(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】スクロール圧縮機
(51)【国際特許分類】
F04C 18/02 20060101AFI20240830BHJP
F04C 29/02 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
F04C18/02 311Y
F04C29/02 C
(21)【出願番号】P 2020152045
(22)【出願日】2020-09-10
【審査請求日】2023-05-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】三俣 圭史
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 創
(72)【発明者】
【氏名】平田 弘文
(72)【発明者】
【氏名】竹内 真実
(72)【発明者】
【氏名】濱元 伸也
(72)【発明者】
【氏名】北口 恵太
【審査官】丹治 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-301089(JP,A)
【文献】特開2009-097503(JP,A)
【文献】特開2013-238179(JP,A)
【文献】特開平07-247968(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0203709(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0086404(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 2/02、18/02
F04C 23/00-29/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線回りに回転可能なシャフトと、
前記シャフトに取り付けられたロータ、及び前記ロータを外周側から覆うとともに前記軸線を中心とする第一円筒面が形成されたステータを有するモータと、
前記モータによって駆動され、前記軸線を中心とする第二円筒面を有する圧縮機本体と、
前記第一円筒面と当接する第一内周面、及び前記第二円筒面と当接する第二内周面を有するハウジングと、
前記軸線方向に延び、前記第一内周面側と前記第二内周面側とを連通する流路を形成する流路形成部と、
を備え、
前記第二内周面の内径は、前記第一内周面の内径よりも大き
く、
前記流路の内面のうち、径方向の最も外側の部分である流路外周部は、前記第一内周面及び前記第二内周面よりも径方向内側に位置しており、
前記圧縮機本体は、
前記軸線から偏芯した位置で前記軸線回りに旋回する可動スクロールと、
前記ハウジングに固定され、前記可動スクロールに前記軸線方向から対向して配置されることで間に圧縮室を形成する固定スクロールと、
を有し、
前記可動スクロールの外径をCとし、前記可動スクロールの偏芯量をρとし、前記流路外周部と前記軸線との間の径方向の寸法をDとしたとき、C+ρ<Dが成立しているスクロール圧縮機。
【請求項2】
前記固定スクロールの外径は、前記第一円筒面の外径よりも大きい請求項
1に記載のスクロール圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スクロール圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば車両用空調装置に用いられる圧縮機として、スクロール圧縮機が知られている(下記特許文献1参照)。スクロール圧縮機は、モータと、モータによって駆動される圧縮機本体と、これらモータ、及び圧縮機本体を収容するハウジングと、を備えている。モータと圧縮機本体とは、モータの軸線方向(出力軸の延びる方向)に配列される。モータ側に形成された吸入口からハウジング内に導かれた冷媒は、潤滑油と混ざりながらハウジング内に形成された流路を通じて圧縮機本体側に向かって流通する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、モータの外径は、圧縮機本体の外径よりも大きく設定されることが一般的であった。このため、上述の流路中には段差や落差が形成される場合があった。その場合、流路中の冷媒と潤滑油の流れが阻害されてしまい、モータ側に潤滑油が滞留したり、モータ側に再度戻ってしまったりする虞がある。
【0005】
本開示は上記課題を解決するためになされたものであって、より小型化されるとともに、潤滑性能が向上したスクロール圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係るスクロール圧縮機は、軸線回りに回転可能なシャフトと、前記シャフトに取り付けられたロータ、及び前記ロータを外周側から覆うとともに前記軸線を中心とする第一円筒面が形成されたステータを有するモータと、前記モータによって駆動され、前記軸線を中心とする第二円筒面を有する圧縮機本体と、前記第一円筒面と当接する第一内周面、及び前記第二円筒面と当接する第二内周面を有するハウジングと、前記軸線方向に延び、前記第一内周面側と前記第二内周面側とを連通する流路を形成する流路形成部と、を備え、前記第二内周面の内径は、前記第一内周面の内径よりも大きく、前記流路の内面のうち、径方向の最も外側の部分である流路外周部は、前記第一内周面及び前記第二内周面よりも径方向内側に位置しており、前記圧縮機本体は、前記軸線から偏芯した位置で前記軸線回りに旋回する可動スクロールと、前記ハウジングに固定され、前記可動スクロールに前記軸線方向から対向して配置されることで間に圧縮室を形成する固定スクロールと、を有し、前記可動スクロールの外径をCとし、前記可動スクロールの偏芯量をρとし、前記流路外周部と前記軸線との間の径方向の寸法をDとしたとき、C+ρ<Dが成立している。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、より小型化されるとともに、潤滑性能が向上したスクロール圧縮機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の実施形態に係るスクロール圧縮機の縦断面図である。
【
図2】本開示の実施形態に係るスクロール圧縮機の要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(スクロール圧縮機の構成)
以下、本開示の実施形態に係るスクロール圧縮機100について、
図1と
図2を参照して説明する。スクロール圧縮機100は、例えば車両用の空調装置の冷媒を圧縮するために用いられる。
図1に示すように、スクロール圧縮機100は、シャフト1と、モータ2と、圧縮機本体3と、ハウジング4と、カバー5と、上部軸受6と、下部軸受7と、ドライブブッシュ8と、を備えている。
【0010】
(シャフトの構成)
シャフト1は、軸線Oに沿って延びるとともに、当該軸線O回りに回転可能とされている。シャフト1は、シャフト本体10と、小径部11と、大径部12と、偏芯軸部13と、を有している。シャフト本体10は、軸線Oを中心とする円柱状をなしている。シャフト本体10は、軸線O方向の全域にわたって一様な径寸法を有している。シャフト本体10の外周面には、モータ2のロータ21(後述)が取り付けられている。
【0011】
軸線O方向におけるシャフト本体10の一方側には、小径部11が設けられている。小径部11は、軸線Oを中心とする円柱状をなすとともに、シャフト本体10よりも小さな径寸法を有している。小径部11は、ハウジング4に取り付けられた下部軸受7によって軸線O方向一方側から支持されている。
【0012】
シャフト本体10の軸線O方向他方側には、大径部12が設けられている。大径部12は、軸線Oを中心とする円柱状をなすとともに、シャフト本体10よりも大きな径寸法を有している。大径部12は、ハウジング4に固定された上部軸受6によって径方向から支持されている。
【0013】
大径部12のさらに軸線O方向他方側には、偏芯軸部13が設けられている。偏芯軸部13は、大径部12から軸線O方向他方側に向かって突出している。偏芯軸部13は、軸線Oと平行をなすとともに、当該軸線Oから径方向にずれた位置に延びる偏芯軸Aを中心とする円柱状をなしている。したがって、シャフト1が回転するとき、偏芯軸部13は軸線O回りに公転(旋回)する。
【0014】
(モータの構成)
モータ2は、シャフト1に回転駆動力を与える。モータ2は、ロータ21と、ステータ22と、を有している。ロータ21は、シャフト本体10に固定されている。ロータ21は、軸線Oを中心とする円筒状をなしている。詳しくは図示しないが、ロータ21は、複数の磁石を有している。ステータ22は、このロータ21を外周側から覆っている。ステータ22は、複数の鋼板を軸線O方向に積層して形成されている。ステータ22は、複数のコイルを有している。
【0015】
ステータ22のコイルに通電することで、ステータ22とロータ21との間に電磁力が発生し、ロータ21に軸線O回りの回転力が与えられる。これにより、シャフト1が軸線O回りに回転する。
【0016】
(圧縮機本体の構成)
圧縮機本体3は、モータ2によるシャフト1の回転によって駆動する。圧縮機本体3は、固定スクロール31と、可動スクロール32と、を有している。固定スクロール31は、軸線Oを中心とする円盤状の第一端板31Aと、この第一端板31Aの軸線O方向一方側に設けられた第一渦巻板31Bと、を有している。第一渦巻板31Bは、軸線Oを中心として渦巻状に延びている。詳しくは後述するが、第一端板31Aの外周面(第二円筒面3A)は、ハウジング4の内周面(第二内周面4B)に当接している。また、第一端板31Aの外径は、上述したステータ22の外径(つまり、モータ2の外径)よりも大きい。
【0017】
可動スクロール32は、円盤状の第二端板32Aと、この第二端板32Aの軸線O方向他方側に設けられた第二渦巻板32Bと、ボス部32Cと、を有している。第二渦巻板32Bは、軸線Oを中心として渦巻状に延びている。第二渦巻板32Bの軸線O方向の寸法は、上述した第一渦巻板31Bの軸線O方向の寸法と同等である。このように第一渦巻板31Bと第二渦巻板32Bとが軸線O方向から噛み合うことで、両者の間に圧縮室Cが形成されている。
【0018】
ボス部32Cは、第二端板32Aから軸線O方向一方側に向かって突出する円筒状の部分である。ボス部32Cは、ドライブブッシュ8を介してシャフト1の偏芯軸部13に取り付けられている。偏芯軸部13が軸線O回りに旋回することで、ドライブブッシュ8を通じて旋回力が可動スクロール32に伝達される。これにより、可動スクロール32は軸線O回りに旋回する。なお、詳しくは図示しないが、可動スクロール32自身の回転(自転)は、自転防止機構によって規制されている。
【0019】
可動スクロール32が旋回することによって、上述の圧縮室Cの容積が時間変化し、当該圧縮室C内を径方向外側から内側に冷媒が送られる中途で圧縮され、圧力が上がる。高圧状態となった冷媒は、固定スクロール31の第一端板31Aに形成された開口部Hを通じてハウジング4内に導かれる。ハウジング4は、シャフト1、モータ2、及び圧縮機本体3を収容する有底円筒状の容器である。カバー5は、ハウジング4の軸線O方向一方側に取り付けられている。詳しくは図示しないが、カバー5の内側には、IPM(インテリジェントパワーモジュール)等を含む電装品が収容される。
【0020】
(流路形成部の構成)
上述したドライブブッシュ8の径方向外側には、流路形成部9が配置されている。流路形成部9は、軸線Oを中心とする環状をなしている。流路形成部9は、当該流路形成部9を軸線O方向に貫通する複数の流路Fを有している。モータ2側から吸入口(不図示)を通じてハウジング4内に導かれた冷媒と潤滑油は、この流路Fを通じて軸線O方向他方側に流れ、圧縮機本体3の圧縮室Cに導かれる。
【0021】
より具体的には
図2に示すように、流路Fは、モータ2側(軸線O方向一方側)に位置する第一流路F1と、圧縮機本体3側(軸線O方向他方側)に位置する第二流路F2と、を有している。第一流路F1の流路断面積は、第二流路F2の流路断面積よりも大きい。第一流路F1と第二流路F2の内面のうち、軸線Oに対する径方向の最も外側の部分(流路外周部Fa)は、これら第一流路F1と第二流路F2との間で連続する一様な面をなしている。
【0022】
(各部の寸法)
次いで、
図2に基づいて、スクロール圧縮機100の各部の寸法の関係について説明する。同図に示すように、ハウジング4の内周面のうち、ステータ22の外周面(第一円筒面22A)に当接する部分は第一内周面4Aとされている。一方で、ハウジング4の内周面のうち、圧縮機本体3(固定スクロール31)の外周面(第二円筒面3A)が当接する部分は第二内周面4Bとされている。軸線Oから第一内周面4Aまでの寸法(第一内周面4Aの内径)をAとし、軸線Oから第二内周面4Bまでの寸法(第二内周面4Bの内径)をBとしたとき、B>Aの関係が成立している。つまり、流路Fよりも圧縮機本体3側の第二内周面4Bは、モータ2側の第一内周面4Aよりも径方向外側に位置している。したがって、例えば軸線O方向を水平方向に合わせてスクロール圧縮機100を配置した場合、第二内周面4Bは第一内周面4Aよりも下方に位置することになる。
【0023】
ここで、可動スクロール32の第二端板32Aの半径をCとし、可動スクロール32の軸線Oからの偏芯量をρとする。さらに、上述した流路外周部Faから軸線Oまでの寸法をDとする。このとき、C+ρ<Dの関係が成立している。つまり、流路外周部Faは、可動スクロール32の旋回軌跡が描く円形よりもさらに径方向外側に位置している。さらに言い換えれば、可動スクロール32が旋回している間、流路Fの断面積のうち少なくとも一部は常に開通している。
【0024】
(作用効果)
【0025】
上記構成によれば、圧縮機本体3と当接する第二内周面4Bの内径が、モータ2と当接する第一内周面4Aの内径よりも大きい。つまり、モータ2の寸法体格を圧縮機本体3に対して小さく抑えることができる。これにより、スクロール圧縮機100をさらに小型化することが可能となる。
さらに、例えば軸線Oを水平方向に沿わせるような姿勢でスクロール圧縮機100を配置した際、モータ2側(つまり、第一内周面4A側)から圧縮機本体3側(つまり、第二内周面4B側)に向かって、流路Fを通じて冷媒と潤滑油が流れる。ここで、上記構成によれば、第二内周面4Bの内径が第一内周面4Aの内径よりも大きい。言い換えれば、流路Fの出口側の面が、流路Fの入口側の面よりも下方に位置している。このため、流路Fを通じて、冷媒と潤滑油をより円滑に流すことができる。さらに、一旦流路Fから出た冷媒と潤滑油が、再度モータ2側に戻ってしまう可能性を低減することもできる。
【0026】
上記構成によれば、可動スクロール32の外径をCとし、可動スクロール32の偏芯量をρとし、流路Fの内面のうち、径方向の最も外側の部分と軸線Oとの間の寸法をDとしたとき、C+ρ<Dが成立している。ここで、C+ρは、可動スクロール32の旋回軌跡の最大半径である。C+ρ<Dの関係は、流路Fにおける径方向の最も外側の部分は、この最大半径よりもさらに外側に位置していることを意味している。つまり、上記構成によれば、可動スクロール32の旋回中、常に流路Fの少なくとも一部分は連通(開通)した状態となる。これにより、例えば流路Fが可動スクロール32によって遮られ、冷媒と潤滑油の流通が阻害されてしまう可能性を低減することができる。その結果、スクロール圧縮機100の潤滑性能をさらに向上させることができる。
【0027】
上記構成によれば、固定スクロール31に比べて、第一円筒面22Aの外径(つまり、モータ2の外径)を小さく抑えることができる。これにより、スクロール圧縮機100をさらに小型化することができる。
【0028】
以上、本開示の実施形態について説明した。なお、本開示の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。
【0029】
<付記>
各実施形態に記載のスクロール圧縮機100は、例えば以下のように把握される。
【0030】
(1)第1の態様に係るスクロール圧縮機100は、軸線O回りに回転可能なシャフト1と、前記シャフト1に取り付けられたロータ21、及び前記ロータ21を外周側から覆うとともに前記軸線Oを中心とする第一円筒面22Aが形成されたステータ22を有するモータ2と、前記モータ2によって駆動され、前記軸線Oを中心とする第二円筒面3Aを有する圧縮機本体3と、前記第一円筒面22Aと当接する第一内周面4A、及び前記第二円筒面3Aと当接する第二内周面4Bを有するハウジング4と、前記軸線O方向に延び、前記第一内周面4A側と前記第二内周面4B側とを連通する流路を形成する流路形成部9と、を備え、前記第二内周面4Bの内径は、前記第一内周面4Aの内径よりも大きい。
【0031】
上記構成によれば、圧縮機本体3と当接する第二内周面4Bの内径が、モータ2と当接する第一内周面4Aの内径よりも大きい。つまり、モータ2の寸法体格を圧縮機本体3に対して小さく抑えることができる。これにより、スクロール圧縮機100をさらに小型化することが可能となる。
さらに、例えば軸線Oを水平方向に沿わせるような姿勢でスクロール圧縮機100を配置した際、モータ2側(つまり、第一内周面4A側)から圧縮機本体3側(つまり、第二内周面4B側)に向かって、流路Fを通じて冷媒と潤滑油が流れる。ここで、上記構成によれば、第二内周面4Bの内径が第一内周面4Aの内径よりも大きい。言い換えれば、流路Fの出口側の面が、流路Fの入口側の面よりも下方に位置している。このため、流路Fを通じて、冷媒と潤滑油をより円滑に流すことができる。さらに、一旦流路Fから出た冷媒と潤滑油が、再度モータ2側に戻ってしまう可能性を低減することもできる。
【0032】
(2)第2の態様に係るスクロール圧縮機100では、前記圧縮機本体3は、前記軸線Oから偏芯した位置で前記軸線O回りに旋回する可動スクロール32と、前記ハウジング4に固定され、前記可動スクロール32に前記軸線O方向から対向して配置されることで間に圧縮室Cを形成する固定スクロール31と、を有し、前記可動スクロール32の外径をCとし、前記可動スクロール32の偏芯量をρとし、前記流路Fの内面のうち、径方向の最も外側の部分と前記軸線Oとの間の寸法をDとしたとき、C+ρ<Dが成立している。
【0033】
上記構成によれば、可動スクロール32の外径をCとし、可動スクロール32の偏芯量をρとし、流路Fの内面のうち、径方向の最も外側の部分と軸線Oとの間の寸法をDとしたとき、C+ρ<Dが成立している。ここで、C+ρは、可動スクロール32の旋回軌跡の最大半径である。C+ρ<Dの関係は、流路Fにおける径方向の最も外側の部分は、この最大半径よりもさらに外側に位置していることを意味している。つまり、上記構成によれば、可動スクロール32の旋回中、常に流路Fの少なくとも一部分は連通(開通)した状態となる。これにより、例えば流路Fが可動スクロール32によって遮られ、冷媒と潤滑油の流通が阻害されてしまう可能性を低減することができる。その結果、スクロール圧縮機100の潤滑性能をさらに向上させることができる。
【0034】
(3)第3の態様に係るスクロール圧縮機100では、前記固定スクロール31の外径は、前記第一円筒面22Aの外径よりも大きい。
【0035】
上記構成によれば、固定スクロール31に比べて、第一円筒面22Aの外径(つまり、モータ2の外径)を小さく抑えることができる。これにより、スクロール圧縮機100をさらに小型化することができる。
【符号の説明】
【0036】
100 スクロール圧縮機
1 シャフト
2 モータ
3 圧縮機本体
3A 第二円筒面
4 ハウジング
4A 第一内周面
4B 第二内周面
5 カバー
6 上部軸受
7 下部軸受
8 ドライブブッシュ
9 流路形成部
10 シャフト本体
11 小径部
12 大径部
13 偏芯軸部
21 ロータ
22 ステータ
22A 第一円筒面
31 固定スクロール
31A 第一端板
31B 第一渦巻板
32 可動スクロール
32A 第二端板
32B 第二渦巻板
32C ボス部
A 偏芯軸
C コイル
F 流路
F1 第一流路
F2 第二流路
Fa 流路外周部
H 開口部
O 軸線