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特許7546376流体可視化装置、流体可視化方法及び流体可視化プログラム
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  • 特許-流体可視化装置、流体可視化方法及び流体可視化プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】流体可視化装置、流体可視化方法及び流体可視化プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01P 13/00 20060101AFI20240830BHJP
【FI】
G01P13/00 D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020074936
(22)【出願日】2020-04-20
(65)【公開番号】P2021173549
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】515086908
【氏名又は名称】株式会社トヨタプロダクションエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】椛島 治樹
(72)【発明者】
【氏名】松山 勝太郎
【審査官】櫻井 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-138218(JP,A)
【文献】特開2000-283993(JP,A)
【文献】特開平11-211743(JP,A)
【文献】特開平11-064359(JP,A)
【文献】特開平08-122354(JP,A)
【文献】国際公開第2008/156022(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/704- 1/716
G01P 5/00 - 5/26
G01P 13/00 - 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体中に散布されたトレーサ粒子にレーザ光を照射するための複数の光源装置と、
前記レーザ光を照射されたトレーサ粒子を撮影する撮影装置と、
前記複数の光源装置と前記撮影装置とに接続され、前記複数の光源装置と前記撮影装置とのそれぞれのオン/オフを制御する1又は複数の制御部と、
前記撮影装置によって撮影された画像データを受信する受信部と、
前記受信部によって受信された前記画像データを記憶する記憶部と、
前記記憶部に接続され、前記記憶部に記憶された前記画像データをもとに、前記トレーサ粒子の運動を計算し、前記流体の流動状態を計測する、解析部と、
を備え、
前記複数の光源装置は、一の光源装置のみが一定時間x on だけオン状態を持続したのち全ての光源装置が一定時間x off だけオフ状態となり、続いて別の一の光源装置のみが同じ一定時間x on だけオン状態を持続したのち再び全ての光源装置が一定時間x off だけオフ状態となるということを全ての光源装置で順次繰り返すようになっており、
前記撮影装置は一定の周期x で露光を行うようになっており、
前記撮影装置の露光周期x は、x off 以上であり、かつ、x=x on +x off の期間に2回以上の露光がなされるように設定されていることを特徴とする流体可視化装置。
【請求項2】
前記レーザ光はシートレーザであることを特徴とする請求項1に記載の流体可視化装置。
【請求項3】
流体中に散布されたトレーサ粒子に複数の光源装置を用いてレーザ光を照射するステップと、
前記レーザ光を照射されたトレーサ粒子を撮影装置を用いて撮影するステップと、
撮影された画像データを記憶するステップと、
前記記憶された画像データを用いて前記トレーサ粒子の運動を解析するステップと、
を備え、
前記複数の光源装置は、一の光源装置のみが一定時間x on だけオン状態を持続したのち全ての光源装置が一定時間x off だけオフ状態となり、続いて別の一の光源装置のみが同じ一定時間x on だけオン状態を持続したのち再び全ての光源装置が一定時間x off だけオフ状態となるということを全ての光源装置で順次繰り返すようになっており、
前記撮影装置は一定の周期x で露光を行うようになっており、
前記撮影装置の露光周期x は、x off 以上であり、かつ、x=x on +x off の期間に2回以上の露光がなされるように設定されていることを特徴とする流体可視化方法。
【請求項4】
プロセッサにより実行されたときに、前記プロセッサに、流体可視化方法を実行させる命令を含むコンピュータ読取可能記憶媒体であって、前記方法は、
流体中に散布されたトレーサ粒子に複数の光源装置を用いてレーザ光を照射するステップと、
前記レーザ光を照射されたトレーサ粒子を撮影装置を用いて撮影するステップと、
撮影された画像データを記憶するステップと、
前記記憶された画像データを用いて前記トレーサ粒子の運動を解析するステップと、
を備え、
前記複数の光源装置は、一の光源装置のみが一定時間x on だけオン状態を持続したのち全ての光源装置が一定時間x off だけオフ状態となり、続いて別の一の光源装置のみが同じ一定時間x on だけオン状態を持続したのち再び全ての光源装置が一定時間x off だけオフ状態となるということを全ての光源装置で順次繰り返すようになっており、
前記撮影装置は一定の周期x で露光を行うようになっており、
前記撮影装置の露光周期x は、x off 以上であり、かつ、x=x on +x off の期間に2回以上の露光がなされるように設定されていることを特徴とするコンピュータ読取可能記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体可視化装置、流体可視化方法及び流体可視化プログラムに関し、特に、流体の流動状態を計測する流体可視化装置、流体可視化方法及び流体可視化プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
気流等の流体の流動状態を計測するための方法として、粒子画像流速測定法(Particle Image Velocimetry、PIV)が知られている(特許文献1乃至3参照)。PIVは、領域内に散布した微小トレーサ粒子に対してシートレーザを照射し、可視化されたトレーサ粒子を撮影することにより、シートレーザによる計測断面におけるトレーサ粒子の流動状態を計測する方法である。この方法において、流体の流動状態を3次元的に計測するためには、複数の計測断面における計測が必要である。複数の計測断面を計測する場合、複数のレーザを切り替えて照射し、撮影装置のオンのタイミングと複数のレーザのそれぞれのオンのタイミングを同期させることで、複数の計測断面における計測が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-138218号公報
【文献】特開2008-26033号公報
【文献】特開2010-117190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
流体の流動状態の精度良い計測のためには、複数のレーザを高速に切り替える必要がある。しかしながら、複数のレーザを高速に切り替えると、レーザの電圧の立ち上がりの途中で電圧が下降する等、レーザがオンになる時間が短くなる恐れがあり、複数のレーザと撮影装置を高速で同期させることが困難になる。さらに、レーザや撮影装置の変更等の度に同期を調整する必要が生じ、容易かつ迅速に計測することが出来なくなる。
【0005】
上記問題点を鑑み、本発明は、レーザ照射と撮影装置の露光を同期させることなく撮影を行うことにより、流体の流動状態の3次元的な計測を容易かつ迅速に行うことを可能にする流体可視化装置、流体可視化方法及び流体可視化プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、流体可視化装置であって、流体中に散布されたトレーサ粒子にレーザ光を照射するための複数の光源装置と、レーザ光を照射されたトレーサ粒子を撮影する撮影装置と、複数の光源装置と撮影装置とに接続され、複数の光源装置と撮影装置とのそれぞれのオン/オフを制御する1又は複数の制御部と、撮影装置によって撮影された画像データを受信する受信部と、受信部によって受信された画像データを記憶する記憶部と、記憶部に接続され、記憶部に記憶された画像データをもとに、トレーサ粒子の運動を計算し、流体の流動状態を計測する、解析部と、を備え、複数の光源装置のオン/オフの周期をx、複数の光源装置のすべてがオフ状態である期間をxoff、複数の光源装置のそれぞれがオン状態を持続する期間をxon、複数の光源装置のうちの1つがオンとなったのち複数の光源装置のすべてがオフとなる動作を複数の光源装置の全てにおいて繰り返し、x=xon+xoffであり、撮影装置の露光回数は複数の光源装置のオン/オフ周期xの1周期の間に2回以上であり、撮影装置の露光周期はxoff以上であることを要旨とする。
【0007】
本発明の第1の態様において、レーザ光はシートレーザであってよい。
【0008】
本発明の第2の態様は、流体可視化方法であって、流体中に散布されたトレーサ粒子に複数の光源装置を用いてレーザ光を照射するステップと、レーザ光を照射されたトレーサ粒子を撮影装置を用いて撮影するステップと、撮影された画像データを記憶するステップと、記憶された画像データを用いてトレーサ粒子の運動を解析するステップと、を備え、複数の光源装置のオン/オフの周期をx、複数の光源装置のすべてがオフ状態である期間をxoff、複数の光源装置のそれぞれがオン状態を持続する期間をxon、複数の光源装置のうちの1つがオンとなったのち複数の光源装置のすべてがオフとなる動作を複数の光源装置の全てにおいて繰り返し、x=xon+xoffであり、撮影装置の露光回数は複数の光源装置のオン/オフ周期xの1周期の間に2回以上であり、撮影装置の露光周期はxoff以上であることを要旨とする。
【0009】
本発明の第3の態様は、プロセッサにより実行されたときに、前記プロセッサに、流体可視化方法を実行させる命令を含むコンピュータ読取可能記憶媒体であって、方法は、流体中に散布されたトレーサ粒子に複数の光源装置を用いてレーザ光を照射するステップと、レーザ光を照射されたトレーサ粒子を撮影装置を用いて撮影するステップと、撮影された画像データを記憶するステップと、記憶された画像データを用いてトレーサ粒子の運動を解析するステップと、を備え、複数の光源装置のオン/オフの周期をx、複数の光源装置のすべてがオフ状態である期間をxoff、複数の光源装置のそれぞれがオン状態を持続する期間をxon、複数の光源装置のうちの1つがオンとなったのち複数の光源装置のすべてがオフとなる動作を複数の光源装置の全てにおいて繰り返し、x=xon+xoffであり、撮影装置の露光回数は複数の光源装置のオン/オフ周期xの1周期の間に2回以上であり、撮影装置の露光周期はxoff以上であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、レーザ照射と撮影装置の露光を同期させることなく撮影を行うことにより、流体の流動状態の3次元的な計測を容易かつ迅速に行うことを可能にする流体可視化装置、流体可視化方法及び流体可視化プログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る流体可視化装置の一例を示す模式図である。
図2図1の流体可視化装置の構成を示すブロック図である。
図3図1の流体可視化装置による計測の際のレーザ照射と撮影装置の露光のタイミング図である。
図4図3のレーザ照射のタイミングをずらした場合のタイミング図である。
図5図3の一部を拡大したタイミング図である。
図6】本実施形態に係る流体可視化方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。実施形態に係る図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各部材の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0013】
又、実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、各構成要素の構成や配置、レイアウト等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0014】
(実施形態)
本発明の実施形態に係る流体可視化装置の一例を図1に示す。図1に示す流体可視化装置10は、撮影装置101、第1光源装置102a、第2光源装置102b、第3光源装置102c、図示しないが、撮影装置101と第1~第3光源装置102a~102cとのそれぞれに接続され、これらを制御する制御装置、撮影装置101に接続され、得られた画像データから流体の流動状態を解析する解析装置から構成される。図1に示す流体可視化装置は、第1光源装置102aがオンの状態であり、第1光源装置102aからレーザ光104が照射されている。レーザ光104は、流体の計測する領域に向けて照射されている。計測領域内にはトレーサ粒子103が散布されており、第1光源装置102aから照射されたレーザ光104によってトレーサ粒子103は可視化されている。第1~第3光源装置102a~102cは、ここではシートレーザ発信機である。以下、第1~第3光源装置102a~102cを第1~第3シートレーザ光源装置102a~102cとする。
【0015】
図1に示す流体可視化装置の構成を図2に示す。撮影装置101、第1シートレーザ光源装置102a、第2シートレーザ光源装置102b、第3シートレーザ光源装置102cはそれぞれ制御部201に接続されており、制御部201によってそれぞれのオン/オフが制御されている。制御部201は設定部202に接続されており、設定部202によって撮影装置101、第1シートレーザ光源装置102a、第2シートレーザ光源装置102b、第3シートレーザ光源装置102cのそれぞれのオン/オフのタイミングが設定される。撮影装置101は、さらに受信部203に接続され、撮影装置101によって撮影された画像データは受信部203に送信される。受信部203はさらに記憶部204に接続され、撮影装置101によって撮影された画像データは記憶部204に記憶される。記憶部204は解析部205に接続され、解析部205において、記憶部204に記憶された画像データをもとに、流体の流動状態が解析される。
【0016】
なお、図2では1つの制御部201が撮影装置101と第1~第3シートレーザ光源装置102a~102cのオン/オフを制御している。しかしながら、後述するように、本発明の実施形態に係る流体可視化装置によれば、撮影装置101と第1~第3シートレーザ光源装置102a~102cのオン/オフの同期をとる必要がない。従って、複数の制御部が撮影装置101と第1~第3シートレーザ光源装置102a~102cのそれぞれのオン/オフを個別に制御してもよい。
【0017】
また、本実施形態に係る流体可視化装置は第1~第3シートレーザ光源装置102a~102cの3つの光源装置を備えているが、第1~第3シートレーザ光源装置102a~102cはシートレーザ発信器であるので、流体の流動状態を3次元的に計測するためには、少なくとも2つの光源装置があればよい。これらの光源装置は、これらの光源装置から照射されるシートレーザが互いに平行となるように配置されていてもよく、また互いに平行とならないように配置されていてもよい。
【0018】
図1の流体可視化装置による計測の際のレーザ照射と撮影装置の露光のタイミング図を図3及び図4に示す。横軸は時間tであり、縦軸は第1シートレーザ光源装置102a、第2シートレーザ光源装置102b、第3シートレーザ光源装置102c、撮影装置101のそれぞれのオン/オフを表している。なお、図3図4とでは、第1~第3シートレーザ光源装置102a~102cと、撮影装置101のオン/オフのタイミングが異なっている。
【0019】
図5は、図3の一部を拡大した図である。図5では第1~第3シートレーザ光源装置102a~102cのオン/オフのタイミングを重ねて表示している。図3及び図5に示すように、第1シートレーザ光源装置102a、第2シートレーザ光源装置102b、第3シートレーザ光源装置102cの順にレーザ照射を行うとする。第1シートレーザ光源装置102aがオンになってから第2シートレーザ光源装置102bがオンになるまで、第2シートレーザ光源装置102bがオンになってから第3シートレーザ光源装置102cがオンになるまで、及び第3シートレーザ光源装置102cがオンになってから第1シートレーザ光源装置102aがオンになるまでの時間、即ち光源の周期をx[s]とする。図5に示すように、第1~第3シートレーザ光源装置102a~102cのそれぞれはxon[s]の間オン状態を持続したのち、xoff[s]の間オフ状態を持続する。従って、x=xon+xoffである。図3図4及び図5に示すように、撮影装置101の露光回数を、光源の1周期につき2回以上とする。また、撮影装置101の露光周期、即ち露光と次の露光との間の時間xは、xoff[s]以上、即ちx≧xoffとする。
【0020】
第1~第3シートレーザ光源装置102a~102c及び撮影装置101のオン/オフのタイミングとして、上記のように露光回数及び露光周期を設定することにより、光源の1周期内の複数回の露光のうち、少なくとも1回は光源装置がオンの状態のときに露光する。従って、第1~第3シートレーザ光源装置102a~102cのオンのタイミングに対して撮影装置101のオンのタイミングの同期をとることなく、第1~第3シートレーザ光源装置102a~102cのそれぞれによってレーザ照射されたときの画像データを得ることが出来る。
【0021】
図3に示すように、t1における撮影装置101のオンのタイミングにおいて第1シートレーザ光源装置102aがオンになっており、第1シートレーザ光源装置102aによってレーザ照射されたときの画像データを得ることが出来る。t2における撮影装置101のオンのタイミングにおいて第1~第3シートレーザ光源装置102a~102cのいずれもオンになっておらず、画像データを得ることが出来ない。t3における撮影装置101のオンのタイミングにおいて第2シートレーザ光源装置102bがオンになっており、第2シートレーザ光源装置102bによってレーザ照射されたときの画像データを得ることが出来る。このように、1つおきの撮影装置101のオンのタイミングにおいて画像データを得ることが出来る。
【0022】
図4に示す第1~第3シートレーザ光源装置102a~102cのオンのタイミングは、図3に示すタイミングと比較すると、xoff[s]のずれが生じている。このことにより、t1における撮影装置101のオンのタイミングにおいて第1~第3シートレーザ光源装置102a~102cのいずれもオンになっておらず、画像データを得ることが出来ない。t2における撮影装置101のオンのタイミングにおいて第1シートレーザ光源装置102aがオンになっており、第1シートレーザ光源装置102aによってレーザ照射されたときの画像データを得ることが出来る。このように、撮影装置101の露光回数を、光源の1周期につき2回以上とし、撮影装置101の露光周期xがx≧xoffを満たすように第1~第3シートレーザ光源装置102a~102c及び撮影装置101のオンのタイミングを設定すれば、第1~第3シートレーザ光源装置102a~102cと撮影装置101のオンのタイミングの同期をとることなく、第1~第3シートレーザ光源装置102a~102cのそれぞれによってレーザ照射されたときの画像データを得ることが出来る。
【0023】
図6に示すフローチャートを参照しながら、本実施形態に係る流体可視化方法を説明する。ステップS601において、流体中に散布されたトレーサ粒子に第1~第3シートレーザ光源装置102a~102cを用いてレーザ光を照射する。ここで、第1~第3シートレーザ光源装置102a~102cのオン/オフのタイミングは、図3図4及び図5に示すタイミングで行う。すなわち、第1~第3シートレーザ光源装置102a~102cのオン/オフの周期をx、すべてがオフ状態である期間をxoff、それぞれがオン状態を持続する期間をxon、x=xon+xoffであるとし、第1~第3シートレーザ光源装置102a~102cのうち、1つがオンとなったのちすべてがオフとなる動作を第1~第3シートレーザ光源装置102a~102cのすべてについて繰り返すように第1~第3シートレーザ光源装置102a~102cのオン/オフを制御する。
【0024】
ステップS602において、レーザ光を照射されたトレーサ粒子を撮影装置101を用いて撮影する。ここで、撮影装置の露光のタイミングについても、図3図4及び図5に示すタイミングで行う。すなわち、撮影装置の露光回数は第1~第3シートレーザ光源装置102a~102cのオン/オフ周期xの1周期の間に2回以上であり、かつ撮影装置の露光周期はxoff以上となるように撮影装置の露光のタイミングを制御する。
【0025】
ステップS603において、撮影装置101によって撮影された画像データを受信部203を介して記憶部204に記憶する。
【0026】
ステップS604において、記憶部204に記憶された画像データを用いて解析部205においてトレーサ粒子の運動を解析する。
【0027】
以上述べたように、本実施形態に係る流体可視化装置によれば、第1~第3シートレーザ光源装置102a~102cと撮影装置101のオンのタイミングの同期をとることなく、流体の流動状態を3次元的に計測することができる。このため、複数の光源を高速に切り替えて流体の流動状態の3次元的な計測を行うことが可能になる。更に、光源や撮影装置の変更等の度に同期を調整する必要がなく、容易かつ迅速に計測することが可能となる。
【0028】
以上、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0029】
101 撮影装置
102a~102c 第1~第3シートレーザ光源装置
103 トレーサ粒子
104 レーザ光
201 制御部
202 設定部
203 受信部
204 記憶部
205 解析部
図1
図2
図3
図4
図5
図6