ具55のずれ防止手段である。第1のずれ防止手段は、摩擦力を高めるゴム板、スポンジ部材(以下、ゴム板等という)である。このようなゴム板等80を、
図4(A)に示すように吊下げベルト55のうち本体の水平部12と接触する部分に取付け、摩擦力を大きくしずれを防ぐ。
【0051】
ずれ防止用のゴム板等80は、吊下げベルト55に代えて本体の水平部12に取付けてもよい。本体の水平部12に被覆材が取付けられている場合にはそれを代用してもよい。またゴム板、スポンジ部材に代えて、滑止め材、粘着材、両面テープを用いてもよい。
【0052】
第2のずれ防止手段は、吊下げベルト55が左右方向(X方向)に移動することを防止するストッパーである。
図4(B)に示すように吊下げベルト55を挟むように左右にストッパー82を配置する。
図4(B)に示すストッパー82は、半円形状を有するマグネットからなる。ストッパーは、吊下げベルト55が左右方向(X方向)に移動することを防止することができればよく、形態・構造は特に限定されるものではない。
図4(B)において、吊下げベルト55を被覆材25の端部に接触させ、被覆材25をストッパーとして代用してもよい。
【0053】
第3のずれ防止手段は、クリップ又はピンチである。
図4(C)に示すように本体の水平部12に取付けられた吊り下げベルト55に対して、吊下げベルト55上からクリップ84で吊下げベルト55及び本体10の水平部12を挟み込む。クリップ又はピンチの形態・構造は特に限定されるものではない。クリップ84は、吊下げベルト55の左右方向(X方向)の移動、周方向の回転を防ぐことができる。
【0054】
ここで第1実施形態の身体鍛錬器具1の代表的な寸法を示せば、脚体30の底面から本体の水平部12までの高さが800~900mm、左右の脚体30の間隔が600mm、脚体30の支持部31の長さが370mm、本体の水平部12の外径D0が42mm、把持部材40の長さが300mm、把持部材40の外径D1が27~30mm、本体の水平部12と把持部材40との間隔Δhが30~60mmである。なお体操競技の鉄棒の外径は28mmであるから、外径D1が27~30mmの把持部材40は、握り易い太さといえる。
【0055】
第1実施形態の身体鍛錬器具1は、本体の水平部12をX軸に平行にすると、本体の垂直部14,15は、Y軸に平行となり、本体10は、XY平面に平行な平面に含まれる。把持部材50は、水平部12の真下に位置するため本体10と同一平面内に含まれる。一方、脚体30は、支持部31がZ軸に平行となり、左右の脚体30の支持部31は、XZ平面に平行な平面に含まれる。
【0056】
身体鍛錬器具1は、吊下げ具55を介して取付けられた把持部材50を除き、他の構成は従来のディップススタンドと基本的に同じである。よって身体鍛錬器具1は、従来のディップススタンドに把持部材50を取付けたものということができる。このような構成からなる身体鍛錬器具1は、従来のディップススタンドと異なり、本体の水平部12の下方に本体の把持部に比較して外径の小さい把持部材50を備えるので、これを用いて斜め懸垂など多様なトレーニングを行うことができる。
【0057】
斜め懸垂は、足先を床面に着け、手で棒を下から掴み、腕を屈伸させ懸垂する方法であるから、従来のディップススタンドにおいても本体把持部を下から掴むことで斜め懸垂を行うことはできる。しかしながらディップススタンドは、基本的に本体把持部を上から握る、あるいは上から押え付けるように使用するため本体把持部をしっかりと握るには外径が大きい。このためディップススタンドを用いての斜め懸垂はやり難い。
【0058】
これに対して本実施形態の身体鍛錬器具1は、従来のディップススタンドと異なり、本体の水平部12の下方に本体把持部に比較して外径の小さい把持部材50を備えるので、握り易く斜め懸垂もやり易い。また外径の異なる2つの把持部を備えるので多様なトレーニングを行うことができる。
【0059】
以上からなる身体鍛錬器具1は、着脱可能な吊下げ具55を用いて本体10に把持部材50を取付けるので、本体10に何らの加工を施すことなく把持部材50を取付け、取外し、また本体10に対して吊下げ具55及び把持部材50を後付けができる。さらには太さの異なる把持部材50に簡単に交換することができる。また身体鍛錬器具1で使用する吊下げ具55は、構造が単純であるため安価に製造することができる。
【0060】
本実施形態の把持部材50及び吊下げ具55は、本発明に係る身体鍛錬器具用把持具に該当し、本実施形態の吊下げ具55は、本発明に係る身体鍛錬器具用吊下げ具に該当する。
【0061】
以上、第1実施形態の身体鍛錬器具1を用いて本発明に係る身体鍛錬器具、身体鍛錬器具用把持具及び身体鍛錬器具用吊下げ具を説明したが、本発明に係る身体鍛錬器具、身体鍛錬器具用把持具及び身体鍛錬器具用吊下げ具は、上記実施形態に限定されるものではなく要旨を変更しない範囲で変形することができる。
【0062】
第1実施形態の身体鍛錬器具1で使用する吊下げ具50は、一端に固定された輪57を有するが、バックルなどベルトに輪を作ることができる結束具を用いて輪57を作るようにしてもよい。結束具を用いてベルト本体の一端に輪を作れば輪の大きさを容易に変更可能であり、取付けられる把持部材50の本体水平部12に対する取付け高さを容易に変更することができる。
【0063】
第1実施形態の身体鍛錬器具1の吊下げ具55は、ベルト本体60に滑止め材67を取付けることで支持する把持部材50の回転を防止するが、把持部材50の表面に滑止め加工が施されている場合には、ベルト本体60に滑止め材67を取付けなくてもよい。把持部材50の表面の滑止め加工には、把持部材50を塗装するとき表面がざらつくように塗装し、結果、そのざらつきが滑止めとして機能する場合にはそのような塗装も把持部材50の表面の滑止め加工に含まれる。
【0064】
また第1実施形態の身体鍛錬器具1において、吊下げ具55に対する把持部材50のX軸方向への移動又は吊下げ具55に対する把持部材50の回転を防ぐため
図4に示すずれ防止手段を用いてもよい。
【0065】
第1実施形態の身体鍛錬器具1では、直線状の円筒パイプからなる把持部材を使用するが把持部材はロ字状であってもよい。
【0066】
第1実施形態の身体鍛錬器具を構成する本体及び脚体は、本体が水平部と、水平部の両端から下方に伸びる一対の垂直部とを有し、脚体が本体を支持するものであればよく、上記実施形態に限定されるものでない。
【0067】
図面を参照しながら好適な身体鍛錬器具、身体鍛錬器具用把持具及び身体鍛錬器具用吊下げ具について説明したが、当業者であれば、本件明細書を見て、自明な範囲内で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。従って、そのような変更及び修正は、請求の範囲から定まる発明の範囲内のものと解釈される。
【符号の説明】
【0068】
1 身体鍛錬器具
10 本体
12 水平部
14、15 垂直部
16、17 垂直部の下端
25 被覆材
30 脚体
50 把持部材
55 吊下げ具、吊下げベルト
60 ベルト本体
61 ベルト本体一端
63 ベルト本体他端
67 滑止め材
70 角カン
D0 本体水平部の外径
D1 把持部材の把持部の外径
【要約】
【課題】使い易くまた幅広いトレーニング方法を行うことができる身体鍛錬器具及び身体鍛錬器具に後付け可能な身体鍛錬器具用把持具を提供する。
【解決手段】持ち運び容易な可搬式の身体鍛錬器具1であって、水平部12と、水平部12の両端から下方に伸びる一対の垂直部14,15とを有する略逆U字状の本体10と、本体10を支持する脚体30と、本体の水平部12の外径よりも小さい外径の把持部を有する把持部材50と、把持部材50を本体の水平部12の下方に吊下げる、ベルトの一端に角カン70が取付けられた吊下げ具55と、を有し、把持部材50は、把持部が本体の水平部12の下方に本体の水平部12と平行になるように吊下げ具55を介して本体10に取付けられていることを特徴とする。
【選択図】
図1