(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】バルブ保持ブラケット及び車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 43/19 20180101AFI20240830BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20240830BHJP
F21Y 101/00 20160101ALN20240830BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240830BHJP
【FI】
F21S43/19
F21V19/00 110
F21Y101:00 100
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2020065735
(22)【出願日】2020-04-01
【審査請求日】2021-12-23
【審判番号】
【審判請求日】2023-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】506420979
【氏名又は名称】株式会社アビスト
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100147762
【氏名又は名称】藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】塚原 沙耶香
【合議体】
【審判長】一ノ瀬 覚
【審判官】横溝 顕範
【審判官】小岩 智明
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3159831(JP,U)
【文献】特開2013-131404(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S2/00
F21S41/00-45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブを挿抜可能なバルブ受け口と、
前記バルブの挿入方向と交わる第1の方向に突出する雄部と、
前記第1の方向に向けて開口する雌部と
を備える
バルブ保持ブラケットであって、
前記雄部の長手方向は、前記バルブ保持ブラケットの周方向に沿って延び、
前記雌部の長手方向は、前記バルブ保持ブラケットの周方向に沿って延びる、
バルブ保持ブラケット。
【請求項2】
前記雄部は、複数であって、前記挿入方向に沿って並べられる請求項1に記載のバルブ保持ブラケット。
【請求項3】
前記雌部は、複数であって、前記挿入方向に沿って並べられる請求項1または2に記載のバルブ保持ブラケット。
【請求項4】
前記雄部は、複数であって、前記バルブから離間するように前記挿入方向に沿って並べられ、前記雌部は、複数であって、前記バルブから離間するように前記挿入方向に沿って並べられる請求項1から3のいずれかに記載のバルブ保持ブラケット。
【請求項5】
前記挿入方向に直交する断面が多角形である請求項1から4のいずれかに記載のバルブ保持ブラケット。
【請求項6】
前記雄部は、多角形の一辺に設けられる請求項5に記載のバルブ保持ブラケット。
【請求項7】
前記雌部は、多角形の各辺に設けられる請求項5から6のいずれかに記載のバルブ保持ブラケット。
【請求項8】
前記雄部の突出端には、前記挿入方向に突出する返し部が設けられる請求項1から7のいずれかに記載のバルブ保持ブラケット。
【請求項9】
前記雌部の開口端には、前記挿入方向と反対方向に突出する抑え部が設けられる請求項1から8のいずれかに記載のバルブ保持ブラケット。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載のバルブ保持ブラケットと、
前記雌部と係合可能な固定部を有するハウジングと
を備える車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブを保持するためのブラケット及びこれを備える車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の後部の左右両側にそれぞれ装備されるリアコンビネーションランプである車両用灯具が知られている(特許文献1参照)。車両用灯具の背面に取り付けられるバックカバーは、
図2のレイアウトに示すように、1個のコネクタ用ブロックと、1個の第1バルブホルダ用ブロックおよび2個の第2バルブホルダ用ブロックと、1個の第1ジョイント用ブロックおよび2個の第2ジョイント用ブロックと、1個の第1取付用ブロック(もしくは、第3ジョイント用ブロック)および1個の第2取付用ブロック(もしくは、第4ジョイント用ブロック)とから構成される。コネクタ用ブロックの4辺には、上挟持部および下挟持部がそれぞれ一体に設けられる。バルブホルダ用ブロックの4辺には、上挟持部および下挟持部がそれぞれ一体に設けられる。第2ジョイント用ブロックの2長辺には、断面円形の軸部がそれぞれ一体に設けられている。隣り合うブロック同士は、結合手段(上下挟持部および軸部)を介して結合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の車両用灯具は、少なくともコネクタ用ブロックと、バルブホルダ用ブロックと、ジョイント用ブロックとを備えなければならず、部品点数が多く、構造が複雑であった。
【0005】
本発明は、このような状況においてなされたものであり、少ない部品点数でバルブを保持するブラケット及びこれを備える車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願第1の発明は、バルブを挿抜可能なバルブ受け口と、バルブの挿入方向と交わる第1の方向に突出する雄部と、第1の方向に向けて開口する雌部とを備えるバルブ保持ブラケットである。
【0007】
雄部は、複数であって、挿入方向に沿って並べられることが好ましい。また、雌部は、複数であって、挿入方向に沿って並べられることが好ましい。
【0008】
雄部は、複数であって、バルブから離間するように挿入方向に沿って並べられ、雌部は、複数であって、バルブから離間するように挿入方向に沿って並べられることが好ましい。
【0009】
バルブ保持ブラケットは、挿入方向に直交する断面が多角形であることが好ましい。
【0010】
雄部は、多角形の一辺に設けられることが好ましい。また、雌部は、多角形の各辺に設けられることが好ましい。
【0011】
雄部の突出端には、挿入方向に突出する返し部が設けられてもよい。また、雌部の開口端には、挿入方向と反対方向に突出する抑え部が設けられてもよい。
【0012】
本願第2の発明は、前記バルブ保持ブラケットと、雌部と係合可能な固定部を有するハウジングとを備える車両用灯具である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、少ない部品点数でバルブを保持するブラケット及びこれを備える車両用灯具を得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】
図1のIII-III線による車両用灯具の断面図である。
【
図4】バルブ保持ブラケットを概略的に示す正面図である。
【
図5】バルブ保持ブラケットを概略的に示す背面図である。
【
図6】バルブ保持ブラケットを概略的に示す平面図である。
【
図7】
図4のVII-VII線による車両用灯具の断面図である。
【
図8】
図4のVIII-VIII線による車両用灯具の断面図である。
【
図9】バルブ保持ブラケットを概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態による車両用灯具100について
図1から3を用いて説明する。
【0016】
車両用灯具100は、各々樹脂から成る、レンズ110と、エクステンション120と、インナーレンズA130と、インナーレンズB140と、LEDユニット150と、ハウジング160とを主に備える。
【0017】
ハウジング160は、ベース部161と、ベース部から延出される第1の固定部162、第2の固定部163を主に備える。第1の固定部162、第2の固定部163を介してLEDユニット150がハウジング160に固定される。第1の固定部162は、LEDユニット150に向けて延びる2つの側方支持部162a、162bを備える。側方支持部162a、162bの先端には、LEDユニット150の背面に向けてわずかに突出する爪部162c、162dが設けられる。第2の固定部163は、LEDユニット150に向けて延びる2つの側方支持部163a、163bを備える。側方支持部163a、163bの先端には、LEDユニット150の背面に向けてわずかに突出する爪部163c、163dが設けられる。
【0018】
LEDユニット150は、LEDバルブ151とバルブ保持ブラケット200とを主に備える。LEDバルブ151は、バルブ保持ブラケット200に挿抜されうる。バルブ保持ブラケット200は、後述される雌部231~235に第1の固定部162、第2の固定部163を挿入することにより、ハウジング160に固定される。
【0019】
インナーレンズA130及びインナーレンズB140は、ハウジング160の正面からLEDユニット150を覆うように、ハウジング160に取り付けられ、LEDバルブ151が照射した光を透過するとともに、その照射方向を調整及び拡散可能である。
【0020】
エクステンション120は、ハウジング160の正面からインナーレンズA130及びインナーレンズB140を覆うように、ハウジング160に取り付けられ、LEDバルブ151が照射した光の照射方向を調整及び拡散可能である。
【0021】
レンズ110は、ハウジング160の正面からエクステンション120を覆うように、ハウジング160に取り付けられ、LEDバルブ151が照射した光を透過、及び光の照射方向を調整又は拡散可能である。
【0022】
次に、バルブ保持ブラケット200について
図4から9を用いて説明する。
【0023】
バルブ保持ブラケット200は、八角筒形状である内筒210と、内筒210の外周面から突出する6つのリブ211~216と、内筒210の内周に設けられるバルブ受け口220とを主に備える。
【0024】
バルブ受け口220は、八角筒の中心軸Lが延びる方向に沿って開口しており、この方向に沿ってLEDバルブ151を挿抜可能である。図において、Y軸正方向をLEDバルブ151の挿入方向とし、Y軸負方向をLEDバルブ151の抜去方向とする。すなわち、抜去方向は挿入方向の反対方向である。バルブ受け口220の開口端部は、
図4において左右方向に延びる矩形形状であって、その長辺が中央付近でわずかに膨らんだ形状を有する。バルブ受け口220の内部には、図示されない電極が設けられており、この電極は、LEDバルブ151の電極と接触して、LEDバルブ151に電力を供給する。
【0025】
6つのリブ211~216は、内筒210の軸方向に所定の同じ間隔をあけて、内筒210の外周面から突出する。リブ211~216は、バルブ保持ブラケット200の軸に直交する断面において八角形を成し、リブ211~216の突出端を仮想面で繋ぐと、内筒210の外周面と相似の外周面を有する八角筒形状となる。すなわち、バルブ保持ブラケット200の軸に直交する断面における八角形は、内筒210の軸に直交する断面における八角形と相似である。
【0026】
リブ211は、平板形状であって、バルブ受け口220の開口端に近接する位置に設けられる。リブ212~216は、平板形状であって、バルブ受け口220の開口端部から離れるように、リブ211から順に並べられる。
【0027】
リブ212~216の突出端には、LEDバルブ151の抜去方向に突出する抑え部212a~216aが設けられる。その突出長さは、リブ211~216の間隔の約1/3である。抑え部212a~216aは、リブ212~216の八角形断面において、八角形の頂点及び各辺の中央に設けられる。
【0028】
リブ211~216の間であって、リブ211~216の八角形断面の一辺に形成される凹部が雌部231~235を成す。雌部231~235は、LEDバルブ151から離間するように挿入方向に沿って並べられ、LEDバルブ151の挿入方向と交わる第1の方向に向けて開口する。
【0029】
リブ211とリブ212との間であって、リブ211及びリブ212の八角形断面の一辺全長から、LEDバルブ151の挿入方向と交わる第1の方向に向けて、雄部221が突出する。雄部221の突出端には、LEDバルブ151の挿入方向に突出する返し部221aが設けられる。その突出長さは、リブ211~216の間隔の約1/3であり、抑え部212a~216aの突出長さと略同じである。返し部221aを除く雄部221の厚さ(Y方向長さ)は、抑え部212a~216aの先端と対向するリブ211~216との距離よりもわずかに短い。X方向における返し部221aの厚さは、リブ212~216の八角形断面における抑え部212a~216aどうしの間隔よりもわずかに短い。Y方向における雄部221と返し部221aの厚さは、リブ211~216の間隔よりもわずかに短い。
【0030】
雄部221において、バルブ受け口220の開口端と反対側を向く面、すなわち雄部222に対向する面に、2本の係合突起221bが設けられる(
図5、8参照)。係合突起221bどうしの間隔は、八角形断面の一辺の中央に設けられた抑え部212a~216aの幅よりもわずかに長く、係合突起221bどうしの間に、八角形断面の一辺の中央に設けられた抑え部212a~216aが十分に収まる程度の長さである。
【0031】
リブ212とリブ213との間であって、リブ212及びリブ213の八角形断面の一辺全長から、LEDバルブ151の挿入方向と交わる第1の方向に向けて、雄部222が突出する。雄部222の突出端には、LEDバルブ151の挿入方向に突出する返し部222aが設けられる。雄部222及び返し部222aの構成については、雄部221及び返し部221aと同様であるため、説明を省略する。雄部221、222は、LEDバルブ151から離間するように挿入方向に沿って並べられる。
【0032】
一方のバルブ保持ブラケット200が備える雄部221、222は、他方のバルブ保持ブラケット200が備える雌部231~235のいずれにも挿入され、係合されうる。雄部221、222が雌部231~235に挿入されている状態において、返し部221a、222aは内筒210の外周面と抑え部212a~216aの内面との間に挟まれ、これにより、2つのバルブ保持ブラケット200は互いにX軸方向への移動を制限され、2本の係合突起221bの間に抑え部212a~216aが収められ、これにより、2つのバルブ保持ブラケット200は互いにZ軸方向への移動を制限され、互いに固定される。
【0033】
雌部231~235は5つの他方の開口を成すため、一方のバルブ保持ブラケット200が備える雄部221、222は、他方のバルブ保持ブラケット200の軸方向(Y方向)に対して5つの位置のいずれか1つに固定されうる(
図3、6~9参照)。また、雄部221、222及び雌部231~235はXZ平面において八角形の各一辺に設けられるため、一方のバルブ保持ブラケット200が備える雄部221、222は、他方のバルブ保持ブラケット200の8つの辺のいずれか1つに固定されうる(
図4、5、9参照)。
【0034】
次に、車両用灯具100及びバルブ保持ブラケット200を組み立てる手法について説明する。
【0035】
図4から6を参照すると、図において左側のバルブ保持ブラケット200が備える雄部221、222が、右側のバルブ保持ブラケット200が備える雌部233、234に各々挿入されている。
【0036】
図において左側のバルブ保持ブラケット200が備える雄部221は、右側のバルブ保持ブラケット200が備える雌部233の長手方向に沿うように動かされ、雌部233に挿入される。このとき、返し部221aは、雌部233の端部に位置する抑え部214aと内筒210との間を通過すると同時に、係合突起221bが抑え部214aを乗り越える。そしてもう一つの係合突起221bが抑え部214aを乗り越えると、係合突起221bどうしの間に、八角形の一辺の中央に設けられた抑え部214aが収められ、雄部221の全長が、雌部233に収められる。これを複数のバルブ保持ブラケット200に対して繰り返すことにより、LEDユニット150が形成される(
図2参照)。
【0037】
LEDユニット150は、ハウジング160に固定される。第1の固定部162の2つの側方支持部162a、162bは、雌部235、231に挿入されて係合し、第2の固定部163の2つの側方支持部163a、163bは、雌部235、231に挿入されて係合する。そして、バルブ保持ブラケット200のZ軸負方向の底面は、底面支持部164に載せられて支持される(
図2参照)。
【0038】
そして、LEDユニット150が取り付けられたハウジング160に、図示されない接着剤又は接合部材により、その前面からインナーレンズA130及びインナーレンズB140が取り付けられ、さらにエクステンション120、レンズ110が順に取り付けられる。これにより、車両用灯具100が形成される。
【0039】
本実施形態によれば、少ない部品点数でバルブを保持するブラケット及びこれを備える車両用灯具を得る。
【0040】
なお、内筒210と6つのリブ211~216の断面が八角形であるとして説明したが、多角形であればよく、三角形であっても、四角形であっても、その他の多角形であってもよい。係合突起221b、222bは設けられなくてもよい。
【0041】
なお、車両用灯具100に取り付けられるバルブはLEDバルブ151であるとして説明したが、バルブはLEDバルブ151に限定されず、白熱電球等の光を発するものであってもよい。
【0042】
なお、本明細書および図中に示した各部材の大きさは例示であって、これらの大きさに限定されない。また、各部材の素材は例示であって、これらの素材に限定されない。
【0043】
ここに付随する図面を参照して本発明の実施形態が説明されたが、記載された発明の範囲と精神から逸脱することなく、変形が各部の構造と関係に施されることは、当業者にとって自明である。
【符号の説明】
【0044】
100 車両用灯具
110 レンズ
120 エクステンション
130 インナーレンズA
140 インナーレンズB
150 LEDユニット
151 LEDバルブ
160 ハウジング
161 ベース部
162 第1の固定部
162a 側方支持部
162b 側方支持部
162c 爪部
162d 爪部
163 第2の固定部
163a 側方支持部
163b 側方支持部
163c 爪部
163d 爪部
164 底面支持部
200 バルブ保持ブラケット
210 内筒
211 リブ
212 リブ
212a 抑え部
213 リブ
213a 抑え部
214 リブ
214a 抑え部
215 リブ
215a 抑え部
216 リブ
216a 抑え部
220 バルブ受け口
221 雄部
221a 返し部
221b 係合突起
222 雄部
222a 返し部
222b 係合突起
231 雌部
232 雌部
233 雌部
234 雌部
235 雌部