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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】ビル設備管理装置及びビル設備管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/20 20230101AFI20240830BHJP
【FI】
G06Q10/20
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020111642
(22)【出願日】2020-06-29
(65)【公開番号】P2022010869
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 嘉人
(72)【発明者】
【氏名】矢作 陽一
(72)【発明者】
【氏名】木村 剛維
【審査官】太田 龍一
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-157569(JP,A)
【文献】特開2007-249899(JP,A)
【文献】特開2002-230026(JP,A)
【文献】特開2008-242577(JP,A)
【文献】木村 文昭 他,ヒトとセンサー情報の紐づけによるビル設備管理業務の効率化方式の提案 ,マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2020)シンポジウム論文集 情報処理学会シンポジウムシリーズ Vol.2020 No.1 [DVD-ROM] IPSJ Symposium Series,日本,一般社団法人情報処理学会,2019年06月17日,pp.977-982
【文献】木村 文昭 他,ヒトの情報をセンシングする方式による設備管理の効率化による人員削減の検討,第82回(2020年)全国大会講演論文集(4) インタフェース コンピュータと人間社会,2020年02月20日,pp.4-203~4-204
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビル設備管理装置であって、
ユーザからのビルの設備に関する問合せから前記問合せの内容を示す問合せキーワードを抽出するとともに、前記ユーザからの前記問合せに対する対応内容から前記対応内容を示す対応キーワードを抽出するキーワード抽出部と、
前記問合せキーワードと、前記対応キーワードと、を関連付けてビル管理データベースに格納、蓄積するデータ格納処理部と、
前記ビル管理データベースに格納された前記問合せキーワードの内、現在から所定期間前までの特定の前記問合せキーワードの数を前記所定期間毎に繰り返してカウントし、特定の前記問合せキーワードの今回所定期間のカウント数が前回所定期間のカウント数よりも所定値以上減少した場合に、前回所定期間の特定の前記問合せキーワードに対応する前記対応キーワードを特定の前記問合せキーワードに対する推奨対応案として出力する推奨対応案生成部と、
を備えることを特徴とするビル設備管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のビル設備管理装置であって、
前記推奨対応案生成部は、前回所定期間の特定の前記問合せキーワードに対応する前記対応キーワードが複数種類ある場合には、前々回所定期間より前の所定期間に前記ビル管理データベースに格納されていない前記対応キーワードを推奨対応案として出力すること、
を特徴とするビル設備管理装置。
【請求項3】
情報処理を行うプロセッサと、データを格納する記憶装置と、を備えるビル管理装置によるビル設備管理方法であって、
前記プロセッサは、
ユーザからのビルの設備に関する問合せから前記問合せの内容を示す問合せキーワードを抽出するとともに、前記ユーザからの前記問合せに対する対応内容から前記対応内容を示す対応キーワードを抽出し、
前記問合せキーワードと、前記対応キーワードと、を関連付けて前記記憶装置のビル管理データベースに格納、蓄積し、
前記ビル管理データベースに格納した前記問合せキーワードの内、現在から所定期間前までの特定の前記問合せキーワードの数を前記所定期間毎に繰り返してカウントし、特定の前記問合せキーワードの今回所定期間のカウント数が前回所定期間のカウント数よりも所定値以上減少した場合に、前回所定期間の特定の前記問合せキーワードに対応する前記対応キーワードを特定の前記問合せキーワードに対する推奨対応案として出力すること、
を特徴とするビル設備管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビル設備管理装置の構成及びビル設備管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コールセンタに寄せられたアンケート結果やクレーム、或いはWebサイトへの書き込み等の顧客意見を受け付け、受け付けた顧客意見のテキストデータを分析して顧客ニーズの分析を行う方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、管理会社のサーバとビルの管理室端末と入居者の端末とをインターネット等の回線で接続し、サーバが入居者の端末から入力されたアンケート回答を受信し、受信したアンケート回答に基づいてビルの管理状況を評価する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-226568号公報
【文献】特開2004-334653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、アンケートやWebサイトへの書き込み等は、実施されるタイミングにユーザが覚えている大きな不満や改善要求のみとなり、より細かなユーザの不満やニーズを把握することができなかった。また、ユーザの細かな不満やニーズに対応するビルの的確な改善を図ることが難しかった。
【0006】
そこで、本発明は、ビルのユーザの細かな不満やニーズを把握してビルの的確な改善を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のビル設備管理装置は、ユーザからのビルの設備に関する問合せから前記問合せの内容を示す問合せキーワードを抽出するとともに、前記ユーザからの前記問合せに対する対応内容から前記対応内容を示す対応キーワードを抽出するキーワード抽出部と、前記問合せキーワードと、前記対応キーワードと、を関連付けてビル管理データベースに格納、蓄積するデータ格納処理部と、前記ビル管理データベースに格納された前記問合せキーワードの内、現在から所定期間前までの特定の前記問合せキーワードの数を前記所定期間毎に繰り返してカウントし、特定の前記問合せキーワードの今回所定期間のカウント数が前回所定期間のカウント数よりも所定値以上減少した場合に、前回所定期間の特定の前記問合せキーワードに対応する前記対応キーワードを特定の前記問合せキーワードに対する推奨対応案として出力する推奨対応案生成部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明のビル設備管理装置において、前記推奨対応案生成部は、前回所定期間の特定の前記問合せキーワードに対応する前記対応キーワードが複数種類ある場合には、前々回所定期間より前の所定期間に前記ビル管理データベースに格納されていない前記対応キーワードを推奨対応案として出力してもよい。
【0009】
本発明のビル設備管理方法は、情報処理を行うプロセッサと、データを格納する記憶装置と、を備えるビル管理装置によるビル設備管理方法であって、前記プロセッサは、ユーザからのビルの設備に関する問合せから前記問合せの内容を示す問合せキーワードを抽出するとともに、前記ユーザからの前記問合せに対する対応内容から前記対応内容を示す対応キーワードを抽出し、前記問合せキーワードと、前記対応キーワードと、を関連付けて前記記憶装置のビル管理データベースに格納、蓄積し、前記ビル管理データベースに格納した前記問合せキーワードの内、現在から所定期間前までの特定の前記問合せキーワードの数を前記所定期間毎に繰り返してカウントし、特定の前記問合せキーワードの今回所定期間のカウント数が前回所定期間のカウント数よりも所定値以上減少した場合に、前回所定期間の特定の前記問合せキーワードに対応する前記対応キーワードを特定の前記問合せキーワードに対する推奨対応案として出力すること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、ビルのユーザの細かな不満やニーズを把握してビルの的確な改善を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態のビル設備管理装置の構成を示す機能ブロック図である。
図2図1に示すビル設備管理装置を形成するコンピュータのハードウェア構成図である。
図3図1に示す業務報告文書データ格納部に格納されている業務報告文書データのデータ構造を示す図である。
図4図1に示す問合せデータ格納部に格納されている問合せデータのデータ構造を示す図である。
図5図1に示すキーワード群データベースに格納されている問合せキーワード群データのデータ構造を示す図である。
図6図1に示すキーワード群データベースに格納されている対応キーワード群データのデータ構造を示す図である。
図7図1に示すビル管理データベース格納部に格納されているビル管理データベースのデータ構造を示す図である。
図8図1に示すビル設備管理装置の動作を示すフローチャートである。
図9】所定期間内の温度変更依頼のカウント数の時間変化と各所定期間内の対応内容とを示すグラフである。
図10】所定期間内の照明設定依頼のカウント数の時間変化と所定期間内の対応内容とを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら実施形態のビル設備管理装置100について説明する。図1に示す様に、ビル設備管理装置100は、業務報告文書データ格納部11と、問合せデータ格納部12と、キーワード群データ格納部14と、キーワード抽出部15と、データ格納処理部16と、ビル管理データベース格納部17と、推奨対応案生成部18と、表示部19の各機能ブロック部で構成される。
【0013】
各機能ブロックは、図2に示す汎用コンピュータ150によって実現できる。図2に示すように、汎用コンピュータ150は、情報処理を行うプロセッサであるCPU151と、情報処理の際にデータを一時的に記憶するROM152、RAM153と、プログラムやユーザのデータ等を格納するハードディスクドライブ(HDD)154と、入力手段として設けられたマウス155と、キーボード156、及び表示装置として設けられたディスプレイ157とを含んでいる。CPU151とROM152とRAM153とHDD154とはデータバス160によって接続されている。また、マウス155とキーボード156とディスプレイ157とは入出力コントローラ158を介してデータバス160に接続されている。また、データバス160には通信手段として設けられたネットワークコントローラ159が接続されている。
【0014】
キーワード抽出部15と、データ格納処理部16と、推奨対応案生成部18とは、図2に示す汎用コンピュータ150のハードウェアとCPU151で動作するプログラムとの協調動作により実現される。
【0015】
また、業務報告文書データ格納部11、問合せデータ格納部12、キーワード群データ格納部14、ビル管理データベース格納部17は、図2に示す汎用コンピュータ150のHDD154によって実現される。なお、HDD154に代えて、外部の記憶手段をネットワーク経由で利用することによって実現してもよい。また、表示部19は、図2に示す汎用コンピュータ150のディスプレイ157によって実現される。
【0016】
図1に示す業務報告文書データ格納部11には、図3に示すような業務報告文書データ201が格納されている。業務報告文書は、例えば、ビルの管理、或いはメインテナンス等を行う管理会社の管理作業員がその日の業務の内容を纏めた日報のような報告書である。図3に示すように、業務報告書には、ビルのID、ユーザからの設備等に関する問合せ或いは苦情の内容、問合せ日時、問合せに対する対応や措置、フォロー事項等が記載されている。業務報告文書データ201は、このような業務報告書に記載された内容を、「ビルID」、「問合せ日時」、「問合せ内容」、「対応・処置」、「フォロー事項」の各フィールドに電子データとして格納したデータベースである。「問合せ内容」は、例えば、図3に示すように、「BBシステムズのA様から・・・空調リモコンの運転切り替えができない。・・・2FL会議室が冷えない。」と連絡あり、のように、ユーザからの問合せ内容をそのままテキストデータとしたものである。また、「フォロー事項」、「対応・措置」も同様に業務報告書に記載された作業内容をそのままテキストデータとしたものである。
【0017】
図1に示す問合せデータ格納部12には、図4に示すような問合せデータ202が格納されている。問合せデータ202は、例えば、ユーザが管理会社のホームページの問合せ画面に入力したテキストデータ、或いは、ユーザが管理会社にメールやSNS等で送信した問合せの内容、その問合せに対する対応内容を、「ビルID」、「問合せ日時」、「問合せ会社」、「問合せ者」、「問合せ内容」、「対応・処置」、「フォロー事項」の各フィールドに格納したものである。
【0018】
図1に示すキーワード群データ格納部14には、図5に示すような所定の問合せキーワード群データ203と、図6に示す対応キーワード群データ204とが格納されている。問合せキーワード群データ203は、業務報告文書データ201、或いは、問合せデータ202を処理して問合せの内容を示すキーワードを格納したデータベースである。図5の例のように、問合せキーワード群データ203は、温度変更依頼、照明設定依頼、照明不具合、空調不具合のような文字列で構成されたキーワード群である。問合せキーワード群データ203は、後で説明するキーワード抽出部15で抽出された回数が多い問合せキーワードの順に格納されている。
【0019】
また、対応キーワード群データ204は、業務報告文書データ201或いは、問合せデータ202を処理して対応内容を示すキーワードを格納したデータベースである。対応キーワード群データ204は問合せキーワード群データ203と同様、文字列で構成されたキーワード群である。問合せキーワード群データ203と同様、対応キーワード群データ204も、後で説明するキーワード抽出部15で抽出された回数が多い対応キーワードの順に格納されている。
【0020】
図1示すビル管理データベース格納部17には、図7に示すビル管理データベース205が格納されている。ビル管理データベース205は、ビルのIDと、業務報告文書データ201、或いは、問合せデータ202を処理して抽出した問合せキーワードと、業務報告文書データ201、或いは、問合せデータ202を処理して抽出した対応キーワードと、問合せを日時と、対応日時とを関連付けて格納したデータベースである。
【0021】
次に図8図9を参照しながら実施形態のビル設備管理装置100の動作について説明する。
【0022】
図8のステップS101に示す様に、キーワード抽出部15とデータ格納処理部16とは、業務報告文書データ201又は問合せデータ202にデータが追加されるまで待機すし、データが追加されたら図8のステップS101でYESと判断して図8のステップS102に進む。
【0023】
キーワード抽出部15とデータ格納処理部16とは、図8のステップS102において、図1に示す業務報告文書データ格納部11から図3に示すような業務報告文書データ201を読み出す。また、キーワード抽出部15とデータ格納処理部16とは、図8のステップS103において、図1に示す問合せデータ格納部12から図4に示すような問合せデータ202を読み出す。
【0024】
キーワード抽出部15は、図8のステップS104において、ステップS102で読み出した業務報告文書データ201の「問合せ内容」のフィールドに記載されている文章、或いは、ステップS103で読みだした問合せデータ202の「問合せ内容」に記載されている文章を分析し、問合せの内容を示す特徴的な文言をいくつか抽出する。そして、キーワード抽出部15は、抽出した文言と問合せキーワード群データ203とを対比し、問合せキーワード群データ203に含まれている問合せキーワードの中で、問合せの特性を最もよく表す問合せキーワードを抽出する。また、キーワード抽出部15、図8のステップS104において、ステップS102で読み出した業務報告文書データ201の「対応・処置」のフィールドに記載されている文章、或いは、ステップS103で読みだした問合せデータ202の「対応・処置」に記載されている文章を分析し、対応内容を示す特徴的な文言をいくつか抽出する。そして、キーワード抽出部15は、抽出した文言と対応キーワード群データ204とを対比し、対応キーワード群データ204に含まれている対応キーワードの中で、対応内容を最もよく表す対応キーワードを抽出する。そして、キーワード抽出部15は、抽出した問合せキーワードと対応キーワードとをデータ格納処理部16に出力する。
【0025】
ここで、問合せキーワードと対応キーワードの抽出の例について説明する。例えば、図3に示すビルIDがAAAのビルの業務報告文書データ201の「問い合わせ内容」のフィールドには、「BBシステムズのA様から・・・2FL会議室が冷えない。」と連絡ありとの文章が格納されている。キーワード抽出部15は、この文章から、問合せの内容を示す特徴的な文言として、「冷えない」という文言を抽出する。キーワード抽出部15は、問合せキーワード群データ203を参照して、「温度変更依頼」と「空調不具合」の2つの問合せキーワードを選択する。そして、キーワード抽出部15は、2つの問合せキーワードの中から、今までに抽出した回数が多い「温度変更依頼」を問合せキーワードとして抽出する。
【0026】
また、別の例を示すと、図3に示すビルIDがAAAのビルの業務報告文書データ201の「問い合わせ内容」のフィールドには、「〇〇社の△様から・・・エントランスの照明が暗いとの連絡有。」との文章が格納されている。キーワード抽出部15は、この文章から「照明が暗い」という文言を問合せの特徴を示す文言として抽出する。キーワード抽出部15は、問合せキーワード群データ203を参照して「照明設定依頼」と「照明不具合」の2つの問合せキーワードを選択する。そして、キーワード抽出部15は、2つの問合せキーワードの中から、今までに抽出した回数が多い「照明設定依頼」を問合せキーワードとして抽出する。
【0027】
対応キーワードの抽出の例を示すと、例えば、図3に示すビルIDがAAAのビルの業務報告文書データ201の「対応・処置」のフィールドには、「設定温度が高かった。・・・設定温度を1℃下げた」との文章が格納されている。キーワード抽出部15は、この文章から、対応内容を示す特徴的な文言として、「設定温度を下げた」という文言を抽出する。キーワード抽出部15は、対応キーワード群データ204を参照して「設定温度下げ」を対応キーワードとして抽出する。また、別の例を示すと、図3に示すビルIDがAAAのビルの業務報告文書データ201の「対応・処置」のフィールドには、「照明の照度を上げた」との文章が格納されている。キーワード抽出部15は、この文章から「照度を上げる」という文言を対応内容を示す特徴的な文言として抽出する。キーワード抽出部15は、対応キーワード群データ204を参照して「照度上げ」を対応キーワードとして抽出する。
【0028】
図8のステップS105でデータ格納処理部16は、業務報告文書データ201、或いは、問合せデータ202から、問合せの対象となったビルIDを抽出する。また、データ格納処理部16は、業務報告文書データ201又は問合せデータ202の「問合せ日時」のフィールドから問合せ日時を抽出する。更に、データ格納処理部16は、業務報告文書データ201又は問合せデータ202の「問い合わせ内容」の文章を分析し、問合せの対象となった場所を抽出する。また、データ格納処理部16は、業務報告文書データ201又は問合せデータ202の「フォロー事項」の文章を分析し、対応日時を抽出する。
【0029】
ここで、問合せの対象となった場所の抽出の例を示す。例えば、図3に示すビルIDがAAAのビルの業務報告文書データ201の「問い合わせ内容」のフィールドには、「BBシステムズのA様から・・・2FL会議室が冷えない。」と連絡ありとの文章が格納されている。データ格納処理部16は、この文章を分析し、問合せの対象となった場所として、「2FL会議室」を抽出する。同様に、「問い合わせ内容」のフィールドに「〇〇社の△様から・・・エントランスの照明が暗いとの連絡有。」との記載が格納されている場合には、問合せ対象の場所として、「エントランス」を抽出する。また、同様に、図4に示すビルIDがEEEのビルの問合せデータ202の「問い合わせ内容」のフィールドには、「2階、201号室の温度が暑い」という文章が格納されている。データ格納処理部16は、この文章を分析し、問合せの対象となった場所として、「2FL、201号室」を抽出する。
【0030】
図8のステップS106で、データ格納処理部16は、キーワード抽出部15から入力された問合せキーワードと対応キーワードと、ステップS105で抽出したビルIDと、問合せの対象となった場所と、問合せ日時と、対応日時とを関連付けて図7に示すようなデータ構造を持つビル管理データベース205に格納する。
【0031】
キーワード抽出部15と、データ格納処理部16は、所定期間の間、図8のステップS101~S106を繰り返して実行し、業務報告文書データ201又は問合せデータ202にデータが追加されるごとに、問合せキーワードと、対応キーワードと、ステップS105で抽出したビルIDと、問合せの対象となった場所と、問合せ日時と、対応日時とを関連付けて図7に示すビル管理データベース205に格納、蓄積していく。
【0032】
ここで、所定期間は、一日でもよいし、一週間でもよいし、半日でもよく、自由に設定することができる。
【0033】
所定期間が経過したら、推奨対応案生成部18は、図8のステップS106でYESと判断して図8のステップS107に進んで、現在から所定期間前までの今回所定期間の問合せキーワードの数をカウントする。カウントは、問合せキーワードの種類ごとに行う。例えば、今回所定期間の「温度変更依頼」のカウント数はA、今回所定期間の「照明設定依頼」のカウント数はBの様にカウントする。
【0034】
そして、推奨対応案生成部18は、図8のステップS108おいて、問合せキーワード毎に、今回所定期間のカウント数が前回所定期間のカウント数よりも所定値以上減少した場合に、図8のステップS108でYESと判断して図8のステップS109に進む。ここで、所定値は自由に決めることができるが、例えば、前回所定期間のカウント数の30%から50%程度に設定してもよい。
【0035】
推奨対応案生成部18は、図8のステップS109において、前回所定期間の対応キーワードを問合せキーワードに対する応答案として生成し、表示部19に出力する。
【0036】
以下、例として、問合せキーワードが「温度変更依頼」である場合について説明する。
【0037】
図9に示す様に、推奨対応案生成部18は、所定期間毎に「温度変更依頼」の問合せキーワードの件数をカウントしている。ここで、今回所定期間とは、現時点から所定期間前の間の期間、前回所定期間とは今回所定期間の一つ前の所定期間、前々回所定期間とは前回所定期間の一つ前の所定期間である。
【0038】
図9のグラフに示すように、前回所定期間の「温度変更依頼」のカウント数は前々回所定期間のカウント数より少し少ないか、略同等の数となっている。このため、前回所定時間においては、推奨対応案生成部18は、図8のステップS108でNOと判断して図8のステップS101に戻って、次の所定期間、即ち、今回所定期間の図7に示すビル管理データベース205の蓄積を行う。そして、推奨対応案生成部18は、図8のステップS107で今回所定期間の「温度変更依頼」の数をカウントする。
【0039】
図9に示す様に、今回所定期間の「温度変更依頼」のカウント数は、前回所定期間のカウント数よりも所定値以上減少している。すると、推奨対応案生成部18は、図8のステップS108でYESと判断して図8のステップS109に進む。
【0040】
推奨対応案生成部18は、図8のステップS109で前回所定期間の対応が「温度変更依頼」の問合せ数の減少に大きく寄与したと判断する。そして、推奨対応案生成部18は前回所定期間の対応キーワードを抽出する。図9に示す様に、前回所定期間では、空調の吹き出し口の追加工事を実施しており、対応キーワードは、「吹き出し口追加」である。従って、推奨対応案生成部18は、問合せキーワード「温度変更依頼」の対応案として「吹き出し口追加」の対応キーワードを推奨対応案として表示部19に表示する。
【0041】
また、問合せキーワードが「照明設定変更」の場合も同様で、図10に示すように、今回所定期間に「照明設定変更」のカウント数が所定値以上減少した場合には、前回所定期間の対応キーワードの「照明器具交換」を推奨対応案として出力する。
【0042】
以上、説明したように、実施形態のビル設備管理装置100は、業務報告文書データ201又は問合せデータ202にデータが追加されるごとに、問合せキーワードと、対応キーワードとを抽出し、これらと、ビルIDと、問合せの対象となった場所と、問合せ日時と、対応日時とを関連付けて図7に示すビル管理データベース205に格納、蓄積していく。これにより、ビルのユーザの細かな不満やニーズを把握してビル管理データベース205に蓄積、格納することができる。そして、ビル管理データベース205を参照して、今回所定期間の「温度変更依頼」等の問合せキーワードのカウント数が前回所定期間のカウント数よりも所定値以上減少した場合には、前回所定期間の対応がその問合せキーワードのカウント数の減少に大きく寄与したと判断し、前回所定期間の対応キーワードを抽出して推奨対応案として出力する。これにより、ユーザの細かな不満やニーズの対応に効果的に対応案を抽出、推奨することができる。
【0043】
このように、実施形態のビル設備管理装置100は、ビルのユーザの細かな不満やニーズを把握してビルの的確な改善を図ることができる。
【0044】
以上の説明では、問合せキーワードのカウント数が前回所定期間のカウント数よりも所定値以上減少した場合には、前回所定期間の対応がその問合せキーワードのカウント数の減少に大きく寄与したと判断し、前回所定期間の対応キーワードを抽出して推奨対応案として出力することとして説明した。この場合、前回所定期間に複数種類の対応キーワードがビル管理データベース205に格納される場合がある。例えば、「温度変更依頼」という問合せキーワードに対して「設定温度下げ」、「吹き出し口追加」の2つの対応キーワードが格納されている場合がある。この場合には前々回所定期間、或いはそれ以前の所定期間に格納されていない対応キーワードを推奨対応案として出力する。
【0045】
例えば、図9に示す様に、「設定温度下げ」の対応キーワードは、前々回とその前の所定期間に格納されているが、「温度変更依頼」の問合せのカウント数は、ほとんど減少していない。つまり、前々回所定期間、或いはそれ以前の所定期間に格納されている対応キーワードが示す対応を行っても問合せキーワードのカウント数は減少しないと考えられる。従って、この場合には前々回所定期間、或いはそれ以前の所定期間に格納されていない対応キーワードを推奨対応案として出力する。
【0046】
これにより、前回所定期間に複数種類の対応キーワードがビル管理データベース205に格納されたている場合でも、確実に推奨対応案を選択することができる。
【符号の説明】
【0047】
11 業務報告文書データ格納部、12 問合せデータ格納部、14 キーワード群データ格納部、15 キーワード抽出部、16 データ格納処理部、17 ビル管理データベース格納部、18 推奨対応案生成部、19 表示部、100 ビル設備管理装置、150 汎用コンピュータ、151 CPU、152 ROM、153 RAM、154 HDD、155 マウス、156 キーボード、157 ディスプレイ、158 入出力コントローラ、159 ネットワークコントローラ、160 データバス、201 業務報告文書データ、202 問合せデータ、203 問合せキーワード群データ、204 対応キーワード群データ、205 ビル管理データベース。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10