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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】切断治具および光ファイバの切断方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/25 20060101AFI20240830BHJP
【FI】
G02B6/25
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020089150
(22)【出願日】2020-05-21
(65)【公開番号】P2020194159
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2023-05-12
(31)【優先権主張番号】P 2019097855
(32)【優先日】2019-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【弁理士】
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】岡田 一正
(72)【発明者】
【氏名】清島 啓太
(72)【発明者】
【氏名】辻田 雄一
【審査官】堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0099121(US,A1)
【文献】特開昭59-000119(JP,A)
【文献】国際公開第96/033430(WO,A1)
【文献】米国特許第06510271(US,B1)
【文献】特開2004-117794(JP,A)
【文献】特開昭62-027706(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0126414(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/25 - 6/255
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバの先端部が第1方向に挿通される挿通穴を有し、前記先端部が前記挿通穴に挿通された状態で前記先端部を固定する固定部材と、
前記第1方向において前記固定部材の一方側に配置され、前記固定部材に対して前記第1方向と直交する第2方向に移動可能な保持部材と、
前記保持部材に固定された傾斜付与部および刃部と、
を備え、
前記先端部は、
前記先端部が前記固定部材に固定された状態で前記固定部材に固定される基端部と、
前記先端部が前記固定部材に固定された状態で前記基端部より前記第1方向一方側に位置し、前記固定部材に固定されない遊端部とを有し、
前記保持部材は、
前記第2方向に延び、前記先端部が前記固定部材に固定された状態で前記遊端部が挿通され、前記傾斜付与部と前記遊端部とが接触する前の、前記固定部材に対する前記保持部材の第1移動、および、前記傾斜付与部と前記遊端部とが接触した後の、前記固定部材に対する前記保持部材の第2移動に伴って、前記遊端部を案内可能であるスリットを有し、
前記傾斜付与部は、前記第1方向において前記保持部材の一方側に配置されるか、または、前記スリット内に配置され、
前記刃部は、前記第1方向において前記保持部材の他方側に配置され、
前記傾斜付与部との接触により傾斜した前記遊端部が、前記刃部の刃先と接触する、切断治具。
【請求項2】
前記固定部材は、前記保持部材に移動可能に取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の切断治具。
【請求項3】
前記傾斜付与部は、前記スリットの開口端縁の一部を閉塞する閉塞部材の端部であることを特徴とする、請求項1または2に記載の切断治具。
【請求項4】
前記傾斜付与部は、前記スリットの一部を充填する充填部材の端部であることを特徴とする、請求項1または2に記載の切断治具。
【請求項5】
前記傾斜付与部は、前記保持部材において前記スリットの延びる方向一端縁を仕切る内端縁であることを特徴とする、請求項1または2に記載の切断治具。
【請求項6】
記刃先が、前記スリットに対して傾斜することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の切断治具。
【請求項7】
前記基端部の周囲に固着する固着部材が、前記固定部材に嵌め込まれていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の切断治具。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の切断治具を用いて光ファイバを切断する方法であって、
前記先端部を前記固定部材に挿通し、前記基端部を前記固定部材に固定する第1工程、
前記保持部材を前記固定部材に対して移動させ、前記傾斜付与部を前記遊端部に接触させて、前記遊端部を傾斜させる第2工程、
前記保持部材を前記固定部材に対してさらに移動させ、前記刃部の刃先を前記遊端部に接触させて、前記遊端部を切断する第3工程
を備えることを特徴とする、光ファイバの切断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断治具および光ファイバの切断方法に関し、詳しくは、切断治具、および、それを用いる光ファイバの切断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、光ファイバの先端部を、切断面(端面)が伝送方向に垂直となるように切断し、かかる端面を他の光学部材に接続することが知られている。
【0003】
近年、光ファイバの先端部の切断方法として、先端部を斜めに切断する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この方法であれば、光が端面で反射し、これに起因する反射光が後端部に接続される光デバイスへ戻ることを防止できる。
【0004】
特許文献1では、光ファイバの軸方向の異なる二カ所を保持具で固定した後、二カ所の固定点の間において、光ファイバの下面に押し具を押し当てて、光ファイバを上側に変形させ、その後、光ファイバの上面に刃の刃先を垂直方向から当てて、光ファイバを切断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-300597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の装置では、押し具の光ファイバへの移動と、刃の光ファイバへの移動とが別々である。そのため、押し具および刃を駆動させるための駆動装置がそれぞれが必要となる。その結果、装置構成、および、制御が複雑となるという不具合がある。
【0007】
また、押し具の移動量(押し量)を作業毎に正確にコントロールできないと、変形した光ファイバと、刃の移動方向とがなす角度が、作業毎に異なり易く、そのため、端面の形成精度が低くなるという不具合がある。
【0008】
本発明は、装置構成を簡易にでき、かつ、遊端部を、簡便に、基端部の直交方向に対して傾斜するように切断でき、さらに、光ファイバの切断面の形成精度を向上させることができる切断治具および光ファイバの切断方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明(1)は、光ファイバの先端部が挿通するための固定部材と、前記固定部材に対して移動可能であり、前記先端部を切断するための切断ユニットとを備え、前記先端部は、前記固定部材に固定される基端部と、前記基端部より先側に位置し、前記固定部材に固定されない遊端部とに区画されるように、構成されており、前記切断ユニットは、互いに相対移動不能な傾斜付与部および刃部を備え、前記切断ユニットは、前記固定部材に対して移動する第1移動と、前記第1移動に続いて、前記第1移動の移動量より多い移動量で、前記固定部材に対して移動する前記第2移動とを実施可能であり、前記傾斜付与部は、前記切断ユニットの前記第1移動に基づき、前記傾斜付与部と前記遊端部とが接触して、前記遊端部が、前記基端部を光の伝送方向に沿って延長した延長線に対して移動して傾斜するように、構成され、前記刃部は、前記切断ユニットの前記第2移動に基づき、前記刃部の刃先と前記遊端部とが接触するように、構成されている、切断治具を含む。
【0010】
この切断治具では、光ファイバの先端部を固定部材に挿通して固定し、切断ユニットの固定部材に対する第1移動に基づき、傾斜付与部と遊端部とが接触することによって、遊端部が傾斜し、第1移動に続いて、切断ユニットの固定部材に対する第2移動に基づき、刃先と遊端部とが接触して、遊端部を切断する。そのため、第2移動の移動方向に沿う方向、つまり、遊端部における固定部材の移動方向に傾斜する方向に沿う切断面を光ファイバの遊端部に形成することができる。
【0011】
また、この切断治具は、互いに相対移動不能な傾斜付与部および刃部を備える切断ユニットを備えるので、それぞれが独立して動く押し具および刃部を備える特許文献1の装置に比べて、構成が簡易である。
【0012】
さらに、互いに相対移動不能な傾斜付与部および刃部を、固定部材に対して移動させるので、互いに相対移動可能な傾斜付与部および刃部を備えるよりも、遊端部を刃先によって簡便に切断できる。
【0013】
しかも、傾斜付与部および刃部は、互いに相対移動不能であるので、刃先が遊端部に接触するときにおける、遊端部の傾斜状態を画一的にすることができる。そのため、光ファイバの切断面の形成精度を向上させることができる。
【0014】
本発明(2)は、前記切断ユニットは、前記刃部を保持する保持部材をさらに備え、前記保持部材には、前記固定部材が移動可能に取り付けられている、(1)に記載の切断治具を含む。
【0015】
この切断治具では、保持部材が、切断ユニットにおいて、刃部を保持するので、保持部材によって、刃部を固定部材に対して確実に移動させることができる。
【0016】
本発明(3)は、前記傾斜付与部が、前記保持部材に取り付けられている、(2)に記載の切断治具を含む。
【0017】
この切断治具では、傾斜付与部が保持部材に取り付けられているので、構成が簡易である。
【0018】
本発明(4)は、前記保持部材は、前記第1移動および前記第2移動に伴って、前記遊端部を案内可能なスリットを有する、(3)に記載の切断治具を含む。
【0019】
この切断治具では、スリットによって、第1移動および第2移動において、遊端部を案内できるので、遊端部を円滑に傾斜および切断することができる。
【0020】
本発明(5)は、前記スリットの開口端縁の一部を閉塞する閉塞部材をさらに備え、前記閉塞部材の端部が、前記傾斜付与部である、(4)に記載の切断治具を含む。
【0021】
この切断治具では、閉塞部材によって、傾斜付与部を簡易に構成することができる。
【0022】
本発明(6)は、前記スリットの一部を充填する充填部材をさらに備え、前記充填部材の端部が、前記傾斜付与部である、(4)に記載の切断治具を含む。
【0023】
この切断治具では、充填部材によって、傾斜付与部を簡易に構成することができる。
【0024】
本発明(7)は、前記保持部材において前記スリットの延びる方向一端縁を仕切る内端縁が、前記傾斜付与部である、(4)に記載の切断治具を含む。
【0025】
この治具では、保持部材が、上記した(5)の閉塞部材または(6)の充填部材を備える必要がないので、部品点数を低減できながら、保持部材の内端縁によって、傾斜付与部を簡易に構成することができる。
【0026】
本発明(8)は、前記刃先が、前記遊端部における光の伝送方向、および、前記刃部の移動方向、に対する直交方向に対して傾斜する、(1)~(7)のいずれか一項に記載の切断治具を含む。
【0027】
この切断治具では、刃先が直交方向に対して傾斜するので、直交方向に沿う場合よりも、小さな圧力で、光ファイバを切断することができる。
【0028】
本発明(9)は、前記基端部の周囲に固着する固着部材が、前記固定部材に嵌め込まれている、(1)~(8)のいずれか一項に記載の切断治具を含む。
【0029】
この切断治具では、基端部の周囲に固着する固着部材が、固定部材に嵌め込まれているので、基端部を固定部材に確実に固定しながら、遊端部を切断できる。そのため、光ファイバの切断面の形成精度をより確実にすることができる。
【0030】
本発明(10)は、(1)~(9)のいずれか一項に記載の切断治具を用いて光ファイバを切断する方法であって、前記先端部を前記固定部材に挿通し、前記基端部を前記固定部材に固定する第1工程、前記切断ユニットを前記固定部材に対して移動させ、前記傾斜付与部を前記遊端部に接触させて、前記遊端部を傾斜させる第2工程、前記切断ユニットを前記固定部材に対してさらに移動させ、前記刃部の刃先を前記遊端部に接触させて、前記遊端部を切断する第3工程を備える、光ファイバの切断方法を含む。
【0031】
この光ファイバの切断方法では、固定部材に対して、傾斜付与部および刃部がともに移動するので、遊端部の傾斜および切断を簡便に実施できる。そのため、傾斜する切断面を簡便、かつ、精度よく形成することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明の切断治具は、構成が簡易であり、遊端部を刃先によって簡便に切断できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1は、本発明の切断治具の一実施形態の切断治具を後側から見た斜視図である。
図2図2は、図1に示す切断治具の分解斜視図である。
図3図3は、図1に示す切断治具であって、後壁を省略した斜視図である。
図4図4は、図3に示す切断治具であって、後壁および固定ユニットを省略した斜視図である。
図5図5は、図1に示す切断治具の側断面図である。
図6図6A図6Dは、図5に示す切断治具を用いて光ファイバを切断する方法の工程図であり、図6Aが、切断治具および光コネクタを準備する備工程、図6Bが、遊端部を傾斜させる第2工程、図6Cが、遊端部を切断する第3工程、図6Dが、固定ユニットを筐体内に収容する工程を示す。
図7図7は、図2に示す切断治具の閉塞板、前壁および刃部の一側面図(前壁を透視した図)である。
図8図8は、図2に示す切断治具の閉塞板、前壁および刃部の他側面図である。
図9図9は、図7に示す切断治具の変形例であって、前壁および充填部の一側面図である。
図10図10A図10Dは、図9に示す切断治具を用いて光ファイバを切断する方法の変形例の工程図であり、図10Aが、切断治具および光コネクタを準備する備工程、図10Bが、遊端部を傾斜させる第2工程、図10Cが、遊端部を切断する第3工程、図10Dが、固定ユニットを筐体内に収容する工程を示す。
図11図11A図11Dは、図6A図6Dに示す切断治具を用いて光ファイバを切断する方法の変形例の工程図であり、図11Aが、切断治具および光コネクタを準備する備工程、図11Bが、遊端部を傾斜させる第2工程、図11Cが、遊端部を切断する第3工程、図11Dが、固定ユニットを筐体内に収容する工程を示す。
図12図12A図12Bは、2つの光ファイバを接続する工程図である。図12Aは、2つの切断面を対向させる工程である。図12Bは、2つの切断面が接触する工程である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の切断治具および光ファイバの切断方法の一実施形態を図1図8を参照して説明する。
【0035】
図5中、紙面左右方向は、前後方向(第1方向)であって、紙面右側が前側、紙面左側が後側である。紙面上下方向は、固定ユニット3(後述)の保持切断ユニット2(後述)に対する移動方向(前後方向と直交する第2方向)であって、紙面下側が移動方向他方側、紙面上側が移動方向一方側である。また、図7中、紙面左右方向は、幅方向(前後方向および移動方向と直交する第3方向)である。なお、各種方向は、各図に記載の方向に従う。
【0036】
図1および図5に示すように、切断治具1は、保持切断ユニット2と、固定ユニット3とを備える。また、切断治具1は、保持切断ユニット2および固定ユニット3を互いに移動可能に備えるが、この実施形態では、固定ユニット3が保持切断ユニット2に対して移動可能である。
【0037】
つまり、この実施形態の切断治具1では、固定ユニット3が保持切断ユニット2に対して移動するように、使用される態様を説明する。この実施形態では、図6A図6Dに示すように、切断治具1を使用して光ファイバ31を切断するときに、固定ユニット3は、他方側(紙面下側)から一方側(紙面上側)に向かって移動する。図5および図6Aは、上記移動前の切断治具1を示す。
【0038】
保持切断ユニット2は、光ファイバ31の先端部32を切断するためのユニットである。保持切断ユニット2は、保持部材の一例としての筐体4と、切断ユニットの一例としての傾斜切断ユニット5とを備える。
【0039】
図1に示すように、筐体4は、前後方向に薄い略箱形状を有する。筐体4は、正面視略五角形状を有する。図5に示すように、筐体4は、前筐体部材7と、後筐体部材6とを備える。
【0040】
図2および図3に示すように、前筐体部材7は、前壁10と、周壁11と、係止部14とを備える。
【0041】
図2および図4に示すように、前壁10は、板形状を有する。前壁10は、スリット12を有する。
【0042】
スリット12は、前壁10を前後方向に貫通する。スリット12は、移動方向に沿って延びる。スリット12の幅は、スリット12における光ファイバ31の先端部32の移動の許容するように設定されており、具体的には、光ファイバ31の断面視における最大長さ(具体的には、外径)より長い。
【0043】
図3および図4に示すように、係止部14は、前壁10の後面から後側に向かって突出する鉤形状を有し、前壁10の後面に配置されている。係止部14は、面方向(前壁10の後面に沿う方向)に互いに間隔を隔てて複数(2つ)配置されている。図4に示すように、例えば、2つの係止部14を結ぶ線分には、スリット12から移動方向一方側に延びる仮想線が交差する。
【0044】
周壁11は、前壁10の後面の周端部から後側に延びる側壁である。周壁11の移動方向他端部の幅方向中間部が切り欠かれている。これによって、筐体4には、その移動方向他端部の幅方向中間部を開放する開口部15が区画される。
【0045】
図1および図2に示すように、後筐体部材6は、前筐体部材7の後側に位置する。図2に示すように、後筐体部材6は、前後方向に薄い略板形状を有する後壁8である。後壁8は、後壁を前後方向に貫通する第1穴9を有する。
【0046】
第1穴9は、正面視略矩形状を有する。第1穴9は、移動方向に長い略矩形の開口である。図2および図5に示すように、第1穴9の移動方向他端部および一端部をそれぞれ仕切る第1面51および第2面52が、後壁8に含まれる。
【0047】
筐体4の材料としては、特に限定されず、例えば、樹脂、セラミックス、金属などが挙げられ、好ましくは、成形性の観点から、樹脂が挙げられる。樹脂としては、例えば、光ファイバ31の挿通状態や切断状態を容易に把握する観点から、アクリ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの透明樹脂が挙げられる。
【0048】
図2および図5に示すように、傾斜切断ユニット5は、刃部17と、閉塞部材の一例としての閉塞板21とを備える。好ましくは、傾斜切断ユニット5は、刃部17と、閉塞板21とのみを備える。
【0049】
図2および図3に示すように、刃部17は、前壁10の後側に配置されている。刃部17は、正面略矩形状を有しており、一の長辺に位置する刃先18を有する。刃先18は、スリット12(移動方向)に対して傾斜する。また、刃先18は、幅方向に対しても傾斜する。刃先18およびスリット12のなす角度は、例えば、20度以上、好ましくは、30度以上、また、例えば、70度以下、好ましくは、50度以下である鋭角を有する。上記した角度は、最も好ましくは、45度である。
【0050】
また、刃部17は、互いに対向する2つの短辺のそれぞれの中間部が切り欠かれた切欠部19を有する。2つの切欠部19のそれぞれは、2つの係止部14のそれぞれに係止されている。これにより、刃部17は、筐体4の前壁10に固定される。刃部17の材料としては、特に限定されず、例えば、金属、セラミックスなどが挙げられる。好ましくは、金属が挙げられる。
【0051】
図1および図5に示すように、閉塞板21は、前壁10の前面に配置されている。図1および図7に示すように、閉塞板21は、正面視略矩形の板形状を有する。閉塞板21は、正面視において、開口部15に向かう一端縁22を有する。一端縁22は、閉塞板21の前面(厚み方向一方面)の一端部および後面(厚み方向他方面)の一端部を連結する一の側面である。
【0052】
また、図8に示すように、閉塞板21の移動方向他端部の幅方向中間部46は、前後方向に投影したときに、スリット12の移動方向一端部に重複する。これにより、閉塞板21の移動方向他端部の幅方向中間部46は、スリット12の移動方向一端部の前端縁を閉塞する。閉塞板21の一端部の幅方向中間部46における一端縁22は、傾斜付与部の一例である。
【0053】
図6Aおよび図8に示すように、一端縁22は、前後方向に投影したときに、刃先18の移動方向他方側に位置する。換言すれば、一端縁22および刃先18が、移動方向一方側に向かって順に配置される。また、前後方向に投影したときの、一端縁22および刃先18には、間隔Lが隔てられる。この間隔Lは、遊端部34と一端縁22との距離、および/または、遊端部34を切断するときの切断面の目的とする傾斜によって適宜設定される。一端縁22と、刃先18の中点との間の間隔Lは、具体的には、例えば、0.1mm以上、好ましくは、1mm以上であり、また、例えば、10mm以下、好ましくは、5mm以下である。
【0054】
閉塞板21は、スリット12内(の空間)に配置されていない。前壁10におけるスリット12の周囲の前面が、閉塞板21に接触している。
【0055】
閉塞板21は、前壁10に固定(接着)(貼着)されている。これにより、閉塞板21は、筐体4に固定されている。
【0056】
そうすると、刃部17および閉塞板21は、ともに筐体4に固定されている。つまり、刃部17および閉塞板21は、互いに相対移動不能である。これにより、傾斜切断ユニット5は、筐体4に固定される。
【0057】
閉塞板21の材料は、特に限定されず、筐体4と同様の材料が挙げられる。好ましくは、筐体4の材料と、閉塞板21の材料とは、同一である。
【0058】
図5に示すように、固定ユニット3は、保持切断ユニット2に対して移動可能である。
固定ユニット3は、固定部材23と、案内部材24とを備える。
【0059】
固定部材23は、固定ユニット3における後部である。固定部材23は、光ファイバ31の先端部32を固定する。図2および図5に示すように、固定部材23は、固定板25と、固定筒部27とを一体的に備える。
【0060】
固定板25は、前後方向に薄い略平板形状を有する。また、固定板25は、移動方向に長い略矩形状を有する。固定板25は、後壁8に平行する。固定板25は、挿通穴26を有する。
【0061】
挿通穴26は、固定板25を前後方向に貫通する。挿通穴26は、固定板25における移動方向一端部に配置されている。挿通穴26は、例えば、丸穴である。挿通穴26は、光ファイバ31の先端部32の基端部33、および、コネクタ35の先端部(いずれも後述)が挿入(挿通)可能なサイズ(内径)を有する。
【0062】
固定筒部27は、固定板25の後面に配置されている。固定筒部27は、固定板25の後面から後側に向かって延びる。固定筒部27は、挿通穴26を囲んでいる。固定筒部27は、内筒41と、外筒42とを備える二重筒構造を有する。好ましくは、固定筒部27は、内筒41と、外筒42とのみを備える。
【0063】
内筒41は、挿通穴26を仕切っている。内筒41は、軸が挿通穴26と共通する略円筒形状を有する。
【0064】
外筒42は、内筒41の外側に間隔を隔てて配置されている。外筒42は、例えば、角筒形状を有する。外筒42は、後側に向かって、内筒41より長く延びる。また、外筒42は、固定ユニット3を保持切断ユニット2に対して移動させるときに、ユーザーに把持される把持部でもある。さらに、外筒42は、その内面に設けられる第1嵌め込み部28を有する。
【0065】
案内部材24は、固定部材23に前側に配置される。案内部材24は、前後方向に薄い板形状を有する。案内部材24は、固定板25に平行する。案内部材24は、厚肉部30と、薄肉部20とを一体的に備える。
【0066】
厚肉部30は、案内部材24の移動方向他端部に位置する。厚肉部30の後面は、固定板25の前面に固定されている。厚肉部30の移動方向他端面と、固定板25の移動方向他端面とは、面一であって、固定ユニット3における1つの移動方向他端面を形成する。
【0067】
薄肉部20は、厚肉部30の移動方向一方側に位置する。薄肉部20は、厚肉部30より薄い。具体的には、薄肉部20の前面は、厚肉部30の前面と面一である。薄肉部20の後面は、厚肉部30の後面の前側に間隔を隔てて配置されている。また、薄肉部20の後面と、固定板25の前面との間には、案内溝16が形成されている。案内溝16は、刃先18の進入を受け入れ可能な受け入れ溝16である。案内溝16によって、固定板25、薄肉部20および厚肉部30は、移動方向一方側に向かって開放される側面視略コ字形状を形成する。
【0068】
また、薄肉部20は、案内穴29を有する。案内穴29は、薄肉部20を前後方向に貫通する。薄肉部20は、正面視において、挿通穴26と重複する。案内穴29は、例えば、丸穴である。案内穴29は、遊端部34が傾斜して移動可能なサイズ(内径)を有する。好ましくは、案内穴29は、挿通穴26と同一サイズを有する。
【0069】
固定部材23は、固定板25および案内部材24の薄肉部20が前後方向において刃部17を挟みながら、刃先18に対して移動可能である。なお、固定筒部27が第1穴9内を移動する限りにおいて、固定部材23は、刃部17に対して移動可能である。
【0070】
切断治具1を得るには、図2に示すように、後筐体部材6、前筐体部材7、固定部材23、案内部材24、刃部17、および、閉塞板21のそれぞれを準備する。その後、例えば、案内部材24の薄肉部20を前筐体部材7の前壁10に対して配置し、続いて、刃部17の係止部14を前筐体部材7の係止部14(図3図4参照)に係止させるとともに、案内部材24の厚肉部30と、固定板25とを図示しない接着剤によって接着する。これにより、固定ユニット3を製造する。
【0071】
その後、後筐体部材6を、第1穴9に固定筒部27が挿入するように、前筐体部材7に対して配置する。このとき、後壁8および前壁10は、固定部材23、刃部17、案内部材24を挟む。また、後筐体部材6の後壁8と、前筐体部材7の周壁11とを図示しない接着剤によって接着(貼着)する。
【0072】
その後、図1および図2に示すように、閉塞板21を、前壁10に配置する。例えば、端面13がスリット12の移動方向一端部を横断するように、前壁10を閉塞板21に、図示しない接着剤によって接着する。これにより、保持切断ユニット2を製造する。
【0073】
これにより、保持切断ユニット2と、固定ユニット3とを備える切断治具1を得る。
【0074】
<切断方法>
次に、切断治具1を用いて光ファイバ31の先端部32を切断する方法を説明する。
【0075】
この方法は、切断治具1および光ファイバ31のそれぞれを準備する準備工程(図5参照)、光ファイバ31の基端部33を固定部材23に固定する第1工程(図6A参照)、遊端部34を傾斜させる第2工程(図6B参照)、および、遊端部34を切断する第3工程(図6C参照)を順に備える。
【0076】
<準備工程>
図5に示すように、準備工程では、例えば、固定筒部27を把持して、第1穴9において移動方向他端部に移動させる。このとき、固定筒部27を、第1穴9内を移動方向他方側にスライドさせる。具体的には、固定筒部27の移動方向他端部を後壁8の第1面51に接触させる。他方、固定筒部27の移動方向一端部は、後壁8の第2面52と間隔が隔てられる。
【0077】
挿通穴26および案内穴29は、前後方向に投影したときに、スリット12の移動方向他端部に重複し、閉塞板21とずれる。上記した固定筒部27の移動では、挿通穴26および案内穴29が、スリット12に対応する一端縁22および刃先18(図8参照)から遠ざかるように、保持切断ユニット2に対して移動する。
【0078】
図3に示すように、なお、上記した固定ユニット3の移動後においても、固定部材23および固定板25の移動方向一端部の幅方向一端部は、刃部17を前後方向に挟んでいる。固定部材23および固定板25の移動方向一端部の幅方向他端部は、刃部17とずれている。
【0079】
図5に示すように、光ファイバ31は、光の伝送方向に沿って長く延びる。光ファイバ31は、例えば、断面視略円形状を有する。光ファイバ31の材料としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂、例えば、ガラスなどのセラミックスなどの透明材料が挙げられる。透明材料として、好ましくは、優れた取扱性を確保する観点から、樹脂が挙げられる。
【0080】
光ファイバ31の先端部32(伝送方向一端部)には、固着部材の一例としてのコネクタ35が取り付けられている。
【0081】
コネクタ35は、光ファイバ31の先端部32を別の光学部材(図示せず)に接続に接続するためのジョイントである。コネクタ35は、略筒(具体的には、円筒)形状を有する。コネクタ35は、先端部32の基端部33の周囲に固着するが、先端部32において基端部33より先側(伝送方向一方側)に位置する遊端部34の周囲には固着しない。コネクタ35の上記した固着の有無によって、光ファイバ31の先端部32は、上記した基端部33と遊端部34とに区画される。光ファイバ31は、コネクタ35とともに、光ファイバコネクタ37として準備される。光ファイバコネクタ37は、光ファイバ31の先端部32と、コネクタ35とを含む。
【0082】
なお、コネクタ35の先端部は、コネクタ内先筒43と、それの径方向外側に間隔を隔てて配置されるコネクタ外差先筒44とを備える二重筒構造を有する。
【0083】
光ファイバコネクタ37は、例えば、特開2014-71174号公報、特開2013-257366号公報、特開2016-9041号公報、特開2013-68668号公報、特開2010-286795号公報、特開2010-511439号公報、2011-75743号公報などの記載に従って、準備される。
【0084】
なお、コネクタ35の外周面には、第1嵌め込み部28と互いに嵌め込み可能な第2嵌め込み部36が設けられる。第2嵌め込み部36は、ラッチと称呼される場合がある。第2嵌め込み部36は、コネクタ35における移動方向一方側に設けられてもよい。
【0085】
<第1工程>
図5の矢印および図6Aに示すように、第1工程では、基端部33を固定部材23に固定する。第1工程では、具体的には、まず、光ファイバ31の遊端部34を、固定ユニット3の後側から前側に向かって、挿通穴26、案内穴29およびスリット12を順に通過させる。
【0086】
このとき、遊端部34は、案内溝16を横断する。案内溝16を横断した遊端部34は、案内穴29によって、光ファイバ31における光の伝送方向に直交する方向の全方向(例えば、光ファイバ31の径方向)の移動が規制されながら、スリット12を通過する。
【0087】
遊端部34は、挿通穴26および案内穴29によって、光の伝送方向に直交する方向の全方向(例えば、径方向)の移動が規制される。そのため、案内溝16を横断する遊端部34は、前後方向に沿う。換言すれば、遊端部34は、少なくとも移動方向に実質的にはまだ傾斜していない。
【0088】
遊端部34の先端縁38は、閉塞板21よりも前側に配置される。
【0089】
次いで、基端部33を固定部材23に固定する。具体的には、図5の矢印に示すように、コネクタ内先筒43を内筒41内に挿入するとともに、コネクタ35のコネクタ外差先筒44を外筒42内に挿入する。要するに、コネクタ内先筒43およびコネクタ外差先筒44と、内筒41および外筒42とを互いに嵌め合わせる。また、第2嵌め込み部36を、固定筒部27の第1嵌め込み部28に嵌め込む。
【0090】
これにより、基端部33が固定部材23に強固に固定される。
【0091】
第1工程では、遊端部34は、刃部17の刃先18、および、閉塞板21の一端縁22に対して、移動方向他方側に間隔を隔てて配置される。遊端部34および一端縁22間の長さは、遊端部34および刃先18間の長さより、短い。
【0092】
<第2工程>
図6Bに示すように、第2工程では、遊端部34を傾斜させる。
【0093】
固定ユニット3を保持切断ユニット2に対して移動させ(第1移動)る。この第1移動に基づき、閉塞板21の一端縁22と、光ファイバ31の遊端部34とを接触させる。
【0094】
具体的には、固定筒部27を、第1穴9において、その移動方向他端部から移動方向中間部に移動させる。
【0095】
すると、光ファイバ31の遊端部34が、閉塞板21の一端縁22に接触する(無負荷で接触する)。
【0096】
続いて、固定筒部27をさらに移動させれば(第1移動させれば)、遊端部34が、基端部33を前後方向に延長した延長線ELに対して傾斜するように移動する。より具体的には、遊端部34の先端縁38が、延長線ELに対して移動方向他方側に移動する。つまり、遊端部34は、先端縁38に向かうに従って、延長線ELから離れるように、延長線ELに対して傾斜する。
【0097】
ただし、この第2工程では、遊端部34は、案内溝16において、まだ、刃先18に接触せず、移動方向に間隔が隔てられる。
【0098】
遊端部34と延長線ELとのなす角度は、例えば、1度以上、好ましくは、5度以上であり、また、例えば、30度以下、好ましくは、15度以下である。
【0099】
また、この第2工程の第1移動中にも、遊端部34は、スリット12内において、移動する。具体的には、遊端部34は、スリット12において、幅方向の移動が規制されながら、移動方向他方側に移動する。
【0100】
<第3工程>
続いて、図6Cに示すように、傾斜した遊端部34を切断する。
【0101】
固定筒部27を、第1穴9において、さらに移動方向一方側に移動させる(第2移動させる)。
【0102】
すると、案内溝16内の遊端部34が、刃先18に接触して、これによって、切断される。具体的には、遊端部34が、まず、刃先18に接触し、遊端部34が、刃先18に対して、移動方向に沿って、横断する。
【0103】
第3工程の第2移動では、第2工程の第1移動の移動量より多い移動量で、固定ユニット3が移動するので、切断されるときの遊端部34の傾斜の程度は、切断される前の遊端部34の傾斜に比べて、大きい。
【0104】
なお、上記した第2工程~第3工程中、刃先18は、一端縁22に対して不動であって、具体的には、一端縁22と、刃先18との間の間隔L(図6Aおよび図8参照)は、少なくとも第1工程~第3工程中、不変である。
【0105】
遊端部34は、延長線ELに対して傾斜しているので、刃先18の横断によって、先端部32に形成される切断面CLは、図6Cの拡大図に示すように、遊端部34における光の伝送方向に直交する方向に対して傾斜する。切断面CLと、上記直交する方向とのなす角度は、例えば、1度以上、好ましくは、5度以上であり、また、例えば、30度以下、好ましくは、15度以下である。
【0106】
また、図6Dに示すように、刃先18は、遊端部34は、その後端縁39を残して、切断される。
【0107】
第2工程および第3工程は、一連の動作で実施される。
【0108】
これにより、遊端部34は、その後端縁39を残して、基端部33から分離される。
【0109】
残る後端縁39の長さは、例えば、0.01mm以上、好ましくは、0.1mm以上であり、また、例えば、20mm以下、好ましくは、5mm以下である。
【0110】
その後、図6Dに示すように、固定ユニット3をさらに保持切断ユニット2に対して移動させて、固定部材23および案内部材24の移動方向他端部を、筐体4内に収容(退避)させる。これにより、固定ユニット3の移動方向他端面と、筐体4の移動方向他端面とが面一となる。
【0111】
その後、第1嵌め込み部28および第2嵌め込み部36の嵌め込みを解除して、光ファイバコネクタ37を固定ユニット3から脱離することにより、傾斜面が形成された先端部32を有する光ファイバ31が製造される。
【0112】
<一実施形態の作用効果>
そして、この切断治具1は、互いに相対移動不能な閉塞板21の一端縁22、および、刃部17を備える。光ファイバ31の先端部32を固定部材23に挿通して固定し、固定部材23の傾斜切断ユニット5に対する第1移動に基づき、一端縁22と遊端部34とが接触して、遊端部34が傾斜する。第1移動に続いて、固定部材23の傾斜切断ユニット5に対する第2移動に基づき、刃先18と遊端部34とが接触して遊端部34を、傾斜状態で切断する。そのため、遊端部34の第2方向に傾斜する方向に沿う切断面CLを、光ファイバ31の遊端部34に形成することができる。
【0113】
また、この切断治具1は、互いに相対移動不能な一端縁22および刃部17を備える傾斜切断ユニット5を備えるので、それぞれが独立して動く押し具および刃を備える特許文献1の装置に比べて、構成が簡易である。
【0114】
さらに、固定部材23を、互いに相対移動不能な一端縁22および刃部17に対して移動させるので、それぞれが独立して動く押し具および刃を備える特許文献1の装置よりも、簡便である。
【0115】
しかも、一端縁22および刃部17は、互いに相対移動不能であるので、刃部17の刃先18が遊端部34に接触するときにおける、遊端部34の傾斜状態を画一的にすることができる。そのため、光ファイバ31の切断面CLの形成精度を向上させることができる。
【0116】
また、この切断治具1では、筐体4が、傾斜切断ユニット5において、刃部17を保持している。そのため、筐体4によって、固定部材23を刃部17に対して確実に移動させることができる。
【0117】
さらに、この切断治具1では、筐体4に閉塞板21が取り付けられているので、構成が簡易である。
【0118】
また、この切断治具1では、スリット12によって、第1移動および第2移動において、遊端部34を案内しながら、遊端部34を円滑に傾斜および切断することができる。
【0119】
また、この切断治具1では、閉塞板21の一端縁22によって、傾斜付与部の一例を簡易に構成することができる。
【0120】
また、この切断治具1では、刃先18が幅方向に対して傾斜するので、幅方向に沿う場合よりも、小さな圧力で、光ファイバ31を切断することができる。
【0121】
また、この切断治具1では、基端部33の周囲に固着するコネクタ35が、固定部材23の固定筒部27に嵌め込まれるので、基端部33をコネクタ35に確実に固定しながら、遊端部34を切断できる。そのため、切断治具1の切断面CLの形成精度をより確実にすることができる。
【0122】
この光ファイバ1の切断方法では、傾斜切断ユニット5に対して、一端縁22および刃部17がともに(一緒になって)移動するので、遊端部34の傾斜および切断を簡便に実施できる。そのため、傾斜する切断面CLを簡便、かつ、精度よく形成することができる。
【0123】
<変形例>
【0124】
以下の各変形例において、上記した一実施形態と同様の部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、各変形例は、特記する以外、一実施形態態と同様の作用効果を奏することができる。さらに、一実施形態およびその変形例を適宜組み合わせることができる。
【0125】
一実施形態では、固定ユニット3を保持切断ユニット2に対して移動させたが、例えば、図示しないが、保持切断ユニット2を固定ユニット3に対して移動させることもできる。
【0126】
また、傾斜切断ユニット5は、案内部材24を備えるが、例えば、図示しないが、案内部材24を備えず、固定部材23のみを備えることもできる。
【0127】
図9図10Dに示すように、傾斜切断ユニット5は、閉塞板21に代えて、スリット12の移動方向一端部に充填される充填部61を備えることもできる。
【0128】
図9図10Aに示すように、充填部61は、充填部材の一例であって、スリット12の内部における移動方向一端部に配置される。充填部61の一端縁22が、傾斜付与部の一例である。充填部61の前面は、例えば、前壁10の前面と面一である。充填部61の材料は、例えば、筐体4の材料と同様である。
【0129】
この切断治具1によっても、第2工程では、図11Bに示すように、充填部61の一端縁22は、遊端部34を傾斜するように、遊端部34との接触に基づき移動させる。
【0130】
この変形例では、充填部61によって、傾斜付与部である一端縁22を簡易に構成することができる。さらに、充填部61がスリット12の一部に充填されるため、切断治具1の薄型化を図ることができる。
【0131】
図11A図11Dに示すように、傾斜切断ユニット5が、閉塞板21または充填部61を備えず、前壁10に含まれ、スリット12の移動方向一端を仕切る内端縁63が、傾斜付与部であってもよい。
【0132】
内端縁63は、充填部61における一端縁22と同一位置に位置する。
【0133】
この変形例では、筐体4が、閉塞板21または充填部61を備る必要がないので、部品点数を低減できる。同時に、前壁10の内端縁63によって、傾斜切断ユニット5を簡易に構成することができる。
【0134】
一実施形態では、遊端部34は、後端縁39を残して、切断して、基端部33から分離したが、例えば、図示しないが、遊端部34および基端部33の境界を切断して、後端縁39を残さず、遊端部34の全部を基端部33から分離することもできる。
【0135】
次に、2つの光ファイバコネクタ37同士を光学的に接続する方法を、図12A図12Bを参照して説明する。なお、図12A図12B中、コネクタ35は、簡略して描画されている。
【0136】
図12Aに示すように、2つの光ファイバ31のそれぞれは、2つの光ファイバコネクタ37のそれぞれに、コネクタ35とともに備えられる。コネクタ35には、紙面手前側に配置されるラッチ36が設けられている。2つの光ファイバコネクタ37のそれぞれにおける光ファイバ31は、一実施形態の切断方法において、光ファイバ31を中心にして、光ファイバコネクタ37を90度回転させた後、遊端部34が切断されている。光ファイバコネクタ37の上記した回転によって、ラッチ36は、前後方向一方側に配置されている。この場合には、ラッチ36が嵌め込まれる第1嵌め込み部28(図5参照。但し、図12には、図示せず。)は、外筒42の内面における前後方向一方側に位置する。ラッチ36と、第1嵌め込み部28とが、同じ側を向いている。
【0137】
続いて、2つの光ファイバ31の切断面CLを対向させる。図12Aに示すように、2つの切断面CLは、平行する。
【0138】
図12Bに示すように、次いで、2つの光ファイバ31の切断面CLを接触させる。一の光ファイバコネクタ37の光ファイバ31の切断面CLの全部が、他の光ファイバコネクタ37の光ファイバ31の切断面CLの全部に接触する。
【0139】
これによって、2つの光ファイバ31間の接続損失を向上できる。
【0140】
上記した接続は、例えば、一の光ファイバ31を延長したい場合に適用される。
【符号の説明】
【0141】
1 切断治具
4 筐体
5 傾斜切断ユニット
12 スリット
17 刃部
18 刃先
23 固定部材
31 光ファイバ
32 先端部
33 基端部
34 遊端部
61 充填部
63 内端縁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12