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特許7546351電子部品内蔵パッケージ基板及びこれを備えるセンサーモジュール、並びに、電子部品内蔵パッケージ基板の製造方法
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  • 特許-電子部品内蔵パッケージ基板及びこれを備えるセンサーモジュール、並びに、電子部品内蔵パッケージ基板の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】電子部品内蔵パッケージ基板及びこれを備えるセンサーモジュール、並びに、電子部品内蔵パッケージ基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20240830BHJP
   G01L 9/00 20060101ALI20240830BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
H05K3/46 Q
H05K3/46 B
H05K3/46 N
G01L9/00 301G
H01L23/12 501P
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019215675
(22)【出願日】2019-11-28
(65)【公開番号】P2021086956
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-08-26
【審判番号】
【審判請求日】2024-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115738
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲頭 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121681
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 和文
(72)【発明者】
【氏名】露谷 和俊
【合議体】
【審判長】土居 仁士
【審判官】馬場 慎
【審判官】衣鳩 文彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-103441(JP,A)
【文献】特開2000-353875(JP,A)
【文献】特開2017-98404(JP,A)
【文献】特開2004-247706(JP,A)
【文献】特開2006-153474(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/46
H01L 23/12
G01L 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層の一方の表面に形成された第1の配線層と、
前記第1の絶縁層の他方の表面の第1の領域に搭載された電子部品と、
前記第1の絶縁層の前記他方の表面の第2の領域に搭載された薄膜キャパシタと、
前記電子部品及び薄膜キャパシタを埋め込むよう、一方の表面が前記第1の絶縁層の前記他方の表面を覆う第2の絶縁層と、
前記第2の絶縁層の他方の表面に形成された第2の配線層と、を備え、
前記電子部品は、外部端子が設けられ、前記第2の絶縁層の前記一方の表面側を向く主面と、前記第1の絶縁層の他方の表面と接する裏面とを含み、
前記薄膜キャパシタは、前記第1の絶縁層の前記他方の表面と接する第1の電極層と、前記第2の絶縁層の前記一方の表面と接する第2の電極層と、前記第1の電極層と前記第2の電極層に挟まれた容量絶縁膜とを含み、
前記第2の配線層に含まれる配線パターンは、前記第2の絶縁層に設けられた第1のスルーホール導体を介して、前記電子部品の前記外部端子に接続され、
前記薄膜キャパシタの前記第2の電極層は、前記薄膜キャパシタと重なるよう前記第2の絶縁層に設けられた第2のスルーホール導体に接続され、
前記薄膜キャパシタの前記第1の電極層は、前記薄膜キャパシタと重なるよう前記第1の絶縁層に設けられた第3のスルーホール導体に接続され、
前記第1の領域は前記第2の領域に囲まれており、これにより、前記電子部品は平面視で前記薄膜キャパシタに囲まれていることを特徴とする電子部品内蔵パッケージ基板。
【請求項2】
前記第1及び第2の絶縁層を貫通して設けられ、前記第1の配線層と前記第2の配線層を相互に接続する第4のスルーホール導体をさらに備え、
前記第1の絶縁層の前記他方の表面は、前記電子部品及び薄膜キャパシタのいずれも搭載されていない第3の領域をさらに有し、
前記第4のスルーホール導体は、前記第3の領域を通過することを特徴とする請求項1に記載の電子部品内蔵パッケージ基板。
【請求項3】
前記第3の領域は前記第2の領域に囲まれており、これにより、前記第4のスルーホール導体は平面視で前記薄膜キャパシタに囲まれていることを特徴とする請求項2に記載の電子部品内蔵パッケージ基板。
【請求項4】
一方の外表面に設けられ、センサーチップを搭載するためのセンサーチップ搭載領域と、
平面視で前記センサーチップ搭載領域と重なる位置に設けられ、前記一方の外表面から他方の外表面に亘って貫通する貫通孔と、をさらに備え、
前記第1の絶縁層の前記他方の表面は、前記貫通孔が通過する第4の領域をさらに有することを特徴とする請求項3に記載の電子部品内蔵パッケージ基板。
【請求項5】
前記第1及び第2の電極層は、表面が粗面化されていることを特徴とする請求項4に記載の電子部品内蔵パッケージ基板。
【請求項6】
前記薄膜キャパシタは、前記電子部品よりも薄いことを特徴とする請求項4又は5に記載の電子部品内蔵パッケージ基板。
【請求項7】
前記薄膜キャパシタの側面は、露出することなく前記第2の絶縁層で覆われていることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載の電子部品内蔵パッケージ基板。
【請求項8】
請求項4乃至7のいずれか一項に記載の電子部品内蔵パッケージ基板と、前記センサーチップ搭載領域に搭載されたセンサーチップとを備えることを特徴とするセンサーモジュール。
【請求項9】
前記センサーチップは、空気の振動、圧力、温度又は組成を検出するセンサーであることを特徴とする請求項8に記載のセンサーモジュール。
【請求項10】
一方の表面に第1の配線層が形成された第1の絶縁層の他方の表面に、薄膜キャパシタ及び前記薄膜キャパシタに囲まれるよう電子部品を搭載する第1の工程と、
前記電子部品及び薄膜キャパシタを埋め込むよう、前記第1の絶縁層の前記他方の表面を第2の絶縁層で覆う第2の工程と、
前記第2の絶縁層の表面に第2の配線層を形成する第3の工程と、を備え、
前記薄膜キャパシタは、第1及び第2の電極層と、前記第1の電極層と前記第2の電極層に挟まれた容量絶縁膜とを含み、
前記電子部品は、外部端子が設けられた主面と、裏面とを含み、
前記第1の工程においては、前記第1の電極層が前記第1の絶縁層の前記他方の表面と接するよう前記薄膜キャパシタを搭載するとともに、前記裏面が前記第1の絶縁層の前記他方の表面と接するよう前記電子部品を搭載し、
前記第2の工程においては、前記薄膜キャパシタの前記第2の電極層が前記第2の絶縁層と接し、前記電子部品の前記主面が前記第2の絶縁層で覆われるよう、前記第2の絶縁層を形成し、
前記第3の工程においては、前記第2の配線層に含まれる配線パターンを、前記第2の絶縁層に設けられた第1のスルーホール導体を介して、前記電子部品の前記外部端子に接続し、前記薄膜キャパシタの前記第2の電極層に、前記薄膜キャパシタと重なるよう前記第2の絶縁層に設けられた第2のスルーホール導体を接続し、
前記薄膜キャパシタの前記第1の電極層に、前記薄膜キャパシタと重なるよう前記第1の絶縁層に設けられた第3のスルーホール導体を接続する第4の工程をさらに備えることを特徴とする電子部品内蔵パッケージ基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子部品内蔵パッケージ基板及びこれを備えるセンサーモジュールに関し、特に、基板の内部に電子部品と薄膜キャパシタが埋め込まれた電子部品内蔵パッケージ基板及びこれを備えるセンサーモジュールに関する。また、本発明は、このような電子部品内蔵パッケージ基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薄膜キャパシタが埋め込まれた基板としては、特許文献1に記載されたキャパシタ内蔵基板が知られている。特許文献1に記載されたキャパシタ内蔵基板は、一方の外表面に半導体ICが搭載されるタイプの基板であり、基板に埋め込まれた薄膜キャパシタを半導体ICの電源ライン及びグランドラインに接続することにより、電源の安定化が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-053350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたキャパシタ内蔵基板をより高機能化すべく、半導体ICを基板の内部に埋め込もうとすると、絶縁層や配線層の層数が増加するため、全体の厚みが厚くなるという問題があった。
【0005】
したがって、本発明は、基板の内部に電子部品と薄膜キャパシタが埋め込まれた電子部品内蔵パッケージ基板及びこれを備えるセンサーモジュールにおいて、全体の厚みを薄くすることを目的とする。また、本発明は、このような電子部品内蔵パッケージ基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による電子部品内蔵パッケージ基板は、第1の絶縁層と、第1の絶縁層の一方の表面に形成された第1の配線層と、第1の絶縁層の他方の表面の第1の領域に搭載された電子部品と、第1の絶縁層の他方の表面の第2の領域に搭載された薄膜キャパシタと、電子部品及び薄膜キャパシタを埋め込むよう、一方の表面が第1の絶縁層の他方の表面を覆う第2の絶縁層と、第2の絶縁層の他方の表面に形成された第2の配線層とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、電子部品と薄膜キャパシタが第1の絶縁層の異なる表面に搭載されていることから、絶縁層や配線層の層数を増やす必要がない。これにより、基板全体の厚みを薄くすることが可能となる。
【0008】
本発明において、第1の領域は第2の領域に囲まれており、これにより、電子部品は平面視で薄膜キャパシタに囲まれていても構わない。これによれば、第1の絶縁層の表面のうち、電子部品が搭載されていない残余の領域を有効に活用することが可能となる。しかも、電子部品が薄膜キャパシタで囲まれることから、薄膜キャパシタが電子部品に対するシールドとしても機能するため、電子部品が外部からのノイズを受けにくくなる。
【0009】
本発明による電子部品内蔵パッケージ基板は、第1及び第2の絶縁層を貫通して設けられ、第1の配線層と第2の配線層を相互に接続するスルーホール導体をさらに備え、第1の絶縁層の他方の表面は、電子部品及び薄膜キャパシタのいずれも搭載されていない第3の領域をさらに有し、スルーホール導体は、第3の領域を通過するものであっても構わない。これによれば、薄膜キャパシタと干渉することなく、スルーホール導体を配置することが可能となる。この場合、第3の領域は第2の領域に囲まれており、これにより、スルーホール導体は平面視で薄膜キャパシタに囲まれていても構わない。これによれば、スルーホール導体を任意の位置に配置することが可能となる。
【0010】
本発明による電子部品内蔵パッケージ基板は、一方の外表面に設けられ、センサーチップを搭載するためのセンサーチップ搭載領域と、平面視でセンサーチップ搭載領域と重なる位置に設けられ、一方の外表面から他方の外表面に亘って貫通する貫通孔とをさらに備え、第1の絶縁層の他方の表面は、貫通孔が通過する第4の領域をさらに有するものであっても構わない。これによれば、電子部品内蔵パッケージ基板の他方の外表面から一方の外表面へ空気を流通させることが可能となる。
【0011】
本発明において、薄膜キャパシタは、第1の絶縁層の他方の表面と接する第1の電極層と、第2の絶縁層の一方の表面と接する第2の電極層と、第1の電極層と第2の電極層に挟まれた容量絶縁膜とを含み、第1及び第2の電極層は、表面が粗面化されていても構わない。これによれば、薄膜キャパシタと第1及び第2の絶縁層の密着性を高めることが可能となる。
【0012】
本発明において、薄膜キャパシタは電子部品よりも薄くても構わない。これによれば、電子部品と第2の配線層の間に位置する第2の絶縁層の厚みを薄くすることができるため、電子部品と第2の配線層を接続するスルーホール導体の加工精度を高めることが可能となる。
【0013】
本発明において、薄膜キャパシタの側面は、露出することなく第2の絶縁層で覆われていても構わない。これによれば、薄膜キャパシタを第2の絶縁層によって保護することが可能となる。
【0014】
また、本発明によるセンサーモジュールは、上記の電子部品内蔵パッケージ基板と、センサーチップ搭載領域に搭載されたセンサーチップとを備えることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、薄型で高機能なセンサーモジュールを提供することが可能となる。
【0016】
本発明において、センサーチップは、空気の振動、圧力、温度又は組成を検出するセンサーであっても構わない。これによれば、貫通孔を介して空気の振動、圧力、温度又は組成を検出することが可能となる。
【0017】
本発明による電子部品内蔵パッケージ基板の製造方法は、一方の表面に第1の配線層が形成された第1の絶縁層の他方の表面に、薄膜キャパシタ及び前記薄膜キャパシタに囲まれるよう電子部品を搭載する工程と、電子部品及び薄膜キャパシタを埋め込むよう、第1の絶縁層の他方の表面を第2の絶縁層で覆う工程と、第2の絶縁層の表面に第2の配線層を形成する工程とを備えることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、薄型で高機能な電子部品内蔵パッケージ基板を提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
このように、本発明によれば、基板の内部に電子部品と薄膜キャパシタが埋め込まれた電子部品内蔵パッケージ基板及びこれを備えるセンサーモジュールにおいて、全体の厚みを薄くすることが可能となる。また、本発明によれば、このような電子部品内蔵パッケージ基板の製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の一実施形態による電子部品内蔵パッケージ基板100の構造を説明するための略断面図である。
図2図2は、薄膜キャパシタ160の部分的な断面図である。
図3図3は、薄膜キャパシタ160の外観を示す略斜視図である。
図4図4は、絶縁層112の表面112aに定義された各領域について説明するための模式図である。
図5図5は、配線層L1のパターン形状の一例を示す平面図である。
図6図6は、配線層L2のパターン形状の一例を示す平面図である。
図7図7は、配線層L3のパターン形状の一例を示す平面図である。
図8図8は、配線層L4のパターン形状の一例を示す平面図である。
図9図9は、薄膜キャパシタ160の電極層162のパターン形状の一例を示す平面図である。
図10図10は、薄膜キャパシタ160の電極層161のパターン形状の一例を示す平面図である。
図11図11は、電子部品内蔵パッケージ基板100を用いたセンサーモジュール100Aの構造を説明するための略断面図である。
図12図12は、電子部品内蔵パッケージ基板100の製造方法を説明するための工程図である。
図13図13は、電子部品内蔵パッケージ基板100の製造方法を説明するための工程図である。
図14図14は、電子部品内蔵パッケージ基板100の製造方法を説明するための工程図である。
図15図15は、電子部品内蔵パッケージ基板100の製造方法を説明するための工程図である。
図16図16は、電子部品内蔵パッケージ基板100の製造方法を説明するための工程図である。
図17図17は、電子部品内蔵パッケージ基板100の製造方法を説明するための工程図である。
図18図18は、電子部品内蔵パッケージ基板100の製造方法を説明するための工程図である。
図19図19は、電子部品内蔵パッケージ基板100の製造方法を説明するための工程図である。
図20図20は、電子部品内蔵パッケージ基板100の製造方法を説明するための工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。なお、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。また、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。さらに、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。さらに、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態による電子部品内蔵パッケージ基板100の構造を説明するための略断面図である。なお、本明細書において、「電子部品内蔵パッケージ基板」とは、電子部品が内蔵又は搭載された単位基板である個別基板(個片、個品)のみを指すのではなく、その個別基板を複数有する集合基板(ワークボード、ワークシート)であっても構わない。
【0023】
図1に示すように、本実施形態による電子部品内蔵パッケージ基板100は、4層の絶縁層111~114と、絶縁層111~114の各表面に位置する配線層L4,L3,L2,L1を有している。特に限定されるものではないが、最下層に位置する絶縁層111及び最上層に位置する絶縁層114は、ガラス繊維などの芯材にガラスエポキシなどの樹脂材料を含浸させたコア層であっても構わない。これに対し、絶縁層112,113は、ガラスクロスなどの芯材を含まない樹脂材料からなるものであっても構わない。特に、絶縁層111,114の熱膨張係数は、絶縁層112,113の熱膨張係数よりも小さいことが好ましい。
【0024】
最上層に位置する絶縁層114及びその表面に形成された配線層L1の一部は、ソルダーレジスト121によって覆われている。一方、最下層に位置する絶縁層111及びその表面に形成された配線層L4の一部は、ソルダーレジスト122によって覆われている。ソルダーレジスト121は電子部品内蔵パッケージ基板100の一方の外表面101を構成し、ソルダーレジスト122は電子部品内蔵パッケージ基板100の他方の外表面102を構成する。
【0025】
配線層L1~L4には、それぞれ配線パターン131~134が形成されている。配線パターン134のうち、ソルダーレジスト122によって覆われていない部分には、外部端子130が形成されている。外部端子130は、後述するマザーボードへの接続端子である。また、配線パターン131のうち、ソルダーレジスト121によって覆われていない部分は、ボンディングパッドとして用いられる。配線パターン131~134は、絶縁層111~114を貫通するスルーホール導体141~143を介して相互に接続されている。
【0026】
本実施形態においては、電子部品内蔵パッケージ基板100の一方の外表面101にセンサーチップ搭載領域A及びBが定義されている。さらに、平面視でセンサーチップ搭載領域Aと重なる位置には、電子部品内蔵パッケージ基板100を一方の外表面101から他方の外表面102に亘って貫通する貫通孔V1が設けられている。
【0027】
本実施形態による電子部品内蔵パッケージ基板100は、絶縁層112と絶縁層113の間にコントローラチップ150と薄膜キャパシタ160が埋め込まれている。図1には1つのコントローラチップ150のみが示されているが、複数のコントローラチップ150が埋め込まれていても構わない。コントローラチップ150は、センサーチップ搭載領域A,Bに搭載されるセンサーチップに接続される電子部品である。当然ながら、コントローラチップ150は貫通孔V1を避けて配置される。しかしながら、コントローラチップ150とセンサーチップ搭載領域A,Bは、平面視で一部重なりを有していても構わない。本発明において、コントローラチップ150などの電子部品の種類は特に制限されず、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)のように動作周波数が非常に高いデジタルICであっても構わないし、F-RomやSDRAM等のメモリ系ICであっても構わないし、増幅器、アンテナスイッチ、高周波発振回路といったアナログIC等の能動素子であっても構わない。
【0028】
薄膜キャパシタ160は、コントローラチップ150と同じ層の異なる平面位置に埋め込まれている。このため、コントローラチップ150と薄膜キャパシタ160は重なりを有していない。また、本実施形態においては、コントローラチップ150の厚さT1よりも、薄膜キャパシタ160の厚さT2の方が薄い。これにより、コントローラチップ150と配線層L2の間に位置する絶縁層113の厚みを薄くすることができるため、スルーホール導体144の加工精度を高めることが可能となる。
【0029】
図2は、薄膜キャパシタ160の部分的な断面図である。
【0030】
図2に示すように、薄膜キャパシタ160は、Cuなどからなる電極層161,162と、電極層161,162に挟まれた容量絶縁膜163を含む。これにより、電極層161を一方の電極とし、電極層162を他方の電極とするキャパシタが構成される。そして、薄膜キャパシタ160は、電極層161が絶縁層112の表面(上面)と接し、電極層162が絶縁層113の表面(下面)と接するよう、絶縁層112と絶縁層113の間に埋め込まれる。ここで、電極層161,162の表面は粗面化されていても構わない。電極層161,162の表面が粗面化されていれば、電極層161,162と絶縁層112,113の密着性が高められるとともに、電極層161,162とスルーホール導体145,146の密着性も高められる。図1に示すように、スルーホール導体145は、絶縁層111,112を貫通して設けられ、配線層L4に位置する配線パターン134と薄膜キャパシタ160の電極層161を相互に接続する。また、スルーホール導体146は、絶縁層113を貫通して設けられ、配線層L2に位置する配線パターン132と薄膜キャパシタ160の電極層162を相互に接続する。
【0031】
図3は、薄膜キャパシタ160の外観を示す略斜視図である。
【0032】
図3に示すように、薄膜キャパシタ160の平面形状は単純な矩形ではなく、複数の開口部150a,142a,V1aが設けられている。開口部150aはコントローラチップ150が配置される領域に対応し、開口部142aはスルーホール導体142が通過する領域に対応し、開口部V1aは貫通孔V1が通過する領域に対応する。複数の開口部150a,142a,V1aは、それぞれ独立した開口部であっても構わないし、一部の開口部が一体化していても構わない。また、薄膜キャパシタ160のエッジ近傍に位置する開口部142aについては、内周壁が薄膜キャパシタ160の外周壁とつながっていても構わない。
【0033】
図4は、絶縁層112の表面112aに定義された各領域について説明するための模式図である。ここで、絶縁層112の表面112aとは、絶縁層112の表面のうち配線層L4が設けられた表面を一方の表面とした場合、その反対側に位置する他方の表面を指す。
【0034】
図4に示すように、絶縁層112の表面112aには、コントローラチップ150が搭載される第1の領域C1、薄膜キャパシタ160が搭載される第2の領域C2、スルーホール導体142が通過する第3の領域C3、並びに、貫通孔V1が通過する第4の領域C4が定義されている。領域C1,C4は、領域C2に囲まれている。ほとんどの領域C3も領域C2に囲まれているが、絶縁層112の表面112aのエッジ近傍に位置する領域C3については、領域C2に囲まれていないものも存在する。そして、図3に示した薄膜キャパシタ160は、領域C2と正確に重なるよう、絶縁層112の表面112aに搭載される。また、コントローラチップ150は、領域C1と正確に重なるよう、絶縁層112の表面112aに搭載される。これにより、コントローラチップ150と薄膜キャパシタ160は、絶縁層112の表面112aの互いに異なる平面位置に配置される。
【0035】
このように、本実施形態においては、薄膜キャパシタ160の平面形状を単純な矩形とするのではなく、コントローラチップ150、スルーホール導体142及び貫通孔V1が配置される位置に開口部150a,142a,V1aを設けた平面形状を有していることから、コントローラチップ150、スルーホール導体142及び貫通孔V1が存在しない領域(C2)が有効活用され、より大きなキャパシタンスを得ることが可能となる。薄膜キャパシタ160の外形サイズについては、絶縁層111~114の外形サイズと同じであっても構わないが、本実施形態においては、薄膜キャパシタ160の外形サイズを絶縁層111~114の外形サイズよりも僅かに小さくし、これにより薄膜キャパシタ160の全側面が絶縁層113で覆われる構造としている。これにより、薄膜キャパシタ160の側面が基板から露出しないことから、製品の信頼性を高めることが可能となる。
【0036】
図5図8は、それぞれ配線層L1~L4のパターン形状の一例を示す平面図である。また、図9及び図10は、それぞれ薄膜キャパシタ160の電極層162,161のパターン形状の一例を示す平面図である。
【0037】
図5図8に示すように、配線層L1には、センサーチップ搭載領域A,Bの近傍に複数の配線パターン131が形成されている。配線パターン131の一端は、スルーホール導体141を介して配線層L2に設けられた配線パターン132に接続されている。また、配線層L1の大部分はグランドパターン131Gを構成している。グランドパターン131Gは、スルーホール導体141Gを介して配線層L2のグランドパターン132Gに接続されている。
【0038】
配線層L2に設けられた配線パターン132は、スルーホール導体144を介してコントローラチップ150に接続され、或いは、スルーホール導体142を介して配線層L3に設けられた配線パターン133に接続されている。配線層L2の大部分もグランドパターン132Gを構成している。グランドパターン132Gは、スルーホール導体142Gを介して配線層L3のグランドパターン133Gに接続されている。図9及び図10に示すように、平面視でスルーホール導体142,142Gと重なる位置には、薄膜キャパシタ160に開口部142aが設けられており、これによりスルーホール導体142,142Gと薄膜キャパシタ160の干渉が防止されている。また、配線層L2には、電源電位を供給する電源パターン132Vが設けられている。電源パターン132Vの一端はスルーホール導体144を介してコントローラチップ150に接続され、他端はスルーホール導体146を介して薄膜キャパシタ160の電極層162に接続されている。これにより、薄膜キャパシタ160の電極層162には電源電位が与えられる。
【0039】
配線層L3に設けられた配線パターン133は、スルーホール導体143を介して配線層L4に設けられた配線パターン134に接続されている。配線層L3の大部分もグランドパターン133Gを構成している。グランドパターン133Gは、スルーホール導体143Gを介して配線層L4のグランドパターン134Gに接続されている。図7に示すように、平面視でスルーホール導体145と重なる位置には、グランドパターン133Gに開口部145aが設けられており、これによりスルーホール導体145とグランドパターン133Gの干渉が防止されている。そして、配線層L4に設けられたグランドパターン134Gは、スルーホール導体145を介して薄膜キャパシタ160の電極層161に接続されている。これにより、薄膜キャパシタ160の電極層161には接地電位が与えられる。
【0040】
このように、本実施形態による電子部品内蔵パッケージ基板100は、コントローラチップ150と薄膜キャパシタ160が同じ層の異なる平面位置に埋め込まれていることから、絶縁層や配線層の層数を増やす必要がない。これにより、基板全体の厚みを薄くすることが可能となる。しかも、平面視でコントローラチップ150の薄膜キャパシタ160で囲まれていることから、絶縁層112の表面112aのうち、コントローラチップ150が搭載されていない残余の領域を有効に活用することができる。しかも、薄膜キャパシタ160がコントローラチップ150に対するシールドとしても機能するため、コントローラチップ150が外部からのノイズを受けにくくなる。さらに、薄膜キャパシタ160は大部分がCuなどの金属材料からなるため、コントローラチップ150が発生する熱の放熱経路としても機能する。
【0041】
図11は、電子部品内蔵パッケージ基板100を用いたセンサーモジュール100Aの構造を説明するための略断面図である。
【0042】
図11に示すセンサーモジュール100Aは、電子部品内蔵パッケージ基板100のセンサーチップ搭載領域Aにセンサーチップ170が搭載され、センサーチップ搭載領域Bにセンサーチップ180が搭載された構成を有している。
【0043】
センサーチップ170は、例えば空気の振動、圧力、温度又は組成を検出するセンサー、つまりマイクロフォン、圧力センサー、温度センサー、ガスセンサーなどであり、電子部品内蔵パッケージ基板100に形成される貫通孔V1と対向する位置に検出部171が設けられている。センサーチップ170が例えばマイクロフォンである場合、検出部171はメンブレン構造を有する振動板を含む。センサーチップ170内における検出部171の位置は特に限定されないが、検出部171の少なくとも一部は、貫通孔V1に露出している。これにより、センサーチップ170の検出部171が貫通孔V1を介して雰囲気中に晒されることから、空気の振動、圧力、温度又は組成を検出することが可能となる。
【0044】
センサーチップ170,180の出力信号は、ボンディングワイヤ191を介して配線パターン131に接続される。また、センサーチップ170とセンサーチップ180は、ボンディングワイヤ192を介して直接接続されていても構わない。但し、電子部品内蔵パッケージ基板100とセンサーチップ170,180の接続方法がこれに限定されるものではなく、フリップチップ接続を用いても構わない。図11に示す例では、センサーチップ170,180がダイアタッチフィルム193によって電子部品内蔵パッケージ基板100の外表面101に接着されている。また、センサーチップ170,180は、平面視でコントローラチップ150と重なりを有している。
【0045】
さらに、電子部品内蔵パッケージ基板100の外表面101は、キャップ194で覆われている。キャップ194は、センサーチップ170,180を保護するとともに、センサーチップ170,180による検出特性を高める役割を果たす。特に、センサーチップ170,180の少なくとも一方がマイクロフォンである場合、キャップ194によって形成される空間195の体積は、音響特性に大きな影響を与える。
【0046】
図11に示すように、本実施形態によるセンサーモジュール100Aは、マザーボード200に搭載することができる。図11に示すように、マザーボード200には貫通孔V2が形成されており、平面視で貫通孔V1と貫通孔V2が重なるよう、マザーボード200にセンサーモジュール100Aが搭載される。これにより、センサーチップ170の検出部171は、貫通孔V1,V2を介して雰囲気中に晒される。その結果、矢印Sで示すように、空気の振動、圧力、温度又は組成がセンサーチップ170に伝わることから、これらの物理量を検出することが可能となる。また、本実施形態においては、センサーモジュール100Aの裏面に電子部品などが搭載されていないことから、センサーモジュール100Aとマザーボード200の隙間を非常に小さくすることができる。これにより、センサーの感度を高めることが可能となる。尚、センサーモジュール100Aとマザーボード200の隙間をアンダーフィルなどで埋めても構わない。
【0047】
次に、本実施形態による電子部品内蔵パッケージ基板100の製造方法について説明する。
【0048】
図12図20は、本実施形態による電子部品内蔵パッケージ基板100の製造方法を説明するための工程図である。
【0049】
まず、図12に示すように、ガラス繊維などの芯材を含む絶縁層111の両面にCu箔等の金属膜133a,134aが貼合されてなる基材(ワークボード)、すなわち両面CCL(Copper Clad Laminate)を準備する。その後の工程における貫通孔V1の形成を容易にするとともに、ハンドリングを容易にするための適度な剛性を確保するため、絶縁層111に含まれる芯材の厚みは40μm以下であることが望ましい。なお、金属膜133a,134aの材質については特に制限されず、上述したCuの他、例えば、Au、Ag、Ni、Pd、Sn、Cr、Al、W、Fe、Ti、SUS材等の金属導電材料が挙げられ、これらの中でも、導電率やコストの観点からCuを用いることが好ましい。後述する他の金属膜についても同様である。
【0050】
また、絶縁層111に用いる樹脂材料は、シート状又はフィルム状に成形可能なものであれば特に制限されず使用可能であり、ガラスエポキシの他、例えば、ビニルベンジル樹脂、ポリビニルベンジルエーテル化合物樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BTレジン)、ポリフェニレエーテル(ポリフェニレンエーテルオキサイド)樹脂(PPE,PPO)、シアネートエステル樹脂、エポキシ+活性エステル硬化樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂(ポリフェニレンオキサオド樹脂)、硬化性ポリオレフィン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ポリイミド樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、芳香族液晶ポリエステル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、若しくはベンゾオキサジン樹脂の単体、又は、これらの樹脂に、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸アルミウイスカ、チタン酸カリウム繊維、アルミナ、ガラスフレーク、ガラス繊維、窒化タンタル、窒化アルミニウム等を添加した材料、さらに、これらの樹脂に、マグネシウム、ケイ素、チタン、亜鉛、カルシウム、ストロンチウム、ジルコニウム、錫、ネオジウム、サマリウム、アルミニウム、ビスマス、鉛、ランタン、リチウム及びタンタルのうち少なくとも1種の金属を含む金属酸化物粉末を添加した材料を用いることができ、電気特性、機械特性、吸水性、リフロー耐性等の観点から、適宜選択して用いることができる。さらに、絶縁層111に含まれる芯材としては、ガラス繊維、アラミド繊維等の樹脂繊維等を配合した材料を挙げることができる。
【0051】
次に、図13に示すように、例えばフォトリソグラフィー法など公知の手法を用いて金属膜133aをパターニングすることにより、配線パターン133を形成する。さらに、配線パターン133を埋め込むよう、絶縁層111の表面に例えば未硬化(Bステージ状態)の樹脂シート等を真空圧着等によって積層することにより、絶縁層112を形成する。
【0052】
次に、図14に示すように、絶縁層112の表面112a上にコントローラチップ150及び薄膜キャパシタ160を載置する。コントローラチップ150は、例えば、ベアチップ状態の半導体ICであり、略矩形板状をなす主面151が上側を向くよう、フェースアップ方式で搭載される。コントローラチップ150の主面151には、図示しない多数の外部端子が設けられている。コントローラチップ150は、裏面を研磨する事により通常の半導体ICに比して薄くされている。具体的には、コントローラチップ150の厚さは、例えば200μm以下、より好ましくは50~100μm程度とされる。この場合、コスト的にはウエハーの状態で多数のコントローラチップ150に対して一括して加工する事が望ましく、加工順序は裏面を研削し、その後ダイシングにより個別のコントローラチップ150に分離することができる。その他の方法として、研磨処理によって薄くする前にダイシングによって個別のコントローラチップ150に裁断分離又はハーフカット等する場合には、熱硬化性樹脂等によってコントローラチップ150の主面151を覆った状態で裏面を研磨することもできる。従って、絶縁膜研削、電子部品裏面研削、ダイシングの順序は多岐に亘る。さらに、コントローラチップ150の裏面の研削方法としては、エッチング、プラズマ処理、レーザー処理、ブラスト加工、グラインダーによる研磨、バフ研磨、薬品処理等による粗面化方法が挙げられる。これらの方法によれば、コントローラチップ150を薄型化することができるだけでなく、絶縁層112に対する密着性を向上させることも可能となる。
【0053】
また、薄膜キャパシタ160の電極層161,162についても、上述の通り、粗面化されていることが好ましい。コントローラチップ150と薄膜キャパシタ160の搭載順序については問わない。図14に示すように、薄膜キャパシタ160にはあらかじめ開口部142a,V1aが設けられている。上述の通り、開口部142aはスルーホール導体142が通過する領域であり、開口部V1aは貫通孔V1が通過する領域である。さらに、薄膜キャパシタ160の厚みはコントローラチップ150よりも薄いことが望ましい。これによれば、コントローラチップ150と配線層L2の間に位置する絶縁層113の厚みが薄くなることから、より小径のビアを形成することができ、ファインピッチ接続を実現することが可能となる。
【0054】
次に、図15に示すように、コントローラチップ150及び薄膜キャパシタ160を覆うように絶縁層113及び金属膜132aを形成する。絶縁層113の形成は、例えば、未硬化又は半硬化状態の熱硬化性樹脂を塗布した後、未硬化樹脂の場合それを加熱して半硬化させ、さらに、プレス手段を用いて金属膜132aとともに硬化成形することが好ましい。絶縁層113は、コントローラチップ150及び薄膜キャパシタ160の埋め込みを妨げる繊維が含まれない樹脂シートが望ましい。これにより、絶縁層113と、金属膜132a、絶縁層112、コントローラチップ150及び薄膜キャパシタ160との密着性が向上する。
【0055】
次に、図16に示すように、例えばフォトリソグラフィー法など公知の手法を用いて金属膜132aの一部をエッチングにより除去した後に、金属膜132aが除去された所定の箇所に対して公知のレーザー加工やブラスト加工を行うことにより、絶縁層112,113にスルーホールを形成する。その後、無電解メッキ及び電解メッキを施し、さらに、金属膜132aを公知の手法によってパターニングすることにより、配線パターン132、スルーホール導体142,144,146を形成する。スルーホール導体142は、絶縁層113,112を貫通することによって配線パターン132と配線パターン133を接続するものであり、スルーホール導体144は、絶縁層113を貫通することによって配線パターン132とコントローラチップ150を接続するものであり、スルーホール導体146は、絶縁層113を貫通することによって配線パターン132と薄膜キャパシタ160を接続するものである。
【0056】
次に、図17に示すように、配線パターン132を埋め込むよう、絶縁層114と金属膜131aが積層されたシートを真空熱プレスする。絶縁層114に用いる材料及び厚みは、絶縁層111と同じであっても構わない。
【0057】
次に、図18に示すように、例えばフォトリソグラフィー法など公知の手法を用いて金属膜131a,134aの一部をエッチングにより除去した後に、金属膜131a,134aが除去された所定の箇所に対して公知のレーザー加工やブラスト加工を行うことにより、絶縁層111,114にスルーホールを形成する。その後、無電解メッキ及び電解メッキを施すことにより、スルーホール導体141,143,145を形成する。スルーホール導体141は、絶縁層114を貫通することによって金属膜131aと配線パターン132を接続するものであり、スルーホール導体143は、絶縁層111を貫通することによって金属膜134aと配線パターン133を接続するものであり、スルーホール導体145は、絶縁層111,112を貫通することによって金属膜131aと薄膜キャパシタ160を接続するものである。その後、金属膜131a,134aの表面に感光性のドライフィルム196,197を形成する。
【0058】
次に、図19に示すように、フォトリソグラフィー法により、貫通孔V1を形成すべき平面位置のドライフィルム196,197を除去した後、ドライフィルム196,197から露出する金属膜131a,134aを除去することによって開口部198を形成する。
【0059】
次に、図20に示すように、開口部198に対応する領域に対してドリル加工、炭酸ガスレーザーやUVレーザーを用いたレーザー加工、又は、サンドブラストやウェットブラストなどのブラスト加工を行うことにより、貫通孔V1を形成する。
【0060】
そして、図1に示すように、絶縁層114,111の表面にそれぞれソルダーレジスト121,122を形成し、ソルダーレジスト121,122から露出する配線パターン134,131に対して部品実装用の表面処理を行う。表面処理は、例えばCu-OSP処理、Ni/Auめっき処理、ENEPIG処理、はんだレベラー処理等が挙げられ、配線パターンの酸化膜防止及び後工程の部品実装への品質を目的としたものであれば、これに限らない表面処理方法でも可能である。
【0061】
以上により、本実施形態による電子部品内蔵パッケージ基板100が完成する。
【0062】
このように、本実施形態による電子部品内蔵パッケージ基板100の製造方法においては、絶縁層112の表面112aにコントローラチップ150と薄膜キャパシタ160の両方を搭載していることから、これらを互いに異なる層に搭載する場合と比べ、絶縁層や配線層の層数を増やす必要がない。しかも、スルーホール導体142や貫通孔V1が通過する領域には、あらかじめ薄膜キャパシタ160に開口部142a,V1aが設けられていることから、スルーホール導体142や貫通孔V1が薄膜キャパシタ160と干渉することもない。
【0063】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0064】
100 電子部品内蔵パッケージ基板
100A センサーモジュール
101,102 電子部品内蔵パッケージ基板の外表面
111~114 絶縁層
112a 絶縁層の表面
121,122 ソルダーレジスト
130 外部端子
131~134 配線パターン
131G~134G グランドパターン
131a~134a 金属膜
132V 電源パターン
141~146,141G~143G スルーホール導体
142a,145a,150a,V1a 開口部
150 コントローラチップ
151 コントローラチップの主面
160 薄膜キャパシタ
161,162 電極層
163 容量絶縁膜
170,180 センサーチップ
171 検出部
191,192 ボンディングワイヤ
193 ダイアタッチフィルム
194 キャップ
195 空間
196,197 ドライフィルム
198 開口部
200 マザーボード
A,B センサーチップ搭載領域
C1 第1の領域
C2 第2の領域
C3 第3の領域
C4 第4の領域
L1~L4 配線層
V1,V2 貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20