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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】検査装置、及び検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20240830BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240830BHJP
【FI】
G01N21/88 J
G06T7/00 350B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020002460
(22)【出願日】2020-01-09
(65)【公開番号】P2021110629
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100143764
【弁理士】
【氏名又は名称】森村 靖男
(72)【発明者】
【氏名】栗田 直人
【審査官】平田 佳規
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-167596(JP,A)
【文献】特開2006-098152(JP,A)
【文献】特開2009-008564(JP,A)
【文献】国際公開第2017/164338(WO,A1)
【文献】特開2010-198476(JP,A)
【文献】特開2004-212311(JP,A)
【文献】特開2019-023843(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - G01N 21/958
G01B 11/00 - G01B 11/30
G06N 20/00 - G06N 20/20
G06T 1/00 - G06T 1/40
G06T 3/00 - G06T 3/60
G06T 5/00 - G06T 5/50
G06T 7/00 - G06T 7/90
G06T 9/00 - G06T 9/40
G06V 10/00 - G06V 10/98
G06V 20/00 - G06V 20/90
G06V 30/418
G06V 40/16
G06V 40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物が撮像された画像において所定の特徴量に基づいて1つ以上の欠陥候補を抽出する欠陥候補抽出部と、
抽出された前記欠陥候補に対して前記画像のうち当該欠陥候補の少なくとも一部が含まれる判断領域を抽出する判断領域抽出部と、
抽出された前記判断領域について機械学習によって構築される学習モデルを用いて欠陥の有無を判断する判断部と、
前記欠陥候補抽出部によって抽出された前記欠陥候補に対して当該欠陥候補の図心と他の前記欠陥候補の図心との距離のうち最小の距離を算出する距離算出部と、
を備え、
前記判断領域抽出部は、算出された前記最小の距離が所定の距離以上となる前記欠陥候補に対して、前記画像のうち当該欠陥候補の少なくとも一部が含まれる所定の大きさの第1判断領域を抽出するとともに、算出された前記最小の距離が前記所定の距離未満となる前記欠陥候補に対して、前記画像のうち当該欠陥候補の少なくとも一部が含まれ前記第1判断領域より小さい第2判断領域を抽出し、
前記判断部は、前記被検査物の欠陥の少なくとも一部を含み特定の大きさの複数の第1欠陥画像を含む学習用画像を機械学習することによって構築される第1学習モデルを用いて、前記第1判断領域について欠陥の有無を判断するとともに、前記被検査物の欠陥の少なくとも一部を含み前記第1欠陥画像より小さい複数の第2欠陥画像を含む学習用画像を機械学習することによって構築される第2学習モデルを用いて、前記第2判断領域について欠陥の有無を判断し、
前記第1欠陥画像を含む前記学習用画像と前記第1判断領域とは概ね同じ大きさであり、前記第2欠陥画像を含む前記学習用画像と前記第2判断領域とは概ね同じ大きさである
ことを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記判断領域抽出部は、前記判断領域の中心が前記欠陥候補の図心またはその近傍に位置するように当該判断領域を抽出する
ことを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記欠陥候補抽出部は、前記画像のうち輝度値が所定の輝度値より大でありかつ所定の面積より大である領域、または前記画像のうち輝度値が所定の輝度値より小でありかつ前記所定の面積より大である領域を前記欠陥候補として抽出する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の検査装置。
【請求項4】
被検査物が撮像された画像において所定の特徴量に基づいて1つ以上の欠陥候補を抽出する欠陥候補抽出工程と、
抽出された前記欠陥候補に対して前記画像のうち当該欠陥候補の少なくとも一部が含まれる判断領域を抽出する判断領域抽出工程と、
抽出された前記判断領域について機械学習によって構築される学習モデルを用いて欠陥の有無を判断する判断工程と、
前記欠陥候補抽出工程によって抽出された前記欠陥候補に対して当該欠陥候補の図心と他の前記欠陥候補の図心との距離のうち最小の距離を算出する距離算出工程と、
を備え、
前記判断領域抽出工程では、算出された前記最小の距離が所定の距離以上となる前記欠陥候補に対して、前記画像のうち当該欠陥候補の少なくとも一部が含まれる所定の大きさの第1判断領域を抽出するとともに、算出された前記最小の距離が前記所定の距離未満となる前記欠陥候補に対して、前記画像のうち当該欠陥候補の少なくとも一部が含まれ前記第1判断領域より小さい第2判断領域を抽出し、
前記判断工程では、前記被検査物の欠陥の少なくとも一部を含み特定の大きさの複数の第1欠陥画像を含む学習用画像を機械学習することによって構築される第1学習モデルを用いて、前記第1判断領域について欠陥の有無を判断するとともに、前記被検査物の欠陥の少なくとも一部を含み前記第1欠陥画像より小さい複数の第2欠陥画像を含む学習用画像を機械学習することによって構築される第2学習モデルを用いて、前記第2判断領域について欠陥の有無を判断し、
前記第1欠陥画像を含む前記学習用画像と前記第1判断領域とは概ね同じ大きさであり、前記第2欠陥画像を含む前記学習用画像と前記第2判断領域とは概ね同じ大きさである
ことを特徴とする検査方法。
【請求項5】
前記判断領域抽出工程では、前記判断領域の中心が前記欠陥候補の図心またはその近傍に位置するように当該判断領域を抽出する
ことを特徴とする請求項4に記載の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査物の欠陥の有無を検査する検査装置、及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被検査物の欠陥の有無を検査する検査装置として、例えば、被検査物が撮像された画像に基づいて欠陥の有無を検査する検査装置が知られている。下記特許文献1には、機械学習によって構築される学習モデルを用いて被検査物が撮像された画像から被検査物の外観不良箇所を推定する推定部を備える検査装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3223248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の検査装置のように、機械学習によって構築される学習モデルを用いて画像から欠陥の有無を判断する場合、学習モデルを用いないで画像から欠陥の有無を判断する場合と比べて、欠陥の検出確度が高くなる傾向にあるものの、欠陥の有無を判断するのにかかる時間が長くなる傾向にある。
【0005】
そこで、本発明は、欠陥の検出確度が低下することを抑制しつつ、欠陥の有無の検査にかかる時間を短縮し得る検査装置、及び検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的の達成のため、本発明の検査装置は、被検査物が撮像された画像において所定の特徴量に基づいて1つ以上の欠陥候補を抽出する欠陥候補抽出部と、抽出された前記欠陥候補に対して前記画像のうち当該欠陥候補の少なくとも一部が含まれる判断領域を抽出する判断領域抽出部と、抽出された前記判断領域について機械学習によって構築される学習モデルを用いて欠陥の有無を判断する判断部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、上記目的の達成のため、本発明の検査方法は、被検査物が撮像された画像において所定の特徴量に基づいて1つ以上の欠陥候補を抽出する欠陥候補抽出工程と、抽出された前記欠陥候補に対して前記画像のうち当該欠陥候補の少なくとも一部が含まれる判断領域を抽出する判断領域抽出工程と、抽出された前記判断領域について機械学習によって構築される学習モデルを用いて欠陥の有無を判断する判断工程と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この検査装置、及び検査方法では、学習モデルを用いて被検査物が撮像された画像のうち欠陥候補の少なくとも一部が含まれる判断領域について欠陥の有無を判断する。従って、この検査装置、及び検査方法は、学習モデルを用いないで欠陥の有無を判断する場合と比べて、欠陥の検出確度が低下することを抑制し得る。また、この検査装置、及び検査方法は、学習モデルを用いて被検査物が撮像された画像の全体について欠陥の有無を判断する場合と比べて、欠陥の有無の検査にかかる時間を短縮し得る。
【0009】
前記判断領域抽出部は、前記判断領域の中心が前記欠陥候補の図心またはその近傍に位置するように当該判断領域を抽出することとしてもよい。
【0010】
被検査物が撮像された画像に基づいて欠陥の有無を検査するための学習モデルは、一般的に、被検査物の欠陥を含む複数の欠陥画像を含む学習用画像を機械学習することによって構築される。この検査装置では、上記のように、欠陥の有無の判断がされる判断領域は、当該判断領域の中心が欠陥候補の図心またはその近傍に位置するように抽出される。このため、この検査装置は、欠陥の図心が画像の外縁側に位置する欠陥画像を含まない学習用画像を機械学習することによって学習モデルを構築したとしても、欠陥の検出確度が低下することを抑制し得る。このため、この検査装置は、学習モデルを構築するのにかかる時間を短縮し得る。
【0011】
上記の検査装置は、前記欠陥候補抽出部によって抽出された前記欠陥候補に対して当該欠陥候補の図心と他の前記欠陥候補の図心との距離のうち最小の距離を算出する距離算出部を更に備え、前記判断領域抽出部は、算出された前記最小の距離が所定の距離以上となる前記欠陥候補に対して、前記画像のうち当該欠陥候補の少なくとも一部が含まれる所定の大きさの第1判断領域を抽出するとともに、算出された前記最小の距離が前記所定の距離未満となる前記欠陥候補に対して、前記画像のうち当該欠陥候補の少なくとも一部が含まれ前記第1判断領域より小さい第2判断領域を抽出し、前記判断部は、前記被検査物の欠陥の少なくとも一部を含み特定の大きさの複数の第1欠陥画像を含む学習用画像を機械学習することによって構築される第1学習モデルを用いて、前記第1判断領域について欠陥の有無を判断するとともに、前記被検査物の欠陥の少なくとも一部を含み前記第1欠陥画像より小さい複数の第2欠陥画像を含む学習用画像を機械学習することによって構築される第2学習モデルを用いて、前記第2判断領域について欠陥の有無を判断することとしてもよい。
【0012】
この検査装置では、上記のように、距離算出部は、欠陥候補抽出部によって抽出された欠陥候補に対して当該欠陥候補の図心と他の欠陥候補の図心との距離のうち最小の距離を算出する。また、判断領域抽出部は、算出された最小の距離が所定の距離以上となる欠陥候補に対して、画像のうち当該欠陥候補の少なくとも一部が含まれる所定の大きさの第1判断領域を抽出するとともに、算出された最小の距離が所定の距離未満となる欠陥候補に対して、画像のうち当該欠陥候補の少なくとも一部が含まれ第1判断領域より小さい第2判断領域を抽出する。このため、この検査装置では、欠陥候補に対して第1判断領域または第1判断領域より小さい第2判断領域が抽出され、これら判断領域に他の欠陥候補が含まれないようにし得る。このため、この検査装置は、欠陥候補に対して所定の大きさの判断領域を抽出する場合と比べて、判断領域について欠陥の有無を判断する際の当該判断領域に対応する欠陥候補と異なる欠陥候補の影響を小さくし得る。従って、この検査装置は、欠陥の検出確度が低下することをより抑制し得る。なお、学習モデルの大きさは、機械学習する学習用画像の大きさに応じて大きくなる傾向にあり、学習モデルが大きくなると、当該学習モデルを用いた欠陥の有無の判断にかかる時間が長くなる傾向にある。上記のように、判断部は、複数の第1欠陥画像を含む学習用画像を機械学習することによって構築される第1学習モデルを用いて第1判断領域について欠陥の有無を判断し、第1欠陥画像より小さい複数の第2欠陥画像を含む学習用画像を機械学習することによって構築される第2学習モデルを用いて第2判断領域について欠陥の有無を判断する。このため、この検査装置は、判断領域の大きさに応じた学習モデルを用いて欠陥の有無を判断し得るため、欠陥の有無の検査にかかる時間をより短縮し得る。
【0013】
或いは、上記の検査装置は、前記欠陥候補抽出部によって抽出された前記欠陥候補の最大の幅を算出する幅算出部を更に備え、前記判断領域抽出部は、算出された前記最大の幅が所定の幅以上となる前記欠陥候補に対して、前記画像のうち当該欠陥候補の少なくとも一部が含まれる所定の大きさの第3判断領域を抽出するとともに、算出された前記最大の幅が前記所定の幅未満となる前記欠陥候補に対して、前記画像のうち当該欠陥候補の少なくとも一部が含まれ前記第3判断領域より小さい第4判断領域を抽出し、前記判断部は、前記被検査物の欠陥の少なくとも一部を含み特定の大きさの複数の第1欠陥画像を含む学習用画像を機械学習することによって構築される第3学習モデルを用いて、前記第3判断領域について欠陥の有無を判断するとともに、前記被検査物の欠陥の少なくとも一部を含み前記第1欠陥画像より小さい複数の第2欠陥画像を含む学習用画像を機械学習することによって構築される第4学習モデルを用いて、前記第4判断領域について欠陥の有無を判断することとしてもよい。
【0014】
この検査装置では、上記のように、幅算出部は、欠陥候補抽出部によって抽出された欠陥候補の最大の幅を算出する。また、判断領域抽出部は、算出された最大の幅が所定の幅以上となる欠陥候補に対して、画像のうち当該欠陥候補の少なくとも一部が含まれる第3判断領域を抽出するとともに、算出された最大の幅が所定の幅未満となる欠陥候補に対して、画像のうち当該欠陥候補の少なくとも一部が含まれ第3判断領域より小さい第4判断領域を抽出する。このため、この検査装置は、所定の大きさ以上の欠陥候補に対して第3判断領域を抽出するとともに、所定の大きさ未満の欠陥候補に対して第3判断領域より小さい第4判断領域を抽出するようにし得る。つまり、この検査装置は、大きな欠陥かもしれない欠陥候補に対して大きな第3判断領域を抽出するとともに、小さな欠陥かもしれない欠陥候補に対して小さな第4判断領域を抽出するようにし得る。ところで、欠陥の大きさに応じて欠陥の特徴が異なる場合がある。上記のように、判断部は、複数の第1欠陥画像を含む学習用画像を機械学習することによって構築される第3学習モデルを用いて第3判断領域について欠陥の有無を判断し、第1欠陥画像より小さい複数の第2欠陥画像を含む学習用画像を機械学習することによって構築される第4学習モデルを用いて第4判断領域について欠陥の有無を判断する。このため、この検査装置は、大きな欠陥かもしれない欠陥候補が含まれる判断領域に対する欠陥の有無を判断する学習モデルと、小さな欠陥かもしれない欠陥候補が含まれる判断領域に対する欠陥の有無を判断する学習モデルとが互いに異なる。従って、この検査装置は、1つの学習モデルを用いて欠陥の有無を判断する場合と比べて、欠陥の検出確度が低下することをより抑制し得る。
【0015】
前記欠陥候補抽出部は、前記画像のうち輝度値が所定の輝度値より大でありかつ所定の面積より大である領域、または前記画像のうち輝度値が所定の輝度値より小でありかつ前記所定の面積より大である領域を前記欠陥候補として抽出することとしてもよい。
【0016】
欠陥があることによって光の反射、屈折、吸収等が変化するため、画像において欠陥を暗部や明部として映し出すことができる。この検査装置では、画像において、所定の面積より大である暗部や明部を欠陥候補として抽出するため、欠陥とは異なる小さな埃等に起因する暗部や明部を欠陥候補として抽出しないようにし得る。従って、この検査装置は、判断領域の数が多くなることを抑制し得、欠陥の有無の検査にかかる時間を短縮し得る。
【発明の効果】
【0017】
以上のように本発明によれば、欠陥の検出確度が低下することを抑制しつつ、欠陥の有無の検査にかかる時間を短縮し得る検査装置、及び検査方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態における検査装置を概略的に示す図である。
図2】撮像部によって被検査物が撮像された画像の一例の一部を模式的に示す図である。
図3】本発明の第1実施形態における検査方法を示すフローチャートである。
図4】本発明の第2実施形態における検査装置を概略的に示す図である。
図5】撮像部によって被検査物が撮像された画像の別の一例の一部を模式的に示す図である。
図6】本発明の第2実施形態における検査方法を示すフローチャートである。
図7】本発明の第3実施形態における検査装置を概略的に示す図である。
図8】撮像部によって被検査物が撮像された画像の更に別の一例の一部を模式的に示す図である。
図9】本発明の第3実施形態における検査方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る検査装置、及び検査方法を実施するための形態が添付図面とともに例示される。以下に例示する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、以下の実施形態から変更、改良することができる。なお、以下で参照する図面では、理解を容易にするために、各部材の寸法を変えて示したり、参照符号を省略したりする場合がある。
【0020】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態における検査装置を概略的に示す図である。図1に示すように、本実施形態の検査装置1は、照明部10と、撮像部20と、検査部30と、記憶部40と、表示部50と、制御部COと、を主な構成として備える。本実施形態における検査装置1によって検査される被検査物60は、車両用灯具における光を透過するアウターカバーとされる。検査装置1は、被検査物60の表面の欠陥、例えば表面に付着する異物等の有無を検査する。なお、理解を容易にするため、図1では、被検査物60は鉛直断面によって示されている。
【0021】
アウターカバーである本実施形態の被検査物60は、一方の面60S1側に凸状に湾曲する透光性を有する板状部材とされる。被検査物60の外周縁には、他方の面60S2側に突出する透光性を有するリブ61が設けられ、当該リブ61は被検査物60の外周縁の全周に亘って延在している。この被検査物60は、一方の面60S1側に設けられる不図示のハードコート層と、他方の面60S2側に設けられる不図示の防曇コート層とを含む。このハードコート層の外側の面が被検査物60における一方の面60S1であり、この防曇コート層の外側の面が被検査物60における他方の面60S2である。例えば、ハードコート層や防曇コート層を形成する際にこれらの層に埃等の異物が付着してこの異物が被検査物60の表面の欠陥となることがある。本実施形態の検査装置1は、被検査物60における一方の面60S1や他方の面60S2の欠陥の有無を検査する。
【0022】
制御部COは、例えば、マイクロコントローラ、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large-scale Integrated Circuit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの集積回路やNC(Numerical Control)装置を用いることができる。また、制御部COは、NC装置を用いた場合、機械学習器を用いたものであってもよく、機械学習器を用いないものであってもよい。以下に説明するように、検査装置1の幾つかの構成が制御部COによって制御される。
【0023】
本実施形態の照明部10は、被検査物60の上方に配置され、被検査物60の一方の面60S1に白色の光を照射する。なお、図1では、照明部10から出射する光が二点鎖線で示されている。上記のように被検査物60は透光性を有するため、照明部10から出射する光は被検査物60の一方の面60S1側から他方の面60S2側に向かって被検査物60を透過する。照明部10は、制御部COからの制御信号により、光の出射と非出射とを切り替える。照明部10として、例えば、複数のLED(Light Emitting Diode)が所定の方向に並列されたライン照明、複数のLEDが二次元配列された面状照明等が挙げられる。また、照明部10の数は特に限定されるものではなく、照明部10は1つであってもよく、2つ以上であってもよい。
【0024】
本実施形態の撮像部20は、照明部10と対向するように被検査物60の下方に配置され、照明部10からの光が透過している状態の被検査物60を撮像する。つまり、撮像部20は、被検査物60を基準として照明部10側と反対側に配置され、照明部10からの光が透過している状態の被検査物60を撮像する。このため、被検査物60を透過する光が撮像部20によって撮像される。制御部COは、撮像部20を制御して、撮像部20に被検査物60の他方の面60S2の全体が含まれる二次元の画像を撮像させ、当該画像を検査部30に出力させる。撮像部20として、例えば、ラインセンサカメラ、エリアセンサカメラ等が挙げられる。なお、撮像部20がラインセンサカメラとされる場合、例えば、照明部10と撮像部20との間を横切るように被検査物60を移動させ、当該被検査物60を所定の時間間隔で撮像部20によって撮像する。
【0025】
ここで、被検査物60の一方の面60S1や他方の面60S2に異物等の欠陥がある場合、照明部10によって被検査物60に照射される光のうち欠陥に入射する光の多くは欠陥で吸収されたり欠陥で反射したりする。一方、欠陥に入射しない光の多くは被検査物60を一方の面60S1側から他方の面60S2側に向かって透過する。本実施形態では、照明部10から出射して被検査物60を透過する光が撮像部20に入射するとともに、照明部10から出射して欠陥で反射する光が撮像部20に入射しにくくなるように、照明部10と撮像部20と被検査物60との位置関係が調整される。このため、撮像部20によって撮像された被検査物60の画像において、欠陥は輝度値が所定の値より低い暗部として映し出され得、欠陥ではない部分は輝度値が所定の値より高い明部として映し出され得る。
【0026】
本実施形態の検査部30は、撮像部20から入力される二次元の画像に基づいて、被検査物60の一方の面60S1及び他方の面60S2における欠陥の有無を検査し、検査結果に応じた信号を制御部COに出力する。このような検査部30の構成として、例えば、制御部COと同様の構成が挙げられる。
【0027】
また、検査部30には、記憶部40が接続されている。記憶部40は、情報を記憶し、当該記憶した情報を読み出し可能に構成される。この記憶部40には、欠陥の有無を判断する処理を実行するための検査プログラムや当該処理に必要な情報が記憶され、検査部30は記憶部40に記憶される検査プログラムや情報を読み出す。記憶部40として、例えばROM等の半導体メモリ、磁気ディスク等が挙げられる。
【0028】
本実施形態の検査部30は、記憶部40から検査プログラムを読み出した状態において、検査領域抽出部31、欠陥候補抽出部32、判断領域抽出部33、及び判断部34を備え、欠陥の有無を判断する処理を実行する。
【0029】
検査領域抽出部31は、撮像部20から入力される被検査物60が撮像された画像において、欠陥の有無の検査する検査領域を抽出する。本実施形態では、検査領域抽出部31は、撮像部20から入力される画像における所定の領域を検査領域として抽出する。この所定の領域は、被検査物60のうちリブ61が含まれない領域であり、所定の領域の外縁はリブ61から概ね所定の距離だけ離隔している。つまり、所定の領域がこのような領域となるように、被検査物60に対する撮像部20の位置や向き等が調節されている。
【0030】
欠陥候補抽出部32は、撮像部20から入力される被検査物60が撮像された画像において、所定の特徴量に基づいて1つ以上の欠陥候補を抽出する。上記のように、本実施形態では、撮像部20によって撮像された被検査物60の画像において、欠陥は輝度値が所定の値より低い暗部として映し出され得る。このため、本実施形態では、欠陥候補抽出部32は、撮像部20から入力される被検査物60が撮像された画像のうち、検査領域抽出部31によって抽出された検査領域において、輝度値に基づいて1つ以上の欠陥候補を抽出する。具体的には、欠陥候補抽出部32は、検査領域において、輝度値が所定の輝度値より小でありかつ所定の面積より大である領域を欠陥候補として抽出する。
【0031】
判断領域抽出部33は、欠陥候補抽出部32によって抽出された欠陥候補に対して、撮像部20から入力される被検査物60が撮像された画像のうち当該欠陥候補の少なくとも一部が含まれる判断領域を抽出する。本実施形態では、図2に示すように、欠陥候補抽出部32によって抽出された欠陥候補70に対して、撮像部20から入力される被検査物60が撮像された画像のうち、検査領域抽出部31によって抽出された検査領域において、当該欠陥候補70の少なくとも一部が含まれる所定の大きさの判断領域71を抽出する。なお、図2は、撮像部20によって被検査物60が撮像された画像の一例の一部を模式的に示す図であり、検査領域抽出部31によって抽出された検査領域の一部を模式的に示す図である。図2では、欠陥候補70にハッチングが施され、判断領域71の外縁は破線で示されている。本実施形態では、判断領域71の外形は正方形とされ、判断領域71の中心が欠陥候補70の図心70Fまたはその近傍に位置する。つまり、判断領域抽出部33は、このような判断領域71を抽出する。なお、近傍とは、例えば、図心70Fとの距離が判断領域71の最大幅の10%以下となる領域とされる。また、判断領域71の外形は特に限定されるものではなく、例えば、長方形や円形であってもよい。また、判断領域71の中心は欠陥候補70の図心70Fまたはその近傍に位置していなくてもよい。
【0032】
判断部34は、判断領域抽出部33によって抽出された判断領域71について機械学習によって構築される学習モデルを用いて欠陥の有無を判断する。本実施形態の学習モデルは、被検査物60の欠陥の少なくとも一部を含み判断領域71と概ね同じ大きさの複数の欠陥画像を含む学習用画像をよって構築され、当該学習モデルを構築する機械学習は教師あり学習である。そして、判断部34は、判断領域抽出部33によって抽出された判断領域71のいずれかに欠陥があると判断する場合、欠陥があることを示す信号を制御部COに出力する。一方、判断部34は、判断領域抽出部33によって抽出された判断領域71の全てに欠陥がないと判断する場合または欠陥候補抽出部32によって欠陥候補70が抽出されない場合、欠陥がないことを示す信号を制御部COに出力する。なお、上記の学習用画像は、被検査物60の欠陥の少なくとも一部を含む複数の欠陥画像を含んでいればよい。学習用画像は、例えば、これら欠陥画像とともに、被検査物60の欠陥を含まない複数の良品画像を含んでいてもよい。
【0033】
このように、検査領域抽出部31、欠陥候補抽出部32、判断領域抽出部33、及び判断部34を備える検査部30は、撮像部20から入力される二次元の画像に基づいて、被検査物60の一方の面60S1及び他方の面60S2における欠陥の有無を検査し、検査結果に応じた信号を制御部COに出力する。
【0034】
表示部50は、検査部30による欠陥の有無の検査結果を表示する。表示部50として、例えば液晶ディスプレイが挙げられる。
【0035】
次に、本実施形態における被検査物60の欠陥の有無を検査する検査方法について説明する。
【0036】
図3は、本実施形態における検査方法を示すフローチャートである。本実施形態の検査方法によって、検査装置1を用いて被検査物60の一方の面60S1及び他方の面60S2における欠陥の有無が検査される。図3に示すように、本実施形態の検査方法は、撮像工程P1と、検査領域抽出工程P2と、欠陥候補抽出工程P3と、判断領域抽出工程P4と、判断工程P5と、を主な工程として備える。
【0037】
<撮像工程P1>
本工程は、被検査物60を撮像する工程である。本実施形態では、照明部10は、制御部COからの制御信号により、光を出射する。照明部10から出射する光は被検査物60の一方の面60S1側から他方の面60S2側に向かって被検査物60を透過する。また、撮像部20は、制御部COからの制御信号により、照明部10からの光が透過している状態の被検査物60を撮像し、被検査物60の他方の面60S2の全体が含まれる二次元の画像を検査部30に出力する。本実施形態では、被検査物60の欠陥は輝度値が所定の値より低い暗部として映し出され、被検査物60の欠陥ではない部分は輝度値が所定の値より高い明部として映し出されるように、被検査物60を撮像する。
【0038】
<検査領域抽出工程P2>
本工程は、被検査物60が撮像された画像において、欠陥の有無の検査する検査領域を抽出する工程である。本実施形態では、検査部30の検査領域抽出部31によって、撮像部20から検査部30に入力される被検査物60が撮像された画像において検査領域を抽出する。具体的には、撮像部20から入力される画像における所定の領域を検査領域として抽出する。この所定の領域は、被検査物60のうちリブ61が含まれない領域であり、所定の領域の外縁はリブ61から概ね所定の距離だけ離隔している。つまり、撮像工程P1において、所定の領域がこのような領域となるように、被検査物60を撮像する。
【0039】
<欠陥候補抽出工程P3>
本工程は、被検査物60が撮像された画像において所定の特徴量に基づいて1つ以上の欠陥候補を抽出する工程である。本実施形態では、検査部30の欠陥候補抽出部32によって、撮像部20から検査部30に入力される被検査物60が撮像された画像のうち、検査領域抽出工程P2で抽出された検査領域において、輝度値に基づいて1つ以上の欠陥候補を抽出する。具体的には、この検査領域において、輝度値が所定の輝度値より小でありかつ所定の面積より大である領域を欠陥候補として抽出する。
【0040】
<判断領域抽出工程P4>
本工程は、欠陥候補抽出工程P3において抽出された欠陥候補に対して、被検査物60が撮像された画像のうち当該欠陥候補の少なくとも一部が含まれる判断領域71を抽出する工程である。本実施形態では、図3に示すように、検査部30の判断領域抽出部33によって、欠陥候補70の少なくとも一部が含まれる所定の大きさの判断領域71を抽出する。判断領域71の外形は正方形とされ、判断領域71の中心が欠陥候補70の図心70Fまたはその近傍に位置する。つまり、このような判断領域71を抽出する。
【0041】
<判断工程P5>
本工程は、判断領域抽出工程P4において抽出された判断領域71について機械学習によって構築される学習モデルを用いて欠陥の有無を判断する工程である。本実施形態では、検査部30の判断部34によって、判断領域抽出工程P4で抽出された判断領域71について機械学習によって構築される学習モデルを用いて欠陥の有無を判断する。そして、判断部34は、抽出された判断領域71のいずれかに欠陥があると判断する場合、欠陥があることを示す信号を制御部COに出力する。一方、判断部34は、抽出された判断領域71の全てに欠陥がないと判断する場合または欠陥候補抽出部32によって欠陥候補70が抽出されない場合、欠陥がないことを示す信号を制御部COに出力する。制御部COは、検査部30の判断部34から入力する信号に応じた制御信号を表示部50に出力し、当該表示部50に検査結果を表示させる。このようにして、被検査物60の一方の面60S1及び他方の面60S2における欠陥の有無が検査される。
【0042】
以上説明したように、本実施形態の検査装置1は、欠陥候補抽出部32と、判断領域抽出部33と、判断部34と、を備える。欠陥候補抽出部32は、被検査物60が撮像された画像において所定の特徴量に基づいて1つ以上の欠陥候補70を抽出する。判断領域抽出部33は、欠陥候補70に対して被検査物60が撮像された画像のうち当該欠陥候補70の少なくとも一部が含まれる判断領域71を抽出する。判断部34は、抽出された判断領域71について機械学習によって構築される学習モデルを用いて欠陥の有無を判断する。
【0043】
また、本実施形態の検査方法は、欠陥候補抽出工程P3と、判断領域抽出工程P4と、判断工程P5と、を備える。欠陥候補抽出工程P3では、被検査物60が撮像された画像において所定の特徴量に基づいて1つ以上の欠陥候補70を抽出する。判断領域抽出工程P4では、抽出された欠陥候補70に対して前記画像のうち当該欠陥候補の少なくとも一部が含まれる判断領域を抽出する。判断工程P5では、抽出された判断領域71について機械学習によって構築される学習モデルを用いて欠陥の有無を判断する。
【0044】
本実施形態の検査装置1、及び検査方法では、上記のように、学習モデルを用いて被検査物60が撮像された画像のうち欠陥候補70の少なくとも一部が含まれる判断領域71について欠陥の有無を判断する。従って、本実施形態の検査装置1、及び検査方法は、学習モデルを用いないで欠陥の有無を判断する場合と比べて、欠陥の検出確度が低下することを抑制し得る。また、本実施形態の検査装置1、及び検査方法は、学習モデルを用いて被検査物60が撮像された画像の全体について欠陥の有無を判断する場合と比べて、欠陥の有無の検査にかかる時間を短縮し得る。
【0045】
ここで、被検査物60が撮像された画像に基づいて欠陥の有無を検査するための学習モデルは、一般的に、被検査物60の欠陥を含む複数の欠陥画像を含む学習用画像を機械学習することによって構築される。本実施形態の検査装置1、及び検査方法では、上記のように、欠陥の有無の判断がされる判断領域71は、当該判断領域71の中心が欠陥候補70の図心70Fまたはその近傍に位置するように抽出される。このため、本実施形態の検査装置、及び検査方法は、欠陥の図心が画像の外縁側に位置する欠陥画像を含まない学習用画像を機械学習することによって学習モデルを構築したとしても、欠陥の検出確度が低下することを抑制し得る。このため、本実施形態の検査装置1、及び検査方法は、学習モデルを構築するのにかかる時間を短縮し得る。
【0046】
また、本実施形態の検査装置1、及び検査方法では、被検査物60が撮像された画像のうち輝度値が所定の輝度値より小でありかつ所定の面積より大である領域を欠陥候補70として抽出する。このため、本実施形態の検査装置1、及び検査方法は、欠陥とは異なる小さな埃等に起因する暗部を欠陥候補として抽出しないようにし得る。従って、本実施形態の検査装置1、及び検査方法は、判断領域71の数が多くなることを抑制し得、欠陥の有無の検査にかかる時間を短縮し得る。
【0047】
なお、上記のように、被検査物60の一方の面60S1や他方の面60S2に異物等の欠陥がある場合、照明部10によって被検査物60に照射される光のうち欠陥に入射する光の多くは欠陥で吸収されたり欠陥で反射したりし、欠陥に入射しない光の多くは被検査物60を一方の面60S1側から他方の面60S2側に向かって透過する。このため、照明部10から出射して欠陥で反射する光が撮像部20に入射し、照明部10から出射して被検査物60を透過する光が撮像部20に入射しにくくなるように、照明部10と撮像部20と被検査物60との位置関係が調整される場合、撮像部20によって撮像された被検査物60の画像において、欠陥は輝度値が所定の値より高い明部として映し出され得、欠陥ではない部分は輝度値が所定の値より高い暗部として映し出され得る。この場合、欠陥候補抽出工程P3では、検査部30の欠陥候補抽出部32によって、被検査物60が撮像された画像のうち輝度値が所定の輝度値より大でありかつ所定の面積より大である領域を欠陥候補70として抽出する。このような構成の検査装置1、及び検査方法であっても、上記のように、欠陥とは異なる小さな埃等に起因する明部を欠陥候補として抽出しないようにして判断領域71の数が多くなることを抑制し得、欠陥の有無の検査にかかる時間を短縮し得る。
【0048】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図4を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
【0049】
図4は、本実施形態における検査装置を概略的に示す図である。図4に示すように、本実施形態の検査装置1は、検査部30が距離算出部35を備える点で、第1実施形態における検査装置1と主に異なる。
【0050】
本実施形態の検査領域抽出部31は第1実施形態の検査領域抽出部31と同じであり、本実施形態の欠陥候補抽出部32は第1実施形態の欠陥候補抽出部32と同じである。このため、本実施形態の検査領域抽出部31及び欠陥候補抽出部32の説明は省略する。
【0051】
距離算出部35は、欠陥候補抽出部32によって抽出された欠陥候補70に対して、当該欠陥候補70の図心70Fと他の欠陥候補70の図心70Fとの距離のうち最小の距離を算出する。
【0052】
本実施形態の判断領域抽出部33は、図5に示すように、距離算出部35によって算出された最小の距離が所定の距離以上となる欠陥候補70に対して、被検査物60が撮像された画像のうち当該欠陥候補70の少なくとも一部が含まれる所定の大きさの第1判断領域71Aを抽出する。また、本実施形態の判断領域抽出部33は、距離算出部35によって算出された最小の距離が所定の距離未満となる欠陥候補70に対して、被検査物60が撮像された画像のうち当該欠陥候補70の少なくとも一部が含まれ第1判断領域71Aより小さい第2判断領域71Bを抽出する。なお、図5は、撮像部20によって被検査物60が撮像された画像の別の一例の一部を模式的に示す図であり、検査領域抽出部31によって抽出された検査領域の一部を模式的に示す図である。図5では、欠陥候補70にハッチングが施され、第1判断領域71A及び第2判断領域71Bの外縁は破線で示されている。本実施形態では、第1判断領域71A及び第2判断領域71Bの外形は正方形とされる。また、上記の所定の距離は第1判断領域71Aの対辺間の距離の半値とされ、第2判断領域71Bの対辺間の距離は第1判断領域71Aの対辺間の距離の半値とされる。また、第1判断領域71Aの中心が、最小の距離が所定の距離以上となる欠陥候補70の図心70Fまたはその近傍に位置し、第2判断領域71Bの中心が、最小の距離が所定の距離未満となる欠陥候補70の図心70Fまたはその近傍に位置する。つまり、判断領域抽出部33は、このような第1判断領域71A及び第2判断領域71Bを抽出する。なお、上記の所定の距離は特に限定されるものではない。また、最小の距離が所定の距離以上となる欠陥候補70の図心70Fの近傍とは、例えば、この図心70Fとの距離が第1判断領域71Aの最大幅の10%以下となる領域とされる。また、小の距離が所定の距離未満となる欠陥候補70の図心70Fまたはその近傍とは、例えば、この図心70Fとの距離が第2判断領域71Bの最大幅の10%以下となる領域とされる。また、第1判断領域71A及び第2判断領域71Bの外形は特に限定されるものではなく、例えば、長方形や円形であってもよい。また、第1判断領域71Aの外形と第2判断領域71Bの外形とは互いに異なっていてもよく、この場合、例えば、第1判断領域71Aの面積は第2判断領域71Bの面積より大とされる。また、第1判断領域71Aの中心は、算出された最小の距離が所定の距離以上となる欠陥候補70の図心70Fまたはその近傍に位置していなくてもよい。また、第2判断領域71Bの中心は、算出された最小の距離が所定の距離未満となる欠陥候補70の図心70Fまたはその近傍に位置していなくてもよい。
【0053】
本実施形態の判断部34は、被検査物60の欠陥の少なくとも一部を含み特定の大きさの複数の第1欠陥画像を含む学習用画像を機械学習することによって構築される第1学習モデルを用いて、第1判断領域71Aについて欠陥の有無を判断する。また、本実施形態の判断部34は、被検査物60の欠陥の少なくとも一部を含み上記の第1欠陥画像より小さい複数の第2欠陥画像を含む学習用画像を機械学習することによって構築される第2学習モデルを用いて、第2判断領域71Bについて欠陥の有無を判断する。本実施形態では、第1欠陥画像を含む学習用画像のそれぞれは第1判断領域71Aと概ね同じ大きさとされ、第2欠陥画像を含む学習用画像のそれぞれは第2判断領域71Bと概ね同じ大きさとされる。そして、判断部34は、第1判断領域71A及び第2判断領域71Bのいずれかに欠陥があると判断する場合、欠陥があることを示す信号を制御部COに出力する。一方、判断部34は、第1判断領域71A及び第2判断領域71Bの全てに欠陥がないと判断する場合または欠陥候補抽出部32によって欠陥候補70が抽出されない場合、欠陥がないことを示す信号を制御部COに出力する。そして、制御部COは、検査部30から入力する信号に応じた制御信号を表示部50に出力し、当該表示部50に検査結果を表示させる。なお、第1学習モデルを構築するための学習用画像は、上記の複数の第1欠陥画像を含んでいればよく、例えば、これら第1欠陥画像とともに、被検査物60の欠陥を含まない複数の良品画像を含んでいてもよい。また、第2学習モデルを構築するための学習用画像は、上記の複数の第2欠陥画像を含んでいればよく、例えば、これら第2欠陥画像とともに、被検査物60の欠陥を含まない複数の良品画像を含んでいてもよい。
【0054】
次に、本実施形態における被検査物60の欠陥の有無を検査する検査方法について説明する。
【0055】
図6は、本実施形態における検査方法を示すフローチャートである。図6に示すように、本実施形態の検査方法は、距離算出工程P6を備える点において、第1実施形態の検査方法と主に異なる。
【0056】
本実施形態の撮像工程P1は第1実施形態の撮像工程P1と同じであり、本実施形態の検査領域抽出工程P2は第1実施形態の検査領域抽出工程P2と同じあり、本実施形態の欠陥候補抽出工程P3は第1実施形態の欠陥候補抽出工程P3と同じである。このため、本実施形態の撮像工程P1、検査領域抽出工程P2、及び欠陥候補抽出工程P3の説明は省略する。
【0057】
<距離算出工程P6>
本工程は、欠陥候補抽出工程P3によって抽出された欠陥候補70に対して、当該欠陥候補70の図心70Fと他の欠陥候補70の図心70Fとの距離のうち最小の距離を算出する工程である。本実施形態では、検査部30の距離算出部35によって、この最小の距離を算出する。
【0058】
<判断領域抽出工程P4>
本実施形態の判断領域抽出工程P4では、検査部30の判断領域抽出部33によって、距離算出工程P6で算出された最小の距離が所定の距離以上となる欠陥候補70に対して、被検査物60が撮像された画像のうち当該欠陥候補70の少なくとも一部が含まれる所定の大きさの第1判断領域71Aを抽出する。また、本実施形態の判断領域抽出工程P4では、検査部30の判断領域抽出部33によって、距離算出工程P6で算出された最小の距離が所定の距離未満となる欠陥候補70に対して、被検査物60が撮像された画像のうち当該欠陥候補70の少なくとも一部が含まれ第1判断領域71Aより小さい第2判断領域71Bを抽出する。本実施形態では、第1判断領域71A及び第2判断領域71Bの外形は正方形とされる。また、上記の所定の距離は第1判断領域71Aの対辺間の距離の半値とされ、第2判断領域71Bの対辺間の距離は第1判断領域71Aの対辺間の距離の半値とされる。また、第1判断領域71Aの中心が、最小の距離が所定の距離以上となる欠陥候補70の図心70Fまたはその近傍に位置し、第2判断領域71Bの中心が、最小の距離が所定の距離未満となる欠陥候補70の図心70Fまたはその近傍に位置する。つまり、このような第1判断領域71A及び第2判断領域71Bを抽出する。
【0059】
<判断工程P5>
本実施形態の判断工程P5では、検査部30の判断部34によって、被検査物60の欠陥の少なくとも一部を含み特定の大きさの複数の第1欠陥画像を含む学習用画像を機械学習することによって構築される第1学習モデルを用いて、第1判断領域71Aについて欠陥の有無を判断する。また、本実施形態の判断工程P5では、検査部30の判断部34によって、被検査物60の欠陥の少なくとも一部を含み上記の第1欠陥画像より小さい複数の第2欠陥画像を含む学習用画像を機械学習することによって構築される第2学習モデルを用いて、第2判断領域71Bについて欠陥の有無を判断する。本実施形態では、第1欠陥画像を含む学習用画像のそれぞれは第1判断領域71Aと概ね同じ大きさとされ、第2欠陥画像を含む学習用画像のそれぞれは第2判断領域71Bと概ね同じ大きさとされる。そして、判断部34は、第1判断領域71A及び第2判断領域71Bのいずれかに欠陥があると判断する場合、欠陥があることを示す信号を制御部COに出力する。一方、判断部34は、第1判断領域71A及び第2判断領域71Bの全てに欠陥がないと判断する場合または欠陥候補抽出部32によって欠陥候補70が抽出されない場合、欠陥がないことを示す信号を制御部COに出力する。制御部COは、検査部30の判断部34から入力する信号に応じた制御信号を表示部50に出力し、当該表示部50に検査結果を表示させる。このようにして、被検査物60の一方の面60S1及び他方の面60S2における欠陥の有無が検査される。
【0060】
上記のように、本実施形態の検査装置1、及び検査方法では、抽出された欠陥候補70に対して当該欠陥候補70の図心70Fと他の欠陥候補70の図心70Fとの距離のうち最小の距離を算出する。また、本実施形態の検査装置1、及び検査方法では、算出された最小の距離が所定の距離以上となる欠陥候補70に対して、被検査物60が撮像された画像のうち当該欠陥候補70の少なくとも一部が含まれる所定の大きさの第1判断領域71Aを抽出する。また、本実施形態の検査装置1、及び検査方法では、算出された最小の距離が所定の距離未満となる欠陥候補70に対して、被検査物60が撮像された画像のうち当該欠陥候補70の少なくとも一部が含まれ第1判断領域71Aより小さい第2判断領域71Bを抽出する。このため、本実施形態の検査装置1、及び検査方法では、欠陥候補70に対して第1判断領域71Aまたは第1判断領域71Aより小さい第2判断領域71Bが抽出され、これら判断領域71A,71Bに他の欠陥候補70が含まれないようにし得る。このため、本実施形態の検査装置1、及び検査方法は、欠陥候補70に対して所定の大きさの判断領域を抽出する場合と比べて、判断領域71A,71Bについて欠陥の有無を判断する際の当該判断領域71A,71Bに対応する欠陥候補70と異なる欠陥候補70の影響を小さくし得る。従って、本実施形態の検査装置1、及び検査方法は、欠陥の検出確度が低下することをより抑制し得る。
【0061】
なお、学習モデルの大きさは、機械学習する学習用画像の大きさに応じて大きくなる傾向にあり、学習モデルが大きくなると、当該学習モデルを用いた欠陥の有無の判断にかかる時間が長くなる傾向にある。上記のように、本実施形態の判断工程P5では、判断部34によって、複数の第1欠陥画像を含む学習用画像を機械学習することによって構築される第1学習モデルを用いて第1判断領域71Aについて欠陥の有無を判断し、第1欠陥画像より小さい複数の第2欠陥画像を含む学習用画像を機械学習することによって構築される第2学習モデルを用いて第2判断領域71Bについて欠陥の有無を判断する。このため、本実施形態の検査装置1、及び検査方法は、判断領域71A,71Bの大きさに応じた学習モデルを用いて欠陥の有無を判断し得るため、欠陥の有無の検査にかかる時間をより短縮し得る。
【0062】
また、本実施形態の判断領域抽出工程P4では、判断領域抽出部33によって、第1判断領域71Aの中心が、最小の距離が所定の距離以上となる欠陥候補70の図心70Fまたはその近傍に位置するように、第1判断領域71Aを抽出する。また、判断領域抽出部33によって、第2判断領域71Bの中心が、最小の距離が所定の距離未満となる欠陥候補70の図心70Fまたはその中心に位置するように、第2判断領域71Bを抽出する。このため、本実施形態の検査装置1、及び検査方法は、第1学習モデルを構築するための複数の第1欠陥画像に欠陥の図心が画像の外縁側に位置する欠陥画像が含まれない場合であっても、欠陥の検出確度が低下することを抑制し得る。また、本実施形態の検査装置1、及び検査方法は、第2学習モデルを構築するための複数の第2欠陥画像に欠陥の図心が画像の外縁側に位置する欠陥画像が含まれない場合であっても、欠陥の検出確度が低下することを抑制し得る。このため、本実施形態の検査装置1、及び検査方法は、第1学習モデル及び第2学習モデルを構築するのにかかる時間を短縮し得る。
【0063】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図7を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
【0064】
図7は、本実施形態における検査装置を概略的に示す図である。図7に示すように、本実施形態の検査装置1は、検査部30が幅算出部36を備える点で、第1実施形態における検査装置1と主に異なる。
【0065】
本実施形態の検査領域抽出部31は第1実施形態の検査領域抽出部31と同じであり、本実施形態の欠陥候補抽出部32は第1実施形態の欠陥候補抽出部32と同じである。このため、本実施形態の検査領域抽出部31及び欠陥候補抽出部32の説明は省略する。
【0066】
幅算出部36は、欠陥候補抽出部32によって抽出された欠陥候補70の最大の幅を算出する。
【0067】
本実施形態の判断領域抽出部33は、図8に示すように、幅算出部36によって算出された最大の幅が所定の幅以上となる欠陥候補70に対して、被検査物60が撮像された画像のうち当該欠陥候補70の少なくとも一部が含まれる所定の大きさの第3判断領域71Cを抽出する。また、本実施形態の判断領域抽出部33は、幅算出部36によって算出された最小の幅が所定の距離未満となる欠陥候補70に対して、被検査物60が撮像された画像のうち当該欠陥候補70の少なくとも一部が含まれ第3判断領域71Cより小さい第4判断領域71Dを抽出する。なお、図8は、撮像部20によって被検査物60が撮像された画像の更に別の一例の一部を模式的に示す図であり、検査領域抽出部31によって抽出された検査領域の一部を模式的に示す図である。図8では、欠陥候補70にハッチングが施され、第3判断領域71C及び第4判断領域71Dの外縁は破線で示されている。本実施形態では、第3判断領域71C及び第4判断領域71Dの外形は正方形とされる。また、上記の所定の幅は第3判断領域71Cの対辺間の距離の半値とされ、第4判断領域71Dの対辺間の距離は第3判断領域71Cの対辺間の距離の半値とされる。また、第3判断領域71Cの中心が、最大の幅が所定の幅以上となる欠陥候補70の図心70Fまたはその近傍に位置する。また、第4判断領域71Dの中心が、最大の幅が所定の幅未満となる欠陥候補70の図心70Fまたはその近傍に位置する。つまり、判断領域抽出部33は、このような第3判断領域71C及び第4判断領域71Dを抽出する。なお、上記の所定の幅は特に限定されるものではない。また、最大の幅が所定の幅以上となる欠陥候補70の図心70Fの近傍とは、例えば、この図心70Fとの距離が第3判断領域71Cの最大幅の10%以下となる領域とされる。また、最大の幅が所定の幅未満となる欠陥候補70の図心70Fの近傍とは、例えば、この図心70Fとの距離が第4判断領域71Dの最大幅の10%以下となる領域とされる。また、第3判断領域71C及び第4判断領域71Dの外形は特に限定されるものではなく、例えば、長方形や円形であってもよい。また、第3判断領域71Cの外形と第4判断領域71Dの外形とは互いに異なっていてもよく、この場合、例えば、第3判断領域71Cの面積は第4判断領域71Dの面積より大とされる。また、第3判断領域71Cの中心は、算出された最大の幅が所定の幅以上となる欠陥候補70の図心70Fまたはその近傍に位置していなくてもよく、第4判断領域71Dの中心は、算出された最大の幅が所定の幅未満となる欠陥候補70の図心70Fまたはその近傍に位置していなくてもよい。
【0068】
本実施形態の判断部34は、第2実施形態の判断部34と同様に、被検査物60の欠陥の少なくとも一部を含み特定の大きさの複数の第1欠陥画像を含む学習用画像を機械学習することによって構築される第3学習モデルを用いて、第3判断領域71Cについて欠陥の有無を判断する。また、本実施形態の判断部34は、被検査物60の欠陥の少なくとも一部を含み上記の第1欠陥画像より小さい複数の第2欠陥画像を含む学習用画像を機械学習することによって構築される第4学習モデルを用いて、第4判断領域71Dについて欠陥の有無を判断する。本実施形態では、第1欠陥画像を含む学習用画像のそれぞれは第3判断領域71Cと概ね同じ大きさとされ、第2欠陥画像を含む学習用画像のそれぞれは第4判断領域71Dと概ね同じ大きさとされる。そして、判断部34は、第3判断領域71C及び第4判断領域71Dのいずれかに欠陥があると判断する場合、欠陥があることを示す信号を制御部COに出力する。一方、検査部30は、第3判断領域71C及び第4判断領域71Dの全てに欠陥がないと判断する場合または欠陥候補抽出部32によって欠陥候補70が抽出されない場合、欠陥がないことを示す信号を制御部COに出力する。そして、制御部COは、検査部30から入力する信号に応じた制御信号を表示部50に出力し、当該表示部50に検査結果を表示させる。なお、第3学習モデルを構築するための学習用画像は、上記の複数の第1欠陥画像を含んでいればよく、例えば、これら第1欠陥画像とともに、被検査物60の欠陥を含まない複数の良品画像を含んでいてもよい。また、第4学習モデルを構築するための学習用画像は、上記の複数の第2欠陥画像を含んでいればよく、例えば、これら第2欠陥画像とともに、被検査物60の欠陥を含まない複数の良品画像を含んでいてもよい。
【0069】
次に、本実施形態における被検査物60の欠陥の有無を検査する検査方法について説明する。
【0070】
図9は、本実施形態における検査方法を示すフローチャートである。図9に示すように、本実施形態の検査方法は、幅算出工程P7を備える点において、第1実施形態の検査方法と主に異なる。
【0071】
本実施形態の撮像工程P1は第1実施形態の撮像工程P1と同じであり、本実施形態の検査領域抽出工程P2は第1実施形態の検査領域抽出工程P2と同じあり、本実施形態の欠陥候補抽出工程P3は第1実施形態の欠陥候補抽出工程P3と同じである。また、本実施形態の判断工程P5は第1実施形態の判断工程P5と同じである。このため、本実施形態の撮像工程P1、検査領域抽出工程P2、欠陥候補抽出工程P3、及び判断工程P5の説明は省略する。
【0072】
<幅算出工程P7>
本工程は、欠陥候補抽出工程P3によって抽出された欠陥候補70の最大の幅を算出する工程である。本実施形態では、検査部30の幅算出部36によって、この最大の幅を算出する。
【0073】
<判断領域抽出工程P4>
本実施形態の判断領域抽出工程P4では、検査部30の判断領域抽出部33によって、幅算出工程P7で算出された最大の幅が所定の幅以上となる欠陥候補70に対して、被検査物60が撮像された画像のうち当該欠陥候補70の少なくとも一部が含まれる所定の大きさの第3判断領域71Cを抽出する。また、本実施形態の判断領域抽出工程P4では、検査部30の判断領域抽出部33によって、幅算出工程P7で算出された最小の幅が所定の距離未満となる欠陥候補70に対して、被検査物60が撮像された画像のうち当該欠陥候補70の少なくとも一部が含まれ第3判断領域71Cより小さい第4判断領域71Dを抽出する。本実施形態では、第3判断領域71C及び第4判断領域71Dの外形は正方形とされる。また、上記の所定の幅は第3判断領域71Cの対辺間の距離の半値とされ、第4判断領域71Dの対辺間の距離は第3判断領域71Cの対辺間の距離の半値とされる。また、第3判断領域71Cの中心が、最大の幅が所定の幅以上となる欠陥候補70の図心70Fまたはその近傍に位置する。また、第4判断領域71Dの中心が、最大の幅が所定の幅未満となる欠陥候補70の図心70Fまたはその近傍に位置する。つまり、このような第3判断領域71C及び第4判断領域71Dを抽出する。
【0074】
上記のように、本実施形態の検査装置1、及び検査方法では、抽出された欠陥候補70の最大の幅を算出する。また、本実施形態の検査装置1、及び検査方法では、算出された最大の幅が所定の幅以上となる欠陥候補70に対して、被検査物60が撮像された画像のうち当該欠陥候補70の少なくとも一部が含まれる所定の大きさの第3判断領域71Cを抽出する。また、本実施形態の検査装置1、及び検査方法では、算出された最大の幅が所定の幅未満となる欠陥候補70に対して、被検査物60が撮像された画像のうち当該欠陥候補70の少なくとも一部が含まれ第3判断領域71Cより小さい第4判断領域71Dを抽出する。このため、本実施形態の検査装置1、及び検査方法は、所定の大きさ以上の欠陥候補70に対して第3判断領域71Cを抽出し、所定の大きさ未満の欠陥候補70に対して第3判断領域71Cより小さい第4判断領域71Dを抽出するようにし得る。つまり、本実施形態の検査装置1、及び検査方法は、大きな欠陥かもしれない欠陥候補70に対して大きな第3判断領域71Cを抽出し、小さな欠陥かもしれない欠陥候補70に対して小さな第4判断領域71Dを抽出するようにし得る。ところで、欠陥の大きさに応じて欠陥の特徴が異なる場合がある。本実施形態の検査装置1、及び検査方法では、第2実施形態の検査装置1、及び検査方法と同様に、複数の第1欠陥画像を含む学習用画像を機械学習することによって構築される第3学習モデルを用いて第3判断領域71Cについて欠陥の有無を判断し、第1欠陥画像より小さい複数の第2欠陥画像を含む学習用画像を機械学習することによって構築される第4学習モデルを用いて第4判断領域71Dについて欠陥の有無を判断する。このため、本実施形態の検査装置1、及び検査方法は、大きな欠陥かもしれない欠陥候補70が含まれる判断領域に対する欠陥の有無を判断する学習モデルと、小さな欠陥かもしれない欠陥候補70が含まれる判断領域に対する欠陥の有無を判断する学習モデルとが互いに異なる。従って、本実施形態の検査装置1、及び検査方法は、検査部30が1つの学習モデルを用いて欠陥の有無を判断する場合と比べて、欠陥の検出確度が低下することをより抑制し得る。
【0075】
また、本実施形態の判断領域抽出工程P4では、判断領域抽出部33によって、第3判断領域71Cの中心が、最大の幅が所定の幅以上となる欠陥候補70の図心70Fまたはその近傍に位置するように第3判断領域71Cを抽出する。また、判断領域抽出部33によって、第2判断領域71Bの中心が、最大の幅が所定の幅未満となる欠陥候補70の図心70Fまたはその近傍に位置するように、第4判断領域71Dを抽出する。このため、本実施形態の検査装置1、及び検査方法は、第1学習モデルを構築するための複数の第1欠陥画像に欠陥の図心が画像の外縁側に位置する欠陥画像が含まれない場合であっても、欠陥の検出確度が低下することを抑制し得る。また、本実施形態の検査装置1、及び検査方法は、第2学習モデルを構築するための複数の第2欠陥画像に欠陥の図心が画像の外縁側に位置する欠陥画像が含まれない場合であっても、欠陥の検出確度が低下することを抑制し得る。このため、本実施形態の検査装置1、及び検査方法は、第1学習モデル及び第2学習モデルを構築するのにかかる時間を短縮し得る。
【0076】
以上、本発明について、上記実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0077】
例えば、上記実施形態では、外周縁の全周に亘ってリブ61が設けられたアウターカバーである被検査物60を例に説明した。しかし、被検査物60は、特に限定されるものではなく、透光性を有さなくてもよい。被検査物60が透光性を有さない場合、撮像部20は、被検査物60を基準として照明部10側に配置され、被検査物60における照明部10からの光が照射される面を撮像する。このような場合、被検査物60の表面における傷や凹みや突起等の欠陥での照明部10からの光の反射方向は、欠陥がない場合の当該部位での照明部10からの光の反射方向と異なる。このため、欠陥で反射した照明部10からの光が撮像部20に入射しないようにすることで、撮像部20によって撮像された被検査物60の画像において、欠陥は輝度値が所定の値より低い暗部として映し出され得る。従って、上記実施形態における検査装置1は、被検査物60が透光性を有さなくても当該被検査物60の表面における欠陥の有無を検査し得る。
【0078】
また、上記実施形態では、撮像部20から入力される被検査物60が撮像された画像において、輝度値に基づいて1つ以上の欠陥候補を抽出する欠陥候補抽出部32を例に説明した。しかし、欠陥候補抽出部32は、撮像部20から入力される被検査物60が撮像された画像において、所定の特徴量に基づいて1つ以上の欠陥候補を抽出すればよく、所定の特徴量は輝度値に限定されるものではない。例えば、所定の特徴量は色とされてもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、検査領域抽出部31を備える検査部30を例に説明した。しかし、検査部30は、検査領域抽出部31を備えなくてもよい。検査部30が検査領域抽出部31を備えない場合、例えば、撮像部20によって撮像される画像が検査領域のみが映し出だされる画像となるように、被検査物60に対する撮像部20の位置や向きや検査領域の位置等を調節する。また、検査部30が検査領域抽出部31を備えない場合、例えば、撮像部20によって撮像される被検査物60の画像の全体を検査領域としてもよい。この場合、照明部10から出射してリブ61で反射した光が検査領域に映し出されることがあるため、この光に起因して判断部34による欠陥の有無の判断がしにくくなることがある。しかし、例えば、被検査物60の欠陥の少なくとも一部を含む複数の欠陥画像及び被検査物60の欠陥を含まない複数の良品画像を含む学習用画像を機械学習することによって学習モデルを構築することで、判断部34による欠陥の有無の判断がしにくくなることを抑制し得る。
【0080】
また、上記実施形態では、白色の光を被検査物60に照射する照明部10を例に説明した。しかし、照明部10が被検査物60に照射する光の色は特に限定されるものではない。なお、被検査物60における一部が無色透明であり、被検査物60における他の一部が有色透明である場合、照明部10が被検査物60に照射する光の色は、被検査物60における有色透明な部位の色と概ね同じ色とされることが好ましい。このような構成にすることで、色の違いに起因して撮像部20によって撮像される画像の輝度にムラが生じることが抑制され、被検査物60の欠陥の検出確度が低下することを抑制し得る。
【0081】
また、検査装置は、判断部34が用いる学習モデルを構築する学習モデル構築部を備えていてもよい。このような構成にすることで、学習モデルを変更することができる。
【0082】
また、検査装置は、照明部10、撮像部20、及び制御部COを備えていなくてもよい。この場合、例えば、検査装置とは異なる撮像装置によって撮像された被検査物60の画像が検査部30に入力されるように検査装置を構成する。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明によれば、欠陥の検出確度が低下することを抑制しつつ、欠陥の有無の検査にかかる時間を短縮し得る検査装置、及び検査方法が提供され、灯具の表面の検査装置などの分野において利用可能である。
【符号の説明】
【0084】
1・・・検査装置
10・・・照明部
20・・・撮像部
30・・・検査部
31・・・検査領域抽出部
32・・・欠陥候補抽出部
33・・・判断領域抽出部
34・・・判断部
35・・・距離算出部
36・・・幅算出部
40・・・記憶部
50・・・表示部
60・・・被検査物
70・・・欠陥候補
70F・・・図心
71・・・判断領域
71A・・・第1判断領域
71B・・・第2判断領域
71C・・・第3判断領域
71D・・・第4判断領域
CO・・・制御部
P1・・・撮像工程
P2・・・検査領域抽出工程
P3・・・欠陥候補抽出工程
P4・・・判断領域抽出工程
P5・・・判断工程
P6・・・距離算出工程
P7・・・幅算出工程

図1
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図9