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▶ クリンゲルンベルク・アクチェンゲゼルシャフトの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】歯車ワークピースの機械加工方法
(51)【国際特許分類】
   B23F 1/04 20060101AFI20240830BHJP
   B23Q 17/09 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
B23F1/04
B23Q17/09 H
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020016751
(22)【出願日】2020-02-04
(65)【公開番号】P2020124799
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】10 2019 102 870.1
(32)【優先日】2019-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】596043494
【氏名又は名称】クリンゲルンベルク・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Klingelnberg AG
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】カール-マルティン・リベック
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-121688(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第10214829(DE,A1)
【文献】特開2014-237185(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0038058(US,A1)
【文献】特表2016-504205(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0117691(US,A1)
【文献】米国特許第05716174(US,A)
【文献】独国特許出願公開第102005058536(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第19933137(DE,A1)
【文献】西独国特許出願公開第10017330(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23F 1/00-23/12
B23Q 17/00-23/00
B23C 1/00-9/00
G05B 19/18-19/416
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの幾何学的に規定された切刃(21.a、21.i、21.k)を備え、チップ生成機械加工の範囲内で歯車ワークピース(11)にチップ形状の材料を生成する、切削ツール(20)を使用した機械での歯車ワークピース(11)のチップ生成機械加工のための方法であって、
前記チップ生成機械加工は、
(1)前記切削ツール(20)の前記複数の切刃(21.a、21.i、21.k)でのチップの生成のコンピュータ支援解析(V3)を実行するステップと、
(2)前記切削ツール(20)の前記複数の切刃(21.a、21.i、21.k)でチップを生成する際に発生する相対的な力のコンピュータ支援による確認を実行するステップと、
(3)チップ生成機械加工を最適化して、前記相対的な力が所定の制限値を超えたり、制限範囲に到達したりするのを防ぐステップであって、適合した方法パラメータは、最適化の範囲内の少なくとも1つの方法パラメータの適合によって提供される、ステップと、
(4)前記適合した方法パラメータを使用して、歯車ワークピース(11)のチップ生成機械加工(V6)を実行するステップと、を有する方法パラメータによって規定される方法。
【請求項2】
前記ステップ(1)~(3)の範囲内で、前記切削ツール(20)の前記複数の切刃(21.a、21.i、21.k)に予想される負荷は、切削機械加工の一部または全ての(時間)セクションで確認されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
セグメント化は、ステップ(1)の前またはステップ(1)の一部として実行される方法ステップで実行されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記切刃(21.a、21.i、21.k)の時間点、時間セクション、または長さセクションへの分割は、前記セグメント化によって実行され、前記相対的な力は、前記ステップ(2)の範囲内で、これらのセグメントのそれぞれについて確認されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ステップ(2)の範囲内で、チップ形成の手順の確認(V3.1)および/またはチップ形状の確認(V3.2)を含むコンピュータ支援チップ解析(V3)が実行されることを特徴とする、請求項1ないし4のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ステップ(2)の範囲内で、
-せん断面および/またはせん断ゾーンの形成を示す機構モデルと、
-チップ厚さと、チップ生成機械加工に必要な対応する力との間の線形関係の仮定と、
-ポテンシャルモデルと、
-指数モデルと、
を含むアプローチの1つまたは複数に基づくコンピュータ支援チップ解析(V3)が実行されることを特徴とする、請求項1ないし5のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの制限値および/または1つの制限範囲は、予め定められているか、またはユーザが少なくとも1つの制限値および/または1つの制限範囲を入力するように促される(V4.3)ことを特徴とする、請求項1ないし5のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
チップ生成機械加工の最適化の範囲内で、
(3a)相対的な力の1つが所定の制限値を超えるか、または制限範囲に達するか否かを確認するステップ(V5)、
・相対的な力の1つが所定の制限値を超えるか、制限範囲に達した場合、前記方法パラメータの少なくとも1つを適合させることにより、歯車ワークピース(11)の計画されたチップ生成機械加工に少なくとも1つの変更を実行し、相対的な力の1つを所定の制限値以下または制限範囲外にするステップと、
・相対的な力の1つが所定の制限値を超えるか、制限範囲に達する限り、ステップ(3a)を繰り返すステップと、
・相対的な力のいずれもが所定の制限値を超えない場合、または制限範囲に達する場合、ステップ(4)を実行するステップと、
が実行されることを特徴とする、請求項1ないし7のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
チップ生成機械加工の最適化の範囲内で、
(3b)相対的な力の1つが所定の制限値または制限範囲を下回っているか否かを確認するステップ、
・相対的な力の1つが所定の制限値を下回るか、制限範囲外の場合、前記方法パラメータの少なくとも1つを適合させることにより、歯車ワークピース(11)の計画されたチップ生成機械加工に対して少なくとも1つの修正を実行し、相対的な力の1つを所定の制限値に近づけるか、または制限値範囲に入れるステップと、
・相対的な力の1つが所定の制限値に達するか、制限範囲内になるまで、ステップ(3b)を繰り返すステップと、
・相対的な力の1つが所定の制限値に達するか、制限範囲内にある場合、ステップ(4)を実行するステップと、
が実行されることを特徴とする、請求項1ないし7のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記チップ生成機械加工のための方法は、単一インデックス方法または連続インデックス方法であることを特徴とする、請求項1ないし9のうちいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、歯車ワークピースの(歯車切削)機械加工のための方法である。
【背景技術】
【0002】
かさ歯車の歯車切削には非常に多様な方法がある。かさ歯車を製造するための切削方法は、次のように特徴付けることができる。
-インデックス方法
・単一インデックス方法(間欠的なインデックス方法、間欠的なインデックスプロセス、単一インデックスプロセス、または正面フライス加工とも呼ばれる)として、
・連続インデックス方法として。
-ローリング
・ローリング方法として、
・ローリングなしのプランジ方法として。
【0003】
さらに、完了方法と半完了方法との間で区別が行われ、これは、最終形状を生成するために必要なステップの数に関係する。完了の場合、1つのマシン設定を使用してツールが切削し、半完了の場合、2つの別個のマシン設定を使用してツールが切削する。半完了の場合、1つの機械設定は凹面の切削に使用され、他の機械設定は凸面の切削に使用される。さらに、片側で切削する方法があり、1つの機械設定を有する1つのツールが凹面を切削し、他の機械設定を持つ別のツールが凸面を切削する。
【0004】
言及された方法のこれらの属性は、互いに組み合わせることができ、また主に産業で適用される。
【0005】
単一インデックス完了方法および連続完了方法が頻繁に使用される。単一インデックス方法の基本を、例として図1Aに示す。具体的には、これは、単一インデックス完了方法である。単一インデックス完了方法を図1Aに概略的に示す。この場合、かさ歯車ワークピース11とカッタヘッド20の一般的なローリング運動は、カッタヘッド20の回転ω1よりもはるかにゆっくりと行われるため、ここでは簡略化のために示されていない。この図は、ローリングプロセスの準スナップショットである。カッタヘッド20の外側切刃21.aおよび内側切刃21.iは、円弧の形で連続的な動きを完了する。カッタヘッド20の回転運動(ここでは反時計回り)は、ω1で識別される矢印で示されている。ツールスピンドルの回転点または図面の平面との交点は、それぞれ参照符号102で識別される。さらなる歯の隙間を製造するために、カッタヘッド20が後退し、かさ歯車ワークピース11がインデックス角度だけ回転する(インデックス回転と呼ばれる)。段階的なさらなる回転(ここでは時計回り)は、図1Aで矢印a、b、およびcで示されている。したがって、1つの歯の隙間が常に一度に製造される。
【0006】
拡大エピサイクロイド(拡張エピサイクロイドとも呼ばれる)歯付きかさ歯車は、連続インデックス法(連続ギアホブ加工、連続インデックスプロセス、またはフェースホブ加工とも呼ばれる)によって製造される。対応する例を図1Bに概略的に示す。ここでは、ツールとしてバーカッタヘッド30が使用されている。
【0007】
連続インデックス法(図1B参照)でのエピサイクロイドの製造では、バーカッタヘッド30の歯数とスレッド数の比(カッタグループの数)は、ベース円Gの半径とピッチ円Rの半径の比に対応する。1つは、バーカッタの切刃が着座するカッタヘッドの公称半径がピッチ円Rの半径よりも大きい場合、拡張エピサイクロイドを指す。この連続インデックス方法では、カッタヘッド30およびワークピース11の両方が、互いに時系列的に適合された運動シーケンスで回転する。このように、インデックスは、連続的に行われ、すべての歯の隙間がほぼ同時に生成される。カッタヘッド30の回転運動は、ここではω2で表され、ワークピース11の回転運動はω3で表されている。これらの運動は、必要なインデックス運動とローリング運動で構成されている。図1Bは、ローリングプロセスの準スナップショットを示している。図1Bでは、バーカッタヘッド30のバーカッタ33.a、33.iは、通常、ペアで(グループ毎に、2つのカッタを有する)配置されていることが分かる。バーカッタ33.a、33.iの配置は、図1Aのバーカッタヘッド20のように、公称円Nに沿って同心ではない。図1Bでは、カッタヘッド30のピッチ円Rがワークピース11のベース円Gに沿って回転することが分かる。ここで、Mは、カッタヘッド30の中心点を識別し、Z1は、飛行円半径を識別する。
【0008】
図1Aおよび図1Bに示される方法は、それらがローリングなしで実行される場合、クラウン歯車の生産のためのプランジング方法としても使用することができる。
【0009】
また、上述の方法を実行するプロセスの様々な可能性がある。例えば、単一ローリング、プランジローリング、ダブルローリングなどがある。ローリングとプランジの手順、開始値と終了値、および速度プロファイルの組み合わせにより、非常に多様なバリエーションを使用できる。
【0010】
図1Aおよび図1Bに基づいて、これらの方法の運動学は、非常に複雑になることがあることが容易に分かる。なぜなら、複数の運動シーケンスが互いに協調して起こるからである。
【0011】
これはまた、図1Aおよび図1Bから-スナップショットに応じて-複数のカッタが切削係合状態にあることが分かる。したがって、動的な負荷変更が発生する可能性がある。
【0012】
図1Cは、従来技術による例示的な単一インデックス半完成方法の第1の機械加工段階の概略断面図を示す。この第1の機械加工段階の間、かさ歯車ワークピース11の左側面53fは、仕上げ切削され、同時に右側面54vは、粗切削される。第1の機械加工段階では、バーカッタのアクティブ領域26は、第1の相対位置RP1に位置している。示されている瞬間に、外側切刃21.aの一部、内側切刃21.iの一部、およびヘッド切刃21.kがチップ除去に使用される。チップ除去に使用される切刃21.a、21.i、21.kのセクションは、点線で強調表示されている。
【0013】
図1Dは、従来技術による例示的な単一インデックス半完成方法の第2の機械加工段階の概略断面図を示す。この第2の機械加工段階の間、かさ歯車ワークピース11の右側面54fおよび底部ランド114の領域が仕上げ切削される。示されている瞬間に、外側切刃21.aの一部とヘッド切刃21.kがチップ除去に使用される。内側切刃21.iは使用されない。
【0014】
図1Cおよび図1Dに基づいて、機械加工段階に応じて、切刃の異なる領域がチップ除去に関与できることも分かる。したがって、機械加工面の変更により、動的な負荷の変化も発生する。
【0015】
図1A図1Dの概略図は、動的に変化する負荷の複雑さをある程度説明することができるだけである。実際には、関係は依然として非常に複雑である。動的に変化する負荷は、多くの要因に依存している。とりわけ、チップの厚さ、単位時間当たりの切削回数、切削速度、歯車切削機とツールの剛性、歯車切削ツールのカッタの切削部分の剛性、歯車切削ツールのカッタの切削部分の切刃の形状と向き、および歯車ワークピースの材料特性(材料の被削性など)は、影響を与える変数の一部に言及するために役割を果たす。
【0016】
また、サプライヤが記載された方法の生産性を向上させる努力をしているという事実がある。これらは、とりわけ、切削速度の増加に向けられている。したがって、歯車切削ツールの材料に対する要求とツールの寿命が長くなる。カッタヘッドシステムは柔軟性が高いため、頻繁に使用されている。
【0017】
カッタヘッドは、最も頻繁に使用されるツール形態である。カッタヘッドのタイプと方法に応じて、バーカッタ、プロファイルカッタ、またはカッティングプレートを備えたカッタをカッタとして使用できる。例えば、バーカッタは、いわゆるカッタグループに配置される。カッタグループは、例えば、3つのカッタ(内側カッタ、中間またはヘッドカッタ、および外側カッタ)、2つのカッタ(内側および外側カッタ)、または1つのカッタ(フルカッタまたは内側または外側カッタ)で構成できる。
【0018】
例示的なカッタヘッドシステムの詳細は、図2A図2B、および図2Cから推論することができる。これは、従来技術のカッタヘッド20であるため、ここでも同じ参照符号が使用されている。
【0019】
既に図1Aに示すように、対応するカッタヘッド20は、例えば、それぞれがカッタグループ毎に少なくとも一つの内側カッタ21.iおよび1つの外側カッタ21.aを有する複数のバーカッタグループを支えることができる。
【0020】
図2Aに見られるように、図2A図2B、および図2Cのカッタヘッドは、例えば、各々がバーカッタ23毎に1つの内側切刃21.iおよび1つの外側切刃21.aを有する複数のバーカッタ23を支えることができる。図1Cおよび図1Dとは対照的に、バーカッタ23のアクティブ領域26は、ここでは、非対称の形状を有する。
【0021】
外側切刃21.aは、歯車切削方法に応じて、例えば、歯間隙12(図1C参照)の右側面54vから材料を除去して、この右側面54vを荒削りする。同時に、内側切刃21.iは、歯車切削方法に応じて、例えば、歯間隙12の左側面53fから材料を除去して、この左側面53fを切削し終える(図1C参照)。
【0022】
次の方法ステップでは、外側切刃21.aは、歯間隙12の右側面54v(図1D参照)からさらなる材料を除去して、この右側面54vを切削し終えることができる。仕上げカットの側面は、参照符号53fおよび54fで識別される。
【0023】
歯間隙12の側面から材料を除去できるように、対応する機械設定は、既に述べたように、カッタヘッド20が使用される歯車切削機械によって事前に決定される。
【0024】
一例として示されるカッタヘッド20のさらなる詳細は、図2A図2Cに基づいて以下に説明される。これらは、ここでの単なる例示的な仕様である。
【0025】
バーカッタ23は、カッタヘッド20のベース本体22の収容開口部に固定される軸25を備えることができる。バーカッタ23のすくい面は、参照符号27によって識別される。加工中にチップが流出するアクティブ領域26の表面は、すくい面27と呼ばれる。参照符号28は、上部逃げ面を識別し、参照符号28.a、28.iは2つの側面逃げ面を識別する。さらに、ヘッド切刃21.kが設けられている。
【0026】
原則として、個々の表面およびアクティブ領域26の表面間の角度は、想定切削方向と歯車切削ツールの進行方向によって規定される。基本的な用語は、例えば、DIN規格DIN6581「Begriffe der Zerspantechnik - Bezugssystem und Winkel am Schneidteil des Werkzeugs [機械加工技術の用語-ツールの切削部分の基準システムと角度]」 Beuth - Verlag, ベルリン、1985年からとることができる。しかしながら、他の定義および参照システムを使用することもできる。
【0027】
正確には、アクティブ領域26の切刃の3次元形状は、主に、歯車ワークピースのフライス加工される歯間隙の3次元形状および運動学方法によって規定される。したがって、切刃の3次元形状の設計/修正には、対応する制限が課せられる。
【0028】
現代の歯車切削機械のNCコントローラは、例えば、バーカッタヘッドなどの歯車切削ツールをゆっくりと回転加速するように部分的に設計されるか、歯車切削ツールを歯車ワークピースの材料に押し込む間、所定の加速プロファイルに従う。このようにして、例えば、突然発生する負荷の変化を回避したり、ツールおよびワークピースへのその悪影響を低減することができる。そのため、ツールの耐用年数が長くなる場合がある。
【0029】
また、(ソフトウェア)モジュールは、ますます歯切削機械のNCコントローラと相互作用するように設計され、使用されている。この場合、このようなモジュールは、例えば軸駆動(例えば、ツール主軸の回転駆動)の消費電力を監視および調整できる。このアプローチでは、負荷に比例して消費電力が増加し、歯車切削ツールに作用すると想定されている。このようなモジュールは、例えば、歯車切削ツールの負荷ピークを防ぐために、駆動部の電源を一時的に絞ることができる。
【0030】
これらの対策にもかかわらず、歯車切削ツールの著しいツール摩耗や早期の故障が発生する可能性があり、また、例えば、歯車切削中に予期しない振動が発生する可能性がある。
【発明の概要】
【0031】
したがって、本発明の目的は、早期のツール摩耗または歯車切削ツールの故障さえ防止するため、および/または歯車の歯の表面品質に影響を及ぼす可能性のある振動を抑制するための方法および装置を提供することである。
【0032】
本発明の目的は、ツールの利用の最適化を可能にすることでもあり、「最適化」という用語は、数学的最適化の意味ではなく、技術的な最適化または修正の意味で理解される。
【0033】
本発明は、監視されるべき歯車切削ツールの切刃に対する相対的な力の効果を可能にするアプローチから始まる。
【0034】
このアプローチの方法では、個々の切刃に瞬間的および/または局所的に発生する過大な力を防止するために、実施形態の少なくとも部分的に可能となる。
【0035】
また、実施形態の少なくとも一部において、ツールまたはツールの切刃をそれぞれ、生産的に可能な限り使用して、限界値が切刃で超えられないようにすることが可能であるべきである。しかしながら、このアプローチでは、チップを生成する機械加工を可能な限り迅速に実行できるが、制限値を超えたり、同時に制限範囲を残したりすることはない。
【0036】
本発明は、少なくとも2つの幾何学的に規定された切刃を備える切削ツールを用いた歯車ワークピースの切削機械加工(歯車切削加工とも呼ばれる)に関する。
【0037】
本発明の方法は、少なくとも2つの幾何学的に規定された切刃を備えた切削ツールを使用する機械における歯車ワークピースのチップ生成(歯車切削)機械加工のための実施形態の全部または少なくとも一部で設計される。切刃は、チップ生成機械加工の範囲内で、歯車ワークピース上にチップ形態の材料を生成する。チップ生成機械加工は、方法パラメータによって規定され、本発明の方法は、
(1)切削ツールの切刃でのチップ生成のコンピュータ支援解析を実行するステップと、
(2)切削ツールの切刃にチップが生成される際に発生する相対的な力のコンピュータ支援による確認を実行するステップと、
(3)チップ生成機械加工を最適化して、相対的な力が所定の制限値を超えたり、制限範囲に到達したりするのを防ぐステップであって、最適化の範囲内の方法パラメータの少なくとも1つを適合させることにより、適合方法パラメータが提供される、ステップと、
(4)適合した方法パラメータを使用して、歯車ワークピース(11)のチップ生成機械加工(V6)を実行するステップと、を含む。
【0038】
少なくとも2つの幾何学的に規定された切刃は、共通のカッタまたは全ての実施形態における異なるカッタの上に配置することができる。
【0039】
本発明の方法は、実施形態の全てまたは少なくとも一部において、準備ステップ(1)~(3)および歯車ワークピースの実際のチップ生成機械加工に使用されるステップ(4)に分割される。
【0040】
実施形態の少なくとも一部において、ステップ(1)および(2)は、部分的に重複して、または同時にさえ実行され得る。
【0041】
アプローチおよび実施形態に応じて、歯車ワークピースのチップ生成機械加工を計画し、その後、監視された方法でチップ生成機械加工を実行できるようにするために、例えば、相対的な力の効果は、切刃の単位長さ当たりの力、切刃の単位長さ当たりのトルク、切刃の単位体積当たりの力、切刃の単位体積当たりのトルク、またはカッタの材料に応じた相対的な力の効果として規定できる。
【0042】
本発明の一部または全ての実施形態において、本発明によれば、歯車切削ツールの切刃上の相対的な力の効果について述べることができるように、方法の力は、準備ステップ(1)~(3)(例えば、体系的な研究とその解析に基づいて)で解析的に確認される。これは、切削機械加工中に、歯車切削ツールのカッタのアクティブ領域の様々な切刃に作用する。
【0043】
したがって、全ての実施形態は、相対的な変数(例えば、力またはトルク)に関するものであり、これは、何らかの形で歯車切削ツールの切刃に関係している。
【0044】
実施形態の少なくとも一部では、歯車ワークピースにチップを形成するために準備ステップ(1)~(2)で、歯車ワークピースの材料のせん断を引き起こす力が確認される。例えば、この場合、せん断面および/またはせん断ゾーンの形成を示す機械モデルを適用できる。すなわち、この場合、せん断平面および/またはせん断ゾーンについて、形成手順のモデリングを介した経路が辿られる。
【0045】
実施形態の少なくとも一部では、歯車ワークピースにチップを形成するために準備ステップ(1)~(2)で、チップの厚さと対応する機械加工力との間に線形関係が想定される。これは、方法の力を解析的に確認するための労力を削減するのに役立つ。
【0046】
実施形態の少なくとも一部では、歯車ワークピースにチップを形成するために準備ステップ(1)~(2)で、ポテンシャルモデルまたは指数モデルを適用することもできる。
【0047】
形成手順の解析および/またはモデリング中、または線形、ポテンシャル、または指数モデルの使用中には、例えば、既存のモデルおよび/またはデータを利用したり、自分のモデルおよび/またはデータを適用したり、体系的な研究やその解析を実行したりできる。
【0048】
この時点まで、かさ歯車のフライス加工中の形成手順のモデリングのための一般的に有効な解析式はなく、また、かさ歯車のフライス加工中に運動学的条件が著しく変化する可能性があるため、かさ歯車のフライス加工は、より良い解析研究および解析のために、本発明による全ての実施形態において、個々の方法ステップ(ここではセグメント化と呼ばれる)に分解される。これらの各方法ステップ(ここではセグメントとも呼ばれる)について、相対的な切削力を解析的に確認することができる。これは、アクティブ領域の個々の切刃に作用するか、個々の切刃の短い部分に作用する。
【0049】
本発明の方法の結果として、歯車切削ツールの少なくとも1つの切刃の少なくとも1つの点に力の効果が生じると考えられる場合、
-これは、制限値を超えている。
-制限範囲に到達するか、それを離れる。
したがって、この方法は、以下の反応の1つまたは複数を提供/トリガできる。
-警告を発行する(光学および/または音響)。
-表示画面上に(グラフィック)表現を作成する。この場合、好ましくは、少なくとも1つの切刃の少なくとも点が、過度に大きな力の効果が予想される場所で識別される。
-メッセージを発行する(例えば、モバイルシステム上またはネットワーク経由)。
-(更新された)設計ルーチンを開始して、機械加工方法の少なくとも1つの方法パラメータを修正できるようにする。
【0050】
この方法は、プロセスシミュレーションとチップ解析によって予測される力の効果を計算することができるので、予想される局所的な過負荷の場合に、逆に確認するソフトウェアモジュールを提供することができる。これらの方法パラメータが見つかったら、ソフトウェアは、オプションのステップで修正を提案できる。この場合、提案された修正を受け入れるようにユーザに促すことができる。次いで、ステップは、修正された方法パラメータを使用して再度実行されることが好ましい。対応する最適化の最後に、この方法は、歯車ワークピースの機械加工方向に分岐して戻る。
【0051】
本明細書および特許請求の範囲、とりわけ、以下の変数、パラメータの意味では、値は、方法パラメータとして理解することができる。
-切削速度、および/または
-前進速度、および/または
-プランジ速度、および/または
-ローリング速度、および/または
-機械の角速度、および/または
-機械の他の直線運動の速度、および/または
-機械の軸方向の運動の補間のタイプ、および/または
-圧力、および/または
-加速。
【0052】
規制変数および/または制御変数は、本明細書および特許請求の範囲の意味における方法パラメータとしても理解される。カッタの切刃の形状も、例えば、切刃の位置、くさび角、すくい角、自由角、切刃の準備などの方法パラメータと見なされる。
【0053】
本明細書および特許請求の範囲の意味において、カッタヘッドおよび/またはカッタヘッドインデックスの選択、カッタの材料、および/または切削プロセスの選択(例えば、単一ローリングの代わりにプランジローリング)も方法パラメータと見なされる。
【0054】
本発明の方法の結果、歯車切削ツールの少なくとも1つの切刃の少なくとも1つの点に力の効果が生じると考えられる場合、例えば、制限値を大幅に下回っている、または制限範囲外である場合、したがって、機械加工方法の少なくとも1つの方法パラメータは、関連する切刃の点に対する力の効果が制限値に近いか、制限範囲内にあるように方法を最適化する目的で修正できる。
【0055】
この方法は、プロセスシミュレーションとチップ解析によって予想される力の効果を計算できるので、切刃の負荷が過度に低い場合(例えば、数値的に反復的に)逆に確認するソフトウェアモジュールを提供でき、この方法パラメータは、この過度に低い負荷をもたらす。これらの方法パラメータが見つかったら、ソフトウェアは、オプションのステップで修正を提案できる。この場合、提案された修正を受け入れるようにユーザに促すことができる。次いで、ステップは、修正された方法パラメータを使用して再度実行されることが好ましい。対応する最適化の終わりに、この方法は、歯車ワークピースの機械加工方向に分岐する。
【0056】
しかしながら、本発明の方法の範囲で使用することができる他の切削ツール(例えば、一体型のカッタヘッド)もある。一般に、これらは、1つのカッタまたは2つの異なるカッタに少なくとも2つの幾何学的に規定された切刃を含む切削ツールである。
【0057】
本発明を使用することにより、高品質の表面を有する歯面を効率的かつ経済的/生産的に製造することができ、個々の切刃に対する力の効果を計画/監視することができる。
【0058】
結果として、本発明の使用は、高精度かつ高品質の表面を有する歯車、例えば、螺旋歯かさ歯車を提供し、切削ツールの可能な最大寿命が可能な限り利用される。
【0059】
本発明は、特に、複数の幾何学的に規定された切刃のみがチップ除去方法で同時に使用される歯車切削ツールに適用することができる。特に、本発明の全ての実施形態は、少なくとも2つのプロファイルカッタ、少なくとも2つのバーカッタ、または少なくとも2つの切削プレートを備えた歯車切削ツールに適用することができる。
【0060】
本発明は、目標とする計画により回避される歯車切削ツールの熱的および/または機械的過負荷によって、切削ツールの可能な限り最大の耐用年数を利用することを可能にする。
【0061】
本発明の方法の助けを借りて、切削機械加工方法の一部または全ての(時間)部分について、予想される切刃の負荷を確認することができる。過度に大きな力を予測する必要がある場合、例えば、他の方法パラメータを選択できる。過度に小さな力を予測する必要がある場合、他の方法パラメータを選択して、例えば、最適化を実現できる。
【0062】
以下、図面を参照して、本発明の例示的な実施形態をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1A】単一インデックス方法の基本を説明することができるように、従来技術に係る単一インデックス方法の概略図を示す。
図1B】連続インデックス方法の基本を説明することができるように、従来技術に係る連続ローリングインデックス方法(例えば、サイクロパロイド法)の概略図を示す。
図1C】かさ歯車ワークピースの左側面の仕上げ歯車切削と右側面の同時粗歯車切削中の、従来技術に係る半完成単一インデックス方法の第1の機械加工段階の概略断面図を示す。
図1D図1Cのかさ歯車ワークピースの右側面の仕上げ歯車切削中の、従来技術に係る半完成単一インデックス方法の第2の機械加工段階の概略断面図を示す。
図2A】従来技術に係る、クリンゲルンベルクの例示的なARCONカッタヘッドの詳細を示す。
図2B】従来技術に係る、クリンゲルンベルクの例示的なARCONカッタヘッドの詳細を示す。
図2C】従来技術に係る、クリンゲルンベルクの例示的なARCONカッタヘッドの詳細を示す。
図3】すくい面およびこのすくい面を囲む3つの切刃の概略斜視図を示す。
図4】本発明の方法のステップの概略フローチャートを示す。
図5】本発明の方法の例示的な中間結果の表形式を示す。
図6】本発明の他の方法の例示的な中間結果の表形式を示す。
図7A】すくい面およびこのすくい面を囲む3つの切刃の概略斜視図を示す。
図7B】距離xの関数としての3つの切刃に対する力の効果を概略図の形式で示す。
図7C図7Bに係る本発明の方法の例示的な中間結果の表形式を示す。
【発明を実施するための形態】
【0064】
歯車切削ツールで発生する可能性のある動的に変化する負荷をより適切に説明できるようにするため、以下では、クリンゲルンベルクのカッタヘッドシステムを例として、また概略的にのみ参照する。
【0065】
これは、単一インデックス歯車切削方法(単一インデックス法)のために使用するように設計されたカッタヘッドシステムである。このような単一インデックス方法の基本的な態様は、図1Aに基づいて最初に説明されている。本発明は、図1Bに基づいて最初に説明されたように、連続インデックス方法および他のプロセスにも適用され得る。
【0066】
最初に説明した図2Aでは、切削力は、矢印S(矢印の長さは、力の大きさに比例し、向きが方向を示す)によって示される。切削力Sは、すくい面27に本質的に垂直である。この切削力Sは、時間tの関数であるベクトルであるため、ここでは、参照符号S(t)も使用される。
【0067】
ツール20の切刃に力の効果がここに重要であるので、切削力Sは、3つの小さな矢印またはベクトルK.i、K.aおよびK.kに分解され、これらは、反対に作用する。ここでは、個々の切刃に作用する力をより正確に判断できるように、力の割り当てが実行される。
【0068】
3つのベクトルK.i、K.a、およびK.kは、切削力Sとともに3次元空間で力の平衡を形成し、K.iは、内側切刃21.iに作用する全ての部分的な力の合計を表し、K.aは、外側切刃21.aに作用する全ての部分的な力の合計を表し、K.kは、ヘッド切刃21.kに作用する全ての部分的な力の合計を表す。しかしながら、これは、時間軸上の非常に単純化されたスナップショットに過ぎない。
【0069】
ツール20の切刃を用いた歯車ワークピース11の歯車切削中に、これらの部分的な力の合計は、連続的な変化を受ける。この場合、その寸法だけでなく、その向きも変更することができる。さらに、開始点は切刃に沿って移動できる。それぞれの部分的な力K.i、K.a、およびK.kの合計が開始する切刃の点は、開始点と呼ばれる。
【0070】
ツール20は、その寸法が既知である機械のツールスピンドルによって回転駆動されるので、相対的な力も常に相対的なトルクとして表すことができる。空間内の切刃の方向と長さ、およびツールスピンドルの回転軸に対する相対的な力の距離が分かっている場合、相対的な力は、相対的なトルクに変換できる。
【0071】
全ての実施形態では、相対的な力および/または相対的なトルクを使用して、少なくとも2つの切刃に対する力の効果を判断することができる。ツールスピンドルのスピンドル駆動部には電流が供給されるため、例えば、全ての実施形態において、切刃長さミリメートル当たりのスピンドル駆動部(またはスピンドル駆動部の巻線)の電力消費も使用できる。
【0072】
プランジプロセスでは、例えば、直線状歯側面が歯車切削ツール20の直線切刃から歯車ワークピース上に生じる。ローリングプロセスでは、多数のプロファイリングカットのエンベロープを介して歯側面が歯車ワークピース上に生じる。この場合、運動は、非常に複雑であり、切刃に発生する力も非常に大きな計算努力で決定される。
【0073】
例えば、歯車ワークピースの歯車切削中に歯側面トポグラフィの修正が実行される場合、したがって、歯車切削ツールと歯車ワークピースの対応する相対的な運動は、依然として非常に複雑である。
【0074】
したがって、切削力Sの寸法、方向、および開始点も変化する可能性があり、切削力Sは、既に述べたように、部分的な力のK.i、K.a、およびK.kと平衡した力を形成する。したがって、参照符号K.i(t)、K.a(t)、およびK.k(t)で示されるように、部分的な力も時間tの関数である。
【0075】
全ての実施形態において、切刃は、より小さな部分(例えば、個々の線または点)に分割され得る。この場合、相対的な力および/または相対的なトルクおよび/または相対的な電流および/または電力消費も部分に分割される。
【0076】
最初に図1A図1Dに関連して説明したように、特定の時点で切削することによって動作するカッタの数は、変えることができる。すなわち、ツール20のツールスピンドルのスピンドル駆動の総駆動力(またはそれぞれ電力消費)は、使用中のすくい面27上でそれぞれが異なる寸法、方向、および異なる開始点を有することができる複数の切削力Sに分解される。歯車切削ツール20を、例えば、時系列的に変化する反力にもかかわらずツールスピンドルの一定速度で駆動する場合、スピンドル駆動部のNCコントローラは、電流を永久に再調整する必要がある。切刃にかかる部分的な力が大きくなると、スピンドル駆動部は、より大きな駆動トルクで応答する必要がある。すなわち、印加する電流を大きくする必要がある。部分的な力の合計が減少する場合、電流を減少させて駆動トルクを減少させる必要がある。これにより、速度が一定に保たれる。
【0077】
本発明は、歯車切削ツールの切刃に対する相対的な力の効果を可能な限り正確に監視し、個々の方法パラメータの関係/効果を認識できるようにするアプローチから始まる。
【0078】
本発明によれば、予想される力K.i、K.a、およびK.kは、実際の歯車切削前に、時間の関数として計算することができる。
【0079】
切刃毎に1つの力の効果のみを想定し、簡略化のために力が切刃の長さ全体に作用すると仮定した場合(図1Cのスナップショットには適用されない)、相対的な力の効果は、現在作用している力をそれぞれの場合に絶対切刃長で割ることで計算できる。短い切刃長さを有する切刃に作用する1000Nは、長い切刃長さを有する切刃に作用する1000Nよりもかなり高い相対的な力の効果をもたらす。
【0080】
全ての実施形態では、1つの切刃固有の最大の力は、切刃毎に規定することができ、および/または1つの相対的な切刃固有の最大の力の効果は、切刃毎に規定することができる。
【0081】
したがって、全ての実施形態は、何らかの形態で歯車切削ツールの切刃に関連している相対的な変数に関する。
【0082】
本発明に係るこのアプローチの異なる変形形態をカバーすることができるようにするために、これらの相対的な変数は、ここでは、相対的な切刃固有の力の仕様、または簡単には相対的な切刃固有の力と呼ばれる。すなわち、これらの相対的な変数は、例えば、特定の切刃に関連する(最大)力、または特定の切刃の幾何学的仕様(例えば、(部分的)長さ、(部分的)面積、または(部分的)体積)に関連する(最大)力であり得る。面積と体積は、対応する切刃の(部分的)長さに直接関連している。したがって、変換が可能である。
【0083】
既に述べたように、力の代わりに、トルクおよび/または電力消費を相対的な変数として使用することもできる。
【0084】
また、対応する切刃の(部分的)長さに作用する力と、チップを切断するために対応する(部分的)体積に作用する切削作業との間には直接的な関係が存在する。
【0085】
特定の切刃に関連する相対的な力で動作する実施形態では、この相対的な力は、例えば、ツール20の第1のカッタについて、内側切刃のK.i1[N]として、外側切刃のK.a1[N]として、およびヘッド切刃のK.k1[N]として規定することができる。同じツール20の第2のカッタの相対的な力は、内側切刃のK.i2[N]として、外側切刃のK.a2[N]として、およびヘッド切刃のK.k2[N]などとして規定される。したがって、ツール20の全てのカッタの全ての切刃に割り当てることができる。ここで使用される命名法は、単なる例として理解されるべきである。
【0086】
ツール20が、例えば、複数のカッタグループ(例えば、外側カッタ、中間カッタ、内側カッタ)を含む場合、全ての実施形態において、例えば、そのようなグループの全てのカッタに同じ相対的な力を割り当てることができる。
【0087】
一時的な過剰歪または切刃の破損を防止するために、最大値は、全ての実施形態において、各切刃に対して個別に(制限値として)指定することができる。
【0088】
それぞれの切刃の長さが既知の寸法である場合、力は、それぞれNの絶対値として表される。長さが、例えば、20mmの外側の切刃21.aは、例えば、最大の相対的な力K.amax=2000Nを割り当てることができる(この文脈での用語「相対的」は、力が特定の切刃と関連していることを示す)。これは、原則として、rK.amax=2000N/20mm=100N/mmの相対的で切刃固有の最大の力に相当する。
【0089】
このアプローチにより、歯車ワークピースの歯車切削中に個々の切刃に瞬間的および/または局所的に過度に大きな力が発生するのを防止することができる。
【0090】
この目的のために、アプローチおよび実施形態に応じて、例えば、相対的な力の効果は、切刃の長さの単位当たりの力、切刃の長さの単位当たりのトルク、切刃の長さの単位体積当たりの力、切刃の単位体積当たりのトルク、または切刃の単位長さあたりの消費電力力としても規定することができる。力K.amax=2000Nから先に進んだ数値の例に留まるために、相対的な力の効果は、最大値100N/mm(制限値として)を有するこの切刃の長さの単位あたりの力として確立できる。
【0091】
本発明の方法の第1の実施形態の例示的なステップは、概略的な形態のフローチャートを示す図4に基づいて説明される。
【0092】
この方法は、全ての実施形態において、例えば、歯車切削プロセスのシミュレーション(ここでは計画とも呼ばれる)で開始することができる。第1の準備ステップは、図4に参照符号V1で示されている。ここでは、例えば、かさ歯車ワークピースの歯車ホビングを計算によってシミュレーションすることができる(すなわち、コンピュータ支援)。適切なソフトウェアは、例えば、歯車切削プロセスのシミュレーションに使用できる(例えば、FEMによって動作するソフトウェア)。
【0093】
図4に示されるように、ステップV1の計算(すなわち、コンピュータ支援)シミュレーションは、例えば、データ{D}によって提供することができる。これらのデータ{D}は、メモリ150から取得することができる。データ{D}は、例えば、コンピュータとソフトウェア151の組み合わせにより、機械加工される歯車ワークピースの設計の範囲内で事前に提供することができる。データ{D}は、コンピュータとソフトウェア151の組み合わせにより、ステップV1に直接((中間)ストレージなしで)転送することもできる。
【0094】
ステップV1の計算(すなわち、コンピュータ支援)シミュレーションは、全ての実施形態において、例えば、ここでは、WGとして識別される、歯車ワークピースの3次元規定の仕様/データとともに提供され得る。
【0095】
ステップV1の計算(すなわち、コンピュータ支援)シミュレーションは、全ての実施形態において、例えば、ここでは、VGとして識別される、歯車切削ツール20および/または関連する切刃の3次元規定の仕様/データとともに提供され得る。仕様/データは、例えば、バーカッタ23を備えたカッタヘッド20の形状および切刃形状(例えば、2次元または3次元の多角形のトラバースとして)を記述することができる。
【0096】
ステップV1の計算(すなわち、コンピュータ支援)シミュレーションは、全ての実施形態において、例えば、ここでは、KGとして識別される、機械および/または運動学の規定の仕様/データとともに提供され得る。
【0097】
これらの変数は、ここでは、まとめて方法パラメータと呼ばれる。
【0098】
図4では、ステップV1のシミュレーションに仕様/データWGおよび/またはVGおよび/またはKGを供給することができることが示されている。
【0099】
例えば、続くステップV2では、あるタイプのセグメント化を実行することができる。ここでのセグメント化とは、歯車切削プロセスを時間窓および/または長さセクションおよび/または体積寸法セクションに分解できる分割方法を指している。
【0100】
セグメント化V2の結果は、図4に、参照符号Δ1~Δnが付いた複数の正方形で表されている。nは、ここで、セグメントの数を識別する。セグメントの数nが大きいほど、チップ形成およびアクティブ領域26の切刃の個々のセクションに発生する力について、より正確に述べることができる。
【0101】
歯車切削プロセスがより複雑になるほど、すなわち、歯車切削中により動的な負荷変化が予想されるほど、より多くのセグメントΔn(例えば、時間窓および/または長さセクションおよび/または体積寸法セクション)が適用される。わずかな負荷変動のみを受ける歯車切削プロセスは、いくつかの時間枠、長さセクション、および/または体積寸法セクションによって十分に正確に規定できる。対照的に、多数の負荷変動の影響を受ける歯車切削プロセスは、より多くの時間枠、長さセクション、および/または体積寸法セクションによって規定される必要がある。
【0102】
全ての実施形態において、n個のセグメントのそれぞれについて、例えば、予想されるチップの形状は、計算によって確認することができる。チップ形状の確認は、例えば、透過計算に基づいて実行することができ、この透過計算は、歯車ワークピースの材料を通るアクティブ領域26の切刃の運動を記述する。例えば、透過計算では、現在のツールエンベロープボディのn個のセグメント毎に、切刃の形状と減算による運動学に基づいて、2つの表面またはボディを計算できる。チップの形状は、例えば、現在のツールエンベロープボディから計算できる。例えば、透過計算の範囲では、n個のセグメントのそれぞれについて、ワークピースのどの領域がツールの切刃の(長さ)セクションによって切削されるかを計算することもできる。本発明の方法が現在使用中の切刃長さに対する力の影響を考慮する場合(例えば、ミリメートル当たりのN)、対応する長さの仕様が必要である。
【0103】
コンピュータ支援チップ解析は、後続のステップV3で実行される。
【0104】
例えば、複数のチップがn個のセグメントの1つになる場合、(例えば、チップの離脱が発生するため)、このセグメントの全てのチップの平均値は、チップ解析V3の範囲で形成することができる。このパスで、対応するステップの平均仮想チップの形状が取得される。その後、平均仮想チップの形状を次のステップで使用できる。
【0105】
例えば、複数のチップがn個のセグメントの1つになる場合、チップ解析V3の範囲内で、このセグメントの全てのチップの統計的解析を実行することができる。このパスで、対応するセグメントの統計的仮想チップの形状が取得される。その後、統計的仮想チップの形状を次のステップで使用できる。
【0106】
例えば、複数のチップがn個のセグメントの1つになる場合、例えば、対応するセグメントの最大の(最も厚い)チップを確認するために、チップ解析V3の範囲内で最大値の観測を代替的に実施することができる。その後、最大の(最も厚い)チップの形状を以降のステップで使用できる。最大値を考慮すると、最大の(最も厚い)チップの製造中に、アクティブ領域26の切刃でも最大の力が発生すると推定される。
【0107】
図4に示すように、チップ解析V3は、機能ブロックまたはこのモジュールとして全ての実施形態で設計でき、この機能ブロックまたはモジュールは、それぞれn個のセグメントのチップの形状を解析する。幾何学的変数のセグメント化が実行されない場合、機能ブロックまたはモジュールは、切刃のチップの形状を解析できる。
【0108】
チップ解析V3は、全ての実施形態において、チップの形状の計算、評価、または検討に基づくことができる(図4のオプションのステップV3.2)。次のステップ(例えば、図4の部分ステップV4.1、V4.2)では、形状を介してアクティブ領域26の切刃で発生する力についてのステートメントが作成される。
【0109】
制限値および/または制限範囲を事前に決定するか(例えば、それらはメモリから読み込むことができる)、またはユーザに1つまたは複数の制限値(例えば、rKmax)を入力するように促すことができる。これは、オプションのステップV4.3で図4に示されている。
【0110】
しかしながら、チップ解析V3は、全ての実施形態において、チップの形成の計算、評価、または検討に基づくこともできる(図4のオプションのステップV3.1)。その後のステップでは、チップ形成の手順に基づいて、アクティブ領域26の切刃で発生する力(例えば、図4の部分ステップV4.1、V4.2)についてのステートメントが実行される。
【0111】
チップ解析V3は、全ての実施形態において、n個の並列機能ブロックまたはモジュールを含むこともでき、機能ブロックまたはモジュールのそれぞれは、切刃の1つのチップまたはn個のセグメントの1つのチップの形状をほぼ並行して解析する。
【0112】
本発明の一部または全ての実施形態において、歯車切削ツールの切刃に対する相対的な力の効果についての説明を行うことができるようにするため(例えば、図4の部分ステップV4.1、V4.2)、この方法の力は、解析的に確認され(例えば、チップの形状V3.2から、および/またはチップ形成V3.1の手順から)、チップを除去する歯車の切削中にカッタのアクティブ領域26の様々な切刃に作用する。
【0113】
本発明の一部または全ての実施形態において、歯車切削ツールの切刃に対する相対的な力の効果についての説明を行うことができるようにするため(例えば、図4の部分ステップV4.1、V4.2)、この方法の力は、動的に解析的に確認される。すなわち、時間tと共に変化する相対的な運動も解析に組み込まれる。
【0114】
実施形態の少なくとも一部において、歯車ワークピース上のチップ形成(図4のオプションのステップV3.1)のために、歯車ワークピースの材料のせん断をもたらす力が確認される。例えば、この場合は、せん断平面および/またはせん断ゾーンの形成を示す機構モデルを適用できる。すなわち、この場合、形成手順のモデリングを介した経路が続く。
【0115】
実施形態の少なくとも一部において、歯車ワークピース上のチップ形成(図4のオプションのステップV3.1)のために、チップ厚さと対応する機械加工力との間に線形関係が仮定され、方法の力を解析的に確認するための労力を減らす。
【0116】
実施形態の少なくとも一部において、歯車ワークピース上のチップ形成(図4のオプションのステップV3.1)のために、ポテンシャルモデルまたは指数モデルも適用することができる。
【0117】
形成手順のモデル化の際に、または線形、ポテンシャル、または指数モデルの使用時に、例えば、既存のモデルおよび/またはデータを使用することができる、あるいは独自のモデルおよび/またはデータおよび/または解析を適用することができる。データは、例えば、経験値に基づいて事前に規定でき、および/または実験的および/または経験的および/または解析的に確認できる。
【0118】
例として図4に示すように、力の確認は、オプションとして2つの部分ステップV4.1、V4.2、に分割できる。この分割は、より分かり易くするためにここでのみ実行される。対応する力も1ステップで確認できる。
【0119】
ステップV3のチップ解析の後、歯車ワークピースの機械加工中に生じる絶対的な力を確認することができる(部分ステップV4.1)。これらの力は、例えば、時間の関数として確認することができ、または力は、例えば、各セグメントnについて確認することができる。
【0120】
相対的な力は、部分ステップV4.2で、これらの力から確認することができる。相対的な力は、すでに説明したように、使用中の切刃への参照を有するという点で区別される。
【0121】
相対的な力を識別するための可能な命名法は、既に上で説明されており、ここで適用することができる。この命名法は、例としてのみ理解されるべきであり、関係のより良い説明に役立つものである。
【0122】
部分ステップV4.2の結果は、n個の表に基づいて、図5に示されている(これらの表は、それぞれ、セグメント1~nのいずれかで発生する相対的な力を反映している)。n個の表のそれぞれには、最上部の行に関連するセグメントの指定(例えば、Δ1)がある。K.i1、K.a1、K.k1の3つの列が続く。K.i1は、内側切刃21.iに作用する[N]の相対的な力を指定し、K.a1は、外側切刃に作用する[N]の相対的な力を指定し、K.k1は、ヘッド切刃21.kに作用する[N]の相対的な力を指定する。
【0123】
図5から分かるように、n個の表は、最下部の線で構成され、個々の最大力を3つの切刃21.i、21.a、21.kのそれぞれの[N]の制限値として指定できる。本数値例では、n個のセグメントのそれぞれについて、切刃21.i、21.aのそれぞれの上限値として2000Nが事前に決められていた。ヘッド切刃21.kの場合、n個のセグメントのそれぞれの上限値として500Nが事前に決定されている。
【0124】
これらの数値例を検討すると、次の画像が得られる。第1のセグメントn=1の間、全ての力は、それぞれ2000Nまたは500Nを大幅に下回る。しかしながら、第2のセグメントn=2の間、外側切刃21.aにかかる力は、2000Nから500Nを超える。表の対応するフィールドの背景は、灰色である。最後のセグメントnの間、全ての力は、それぞれ再び2000Nまたは500Nを下回る。
【0125】
相対的な力の確認(ステップV4.2)は、ツールの切刃を使用して歯車ワークピースの実際の切削機械加工の前に予想される力を判断することができるように、全ての実施形態でコンピュータ支援方式で実行されることが好ましい。
【0126】
ステップV4.2は、示された例では、機械のオペレータまたは別のユーザに、例えば、第2のセグメントn=2の間に外側切刃21.aに許容できないほど高い力の効果が発生する可能性があることを示すか通信する。
【0127】
オペレータ/ユーザは、計画された形で歯車ワークピースの切削機械加工を実行するか、例えば、ステップV1として指定されたプロセスシミュレーションの仕様を修正するかを決定することができる。この目的のために、この方法は、例えば、異なる設計を可能にし、および/または異なる運動学を事前に決定するために、(例えば、切削深さを減少させるため)コンピュータとソフトウェア151の組み合わせに戻ることができる。異なる設計および/または異なる運動学の選択は、ここでは、方法パラメータの適応として識別される。
【0128】
図4では、ステップV4.2の結果の計算、評価、または観察は、参照符号V5で識別される。全ての値に問題がない場合、またはオペレータ/ユーザがそれでも計画された形で歯車ワークピースの切削機械加工を実行したい場合、歯車切削機械加工は、ステップV6で続く。
【0129】
値の少なくとも1つに問題がある場合、この方法は、例えば、図4の152の分岐によって示されるように、設計に分岐して戻ることができる。
【0130】
図5の矢印153は、この方法は、一般的にここで分岐することができることを示している(例えば、図4に示されているように)。
【0131】
本発明の方法の結果、力の効果が、制限値を超える歯車切削ツールの少なくとも1つの切刃の少なくとも一つの点で生じると想定される場合、この方法は、以下の反応の1つまたは複数を提供/トリガすることができる。
-警告を発行する(光学および/または音響)。
-表示画面上に(グラフィック)表現を生成する。この場合、少なくとも1つの切刃の、過度に大きな力の効果が予想される点が特定されることが好ましい。
-メッセージを発行する(例えば、モバイルシステムまたはネットワーク経由で)。
-(更新された)設計ルーチンを開始して、機械加工方法の少なくとも1つの方法パラメータを変更できるようにする。
【0132】
この方法は、プロセスシミュレーションV1およびチップ解析V3により予想される力の効果を計算できるため、オプションでソフトウェアモジュールを提供することもできる。これは、局所的な過負荷が予想される場合に逆に、どの方法パラメータがこの局所的な過負荷を引き起こすかを確認する。これらの方法パラメータが見つかると、ソフトウェアは、オプションのステップで修正を提案できる(例えば、表示画面の表示として)。この場合、提案された修正を受け入れるようにユーザにプロンプトを出すことができる(例えば、キーの組み合わせを作動させることにより)。次いで、修正された方法パラメータを使用して、ステップV1~V5が再び実行されることが好ましい。次にステップV5で、この方法は、V6の方向に分岐する。
【0133】
設計を更新した後、または設計を修正した後、すなわち、すぐに修正された方法パラメータが提供されると、ステップV1~V5までを再度実行することが可能である。
【0134】
チップ除去方法の様々な段階中のチップ形状またはチップ厚さの計算は、それぞれ、必ずしも完全に正確であるとは限らないため、本発明の全ての実施形態において、チップ厚さのばらつきを考慮することができる。例えば、計算されたチップ厚が±10%変動する可能性があることが実験で示された場合、現在確認されている表の値は、例えば、±10%の分散(略称Var.)で提供できる。対応する数値例を図6に示す。
【0135】
図6のこれらの数値例を観察すると、次の図が得られる。第1のセグメントn=1の間、全ての力は、それぞれ2000Nまたは500Nを大幅に下回る。しかしながら、第2のセグメントn=2の間、外側切刃21.aにかかる力は、2000Nを750N超え、ヘッド切刃21.kにかかる力は、500Nを28N超える可能性がある。表の対応するフィールドの背景は、灰色である。矢印153で示されているように、この方法は、ここに戻る。最後のセグメントnの間、全ての力は、それぞれ再び2000Nまたは500Nを下回る。
【0136】
他の実施形態の詳細は、さらなる例に基づいて、図7Aおよび図7Bに示されている。図7Aは、図3と同様に、例えば、バーカッタのアクティブ領域26の詳細を示している。このバーカッタの3つの切刃には、既に説明したように、参照符号21.a、21.i、および21.kが付いている。図7Bは、これら3つの切刃21.a、21.i、および21.kの直線配置を示している。ここで、相対的な力rK(例えば、[N/mm])は、垂直軸にプロットされ、距離xは、水平軸にプロットされる。切刃21.a、21.i、および21.kに対する力の効果は、距離xの関数として表すことができる。しかしながら、図7Bでは、それぞれの作用する相対的な力が、外側切刃21.aの4点および内側切刃21.iの4点で棒により表される例が示されている。ヘッド切刃21.kに作用するそれぞれの力は、2本の棒により表されている。
【0137】
時点t=taは、ここでは、例えば、時間窓を規定することができるセグメントΔ2として確立されている。
【0138】
切刃21.a、21.i、および21.kに対する力の効果は、セグメントΔn毎の全ての実施形態において、1つまたは複数の離散値(ここでは、棒で表される)の形、または切刃21.a、21.i、および21.kに対する力の効果は、例えば、距離xの関数の形で、セグメントΔn毎の全ての実施形態で確認することができる。
【0139】
例えば、距離xの関数として力の効果が提供される場合、対応する曲線プロファイルの最大値は、最大値研究に基づいて全ての実施形態で確認することができる。次に、この最大値を使用して、制限値として所定の最大値(例えば、100N/mm)を超えているかどうかを確認できる。
【0140】
部分ステップV4.2の結果は、2つの表に基づいて図7Cに示されている(これらの表のそれぞれは、セグメントΔ1とΔ2のいずれかに発生する相対的な力を反映している)。2つの表のそれぞれには、関連するセグメント(Δ1およびΔ2)の識別が最上行に記載されている。その後、3つの列K.a1、K.k1、K.i1が続き、K.i1の場合、内側切刃21.iに作用する相対的な力のデータセット[N/mm]が指定され、K.a1の場合、外側切刃21.aに作用する相対的な力のデータセット[N/mm]が指定され、K.k1の場合、ヘッド切刃21.kに作用する相対的な力のデータセット[N/mm]が指定される。外側切刃21.aと内側切刃21.iの2つのデータセットは、それぞれ4つの個別の値を含み、ヘッド切刃21.kのデータセットは、2つの離散値を含む。
【0141】
図7Cのこれらの数値例を観察すると、次の図になる。第1のセグメントn=1の間、全ての力は、100N/mmを大幅に下回る。これは、制限値rKmaxとして事前に決定されている。第2のセグメントn=2の間、外側切刃21.aに対する相対的な力は、約10N/mmの値と5N/mmの値で100N/mmを超える。表の対応する値の背景は、灰色である。矢印153で示されているように、この方法もここに戻る。
【0142】
表の代わりに、それぞれの相対的な負荷が、切刃上の時間、ローリング角度、および/またはプランジ距離(コントローラを介してインタラクティブに移動可能)の関数としてグラフィカルに(色分けおよび高さ分け)表示されるインタラクティブなグラフィック表現も可能である(例えば、図面または3Dの平面への投影として)。
【0143】
図7A図7Cの例に基づいて示されるように、ここでは、切刃の長さセクションへの分割が実行されることが好ましい。したがって、切刃の長さのセクションで最高の局所的な力が瞬間的に発生するデータセットの解析によって認識される。
【0144】
長さセクションへの分割を実行する代わりに、時間セグメントへの分割を追加的または代替的に実行することができる。
【0145】
全ての実施形態において、切刃に生じる相対的な力は、それぞれのチップ厚さから計算することができる。この場合の簡略化として、最大のチップ厚さを生成するには、対応する切刃に最大の力を加える必要があると想定できる。したがって、これらの実施形態では、単純化のために、チップ厚さと相対的な力との間の直接的な比例関係に先行する。
【0146】
しかしながら、全ての実施形態において、チップ厚さだけでなく、チップ形成(オプションのステップV3.1)および/またはチップの3次元形状(オプションのステップV3.2)をより正確に解析することができる。この場合、例えば、チップ形成の様々なタイプのチップ形成またはチップ上の様々なゾーンをそれぞれ観察することができる。例えば、停滞および切断ゾーンが、すくい面27とその上に隣接する自由面(例えば、自由面28.a)との間の移行領域の主切刃の前の切削刃に形成されることが知られている。刃刃に作用する力はそこで最大になる。すなわち、通常、相対的な力も最大になる。ここのゾーンは、材料が切断されるゾーンである。
【0147】
停滞および切断ゾーンに加えて、すくい面27上のせん断ゾーンも観察することができる。相対的な力は、停滞および切断ゾーンの領域よりもやや小さくなる。
【0148】
ツールの切刃を使用する歯車ワークピースの切削機械加工中、これらの切刃は、一定の摩耗を受ける。この場合、非常に様々な形態の摩耗が知られている。通常、様々な切刃の様々な長さセクションに形成される摩耗の形態は、摩耗したツールに基づいて確立できる。例えば、ヘッドの切刃が、外側および内側切刃(例えば、磨耗による切刃の丸み)とは異なる摩耗(例えば、亀裂)を受ける場合。したがって、例えば、外側切刃と内側切刃の場合とは異なり、特にヘッド切刃の場合、異なる最大値を確立できる。このアプローチにより、最終的に(バー)カッタ全体の寿命を改善することができる。
【符号の説明】
【0149】
11 歯車ワークピース/かさ歯車/かさ歯車ワークピース
12 歯間隙
20 切削ツール/カッタヘッド/バーカッタヘッド/面カッタヘッド
21.i 内側切刃/内側カッタ
21.a 外側切刃/外側カッタ
21.k ヘッド切刃
22 ベース本体
23 バーカッタ
25 軸
26 アクティブ領域
27 すくい面
28 上部逃げ面
28.a、28.i 逃げ面
30 ツール/(バー)カッタヘッド
33.a 外側切刃/外側カッタ
33.i 内側カッタ/内側切刃
53.f 仕上機械加工左側面
54v 粗切削右側面
54f 仕上機械加工右側面
102 ツール主軸の回転点/交差点
114 底部ランド
150 メモリ
151 ソフトウェア/コンピュータ
153 分岐
152 分岐
a、b、c 矢印(インデックスの回転)
Δ1、Δ2、Δ3、…Δn セグメント
{D} データ
G ベース円
KG 機械および/または運動学の規定に関する仕様/データ
K.i、K.a、K.k、K.i(t)、K.a(t)、K.k(t) 切削力
M 中心点
n セグメントの数
N 公称円
R ピッチ円
rK 相対的な力
RP1 第1の相対位置
S、S(t) 切削力
K.i、K.a 切刃に作用する力
t 時間
ta 特定時点
V1、V2、V3、V3.1、V3.2、V4.1、V4.2、V4.3、V5、V6 方法ステップ
ω1 ツールの回転運動
ω2 ツールの回転運動
ω3 回転運動(ジェネレータホイール回転)
VG 歯車切削ツールの規定に関する仕様/データ
WG 歯車ワークピースの規定に関する仕様/データ
Z1 飛行円半径
x 座標軸/距離
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C