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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】軽量窯道具及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/64 20060101AFI20240830BHJP
   C04B 35/80 20060101ALI20240830BHJP
   C04B 38/06 20060101ALI20240830BHJP
   F27D 3/12 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
C04B35/64
C04B35/80 300
C04B38/06 D
F27D3/12 S
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020029009
(22)【出願日】2020-02-25
(65)【公開番号】P2021134092
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】391029509
【氏名又は名称】イソライト工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136825
【弁理士】
【氏名又は名称】辻川 典範
(72)【発明者】
【氏名】康 頤璞
(72)【発明者】
【氏名】上道 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】末吉 篤
【審査官】小川 武
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-042519(JP,A)
【文献】特開2002-257477(JP,A)
【文献】特開2007-302515(JP,A)
【文献】特開2013-095614(JP,A)
【文献】特開平01-219083(JP,A)
【文献】特開昭63-282175(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0345690(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/00-35/84
C04B 38/00-38/10
F27D 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末原料又は成形体の熱処理時に用いるかさ比重0.7~1.5の軽量窯道具であって、アルミナ繊維、ムライト繊維、シリカ・アルミナ繊維及びシリカ・マグネシア・カルシア系の生体溶解性繊維のうち1種以上からなる耐熱性無機繊維の含有率が5~45質量%、メジアン径が1μm以上の無機粉末の含有率が10~85質量%、ナノサイズの賦形材の含有率が5~60質量%であり、前記軽量窯道具の鏡面仕上げ面に対してインターセプト法で求めた鉱物組成の平均結晶粒径が1~50μmであり、X線粉末回折装置により測定した前記軽量窯道具の鉱物組成はムライトが含有率43質量%以上を占めているか、又はコランダムが含有率85質量%以上を占めているか、又はジルコニアが含有率50質量%以上を占めているか、又はスピネルが含有率56質量%以上を占めており、前記軽量窯道具は気孔率が30~80%、平均気孔径が1~200μm、通気率が1×10 -9 cm 以上であることを特徴とする軽量窯道具。
【請求項2】
前記賦形材は、アルミナ微粒子及びシリカ微粒子のうち1種以上からなり、比表面積が60m/g以上であることを特徴とする、請求項に記載の軽量窯道具。
【請求項3】
前記無機粉末は、ムライト、カオリン、カイヤナイト、アルミナ、マグネシア、ジルコニア及びスピネルのうちの1種以上からなるセラミックス粉末であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の軽量窯道具。
【請求項4】
前記量窯道具から採取した四角柱形状の試験片の曲げ強さが3MPa以上であることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の軽量窯道具。
【請求項5】
JIS B0633に準拠して測定した表面粗さRaが10μm以下であることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の軽量窯道具。
【請求項6】
前記軽量窯道具から採取した試験片の1200℃×24hでの加熱線収縮率が0.5%以下であることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の軽量窯道具。
【請求項7】
前記粉末原料又は成形体が、圧電体、誘電体、LTCC(低温同時焼成セラミックス)、MIM(金属の射出成形品)、MLCC(積層セラミックコンデンサー)、リチウムイオン電池正極材の平均結晶粒径原料に用いるリチウム含有化合物、コバルト含有化合物、マンガン含有化合物、ニッケル含有化合物若しくは鉄含有化合物、蛍光体材料、セラミックス材料、電気炉用炉心管、サポート用治具材、又はラジアントチューブであることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の軽量窯道具。
【請求項8】
請求項1~のいずれか1項に記載の軽量窯道具の製造方法であって、前記無機粉末、耐熱性無機繊維、及び賦形材を乾式で混合することで得た混合物を加圧成形した後、雰囲気温度1100~1600℃で焼成処理することを特徴とする軽量窯道具の製造方法。
【請求項9】
前記混合の際、セルロース、でんぷん、及びポリビニルアルコールのうちの1種以上の有機物からなる気孔賦与材を、前記耐熱性無機繊維、無機粉末、及び賦形材の合計100質量部に対して100質量部以下の範囲内で添加することを特徴とする、請求項に記載の軽量窯道具の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックス粉末原料及びセラミックス成形体の焼成処理時に用いられる、かさ比重が小さく且つ耐高温クリープ性に優れた軽量窯道具及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池の正極活物質の製造工程では、リチウム含有化合物、コバルト含有化合物、マンガン含有化合物、ニッケル含有化合物、鉄含有化合物などからなる粉末原料を熱処理炉で焼成処理して正極材を生成している。この焼成処理には、匣鉢、ルツボなどのセラミック容器や、棚板、敷板、セラミック治具などのセッターに代表されるセラミック製の窯道具が広く用いられている。
【0003】
これらの窯道具は、該焼成処理時に被焼成物の粉末原料から発生したリチウム等のアルカリ成分による浸食で短期間に劣化することのないように、耐食性に優れていることが一般に求められている。また、匣鉢の場合は、焼成処理後の降温時間を短縮して製造効率を高めるため、該熱処理炉内にエアーを送入して炉内温度を強制的に冷却するなどにより該匣鉢及びその内容物を急冷している。そのため、窯道具は高温強度、クリープ特性、耐熱衝撃性に優れていることも求められている。
【0004】
そこで、例えば特許文献1には、従来の窯道具の材質として一般に用いられているコージライトやムライトを主成分とする材質に代えて、耐食性を向上させるべくマグネシア及びスピネルよりなる化合物成分を含む材料を使用する技術が提案されている。また、特許文献2には、マグネシアを用いずにスピネルやコージライトを用いて窯道具の耐食性と耐熱衝撃性を向上させる技術が提案されている。
【0005】
特許文献3には、耐熱衝撃性と耐割れ性に優れたリチウム電池正極活物質用熱処理容器を提供すべく、アルミナ、ムライト、スピネル、コージライト等の無機粉末材料に、該無機粉末材料の最大粒径の1.2~5倍の繊維長をもつアルミナ長繊維を該無機粉末材料100質量部に対して0.1~1質量部の割合で添加する熱処理容器の製造方法が開示されている。
【0006】
特許文献4には、マグネシアやスピネルを含むセラミック粒子と、アルミナシリケート繊維やアルミナ繊維を含むセラミック繊維とからなり、コージライト相が形成されたかさ比重0.37~0.95のセラミックセッターが開示されている。そして、このセラミックセッターは軽量で優れた通気性を有しているため、焼成時に電子部品が付着するのを防止できると記載されている。
【0007】
特許文献5には、耐腐蝕性及び密着性に優れた剥がれにくい匣鉢を提供するため、ベース成分としてのLiAlSiOに充填材として金属酸化物及び金属酸塩の一方又は両方を加えてなる保護層を、耐火物からなる匣鉢本体の表面にコーティングする技術が開示されている。
【0008】
特許文献6には、高温強度、耐クリープ性、熱衝撃抵抗性、熱安定性等の高温特性及び耐食性に優れたアルミナ焼結体からなる窯道具を提供すべく、アルミナに焼結助剤としてのマグネシアを所定の割合で添加する技術が開示されている。これにより、アルミナ粒子の異常粒成長が抑制されるため、結晶粒径が均一なアルミナ焼結体が得られると記載されている。
【0009】
特許文献7には、平均結晶粒径5~50μmの焼結体からなる耐食性及び耐熱衝撃性に優れたセラミック製熱処理用部材が開示されている。そして、この特許文献7には、該焼結体の平均結晶粒径が5μm未満の場合は、耐久性が低下するうえ耐食性が低下するので好ましくなく、逆に50μmを超える場合は耐熱衝撃性が低下するので好ましくないと記載されている。
【0010】
特許文献8には、互いに交差する第1の線条部群と第2の線条部群とからなるセラミック格子体が開示されており、該第1の線条部群側を上にしてその上に被焼成体を載置する焼成用セッターとして用いる場合は、該第1の線条部群の表面状態が平滑であれば被焼成体の底面に転写されにくくなるため、該被焼成体の底面をより平滑に仕上げられるメリットが得られ、逆に、それらの表面粗さがある程度粗いと、被焼成体を載置したときに該被焼成体の下方においてガスの流れがよくなるため、脱脂がスムーズに進みやすくなるメリットが得られると記載されている。そして、これら相反する要件を満たすため、該第1の線条部群の載置面の表面粗さを0.01μm以上10μm以下の範囲内にすることが好ましいと記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2003-165767号公報
【文献】特許5039640号明細書
【文献】特許6396938号明細書
【文献】特許5042286号明細書
【文献】特開2019-121601号公報
【文献】特開2017-95333号公報
【文献】特許4560199号明細書
【文献】特許6462102号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記の特許文献1~3の窯道具は、かさ比重を大きくして耐食性や耐熱衝撃性を高めているため、緻密で重い構造になっている。このため、窯道具を搬送するローラー等の搬送機器に過度の荷重負荷がかかり、変形や摩耗等のトラブルを引き起こすことがあった。また、かさ比重が大きくなると熱容量も大きくなるので、その加熱や冷却に多くのエネルギーと時間を要し、省エネルギー及び製造効率の点からも好ましくない。
【0013】
特許文献4のセラミックセッターは、かさ比重が小さいものの、被焼成物に含まれる有機バインダーを除去するため通気率を大きくしている。このため、該被焼成物に含まれるリチウム等のアルカリ成分が窯道具の内部へ拡散し易く、よって耐食性が不十分であった。特許文献5の匣鉢はコーティングによって匣鉢本体の気孔が塞がれるので、該気孔を介した通気性が損なわれてしまう。その結果、例えばセラミック多層基板用の有機バインダーを含んだ被焼成物の焼成処理の際に短時間で効率よく該有機バインダーを除去することができなくなり、該セラミック多層基板に反りや変色などの欠陥が生じやすくなる可能性がある。
【0014】
特許文献6の窯道具は、高温特性や耐食性を向上させるために焼結助剤として高純度のマグネシアを含有量0.1~1.0重量%で添加することが必要となる。上記高温特性のうち、高温強度やクリープ特性等が向上するメカニズムは、アルミナ粒子の粒界にMgAlの組成式で表されるスピネル粒子を特定の割合で生成させ、これによりアルミナ粒子の粒界に第2相やガラス相が多く形成されるのを抑えるものであるが、この技術では、かさ比重が小さい軽量窯道具の場合は、高温強度やクリープ特性をより一層向上させるのは困難であると思われる。
【0015】
特許文献7のセラミック製熱処理用部材は、好ましくは原料の純度が99%以上、平均粒子径が2μm以下となっており、これらの条件を満たす原料を用いる場合はコストが高くなりすぎるおそれがある。特許文献8のセラミック格子体は、セラミック素材の原料粉末の粒径が0.1μm以上200μm以下が好ましいと記載されているが、かさ比重が比較的小さい軽量窯道具にかかる粒径を有する原料粉末を用いるのは困難であると思われる。
【0016】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、かさ比重が小さく、表面粗さが小さく、耐食性、脱バインダー性、高温強度、及びクリープ特性に優れた焼成処理用の窯道具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するため、本発明に係る軽量窯道具は、粉末原料又は成形体の熱処理時に用いるかさ比重0.7~1.5の軽量窯道具であって、アルミナ繊維、ムライト繊維、シリカ・アルミナ繊維及びシリカ・マグネシア・カルシア系の生体溶解性繊維のうち1種以上からなる耐熱性無機繊維の含有率が5~45質量%、メジアン径が1μm以上の無機粉末の含有率が10~85質量%、ナノサイズの賦形材の含有率が5~60質量%であり、前記軽量窯道具の鏡面仕上げ面に対してインターセプト法で求めた鉱物組成の平均結晶粒径が1~50μmであり、X線粉末回折装置により測定した前記軽量窯道具の鉱物組成はムライトが含有率43質量%以上を占めているか、又はコランダムが含有率85質量%以上を占めているか、又はジルコニアが含有率50質量%以上を占めているか、又はスピネルが含有率56質量%以上を占めており、前記軽量窯道具は気孔率が30~80%、平均気孔径が1~200μm、通気率が1×10 -9 cm 以上であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、かさ比重が小さく、表面粗さが小さく、耐食性、脱バインダー性、高温強度、及びクリープ特性に優れた窯道具を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る軽量窯道具について説明する。この本発明の実施形態の軽量窯道具は、粉末原料又は成形体の熱処理時に用いる軽量窯道具であって、耐熱性無機繊維と、無機粉末と、ナノサイズの賦形材とから構成され、かさ比重が0.7~1.5である。上記の粉末原料や成形体には、圧電体、誘電体等の電子部品材料、LTCC(低温同時焼成セラミックス)、MIM(金属の射出成形品)、MLCC(積層セラミックコンデンサー)、リチウムイオン電池正極材の原料に用いるリチウム含有化合物、コバルト含有化合物、マンガン含有化合物、ニッケル含有化合物、若しくは鉄含有化合物、蛍光体材料若しくはセラミックス材料用の熱処理用容器、単結晶育成用坩堝、金属溶解用坩堝、各種電気炉用炉心管、サポートチューブ、ラジアントチューブ、サポート用治具材などを挙げることができる。なお、上記のかさ比重は単位がg/cmであり、かさ比重の値の1000倍の値がかさ密度(単位kg/m)に相当する。
【0020】
上記の耐熱性無機繊維は、アルミナ繊維、ムライト繊維、シリカ・アルミナ繊維、及びシリカ・マグネシア・カルシア系の生体溶解性繊維のうちの1種以上から構成される。これらの耐熱性無機繊維は耐熱温度が500℃以上1600℃以下であるので、窯道具の原材料に適している。なお、耐熱温度T℃は、雰囲気温度T℃で24時間加熱したときの加熱線収縮率が4.0%以下の場合をいう。
【0021】
上記の耐熱性無機繊維は、平均繊維径が2~15μmであるのが好ましく、4~10μmであるのがより好ましい。また、上記の耐熱性無機繊維は、平均繊維長が200μm以上であるのが好ましい。但し、5000μm以上の繊維長では繊維同士が絡まりあいやすく、均一な混合ができにくくなって成形性の低下や亀裂の発生につながるので、上記の平均繊維長の上限は5000μmが好ましい。
【0022】
なお、上記の平均繊維長とは、測定対象となる繊維群を電子顕微鏡で撮影し、得られた画像上の任意の100本の繊維に対して、それらの長手方向の端から端までの直線距離を計測し、それらを算術平均して求めたものである。一方、上記の平均繊維径とは、測定対象となる繊維群を電子顕微鏡で撮影し、得られた画像上の任意の200本の繊維に対して、それらの任意の部分の幅を計測し、それらを算術平均して求めたものである。
【0023】
上記の耐熱性無機繊維には市販されているものを用いてもよく、例えばアルミナ繊維ではデンカ株式会社製のアルセン(登録商標)、ムライト繊維では株式会社ITM社製のファイバーマックス(登録商標)や三菱ケミカル株式会社製のマフテック(商品名)、シリカ・アルミナ繊維ではイソライト工業株式会社製イソウール(商品名)、シリカ・マグネシア・カルシア繊維系の生体溶解性繊維ではイソライト工業株式会社製イソウールBSSR1300(商品名)などを好適に使用することができる。
【0024】
上記の耐熱性無機繊維は、該軽量窯道具中に骨材として5~45質量%の範囲内となるように含有させる。これにより曲げ強さを3MPa以上にすることができるうえ、耐高温クリープ性を向上させることができる。この含有率が5質量%未満では、該軽量窯道具の曲げ強さが3MPa未満になって強度が不十分になるおそれがある。また、該軽量窯道具の耐高温クリープ性が不十分になるおそれがある。逆にこの含有率が45質量%を超えると、該窯道具のかさ比重を0.7以上にすることが困難になり、その結果、気孔率が高くなりすぎてこの場合も耐高温クリープ性が不十分になるおそれがある。
【0025】
なお、上記の4種類の耐熱性無機繊維のうち、アルミナ繊維以外の3種類の耐熱性無機繊維は全てシリカを含有するため、酸化リチウム及び酸化コバルトと反応しやすく、耐食性が劣る可能性がある。そのため、これらシリカを含有する耐熱性無機繊維を用いる場合は、該窯道具中のシリカの含有率の上限を好適には40質量%以下に、より好適には35質量%以下に抑えるのが好ましい。
【0026】
なお、高温クリープは高温状態で窯道具に一定の荷重を長時間加えたとき、時間の経過に伴って徐々に変形が進んでいく現象であり、耐高温クリープ性は、この変形に耐える性質をいう。一般的に、気孔率5%以下の窯道具は、耐高温クリープ性に優れている。逆に、気孔率が30%以上、特に50%以上の窯道具は、耐高温クリープ性が不十分になるおそれがある。
【0027】
上記の無機粉末は、ムライト、カオリン、カイヤナイト、アルミナ、マグネシア、ジルコニア及びスピネルからなる群のうちの1種以上のセラミック粉末を用いるのが好ましい。この無機粉末は、粒子のメジアン径(D50)が20μm以下であるのが好ましい。このメジアン径(D50)が20μmを超えると、原料の段階において流動性が悪くなるため、匣鉢の形を成形しにくくなるうえ、焼成により生成される軽量窯道具の鉱物組成の平均結晶粒径が50μmを超えやすくなるため、耐熱衝撃性が低下するおそれがある。
【0028】
なお、上記無機粉末のメジアン径(D50)の下限は特に限定はないが、0.05μm程度以上であるのが好ましい。その理由は、無機粉末のメジアン径(D50)が0.05μm未満では、焼成により生成される軽量窯道具のかさ比重を1.5以下にすることが困難になるうえ、該軽量窯道具を構成する鉱物組成の平均結晶粒径が1μm未満になりやすく、アルカリ性の被焼成物へ耐食性が低下し、耐高温クリープ性が不十分になるおそれがある。
【0029】
また、この無機粉末は、該軽量窯道具中の含有率が10~85質量%であるのが好ましい。この含有率が10質量%未満では、該軽量窯道具のかさ比重を0.7以上にすることが困難になる。逆にこの含有率が85質量%を超えると、該軽量窯道具のかさ比重を1.5以下にすることが困難になる。なお、上記のメジアン径(D50)とは、レーザー回折式粒度分布測定装置によって求めた体積基準の粒度分布における積算値50%での粒径を意味する。
【0030】
上記の賦形材は、アルミナ微粒子及びシリカ微粒子のうち1種以上からなり、BET法で測定した比表面積が60m/g以上であるのが好ましく、100m/g以上であるのがより好ましい。この賦形材はメジアン径(D50)が1~100nm程度のナノサイズの微粒子からなるのが好ましい。更にこの賦形材は、該軽量窯道具中の含有率が5~60質量%であるのが好ましく、30~50質量%であるのがより好ましい。この含有率が5質量%未満では、上記の無機粉末の粒子の周りを覆うことが不十分になり、所望の強度が得られなくなるおそれがある。逆にこの含有率が60質量%を超えると、焼成処理時の収縮が大きくなって変形しやすくなるので好ましくない。
【0031】
本発明の実施形態の窯道具は、加熱前の寸法をL、雰囲気温度1200℃で24時間加熱した後の寸法をL1としたとき、(L-L)/L×100で算出した加熱線収縮率を好適には0.5%以下に、より好適には0.3%以下にすることができる。この加熱線収縮率が0.5%を超えると、加熱・冷却の熱ストレスがかかる繰り返し使用により早期に損傷するので好ましくない。なお、この加熱線収縮率は、上記耐熱性無機繊維の添加量を増減することにより調整することができる。
【0032】
本発明の実施形態の軽量窯道具は、ムライトの含有率43質量%以上、コランダムの含有率85質量%以上、スピネルの含有率56質量%以上、又はジルコニアの含有率50質量%以上を占める鉱物組成を有している。このムライトの含有率が43質量%以上であれば高温クリープを抑えることができるため、最高使用温度を高めることができる。また、コランダムの含有率が85質量%以上、スピネルの含有率が56質量%以上、及びジルコニアの含有率が50質量%以上のうちのいずれかを満たす場合は、アルカリ性の被焼成物と反応しにくくなるので、耐食性を高めることができる。
【0033】
アルカリ性の被焼成物に対する耐食性及び耐熱衝撃性を高めるため、上記の鉱物組成は平均結晶粒径が1~50μmであるのが好ましく、5~20μmであるのがより好ましい。この平均結晶粒径が1μm未満ではアルカリ性の被焼成物に対する耐食性が低下するうえ、耐高温クリープ性も低下するので好ましくない。逆にこの平均結晶粒径が50μmを超えると、耐熱衝撃性が低下するので好ましくない。
【0034】
上記の平均結晶粒径は、焼結体を鏡面仕上げし、熱エッチングを施し、走査電子顕微鏡にて観察し、インターセプト法により10点平均から求めたものである。算出式としては「D=1.5×L/n」を用いる。ここで、Dは平均結晶粒径(μm)、Lは測定長さ(μm)、nは長さL当たりの結晶数である。なおこの平均結晶粒径は、上記の無機粉末及び賦形材の平均粒径、それらの配合割合、軽量窯道具の焼成温度より調整することができる。
【0035】
本発明の実施形態の軽量窯道具は、「気孔率=1-かさ密度/真密度」により測定した気孔率を好適には30~80%に、より好適には40~60%にすることができる。この気孔率が30%未満では、かさ比重が1.5よりも大きくなるおそれがある。逆にこの気孔率が80%を超えると、曲げ強度が3MPa未満になるおそれがある。なお、軽量窯道具の気孔率は、焼成後のかさ比重及び添加した原料(特に気孔賦与材)の比例と真密度より調整することができる。
【0036】
本発明の実施形態の軽量窯道具は、水銀圧入法により測定した平均気孔径を好適には1~200μmに、より好適には5~100μmにすることができる。この気孔径が1μm未満では、通気率が1×10-9cmよりも小さくなるおそれがある。逆にこの気孔径が200μmを超えると、曲げ強度が3MPa未満になるおそれがある。なお、該軽量窯道具の気孔径は、焼成後のかさ比重及び添加した原料(特に気孔賦与材)の比率と真密度より調整することができる。
【0037】
本発明の実施形態の軽量窯道具は、JIS R2115に準じて測定した通気率を好適には1×10-9cm以上に、より好適には1×10-8cm以上にすることができる。この通気率が1×10-9cm未満の場合は、脱脂がスムーズに進みにくくなるので好ましくない。なお、この通気率は、該軽量窯道具の気孔率及び気孔径により調整することができる。
【0038】
本発明の実施形態の軽量窯道具は、JIS R1601に準じて、常温の試験片をスパン100mmで支持し、3点曲げ試験により測定した曲げ強さを好適には3MPa以上に、より好適には5MPa以上にすることができる。この曲げ強さが3MPa未満では、ハンドリング性に劣るうえ、加工性も劣るので好ましくない。なお、この曲げ強さは、主に軽量窯道具のかさ比重により調整することができる。
【0039】
本発明の実施形態の軽量窯道具は、下記測定法に基づいて評価した耐高温クリープ性に優れている。すなわち、この測定法は、支点間距離100mmで固定したテストピースの中央に、負荷応力が50gになるように1辺75mmの直方体形状のアルミナ焼結体を載せ、電気炉を用いて1200~1400℃の大気中で3時間加熱し、加熱後のテストピースのたわみ量(mm)を測定する。この測定には、株式会社ミツトヨ製のリニアゲージLG-150を用いるのが好ましい。本発明ではこのたわみ量が0.5mmの場合の軽量窯道具の温度を最高使用温度と定義する。この最高使用温度が1200℃以上の場合、耐高温クリープ性に優れた軽量窯道具であるということができる。なお、この耐高温クリープ性は、主に軽量窯道具のかさ比重、無機繊維の含有率、気孔率、気孔径などにより調整することができる。
【0040】
本発明の実施形態の軽量窯道具は、JIS B0633に準拠して測定した表面粗さ(Ra)を好適には10μm以下に、より好適には7μm以下にすることができる。被焼成体の焼成時は該軽量窯道具の表面状態が該被焼成体の底面に転写されるため、上記の表面粗さであれば被焼成体底面をより平滑に仕上げることができる。なお、この表面粗さは、主に軽量窯道具のかさ比重、気孔率、気孔径、原料の平均粒子径などにより調整することができる。
【0041】
次に、上記の本発明の実施形態の軽量窯道具の製造方法について説明する。この本発明の実施形態の軽量窯道具の製造方法は、先ず上記の耐熱性無機繊維、無機粉末、及び賦形材をそれぞれ上記の含有率の範囲内に収まるように量り取って混合機で混合する。その際、必要に応じて気孔賦与材を添加してもよい。この気孔賦与材は、セルロース、でんぷん、及びポリビニルアルコールのうちの1種以上からなる有機物であって、メジアン径(D50)が100μm以下のものを用いるのが好ましい。この気孔賦与材の粒子のメジアン径(D50)が100μmを超えると、原料の段階において流動性が悪くなるため、匣鉢の形を成形しにくくなるうえ、前述した平均気孔径の上限値を超えやすくなり、該軽量窯道具の強度が不十分になるおそれがある。
【0042】
上記気孔賦与材の添加量は、上記軽量窯道具を構成する耐熱性無機繊維、無機粉末、及び賦形材の合計100質量部に対して100質量部以下であるのが好ましく、60質量部以下であるのがより好ましい。この添加量が100質量部を超えると、該軽量窯道具のかさ比重がその許容範囲の下限値未満になりやすく、該軽量窯道具の強度が不十分になるおそれがあるうえ、焼成処理時の収縮が大きくなって変形しやすくなるので好ましくない。
【0043】
上記の混合の際、上記混合機のブレードの回転速度は3000rpm以上にすることが好ましい。これにより耐熱性無機繊維を十分に解繊することができるので、該耐熱性無機繊維群をある特定方向に配向させることなくランダムな方向に延在させて上記の混合物中にほぼ均一に分散させることができる。その結果、かさ比重が2未満になっても、かさ比重が2以上の従来品と同等以上の強度を得ることができる。
【0044】
上記にて得た混合物を、焼成処理後にかさ比重が0.7~1.5の範囲内になるように条件を調整して乾式加圧成形する。この条件の調整方法には特に限定はなく、例えば過去に行った乾式加圧成形時の加圧条件と、その条件で乾式加圧成形して得た成形体の焼成処理後のかさ比重との関係を示す検量線に基づいて乾式加圧成形時の加圧条件を定めてもよい。なお、上記耐熱性無機繊維、無機粉末、ナノサイズの賦形材及び気孔賦与材の混合物は、原料段階における安息角が比較的小さく流動性が良いため、複雑な形状の軽量窯道具を成形できる。このようにして乾式加圧成形にて得た成形体を加熱炉に装入して雰囲気温度1100~1600℃で焼成処理する。この焼成処理時の炉内雰囲気には特に限定はなく、大気雰囲気に代表される酸化性ガス雰囲気でもよいし、不活性ガス雰囲気でもよいが、大気雰囲気がより好ましい。
【0045】
上記の焼成温度は、耐熱性無機繊維や無機粉末の種類や含有量に応じて1100~1600℃の範囲内で適宜調整するのが好ましい。これにより、かさ比重が0.7~1.5、好ましくは0.9~1.1の軽量窯道具を作製することができる。このかさ比重が0.7未満では、該軽量窯道具が強度不足となり、逆にかさ比重が1.5を超えると該軽量窯道具の気孔率が低くできず、脱バインダー性に劣る。なお、焼成時間には特に限定はないが、3~12時間程度が好ましい。
【0046】
ところで、上記の耐熱性無機繊維や無機粉末から成形体を成形する方法として、従前から湿式成形法がよく行なわれている。この方法は、耐熱性無機繊維、無機粉末、及び無機バインダーに適量の水を加えてスラリー状にし、これを真空吸引あるいはプレスして脱水しながら加圧成形する方法である。しかしながら、この湿式成形法で得た成形体は、吸引方向に対して略直交する方向に繊維群が延在した状態で積層しやすく、また、無機バインダーの歩留を上げるため凝集させることから、成形体そのものが大粒子状の無機バインダーの集合体から形成される傾向にある。そのため、成形体の強度に方向性が生じて所望の高強度が得られないことがあった。また、湿式成形法は、耐熱性無機繊維の量が多いと成形性が低下しやすくなるうえ、成形体のかさ比重が小さくなるように加圧成形すると、十分な強度が得られなくなるという問題も抱えていた。
【0047】
これに対して、上記したように本発明の実施形態においては、成形体を乾式加圧成形で作成するので、前述したように耐熱性無機繊維をランダムな方向に延在させた状態でほぼ均一に分散させることができる。更に、無機結合剤の役割を担う賦形材を凝集させずに使用できるため、その働きを充分に発揮させることができる。よって、かさ比重が小さくても所望の強度を確保することができる。次に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記の実施例により何ら限定されるものではない。
【実施例
【0048】
耐熱性無機繊維、無機粉末、及び賦形材から構成される軽量窯道具を様々な条件で作製し、それらの特性を測定した。具体的には、耐熱性無機繊維として、デンカ株式会社製の平均繊維径4.0μm、平均繊維長3500μmのアルミナ繊維(Al:97質量%、SiO:3質量%)が5質量%、耐食性無機粉末として、昭和電工株式会社製の電融ムライト粉末(メジアン径17μm)が42質量%、昭和電工株式会社製の電融スピネル粉末(メジアン径18μm)が30質量%、デンカ株式会社製の窒化ホウ素粉末(メジアン径1μm)が1質量%、賦形材としてキャボットコーポレーション社製のフュームドアルミナ(比表面積100m/g、メジアン径15nm)が22質量%の配合割合となるようにそれぞれ量り取り、これらをせん断機能を有する粉体用の混合機の円筒形容器内に装入した。なお、この円筒形容器内に気孔賦与材は入れなかった。そして、該円筒形容器の底部に設けられているブレードを回転数3000rpmで回転させることで混合した。得られた混合物を、かさ比重が0.9となるよう乾式加圧して匣鉢の形状に成形した。得られた成形体を雰囲気温度1400℃の大気雰囲気中で3時間かけて焼成処理した。このようにして実施例1の匣鉢を作製した。
【0049】
更に耐熱性無機繊維、無機粉末、賦形材、及び気孔賦与材の種類や、それらの配合割合を様々に変えると共に、焼成処理時の雰囲気温度を様々に変えた以外は上記の実施例1の場合と同様にして実施例2~11及び比較例1~11の匣鉢を作製した。その際、耐熱性無機繊維には、ITM株式会社製のムライト繊維(平均繊維径5.0μm、平均繊維長3000μm、Al:72質量%、SiO:28質量%)、イソライト工業株式会社製のシリカ・アルミナ繊維であるイソウール(Al:46質量%、Al+SiO:99質量%、平均繊維径4.2μm、平均繊維長4200μm)、イソライト工業株式会社製の生体溶解性繊維であるイソウールBSSR1300(平均繊維径3.5μm、平均繊維長4500μm)を用いた。
【0050】
無機粉末には、林化成株式会社製のカオリン粉末(メジアン径1.2μm)、Kyanite Mining Corporation社製のカイヤナイト(メジアン径12.5μm)、住友化学株式会社製のアルミナ粉末(メジアン径5μm)、宇部マテリアルズ株式会社製のマグネシア粉末(メジアン径3μm)、共立マテリアル株式会社のジルコニア粉末(メジアン径16μm)を用いた。
【0051】
気孔賦与材には、伏見製薬株式会社製のセルロース(メジアン径40μm)、日澱化学株式会社製のでんぷん(メジアン径3.5μm)、日本酢ビ・ポバール株式会社製のポリビニルアルコール(メジアン径12μm)。賦形材には、キャボットコーポレーション社製のフュームドシリカ(表面積60m/g、メジアン径45nm)を用いた。上記の実施例1~11及び比較例1~11の匣鉢の作製に用いた原料の種類及び含有量(単位:質量%)を、焼成処理時の炉内温度(雰囲気温度)と共に表1及び表2にそれぞれ示す。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
上記にて作製した実施例1~11及び比較例1~11の匣鉢の各々に対して、かさ比重、曲げ強さ、加熱線収縮率、気孔率、平均気孔径、通気率、表面粗さ及び鉱物組成を測定した。なお、かさ比重は「質量/体積」により計算し、曲げ強さはJIS R1601に準拠した3点曲げ試験により測定した。加熱線収縮率は加熱前の寸法L、及び雰囲気温度1000℃で24時間加熱した後の寸法Lを用いて(L-L)/L×100により算出した。気孔率は「気孔率=(1-かさ比重/真比重)×100」により算出した。平均気孔径は水銀圧入法により測定し、通気率はJIS R2115に準拠して測定し、表面粗さ(Ra)はJIS B0633に準拠して測定し、鉱物組成はX線粉末回折装置により測定した。更に、最高使用温度及び耐食性について下記の要領で評価した。
【0055】
最高使用温度は耐高温クリープ性を指標とすることで定めた。すなわち、測定対象の窯道具に対して耐高温クリープ性を測定して、そのたわみ量が0.5mmになったときの測定温度を、この窯道具の最高使用温度とした。一方、耐食性の評価は、炭酸リチウム及び酸化コバルトをCo:Li=1:1のモル比となるように混合した混合粉を上記の実施例1~11及び比較例1~11の匣鉢に10kgずつ充填し、加熱炉内に装入して雰囲気温度950℃まで300℃/hrで昇温し、該雰囲気温度950℃で10時間保持した。この10時間の保持が経過した後、該加熱炉内にエアーを導入することで強制冷却して匣鉢を室温まで降温させた。そして、各試料の匣鉢から混合粉を除去して、匣鉢内面の損傷の有無を目視にて観察した。その結果、内面に損傷が認められた場合を「不可」、内面に損傷が認められなかった場合を「良」と評価した。上記の測定結果及び評価結果を下記表3及び表4に示す。
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】
上記表3から分かるように、本発明の要件を満たす実施例1~11は、いずれもかさ比重が0.7~1.5の範囲内にあり、ムライトの含有率が43質量%以上、コランダムの含有率が85質量%以上、スピネルの含有率が56質量%以上、又はジルコニアの含有率が50質量%以上を占める鉱物組成で構成されており、その平均結晶粒径は1~50μmであった。また、曲げ強さが3MPa以上であり、1000℃×24hでの加熱線収縮率が0.5%以下であり、気孔率が30~80%の範囲内にあり、平均気孔径が1~200μmであり、通気率が1×10-9cm以下であり、表面粗さが10μm以下であった。また、最高使用温度は1200~1400℃の範囲内となった。
【0059】
一方、上記表4から分かるように、比較例1は、賦形材の含有率が3質量%であったため、成形できなかった。比較例2は、賦形材の含有率が61質量%であったため、かさ比重が0.55と小さく、曲げ強さが1.3MPaと小さかった。比較例3は、無機粉末の含有率が86質量%であったため、かさ比重が2.20と大きく、平均結晶粒径は55.7μmと大きかった。比較例4は、無機粉末の含有率が9質量%であったため、かさ比重が0.49と小さく、曲げ強さが1.5MPaと小さかった。比較例5は、耐熱性無機繊維の含有率が4質量%であったため、曲げ強さが2.5MPaと小さかった。比較例6は、耐熱性無機繊維の含有率が46質量%であったため、かさ比重が0.68と小さくなり、曲げ強さが2.2MPaと小さくなった。比較例7は、耐熱性無機繊維、無機粉末、及び賦形材の合計100質量部に対して気孔賦与材を101質量部添加したため、かさ比重が0.64と小さくなり、曲げ強さが1.1MPaと小さくなった。比較例8は、ムライトの含有率が42質量%であったので、最高使用温度が低くなった。比較例9は、コランダムの含有率が84質量%であったので、耐食性の評価において不可となった。比較例10は、スピネルの含有率が55質量%であったので、耐食性の評価において不可となった。比較例11は、ジルコニアの含有率が49質量%であったので、かさ比重が1.6と大きいが耐食性の評価において不可となった。