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特許7546348ゴルフクラブのパターシャフトのための可撓性グリップ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】ゴルフクラブのパターシャフトのための可撓性グリップ
(51)【国際特許分類】
   A63B 53/14 20150101AFI20240830BHJP
   A63B 60/08 20150101ALI20240830BHJP
【FI】
A63B53/14 F
A63B60/08
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019131517
(22)【出願日】2019-07-17
(65)【公開番号】P2020011066
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2022-07-04
(31)【優先権主張番号】16/038,342
(32)【優先日】2018-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518042280
【氏名又は名称】イートン インテリジェント パワー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Eaton Intelligent Power Limited
【住所又は居所原語表記】30 Pembroke Road, Dublin 4 D04 Y0C2, Ireland
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・ウィリアム・カヴィル
(72)【発明者】
【氏名】ビリー・ディー・ウッド
【審査官】安田 明央
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第09421439(US,B2)
【文献】米国特許第05460372(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0196813(US,A1)
【文献】特開2006-223817(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/14
A63B 60/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
均一直径のゴルフクラブシャフトのための可撓性グリップであって、
前記ゴルフクラブシャフトを受容するための開口端部と、前記開口端部に対向している実質的に閉鎖された端部と、を有する、エラストマー材料で形成された管状部材を備え、前記管状部材が、
(a)前記実質的に閉鎖された端部に向かって隆起し、かつテーパ状である前記可撓性グリップの上面の前記実質的に閉鎖された端部に隣接する、前記可撓性グリップの外周の一部分と、
(b)直線的に形成され、かつ前記ゴルフクラブシャフトの表面に平行である前記可撓性グリップの下面を含む、前記可撓性グリップの一部分と、
(c)前記実質的に閉鎖された端部から前記開口端部へ進む方向にテーパ状になっている前記可撓性グリップの側面と、を有し、
前記管状部材の上面には、実質的に前記可撓性グリップの全幅にわたって、かつ実質的に前記可撓性グリップの全長に沿って延在する平坦面が形成される、可撓性グリップ。
【請求項2】
前記管状部材の前記下面を含む前記一部分が、均一な壁厚を有する、請求項1に記載の可撓性グリップ。
【請求項3】
前記管状部材が、ショアA30~75の範囲の硬度を有するエラストマー材料で形成される、請求項1に記載の可撓性グリップ。
【請求項4】
前記可撓性グリップの前記実質的に閉鎖された端部に向かって隆起した部分が、0.25~1.25インチ(6.3~31.7mm)の範囲の量で隆起する、請求項1に記載の可撓性グリップ。
【請求項5】
前記可撓性グリップの前記実質的に閉鎖された端部に向かって隆起した部分が、前記管状部材の長さの少なくとも5分の1(1/5)にわたって延在する、請求項1に記載の可撓性グリップ。
【請求項6】
均一直径のゴルフクラブシャフトのための可撓性グリップであって、
前記ゴルフクラブシャフトを受容するための開口端部と、前記開口端部に対向している実質的に閉鎖された端部と、を有する、エラストマー材料で形成された管状部材を備え、前記管状部材が、
(a)前記可撓性グリップの実質的に閉鎖された前記端部に隣接する、前記可撓性グリップの外周の一部分の高さが増加する部分であって、前記高さが増加する部分は、前記開口端部へ進む方向にテーパ状に形成され、
(b)前記可撓性グリップの側面が、実質的に閉鎖された前記端部と前記開口端部との間をテーパ状に延在し、
前記管状部材の上面が、概してその上に形成された平坦面を有し、前記平坦面が、実質的に前記可撓性グリップの全幅にわたって、かつ実質的に前記可撓性グリップの全長に沿って延在する、可撓性グリップ。
【請求項7】
前記高さが増加する部分が、前記可撓性グリップの上面に形成され、前記可撓性グリップの下面を構成する部分が、前記ゴルフクラブシャフトの表面に対して平行に形成される、請求項6に記載の可撓性グリップ。
【請求項8】
前記高さが増加する部分が、0.25~1.25インチ(6.3~31.7mm)の範囲の量で増加する、請求項6に記載の可撓性グリップ。
【請求項9】
前記高さが増加する部分が、前記管状部材の長さの少なくとも5分の1(1/5)にわたって延在する、請求項6に記載の可撓性グリップ。
【請求項10】
前記高さが増加する部分が、約40mmの最大高さで延在する、請求項6に記載の可撓性グリップ。
【請求項11】
前記可撓性グリップの側面が、実質的に閉鎖された前記端部から前記開口端部まで延在する際に、前記ゴルフクラブシャフトの表面へ進む方向にテーパ状になっている、請求項6に記載の可撓性グリップ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示は、ゴルフクラブのシャフトのための、特に、パターのシャフトのための可撓性グリップに関する。パッティングに利用されるストロークは、フルスイングクラブのストロークとは大幅に異なり、したがって、望ましい正確なパッティングストロークを生じさせるために、ユーザの手とクラブグリップとの異なる係合が必要とされる。これに関して、一貫性を維持し、かつ望ましくない、及び一貫性のない運動を排除することが必要である。これを達成するために、ユーザは、指、手、及び手首を、パッティングストローク全体を通して、腕に対する位置に固定するように保つことが必要である。腕に対して指、手、及び手首を固定した状態で、脊椎の軸の周りの腕及び肩部の回転によるパターの所望の運動が達成される。しかしながら、熟練度の低い、又は平均的なゴルファーの場合、手の種々の部分を腕に対する位置に固定するように保つことは、一貫したパッティング精度を得るためのパッティングストロークにおいて最も困難な態様であることが見出されている。これに関して、ユーザの2つの手は、パッティングストローク中に単一のエンティティとして協働しなければならず、これは、所望の一貫した動作を提供するために、ユーザが腕を固定するための十分な筋肉記憶を得ることを必要とする。典型的に、プロ又は上級のゴルファーは、ストローク中に自分の手をより安定させるように自分の筋肉記憶を作り上げているので、そうしたゴルファーだけしかこれを行うことができず、一方で、平均的なゴルファーは、より自然な、又はリラックスした位置に手及び指を置く傾向があり、これは、パッティングストローク中に安定性を維持することができない。特に、上級のゴルファーは、パッティングストローク中の自分の指の位置及び手首を安定した状態に保つように自分自身を訓練している。
【0002】
これまで、パターのシャフトのための可撓性グリップは、あるときには「ピストル」グリップと称される、グリップの長手方向の湾曲、及び下面のグリップの閉鎖端部に隣接する拡大部分を利用していた。図13に示されるように、全体的に1で示される従来技術の可撓性グリップは、パターのシャフト2に受容され、かつシャフトに沿って移動する上面3と、閉鎖端部5に隣接して4で下方に延在する下面と、を有する。
【0003】
図10に示されるようにクラブを把持する従来の逆重ね合わせ方式では、下側の手の拇指隆起を上側の手の親指の上に置く。この一般的なパターを把持する方式の場合、自然でなくし、かつグリップに対する手の器用さを低減させる、増加した手首の角度を提供することが所望されている。ピストル型グリップは、手首の角度の尺骨偏位、及びシャフト軸に対する指の角度を減少させ、結果として、パッティングストロークの安定性及び一貫性を維持するための能力を低下させる。
【0004】
したがって、手首及び腕の運動の安定性及び増加した一貫性をもたらし、したがって、パッティングストロークのより高い精度をもたらす様態でユーザがクラブを把持するのを支援する、パターのシャフトの可撓性グリップのための構成を提供することが所望されている。
【発明の概要】
【0005】
ゴルファーが、パッティングストローク中に、パターの安定したグリップ及び運動を維持する能力を高めるために、本開示のグリップは、尺骨の手首の角度を増加させ、かつ自然でなくし、手及び指両方の器用さを減少させる位置を作り出す構成を提供する。
【0006】
本開示の可撓性グリップは、グリップの開口端部に向かって長手方向にテーパ状になっている、閉鎖端部又は木口に隣接するグリップの上面の隆起部分を利用する。この構成は、パッティングストローク中の手の尺骨偏位を増加させ、かつ手及び前腕を安定させる傾向がある。本開示の可撓性グリップの隆起部分は、上側の手の拇指隆起をグリップの上面に置くことで、手の増加した尺骨偏位をもたらし、両方の前腕を互いにより直線状にさせ、それによって、パッティングストローク中の単一性を向上させる、より等しい手首の角度を保持する。この配設は、指先ではなく、指の付け根のより近くでグリップを把持させ、それによって、指の器用さ及び運動を低減させる。
【0007】
本開示のグリップの下面は、パターシャフトに平行な一定の厚さの直線構成を有し、ユーザの指の中で一貫した感触を与え、かつ指をより平面的な構成にする。上面の平坦面は、親指のためのより安定した静置点であり、かつグリップの片側に親指を配置するのを防止し、それによって、パター面を意図する軌道と垂直にさせなくする。
【0008】
グリップの側面は、均等にテーパ状になり、隆起していない上面の下側部分は、グリップの側面のテーパ割合と一致する、又はその割合に等しいテーパ割合を有する。本開示のグリップの一バージョンにおいて、頂面の隆起部分は、約110mmのグリップ長の上側スパン以内で約20mm隆起し、上側の手の約10度(10°)の増加した手首の角度を作り出す。これは、上側の手の手首の角度を下側の手の手首の角度とより等しくする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】パターのシャフトのための可撓性グリップの一バージョンの側面図である。
図2図1のパターシャフトの軸を通して切断した垂直断面図である。
図3図2の切断線3-3に沿って切断した図1のグリップの水平横断面である。
図4図2の切断指示線4-4に沿って切断した断面図である。
図5】尺骨方向における中立からの手首の偏位の図的記述である。
図6】本開示のグリップを中心に巻き付けたユーザの指の図である。
図7】従来技術の典型的なグリップを中心に巻き付けた指の、図6に類似する図である。
図8】本開示のグリップと接触する領域を示すユーザの手の掌の図である。
図9】本開示のグリップを中心に把持するためのユーザの手の位置の図である。
図10】パターを把持する従来の重ね合わせ方式の説明図である。
図11】本開示のグリップのユーザの手の改善された位置を実線で示し、従来技術のグリップの手の位置を点線で示す、図10に類似する図である。
図12】本開示のグリップを有するパターを把持しているユーザの腕の位置の側景を示す説明図である。
図13】湾曲した上面及びピストルグリップ型の下面を利用する従来技術のパターグリップの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1図4を参照すると、本開示のパターのシャフトのための可撓性グリップは、全体的に10に示されており、かつエラストマー材料で形成することができる管状部材12を有し、開口端部14を伴い、パターのシャフト16を覆って受容されているように示される。本実践において、ショアAスケールで30~75の範囲の硬度を有するエラストマー材料で形成されている管状部材12を有することで十分であることを見出した。管状部材12の対向する端部は、全体的に18で示されるように、実質的に閉鎖されており、かつ端部キャップ20を含むことができる。
【0011】
特に図2図4を参照すると、端部キャップ20に隣接する管状部材12の領域は、参照符号「H」によって示される量だけ隆起しており、隆起部分は、参照符号「L」によって示される距離にわたって、開口端部に向かって実質的に一定の割合で長手方向にテーパ状になり、管状部材の残りの部分の直径と一致する。本実践では、グリップの一バージョンにおいて、約110mmにわたって延在し、かつ0.25~1.25インチ(6.3~31.7mm)の範囲の高さを有する隆起部分22を有することで十分であることを見出した。典型的に、隆起部分22は、グリップの長さの最低1/5(1/5)にわたって延在し、本実践において、隆起部分の実用的とみなされる最大高さは、約40mmである。
【0012】
図3及び図4を参照すると、管状部材12の上面には、実質的にグリップの幅にわたって、かつグリップの長さに沿って延在する平坦面24が形成される。平坦面24は、親指のためのより安定した静置点を提供し、かつ親指がパターグリップの片側に配置される場所での弱い又は強い把持を防止するのを補助する。平坦面24は、親指がグリップの側部に延在するのを防止する役割を果たし、かつゴルフボールの意図する軌跡に対して垂直でない様態でパターの表面を配向するのを防止する。
【0013】
図2図4を参照すると、管状部材の下面26は、直線又は線状に形成され、かつその下面に沿って一定の厚さを伴って、パターシャフト16の表面と平行である。これは、ゴルファーの各々の指がシャフトから一定の距離であるので、各々の指の中でパターシャフトに対してより一貫した感触を生じさせる。パターシャフトのこの一貫した近接性は、図7の点線29によって示されるより自然な円弧状の指の位置又は湾曲した従来技術のグリップと比較すると、図6の破線27によって示されるように、グリップ底面の長手方向軸に沿って、指を平面位置のより多くに配置させる。カップ状にした全ての指をより平面的な配設に移動させることで、指が図7に示されるようなより自然な、又は人間工学的な位置にあるときと比較して、指の器用さがより少なくなり、したがって、より少ない運動を導入する。
【0014】
図11及び図1を参照すると、隆起した上部分22は、上側の手において約10度(10°)の増加した手首の角度を作り出し、この角度は、下側の手の手首の角度により等しく、この角度は、上側の手の親指の上に配置されている下側の手の拇指隆起のため、この量だけ既に増加している。特に図11を参照すると、従来技術のパターグリップを把持するユーザの手首の角度の位置が実線で示されており、増加した手首の尺骨偏位は、破線31、33において本開示のグリップを把持するユーザについて、増加した手首の角度を示す。これはまた、パターシャフト軸に対する指の角度も減少させる。
【0015】
図12を参照すると、破線34、36によって示されるように、親指を隆起部分22の上に重ね合わせること、及び増加した尺骨偏位の結果として、前腕が、より平行な状態で、かつ互いに直線状に配置される。
【0016】
グリップの側面は、図3の参照番号28、30によって示されるように、実質的に閉鎖された端部から開放端部まで一定のテーパを有する。本発明の本実践において、グリップ側部28、30の一定のテーパ割合は、隆起部分の下側のグリップの上面の下側部分のテーパ割合と一致することで十分であることを見出した。
【0017】
本開示は、ゴルフクラブパターのための可撓性管状グリップを説明するが、これは、グリップの木口に隣接して形成された隆起したテーパ状部分を有し、平坦面がグリップの上面に沿って延在して、クラブを把持する時点で、ユーザの手首の尺骨偏位の角度を増加させ、それによって、前腕をまっすぐに保ち、かつパッティングストローク中に手首及び指を固定した状態に保つのを支援する。管状部材の下面は、線状であり、かつパターシャフトの軸と平行であり、指に一貫した感触を生じさせ、かつ指を平面位置のより多くに配置させ、それによって、パッティングストローク中の指の器用さを低減させ、かつ指のより少ない運動を生じさせる。
【0018】
例示的な実施形態を図面を参照しながら説明及び例証してきた。先述した詳細な説明を読解することによって、他者には改良及び変更が思い浮かぶであろうことが明白である。例示的な実施形態は、添付の特許請求の範囲又はその同等物の範囲に入る限り、こうした改良及び変化を全て含むと解釈されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13