(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】流体封入型エンジンマウント
(51)【国際特許分類】
F16F 13/10 20060101AFI20240830BHJP
B60K 5/12 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
F16F13/10 J
B60K5/12 F
(21)【出願番号】P 2019218182
(22)【出願日】2019-12-02
【審査請求日】2022-09-05
(31)【優先権主張番号】10-2019-0062604
(32)【優先日】2019-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA CORPORATION
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(72)【発明者】
【氏名】キム、スンウォン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヒョソク
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-038595(JP,A)
【文献】特開2015-206437(JP,A)
【文献】特開平08-004823(JP,A)
【文献】特開2011-027158(JP,A)
【文献】特開2010-255830(JP,A)
【文献】特開2010-048350(JP,A)
【文献】特開2009-222138(JP,A)
【文献】特開2014-114951(JP,A)
【文献】特開2015-169282(JP,A)
【文献】特開2006-038017(JP,A)
【文献】特開2008-223960(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0284857(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 11/00- 13/30
B60K 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと連結されるマウントコアの外側に一体に成形され、振動絶縁のための流体が封入されるチャンバが備えられるインシュレーターと、
前記マウントコアの下方に配置されて前記チャンバを上部チャンバと下部チャンバとに二分し、前記流体の流動のための流体通路が備えられるオリフィスモジュールであって、前記上部チャンバに隣り合うアッパープレートと、前記アッパープレートに連結され、前記下部チャンバに隣り合うロアープレートと、を含み、前記アッパープレートは、開口ホールと、隔壁と、装着部と、を含み、前記開口ホールは、前記アッパープレートの中央部に形成され、前記隔壁は、前記開口ホールを取り囲み、前記アッパープレートの上部から所定の高さで突出し、前記装着部は、前記隔壁から前記開口ホールに向かって突出する、オリフィスモジュールと、
前記オリフィスモジュールの中央部に備えられ、空気で満たされるエアチャンバと、
前記アッパープレートの中央部で前記エアチャンバの上方かつ前記上部チャンバの下方に配置され、前記エアチャンバを密閉させる弾性材質のメンブレンであって、前記装着部に装着されるメンブレンと、を含
み、
前記メンブレンの中央部は、前記開口ホールに配置され、前記マウントコアがエンジンの振動によって上方へ移動するとき、前記メンブレンの中央部が上方に引っ張られて上昇移動するようになっており、
前記マウントコアがエンジンの振動によって下方へ移動するとき、前記メンブレンの中央部が下方に押されながら下降移動するようになっており、
前記オリフィスモジュールの中央部には、前記メンブレンの下方に一定の間隔を置いて配置されるストッパが備えられ、前記ストッパは、下降移動した前記メンブレンの中央部が接触するとき、前記メンブレンの下降移動を停止させるようになっており、
前記ストッパは、前記ロアープレートの底部が上方に突出することによって形成されている、流体封入型エンジンマウント。
【請求項2】
前記隔壁は、前記メンブレンの上方空間を前記メンブレンの周方向に取り囲むようになっていることを特徴とする請求項1に記載の流体封入型エンジンマウント。
【請求項3】
前記隔壁は、前記メンブレンの縁部に隣り合って前記メンブレンの周方向に配置されることを特徴とする請求項2に記載の流体封入型エンジンマウント。
【請求項4】
前記メンブレンの中央部は、その下側面に複数の弾性突起が突出して配置されたことを特徴とする請求項
1に記載の流体封入型エンジンマウント。
【請求項5】
前記ストッパの上側面には弾性シートが備えられ、前記弾性シートは、前記メンブレンの中央部が前記ストッパにぶつかる時の異音発生を防止するようになることを特徴とする請求項
1に記載の流体封入型エンジンマウント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体封入型エンジンマウントに関し、詳細には、車体に装着されるエンジンの挙動を制御し、振動を絶縁する流体封入型エンジンマウントに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両には、エンジンの挙動を制御し、振動を絶縁するために、エンジンマウントが使用される。
【0003】
従来のエンジンマウントは、広い周波数帯域に亘って現われるエンジンの振動を吸収するために、流体封入型エンジンマウントが主に適用される。
【0004】
図9は、従来の流体封入型エンジンマウントを示す図である。
【0005】
図9に示すように、従来の流体封入型エンジンマウントは、エンジンの振動を吸収するためにインシュレーター7と流体とを用いる。上記インシュレーター7は、エンジンと締結されるマウントコア71に取り付けられてエンジンの振動を入力される。上記流体は、インシュレーター7の下方に配置される上部チャンバ72と下部チャンバ73との間の流路を通過しながら、エンジンの振動を吸収する。上記上部チャンバ72と下部チャンバ73は、その間に配置されるメンブレン8とオリフィスモジュール9とによって区画される。上記メンブレン8は、オリフィスモジュール9の中央部に配置され、メンブレン8とオリフィスモジュール9との間を流体が通過するようになる。上記メンブレン8は、その縁部がオリフィスモジュール9に装着されて拘束され、上記流体の流動によって振動する。
【0006】
上記エンジンマウントは、メンブレン8とオリフィスモジュール9との間を通過する流体の流動によって、高周波帯域での絶縁性能が向上することができる。上記流体の流動のためには、オリフィスモジュール9に拘束されるメンブレン8が円滑に動けるようにしなければならない。しかしながら、上記メンブレン8とオリフィスモジュール9との間を通過する流体の流動は、メンブレン8の振動をもたらし、メンブレン8の動きが円滑になるほどメンブレン8の振動による異音が大きく発生する。また、上記異音の発生を防止するために、メンブレン8をオリフィスモジュール9に強く拘束させると、高周波帯域でエンジンマウントの絶縁率を高めるのに限界がある。
【0007】
上記異音の発生する原因は大きく2つがある。一番目の原因は、メンブレン8が振動しながらオリフィスモジュール9とぶつかることであり、二番目の原因は、上部チャンバ72に負圧がかかって流体の気化によるキャビテーション(cavitation)が起きることである。上記マウントコアが上方向に移動するとき、上部チャンバの負圧が増大することによって、メンブレン8とオリフィスモジュール9との間を通過する流体の流速が増加し、それによってメンブレン8が大きく振動する。上記キャビテーションは、上記上部チャンバ72の負圧が増大することで、流体中に気泡が破裂しながら異音が発生する現象である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記のような点に鑑みて案出されたものであって、メンブレンの振動及び流体のキャビテーション現象による異音発生を防止できる流体封入型エンジンマウントを提供することに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明は、エンジンと連結されるマウントコアの外側に一体に成形され、振動絶縁のための流体が封入されるチャンバが備えられるインシュレーターと、上記マウントコアの下方に配置されて上記チャンバを二分し、上記流体の流動のための流体通路が備えられるオリフィスモジュールと、上記オリフィスモジュールの中央部に備えられ、空気で満たされるエアチャンバと、上記オリフィスモジュールの中央部で上記エアチャンバの上方に配置され、上記エアチャンバを密閉させる弾性材質のメンブレンと、を含む流体封入型エンジンマウントを提供する。
【0011】
上記エンジンマウントは次のような特徴がある。上記オリフィスモジュールの上側端に一定の高さで突出する隔壁が備えられ、上記隔壁は、メンブレンの上方空間を上記メンブレンの周方向に取り囲むように構成されることができる。具体的に、上記隔壁は、メンブレンの縁部に隣り合って上記メンブレンの周方向に配置されることができる。
【0012】
上記オリフィスモジュールの中央部には、上記メンブレンの縁部が固定される装着部が備えられ、上記装着部の中央部には、上記エアチャンバの上方に配置される開口ホールが備えられることができる。上記メンブレンの中央部は、上記開口ホールに配置され、上記マウントコアがエンジンの振動によって上方へ移動するとき、上記メンブレンの中央部が上方に引っ張られて上昇移動するようになる。また、上記マウントコアがエンジンの振動によって下方へ移動するとき、上記メンブレンの中央部が下方に押されながら下降移動するようになる。
【0013】
また、上記オリフィスモジュールの中央部には、上記メンブレンの下方に一定の間隔を置いて配置されるストッパが備えられることができる。上記ストッパは、下降移動したメンブレンの中央部が接触するとき、上記メンブレンの下降移動を停止させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る流体封入型エンジンマウントによれば、マウントコアが上方向に移動する時に上部チャンバに発生する負圧を最小限に抑えることができ、上部チャンバの負圧増大によるメンブレンの振動異音及び流体のキャビテーション現象による異音発生を改善することができる。これによって、上記エンジンマウントは、高周波帯域での動特性が改善して、絶縁性能が増大すると共に、作動異音の発生も防止できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係るエンジンマウントを示す図である。
【
図3】高周波帯域のエンジン振動が吸収されるときの流体の流動を示す図である。
【
図4】低周波帯域のエンジン振動が吸収されるときのメンブレンの挙動及びエアチャンバの圧縮状態を示す図である。
【
図5】低周波帯域のエンジン振動が吸収されるときのメンブレンの挙動及びエアチャンバの圧縮状態を示す図である。
【
図6】低周波帯域のエンジン振動が吸収されるときのメンブレンの挙動及びエアチャンバの膨脹状態を示す図である。
【
図7】本発明に係るダンピング手段を示す図である。
【
図8】エンジンマウントの動特性が下方した効果を示すグラフである。
【
図9】従来の流体封入型エンジンマウントを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を当該技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように説明する。
【0017】
図1及び
図2に示すように、本発明の流体封入型エンジンマウントは、インシュレーター1とダンピング手段及びエアチャンバ222を含んで構成され、上記ダンピング手段は、オリフィスモジュール2及びメンブレン3から構成されることができる。
【0018】
上記インシュレーター1は、エンジンから入力される振動を吸収する絶縁体であって、エンジンと連結されるマウントコア11の外側に一体に成形されることができる。具体的に、上記インシュレーター1の上側部は、マウントコア11の下側部に一体に成形されることができ、インシュレーター1の下側部は、インシュレーター1の上側部と一体に形成されて、マウントコア11の下方に配置されることができる。上記インシュレーター1は、弾性の強いゴム素材を用いて加硫成形されることができる。
【0019】
上記マウントコア11は、その上側部に備えられたボルト部材12を通じてエンジンに結合されることができ、それによってエンジンと一体で動くことができる。上記インシュレーター1は、マウントコア11によってエンジンと連結され、上記マウントコア11を通じて入力されるエンジンの振動によって動くようになる。上記エンジンの振動は、車両の上下方向に発生し得る。上記インシュレーター1は、エンジンの振動によって弾力的に変形されながら振動を減殺させることができる。
【0020】
また、上記インシュレーター1は、振動絶縁のための流体が封入されるチャンバが備えられる。上記インシュレーター1は、その上側部がマウントコア11の下側部を包むように形成されることができ、その下側部の内側に上記チャンバに該当する内部空間が備えられることができる。上記チャンバにはオリフィスモジュール2が挿入されて配置される。
【0021】
上記オリフィスモジュール2は、マウントコア11の下方に配置され、上記チャンバを上部チャンバS1と下部チャンバS2とに二分する。上記オリフィスモジュール2は、その縁部に上記流体の流動のための流体通路223が備えられ、その中央部にエアチャンバ222等が備えられる。上記流体は、インシュレーター1の変形が発生するとき、上記流体通路223を通じて上部チャンバS1と下部チャンバS2との間を移動することにより、低周波帯域のエンジンの振動を低減させることができる。
【0022】
上記オリフィスモジュール2の中央部には、開口ホール213が形成された装着部212が備えられ、上記装着部212には、弾性材質のメンブレン3が接合されて配置される。上記メンブレン3は、弾性の強いゴム素材を用いて加硫成形されることができ、このとき、メンブレン3の縁部が、上記装着部212の外側面に一体に成形されて固定されることができる。また、このとき、上記メンブレン3の中央部は、上記開口ホール213に配置される。そして、上記開口ホール213は、エアチャンバ222の上方に配置される。これによって、上記メンブレン3は、エアチャンバ222の上方に配置され、上記開口ホール213を密閉させることになる。すなわち、上記メンブレン3によって、上記エアチャンバ222が密閉される。
【0023】
そして、上記オリフィスモジュール2の上側端には隔壁214が備えられることができる。上記隔壁214は、マウントコア11に向けて一定の高さで突出することができる。上記隔壁214は、メンブレン3の縁部に隣り合ってメンブレン3の周方向に配置されることができる。すなわち、上記隔壁214は、メンブレン3の上方空間をメンブレン3の周方向に取り囲むように形成されることができる。言い換えれば、上記隔壁214は、メンブレン3の上方空間を取り囲む円筒構造からなることができる。
【0024】
上記隔壁214は、上部チャンバS1に配置される。上記隔壁214がメンブレン3の縁部に隣り合って配置されることにより、高周波帯域の振動が入力されるとき、上部チャンバS1の流体圧力がメンブレン3により効果的に作用することができる。上記隔壁214は、メンブレン3の上側端に作用する流体の圧力が周辺に分散することを低減させることができる。
【0025】
上記メンブレン3の中央部は、マウントコア11を通じてインシュレーター1に振動が入力されることによって上下方向に振動し得る。上記インシュレーター1に入力される振動の振幅が第1振幅(a)以下の場合、メンブレン3の中央部が上下方向に振動しながら上記隔壁214の内側に流体が出入りするようになる(
図3参照)。上記第1振幅(a)は、一定の振幅値に設定されることができる。例えば、上記第1振幅(a)は、±0.5mmであってもよい。上記メンブレン3の中央部が第1振幅(a)以下に振動することにより、高周波帯域のエンジンの振動が吸収されることができる。
【0026】
図3に示すように、上記第1振幅(a)以下のエンジン振動が入力される場合、メンブレン3の中央部が上下方向に振動しながら上記隔壁214の内側に流体が出入りするようになり、このとき、高周波帯域のエンジンの振動が吸収されることができる。
【0027】
そして、上記第1振幅(a)より大きいエンジン振動が入力されるときは、メンブレン3の中央部が上下方向に振動して高周波帯域の振動が吸収されると共に、
図4及び
図5に示すように、上記メンブレン3の中央部がストッパ224によってストッピングされて、流体通路223に流体が流れるようになって、低周波帯域のエンジンの振動が吸収されることができる。これによって、高周波及び低周波帯域のエンジンの振動が同時に吸収されることができ、結果としてエンジンマウントの絶縁率が向上する。
【0028】
車両が凹凸路を走行するとき、上記メンブレン3の中央部は、上記第1振幅(a)より大きく振動することがある。例えば、上記メンブレン3の中央部は、走行中に±1.0mm程度の振動が発生し得る。
【0029】
そして、
図6に示すように、マウントコア11がエンジンの振動によって上方へ上昇移動する場合、上部チャンバS1の流体圧力が減少しながら上記上部チャンバS1に負圧が形成され、上記メンブレン3の中央部は、上記負圧によって上方に引っ張られて上昇移動する。このとき、上記エアチャンバ222に満たされた空気が膨脹しながら、上記空気の圧力が大気圧よりも低くなる。
【0030】
図4及び
図5に示すように、マウントコア11がエンジンの振動によって下方へ下降移動する場合、上部チャンバS1の流体圧力が増加しながら上記上部チャンバS1に正圧が形成され、上記メンブレン3の中央部は、上記流体の圧力によって下方に押されて下降移動する。このとき、上記エアチャンバ222に満たされた空気が圧縮しながら、上記空気の圧力が大気圧よりも高くなる。
【0031】
上記メンブレン3の中央部が上記第1振幅(a)より大きい振幅に振動するとき、上記メンブレン3の振動振幅を上記第1振幅(a) 以下に制限して上記流体通路223に流体が流れるようにすることができ、それによってエンジンマウントのダンピング性能を向上することができる。
【0032】
上記メンブレン3の振動振幅を制限するために、上記オリフィスモジュール2の中央部にはストッパ224が備えられることができる。上記ストッパ224は、メンブレン3の下方に一定の間隔を置いて配置され、上記メンブレン3とストッパ224との間にエアチャンバ222が位置する。上記ストッパ224は、オリフィスモジュール2の下側端の中央部に備えられることができ、メンブレン3に向けて上方に隆起した形態であってもよい。
【0033】
上記ストッパ224は、メンブレン3の中央部が下降移動して上記ストッパ224に接触するとき、上記メンブレン3の移動を停止できるようになる。また、上記ストッパ224の上側面には弾性シート225が備えられることができる。上記弾性シート225は、ストッパ224の上側面にメンブレン3の中央部が当たってぶつかる時に異音が発生することを防止することができる。上記弾性シート225は、弾性素材を用いた薄型シートタイプからなることができる。
【0034】
上記メンブレン3の円滑な作動のために、メンブレン3の下側面には複数の弾性突起31が備えられることができる。上記弾性突起31は、メンブレン3の中央部の下側面でストッパ224の方に突出することができる。上記弾性突起31とストッパ224との間のギャップ(G)は、上記第1振幅(a)の値に設定されることができる。上記メンブレン3の中央部が上記第1振幅(a)より大きい振幅に振動するとき、上記弾性突起31がストッパ224にぶつかって圧縮して上記メンブレン3がストッピングされることができる(
図4参照)。
【0035】
ここで、
図2及び
図7を参照して、上記オリフィスモジュール2の構成をより詳細に説明する。
【0036】
図2及び
図7に示すように、上記オリフィスモジュール2は、上記装着部212と隔壁214とが備えられたアッパープレート21、及び上記エアチャンバ222と流体通路223とが備えられたロアープレート22とを含んで構成されることができる。
【0037】
上記アッパープレート21は、その中央部に上記装着部212と隔壁214とが備えられることができ、上記隔壁214は、アッパープレート21の上側端に突出形成されて上記装着部212の外方に配置されることができる。また、上記アッパープレート21は、上記流体通路223と連通するアッパーホール211が備えられることができる。上記アッパーホール211によって、流体通路223と上部チャンバS1との間に流体の流動がなされることができる。
【0038】
上記ロアープレート22は、その中央部にエアチャンバ222が備えられ、上記エアチャンバ222の外方に流体通路223が配置されることができる。上記ロアープレート22は、流体通路223の一側に配置されるロアーホール221が備えられることができる。上記ロアーホール221によって流体通路223と下部チャンバS2との間に流体の流動がなされることができる。上記ロアープレート22の上側端には、アッパープレート21が圧入されて装着されることができる。このとき、上記流体通路223は、上記アッパープレート21によって閉じるようになり、上記エアチャンバ222は、アッパープレート21とメンブレン3とによって密閉される。そして、上記エアチャンバ222の下側面に配置されたロアープレート22の底部が上側に突出して、上記ストッパ224になることができる。
【0039】
また、
図1に示すように、上記インシュレーター1の下側部は、アウターパイプ4の内側面に一体に成形されることができる。上記インシュレーター1の内側に備えられた下部チャンバS2は、上記オリフィスモジュール2の下方に配置されるダイヤフラム5によって密閉されることができる。 すなわち、上記下部チャンバS2は、オリフィスモジュール2とダイヤフラム5とによって密閉されることができる。上記アウターパイプ4の下側端は、ダイヤフラム5の方にカーリングしてダイヤフラム5の縁部を支持することができる。
【0040】
上記インシュレーター1は、アウターパイプ4によってマウントブラケット6のケーシング部61に挿入されて固定されることができる。上記アウターパイプ4は、ケーシング部61の内側に圧入されて装着されることができる。
【0041】
上記マウントブラケット6は、ケーシング部61と上記ケーシング部61に一体に備えられるブラケット部62とを含んで構成されることができる。上記ブラケット部62は、車体又は車両のシャーシフレームなどに装着されて固定されることができる。
【0042】
上記インシュレーター1の上側端は、マウントコア11がエンジンと連結されるとき、上記エンジンの重量による荷重によって下降して、上記ケーシング部61の上側端で分離されることができる。
【0043】
このように構成されるエンジンマウントは、エアチャンバ222を用いて上部チャンバS1の負圧発生を低減させることができ、上記負圧発生によるキャビテーション現象及びキャビテーションによる異音発生を防止することができる。また、上記エンジンマウントは、メンブレン3を挟んで上下に配置される上部チャンバS1とエアチャンバ222間の圧力差によって上記メンブレン3が上下に振動して、高周波帯域の動特性が改善する効果も得ることができる(
図8参照)。
【0044】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲は上述した実施例に限定されず、次の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を用いた当業者の種々の変形及び改良も、本発明の権利範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0045】
1:インシュレーター 11:マウントコア
12:ボルト部材 2:オリフィスモジュール
21:アッパープレート 211:アッパーホール
212:装着部 213:開口ホール
214:隔壁 22:ロアープレート
221:ロアーホール 222:エアチャンバ
223:流体通路 224:ストッパ
225:弾性シート 3:メンブレン
31:弾性突起 4:アウターパイプ
5:ダイヤフラム 6:マウントブラケット
61:ケーシング部 62:ブラケット部
S1:上部チャンバ S2:下部チャンバ